vol.209 熱中人 百×消一喜 西部 嶺志さん

生産者と消費者が協力しあうコミュニティ
「百×消一喜」を設立!

神野オーガニック農豊 代表 西部 嶺志 (にしぶ たいき)さん(関市在住)

僕の夢は、「日本中全ての人が国産オーガニック野菜でお腹が満たされること」。
僕の祖母はずっと米や野菜を作っていて、僕はそれを食べて育ってきました。中学生の頃には、祖母が作った野菜を自分が調理してお客さんに出すお店をやりたいということが目標になり、調理士学校に進んで、16才から27才まで飲食の世界にいたんです。
20代前半の頃に、祖母から「農業を嶺志に継いで欲しい」という話がありました。その時は祖母が亡くなるなんてまだ先のこと、とのんびり構えていたんですが、その数年後に亡くなって、農業というものを正面から考えるようになりました。祖母は慣行農法でしたが、せっかく引き継ぐのなら、祖母が守ってきた農地を100代先まで残そう!多くの人に安心して食べてもらえて、持続可能な農地にするためにもオーガニックの野菜作りを生業にしていこうと決心しました。それから一年間、叔父と共に田畑で働くかたわら、独学でみっちりと勉強しました。
その後、農業を開業し定着させるための初期資金の調達と経営面の情報収集のため東京へ行き、様々な職種を経験し、多くの方と農業の未来について語り合いました。そういうことを経て、昨年6月にはようやく「神野オーガニック農豊」として関市神野の地に開業させることができました。
しかし、まだまだ一歩を踏み出したばかりで、思うようにいかないこともたくさんあります。
まずは土つくりが大切と、おからを畑にすき込むといいと聞き、大量におからを運び込んでもらったはいいのですが、半端ない量のおからを手作業ですきこむのは大変でした、朝から晩まで作業しても追いつかず、しまいには積んであったおからが腐敗して、すごい臭いを発生させ、近隣の方に大変なご迷惑かけたこともありました。
そんなふうに試行錯誤の連続ですが、現在では、お米、大根、人参、キャベツ、玉ねぎなどの栽培、販売をしています。また、多くの人に農を身近に感じてもらえるよう、トラクター、種まき、収穫などの体験もしています。
消費者の方に田畑まで足を運んでもらい、実際に体験していただけると、作物や農家への理解を深めてもらうことに繋がるのでは、と思っています。ゆくゆくは体験で収穫した野菜をみんなで料理できるようにしたり、楽しみながら作業を通して、輪を広げたいです。
自分も飲食店経営の時代に、野菜を買ってくれませんか、と打診してきた農家さんに、今うちはこの金額で仕入れてるけど、それより安くできるの?なんて今思えば失礼な対応をしてしまいました。自分が生産する側になってみると、野菜ってそんなに安く作れるもんじゃない、低い価格なら良しとするってどうなんだろう、とつくづく感じます。
ただ、今はオーガニック野菜は高くてあたりまえとされています。それでは手が出ないわ、という消費者さんの気持ちももっともです。でも、オーガニックの野菜も慣行農法の野菜と同じ値段でスーパーに並べられていたらどうでしょう?僕はそんな日が遠からず来ると信じています。

人の命を支える食。その大きな部分を担う農。それは農家だけのものではなく、もっと多くの人がそれぞれの視点から関わり、より良い方向へと進んで行くことがベストなのでは、と思います。
こどもたちの未来に、より豊かな食と環境を残していきたいですからね。

神野オーガニック農豊
かみのオーガニックのうほう
岐阜県関市神野地区。津保川と山々に囲まれ、緑豊かな地に祖母から引き継いだ農地は7反。他の人の農地も5町程あるが、耕作放棄地も多く、いつかその土地全部でオーガニック野菜が育てられることを西部さんは願っている。

生産者と消費者が、共に日本の農業を守る“共農”コミュニティ「百×消一喜」(ひゃくしょういっき)を設立しました。関心のある方はどんどん参加していただきたいです。詳しくは神野オーガニック農豊へ。





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創刊:1987年
発行日:偶数月の第4月曜日
発行部数:22,000部

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