笑顔に救われた
土曜日の仕事中、患者さんの気管切開のインナーカニュラを取り換えるときに、患者さんがおもいっきり咳して、痰やら唾液やらが顔にかかった。
目にも入ったような入らなかったような感じで、感染症をもつ患者さんやったから、一瞬体が硬直した。
でもたぶん目に入っていたとしてもごくごく少量やったし、すぐにジャアジャア水で目洗ったから大丈夫やと思う。 念のためERにも行ったけど、たぶん大丈夫でしょうとのこと。 たしかに唾液では感染しないし、血液であっても感染にはけっこうな量が要る。
というものの、やっぱりちょっと怖くなった。一瞬のうちにいろんなことが頭をめぐった。
こういうときの思考回路の速さすごいね。
でもほんと一瞬でいろんなことが起こるんやなって、あらためて思う。もうちょこっと気を付けよう。
そんなことがあった次の日やったこともあって、昨日は本当に疲れた。しかも昨日もその患者さん、本当に一日中吸引がひっきりなしに必要で、そのうえ立て続けに4回も便するで、きれいにしんといかんし、脊椎の骨折のせいで体位も変えるのに一苦労やし、昨日の夜は参った。
すんごくすんごく疲れてて、帰りもちょっと遅くなって、ごはん用意する気力もなく、近所のタイ料理やでテイクアウトすることにした。
待ってる間もぼーっとしてて、たぶん相当疲れ果てた暗い顔してたと思うけど、料理もってきてくれた女の人が、すんごい笑顔で、まさに微笑みの国の人の笑顔で、心がぽっと救われた気分になった。
おおげさやけど涙でそうになった。
ふいをつかれたその笑顔に、うちは笑顔で返答するには顔のうごきが鈍すぎた。でもお店をでてから、顔がほころんでちょっとだけ軽い気持ちになったんや~
いつかタイに微笑みの練習にいかなかんわ、うち。
ありがとう。
漠然と感じるむなしさ
今日は患者さんにおもいっきりつば吐かれて顔にかかった。
食事のトレーさげてもいいですか?ってきいただけなのに。一日中ずっとだんまり決めこんで、誰かが何かを話しかけようとすると、目つむったまま、 ぺっ!!!! って吐いてくる。それで誰も話かけないときはずーっとブツブツ呪文のように暴言を吐き続ける。ホームレスのおっちゃん。
この人も生まれたときは、お母さんのお乳のんでた。どんな人生を歩んできたのかは知らないけど、そう思うと、なんだか怒る気にはならなく、この社会の漠然としたむなしさみたいなもんを感じる。今日も、またまたおなじ患者さんに、今度は面と向かって顔につばを思いっきり吐かれて、顔中がつばだらけになった。その2,3日あと、今度は別の看護師が顔面蹴りをいれられてた。彼が仮にHIV陽性でもC型肝炎もってても、そんな少量の唾液や体液からは感染することはまずないから怖くない。
うちはなんでこんな仕事をしてるんやろうと正直少し思ったりもした。でもこれがこ
の社会の生み出す現実なんや。ストレスや体に負担がかからないほうがおかしいくらい、今の生活はストレス要因がいっぱい。
それが今の世の中なんやね…。