224号 (2025.3&4)」カテゴリーアーカイブ

vol.224 私たちは何を食べどう暮らしている?

 みなさんは「食べものが劣化する日本」著:安田 節子(食べもの通信社)という本を読んだことありますか?この本によると、「農薬汚染、遺伝子組み換え食品、輸入肉の抗菌剤・ホルモン剤の多使用 ひたすらブラックボックス化する食の世界。命をつむぐ食を取り戻すためにぜひ、知ってほしいこと!」と本の帯には、私たちへの警鐘があります。
[私事ですがひょんなことから、犬を飼うことになりレオと命名しました。この号の発行日には5ヶ月になる。常日頃、食品を買うときには成分表を見るクセが付いてる私。飼い主からの申し送りで、わんこのご飯は「ご飯、鶏の胸肉、いも類、ゆで卵、ときどきレバーね。たまにはドライフードでもいいよ」とのこと。店頭でドライフードを選ぼうとなにげに成分表をみたら、もうみごとに添加物だらけ!で、結局買えずに棚に戻すことに。犬を飼うのは2度目ですが、前のわんこはドライフードオンリー。それで何も問題はなかったんだけど、今回は自分で作ることにした。まぁ、それもいいかなと。たとえ犬でも、なにがしか影響はあるだろうと思ってね。(み)]

そこで今回は、すごく気になっていたゲノム編集と遺伝子組み換えなどの「不自然な食べ物」プラス「添加物」について特集をします。
ゲノム編集と遺伝子組み換えは、生物の遺伝子に変化を加える技術ですが、対象となる遺伝子や、その変化の仕方に違いがあります。

ゲノム編集とは
生物自身が持つ遺伝子に狙って変化を加える技術です。酵素の「はさみ」を使ってDNAを切断し、塩基の欠損や挿入、遺伝子の導入などをします。自然に起こりうる遺伝子の変化を人為的に誘発する点が特徴です


ゲノム編集食品のメリット・デメリットは?
メリット:生き物が本来持っているたくさんの遺伝子の中から食品としては悪い特徴を作ってしまう遺伝子(例えば成長を抑制する遺伝子)を除いてやることでいい食品になる生き物を作り出します。 外来遺伝子を入れずに遺伝子を操作できるのは、ゲノム編集の最大の利点であり、遺伝子組換えとの大きな違いです。
ゲノム編集は、従来の遺伝子組換えと比べて安全に、そして狙った遺伝子を編集できる技術として、農業や水産業で応用が進んでいます。また、遺伝子が要因となる疾患の治療など、さらなる応用が期待されています。
デメリット:ゲノム編集食品については事業者の届け出は任意、食の安全性審査や環境影響評価、表示義務もない現状では、消費者の知らない間に流通してしまう可能性があり、消費者の知る権利、選択できる権利は奪われています。

遺伝子組み換えとは
異なる種の生物が持つ遺伝子を導入する技術です。目的の性質を持つ遺伝子を他の生物から導入し、その遺伝子の働きを利用します。狙った場所に入れることはできません。

遺伝子組換えのメリット・デメリットは?
メリット:農作業の省力・低コスト化を実現 。低農薬・高機能な食品を摂ることができる 。世界的な飢餓の解消や環境保全につながる。
デメリット:遺伝子組換え植物の花粉が飛散し、その他の野生種との交雑が起こる ことで、遺伝子が流動するおそれがあります。 遺伝子汚染による生態系への影響は未知数であり、雑草と交雑した場合に生じるスーパー雑草などが例として挙げられます。 耐性の強い外来種が在来種に打ち勝ってしまうように、外来遺伝子が拡散することの危険性もまた不透明です。

安田さんは著書の中で「『奇形種』を食品にすべきではない。開発者は消費者利益をうたいます。しかし、ゲノム編集によって作られた黒ずまないマッシュルームを消費者は歓迎するでしょうか。このマッシュルームは空気との接触で黒ずませる、酸化の原因となる酵素「ポリフェノール」を生成する遺伝子を欠損させています。」と述べています。さらに開発者側は「ゲノム編集された食品を検査しても、ごく短いDNA配列の欠損のために検出が不可能だから表示は不要』と主張しています。しかし、表示を義務づけたEUでは、現在検知は十分可能とされています」と続いています。
遺伝子組み換えに関して、「ニワトリやウナギの遺伝子をイネに」というショッキングな見出しに続く文には「日本では、2018年に入って動物の遺伝子を使った遺伝子組み換えイネの野外栽培実験が申請されています。ニワトリの遺伝子を組み込んで、血圧降下の効果があるとされるタンパク質をイネの胚芽の中に作り出すことをねらった遺伝子組み換えイネです。ゲノム編集も遺伝子組み換え技術と同様に、基本特許はすでにモンサントやデュポンが独占しています。日本が特許戦争に遅れて乗り込んでも、敗退することは目に見えています。何より消費者は、遺伝子組み換え食品を食べたくないのです。」と言います。まったく不自然で、食べものがますます劣化していくことがとても気になります。

そしてさらに気になる食品添加物

 食品添加物には、食品の形を作ったり味を良くしたり風味を出したり長期保存ができるというメリットがあります。 作ったものをすぐ食べるということが難しい現代にとって、大変なメリットに。
デメリットは、微量であっても体に良くない成分を使っていることが多いということ。

安田さんは「人工甘味料は『人工の化学物質』」と言い切ります。その内容は「アステルパーム、サッカリンナトリウム、スクラロース、アセスルファムカリウム、キシリトールなどがあります。アステルパームの甘味料は砂糖の約200倍。サッカリンナトリウムは500倍です。(中略)人口甘味料は不純物や体内での分解物の作用などもハッキリ分からない場合が多いのです。
ちなみに、自然食品である砂糖も摂りすぎは禁物です。砂糖には麻薬のように習慣性があります。ひいては肥満や糖尿病だけでなく、うつ病や骨粗鬆症の原因になります。人工甘味料はもとより、砂糖もできるだけ控えましょう。」とあります。また、魔法の食品添加物「リン酸塩」にご用心、と始まり「ほとんどの加工食品に添加されている」といいます。「たとえば、⊿ジュース、清涼飲料水:変色変質・にごり防止、酸味料として。⊿炭酸飲料:炭酸ガスの安定化、合成ビタミンCの分解防止。
⊿うどん、中華めん:柔らかさ、弾力性、風味、色合いを出す「かんすい」として。
⊿漬け物:あく抜き、つや出し、低塩漬け物の変色変質防止、PH 調整
⊿ソフトクリーム:固さの調整、気泡の保持
⊿魚肉すり身、ソーセージ、ハムなど畜肉製品:結着、変色変質防止、弾力性、保水性向上(かまぼこ、ちくわ、さつま揚げ、魚肉ソーセージなど練り製品の多くは、リン酸塩入りや輸入冷凍魚肉すり身を使用)このリン酸塩は、使用基準がなく、いくらでも使えるのです。これらの食品に使用されるリン酸塩によって、身体はミネラル不足になります。リン酸塩は体内に入ると、ミネラルと結合し、結合体は吸収されず、ミネラルと共に排出されるからです。

安田さんの本の最終章は「食料主権の確立が私たちの生命と環境を守る」で締めくくられています。
「山が荒れはてて洪水起きやすく 日本の食は米国にじわじわ握られていき、いま最終仕上げの局面を迎えているのです。
輸入食料はアフラトキシン汚染、高い農薬残留、ホルモン剤、遺伝子組み換えなどの問題を抱えており、私たちに健康リスクをもたらします。目先の経済効率の追求で、林業や農業が衰退し、山が荒れ、耕作放棄地が増えたため、ゲリラ豪雨に耐えられず、洪水が起きやすくなっています。全国に広がる獣害もそうです。国内をこのような状況にして、私たちの食べ物は海外で作ったものでいいのでしょうか。」

買い物は自分の意思決定の場。食はみらいを作ることにつながります。よ〜く考えて購入したいですね。

 


vol.224 身体に有害物質が入ったら解毒する

デトックス「Detox」は、英語のdetoxificationの略語で、「de(否定)」+「toxicus(毒の)」に由来し、体内に溜まった有害毒物を排出させることを意味します。
私たちの体には毎日様々な化学物質や環境ホルモンなどの有害物質が入ったり、体内で老廃物が作られたりしています。体内に入った多くの有害物質は、肝臓で解毒され、無毒化されます。
肝臓は人体で最大の解毒臓器です。肝臓で解毒されたものは、胆汁を使って便の中に排泄されたり、血液から尿に排泄されたりします。さらに、割合は少ないですが、汗や爪・髪の毛も排泄ルートの一種です。
 ただし、その排出力は体質によりますし、加齢や生活習慣の乱れで排出機能は低下します。その下がった機能を元の状態、またはそれ以上に上げるために、食べ物や飲み物などを使って行うのが「デトックス」という健康法です。こまめな水分補給やバランスのとれた食事、適度な運動を心がけて、夜はしっかり入浴するなど、今日からトライできる生活習慣が中心です。

最大のデトックス方法は?

 カラダに溜まった毒素の約75%は便から、20%は尿から、3%は汗から、残りの2%は髪や爪の生え代わりによって排出されると言われており、腸内環境をととのえて便通をよくすることが最大のデトックス方法と言えます。

身体の毒素とは何ですか?
毒素とはカラダに害を及ぼす有毒物質のことを指し、食材として口から摂取しているものや皮膚から吸収されるもの、そしてカラダの中で栄養素が代謝された後に残った老廃物などがあります。

体に溜まった毒素はどうやって出せばいい?
肝腎要(かんじんかなめ)と日本語で言いますが、それだけ、肝臓と腎臓は人間にとって重要な臓器。これらが解毒の要となります。毒素の主な排泄ルートである便や尿がしっかり出ていることが重要です。体内に溜まってしまった毒素を体外へ排出するには「排泄機能(はいせつきのう)」を使うのが一番効果的です。 つまり、便・尿・汗などによって老廃物(毒素)を排出するということなのですが、この中でも最も排泄効果が高いものが「便」です。

重金属をデトックスする食べ物は?
 体の中に溜まった重金属や有害ミネラルなどの有害物質を捕まえて排出します。 ビタミンC、亜鉛、セレンなどにキレート作用があります。 キレート作用を持つ食材の代表は、玄米や大豆、野菜ではほうれん草、玉ねぎ、アスパラガス、ニンニクです。 フルーツではリンゴやバナナ、その他にも、牡蠣やいわしもキレート効果が期待できる食品です。

毒を消す食べ物は?
ブロッコリーやカリフラワー、キャベツ、大根などのアブラナ科の野菜が挙げられます。 また、無毒化するミネラルであるセレニウムはにんにく、長ねぎ、玉ねぎ、海藻類に多く含まれます。 有害物質の体外への排出を促す食材。 食物繊維を多く含むリンゴやごぼう、きのこ類、海藻類などが挙げられます。

便通改善によるデトックスの効果
便通を改善するデトックスには、さまざまな効果があります。まず、便秘解消することで、吹き出物が減り美肌になるほか、ぽっこりした下腹も改善。
腸内環境を改善すると代謝がよくなるので、ダイエットや太りにくい体のベースを作ることができます。
また、食物繊維をしっかり摂取して排便を促すことで過剰な脂質や糖質も排出できるので、脂質異常症の予防や血糖値の改善にも。毒素が排出されることで、体のめぐりがよくなり、疲労感の回復、むくみ改善、冷え性や肩こりの緩和なども期待されます。腸内環境がよくなることで、ストレス耐性も上がるので、イライラしにくくなることも。デトックスは、ダイエットはもちろん、体の免疫力の強化、メンタルの健康にも期待できます。

腸内デトックスにおすすめの食材
 毒素の排出するサポートをするのが食物繊維を多く含む、野菜や海藻、豆製品、キノコ類などです。
体内にある毒素の排出をサポートするのが食物繊維。食物繊維には「水溶性」と「不溶性」の2種類があり、それぞれ異なる働きをします。わかめ、もずく、めかぶ、なめこ、ごぼう、オクラ、モロヘイヤ、アボカド、納豆、キウイなどに含まれる水溶性食物繊維は、余分なコレステロールや有害物質を吸着して排泄します。
また、きのこ類、豆類、ほうれん草、にら、かぼちゃ、とうもろこし、さつまいも、やまいも、こんにゃくなどに含まれる不溶性食物繊維は、便のかさを増し便通を改善します。
ごぼうやオート  ミールのように、水溶性と不溶性ど   ちらも含まれているものも。それ以外にも様々なものに複合的に含まれているので、いろいろな食品を組み合わせて摂取しましょう。
腸活して代謝が活発になるように
腸に便が溜まると異常発酵して毒素が出ます。それは血液にのって全身を巡り、体全体の代謝を悪くする。便秘を改善して腸内をデトックスすることが大切です。

便秘には主に3つのタイプがある
● ストレス型
ストレスによって自律神経のバランスが乱れて便秘に。腸のぜん動運動は主に副交感神経が優位なとき(リラックスしているとき)に活発になります。

● 腸のぜん動不全型
腸のぜん動運動の動きが低下した状態。溜まった便が異常発酵し、腸内環境が悪化して便秘に。

● 直腸・肛門型
便が直腸まで来ているのに、便意の我慢が続いたりして、便が溜まったということを脳に送るサインが鈍くなって便が出にくくなる。

● 複合型
上の3つのタイプが合わさったタイプ。

腸のぜん動運動を促すための腸トレ
 ストレス型か腸のぜん動不全型、あるいはその複合型なら、腸のぜん動運動を促すための腸トレがおすすめです。
また、ストレス型は、ゆったりと入浴して副交感神経を優位にしたり、食物繊維や発酵食品を積極的に摂るようにしましょう。ぜん動不全型の場合は、ゆったりと入浴する以外に、大腸マッサージなどを行うといいでしょう。
【腸トレ1】寝ながらツイスト
体をひねることで、効率よく腸を刺激して、ぜん動運動を促すことができます。
仰向けに寝たら、片ひざを曲げて逆側へひねります。曲げた脚と逆の方向に顔を向けると、深くツイストできます。寝る前や排便したい時などに、これを両脚とも行いましょう。      参考:クラシエ、大正製薬(腸活ナビ)

 

 


vol.224 PFAS汚染 ますます目が離せない

住民に対する寄り添い方 自治体によってこんなにも違う!

岡山県吉備中央町の円城浄水場では、2023年、一部に有害性が指摘される有機フッ素化合物のPFASが極めて高い濃度で検出されていたことが発覚し、町は2024年11月から12月にかけて、住民などの希望者を対象に公費による血液検査を初めて実施しました。検査を受けたのは2歳から102歳までの709人で、血液検査の結果を公表。血液中の濃度は、検査をした700人余りの平均で、アメリカで健康リスクが高まるとされている値の7.5倍余りとなり、検査を受けた人の9割近くがこの値以上だったということ。結果について岡山県吉備中央町の山本雅則町長は「住民の心配は大変大きいと思うが、公費で血液検査を行った決断は間違ってなかった。しっかり支えて寄り添い、不安の解消に努めたい」と話していました。

一方で、青木官房副長官は、記者会見で「現時点の知見では、どの程度の血中濃度で、どのような健康影響が生じるかは明らかになっておらず、血液検査の結果のみをもって健康への影響を把握することは困難とされている。環境省も自治体が行う血液検査に対し、支援を行うことは考えていない」と述べました。そのうえで「水道水中のPFOSやPFOAについて暫定目標値を定め、超過することがないよう地方自治体が水道事業者などを指導している。政府としては、関係省庁が連携して国民の安全・安心のために必要な対策をしっかりと進めていく」と述べました。

各務原はどうでしょう。国の決定に従うというスタンスは相変わらずですが、市が防衛省東海防衛支局に「このままフェードアウトとなるとありがたい」とメールを送ったとか。これには耳を疑いますね。


各務原市のホームページより R5/10/20

提案
PFASの問題について、各世帯に対する対策および経済的保障を行ってください。各世帯がミネラルウォーターや浄水器を購入する必要に迫られた原因が何かを考慮すれば各務原市が責任を取るべきと言えます。複数の市議会議員に話をしたところ全員「予算はある」と明言しました。なお、現時点で人体への影響が確認できていないから何もしないというのは、過去の公害問題から何も学んでいないと言わざるを得ません。

現時点においてPFASの健康リスクがないと言い切るのであれば、血液検査を行い市民に対して健康リスクの現状を説明すべきです。血液検査も行わず、現時点で人体への影響に問題ないというならば、その根拠も示すべきです。

学校などに浄水器を設置したのは大人よりも影響の出やすい子ども達が利用するから設置したのでは?我が家にも未就学児が二人います。各世帯に何もしないことの市の対応について、整合性が取れていません。
回答
PFOSおよびPFOAは難分解性等の性質から、規制物質になっておりますが、毒性については、現在も議論が継続している状態です。また、血液検査につきましては、現時点での知見では、どの程度の血中濃度でどのような健康被害が生じるかについては明らかになっておらず、PFOSおよびPFOAが、人体に影響を与えるメカニズムも解明されておりません。現在のところ、市で血液検査を行う予定はございません。
また、このような情報を総合的に判断し、ミネラルウォーターなどへの補助や、水道料金の変更は考えておりません。

学校および保育所等(以下、学校等)に浄水器を設置した経緯は、学校長から子どもたちや保護者が安心するために、三井水源地でのPFOSおよびPFOAの濃度低減の対策が完了するまでの間、浄水器を設置してほしいと強い要望を受けたため。現在は、濃度低減の対策が完了し、みなさまへの給水を開始しています。検査結果は、9ng/Lで暫定目標値である50ng/Lを下回ったことを確認しております。

 


専門家「現状と今後の道筋 国が説明を」

20年以上にわたって全国の「PFAS」の状況などの研究を続け、環境省の専門家会議のメンバーでもある京都大学大学院の原田浩二准教授は…

〇必要な取り組み
PFASを取り扱っていた工場周辺など、過去の調査で値が高く出ることが明らかな場所もあるので、まずは各地域でPFASがどのように使用されていたかを把握しておくことが必要だ。経済産業省がPFASを取り扱っていた事業者に対して、聞き取りや調査の協力を要請するなど、環境省だけでなく、幅広く関係する省庁横断で取り組むとことで、対策として実効性があるものになる。

ピーファス問題は始まったばかり。
ピーファスは「水汚染」として語られがちですが、暮らしのあらゆる綿に侵入しているーーというい現実に我々は直面しているのです。「今後も新たな汚染地域が見つかっていくと思います。ピーファス問題は、ピーフォス、ピーフォアの製造廃止で終わったのではなく、始まったばかりなのです。メディアでも取り上げられ市民の関心も高まり指針値を超えた自治体では原因究明の調査を行う動きが始まっています。行政が動かないとそのまま汚染が放置されてしまう。もしくは一時的な対応で終わるのではないかという懸念が残ります。環境省を通して自治体はしっかり対応し、市民に正確な情報を伝えることが必要です。

それでは今後どう変えていけばいいのか。
行政による規制もありますが、ヨーロッパでは、必要のないピーファスはとりあえずすべて排除していく方針を示しています。行政が不必要なピーファスは使用しない・規制することを提示することで、メーカーも変わらざるを得なくなる。我々生活者はそれらの動きを注視する必要があるのです。
ピーファス汚染に対して、何を知りたいのか、どのような不安を抱いているのか、ということを研究者も目を向ける必要がある。と同時に市民として「今、何が起きているのか」という問題意識を持って調査の必要性を行政に訴えて行くことが重要です。

 


vol.224 ぎむきょーるーむ インクルーシブ公園

 これまでは、物理的・心理的バリアによって公園を利用しづらい人たちがいました。すべての子どもが歓迎され、地域の多様な人々が交流できる場となるため生まれたのが、インクルーシブ公園です。

インクルーシブ公園は、ときに「障がいのある子どもが遊べる遊具がある公園」という意味で誤解されがちですが、「障がいのあるなし、子どもか大人かにも関係なく、すべての人が利用できる公園というのがポイント」(一般社団法人TOKYO PLAYの神林俊一さん)なのだそう。

インクルーシブは「人と人の関係性」によりつくられる
神林さん:社会にある物理的・情報的・制度的なバリアを、デザインを使って解決し、心理的バリアもなくしていこうとするのがユニバーサルデザイン。インクルーシブとは、ユニバーサルデザインでは取り除けないバリアを含めて、周囲の人の意識やアクションで取り除いていくという考え方です。もしスロープがあったとしても、まわりの人から『お手伝いしましょうか?』と声をかけてもらったほうが安心してその場にいられますよね。

 今、日本にできはじめているインクルーシブ公園は、「人との関わり合いによってつくられる、誰もが集える場所」を目指しています。

インクルーシブ公園と従来の公園とのちがい
公園のつくられ方がちがいます。これまでの公園は「行政により計画され、つくられるもの」でしたが、インクルーシブ公園は「公園を利用者とともに育てていく」という考えのもと、計画・設計の段階から積極的に公園利用者へのヒアリングや意見交換を行います。また、完成後も利用者のヒアリングを重ね、検証・改善を繰り返す「変化し続ける公園」であることも特徴です。
 神林さん:遊具について、ここで挙げている回転系遊具や円盤ブランコなどは、体幹が弱い人でも遊びやすいだけでなく、大人や子どもが混じり合って複数人で遊ぶことができるため、自然なコミュニケーションが生まれやすいのが特徴です。ただし、単にユニバーサルデザインの遊具を置いただけではインクルーシブ公園にはなりません。さまざまな特性の人々のニーズに合わせた空間構成や遊具などが求められ、木々などの自然、水道、休憩スペース、ユニバーサルトイレ、そして地域の理解や文化など、全体が絡み合ってデザインされます。

私たちにできる3つのアクション
公園で育った「みんな」は、多様な人と生きていくことが当たり前になり、公園の外でもあたたかい眼差しを持ったり、人に手を貸したり借りたりできるようになるでしょう。
公園という小さな輪が少しずつ広がって、インクルーシブなまちへ変わっていく。それはつまり、「みんな」が安心して暮らせる未来を「みんな」でつくっていくということなのですね。

 

 


vol.224 続・しょうがいをみつめる vol.6

自立するということ

“自立”という言葉の意味を考えたことがありますか。
辞書で調べてみると「自分以外のものの助けなしで、または支配を受けずに、自分の力で物事をやっていくこと」とあります。

かつて勤めていた特別支援学校には、障害による困難を改善・克服することを目的とした自立活動という授業があり、一人ひとりの状態に応じて、例えば階段の昇降の練習をしたり、コミュニケーションスキルを学んだりという学習がおこなわれていました。
わたし自身も、”自立”とは一人でできることを増やすことと考え、「身の回りのことが自分でできるように」とか「自分から気持ちを伝えられるように」など一人ひとりに目標を設定し、(自分で言うのも何なのですが)結構熱心に指導支援してきました。

小児科医で自身も脳性麻痺の障害をもつ東京大学先端科学技術研究センター教授の熊谷晋一郎先生はインタビューで自立についてこのように語っています。
少し長くなりますが、以下に一部抜粋して掲載します。


一般的に「自立」の反対語は「依存」だと勘違いされていますが、人間は物であったり人であったり、さまざまなものに依存しないと生きていけないんですよ。

ー中略ー

“障害者”というのは「依存先が限られてしまっている人たち」のこと。健常者は何にも頼らずに自立していて、障害者はいろいろなものに頼らないと生きていけない人だと勘違いされている。けれども真実は逆で、健常者はさまざまなものに依存できていて、障害者は限られたものにしか依存できていない。依存先を増やして、一つひとつへの依存度を浅くすると、何にも依存していないかのように錯覚できます。“健常者である”というのはまさにそういうことなのです。

実は膨大なものに依存しているのに、「私は何にも依存していない」と感じられる状態こそが“自立”といわれる状態なのだと思います。だから自立を目指すなら、むしろ依存先を増やさないといけない。

「TOKYO人権 第56号(平成24年11月27日発行)」
https://www.tokyo-jinken.or.jp/site/tokyojinken/tj-56-interview.html


みなさん、どのように思われましたか?
わたしはこのインタビューを読み、自立に対する見方が全く変わったんです。
「できることを増やさなければ、頑張らせ続けないと、自立できないんじゃないか」という無意識のプレッシャーから解放され、わたしが助けることもその人にとっての自立であり、わたしに依存してもらった後はほかに依存できる人やものを見つけていけばいいんだって、自分の、そして障害のある本人の今の姿をありのまま肯定できるようになった気がします。


vol.224 やってみたシリーズ 第24弾


えんぴつカフェの「藍染め」に参加して
染めた布でバッグを作りました。
坂井 喜美子さん (70代)

 今年の10月に各務原市のギャラリー&カフェ204で、パッチワーク教室「柊」のメンバーとして、作品を出品予定の坂井さん。「漠然とだけど、コスモスをモチーフにした作品にしようかなって思っているんです」と、今から構想に余念がありません。
月に1回のこのパッチワーク教室に入って30数年、もはやベテランの域に達しているのでは?「いいえ、年数ばかり長くて…」とあくまでも慎ましい坂井さんですが、額に入れて飾る小品から、手提げバックやソファカバー、一番大きなものは180センチ×200センチのタペストリーと、数々の作品を手がけてきました。
「わざわざ布を小さく切り刻んで、それを縫い合わせてまた大きなものにするなんて。とよく言われるけれど、図柄を考えてちくちく手で縫い合わせた作品には、温かみがあっていいなあと思うんです」。
 「一番難しいと思うのは色あわせです。パッチワークって、壁にかけてあるのを見るのと、手にとって見るのでは同じ作品でも印象は大違い。素材の段階では、えっ、こんな色使うの?と思っても、出来上がってみるといい感じに仕上がっていることも多いんですよ。どこにどんな色をもってくるか、その人の感性がみごとに出てきます」。もちろん、角をキッチリ出すことや、縫い目を揃えることなどは大前提のパッチワーク。
「最近は以前より縫い目を細かくする傾向にありますね」。
根気のいる作業、さぞや肩も凝るのでは?
「美容院で肩が凝ってますねえ、と言われますが、制作しているときは全く気にならないんですよ。疲れたら気分転換に編み物をすることも。編み物は何も考えずに手だけ動かしてるって感じでリラックスしてできるんです」。
パッチワーク以外にも、ミシンでカバンを作ったり、棒やかぎ針で編み物をしたり。こちらは全くの自己流で、自分の想いのままに好きなものを好きなように作ります。最近のお気に入りは、9月のえんぴつカフェで「藍染め」した布で作ったバック。染めたそのときから、これでバックを縫おう、と決めていたのだとか。染めるところから自作のまったくのオリジナル、まさしく一品物です。
「作りたいものがある日は、早く取り組みたいから家事をテキパキと片付けたりして、メリハリのある1日になるんです。そして、作り始めるとあっという間に時間が過ぎちゃうんですよ」。
そんな充実した日を過ごす一方で、気分次第では何もしないでのんびり過ごす日が1ヶ月近くも続くことも。そして毎週2回のバレーボールで体を思いっきり動かし、仲間と笑い合う。静と動、どちらの時間も捨て難く大切なもの。この無理せず自由なスタンスが長続きの秘訣かもしれません。
「布を見て、あ、こんなものを作ろう!と思うときも愉しいですが、作る工程はもっと愉しい。一番は、もうすぐ作品ができあがる、というときですね。不思議なもので、完成してしまうと意外に関心がなくなってしまうんです」
「娘のセーターなど、編みたい物もあるんですけど、今は10月の展示に向けてのパッチワークつくりが最優先、まだ漠然とした構想を、これから形にしていかなければいけませんしね」。

 


vol.224 熱中人 関谷 恭子さん

 俳句は「座の文学」という言葉があって、みんな車座になって自分の俳句を詠んで人のを読む。そこには先生も生徒もないんです。日常の心に留まった一瞬を切り取る、その時の自分の心情や状況を俳句にする、それはまるで日記のようだと思うんです。
俳句を知ると、日本の四季がとても身近に感じられます。それは旧暦の考え方とか、二十四節気とか、季節の移り変わりを知ることにつながるからでしょうね。

 嫁ぎ先が商売をしていたので、家業が忙しくて、自分の目の前の生活だけで手一杯でした。もうちょっと基本的なことを大切にした生活をしたくても、それができないまま、もんもんとしてたんですね。サービス業でしたので、対人にも疲れてて…。もっと自然に触れたい、丁寧な暮らしがしたいという思いがありました。同時に自分をもう少し大切にして生活を見直したいという思いもありました。それで休日に里山でこもるように過ごし、野の花に目を留め名を調べたり、昆虫好きな夫に虫の名をたずねたり…。時には味噌を手作りしたり、梅干しを漬けたりして、そういう少しゆったり暮らしを整える、少しずつですがそんな生活を10年ほど続けていたんです。そんな時に友人二人から、俳句教室の誘いをうけました。「私たちは普段、経営とか商売のこととか、そういうところにばかり頭を使っているんだけど、俳句は全く違う脳みそを使うからむちゃくちゃ新鮮だよ」と言われたんです。「じゃあ入ってみるわ」と教室に入りました。ちょうど年代的に周りでも何かを始める人が多い頃で、それも背中を押されました。
 それから美濃市の教室に毎月通いました。歳時記を知ったのも教室に入ってから。そこには花の名前、鳥の名前、味噌作りだとか詳しい生活のことが載っていたのが私的にはすごく興味深かった。だから俳句をつくるというよりも、「あ、歳時記ってすごく面白いわあ」というのが先にあったのかもしれない。例えば「立春」。もうすぐ春なんだけど、季語でいうと「春隣」っていって、春がもう直ぐそこまで来ている感じ。「春きざす」とも。立春を過ぎると「春浅し」と感覚的な言葉になったり「春寒し」とか。そうやって春が行ったり来たりしながら季節が移りゆくことが歳時記の言葉で表されていて、それもなんか響くというか。

 最初入った教室は本当に厳しくて、毎月宿題で10句作っていくんですが「こんなのただの説明じゃん」、とか「これはレシピ」「情報が入りすぎ」とバッサリ。形として17音に収まってはいても、中に情報が多く入りすぎると、焦点がぼけてしまい、何がいいたいのかわかりにくくなってしまうのです。本当に訳も分からずスタートしました。今から13年前のことです。
昨年2月に初の句集「落人」を出版しました。家業に区切りをつけたこと、自身が還暦を迎えたこと、実家の父を亡くしたこと、いろんなことが重なって、節目を迎えた気がした頃、先輩が「恭子さん、そろそろ句集を出しなよ」っていってくださったんです。本を出したのはコロナの影響もあったかな。仕事が激減し、仕事のやり方も変わり、俳句の教室や吟行にも出かけやすくなった。ちょうど俳句が面白くなってきたことと重なって俳句の比率が上がってきたということも大きかったかもしれません。
装丁を始め使用フォント、色など、東京まで出向いて出版社の方といろいろな打ち合わせをしたのもいい経験でした。
 俳句を始めてから13年。その間に書き貯めたものを1000句まで絞り、そこから先生が250選んでくださり、そこに自分の思い入れがあるとか、載せたい句を足して、340の俳句をこの一冊に載せました。この本を出版したことで、過去13年間に溜まった俳句をゼロにして、次のステージに。今はそんな気分です。


vol.224 続々のそのまた続き 今、地球の生態系が危ない!

   ん?ねずみ??

事務所でなにやらカサコソ音がする。しかも壁の中からきこえてくる。ある日、玄関を開けてビックリ。廊下の左にある引き戸の敷居がかじられている!かじった後の細かい木くずにこれまたびっくり!その周りに数個のねずみの糞が!やっぱりいるんだ。最初、かじられた敷居を見たときは、最近飼い始めた幼犬の仕業かと思ったが夜中にやられた形跡からネズミと判断した。夏の間はゴキブリの出没には気をつかっていたものの、ねずみがいるなんて思いもしなかった。そういえば最近いろんな人からねずみの話しをよく聞くなぁ、と思ってはいた。食べもの系はすべて容器に入れ、種子類は瓶に。いったんねずみと分かるともう気になってしまい、ねずみ退治できるモノを買おうとホームセンターに走る。ネズミペッタンなるものを購入し、かじられた敷居のそばに仕掛ける。

翌日、おそるおそる玄関を開けると、見事にかかっていた。もう死んでいたので、躊躇しながらもペッタンしてごみ袋に。やれやれ。その後ねずみがいる気配は消えたので、この事務所にいたのは、あの一匹だけだったのかな。そんなわけで、この年末年始は自分一人で大騒動でしたが一件落着。

さて、ここからが本題です。前号、前々号では「地球の生態系があぶない」として、山田 征さんの昆虫たちや、サンゴの話しを掲載しました。今回は動物です。

『ANIMAL ぼくたちと動物のこと 〜僕たちは絶滅するの?〜』という映画を見たいのですが、予定が合わず断念。

映画は、「地球上の生命の『6度目の大量絶滅』が迫っているらしい。危機感を覚えた16歳のベラとヴィプランも2人が阻止する方法を探りに世界各地へ旅するが果たして…」という気になる内容。そこで調べてみました。まず大量絶滅の6回目の原因って何だろうか?

「第6の大量絶滅時代」とはどういう意味ですか?

「現代は(生物の)第6の大量絶滅期」と言われています。 どういうことでしょうか。 1978年ごろから、(生物の)絶滅率が急増していることは指摘され、自然状態の1千倍とも言われる速度で絶滅が進み、生物多様性がどんどん下がっています。

 

中生代の大量絶滅の原因は?

恐竜が絶滅した中生代末の大量絶滅は隕石衝突が原因とされ、その時代の地層から高濃度のイリジウムが見つかっている。 地質時代区分の境界のうち、約2.5億年前の古生代と中生代の境界のこと。

6度目の大絶滅。人類は生き延びられるか?

以下ナショナルジオグラフィックより

人類も無縁でない。ピュリツァー賞作家が語った6度目の大量絶滅。国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストはライオン全体を「VU(危急種)」としているが、一部の生息地では「CE(近絶滅種)」としている。生息地の消滅、獲物の減少、人間による殺害などがその原因だ。

 


絶滅とは何か―実はいろいろある「絶滅」

絶滅は自然な現象だ。結局のところ、かつて地球上に生息した生きものの90パーセント以上は、すでに存在していないのだから。

とはいえ、この現象を人間が悪化させたのは確かだ。生息地の喪失、気候変動、侵略的外来種、病気の拡大、乱獲および狩猟などによって、われわれは自然に進行する種の絶滅を加速させている。(参考記事:「6度目の大絶滅。人類は生き延びられるか?」)

「独自の生態学的役割を持つ種が、ごっそり失われようとしています」と、米デューク大学の保全生態学教授、スチュワート・ピム氏は言う。たとえば、ラッコやサメのような最上位捕食者の減少により、その生態系はバランスを失いつつある。

日々絶滅する種は数十種類にのぼり、専門家によると、2万種以上の動植物が永久に失われる瀬戸際にあるという。既知の哺乳類の4分の1は絶滅の危機にある。

世界的な種の減少を中心となって追跡調査しているのは「国際自然保護連合(IUCN)」だ。同団体は野生の種の状況を評価し、さまざまなデータを考慮したうえで、絶滅危惧生物をレッドリストとしてまとめている。

こうやって調べると、人類が生態系にかなりなインパクトを与えていることがわかります。16歳のベラとヴィプランが危機感を覚えるのも理解できます。

さて、今後私たちができることは・・・やはり賢い消費者になることではないでしょうか。買い物は、自分の意識改革につながります。私達の選択が社会を創り、未来を変えていくと信じて。「選択」が重要なキーワードだと思います。お金をどう使うかはその人の生き方だもんね。

 


vol.224 ボーダーレス社会をめざして vol.82

NPO法人オープンハウスCAN 理事長 伊藤佐代子

本 パート2
優しくあるためには、勉強しなくちゃ

新川帆立という作家をご存知でしょうか?とてもユニークな人です。東大卒、弁護士、元プロ雀士、現在作家という経歴の持ち主です。「ひまわり」という首から下がほとんど動かない女性が、司法試験に挑戦するという小説を最近出版し、BSテレビ東京「あの本読みました?」の番組で作品が紹介されました。その時、ご本人が話された内容が素晴らしかったので多くの人に知ってほしいと願い、内容を抜粋し書きます。
『多様性と言われるようになり、「皆違って、皆いいよね」という所までは合意がとれていて、「違うよね」でそこで終わってしまうと無関心で終わってしまう。「優しくあるためには、勉強をしなくちゃいけないんです。障がい者の方たちが何に困っているか知らないと、たぶん悪気なくひどいことをしたりとか、しかねないので知らなくちゃ。そういう姿勢は、けっこう人間として大事だなっと思っていて、ついつい書いちゃって、若者に煙たがられるんですよ。でも言っていくぞ』と。この話を聞いた後は少し興奮してしまいました。こんな素敵な考えの持ち主がいるのだと思うだけで嬉しくなってしまいました。
「優しくあるためには、勉強しなくちゃいけないんです」

また阿部暁子さんという作家も素晴らしいです。この人も人生を応援してくれる人です。「カフネ」という本が昨年出版されたのですが、これは私にとっては、2024年一番の読み物でした。「食」というものが、人が生きるためにいかに大切であるかという事を教えてくれる物語です。その中には、簡単にできるメニューがいろいろ出てくるのですが、一番印象的で食べたいなと思ったのは、玉ねぎのみじん切りとトマトとツナを炒め、豆乳とコンソメで軽く煮て、ゆでた素麵にかけるだけというものです。食べたくて2回も作りました。簡単で美味しく、色鮮やかです。胡麻を振りかけるといっそうおいしいです。
阿部さんの本には、他に「カラフル」という本があります。身体障がいの女子高校生が、いろいろな問題をクリアしながら学校生活をしていくという物語です。この中に「差別について」の文章があります。「物事を問題なく進めるために、誰かが犠牲になっていることを「仕方がない」で済ませようとすることが差別ではないか、という意見がありました。私もその通りだと思います」と先生が語ります。「何が本当で、何が正しく、何を大切にするべきか。それは皆さんが自分で考えていかなくてはなりません。・・・」と。 実際に、若い世代がこのようなことを真剣に考えてくれる環境があれば、どんなにいいかとつくづく思いました。

また、あさのあつこさんの本「アーセナルにおいでよ」という不登校や訳アリな青年たちが起業するという物語の話になりますが、その中で、不登校になった主人公の青年が引きこもっていた時、「誰にも会わず、部屋に閉じこもることを望んだのに、周りがそれをなかなか許しも認めもしてくれなかった」というくだりがあります。それについて、あさのさんは「大人は、正解を出そうとする。とても腹立たしい。大人は聞き下手になっている」と言われ自分自身を省みてしまいました。

本を読むことで知ること、心が揺らぐことは多いです。3人の作家の紹介になりましたが、読書は本当に楽しいです。


vol.224 夢か悪夢かリニアが通る! vol.53

 埼玉県八潮市で1月28日、県道が陥没しトラックが転落しました。原因は直径約4.7メートルの下水道管の破損とみられています。1週間たっても男性運転手の行方は分からないまま。約120万人を対象とした下水道の利用自粛も続いています。リニア中央新幹線のうち首都圏や愛知県の住宅地の大深度地下で掘削が進むシールドトンネルの直径は約14メートル、今回の下水道管の約3倍です。朝日新聞「天声人語」(1月30日付)は今回の事故を受けて以下のように記しました。「私たちの当たり前の現実が、揺らいでいる。この国の暮らしを支える土台とは、それほどにもろく、危ういものだったか。自分の立つ足元が、急に消えてしまうことを想像する。怖い」                                井澤宏明・ジャーナリスト

「妙案」なく進む沈下

さらに沈下、低下の見通し
岐阜県瑞浪市大湫町でリニア地下トンネル工事の湧水による水枯れや水位低下が昨年2月に発生してから約1年。JR東海は今年1月になってようやく、地盤沈下もリニア工事が原因だと認めました。沈下は昨年5月末の観測開始から最もひどいところで8.4センチ(1月30日時点)まで進んでしまいました。
1月18日には、昨年6月から半年ぶりにJR東海による住民説明会が開かれました。例によって報道陣には非公開でしたが、翌日の新聞報道によると、マスコミ対象の記者会見が説明会後、多治見市のJR東海事務所で開かれたようです。
説明会の配布資料によると、地盤沈下について「今後、時間をかけて、数センチ以上の低下が生じる可能性」、地下水位低下については「今後5メートル程度は低下する可能性」があるという見通しが示されました。
水枯れや地盤沈下の原因となるトンネル湧水を減らしたり止めたりする対策としてJR東海が打ち出した「薬液注入」。この連載51回目にも書きましたが、「唯一の成功した事例」として同社が示していた「北薩トンネル」(鹿児島県)で昨年7月、内壁が崩落して土砂や湧水が流入する事故が起きてしまいました。
今回の説明資料では「本注入(薬液注入)により水位回復をさせた場合(中略)将来的にトンネルが損傷するリスクがあります」「それにより、湧水とともにトンネル内に土砂が流入し、トンネル上部の地上面の陥没が懸念されます。また、開業後の安全が損なわれることに繋がる可能性もあります」と、「薬液注入」できない理由が並んでいます。

「代替案」に市長苦言
1月22日に開かれた岐阜県環境影響評価審査会地盤委員会でも、委員長の神谷浩二・岐阜大教授から「(地盤)沈下について対策として何かお考えになっていることは」と尋ねられたJR東海の担当者が「今のところ、沈下を止める『妙案』はない」(語尾がハッキリ聞き取れませんでしたが、否定していることだけは分かりました)と力なく答える場面がありました。
その後も対策として「現時点でお示しするものはない」という回答を繰り返したため、神谷委員長は「あきらめのような雰囲気が感じられてしまう。本注入(薬液注入)ができなかったら、それで『おしまい』とならないよう以前から申し上げてきた」と、JR東海に知恵を絞るよう求めました。
JR東海からは新たに「代替水源」やトンネル湧水の「ポンプアップ」、「遮水壁」(「現実的ではないと考える」という説明付き)の3案が示されましたが、出席した瑞浪市の水野光二市長は「大湫町の住民は地盤沈下と水位低下の問題が解決できない限り工事の再開は(認められない)という強い思いだ」と改めて念を押したうえで、ポンプアップや遮水壁案について「そんな程度の代替案しか出てこないのかな。国を挙げて問題解決に取り組まないと、案が出てこないのかなという思いです」と苦言を呈しました。
会合後、JR東海に尋ねました。「地盤沈下と水位低下は進むけど、代替水源で我慢してほしいというのがJR東海の考え方ですか」。これに対して担当者は「まずは水利用をご不安のないようにしたいというのが我々の考えで、代替案として代替水源、トンネル湧水(ポンプアップ)案っていうのをお示ししている」。
未だ解決の兆しは見えません。

 

 


vol.224 ここいく日記 はじめの41歩


10年前に蒔いた種が大きく育って…

ここいくは、「子ども達にいのちの大切さを伝えたい!」という母たちが集まり2010年に産声をあげました。
そして、学校や幼稚園からの授業依頼は、そこでPTAなどの役員をされている方たちが「子ども達にいのちの授業を聞いてほしい」という思いで私たち「ここいく」を呼んでくれることが多いです。
10年前、3人の子どもの子育て真っ只中のお母さんが、地域でつながりのある親子さんと「みんなで一緒に性教育を受けたい」とここいくの授業を企画してくれました。
子どもたちの年齢の幅も広く、幼児~低学年、高学年~中学生と1日に2回の授業を実施しました。その時に参加していた親さんからなんと10年越しで「いのちの授業」の依頼。
当時、幼稚園児だった我が子と受けた授業のことを「しばられない性教育」と表現してくれて、いのちの成り立ちのお話の中で伝える「いのちのもと」の精子と卵子のことを子どもさんがずっと覚えていてくれたことなどを教えてくれて、親子で授業を受けて子育てが楽になったこと、高校生になっている我が子のことを「とっても良い子に育ちました。」と嬉しそうに話してくれました。
今、その方は事業所を立ち上げていて、そこに通っている親子と授業を受けたいとの依頼です。10年前に蒔いた種が育っていたようでとても嬉しく思いました。
そして、授業当日、たくさんの親子が参加。学校の授業ではお母さんの参加がほとんどですが、お父さんの参加もありさらに嬉しい!
子ども達は元気いっぱいで、積極的に授業に参加してくれて、こちらからの問いかけにもたくさん反応してくれました。
授業を親子で受けることで、命の成り立ちの過程(ここを語れない、伝えたくない大人はたくさんいます)を親子で知ることができます。いのちのもとの精子と卵子が出会うことは「いやらしい」ことではなく「素敵なこと」「大切なこと」と捉えられること。自分という存在が奇跡のような確率で生まれたこと。これらのことが、親子で共通認識になると子どもを見る目が代わり、我が子だけでなくすべてのいのちの尊さを感じることができると思っています。
そして、自分を含め我が子も、そしてすべての人が「ありのままの自分で、ありのままのあなたでいいんだ」と思える。
子育ても、生き方も変わると思っています。
私たちは、授業を重ねるたびに子どもたちに伝えるたびに、私たち自身が「生まれてきてくれてありがとう」「いのちってすごいね」「ありのままのあなたでいいよ」というメッセージを受け取り続けていると感じています。
このメッセージがミルフィーユのように私たちの中に積み重なり、私たち自身を幸せにしてくれています。
「性教育」と聞くと、とっつきにくいことと感じる人こそぜひ!ここいくのいのちの授業を受けてみてくださいね♡
授業依頼は随時受付中です。

担当:ここいくメンバー 中村 暁子でした。
ここいく☎090-3446-8061(中村)


vol.224 菌ちゃん野菜応援団 最終回


私には夢があります。

菌ちゃん野菜応援団は長いこと「土とお腹は一緒だよ」「土を良くすると元
気なお野菜が出来るように、お腹を
元気にすると健康で幸せに生
きていくことができるよ」とお伝えしてきました。

ミネラルの大切さ、微生物の大切さにはじまり、身体が喜ぶものと嫌がるもの、野菜が元気になるものと病気になるもの。
全てが繋がっているんだよ、ものごとはとってもシンプルなんだよ、ということを何度も何度もお伝えしてきて、皆さん耳にタコが出来たかな?なんて思ったりしています。

語るだけではつまらないから、一緒にやろう!ということで実験地として畑を借り野菜を作り、希望される方と一緒に畑活を継続してもきました。
連載の間に畑を2度も手放す事態もあり、今はまた1からのチャレンジ。今回は砂地という今でにない土壌ということ、ここ数年の異常な夏の暑さもあり、野菜は壊滅的。とてもお見せ出来る畑とは言えなーい!!という状況になってしまっているのですが。

でも、私の夢は「命のつながりを肌で感じる場所や体験を子どもたちと共有すること」これに尽きるのです。

すべての命は繋がっているんだよ、私たちはたくさんの命に支えられているんだよ。自分が自分らしく生きていくことが難しい現代社会において、「あなたはあなたのままでとてもすてきだよ」と大人には伝えていきたいし、「自分は自分のままで素晴らしいんだ」と子どもたちに自信を持ってもらいたい。そのために畑があり、事務所がありました。

今年は法人化を目指し、さらに活動を充実させていく予定です。その中でまた皆さんに発信できることが増えてきたら。またこちらに戻ってこようと思います。

ということで菌ちゃん野菜応援団のコラムは少しお休み。夢のためにいちだんとパワーアップして戻って来ますので、そのときはまたお付き合いくださいね!!

各務 亜紀


vol.224 プレゼントコーナー

224号PRESENTS

ハガキまたはe-mailで、下記のアンケートを
1〜6までご記入の上、編集部・プレゼント係りまでお送りください。

1-あなたが今、一番関心があることは?子育て、趣味、環境問題、社会問題…etc。あなたが一番関心があることは何ですか?具体的におしえてね。

2- 気になるにらめっこ紙面での広告
3- 気に入った記事、気に入らない記事の
タイトル1つ・その理由もお書きください。
4- ご希望のプレゼント名 (第1希望・第2希望を必ずお書きください)
※B、Dは編集室までとりに来られる方
5- 本紙をどこで入手されましたか?
6- 氏名、年齢、住所、郵便番号、電話番号、家族構成
〆切:2025年3月25日  当日消印有効。
宛先 〒504-0855 各務原市蘇原新栄町3-15
e-mail: info@niramekko.com
※お寄せいただいた個人情報は、本紙プレゼントの発送に限り、 使用させていただきます。
※当選の発表は発送をもって代えさせていただきます。


A.CINEX映画招待券   CINEX様より…ペア3組様

CGを使った作品もいいけれど、CGを一切使わずに、神秘的な自然の中で紡がれる作品に身を浸す、そんなひと時はいかが?写真は映画「光る川」より。柳ヶ瀬のCINEXでご利用いただけます。


B.書籍「元気で行こう」  木田ひと美様より…2名様

「三十歳になるまでに、世界一周の旅にでる」 そう心に決めて、同じ夢を持つ友人とともに、ヨーロッパ・北アフリカをバイクで走破した日々を綴る一冊。
バイクの運転は下手くそだけど、思ったら実行しかない!という著者からのプレゼントです。にらめっこ編集室でお受け取りください。


C.おとなの音あそびご招待  アートギャラリー是様より…ペア1組様

ピアノにサックス、ウクレレ、ギター…。音楽を楽しむ人集まれ!腕前を披露する人も聴くだけの人も、心地よい空間で、飲みながら・食べながら楽しいひと時を過ごしませんか?


D.やじろプレーン   にらめっこより…1名様

木製ならではの温かみのある、やじろべえスタイルの置物です。絶妙なバランスで乗っているので、ちょっとした空気の動きにも飛行機が優しく動きます。(高さ29cm×横42cm)
にらめっこ編集室でお受け取りください。