投稿者「にらめっこWeb版スタッフ」のアーカイブ

vol.208 モザンビークからレポートvol.2

アフリカの言葉は文字を持たない口頭伝承文化です。植民地化以前の歴史や伝統的な習慣の記録がほとんど残されていない何とも神秘的な大陸。私の住む地域の言葉、シャンガナ語から、彼らが何を大切にしてきたのか、覗いてみましょう。

元JICA隊員の作った資料。シャンガナ語が5進法であったことが分かります。アルファベットを当てはめて音を表現してあります。

モザンビークには、40以上の異なる民族が存在していて、モザンビーク国内で話されている言葉は南部のシャンガナ語や北部のマコンデ語など主に7つの言語があります。
こんなにたくさんの言葉を持ちつつ、大きな都市など違う民族同士に交流がある場では、公用語であるポルトガル語を話します。日本もかつてアイヌや琉球の他にも多くの民族が存在していただろうけれど、日本語、日本人に統一してきました。この言葉の共存、民族の共存自体が興味深いものがあるのではないでしょうか。

職場で行き交う言葉は、現地語のシャンガナ語、公用語のポルトガル語、国際語の英語。言葉はコミュニュケーションの手段で、自然に誰かが何かの言葉に訳してくれるし、表情をくるくる変えながら、身振り手振り、スマホの写真も登場すると、もう何を言っているか分かります。毎日根気よくシャンガナ語で話しかけてきてくれる人もいます。
そんなおしゃべり好きのシャンガナ族、本、紙、という言葉がありません。文字を持たないのだから当然かもしれません。では、数、お釣り、値段と言う言葉がないことは生活にどう影響されると思いますか?お釣り…ないんですよ。道端の野菜屋さんで買い物すると、お釣りを持っている人が本当に少ない!!お隣さん同士で「おつりある?」「〇〇メチカル貸して」なんてやりとりを永遠にしてお釣りが来ることもあれば、「お釣りないから、明日持ってきてくれたらいいよー!」と言われることもあります。日本では考えられないですね。「お釣り、値段」と言う言葉がないこの地域柄なのかなと思います。そもそも、野菜は袋いっぱい20メチカル、豆ならカップ一杯50メチカルなど、ポルトガル語の影響で、すでに数は存在するものの(なぜか五進法)、数以外のやりとりが度々見受けられます。ただ、モザン人とご飯に行くと外食の習慣がないこともあってか誰も払おうとしないのが普通だとか(笑)

逆に、独特の言葉もあります。Bilene(川の近くの肥沃な畑)、Tlhavene( 砂っぽい土の畑)、Tsoguene( 水分の多い土の畑)と畑に関しての言葉が豊富。その土に適した作物を育てます。今も国民の80パーセントの人が小規模自給農民と言われていますが、実際に誰と話しても、畑事情を自慢げに教えてくれます。畑と共に生きている感じ!!

文字がないというのは、先進国(植民地化した国)の価値で判断して、ないものだらけにされがちだけれど、外の価値観に振り回されず、世代を超えてずっと続いていって欲しいなと思います。だって、彼らと話すのは何だかすごく楽しい!!

 


vol.208 菌ちゃん野菜応援団vol.29


初夏ですね。

日に日に濃さを増す緑にうっとり、なーんて暇はなく。畑はこの時期とても忙しい。 もうもう連日、連日、連日、れんじつー!!!畑に朝な夕なと日参です。 やれ、苗を植えなきゃだの、草を抜いておかなきゃだの、水やりをしなきゃだの。。 庭では出番を待つ苗たちが小さな双葉を風にそよがせていたりして。 やれることはどんだけでもわいてくる。
今回はなぜ、こんなにも畑にこだわっているのか、というところを改めて初心にかえって書いてみようと思います。

みなさん、オーガニックの良さとはなんだと思いますか? 農薬をつかわないこと?化学肥料を使わないこと?
もちろんそれもありますね。海外では隣国を汚染水で汚すことがないように、とオーガニックが当たり前のこととしてすすんでいます。 環境を考えての選択なんですね。
ではもうひとつは?
実はオーガニック野菜は病気に強いこと、収量があがること、そして、栄養価が高いこと、が挙げられます。
慣行農法と有機農法では有機の方が全ての面において良いものが出来た、という40年にもわたる実験のデータがあるくらいです。 それもそのはず。 オーガニック野菜には、植物内生菌(エンドファイト)もミネラルも桁違いに多く含まれていますからね。 そして、味も良くなる、というおまけ付き。
環境の面から見ても、食べる人たちの面から見てもオーガニックを選ばない理由がない。 そして、自分で作ればなお感動。 有機農家さんを応援するためにも、家族の笑顔を見るためにも。
野菜を自分で作ってみるって一石二鳥にも三鳥にもなるなぁー、と思います!!! だから、大変でも毎日畑に行っちゃうー。 今年はどんな夏野菜ドラマがあるのかな。。。 たのしみです。


vol.208 ここいく日記 はじめの25歩!

月経カップ

最近、「生理の貧困」が話題となっています。少しずつ、生理の話題がオープンに語られ始めている一方で、やはり、「生理について、公に語りたくない、恥ずかしい」という声は残念に思います。ここいくでは、いのちをつなぐ授業をしています。生理とは、毎月1回、身体の中でいのちをつなぐ素敵なお仕事をしていることです。そんな生理の手当てについて、お話しさせてもらおうと思います。

みなさん、生理(以下、月経)の手当てはどうしていますか?
・・・紙ナプキン? 布ナプキン? タンポン?
この3種類を使っている人が多いのではと思います。今の生理用品で、満足していますか?不快症状はないですか?月経に楽しみを奪われていませんか?たくさんある選択肢の中で、自分に合うものを見つけていますか?

月経のときだって、我慢しなくていいんです、楽しんでいいんです。月経のときだって、快適に生活していいんです、幸せに生活していいんです。

経血量が多く、月経による不快感に振り回されていた私が、人生を変えたと言っても過言ではない、月経から解放される日が訪れました…!!それは、【 月経カップ 】との出会いでした。

月経カップとは、膣内にカップを挿入し、経血を溜めるものです。使い方としては、月経開始の使用前に煮沸消毒を行い、膣内に挿入します。経血の量に応じて、3〜12時間毎に経血を排出します。そして、1日1回、お風呂で低刺激の石鹸で洗浄します。月経が終了し、月経カップを片付ける際に、煮沸消毒して片付けます。挿入の仕方は少しコツがいりますが、しっかり挿入できれば、もう無双状態。どれだけ動いても、容量がいっぱいにならない限り漏れません。一応、漏れた場合に備えて、紙ナプキンや布ナプキンをショーツに敷いておくとより安心です。


私が月経カップを推したいポイントを大きく分けて4つ紹介します。
①エコであること。布ナプキンと併用すると、一切ゴミが出ないのです。そして、月経カップはひとつ5000円くらいしますが、ひとつ買えば10年くらいは使えるとのこと。
②ナプキンと違って、肌に直接触れないので、蒸れない・かぶれないですし、タンポンと違って、粘膜に直接経血が触れないので、トキシックショック症候群(TSS)※になりにくいと言われています。
③運動や温泉、ジム、プール、旅行など、今までは月経だからといって諦めていたことも月経カップであれば出来てしまうのです。また、月経が来そうなときに予め月経カップを挿入しておけば急な月経にも焦りません。
④経血がカップ内に溜まるので、経血の状態や色な どで健康状態が分かります。

生理用品にはそれぞれメリット・デメリットがあるので、自分の生活に合わせて使い分けることで快適な月経ライフが送れるのではと思います。
「月経カップ、気になるけど不安だなぁ」と思う方は、仕事や学校が休みのときからなど出来る範囲から初めてみるというのもアリかと思います。

一度、生理の手当てについて見直してみてはいかがですか?

※TSSは、よく知られているバクテリアの黄色ブドウ球菌によって引き起こされます。黄色ブドウ球菌は、3人に1人の割合で皮膚、鼻の穴、脇の下、足の付け根や腟に生息している細菌で、通常、害はありません。 TSSの初期症状としては、突然の高熱を伴って発疹・発赤、倦怠感、嘔吐、下痢、粘膜充血などがあります。

担当:ここいくメンバー・廣瀬 碧でした。
ここいく☎090-3446-8061(中村)


vol.208 南の島よりハイタイ(こんにちは)最終回


今回は、数多くある沖縄のリゾートホテルの中から、地球にも人にも優しく寄り添ってくれるとっておきのホテルを紹介しましょう。
那覇空港から車で50分。沖縄中部に位置する北中城村にある、東シナ海と太平洋を一望できる丘の上のホテル「暮らしの発酵ライフスタイルリゾートです。ホテルの歴史は古く今からちょうど50年前の沖縄県の本土復帰前のアメリカ統治時代に建てられた建物で、沖縄初のリゾートホテル「沖縄ヒルトン」、として誕生しました。バブル期に閉業した後は、長く放置されていましたが、本土復帰前の歴史的建造物で沖縄の多くの人々がその復活を願っていました。この歴史的建物をEM技術で見事に復活させ2005年「EMウエルネスコスタビスタ沖縄」として開業しました。そして昨年2021年10月1日方向性をクリアにするために「暮らしの発酵ライフスタイル」としてリニューアルオープンしました。
皆さんは、EM(通称EM菌)をご存知でしょうか。
Effective(有用な) Microorganisms(微生物たち)の頭文字に由来し、特殊な一つの菌ではなく乳酸菌、光合成菌、酵母などの善玉菌の集合体を共生させたものです。EMを土にまくと有機物を発酵させ、土の中の微生物のエサになり、ミミズなどの他の生き物も増え豊かな土になります。また水でもヘドロなどを分解し、きれいな水質になりいろいろな生き物が戻り、生物多様性の回復にもつながります。他にも臭いや汚れにも効果を発揮します。
ホテル内では余すことなくこのEMを活用しています。客室の清掃やリネン類のクリーニング、エアコンの清掃など、すべて化学薬品を含まないオリジナルの発酵液を使用。レストランでは、「発酵」を取り入れたメニューも多く味噌やキムチなどの発酵食品のワークショップも開催。ホテル近くの併設農園「サンシャインファーム」では、宿泊者自ら、EM野菜を収穫し購入することもできます。
小学5年の時、この世で最も尊い仕事は農業であると考え、将来は農業をするか農業の指導者になろうと決心した沖縄生まれの比嘉照夫氏。苦労を重ね「EM」発見、開発されました。そして農業、畜産、河川浄化、健康など幅広い分野で活用され、現在150カ国あまりに普及されています。
またホテルから出た生ごみと木材チップをEM発酵液で発酵させ、肥料や鶏の床材として利用。農場で採れた野菜は、ホテルで調理という資源循環モデルも実践されています。
小さな微生物たちの力を日々の暮らしに活用することは、大きな地球環境をよくすることにつながる、ということを教えられるホテルです。


かとう まみ プロフィール
岐阜市生まれ。桐朋学園大学音楽学部演奏学科ピアノ専攻卒業 ・2015年5月:写真集「奥飛騨に響く種蔵の里」(岐阜新聞社)出版 ・2019年6月:写真集「ばあちゃんぼくが継ぐ」(岐阜新聞社)出版・個展3回・(一社)二科会写真部会友 ・岐阜市美術展委嘱作家岐阜市美術展部会推進委員・岐阜県写真作家協会会員・二科会写真部岐阜支部委員・ギフフォトクラブ会員


vol.208 プレゼントコーナー

208号PRESENTS

プレゼントご希望の方はハガキまたはe-mailで、下記のアンケートを1〜6までご記入の上、編集部・プレゼント係りまでお送りください。
〆切:2022年7月25日 当日消印有効。
宛先 〒504-0855 各務原市蘇原新栄町3-15
e-mail: info@niramekko.com
※お寄せいただいた個人情報は、本紙プレゼントの発送に限り、 使用させていただきます。
※当選の発表は発送をもって代えさせていただきます。

1-あなたの「夏、省エネ乗り切り法」は?
今年も暑い夏がやってくる!簡単なことでもOK!あなたの工夫、教えてね。

2- 気になるにらめっこ紙面での広告
3- 気に入った記事、気に入らない記事の
タイトル1つ・その理由もお書きください。
4- ご希望のプレゼント名 (第1希望・第2希望 を必ずお書きください)
※Dは編集室まで受け取りに来られる方。
5- 本紙をどこで入手されましたか?
6- 氏名、年齢、住所、郵便番号、電話番号、 家族構成


 

A.シャボン玉 酸素系 漂白剤 引換券      和楽様より…3名様

過炭酸ナトリウム100%の酸素系漂白剤です。その他の添加物は含みません。除菌効果があり、衛生的に仕上げます。塩素系漂白剤のようなツーンとした臭いも、塩素ガスが発生する危険もありませんよ。
和楽さん(一宮市時之島丸先2-12)店頭でお受け取りください。


B.CINEX 映画招待券シネックス様より…ペア3組様

映画館に足を運び作品を観る。その、観ることへの能動的な姿勢と強い意思が、作品と観る人との距離を縮め、現実世界に影響を与えることもあるとの説も!写真は、「瀬戸内寂聴 99年生きて思うこと」より。岐阜市柳ヶ瀬のシネックスでご利用いただけます。


C.「漫画『世界を変えたくて僕を変えた』」アンタール様より…3名様

前号の熱中人でお話ししてくださったアンタールさんからのプレゼントです。食べるということ、命ということ、ベジタリアンについてなど、知っておきたいことに正面から向き合いながらも、優しいタッチでまとめられた一冊です。著者:Natsumi


D.壁掛け一輪挿し  にらめっこより…2名様

作家さん手がけた焼き締めの作品は素朴な暖かさをかもし出しています。雨降りが続く日も一輪の花が爽やかさを醸し出してくれそう。さりげなく飾ってステキな空間作りを! にらめっこ編集室でお受け取りください。サイズ:約 縦24ミリ×横50ミリ×厚さ40ミリ

 

 


vol.207 気になるプラスチックごみ対策!

 


3つのプラスチックゴミ問題

1)海洋プラスチック問題
陸上や海上での不法投棄などによって、プラスチックゴミが海洋に流出している問題。海洋生物をはじめ生態系への影響が深刻化しています。
2)廃プラスチックゴミの処理問題
焼却と埋め立て設備が不足し、ゴミの処理が追いついていない問題。オフィスや商業施設などから出る事業ゴミ(産廃系廃プラスチック)の一部を、発展途上国に輸出して処理を頼っているのが実情です。
3)マイクロプラスチック問題
マイクロプラスチックとは、洗顔料などに入っているマイクロビーズや繊維くず、人工芝など、5mm以下の小さなプラスチックのこと。その小ささゆえに回収が難しく、環境に影響を及ぼしています。このように、「プラスチックゴミ問題」とひとことで言っても、問題の背景は複雑。それでは、次にプラスチックゴミの内訳を見てみましょう。

ペットボトルが占める割合は、プラゴミ全体のたったの6%
※-1 一般社団法人プラスチック循環利用協会レポート(18年12月発行)、PETボトルリサイクル推進協議会 2018年年次報告書より

日本のプラゴミのリサイクルは8割以上!?でも、その実態は?
それでは、プラスチックゴミはどのように処理されているのでしょうか。一般社団法人プラスチック循環利用協会によると2017年の日本のプラスチックゴミ903万トンのうち、がリサイクルされ、残りの14%は、焼却・埋め立て処理されています。(※2)
86%というと、一見かなり優秀な数字に見えます。ですが、実はこの「リサイクル」の7割近くを占めているのが、「サーマルリサイクル」。ゴミを燃やして発生した熱を回収し、発電や温室プールの熱源に利用する方法です。純石油製品であるプラスチックは、石油や石炭と同等の発熱量を有するため、焼却することで大量の熱エネルギーを回収できるのです。
※2一般社団法人プラスチック循環利用協会 18年12月発行レポート、PETボトルリサイクル推進協議会2018年年次報告書参照。

国際基準では認められない、日本独自の「リサイクル」
プラスチックゴミを燃やして、温水プールの熱源や発電などの使う「サーマルリサイクル」。国際基準では「サーマルリカバリー(熱回収)」と呼ばれ、リサイクルとは認められていない。実は「サーマルリサイクル」という言葉は和製英語。この方法は欧米ではサーマルリカバリー(Thermal Recovery)と呼ばれ、そもそもリサイクルの範疇には含まれていません。
国際基準でリサイクルと認められているのは、廃プラスチックを新たなプラスチック製品などに再利用するマテリアルリサイクルと、鉄の原材料やガス、石油などに再利用するケミカルリサイクルのみ。一方、日本の廃棄物やリサイクル政策の基盤となる「循環型社会形成推進基本法」では、サーマルリサイクルとして認めているのです。
https://www.mashingup.jp より

プラスチックのなにが問題?
プラスチックは、非常に強くて軽い、腐敗しない化学物質です。プラスチック製品は紫外線や物理的な摩耗によって割れて破片となり、微小なプラスチック粒子になります。この数mm以下、数μmm以下になったプラスチック(マイクロプラスチック、ナノプラスチック)は様々な過程を経て最終的に雨に流され、海へ流れ着きます。流れ着いたプラスチックは、いくら小さくなっても、分解してなくなることはありません。

世界のプラスチックを無くす動き(脱プラスチック)
2025年にはプラスチックが2015年の10倍になると言われており、2050年には海の中にあるプラスチックが海の中の魚の量を超える、とまで言われるほど深刻な問題となっています。
こうした問題から、世界ではプラスチックの規制を設けています。
【各国・取り組み内容】
イタリア:2011年から生分解性以外のレジ袋の使用を禁止
台  湾:無料配布のレジ袋は生分解性のものに限る
U A E :使い捨て袋は生分解性を有するに限る
ブラジル:サンパウロ市ではレジ袋はバイオプラスチックに限る
豪 州 :各州(SA、TAS、NT、ACT州)では無料レジ袋の提供を禁止
イギリス:プラストロー、マドラー、綿棒の配布及び販売を禁止する計画
アメリカ:シアトル州ではプラスチックストローとカラトリーの使用を禁止
イ ン ド:マハラシュート州での各プラスチックの使用禁止
モンゴル:2019年3月からレジ袋の使用禁止
では日本は?今のところ自主的にプラスチックを無くしていきましょう、というのが現状です。
不要なレジ袋は使わない、エコバックを使う、マイボトルを持つ、などプラスチックを使わないように意識するだけでプラスチックを減らすことは誰にでもできます。プラスチックを無くすことは自然環境だけではなく、最終的には、私たちの健康のためでもあります。
私たち消費者一人ひとりが意識して、行動することがもっとも大切なことだと私は思います。


vol.207 「ノープラ」より「脱プラ」

というわけで私は身の回りのプラスチック製品を書き出してみることに。
まず水回りから。歯ブラシ、歯磨き粉、シャンプーの入れ物、洗濯バサミ、お風呂の桶や、ナイロンタオルまで全部プラスチックだ。続いて台所。密閉容器のフタがプラ。普段はミツロウラップだが、ごくた〜まに使うポリラップ、お玉やフライ返しの柄の部分がプラだった。オーガニックコットンのふきんで、洗剤もスポンジも使わないので、ここは意外と少ない。しかし、家電製品はボディーのほとんどがプラスチック製。化粧品に至っては、容器がほぼプラスチックでした。衣類系は衣装ケース、ポリエステル製の服。仕事場ではパソコン、メガネ、ハサミの柄、定規、クリアファイル、プリンターのボディー、電話機、など結構あるある!そして食品、お菓子袋、野菜、卵のパッケージ…書き出したらきりがないくらいです。これら全てをゼロにはできないのでせめて「脱プラ」をめざしたいと思う。(三)

まず断る!もう一つのR(Refuse)
外出先・買い物で削減

【1】ビニール袋(レジ袋)は「いりません」
【2】買い物にマイバッグ(エコバッグ)を
【3】ペッドボトルを買わないでマイボトルを
【4】コーヒーショップにマイカップ・タンブラー
【5】「ストロー」はいりません
【6】「お手拭き」をもらわない
【7】コーヒーミルクに手を出さない(中身は植物オイル)
【8】お弁当を作る、もしくはレストラン
で食事する
【9】マイ箸やマイカトラリーを持ち歩く
【10】過剰包装・加工・冷凍食品を避ける
【11】プラスチックフリーな日焼け止めを選ぶ
【12】虫除けもプラごみを限りなくゼロに
【13】再利用できるコットンのマスクを使う
【14】使い捨てのカイロは使わない
【15】チューインガムをやめる (ガムベース が合成樹脂)
【16】プラの傘袋じゃなくて傘カバーを持つ

キッチン
【17】食器洗いスポンジをプラなしに 天然素材で出来たタワシや布巾に
【18】使い捨てのラップとさよなら ミツロウラップに!
【19】テフロン加工の調理器具は使わない
【20】水切りネットをプラなしに
【21】タッパーなどの食品保存容器を考え直す
【22】コーヒー&紅茶もプラなしに楽しむ
【23】「食パン」は買わずにホームベーカリーで焼く
【24】備長炭で浄水もプラなしに

パーソナルケア
【25】歯ブラシ・歯磨き粉を考え直す
【26】「舌磨き」グッズをプラスチック以外のものにする
【27】紙箱やガラス容器の「デンタルフロス」に変える
【28】「固形石けん」はいいことだらけ!
【29】使い捨てのカミソリを買わない
【30】生理用品も無駄遣い知らずに
【31】脇の臭いに重曹は優れた消臭剤
【32】コスメも手づくりならプラなしできる

掃除・洗濯
【33】プラスチック容器の洗剤を使わない
【34】紙箱などプラスチック包装の少ない洗剤を選ぶ
【35】洗濯バサミやハンガーは金属製にする
【36】部屋・空間の消臭は重曹と炭でOK

文具・子ども用品
【37】クーピーはプラスチック。色鉛筆を使う
【38】消しゴムの消しかすはマイクロプラスチック
【39】鉛筆を使えばプラごみが減る
【40】子どものおもちゃからプラスチックを減らす

その他
【41】新聞は紙ではなく電子版で読む
【42】中古品を買うようにする
【43】赤ちゃんのお尻ふきをコットンに
【44】透明な封筒で送られてくるDMを断る
【45】合成繊維の服をできるだけ避ける



『私たちのサスティナビリティー』
まもり、つくり、次世代につなげる
著:工藤 尚悟
岩波ジュニア新書 800円

みなさんは、国連が提唱している持続可能な開発目標(通称:SDGs)をご存知でしょうか。学校や職場などでSDGsの17目標について学んだことがあるという方も多いかと思います。
2030年までの全地球的な開発目標とされるこのSDGsですが、そもそもどのような考え方に基づいて設定されているのでしょうか。この考え方こそ、本書のテーマである「サステイナビリティ」です。しかし、「持続可能性」と訳されるこの言葉に対して、いまいちその意味がよくわからないと感じている方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
サステイナビリティ(sustainability)は、ラテン語の「sustinere(下から支える・支え続ける)」に語源がある言葉です。後ろに「-ability(〜する能力)」がついていますので、語感的には、「(あるものごとを)下から支え続ける能力」という意味があります。それでは、私たちはどのような物事や価値観を下から支え、そして将来にわたってつないでいきたいのでしょうか。
本書では、サステイナビリティを、「今日まで私たちの社会のなかで大事にされてきたことをまもり、これから新しく大切にされてほしいことをきちんと大切にできるような仕組みをつくり、さらにそのような考え方を次世代につないでいくこと」と定義しています。単にこれまでの状態を維持することに留まらず、私たちの暮らし方や社会の仕組みを問い直し、変える必要がある部分については積極的に変えていきながら、持続可能な社会を実現していくという考え方を意味しています。
将来のより豊かな社会のあり方を探求するときの羅針盤となってくれるのがこの「サステイナビリティ」という概念なのです。本書を通じてみなさんがサステイナビリティに対する理解を深めた上で、何をまもり、つくり、次世代につなげていきたいのかを考えるきっかけが生まれて欲しいと願っています。                  工藤 尚悟


vol.207 続・ぎむきょーるーむ わたしの体 わたしの選択

まず呼吸の目的ってなんでしょう。
20歳までは脳は成長発達のプロセスの途中。マスクをすることによって、集中力が低下、調査した子どもたちの2人に1人が頭痛を訴える。頭痛は酸素がないことによって起こります。大人は吸った酸素の25%を脳が必要としています。10歳未満の子どもたちは半分を脳が必要としているんです。

ONENESSを作る呼吸
動物も植物も当然呼吸をしています。呼吸は単なるガス抜きではなく、外からの情報(酸素ほか)を取り込み、自分の情報(二酸化炭素ほか)を出しています。誰かの呼気が私の呼気となり、私の呼気が誰かの呼気となります。それは、誰かが私の一部となり、私が誰かの一部となる、運命を共有しているということですね。
Respiration(呼吸)=Oneness(私とあなたはひとつです)
Inspiration(ひらめき)の語源はRespiration(呼吸)とSpirit(魂)。呼吸もひらめきも魂が起こしているんです!
ですから、呼吸の力が弱る=ひらめき力が弱るということです。
自分がしたいこと、誰かにしてあげたいこと、自分の未来、誰かと一緒に生きる未来に「ひらめき」がないことは、魂が動かないということ。そしてそれは「姿勢の悪さ」「慢性鼻炎」「マスクの常用」「ストレス」からも生じることを覚えておいてください。

鼻呼吸の大切さ
鼻腔はMy空気清浄器。鼻毛は高性能のフィルターです。
鼻から吸うことで、空気を湿らせて肺に送流というとても大事な働きをしています。あと、脳をオーバーヒートさせないよう、鼻呼吸はラジエーターの役割もしています。そして皆さんぜひ鼻歌を!鼻歌で鼻腔内の一酸化窒素を15倍に増やすんですよ。

メラビアンの法則
情報伝達は話す内容7%、声のトーンや話の速さ38%、顔の表情や仕草55%と言われます。
みなさんには私が2時間わーっと喋ったことの半分は私の表情とか仕草とか、そういうもので情報をキャッチしようとする、それが私たちの情報共有の仕方みたいなんです。なので、顔半分が隠れているというのは、大変なことです。
子ども達って、模倣するんですよね。おぎゃって生まれて、そのうち座り、そのうち立って歩きます。大人が、先を生きている人がそれをやっているからね。赤ちゃんてお母さんやそばにいる人が大好きだから、信じて信じて、それに追いつこう追いつこうって、成長してくれているんです。私たち見られてますよね、ほんとに。だけどこの2年の間に生まれた赤ちゃんたちの成長って大丈夫なのかなって思うんです。もちろん家の中では外していることと思いますが、祈りたいけれど、多くの大人たちの表情が半分見えない状態で、取り返しのつかない成長の遅れというか、模倣していきたい成長の勢いみたいなもの、私たちなんのために奪ってきたんだろうって、思うんですよね。マスクを着用することで、言語発達障害の子どもたち364%急増したって、この2年間で残した爪痕ですよ。そこに対してちゃんと大人は責任持って向き合って行けるでしょうか。「子どものマスクの着用は慎重に」と2年も経ってやっと医師会が言い出した。

ジャネーの法則
ジャネーの法則とは「人生のある時期に感じる時間の長さは年齢の逆数に比例する」という考え方で、19世紀フランスの哲学者、ポール・ジャネが発案した法則です。例えば30歳の大人の一年は、5歳の子どもにとって6年。コロナ禍は私たちにとっては2年だったけど、子どもにとっては12年ぐらいの長さを経験したくらいのこと、大人とイコールで見ないでください。子どもたちの素晴らしい成長のプロセスの中、生きているだけで新しい発見や学びがあるもの。そのことを大人としてちゃんと向き合う必要があると思うのです。
ここにこんなデータがあります。小学校4年生から6年生までの児童15%、中学生24%、高校生の30%に中等度以上のうつ症状があった。中等度以上のうつ症状が一番死に近いんです。しかも小学校4年生以上の子どもたちの6%が、ほとんど毎日「死んだほうがいい」または自分を何らかの方法で傷つけようとしたと回答しています。大人の都合で、「みんな言ってるから」「みんなやってるから」「同じことしないといけないから」・・・
昨年、一昨年の2年間、この国の小中高生は、約1000人自殺しています。これは遺書があった子どもの数です。新型コロナウイルスが影響しているっていうことは明らかだと思います。
子どもたちはマスクは「苦しい」と訴えても、逆にマスクで「鼻まで隠せ」と言われる。「先生が黒板に向いた時にマスクを離してはぁはぁやってるんだ僕」、という子もいました。これはもう虐待に近いかなって思う。咳も出ていないのに何で隠れてこんなことしなきゃならないんだ?マスクを外すことがいよいよ怖くなってきた子どもたちもいっぱいいます。そして不自由さや苦しさより、同調することの方がいいんだっていう、価値観、安心感。みんなと一緒の方がいい、自分で決めないでっていう、そういう状況。マスクの下が笑ってるのか怒ってるのか、皆目見当がつかない、ものすごく気を使わないとコミュニケーションができない。そんな中で大人が「みんなが」という基準で決めていることに、子どもはおかしいとわかってますよ。子どもは本能とか感性を使って今のこの現状がおかしいって、わかってる。おかしいとわかっててもやるしかないんです。なんで?それはお母さんと大人が好きだからです。基本はね。だけど、子どもはいつか絶望すると思います。何やってんだろううちの親、何やってんだ周りの大人って。そう思われる前に、「お母さんはね、こういう理由でこれを選択するよ」っていうことをしっかりと自分の言葉で伝えることができる、そんな日常を取り戻していきたいですね。

私が考えるマスクが必要のない3つの理由
まず不衛生です。汗をかき、脂も出ますし、細菌も繁殖します。モスクワ医科大学が、2時間マスクをつけていたら、もうマスクは感染対策ではなく、感染源になると発表しました。ドイツは、子どもが8時間装着したマスクから82個のバクテリアのコロニー、4個のカビのコロニーが出たという報告があります。
2つ目は、マスクをすることで体温調整できない可能性があります。去年は猛暑でした。一昨年の夏と比べて熱中症で運ばれた人たちの人数が、新型コロナの救急搬送を軽く超えました。マスクをしていると、どうしても水分っぽい息になるので、自分が脱水に陥っているということを自覚するのが手遅れになってしまうんです。脱水というのは酸欠なんですよ。脳に酸素がいかない。そのことで脳障害を起こす人もいます。熱中症というのは、暑かったで済むわけじゃなくて、すごく苦しいしんです。酸素供給が途絶えてしまうと脳に障害をきたし、それこそ命に関わります。高齢の方や子ども達は特に危険です。症状がないのにマスクをすることによって逆に命を危険にさらす可能性があるので、マスクは必要ないと私は思っているのです。
わたしのお話会に来てくださった広島県立大学のアメリカ人の英語の先生は学生たちに論文を紹介し「マスク外していいから、外しなよ」っていっても誰一人外さなかった。そこで、理科室から顕微鏡をずらっと並べて、朝つけたマスクを顕微鏡で見せ、帰りに一日していたマスクをもう一度顕微鏡で見せたそうです。それを見た時から、誰一人マスクをしなくなったそうです(笑)。実体験はどんな論文よりも、パワーがあるんですね。小学校でもマスクの衛生状態を理科の時間にやってみるのもいいかもしれない。みんなで確認したら、ほんとにそれを子どもたちの口に1日つけていたいですかってなるかもしれません。
ランセットというアカデミックな研究論文に新型コロナウイルスの残存期間が記載されています。空気中、ティッシュには3時間、段ボール24時間、不思議なのはステンレス3日間、マスクは7日間!です。子どもたちのマスクは逆に感染源になってますね。
そして3つ目は「マスクは感染を防がない」ということを日本は認めたということ。北海道のママたちが、教育委員会にマスクの着用が、新型コロナウイルスの感染拡大に効果があるという科学的根拠を開示してくださいと要請しました。その回答は「科学的根拠を開示できるものが確認できない」でした。結局、根拠はないんですよね。

大人が笑えば子どもが笑うそんな世界を!
これから新型コロナに限らずいろんな微生物由来のものは起こってくるでしょう。でも私たちの体にはすごい機能があるんです。持っているものを大事にして使おうねって、小学校中学校で学ぶことはそこじゃないかなって思います。人間とは何か、自分とは何か、自分の体が持っている神秘な機能や能力はなんなのか、心とは何か、生きるって何か、それを知るために算数だって国語だってあるんじゃないですか。大人が笑えば子どもが笑う。大人が変われば、子どもが変わります。大人は今の現状維持、子どもから先に変わってというのは無理です。子どもは大人が大好きなんで、その信頼に応えていきたいと思います。
                                                       井上まゆみさんお話し会。3月3日(木) 主催:つくる・みらいの会


井上まゆみ:新潟県阿賀野市在住。MIBEL Care Center マリーゴールド 元看護師現在は自然療法士 看取り士 グリーフ専門士二人の娘の母。新潟県でホメオパシーを中心に健康を支える活動をしています。福島原発事故により被災された方々への保養活動「風フェス」を年2回仲間たちと開催。ライフテーマは穏やかな死を支える看取り。世界初チャクラレメディーオリジナル絨毯企画販売。www.gracemarigold.com/


vol.207 アウトドア大作戦

虫が少ない
虫が苦手なキャンパーさんにとって最高のシーズン。とはいえ全く虫がいないわけではないので、虫の忌避剤など最低限の虫よけ対策があったほうがよいです。

キャンプデビューには最適。
本格的な装備が不要。冬キャンプのようにストーブや厚手のシュラフといった専用のギアを揃える必要がなく、夏キャンプのようにクーラーボックスの性能を気にする必要もありません。

焚き火が一番楽しめる時期
日中は暖かいのですが、夜は冷え込みます。きっと焚き火
が恋しくなると思います。焚き火を囲んでの団らんや食事、お酒等、夜のキャンプが華やかになることでしょう。

昼間やることがいっぱいある
キャンプ場を散策したり、遠くまでハイキングやバードウォッチング、ちょっとした登山まで、いつものキャンプよりもやることがいっぱい見つかります。
椅子に座っての日光浴は、まったりキャンパーさんにとって最高!キャンプ場で釣り堀や遊具で遊んだり、近くのハイキングコースを歩いたり低山登山をしたりと、普段はあまりやらないアクティビティにチャレンジするには最高のシーズン。

旬の食材を楽しめる
旬の食材をふんだんに使ったキャンプ飯を楽しみましょう。キャンプ場によっては採れたての旬の食材を販売しているところもありますし、近くのスーパーや道の駅でも購入できます。

初夏キャンプで気をつけたいこと
夜は意外と寒い
昼と夜の寒暖差が結構あるので、夜は思った以上に冷え込みます。同じ地域でも標高の高いキャンプ場は初夏といっても冷えます。夜に備えて厚手のアウターなどの防寒着を持って行くとよいです。ブランケットがあると外にいても寒さを凌げます。・ブランケット・毛布・ニット帽・カイロ・アウターなど厚手の服は用意します。最低限抑えるべきポイント。それは肌の露出を抑えること。気温や日差しによって長袖シャツを着て、紫外線対策をします。なるべく準備しておきたいのが、レインウェアや、折りたたみ傘。

キャンプ場が混雑しがち
早い段階でキャンプ場を予約しておけば大丈夫です。


vol.207 しょうがいをみつめる  vol.18

新年度の始まりに

「しょうがいをみつめる」というテーマで連載を始め、2年がたちました。

コロナの影響はわたしたちの生活を大きく変え、学校でもマスクや消毒が日常となりました。感覚過敏のある子ども達にとってマスクは非常に耐え難いものだし、口元(表情)が見えないことでコミュニケーションに困難さを感じている子ども達も大勢います。
一方で、マスクを着けていることで安心して話せるようになったという子もいるということも付け加えておきます。物事はいつも複数の面をもっており、一方的にマスクが悪だと決めつけることはしたくありませんが、わたし個人としては、これから話すこと、関わることを学ぼうとしている子ども達がマスクの世界からは学べないことの多さを思うと、マスクフリーの日常を願わずにはいられません。

こんな時勢ではありますが、今年も春がやってきました。
学校というところでは、クラスが変わる、先生が替わるなど変化の大きい季節でもあります。しかし、障がいのある子ども達の中には環境が変わることが苦手な子も多くいます。新学期が始まる少し前から不安定になる子や、新しい環境に馴染めず荒れてしまう子も。
短期的に見ると、このような子達にとって変化はマイナスに見えますが、子どもの成長にとってはやはり必要な変化であることも多くあります。新しいクラスメイト、新しい先生が子どもの新しい側面を引き出し、成長を促してくれることもあるでしょう。変化そのものが子どものレジリエンス(適応能力ともいえます)を育ててくれることもあるでしょう。

オムツをはいていた子が、自分でトイレに行けるようになった。
ひらがなの練習に取り組んで、自分の名前を書けるようになった。
行事ごとが苦手でいつも荒れていた子が、見通しをもって
練習にも本番にも落ち着いて参加できた。
前籍校で不登校だった子が、みんなの前で話せるようになった。

ここに挙げたのは、この一年でわたしが関わった子ども達の成長のほんの一例です。どんな障がいがあっても、いくつになっても、子どもは成長するのだという当たり前のことに、改めて驚かされます。
一日一日を過ごしていると見逃してしまうほど小さな変化かもしれません。今日良くなったことが、明日にはまた悪化することもよくあります。しかし、1年、2年、…数年という長い時間軸で振り返ると、必ずどんな子も(もちろん大人であるわたしたちも)成長できているということに気付けるはずです。
新しい一年が始まるこの時期に、いったん立ち止まって振り返る時間をとってみてはいかがでしょうか。

この連載を通して、自分の考えを言葉にする難しさに何度も心折れそうになりましたが、同時にわたし自身の考えを見つめ直す貴重な経験にもなりました。これからも一人ひとりの子どもと関わり、ともに悩み、困難に寄り添い、互いに喜びを共有していけたらと思います。
これまで拙い文章にお付き合いいただき、ありがとうございました。  S.I


vol.207 人生これから やってみたシリーズ第10弾

何事にもチャレンジできる自分でいたい

一人の時間が健康的な時間に変わった

石原 文代さん

—バレエを始めるきっかけ

きっかけは2つあります。親の介護をしていたので(その親の様子を見て)足腰を鍛えておかなきゃ、と思ったこと。近所に体操教室があったので早速通うことにしました。そこは本当に簡単な体操で私にはちょっと物足りなさを感じていました。そしたら、たまたまクリーニング屋さんが廃業した跡地にバレエ教室がオープンしたので、そちらにチェンジ。先生はなんと25歳なんですよ。それが55歳の時。16年前でした。
バレエ教室は夜の7:30から。レッスンのある日はテキパキ仕事を終え、帰宅後に親の世話をして、「いってきまーす!」。それまでは仕事と家の往復のみの生活でしたので、張り合いが出ました。
もう一つの理由は、末の子が20歳になった時。高校くらいまでは塾の送り迎えとか結構大変な時期があるでしょう。でも成人すれば一応親の役目は終わり。その時、「自分のためのなにかをやりたい!」と思ったんです。
そのバレエ教室の先生から、「9月に発表会があるんです。出ませんか?」って言われました。入ったばかりの私にも声をかけてくれて嬉しかった。でもあんまり下手だから、練習日を週2回に増やしました。週1より体が楽になってきて、進歩していることも実感できるしね。
定年退職し、再任用で仕事は週4日間になったので、レッスンの日を増やしました。そのクラスは体を鍛えるっていうか、体幹を整えるスクワットやバランスなど体にとって基本的な力をつける運動が取り入れられています。そして新しいクラスでは有名なバレエ作品の振りの一部を練習できたりして、バレエを観る時の楽しさも増しました。というわけで今では週に何回かレッスンに通っています。

—16年経って、変化したこと

変化…ですか?脚が細すぎて今までスカートを履くのをためらっていたのですが、バレエを始めて筋肉がついて、これならいいかもとスカートが履けるようになりました。(笑)そして生活にメリハリができました。子育て、仕事、介護と追われる毎日でした。でも、バレエをやっているその時だけは他のことを忘れていられた。バレエに全集中!です。この時間は私にとって、とっても大事な時間です。体もスッキリするし、汗もびっしょりかくしね。
バレエの教室は自分より若い人がほとんどです。それだけで気分が若くなります。おしゃれの話とか、聞いているだけでも楽しいんですよ。そしてバレエのレッスンに来ている人はすごく前向きです。「もう歳だから」とか「できない」と言わないの。

—「今を生きること」を気づかせてくれた友人の死

旅は発見があって楽しく、友達を知らない国、知らない街を歩いたりしましたが、今はコロナで何処へも行けません。先日、旅行仲間と電話でおしゃべりしていて、「今度どこへ行く?どこに行きたい?今は海外は無理だから、国内でもいいから行こうよ」なんて話していた人が、その翌日に亡くなったんです。水泳中にくも膜下出血で帰らぬ人になってしまった。とてもアクティブな方でした。もうショックで、しばらく気力が萎えてしまいました。人生何があるかわかんないですよね。「健康でもいつ何が起きるかわからないよ」と亡くなった友人に教えられました。何より人との出会いを大切にしたいと思うようになり、今を大事にしようと思うようになりました。だから、やりたいこと、思ったことを明日に引き伸ばさない、今が大事と思って生きています。

 

舞台袖で。背筋がピンと伸びる瞬間。左から3人目が石原さん

 

「くるみ割り人形」第2幕 花のワルツ 前列のセンターで踊る石原さん


vol.207 人生これから 整理収納 実践編

【整理する】
① 全部出す…こんなものがこんなにあったんだ!など、全体が見えることでこれからの作業が進みます。
② 分ける…整理=分ける。同じ仲間、使用頻度、使う場所など。そこに置かなくてもよいものがある場合も。このとき、理想の姿、ゴール設定がしてあると判断がつきやすいです。
③ 減らす…これがお片付けの山場!時には心苦しい時もありますが、1つ1つのモノと向き合うしかないです。

【収納する】
取り出しやすく、またしまいやすい状態にモノを収めていく。

押し入れの使い方
・ 広い空間は仕切って使う。
・ 収納の高さと使用頻度の高さを考える。
・ 奥行きの深さに注意して収納グッズなどを利用する。
・ 前後に分ける。奥行きに合った引き出しを使う。
キャスター付きグッズなども活用、など。

無理矢理モノを捨てるのは精神的によくない。使わないモノだったら、場所を変えるだけでもよい。

実践編 にらめっこの押し入れ
・ 収納の高さと仕様頻度の関係性を考える。
・ゴールデンゾーンを意識する。
「上段」…出し入れするには台が必要。使いにくいため使用頻度が最も少ないものを入れる。
「下段」…出し入れするには腰をかがませなくてはいけない。使用頻度が中〜低程度のモノを収納する。
「中段」…ゴールデンゾーンにはすごくよく使うモノを入れる。

・誰が見ても何が入っているのかわかるよう、入れ物にラベリング。
・ 収納グッズや収納家具を購入するのは、最終段階に。
・ 上段は奥行き全部を使う必要はない。
・ 収納にテーマを決める。(中段左側は紙類、右側は画材など)
・ 大きなモノを先に入れて、残りの空いているスペースをどう使っていくか、と考えるとやりやすい。
・ 向かって右側の奥には使用頻度が低いものを入れる。
・ 広いスペースなら「配置図」を描いてモノの所在を把握する。

Q&A
Q:お客さん用布団が何組かありますが、押し入れに納まりが悪くてなんだかスッキリしません。
A:来客用のお布団がほんとうに必要か考えてみて、減らしても大丈夫なようなら、処分してもよいかもしれません。いざとなったらレンタルも一組一泊で3,000円くらいからできるようです。お布団は圧縮袋に入れて立てて収納するとか、肌掛け布団や毛布などの薄手のものは収納袋に入れるとまとまります。

三上:昨年3月に開催した” モノ” をくるくるっとリユースする「くるくるマーケット」では、提供する人はモノに対する想いと手放す経緯を、モノを受け取る人は、どう使って行くかと、感謝の言葉をそれぞれ付箋に書いて貼り出しました。
森口:それはいい方法ですね。付箋に書くことで、ひと呼吸つけるので、受け取る人も衝動的にならず、ほんとうに必要なモノなのか考えられますね。


もりぐち ゆうこ

Hallelujah You(ハレルヤユー)主宰 整理収納アドバイザー
石川県出身・岐阜県可児市在住。「見映えだけじゃない“暮し映え”する北欧収納であなたの暮しにイロドリを!」テーマに活動中。ブログは「アメブロ 森口ゆう子」で検索!


vol.207 熱中人 アンタールさん

リサイクル・アーティストでもあるアンタールさん。

意識が変化を生む。
 それは先人たちが教えてくれたこと。

アニマルライツ・アクティビスト アンタール・アレステギ・パズ・ルピオ さん(鹿児島県在住)

ヴィーガン(完全菜食主義)になって、アニマルウェルフェアのことを詳しく知ることになりました。特に食べ物になる動物について。短いドキュメンタリーを見たのもきっかけの一つかな。いろんな長編ドキュメンタリーもあるけど、情報が悲しすぎて観られなかった。ヴィーガンは宗教って思われているみたいだけど、そうじゃない。信仰心でヴィーガンになったわけではないんだ。
肉・魚、乳製品、はちみつも食べません。卵もやめました。その理由は、卵から孵って雌雄の選別をされ、雄は生きたままミンチにされると知ったから。その時から食肉に自分のお金を使うことをやめたんです。周りを見ると、そんなに食べなくてもいいのに、もっともっとと味わうために、娯楽性のために食べていることに違和感を感じています。イヌイットのように、生きるために命をもらうという人たちとは意識がまるで違います。

16歳の時、メキシコシティーの動物園で働いていました。展示動物たちは閉じ込められるストレスで行動に異変が生じます。病気になったり、精神的におかしくなったり。一箇所をぐるぐる回ったり、象は頭のアップダウンを繰り返したり、猿は自分たちの糞を食べたり、オランウータンは悲しそうな目をするし、マントヒヒは自分のほっぺを引っ掻くという自傷行為を繰り返したり…野生ではみられない異常な行動を示します。動物園に子どもを連れていくと、動物たちが「とらわれの身」であることを教えることになると思うから、連れて行きたくないです。

アニマルウェルフェアとは、動物本来の欲求を妨げることのないように適正に扱うことを科学的に定めた原則です。「飢餓と渇きからの自由」「外傷と疾病からの自由」「肉体的苦痛と不快からの自由」「恐怖や不安、抑圧からの自由」「正常な行動ができる自由」―の5つの基本原則があります。
動物園、水族館の展示、サーカスやイルカショーに始まり、ファッション業界(毛皮など)、薬品・化粧品業界(動物実験)、食品産業(畜産など)にこの原則が守られているか疑問です。日本人の9割がこの原則を知らないと言われています。だけど僕が思うには、200年前には奴隷制度があったし、150年前は女性に権利がなかった。80年前は誰もアニマルウェルフェアを考えなかった。そのことを考えると、この先意識の変革が起きていけば変わってくるよね。それは人間の進化と言えるんじゃないかな。自分がまいた種は必ず結果として自分に返ってくる。そういうコネクション(因果応報っていうのかな)に気づかないと、平和にならないよね。

アニマル・ライツ・アクティビストとして
「世界を変えたくて僕を変えた」という漫画本があるのですが、この本を買って、啓発のために読みたいと思う人に差し上げています。いろいろなパンフレットも取り寄せています。でも、まず日本語をちゃんと話せ、読めることが先かな。

サブタイトル「花ちゃんと大地のやさしい生活」のとおり、主人公の大地が豚の花ちゃんと出会い、動物にも健康にも環境にも優しい生活を実践していく。本書では、鶏や牛や豚がどんなふうに飼育されているのか、体の一部の切断から屠殺まで細部にわたって描かれている。豚の花ちゃんは大地に何も押し付けない。健康にやさしい選択、環境に優しい選択、動物に優しい選択を提示するだけだ。選択するのは大地自身。読む人が自分だったらどうしようかと考えさせられる内容になっている。※この本を3名様にプレゼント。詳しくはプレゼントコーナー参照。

アニマル・ライト(動物の生きる権利)
ヒト以外の動物にも、ヒトと同様の生存権を認めようという考え方。「菜食主義(ベジタリアン)」という理念の背景にも同様の主張がある。しかし「動物の生きる権利」を主張する立場は、食事だけではなく、ヒト以外の生命をヒトのために利用することを一般に拒否する。牛や豚を食べないだけではない。たとえば医学実験にマウスやヒヨコを使うのも拒否する。
アニマル・ウェルフェア(動物福祉)
ヒトはヒト以外の動物の生命を、自らの暮らしのために利用するのはやむをえないが、むやみに奪ってはならない。さらにヒト以外の動物の生命と生きている暮らしそのものを尊重するという考え方。

 

 


vol.207 夢か悪夢かリニアが通る!vol.36

産廃本を「禁書」扱い
リニア中央新幹線のトンネル掘削により発生するカドミウムやヒ素などの有害な重金属が混ざった「汚染土」を含む残土処分場について「受け入れを前提として、JR東海との協議に入りたい」と昨年9月、渡邊公夫町長が表明した岐阜県御嵩町。その町立図書館で、かつて町内に持ち上がった産業廃棄物処理施設計画を巡る騒動を検証した本が、町長の意向を受け1年にわたり「禁書」扱いにされていたことが明らかになり波紋を呼んでいます。 ジャーナリスト・井澤 宏明

「検閲」と議会で批判

対象となった本は、フリージャーナリストの杉本裕明さんが昨年2月著した「テロと産廃 御嵩町騒動の顛末とその波紋」(花伝社)。杉本さんは朝日新聞名古屋本社社会部のデスクとして、産廃処理施設建設を巡り当時の柳川喜郎町長が襲撃された事件(1996年)や建設の是非を問う住民投票(97年)の取材班を率いました。
この本では、当時を生々しく振り返るとともに、「産廃NO!」を突き付けた住民投票が注目を浴び全国の反対運動を勇気づけた結果、建設が困難になった産廃処理施設のその後、についても紙幅を割いています。
今回の「騒動」の発端は昨年3月、町議会定例会で渡邊町長が、同書について「不快な本」「反論(すべき点)満載の嘘本」としたうえで、「あんなでたらめを置くわけにはいかん」と発言したことです。
町教委によると、著者から同書が1冊、図書館に寄贈されましたが、同館は町長の発言を受け倉庫に保管。「人権やプライバシーに抵触していないか検討していた」といいます。
町議会の一般質問で3月9日、岡本隆子議員がこの問題を取り上げ、「町のことが書かれた郷土の本。町長の判断で図書館に入れないのは検閲行為」と迫りました。渡邊町長は町議時代の自身が同書で「町長の座を狙っている」とされていることを挙げ、「私は町長のイスを狙っていない。作り話や嘘が多すぎる」と答弁。役場の課長と係長が立て続けに自殺した経緯などについても「作り話だ」と批判、「あれだけ嘘を重ねている本を、勧めることができますか」と反論しました。

 

湿地の危機示した本も

町教委に今回の取り扱いの根拠を問うと、日本図書館協会の「図書館の自由に関する宣言」に「提供の自由は、次の場合にかぎって制限されることがある」とあり、「人権またはプライバシーを侵害するもの」と書かれていることを挙げました。
しかし、同協会「図書館の自由委員会」委員長の西河内靖泰さんは「でたらめだ」と否定します。「宣言の『人権またはプライバシーを侵害するもの』というのはそもそも『部落地名総鑑』のことです」。同総鑑により被差別部落出身者であることが明らかになると、就職差別や結婚差別につながるからです。町教委の対応について西河内さんは「宣言を、自分たちの都合のいいように使われるのは心外です」と憤りを隠せません。
「町長が本のここは間違っていると主張する権利はある。でも、図書館が一方の言論を封じるなんてとんでもない。図書館に置くということは、その本を町が推奨しているということでなく、歴史的な資料として保存しておいて、必要な方に『はい、どうぞ』ということなんです」
町教委は一転して3月14日、同書の閲覧や貸し出しを決めました。その理由として、町長が「法的に訴える考えはない」と表明したことなどを挙げています。当時、教育長だった高木俊朗さんは「町長が闘うなら教委としても応援する、という形で扱いを保留していたが、図書館の自由を守っていく点からは、(同書を)受け入れたうえでその後、反論文をつけるなりすれば良かったと反省している」と述べました。
ところがその後、同図書館に町民から寄贈された別の本も蔵書として登録されずしまいこまれていたことが分かりました。対象となった「東海地方の湧水湿地 1643箇所の踏査から見えるもの」(2019年)には、リニア本体や残土処分場建設が、同町美佐野の湿地に影響を及ぼすことへの懸念が記されていました。同図書館は「『大事な本だから』と(寄贈者から)言われ、学術的に保管すべき本だと判断した」と釈明しているのですが。

 

リニア残土処分場による湿地への被害を懸念する記述のある
「東海地方の湧水湿地」


vol.207 ボーダーレス社会をめざして vol.66

グループホーム
NPO法人オープンハウスCAN 理事長 伊藤佐代子

「私が働いている場所の近くに障がい者のグループホームが建つよ」と友人から が送られてきました。チラシが添付されていて内容を見ると障がい者の親であれば、大喜びしそうな内容です。24時間スタッフが常駐している。通院同行や買い物、散歩などスタッフが支援する。服薬管理、金銭管理もする。車いすも対応する。重度の知的障がいに対応するなどなど。とても柔軟な対応をしてくれるグループホームのようです。
最近は、障がい者のグループホームを全国展開している会社が増えてきています。年間20~30棟くらいの建物を建てて事業展開をしているようです。ネットで検索すると「長期安定×高利益×景気に強い」誇れる事業といえば障がい者グループホーム ①障がい者グループホームは売上の8割が国への請求!②一度入居すると長く施設を利用するため、景気の影響を受けることなく長期安定的に利益を得ることが可能!③障がい福祉は将来的にも国に必要な事業ですので、定年知らずのストック型の福祉ビジネス!と宣伝がしてあります。
今までは社会福祉法人がグループホームを建て経営するのがほとんどでしたが、最近はそうではなくなりました。まず、建物を先に建て、それから支援員を地元で募集するというやり方のようで支援員が集まらないとオープンできないようです。しかし、株式会社が建てたグループホームだから心配だと思うのは間違いです。
つい最近、福祉法人ではない会社が作ったグループホームに入られた方がおられ、その方の日中支援をしている人が夕方訪ねた所、とても大切にされていたと聞きました。どこの施設であれ、支援者次第という所があります。一概に株式会社だから駄目だ!なんていう事は言えないと思っています。障がい者のグループホームに特化した会社の強みはもちろん発揮されるでしょうし、運営面に関しては、プロフェッショナルでしょうから。時代と共にいろいろ変わっていきます。
社会福祉法人、 法人ばかりがすべてを担うのは難しくなってきています。福祉とはいえ、経営感覚が優れていないと何事も出きない時代です。現在展開されているグループホームは、新しい未来図のような気がします。今まで選択肢が少ししかない世界だったところに、あれ・これと選べるようになってきたのです。大歓迎です。
今まで障がい福祉をやってきた人に対しての挑戦状であり、これからお互いに切磋琢磨して障がい福祉を充実させたものにしていく新しい時代への突入だと考えています。


vol.207 モザンビークからレポート

日本から3日間かけて雨季のモザンビークに到着!空港での入国待ち中、ポルトガル語で話しかけると、嬉しすぎるほどの驚き方で「もうポルトガル語完璧じゃないか!!」って褒めてくれました。町を歩いていても、「Bom dia(おはよう)」「Boa tarde(こんにちは)」って笑顔で返してくれるんです。ちょっとシャイで、でも気さくで、日本人に似てる部分がありそうです。

 空港から中央に向かう途中には、「ザ!アフリカ!」ぽい人が賑わう雑多なマーケット、頭にフルーツをたくさん入れたバスケットを入れた女性たち、どんだけ乗るの!?長い足どこに納めてるの?ってくらいぎゅうぎゅうに乗り込んだバン、、、これからの2年間に胸が高鳴りました。

整備された町中の木陰で売られるフルーツや野菜が余計に美味しそうに見えます。お洒落なカフェやバー、中国食材店、なんでもありすぎて、いまだに自分がアフリカに来たことも、世界の最貧国の一つの国にいることも信じられません。

アフリカの首都はすごい発展してる!と聞いたことがあるけど、本当でした(笑)
実際、経済的に急成長性している国の一つでもあります。その反面で、栄養、医療、水、教育など問題はたくさんあって、国の成長が国民一人一人の生活に追いついていないように感じました。医者の数、10万人に3人。日本のような医療を期待していたわけではないけれど、1000人に3人いる日本との差!!

一方で、国の約80パーセントの人は農業従事者で、ほとんどの人が自給自足的な生活をする小作農だと言われているので、調査で出てこないすごい真実がたくさん隠されていそうです。何より、農薬を買うお金がないと言っても、国中でほぼ無農薬なのは素晴らしい!モザンビーク独自の野菜もたくさんあります。輸入した野菜よりもモザンビークの野菜が安いことも、家庭料理が外食産業化していないことも、栄養問題解決できる!って思えます。

モザンビークの首都生活は、長いことイメージしていたアフリカの生活とはほど遠いです。だからこそ、慌てず。焦らず。ぼちぼちと、教わったこと、感じたこと、経験したこと、色々なモザンビークを私の視点で表現していきます。

2年間、どうぞお付き合いよろしくお願いいたします。       加藤 美希


vol.207 菌ちゃん野菜応援団vol.28

ことしの冬は寒かった!!!
冬の間に土つくり、と思っていたもののあまりの寒さに縮こまってしまって。畑もすっかりご無沙汰でした。そのかわり?一から手解きを受けて初めて麹作りに成功!お米に菌ちゃんをつけるだけ、なのに何度失敗したことか。菌ちゃんの営みを知り、寄り添う。菌ちゃんと暮らす奥深さをまたひとつ感じた冬でした。そんなことをしているうちに待ちわびた春もゆっくりと巡り。

久しぶりの畑ではブロッコリー、白菜菜、折り菜が春だよ、春だよね!!!とつぼみをたくさん作って。取っても取っても奥からどんどん出てくる。何があっても花を咲かせるんだ!!命を繋ぐんだ!!!という命の力には毎年ほんとうに感嘆のため息しかありません。

先日は畑に入れるための草をたくさん運んできました。これで無農薬無化学肥料で野菜が出来る土になります。市販の肥料も農薬も何も使わずピッカピカな野菜が出来るんだよ、命の始まりに菌ちゃんがいるんだよ!これをたくさん
の人に知ってもらえたらなぁといつも思っています。
ぜひ、畑に遊びにきてくださいね。
さぁ、また菌ちゃんとつながる1年が始まります。
たのしみだー。

今年は新しい試みにもチャレンジしていきますよ。次回お披露目できますように!!!

塩麹の作り方
・麹200g
・天然塩35g
・水ヒタヒタ

まず塩と糀を手で優しくすりまぜる。
水をヒタヒタに入れ、軽く蓋をして毎日かき混ぜる。
麹が柔らかくなったら出来上がり。冷蔵庫で半年保存可。
茹でた春野菜に絡めたり、お肉やお魚を焼くときに味付けにしたり。使い道はたくさん。ぜひ、自分のマイ塩麹を作ってみてくださいね。


vol.207 ここいく日記 はじめの24歩!

“生きること”全てが性教育

はじめまして、ここいく新メンバーの廣瀬です。普段は、助産師として働いています。日々、お母さんとパートナー、そのご家族と関わり、いのちを育み、産み、育てる様子を見守らせていただいています。
ここいくに参加しようと思った経緯は、私自身子どもながらに、教育課程の中で受けた性教育は的を得ていない、知りたいことが結局分からないという印象でした。元々、性教育の大切さや必要性については感じていましたが、助産師として働くと、望まない妊娠が想像よりも多かったこと、そして、パートナーや家族の反対で泣く泣く中絶するなど、女性が傷つき、弱者になっている姿を見ると、やっぱり性教育って大切だよなぁと想いが強くなりました。
性教育は、身体の仕組みやSEXのこと、いのちを育むことと思われがちですが、性教育には、生きること全て含まれています。助産師としてお母さんと関わっていると、窮屈に、他人に遠慮して、他人の顔色を伺って女性は色々なことを選択していると感じることがあります。何においても女性が主体的に選択できること、女性とパートナーがお互いのことを知り、対等な関係で、協力し合えること、赤ちゃんも1人の人なんだということなどなど、もっとみんながハッピーに生きられるようになるといいのになぁと感じることがあります。
性教育の普及はもちろんですが、幸せに自分の人生を生きられる人が増えるといいなぁと思い、ここいくに参加させてもらいました。(私が助産師なので、「女性が」となっている部分がありますが、性別を超えて誰もが、と思っています。)
実際に、ここいくの性教育を見学させてもらうと、学校ではやらない(やれない)、でも本当に大切なことを熱い想いで伝えている姿に感動。そして、性のことはもちろんですが、自分を大事にすること、自分が決めていいこと、言葉の重み、相手を思いやること、環境のことなど大切なメッセージばかりで子どもだけでなく、大人も聞き入ってしまう。
ここいくメンバーの「伝えたい」という想いに、初めは照れやふざけていた子達も、途中から真剣に聞き入っていました。私自身、教育課程の中でここいくの愛のメッセージの数々を聞けたら、もっと楽しく、ハッピーな教育課程を過ごせたのかもしれない、そう思いました。
学校では、指導要綱でSEXなどNGワードがあり、本当に大切なことがひた隠しにされています。命をつないでいく子どもたちに本当の大切なところを教えず、どうやって子どもたちの身体と心は守られるのか。子どもたちの身体と心を守らずして、どうやって次の命を育むのか。本当に恥ずべきことは、性教育自体ではなく、性教育をひた隠しにしようとしている大人たちなのではないか。自分の身体のことを知ることは大切なこと。知りたいって思うのは当然のこと。その本当に大切なことを、子どもたちが分かるように真剣に伝えれば、誰も、性教育=エッチなこととはならない。身体のことを教えることがなぜいけないことなのか、私には分からない。性教育に対する大人の在り方とは、子どもが初めて知るその時に、正しいことを伝える環境を整えることではないのでしょうか。
学校や市町村、園など、どこででも授業の依頼を受け付けております。感染対策として、少人数での開催もやっております。質問や相談などお気軽にお問い合わせください。


担当:ここいくメンバー・廣瀬 碧でした。
ここいく☎090-3446-8061(中村)


vol.207 南の島よりハイタイ(こんにちは)連載-7

沖縄戦とは、太平洋戦争末期の1945年日本軍と沖縄諸島に上陸したアメリカ軍を主体とする連合国軍との間で行われた戦いです。日本軍は沖縄を本土防衛の最後の拠点とし、連合国軍は日本本土に攻め入るための基地として沖縄諸島を攻略しようと試みます。
沖縄戦では、民間人を巻き込んだ地上戦により、日米両軍と民間人合わせて20万人以上の犠牲者が出ており一般の犠牲者は、推計で10万人、沖縄県民の4人に1人が命を落とした壮絶な戦いになりました。
そんな中で悲劇の1つとして読谷村*(よみたんそん)のチビチリガマでの集団自決があります。3月末から激しい爆撃があり、4月1日に読谷村に上陸した米軍はチビチリガマに迫り、追い詰められた住人がガマの中で肉親を手にかける悲劇が。140人近くが避難していましたが85人が命を落とし、その半数は12歳以下の子どもたちでした。
その読谷村に海の見える「さとうきび畑」歌碑広場があります。平和を祈る歌「さとうきび畑」は1967年沖縄の地で誕生。歌詞の作者、寺島尚彦氏は、沖縄のサトウキビ畑の土の下にまだ埋もれたままの戦没者たちの魂に揺り動かされるように「さとうきび畑」を書き上げました。この歌に込められた平和の祈りを沖縄から永遠に発信し続けるために2012年4月1日読谷村に「さとうきび畑歌碑」が設立されました。歌碑の横には、ミュージックボックスが併設され、ボタンを押すと「さとうきび畑」が米軍上陸の地に流れます。
さて、皆さんは「慰霊の日」をご存知でしょうか。
1945年6月23日アメリカ軍が主体となった連合国軍と日本軍の間で起こった組織的な戦闘が終結したことから6月23日が「慰霊の日」と定められました。糸満市摩文仁の「平和祈念公園」で沖縄戦の犠牲者をしのび、追悼式や前夜祭が行われ世界の恒久平和を願う日です。沖縄全戦没者追悼式では沖縄の子供が書いた「平和の詩」の朗読があり、毎年、胸を熱くさせられます。そして全国75.5%の方々(沖縄タイムス社による)が「慰霊の日」を知らないという現実ですが、本土の方々にもぜひ、この「平和の詩」の朗読に耳を傾けてほしいものです。
今もなお地中には多くの戦没者の遺骨が残り、暮らしのなかで不発弾が見つかるという沖縄の現実に、一人でも多くの方が関心を持っていただけたらと切に願っています。

*読谷村 沖縄県の中部に位置し、全国で一番人口の多い村です。元祖、紅芋タルト発祥の地です。


かとう まみ プロフィール
岐阜市生まれ。桐朋学園大学音楽学部演奏学科ピアノ専攻卒業 ・2015年5月:写真集「奥飛騨に響く種蔵の里」(岐阜新聞社)出版 ・2019年6月:写真集「ばあちゃんぼくが継ぐ」(岐阜新聞社)出版・個展3回・(一社)二科会写真部会友 ・岐阜市美術展委嘱作家岐阜市美術展部会推進委員・岐阜県写真作家協会会員・二科会写真部岐阜支部委員・ギフフォトクラブ会員


vol.207 プレゼントコーナー

1-あなたが実行している「脱プラ」はどんなこと?
小さなことでもOK。あなたが実行している脱プラの工夫を具体的に教えてね。
2- 気になるにらめっこ紙面での広告
3- 気に入った記事、気に入らない記事の
タイトル1つ・その理由もお書きください。
4- ご希望のプレゼント名 (第1希望・第2希望 を必ずお書きください)
※Dは編集室まで受け取りに来られる方。
5- 本紙をどこで入手されましたか?
6- 氏名、年齢、住所、郵便番号、電話番号、 家族構成

プレゼントご希望の方は
ハガキまたはe-mailで、上記のアンケートを
1〜6までご記入の上、編集部・プレゼント係りまでお送りください。
〆切:2022年5月25日 当日消印有効。
宛先 〒504-0855 各務原市蘇原新栄町3-15
e-mail: info@niramekko.com
※お寄せいただいた個人情報は、本紙プレゼントの発送に限り、 使用させていただきます。
※当選の発表は発送をもって代えさせていただきます。


A.CINEX 映画招待券 シネックス様より…ペア3組様


世界中で起っているさまざまな出来事、それらに対するさまざまな視点。そんなことを伝えてくれるステキな作品に出会えるのも映画館の魅力のひとつ!写真は映画「ストレイ 犬が見た世界」より。岐阜市柳ヶ瀬のシネックスでご利用いただけます。


B.Jazz Live ご招待 アートギャラリー是様より…1名様


6月19日(日)14:00〜
「早川 ふみアコースティック4」ライブにご招待!
落ち着いた雰囲気の会場が、Jazzの調べに満たされます。大人なひとときをお楽しみください。会場はアートギャラリー是(関市武芸川小知野489)
Sax:早川 ふみ Guitar:原 努 Trombone:餌取 雄一郎 Bass:飛騨 勇也


C.漫画「世界を変えたくて僕を変えた」 アンタール様より…3名様


今号の熱中人でお話ししてくださったアンタールさん(P-13)からのプレゼントです。食べるということ、命ということ、ベジタリアンについてなど、知っておきたいことに正面から向き合いながらも、優しいタッチでまとめられた一冊です。著者:Natsumi

 


D.フェアトレードショルダーバッグ にらめっこより…1名様


落ち着いた色合いのピンク、焦げ茶、ベージュの糸でザックリと編まれたショルダーバッグ。これからの季節、涼し気で出番が多そう。入れた物が落ちたり見えたりしないよう、インナーバッグの使用がおすすめです。にらめっこ編集室でお受け取りください。


vol.206 はじめよう!生ごみ対策

生ごみを制するものは「ごみ」を制す!

日本全国で私たちが出す「生ごみ」は年間推計で約2,842万トン。その内訳は約70%が食品産業から、残り約30%が家庭からの排出と言われています。生ごみについて注目すべき理由はその圧倒的な量の多さ(重さ)にあります!少なく見積もっても一般廃棄物に占める生ごみの推定量は約40%。特に生ごみは水分を含んだまま捨てられることが多く、重量比でも圧倒的な割合を占めています。可燃ごみの約40%を占める生ごみだからこそ、生ごみを無くせば、ごみはほぼ半減します。思い切って抜本的にごみ削減に取り組もうとするなら、生ごみを何とかするのが一番の近道です。まさに、「生ごみを制すれば、「ごみ」を制す?!」というわけです。

生ごみの約60%弱が調理くず、約40%弱が食べ残しです。さらに、食べ残しのうち半分以上が「手付かずの食品」つまり未開封などの状態で手を付けずにそのまま捨てられた食べ物です。
調理くずについては、ある程度は出てしまうことが避けられないものです。なるべく無駄なく皮まで食べられるよう調理を工夫するなど、取り組みの余地はありますが、それらによって抜本的に量が減るものではありません。出てしまったごみをいかに活かすかというアプローチになります。
生ごみへの取り組みには大きく分けて、「そもそも出さないようにする」や「出す量を減らす努力をする」【発生抑制】へのアプローチと、「出てしまったものを有効活用する」【資源活用】の2つの取り組み方があります。

そこでまず編集部は「ごみの[資源活用]」に注目しました。
生ごみをリサイクル
堆肥化:「食べたものから出た生ごみを、もう一度食べ物をつくる資源とする」
生ごみを土に返す。生ごみは、焼却処分する場合でも厄介者です。含水率が高いため、焼却しづらく、炉の温度を下げてしまう原因となります。各地で生ごみの「水切り」をしてから捨てるように呼びかけられているのはこのため。
使いきり」「食べきり」「水きり」の「3キリ運動」などと推奨している自治体もあります。焼却に適さないのであればより一層、上手く活用する術を探りたいところです。そこで取り組まれているのが、生ごみから「堆肥をつくる」活用方法です。生ごみはもちろん自然由来のものですから、土に還すことができます。単純に、埋めて土に還すことで生ごみを焼却しない・処理費用を無駄にしない、というアプローチもあります。生ごみは各家庭(そして事業所からも)定期的に出続けるわけですから、上手く活用すれば、地域内で堆肥を作ることができる有効な資源となるのです。
コンポストに取り組むと、自分の出したごみをよく見直すことになるから、無駄にする食品を減らそうという動きになります。

生ごみ発生抑制のヒント

ごみの[発生抑制]-1

調理くずや生ゴミの場合
出さないようにする、出す量を減らす努力をすること。

皮まで食べる:ベジブロス 野菜のくずから取るスープは、抗酸化作用が強い「ファイトケミカル」がたっぷり。ファイトケミカルは、第7の栄養素と呼ばれ、老化防止や生活習慣病予防効果で注目されています。スープや汁物、煮込み料理、炊き込み御飯など、和洋中様々なお料理に使えます。
作り方 ① お鍋に野菜のくず、水、酒を入れて、沸騰後弱火で20分ほど煮る。 ② ザルでこして出来上がり。 ③ 冷蔵庫で3〜4日保存できます。

ごみの[発生抑制]-2

ゴミになるなぁ、と思うものを買わないのがポイントですが、過剰包装が日常的になっている日本ではなかなかハードルは高い。自治体サイドでは、回収日を少なくする、回収指定ごみ袋の価格を引き上げるなどの取り組みも。例えば加茂郡白川町では、・可燃ごみ袋(大)10枚 1,000円(小)10枚500円で、必ず袋に世帯主の名前を記入すること。というルールがあります。住民は一枚100円もする指定ごみ袋を使用するため、常にごみの量を気にします。また、食用廃油は最寄りの回収場所に設置してある専用容器(ドラム缶)に破棄できるなどの取り組みも。他に、岐阜市、大垣市、笠松町などは、生ごみ処理普及のため、さまざまな補助金制度があります。

 

生ごみは、ほかにもこんなリサイクル方法があります。

飼料化:主に食品関連事業者が出す食品廃棄物を発酵処理し、飼料を作成して、豚肉を生産し、また食品として提供していくもの。
バイオガス化:発酵させてメタンガスにします。ガスは発電に、発呼以後の残りかすは肥料として利用。
炭化:加熱をして炭にします。有機性のものに限ります。燃料などに利用できます。

 

 

 


vol.206 はじめよう!生ごみ対策Part-2 

生ごみに含まれている豊富な微量元素は、生命の維持に欠かせない要素です。実は生ごみを焼却するということは、その貴重なミネラルの循環を断ち切ってしまう。そこでまず、資源となる微量元素について調べてみると…。

こんなにたくさん!なんとしても土に還したいね!

ここからはフレンチ「Ode」オーナーの生井氏と生ごみの専門家・福渡氏による、新たな生ごみのあり方を模索する特別対談をご紹介します。        ELEMINIST SDGs特集より

福渡:私も生ごみは燃やすことが当たり前だと思っていました。いまでも多くの家庭では、生ごみを捨てるのが世界の常識だと思われています。ところが、「EUや北欧では、生ごみはバイオごみとして集められ資源化されていますよ」と説明するとびっくりされて。捨てれば回収してくれるので、そもそも関心がないのだと思います。

生井:僕は、農家の方と食材について直接やりとりするようになったことで、関心を持つようになりました。畑に行っていろいろな気づきを得たことで、食材としての価値を自分で見出すことができるようになったし、料理観が変わりましたね。

土の循環を意識した生ごみの考え方

––生ごみが農地、土に還っていないことも問題なのですね。

福渡:生ごみ、とくに植物性の生ごみは微量元素の宝庫なのです。植物は、光合成をするとともに根から微量元素や水分を吸収して自分の体をつくるので、健康な農作物は微量元素の豊富な農地で育てることが必要なのです。そして、その野菜が吸収した微量元素がまた土に還らなければ、土壌はどんどん痩せていきます。江戸時代では、人のし尿が肥料として重宝されていたぐらいです。健康な農作物を育てるには、野菜くずやし尿、雑草や落ち葉など微量元素を豊富に持つものを堆肥にして、絶えず土壌に施さなければなりません。しかし、いまではそうした生ごみなど有機物は焼却されてしまい、栄養素や微量元素のサイクルが人のところで断ち切られてしまっています。

生井:土や環境が食材に与える影響は大きいですよね。Odeで出た端材を乾燥させてつくった野菜パウダーを、カヌレの生地に練り込んで提供したり、乾燥させた葉を最後にお茶として出したりもしています。

––福渡さんはそうした問題の解決手段として「カラット」という生ごみ乾燥容器を開発されていますね。

福渡:「生ごみカラット」は、生ごみを入れて風通しのよい所に洗濯物を干すようにぶら下げておくことで、水分を取り悪臭を低減する容器です。半乾燥させることで、腐敗しにくく堆肥化しやすくなります。焼却する場合も、最近の焼却炉は廃棄物発電装置を備えていますから、水分を取っておくと燃焼エネルギーを効率よく活用できることになります。プランターに基材(土と腐葉土あるいは竹パウダーなど混ぜたもの)を入れ、よく混ぜればすぐに堆肥化しますよ。土中の微生物がすぐにエサに食いつけるように、ときどき酸素を補うために切り返しをしてください。廃油も堆肥化できます。みなさん新聞紙に吸わせて可燃ごみに出したりされていますが、プランターの基材に少しだけ入れてよく混ぜれば、油かすになって栄養豊富な堆肥になる。お茶殻も抗酸化物質が残っているので、堆肥にすれば大葉やネギにも虫がつきづらくなります。

生井:油を入れてもいいっていうのは衝撃ですね。

福渡:土がベタッとするほど入れてしまうのではなくて、小分けにして土に混ぜていくと、腐敗しません。

生ごみを減らすための買い物術と料理法
鍵となるのは食材との向き合い方

––生ごみを出さないために、家庭の料理で取り組まれていることはありますか?
生井:無駄にしないという面では、ぜひ“マル”のままで食材を買ってほしいです。切り身ではなくて、まるまる1匹のお魚や、カット野菜ではないものをってことです。昔の日本ってすごい。切り干し大根にしたり、塩漬けにしたり、たくさん農作物が採れたときに、きちんと保存して冬を越すための知恵があるんですよね。いまではそうした知恵や日本の発酵文化が、海外の人たちに評価されていて、僕らはそれを逆輸入して新しい料理に取り入れたりしている。

––さらにカラットやコンポスト容器を活用できれば、もう本当にゼロウェイストですね。

生井:単純に面白いですよ。僕も布製のコンポスト容器を使っていますが、毎日ちょっとずつごみを入れて混ぜたりしていると、前に入れたごみがいなくなったりするので「どこ行った?」って(笑)不思議で楽しいんです。

福渡:堆肥化するには、細かく刻むことが重要ですね。塊で入れても、微生物が食べづらいのですぐにはなくなりません。微生物に餌をあげるようにして、調理くずは細かく刻んで土と混ぜてあげる。土を混ぜる、切り返す理由は酸素を土中に送ってあげるためです。生ごみを早く分解する微生物たちは、酸素を取り込みながらエサを分解しますが、酸欠状態になると生ごみを臭くする微生物が活動を始めます。微生物の勉強もしてみると、堆肥化の仕組みがわかって楽しいですよ。

––「野菜が私たちの手元にどうやって運ばれて来ているのか」「そもそもごみって何なんだろう」という疑問を持つことが、ごみをなくしていくための考え方には必要そうですね。

生井:いまはそういうことに気づく人々が増えてきていますよね。ごみっていう言葉で一緒くたにされていますが、きちんと価値を見出すことができる人たちが増えてきている。

福渡:そういう人たちが増えてくれば、リサイクルやコンポスト、ゼロウェイストといったことが、もっと当たり前になりますよね。

 

 

 

 

 

 


vol.206 そもそもごみってなんだ?

私たちの周りには、たくさんのものがあって便利だけれど、その一方でたくさんのものがごみとして捨てられている。この”ごみ”は、廃棄物となる。廃棄物は “ごみ、粗大ごみ、燃えがら、ふん尿などの汚物や自分で利用しなくなったり他人に売却できないために不要になったもので、液状または固形状のものすべて” と法律で決まっている。
この廃棄物は、一般廃棄物と産業廃棄物に大きく分けられている。産業廃棄物は工場や建設現場など、事業活動によって発生するごみの事。例えば紙くずは、製本業者などから出るものだけを産業廃棄物と言い、一般のオフィスから出るものは産業廃棄物には含まれない。木くずなども、木材製造業、工作物除去などの特定の業種から出されるものだけが産業廃棄物になる。このことを業種指定という。
産業廃棄物以外のものはすべて一般廃棄物になる。私たちの家から出るごみや粗大ごみ(生活系ごみ)、一般のオフィスや商店から出るごみ(事業系ごみ) が一般廃棄物となる。

「おから」は資源なの?廃棄物なの?前代未聞の「おから裁判」での判決は…!?

おから事件判決 最高裁判所
1999年3月10日 第二小法廷決定

この事案は、豆腐製造工場から排出される副産物である「おから」が産業廃棄物であると判断しました。「おからは食品や飼料として活用できる『資源』であり、『不要物(廃棄物)』ではない。つまり、取り扱いに産業廃棄物処理の許可は必要ない」、これが業者の言い分でした。おからは、栄養が豊富で惣菜としてお店で販売されており、なぜ廃棄物に該当するのか分かりにくいです。しかし、・おからが腐敗しやすいという特性(A.物の性状)・多くの豆腐工場がおからを廃棄物として排出している実態(C.通常の取扱形態)・処理料金が支払われていた(D.取引価値の有無、E.占有者の意思)などから、裁判所は、本件においては産業廃棄物に該当すると判断したのです。そして、無許可でおからを受け入れていた業者は、産業廃棄物の無許可営業罪に該当するとされました。

裁判から23年。おからの再利用は進化した!

実はおからは、味もさることながら栄養面でも大変優れた食材なのです。カルシウムやカリウム、さらにはタンパク質も豊富。中でも食物繊維の数値は特に優秀で、便秘解消や腸内の健康維持に力を発揮してくれるのです。「おからクッキー」や「おからパウダー」といった商品は、スーパーでもよく見かけるようになりました。また、おからをバイオ燃料として再利用しようという研究も進められています。かつては廃棄物の烙印を押されたおからですが、およそ20年の時を経た現在、資源として改めて注目を集めているのです。

注目のアップサイクル食品OKARA

実は、アップサイクル食品として、米国で注目されている食材がある。それは、ズバリ、おから。そのまま英語表記で、OKARAとし、「豆乳のサステナブルな兄弟」という、いかにもキャッチーな表現で紹介している。そんなキャッチーでサステナブルなOKARAは、高タンパク質でグルテンフリーな「おからパウダー」へとアップサイクルされ、小麦粉の代用品として多くの支持を獲得している。同パウダーを使ったチョコチップクッキーなども販売され、評判も上々のようだ。

アップサイクルって何?

アップサイクルとは、古くなったものや不要なものを、それらの形状や特徴を生かしたうえで、まったく新しくて魅力的で価値のあるものに生まれ変わらせること。廃棄物を再生利用するリサイクルやリユースとは、似て非なるもので、元のモノよりも高い価値がつく点や、サステナブル(持続可能で環境によいというニュアンスで使用される言葉)な点が、注目されている。
アップサイクルへの取り組みは、ファッションや生活雑貨などの業界で、盛んに行われている。たとえば、自動車のシートベルトや自転車のチューブを、実用的かつデザイン性に富んだバッグにアップサイクルしているスイスの企業などは、世界的に有名。

食のアップサイクルとは

まだ食べられるのに捨てられてしまう食品をはじめ、これまでメインとなる食品の製造段階で捨てられていた食材、規格外のものや商品化されていなかった食材などを使って、さまざまな商品やサービスが開発されています。



生ごみを堆肥に、今は仕組み作りを模索中

産業廃棄物が大きな問題になった30数年前。その頃から「ごみ」に関心があった田辺さんはスキルの違う二人に声をかけ、「いのちの循環プロジェクト」(通称:いの循)を立ち上げた。自宅では生ゴミ(野菜くずなど)は処理をして一切外に出さなかった。自身が運営する事業所でも同じようにしたいと思い立った。家庭から出る生ごみを各家庭で堆肥化し、「生活圏内」に複数ある菜園で野菜を育てるのに使うというしくみ。いい循環ができるよう仕組み作りを進めている。


ふどうの森トレイルラン試走会deごみ拾い for 2022

1月22日(土) 参加人数:約60名

ふどうの森トレランの試走会は、清掃活動も合わせて行いました。毎回ごみ拾いを恒例の作業として各務原地内の公道部(トレランコースの一部)を全員がゴミ袋を片手にごみを拾いながら試走。ごみ拾いと合わせた試走会の方が充実しているようで、ワイワイ言いながら楽しそう。他県など遠くからの参加者もあり本当に感謝、感謝です。
ごみの種類は、ペットボトル、空缶、コンビニのレジ袋など。それにしてもなんとゴミの多いことか!
ごみを拾い終えた参加者はどなたも清々しい笑顔。スタッフが一番いやされる瞬間です。協働することで仲間意識も高まりますね。

関市、各務原市、坂祝町にまたがって行われる、トレイルラン大会。
2022年は5月15日になりました。

ふどうの森トレイルラン実行委員会事務局FAX:0575-24-0099
メール:shojihayashi34011@yahoo.co.jp


リサイクルアートで環境問題を問いかけたい

アンタール アレステギ パズ ルピオさん(36歳) メキシコ人 日本に来て10年。現在は鹿児島県在住。メキシコで生まれ育ち、その多彩な才能を幼い頃からアウトプットし、絵を描く事やアボカドの種を利用した彫刻アート、使用しなくなったプラスチックを利用したリサイクルアートなど、様々な種類のARTを製作し続けている熱心なリサイクルマン。ZOOMでお話を伺った。

アンタールさんはメキシコのさまざまな場所に住み、現在は日本に拠点を置いて、農家で働きながら妻と息子の3人で暮らしている。そこには不要になったビニール袋がいっぱい!道を歩けばいろんなごみが落ちている。それらを拾ってきて、色別に分けて家にストックしている。その中にはまだ使えそうなものもいっぱいある。集めている素材は、スチール、ワイヤー、ロープなど。とても興味ふかいと思うのはいろんなシチュエーションに使えそうな魚網。とりあえずなんでも拾って、キープしておく。ごみを見ると宝物と感じて、もうごみから目が話せないという。
「私は、捨てられたアイテムにセカンドライフを与え、私たちが絶えず捨てているものを再評価するのが好きです。私たちが環境に対して何をしているのか、そして私たちが自然をどのように扱っているのかに注意を払うことは非常に重要だと思います。」
捨てないことの方が大事だが、ごみとなってしまったモノをもう一度価値あるモノに変化させアート作品に仕上げる。みんなもポイッと捨てる前にもう一度命を吹き込むことはできるはず、と地元でワークショップも展開している。
「再利用やリサイクルには多くのやり方があり、私の手法はその中のひとつ」。アンタールさんは、ごみをリサイクルして、子どもや大人の想像力をかき立てようとしている。
「私たちの行為に責任を持つこと、その意識がリサイクルに繋がり、環境に影響を与える重要な行為に繋がります。」

ゴミ問題の根本は、企業がゴミとなるものを作り出さないこと。さらに消費者の意識変革も重要となる。アンタールさんは特に今プラスチックゴミに危惧を覚えるという。
インタビューの内容は引き続き、次号の「熱中人」で紹介します。

 

 

 

 


vol.206 続・ぎむきょーるーむ 子どもの傷と周囲の気づき

基本になること—

なにか理由があるのではないか、と思いをめぐらせる

学校に行きしぶっている子どもが、朝起きてこない、なかなか学校に行く準備をしない。すると、「早く起きなさい」とか「なに、ぐずぐずしているの」などと叱責し、追い立てることはするけれど、なぜこういう状況になったのか、なにか理由があるのではないか、と思いをめぐらせるということは、たぶんあまりないのではないでしょうか。
子どもが家にひきこもる生活をするなかで、不安感や孤立感から自分の世界を守るためにゲームやネットなど意識が集中できるものにとりくんでいる場合、それを激しく叱責しとりあげることは、子どもの家での心の居場所をとりあげたり狭めていくことになります。親の立ち位置から子どもサイドに視点を移し、子どものおかれた現実を見直していくことが必要です。

話を聴くこと、話をすること—

親にほんとうの話をするとき

子どもは、最初に親が安心するような話をすることが往々にしてあります。けれど、最後に本音をいうことがあるから、話は 最後まで聞いてみないとわからない。グループ相談会(私が主  宰する「モモの部屋」では、こじれた親子関係を改善し解決するために話し合っています。)では、このことを他の人の話を聴くことで学ぶんですね。人の話を最初から最後まで聴くことができるようになる。あるいは最初から最後まで一部始終を自分で話すことをできるようになると、はじめて家に帰ってわが子の話を聴くことができるようになります。親が話を聞く耳をもつようになると、子どもも親に話をするようになるんですね。親が「無理して学校に行かなくていいよ」といいながら、学校に一日でも早く行ってもらいたい、休み休みでもいから行ってもらいたいと思っていたりしているときは、子どもはほんとうのことを話しません。そのような状況で子どもが話をすることがあっても、それは不安になっている親を安心させるための話です。
自分がどんなにつらい経験をして、どんなに深く傷ついたか、人が信じられなくなって人生に絶望し、「今日死のうか、明日死のうかと思っていた時期もあったんだよ」というほんとうの話は、親がほんとうの意味で聴く耳をもって聴いてくれないかぎり、できないんですね。

親が心すること—

必要なのは屋根と寝床と食事、そして時間

子どもに必要なのは、まず雨露しのげる屋根と、安心して眠れる寝床があることです。子どもは、学校に行かない、行けなくなったことの原因や理由をわかってもらえず、親が焦って学校に行かせようと追いつめるときには、親に反抗したり、乱暴してしまったり、物を壊したり、自己防衛のためにいろいろなことをしてしまいます。そのため、寝ているあいだに「殺されるかもしれない」という不安をもっている子どもがけっこういます。そういうとき、親は「殺そう」とまでは思わなくても、「この子が交通事故にでもあって、死んでくれたらいいのに」と思っていたりします。以心伝心ですね。子どもは赤ちゃんのときから親の顔を見て育っているから、親がおなかのなかでなにを思っているか、神様よりよくわかっています。
子どもは親に多くのものを求めていません。悩みや心配を抱えているときは、食べるものが偏ったり、過食、拒食になったりすることがあります。食べることは命をつなぐことですので、そこにいろいろな変化が現れます。食べものを用意するときも、その子の口にあったほんのわずかな食べものでいいんです。偏食と思わず、その人にあったちょうどいい量の食事ともいえるでしょう。
子どもに必要なのは、屋根と寝床と食事、この三つとそれから時間です。子どもが自分の心に負った傷の痛みや苦しみも含めて自分の失ったものを回復するには、十二分な時間が必要です。急がない、焦らないようにすれば、子どもは自分の問題を自分でしっかり解決して、やがて一歩を確実に踏み出します。親にできるのは、こういうことなんですね。

「助けて」をいわない子への注意

保育園や幼稚園で子どもが「行きたくない」と泣き叫んだとき、それをしっかり聴いてあげたでしょうか。親たちは「園に来たら遊んでいるので大丈夫です」といわれ、そのことを頼りに通わせつづけます。「いやだ」「助けて」と泣いて抵抗した幼い子どもたちは、自己主張したとき大人は誰も助けてくれないという思いを強くします。大人は「いい子」でいるときは受け入れてくれるけど、「いやだ」と自己主張したときには助けてくれない。そういう経験をした子どもは、「助けて」といわなくなり、相手が求める「いい子」を演じつづけ自己を抑圧します。その結果、子どもは「ほんとうの自分が望んでいることがわからなくなる」ということが起ります。心は登校拒否、身体は登校を続けた子どもが学校の先生などから「ほんとうにいい子ですね」といわれることがあります。しかし、それが限界にきて、矛盾した自己を統合することが耐えられなくなったとき、ほんらいのその子の存在の中核にあった「NO」が出てくるのです。

「NO」をしっかり受けとめる

その子の抑圧されていた「NO」は、自分自身を回復させるために必要な「NO」です。学校に行かない、職場に行かないという拒否の「NO」です。ですから、それは子どもにとって、存在にかかわる自己主張なのです。そこを親がしっかり受けとめられるかどうかで、その先の子どもの人生の道筋がちがってきます。「NO」といっている子どもを強制的に元のレールにもどそうとするのではなく、「NO」をしっかり受けとめることが必要です。
こうして親の姿勢が変わり、親が自分のことを理解しようとしていると思えたとき、子どもはつらかったことや、理解してもらえなかった苦しみや絶望など、さまざまなことを話してくれると思います。それを最後まで聴く親がいることで、子どもは過去の傷を洗い、親子関係を修復し、自己実現のために歩み出すところに、しっかり立てるようになります。
親に求められているのは、子どもの過去といまをしっかり受けとめ、子どもが時間をかけて回復するのを信頼して任せることなのではないでしょうか。


内田良子 うちだ・りょうこ
1942年生まれ。心理カウンセラー。1973年より27年間、佼成病院小児科の心理室に勤務。1988年より23年間、NHKラジオ「子どもの心相談」アドバイザー、1998年、子ども相談室「モモの部屋」を開室。登校拒否・不登校・ひきこもりなどの相談会を開く。著書に『カウンセラー良子さんの子育てなぞとき』『幼い子のくらしとこころQ&A』『登校しぶり 登園しぶり』(ジャパンマシニスト社刊)


vol.206 しょうがいをみつめる vol.17

『This is me』

「The Greatest Showman」という2018年公開のミュージカル映画の劇中歌でもあるこの曲は、私にとってのパワーソング(聴くと元気がもらえる曲)の一つです。
実話に基づくこの映画は、一言で言うとP・T・バーナムという男の波瀾万丈サクセスストーリーといったところでしょうか。

貧しいながらも頑張って働いて、良家の娘チャリティーと結婚したバーナムは幸せな結婚生活を送っていました。しかし、ある日会社が倒産、解雇されてしまいます。家族を養うために思いついたのが、ユニークな人達を集めたショーの興行。やってきたのは、小人症や多毛症、黒人やアルビノのような、その特異な見た目から、人目を避けて暮らしてきた人達でした。
こういった人達を見せ物にするというのは、今の感覚からするとどうなのかという気もしますが、時代は19世紀。家族からでさえ忌み嫌われて、世間から遠ざけられてきた彼らにとって、バーナムの考えたショーは、自分をありのままに受け入れてくれる、認めてくれる家(居場所)となったのでした。
ショーは大盛況となりますが、街では興行に対する抗議運動が起こり、世間からはペテン師扱い。オペラ歌手のジェニーと組むことで、ようやく世間から評価を受けることができました。
その後のパーティでのこと。バーナムを訪ねてやってきたショーのキャストを、彼はなんと追い返したのです。せっかく掴みかけた名声を手放したくないがために。世間体を気にする余りに。
これまで受け入れられている、認めてくれていると思っていたバーナムの裏切りとも言えるその場面で、この『This is me』は歌われたのです。
自分達の居場所を見つけた彼らは、こんなにも強く生まれ変わったのです。
バーナムはその後も、ショーやキャストをないがしろにしていきますが、全てを失う一歩手前で大切なことに気付き、愛と絆を取り戻すことができました。

人は他人と違うことを恐れる生き物です。自分だけだったらどうしよう、他の人から変に思われたらどうしようと。ものすごく不安に駆られることがあるように思います。
そんなときにこの曲は、自分は自分なのだと信じ切る勇気を与えてくれます。

最後に。『This is me』のビハインドストーリーがYouTubeで見られます。この曲を歌うキーラ・セトル(劇中で多毛症の女性を演じる)が、自身のコンプレックスを見事跳ね除けて高らかに歌うその姿に、誰もが心を打たれるでしょう。ぜひ、一度ご覧ください。    S.I


Vol.206 人生これから!やってみたシリーズ第9弾

奥村八代生さん

虫食いの穴が開いたセーター、シミがとれない服、剥がれてしまった靴…。そんなものを発見すると、奥村さんはちょっとワクワク。それらをどんなふうに復活させようかアイディアをひねります。ただ元通りに修理するのではつまらない、自分の手を通してひと味加えて仕上げたい。セーターだったら、穴の大きさや形、素材の色やセーターのデザインなどを考慮し、フエルト、ビーズ、刺繍などを駆使します。見た人が一瞬「どうなってるの?」と考え、その後くすっと笑っちゃう、そんなデザインを考えるのが大好き。
好評だったのがフエルト、刺繍、ビーズで仕上げた蝿。「あれ?こんなとこに蝿がとまってるよ」「へへ、違うよん」なんて楽しい会話を想像しながら仕上げました。

奥村さんが最初にちくちくしたのは、虫食い穴がいくつも開いてしまったお気入りのウールのカーデガン。高かったし、とっても気に入ってたから捨てるという選択肢はなく、どうしようかと考えていました。友人がこんなのがあるよと、フエルトを使って穴を塞ぐやり方の存在を教えてくれて、早速やってみると意外と簡単で面白い! 穴の空いたところだけではなく、全体の様子を見てバランス良くフエルトをちくちく。もともと物は捨てずに大切にするタイプの奥村さん。大切なカーデガンを捨てずにすんでほっと一安心。そして、これなら簡単によりよい形で再生できるし、本体がいよいよダメになってもちくちくしたパーツだけ切り取って他のものに貼り付けて使うこともできる。以来セーター、靴下、洋服、靴と再生させ楽しい趣味が一つ増えた感じ。
家族や友人に頼まれると、服のデザインはもちろん、その人の雰囲気や体型、好きなものなどを考慮し、イメージを膨らますことから始める。その人らしさを大事にしたいから、ここが1番時間をかけるところ。完成形が定まれば後は仕上げに向けて全集中。「小さな直しでもすごく時間がかかることもあるんです。だから、直してってこの冬に頼まれてもできあがりは来年の冬だよって言うの」そんなのんびりしたスタンスは自分に合っていて、ストレスなく楽しめると奥村さんは笑います。

ちくちく再生は楽しいけれど、ただ楽しいだけじゃない。こうやって物に向き合うことで、自分自身を見つめることにも繋がっていきます。
「必要のない物はきちんと整理してサヨナラすべきだけど、誰にもひとつやふたつ『愛着や思い入れ』のある手放したくないものがあるはず。そんな物たちをもう一度甦らせることができたら、物ではなく自分自身を大切にできた気持ちになりますよ。ぜひ、試してみて下さい。」

 

 


vol.206 人生これから!整理収納術

方付けの順番

① ゴール設定 例えば、パン作り教室を自宅でやりたい。アウトドアをもっと手軽に楽しめるよう整理したい、など。自分らしい暮しができるゴールを設定しましょう。少しでも好き・やりたいがあるなら、それを大事にするとだんだん見えて来ますよ。
② モノの整理 整理とは、必要か不必要かに分けて不必要なモノを取り除くこと。取り除く方法は、
捨てる・リサイクル・リメイク・人にあげる。「捨てる」ことは一番早く整理を進められます。他は「捨てる」よりも何倍ものエネルギーが必要です。それだけのエネルギーを注ぐだけの価値があるモノかを考えましょう。「自分らしく今を生きるために必要なモノと量か」を基準に考えながら整理しましょう。
③ 必要なモノの収納 取り出しやすくて収納しやすい状態にモノを収めること。取り出しやすいことも大事ですが、しまいやすいことも大事です。

小さいスペースからトレーニング

まずは引き出し1個から!小さなスペースから始めてみましょう。キッチンの消耗品スペースは執着がないですから始めやすいと思います。捨てることに慣れるトレーニングをする。捨てられないという人は、自分はモノに執着している、何故なんだろうと考える。自分と向き合わないと先に進めないです。モノの管理はテクニックではなくて、自分が管理できる量にするということ。モノは使ってなんぼ、自分が管理できる量を見極めましょう。

夏休みの宿題を早めに終わらせれば残りの夏休みが楽しめるように、早めに整理すれば残りの人生を楽しめますね。
まずは、お財布の中のいらないレシートやカードを捨てること、引き出しの1つから始めてみませんか?

Q&A

Q.家族がなかなかモノを捨ててくれません。
A. まずは自分のモノをキッチリ片付けることがいいと思います。それでご家族も刺激されるかもしれません。ただ、リビングのように家族の公共スペースにまでモノを持ち込むのはNGとしたいですね。

Q.成人した息子達は大学の卒業証書をいらないと言います。せっかく卒業した証しなのに、と思うのですが。
A. 息子さんたちはハッキリしていますね。とっておきたいならばご自身が保存しておけばいいと思います。何を残すかが大事であって、全部を捨てる必要はないですよ。

Q.押し入れのように奥行きの深い場所の整理のコツは?
A. もしも奥に入れっぱなしで忘れてしまうものなら要らないのかも。必要ならばどこに何があるのか地図を描いておくのもいいです。大きな空間は使いにくいので、仕切った方がいいです。よく使うものは、戸を開けてすぐのところの「ゴールデンゾーン」にしまいましょう。

森口さんの実家のお話し〜実家の遺品整理について〜

13年前に両親が亡くなり、空き家となった実家は石川県にあり、めったに行けません。2年前に整理に手を付けた時、タンス6棹、大きな本棚、応接セット、などなど、2トントラックに山盛り!それでも未だに家の中に残っています。荷物を運んだレンタカー代、処分代、行き来するための交通費ホテル代等、捨てるのにもお金がかかります。やれどもやれども終わらないままコロナ禍となり中断、今もずっと心の負担となっています。私は子どもにそういう思いをさせたくないので、45才の今から整理しています。


もりぐち ゆうこ Hallelujah You(ハレルヤユー)主宰 整理収納アドバイザー
石川県出身・岐阜県可児市在住。「見映えだけじゃない“暮し映え”する北欧収納であなたの暮しにイロドリを!」テーマに活動中。ブログは「アメブロ 森口ゆう子」で検索!


vol.206 熱中人 西部沙織さん

手軽に、気軽に、簡単に!

多くの人にコーヒーを楽しんでもらいたい。

お客さんの「この前の豆、美味しかったよ」
の言葉に励まされてます。原動力です!

珈琲豆自家焙煎の店「ウエスタン」経営

西部 沙織さん(加茂郡富加町在住)

「コーヒーは焙煎、挽く、淹れる、飲む、と、その行程の全部を楽しみながら自分の好みにアレンジできる飲み物。だからお客さんにも生の豆を買っていただいて、焙煎からぜひ楽しんでもらいたいですね」
沙織さんの言葉に、素人が焙煎?焙煎機は?と疑問を持つ人は多いのでは。そう訪ねると、「焙煎機は自分で楽しむためなら胡麻煎り器で充分です!ご要望があればお一人からでも教室を開きますよ」と笑顔で答えてくれました。

コーヒー好きだった沙織さんですが、店に行っても納得できる味にはなかなか出会えませんでした。テレビで見た美味しいコーヒーの淹れ方を参考にしてもうまくできないし、本を読んでもよくわからない。ある日、コーヒー店主催の「コーヒーの淹れ方セミナー」に参加し、そこで飲んだコーヒーの味に「こんなに違うんだ!」と感動したことでコーヒーへの思いがますます強くなりました。
いつしか、その思いは美味しいコーヒーをお客さんに提供する側になりたいという夢になり「夢、追わせてください!」とパートナーに頼み込み、夢の実現へと動き始めました。
良い豆を扱う人がいると知れば東京まで足を運び、納得するまで焙煎について教えてくれる人がいないかと、全国を探し歩く日々が続きました。
やっと、この人に教えてほしいという人を三重県に見つけて、アポ無しで飛び込み、今までの経緯と想いを伝えました。「本気でやるつもりがあるのなら教えるけど、やめるんだったら今すぐやめなさい」と言われましたが、沙織さんの覚悟を知ると、コーヒー豆の仕入れ方、選び方、プロとしてのコーヒーの淹れ方や焙煎機についてなど、沙織さんが抱えていた疑問に全部答えてくれました。「ネット動画とか信じるな。自分の舌を信じろ。」とも。「厳しくて口が悪いので、本当はあまり喋りたくない先生ですが(笑)、この人はホンモノだなぁって思える人で、今でも時々わからないことがあると教えてもらっています。」

コーヒーを提供する側になってみると、美味しい淹れ方がわからない、他のコーヒー教室に行ったけど、よくわからないなど、コーヒーに対してとまどっている、かつての自分と同じような人が意外と多いことに気づきました。

どの人にもコーヒーを楽しんでほしい。ウエスタンのコーヒー教室のモットーは「手軽に、気軽に、簡単に!」。カフェではコーヒーを淹れる様子をお客さんに見てもらえるようなレイアウトにしてあります。
また、プロ意識の高い沙織さん、「お客さんから何か聞かれたとき、わかりません、知りませんって言いたくないんです」。お客さんのどんな質問にも答えることができる自分でありたい、と勉強は欠かせません。
コロナ禍で入荷が遅れたり、国によっては内戦で輸入が止まってしまうこともあるけれど、気になる豆はどんどん取り寄せ試飲し、美味しければ店で提供。美濃加茂市のお店で扱う豆は40種類以上にものぼります。

スーパーのレジで前に並んだ人のカゴにコーヒー豆が3袋もあるのを見ると気になって、つい同じ豆を買ってしまう、なんてことも面白がりながら、焙煎に配達に事務仕事と、忙しく仕事に励んだり、お客さんとの会話を楽しんだり。今日も沙織さんはコーヒー三昧の日々を送っています。

お湯の温度は85℃〜90℃、淹れる量が200ccまでならドリッパーは一つ穴、それ以上なら2つ穴の、豆がお湯にしっかり浸透し味の抽出しやすい台形がいいと思います。ろ紙は、無漂白のペーパーだとパルプの色や味が出てしまうことがあるので、酸素系で漂白されたものがお勧めです。

カフェ:コーヒーショップ ウエスタン(美濃市)
テイクアウトの店:ウエスタン里山(美濃加茂市)

 

 

 

 


vol.206 夢か悪夢かリニアが通る!vol.35

元東京都知事の石原慎太郎氏が2月1日亡くなりました。石原氏は運輸大臣に就任直後の1987年12月、全長7キロのリニア宮崎実験線に試乗し、「豚小屋と鶏小屋の間を走っているようなもの」と発言、本格的な実験線の工事費1000億円を負担するというJR東海の申し入れを受け入れ、山梨実験線建設へと大きく舵を切りました。一方、都知事時代の2002年1月には、高架で計画され住民の反対で凍結されていた東京外郭環状道路(外環道)を、地権者の承諾のいらない大深度地下トンネルで建設することを扇千景・国土交通大臣と合意しました。2つの巨大事業は今も、さまざまな問題をはらみながら続いています。現状をどう捉えているのか、今こそ「石原節」を聞きたかったと思います。(参考・老川慶喜著「日本鉄道史 昭和戦後・平成篇」、丸山重威著「住宅の真下に巨大トンネルはいらない!」)      ジャーナリスト・井澤 宏明

 

「信ぴょう性薄い」調査報告

事故後初めて、トンネル内部が住民と報道陣に公開された
(2021年12月16日、調布市で)

直上以外「緩みなし」?

 2020年10月に東京都調布市の住宅街で、「外環道」の大深度地下トンネル工事による陥没事故が起きて1年余り。陥没現場では、トンネル直上の幅約16メートル長さ約220メートルの範囲の約30軒に限り、「地盤の緩み」が確認されたとして、更地にして地盤補修するための「仮移転」や買い取りの交渉が進んでいます。
一方で、「直上」以外の多くの住民も、住宅の壁のひび割れや地割れ、体調不良などに苦しめられています。事業者の東日本高速道路(NEXCO東日本)は、直上以外の約200軒でも家屋被害の補修には応じているものの、移転対象とはしていません。

住宅の真下を通る外環道の模型。「大深度地下」が意外に浅いことが分かる

NEXCO東日本や国土交通省などは21年12月17、18日に開いた住民説明会で、トンネル直上以外について「工事の振動により家屋に損傷を与えてしまった可能性は否定できないが、地盤を緩ませたという事実は確認できなかった」と説明、住民の不安を真っ向から否定するような調査結果を公表しました。
この説明会に先立つ21年9月、住民から相談を受けた芝浦工業大の稲積真哉教授(地盤工学)はトンネル直上以外で被害の大きい住宅4か所を調査し、地中に多数の「空隙」を見つけ、地盤の緩みも確認しました。
この調査結果の報道を受け「住民の不安解消のため」として事業者が開いたのが12月の説明会でしたが、住民からは「私たちの実感はまるで違う。被害は日々拡大し、地盤の変動を感じている」などと反発の声が上がりました。
稲積教授は「20年に発生した家屋のクラック(割れ目)が1年たった今も成長しているということは、下の地盤が動いているとしか考えようがない」と批判しています。

トンネルを掘り進むシールドマシンの模型

陥没原因は「気泡剤」

危機感を募らせた被害住民は今年1月17日、外環道事業と直接かかわっていない第3者の専門家を招き「外環問題を考える緊急シンポジウム」を調布市で開きました。NEXCO東日本など事業者にも出席を求めましたが、応じることはありませんでした。
NEXCO東日本の有識者委員会(小泉淳委員長)は昨年2月、陥没事故の原因について「特殊な地盤と施工ミスが重なったため」とする調査報告を出しましたが、シンポに出席した谷本親伯・大阪大名誉教授(トンネル工学)、浅岡顕・名古屋大名誉教授(地盤工学)は口をそろえて否定。トンネルを掘削するシールドマシンで使用している「気泡剤」が地盤を緩ませ陥没を起こしたとの共通の見解を示しました。
さらに、地盤の「緩み」について谷本名誉教授は「『緩み』が生じる範囲は決してトンネルの直上だけではない」とNEXCO東日本の調査結果を否定。参加した4人の専門家全員がNEXCO東日本の説明や有識者委の調査報告について「信ぴょう性は薄い」と批判しました。
事業者「お抱え」の有識者委の調査報告に専門家からの批判が出にくい背景について谷本名誉教授は「土木の分野にいる人間はすべて公共事業に関係している。発注者(事業者)側の意向を無視すると、自分の仕事がまっとうできなくなるので、関与を躊躇してしまう」と明かしました。
専門家との対話から逃げたNEXCO東日本など事業者は、陥没現場周辺以外の工事再開へ向け1月末から2月初めにかけて、住民説明会を開きました。

 

 

 

 


vol.206 ボーダーレス社会をめざしてvol.65

NPO法人オープンハウスCAN 理事長 伊藤佐代子

逆転

娘が大学へ行くため、岐阜を離れる時のことです。私の父に「お母さんをよろしくお願いします」と娘が頼んでいる姿を見て、あ~心配される年齢になってしまったのだ・・・逆転しちゃったなとガックリきたのを思い出します。そのようなことが息子の周りでも起こりました。
娘家族が年末年始に我が家に来ました。普段は静かなお正月を過ごしているのですが、今年はスキーに行きたいから岐阜へ行っていい?と帰ってきました。一緒に賑やかに過ごしている中で、4年生の孫が障がいのある息子を思いやる姿が見られ、びっくりしました。「あっちゃん、すごいなぁ。」とか褒めることばがちらほらとあり、大人対応になっていました。1年生の頃は、「どうしてあっちゃんは、変な事ばっかり言うの?」「病気だから」「だって熱とかないやん」「熱がない病気もあるの。自閉症っていう病気だから」「ふーん」分かったような分からないような変な会話した覚えがあります。
その時、娘に「K君が、お兄ちゃんの事を聞いてたから、上手に話しておいてね。」と委ねておきました。これからの長い人生、できれば障がいのある伯父さんを理解して欲しいですから。しかし、すぐには理解が追いつかなかったようで、距離を取り近寄ろうとはしませんでした。
現在1年生の孫もいますが、今回、その子も同じ様に近寄らず、遠くから見ていました。元旦に「カルタをやりましょう」と息子が娘家族を誘いました。犬棒カルタ・都道府県カルタ両方ともすごい早い取り口で、息子の圧勝。皆が呆気にとられました。1年生の孫にすれば、もう不思議で、不思議で、理解ができないのでしょう。何とも言えない表情をしていました。しかし、3年前にそんな状態だった4年生の孫は、すっかり変わり自然体で、何事も寛大に受け止め、嫌な顔を一切しないで上手に付き合っていました。
3年と言う歳月は、すばらしく成長をするのだなとびっくりするのと同時に、娘・娘婿がきちんと障がいについて話してくれたのだろうと想像しました。
一般の人は、障がいのある人と関わることが少ないので、このように順調に障がいを理解することはできないかもしれません。孫たちの姿を見ていますと、1年生の状態(理解できていないまま)の人が、障がい者を差別したりするのかもしれません。そのような人をなくし、障がい者を受容してもらうためには、障がいをきちんと説明する人、障がいのある人と接する機会、両方が必要なのだろうと思います。
最後に、4年生の孫が「あっちゃんにもよろしく言っといてな」と帰っていきました。


vol.206 未来に続く暮しの学び 最終回

食を囲む

人が集う場で平和と調和に満たされた関係性を築くには…。私は最近こんなことを考えています。同じ土地で、コミュニティとして持続可能な生活を探求しつづけてはや8年半。
2022年を迎え、過去2年もの間コロナの社会的影響を受け、厳しい規則の中で軌道修正を余儀なくされていたように感じます。でも持続可能な暮らし方は心の奥で待機している。と、いうことで、ここでの暮らしも新しい方向に舵をとる起点に立った気がしています。
実際に同じ方向を目指して、この土地(エリア)の全住人がそれぞれの生活があるなかで、共通点や、近所同士のつながりを求めています。
今年にはいり、月に一度はみんなで顔を合わせようと夕食会を開くことにしました。住人すべてのひとに共有できることとは…やはり「食」。そこで一品持ち寄り会をすることに。食ならみんな共有できる。食を中心にすることは、私たち人間が生きるための根本的な要素だと感じます。畑でとれる野菜をつかったレシピを紹介したり、なにがここの畑では育っているのかを、共有できるいい機会。とても和やかな会になってほっと一息。よくよく考えてみたら、先住民族に限らず私たちの先人たちも、収穫祭を行ってきた。実りの祭りとして、食を中心に集まるのは必要なことと改めて感じています。特に今年はローカルブッシュフードのバニャナッツの豊作の年なので、それを調理してみたり。先住民族の人たちは収穫祭として、わざわざ遠くに住む地域の部族も集まってくるという。テクノロジー世代の私たちでも、顔と顔を合わせることで、「土地を共有している」という意識が芽生え、それだけでも価値がある。私は今それを強く感じ、これからもお互いのつながりを大事に、ここの土地での生活を日々を感謝して過ごしていこうと思います。

YAO


vol.206 菌ちゃん野菜応援団 vol.27

まるっと3年ぶりに!!!

私たちの畑にトラクターが入りました!

暑いなかゼーゼー言いながらくわをふるい、草を抜いたり畝立てしたりしていたのを見ていた近所のお百姓さんが「冬にトラクターいれてあげるよー」と!!!!

ほんとですかー!!有りがたすぎますっ!と言うことで、その日大きなトラクターと共に颯爽と現れた農家さん、瞬く間に畑はならされていきました。

不耕起というやり方もありますが、あまりに草が生い茂りすぎて手におえなくなっていたので、大きな管理機は本当に嬉しい。
マルチや支柱などをどけたあと、ぐおんぐおんと土が掘り返され、ふかふかの状態になっていくのはもうもうわくわくしちゃう。その後お師匠さんがこれまた機械で畝を立ててくださり。私たちの目の前には瞬く間に見違えるほどの美しい畑がっ。

いやぁ、手で地道にやることも大切だけれど、文明の利器ってすばらしいー!!!さ、次は春に向けて草や生ごみを投入し、土の中に菌ちゃんを増やしていかなくちゃ、ですね。楽しみだー!!


絶品ゆず大根

・大根500g(1/2本)
(拍子切りして塩もみ)
・塩大さじ1・砂糖50g
・酢大さじ3
・ゆず1個(皮を千切りに実は絞る)

鍋に砂糖と酢を入れ沸騰しないよう弱火にかける
火を止めたらゆずの絞り汁を加え混ぜる
ビンに大根の水気を絞って入れ、甘酢と皮を入れる


VOL.206 ここいく日記 はじめの23歩

昨年末、コロナ感染が落ち着くと一気に「いのちの授業」の依頼が殺到し、嬉しい悲鳴。
しかし、束の間の終息でした。今年に入り一気にオミクロン株感染拡大。1月2月の「いのちの授業」は続々キャンセルでほぼ全滅です。そんな中、終息期間に開催できた授業の感想が次々と届きました。

<小学校6年生の感想です。>
・僕は、精子を出すことや、勃起をすることは、恥ずかしくないんだなと思いました。
・私は赤ちゃんはチューしても生まれないことがわかった。
・命って大切だなって思った。数多くある中から1つの命が誕生した。もし違う精子だったら生まれてなかったと知って生まれてきたことに感謝して幸せに思うままに生きたいなと思った。
・私が生まれてきたことはラッキーなことなんだと思いました。今まで好奇心?で死んだあと どうなるんだろとか、首をしめてみたりとか、自分の命を軽く見るようなことをたくさんやってたりしたので大切にしていきたいです。
<中学3年生の感想です。>
・たくさんの奇跡が重ねってある自分の命、他の人の命を大切にしていきたいと思いました。ここいくさんたちが何度も「生まれてきてくれてありがとう」と言って下さって嬉しかったです。
・私はとても勇気をもらいました。人権を守るよう歌を使ったり映像を使ったりとても分かりやすかったし、自分らしく生きていいんだと思いました。一つの命は一つの宝物ということが分かりました。
・僕はもう両親を亡くしてしまって、辛い時もあるけど自分の命を大切にして親の分まで生きたいと思いました。

こんな素敵な感想をたくさん読みながら、受験生刺殺事件で逮捕された高校2年生の報道が頭をよぎりました。
「医者になれないなら死のう」と思ったそうです。
なぜ医者になりたいと思ったのだろう?医者を目指していたのに「いのち」を大切しない選択をしたのはなぜだろう?質問してみたいと思いました。
そして、こうなる前に出逢い「いのち」の話を伝えたかったな・・・とも思いました。
高校2年生、入学してずっとコロナ禍です。人との距離を置く新しい生活様式の中で、学校行事の多くが縮小され、仲間と共に創り上げる苦労、達成感、感動など、心に火をつけるような体験を少しづつ失い、勉強ばかりの日々が続いていたのではないか? 決して許される行為ではありませんが、どんな環境だったのだろうか?なぜそこまで追い詰められていたのか?と思いを馳せていました。
こんな時だからこそ、私たちの「いのちの授業」が少しでも役にたてるのではないか?
いや役に立ちたい。「いのちの授業」を届けたい。そんな思いが増して、相次ぐキャンセルが悔しいです。
子どもの2年と大人の2年は全く違うのに、子どもたちの掛けがえのない日常の時間を、あまりにも過小評価している気がします。大切な時間を子どもたちから奪い、何を守っているのか疑問です。

今こそ、人間の体の素晴らしさ、心の健康、人権、食の大切さを「いのちの授業」包括的性教育で伝えていきたいです。

担当:ここいくメンバー・古川明美でした。
ここいく☎090-3446-8061(中村)


VOL.206 連載-6南の島よりハイタイ

 

前回に引き続き、今回も浦添市在住の素敵な方をご紹介しましょう。
浦添市でカフェを営みながら、シーグラスで作品を作っていらっしゃる島田春奈さんです
皆さんは、シーグラスをご存知でしょうか。割れた瓶から生まれるもので、波にもまれて角の取れた小片となり、曇りガラスのような風合いが特徴です。水にぬれると キラキラと輝き、海の宝石とも呼ばれているとか。
そのシーグラスの作品を初めて見た時の感動は、忘れられません。捨てられた瓶が長い年月を経てアートに。それと同時に、海から流れ着いた他のものにも関心を持つようになりました。カフェの前に広がる砂浜には、シーグラスと共に様々なものが漂着します。ペットボトルやレジ袋、発泡スチロール、そしてたばこの吸い殻が多いのには驚かされました。冬は北風が強いので、遠くからのごみも漂着しますが、街中のごみが、排水溝や川を通って海に流れ着くことを初めて知りました。
海が好きで15年ほど前に偶然見つけたシーグラスの美しさに魅せられ作品を作り始めた春奈さんですが、それが、人や海に住む生き物がけがをする危険なものだと知ってからはビーチクリーンも行うようになったとか。
「マナティ」これは、沖縄生まれのクリーンアップでつながるプロジェクトです。企業、ホテル、観光協会、民宿、共同店等々、そして、春奈さんのカフェ(隠れ家カフェ清ちゃん)もパートナーさんです。参加費一人500円で、集めたごみは、パートナーさんに任せて、手ぶらで参加し、手ぶらで帰れる仕組みになっています。海岸だけでなく、那覇の国際通りなどでも、街マナティが行われています。
自分の今、使っているものに目を向け、ペットボトルの飲み物を買わずにタンブラーを持ち歩く。たったこれだけのことでも、実行する人が増えれば、世の中いい方向に向かっていくのでは。「マナティを通じて、一人ひとりが自分の生活を見直すきっかけになり、ごみを減らす工夫に目を向けられるようになればうれしいですね。
人工的に全く手を加えない、海岸にたどり着いたまんまのシーグラスを、パーツを合わせて作り上げる春奈さんのシーグラスの作品に触れ、今の海の現状に思いをはせることも素敵ですね。


かとう まみ プロフィール
岐阜市生まれ。桐朋学園大学音楽学部演奏学科ピアノ専攻卒業 ・2015年5月:写真集「奥飛騨に響く種蔵の里」(岐阜新聞社)出版 ・2019年6月:写真集「ばあちゃんぼくが継ぐ」(岐阜新聞社)出版・個展3回 岐阜市美術展委嘱作家岐阜市美術展部会推進委員・岐阜県写真作家協会会員・二科会写真部岐阜支部委員・ギフフォトクラブ会員


VOL.206 プレゼントコーナー

206号 PRESENTS

プレゼントご希望の方は、ハガキまたはe-mailで、下記のアンケートを1〜6までご記入の上、編集部・プレゼント係りまでお送りください。
〆切:2023年3月25日 当日消印有効。
宛先 〒504-0855 各務原市蘇原新栄町3-15
e-mail: info@niramekko.com
※お寄せいただいた個人情報は、本紙プレゼントの発送に限り、 使用させていただきます。
※当選の発表は発送をもって代えさせていただきます。

1-あなたが「ごみ減量に実行していることは?」
ごみ対策は環境問題の出発点あなたが実行する!と決めた事、具体的に教えてね。

2- 気になるにらめっこ紙面での広告
3- 気に入った記事、気に入らない記事の
タイトル1つ・その理由もお書きください。
4- ご希望のプレゼント名 (第1希望・第2希望 を必ずお書きください)
※Aは編集室まで受け取りに来られる方。
5- 本紙をどこで入手されましたか?
6- 氏名、年齢、住所、郵便番号、電話番号、 家族構成


A.「CAT&DOG専用機能性サプリ」
トライト様より…猫用犬用各1名様

猫or犬の身体に有益な多くの成分と人間用と同レベルの安全性。乳酸菌を超えた「女神菌生産物質」が配合されています。ペットも大切な家族、ずっと元気でいてほしいですね。にらめっこ編集室でお受け取りください。(1g×60包入)


B.「よりよく生きるためのライフデザインノート 『ゼロの昇天』」                    人生これから!様より…3名様

絵本作家・高畠 純さんのイラストが軽妙!これからの人生をどう生きようか?私らしくってなんだろう?そして人生の最期を自分らしく迎えるって?そんなヒントがいっぱい詰まっています。


C.「CINEX 映画招待券」
シネックス様より…ペア3組様

大きなスクリーンに映し出される雄大な景色、スピーカーから出される音楽の響き…。作品の素晴らしさを存分に味うなら、やっぱり映画館!写真は「クレッシェンド 音楽の架け橋」のひとこま。岐阜市柳ヶ瀬のシネックスでご利用いただけます。


D.「ダンボールコンポスト」             

いのちの循環プロジェクト様より…1名様

キッチンから出る調理くずとか食べ残しは臭うし、すぐに捨てたくなりますよね。でも、手放すならこのコンポストへ!バクテリアが生ごみをパクパク(分解)してくれて、とてもいい堆肥になりますよ。毎月コンポストシェア会を開いていますので、参加できる方優先です。セット内容:基材(燻炭・ココピート)ダンボール・カバー


vol.205 はじめよう!腸活

「腸」能力を鍛えて、免疫力を高める!
腸は脳に次ぐ多くの神経細胞が存在し、感情にも深くかかわっているため「第二の脳」と呼ばれています。さらに、体内の免疫細胞の60%以上が腸管(小腸と大腸を合わせた部分)に存在しているので、腸内環境の悪化は免疫力の低下につながり、風邪や病気にかかりやすくなります。
腸内環境を整えることが免疫力を高めることにつながります。大腸には小腸ほど免疫細胞はありませんが、たくさんの腸内細菌がすんでいます。腸内細菌は善玉菌、悪玉菌、日和見菌の3種に分けられ「2:1:7」の割合を維持できると腸の免疫細胞が活性化します。腸内細菌を増やす方法は、乳酸菌や納豆菌などをとり、そのエサとなる「食物繊維」をとることです。さらに、下記の「免疫力を高める効果のある栄養素」を意識しながら、バランスの取れた食事を心掛けましょう。

そこで、おいしく食べて腸活しましょっ!
元気な腸を作る活動=「腸活」は、日常の食生活に少し気を配ることから。何を、どのように食べれば良いのか。今すぐできて、簡単で、それでいて効果が期待できる「食べる腸活」。食べ物の栄養を吸収するのは、腸です。その腸を、栄養を吸収しやすい状態に整える活動を「腸活」と呼んでいます。

腸が元気になる5つのメリットとは?
1-巡る血がきれいになる
2-免疫力低下を防ぐ効果
3-幸福感に満たされて穏やかになる
4-美肌効果あり
5-スリムボディを手に入れられる
日常の食事にちょっと気をつけるだけで
「腸活」はすぐに始められますよ

ポイント-その1
発酵食品、オリゴ糖、食物繊維をたくさん摂ろう!
「腸活」に有益な食材は大きく分けて3つ。
1-発酵食品ならびに発酵調味料
発酵食品は、健康に有用な菌を腸に直接届け、さらに育てるというダブルの働きを持ち合わせています。このダブルの働きによって、腸の免疫細胞がさらに活性化されるため、発酵食品を積極的に摂れば、腸内環境が整うのはもちろん、免疫力もアップすると言われています。
2-オリゴ糖を含む食品。タマネギ、ごぼう、アスパラガス、ニンニク、大豆など。
オリゴ糖は、有用菌の栄養源となり、増やす助けになるとされています。ちなみに、オリゴ糖が豊富な「てんさい糖」は、甘味の中では珍しく身体を温める食材。ですから、普段使用する砂糖を、市販のてんさい糖に変えてみるのも一つの手段です。
3-食物繊維 これも腸内細菌のエサとなり、増やしてくれる食材 腸内細菌が増えると腸の動きが活発になり、肥満防止や便秘解消などの効果が期待できます。なお食物繊維には、水に溶ける「水溶性」と、水に溶けにくい「不溶性」の二種類がある。水溶性の代表格は、フルーツ。特に、柚子やキンカン、レモンなど柑橘類に多い。また、山芋、オクラ、モロヘイヤなどのネバネバ系、ひじき、こんぶ、わかめなどの海藻類、コンニャクにも豊富です。不溶性は、ジャガイモ、ニンジン、インゲンなどの野菜に多く含まれています。水に溶けないので、腸に入ると膨張して、腸の内容物をブルドーザーのように押し出してくれます。肉の塊を腸内で動かすには、不溶性の力が必要。ただし食の細い方は、不溶性のものをたくさん摂るとお腹が張ってしまいがちなので、水溶性を多めに摂取しましょう。今の時季なら、キンカンを生で丸かじりするのがオススメ。水溶性食物繊維が豊富なので、食べると腸内細菌が増え、排便がスムーズに。皮や種もそのまま食べられます。

外食でも「腸活」はできる
外食でも“ベジファースト”を実践しましょう。定食を頼んだら、サラダやおひたしを先に食べるイメージ。最初に野菜を食べて、腸内に食物繊維の布団を作ることにより、そのあとに入ってくる糖質や脂質の吸収を抑制し、過剰分の排出を促してくれる。つまり、肥満防止や便秘解消に役立つというわけです。

腸に良くない生活習慣
朝食は絶対に抜かないでください。「腸活」においては、朝食が肝要。なぜかというと、食べない時間が一番長い夜を越えた朝は、飢餓状態なんですよね。身体が栄養を一番欲しているときに何を摂るかが大事。そこで腸にスイッチが入ると、その日1日が元気になります。朝の一口目は、野菜や味噌汁からスタートすることをオススメします。
水分はとても大事なので意識して摂取します。水を飲むと腸の働きが活発になるし、不要な分は必然的に排出されます。摂取量の目安は男女とも、1日に1〜2リットル程度。コップ1杯200㏄として、朝起きたらまず1杯、毎食時と食間に1杯ずつ、そして寝る前に1杯飲むことを習慣づければ、その水準を満たせます。

簡単なのに効果は絶大!今すぐ試せる腸活メニュー
お手軽かつ効果抜群の腸活メニュー「味噌玉」。味噌と粉末カツオを混ぜて団子状に丸めたものに、お好みで、ごま、青海苔、乾燥野菜、お麩などをトッピングするだけの「味噌玉」。ここにお湯を注ぐだけで、「腸活」にいい発酵食品や食物繊維などを手軽に摂取できます。素材さえあれば、普段料理をしない人でも簡単に作れます。
味噌玉なら、一度にたくさん作り置きすることが可能ですし、冷凍保存しておけば2〜3ヶ月はもちます。『休日に7つ作っておき、毎日1つ使う』ことを目標にすれば、それだけで立派な日々の『腸活』になりますよ。食事のお供や、休憩時のお茶がわりに召し上がれ!

ほのかに甘い「デトックスウォーター」
果物・野菜・ハーブを漬けるだけ!
フルーツ、野菜、ハーブなどをミネラルウォーターに入れて、2時間から一晩ほど漬けたものが「デトックスウォーター」。誰でも簡単に作れる上、「腸活」に有益な食材をドリンクとして気軽に摂取できるのが魅力です。フルーツや野菜に多く含まれる食物繊維は、整腸や便秘解消の効果が期待でき、まさにデトックスを促してくれるもの。「パーティーの前などに、ウェルカムドリンクとして提供すると喜ばれるかも。見た目がオシャレで場が華やぐし“ベジファースト”も済ませられます。素材は「フルーツ1、野菜1、ハーブ1」の比率で、好きなものを。フルーツだけだと糖度が上がり、栄養素が不足しがちなので、野菜も一緒に摂ることをお勧めします。

「腸活」の効果って?
腸壁は数日で生まれ変わりますので、まずは1週間程度で体調が良くなり、朝の目覚めが良くなる方が多い
どれから実践しようか?
今すぐできることから。朝一番に味噌汁を飲むことでも、「腸に効くものってなんだっけ?」と考える癖を身につけるだけでもいい、そうやって意識を向けるだけでもいいですよ。     参:My Wellness<おいしく食べる>


vol.205 はじめよう!腸活 Part-2

体温と免疫の関係 
自分の平均体温を知っていますか?健康な人の平熱は36.5〜37.1度。実は今、36度以下という「低体温」の人が増えているとか。「低体温」は免疫細胞と大きな関わりがあり、放置するとさまざまな病気やがんまでも発生してしまうことがあるそうです。
では、なぜ低体温がよくないとされるのでしょうか?
体温が上がると血流が良くなり免疫力が高まります。血液は私たちの体を構成する約60兆個もの細胞に栄養を送り届け、代わりに老廃物を持ち帰る働きをしています。その血液の中に免疫機能を持った白血球が存在し、その白血球が体の中をめぐることで、体の中の遺物をパトロールしているのです。
つまり体温が下がると血流が悪くなり、免疫力も低下し、体内に遺物を発見しても、素早く駆除してくれる白血球を集めにくくなり、ウイルスや細菌に負けて発病しやすくなってしまいます。
健康を維持してくれる免疫力は体温が下がると低下することがわかっています。まずは、自分の平熱を知り、低体温を克服して、血流を良くしておくことが、免疫力向上につながるのです。 自分の平熱を知るには、3から4日間、朝・昼・夜の体温を測って平均を出します。50年前の日本人の平均は36.89度。現在の平均は36.02度。さて、あなたの平熱は?

現代人に多い「低体温」の原因は筋肉量の低下
50年前と今では日本人の体温の平均は0.7度近く下がっています。その理由の1つとして、現在のライフスタイルが、明らかな運動不足になっていることが挙げられます。家事1つとっても、50年前は全て手作業で掃除、洗濯、料理などを行いその上で畑仕事をするなど、日常的な運動量が大変多かったのです。それに比べ、現代の生活では、乗り物や家電の充実によって日常生活における運動量は低下しています。

運動量の低下に伴って、筋肉量が減少します。筋肉は人体最大の熱生産機関ですから、筋肉が少なくなると、体温が下がり、基礎代謝も下がります。基礎代謝とはじっとしている時でも体内でエネルギーを消費していること。基礎代謝が落ちれば、エネルギーが消費されにくくなって、内臓脂肪が増加してしまうのです。

この内臓脂肪組織から、20種類以上の悪玉ホルモン(アディポサイトカイン)が分泌されていることがわかっています。これらが血管に炎症をもたらすことにより血栓を作りやすくなったり、インスリンの働きを弱めてしまうことにより、がんや高血圧、糖尿病の元凶となることが解明されています。加齢とともに基礎代謝は落ちていきますから、筋肉量を増やす事はあらゆる病気対策に必要なのです。

筋肉量の減少以外では、運動不足に加えてエアコン生活によって汗をかきにくい環境であることも低体温の原因と考えられています。脳の視床下部にある体温中枢を刺激する機会が失われると、体温を調整するための発汗中枢が作動しなくなり、低体温になります。

また、人間関係や経済面の問題、家族問題など、生きていく上で生じるストレスは50年前より複雑化しています。ストレスによって分泌するホルモンは、筋肉を分解することによってストレスを緩和するために、ストレスが強いと筋肉をやせさせてしまい、その結果、低体温を招くということがあります。なんといっても筋肉量の低下が低体温の最大の原因ですから、今日からでも筋肉量を増やす生活を習慣にしてください。

体温アップ健康法1
1日30分必ず歩く
加齢による筋肉の減少率では諸説ありますが年間で約1%。しかし、一日中動かないでいると、一日で0.5%もの筋肉が失われます。という事はたった二日間で一年分の筋肉を失ってしまう計算になります。 筋肉を維持するためには、毎日の生活で適度な負荷をかけ続けることが必要です。人間の筋肉の7割は下半身にありますので、「歩く」という事は、効率よく筋肉を鍛えることになります。
毎日続けられることが大事ですから、無理なく続けられる方法を考えましょう。続けて30分歩くことができない場合には15分を2回に分けたり、10分を3回に分けたりしても良いでしょう。毎日続ければ、必ず3ヶ月後には成果が出ます。
「歩く」ことに慣れてきたら、ウォーキングを習慣に。雨の日も風の日も毎日30分。体温の1番低い朝に行うことで、0.7から1度体温が上昇します。毎朝、一気に体温を高めることで1日の体調が良くなり、30分の有酸素運動で毎日8グラムの内臓脂肪を減らすこともできます。

体温アップ健康法2
体を温める生活をすることで免疫力が活性化します。

入浴 1日1回、お風呂に入って体温を一度上げます。湯船に10分程度つかれば、大体体温が1度位上がります。大切なのは毎日続けることです。最近はシャワーで済ませる人も多いようですが、必ず湯船につかりましょう。

スクワット ふくらはぎや太もも、腰の筋肉をいちどに鍛えることができるスクワットもお勧めです。下半身の脂肪が落ちるとともに、必要な筋肉を作りながら血行を改善できます。入浴後に行えば、入浴と運動で体温を上げることにより、眠りやすくなるという効果もあります。

白湯を飲む 朝は1日の中で最も体温が低い状態なので、冷たい水を飲むと体温が下がりすぎてしまうので白湯を飲みましょう。夜寝る前にも白湯を飲むことで体が温まります。

GABA(ギャバ)を多く含む食品を食べる ストレスによる体温の低下を防ぐために、ストレスを緩和する成分「GABA」を多く含む食品を食べましょう。他にも成長ホルモンの分泌を促す効果もあるので、アンチエイジングの面からもオススメです。玄米、かぼちゃ、じゃがいも、トマトなどに多く含まれます。

腹巻き、カイロ、湯たんぽ 女性に限らず冷えは大敵です。これからの季節、特に体を冷やさない外側からの工夫もしましょう。女性がズボンの下にタイツを履くように、男性もズボン下用の下着を1枚増やすなどして冷えの対策を。      参:サワイ健康推進課


vol.205 続・ぎむきょーるーむ 

一歳八ヶ月の子でも話せばわかる
保育園の父母会で一年が終わって、忘年会をしようということになり、あるおうちにみんなで集まりました。その中の一人のお母さんが「これから仕事にいきます。この子をよろしくお願いします」と言って、子どもが遊んでいるすきに退出しました。しばらくするとママがいないことに気がついてその子は「ママがいない」と言って泣き始めました。メンバーの中には幼稚園の先生がいたり、共同保育をしている方がいて「ケンちゃん、男なのに泣くなんておかしいよ」「いつも泣かずにお留守番しているのに今日はどうしたの?」とみんなでその子を慰めました。ところが大人が声をかければかけるほど「わぁっ」と怒るというか、泣き声が高くなっていく。泣き止むどころか、手がつけられない状態になったのです。 その時私はふっと気がついて「ケンちゃんは、お母さんが黙ってお仕事に行ったから怒っているんだね」と大きな子どもに話すように話しました。すると「うん」と頷き、火のついていたように泣いていたのも、ちょっと和らぎました。
「ケンちゃんはお母さんが断って行ったら、今日はみんながいるから待てたのに、それがないから怒っているんだね」と続けると、再び「うん」と頷きます。さらに「ママが黙って出かけて行ったのは悪かった。ママが帰ってきたら、ケンちゃんが泣いて怒ったということをちゃんとお話ししておくからね。ただ、今日はお母さんが帰ってくるまでみんなで遊んで待っているから安心していいんだよ」と話したら泣き止みました。
一歳八ヶ月だけど、話せばわかるのです。だけど、彼はまだ一歳八ヶ月だから自分では話せず、主張が通じないために泣き、泣き方をエスカレートするしかなかった。だけどちゃんと筋道を立てて話したら、彼は納得した。一歳八ヶ月でも言い分はあ る、子どもの話をちゃんと聴き、子どものいいたいこと、いってみたら気持ちを翻訳する。そのことが子ども相談ではとても大事なことだと気がつきました。そのことを心がけるようになると、子どもが次々おもしい顔を見せてくれるようになりました。このケンちゃんは私にとってある意味で師匠です。何かの時に、ケンちゃんの泣き顔と情景が今でも思い出されます。

親子が対等な関係になるために
—こういう認識を持つようになったのは、いつ頃からなのでしょう?
内田:私は子どもが一歳半の時、1973年から保健所で心理相談員を始めましたが、その時代はもう核家族化している状況で、子どものことでなにかあると、やっぱり「母親の育て方が悪い」といわれていました。それで、「育て方が悪い」「未熟だ」などといわれ、「母原病」とされ母親に責任が来る。
そういう時代状況の中で子育てをしていたので、私のなかに「お母さん」と呼ばれたくないという思いがありました。それからもう一つ、「奥さん」と呼ばれたくない。やっぱり一人の人として名前で呼んでもらえるような、そういう人生を歩いていきたいと、思っていました。ですから、上の子が生まれて、私たちの生活に子供がやってきたのはすごくうれしかったのですが、お互いに「お父さん」「お母さん」と夫婦で呼び合うことはしませんでした。生活をともにして以来、私は「りょうさん」で、夫は「ゆうさん」と名前で呼びあっていたので、そのままにしていました。すると、子どもが口をきけるようになった時、当然のことながら私のことを「りょうちゃん」と呼んだのです。だから、「お母さん」と呼ばれる人は家の中にいなかった。
子どもは親の生活を見て学ぶので、私のことを「りょうさん」、夫のことを「ゆうさん」と名前で呼んでくれるようになりました。自然に子どもが名前で呼んでくれる関係になってみたら、それは心地がいい。いくら子どもが幼くても一人の人間として尊重し、お互いに名前で呼び合う関係だと親風は吹かせられないです。

子どもから問われるのは、親の生き方
—どうしても「お母さん」という役割から子どもを見てしまいがちです。
内田:親子関係において、「思うように子どもが動きません」というのは、そういうことです。
例えば、学校に行くことも、勉強をすることも、就職することもそうですが、本当に「子どもと親は別の人格」ということ。そのことを親御さんに伝えたあと、「『お母さんはこう思う』ではなく、一人称で『私はこう思う』というようになったら、子どもとの関係が五分五分で対等になってきました。子どもから物やお茶碗が飛んでくることが、本当に減りました」というお話を聞きます。
親子が「対等な関係」をどう作っていくかを考えるときに、私自身が子どもと一緒につくりあった家庭・家族の関係が参考になったと思います。
子どものことが過度に心配な時は、親はむしろ自分自身をまっ正面から見るのが不安な現実を、家庭的にもっている場合も、社会的にもっている場合も、個人的にもっている場合もあるのだと思います。自分の問題が正視できないほど深刻な時は、子どもの心配に意識をスライドさせることが現実からの逃げ道になります。
「モモの部屋」のつどいの最後は、いつも「自分の生き方に返ってくるよね」というところで終わります。私たち大人が不登校・ひきこもりの理解をもってわが子とどう生きるか。自己実現しながら自分の人生を生きているか、そういうことを子どもから絶えず問われているということが、多分あるのではないかと思います。

「命が大事」という原点
1章では、内田さんの生い立ちから、心理室での仕事を始めた1970年前半、心理室に訪れる子どもたちとの出会い、「モモの部屋」を開設するまで。それは「不登校」「ひきこもり」が大きな社会問題になっていく時間と重なっています。問題を親子関係や家庭環境に見出そうとする風潮は強く長くありました。学校からはできるだけ早く子どもを登校させることを、社会からは仕事に就かせることを、いかに上手く成し遂げるかを親は求められ、背中を押され続けてきました。追い詰められた親は、子どもを追い詰め、命がけの抵抗を受けることになります。家の中は戦場になります。まずは、親は子どもの命を守り、安心して過ごせる家と家族でなければならないのに。
2章では、「心に傷を負った人」の心の内や回復に必要な道筋について「モモの部屋」のグループ相談の実践を紹介。でもじつは、親が学校に行くべき、就労するべきという心の奥底に根付いた思いを問い直すことは、とても難しいことなのだということも、同時に気づかされるお話。
3章は、親子が悩み苦しんだ「不登校」「ひきこもり」の社会的事象。なぜ、子どもたちは「休む」ことを許されず、親は命をかけたわが子の抵抗を受け止めることができないのか、できなくさせられているのか。子どもたちの抵抗への本当の理解と共感、「学校や就労より子どもの命が大事」という、この視点が欠けては何事もなし得ないでしょう。


内田良子 うちだ・りょうこ
1942年生まれ。心理カウンセラー。1973年より27年間、佼成病院小児科の心理室に勤務。1988年より23年間、NHKラジオ「子どもの心相談」アドバイザー、1998年、子ども相談室「モモの部屋」を開室。登校拒否・不登校・ひきこもりなどの相談会を開く。著書に『カウンセラー良子さんの子育てなぞとき』『幼い子のくらしとこころQ&A』『登校しぶり 登園しぶり』(ジャパンマシニスト社刊)


vol.205 ぎふ平和のつどい2021

ぎふ平和のつどい 2021
11月3日 岐阜市民会館大ホール 主催:2021 ぎふ平和のつどい実行委員会

 

第一部  ピアノ&トーク
ピアニスト 崔 善愛さん
「平和と人権を求めて」
人間というのは、私たち自身というのは、いつも鏡を通してしか自分をみることが出来ません。自分自身を見ることさえ出来ないのです。その鏡とは私にとって音楽です。あるいは日本、韓国です。みなさんにとっての鏡とはどういうものでしょうか?私は日本の人が日本の姿を見るときに、韓国という鏡を通して、その歴史を見てほしいなというふうに思うことがあります。

私は憲法九条に出会った時に、喜びに包まれたというか、安堵感に包まれました。これで戦争は起きないだろうと。私は小さい時から日本と朝鮮半島の歴史を聞く度につらくてつらくて。あの植民地支配さえなければこんな気持ち、要するに朝鮮半島の人々が日本を見る厳しいまなざし、それを見て育ったので、そんなことは、「あれ」さえなければ、こんなことはなかったのにといつも思ってました。ですから、戦争もですけど、植民地支配というものを私は憎みながら大きくなりました。実は1950年から53年までご存知のように朝鮮戦争が起こりました。歴史の教科書を開けば何と書かれているでしょう。日本では、「朝鮮戦争による特需によって、戦争からこの国は復興した」と書かれています。
 自分の国の平和だけを考えていてはいけない。私たちは他の国も一緒に平和にならなければ、他の国の戦争によって自分の国の平和が成り立つ、そんなことはあってはいけない。そういうふうに強く思っています。

ある国がひとつの歌を禁止したり、あるいはひとつの歌を歌わなければ罰するというようなことが日本でも起っています。先ほど最初の挨拶で平方さんがおっしゃっていました。平和について、私たちは憲法九条というものを持っているんだ、しかし、持っているだけではダメなんです。それを使わなければいけないんです。それはまるで楽器のようなものだと私は思っています。楽器は使わなければ音が出ないんです。憲法を使うことができるのはみなさんなんです。そしてその時、日本だけではなく東アジアの人々とともに、憲法九条がどれほど素晴らしいものなのかということを拡げて、声をあげていけたらな、と私は願っています。

崔 善愛(チェ ソンエ)
ピアニスト。21歳で外国人登録証の指紋押捺拒否、それにより米国留学の際、再入国不可となり、特別永住資格を剥奪された。その後様々な裁判経過を経て、1999年原状回復の権利を勝ち取った。「ショパンの手紙」などのコンサート活動と共に、現在、週刊『金曜日』の編集委員として、人権問題を中心に健筆を振るっている。主な著書に『「自分の国」を問いつづけて』『父とショパン』など。CDに『ZAL』、『Piano,my Identity』などがある。

 

 

 


第二部 講演
「報道特集」キャスター 金平 茂紀さん
「利己の競争社会から、利他の共生社会へ  〜テレビ報道の現場から〜」
今年は憲法公布75周年
1947年に出た「新しい憲法の話」、これは当時の文部省が学校に配布しました。今の文科省だと絶対配らないですよね。こういうものに私は影響されながら育ちました。本当は「利己の競争社会から利他の共生社会へ」というコロナの時代に気づいた事をテーマにお話ししようと思ったんですけど、「おととい(10月31日)何が起きたんだ!」ということで、内容をちょっと変えました。

この総選挙は何だったんだろう
そう思った時に僕は、2年余り続いたコロナの災いで、有権者を含む国民がものすごく疲弊したんだと思います。この暮しはどうなるのか、毎日マスクをしなくちゃいけない、4人以上集まっちゃいけない、ステイホームとかいわれて、自宅でリモートワーク…。国民が疲弊しきった時は、残念ながら保守的になるんですね。大きな変化を望まないんです。「戦う」とか、「抗う」とか、そういうことがなかなかできないと僕は思います。それくらい安倍•菅政権がコロナ対策について無力だった。よく思い出してください。アベノマスク、あの使い物にならないだけじゃなくて、今も在庫を抱えてその維持費だけで一日7,500万円もかかってるんです。そういうメチャクチャな失政の中で国民が困り果て、おそらく大きな変化とか、チャレンジするというような方向に行かなかったんだと思うんですね。
もう一つあります。「前の2人がひどすぎた」。(笑)要するに岸田さんが新しい自民党の党首になり、ある意味イメチェンです。「まあいいか。新しく顔変わったんだから」という感じで信任の方に行っちゃった。岸田政権はまだ何もやってないんですよ。それで評価しろっていったって無理なんですよ。

選挙結果
しかし、自民が議席数261にし、絶対安定多数をとりました。この数字はどのメディアも想像しなかったことです。野党第一党の立憲民主党の議席が減り96、共産党が10でマイナス2、れいわ新撰組が0から3、社民党が沖縄の2区で1人。ビックリするのが維新で、4倍以上に増えた。私の認識では維新は野党ではないと思います。
新聞の見出しを読むととっても複雑。朝日新聞は「自民伸びず 過半数は維持」一面トップでこんな見出しというのは、自民党嫌いなんでしょう。読売新聞、見出しの大きさ見てください、「自民単独過半数」「立民惨敗」。喜びに溢れているような紙面です。毎日新聞も「自公堅調 絶対多数、立憲減」。あと東京新聞、中日新聞の系列も「自民単独過半数」という、見出しだった。
そして、4倍に躍進した維新の松井代表が早速こう言いました。「憲法改正の国民投票を来年夏の参議院選挙と同時に実施をしてほしい」と。今日は憲法公布75周年の日ですけども、今こういう勢力が力を持ったという嫌な話になってるんですよ。今起きている目先の事だけにメディアは集中して、これから何が起きようとしているかという中長期的なことについての報道がほとんどなされない。これはとっても危険な事だと僕は個人的に思っています。

投票率
若者達の投票率が今回もものすごく低かったですね。選挙を通じて自己表現とか自己実現しようなんて若者がどんどん減っている。全体でも55.93%で、戦後3番目の低さでした。投票日の10月31日はハロウィンという日。仮装をして渋谷に来てた人に「選挙行きましたか?」って聞いたら、7割が「行ってない」です。だけどハロウィンには来る。僕ね、こういう国に未来はあるんだろうかって思います。さらに、24才の男が上京して京王線の列車の中で横にいた72才の男性をいきなり刺し、車内に油をまいて火をつけ、「2人以上殺したら死刑になる、自分は死にたかった…」と供述するという事件が起きました。自暴自棄ですね。そういう犯罪を犯して自己実現をしたと思っている人と、この投票率の低さは僕はリンクしていると思います。これ、本当に深刻な問題で、今僕たちが置かれている日本という国の現実です。
4年ぶりの選挙の結果を見た時に何を考えるべきなのか、今日のテーマ「利己的な競争社会から利他との共生社会へ」移るべきなんじゃないかと思うんです。

政治ってなんですか?
政治っていうのは、チェさんのトークの中にありましたけど、例えば国籍の問題。二重国籍を認めないとか、チェさんのように納税をしている人に選挙権を与えないとか、実は国際的なルールからみてもとってもおかしなことが、日本の社会では当たり前のように未だに通ってます。暮しの中にあるそういう不公正とか、理不尽なことが、実は政治です。僕らの身近にある暮しの中にあることこそ本当は政治だと僕は思っています。そういうことがわからないと政治というものを人ごとみたいにしちゃうんですよ。

国民主権
「日本国民は日本国民の意志によって憲法を制定し憲法を改正し、三権分立を通じて国の政治を行わせる」。主役は国民だという意味で「行なわせる」という認識はすごく大きい。で、それがいつの間にか国民というのが観客になっている。見てるだけというか。主人公が永田町で役者みたいに振る舞っている人たちであって、自民党の総裁選はまるで芝居を観ているようでした。国政とはあまり関係ない。実質的にはボスが日本の首相になるという現実はありますが、あれは国民主権と直接的には関係のない話ですよね。それをマスメディアが微に入り細に入り報道した。それが今の日本の政治に関しての現実だと思うんですね。

コロナ禍で学んだことと主権者教育
コロナによって僕らは利他っていう考え方を自然に身につけたんだと思うんです。困ってる人がいたら助けるのが当たり前っていうね。それが今だんだんとなくなってきてる。選挙では表立った争点にはならなくて、給付金がいくらもらえるとか、そんな目先のことになってしまった。完全に忘れられてるのが震災復興です。福島第一原発の廃炉作業ってあと半世紀かかるんです。にも関わらず、原発再稼働はやむを得ないといっている与党が勝った。なぜか。メディアが争点化できなかったから、もっというと若い人たちの投票率が全然あがらなかったから。やっぱり、主権者教育がなされてない証拠だと思いますよ。

利己の競争社会から利他の共生社会へ
利他とは何かというと、そこにあるのは公です。昔から「世のため人のため」といったでしょ。そういう部分の考え方ってとても大事なんですよ。例えば福祉、教育、医療という分野は自分の事ばかり考えていてはだめなんです。そこは民間活力とかいって儲けの手段にしちゃいけない分野です。民営化してしまうと、とっても良くないことが起きる。ヨーロッパや他の先進国は、行き過ぎた民営化はみんなのためにならない、というんで元に戻したりしてます。

マスメディアの役割
それから、自戒を込めて言いますけど、マスメディアの役割が劣化したと思います。自民党総裁選のとき、NHKと民報は総選挙の報道量よりも多かった。よくよく考えてみると自民党という公党のボス選びのために、総選挙より長い時間を費やして放送するっていうのはおかしくないですか?これはすごく重要な問題です。もう一つ。実は、選挙が終わった瞬間に評論家とか、テレビに出ているコメンテーターが、「野党共闘は大失敗」「野党共闘なんて絵空事」と批判した。じゃあ野党共闘をやってなかったらどうなってたと思いますか?さっきの数字なんてもんじゃないと思いますよ。メディアの関係者は、自分のたちの耳に痛いこととか、損になる事はいわない。メディアが役割をキチンと果たさなかったことが、総選挙の結果に影響してると思いますね。そう思いませんか?(会場拍手)

人間は社会的生き物
人間というのはやっぱり一人では生きられないということですよね。僕の恩師の、筑紫哲也さんがよく好んで、引いてたセリフ「I am a part of all that I have met.」私はこれまであってきた人のすべての人の一部である。この考え方は、利己とか利他という言葉にすごく関係していて、自分のことばっかり考えていると自分が不幸になっていくと思うんですよ。利他という考え方はそこから出てきた考え方です。それと矛盾するようですが、「自分であることの自由」があります。心の中の自由は、不可侵であって誰かから強制されるものじゃないということです。社会的な生き物であるっていうのは、理解するのがなかなかむずかしい。例えば交響曲のように大勢で奏でる音楽、一人ひとりがその役割を果たした時に総和以上のものが出てくる。これってすごい大事なんです。NEWS23キャスター・筑紫さんの、最後の「多事争論」をご覧いただき僕の話を終わりたいと思います。

変わらぬもの とかく一つの方向に流れやすいこの国の中で、この傾向はテレビの影響が大きいこと、少数派であることを恐れないこと、多様な意見や立場をなるたけ登場させること、この社会に自由の気風を保つこと、そういうことが含まれております。それを実際に全て全うできたとは言いません、しかしそういう意思を持つであろうと努めてまいりました。この18年間人は変わったんですが、そのことでは変わりはありません。同じようにこれからも松明は受け継がれていきます。

金平 茂紀(かねひら しげのり)
テレビ記者・キャスター・1977年TBS入社。以降、同局でモスクワ支局長、ワシントン支局長、「筑紫哲也NEWS23」編集長、報道局長など歴任。2010年より「報道特集」キャスター。「ネコタチノトオボエ」などSNSでも積極的に情報発信。著書に『ロシアより愛を込めて』『二十三時的』『テレビニュースは終わらない』『沖縄ワジワジー通信』『抗うニュースキャスター』『漂流キャスター日誌』など多数。最新刊は『筑紫哲也NEWS23とその時代』『白金狼II』。


vol.205 しょうがいをみつめる vol.16

同じ世界に生きていて

『自閉症の僕が跳びはねる理由』という本をご存知でしょうか。東田直樹という自閉症の作家が13歳の頃に執筆し、現在では世界30カ国以上で翻訳、映画化もされています。
この本では、「なぜパニックを起こすのか」など、自閉症者に向けられるよくある疑問を作家自身が解説するという内容で、話すことが困難な故に誤解されがちな自閉症の世界を鮮やかに描きだしました。
私自身、障がいのある子どもたちとは長く関わっているし、自閉症のこともよく知っているつもりでしたが、この本を読んで、こんなにも若くして自分のことを分析し、言葉にできる自閉症者がいるということに驚いたとともに、こう感じていたのか、こういうことだったのかと気付かされることがたくさんありました。

そして、ある子のことを思い出しました。
学校では、朝登校するとカバンの中のものを取り出して指定の場所に置き、カバンをロッカーに片付けるのですが、自閉症の彼は登校後、朝の会が始まるまでかかってそれを行います。その間実に20分。普通なら1分もかからずに終わることです。何をしなきゃいけないかが分かってないわけではなく、単純に時間がかかるだけ。
その当時は、早く終われば残りの時間遊べるのにどうしてだろう、何とかして早く終わらせられるようにしてあげたいとあれこれ手を尽くしてもみましたが、急かすたびに彼は怒り、私は途方に暮れてしまいました。

 東田さんの本にこういった一節があります。
『みんなはすごいスピードで話します。頭で考えて、言葉が口から出るまでが、ほんの一瞬です。それが、僕たちにはとても不思議なのです。』
普段私たちが何気なくやっていることが、自閉症の人にとったらとてつもない時間と労力が要ることなのかもしれません。そうならば、私たちのペースに彼らを無理矢理合わさせようとするのは、果たして彼らのためなのか。時間があるのなら、それが許す限り、彼らのペースでやっていくのを見守ってもいいのではないか。今になってみると、このようにも思うのです。

私たちは今生きている世界が唯一のもので、かつ正しいと思っていて、自閉症の人たちのように、同じ世界に生きていても、物事の見方や感じ方が異なる人がいるということを忘れがちです。そういった時、この本のように当事者の言葉が多くのことに気付かせてくれます。
映画「自閉症の僕が飛びはねる理由」には、シオラレオネというアフリカの国に住む自閉症の家族が出てきます。この国ではいまだに、人前でパニックになる自閉症の人たちは、悪魔や魔女と呼ばれ、偏見の目に晒されています。

『この本を読んでくだされば、今よりきっと自閉症の人のことを、あなたの身近な友達のひとりだと思っていただけると思います。
人は見かけだけでは分かりません。中身を知れば、その人ともっと仲良くなれると思います。
自閉の世界は、みんなから見れば謎だらけです。少しだけ、僕の言葉に耳を傾けてくださいませんか。そして、僕たちの世界を旅してください。』
自分とは違う立場の人の声に多くの人が耳を傾けることができれば、差別偏見はもっと減っていくのかなと思いました。           S.I

引用:『自閉症の僕が跳びはねる理由』東田直樹


vol.205 人生これから シニアポートレート

シニアポートレート撮影会・第3弾
(もしもの時に使える写真)
11月2日(火) アートギャラリー是(関市武芸川)にて

参加者のみなさんはヘアメイクをしてもらい、室内で、庭で、デッキでと場所を変えてパチり!お天気にも恵まれ、和やかな雰囲気の中で撮影は行われました。数多く撮った中から3点にしぼり、お気に入りの一枚を伊勢和紙にプリントし額装しました。

● 楽しかった。こういう写真ってなかなか撮れないし、サックスとバイクを入れて撮ってもらえて満足です。自分の葬式に使えるかな。(Ha)
● 芸能人になったかのような感じでした。自然な笑顔が作れるように導いてもらって、さすがだな、と思いました。     (Hiro)
● いつも化粧もしないし、髪もかまわないのに、整えてもらってすごく変身しました。夫もいつもと違う髪型で見違えるようです。お天気もよく、いい感じに撮ってもらえました。     (Masa)
● 着物はちょくちょく着るのですが、なかなか写真は撮れずにいました。メイクもヘアもきれいにしてもらって、写真のでき上がりも、さすがプロは違うと思いました。           (Usu)
● 2回目の参加でしたが、場所も変わって、お天気もよくて、データを選ぶのが大変でした。友達と2人で撮れたのもとっても良かったです。良い記念になりました。            (Matu)
● メイクをしてもらったなんて自分の結婚式以来です。撮られてるときはなんか恥ずかしかったけれど、写真を見たらステキで良かったです。友達が一緒にいてくれて心強かったです。   (Iga)
● 嬉し恥ずかしのひとときでした。さすがプロ、メイクもこんな透明感ある肌には自分ではできないし、撮影のときには自然な表情を引き出してもらいました。              (Tada)
● ふだんこのように撮ってもらう機会がないし、他の人からのアプローチで新しい発見もあって、新鮮でした。ああ自分はこうなるんだと面白かったです。                (Syow)
● 写真を見てみて、なかなかおじいだなと思った。でも娘たちに一枚ずつ渡します。自分になにかあった時に使ってもらいます。(Hora)
● いい経験ができました。プリントしてもらった写真は仕事場の棚に置いて、みなさんに感謝の気持ちを伝えようと思います。 (Kuno)
● 普段写真を撮る事があまりないし、多く撮り過ぎても選ぶのが大変だと思って、少なく撮ってもらいました。      (Kato)

ヘアメイク:鈴木 美沙さん
今日は人生で好きな事をしていらっしゃる人が多くて、メイクしながらのお話しもためになりました。そんな方々のメイクをさせてもらって光栄です。
フォトグラファー:田中 千穂さん
この場所、このお天気あってこその会だったと思いました。個性が強い方が多く、その方にあった場所で撮影できてよかったです。


vol.205 熱中人Syowさん

その人の魅力を引き出す 本当にやりたいことを実現

ファッション ライフ スタイリスト
 Syowさん(岐阜市在住)

スタイリストといえば、テレビや舞台、雑誌など、華やかな業界で活躍しているかっこいいイメージや、センスが必要な仕事だという認識を持っている方は多いのではないでしょうか。今回は、ファッションコーディネートを一般の方を対象としたスタイリストの仕事をしているSyowさんをご紹介します。

東京でアパレル関係の仕事に就き、ファッションコーディネートの技術を身につけた。しかし、なぜか面白く感じられない。「どうせ人をコーディネートするなら、その人を真から輝くようにしたい」と思い、活動の拠点を岐阜に戻し独立した。「ファッション ライフ スタイリスト」という言葉をその時につくり、自分の肩書きにした。
「ファッションは、文字通り『服装とか服飾』を意味します。その中には髪型やメイクなども含まれます。ライフは人生そのものですが、ファッションを通してその人の人生に躍動感を感じられるような提案を仕事にしたいと思ったのです」。

雇われて働けば、収入は安定する。だけど、自分が本当にやりたいことをしたかった。だから、やりたいことを選んだ。そう語るSyowさんの眼が光る。
「岐阜って面白いところですね。僕はSNSもやらないし、テレビも見ない。でも、人とめぐり会うことが多く楽しく生活しています。お客さんは自然にめぐってくるというか、営業活動はしてないんですよ」
「実は、東京にいた時にネット発信はやめたんです。顔が見えない中ではいいなと思える繋がりや発展がなかったから。ネットをやめて直接会って仕事を始めたらいろんな繋がりができました。類は友をよぶ的なものかな、すごく楽。自然体でものごとが進んで行くんですね」
「その人の向上心・本気がなければ今以上にならないんです。やり方は千差万別で、特に決まっていません」。
見た目だけ変わろうとする人も多いが、本気で人生を変えたいと自分にゆだねてくれると提案もしやすい。
「自分が変わることに最初はみなさん抵抗感があるようです。まずは服を変えるだけで表情や雰囲気が変わっていくんです。できれば1年、2年、3年と長く関わることができたら、伝えたいこともしっかりとお伝えできると思っています」。
服を選ぶ基準を値段やブランドという人がいる。できれば素材、縫製などのクオリティと、それに見合う価格で選んでほしい。そこそこの価格でこれだったらいい、というもの、等身大でつきあっていけるものを基準にするといいと話す。そんな服の情報に興味のある人は向上心がある人だという。服を買う時は必ず試着するように伝えてもいる。手に取った感触と、実際にまとった時に違和感が生じることもあるからだ。

過去にモデルの仕事もこなしてきたSyowさん。
写真は、先日行われたポートレート撮影会にて。

「何を選ぶにしても物の本質を見て選んでほしい。ブランドだから、流行っているから、注目されたいから、というのはちょっと歪んでいると思います」と厳しい目つきになった。
どこにお金をかけるのか、まず見栄を取り外すこと。見栄にお金かけることをやめれば、人生が楽になる。
クライアントは、40〜60代の人生をある程度生きて来て、これからの人生を楽しみたいと思っている方々。関わる期間が長ければ長い程、みんな見違えるように変わっていくんだとか。その方々から「周りの人たちから褒められるんです」という声を聞く。こういう人たちから口コミで広がり、依頼されて自分の仕事が成り立つ。
「外から変えて行くのは簡単ですが、僕が関わったことがきっかけとなり、その人の人生が輝いていくのが実感として感じられた時、この仕事をしていてよかったなと思います」。

Syow○しょう プロフィール 岐阜出身。東京で大手アパレル企業に勤務。販売、商品管理を経てフリーへ転身。現在は国内から全世界を舞台にフリースタイリストとして活動中!


vol.205 夢か悪夢かリニアが通る!vol.34


初の犠牲者、そのとき

岐阜県中津川市のリニア中央新幹線「瀬戸トンネル」瀬戸非常口掘削現場で10月27日午後7時20分ごろ、2人が死傷する事故が起きました。リニア工事で死者が出たのは初めてのことです。JR東海は山岳トンネル掘削工事をすべて一時中断しましたが11月1日から順次再開。8日には、長野県豊丘村の伊那山地トンネル「坂島工区」で作業員が右足に軽傷を負う事故が起きてしまいました。相次ぐ事故の背景にJR東海の「焦り」を感じている住民もいます。                      井澤宏明・ジャーナリスト

2度の崩落が起き、2人が死傷した事故現場(JR東海の公表資料から)

繰り返す事故
JR東海によると、死傷事故の現場は本坑(リニアが走る本線トンネル)につながる全長約600メートルの斜坑(乗客が避難する非常口トンネル)。
掘削最先端の「切羽」でダイナマイトによる発破をかけた後、44歳の男性作業員が点検のため近づいた際、岩石などが崩落する「肌落ち」で足が埋まり、52歳の男性作業員が助けようとしましたが2度目の崩落が起き、44歳の男性は下敷になって死亡、もう1人は左足を骨折する重傷を負いました。
坂島工区事故では計10トンの土砂が崩れ、長野労働局長は「一歩間違えれば死者が多数出る可能性があった」と指摘しました。
2つの事故現場に共通するのは、工事が遅れていることと着工から時間がたっていないこと。瀬戸トンネルは昨年初めに着工する予定でしたが1年3か月強遅れの今年6月、坂島工区は3年半強遅れの7月に着工しました。
リニア工事の事故は2年に一度起きています。2019年4月、中津川市の中央アルプストンネル「山口非常口」で陥没事故が起きました。けが人は出なかったものの、住宅と隣り合う雑木林が直径約8メートル、深さ約5メートル陥没。17年12月には、長野県中川村で関連トンネルの発破により土砂が崩落、生活道路をふさぎ、住民は凍結した峠道の通行を強いられました。
山口非常口事故の際、岐阜県は環境影響評価審査会に地盤委員会を「新設」する異例の対応を取り、知事意見書を出しました。
この中で事故原因を、不安定な地質状況なのにも関わらず、ふさわしい工法を採らなかったためと指摘、より慎重な工法を採ることを求めました。JR東海は地質専門職員を常駐させたり、先進坑を掘ったりする対策を示し約7か月の中断後、工事を再開しました。ところが、犠牲者を出す最悪の形で事故は繰り返されてしまいました。

JR東海「大きな影響ない」
「(県内)3回目の事故はあってはならない」と岐阜県リニア推進室の担当者は言い切ります。各県で山岳トンネル掘削工事が再開される中、古田肇知事は11月29日、JR東海の金子慎社長と面会、原因究明と再発防止策が講じられるまでは県内4ヶ所のトンネル工事を再開しないよう求めました。
大井川の水問題などで着工できない静岡県の「外堀」を埋めようとするかのように、沿線各地で着工が相次いでいます。そこにJR東海の焦りを感じている人たちもいます。沿線住民などでつくる3団体は11月9日、すべてのリニア工事をいったん中止し、死傷事故の原因を徹底調査することをJR東海に申し入れました。「リニア新幹線沿線住民ネットワーク」共同代表の天野捷一さん(76)は記者会見で「JR東海は非常に工事を焦っていて、無理やり進めようという傾向がだんだん顕著になっている」と不安を露わにしました。
一方、JR東海は死傷事故後の記者会見で、品川―名古屋間の開業までの全体の工期に「大きな影響はない」と断言。坂島工区事故では、長野県や豊丘村への連絡が約4時間後と遅れ、事故があったことをホームページで公表さえしませんでした。
リニア反対の姿勢をとるJR東海労働組合は10月28日、会社との協議の席で、事故の犠牲者への黙とうを提案しましたが、会社側は拒否したそうです。宇野護副社長は11月24日、事故を受け開催した施工会社との協議会初会合で「一連の『事象』に対する世の中からのご反応といいますか、厳しい、大変厳しい反応があったと思います」と発言、「事故」を「事象」と言い換えてしまいました。そこに事故に真摯に向き合う姿勢は見られません。


vol.205 ボーダーレス社会をめざして vol.64

「転ばぬ先の杖」はいらない
NPO法人オープンハウスCAN 理事長 伊藤佐代子

書道教室でハガキ大の色画用紙に季節の言葉を書いて、家に飾ってもらおうという試みをしています。そこで皆さんに「どの色がいい?」とお聞きします。一番上に置いてある紙を選ぶ人、自ら好きな色を選ぶ人。そこで自分で選べる人は、今までにそのような選択の機会を多く与えられてきている人なのではないかと思います。
能力の差はもちろんありますが、選ぶという行為を与えられないで、すべて親がご本人のためと思い、好きだろうと思うものを決めてきた場合と、写真を見せたりしてご本人に選ぶことをあえてしてきた人とは、大きな差があると思います。
ある日、秋にちなんで「“芸術”という字を書こうね。どの色がいい?」即答で「赤!」と言われた20歳くらいの人がいらっしゃいました。お母さんに自分の意思がしっかりしていていいですね。」「伊藤さんのお蔭ですよ。」「はっ?私の?」何がなんだか分からなくて・・・。
「伊藤さんが、この子にはちゃんと意思がある。食事をしに行っても食べるものを親が勝手に決めてはいけないと以前言われました。その時のことは鮮明に覚えています。今では、自己主張をしっかりし過ぎになっちゃいました。」と笑っておられました。
障がいのある子どもを育てる事は、容易ではありません。しかし、本人の意思を大切にし、自分で決めていくことを教えていくことは大切な事です。簡単な事から自分で決めていく習慣をつけ、少しアドバイスしながらちょっと離れてわが子を見る。危ないなと思ったら手助けをすればいいのではないかなと思います。少し失敗しても自分の人生ですから。それは障がいのあるなしに関係ないことのように思います。
「伊藤さんの子は軽度だからそんな事が言える」という声がどこかから聞こえてきそうですが、決して軽度でなくても選択できる人はいらっしゃいます。「赤!」の人は、日々の積み重ねによって、自己主張が出来るようになったのです。親さん・ご本人の努力の結晶が、現在の姿です。ですから親が良かれと思って決めつけないこと、「転ばぬ先の杖はいらない」のです。また、先のお母様のように、子どもが小さい頃に選択肢を作ることが必要だとアドバイスを受けているのと受けていないのとでは大違いです。(それをしっかり受け止めて下さったからこその結果なのですが・・・。)
早い時期に知っていたほうが良い情報はたくさんあります。SNSではなく、人との出会いは実体験を聞かせてもらえる貴重な機会だと思います。このコロナ禍では、人と会うことが規制されてしまっていますが、上手に生の声を聞かれることをお勧めします。


vol.205 未来に続く暮らしの学び Part-46


Healing Art
Art Gallery of NSW シドニーの美術館で起きたヒーリング。人間関係で悩んで、しょんぼりしていた時に誘われ、とにかく絵を観に行った。展示室にはでかいキャンバスが何枚も展示されていた。自分の背丈より大きな作品はその世界に入っていける感覚を与えてくれた。アボリジニの人が描いた作品の展示室に入ったときに、一枚の絵の前に私は座り込んでしまった。とてもシンプルだけど複雑。土の色の背景に、単色の白のドットで描かれたその絵は、私を惹き込んだ。特に人間関係で悩んで、ちょっと傷ついていた私は何かしらのメッセージを潜在意識的に絵画から求めていたのだと思う。
その絵は、私の意識に働きかけ、ただその絵を見つめているだけで私の心はとても落ち着いていった。
こんな経験は初めてで驚いた。絵が人に癒しを与えてくれることは知っていたけど、実体験でこんなにも強く私の意識と心に働きかけてくれるとは。なんていうか、この体験を得るために、人との関係がごちゃごちゃして気を落としたことに逆に感謝できた。実体験として絵が人に癒しをもたらすことができると確信させてくれた。そこを信じ切って、描けばいいと。
絵画の秘めたるパワーを、改めて教えてもらえたとても個人的だけど、意味深い体験でした。 YAO


VOL.205 菌ちゃん野菜応援団vol.26


 いつまでも暑いと思っていたら、あっという間に冬がやってきましたね。木々も葉っぱを鮮やかに染めたあと、あっという間に落葉していきました。
今年は草を積み重ねたところからかぶと虫の幼虫がたくさんたくさん出ました。かぶと虫の幼虫掘りイベントには多くの親子連れのかたに来ていただき、わぁー、いたいたー!!なんて歓声がそこかしこから。1番興奮していたのはお父さん達だった、かも。
冬の間お世話をしてもらって。来年の夏にはたくさんのかぶと虫達が土から出てきてくれるかな??草を積み上げて1年半。雨風にさらされ、菌ちゃんのお陰でホロホロになった土に昆虫が卵を生んでそこでまた命が循環していく。感動的ですねぇ。

幼虫さんはまだいます。育ててみたいな、という方はご連絡下さいね。

今年は蘇原の畑を一旦トラクターをかけていただくことに。すこしすっきりするかな。時には文明の利器にも頼って。

即席べったら漬け
・甘酒200gに塩小さじ1から2
よく混ぜたら大根や蕪などを適当な大きさにきって漬け込みます。数日おくと、あまじょっぱいおいしい漬け物が出来上がり。簡単だよー。