vol.207 気になるプラスチックごみ対策!

 


3つのプラスチックゴミ問題

1)海洋プラスチック問題
陸上や海上での不法投棄などによって、プラスチックゴミが海洋に流出している問題。海洋生物をはじめ生態系への影響が深刻化しています。
2)廃プラスチックゴミの処理問題
焼却と埋め立て設備が不足し、ゴミの処理が追いついていない問題。オフィスや商業施設などから出る事業ゴミ(産廃系廃プラスチック)の一部を、発展途上国に輸出して処理を頼っているのが実情です。
3)マイクロプラスチック問題
マイクロプラスチックとは、洗顔料などに入っているマイクロビーズや繊維くず、人工芝など、5mm以下の小さなプラスチックのこと。その小ささゆえに回収が難しく、環境に影響を及ぼしています。このように、「プラスチックゴミ問題」とひとことで言っても、問題の背景は複雑。それでは、次にプラスチックゴミの内訳を見てみましょう。

ペットボトルが占める割合は、プラゴミ全体のたったの6%
※-1 一般社団法人プラスチック循環利用協会レポート(18年12月発行)、PETボトルリサイクル推進協議会 2018年年次報告書より

日本のプラゴミのリサイクルは8割以上!?でも、その実態は?
それでは、プラスチックゴミはどのように処理されているのでしょうか。一般社団法人プラスチック循環利用協会によると2017年の日本のプラスチックゴミ903万トンのうち、がリサイクルされ、残りの14%は、焼却・埋め立て処理されています。(※2)
86%というと、一見かなり優秀な数字に見えます。ですが、実はこの「リサイクル」の7割近くを占めているのが、「サーマルリサイクル」。ゴミを燃やして発生した熱を回収し、発電や温室プールの熱源に利用する方法です。純石油製品であるプラスチックは、石油や石炭と同等の発熱量を有するため、焼却することで大量の熱エネルギーを回収できるのです。
※2一般社団法人プラスチック循環利用協会 18年12月発行レポート、PETボトルリサイクル推進協議会2018年年次報告書参照。

国際基準では認められない、日本独自の「リサイクル」
プラスチックゴミを燃やして、温水プールの熱源や発電などの使う「サーマルリサイクル」。国際基準では「サーマルリカバリー(熱回収)」と呼ばれ、リサイクルとは認められていない。実は「サーマルリサイクル」という言葉は和製英語。この方法は欧米ではサーマルリカバリー(Thermal Recovery)と呼ばれ、そもそもリサイクルの範疇には含まれていません。
国際基準でリサイクルと認められているのは、廃プラスチックを新たなプラスチック製品などに再利用するマテリアルリサイクルと、鉄の原材料やガス、石油などに再利用するケミカルリサイクルのみ。一方、日本の廃棄物やリサイクル政策の基盤となる「循環型社会形成推進基本法」では、サーマルリサイクルとして認めているのです。
https://www.mashingup.jp より

プラスチックのなにが問題?
プラスチックは、非常に強くて軽い、腐敗しない化学物質です。プラスチック製品は紫外線や物理的な摩耗によって割れて破片となり、微小なプラスチック粒子になります。この数mm以下、数μmm以下になったプラスチック(マイクロプラスチック、ナノプラスチック)は様々な過程を経て最終的に雨に流され、海へ流れ着きます。流れ着いたプラスチックは、いくら小さくなっても、分解してなくなることはありません。

世界のプラスチックを無くす動き(脱プラスチック)
2025年にはプラスチックが2015年の10倍になると言われており、2050年には海の中にあるプラスチックが海の中の魚の量を超える、とまで言われるほど深刻な問題となっています。
こうした問題から、世界ではプラスチックの規制を設けています。
【各国・取り組み内容】
イタリア:2011年から生分解性以外のレジ袋の使用を禁止
台  湾:無料配布のレジ袋は生分解性のものに限る
U A E :使い捨て袋は生分解性を有するに限る
ブラジル:サンパウロ市ではレジ袋はバイオプラスチックに限る
豪 州 :各州(SA、TAS、NT、ACT州)では無料レジ袋の提供を禁止
イギリス:プラストロー、マドラー、綿棒の配布及び販売を禁止する計画
アメリカ:シアトル州ではプラスチックストローとカラトリーの使用を禁止
イ ン ド:マハラシュート州での各プラスチックの使用禁止
モンゴル:2019年3月からレジ袋の使用禁止
では日本は?今のところ自主的にプラスチックを無くしていきましょう、というのが現状です。
不要なレジ袋は使わない、エコバックを使う、マイボトルを持つ、などプラスチックを使わないように意識するだけでプラスチックを減らすことは誰にでもできます。プラスチックを無くすことは自然環境だけではなく、最終的には、私たちの健康のためでもあります。
私たち消費者一人ひとりが意識して、行動することがもっとも大切なことだと私は思います。