vol.177 天然のくらし応援団 第12回

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各務原にもウメ輪紋ウイルスが!!

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ウメ輪紋ウイルスが各務原に来ました。アブラムシがこの植物ウイルスを運び、ウメやモモ、スモモなどに感染します。葉に色があせたような模様ができます。このウイルスの駆除のために感染樹木を除去、農薬でウイルスを運ぶアブラムシを殺します(緊急防除)。農薬は周囲を汚染し、人間に、特に幼い子ども胎児に悪影響を与えます。環境・農水の両省は農薬の悪影響を防ぐ通知を出しています。通知が守られるように見守りましょう。

ウメ輪紋ウイルス
ウメ輪紋ウイルスはウメやモモ、スモモ、オウトウなどに感染するウイルスで、別名プラムポックスウイルス、PPVともいいます。感染すると葉に輪状や葉脈に沿う薄い緑の模様ができます。果実にも影響が出るといわれますが、農水省の植物防疫課長によると、「収量への影響はほとんど見られない」そうです。ウメ輪紋ウイルスは人間や動物に感染することはなく、感染した木の果実を食べても大丈夫だそうです。

ウイルスの防除
ウメ輪紋ウイルスに効果がある農薬はありません。駆除作業はウイルスを運ぶアブラムシをねらい、殺すために農薬を使います。使用農薬はネオニコチノイド系やピリジンカルボキシアミド系の殺虫剤などを使います。ネオニコチノイド系殺虫剤はミツバチの群崩壊症候群(ミツバチが大量にいなくなってしまう現象)で良く知られており、小児や胎児の発達中の脳に有害だという科学者がいます。ピリジンカルボキシアミド系殺虫剤は研究や使用経験が少なく、どのような影響が出るか心配です。
他の地区への感染を避けるため、木の移動は制限されます。

ウイルスの潜伏期間は3年
ウメ輪紋ウイルスが感染してから発病(葉に特有の模様が現れる)までの期間は3年といわれています。ウイルス感染がないと証明するには3年間が必要です。3年間、農薬を散布し続けるか、被害木を切り倒し、根を掘り起こして除去して、3年間感染する木がないことの確認が必要です。3年間、感染がなかった場合、ようやく再移植が許されます。

どこかで見た防除
病原生物を殺せないので病原を運ぶものを農薬で駆除しようというのが、ウメ輪紋緊急防除事業です。同じような防除事業を思い出しませんか。「松くい虫被害対策」として行われた農薬散布です。この事業は十分な効果をあげていないばかりか、農薬による被害が登校中の子どもに出て問題になりました。この事業は松枯れの原因とされる線虫を殺すのではなく、この線虫を運ぶカミキリ虫を殺そうとしています。本当に松を守るなら、線虫に有効な薬剤を松の木に注入すればよいのです。
梅でも同じです。残念ながらウイルスに有効な薬剤はありません。防除には被害木の除去が有効です。アブラムシは梅から駆除できても、近くの草むらに残っていますから。

農薬散布に気をつけましょう
最近の農薬は厳しい安全審査を経ているので、昔の様な死亡事故等は起こりにくくなっています(まだ死亡事故はあります)。しかし、内分泌かく乱物質が問題になったように、新しい悪影響が発見されることはしばしばです。そのため、特に子どもや胎児は農薬などにさらされないで下さい。国も「住宅地等における農薬使用について」という通知を出して、人が農薬にさらされないように指導しています。

近くで、あるいは敷地内で緊急防除作業が行われる場合は、次のことに留意!
・子どもや妊婦はできるだけ農薬にさらされない。
・子どもの遊具や洗濯物などは散布時や散布後しばらくは外に出しておかない。
・できるだけ窓や戸を開けない。
・農薬に過敏な方は散布しないように相談するか、「でんぷん」剤のような安全な薬剤使用を求める。
・気になる点があれば市役所に電話で相談する。

 

各務原ワークショップ代表の医学博士・渡部和男さんを団長に「天然のくらし応援団」というコーナー誕生。日常生活を脅かすものはなんだろう?環境化学物質の影響は?など。渡部博士に質問し、それに答えていただく形で連載します。素朴な質問、専門的な質問、どしどしお寄せ下さい!info@niramekko.comまで





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創刊:1987年
発行日:偶数月の第4月曜日
発行部数:22,000部

配布地域

岐阜県各務原市、岐阜市、関市、可児市、大垣市
設置場所

幼稚園、図書館、児童館、郵便局、教育関係などの公共機関、 大手スーパー、スポンサー様の窓口