ボーダレス社会をめざして(26) 伊藤 佐代子さん

新しい命と

息子は赤ちゃんの泣き声が大の苦手です。自閉症と言われる人の中には音にとっても過敏で私たちが気にしないような音に反応する人がいます。赤ちゃんの泣き声、犬の鳴き声、サイレン、人のざわざわした話し声、子どもの悲鳴などです。彼らには騒音としか感じられないのかもしれません。

息子が小さい頃、そうとは知らずスーパーで買い物をしていたら突然赤ちゃんの泣き声が聞こえる方へ行き、赤ちゃんを叩こうとしました。びっくりしたのとどうして?という疑問を持ちました。苦手なんです。あの泣き声。

今、我が家では赤ちゃんの泣き声が毎日響き渡っています。娘に子どもができたからです。娘には子どもを産む前に淳司は泣き声が苦手なのを説明しました。さぁどうしよう??です。夜中泣き声が聞こえると淳司がかわいそうということで、まずは部屋を遠くにする(狭いマンションなので限界がある)ことにしました。その他は淳司に慣れてもらうしかない・・・。

そうこうするうちに出産をし、病院に赤ちゃんを見に行こうということになりました。どんな反応をするか楽しみでした。病院に行くと淳司を大歓迎するかのように大きな声で泣いていました。全然近くには寄れず遠巻きに見ていました。まぁ叩かないだけいいかなと思いました。

その後退院をしてきて毎日毎日泣き声が聞こえます。赤ちゃんが泣いていると何とも言えない顔をしています。嫌なのだろうなと思いつつ、ここは慣れてもらわないと困るからと知らん顔をしていました。しかし、赤ちゃんが泣き出したら自分で判断して自分の部屋に行くなど上手に回避をしています。

先日はお風呂を自分が先に入って、その後ベビーバスに適温のお湯を入れてくれていました。「誰が入れたの?お兄ちゃん?」と娘夫婦はびっくりし、「助かるねぇ〜」と感謝していました。その後も時々お湯を入れてくれて「僕、優しいですか?」と私に聞いてきました。優しい伯父さんになってくれて嬉しい限りです。

未知の世界でどうなるかと心配していたのですが妹の子どもということで、違う感情も入り気持ちをセーブできているのでしょう??娘婿もたびたび我が家に来ることで賑やかな日々を過ごしていますが、淳司はリズムを崩すことなく淡々と生活をしています。案ずるより産むは易しでした。

プロフィール

伊藤 佐代子 (いとう さよこ)
伊藤淳司の母、岐阜障害者就業・生活支援センターの支援ワーカーをした後、NPO法人オープンハウスCANの理事長。地域で暮らす障がいのある方の生活支援や障がいのある方と書道を楽しんでいる。

リンク

NPO法人オープンハウスCAN





About Niramkko



にらめっこ


〒504-0855:岐阜県各務原市蘇原新栄町2-25
TEL・FAX

058-383-8666
Email

info@niramekko.com
情報誌情報

創刊:1987年
発行日:偶数月の第4月曜日
発行部数:22,000部

配布地域

岐阜県各務原市、岐阜市、関市、可児市、大垣市
設置場所

幼稚園、図書館、児童館、郵便局、教育関係などの公共機関、 大手スーパー、スポンサー様の窓口