vol.204 ボーダーレス社会をめざして vol.63

NPO法人オープンハウスCAN 理事長 伊藤佐代子

幸せになるために誰もが…

 車を運転していたら平原綾香さんの「幸せになるために、誰もが生まれてきたんだよ」という歌詞が流れてきました。あ~そうだよね。幸せかぁ~。
 先日、息子が小学2年の時に担任をして下さった先生からお電話がありました。「あっちゃんが年賀状や暑中見舞いなどを送ってくれるので、お礼が言いたい」と。久しぶりに昔を思い出し、お話をしました。 実は先生は、私を救って下さった恩人なのです。多動の息子をクラスの生徒さんを巻き込み、クラスに溶け込ませて下さったのです。1年生の時に「普通学級ではなく、支援学級に行かれた方がいい」と1年生の担任・主任の先生に言われた後ですので、何とか普通学級で過ごせるようにと家でもフォローをし頑張っている時でした。
 ある日「伊藤さん、あっちゃんが挙手をして話すようになったから、こっそり教室に見に来て。」と連絡が来ました。見に行くと、手を挙げあの子が喋っていました!!知らない息子の姿でした。救われました。鮮明に覚えています。温かい眼差しがありました。最初から拒否するのではなく、どうしたら息子が皆さんと一緒に学んでいけるか模索して下さいました。先生すべてがそのような方ばかりでありません。本当にラッキーでした。30年ほど前の話です。 当時は、現在ほどたくさんのサービスがありませんでしたから、多くの人に助けられ、応援されて子どもを育てていました。今はサービスが溢れています。よくよく考えてみますと、自分で考えていろいろ挑戦できたことはある意味で幸せだったのかもしれません。そして、先生に現在の報告をしました。息子の「寒椿」という絵が、解体業者の斫木村さんという会社で養生シートになったこと、また大垣共立銀行さんの現金を入れるための封筒に息子の絵が採用され10,000部、印刷されることをお伝えしました。「良かったね」と喜んでもらえました。「やっと、です。20年かかりましたね。」長い歳月を経て、障がい者の絵が社会貢献という名目で使われるようになりました。その中に選ばれるという事はどれほど幸せな事か。息子は淡々としていますが長い長い月日でした。先生と電話を代わったのですが、会社では、これこれの仕事をしていますと話をして終り。なんとそっけないことでしょう。でも会話が少し成り立ったのですから、成長です。電話はすごく苦手で、ガチャンと切らなかっただけ良かったです。
 社会貢献と言う考えは、長い時間をかけ時代と共に作られてきました。誰もが幸せになるための社会でなければ、生まれてきても幸せになれない人がいるのではないでしょか?。





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