【Vol.167】i’m a challenger ムーヴメントとして種をまくたびをはじめる:種まく旅人さん 

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そうだ、種をまこう!

今、災害や異常気象や戦争、経済問題にしても、いろんな問題が沸騰しているでしょ。今年は本当に大事な年になるだろうというのが、ぼくの勘なんです。それで、間に合うかどうかわかんないけど、とにかく今、種を蒔き始めようと、今年の2月、10,000人に米と麦の種を手渡す旅を始めました。

なぜ、種なのか・・・

誰でも食べることに関心はあっても、種には無関心ですよね。しかし種がなければ何も栽培できません。もしこの地球上から種がなくなればスーパーやコンビニから食品は消えてしまいます。みなさんはF1種をご存じだろうか?1世代限りの作物で、それから種を採っても同じように実らず、異品種(奇形・異質)ばかりになります。企業による種の支配は食の支配につながります。それに加えて、TPPの問題があります。米一粒はとても小さいですが、とてもパワフルです。このハッピーヒルは一粒から4,000粒(4,000倍に増える)でき、2年目=320キロ、3年目=日本人24,000人分の米、4年目に約1億人分、5年目には3,500億人分の米になります。食糧危機もたった 一粒から救うことが可能なんです。米一粒の価値は底知れぬ パワーと永遠性があります。今のところ米も麦もF1種ではありませんが、その存在が危ぶまれています。それで一念発起。自分で作った種(F1ではない固定種)を日本中に蒔いて歩くことを始めたんです。

最初はすべての人に「種」を受け取る権利がある、そう思って「もらってください」って、手渡ししていました。街の中でコンビニに入ったら、コンビニのお姉さんにどうぞって。でも、それは違うなぁと思い始めた。というのは、愛知県、岐阜県に来たら、「ほしい!」って言われることが多くて。本当は1年で10,000人にと思っていたけど、それでは1日30人に配らなきゃと、ちょっと焦っていました。でも渡すべき人に渡すと切り替えたら、まぁ、2年くらいかかってもいいかなと思えるようになったんです。
種を受け取られた方、ぜひ育ててみて下さい。

旅する目的

ぼくがこうして旅している目的のひとつは、都会の人に田舎での暮らしをすすめたいんです。都会暮らしって、全部依存して生きているでしょ。エネルギーや電気・ガス・水道などライフライン、究極は食べ物の問題。天変地異・・・そういった非常時に、なにもできない。ぼくは山の中で暮らしていたのですが、贅沢しなければ生活に必要なものはなんでも揃っているんです。エネルギーは薪があるし、山水は美味しいし・・・。
もう一つの旅の目的は、難病や末期癌とかが治った人たちを取材すること。どういう経過を経て克服したかを克明に記録をとって、ブログで書いていこうと思っている。
そういう事例をたくさん知れば知るほど、病気の人には励みになり、自分にもできると、意識が変わる。その意識が変わるということが大事、とぼくは学んだんです。民間の治療師の方のお話しや、実際、病気を克服した人の話しを聞いて思うことは、食事も大事だし水も大事だけど、一番大事なのは意識だということ。意識が変わらなければどんなにいいものを食べていても、固定観念に縛られすぎてて、治っていかないのだと。それは自分の経験からも確信をもちました。

病気をして意識が変わる

ぼくは高校3年生の時に急性腎炎になり、休学して半年ほど入院生活が続いたんですが、「もう治らないから退院していい」と言われた。ショックでした。それで腎臓病の本をいろいろ読んで、慢性腎炎に移行することの恐ろしさ、最後のところには「死亡」って!これは死ぬような病気なんだと思った。
その後、ある人の紹介で専門医のいる病院へ再入院。そこの婦長さんが「この本を読みなさい」とくれたその本には、病気が治った話しがいっぱいで、すごい励みになった。そしてある道場にも通い、最後の日のカウンセリングで、病気の話しをしたら、他には?って聞かれて、「お袋と5年間口をきいてない。お袋が作るものも食べなかった」と話したら、それが原因だって言われたんです。
あー、そうかって、すぐ母親に電話して謝罪しました。でもそれだけじゃ病気は治らない。その本には「病気は本来存在しない、自分が作るもの」と書いてあった。病気がないなら、薬を飲む必要はないと思いすべて捨てました。腎臓病は、絶対安静、タンパク質と塩分が控えめの食事が大事といわれている病気なんですが、それを無視して、朝早く起きてランニングしたし、なんでも食べた。一時期すごく尿の色が悪くなって、これは自殺行為だなという思いもあったんだけど、それをやり通した。そしたら3ヶ月くらいしたら調子よくなって、専門医のところで尿検査したら、もう完全に治っていたんですよ。それ以来一切問題ないんです。
人間の身体ってどうなっているのかなぁ、医療ってなんなんだろう、と・・・そのときの死の恐怖心から、ぼくは生と死をずーっと考える人生になってしまった。ぼくはアーティストなんだけど、そういう人生の中でアートのテーマもそこにあった。それが作物を栽培する事によって、視点がちょっと変化してきたんです。死が怖い怖いと思っていたのが、なんか、死も受け入れるべきもの、そういうところに、気持ちが行き着いたんです。

死を受け入れるきっかけは農業

農業に染まっていったのはその奥深さにありました。すごい田舎の、借家の小さな土地でトマトとかキュウリの栽培を始めました。ぼくは素人だから土に種を蒔けばなんでもできると思っていた。でも、植物にも栄養がいるんだなと思って、コンポストに生ゴミを入れて、土に混ぜたらやっぱり成長がいい!。そこで気づいたのが、「なにかが生まれ育つにはなにかが死ななければならない」ということ。死んだものが微生物で分解されて土に戻り、それが次の世代の植物を成長させる。それを畑で感じたときに、死んで生きる、という循環がとても奥深いと思った。
あるとき、自分一人の体力に限界を感じて耕耘機を使ったら、事故を起こしてヘリコプターで運ばれたんです。それが今回旅するきっかけとなったわけです。目が覚めて、自分だけこんなことしててもなぁと思って。それで、自分の種を蒔いていこうと思って旅をすることになった。ただ、農業の在り方としては、あんまり機械を使わないほうがいい、と思っています。機械に頼る農業は土に接する機会が少なくなってしまう。農業が何でいいかというと、土を知ること,土を触ることなんです。それは自分で農作業していて感じたんです。機械を入れれば入れるほど土から遠くなるって。機械に頼らない農法も、昔の農法にあこがれる人が集まって、みんなで限界集落に入り込んで、みんなでやれば、可能だと思うんですよ。

ギブ&ギブの精神で

今回の旅のテーマでもあるんですが、普通はギブ&テイクの世界にいるわけでしょ、ぼくもまぁ、そういう世界にずっといてね、いかに自分の儲けを多くするかって。それがそもそもおかしいんじゃないかなと、疑問もあった。テイクの部分があまりにも重視されすぎてて、儲けを独り占めするとかね。儲けがあるところに偏ったり。それが世の中がおかしくなった原因でもあるんじゃないかなと。自分のためだけに生きるのは、やめにして、少しでも人のために生きるってことに変えていったらどうかなと思うようになった。それは農業を始めたから思ったこと。それで、最初やったのがハッピーヒル(※1)のバケツ稲コンクールだった。できるだけお金をかけずに、賞品は自分が作った無農薬のお米、労働力だけで用意できる。だけど、今回はもっと広い、たくさんの人に、ホントそれこそ、ギブだけの行為をやり続けたらどうなるか、って、ひとつの実験なんですよね。そういうギブだけの世界を展開していったら結果的にどうなるのかというのが、自分の中でのひとつの課題なんです。
今、2,000人を超えた時点で言えることは、全然後悔がないということと、人ととのつながりのおもしろさを肌で感じている、ということですね。

この一粒の価値は底知れぬパワーと永遠性があります。
OLYMPUS DIGITAL CAMERA編集部は1803人目と1804人目となる手紙と種をいただきました。手紙には・・・「福岡正信氏※2がこれからの食糧危機に備えて、多収穫の米を交配して作られました。うまく作れば、同じ面積でコシヒカリの2倍できます。偶然手に入れて無農薬栽培しました。小麦のほうは「伊賀筑後オレゴン」。明治時代に日本人が交配して作ったそうですが、パンにしてもうどんにしても大変美味しいそうです。」
と、種の説明と、F1種(一代限りの種)とTPPの動向の行く末を案じ、食の自己防衛を勧めています。
旅の様子は・・・・こちらから・・・・
ブログ「種まく旅人」http://happyhillcontest.seesaa.net

※1ハッピーヒル 福岡正信氏の福(ハッピー)岡(ヒル・丘)をもじった
※2福岡正信氏(1913年 – 2008年):日本における自然農法の第一人者。「無農薬、無肥料、無除草、不耕起(耕さない)」というもの。「自然農法・わら一本の革命」著者。岐阜高等農林学校(現岐阜大学応用生物科学部)卒。
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どういう人間も、あらゆる可能性があり、どうにでもなるものですが、それを決定するのはその人の技量でも才能でもなく、その人の意思だと思います。その確信が持てたのが、意識変革をされた方が多かった・・・岐阜なのです。そういう方々が集まるとどういうことになるのか、一度試みてみたいと思っています。その時にはぜひたくさんの方が集まることを願っています。





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