日本全国で私たちが出す「生ごみ」は年間推計で約2,842万トン。その内訳は約70%が食品産業から、残り約30%が家庭からの排出と言われています。生ごみについて注目すべき理由はその圧倒的な量の多さ(重さ)にあります!少なく見積もっても一般廃棄物に占める生ごみの推定量は約40%。特に生ごみは水分を含んだまま捨てられることが多く、重量比でも圧倒的な割合を占めています。可燃ごみの約40%を占める生ごみだからこそ、生ごみを無くせば、ごみはほぼ半減します。思い切って抜本的にごみ削減に取り組もうとするなら、生ごみを何とかするのが一番の近道です。まさに、「生ごみを制すれば、「ごみ」を制す?!」というわけです。
生ごみの約60%弱が調理くず、約40%弱が食べ残しです。さらに、食べ残しのうち半分以上が「手付かずの食品」つまり未開封などの状態で手を付けずにそのまま捨てられた食べ物です。
調理くずについては、ある程度は出てしまうことが避けられないものです。なるべく無駄なく皮まで食べられるよう調理を工夫するなど、取り組みの余地はありますが、それらによって抜本的に量が減るものではありません。出てしまったごみをいかに活かすかというアプローチになります。
生ごみへの取り組みには大きく分けて、「そもそも出さないようにする」や「出す量を減らす努力をする」【発生抑制】へのアプローチと、「出てしまったものを有効活用する」【資源活用】の2つの取り組み方があります。
そこでまず編集部は「ごみの[資源活用]」に注目しました。
生ごみをリサイクル
堆肥化:「食べたものから出た生ごみを、もう一度食べ物をつくる資源とする」
生ごみを土に返す。生ごみは、焼却処分する場合でも厄介者です。含水率が高いため、焼却しづらく、炉の温度を下げてしまう原因となります。各地で生ごみの「水切り」をしてから捨てるように呼びかけられているのはこのため。
「使いきり」「食べきり」「水きり」の「3キリ運動」などと推奨している自治体もあります。焼却に適さないのであればより一層、上手く活用する術を探りたいところです。そこで取り組まれているのが、生ごみから「堆肥をつくる」活用方法です。生ごみはもちろん自然由来のものですから、土に還すことができます。単純に、埋めて土に還すことで生ごみを焼却しない・処理費用を無駄にしない、というアプローチもあります。生ごみは各家庭(そして事業所からも)定期的に出続けるわけですから、上手く活用すれば、地域内で堆肥を作ることができる有効な資源となるのです。
コンポストに取り組むと、自分の出したごみをよく見直すことになるから、無駄にする食品を減らそうという動きになります。
生ごみ発生抑制のヒント
ごみの[発生抑制]-1
調理くずや生ゴミの場合
出さないようにする、出す量を減らす努力をすること。
皮まで食べる:ベジブロス 野菜のくずから取るスープは、抗酸化作用が強い「ファイトケミカル」がたっぷり。ファイトケミカルは、第7の栄養素と呼ばれ、老化防止や生活習慣病予防効果で注目されています。スープや汁物、煮込み料理、炊き込み御飯など、和洋中様々なお料理に使えます。
作り方 ① お鍋に野菜のくず、水、酒を入れて、沸騰後弱火で20分ほど煮る。 ② ザルでこして出来上がり。 ③ 冷蔵庫で3〜4日保存できます。
ゴミになるなぁ、と思うものを買わないのがポイントですが、過剰包装が日常的になっている日本ではなかなかハードルは高い。自治体サイドでは、回収日を少なくする、回収指定ごみ袋の価格を引き上げるなどの取り組みも。例えば加茂郡白川町では、・可燃ごみ袋(大)10枚 1,000円(小)10枚500円で、必ず袋に世帯主の名前を記入すること。というルールがあります。住民は一枚100円もする指定ごみ袋を使用するため、常にごみの量を気にします。また、食用廃油は最寄りの回収場所に設置してある専用容器(ドラム缶)に破棄できるなどの取り組みも。他に、岐阜市、大垣市、笠松町などは、生ごみ処理普及のため、さまざまな補助金制度があります。
生ごみは、ほかにもこんなリサイクル方法があります。
飼料化:主に食品関連事業者が出す食品廃棄物を発酵処理し、飼料を作成して、豚肉を生産し、また食品として提供していくもの。
バイオガス化:発酵させてメタンガスにします。ガスは発電に、発呼以後の残りかすは肥料として利用。
炭化:加熱をして炭にします。有機性のものに限ります。燃料などに利用できます。