vol.215 熱中人 円通寺住職 岡田 英賢さん

 

 

 

 

たった一つのルールは「ひとりにしない」こと。
誰かといっしょは、ご飯がおいしいからね。
今日は誰と食べる?

円通寺 住職・岡田 英賢さん

居場所としての子ども食堂
例えばおかあさんが仕事していて子どもさんが帰ると、一人だけ、という家庭があったりとか、私はそう状況を分かったりする立場にあったので、「じゃ、ここにおいでよ、晩ご飯食べていく?」となって…。それがいわゆる子ども食堂の始まりかな。週に2回、火曜日と木曜日。毎回20から30人ほどのお子さんがきます。子ども食堂は貧困をイメージしがちですが、貧困だけではない。一番気になるのは孤食です。一人じゃないよっていうのを伝えたい。
坐禅の時に、呼吸を意識してねっていうんです。吐き切らないと吸えないから最後まで吐き切って、それから吸う。普段の呼吸ってあまり意識しないですよね。空気も水も大事。それらが「ある」前提で暮らしています。当たり前すぎて意識しないという側面があります。人との繋がりもそうなんですよね。

友心庵
心を通わせる場所。ここは「ひとりぼっちを作らない」というルールがあります。30人くらい定期的に来る子たちがいますので、大量生産できるキッチンを整備しました。
和尚さんが作ったカレーをちょっと味見してよと、そんな雰囲気。受け皿というか、本当に困っている人のサポートになればいいかなと。ゼロ円カレーをやるためにここを作ったようなもの。一昨日もここで高山ラーメンを80食くらい作りました。

子どもの頃の記憶
例えば今の10歳の子が、20年もすると30歳になる。もしかすると自分の子どもがいて、その子に、小学校の時にお寺で勉強してね、と話すかもしれない。だから目いっぱい楽しいことを経験して欲しい。

大人の本気
大人も本気でないと。私はここでラーメン作ります。実は子ども達の間では、和尚さんのラーメン世界一だといって楽しみにしているんです。それは大人の意地ではなく本気なんです。大人の本気は一番伝わりますよね。
ダメなことは目いっぱい怒ります。それは、相手を傷つけることとか、人を馬鹿にしたりとか、無意識のうちに傷つけてしまうこと。悲しんだり一人ぽっちになった人を出した時は連帯責任です。ということは、傍観者になるなってことです。大人でも同じですよ、見て見ぬ振りとかね。それもダメだよって。
病気した時に健康のありがたさがわかるように、ピンチになった時に、周りに誰もいないっていうのがいちばんきついんじゃないかと思うんです。ピンチになったら、必ず誰かが助けてくれる。だから、傍観者ではいけないんです。それがいちばんそれが大事なことのような気がしています。
マザーテレサさんが「『愛』という言葉の反対の言葉って何?『無関心』て言いました。もっとね、いろんなことに関心を持ってということなんですね。

幸せって、なんですか?
先日、車いすのダンスチームの舞台を見に行ったんです。いろんなグループで小学生から大人の方までが曲に合わせて踊ります。車椅子を押しているお母さんも笑いながら、本人も声だして笑いながら、発表するというか。みんなとってもいい笑顔なんだよね。団体の代表の方が、「練習で集まる時は、嫌なことがあっても、残した問題がそのままであっても、『笑顔』でいようねって言うんです。そして、笑顔でいること、それを積み重ねることで、幸せになるんですよね」って。本当にそう思います。
宗教の根っこの部分はね、みんなが「しあわせだな」って思えることじゃないですか。

フードバンク物流センターには、あらゆる企業や個人から食品の寄付がある。それを丁寧に仕分けし冷蔵保管する。7月29日に開催された「フードドライブ」では、高校生が「こめっこカフェ」を開催したり、寄付をされた方にかき氷をプレゼントしたりと、大にぎわいの1日となりました。(円通寺・関市小屋名)

共感を得ること
もう一軒のお寺・観修寺の管理が難しくなり、ご本尊様とお墓を移築をして、解体する話に。近隣の方に迷惑かけてもいけないので、まず綺麗にすることから始めた。それが6〜7年前。コツコツやっているうちに、「和尚さん、なにやってるの?」って声をかけられ、一人二人と手伝っていただける方が増えてきて、みんなで片付けをするようになりました。
自ら汗をながしてやっているところに人が来て、人と人が繋がって、だんだんと大きくなっていきます。我々は知らないだけで、人は皆いろんな悩みや問題を抱えている。それは誰でもあるので、もっともっと人が関われるような場所を作っていきたいというか。それが今のいちょう庵。いろんな人の受け皿になることができればいいなと思って。
ここを頼ってくれる人がいたりとか、そういう人たちがいることで、この建物自体の価値が出るんですね。