vol.196 しょうがいをみつめるvol.7

新型コロナウィルスの流行により学校が休校になって3か月が経とうとしています。最近になり、ようやく再開の見通しが立ってきたものの、子どもたちの声がしない学校のさみしいことといったらありませんでした。この休校期間中、子どもたちは家の中でどのように過ごしていたのでしょうか。i.s

子どもたちの気持ち

 振り返れば2月末。突如として出された全国一斉休校の宣言とともに、いつ終わるともしれない休みに突入。「3月はこんなことをしたいな」「こんな風に一年を締めくくれたらいいな」と、立てていた計画は吹っ飛び、予定されていた卒業式も一から練り直すことに。入学式・始業式をはじめとして、感染予防をしながらどう学校を再開するかと、課題も山積でした。私はというと、別れの挨拶もままならなかったこと、一年をきちんと終えられなかったことに対する悔しい気持ちを感じてはいたものの、ウィルスという見えない敵を相手に愚痴を言うこともできず、「仕方がないよ」と自分に言い聞かせながら新年度を待つ日々でした。

 迎えた4月。感染拡大は止まらず、やはりというか、予想通り休校延長。私たち教員も3密を避けながらの勤務がスタートしました。普段であれば、ああだこうだと子どもたちのことや自分たちのことを話しながら始業準備を進め、チームとしての結束を高めていく時期なのですが、今年度は一人、まだ見ぬ子どもたちをイメージしながらの作業となりました。政府からは非常事態宣言が出され、終息までの見通しももてない中、これからどうなっていくのかという漠然とした不安やストレスが溜まっていくのを感じていました。あれこれと思いを巡らせているうちに、障がいのある子どもたちは普段からこのような不安やストレスを抱えながら生きているのではないかということに気づき、はっとしました。自閉症の子どもたちにみられるパニックは見通しのもてない不安から来ていることが多くあります。身体が不自由な子どもたちは自分でやりたいことをしたり、行きたい所に行ったりすることが難しく、フラストレーションを抱えがちです。一時的ではあれ、このどうすることもできない状況の中で彼らの気持ちを追体験できたことは、私自身の学びにもなったように思います。
 4月末になり、県内の特別支援学校では、web会議システムを利用したオンラインでの授業がスタートしました。私自身、始まるまでは生の触れ合いなくしてどの程度の教育効果があるのかと懐疑的だったのですが、実際画面の向こうに子どもたちの姿が見え、声が聞こえてくると…やはり、うれしくなるものですね。次はどうすれば子どもたちが興味をもってくれるか、楽しい活動ができるか、双方向の良さを生かしてやりとりできるかなどと、試行錯誤が始まりました。画面を通してではありますが、やはり『人と人とがつながりあう』というのが学校という場なんだということを再確認しました。

そして迎えた6月1日。まだ分散登校ではありますが、学校には子どもたちの元気な声が戻ってきました。オンラインでは会っていたものの学校で会うのは初めましての子どもたち。休校という長いブランクを感じさせないほど学校にすんなり戻ってきてくれました。しかし、やはり久しぶりに友達と会えたのは相当うれしかったようで、おしゃべりは止まらず、一緒にトランプやお絵かきをしてずーっと一緒に遊んでいます。
 ようやく、新たな学校生活が始まりました。これまでお休みだった分、これからは学校でいーっぱい楽しいことをしていこうね!





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