vol.195 ボーダーレス社会をめざして vol.54

NPO法人オープンハウスCAN 理事長 伊藤佐代子

新型コロナウィルスの影響

 全世界に新型コロナウィルスが感染拡大し、普段当たり前だった事ができなくなってきています。いかに今まで平和で安心・安全な社会で生活してきたか思い知らされています。障がいのある人たちも行動範囲が狭まり、どのように彼らのストレスを解消していけばよいのか?未知の世界でどうしていったら良いのか?
 3月の下旬に、千葉県の障害者施設で、職員と利用者58人が新型コロナウィルスに集団感染しました。感染症対策専門家会議が2月の下旬に「瀬戸際」という言葉を使い、警告を発してから1カ月が経ちました。障がいがある人を生活支援している事業所はどう対処したらよいのか?迷います。支援をやめれば、収入がなく事業所自体が潰れてしまうかもしれないのです。私の事業所は、公共交通機関を利用しての支援はしない、人が集まるという行事はやめるということにし、細々と支援を続けています。一番大切なことは、命を守ることです。支援がなければ困る人がいます。感染者が出た千葉県の障害者施設の職員さんは、最前線で働いて下さっていた人達です。決して消毒などおろそかにはしてなかったと思います。それでも感染してしまう。
 最近では、どのような状況が危険なのか、どのような予防をすればよいのか分かってきたため、それにのっとり少しずつ支援の再開を進めていますが、事業所の減収は避けられません。3月は、先月の2分の1くらいの収入しかありません。どうやってこの危機を脱出するのか?分かりません。
 自閉症の息子は、やはり理解ができないようで、「コロナウィルスのため」と言い、アパートで生活するということを断念しています。公共交通機関をどうしても使わなくてはいけないからです。「車で送迎するから、アパートへ行く?」「分かりません。やめます。」ということで現在はやめています。しかし、いい事もあります。ある日、夕方に雨が降りそうな時がありました。雨が降れば会社まで車で送迎する事になっていますので、「天気予報で帰る頃には雨が降るって言ってたよ。車で行く?」「僕は合羽を持っています。自転車で行きます。」と車での送りを拒否されました。なんと自立した大人!と感心させられました。いい風に育ったなと嬉しいやらちょっと寂しいやら。手洗いは昔から時間をかけて丁寧にしている息子。今まではなんでそんなに時間かかるの?とイライラして待っていましたが、それが本当の手洗いなのだと最近知りました。息子に教えられています。
 「新型コロナウイルスとの闘いは短距離走ではありません。1年は続く可能性のある長いマラソンです。国民の賢い判断と行動が求められています。」と山中伸弥さんの言葉です。賢い国民の一人でありたいです。





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