vol.216 やってみた 渡邊さん


やってみたシリーズ第19弾

幸せの種をどうぞ!はなさかおばさん 渡邊さん(70代)

 緑豊かな、庭に花咲く家で育った渡邊さん。結婚して庭のない借家で、ガーデニングもままならない日々を過ごしました。数十年前、庭のある今の家に越してきた時のうれしかった気持ちは、今でも鮮明に記憶にあります。以来、大好きな花に囲まれて過す日々が今も続いています。
庭に出て花の世話をしていると時間の経つのも忘れ、家族にあきれられるほど。
毎日のように庭仕事をしていると、家の前を通りがかった人に、「きれいですね」「珍しい花ですね」と声をかけられることも。反射的に「種が採れたらさしあげますよ」。それがきっかけで花談義に盛り上がることもしばしば。するとやがて「あの花、今日咲いたよ」と嬉しい報告の言葉が返ってきます。中には、咲いた様子の写真をメールで送ってくれる友達もいます。
以前、なんとなく話しかけにくいなぁと思っていた人がいました。ところがある日、花がきっかけで話してみたら、自分が持っていたイメージとは違うとわかり、今では会えば話がつきないような友人になりました。「きれいな花を見て嫌な顔する人はいないし、花って不思議な力があるねえ。」と渡邊さんはつくづく感じます。

今年の春先にちょっと気になることもありました。物忘れが多くなってきたのです。他ごとをしているうちに鍋を火にかけていることを忘れて安全装置が働いたこと、少し怒りっぽいと家族に言われたり…。そんなことを友達に話すと、「一度脳神経外科で診てもらったら?」と言われ、ドキッ。あの人、最近ちょっと変だね、と噂されていた近所の奥さんの、あっという間に認知症が進んでいった姿が頭をよぎります。一方で、認知症も程度が軽いうちに手を打てば進行を遅らせることができるとも聞いていたので早速、脳神経外科で診察をうけました。幸いにも脳の萎縮も、問診の結果も認知症の兆候はみられませんでした。 ほっとする渡邊さんに、医師が認知症予防のためにとアドバイスをいくつかくれました。
・首の後ろをマッサージするなど、頭まわりの血行を良くすること。
・手先を使うこと。
・感動できる趣味をもつこと。
もともと編み物や小物作りなどが好きで、庭で花を育てることも大好き。医師にそう話すと、「ああ、それはすごくいいことだね。どんどんやってね。」とうれしいお言葉。もともと好きでやっていたことにお墨付きをもらった気分になった渡邊さん。以前より一段と明るい気分で花のおすそ分けに精が出ます。

小物作りや編み物、庭仕事など毎日忙しい渡邊さんですが、人に誘われたり頼まれたりすると、できるだけ断らないようにしています。「だって、せっかく私に声をかけてくれたんだもの。これも何かのご縁でしょ。そんな私を八方美人と言う人もいるけど、どんな人でもつきあってみないとわからないしね」
今の社会は、知らない人とは口をきかないようにと子どもに教えたり、物のやりとりをしないとか、知らない人とはあまり関わらない風潮もあります。いろんな怖い犯罪もあるから、それも無理ないことかもしれない。
「でも、私はどんどん関わっちゃう。近所の人みんなが知り合いの方が安心して暮らせるし、幸せなことだと思うの。だから私は小物を作ったり花の種が採れたら、どんどん人にもらってもらうの。」





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