力になるもの
大人になった発達障がいがある人への支援で何が大切なのか? ①成功体験を積む ②自己肯定感を上げる ③自己理解を深める ④誰かに助けを求めることを覚える ⑤誰かに相談をするということを覚える⑥余暇活動を充実させる ⑦安定した生活習慣をつくることだと研修会で聞いてきました。
障がいのあるなしに関わらず、ほとんど誰にでも当てはまることです。中でも私がびっくりしたのは、余暇活動・趣味の事を言われたことでした。何年か前にはそんなことは誰も言いませんでした。多くの人を見てきたことによって必要だと認められたのではないかと思います。好きな事は、ストレスを解消するために必要です。私たちと全く同じです。
私たちはストレス解消法をそれなりに知っています。それでもストレスはどういう訳か溜まります。障がいのある人はどうでしょう。本人が自ら趣味を持つ事が難しい人もいらっしゃるでしょう。そんな人には、関わる人たちが多くの機会を作り、好きなものに当たればラッキーという息の長い支援が必要になります。彼らにとって余暇活動や趣味は、探し出して作っていくものだと思います。好きな事が一つあれば少しは豊かな生活を送ることができるのではないでしょうか。
また、成功体験を積むことや安定した生活習慣をつくるということは、就労に結び付けることができるのではないかと思います。
障がいがあるなしに関わらず、就労をめざすには、食事のマナー、清潔さ、身だしなみ、あいさつ、返事ができるなどのごく基本的な事がまず大切です。障がいのある人は、次に公共交通機関の利用、金銭の扱い・管理や時間の理解などできると良いとされています。金銭管理や時間の感覚はかなり難しくハードルは高いです。金銭に関しては、980円の品物が1000円札を出せば買えるということを知っていれば だと私は思っています。障がいが重くてもそんなことができる人がいらっしゃいます。何と店員さんの顔の表情を見て取るのだそうです。経験に勝るものはありません。
障がいがあるからと言っても、この社会で生きていかなくてはいけません。最低限必要なことは、身につけておいた方がいいに決まっています。知的に重度な人でも、小さい頃から基本的な習慣を身につけている人は、大人になってからもきちんとできています。お茶碗やお皿を出す、食器を洗う、お風呂掃除をする、洗濯ものを干すなどお手伝いを小さい頃からするという事は非常に大切です。お手伝いをしてきた人は、働く意欲が育っているようです。自分の役割を果たすことによって、家族から褒められ、喜ばれるという体験を肌で感じ取ってきているからだと思います。
一般の人も同じです。息子はもう46歳になるのですが、小さい頃からお手伝いをやってきましたので、料理、洗濯、掃除などはできます。ある日、息子が「のせのせハンバーグを作ります」と言って、夕食に作ってくれたり、「食パンがないから僕が買ってきます」と買ってきてくれます。今は、スポーツ店で働いていますが、小さい頃の彼からそんなことは、全く想像もできませんでした。私自身、「彼が施設に入らなくてはいけないから」と思い、彼が4歳の時に、運転免許を取りに行ったくらいです。障がいのある人の力になる事を普段からこつこつとやり続ける。簡単なようで難しいことです。誰からも評価されませんが、大人になった時に何かしらの助けになるような気がしています。