投稿者「にらめっこ高阪」のアーカイブ
vol.217 水は土壌に染み込むよね
土壌は、水や空気と同じように、私たち人間を含んだ生き物が生きていく上で、なくてはならない ものです。土壌は、地中にいる生き物が生活する場であり、土壌に含まれる水分や養分が、私たちの 口にする農作物を育てます。 土壌汚染とは、こういった働きを持つ土壌が人間にとって有害な物質によって汚染された状態をい います。原因としては、工場の操業に伴い、原料として用いる有害な物質を不適切に取り扱ってしまっ たり、有害な物質を含む液体を地下に浸み込ませてしまったりすることなどが考えられます。また、 土壌汚染の中には、人間の活動に伴って生じた汚染だけではなく、自然由来で汚染されているものも 含まれます。
土にはどんな役割があるの?
土は、水や空気と同じように、人や生物が生きていく上で重要な基盤(土台)です。また、水を浄化したり、農作物を育てたりする機能を持っています。
土壌汚染って何?
人の活動に伴って排出された有害な物質が土に蓄積されている状態を言います。例えば、
・ 有害な物質が、使用しているときにこぼれたり、有害な物 質を含む排水が漏れたりして土の中に入る。
・ 有害な物質を含む廃棄物が不適切に土に埋められて、雨な どによって有害物質が周りの土に溶け出す。
・ 排気ガスや飛灰の中に含まれる有害な物質が土の表面に落ちる。
などによって土壌汚染が起こります。
土壌汚染には、次のような特徴があります。
◆土壌汚染の原因となっている有害な物質は、水の中や大気 中と比べて移送しにくく、土の中に長い間止まりやすい。
◆また、汚染されていることに気づきにくい(目に見えない)
◆一旦土が汚染されると排出を辞めても長い期間汚染が続く。
◆そのため、人の健康や生態系などに長い期間にわたり影響を及ぼす。
◆揮発性有機化合物は、地下深くまで浸透しやすく、地下水 に溶け出して、その流れに乗って汚染が広がるおそれが大 きい。また、揮発性が高いため、地層中の空気を汚染し、大気へ放出される恐れもある。
◆重金属は、土の中ではあまり拡散しないで止まりやすい。
土壌が汚染されるとどうなるの?
土壌汚染は様々な経路で人の健康や生活環境・生態系へ影響を与えます。放っておくと人の健康などに悪い影響が及ぶおそれがあります。
人の健康へ影響を及ぼす可能性のある行為
1、汚染された土が口に入ったり、直接皮膚に触る
2、汚染された土から有害な物質が溶け出した地下水を飲む
3、土から大気に出た有害な物質を吸い込む
4、汚染された土が雨などで流出して川や海に入り、魚を汚染する。こうした魚介類を食べる。
5、汚染された土の上で育てられた農畜産物を食べる。
生活環境・生態系への影響
6、悪臭などの不快感
7、引用される地下水の油膜
8、農作物や飼料用植物の生育阻害
9、生態系への悪影響
これらのうち、まず健康への影響を速やかに把握し、対策を取ることが必要。また、生活環境や生態系への影響については、まだわかっていないことが多いため、効果的な対策を考えるためには科学的なデータをもっと集める必要があります。
土壌汚染による環境リスクとは?
人の健康や生活習慣、生態系へ悪い影響を及ぼすおそれ(可能性)のことを、“環境リスク”と言います。きちんと環境リスクに応じた対策をとればリスクを低くしたり、回避したりすることができます。環境リスクの大きさは次のようになります。土壌汚染による環境リスク=土の有害性の程度×暴露量。 土壌汚染の原因となっている有害な物質の程度と体内に取り込む量(暴露量)とで決まります。
暴露とは、汚染された土が手にくっついて、知らず知らずに土を口に入れてしまったり、汚染された土が飛び散って口に入ってしまったり、汚染された土から有害な物質が溶け出した地下水を飲んだりして体内に取り入れることを言います。
土壌汚染とリスクコミュニケーション
土壌汚染が見つかった場合でも、地域住民と行政と事業者で情報を共有し、対応策などについて冷静に話し合うことで、住民の不安が解消されるようになります。このように情報を共有してお互いの意思疎通を図るプロセスを「リスクコミュニケーション」と言います。
リスクコミュニケーションで重要なことはたくさんあります。
・ 企業や行政が早い段階で情報を出すこと。
・ 情報をわかりやすくして出すこと。
・ 住民が意見を言う機会を作り、住民は積極的に参加すること。
・ 住民の意見を土壌汚染対策に反映させること。
●行政の役割
・ 土壌汚染対策法を的確に実施する。
・ 土壌汚染に関する情報が公正かつ的確に開示されるよう事業者や土地の所有者を指導する。
・ 地域住民に対して、土壌汚染の環境リスク について正しい理解を深めるための啓発活動などを行う。
・ 事業者に対しては土壌汚染の調査、対策のための支援などを行う。
●市民の役割
・ 土壌汚染とその環境リスクについて、正しく理解する。
・ 発見された土壌汚染について事業者が開催する説明会などがあれ ば積極的に参加する。
また話し合いの場では、土壌汚染とその環境リスクについて正しく理解し、次のことを心がける。
・ 言いたいことは言う・ 相手の話をよく聞く・ 冷静に話し合う。
指定支援法人 財団法人 日本環境協会より
vol.217 土壌には菌ちゃんがいる!
微生物って素晴らしい!!!
微生物は地球を救う
微生物の活躍なしでは我々の生活は成り立ちません。パンや味噌、醤油、酢製造などの食品分野や食材を作るための畑の土壌微生物、さらに、医療分野では、抗生物質生産菌、現在では、バイオマス燃料などにいたるまで微生物の恩恵を受けていることを解説します。
土の中の微生物には、人間にとって特に有用なものもいます。通常、微生物は生物の死骸や枯葉などを好んで分解するのですが、中にはダイオキシンやPCB、残留農薬など、人間が合成した有害化合物を分解する変り者もいます。このような微生物は、化学物質で汚染した土壌を修復するための、バイオレメディエーション(bio=生物,remediation=修復)と呼ばれる環境浄化技術に利用されています。
自然界にはこうした分解されにくい化学物質をも分解してくれるような微生物が存在します。 そのような微生物、「分解菌」をうまく利用して汚染された環境を修復することを「バイオレメディエーション」といいます。
バイオレメディエーションの仕組みは2つ
1つ目は、土壌中の微生物を元気にする薬剤を汚染土壌に投入し、微生物を活性化させる仕組み。2つ目は外部で培養した元気な微生物を土壌に送り込む仕組み。どちらも、微生物の働きを利用して汚染物質を分解しています。
特徴とメリット
バイオレメディエーションの特徴は、他の浄化手法に比べコストパフォーマンスに優れ、生態系に与える影響が少ない技術であること。メリットは以下の通り。
・広範囲におよぶ汚染の浄化が可能・原位置で作業できる(※)ため作業コストが低い。
・常温、常圧のためエネルギーをあまり必要としない。
・浄化に伴う環境負荷が少ない
※ 汚染された土壌を掘り返したり、地下水をくみ上げたりせずに、その場で浄化作業ができる。
食品や医薬品、エネルギーにも有効なバイオ技術
日本では昔から、味噌や醤油、日本酒や漬物などの身近な食べ物で、微生物を利用した発酵醸造の技術が伝承されてきました。このように微生物は、食品の保存性を高めたりおいしさを増したり、食生活を豊かなものにしています。それだけではなく、抗生物質や薬品、バイオマスエタノールなどの新たなエネルギーの生産など、さまざまな分野で、微生物を有効利用するバイオ技術の研究が進められています。
微生物の分解者としての役割
微生物は、地球の生態系にとって大変重要な働きを担っています。中でも「分解者」としての役割は、地球環境の維持にとって最も重要な事柄の一つ。
生物の排泄物や遺骸などは、しばらくすると、その場からきれいに無くなってしまいます。例えば、植物や動物が死んだ場合、それらの遺骸は虫や菌類、細菌などによって処理され最終的には土に還ります。具体的には、死んだ生物の遺骸は、それを摂取した他の生物体の構成成分や二酸化炭素、水、土壌中の諸物質になります。このように、生物の遺骸や老廃物を栄養源として生きる生物のことを「分解者」と呼びます。分解者には、ミミズや昆虫など、肉眼で確認できる大きさの生物の他に、目に見えない微生物が含まれています。これらの働きで、有機物が最終的には二酸化炭素と無機物に変換され、生態系が保たれています。小型動物が大まかに分解したものを最終的に微生物が分解します。
また、微生物は我々多細胞生物よりも遥かに分解できる物質の種類が多いのが特徴です。人間の科学力ではとても分解できないような物質があったとしても、その物質を地球に住んでいるある微生物がいとも簡単に分解してしまう、というようなケースが非常に多くあります。この理由として、「地球上には様々な種類の微生物が存在しており、それぞれが様々な物質の分解能力を持っている」こと、「微生物は他の生物に比べ、新たな化学反応経路の獲得が大変得意であること」などが考えられます。
「永遠に残る」化学物質
ナノテクと微生物で分解を目指す
ここ数カ月で、複数の企業が食品パッケージから「永遠の化学物質(Forever Chemicals)」を排除する計画を発表しました。永遠の化学物質とは、人体に蓄積するおそれがあり、環境中で分解されない物質のこと。
希望のもてる最新研究
PFASをめぐる懸念のひとつは、人体や環境中にいつまでもとどまる点にあります。「永遠の化学物質」は、時とともに蓄積するおそれがあり、取り除くのは難しい。PFASを含む食品パッケージは堆肥化できず、ごみ埋め立て地を汚染します。そうしたPFAS分解をめぐる問題を解決する方法を研究しているのが、ピッツバーグ大学とニューヨーク州立大学バッファロー校の研究者たち。
この研究で焦点になっているのが、ナノテクノロジーと微生物を用いたPFASの分解だ。ナノマテリアルとPFASを反応させれば、微生物が食べられるくらいの大きさまでPFASを断片化できるかもしれない。研究の目標は、環境からPFASを除去する効率的な処理プロセスを開発することにあります。
この研究で調べられているPFASは15種類だけですが、そこから得られる知見は、さらに幅広い用途に応用できる可能性があるのだそう。研究チームは、PFASの分解の仕組み、副生成物の毒性、化学物質を消費する微生物のパフォーマンスを検証する計画です。
参考:農業環境技術研究所、Academic Presentation、JAPAN Forbes
vol.217 ぴーふぁす徹底図解
PFASによる人体と環境汚染が進行中です。PFASは、パー(またはポリ)フルオロアルキル化合物の略称です。日本では有機フッ素化合物といい、化学的に最も結合力の強い炭素-フッ素結合を持つ人工化合物の総称です。現在、4700種類以上が存在しています。環境中できわめて分解されにくいため「永遠の化学物質(フォー エバーケミカル)」と呼ばれています。
PFAS にばく露すると免疫力が低下する!
約4700種もあるPFASの毒性はほとんどわかっていませんが、PFOS、PFOAについては、近年の研究から、次のような毒性が明らかになってきました。
1-環境ホルモン(内分泌かく乱)作用:甲状腺ホルモン、男性・ 女性ホルモンなど多様な性ホルモンのかく乱作用
2-発がん性:腎臓がん、前立腺がん、乳がんなど
3-生殖毒性:不妊、低出生体重児の増加など
4-免疫力の低下:感染症にかかりやすくなる
5-肝臓への毒性:肝疾患との関連
6-コレステロール値の上昇
7-潰瘍性大腸炎
環境ホルモンは、ごく微量でも影響を及ぼすので、感受性が高い発達期の胎児や子どもへの影響がとくに危惧されます。
PFOSやPFOAは難分解性・蓄積性からPOPs条約、化審法の規制物質になったものの、毒性が明らかになってきたのは、ここ数年のことです。健康影響の指針となる安全基準値(耐容一日摂取量)は、欧米において、この14年で約5000分の1と規制が強化されてきています。日本では2019年、PFOS、PFOAの耐容一日摂取量はそれぞれ20ng/kg/日、水道水質の管理目標値はPFOS、PFOA合わせて50ng/L 以内(暫定)と設定されました。
国際的な規制と各国の取り組み
環境中での残留性(難分解性)、生物蓄積性、人や生物への毒性が高く、長距離移動性が懸念される残留性有機汚染物質(POPs:Persistent Organic Pollutants)を規制する条約で、PFASのうち、PFOSは製造・使用、輸出入が制限される物質(附属書B)、PFOAは製造・使用、輸出入が原則禁止される物質(附属書A)として指定されています。しかし、日本の規制は世界の後追いです。
命を育む水(水道水)が、今限りなく危うい状況となっています。自分たちの命は自分たちで守る!今、ここで動かないと一生後悔する!自分ごととしてこの問題に向き合い一緒に行動・勉強しませんか?
環境・未来・各務原ーPFAS汚染と市政を明らかにする会(代表・小川 麻実)kakamigahara.mizu2023@gmail.com
vol.217 ぎむきょーるーむ ギャングエイジとゴールデンエイジ
「ギャングエイジ」とは? ~自立のスタート~
必ずやってくる超反抗期「ギャングエイジ(gang age)」。親にとっては子育ての山場のひとつといえますが、子どもにとっては発達段階における重要な時期。いわば「自立のスタ―ト地点」ともいえます。この時期を上手く乗り切るために、親はギャングエイジをよく理解しておきたいものです。「ギャング」とはチームやユニット、仲間を意味する言葉です。
「ギャングエイジ」の頃は自我が強くなり、生意気な発言が多くなりますが、それは“成長の証”。 ただ親子間、また人付き合いにおいて、あまりにも敬意に欠く発言や態度が見受けられる場合は、強く叱っても良いでしょう。この頃になると、親にウソをついたり、秘密を持つようにもなります。そんな場合、ウソに気づいたとしても、「さすがにこれは」と思うほどのことでなければ、見て見ぬフリをして、見守ることも必要です。それをとがめたり、叱ったりすると、親に何も話さなくなることもあります。
「ギャングエイジ」になれない子どもが増えている?!
ひと昔前は、子どもは日暮れまで外でかけまわって遊んでいたものです。それが最近はそんな子どもの姿はパッタリ見られなくなりました。こうしたことが原因で、子どもが「ギャングエイジ」になれなくなってきていると、懸念されています。
発達心理学での「ギャングエイジ」は青年期以降の社会生活の基礎となります。
親が注意することを以下にまとめてみました。
①塾や習い事を控えめにし、友達と自由に遊べる時間を確保する。
②子どもができることには手を貸さない。過保護では自主性や意欲が育たず、仲間に入れない子どもになってしまう。
③よほどの問題がない限り、子どもの友達を否定したり、遊び方に干渉したり、子ども同士のトラブルに口出しをしない。
子どもは遊びを通じて成長していきます。
「ギャングエイジ」という時期は小学3年~4年のこの時期しかありません。
「ギャングエイジ」の時期を上手く過ごすことができれば、子どもは社会や他人に関心を持ち、自発的に関わりを持とうとするようになります。それが、その先大人になったときの人間関係や社会生活の基礎となり、自然に社会に溶け込むことができるのです。悩める時期であるとは思いますが、子どもをそっと見守り、つかず離れずの距離で見守っていくのが良いでしょう。
ゴールデンエイジとは?
子どもの運動神経がググっと伸びる黄金の成長期
『ゴールデンエイジとは?』 ◇9歳から12歳頃をいいます。成長が早い時期の5歳と12歳では身体的違いが大きいので、ゴールデンエイジを「プレ・ゴールデンエイジ(5~9歳)」と「ゴールデンエイジ(10~12歳)」に分けて考えます。プレ・ゴールデンエイジ(5~9歳)の特徴は「神経系の発達」神経系の発達がほぼ完成し、動きの巧みさを身につけるのに最も適している時期です。 ゴールデンエイジ(10~12歳)の特徴は一生に一度だけ訪れる、あらゆる動作を短時間で覚えることのできる「即座の習得」を備えた時期として重要視されています。子どもは、パッと見た直感だけで動きのコツをつかみ、その動作を習得してしまいます。
この時期に色々な運動、スポーツをすることが大切。「好きなこと、面白いことに熱中し、すぐ飽きる」という子どもの特性を利用して体を動かす方向に誘導することは、難しいことではありません。
ゴールデンエイジが注目されるようになった理由は「外遊び」の時間と質が変わったから。外遊びで特に注目したいのが鬼ごっこ、けんけんぱ、缶蹴りなどの“昔遊び”です。
遊ぶことによって、身体を動かし、無意識のうちに運動神経を発達させます。
この二つの時代(エイジ)に共通することは、やはり「遊び」。「遊び」は、幼児の脳や体の発達を促進させます。 追いかけっこや鬼ごっこ、ボール遊びなどの外遊びは、動き回るので心肺機能が向上したり体力がつきます。 また、いろいろな動きを経験するのでバランスよく筋肉がつくのをサポートし、 日光を浴びる適度な運動は、丈夫な骨の育成にもつながります。
遊びは日常的なものであり、その知識や感性は蓄積されていきます。一方で娯楽(ゲームやYouTubeなど)は非日常的なものであり、そこで得たものは蓄積されるのではなく消費されていきます。
遊びは、子どもの「やってみたい」「遊んでみたい」という気持ちから始まる自発的なもの。娯楽もときには大切ですが、基本的には子どもの自発性を大切にした遊びを重視するようにしたいですね。特に、【ごっこ遊びは柔軟性・創造性】が育ちます。
少なくシンプルなアイテムのなかで、子どもは独自のルールや楽しみ方を見つけて、脳を発達させていきます。また、ごっこ遊びをすることでコミュニケーション能力を養うこともできます。さらに【外遊びは社会性】を養います。自然に触れることで触覚や視覚、聴覚などを刺激し、好奇心、想像力などを膨らませることができ、遊具を使ったり自然のなかを駆け回ることで体力、身体能力を高めることができます。
参考:Fungoal、ASTEP
vol.217 しょうがいをみつめる vol.10
コロナに罹患した。なかなかしんどい時間を過ごしなんとか回復したが、体力の無さを今更ながら実感している。夫婦順番に罹患していき、”いつ罹ってもしょうがないよね”と少しばかりの余裕もあった。
「コロナ禍」と言われた時期は数年に渡り人々が口にしていたと思うが、思い出すとそれが始まった時期には私はまだ経営者であり、知的障がいの長男と認知症が進んだ母親と同居していた。自分の環境が変わったのだという実感をひしひしと感じる。
今はもう長男・母ともに存在としてこの世にはいない。
コロナが蔓延し始めた頃は”高齢の母親が罹患したらどうしよう”とか”治療や通院が難しい長男が罹患したらどうしよう”とか少ない情報の中で戸惑っていた。社会生活は規制が暗黙的に敷かれ、マスクが日常的に着用出来ない母親にマスク着用や手洗い消毒を促す毎日にイライラしたり、逆ギレされて怒ったりと日常の形が変わった時期でもあった。会社の運営方法にも工夫が必要とされる時期でもあり、自分自身も罹患しないよう経営指揮を執り、細心の注意を払いながら過ごすことが日常となった。
日常という些細な今は、次から次へと過去という形態になり過ぎ去っていく。その積み重ねが日常であり、”今”を過去から見たら”未来”というのであろう。未来とはそんなあるようでないものでしかないようだ。パンデミックという世相は生活習慣や「当たり前」を変えながら、繰り返し変わらないと思っていた日常が「そうではないかも?」と思わせるひとつのキッカケとなったのかもしれない。
簡単に1分先や10年先の未来描くことを私たちは頭の中で巡らせている。しかし当たり前が変化した時、その先は予測できない不安に包まれる。日常的に私たちはまだ起こらない未来に戸惑い、夢を見、自分の心が”今ここにない”ことにどれほどの時間を費やすのだろう。それらの未来を案じる”希望”や”憂い”は自分を突き動かす原動力となり、結果としての喜びや達成感を感じさせてくれたり、悲しみや失望にも形を変えてきた。それに突き動かされることは悪いことではないけど、翻弄されていることに気づかないままだと厄介だ。
常に変化し続けている”今”を日常と呼ぶのならば、予測しようがなかった2人がいない今を生きている私の現実は思いもよらなかった未来と言えるだろう。幸か不幸かという未来図よりも、日常はいつもそこにあるものではなく、とどまることなく変化し続けていて、今も刻々と変化しているということ。そう感じていたいと願っている。
コロナ禍という言葉が人々の日常から薄れゆく今、薄れることなくただ濃密に色濃くハッキリと私の心に映し出された過去という日常は、今は望んでも得ることが出来ない。それは時間の流れから一歩離れたところに今も脈々と漂っている。それは悲しみや苦しみという想いを超えて現在という未来となった。今やその過去はあるべくしてあった必要な経験であったと変化し、これからも変化するだろう。今の捉え方次第で過去と呼ばれる過ぎ去った時間はどうにでも捉えなおすことが出来ることは原体験から映し出され続けている。それは今という日常を色濃く照らし、常ならぬ日常を暮らしていくヒントになっている。そして、それは”今”が積み重なった未来をうっすらと映し出す光となっている。
映し出される景色を感じるために私は日々を生かされている。その先はこれからもハッキリとは見えることはないだろう。
MASA:若者をはじめ、障がい者も一緒になって、ごちゃまぜイノベーションを目指している。知的障がいのある息子は享年24歳で2021年2月27日に旅立った。関市在住。
vol.217 niramekko Gallery「銀河鉄道」
vol.217 やってみた 松浦 利重さん
やってみたシリーズ第20弾
お日様の力をいただく、八木山 日の出登山。
松浦 利重さん(70代)
各務原市東部に位置する八木山。標高296メートルのこの山は、南側麓に住宅地や学校もあり、地元の人々に親しまれています。
2年前から可能な限りほぼ毎日、日の出登山を続ける松浦さん。登山を始めるようになって、持久力がつき、お腹の脂肪も減り、少しずつ体が引き締まってきました。精神面でも変化が。「心が強くなったというか、ダラダラするのは今でもそうなんだけど、そこからやる気モードへの切り替えがスムースにできるようになりました」
そもそも、日の出登山を始めたきっかけは?
「何か一つ自分に決め事をして、それを続けるといいよ」と、ある勉強会で出会った方がアドバイスをくれました。読書にするか登山にするか迷い、体を動かす八木山日の出登山に決定。 数年前に自治体のイベントで、八木山、双子山、愛宕山と連なる三山を縦走した経験もあったので、八木山は気軽に行けるちょうど良いところでした。ところが初日、数年間ぶりに登ってみると「え、こんなにしんどかったっけ?」。特に山頂直前の岩場の険しく感じること。山頂にたどり着いた時はぐったり、思わずその場でへたり込みました。
それでも、誰もいない山頂で昇り来るお日様と向き合っていると、そのパワーが自分の中に入り込んでくるような気がしました。自然にお日様を拝み、頭をさげる自分がいました。
「気持ちいい!これは続けましょう!」
以来、雨天時、前日の雨で道がぬかるんでいる日、泊まりで出かけている日以外は毎日続ける松浦さん。
季節により時刻が変わる日の出は、6月頃は5時40分くらい、冬は7時くらい。山頂で日の出を迎えられる時刻にあわせ家を出ます。薄暗い山道をせっせと歩き、冬でも汗グッショリ。帰宅して衣服を着替えれば気分爽快、1日の始めに体を動かし充実した時間を過ごすことができ、気持ちがいいこと。これはランニングハイならぬ登山ハイかも。
八木山日の出登山もいつのまにか2年が過ぎたけど、毎日登っていても飽きるということはないと松浦さん。「根元で3本に分かれているお気に入りの木、きっとみんなここで休むんだろうなと思える石。日に日に大きくなる木の実、変わった形の葉っぱや空に浮かぶ雲。季節ごとに咲く花。どれも面白いよね」。馴染みの風景に心安らぎ、小さな発見が新鮮な気持ちにさせてくれます。気になる植物などを見かけて帰宅後に調べることはしょっちゅう。
「登山の影響なのかな、よく空を見上げるようになりました。心に余裕がないと空を見上げるってこともしないよね」
移りゆく自然の面白さに出会うたびに写真に撮り、SNSで発信もしていましたが、ある日、登山道から外れた斜面に生えているキノコを撮ろうとして、足を滑らせ左足首に怪我を負ってしまいました。3ヶ月の休養期間を経てもうすぐ復帰、八木山の自然とお日様に再び会える日も近づいてきました。
「まずはもっとゆるいところで足慣らししてから。それから八木山登山を再開しますよ。」
今や八木山日の出登山は、松浦さんに欠かせない存在のようです。
vol.217 人生これから シニアポートレート撮影会
● 普段撮れないような素敵な写真を撮ってもらいました。今のうちに息子達に渡しておこうかな。楽しい時間でした。
● 自分の遺影を撮ると、来るときはちょっと気分も落ち気味でした。でも撮っていただいた写真を見て、これなら部屋に飾ってもいいし、家族に「これを撮ってもらってきたんだよ」と明るく報告できます。
● さすがプロ!素敵な写真を撮っていただいて嬉しいです。今日は自分だけでなく、仲間の普段とは違う一面が見られて良かったです。
● お話しながらのヘアメイクと撮影でリラックスして参加できました。自分の知らない側面を見られて良かったです。
● まるでモデルになったような、楽しい時間でした。普段なかなかできないような体験をさせてもらいました。
● いつもとは違う私を撮ってもらい、とっても良かったです。メイクで可愛くなれてうれしかったです。
● プロの目線ってすごい!私の中にあるものを引き出して、形にしてもらえて嬉しいです。家族にも見てもらいます。
みなさんが喜んでくださってとても嬉しいです。もっとみなさんに輝いてもらえるように頑張ります。 (ヘア・メイク:みさ)
今日は窓からの自然光の具合も良く、まるで絵画を撮っているような気分でした。遺影といえど、美しさ、その人らしさって大切だな、と思って撮っています。気軽に撮ってもらえたらいいな、と思います。 (フォトグラファー:ちいほ)
vol.217 1月&2月のえんぴつカフェ
vol.217 夢か悪夢かリニアが通る!vol.46
2016年、新青森―新函館北斗間で部分開業した北海道新幹線。30年度末開通を目指し札幌延伸工事を進めていますが、工事の大幅遅れに加え、札幌オリンピック・パラリンピックの30、34年開催が白紙になり、開業時期の見直しも取り沙汰されています。新函館北斗―札幌間の約8割がトンネルで、札幌ドーム約12杯分の残土が出る見込み。リニア中央新幹線でも9割近くを占めるトンネルから掘り出される膨大な残土が工事のネックになっていますが、北海道新幹線では既にヒ素やセレンなどの重金属を基準値以上含む「有害残土」が掘り出され各地に積まれています。 井澤宏明・ジャーナリスト
北海道新幹線で起きていること
「やりたい放題」
「住民の目がないとやりたい放題です」。人懐っこい笑顔に憤りを隠せないのが、工事が進む八雲町の住民で「流域の自然を考えるネットワーク」スタッフの稗田一俊さん(75)です。
福岡県生まれの稗田さんは1972年、東京水産大学(現・東京海洋大学)を卒業。水中撮影専門の映画会社を経て、フリーランスカメラマンになりました。北海道の遊楽部(ユーラップ)川でサケの撮影を手がけ、内浦湾(噴火湾)のホタテを撮影したことをきっかけに八雲町に移住。『鮭はダムに殺された 二風谷ダムとユーラップ川からの警鐘』(岩波書店)などの著書があり、「どうぶつ奇想天外!」(TBS)などテレビ番組の撮影も手掛けてきました。
豊かな自然を肌で感じてきた経験から、沢や湿地を埋め立てる残土処分を黙って見過ごすわけにはいきません。現場に足繁く通い、地道に調査した事実を突きつけて、リニアも建設している北海道新幹線の建設主体「鉄道建設・運輸施設整備支援機構」(鉄道・運輸機構)や自治体に改善を求め続けてきました。
2016年には、八雲町の立岩トンネル工事現場にある有害残土仮置き場の沈殿池から濁水が遊楽部川に排出されているのを確認。有害残土が同機構側の説明していた「遮水シート」ではなく、すき間だらけの「防水シート」で覆われた状態で仮置きされ、風にあおられた土砂が牧場にまき散らされている実態も目撃し、会のホームページなどで報告しました。
たび重なる改善要求にも関わらず、トンネル工事現場からの排水により、清流に魚があふれていたルコツ川や山崎川の川底の石が泥をかぶり、魚の棲めないドブ川のような「死の川」に。そんな悲惨な状況も撮影、公表しています。
「監視の目は必要」
新函館北斗駅のある北斗市では農業者などで結成した「新幹線トンネル有害残土を考える北斗市民の会」(坂本常光会長)に協力。砕石採取場跡地にある有害残土の最終処分場から、雨が降るたび大野川に流れ込む白濁した排水や砂泥を採取。専門機関の分析で、環境基準の1・5倍のヒ素が検出されました。大野川流域の函館平野(大野平野)は、道南地方有数のコメどころ、ブランド米「ふっくりんこ」の産地です。
同機構の調査では「基準値以下」だったものの、その後、処分場の地下水から環境基準を超える重金属セレンを検出。有害残土搬入は中止され、渡島トンネル工事は一時中断。セレンの処理プラントを設置せざるを得なくなりました。
この有害残土最終処分場の盛り土は遮水シートも敷かず、地面にそのまま積む「ずさん」ともいえる工法で行われてきました。同機構は「地盤中の重金属等は水分に溶出しながら土粒子に吸着する特性があります」と安全性を強調しますが、地下水が汚染されるのではないかという住民の疑念は消えません。
工事現場に通ううち、稗田さんは警察に通報されたり、入り口の看板に「事前通告なく、警察等へ直ちに通報します」と記されたりするようになりました。
それでもめげません。筆者は11 月初旬、稗田さんに現地を案内してもらいましたが、残土処分場に正面から入れないと見るや、「ちょっと見せて」と一眼レフカメラを懐手に処分場の脇にある小川に水浸しになりながらズンズン分け入っていきます。
「監視の目は必要。本当は僕なんかがやるんじゃなくて、自治体がやらないといけない」と稗田さん。自治体が事業者と「二人三脚」となって住民を守ろうとしない構図はリニアを巡る状況とそっくりです。
vol.217 平和のつどい
「なぜ戦争への準備なのか〜平和への道を探る」
2023年11月3日 平和のつどい 岐阜市民会館大ホール
安保三文書決定、戦争できる国へ突き進む岸田政権
東京・中日新聞に入社後、日本歯科医師連盟のヤミ献金問題、防衛省の武器輸出、軍学共同をテーマに取材。17年4月以降は、森友学園・加計学園問題で、官房長官会見で質問を続けた。著書に『武器輸出と日本企業』、『新聞記者』、『報道現場』、『日本解体論』(白井聡との共著)近著に『日本は本当に戦争に備えるのですか?』(共著)など多数。
国連児童基金(ユニセフ)によると、ガザ地区の病院では赤ちゃん120人(人工呼吸器をつけている未熟児の新生児70人を含む)が保育器の中で、予備の発電機につながった機械を頼りに生きている。ガザの報道はテレビや新聞で取り上げてはいますが、自分たちのこととして議論を進めているのか。こういう状況を見ると、今日本が23兆円という巨額の軍拡に舵を切ったことによりガザ地区、イスラエルのような戦争となりうる…。私は今とてつもない危機感を持っているんです。
昨年末に岸田さんが突如、国会で安保三文書を決定し、敵基地攻撃能力の保有を打ち出し、GDP比2%の軍事費を増強しました。こういう流れの中で8月8日、台北での国際フォーラムが開かれた。そこで麻生副総裁の「戦う覚悟」発言が出ました。「今ほど、日本・台湾・アメリカをはじめとした有志の国に、強い抑止力を機能させる覚悟が求められている時はない。こんな時代はないのではないか。『戦う覚悟』です」「台湾海峡の安定のために、(防衛力)を使うという明確な意思を相手に伝える。それが『抑止力』になる」。自民党副総裁という立場での講演です。麻生さん周辺の議員の方々も、「中国が反応しているということは、つまりこれは『抑止力』になっているということ。今回の麻生さんの『戦う覚悟』発言で戦争のリスクは下がる」というんです。何言ってるんだ?ですよね。
この発言で「抑止力」になっているのか、と言ったら全くそうではない。8月9日、在日中国大使館は「ものほど知らずで、でたらめを言っている」「日本の一部の人間が執拗に中国の内政と日本の安全保障を結びつけることは、日本を誤った道に連れ込むことになる」と。中国外務省も「台湾海峡の緊迫した状況を誇張し対立を煽り、中国の内政に乱暴に干渉した」と非常に強く反発をしております。日本はけしかけるような内政干渉とも言われることを麻生さんに、政府の外務省を通じて言わせたんです。
今年は日中平和友好条約締結から45年の節目ですが、尖閣諸島をめぐる問題や処理水の海洋放出もあり双方の国民感情は悪化。日中関係に「悪い」「どちらかと言えば悪い」は、日本人で68.4%、中国人で41.2%。18歳以上の2500人を対象にした調査結果です。
何が問題なのか。処理水の問題を掲げた日本人が36%で4割近くいる。処理水問題が結果として政治的な道具に使われているということ。今までの保守系新聞だけではなく、朝日新聞、リベラル紙さえもが、この処理水を問題視している。これを受けて中国の社説でかなり厳しく批判をしていました。
結果としてこれが軍拡を突き進み、防衛費を2 %に引き上げ、その先にあるのは台湾有事、台中戦争ということを想定している岸田政権。ではこの流れをどう変えるのか。アメリカへの対米依存度の約3倍、日本は中国に依存しています。海産物の輸入制限をやられた時に、年間871億円ですよ。それほど多くの水産物が日本から中国へ輸出していたんです。アメリカ以上に対中関係を改善させていくことが本当に今一番大切なことなんです。
防衛財源確保法が成立
増税の代わりに、今後は同法成立で創設された防衛力強化資金の税外収入など他の財源からの追加負担も検討される。毎年4兆円を確保しなければならない。年間3兆円あれば、小中高大の国公立大学の授業料も無償化、給食費の無償化、これが可能だという試算が出ています。3兆円をその無償化に使って欲しいと私は思ってます。
軍拡のために増税に頼っては良くないが、税外収入に頼るということは国債に依存するということ。それは太平洋戦争の時と同じような日本の財政があやういと言われているので、軍拡予算を作るために防衛増税をして、どんどん国債に頼っていけ、という。こういう非常に無秩序なやり方に日本は舵を切ろうとしているんですね。同じようなやり方で、安保三文書を閣議決定され、軍拡を突き進めようとしています。
▼ 敵基地攻撃能力(反撃能力)保有明記。▼ 安保関連経費 2027年度に防衛力の抜本的強化と、それを補完する取り組み
▼ 周辺国への認識 中国=対外的な姿勢や軍事動向などは我が国と国際社会の深刻な懸念事項であり(中略)これまでにない最大の戦略的な挑戦。
ところが韓国の革新系の新聞は、「事実上戦争ができる国家に変わった、軍拡を激化させ緊張を高める」と。そして保守系東亜日報でも、「憲法9条を完全に無力化する内容」と報道。日本の防衛費が現在の世界9位からアメリカ、中国に次いで3位に。こうなると韓国は世界の2位3位の軍事増強国家に包囲される!と、去年の安保三文書決定以降、韓国の世論の中で、軍事増強国家に包囲されてるぞ、北朝鮮、中国に包囲されるということで、実は今、リベラル系の知識人も含めて、全体の7割の人が「韓国も核を持つべきである」と、核武装を支持。日本はアメリカ軍のトップが2027年にも台湾有事が起きうるということを話題にしたことを受け、台湾有事に備えよっーという流れが急速な勢いで進みどんどん軍拡を進めています。
結果としては安全保障のジレンマという流れの中で、周辺国の東南アジアの地位、こちらの軍拡ということを物凄く誘発しているんですね。このままじゃ全体がまさに緊張に包まれ、何かが起きた時にあっという間に戦争に巻き込まれていくんじゃないかということに、私はここでも危機感を覚えます。
ウクライナ紛争以降の世界秩序
思想史家、政治学者。現在、京都精華大学国際文化学部准教授。『永続敗戦論ー戦後日本の核心ー』(石橋湛山賞、角川財団学芸賞受賞)、『国体論ー菊と星条旗ー』、「武器としての「資本論」』『日本解体論』(望月 衣塑子との共著)、近著に『日本の正体』他、多数。
統治の崩壊
ここまでひどくなってきた理由ってのはなんだろうか。構築されてきた社会のあり方、これが限界に達した。それが統治の危機という形で全般的な行き詰まりが現れたんだと思います。そして戦後という言葉。今年は戦後78年目。日本は1945年の敗戦という形で大きな挫折を味わう。そこからいわゆる戦後復興、高度経済成長があって、現代に至る。
このようにみていくと1945年はマラソンでいうと折り返し地点のように見える。そこを境に戦前と、戦後という時代をわけている。戦前は明治維新を起点として考えると77年間。そして1945年から昨年77年間、つまり、昨年は戦前と戦後が時間的に同じになった。そして今年、戦後の方が長くなりました。
長くなったこの戦後という言葉、日本人は独特の二つの意味を与えてきたと思います。一つは1945年に終わったあの戦争の後、ということですが、もう一つは戦争一般です。あの戦争はいろんな意味でひどいものであって、最終的には核兵器というそれまでの兵器とは桁の違うものを使われて、敗戦を認めることになった。
で、そこから、もう戦争はこりごりだ、絶対戦争しない、させないということで「憲法9条」が大事なものだと考えられてきたわけです。戦争は絶対起こしてはならないという信念確保です。しかし一方でそこには問題があったように私には思われます。といいますのは、「もう戦争はないんだ」という感覚が広く日本社会に定着してしまった。だからこの戦後という言葉が独特の響きを持ってつながってきたんだと思うんです。この78年間、日本は交戦する当事国には一度もならなかった。
サンフランシスコ講和条約と日米安保条約というのは同時に結ばれています。この二つの条約は完全にワンセット。つまり、一応独立は認めてやるけれど、米軍は駐留し続けるぞ、ということが、宿命のように決められていったのです。いわばそれを前提としたうえでの、アメリカの傘の中(核の傘ともいう)にいるということが全ての前提となった上での平和主義。だけど、もうそういった時代は終わりました。今それが音を立てて崩れようとしている。ウクライナ紛争勃発以降、急速にまたハッキリと表面化してきたというのが現在の情勢であると私は考えます。
この地図をご覧ください。紺色の国はロシアとウクライナが戦争を始めて、ロシアに対する経済制裁に参加している国(北米の2カ国、ヨーロッパのほとんどの国々、オセアニア主要国であるニュージーランド、オーストラリア。アジアでは日本、韓国、台湾、それからシンガポールです)。黄緑色の国々は参加していない国(南米とか中南米とかアフリカとか、中東、それからアジアの広い範囲の国々)。参加していない国の方が圧倒的に多い。このことの意味をよく考える必要があると思うんです。つまり、この戦争が始まってロシアの所業は帝国主義的だとアメリカは激怒する。なんかヤクザの抗争みたいな論理なわけ。実はヤクザの抗争に例えると今の情勢というのが非常によく理解できるんです。というのはヤクザっていう現象は人間の社会における暴力という極めて原初的な形態ですから、そして国家というものの本質はここにあるわけです。そういう理屈でロシアが戦争を始めたなと、そんなことはけしからん!許さん!ロシアを干上がらせてやれ。さあ、みんなで制裁しよう。とアメリカはヨーロッパ西側諸国に言ったんです。だけど、そんな平和主義違反を中東や中南米の国々はどんなふうに聞くでしょうか?アメリカはまさに中南米はおれのシマだ、反米的な政権ができようものなら、あるいはできそうになると、あらゆる攻略を使い、時には軍事力を直接むき出しに使って叩き潰していくということをやってきたわけです。要するに制裁を実行した国は先進国であり、してない国は途上国だっていうこと。こういう図式が鮮明になっていくにつれてこの戦争の意味、位置づけっていうのがどんどん大きくなってきました。
まずこれはロシア対NATOの戦争だというふうに考えられるようになった。確かにウクライナは実はバルト諸国から多大な資源を受けなければ戦争継続ができないわけです。いわゆる大戦争の性格をもつようになり、そしてさらに中国の動きが決定的だった。中国がロシア寄りの中立という立場をとることで、いってみればG7対グローバルサウスという構図になってきました。要するに、先進国対途上国という構図がいろんなとこで、戦乱を伴う形で出てきている。なるほど、なぜ岸田大軍拡というものが強行されようとしているのか、ということが全部腑に落ちてくると思うんですね。
要するにこれはグローバル南北戦争なんだから、アジアへも飛び火するぞ、それに対応する体制を作らなきゃ、ということです。本当に中国と戦争を始めるとすればどうなりますか?まず中国と断交してもやっていけるような経済を作らない限り中国と戦争なんてできるわけがない。だけど、アメリカはとにかくヤレ、ヤレと言ってくる。だから、本当は戦争なんてできないんだけど、やる気がある顔をしとかなきゃいけないから、とりあえず武器でも買っといてお茶でも濁すか。これが今の日本の政治ですよ。そしてすでにその中で憲法は残念ながら空文化している。なぜならそもそも日米安保条約、さらにはそれに付随する日米地位協定のほうが日本国憲法よりも上位にありますから。そして究極的な問いが突きつけられています。アメリカという天皇のために死ねるのか、と。こういう政治になっている。これをもう脱却するということが本当の意味で戦後を終わらせるということなんです。
※お二人の対談は次号に掲載します。
vol.217 ボーダーレス社会をめざしてvol.76
きょうだい児
以前にも「きょうだい」について書いてきましたが、今回はきょうだいの側からの言葉で衝撃を受けましたので書いてみようと思います。
障がい者のきょうだいのためのオンラインの会Sibkoto(しぶこと)(https://sibkoto.org/)の運営をしている白井俊行さんが「全国手をつなぐ育成会連合会」が発行している「手をつなぐ」という本の「ひびき」に書かれている内容です。
『弟の私にいやがらせをする兄(障がいがある)が大嫌いでした。母は、兄を溺愛していました。親は産む、育てる意思があって「なる」ものですが、きょうだいは何の意思もなく「なる」ものです。それで「家族だから」という言葉に一生縛られます。それを当たり前とする価値観がなくなれば、きょうだいがより自分らしく生きられるようになるのではないでしょうか』と。
きょうだいは苦しんでいます。物心ついたころから、家の中には普通の家庭とはちょっと違ったきょうだいがいます。何事もその障がいのある人が中心になって回っています。旅行、遊び事すべてその障がいのある人ができるか否かで決まります。我慢ばかり強いられます。障がいのあるきょうだいを見守らなくてはいけません。いじめられていたら助けなくてはいけません。親には障がいのあるきょうだいの事でいじめられたことなど言わないで我慢します。親が悲しむことが分かっているからです。娘がそうでした。中学3年生の時に初めてそのような話を部活の先生からお聞きました。M子がお兄ちゃんの事で号泣していましたよと。家では一言も言わなかったので何も知りませんでした。知らないこととして今もそのままにしていますが、我慢していたのでしょうね。健気です。 あと、手のかからない自分の事はいつも後回しにされるなどなどいっぱいあります。普通のきょうだいでも同じようなことはあると思うのですが、障がい者がきょうだいにいる家庭では、上記のようなことは頻繁にあると考えられます。「しぶこと」の白井さんのように、親御さんが、障がいのある人を溺愛するのは考えものです。愛情は50:50が理想です。どうしても手を離せない障がいのある子に比重が行くのはやむを得ないのですが、そこでしっかりフォローが必要だと思います。親と障がいのない子と向き合う時間をしっかり意図的に取ることは、かなり重要です。 二人きりでいられる時間を短時間でいいので取ることは、何よりも、何よりも大切です。お母さんと手を繋ぎたかったけれど、お兄ちゃんがいたから繋げなかったとフッと漏らす言葉を聞き逃さないことです。普通のきょうだいにも言えることなのでしょうが、「愛情はどの子にも平等に」が基本でしょう。
大人になると結婚・出産に関しても悩みはつきません。きょうだいに障がい者がいるだけで、結婚話が破談になったという話は聞いたことがあります。どのように結婚相手に話すかも悩ましいところだと思います。娘の場合は幸いにも何事もなく結婚できたのでよかったのですが。出産に関しては、私自身が遺伝はないものだろうか?と不安でいっぱいでした。娘に「出生前診断受けるの?」と聞いたことがあります。すると「受けて、もし障がいがあると分かったら堕ろせってこと?」と言われてしまいました。「受けるわけないやん」と軽くいなされてしまいました。娘は、私が思う以上にたくましかったです。そのように何度も何度もきょうだいには試練があります。きょうだいが生きやすい環境を整えること。大きな課題です。
vol.217 菌ちゃん野菜応援団vol.38
この秋は季節外れのインフルエンザが大流行しましたね。本来空気が乾燥した寒い冬に流行る風邪が秋口にこんなに流行るなんて、今まであまりなかったこと。ますます日々の体調管理が大切になってきますね。先日岐阜に吉田俊道さん(NPO法人大地といのちの会 理事長、菌ちゃんふぁーむ園主)が講演に来られたので、久しぶりにお話を聞いてきました。
仰ることは一貫して同じ。
「お腹を元気にして下さい」
「お腹をいじめるようなことはしないで下さい」
「畑とお腹は同じ。元気な畑で育つ野菜に虫が来ないように元気なお腹を持つ人は風邪に負けません!」
もう、これだけ、でした。
お腹を元気にするには
・菌ちゃんに繋がるものを食べること
・ミネラルを食品から取ること
・よくかんで唾液を出すこと
・にこにこ笑っていること。これでしたよね。
お腹をいじめないためには
・お腹を冷やさないこと
・消化吸収しにくいものを減らすこと
・暴飲暴食しないこと。です。
もう、誰でもできるって!!というくらい簡単なこと。でもこれがなかなか難しくてすぐに忘れちゃったりする。
だけどここが基本ですよ、これをするだけで体温もグッと上がってみんな元気になりますからね!!と力説されてました。
物販コーナーでは“菌ちゃんげんきっこ”や“いりこ”が飛ぶように売れていました。
これから冬本番。体調を崩しやすい時期がきます。少しでも毎日元気で過ごしたいな、という方はぜひ、左記のことを心がけてみてください。1ヶ月徹底してやってみるだけできっと変化が感じられますよ!簡単なプログラムもありますので興味ある方はご連絡下さい。
今月のレシピ「塩こうじ」
材料:糀200g、天然塩35g、水ヒタヒタ
①糀と塩をポロポロになるまで手ですり混ぜる。
②ヒタヒタまで水分をくわえる。しばらくして糀が水を吸ったら水を足して、ヒタヒタを保つ。
③軽くふたをして常温に置く。毎日かき混ぜて糀がトロッとしたら出来上がり。
大根にまぶしたり、さっと湯がいたキノコや葉物と和えたり。
塩の代わりに使えて、かつお腹の菌ちゃんの大きな手助けになりますよ!
vol.217 ここいく日記 はじめの34歩!
2日間に渡って、各務原市まちづくり活動助成事業「いのちのつながりフェス」を開催しました。
第一弾は、市民公園にて「いのちの授業」&ワンオーガニックマルシェ。
各務原市の真ん中で性教育を叫びたい!タブー視されがちな性教育を明るく楽しく堂々と公園で伝える。これは「ここいく」の挑戦です。
「いのちの授業」を、いのちの始まり、出産、心と人権、体の仕組み、食育の5つのブースに分かれてスタンプラリーで回ります。通常の授業より更に詳しく、丁寧に新たな内容に挑戦しました。いつも子どもたちに人気の出産劇は、初の帝王切開バージョンに挑戦。事前に複数の帝王切開体験者から意見を聞くなかで、出産に納得ができていない方が意外に多いことが分かり、今回は二通りのお産を対等に伝えました。経膣分娩と合わせて14回も公園で産んじゃいました!
各務原市の小中学校で「いのちの授業」が出来るようになるといいな。そんな願いを込めての挑戦となりました。
そして同時開催した、各務原市初のワンオーガニックマルシェ。オーガニックを、ひとつはじめよう、ひとつかさねよう、ひとつひろげよう!ワン(One)オーガニック!このコンセプトに共感し、出店者を募りました。思いのある素敵なお店が集まり、それぞれにつながり、素敵な一体感がありました。すべてのいのちに感謝。人にも地球にも優しい環境を創るためには、ひとりひとりの行動次第。この輪を広げたいので、またやりたいと思いました。
そして第二弾は桜体育館にて子どもバンドbabyboomライブ&いのちの樹形図づくり。
今を生きている子どもたちの素直な気持ちを歌ってくれたライブは、ドストレートで大人の胸に刺さりました。
コロナ感染拡大により、突然卒業式の歌が中止。歌えるよう署名活動をしたが駄目だった時の気持ちの曲「歌いたい」など、いかに大人中心に物事が進み、子どもの気持ちは置き去りである現実を痛感しました。
今を大切に、自分らしく生きる。「ここいく」の思いとbabyboomの思いが重なったライブは感動的でした。
ライブ後は、いのちの樹形図作り。誰一人かけても私はいない。いのちのバトンを受け取って、今自分の番を生きている。それを皆で感じたくって企画!7代前のご先祖様は江戸時代。ご先祖様を想像して、名前をつけて命を吹き込みます。合計254人のいのちがつながりました。生まれてきただけで奇跡、いま生きているだけで奇跡。何ができるとかできないとかは関係ない。自分の番を、自分らしく生きればいい!いのちをありがとう!そんな思いをみんなで共有できたいのちのつながりフェスでした。来年も新しいことに挑戦したいです。
担当:ここいくメンバー 古川 明美でした。
ここいく☎090-3446-8061(中村)
vol.217 モザンビークからレポートvol.11
Vol.11 モザンビークの選挙事情
モザンビークは変革期を迎えています。10月11日、市長選が行われました。全国一斉に行われ、それぞれの州の市ごとに開票、続々と結果が上がってきました。そんな中でも注目は、やはり首都マプト。10月26日の、正式発表の結果や、いかに!?
現在の大統領はFilipe Nyusi 。政権はFerlimo(与党モザンビーク開放戦線党)が握っています。1975年にポルトガルからの独立を果たして以来、ずっとSamoa Machelが率いていたグループ(Ferlimo) がこの国を率いてきました。Samoa Machelは今でも永遠の英雄です。独立記念日、Samoa Machelの誕生日、彼を讃えるイベントはたくさんあります。「モザンビーク、オイエー!」(モザンビーク最高!みたいな感じです)といい、盛り上がります。しかし、彼の精神を今もFerlimo が引き継いでいるかというと、そうではないと思っている人が増えていると聞きました。今でもFerlimo支持者は多くいるのは確かで、よく集会を見かけます。しかし同時に、省庁に入りたければFerlimo支持者でなければならない、と言った事実などから、若者を中心に政府不信は募る一方のようです。「政府は何もしてくれない。」という言葉をこの2年間で何度も耳にしました。「アフリカの問題は国の汚職。だから何も気にせず楽しんでおいで。」モザンビーク出身の先生にそう言われたことを、今でも覚えています。
選挙後は、日本では見られない盛り上がりを見せました。選挙の翌日、Renamo( 野党モザンビーク民族抵抗運動)が勝利宣言。これからモザンビークに新たな勢いがつくのか⁉︎と思いきや、Ferlimoも、さらに翌日勝利宣言を出しました。「投票者が少ないから、途中結果だけでRenamoが勝つことが明らかだった。Ferlimoは今までも票を盗んできた。」と言ったのはもちろんRenamo派の友人。約一週間、デモが各地で行われた後、26日にFerlimoの正式勝利が宣言されました。しかし、「Ferlimoが投票箱を壊して幾つかの表を無効にした」と28日金曜日に再びRenamo支持者の大規模デモ発生。何故か平和な2日間の週末を挟み(とてもモザンビークらしいです)、翌週からまた何回かデモがありましたが、危険な感じではなく、平和に、歌やダンスも交えての訴えが続きました。11月14日までに憲法評議会に選挙プロセスが適切であったか確認の申し込みがされ、11月24日、その結果が発表されました。Ferlimo派の勝利。長い長い攻防を繰り返しても、結果は変わりませんでした。他の市ではReramoやもう一つの野党MDM(モザンビーク民主運動)が勝利しているところもあります。今年まで64都市をFerlimoがとっていたのに対して、56都市になりました。
来年は大統領選挙です。さらに激しい盛り上がりを見せることでしょう。
その一致団結のパワー、政府に頼らず、自分の生活を自分で改善していくという方向には向かないんだろうか!?という問いは、モザンビーク人には言わずに心の中にしまっておきました。
vol.217 プレゼントコーナー
217号PRESENTS
プレゼントご希望の方は
ハガキまたはe-mailで、下記のアンケートを
1〜6までご記入の上、編集部・プレゼント係りまでお送りください。
1.あなたの今年一番のビックニュースは?
2023年も終わろうとしています。世界ではいろんな出来事がありました。
あなたの最大の出来事はなんでしたか?
2- 気になるにらめっこ紙面での広告
3- 気に入った記事、気に入らない記事の
タイトル1つ・その理由もお書きください。
4- ご希望のプレゼント名 (第1希望・第2希望 を必ずお書きください)
※Cは編集室まで受け取りに来られる方。
5- 本紙をどこで入手されましたか?
6- 氏名、年齢、住所、郵便番号、電話番号、 家族構成
〆切:2024年1月25日 当日消印有効。Dは1月15日
宛先 〒504-0855 各務原市蘇原新栄町3-15
e-mail: info@niramekko.com
※お寄せいただいた個人情報は、本紙プレゼントの発送に限り、 使用させていただきます。
A.CINEX映画招待券 CINEX様より…ペア3組様
深い、深い映画に出会ってしまったら、そしてそれが現実とリンクした作品だったら…。時には問題提起する映画を観て、自分に問いかける時間も必要なのかも。写真は「月」のワンシーン。柳ヶ瀬のCINEXでご利用いただけます。
B.よりよく生きるためのライフデザインノート 『ゼロの昇天』 人生これから!様より…3名様
人は必ず“その時”を迎えます。あなたはそこまで、どんなふうに生きますか?難しく考えなくてもいいけれど、時には真面目に向き合うのもいいよね。このノートに書き込む事で、自分の心が整理されていきます。
C.トートバッグ型コンポスト 命の循環プロジェクト様より…1名様
生ゴミで堆肥作り、興味あるけど、虫の発生や匂いが気になるなあ。そんな方におすすめなのがこのバック型コンポスト。ファスナーで虫も匂いもシャットアウト!機材とセットで気軽にはじめられますよ。
にらめっこ事務所でお受け取りください。
D.わんにゃんドーム2024ペア招待券 テレビ愛知様より…3組様
2024年1月27日(土)、28日(日) バンテリンドーム ナゴヤ
https://wannyandome.com/
日本最大級のペットイベントを2024年も開催!トップブリーダーのチャンピオン犬や珍しい猫、わんわん運動会がやってくる!子どもから大人まで誰でも楽しめるコーナーなど、イベントも盛りだくさん!
vol.217 催し物案内
vol. 216 水は体内を駆けめぐる
体内水は、絶えず体内を駆け巡り循環している
私たちの体の約6割は水分であり、筋肉は約80%、皮膚は約70%、骨でさえ約30%が水分です。この水分は、主に口から食物や飲料として体内に入り、胃腸で吸収され、血管に入って血液として全身を流れ、体の各部位に分配されます。このように体内に分配された水分を“体内水”といいます。
体内水のうち、その3分の2は、細胞の中に存在する細胞内液です。残りの3分の1は、血液の中、リンパ管の中、組織の隙間などに取り込まれ、体のさまざまな働きを助けます。
全ての体内水は、特定の場所に留まっているわけではなく、各部位から常に移動して、絶えず体内を駆け巡りながら循環しています。
毎日、3リットルの水分が入っている
1日に体を出入りする水の量は、約2,000~2,800ml。私たちは、毎日これだけの水を摂取し、同じ量を排出しています。
水が体に入る経路は、飲料水から1日1,000~1,500ml、また食べ物に含まれる水分が約800~900ml、代謝(体内で脂肪などが分解され、エネルギーに変わる)時に作られる水分が約300 mlです。
体内水が体から出ていく経路は4つ。最も多いのが尿で、1日に体内水の約半分にあたる1,000~1,500mlが排出されます。次に多く排出されるのは汗で、約600 ml。また吐く息からも体内水は排出されており、1日の呼吸の回数は約2~3万回で、その排出量はコップ2杯分の約400 ml。そして、便にも体内水が含まれ、これが約100~200mlです。
水が体内に入り出ていくまでの循環が、私たちの健康を支えており、体内水がスムーズに循環し、水分の代謝がきちんと行われていれば、臓器の新陳代謝も正常になり、また不要な老廃物も排泄されるので、体は健康を保つことができます。
体の不調の主な原因は、水分不足
しかし、この体内水の循環がうまくいかなくなると、血液やリンパの流れが滞ったり、体温の調整や細胞に含まれる水分量などが乱れ、私たちの体はたちまち不調をきたしてしまいます。体の不調の多くは、体内水の循環バランスが崩れることから起きます。その原因は主に2つあります。
1つは、水分不足です。
水分の補給が十分でないため、脱水症状を起こしてしまうのです。脱水症状には、激しい運動で大量に汗をかいた後などに起こる急性脱水症と、生活習慣によって起こる慢性脱水症があります。
例えば、高齢者は加齢により筋肉が落ちるため、若い頃よりも筋肉に蓄えておける水分量が少なくなり、新陳代謝も腎臓の機能も低下するので、老廃物を排出するのにより多くの水分が必要になります。また、喉の渇きも以前より感じなくなってくるため、意識的に水分を摂る必要があります。
もう一つの原因は、体内水の“滞り”
体内水の循環バランスが崩れるもう1つの原因は、滞りです。これは、水のめぐりが悪くなり、老廃物がスムーズに排出されていない状態をいいます。体内水が滞っている場所ではむくみが起こり、不調が現れます。
例えば、筋肉がむくむと体がだるくなったり、手足がこわばったり、肩凝りや腰痛が発生することもあります。水不足も滞りも、放っておくとドンドン悪化し、長期に渡る不調や、深刻な病気を引き起こす可能性があります。ですので、そうなる前に、早めにその兆候に気付いて、体内水のバランスを整える必要があるのです。体に入った水分=体内水は体内を循環し、日々入れ替わっていること、また体内水の正常な循環により、体は健康を保つことができるということです。
そこで気になる水道水
クイズ 世界で水道水をそのまま飲める
国は何カ国?
①11カ国 ②51カ国 ③101カ国 Q1 答え ①
日本のほとんどの水道水は、そのまま飲むことができる世界でも類まれな国です。緒外国では、そのままでは飲めない「硬水」が多いようです。硬水は、マグネシウムやカルシウムを多く含んでおり、料理に使えば、タンパク質を硬くし、料理に影響します。(硬度:ミネラルの中で含有量が多いカルシウム、マグネシウムの量を示し、硬度の低い水は癖がなく、高いと好き嫌いが大きく分かれる。マグネシウムが多いと苦い。ミネラル分を酸化カルシウムに換算して、水1立方メートル中に10グラム含むときを1度とする。硬度20以上を硬水、10以下を軟水という。お茶や料理には軟水が適しているとのこと)
橋本 淳司 水ジャーナリスト 朝日新聞 2023年9月2日
水道水飲む?映す価値観
飲み水についての感覚は、人によってかなり異なります。
水道の普及率は1959年には約26%でした。飲み水は井戸水から水道水へ。災害による断水を経験した地域などでは、水を大切にする感覚が強い傾向がある。生きてきた時代や場所により、価値観は変わります。
日本の河川は、70から80年代には工業化の影響などで汚れていました。下水道も普及しておらず、水道水が臭いと言われました。しかし下水道の普及などで水質が向上し、90年代以降は味が回復していきました。
ただ、依然として水道水に不信感がある人がいたり、便利だったりで、ペットボトル水の需要は増加傾向です。ミネラルウォーターの生産・輸入量は40年間で約50倍になりました。
駅などに置かれている冷水機が減ったのも、ペットボトルの普及が一因でしょう。コロナ禍では、感染防止を理由に利用停止された冷水機も。
味とは別に安全性の問題もあります。これまでも寄生虫の検出や原発事故など安全性が脅かされるような事態がありましたが、最近は有機フッ素化合物(総称PFAS)の検出が問題になっています。高濃度で検出された地域では、家庭で浄水器を設置したり議会で議論されたりしています。
どのように水を飲むかは各自の価値観に基づく選択ですが、飲んでいる水がどこからやってきているかはぜひ意識してほしいと思います。ペットボトルにつめる地下水はくみすぎると枯れる場合もあり、メーカーには水源保全の活動やその公表が求められる。消費者にも「飲む責任」があります。
vol.216 水はすべてにつながっている
水のこと、一緒に考えましょう!
地下水がおいしいのは、地上に降った水が、地下にしみ込んでいく内に汚れがろ過されて、きれいになり、土中の炭酸ガスや岩石のミネラル分を溶かし込み、1年中水温が一定である為です。今、地下水として沸き出している水は、数年から数十年も前に降った雨水が、地下にしみ込んだものなのです。
今、そんな地下水の危機が叫ばれています。地下水の減少や汚染など、様々な問題が起きています。開発や植林の名のもとでの“森林伐採”、“除草剤汚染”の問題なども。
地下水を増やすには?
山林や田畑などの涵養域(かんよういき)が必要・・・
涵養域とは、水田、畑地、草地、林地、水域など、地下水を染み込ませ蓄えておける場所です。地下水は、雨水が涵養域から地下にしみこんだものです。
山林や田畑が減少し、建物や舗装道が増えると、地下水の量が減少するだけではなく、雨水が側溝や河川に一気に流れこみ、河川のはんらんや水害も増加します。雨水をしみこませる山林や田畑を多く確保することが必要です。開発や休耕田の増加や農地の減少で、涵養域は増えるどころか減っているのが現実です。抜本的な地下水確保のために、行政当局の早急な対応にも期待したい。安全でおいしい地下水確保にお金をかけるべきではないでしょうか。
知っていますか?
木の根や落ち葉は雨水を蓄えるため、水の流出を制御することができます。森林は、まさに自然が作り出した緑のダムと言えます。ブナなどの広葉樹林の方が、よく根を張るため、雨水をしみこませるのに適しています。
各務原の水は大丈夫かな?
ゴルフ場などの除草剤の問題。芝生の雑草を除去するために、様々な薬品が使われているようです。(岐阜県は全国で7番目にゴルフ場が多い県。一位は北海道)また、最近増えているのが、産業廃棄物処理場の問題です。ゴミの不法投棄を含め、ダイオキシンやPCB(ポリ塩化ビフェニル)・鉛・ヒ素などをはじめとする多種多様な重金属・有機塩素系化合物等による汚染問題も深刻なものとなっています。これらは地下水汚染につながります。加えて今騒動となっているPFAS(有機フッ素化合物・永遠の化学物質)と言われているもの。各務原市ではこの値が基準値を超えていて、市民に公表せず、問題となりました。
永遠の化学物質?PFASってなに?このPFAS についてはP-5-6で詳しく解説します。
そもそも、基準値ってなんだ?
日本科学未来館 科学コミュニケーターより
政府は、大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染及び騒音に係る環境上の条件について、それぞれ、人の健康を保護し、及び生活環境を保全する上で維持されることが望ましい基準を定めるものとする。つまり、ヒト(を含めた生態系)が健全に生活をし続けられることを目的とした値です。
※環境基準は、行政上の目標なので破っても罰はありません。しかし、環境基準を維持するために、個々の事業所や車などの発生源に対して「規制基準」が定められています。さらに、地方自治体は、それぞれの地域の特性に合わせてより厳しい規制(上乗せ規制)を行うことができます。
同じ化学物質でも状況によって扱い方が変わります!例えば、大気中に放出されたベンゼンは、ヒドロキシラジカルによって分解され、6.7~13.4日で半分の濃度になっていくと推測されています。しかし、土壌中や水中では、どれくらいのペースで微生物によって分解されるのか、大気中に放出されるのかなどを考えなくてはならず、一層議論 が複雑化します。
時代や場所によって、科学的事実や人の考え方が変わり得る
こ れ は と て も 重 要 で す !
例えば、無害だと思われていた化学物質も、有害であることが後か ら判明することもあります(逆も然り)。事故などをきっかけにして「基準値以下ならば本当に安全なのだろうか・・・子どもや赤ちゃんには?」と不安を覚える人が多くなることもあるでしょう。なので、環境基準は、新しい情報が反映され、基準値の根拠を添えるなど、不安に答えられるものであることが理想です。
例として、大気中のベンゼンの基準値について考えてみましょう。ベンゼンは、発がん性(急性骨髄性白血病など)といったヒトへの危険性が報告されています。ごく微量でも発がん性があると考えられているため、どの程度の量までならさらされても大丈夫という値(閾値・しきいち)が設けられていません。しかし、ベンゼンは、車の排ガスやタバコの煙からも発生しています。大気中のベンゼンを失くすことは不可能です。
ど う す れ ば 良 い の で しょ う ?
このような閾値がなく、排出を抑制できない化学物質に対しては、実質安全量(ある化学物質の影響をほぼ無視できると考えられる量のこと)という考え方が用いられます。発がん物質に対しては、一生涯(現在だと70年)さらされ続けた際に、その物質の影響のみによる発ガン確率が10〜5増加する量として設定されることが多いようです。
つまり、70年間で10万人に1人がガンになる程度ならば実質的に安全とみなすという考え方です。この考えに基づき、ベンゼンを使用していた海外の工場における事故に関する研究などを参考にして、3 μg/m3 以下という環境基準が算出されたのです。さて、いきなり3 μg/m3以下と言われて、イメージできますか?身近な単位に変えてみましょう!!
・(気体のベンゼン) 約1 ppb 空気中の約10億個の原子・分子のうち1個の割合でベンゼンが混ざっているイメージ。
「それっぽっちしか入ってないなら大丈夫な気がする。」「いや、たったこれだけで人体に影響を及ぼし得るの!?」「70年間さらされ続けて10万人に1人なら良いかな。」「いや、100万人に1人くらいにもっと厳しくしないと不安だ!」
人によって捉え方はいろいろでしょうし、まだまだたくさんの意見があると思いますが、まずは”知ろうとする”ことが第一歩です。
vol.216 教えてぴーふぁす先生
PFASとは何か。汚染の現状と課題
フッ素って虫歯予防?とよく聞かれますがそれは無機のフッ素で適切に使えば害はないです。
PFASは、人間が作った“フッ素をたくさん持っている有機物”です。フッ素をたくさんつけると熱や光に強く壊れにくくなることがわかってきました。
PFASは1940年代に3M社によって開発されましたが2000年5月、同社はPFOA/PFOS生産を2002年までとし自主的廃止を発表。しかし、PFASの性質である環境残留性により各地で深刻な地下水や土壌汚染が継続しており健康影響が懸念されています。4700種類もある中で、特に注目されている2物質PFOSとPFOA、この二つが各務原市の水質検査で国が定める基準50ナノグラムを超えていましたね。
身の回りにあるたくさんのPFAS用途
私たちの身の回りには撥水撥油コーティング剤としてゴアテックス、テフロン、撥水スプレーなどが使われています。泡消火剤として使用されるのは飛行場、立体駐車場とかいろんな工場。意外かもしれませんが、アリ誘引殺虫剤の有効成分にも使用されています。なじみのあるテフロン(フッ素樹脂)はフライパンを作る工程でPFASを使っています。
化粧品も水をはじくものとか、崩れにくいとか、そういった性質のものが気になります。一部ですがPFASを使っています。ラベルを見るとなんか小さい字でいっぱい書かれています。その中で、…フルオロ…と書かれているもの、それがおそらくPFASです。ポリフルオロリン酸エステル(PAPs)は、化粧品・日焼け止めはじめ、ハンバーガーやポテトフライなどの包装紙などに広く使用されています。ファーストフード店も2025年くらいまでには使用をやめ、別のものに切り替えると言っ
ている。企業側もだんだんPFASを使わないほうがいいだろうという動きが出てきています。
それに加えPFOA/PFOSは野生生物や我々の体に残りやすい性質を持っています。将来的に健康への影響があるのか、今後、しっかり見極める必要があります。
PFAS濃度が高いと影響は確実に出る
我々がPFASを口にするとなかなか体から出ていかず血液に結構残ります。血液を調べると我々が普段摂取しているPFASの濃度がわかるので、血液検査は重要です。データを見るとPFASを作るのをやめて身の回りからなくなっていけば、確かに減っていくことが明らかになっています。
実験動物を使って、調べます。血液の脂質(コレステロールとか、中性脂肪など)こう言ったものが、出てくる。もちろんある一定の量を与えた場合です。動物でそういう結果が出るなら人はどうなのか。脂質異常症、血液中のコレステロールが高いと病気の確率が上がる。甲状腺疾患、喉にある小さい組織なんですが、ホルモンとかを分泌するところです。そこの病気の確率が上がる。
健康被害というと、濃度がやや高い水を飲んだら、体の調子が悪くなって何かの病気になりますとか、病気になる確率が上がりますとか、そういう意味じゃないんですね。リスクは確率です。一人ひとりに対して確実にこうなりますということではなく、血液中の濃度が高い人の中で、そういった病気の人の割合が多いということが今までの研究で分かっています。発がん性と言われていますが、腎臓がんの割合が高くなる。精巣がんの確率も高いです。
泡消火剤とPFAS汚染
国内の事例で話していきますと、PFASが使われ始めたのが1960年代。この消火剤は必ずしも事故の時に使うだけじゃなくて、日常の消火訓練にも使うし、いざ使う時になって消火剤が作動しないと困るので、定期的にテストします。一度出した消火剤を回収することはできないので、外に流れた状態となる。使った後にそれが土壌にしみこむとそれが土壌の汚染になります。
土壌が汚染されるとどうなるか。工場があるとか、その周辺が汚染されているというイメージがありますが、重金属だったら、あまり汚染されません。なぜかというと、土壌の成分と結合するから、土壌の上から下まで沈み込まない。一方で程よく水に溶け込む性質のものは、この土壌を突き抜けて地下水の層に混ざってしまい、井戸水・水道水の汚染につながります。PFASは分解しにくく、水に溶けやすい性質があるので、土壌の中をゆっくりと進んでいく。いわゆる帯水層、という地下水の層まで入っていくと流れに乗ってさらに周辺に広がっていくわけです。
各務原市の水道水
各務原市で水道水でいくつか水源地でピーファスが見つかった。三井水源地で1Lあたり77ng。一番近い鍋島水源地は26ng。西市場が9ng。三井水源地から離れていくと濃度が下がっている。そして岐阜基地に近いほど濃度が高い。各務原市の発表では国の暫定基準を超えてない所の濃度がいくらだったかわからないので、ハッキリはしないですが、そういった情報も出していけば、本当にこの基地から離れていけばいくほど濃度は薄くなっていく…そういった関係が本来は見えてくるはずです。この地域だと東の方が高く西の方が低い。水は高い所から低い所へ流れますから東から西に向かって流れていってるわけですね。PFASというのは地下の中を動いていると考えることができると思います。
では、どうすればいいのか
対策は?まず発生源を止めないといけない。今後の調査が必要であり重要です。発生源自体を抑えないといつまでも地下水にPFASというのは残ってしまい、除去を続けないといけないという状況になります。除去する方法としては、単純でも活性炭が導入しやすい。浄水器は値段が高いものを必ずしも買う必要はありません。活性炭でも、先程言ったようにPFOSやPFOAは大体8割から9割は除去できます。ここで何が大事かというと、活性炭を定期的に交換することなんです。活性炭はだんだん吸着が落ちていくので一定期間でちゃんと交換しないといけない。それから日用品のPFASはできれば避ける。これはちゃんと意識することです。また、長期的な視点でこれからの対応が重要です。値が低下した状態が続いているかどうかという継続調査は、行政の対応としては必要ですね。
今後とまとめ
2020年 日本に基準は50ng/L。 これはすごく評価できることでした。しかしそのあと欧米諸国がもっと厳しくしようという動きが出て、日本の数字が逆に今高くなっています。(米国環境保護庁の新しい勧告値 2023年3月全国水道基準(法的規制)案は4ng/L(PQL)です。
水も大事なんですけど、水以外にも、土壌も汚染されます。そうすると食品とかにも部分的に汚染が広がる可能性もあります。私たちにできることは、、まず「そういう製品を選ばない、できるなら避ける」というような流れ、雰囲気を作るということが、企業にとっても取り組みを進めるきっかけになるんじゃないかと思っております。
Q:日本では科学的知見がないので飲み続けてもいいとのこと。先生のお考えは?
A:摂取量が高い人と低い人という比較の中で研究がされていないのが問題。そういった中で、人への影響というのはありうると。そういうリスクを未然に防止するために目標値を決めて、それを超えないようにしましょうというのをやっているわけ。その中でヨーロッパやアメリカでは目標をどんどん下げてきた流れがあります。ストックホルム条約は、基本的に分解しにくくて、人体とか生物にたまりやすいようなものをまずは優先的に禁止していくとしています。
Q:私以前登山をしておりまして、登山靴、レインウエアを撥水効果のあるゴアテックスを使っておりました。それらを身につけた時、体への影響はあるのでしょうか?
A:衣服に含まれている場合、接触するのは肌。問題になっているものは主に口から入ると体の中に吸収されますが、皮膚からは通過しにくいので、ご安心していただいていいと思います。
Q:アメリカとかヨーロッパ他の地区でもやっぱり活性炭での除去法が一番多いのですか?
A:使い捨てで、その分安く済むので、多くの場合は活性炭が使われます。浄水場だと他の有機物とかも除去しないといけないので、活性炭が処理施設に入っている事が多い。特に川の水を使う場合は、ほとんどは活性炭処理を導入している。もともと地下水はきれいと思われているのでわざわざ活性炭を通さないのですけど、今回各務原市で活性炭を選んだのはとりあえず導入しやすいという背景があると思います。今三井山浄水場の地下水中の濃度が、1リットルあたり70ナノグラム。おそらくこの濃度だと完全に溶けている状態で移動していると考えられています。
Q:測定をするときに資格とか認証とか必要でしょうか?それから、測定をする装置というものはかなり大掛かりなものなのか、実際の数値が実測値なのか、理論値なのかお聞かせください。
A:PFASは環境汚染物質なので、いわゆる病院とかでやる検査、コレステロールとかいろんなものをやる検査とはちょっと扱いが違います。なので、臨床検査場、衛生検査場とかそういった認証とかは必要ありません。多く使われている分析装置は、一台安くても2,000万、高いものだと5,000万するようなものを使っています。民間でやっている検査ですと、水を測るだけでも2万円か3万円くらいかかるでしょう。実際のPFOSとかPFOAとかの濃度がわかっているものに対して量を決めているので、これは全部実測値になっています。
(文責・にらめっこ)
vol.216 ぎむきょーるーむ 緑の処方箋とは
レクリエーションをしなくても、自然とのつながりを感じられる子どもは「子ども自身が幸せなだけでなく他人にも優しい」ことが判明したという研究結果が出ているそうです。 これは本紙前号の特集<P-1見えないつながり・自然とつながる私たちの健康『自然欠乏症候群』>と大きく関連しています。この研究では、子どもの健全な発達には自然が必要だとの見方が強まっています。「自然とのつながりは子どもの幸福だけでなく、人に優しくなれる人間性を育む」ことが確かめられました。
子どもに自然と触れ合わせることの重要性が明らかになるにつれて、実際に自然との触れ合いを重視する動きも活発化しています。「子どもたちは、わくわくできて、楽しく自然と接する事ができる生涯学習者のお手本を必要としています。なにも環境科学や自然の専門家である必要はありません。大切なのは、楽しく安全な環境で子どもが好奇心を満たせるように、子どもと一緒の時間を過ごすこと。野外で過ごす時間が少ない子どもにさまざまな問題行動が観察されており、こうした症状は「自然体験不足障害(NDD)」と呼ばれています。
「自然体験不足障害」とは?子どもたちが自然から切り離されることの危険性
「自然体験不足障害」というと、なにか恐ろしい病名のような気がしますが、これは医学的に定義された言葉ではありません。『あなたの子どもには自然が足りない』の著者でありジャーナリストのリチャード・ルーヴ氏が作った言葉です。子どもが自然と切り離されることの危険性や緊急性を伝えるために、このような表現を作り出したのです。
2005年以降、自然体験が人間の発達に与える影響に関する研究が増え、自然から疎外されることが人、特に子どもの心身に深刻な影響を与えていることが明らかになってきています。
自然と過ごす時間が得られない子どもは不安感や抑うつ感を強く持っていたり、注意力や集中力の低下、落ち着きのなさといった注意欠陥障害の傾向があったりすることがわかっています。また、屋外での活動が不足することで肥満になったり、環境の変化に気付きにくい「感覚麻痺」という症状も出てきたりするのです。
自然体験不足障害の原因
都市化により屋外での遊び場が減るだけでなく、車などの交通量も増え、子どもが屋外で楽しむことが難しくなりました。また、テレビやコンピュータなど電子機器が増えたことで、子ども自身が部屋で過ごすほうが楽しいと思うようにもなってきています。それらに加えて、屋外で起こる事故や不審者などによる事件などの報道に影響を受けた親たちが、「外は危険だ」という考えを持つようになり、子どもを屋内で守ろうとし過ぎていることも原因の一つだと指摘しています。
自然体験不足障害の改善策
ルーヴ氏は、「自然体験不足障害」の子どもは、親、学校、地域の努力で救うことができると考えています。
屋外に出て静かな時間を持つだけでも子どもは落ち着きを保てるようになります。芝生や土の上を裸足で歩く、木を触ってみる、小石を拾ってみるという機会を持つだけでも「感覚麻痺」を改善することができます。
学校の校庭や近くの公園で、5分でも10分でもいいからそこにある花や木を観察する。それを季節ごとに繰り返すと、環境の変化にも気づけるようになります。
大がかりなキャンプに行かなくても、一日かけて登山をしなくても、放課後や週末に身近にある自然と触れ合う機会を作ることで「自然体験不足障害」による症状を改善することはできるのです。大切なのは、自然体験が減っていることによって失われているものを恐れるのではなく、身近にある自然環境から得られるものは何かを考え、子どもに自然と触れ合う時間を持たせてあげることなのです。
子どもに自然が必要なワケ
自然との触れ合いが減っている子どもたち。自然そのものの減少で、触れ合う機会を失ったこともありますが、ゲーム等の存在や放課後の自由な時間の減少により、”外で遊ぶこと”への興味を失ったことも、少なからず影響しているのかもしれません。
自然のなかでの遊びは、問題解決能力、集中力、自制心の発達にも役立ちます。また、協調性や柔軟性が向上するため、他人とうまく付き合えるようになり、社会的にも意味のある遊びと言えるのかも。
直接的に自然に触れる機会をつくる
木登りを例に挙げてみましょう。登るのも下りるのも自己責任。どうしたら登れるか、どうしたら落下せずに済むか、どうやって下りるか、という一連の流れを自分の頭で考えなければいけません。こういった体験は、実際に自然と触れ合ってみないとわからず、単に木を眺めて景観を楽しむのと、実際に登ってみるのとでは、子どもにもたらす影響はまったく違ったものになります。
何気なく転がっている石も、落ち葉も、木の枝も、自然の中にあるものは発想力さえあれば、子どもの遊ぶ道具となり、子どもの発育を手助けする道具となり得ます。大人にとっても自然はストレス発散やリラックスの場として大切ですが、子どもにとっても、とても大切な場ということなのです。普段の子どもの遊ぶ時間を、それとなく自然との触れ合いに導いてみてはいかがでしょうか。
参:gigazine/NATURESより
vol.216 しょうがいをみつめる vol.9
「自閉症でよかったと思うことは何?」と質問されたら「自然と一体化した感覚になること」と答えるでしょう。人であることを忘れられる、その時間は何もかもが遠い過去のように思え、幸せで胸が一杯になります。人と心を通わせることが苦手でも、この世に生まれてよかったと思えるできごとはあります。
「自閉症が30歳の僕に教えてくれたこと」東田 直樹:著
この言葉を見た時に強い安堵感を覚えた。親としては誠に身勝手なセリフではあるが、そう感じてしまったことに間違いはなかった。“息子の言葉を聞いた”と勘違いしたとも言えるが、そうなのかもしれないと私自身が想像を巡らしていた内容だった。そうであったら良かったと思いたかったのかもしれない。
息子との暮らしの中には、悩ましいことや怒りに似た悲しみは私の日常に溢れていた。なぜ悩ましいのか?悲しいのか?その心を持っているのは私自身であって“彼”の中には全くその要因とするものはない。私の奥底にあるドロドロしたものを喚起するそれらの“憂い”は、私が根本的に抱えているものだと見つめざるを得なく、抑えつけたり、蓋をしてやり過ごすには息子という存在はあまりにも大きかった。
今を生きる力。昨日を後悔せず、明日を憂うこともなく淡々と今を生きるように見えた息子の一面は私の憧れる気持ちも喚起していた。どうしたら自然や大いなる宇宙の流れに乗って何にも囚われず“生”を全うできるのか。“自然と一体化”しているように見えた息子の生きる姿は大いなる目指したい姿でもあった。
日常のほとんどの時間はいわゆる“大変なこと”に費やされ、いつまでコレは続くのか?と私は思っていた。いや、息子もそんな苛立ちは、通じない私に対して感じていたのだと想像している。そんな中で時折り“ふと”彼が見せる表情や行為からは、どこから司令が来ているのだろうかと思うほど、美しさや滑らかさを纏う“自然と一体化”したかのような姿を見ることがあった。
思うようにならない言葉と身体、混乱する思考を悩ましくも愛でながら生きている自閉症の方々の姿は東田さんの著書から想像することが出来る。著書を読んで、息子に対してああすれば良かった、こうすれば良かったなどと戯言を今更ながら思うのだが、彼の人生の最後の半年をぶつかり合いながらも過ごせたことは私の財産となっている。
自閉症とは自らの世界に閉じこもっているような言葉ではあるが、“こうあらねば“とか“やりたいことはなんなのか”という“囚われ”から自由に開いた存在という一面も待ち合わせている気がしている。それに憧れるのは当然であるし、“自然と一体化”というものを少しでも味わうことができないものかと目指さないように目指すのもオツなものである。
自由というのは
いつかは本当の自由を手に入れたいと願っている人も多いのではないでしょうか。けれど簡単にそれが叶えられるわけではありません。今、何をしたいのか、自分の欲に縛られているうちは不自由なままです。
自由というのは、したいことをすることではなく、したいことがなくなることなのかもしれません。
「自閉症が30歳の僕に教えてくれたこと」東田 直樹:著
「しないのっ!(なんもしなくていいんじゃね)」と息子の声が聞こえてくるようだ。
MASA:若者をはじめ、障がい者も一緒になって、ごちゃまぜイノベーションを目指している。知的障がいのある息子は享年24歳で2021年2月27日に旅立った。関市在住。
vol.216 niramekko Gallery「ちょう」
vol.216 やってみた 渡邊さん
幸せの種をどうぞ!はなさかおばさん 渡邊さん(70代)
緑豊かな、庭に花咲く家で育った渡邊さん。結婚して庭のない借家で、ガーデニングもままならない日々を過ごしました。数十年前、庭のある今の家に越してきた時のうれしかった気持ちは、今でも鮮明に記憶にあります。以来、大好きな花に囲まれて過す日々が今も続いています。
庭に出て花の世話をしていると時間の経つのも忘れ、家族にあきれられるほど。
毎日のように庭仕事をしていると、家の前を通りがかった人に、「きれいですね」「珍しい花ですね」と声をかけられることも。反射的に「種が採れたらさしあげますよ」。それがきっかけで花談義に盛り上がることもしばしば。するとやがて「あの花、今日咲いたよ」と嬉しい報告の言葉が返ってきます。中には、咲いた様子の写真をメールで送ってくれる友達もいます。
以前、なんとなく話しかけにくいなぁと思っていた人がいました。ところがある日、花がきっかけで話してみたら、自分が持っていたイメージとは違うとわかり、今では会えば話がつきないような友人になりました。「きれいな花を見て嫌な顔する人はいないし、花って不思議な力があるねえ。」と渡邊さんはつくづく感じます。
今年の春先にちょっと気になることもありました。物忘れが多くなってきたのです。他ごとをしているうちに鍋を火にかけていることを忘れて安全装置が働いたこと、少し怒りっぽいと家族に言われたり…。そんなことを友達に話すと、「一度脳神経外科で診てもらったら?」と言われ、ドキッ。あの人、最近ちょっと変だね、と噂されていた近所の奥さんの、あっという間に認知症が進んでいった姿が頭をよぎります。一方で、認知症も程度が軽いうちに手を打てば進行を遅らせることができるとも聞いていたので早速、脳神経外科で診察をうけました。幸いにも脳の萎縮も、問診の結果も認知症の兆候はみられませんでした。 ほっとする渡邊さんに、医師が認知症予防のためにとアドバイスをいくつかくれました。
・首の後ろをマッサージするなど、頭まわりの血行を良くすること。
・手先を使うこと。
・感動できる趣味をもつこと。
もともと編み物や小物作りなどが好きで、庭で花を育てることも大好き。医師にそう話すと、「ああ、それはすごくいいことだね。どんどんやってね。」とうれしいお言葉。もともと好きでやっていたことにお墨付きをもらった気分になった渡邊さん。以前より一段と明るい気分で花のおすそ分けに精が出ます。
小物作りや編み物、庭仕事など毎日忙しい渡邊さんですが、人に誘われたり頼まれたりすると、できるだけ断らないようにしています。「だって、せっかく私に声をかけてくれたんだもの。これも何かのご縁でしょ。そんな私を八方美人と言う人もいるけど、どんな人でもつきあってみないとわからないしね」
今の社会は、知らない人とは口をきかないようにと子どもに教えたり、物のやりとりをしないとか、知らない人とはあまり関わらない風潮もあります。いろんな怖い犯罪もあるから、それも無理ないことかもしれない。
「でも、私はどんどん関わっちゃう。近所の人みんなが知り合いの方が安心して暮らせるし、幸せなことだと思うの。だから私は小物を作ったり花の種が採れたら、どんどん人にもらってもらうの。」
vol.216 人生これから「あれ?認知症かな?と思ったら」&野菜染め
ご家族を見ていて、あれ?認知症かな?と思ったらどうするか。認知症かどうか診断してもらうことも一つの方法ですが、他に病気の影響もあるかもしれないので、脳の検査もしておくといいですね。認知症は、脳細胞が正常に働かなくなることで、記憶力や判断力が低下します。でも、だからと言って、「何もできない」と思うのは誤りです。
私の今までの経験で言えることは、「できないことを数えるよりもできることを数えてほしい」ということです。その人ができることをとりあげないで、どんどんやってもらって、「ありがとう、助かったわ」と伝える。その人を大切にする声かけをしてほしい、ということです。その人の心に寄り添う関わり方をし続けることで、認知症の進み具合もゆるやかになっていきます。
実例として、買い物や料理、掃除や洗濯などの家事一般はできるのに、娘さんなど身近な人が認知できない。買い物もお料理も上手にできるのに、物を盗られたと思い込んだり、冷蔵庫の中には時期が過ぎ傷んだ食品がいっぱい、という認知症の方もいらっしゃいます。グループホームに入って欲しいとご家族が希望されても本人がそれを拒むケースもあります。実際、グループホームに入所するには認知症の診断書が必要です。ただ、認知症かどうかの診断はしてもらえても、その人がどういう人なのかは医者にはわかりません。よく「人を変えることはできないが自分を変えることはできる」と言いますが、ご家族の考え方や対応が変わることで、ご本人が変わってきた、という例を私はたくさん見てきました。
Q.姉の行動で、もしや認知症のはじまりかも、と思ってしまう出来事がありました。本人は全く自覚がないので、検査をしたら?と言いにくいです。
A.明るくさらっと「私もいい年頃になって気になるから、お姉さんも一緒に検査してみない?」と誘うのはどうでしょう。「検査しないと!」とか、本人が傷つくような言い方は決してしないでください。
Q.怒りっぽくなるのも認知症の始まりの一つの特徴と聞いたことがあります。優しく接しなくてはいけないとわかっていても、怒られてばかりでは、辛いです。
A.確かに辛いですよね。そういう人は自分の話を人に聞いてもらうといいですね。話すことで自分の気持ちも整理できるし、心も軽くなります。認知症の方のご家族にとって大切なことは、自分1人で抱え込まないこと、話せる場所に行くことです。
えんぴつカフェ 9月20日は「野菜染め」にトライ。みぢかな野菜で一体どんないるに染まるのか…
前回、藍染め体験をして染めの面白さにはまってしまい、今回は、野菜染め。よもぎ(春に採って乾燥保管したもの)、ごぼう、玉ねぎの皮。媒染は焼きミョウバン、重曹、酢で試しました。定番の玉ねぎの皮はみんな綺麗に染まりました。ごぼうは重曹を入れるときれいな萌黄色に。でも、絞って見るとすっかり色が落ちてしまい、うっすらと色が残る程度。よもぎは酢で色止めしてベージュ色。布によっても染まり方が違います。今回は自然素材で染め体験をしましたが、媒染も鉄やアルミを使うとまた色の変化を楽しめるようです。
参加者感想
・ 初めての体験で、知らないことばかりでした。楽しかったです。
・ でき上がるまでどんな色合いかわからないところが面白かった!
・ ごぼうやよもぎの色が薄くて意外でした。玉ねぎはしっかり染まって嬉しかったです。初心者向きは玉ねぎかな。
・ 他のいろんな野菜で試したくなりました。
vol.216 11月12月えんぴつカフェのご案内
vol.216 熱中人 佐久島のゴミひろい 中川美穂さん
ゆっくり・のんびりエコツーリズム
一昨年から佐久島にご縁があり、何度も訪れていた中川さん。「この島は観光の島なんです。でも、人口減少で過疎化が進んでいます。この島が大好きで、何かお手伝いできないかと模索していたら島以外の人たちが参加できる、『さくっとプロジェクト』があることを知り、私は海岸のゴミ拾いをすることにしました」。
9月22日、一色港に9時に集合。9時30分発の船で佐久島・西港に到着。弁天サロンでプロジェクトに初参加の方はカードを発行してしてもらいます。次に自転車をレンタルして島を時計回りに。いざ出発!
今回は白浜海岸でゴミ拾いです。ゴミ袋は二つ。燃えるごみ用(プラスティック、ビニールなど)と燃えないごみ用(ビン・カン類など)。ペットボトルは稀に中身が入っているのでそれを捨てて回収。大きさもまちまち。1時間もするとゴミ袋にいっぱい集めることができました。
「ゴミの中で特に目立つのが、ペットボトルなどの軽いゴミ。陸から川を流れてやってきます。時期によっても(夏、冬)風の吹く方向がかわるので漂着物が多い海岸が変化します。潮の満ち引きによってゴミは行ったり来たりします。街から流れてくるゴミがほとんどなので、自分たちの街に帰った時にこの島のゴミを思い出してもらって捨て方を考えてください、とお願いしています」と語るのは、西尾市 交流共創部 佐久島振興課の三矢さん。
ゴミ拾いの後は海岸でお弁当タイム。参加者同士の交流の時間です。「がっつりゴミ拾いかと思って参加したけど、こんな時間(交流タイム)もいいですね」「ゴミ拾いとランチタイムに交流するというやんわりムードなら参加できる」「食べたもので血液が作られるんだよ。この塩むすび最高!」と様々な意見・感想を述べながら自己紹介。最後はみんなで歌を歌って帰路につく。東港から帰るルートで、他の海岸に寄るとそこも目に余るゴミが…。「今度のゴミ拾いはここだね」と、誰からともなくそんなつぶやきが聞こえました。
大空に飛ぶトンビが「また来てね〜」と言わんばかりに頭上を旋回していました。
vol.216 夢か悪夢かリニアが通る!vol.45
高速道路「東京外郭環状道路」(外環道)の地下トンネル工事により東京都調布市の住宅街で陥没事故が起きてから10月18日で丸3年になります。トンネルルート沿いでは今、「地盤補修」という名の街壊しが進んでいます。住民自慢の閑静な住宅街は更地や空き家が目立つようになり、街全体が工事現場のようになってしまいました。残された住民は今、地盤補修工事の騒音や振動にもおびえる日々を送っています。 井澤 宏明・ジャーナリスト
「地盤補修」という街壊し
公園も工事ヤードに
3年前の陥没事故と続いて次々と見つかった地中の空洞は、地上に影響を与えないことを大前提とした「大深度地下の公共的使用に関する特別措置法」(大深度地下使用法)で認可された地下トンネル工事が原因でした。ところが、事故現場の街壊しが進む一方で、外環道工事は再開され、同法で同じように認可されたリニア中央新幹線の大深度地下工事も始まりました。「大前提」が崩れてしまったのにも関わらずです。
秋晴れの10月10日、地盤補修工事の現場を巡る見学学習会が開かれました。主催したのは事故現場の周辺住民とNPO法人「市民科学研究室」で結成した「外環振動・低周波音調査会」です。事業者の東日本高速道路(NEXCO東日本)が行おうとしない住民の健康被害や住宅の損傷被害などの調査を地道に行ってきました。
京王線つつじヶ丘駅を出発した一行は甲州街道(国道20号線)沿いにあるプラントヤードを見学しました。住宅街にセメントを送り込む拠点で、住宅や動物病院と隣り合った敷地に4本のセメントサイロやコンプレッサーが所狭しと置かれ、コンクリートミキサー車が並んでいます。
NEXCO東日本が約2年間かけて行うという地盤補修工事は次のような大規模なものです。
トンネル直上の長さ約220メートル、幅約16メートルの範囲の約30軒の住宅を解体して更地にし、地中にセメントを高圧噴射して土と混ぜ、直径約4メートル、高さ約40メートルの円柱状の塊を約220本作って地盤を強化する。
プラントヤードを出発したセメントスラリーは、甲州街道と京王線の下をくぐり、入間川に蓋をするように敷かれた管を通じて陥没事故の起きた住宅街に至ります。子どもたちの声があふれていた「入間川ぶんぶん公園」は中継ヤードにすっかり形を変えてしまいました。
公園の向いにこの春まで住んでいた近田眞代さんも見学学習会に駆け付けました。夫の太郎さんが育った家を夫婦の退職金で建て替えた窓の多い瀟洒な3階建ては既に解体され、長女の誕生記念に植えた桜の木も今はなく、地盤補修のための工事現場の一画になってしまいました。
周知されない「危険」
案内してくれたメンバーの1人、岡田光生さん(東京都杉並区)によると、ここから地盤補修箇所までセメントが380気圧もの「超高圧」で管を通して送られます。氷山と衝突して111年前、沈んだタイタニック号が眠る水深約3800メートルと同じ水圧がかかるというのですから、「どこかで配管の一部が破裂したときに、そんなのが当たったら我々はモロに死にますよ」と、プラントのエンジニアとして海外でも働いた岡田さんが危機感を感じるのも無理はありません。
現地見学の後、東部公民館で開かれた意見交換会で「市民科学研究室」代表の上田昌文さんは地盤補修工事について警鐘を鳴らしました。
「(NEXCO東日本が)こういう危険な工事を周知していない、自治体が関与しようとしていないのは大変おかしいこと。自治体には住民の安全を守る義務があるので、住民が住む真っただ中で行われる工事ですから、事業者(NEXCO東日本)が対策をとっているかどうかをチェックしなければいけないが、そのあたりが全然、手薄になっているのが日本の公共工事のあり方です」
続けてリニア工事にも言及しました。
「ここを改めていかないと、リニアでも同じこと(事故)が繰り返されるのではないか。自治体への働きかけは今のところ住民の力でするしかないので、早い段階から頑張っておくことが大事です」
vol.216 ボーダーレス社会をめざしてvol.75
がんと向き合って
2012年に胃ガンの手術をして、11年が経ちました。最近、知人が乳がんになり、「伊藤さん、どんな食事をしていた?何に気を付けたらいい?」と質問攻めにあっています。私が何を頼りに、何を食べて、何を大切にしてきたかを今回は書こうと思います。
抗がん剤が合わなかったと以前書きましたが、体に力がみなぎってこなくなり、明らかに死に向かっているなという感じでした。一度座ったら立てないんですから。抗がん剤をやめようと決心したのは草思社出版の「論より証拠のガン克服術」(中山武さん・著)を読んで、明かりを見出せたからです。
医師に頼らず、患者自身が「自分の心と体質の改善」に努力し、ガンを退縮させている現実が書かれていました。ガンは生活習慣病だから、体質改善をすれば良くなる。食生活やストレスでガン体質になったためにガンになった。ガン体質を改善しない限り、別の場所にガンができるのは当たり前。事例がいくつも書かれ、中山さんが率いる会の10年間平均生存率は95パーセントです。
こんな現実を知らせされたら同じようにやってみようと思うのはそれこそ当たり前ではないでしょうか?書かれていることを私流にやってみました。①玄米菜食。よく言われる言葉です。2年間は徹底的にやりました。「酵素玄米」を食べます。ネットで調べると出てきますが、玄米・小豆・塩・雑穀米を入れ、焚き、3日間寝かせます。柔らかい玄米ご飯が出来上がり、おいしいです。これを食べることにより、便通がよくなりました。腸の環境が良くなったのでしょうね。現在も食べています。②塩。にらめっこの裏表紙に書かれているコトノハ工房さんの記事をご覧になればよく分かると思いますが、「塩の質こそが大切」です。基本的に、スーパーで高い塩を買えばいいと思っています。安い塩は買わないことです。私は栗國の塩や塩の袋の裏面を読み、製法にこだわっているものを購入しています。昔からの製法で作っているおいしい塩が至る所にあります。旅行先で見つけては買ってきています。③砂糖。砂糖は取らないことが一番。我が家に砂糖はズーとありません。その代わりにハチミツを使っています。岐阜の大野町に小森養蜂場という所があり、そこのハチミツを使っています。甘いものは厳禁です。④カタカナで書かれる食品は極力食べない。パスタ、パン、ラーメン、ビザなどは食べない。⑤胡麻。黒胡麻はご飯の上にかけて食べています。胡麻を食べ続けると甘いものを欲しくなくなるとか?⑥発酵食品。体にいいと言われていますので、納豆・味噌汁は、1日1回は食べる。味噌汁は具だくさんで、芋類、人参、きのこ、海藻を入れ、後は家にある野菜を入れる。味噌汁だけで栄養は十分かもしれません。⑦油。オリーブオイルとえごまオイル・胡麻油を使っています。胡麻油も九鬼の圧搾法を使った油がいいそうです。これはにらめっこさんで教えていただきました。調味料も安い偽物は使わない。昔を惜しむと年寄り扱いされますが、添加物が入っていない老舗と言われる店の調味料を使っています。
いろいろ試してきて分かったことは、昔ながらの食事が、たぶん日本人の体に合った食事だという事です。体に負担のない良い食事なのだと思っています。食事以外に心の持ちようも大切です。自分で考え、自分で勉強し、他人ではなく自分が決定権を持ち治療することです。
vol.216 モザンビークからレポートvol.10
人気スポーツはサッカー
モザンビークに歴史的な日が訪れました!アフリカカップ(CAN…1957年に始まり、1968年からは2年ごとに開催されているアフリカ大陸のサッカー大会) の予選を突破し、来年の本リーグに進出です。日本のサッカー史上で言うところの、ワールドカップ予選を初めて突破した 年の時のような感じでしょうか。モザンビーク3ー2ベナンの大接戦の上での勝利。
モザンビークでの人気スポーツ、誰もが口を揃えて、サッカーと答えます。首都近郊にあるスタジアムに全モザンビーク中から4.5万人のファンが集まりました。立見も大勢いるほどの観戦率。観戦料金が100~200メティカイッシュ(200~400円)と、安い食堂のご飯が食べられるくらいの料金設定というのも万人へ観戦機会が開かれています。みんなモザンビークの代表カラーである赤の服を着ていましたが、モザンビークの国旗やオフィシャルグッツを身につけている人はさほど多くありませんでした。常に伝統楽器の太鼓の音が鳴り響き、モザンビークの歌を歌ったり、ところどころ拍手したり、基本的には日本でのサッカー観戦と変わらないのに、ゴールを外した時やミスした時の惜しみ方や、責めたりする感じの一つ一つのリアクションがまるで日常会話のまんまでした。
ベナンチームがゴールを決めた瞬間の静けさと静止具合と言ったら、都合の悪い時に何も答えない日々の習慣が如実に現れているようでした。なんと、モザンビークが得点を重ねたときには掲示板もすぐに加点されるのに、ベナンが加点したときには何分たっても掲示板が変わらない。私にとってはそんなところ面白かったです。
試合は、ベナンが1点入れたところから動き出しました。どっちが勝ってもおかしくない攻防戦でしたが、ベナンの方が常にボール回しができている感じでした。それでも、やはり観客の力でしょうか。残り7分20秒のロスタイムが表示されて、3分くらいたった頃、最後の3点目。心臓バクバクの90分の後、歓喜に溢れかえりました。シャパ(乗合バス)の中でも大盛り上がり。「月曜日は祝日だ!」と大きな声で話す人が何人もいたり、道を歩きながら国旗を掲げてプープーと笛を吹いて練り歩く人もいて、その余韻は夜通し続くんだろうと想像しました。ちなみに、今回ベンチ入りした23人の選抜選手には勝利金として1人70,000メティカイッシュ(14万円)、さらに試合の出場割合によって325,000メティカイッシュ(約70万円)×○○%の賞金が出ました。「首都の平均月給7,500メティカイッシュ(15,000円)とは比べ物にならない額を、選手達は90分の試合で手にしたんだ。」と友人は呟きました。
vol.216 菌ちゃん野菜応援団vol.37
記録的猛暑もようやく山を超えすこーし秋の気配が漂ってきました。畑は秋冬野菜の準備に入っていますがあまりの暑さに苗も萎れ気味。頑張ってー、と声をかけながら水やりをしたり草のおふとんを敷いたりする日々です。
前回は、身体の外からくる敵を3つの方法で防いでいますよ、というお話をしました。その働きとは
①物理的にシャットダウンする。
②もともと持ってる自然免疫でやっつける。
③後天的に獲得した獲得免疫でやっつける。の3つ。
身体はそこまでして私達を病から守ろうとしてくれているんです。1つづつ説明していきます。
まず「身体」には「体内」と「体外」があります。
「体内」とは読んで字の如く、体の中のことですが、これは皮膚や粘膜に守られた内側の細胞という意味です。
心臓や肝臓などの臓器があるところや血管や筋肉、骨があるところ。そこを体内といいます。
反対に体外とは皮膚など「外のものと接触出来るところ」。あと、口から肛門までは1つの管で繋がっていて外と接触出来ますから身体の中にあるように見えて実は「体外」というくくりになります、なんとまぁ、びっくりですね!
私たちが住む地球の環境下には、食べ物や飲み物のほかに、たくさんの微生物(菌ちゃん)やウイルス、ホコリ等も存在します。それらを口や鼻から私達は吸収するわけですが、必要なものと必要ではないものを身体は分けて行く必要があります。皮膚や粘膜はそこに付着したものが要るものなら体内に、要らないものなら体外に排出します。つまり①のシャットダウンするとはどういうことかというと、
○皮膚でブロックする。
○身体の中に入ってしまったウイルスやばい菌を物理的に粘液で捉え、くしゃみや鼻水などで体外に排出する。
○腐ったものや体に合わないものを食べたときは吐いたり下痢をしたりして体外に排出する。
文字通り体内に入れないぞ!!!とシャットダウンしている、ということになります。これが防衛の第一関門です。
シャットダウンが行き過ぎて過敏に反応してしまったの
が花粉症やアレルギー反応。防衛がうまくいかず、ウイルスやばい菌などが「体内」に入ってしまって悪さをし始めると、病気になったと言うんですね。
まぁ、基本はこの第一関門でほとんどの不要物が淘汰されますから、私達の免疫力って素晴らしいんです。そして、防衛機能が健やかに働くために必要なのは、皮膚を強くしたり粘膜を強化すること。その働きに大きく寄与するのが微生物。微生物のバランスが整っていれば皮膚も強くなるし粘膜もつよくなる。つまりは難なく防衛に成功するってこと。やはり菌ちゃんは身体にとって大切そうですね!
次回は第2の壁、自然免疫についてお話しますね。
さつまいものツルのきんぴら
葉っぱを落とすだけで皮をむかずに甘辛く炒め煮すると、美味しいおかずの一品に。大人は七味を振って!
作り方は超簡単。
フライパンにごま油を熱して、3センチくらいに切ったツルをバサッといれる。しんなりしたら塩、醤油、好みでみりんで味付けてでき上がり。
vol.216 ここいく日記 はじめの33歩!
様々な幼稚園、保育園で「いのちの授業」を行っていますが、2年に1度揖斐川町にある森のようちえん「こだぬき」で授業を行っています。今年は保育の活動場所が変更したと聞き、初めての場所に車を走らせます。ナビを頼りに運転していますが、どんどん山道に入っていくので、一体どこへ連れていかれるのかと少々不安。そしてついた場所はとっても素敵な森の中。森の一角にあるコテージで授業をさせていただきました。
なんで、こんな素敵な場所で保育が実践できるのかをお尋ねすると、揖斐川町は、豊かな森林に子どもたちが親しみ、学び、たくましく育って欲しいと考え「森のようちえん」の取り組みを支援しているそうです。そんな町の支援を受け、とても素敵なフィールドで「こだぬき」の日々の保育は実践されていました。
私たちが普段授業にお邪魔している、幼稚園・保育園とはちょっと違う環境の子どもたちとの「いのちの授業」は、あれ?なんだかいつもと違う感覚・・・思いがけず、大切な気づきをいただく授業となりました。
最初の導入は「おへそあるかな」のパネルシアターです。
いつもの通り、楽しく歌いながら、おへそある?ない?のクイズで楽しみます。これは、どの園でも子どもたちが楽しんで参加してくれるプログラムです。クイズの後は、おへそのない生き物は卵で産まれること、おへそのある生き物はお母さんのお腹の中で育ち生まれてくる哺乳類であることのお話をします。
「生まれた赤ちゃんは何を飲んで大きくなるのかな?
毎回、そう問いかけます。すると、即答で「ミルク!」と答えが返ってくることが増えてきました。
「それは牛の乳だよ。人間の乳はなにかな?」
そう問い返します。それでも答えがない時は、「お母さんの?」と、言葉かけをしながら「おっぱい」という答えを引き出していきます。しかし、こだぬきの子どもたちは即答で「おっぱい」と答えてくれました。「おっぱい」という言葉がなかなか出てこない傾向が多い体験を重ねていたので、わぁ~ 凄い・・・と、導入でいきなり感動しました。
私たちは、ミルク派・おっぱい派とか、どっちがいいとか悪いとかではなくて、人間も哺乳類という動物として、ただシンプルにおっぱいが自然なことを伝えたいだけです。おっぱいが出ないお母さんが、ミルクを活用することは何ら問題はありません。こんな簡単なやり取りのなかでも、不自然なことが、当たり前になっている現実を感じました。
最近、人間が動物として生きる力がとても弱くなっていることを日々感じています。エアコンの効く部屋で過ごすことで、汗をかく機会も減り、機械音に囲まれ、自然の音を感じることも苦手な子どもたちが増えています。また病気になるとお薬で熱を下げることが多く、菌と闘う力、自然治癒力も弱まっている気がします。
私たちは、授業で伝えるために、生き物の受精や生まれ方の仕組みを勉強していますが、それぞれの生き物が種の保存のために、様々な仕組みがあることを学べば学ぶほど、生き物って凄いなぁ~と感動します。授業では、お産のお話をしていますが出産に痛みがあることや、時間がかかることは動物として自然なこと。時として医療の力も必要で頼ることを否定はしません。でも、不自然なことに違和感を持ち、思い通りにならないことを、自然なこととして受け入れることが当たり前に感じる人が増えるといいなと思います。
便利になることが悪いとは思いませんが、「こだぬき」の子どもたちと出逢い、思い通りにならない自然の中で毎日を生きていると、動物としての感覚が失われにくいのかなと感じました。
担当:ここいくメンバー 古川 明美でした。
ここいく☎090-3446-8061(中村)
vol.216 みんなのひろば
環境・未来・各務原ーPFAS汚染と市政を明らかにする会ー
代 表:小川 麻実さん
連絡先:kakamigahara.mizu2023@gmail.com
教員である私は、昨年の冬に「環境と子どもの健康を考える」という講義をon-lineで受ける機会がありました。その時にPFASの話を聞いたんです。そしたら今、各務原の水道水が問題となって…私の家、三井水源地エリアなんです!!
いろんなことを知りたいと思った。一緒に勉強できる仲間が欲しくてこの会を立ち上げました。何より子どもたちが口にするのが気になった。というのも、仕事場では子どもたちが水道水をガブガブ飲むんですよ。自宅には浄水器も付けたし、対策もとった。でも、これでいいのか???暑いのに、水を飲むなとも言えなくて…苦痛でした。
学校現場で「がん教育」っていうカリキュラムがあるんです。生活習慣を見直そうという内容で学んでいるのに、水道水に発がん性物質が含まれているかもしれない、ていうか「健康リスクのある水」なんて・・・おかしいと思いませんか?
水はみんなが使い、直接口に入るもの、しかも毎日。発生源を明らかにしないと、対症療法でしかないので、永遠に活性炭を交換し続けることになる。職業柄、血液検査は子どもの検査を優先してほしい。そして経年変化を見て行く必要があると思う。
娘が学童に行っていた時に、突如民営化の話が持ち上がり、あっという間に決まって…他の保護者と話す時間がなかった。長男が1歳の時は、保育所から入所は無理と言われ、実家に頼った。長年の不満が溜まっています。これも全て行政が決めること。政治は私たちの暮らしに直結しています。もっと関心を持たなきゃと思いました。だから市政を身近に感じられるところからスタートしたいと思っています。
夢フォーラムに参加してくれた人と繋がって、水問題も含めて、自分の思いを話せる場所と機会を作りたい。無理なく楽しく活動ができることを目指しています。
120億円の新総合体育館建設中止を求める会
代 表:高橋 明丈さん
連絡先:aki.takahashi@wh.commufa.jp
大規模体育館建設を必要とする根拠は3つ。 (1)国体、高校総体等大規模な大会がある。(2)興行として成り立つ。 (3)まちおこしの一環として。各務原市 の新総合体育館は 3,000 人以上が観覧で きる規模で根拠は、(3)の “まちおこし” のようです。スポーツ議員連盟が音頭を とったのですが、その理由は、「現在の体育館の収容力が少なく、近隣自治体の施設と比較しても人口規 模に対しては十分でない、エアコンが無い、駐車場が狭い、公式試合が出来ていない」と言うことです。
大規模な体育館を作る場合、全国レベルの競技チームがある かないかで施設の利用目的が達成できるか否かが決まります。例えば沖縄アリーナ、1万人が収容可能で年間10億円の売り上げがあります。それは、実力のある世界的なバスケットチー ムがホームグラウンドとして使っていると言う現状があるからです。しかも今の時代の流れは建物建設で賑わいを期待する時代ではなくなりました。次回アジア大会名古屋は分散型で、水泳競技は東京、ホッケー、サッカーは岐阜で開かれ名古屋では新規の体育館建設はありません。名古屋城構内の体育館の建替えのみです。
新総合体育館建設に120億もの予算をかけて、年に1、2回ほどの大規模大会開催しか期待できません。市は採算を問わないと言っています。即ち、維持管理費を含め負の遺産となり膨大な費用は子どもたちの世代にのしかかって来ます。
建設に予算を使うなら、今問題となっている「飲み水」に予算を使うべきです。それとこれは別?いいえ、財布は一つ ですからね。僕は120億円 かけてでも、新しい水源を探すべきと 考えています。PFAS が含まれた水、問題のある水源に活性炭を通して給水するやり方は中途半端で持続可能ではない。まさしく負の遺産です。PFAS が基準値越えたのは行政の手落ちではないからこそ、口先だけで誤魔化してはいけないんです。数値は日本の基準に甘んじ てはいけない。本来ゼロであるはずだから。
vol.216 BOOK紹介
著:岡崎 勝
本書には気になるワードがいっぱい。「GIGAスクール構想」「教員の働き方改革」「学校のデジタル化」などなど。「育つ過程で欠くことのできない身体性はデジタル化された学校でどう保証されるのか。回り道や散歩の面白さを味わいながら試行錯誤することが『コスパが悪い』とされるなら、AIの最適化に社会を委ねることは『思考停止』と同じである」。長年、学校現場にいた著者の手厳しい内容には、うなずくことしきり。保護者にも、教師の方にも読んでほしい一冊。
著:木田ひと美
バイク乗りなら一度は憧れる海外ツーリング。それは著者の「いいことないかな」のつぶやきから始まった。バイク歴数年で敢行したその気概に大いに触発される。資金、言葉、食、治安などなど幾多の不安も「元気で行こう!」の掛け声で走る!この元気の源は一体…。
読後、寒いなぁ、ガタガタ道は苦手、暑い!急勾配のヘアピンカーブは無理むり〜!なんて言ってられない…。痛快で勇気をもらえる一冊。
vol.216 プレゼントコーナー
216号PRESENTS
プレゼントご希望の方は
ハガキまたはe-mailで、下記のアンケートを
1〜6までご記入の上、編集部・プレゼント係りまでお送りください。
1.あなたが自然の恵みを感じる時は? 温暖化など、異変が多く報じられる昨今。それでもまだ自然界からいただいてるものも多いですね。あなたが感じる自然の恵って何ですか?
2- 気になるにらめっこ紙面での広告
3- 気に入った記事、気に入らない記事の
タイトル1つ・その理由もお書きください。
4- ご希望のプレゼント名 (第1希望・第2希望 を必ずお書きください)
※Aは編集室まで受け取りに来られる方。
5- 本紙をどこで入手されましたか?
6- 氏名、年齢、住所、郵便番号、電話番号、 家族構成
ハガキまたはe-mailで、上記のアンケートを
1〜6までご記入の上、編集部・プレゼント係りまでお送りください。
〆切:2023年11月25日、Bは11月10日
当日消印有効。
宛先 〒504-0855 各務原市蘇原新栄町3-15
e-mail: info@niramekko.com
※お寄せいただいた個人情報は、本紙プレゼントの発送に限り、 使用させていただきます。
※当選の発表は発送をもって代えさせていただきます。
A.ゆりかごカレンダー2024 ゆりかご助産院様より…3名様
分かりやすい月の満ち欠け、月の出入りや満潮干潮の時間なども載って、自然とともに日々を送りたい方へおすすめのカレンダーです。見やすい日付の文字、書き込める余白など、実用性もバッチリ。かわいいゆりかご助産院さんのロゴがアクセント!にらめっこ編集室でお受け取りください。
B.やきものワールド2023招待券 やきものワールド実行委員会様より…ペア3組様
国内最大級の陶磁器イベントが今年もドルフィンズアリーナにやってくる!食卓を楽しくするアイテムが集まる、買えるブースが大集合。同時開催のふるさとご当地グルメ&地酒フェアと、盛りだくさんのイベントに今からワクワクが止まらない!!
11月17日(金)〜23日(木・祝) https://yakimonoworld.jp/
C.舞台劇「ギャング・エイジ」ご招待 NPO法人各務原子ども劇場様より…大人1名様
「ぼくはギャングになる!」子どもたちの周りで現実に起こりうるシリアスな問題を、ユーモアや歌やブルースハープの演奏で軽快に前向きに描いています。詳細は下記インフォメーションを参照してくださいね。
<インフォメーション>12月16日(土)18:00-「ギャング・エイジ」各務原市産業文化センターあすかホール ※劇団風の子中部による主に小学生親子向き舞台劇。大人2300円(当日2800円)子ども1500円(当日2000円)問合せ申込み:各務原子ども劇場☎058-370-5893(月水金10時~16時)
D. CINEX映画招待券 CINEX様より…ペア3組様
事実は小説より奇なり。実話を映画化した作品に出会うことで、私たちは様々な事実に出会うことができます。そして、多くのことをそこから学べます。写真は「ロスト・キング 500年越しの運命」の一場面。柳ヶ瀬のCINEXでご利用いただけます。
vol.215 自然とつながる私たちの健康
前号は「スマホは脳に猛毒!?」なんていうちょっとドキッとするタイトルで特集しましたが、今回はその続き、となります。
にらめっこ174号(2016年11&12月号に「自然、足りてますか?」というタイトルで特集を組み「自然欠乏症候群」について掲載しました。
やる気起きない、不安になる、いらいらする、落ち込む、憂鬱になる、何をやっても楽しくない、体がだるい、重苦しい、辛い、眠れない、熟睡できない。気力や体力が追いつかない感覚。こんな不調を感じている人結構多いですよね。これらの症状が「自然の欠乏」からきているのではというのが今回の話です。
1.「健康」と「病気ではない」は違う
「健康」=「病気でない」「弱っていない」ということではなく、例え病気でなくても健康ということにはなりません。どこも悪くないのに、なぜか心も体も不調な状態は健康とは言えないですね。
2. 自然欠乏症とは自然不足が原因で出る症状
英語では「自然欠乏症候群」をNature Deficit Disorderと表現します。Natureは自然、Deficitは欠損や赤字、Disorderは障害です。
「自然欠乏症」とは
2005年リチャード・ループという著述家が「あなたの子どもには自然が足りない」という本で提唱した自然欠乏症という概念があります。昔の子どもたちは川で遊ぶ、野原で遊ぶなど外で遊ぶことが通常でした。しかし現代外で遊ぶ子どもはまれ。子どもたちは、家の中に閉じこもりテレビやゲーム、Youtubeに夢中で、自然から遠ざかった生活しています。この自然から遠ざかる環境や生活が子供の心と体に影響を与えているというものです。
〜 自然欠乏症候群の症状 〜
☆集中力がない。一つのことに集中できない
☆他人に対する気遣いができず、友達とうまく遊べない
☆落ち着きがなく、じっとしていられない
☆忍耐力がなく、かんしゃくを起こす
これは子どもだけの話ではなく、都会に住む大人の心や体にも影響を与えます。「最高の体調」に載っていたワシントン州のボブ・ムーアヘッド牧師の文章ともとても関連しているように感じます。
3. 現代人の不調 – 人間は自然から遠ざかるほど、病気に近づく
現代医学の父と呼ばれるヒポクラテスは、自然から離れるほど健康から遠ざかり、やがては病気になってしまうことを指摘したそうです。近代化が進み、テクノロジーが発展し、化学物質に囲まれる環境で暮らす都会人は、明らかに「自然」から遠ざかっています。自然から遠ざかることで、五感が鈍化し、注意力が散漫になり、脳の疲労を招いている可能性があります。
便利な環境に身を置き不便や不足を感じることはほとんどなく生活している。でも何か「足りない」と感じる感覚ありますよね。今ガーデニング、キャンプ、アウトドア、つり、山登りやトレランなど自然に触れる趣味が注目を浴びているのは、この何か物足りない感覚を埋めているのかもしれません。人の「自然に触れたい」という本能なんです。
4. バイオフィリア – 人は本能的に自然と のつながりをもとめている
バイオフィリアとは、生命や生き物や自然を表す「バイオ」と、愛好や趣味を表す「フィリア」を組み合わせた造語で「人は本能的に自然とのつながりをもとめている」という概念。人間は自然の中で進化し、自然に囲まれている時が一番くつろげる。自然は人にとって五感をフルに活動させることができる唯一の場所であると。その自然から離れると総合失調症、不安障害、気分障害を発症しやすいそうです。うつの代表的な症状である「体がだるい」「気力が湧かない」「眠れない」も自然欠乏症からきている可能性も考えられるそうです。
5. 自然欠乏症を防ぐには日々の意識が大切
「自然欠乏症のチェックリスト」
★日の出と日没を意識して生活している
★木材など自然素材の住宅に住んでいる
★静寂さや、自然の音などを感じやすい場所で活動している
★自然の香りを実感しやすい環境で活動している
★綿や麻、絹など自然素材の衣類をきていることが多い
★携帯電話やパソコンに接することが少ない
★長時間の自動車運転や電車通勤(通学)をしていない
★主に自然食を摂取し化学薬品は摂取していない
★飲料物は自然水や有機栽培などでつくられたものである
★電気毛布や電子レンジなど、電気製品は用いていない
★日常的に森林浴、日光浴などしている
★化学薬品を塗布または吸収していない
※このリストは、「何個チェックがついたら重度」と判定するのではなく、自然欠乏症候群にならないためには、どう暮らせば良いかを知るための手段としてください。
自然欠乏症を招くような生活。例えば、自然に触れる機会の減少、科学物資に囲まれた生活、自然のリズムを無視した夜型の生活を少しでも見直し、自然に触れる機会を意識的に作る、化学調味料を避ける、早寝早起きして太陽を浴びる生活をするでも変化させることができます。そうすれば、私たちが持っている自然治癒力が本来の力を取り戻すかもしれません。
6. 1ヶ月に5時間自然に触れる習慣を持つ
ストレス回復度では「気持ちが落ち着いている」「日々の仕事に熱意と意欲を持てている」「集中できている」など、活力度では「生き生きと活力に満ちている」、創造性では「新たなアイデアがいくつも浮かんだ」などの効果です。
1回30分程度を週2回、近所の公園や自然のある場所で過ごせば月に5時間になります。1ヶ月に1回海や山を訪れ自然の中で5時間過ごす選択もできます。5時間は最低ラインで10時間過ごせば更に効果が上がります。5時間を目安に自分に合った自然と触れ合うプランを作るのも良いですよね。
自分のためのMY RETREATを計画してみよう。
例えば、朝日を浴びること、平日公園に立ち寄ること、
休日に自分の好きな自然の場所を訪れること、
なんでも良いので自然とのつながりを生活に
取り入れてみませんか?
BE HERE NOWより
vol.215 ダムから川へつなぐ意味
「総貯水容量で日本最大の徳山ダムの水を、トンネルの導水路で約43キロメートル先の木曽川まで延々と流そうという計画である。愛知県・岐阜県・三重県を流れる木曽川・長良川・揖斐川は木曽川水系と呼ばれ、一体として水資源開発が行なわれてきた。だが水需要の減少と、長良川河口堰や徳山ダムなどの建設により、この地域は完全な水余り状態なのだ。そのため、この導水路建設は2009年から休眠状態だった。しかもその14年前に、導水路事業からの撤退を表明し、凍結へと追い込んだのは河村市長本人だった。」と語るのは、フォトジャーナリストの伊藤孝司さん。
私が岐阜に移り住んで間もない頃、バイク(50cc)で岐阜市内の高島屋の前を走っていた時、路面電車(今は撤去された)のレールでスリップして転倒。しかも路面電車の真ん前で。多数の視線を感じながらバイクを起こし、とぼとぼ歩いて自宅へ帰る途中の金華橋で足がとまった。西の空の夕日と川面に映る夕日が、私のしょぼくれた心に直球で飛び込んできたのです。「なんてきれいな景色。なんて美しい川面。これが長良川。この美しい川を私は忘れない」と、胸に刻んだのでした。
それから間もなく、長良川河口堰建設の話が再浮上(1959年に河口堰計画が作られた)。1988年、天野礼子氏が、長良川河口堰建設の反対を始めた。本能的・直感的に私は反対運動に飛び込んだ。私の原風景である長良川を守りたい一心だった。「長良川ネットワーク」というA3二つ折りの情報紙の編集を担当。しかし、1995年に、河口堰運用が始まってしまった…。
反対運動は熱を帯び、長良川DAYという全国規模のイベントで毎年多くの人と交流し、賛同を得たかに見えた。折しも政権は社会党が覇者となり、村山政権となった。これで完成された河口堰も閉めることはないだろうと皆が思っていた。だが1995年7月6日、当時の建設大臣の命で閉門された。その日大雨の中、私たちは河口堰を閉門させまいとゴムボートに乗って抗議をしていた。すると水資源開発機構の人から「ここは危険ですから立ち退いてください」と言われ、「この堰は安全じゃないのか」という応酬も徒労に終わり無念を胸にボートを降りた。この運動は「公共事業の見直し」を成果とし、今は「河口堰開門」に向けて運動は続いている。
「長良川河口堰は、工業用水の水源確保を最大の目的に建設された施設ですが、未だ一滴の水も工業用水に使われていません。使われているのは僅か16%で水道水として使われていますが、住民からは「まずい!元の水源に戻してほしい」と声が上がっています。海と川を分断した河口堰の下流側には約2mのヘドロ層が堆積し、日本でも有数のシジミ漁は大きなダメージを受けました。堰き止められた上流側は、潮の干満がなくなり、水面は上がったままとなりました。長良川下流域生物相調査団の報告書によると、広大なヨシ原は水没し90%が消滅。そこに生息していたオオヨシキリは1/4程度に減少し、多くの生き物の棲みかがなくなりました。」と長良川市民学習会 武藤 仁さん。
武藤さんが事務局長を務める、長良川の環境改善を目指す市民団体などでつくる「よみがえれ長良川実行委員会」による 討論集会「長良川に徳山ダムの水はいらない」が2023年6月11日、長良川国際会議場で開かれたので即駆けつけた。
基調講演で岐阜大学教授・向井貴彦氏。「清流・長良川のためには何が必要なのか?」がテーマ。以下概要。
揖斐川・長良川・木曽川の自然は同じなのか?
木曽三川は、揖斐川・長良川・木曽川。濃尾平野を流れる下流域はかつて網目状につながっていたことから、一つの水系として考えられがち。行政的にも「木曽川水系」としてまとめられている。木曽三川は地質的にも岐阜県東部の木曽川水系(飛騨川含む)と西部の揖斐川・長良川は異なっている。木曽川は渓谷が発達し、多数のダムが建設されてきた。長良川は、両岸が開けておりダム建設には不向き。
木曽川水系連絡導水路は「環境」をよくするのか?
この導水路事業は、長良川と木曽川の渇水時に徳山ダムに貯留された水を導水して環境を維持するためとしている。遺伝的に異なる魚類などが混ざると遺伝的撹乱と呼ばれる自然破壊となる。そうなれば生物多様性の保全という観点から明確にマイナス。予防原則的には水系間での生物の移動を生じさせることはしないでほしい。特に外来種は繁殖力が強い。揖斐川ではコクチバスがものすごい勢いで繁殖していて、鮎が危ない。導水路で徳山ダムの水を利用するというのは、水質的にはNGです。最大の懸念は徳山ダムで毎年生じる淡水赤潮、アオコ。特に、長良川や木曽川が渇水となるような場合に、徳山ダム湖のアオコがどうなるかは大きく懸念される。
様々な長良川の環境問題として
「現在、世界的には『30by30』という目標が掲げられている。30by30(サーティ・バイ・サーティ)とは、2030年までに陸・海それぞれ30%以上の面積を健全な生態系として効果的に保全しようというもの。これは、効果的に自然の劣化を防ぐには、まずは自然が適切に保全されている場所を一定面積以上、維持することが必要だという考え方に基づいています。
長良川河口堰は、堰を解放すれば自然環境への問題は解決する。それに対して、揖斐川や木曽川のダムは恒久的な構造として建設されており、河口堰の解放のようにはいかない。清流・長良川は、様々な事業で自然を失いつつあるが、木曽三川の中では最も回復できるポテンシャルがある。
こうした状況において、自然環境を劣化させる事業をさらに積み上げるのか、30by30を目標とする時代において自然環境を回復させる方向に舵を切るのか。世界に誇れる清流長良川へと蘇らせてほしいと願わずにいられない。」と結んだ。
私が住む市では、既存の体育館が「大規模のスポーツ大会ができない」、「駐車場に限界がある」などの理由で、こともあろうか湿地帯(農地)に新総合体育館を建設しようとしている。その湿地帯には、新丸山ダム建設時に出る残土を充てがうという。さらに特別支援学校が新設される。市庁舎も完成に向け工事真っ只中。(業務は新庁舎で行われている。残すは駐車場だ)巨大公共事業は巨大な金が動く。全て税金だ。この負の遺産を次世代につないでしまうことになる。そんな「つながり」は責任ある大人たちが断ち切らなければ。
木曽川水系連絡導水路事業も巨大な税金が使われる。6月11日の討論集会には約100人が参加(主催者発表)。・声を上げること・ムーブメントを起こすこと・事実を知ること。この3つはとても重要なこと。人任せにせず自ら発信者になること。この討論会に参加して改めて思いました。
vol.215 水道水にPFAS?有機フッ素?
各務原の水(かかみがはらの水)の源は、木曽川の水でも池の水でもなく、地下40mの深層からくみ上げた「100%地下深層水」水脈である地下の帯水層は豊かな水量に恵まれ、地下水は、東から西へ1日に約1mの速さで、常に流れ続けています。地下水がよどみなく流れる帯水層は、まさに「地下の川」なのです。 ●地下水はミネラルの宝庫 各務原台地は、350万年前から形成されてきたミネラル豊富な何層もの地層から成り立っています。雨水などが、この地層を浸透する過程で少しづつ磨かれ、ミネラルたっぷりの「かかみがはらの水」となっていきます。鏡水産HPより(各務原市鵜沼朝日町)
各務原市に移り住んで30数年経ちます。各務原市は地下水を汲み上げているので水はおいしいと定評がありました。実は以前住んでいた愛知県半田市も水には定評がありました。しかし、長良川河口堰建設のあおりを受け、取水が愛知用水から河口堰に変わって、味が激変し、多くの家庭が浄水器を取り付けたとのこと。実家に帰ると水道水のまずいこと!塩素臭が半端ない!沸騰させて塩素を抜くか、(水道水の塩素は熱に弱いため、煮沸によって除去することができる。ただし、その場合は沸騰してから「さらに15分以上」沸騰し続けることが大切。なぜなら、水道水には消毒処理の過程で発がん性があるとされる「トリハロメタン」が含まれている場合があり、水道水を沸騰させることでその量は2〜3倍に増え、沸騰直後には最もその濃度が濃くなるから。水道水が沸騰してからさらに15分ほど沸騰し続ければ、ピークを超え水分中のトリハロメタンを除去することができる。なお、気化したトリハロメタンを空中に逃がすため、やかんのフタは開けたままにしておくことが重要)それか、溜めて一晩くらい置いて塩素抜きをしないと使えなかった。(み)
そもそもPFAS PFOSって何?
PFASとは、人工的に作られた有機フッ素化合物の総称です。種類は4,700以上といわれています。水や油をはじく効果があり、熱にも強いことから半導体や包装紙、防水服など身近な製品に使われ私たちの暮らしを支えています。ただ、一部は分解されにくく、体に蓄積されるため、人への有害性が指摘されるものもあります。現在、こちらの3つの化学物質が国際条約で製造・使用禁止となっています。環境省が、これらの物質について調べたところ、西日本から東日本に及ぶ各地の河川や地下水から国の値を超える場所が次々と見つかり、その地点は139に上っています。一体何が起きているのか。各務原市もその一つだった。
2009年以降、国際条約でPFOSなどは規制対象になり、日本でも原則として新たに製造・使用はされなくなりました。
「永遠の化学物質」と呼ばれるほど分解しにくい性質があり、過去に環境中に出てしまったものも長く土壌や地下水の中に残り続け、全国各地で高濃度のPFASが検出されています。
各務原市の対応
各務原市民への説明について
・まずは全力で、浄化作業。市職員にも限界があるので、各地域での説明会は考えていない。
・有機フッ素化合物(PFOS A)の面的広がりを調査するため、市内全域に設けた 95箇所の水質観測井戸の水質調査を行う。
・対象となった水源地の配水区域にある市内の市内の保育所、幼稚園、小・中・特別支援学校等の一部の給水栓に浄水器を設置する。設置予定時期/8月21日〜25日に順次設置する予定
(8月8日市議会議員宛書面より抜粋)
・市民説明会は職員の人出が足らないので考えてはいない。
・血液検査をしても原因が特定できないので行わない。
(各務原市議会 全員協議会)
今後の対策について
・令和4年9月から令和5年2月にかけ基本構想策定
・令和5年5月から基本計画実施
・活性炭による除去対策決定。
沖縄で高い実績。8月~実証実験。効果確認次第、早急 に本格稼働。12月までに浄化目指す
・三井水源地に除去施設をつくる。
R2年になぜ公表しなかったのか
令和2年の時点では、水質検査は任意であり、水質は急激に悪化するものではないという認識でいた。令和4年4月19日の検査結果を、22日に報告を受け、副市長が浅野市長に報告。
市長の判断:水の浄化が第一、原因究明に努める指示。市民の公表の考えなし。
唐突に判明するより、対策を練ったと同時に発表した方が市民に不安を与えないと判断したと説明。
vol.215 ぎむきょールーム 「外遊び」が子どもにとって大切な10の理由
1. 太陽光を浴びられるから!
太陽光は子どもの健康的な成長を促す上でとても重要です。人の体は太陽光、その中でも特に紫外線を浴びることによって、体内のビタミンDの生成がされます。このビタミンD、私たちが健康的な生活をする上でびっくりする程沢山の手助けをしてくれてます。骨の成長、免疫力の向上、感情のコントロール、しっかりとした睡眠… 子どもたちは風邪をひきにくくなり、肺などの臓器も強化され、体力がぐーんとアップ!
2.遊びの中で工夫が生まれる
子どもたちは大人の制限のない「外遊び」という小さな社会の中で、自分たちの遊びを作ったり、問題を解決したりして行くプロセスの中で管理能力を身に付けることが出来ます!これらのスキルは元から子どもたちが持っているものではなく、経験や練習を積むことで徐々に発達していくものなのです。
3.学ぶきっかけがいっぱい
例えば、「木を登る」という行為をとって見てください。木を掴んだ時の感触や、落ちた時の痛さ、登って行った時にだけ見える最高の景色、そしてそこで出会う今まで見たことのない虫たち…「危ないからダメ」の一言は、子どもたちがこれら全てのことを学ぶチャンスを奪ってしまうのです。
4.協調・共同性が身につく
外遊びの大きな魅力の一つは大人数で遊ぶこと。鬼ごっこやかくれんぼ、缶蹴りや陣地取り….子どもたちは友達とこのような外遊びをすることを通して “ルール” の概念を学んでいきます。人の意見を聴く力、自分の意見を口にする力…沢山のことを教えてくれる場でもあります!
5. 想像力・発想力が豊かになる
外の自然の中には五感で感じられる不思議なものがたーくさん。子どもにとっては様々な想像を掻き立てるワクワクする出会いとの連続です!これらの自然との出会いから、子どもたちは自分の道具を作ったり、ごっこ遊びをしたり、壮大なお話を考えついたりします。昔から愛されている小説「赤毛のアン」の主人公であるアンも、雄大な自然に囲まれて想像の翼を広げていきましたよね!
外遊びは室内にいるだけでは活性化されない脳の一部を刺激し、子どもたちの想像力や発想力を豊かにしていってくれるのです。
6.自然への興味が生まれる
雪の上を歩くとどのような感触がしてどのような音がするのか?植物はどうやって成長するのか?土を触るとなんで暖かいのか?どうやってちょうちょうは飛び方を覚えるのか?外で遊んで、自然に触れていると、子どもたちには様々な疑問が浮かんできます。そして自然の世界は、子どもたちがその動きや変換を観察することでしっかりと疑問に答えてくれます。
7.開放感から集中力が高まる
外遊びは子どもの集中力を高める効果があることでも知られています。自然は子どもたちが自然の時間の流れに沿って物事を観察するスペースを与えてくれるため、子どもたちは自分たちが疑問に思ったことに真っ直ぐに集中する事ができます。外の自然環境は子どもたちの日頃の生活からの逃避場所としての役目を果たすことによって、彼らのストレス軽減に大きく役立っているんだとか。
こんなにメリットが一杯だなんて、やっぱり自然は偉大ですね!
8. 自分自身への理解が深まる
ブランコをどれくらい高く漕げるか。どれくらいの高さまで木を登れるか。砂の上で転げ回るのはどんな感触なのか。このような体験を通して、子どもたちは自分の限界を試していくことで、自らの身体的・精神的な能力を認知できるようになります。自分の身体の限界は試してみないと分からないし、何かが出来た時・出来なかった時の悔しさや喜びや痛みの感情は経験してみないと子どもたちは学べません。
9. エネルギーの発散に役立つ
アメリカの教育現場では、子どもたちは体を動かさない勉強などのアクティビティに長時間専念していると、身体の中に発散しなければならないエネルギーが溜まっていくという考え方がよくされているようです。このように子どもたちの身体の中に蓄積されたエネルギーは外遊びを通して健康的に放出出来るんです。例えて言うならば、机に向かって使い切っちゃった電池を、外で遊ぶことでリチャージするというイメージ!外で十分遊んで身体の充電を終えた子どもたちは、また勉強などに集中して取り組む準備が出来ます。
10. 夜、ぐっすりと眠れる
外遊びはそんなお子さんたちの規則正しい睡眠を促すのにも一役買ってくれるんです!
これは、外遊びをすることによって生成が促されるメラトニンというホルモンに深く関係しています。人の身体は、日中に日の光を浴びると夜中にメラトニンが作られるようになっており、それが分泌されることによって眠気が誘発されます。このメラトニンは自律神経を整える役割も果たしてくれており、しっかりとした生活リズムを刻む上で大変重要な役割を果たしてくれるんです!
piyground hope より
vol.215 しょうがいをみつめる vol.8
磁 足
世の中には垂直に立った“モノ”は目に見える範囲で無数に立っている。家の中では壁や建物そのもの。一歩外に出てみれば建物だけではなく標識、看板などありとあらゆる“モノ”が垂直方向に向かって施されている。小さいものだと縁石や車止めは低いけれども壁を形成している。
そんな垂直に立って平面を遮断するあらゆる壁たちが磁気のようなものを発していて、歩いていると足がそれにくっついてどうしても離れないということがあるだろうか?
長男は歩き出しのタイミングで壁などに足の側面を当てながら進む。家の中であれば壁に足をドン、ドンと当てながらその通りの幅を確かめるように進む。スーパーの駐車場に車を停めた時などは、隣の車のタイヤに足の側面を当てたりするので、“させないように”ヒヤヒヤしながら進んだものだ。
時にはその壁面に足が磁石のようにくっついてしまうようで、どれだけ彼の手や身体を引いてもその足は一定時間を経過するまで離れない。自分の意思で離さないようにしているという見方が“常識”ではあると思うのだが、本人の少し困ったような表情や私たちに引っ張られて身体が前のめりになっても、大股で股が裂けそうになっていても、くっついた彼の片足は離れてくれないように見えた。
行動に障がいがあるというチンケな言葉で簡単に隅に追いやられる彼らの見せる“非常識”は、私たちの持っている“常識”というものをいとも簡単に揺さぶってくる。揺さぶられてもなお、自分の“常識内”で理解しようとしてしまう自分はよく出没した。時折り自分の常識を揺さぶってくれる長男の存在は、私自身が自分の“常識”という檻の中で生きて窮屈にしているんだなと感じさせてくれた。しかし、人はまた自分の居心地の良い檻の中に戻っていく。そんなことを繰り返し感じていくのが生きていくということなのかもしれない。
ほんの些細な「足が壁にくっついてしまう」という彼の日常は、彼にとっては常識的で窮屈なことだったのかもしれない。だって、足が壁にくっついて離れないのだから。
常識、非常識で分けて見ているから私たちの目に留まりやすい行為であって、全ての人は何かにこだわったり、ついついしちゃうことに困ったり、やめようとしたり、ワクワクしたりもしながら生きている。見えないように隠しながら、折り合いをつけながら。それが人の営みのようにも感じる。人々をあえて混ぜることもなく、共に居させることでもなく、意識せずに違いが「在る」ということを確認し合えば、自分たちが閉じこもっている“常識”という檻の隙間は広くなって、もっと出入りしやすくなるような気がする。
呼吸など自然に委ねていることから始まり、何でもない動きや情動であっても、ひとつひとつが生きているということ、「表現」と呼ばれるものだろうと思う。たまたま絵に描いたら“アート”と呼ばれる表現のひとつとなるのだろうが、「足が壁にくっついてしまう」のも「彼が生きていてこそ」であって、それは彼の紛れもない「表現」であった。
常識や非常識という区別を無意識的にしている自分を見出すことができれば、世の中は混ぜなくとも既に渾沌としており、それはバランスよく個々の「表現」という形をとりながら調和していくような気がしている。
※渾沌=荘子によると、物事の区別がなく人の手が加えられていない未分化な状態で、無為自然のことを意味している。
MASA:若者をはじめ、障がい者も一緒になって、ごちゃまぜイノベーションを目指している。知的障がいのある息子は享年24歳で2021年2月27日に旅立った。関市在住。
vol.215 niramekko Gallery「HANA」
vol.215 やってみた 小栗 秀子さん
やってみたシリーズ第18弾 木版画
イメージが湧いてくる、その瞬間が好き!
小栗 秀子さん(70代)
小学校の時、授業で木版画があって、江ノ島(行ったこともないのに)をなんかで見て、それを題材に版画を作ったんです。それが校内に張り出されて…がきっかけかな?とにかく図画工作の授業が面白くて、その時間がもう楽しくって。それと中学の時、美術の先生に褒められたのも大きかったかなぁ。そんな記憶が社会人になってから呼び覚まされたって感じかな。
働き始めた会社では山岳部に所属しましたが、そこにいたTさんに、「美術部もあるよ」と誘われて両方に所属。スケッチ旅行とかしてました。
退社後、街で偶然Tさんに出会って、近況報告。 岩田覚太郎先生(風景や動植物を、自然な親しみ易い画風で表現した木版画家・1902-1999)の弟子であるTさんと、覚太郎先生が主宰されていた淡虹会の版画展を観に行きました。それを見たら自分もやりたい!と思ったんです。それからTさんのところに通って木版画を始めたら、版画の持つ世界観に魅了されてしまいました。
木版画
まずデザインを考えます。題材はふと思いつくことがほとんど。彫るのが一番大変で、まさに体力勝負です。版木に版分け(色分け)して彫るんですが、イメージを常に思い浮かべて彫り分けないといけなくて頭がくらっとしてくるの。でも面白い!この作業はほんと脳トレになりますね。
木版画の工程で「彫り」はいつでも休憩できるけど、「刷り」は途中でやめられません。絵の具を多めに作ってそれを使い切らないとね。途中で足らなくなって絵の具を足すと色が変わっちゃうし。後からもう一枚刷りたいと思っても、それはできないの。もちろんバレンで刷るんだけど、見当合わせに苦労するし、面積が広いと大変。だから1枚か2枚くらいしか刷れないんです。
江戸木版画は、「絵師」「彫師」「摺師」と分業ですが、私は一人でやるしかない。まず、イメージ画を書いて、どういう版画にしようか下絵を描きます。一旦分解して色分けを考えながら彫る。版別に着色して刷る。がんばって刷って2〜3枚かな。最初から最後まで一人でやらないといけないから、やっぱしんどいね。しんどいけど楽しい。
油絵をやっていた時より大変だけど楽しいですね。何が楽しいかって?だんだんと積み重ねていくところかな。それと油絵は描いたら終わり。でも1点もので世界に一枚しかない。だけど、修正は可能。一方版画は何枚も刷れるイメージがあるけど、私の場合は2〜3枚が限界。それでも、一枚一枚風合いが違うので、やっぱり1点ものといっていいのかもね。木版画は、体力と視力が必要だとつくづく思いますね。
3年前に「ワルツ」を町民展に出した時、観てくれた人から「色がいいね」と言われました。Tさんから色彩感覚を学んだことで色の使い方が変わってきた。初期の作品と色使いが全く違うことに、自分でも驚いています。
シルクスクリーン
この作品は「マーシーストリート」(ハービー・ハンコック)っていう曲を聴きながらイメージを膨らませてデザインした4色刷りです。シルクは木版に比べ刷りが楽ですね。配色を変えたり、紙を変えたりできるところも面白い。何枚も印刷できるから、クリスマスカードや年賀状を作っていました。このてんとう虫は私のお気に入りの一枚です。
vol.215 人生これから ここが知りたい認知症のこと&藍染め体験会
家族が気づく初期症状
・ 同じことを何回も行ったり聞いたりする
・ 料理など家事の手順がわからなくなる
・ 料理の途中で別の事が気になり今やって いることを忘れる
・ 時間、日時、場所がわからなくなる
・ 物の名前が出てこない
・ 薬の管理ができなくなる
・ 物事の関心や興味がなくなる
・ 水道やガス戦の閉め忘れが多くなる
・ テレビや新聞などの内容が理解できない
発病の要因(喪失体験が誘因になる)
・ 子どもの独立
・ 退職した
・ 配偶者や知人が死亡して寂しい
・ 嫌な事があった
・ あてにされなくなった
・ 寂しくて頭を使わなくなった
当日の資料より
参加者の感想
・明日は我が身?みじかな人が心配、夫が認知になったら…「備えあれば憂なし」の気構えで参加しました。
・本を買って勉強したんだけど内容はハード面(お金の問題とか、後見人制度とか)今日は実例をたくさん聞く事ができてとても参考になりました。
・ 義母を施設に入れたくなくて私がみています。「財布を盗られた!」と何度警察を呼びつけたことか。犯人は息子(私の夫)と決めつけるんですね。でも、私の友人たちが「あなたはすごいよ、よくやってる」「あなたの心意気に感激」とか褒めてくれるので、続いているかな。
・ 知人のご夫妻について。奥様が認知症になり、ご主人が介護をされていますが、共倒れにならないか心配。デイサービスなどを利用されたら?と提案しても「今まで本当によくやってくれたから俺がみる」ときっぱり。でも、疲弊しているのは明らかで…。今日はみなさんにいろんなご意見をいただき参考になりました。
・食べ物がとっても大事だということを再認識しています。直接の要因ではなくても、できるだけ薬に頼らない生活をするにはやはり食べ物から。魚や野菜、大豆製品、海藻などを使う和食(いわゆる伝統食)がいいと思う。
藍染めの体験会は、初めての人ばかり。説明書を読みながら、あーでもない、こーでもないとなんとか原液を作る。ぶくぶくしてくるはずだよね、と待つ間に、模様作り。絞ったり、板を挟んだり、輪ゴムや糸でおしゃべりしながら絞り染めに。模様は乾いてから解きほぐす。だんだんわかってくると、いろんなアイデアが出始める。
右下の写真は畳一枚ぶんはある布。テーブルクロスにどお?色といい模様といいなかなかグッド!模様をイメージしてたわけではないけど、偶然の模様が面白い!そして色もちょうどいい。原液が元気なうちは色濃く染まり、Tシャツ15枚、という能書きを無視して、あれもこれも染めたくなって、シーツを染めてみた。原液のキャパオーバーになるとだんだん薄くなっていく。それもまた良し。手袋してたけど、みんなの手は真っ青に!
vol.215 9月10月えんぴつカフェのご案内
vol.215 熱中人 円通寺住職 岡田 英賢さん
たった一つのルールは「ひとりにしない」こと。
誰かといっしょは、ご飯がおいしいからね。
今日は誰と食べる?
居場所としての子ども食堂
例えばおかあさんが仕事していて子どもさんが帰ると、一人だけ、という家庭があったりとか、私はそう状況を分かったりする立場にあったので、「じゃ、ここにおいでよ、晩ご飯食べていく?」となって…。それがいわゆる子ども食堂の始まりかな。週に2回、火曜日と木曜日。毎回20から30人ほどのお子さんがきます。子ども食堂は貧困をイメージしがちですが、貧困だけではない。一番気になるのは孤食です。一人じゃないよっていうのを伝えたい。
坐禅の時に、呼吸を意識してねっていうんです。吐き切らないと吸えないから最後まで吐き切って、それから吸う。普段の呼吸ってあまり意識しないですよね。空気も水も大事。それらが「ある」前提で暮らしています。当たり前すぎて意識しないという側面があります。人との繋がりもそうなんですよね。
友心庵
心を通わせる場所。ここは「ひとりぼっちを作らない」というルールがあります。30人くらい定期的に来る子たちがいますので、大量生産できるキッチンを整備しました。
和尚さんが作ったカレーをちょっと味見してよと、そんな雰囲気。受け皿というか、本当に困っている人のサポートになればいいかなと。ゼロ円カレーをやるためにここを作ったようなもの。一昨日もここで高山ラーメンを80食くらい作りました。
子どもの頃の記憶
例えば今の10歳の子が、20年もすると30歳になる。もしかすると自分の子どもがいて、その子に、小学校の時にお寺で勉強してね、と話すかもしれない。だから目いっぱい楽しいことを経験して欲しい。
大人の本気
大人も本気でないと。私はここでラーメン作ります。実は子ども達の間では、和尚さんのラーメン世界一だといって楽しみにしているんです。それは大人の意地ではなく本気なんです。大人の本気は一番伝わりますよね。
ダメなことは目いっぱい怒ります。それは、相手を傷つけることとか、人を馬鹿にしたりとか、無意識のうちに傷つけてしまうこと。悲しんだり一人ぽっちになった人を出した時は連帯責任です。ということは、傍観者になるなってことです。大人でも同じですよ、見て見ぬ振りとかね。それもダメだよって。
病気した時に健康のありがたさがわかるように、ピンチになった時に、周りに誰もいないっていうのがいちばんきついんじゃないかと思うんです。ピンチになったら、必ず誰かが助けてくれる。だから、傍観者ではいけないんです。それがいちばんそれが大事なことのような気がしています。
マザーテレサさんが「『愛』という言葉の反対の言葉って何?『無関心』て言いました。もっとね、いろんなことに関心を持ってということなんですね。
幸せって、なんですか?
先日、車いすのダンスチームの舞台を見に行ったんです。いろんなグループで小学生から大人の方までが曲に合わせて踊ります。車椅子を押しているお母さんも笑いながら、本人も声だして笑いながら、発表するというか。みんなとってもいい笑顔なんだよね。団体の代表の方が、「練習で集まる時は、嫌なことがあっても、残した問題がそのままであっても、『笑顔』でいようねって言うんです。そして、笑顔でいること、それを積み重ねることで、幸せになるんですよね」って。本当にそう思います。
宗教の根っこの部分はね、みんなが「しあわせだな」って思えることじゃないですか。
フードバンク物流センターには、あらゆる企業や個人から食品の寄付がある。それを丁寧に仕分けし冷蔵保管する。7月29日に開催された「フードドライブ」では、高校生が「こめっこカフェ」を開催したり、寄付をされた方にかき氷をプレゼントしたりと、大にぎわいの1日となりました。(円通寺・関市小屋名)
共感を得ること
もう一軒のお寺・観修寺の管理が難しくなり、ご本尊様とお墓を移築をして、解体する話に。近隣の方に迷惑かけてもいけないので、まず綺麗にすることから始めた。それが6〜7年前。コツコツやっているうちに、「和尚さん、なにやってるの?」って声をかけられ、一人二人と手伝っていただける方が増えてきて、みんなで片付けをするようになりました。
自ら汗をながしてやっているところに人が来て、人と人が繋がって、だんだんと大きくなっていきます。我々は知らないだけで、人は皆いろんな悩みや問題を抱えている。それは誰でもあるので、もっともっと人が関われるような場所を作っていきたいというか。それが今のいちょう庵。いろんな人の受け皿になることができればいいなと思って。
ここを頼ってくれる人がいたりとか、そういう人たちがいることで、この建物自体の価値が出るんですね。
vol.215 夢か悪夢かリニアが通る!vol.44
リニア中央新幹線の工事実施計画の認可取り消しを求め、沿線住民らが国を相手取り7年前の2016年5月に起こした行政訴訟「ストップ・リニア!訴訟」の判決が7月18日、言い渡されました。連休明けのこの日、東京地裁入り口にあるX線手荷物検査機が故障するトラブルが発生し、係員が手荷物を一つ一つ確認。東京都心で最高気温が37.5度を記録する中、傍聴人には高齢者が多いのにも関わらず長時間待たされる羽目に。この影響を受け、午後2時開廷の裁判は傍聴人がすべて席に着くのを待ち、約15分遅れてスタートしました。 井澤宏明・ジャーナリスト
住民の声、司法に届かず
「請求を棄却」
判決は、口頭弁論終結後に異動した市原義孝裁判長に代わり、篠田賢治裁判長が代読。篠田裁判長は小声で主文を読み上げ、「いずれも棄却する」という言葉が辛うじて聞き取れるだけ。
「聞こえません」「ナンセンス」「不当判決」と傍聴席から怒号が飛び交う中、3人の裁判官はそそくさと逃げ帰るかのように退廷しました。その間、1分足らず。
主文は「原告らの請求をいずれも棄却する」というものでした。判決文は700ページにも及びましたが、原告団や弁護団は直後に出した「声明」で「本判決は、国及びJR東海の主張を丸写しにしたものであり、現実に生じている(山梨)実験線での環境被害を無視したもので、責任ある判断を放棄したに過ぎない」と痛烈に批判しました。
どのような内容なのでしょうか。争点の一つ、環境影響評価を例にとってみましょう。原告側は、JR東海の環境影響評価は、トンネル掘削により発生する残土の置き場を十分に確保しなかったり、駅や車両基地などどんな鉄道施設を造る計画なのかを明らかにしなかったりしたまま行われた杜撰(ずさん)なもので、そのような環境影響評価に基づいた工事実施計画を国が認可したのは環境影響評価法違反だ、などと主張しました。
これに対して判決は、残土(発生土)置き場を十分確保しなかったことを容認する判断を以下のように示しました。「環境影響評価の手続上、原告らの主張するような発生土置き場の位置等を具体的に特定すべきとする法的な根拠までは見当たらない」「環境影響評価の手続は、事業の内容が順次具体化していく過程で、事業特性等を踏まえつつ実施されるものであって、必ずしも(環境影響)評価書の作成時にあらゆる事項が具体的に特定されていることまでは求められていないものと解される」「最終的に、発生土置き場等を必要とする量等を確定することが困難であったことなどから、本件評価書の作成時に、全ての計画を具体化することまではできず、事後調査を検討すべき状況にあった」
「杜撰アセス」を容認
どんな鉄道施設を造るかを明らかにしなかったことについても、判決は以下のように容認しています。「原告らの主張するように、鉄道施設の形状等を具体的に特定するよう求めることは、建設線の建設の事業を実施しようとする事業者に実行可能な範囲を超えて困難を強いるものにほかならない」
そのうえで判決は、「評価書の記載事項等を精査しても、国交大臣の判断が重要な事実の基礎を欠き又は社会通念に照らし著しく妥当性を欠くことが明らかとまではいえないし、裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとは認められない」と国土交通大臣の「裁量」を広く認め、原告の主張を退けました。
記者会見で原告団長の川村晃生・慶應義塾大学名誉教授は「我々が7年にわたって住民被害や環境への影響、安全性の問題など、鉄道事業が持っている根源的な問題を投げかけてきたのにも関わらず、裁判官が全く汲み取らなかった点に不満、憤りを感じる」と悔しさをにじませました。
国会内で開かれた報告集会では、行政法や環境法が専門の礒野弥生・東京経済大学名誉教授が「環境アセスメント(環境影響評価)をどう評価するかについて裁判所は全体的に消極的だが、(今回の判決は)ひど過ぎる、最悪だなと思った。この判決をこのままにさせておいたら、次の裁判、他の事項にとってもすごく問題だ」と、東京・神宮外苑の再開発問題を例に挙げて警鐘を鳴らしました。
原告側は7月28日、東京地裁判決を不服として東京高裁に控訴しました。
vol.215 ボーダーレス社会をめざしてvol.74
違う世界
6月に大阪にいる娘の所に行きました。娘婿が出張で5日間いないので助けてほしいと。娘は小学校の先生をしていて、大忙しのようでした。子どもが3人いて、2歳の子がまだまだ手がかかります。コロナが収まったようなので2年ぶりに、電車を使い出かけました。
大阪はやはり人が多いです。都会は違うなと再確認しました。娘の家に着いてからは、食事の用意・子どもたちの宿題を見る・習字を一緒にする・トランプやカードで遊ぶなど普段できないことをたくさんしてきました。子どもたちを相手にしていると少々若返ったような気がします。3人の子どもは、我が家の障がいのある息子とは違い、手がかかりません。泣いてもすぐ元に戻ってくれます。小学6年生ともなると大人です。何の手もかかりません。可愛いばかりです。障がいのある人は、ひとつこじれたらなかなか元には戻れません。本当にこだわりがないって楽だなと思います。障がいのある子どもがいない生活ってこういうものなんだなとつくづく感心してしまいました。
こんな平和な生活をしている人が、世の中のほとんどなのかなとその時は考えてしまいました。(実際は、貧困家庭が多くなってきていて大変な世の中になっているようですが。)そしてこのような生活をしている人に、障がいがある人を理解してほしいと訴えても無理なんじゃないかなとも思ってしまいました。娘は道徳の本を見せてくれて、障がいのある人の事も勉強するよと言ってくれましたが、身近に障がいのある人がいない場合、そのような人の事を子どもたちは想像できるのでしょうか?私はどうしたら、障がいを理解してもらえるのか?考えてしまいました。息子からの何度も繰り返されるメール・電話で、あ~我が家には障がい者がいたのだったと我に返る5日間でもありました。
人が10人いれば10人が違った生活をしています。娘たちの生活が普通であるとすれば、それとは、かけ離れた生活をしてきました。全く違う世界で私は生きてきたのだなと、フッと思いました。きっと価値観も何かにつけての基準も違うのだと思います。娘が中学を卒業した時、すごく嬉しかったのを思い出します。義務教育が終え、まずは親としてすることはした。後は好きに生きてちょうだいと思いました。高校で少し不登校になりかけた時も、学校を辞めればいいんじゃないと言いました。ハードルが滅茶苦茶低いのです。精神を患うくらいなら学歴なんか関係ないと思ってしまいます。
まず楽しく生きることが一番です。生きていかなくちゃいけないのです。学歴なんか無縁の所で生きている障がいのある人たちを見てきている私には、誰もが、今そこにいるということが一番なのです。人と比べてみても仕方ないことは明白です。自分は自分。好きなことがあればそれで 。障がいがあっても息子のように好きなことがある人は、とても幸せそうです。障がいのある人と接していると、人としての原点に時々戻れます。これは幸せなことだったのかもしれません。
娘が「言われた事をすぐやらない」と6年生の を叱っているのを見ても、そのうちやるのにと内心思い、助け舟を出します。「何でそんなことで叱るの。ちっともいう事をきかなくても私は 君の事、大好きやわ」と言うと は照れて「孫は可愛いいって言うからな」と満面の笑みです。「味方が一人いて良かったね」と娘も笑うしかなく、場は和やかになりました。ひょっとしたらハードルが低いのって、皆が笑顔になれるのかもしれません。
vol.215 モザンビークからレポートvol.9
Makuma tani ( テテ州のNhemgua 語;元気ですか?朝のあいさつ)!
テテ州の出張で新たな生活に関する発見がありました。日本人は、備えて蓄える、働くという感覚がそもそも備わっているように思いますが、モザンビーク人は今、以外は何も見ていない、考えていない。とでも言える行動が多いです。そんな中で農村での計画性も垣間見て、貧困についても考えるきっかけとなりました。
「節約方法を学んでお金が貯まるようになった。とても興味深かった。ただ、隣の子どもが病院に行く、学校の用意が必要…結局自分の家族より困っていることは起こるから自分のために使えるお金はなくなる。」これは、ナンプラ州のコミュニティでプロジェクトについての感想を伺ったときのこと。家族の範囲の感覚が広い、助け合うことが前提で生きているというべきか、自分が明日必要なお金は気にしていないというべきか・・・
お金が貯まらない理由は人を助けているからだけではありません。友達にパンのおつかいを頼んだら、勝手におつりを使い切り、ジュース(こっちでは結構高級)も買ってきて、「おつりに自分が少しお金を足したら、ジュースをプレゼントできることに気づいた。きっと喜ぶと思ったから」と。単なる欲でジュースを買ってきたと思った私としては、「泥棒と一緒じゃないか!?」くらいの勢いで腹を立てたけれど、逆に相手としても、せっかく朝ごはんをより楽しもうと思って、なけなしのお金をかけたのに、何で怒られているんだ?と腹を立てました。話し合っているうちに、あぁ、モザンビーク人にとって、誰がお金を払っているか、いくらなのか、明日お金が残っているか、ではなく、やっぱり「今」が大切なんだ、と気づき、最終的には私が反省することに。
かと思えば、テテ州のコミニュティで話を聞くと、計画性のある暮らしぶりでした。テテ州はダムがあるため電気も水も通すことができるし、動物の家畜も盛んで、物価も高いです。そんな中で農家さんの暮らしは、簡単ではありません。もちろん電気も水も通す余裕はありません。それでも、収入が上がる収穫期は週3日くらいはヤギや鶏を食べることもあるんだとか(モザンビークの農村部に暮らす人は一般的な動物性食品を積極的に食べる地域は少ないです。虫やネズミは食べます。)。誰かが屠殺すると、お隣さん同士で買い合ったり、お金の持ち具合では現金の代わりに畑に働きに行くそうです。収穫期の収量が明らかに少なく、1年を通して主食のキビやヒエが食べられないことが分かると、山に木炭を作りに行って、飢えないようにする、それがこの土地の暮らしだと教わりました。今しか見ていないと思いきや、そうではない。お金がなくても、他の方法がある。私たちがその違いに目を向けていないだけ。なぜ、世界の貧困がなくならないの?そもそも貧困って何?答えはあるんでしょうか?
vol.215 菌ちゃん野菜応援団vol.36
今年は5年ほどお借りしていた畑を移動することになり、植え付けた夏野菜を移動させ植え替えて、その後の水やりに日々追われてます。ですが、新しい畑は菌ちゃんが少ないのかな?草もあまり生えず、なんとなく殺伐とした雰囲気。野菜たちにとってはかなり過酷な場所みたいで、水をあげてもあげてもなかなか根付かず、大半が枯れてしまいました、ざんねーん!
でもね、これって、お腹の中も一緒なんです。
普段からお腹の中の菌ちゃんを考えた生活を心がけていると、いざという時も楽に乗り越えていけるけど、無頓着でいたらちょっと大変なことになりかねないということ。いざ、とは風邪をひいたり、不要なものを体内に入れたり、大きなストレスにさらされたりした時。そんな時、外からは見えないけど身体の中の免疫力は総動員。
シャットアウトする、追い出す、やっつける。
そんな複雑な三段階で身体は私達の健康を守ってくれてるんです。滞りなく免疫力が働くためには日々いかに体内環境を安定させておくか、がとても大事。
じゃあ体内環境の安定化とは?となると以前からお伝えしている、腸内を発酵モードにしておくこと、ミネラルを努めて取ること、身体にとって負担となるものを減らすこと、になるわけですよね。体を整えるとは、本当にシンプルなことなんだと都度都度思わされます。ただし、そのバランスが崩れたときは復活させるのに時間がかかる。でもそれってリセットのチャンス。
どうしようー、ではなく「よしリセットキター、
もっと良い身体にしよう」と思えば良いですね!
この夏、暑くて体調を崩される方も多いです。
そんな時は身体を信頼して、外から内から出来ることを丁寧にやってみてください。
身体の防衛三段階とは?内外からのアプローチについては次回詳しくお伝えしますね!!
あれ?体調イマイチかな?という時は、梅酢を3倍に薄めてうがいをする&飲む。これだけでも身体は元気になりますよ。旬のみょうがを梅酢に漬け込んでも箸休めになります。お試しあれ。