vol.217 水は土壌に染み込むよね

土壌は、水や空気と同じように、私たち人間を含んだ生き物が生きていく上で、なくてはならない ものです。土壌は、地中にいる生き物が生活する場であり、土壌に含まれる水分や養分が、私たちの 口にする農作物を育てます。 土壌汚染とは、こういった働きを持つ土壌が人間にとって有害な物質によって汚染された状態をい います。原因としては、工場の操業に伴い、原料として用いる有害な物質を不適切に取り扱ってしまっ たり、有害な物質を含む液体を地下に浸み込ませてしまったりすることなどが考えられます。また、 土壌汚染の中には、人間の活動に伴って生じた汚染だけではなく、自然由来で汚染されているものも 含まれます。

土にはどんな役割があるの?
土は、水や空気と同じように、人や生物が生きていく上で重要な基盤(土台)です。また、水を浄化したり、農作物を育てたりする機能を持っています。

土壌汚染って何?
人の活動に伴って排出された有害な物質が土に蓄積されている状態を言います。例えば、
・ 有害な物質が、使用しているときにこぼれたり、有害な物 質を含む排水が漏れたりして土の中に入る。
・ 有害な物質を含む廃棄物が不適切に土に埋められて、雨な どによって有害物質が周りの土に溶け出す。
・ 排気ガスや飛灰の中に含まれる有害な物質が土の表面に落ちる。
などによって土壌汚染が起こります。

土壌汚染には、次のような特徴があります。
◆土壌汚染の原因となっている有害な物質は、水の中や大気 中と比べて移送しにくく、土の中に長い間止まりやすい。
◆また、汚染されていることに気づきにくい(目に見えない)
◆一旦土が汚染されると排出を辞めても長い期間汚染が続く。
◆そのため、人の健康や生態系などに長い期間にわたり影響を及ぼす。
◆揮発性有機化合物は、地下深くまで浸透しやすく、地下水 に溶け出して、その流れに乗って汚染が広がるおそれが大 きい。また、揮発性が高いため、地層中の空気を汚染し、大気へ放出される恐れもある。
◆重金属は、土の中ではあまり拡散しないで止まりやすい。

土壌が汚染されるとどうなるの?
土壌汚染は様々な経路で人の健康や生活環境・生態系へ影響を与えます。放っておくと人の健康などに悪い影響が及ぶおそれがあります。

の健康へ影響を及ぼす可能性のある行為
1、汚染された土が口に入ったり、直接皮膚に触る
2、汚染された土から有害な物質が溶け出した地下水を飲む
3、土から大気に出た有害な物質を吸い込む
4、汚染された土が雨などで流出して川や海に入り、魚を汚染する。こうした魚介類を食べる。
5、汚染された土の上で育てられた農畜産物を食べる。

生活環境・生態系への影響
6、悪臭などの不快感
7、引用される地下水の油膜
8、農作物や飼料用植物の生育阻害
9、生態系への悪影響
これらのうち、まず健康への影響を速やかに把握し、対策を取ることが必要。また、生活環境や生態系への影響については、まだわかっていないことが多いため、効果的な対策を考えるためには科学的なデータをもっと集める必要があります。

土壌汚染による環境リスクとは?
人の健康や生活習慣、生態系へ悪い影響を及ぼすおそれ(可能性)のことを、“環境リスク”と言います。きちんと環境リスクに応じた対策をとればリスクを低くしたり、回避したりすることができます。環境リスクの大きさは次のようになります。土壌汚染による環境リスク=土の有害性の程度×暴露量。 土壌汚染の原因となっている有害な物質の程度と体内に取り込む量(暴露量)とで決まります。
暴露とは、汚染された土が手にくっついて、知らず知らずに土を口に入れてしまったり、汚染された土が飛び散って口に入ってしまったり、汚染された土から有害な物質が溶け出した地下水を飲んだりして体内に取り入れることを言います。

土壌汚染とリスクコミュニケーション
土壌汚染が見つかった場合でも、地域住民と行政と事業者で情報を共有し、対応策などについて冷静に話し合うことで、住民の不安が解消されるようになります。このように情報を共有してお互いの意思疎通を図るプロセスを「リスクコミュニケーション」と言います。
リスクコミュニケーションで重要なことはたくさんあります。
・ 企業や行政が早い段階で情報を出すこと。
・ 情報をわかりやすくして出すこと。
・ 住民が意見を言う機会を作り、住民は積極的に参加すること。
・ 住民の意見を土壌汚染対策に反映させること。

●行政の役割
・ 土壌汚染対策法を的確に実施する。
・ 土壌汚染に関する情報が公正かつ的確に開示されるよう事業者や土地の所有者を指導する。
・ 地域住民に対して、土壌汚染の環境リスク について正しい理解を深めるための啓発活動などを行う。
・ 事業者に対しては土壌汚染の調査、対策のための支援などを行う。
●市民の役割
・ 土壌汚染とその環境リスクについて、正しく理解する。
・ 発見された土壌汚染について事業者が開催する説明会などがあれ ば積極的に参加する。
また話し合いの場では、土壌汚染とその環境リスクについて正しく理解し、次のことを心がける。
・ 言いたいことは言う・ 相手の話をよく聞く・ 冷静に話し合う。

指定支援法人 財団法人 日本環境協会より

 

 

 

 

 

 

 





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