vol.189 採っていいタネ 採ってはいけないタネ

講師 岡本よりたか氏

4月7日(日)午後1時から岐阜市文化産業交流センター
じゅうろくプラザにて講演会がありました。

 「タネのことに関して、色々情報が錯綜していますね。 専門用語が多すぎて、素人の自分には難しいとか、 これから農業をやっていくのにどうしたら良いか、 家庭菜園や食卓にどんな影響があるのか分からない… そんな人がたくさんいます。 正直なところ、主要農作物種子法(種子法)が廃止されたことで、自家採種の自主規制が始まっているようです。 困ったものですね。 単に脅かすだけの情報が出回っているのは、おそらくTPPに反対している組織の情報だと僕は思います。 とても影響力のある人たちによる情報であるため、一般の方々がその情報に触れた時、曲解をしてしまっていることに問題を感じています。
 今日は採っていいタネ、採ってはいけないタネはなんなのか そんな事を、ズバリお話します。
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 まず、食べ物の一生を知ること、それは自然に寄り添う生き方に繋がります。みんなと一緒にタネを取る、収穫する、バイオテクノロジー企業がつくる交配種以外のタネを持っている、という仕組みを作っていくことが、これからとても重要になってきます。

自家採種を禁止する?!という動きに対して 

先日も「種子法が廃止されて私たち、もう自家採種できなくなるんですか」と悲壮な顔で相談に来られた方がおられましたが、そんなことはありません。これには誤解があります。そもそも種子法というのは、行政に課した法律で自家採種には全く関係ないのです。山田正彦氏(元農林水産大臣)は自家採種が禁止されるというようなことを発信をされていますが、残念ながら<誰が自家採種できなくなるのか>、<どういうものが自家採種できないのか>に踏み込んで発言されてません。ですから家庭菜園でも、固定種も在来種もダメ!?と思われてしまうんですね。
 ところがそうではないんです。基本的にどんなタネも自家採種はOKなんです。しかし次の点だけは要注意です。種子法より種苗法(知的財産権などタネの権利を決めた法律)に注目しないといけません。知的財産権は、農作物でいうと「育成者権」(植物の特許)と「品種登録」されたタネがあります。いずれもこれらのタネは自家採種はOKですが、販売・譲渡・交換会はNGです。
 育成者権のあるリスト、登録品種に関しては農水省のHPで検索できますので、チェックをお勧めします。

タネについて

いわゆるF1のタネ 意味不明のアルファベットが表記されている。

タネの種類は「交配種」「遺伝子組み換え種」「固定種」「在来種」があります。交配種というタネは人が作り上げてきたタネ。これを自然界に放つどどうなるかというと、簡単に消えていく。雑草に比べると非常に弱い。つまり自然淘汰していくタネです。なぜそんなタネが生まれたのかというと形質が安定するから。例えば大根。大きさ、質、色が均一であれば同じ値段を設定できる。大中小が混ざると、小さいものが売れ残る。それらは破棄され小売業者の損失となります。なので、小売業者は同じ大きさの大根を、仲卸へ要求します。仲卸は農協へ、農協は生産者へ要求する。そして生産者はタネ屋に要求します。本当は野菜を買うお客が要求しているんですけどね。そしてタネ屋は技術を駆使し同じ時期に発芽して、同じ時期に採れるタネを開発していく。S社のタネとかT社のタネのパンフレットを見てると面白いですよ。23cmのキュウリとか、生まれる前から身長が決まっているんですから。

育成者権申請のあるタネ。PVPマークがついていて、登録番号が表記されている。


 さらに、雄性不稔性といって雄しべができない形質を増やして、それを母株にしてどんどん交配させて新しいものにしていく。ミトコンドリアを壊せばこれは簡単にできるそうです。例えばトウモロコシ。タネができないとトウモロコシを食べられなくなる。それは困りますね。雄性不稔性(F1)でもタネはできますが、ここから分離の法則が始まります。二世代目(F2)には1対3の割合で1が不稔性となり、その結果タネができないものを増やすことになる。男爵とかメークインとか、てんさいと言われる砂糖大根とか、たまねぎ、いろんなものがあります。雄性不稔性かどうかは実際、タネを見ただけではわからない。見分けるすべは、袋に表記されたアルファベットVR、SP、CF、EXなどの文字。これらのタネはF1である確率が高く将来タネができなくなる可能性があります。そんな理由で農家がタネを採らなくなりタネに無頓着になる。タネはタネ屋さんで買い自分たちは野菜を作る。この分業制が、結局はわたしたちの安全をないがしろにすることになってくるんです。

 遺伝子組み換え種子(Gnetically Modified Organisms)これは知的財産権の特許権を取得しています。特許を与えられたこれらの種子は自家増植(種子繁殖・栄養繁殖)は認められません。農家の種子保管も禁止されており、さらに在来種を駆逐するようになります。健康への影響もあります。不妊症や、アレルギー、がん、抗生物質への耐性、リーキーガット症候群を引き起こすと言われています。

 固定種はどうか。綿々とタネを落としながら繋がっていく。自然界の中でも自分たちがいる場所をきちんと確保している。とても強い。僕ら、無農薬無肥料で野菜を作るんですが、自然と同じような環境の中で野菜を作っていこうとすると、こういう固定種とか在来種という強いタネで作らないとなかなか難しい。強いというのは、成長がいいとか悪いのではなく、雑草に負けないということですね。

自家採種は可能か

1)種子繁殖は、育成者権のある作物でも種子の次期作使用は認められる。栄養繁殖(※)は育成者権のある作物の一部(356品目)は禁止。
2)育成者権のない作物(固定種や在来種)は自家繁殖は認められる。(固定種であっても、一部PVP(植物品種保護)マークを取得しているものもあるので要注意)
3)自家採種禁止の契約(※)を交わした作物は、一切の自家繁殖禁止。
※栄養繁殖、挿し芽やランナーなど、タネ以外で作物を繁殖する事。
※自家採種禁止の契約について。タネ屋さんでトマトのタネを買おうと思ったら、買う前に契約書にサインしてくれって、契約書を持ってきた。それには、自家採種を禁止するって買いてあるんです。それにサインしてしまうと、自家採種はできなくなる。そういうトマトを買わなきゃいいだけの話。日本モンサント社のタネは買わないことです。コメだって同じですよ。
一体タネは誰のものなんでしょうね。

3時間に及ぶ講演内容のうち、自家採種に焦点をあて編集しました。(文責・にらめっこ)講演内容は「空水ビオファーム」で検索してください。





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