vol.225 熱中人 駒林 美佳さん

今でもちょっとおしょうゆ分けて、とか、お砂糖分けて、そんな関係っていいなってという気持ちと、資源は永遠ではないので限りあるものを分け合って、そんな思いがこもったお店の名前      。「決して重い課題を背負っているわけじゃないんですよ」と美佳さん。その背景にはゴミを減らしたいっていう思いがありました。

ことのはじまり
最初は、ママ友たちと「雑紙って資源回収に出せるって知ってた?」っていう本当に軽い内輪話でした。ドラックストアにステーションがあって雑誌、新聞、雑紙…これらを持っていくと、重さに応じてお金になったりポイントが貯まったり。1ポイント1円になるんだって、みたいな話から、雑紙を分別したら、燃えるゴミがめっちゃ減るっていう話題になって…「もっと減らせるんじゃない?」と話はどんどん膨らみ、庭で畑をやっている人が生ゴミを庭の土に埋めると「燃えるゴミとして出す量が減る!」って。それなら私にもできると思い、庭の一角にある花壇に埋めてみたんです。本当にゴミの量がすごく減りました。
でも、プラゴミは全然減らないんですよね。買い物に行くとこのパッケージ全部プラゴミなんだぁと思って。でも、買わずにはいられない現実があり、なんかモヤモヤしていました。そんな時、京都に プラゴミを減らすために量り売りもできるスーパーがあるっていうのを知って、旅行を兼ねて行ってきました。お店では、お野菜もお惣菜もみんな量り売り。納豆はステンレス製のデポジット制のお弁当箱に。買うこと自体がものすごく楽しかったんです!容器など持っていくものは増えるけど、自分が好きなものを好きなだけ容器に入れてもらい、帰ってからそのまま使えて、使い終わってもゴミにならない。これだ!と思いました。
それともう一つ、大事なことですが、「農薬を使わない、環境負荷のかかっていないもの、土地の風土を大切にしている農家さんと契約」してらしゃることも安心してお買い物ができると思ったんです。
しかもお店の方は、「ここだけでやっていても拡がらないので、いろんな場所で量り売りをやってほしい。売れた分だけ清算してくれればいいよ」という感じでスタートアップを応援する、というスタンスでした。


最初は師勝にあるビーガンカフェを間借りしていました。素材にこだわったランチを提供しているお店で、そのオーナーさんも環境のことをすごく気にされてなるべくオーガニックの食材を使い、ランチを提供されていました。で、たくさん仕入れたものは量り売りされていたんです。でもオーナーさんはランチ提供で手一杯で、量り売りやってます!ってアピールはできないとのこと。じゃぁ私、やりたいからやらせてくださいってお願いしたんです。順調でしたが、お客さんで、香料をつけてくる人と、ランチを食べたくて来る人と共存させるのは申しわけないって思い、予約時に香料はご遠慮くださいって。そしたらお客さんがすごく減ってしまって。いったんそのお店をたちのきました。
それからはあちこちで開催されるマルシェなどに出店させてもらってました。そんなことをしながらつないでいたら、ここ(現在の店舗)のオーナーさんが「今空いているから使っていいよ」って言ってくださって。京都のお店から仕入れもできることになり、一昨年2023年10月から再スタート。こうしてwakete はスタートしました。
場所があるっていいですね。いろんなお客様が来てくれます。「こういう買い方もあるんだね、楽しいよね」とか、「なんかちょっとづつ買えるのが嬉しい!」「これ美味しかったからまた買いに来たよ」って、来てくださる方が増えました。食べたことないものは少量買って、お試しも気軽にできる。「何のお店なの?」とか、「ちょっと見ていい?」って、ふらっと寄ってくれたり、リピーターの方も多いです。

使い回しの美学
資源回収ってリサイクルですけど、それを新たなものに作り変えるって、結局エネルギーが必要ですよね。あるものをそのまま使い回せるのがいいなって。チャックの付いた袋とかも捨てずに使いまわしています。あと、ジャムとか鮭フレークなどのビン類も。「容器がいるなんて知らなかったわ」、そういう人たちのためにリユース瓶としてお店にストックしています。循環がキーワードです。あるものをそのまま使えること。いいものをパッケージフリーで!