投稿者「にらめっこ高阪」のアーカイブ

vol.188 プレゼントコーナー

PRESENTS 188号

1- 春を楽しむあなたのおススメスポット、教えて!
暖かくなったら行きたくなっちゃう、そんな場所、教えて♪
2- 気になるにらめっこ紙面での広告
3- 気に入った記事、気に入らない記事の
タイトル1つ・その理由もお書きください。
4- ご希望のプレゼント名
(第1希望・第2希望)
※BとCは編集室まで受け取りに来られる方。
5- 本紙をどこで入手されましたか?
6- 氏名、年齢、住所、郵便番号、電話番号、  家族構成

プレゼントご希望の方は
ハガキまたはe-mailで、上記のアンケートを
1〜6までご記入の上、編集部・プレゼント係りまでお送りください。
〆切:3月25日 当日消印有効。

宛先
〒504-0855 各務原市蘇原新栄町2-25
e-mail: info@niramekko.com
※お寄せいただいた個人情報は、本紙プレゼントの発送に限り、使用させていただきます。
※当選の発表は発送をもって代えさせていただきます。

 

A.ミックスベビーリーフ引換券 大堀研磨工業所様より…5名様

素材を切る手間もなくおしゃれなサラダが!ピザやパスタがワンランクアップ!栄養豊富なベビーリーフはその手軽さでも大人気、ぜひお試しを。40g入り2パックのプレゼントです。(写真はイメージです) 大堀研磨直売所(各務原市蘇原寺島町1-9)で商品をお受け取りください。

B.ヨウ素入り食塩 にらめっこより…3名様


にらめっこ読者へお土産です。ベルギーのきれいな海水から作られたヨウ素入りの食塩。海草類を食べる習慣のある日本では見かけませんが、海外ではヨウ素欠乏症を防ぐため、ヨウ素入り食塩が販売されています。595g入りです。

C.ありがとうが溢れる割り箸 (株)郡上割り箸様より…2名様


岐阜県郡上市産の杉を使った純国産の割り箸セットです。郡上割り箸は、郡上産スギ間伐材活用プロジェクトとして誕生しました。もったいないと思われがちな割り箸ですが、使うことで山を救う活動に繋がります。50膳入りです。

D.CINEX映画招待券 シネックス様より…ペア3組様


映画館で観賞を終え、映画館を出た時の、独特のぼ〜っとした感覚、この没入感が好き!という人は意外と多いのだとか。映画館ならではの感覚ですね。 写真は「母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った」より。柳ヶ瀬のシネックスでご利用いただけます。


vol.187 「食べること」の特集


いただきます!という祈り

その真意は、【自分以外の生命エネルギーをいただく】ということです。食材になる前は、全て生命がありました。そしてそれらの生命も私達は栄養にしています。生命エネルギーがないものばかり食していると免疫力は必ずと言っていいほど低下します。実は、その食材がどんな環境で育ったか?ということが、生命エネルギーに大いに関係しています。
たとえば鶏肉。ブロイラーのように動き回ることが出来ないケージに入れられ、クビだけ動かし餌を食べる状態ではストレスが溜まるばかり。常にストレスを感じながら食材になった鶏肉には負のエネルギーがいっぱい含まれることになります。牛や豚も同じことが言えますね。

そして「いただきます」という言葉は、食事を食べられるまでに関わってくれた人々に向けるだけではなく、生命エネルギーをくれた食物にも向けられる言葉です。

各種の食べ物の命をいただくことで私たちは命を繋いでいますから、いただく命そのものがストレスフリーであったり、パワー全開になった状態でいただきたいものです。
食べ物の命のパワーを上げる方法はいろいろあります。
たとえば、おにぎり。おにぎりは日本の心を反映している食べ物でもあり、コミュニケーションを伝え合う食べ物といわれています。おにぎりを作るときは基本は手で握ります。
おにぎりで忘れてはならないのが、佐藤初女さん。2016年2月1日、享年94歳で天に召されましたが、著書をはじめとして、各種メディアや映画「地球交響曲(ガイアシンフォニー)第二番」(1995年公開、龍村仁監督)など、すでに多くのところで紹介され、ご存じの方も多いと思います。初女さんは青森県の弘前にて「森のイスキア」を主宰されていました。

 


森のイスキア

そこでは・・・
人生に行き詰まった人を自宅に受け入れ、元気づけて社会に返す。そんな奉仕活動を続けていた。なぜ、おむすびなのか。「素朴な食べ物だからこそ、作る人の気持ちが伝わって結びつきが感じられる。心のふるさとでないかと思うんです」。手作りの梅干しを入れ、焼きのりで包んだ丸いおむすびが冷えた体と心をあたためる。自殺まで考えていた青年がお土産に持たされたおむすびは、タオルにくるまれていた。「ラップやアルミホイルだとふやけて味が変わるからなんだけど、(青年は)それに感じたって。こんなに心配してくれる人がいるのに、なんてばかなことを考えたんだと思ったって」

ひとつまみの塩を手のひらにすり込み、ふっくら炊きあがったご飯の粒がつぶれないように、やさしく両手で包み込む。雪をかぶった霊峰・岩木山を望む青森県弘前市の一軒家で、エプロン姿の佐藤初女(はつめ)さん(91)が小さな背中を丸め、おむすびを握っていた。「『あ、おいしい』と思って心が満たされてくると心の扉が開いてくるの。自分の考えなど入れないで、よく話を聞いていると、どなたにしても自分の考えを持ってい

るんですよ。でもなかなかそれが出せない。自信がないんですね。自分の話したいことを話しているうちに受け止めてもらったと安心して(悩みが)解消されていくのよ」家族との死別やいさかい、リストラ、病気…。心に迷いや悩みを抱えた人たちに、地元でとれた旬の野菜や魚の手料理を振る舞い、そばで3時間でも4時間でも耳を傾ける。


忘れられない料理がある。

肺の病気で喀血を繰り返し、電信柱につかまりながら青森市のカトリック系女学校に通っていた17歳の春、母のトキさんがつくってくれた桜鯛の潮汁とあら煮だ。旧士族の実家が運送業の失敗で破産し、心労で体が弱っていた頃だった。母の料理に、「細胞が躍動してエネルギーが隅々まで巡り、体に力強さがみなぎったの」。注射や薬に頼らず、食べることで元気になろうと決心し、それから17年かけて病気を克服した。食は、初女さんの生きる姿そのものになった。「痛くないように」と野菜にも慈愛のまなざしを向け、丁寧に薄く皮をむく。ゆがく時は、透き通るような色に変わる「命の移し替え」と呼ぶ瞬間を見逃さずにすくい上げる。煮る時は八分通り火が通ったら止め、味をじっくり染み込ませる。 「『食は命』ということを非常に感じるんです。食材の命をいただいて、私たちは生涯一緒に生きていく。だから、ゆがく、切る、味付け、そのどれひとつ、おろそかにできない。一番嫌いなのは『面倒くさい』っていう言葉。ある線までは誰にでもできる。そこを一歩越えて、手をかけ、時間をかけることで人の心に響くものになるんです」

2013年1月5日の読売新聞「生きる 語る」シリーズ<3>の「おむすび 希望ともす」より


『いのちをむすぶ』おむすびをつくってみました。
今年の秋に収穫した新米で、初女さんのおにぎりを作ってみました。まずはじめに、お米を炊くことからスタート。3分搗きのお米を土鍋で炊く。ご飯は粒を潰さないように混ぜ小さな木椀にふんわりと入れる。お椀を木のまな板の上にひっくり返し真ん中に梅干しを乗せお塩を馴染ませた両手でふんわりと包んでむすんでいく。正方形に手でちぎった海苔2枚で上下にはさむように巻いて、はみ出しそうな所は余った海苔を貼り付ける。
美味しいお米(無農薬・すべて手作業)と美味しいお塩(天日塩)と美味しい海苔(知多鬼崎産)と、梅干し(自家製)が一体となるようにゆっくりとむすぶ。ていねいに作ったおむすびは食べる時もゆっくりになる。いろいろな人がかかわってできた手の中のおむすび。人々のかかわりを想像すると自然に「いただきます」と「感謝」の気持ちがわいてきます。
初女さんは「『面倒くさい』と言うことが嫌い」と強い信念のように言っていました。一方で、一本筋が通った緊張感も。初女さんは教員でもあり、また信仰していたキリスト教もあり、揺るぎない道徳心をお持ちでした。「正しいことをする」ということを何よりも大切にされていました。」とは、初女さんに会った方の感想です。

「心は揺れていいんです。揺れるのは成長に必要な過程です。大揺れに揺れても芯が一本通っていれば折れることはありません」。私は初女さんの本にあるこの言葉が大すきです。毎日ごはんを食べられる事に感謝して大切にいのちを頂こうと思います。(三上)

佐藤 初女(さとう・はつめ)著/ 集英社 ¥1,728

「いただきます」「ごちそうさま」
「いただきます」の意味の一つは、「作ってくれた人の命をいただく」ということですって。それはどういう意味でしょう。命とは時間と考えてみる。たとえば、私の母は82歳で亡くなりました。ということは、82年間という時間が、母の命だということだということですね。
今朝、みなさんのお母さんは、30分かけて朝ご飯を作りました。今日の夕食、お母さんは、1時間かけて夕ご飯を作ります。その朝ご飯にはお母さんの30分ぶんの命、夕ご飯には1時間分の命が込められているのです。そう考えられませんか?食べ物を粗末にすることは、作ってくれた人の命を粗末にすることにつながります。食べ物を作ってくれた人に感謝の気持ちを込めて、「いただきます」「ごちそうさま」を言いたいですね。

「自炊男子~『人生で大切なこと』が見つかる物語」
佐藤剛史 著 / 現代書林 ¥1,512



肉を食べるとき、その命に感謝してますか?
魚を食べるとき、その命に感謝してますか?
野菜を食べるとき、その命に感謝してますか?

 

動物と植物の一番の違いは何だろうか?

それは「動物は、食べるために動かなければならない。植物は、食べる必要がないので動かなくていい」です。植物は動けないではなく、動かなくていいんです。生きていくための栄養を、自分の力で作り出すことができるからです。私たち動物にはそれができません。だから、どうしても他の生き物を「食べる」必要がある。動物だろうが植物だろうが、どんな生き物であっても、自分の命の限り精いっぱい生きているんだと思います。私たちは、そんな他の生き物の「いのち」を奪わなければ、生きていくことができないんですね。

食を考えることは、命について考えること。
動物も植物も、害虫と呼ぶ虫たちも、私たちの周りは尊い命に囲まれています。特に食糧とされる動植物、皆さんはどのようにしてこれらの[いのち]と向き合いますか?

いろいろな意見があります・・・

◎ 豚、牛、鶏肉・・・処分されるまで大事に育てられていたもの。
野菜・・・有機や減農薬で育てられたもの。卵・・・自然の風が入る鶏舎か平飼い鶏の卵。家畜は人間に食べられるために飼われている。せめて牛や豚が生きているときは、気持ちよくストレスなく生きていてほしい。そういうことを大事にしている生産者に飼われていてほしい。値段が高くなっても気持ちは落ち着く。

◎ 「○○の解体ショー」とか「◇◇の残酷焼き」とか、「大食い競争」とか、いったい何がたのしいの?命あるものを頂くという気持ちが薄れてきているようでちょっと悲しいです。

◎ 私たちは食材だけでなく皮製品や化粧品(馬油等)色々な物も生き物から貰っている事を忘れないように。あと、化粧品や医薬品などでどれだけの小動物が犠牲になっているかも、忘れてはいけない。

◎ どうしても納得できない食材・フォアグラ。ガチョウが完全に身動き出来ない状態にされ、口から餌をどんどん詰め込まれているのを見たとき泣きそうになりました。人間の欲望には限界がないんだなぁと切なくなります。

◎ 命を奪わない食べ物には何があるのだろう?ふと考えてみた。植物も、植物の実や種や根も生きてる命です。海藻も同じ。果たして何があるだろう?三つだけ思い浮かびました。一つ目は母乳です。二つ目は塩。三つ目は水。食べるってなんだろうと根本から考えてみようと思いました。

◎ 食べることは文化的な営み。肉にしても魚にしても野菜にしても第一に、「美味しい」ことを伝えたい。

◎ 狩猟とか釣りをする人は別ですが、私たちはなかなか自分で「殺す」ってことをしません。でも生きるとか食べるってそういうことなんだよね。なので、食べ物は無駄にせず、残さずいただくということで折り合いをつけています。

◎ 食べ物を粗末にする人間は大げさかもしれないけど私はすべてにおいて信用できません。日本は本当に飽食です。ありがたみを忘れてはいけません

◎ 私の勤める幼稚園(仏教系)では給食の前に「多くの命と皆様のお陰によりこのご馳走を恵まれました。深くご恩を喜び有り難く頂きます」給食後に「尊いお恵みを有り難く頂きました。お陰でご馳走様でした」の言葉を言いますが、その通りだなぁって思うのです。多くの命を頂いて成り立っている私達の身体は、私達だけの物ではない。だから大切にしなくてはいけない。これは命の大切さを伝える事にも繋がると思うのです。
番外編
◎ ある夏の日の夜、台所にゴキブリが・・・迷わず新聞紙を丸めてバシッとたたきつぶしてゴミ箱へ。その一部始終を見ていた娘が目をまんまるにして、やがて目を潤ませたんです。「へっ?どーした?あかんかった?」と私の方もビックリして・・・。同じ命かぁ、そやなぁ、これからは外に追い出すわ。


命を「解く」ということばを、ご存知ですか。
食肉解体業に携わる人々が、牛や豚を殺す、という意味で実際に使っている言葉です。これは、食肉センターに勤めて実際に命を解くことを仕事にされている、坂本義喜さんのおはなしです。牛の命を解いて、お肉にする。坂本さんはこの仕事がずっといやでした。世の中の人々にとって大切な仕事だということはわかっていても、牛と目が合うたびに、仕事がいやになるのです。心のどこかに、いつか辞めたい、という思いを抱えていました。あるとき、こんな坂本さんの気持ちを変える出来事があったのです。小学校3年生の息子のしのぶくんの参観日。食肉解体の仕事をかっこ悪いと思っていたしのぶくんですが、仕事の大切さについて教えてくれた先生の言葉を受け、お父さんの仕事の偉大さを理解していきます。息子の理解に励まされ、仕事を続けようと決意したある日、目の前に現れたのは一匹の牛と女の子でした。「みいちゃん、ごめんねぇ。」謝り続けながら牛のお腹をさする女の子。生まれた時から一緒に育ってきた牛のみいちゃんとの別れを悲しむその姿に、気持ちが揺らぐ坂本さんは、解体の仕事を休むとしのぶくんに打ち明けます。「この仕事はやめよう。もうできん」そんな坂本さんに、しのぶくんがかけたことばは・・・。
講演で坂本さんが語るエピソードに感銘を受けた助産師・内田美智子さんが、本として綴った「いのちをいただく」。10万部を超えるヒット作となった単行本は、その後漫画家の魚戸おさむさんがイラストを担当されて紙芝居に、そして今回絵本となって私たちのもとに届きました。生きるために食べること、食べるために働くこと、そして命を解くこと。全てはこのサイクルの上に成り立っている。多くの生き物たちの命と人々の葛藤に支えられながら、私たちは今日も「いただく」ことができるのですね。読んだ後は、感謝して食事に向かい合えるはず。
「いただきます」。

『いのちをいただく』坂本 義喜 (企画・原案), 内田 美智子 (著), 魚戸おさむとゆかいななかまたち (著)/講談社¥1,512

 

『教誨師』という映画を観ました。密室劇で6人の死刑囚と対話する教誨師の男・佐伯(大杉漣)を描いた人間ドラマ。受刑者の道徳心の育成や心の救済につとめ、彼らが改心できるよう導く教誨師。その中の一人、大量殺人者の若者、高宮(玉置玲央)との会話に、命に向き合う矛盾が浮き彫りにされていました。

高宮:オレがなんで17人も殺したのか、分かるか!
佐伯:分かりません。
高宮:生きててもしょーがねー奴らを殺したんだ。世のためにね。    少しでも世の中が良くなるためにさ。
佐伯:どんな命も大切です。
高宮:じゃぁ聞くけど、いるかを殺し食べるのがなんでいけない?
佐伯:それは、その・・・知能が高いからです・・・
高宮:それって差別じゃねぇか。じゃぁ牛や豚、鶏はいいのかよ。

この会話をきっかけに、高宮は世の中の矛盾をずんずんと突く。佐伯は言葉に詰まりながらも、誠意を持って接する。6人のそれぞれの人生に寄り添い言葉を選びつつ会話を続ける佐伯。そんな中、ついにある受刑者に死刑執行の命が下される……。

生きていてこそ「いのち」を語れる。死刑はその「いのち」を奪う・・・。どんな命にも価値があります。

 

 


vol.187 帯電したら放電!レッツアーシング!

186号<デンキ特集・続編>

アーシングとは
電化製品において、漏電時などに電気の逃げ道としてアース線に接続するということが一般的ですが、その意味するところは、「大地とつながること」です。ここでの「アーシング」は、体内に蓄積されたプラス電子を体外に放出し、大地からマイナス電子を吸収することで、肉体の電気的な安定を維持することを言います。一番シンプルなアーシングは、裸足になり、大地(=地球)と接地(=アース)することです。アーシングすることにより、帯電したプラス電子や静電気を大地に戻し、母なる地球から発生するマイナスイオンと大地のエネルギーを体内に取りこみ、肉体の電気的安定を得ることで、心身をリラックスさせることが出来ると考えられています。

私たちは電化製品に囲まれて暮らしていると言っても過言ではありません。にらめっこの三上は、毎日ほぼ10時間くらいはパソコンの画面と「にらめっこ」です。以前から肩こりがひどくて、ときどき頭痛に悩んでいました。その一因に、パソコンの電磁波を浴びすぎていてカラダに静電気が帯電し、それが原因のひとつとなって、様々な不定愁訴などの症状がでるのでは・・・一説によると、静電気によって体内が「+」に傾くことで血液中のマイナスイオンが不足し、俗に言う「血液がドロドロ」の状態になることが不調につながるのではないかともいわれています。
また、免疫力低下や自律神経の乱れといった悪影響を及ぼすなど、病気の一因となる可能性があるといいます。そんな時は「帯電したら放電!」で、楽になるかも。

さて、本題に入る前に、デンキとカラダの関係を少し。
この世の物質はすべて原子からできています。
原子はプラス(+)の電気をもつ原子核と、マイナス(-)の電気をもつ電子によって構成されています。そして私たちのカラダの機能も、実は電気の流れによって働いています。例えばカラダをコントロールする神経は、微細な電気が信号を伝達していますし、筋肉の収縮や弛緩も全て電気刺激で行われています。
私たちの体内の情報伝達は電気により行われ、心臓や脳からも電流が発生していることがわかりました。しかも水と塩がないと筋肉が動いたり、神経が働いたりするといったことはできないとのこと。私たちのカラダで電気がスムーズに通るために水と塩が不可欠なことも分かりました。
余談になりますが、良質な塩を摂取することは、健康と密接に関わっています。一般的に売られている食卓塩の成分表示には、・塩化ナトリウム99%以上・原材料に天日塩(メキシコ)・炭酸マグネシウムなどと表示されています。海に囲まれた日本では海塩が主流。天日塩が代表的な海塩で、煮沸せず、太陽と風の力で蒸発させて結晶化した塩を取り出します。塩の話しは前号186号の『カタコトのへや』の特集を参考してね。

 

さて、ここから本題。
「帯電」をしやすい現代の暮らし

現代に生きる私たちはパソコンなど電気製品の普及で、電磁波の影響を非常に受けています。また電気を通さないコンクリートやゴム製品、化学繊維の衣服に囲まれて暮らしていると、放電できないため体内には知らず知らずのうちに静電気が溜まってしまいます。

大地や海など自然に触れると電気を外に出すことができるのですが、現代人は溜まった電気を外に出す機会や環境も少ない。そして溜まった静電気は炎症(=慢性疾患)を引き起こすと考えられています。不調を感じているけれど、いまいち理由が分からない…こういった原因不明の不調がある人は、日々影響を受けている電磁波がその原因かもしれません。

溜まった電気を流す生活の工夫

身体に溜まった静電気を外に放出することを「アーシング」と言います。地面を裸足で歩いて大地に放出するのが一般的ですが、その他にアーシングとして日常で取り入れやすいこと、また電気を身体に溜めにくくする工夫を「電磁波対策をした住宅つくり」をしている九野さんにお話しを伺いました。

なるべく電磁波を浴びないようにするには・・・

◆ 電車に乗るとき。窓から(高架やパンタグラフなどの)電磁波が入ってくるので、基本的に窓際ではなく、通路側に座る。新幹線の場合は1、3、6、9、12,15号車に乗った方がいい。電車の車体にはモハ、サハという記号、見覚えありませんか?モハの「モ」はモーターが付いている車両。だからモーターの付いていない車両に乗る方がいいです。

◆ 携帯の電磁波は画面側からではなく、背面から出るのでポケットに入れたり持つなら画面の方を体側にしてほしいです。鞄の中に入れておく人も一緒です。
◆ 枕元に携帯を充電しながら置くのも最悪です。ノートパソコンも充電しながら使っている人は、ディスクトップより電磁波が3倍くらい出ています。
◆ コンセントは、使わないものは常に抜く。スイッチが切ってあってもコンセントが差してあれば、そのコードの上に立っているだけで電磁波を浴びます。
◆ あと、避けたいのが、コンセントのある壁。電磁波が出ているので、コンセントのあるところの壁にはもたれない。
◆ キッチンの油はね防止に囲むアルミもいいですよ。うちはこれでWi-Fiを防いでます。
◆ 携帯で最悪なのは赤ちゃんを抱っこして、頭の辺りで触っている状態。赤ちゃんに電磁波がビュンビュン突き抜けています。しかも高周波。赤ちゃんの血液脳関門(血液に含まれるいろんな成分を「これは脳に入れてもいいものか、悪いものか」と、判断してくれてるところ)がいかれる。こわいよね。これを若いお母さんに一人でも多く伝えたい。やってる人が多いですからね。

 

帯電したら抜く。家庭で出来るかんたんアーシング
アルミホイルが大活躍
洗濯機、冷蔵庫、エアコン、電子レンジなどのところにあるご家庭が多いです。そこからアースをとってもらって、で、アルミ箔をひいて、その上に乗ればアーシングになりますよね。アース線と鰐口クリップなどをアルミ箔にでも挟めば電磁波を抜くマットができあがり。

 

 

上の写真のように素足がベスト。だけど、寒い日にはくつやサンダルにアルミホイルを巻き付けて、土の上を歩くだけでもアーシングは出来る。靴下をはく場合は天然素材のものを!

 

参考/家電製品との一般的な安全距離(製造メーカー、型式により多少異なります)


vol.187 カタコトの部屋 パーマカルチャーを学ぶ

はじめの一歩!

工夫すればどんな場所も畑になる

君はお腹が空いたら どうやって食べ物を手に入れる? スーパーで買ってくる? でも想像してみて 自分で育てた色とりどりの野菜や果物が実る畑。 花がゆれてミツバチはミツを吸いに 小鳥も遊びにやってくる。
そんな場所を 君もつくることができるんだ。 食べ物はお店で買うことも 見つけることもできる。 でもせっかくなら全部やってみようよ!
食べもの畑は 君がほしいものを育てる場所。 お母さんにあげたいきれいな花 お父さんと工作できる作業場友だちとあそぶひみつ基地。 玄関先やベランダ すぐできる場所から はじめてみよう!

『みんなのちきゅうカタログ』

監修:ソーヤー 海 絵:ニキ・ローレケノ・川村 若菜 文:福岡 梓

 

(仙)子どもたちに伝えていきたいことはありますか?
(庄)1つは『わたしたちは自然のギフトで暮らしている』ということ常に恵みを与え続けている自然を感じて生きてほしいな、と。
(仙)春の草木花の香り、一日中遊びたくなるような夏の日差し、美味しいものがたくさんの秋の実り、家族と寄り添いたくなるような冬の寒さ・・・わたしたちの暮らしの豊かさは、すべて自然からのギフトだったのですね!
(庄)2つ目は『人が暮らすことで自然と人がより豊かになることができる』ということを伝えていきたいと思っています。
(仙)日本に昔からある里山のように、自然の山に人の手が入り管理することで、森に光が入り、田畑に生物多様性が生まれる。日本人は昔から自然と共存して暮らしてきたということですね。最後にみなさんに伝えたいことは?
(庄)パーマカルチャーに『ねばならぬ』はありません。苦しいときは休めばいいし、助けてほしい時は助けてほしいと言えばいい。自分が楽しむことが大事なんです。自分のペースでゆっくりと自分の暮らしを創ってゆこう!と伝えたいですね。

しょうちゃん ◎ 本名:庄司正昭(しょうじまさあき)残業300時間、窓のない部屋で仕事をするシステムエンジニアを続けていくことに限界を感じる。そんな中、自然の中で楽しく仕事をする人に出会う。自分もそんな仕事がしたいと人と自然をつなげる、ネイチャーインタープリターを目指す。2004年、脱サラして、2010年、関市洞戸の古民家へ引っ越し、自然と共に生きる暮らしを実践中。

参加者の感想
○パーマカルチャーは、初めて聞いた言葉でした。昔ながらの生活に憧れても楽しくなかったり、無理をして続かない、もっと今を楽しんで生きようと思いました!あとは自分も仲間も大切にするというお話のところでnvc(非暴力コミュニケーション)が凄く気になったまずは自分を好きに幸せに!!!(Hさん)
○パーマカルチャーって何?という状態で参加しました。
○自然と、自然から産まれた生き物たちを大切にする。
○自分自身を大切にするって後回しにしがちだけど、そうする事で、ゆとりを持てて色んなことがスーッと回って行くんかも…。パーマカルチャーに『ねばならぬ』はない。コレは生活すべてに当てはまるな〜って。
○“食べられるお庭”を作りたいと思いました。
○子どもたちもたくさんいる中で、ホントにあったかくて、いい会だった。(Oさん)
○前から耳にしていたパーマカルチャーを一度きちんと知りたくて参加しました。農業のイメージが強かったけど、生活に密着したものであると感じました。目指したいライフスタイルにとても合ったデザイン手法なのだと思いました。(Iさん)

 

〜あなたは何から始められそうですか?〜
パーマカルチャーの12の原則
1. 観察し、交流し、理解する
2. エネルギーを捉えて質を保つ
3. 収穫を得る
4. 何もしなくていいシステムを作り、出来事から修正する
5. 生き物や自然の恩恵を生かす
6. ゴミを資源にする
7. 大きなパターンを知り、細部をデザインする
8. 分離していたものをつなげて働きをつくる
9. 小さくて遅い手段を使う
10. 多様性を大切にし、その豊かさを生かす
11. エッジと接点と隙間を利用する
12. 時の変化を読み、創造的に対応する

 

※「自然に暮らす会」2017年発足。本来の人間力を取り戻したい、強く優しく生きる私たちでいたい。一緒に学び、実行し、進化、変化していきましょうと、提唱し活動を始める。


vol.187 ここいく日記 心の成長 さまざまな性


心の成長 さまざまな性

ある日「お母さんのいう普通が分からない」この長男の言葉にハッとしました。思い通りにならない長男の子育てに悩んでいた私は、「なんで普通にできないの?」と何度も彼に言っていました。私が求める普通は私の物差しで、ただ私が安心したいだけ。ずっとありのままの彼を否定していたことに気づいた瞬間でした。人のあり方は多様。家族のカタチも多様。「普通」も人それぞれ!性教育を重ね、自分自身の子育てが楽になっていきた体験を「いのちの授業」を通して多くの親子に届けていきたいと思っています。

性教育は人権教育で生き方を学ぶこと。ここいくでは体の成長と同じように心も成長することを伝えています。
思春期に向かう小学生高学年。なんだか、親や先生のいうことに苛立ち反抗的な態度をしてしまう人もいます。それは反抗期ではなく意思表明期!自分で考えてやろうとする時期。
みんなの心が成長している証拠であることを伝え大切にして欲しいメッセージを届けます。

瓶のフタを開け毎日それぞれに「ありがとう」「ばかやろう」と言った結果、「ばかやろう」と言われ続けたお米だけカビが生え真っ黒に!!

「言葉大切にしてる?うざ~きも~死ね~って言葉使っていない?」
「ありがとう」と「ばかやろう」の言葉をかけたお米の実験結果の話をすると、子どもたちの心が動いていることが分かります。いろいろな気持ちがあること、人それぞれ感じ方受け止め方が違う、だからこそ話あうことが大切。そんな人間関係のお話をすると、人と意見が違っていいことが分かりました。等の感想が届きます。

 

中高生にはパートナーとの関係を伝えます。セックスしたくなかったら断れる?コンドームつけてって言える?彼女が嫌といったらグッと我慢できる?ちゃんと自分の気持ちが言える対等な関係であること。これは夫婦でも、親子でも、職場でも同じで人間関係の基本。
安心・安全・信頼の関係は虐待やDVの中では保障されない。
そして様々な性があることを伝えます。
「この社会には男と女しかいない」「人は誰しも異性を好きになるもの」そんな考え方が普通と思っていませんか?世の中の「普通」に縛られず、自分らしく生きることが大切です。
性は誰もが等しく持つ人権の一つ。自分の性を決めるのは自分の権利。
LGBTから多様性を学びます。そして障がいも同じですが特別なことではないのです。人は誰もが多様であることを伝えた後の授業の感想を紹介します。

いろいろな性で 男の人が男の人を好きになる。女の人が女の人を好きになることは別によいということに納得しました。(小6 女子)

人を好きになること、ならないこと。どんな性別。子どもを産むこと、産まないこと。全部が人それぞれの自由で、自分で決めてよいことなのだと、はっきり言ってくれてよかった。性別は基本、男と女の二つだが、それに当てはまらない人だっていると思うし違和感を抱く人もいるだろうし、そのことを否定せず認めてくれる世の中になればよいと思った。(高校生 男子)

 

性教育で多様性を学ぶことは子どもたちの感想から見えてきますが、学習指導要領にLGBTは載っていません。だからこそ、丁寧に伝えていきたいと思っています。

※LGBT(L:レズビアン・女性同性愛者、G:ゲイ・男性同性愛者、B:バイセクシャル・両性愛者、T:トランスジェンダー・自認する性の不一致)それぞれの英語の頭文字からとったセクシャルマイノリティの総称。

 

担当:ここいくメンバー・古川明美でした。
ここいく☎090-3446-8061(中村)


vol.187 リバース 第17号

アジメドジョウ
ずいぶん前になるが、板取川上流川浦谷支流に西ケ洞と言われる支流としては長い谷がある。以前ダム予定だった所だ。植物学専門の故成瀬亮司先生と植物調査を兼ねて魚種の調査をしたことがある。イワナ、アマゴはもちろんだが、カジカの他にアジメドジョウを見つけた。まさかこんな上流に生息していたとはと皆で感激した覚えがある。 鮎と同じ清流に住み、珪藻類を食べている。味は淡白で旨みは鮎より上だと私的には思っていて、特に煮付けは絶品だと思う。しかし絶滅危惧二類に指定され生息環境は河川改修などで危ぶまれている。        撮影・文:長屋 泰郎

 

アジメドジョウ(味女泥鰌、Niwaella delicata)は、条鰭綱コイ目ドジョウ科アジメドジョウ属に属する魚。日本固有種でゴマドジョウの名もある。全長は約10cm。他のドジョウと比べ体形は細い。シマドジョウに似ているが、目を通る線状の模様がないことで見分けられる。体側中央から背面にかけて暗色の虫食い状の斑紋が入る。生息地域や個体によって変異が多い。雲状や点列になることもある。腹側は白色である。
口は頭部の下に位置し、半月型で唇が厚く吸盤状になっている。その口で石に吸い付くように伝い泳ぎをする。口ひげは3対。背鰭、胸鰭、尻鰭は体の後方にある。

食用とされることがある。藻類食のため泥臭さがないとされ、ドジョウ類のなかでは一番味が良いとされる。長良川では、石を伝いながら上流へ登ろうとするアジメドジョウを筒へ導いて採る、登り落ち漁が行われている。富山県、長野県、岐阜県、福井県、滋賀県、京都府、三重県、大阪府。日本固有種。山間の河川の上・中流域にすむ。藻食性。


vol.187 講演 青木未帆さん 9条を守るの誰か〜問われているのは私たち

2018ぎふ平和のつどい
講演 青木未帆さん(学習院大学教授・憲法学)

「9条を守るのは誰か〜問われているのは私たち」

憲法を誰が守るのか、国家が守らなくちゃいけない、国家に守らせる。同時にそのことを支えているのは、最終的には私たちであるということを改めて共有したいと思います。
日本国憲法を「あんな憲法」と言った安倍首相ですが、なんで嫌いなのか。端的に言えば「個人が一番大切だから」とか、「自由が大切だから」、ということを今の日本国憲法が正面から掲げているからだろうと私は考えています。

「状況」
状況は二つ。一つが政治の中での状況。今政治がどれくらい前のめりになっているか。二つ目は国民がどういう状況にあるのか。国民といっても、世代や性別で温度差があるので誰に何を伝えられるよう訴えていくのか気をつけないといけないと思います。

現政権は2019年8月25日の日曜日に憲法改正の国民投票をしたいと、考えていると思われます。これをストップできるのは私たちです。現在の国民投票法によると、国民運動の期間を設けるときに、最短で60日という定めになっています。2ヶ月間でもしかすると憲法改正ということになるかもしれない。多くの国民にとって、まだ大丈夫だろうと、なんとかなるんじゃないかと思われている今が、改憲を望む側からするとチャンスと見られているのかもしれない。注意をしなくてはいけません。
出発点としては、2017年の衆議院選挙の公約にすでに掲げられて選挙を経ているということ、これは非常に重要です。さらに2018年10月20日には安倍首相が総裁選3選された時に「いよいよ国民のみなさまと憲法改正に向けて進んでまいりたい」というような言葉もつかわれました。
私たちが警戒しなくちゃいけないのには十分理由があります。2013年、内閣法制局長官の人事、無理矢理にクビをすげ替えたのは8月8日のことでした。その冬には特定秘密保護法MSC4、いずれも国民的反対が強いものでしたが強行採決され、翌年7月1日には閣議決定。政府の解釈を変えて憲法改正をしないと集団的自衛権を行使できないと言われていたものを、一夜にして変えてしまった。その次の年には「新安保法制」。戦争法とよばれるようなものが国会で作られ、これも強行採決でした。無理が通れば道理が引っ込む、というような状況で、なにがなんでも自分たちがやりたいことはやるんだという強い意志が示されています。憲法改正に向けた布陣が整えられ、身内の中から、今まで憲法改正を最前線で扱ってきたような人からの批判をものともしない、というところに最大限の警戒をしたいと思います。

さて、この前のめりになる政治に対して国民はどうでしょうか。まだまだ憲法改正には関心がないわけではないけど十分に考える時間がない、という方のほうが多いんじゃないかと思います。今はまだ国民があまり関心がないから大丈夫じゃないかという人が多いのなら、それでは甘いと言うべきだと思います。
各紙世論調査での傾向を見てみます。若い世代の自民党支持率が高いということなど、一定の傾向があります。その中身ちょっと見てみたいと思います。
安倍政権(内閣)を支持しますか?支持しませんか?という問いについて。
男性女性、年代をならして全体として支持をするというのが(10月の時点・朝日調査)40%。不支持も40%。その他、答えないが20%。男性と女性でだいぶその違いが出ています。そして、若い人と中高年で違いがございます。詳しく見てみます。
まず支持率。男性の場合、50歳以降と49歳よりも前の傾向が違います。50歳以降になると、支持率よりも不支持率のほうが高くなりますが、若い人たちは非常に明確に安倍政権の支持のほうが高い。女性についても若い世代は支持率が高いという傾向があります。ただ、女性の18歳から29歳までの結果をみると、その他、答えないというのが50%。どう考えたらいいのか決めかねているという人の方が多いのかもしれません。支持と不支持で見てみると、支持の方が高く34%。女性の場合も49歳までと50歳以降でラインが分かれ、50歳以降は不支持が高い。多くの問題について世代間で違いがあるところに注意が必要かと思います。
このように一口に国民といっても温度差があって、見ている世界と見えている世界が違う。誰に何を、誰の心に響き届くか、どのような言葉をどうやって発信するのかが問われています。
ところが、次の質問については、どの世代をとっても同じような傾向が出ています。それは何か。
「あなたが安倍政権に一番力を入れて欲しい政策はなんですか。次の中から一つだけ選んで下さい。」
1-景気・雇用、2-社会保障、3-財政再建、4-外交・安全保障5-地方の活性化、6-憲法改正。
一番多いのは、社会保障で全体の30%の方が一番にあげています。二番目に景気雇用、地方の活性化、その次が財政再建。憲法改正は一番後で全体としてみて5%です。実はこの傾向はどの世代もだいたい同じです。
興味深いのは、次の問い。「安倍首相はすべての世代が安心できる社会保障制度への改革を3年かけて行うとしました。これに期待できますか?できませんか?」
中高年層は「期待できない」という人が圧倒的に多く6割7割を超えています。ところが、若い世代、男性も女性も、「期待できる」という人が半数を超える。考えてみれば、国家とか社会に対する基本的な信頼があるということです。若い世代が絶望していたらもう終わりですよね。なんとかなるんじゃないかという基本的な信頼のうえに、まだ私たちの社会があるということに希望を見いだしたいのだろうと思います。その上で、どの世代にとっても、私たち一人ひとりが大切にされる政治をこれだけ求めているのですから、それを全面に出して、「平和」と「きちんと人間らしく個人として生きる」ということは、非常に密接で不可分でありますので9条と25条がコラボのような形で訴えていく必要もあるのではないかと最近強く思ってます。

国民投票
国民投票法によると最低投票率という定めはありません。世論調査からはこのように揺れ動く、どちらにも転ぶような層がたくさんいることがわかります。これだけ、憲法改正の中身の説明を一切しないというのは「国民的な議論が起こったら困る」と考えていると言うべきじゃないか。だから、今が大切な時なのです。
「やるべきことはただ一つ、憲法改正だ!」このようなストレートで、何も考えないでいいというような主張はとても強いです。
果たして憲法改正に反対しようとする人たちは、同じようなレベルになれるんだろうか。なにも考えなくていいから、憲法改正にただただ反対すればいいと・・・それはちょっと違う。やっぱり目指すべきは平和の姿、こんな社会になって欲しいとか、いろいろと理想がある以上、何でもかんでも反対で一つにまとまろうというのは、むずかしいんですね。

憲法というのは一部の人のものではありません。私たちみんなのものです。さらに私たちの子どもとか孫とか、その先の世代のものでもあります。みんなで考えなくちゃいけないところを、「考えないでいいです、何も変わりません」という詐欺的な言葉に騙されてはなりません。やはり、将来に対して、私たちのその次の世代に対する責任、責務を考えると絶対に阻止しなくてはいけない。と同時に日本国憲法改正草案の世界観が、日本国憲法とは真逆であることに警戒しないといけないと思います。こういう世界観がバックにあるのが今の改憲論だと。その中で一つだけ申し上げたいのが人権についての考え方が全然違うことです。人権を主張するときに、ほかの人の迷惑にならないというのは当然です。私たちの社会の中で人様に迷惑をかけないようにいうのと、国家が人の迷惑になっちゃいけない、というのは根本的に違います。迷惑だということを国家が判定するならば、これは人権ではなくなってしまいます。

9条加憲
日本国憲法9条については、みなさんよくご存じの通りですね。
戦争はしません、戦力持ちません、交戦権も持ちません、と掲げています。日本国憲法ができる前に大日本帝国憲法があったわけですが、大日本帝国憲法には軍隊にかかわる規定がたくさんありました。軍隊というのは何よりも特別扱いをされる集団で、軍にかかわる規定の一切合切をなくしたというのが憲法9条の一つの効果でした。しかし、自衛隊を作りました。自衛隊はどうやって説明したらいいのか、みなさんもご存じの通り軍隊だとは言われてこなかった。憲法は戦力を持つことを禁じています。でも自衛隊はその戦力に当たらないから持つことができるんだ、ということです。
実は政府は、防衛作用を行政作用の一つとしています。防衛省というのは内閣の下にある省庁の中の一つで行政組織です。この防衛省を別の角度から見ると、自衛隊なんだと説明してきました。
考えてみると、外から攻められたときに国を護るため闘う、そのとき闘って殺すのは他の国の人たち。だから国内で権力を行使されるのとは、そもそも根本的に違う作用だ、特別なんだという言い方が、かつて軍隊ではされていた。でも、自衛隊は普通の国家行政組織で普通の役所なんだから特別扱いできない。今は特定秘密保護法という法律ができてしまいましたが、こういう限界を設けていたのが9条の意味です。
自衛隊を設けるというのは、要はその特別扱いをする根拠を正々堂々と書き込むということになります。では特別扱いされるとはいったいどういう意味か。日本国憲法の90条、という条文に、こういう定めがあります。
「国の収入・支出の決算はすべて毎年会計検査院がこれを検査し内閣は次の年度にその検査報告と共に、これを国会に提出しなければならない。」会計検査院法1条には「会計検査院は、内閣に対し独立の地位を有する」とあります。
森友学園の8億円値引きに根拠がない、という報告書をめぐって新聞報道等でかなり大きく扱われました。いまだによく分からない部分がありますが、値引きに根拠がなかったとした会計検査院はよく頑張ったなぁという雰囲気があったと思います。会計検査院法が内閣に対し独立の地位を有する、と定められるからこそです。会計検査院の特別扱いの根拠も、自衛隊を同じように特別扱いする根拠を設ける一つの対比として考えられると思います。

日本国憲法で憲法上の機関はいくつあると重いますか?立法権、行政権、司法権の3つ。立法権を与えられている機関は国会で、衆議院、参議院。お互い独立していますから2つ。行政権は内閣、司法権は裁判所です。それからこの会計検査院を入れて5つなんです。憲法が権力を分割して立法する、法律を作る、法律を執行する、その過程で出てきたさまざまな紛争を解決するといったようなことと、お金があってはじめて政治ができますので、会計検査については内閣に対して独立の機関がきちんとこれをチェックする、という枠組みができます。このようなところで、自衛隊を憲法に書き込むというのは、この5つを6つにするということになります。書き込むならどういう作用を果たすのか、ほかの機関との関係はどうなのか、それを書くのが憲法ですから、書かなきゃいけない。ところが素案を見ると、「法律の定めるところにより」、という言葉使いのみで具体的な説明がない。いかに国民を愚弄した姿勢であるか。もっと怒るべきだと思います。
当然のことながら、憲法に今あるバランスを崩すとなると、ほかの機関との関係でもほんとうは議論しなきゃいけないはずです。国会がきちんと、内閣の判断に是非を問うことができるような権限が与えられなくてはならない、あるいは、裁判所が後からでも正当性を審査する権限が与えられなきゃいけないんじゃないかと思います。
自衛隊を明記する、ということは憲法上の機関として扱うということです。自衛隊を憲法上に書き込むことになれば、政治にかかる責任が今よりもっと重くなります。果たして今の政治は、当事者であるという意識をちゃんと持っているのでしょうか、何か自分事ではないような気がします。

憲法を守るのは誰か
最後に「憲法を守るのは誰か」。憲法12条にも書いてあります。この憲法を保障する自由というのは、国民の不断の努力によって守られる。これが今問われているんでしょう。私たちが言わなければ、政治は自ら説明することを拒否している状況にあります。よりよく人権が守られるために、平和を守るために、どういうような社会にしていくのか、私たちが声をあげる必要が今まで以上に強く必要になってきます。

あおい みほ ○ 学習院大学教授・憲法学
主な著書として『憲法を守るのは誰か』(幻冬舎ルネッサンス新書)、『憲法と政治』(岩波新書)、『はじめての日本国憲法』(PHP研究所)、最近の編著に『憲法改正をよく考える』(日本評論社)がある。昨年発足した「安倍壊健NO!3000万人署名全国アクション」の呼びかけ人の一人として、多くの講演や執筆活動だけでなく国会前行動なども参加している。


vol.187 えんぴつ・カフェ


えんぴつ・カフェスペシャル第3弾 11月18日(土)
「住み慣れた街で最後まで過ごすために」を開催
講師/木田盛夫医師(木田ファミリークリニック院長)

「医療はその人の人生を支える柱のうちの1つにしか過ぎない」「重要なのは医学的に正しいかどうかではなく、その人のために何ができるのか、その人の希望をどう叶えるのか」など、医師としての医療に対する姿勢は木田先生のお人柄を感じました。「かかりつけ医を持つと言う事は、医師が患者さんの仕事や生活の様子や精神的な事など、バックグラウンドをよく知った上で治療できますから、診てもらう方も医療に対する満足度があがります。ぜひ、信頼できる、よいかかりつけ医を持ってください」などと、わかりやすい言葉でお話しいただきました。
また、「みなさんのリストはなんですか?」・自分が大切だと思うこと・他人や社会のためになると思うこと・お金、資産に関すること・仕事、ビジネスに関すること・健康に関すること・成長に関すること・家族に関すること・人のつながりに関すること・・・

休憩時には、シフォンケーキと珈琲・紅茶で一休み

「治療を受けると父親、サークルの役員、仕事など、自分にあったいろんな役割を忘れてしまいがち。自分の時間を取り戻す事が上手な治療とのつきあい方です。こういうリストを書き出してみるのもいいと思います。」とも。
「ゼロの昇天ノート」を制作した私たちの想いと重なるお話しも多々あり、みなさんがノートをこんなふうに活用してくださったら嬉しいなぁ、と感じました。

次回のえんぴつ・カフェ スペシャル企画 第4弾
「高齢者の心と体を知り、楽しく介護をしましょう」
講師:入学佳宏氏(ケアマネージャー 重度身体障害者施設・介護老人保健施設・特別養護老人ホーム等の指導員・相談員)

と き:2019年1月19日(土)13:30-15:30
ところ:産業文化センター2階 第4会議室
会費1,000円(紅茶&お菓子を楽しみながら、質問タイムで情報交流をします)

えんぴつ・カフェ 開催日程
会場:各務原産業文化センター2F会議室
時間:13:30−15:30

2019年
2月20日(水) おしゃべりしながらノートに書き込む
3月20日(水) スペシャル第5弾
「どうお別れしますか?」
講師:市川 雅清氏
(一級葬祭ディレクター&終活アドバイザー)
えんぴつ・カフェで常に話題になる葬儀やお墓の問題、それぞれの土地柄や実情などを含め情報交換します。

 

えんぴつカフェの問い合わせは
NPO「人生これから!」
田辺 090-5638-7044 三上 090-7854-4561


vol.187 ホスピスナース奮戦記 vol.12

人生の終焉をどうしたいか・・・

とても寒い秋の日。この日一件目の訪問はステージ4がんの60代後半の患者さんだった。彼女は韓国人で英語はほぼしゃべれずアパートに一人で住んでいる。この時は違う州に住む娘さんが泊まり込みでサポートにきていた。電話通訳と娘さんにも手伝ってもらい患者さんと会話をする。 患者さんの右側の額はパンパンに膨れ上がって紫色になっていた。話をきくと、今朝一人で外を散歩していて転んでしまったらしい。他にも体中にあざがいくつかあり、手のひらにも擦り傷があった。見るからに痛々しかったが、本人は処方されている痛み止めで十分と言い張った。体中に浮腫みも出ていて、よく歩行器も杖も無しで一人で散歩に行けたなぁと思うほどだった。話を聞くと、これ以上一人での生活はできないこととホスピスケアを受けていることもあり、娘さん家族と一緒にすむために引っ越しを考えていたそう。引っ越しをするには、長時間の車での移動か飛行機に乗らねばならず、それに耐えられるくらいの状態にはしておきたいとの思いで、リハビリをかね散歩にでかけたと話してくれた。最近病状も安定していていよいよ引っ越しが実現させられそうだったから、余計に張り切って体力をつけようと思ったそう。その矢先の転倒。「大丈夫」「痛みもない、どこも痛くない」「今また入院するわけにはいかない」「病院にもクリニックにも行きたくない」と繰り返し、どうしても引っ越しをして娘家族と一緒に住みたいという思いがひしひしと伝わってきた。
患者さんの飲んでいる薬の中に一つ血液を固まりにくくするものがあり、どう対応するかで困った。実はすでに左足に血栓があり、そのために飲んでいたものだが転んでしまった今、万が一脳内や他の臓器で出血があった場合とてもよくない。意識もはっきりしているし、頭痛や吐き気などもなくバイタルサインも患者さんの平均値だったので、現時点では大丈夫だろう。しかし「病院にも医者にも行きたくない」と言い張るのでどうしようもない。主治医に電話すると、「今すぐ病院に連れてこい」とすごい剣幕で怒られてしまった。でも患者さんが拒否している以上それもできない。その旨を伝え、薬をどうするか聞くと「検査しなきゃ判断できるわけがないでしょう!私の指示に従えないならホスピスケアの医者に任せる!」と言って電話を切られてしまった。患者さんは、長年みてもらってきたこの韓国人の主治医にNYにいる間は最後までケアを任せたいと切望した。主治医をホスピス専属のアメリカ人医師に変えるのも嫌だと。そりゃあ言葉も文化もまったく違う医師よりは、言葉も通じる同じ国出身の医師に最後まで診てもらいたいと思うのは当然だと思った。今まで築いてきた信頼関係や安心感に雲泥の差があるのは言うまでもない。問題なのは、患者さんの主治医は在宅ホスピスケアの概念というか知識、理解がなさそうなことだった。自分の主治医が「ホスピスケアならもう自分のところでは診られない」と言い出すものだから、患者さんは見放されたような気持ちになってしまう。安心感がものすごく重要な医療の現場で、この対応には正直私自身も動揺した。安心感も患者さんの尊厳もあったもんじゃない。
在宅でのホスピスケアはそこが難しい。この後、ホスピス専属の医師に電話で指示を仰ぐと、今日明日は薬を止めて在宅での血液検査をして、それから決めようということになった。もちろん、薬を一旦止めることで血栓が原因で死にいたるリスクもあり、万が一目に見えない臓器で出血している場合には薬をとり続けることで死にいたるリスクもあり、難しい判断ではある。それを患者さんにも説明したが、患者さんは依然として在宅を望んだ。そしてできるだけ早いうちに家族と一緒に住みたいと繰り返した。
そうだよね、家族と一緒にいたいよね、一人じゃ寂しいよね、一人で死にたくないよね。この患者さんは、毎日一人でご飯をたべて、時間を過ごし、自分の身体の痛みや変わりゆく状態、死という未体験に向き合っている。それはとても辛いことなのだ。娘や孫がいる中で暮らせたら、気持ち的にもどんなに楽だろう。患者さんにとってどんなに有意義な時間になるだろう。たとえ長年住み慣れた街や友達から離れる事になっても、今患者さんが一番望むのは家族の存在。私はぜひこの引っ越しを実現させたいと強く思った。そんな一心で担当チームへのレポートを書く。
わがままとは違う、その人が望む安心やささやかな幸せはその人が決めていい。そしてそれは人と違っていいし、違って当たり前なんだ。社会や医療や文化やいろいろなものが、「こうでなければならない」となりがちだけど、結果がどうなっても本人が自ら望んで納得して決めたことであればどんな選択をしてもきっと後悔はないのでは。その選択が現実的に可能かどうかはまた別問題ではあるけれど。周りがどこまでサポートできるか、それがこっちの仕事だ。そんなことを考えながら患者さんのアパートを後にした。

 

わかばま〜く:プロフィール 1982年生まれ。ニューヨーク州立大学卒業後、ニューヨーク市立病院に看護師として4年勤務。現在は訪問看護師としてホスピスケアに携わっている。岐阜県各務原市出身。


vol.187 ぎむきょーるーむ フクシマを見つめ続けた医師のお話

 

 

フクシマを見つめ続け た医師のお話
〜健やかなる 明日のために〜

小児科医師 山田 真氏

やまだまこと プロフィール
1941年6月22日岐阜県美濃市生まれ 小児科医。「父親は軍医。父親の転勤で福岡に移ったが、父はさらに満州に転属となり、母と子は美濃に戻り、以後そこで育った。岐阜県立岐阜高等学校卒、1967年東京大学医学部を卒業後、東京都八王子市の八王子中央診療所に勤務、その後同診療所理事長。障害児の子ども(梅村涼)があり、この子の父親であり、小児科医でもある1人の人間として、世間の能力主義や優生思想に対して積極的に反対の意見表明を続けている。雑誌「ちいさい・おおきい・よわい・つよい」(ジャパンマシニスト社)の編集者の1人を勤めている。

11月25日(日)各務原中央ライフデザインセンターで
行われた、山田真さんの講演会。質疑応答では若い人の
切実な問題が浮き彫りにされました。以下要約です。

社会運動のきっかけとなった事件

私は小児科医ですが、フクシマの事故が起って何かしなきゃいけないだろうと思っていました。
1955年に起った森永ヒ素ミルク中毒事件。生まれて一歳にもならない赤ちゃんが、推定で2万人くらいがそのヒ素ミルクを飲んで、百数十人が亡くなくなりました。その被害者の人たちが一時はもう全員治ってなかったことにされそうだったのですが、14年目に大阪で一人の学校の先生が、後遺症で苦しんでいる人が今もたくさんいるということを報告されて、それ以降、森永への運動が始まりました。それが私の最初の公害や反対運動などに関わるきっかけでした。
フクシマには2011年6月に行ったのが最初でした。東京からフクシマにボランティアで行っていた女性から「フクシマの子どもたちの様子を診に来てほしい」と声かけがあって。各地に避難している人たち、特に自主避難をした人たちはほとんど情報が断たれ、フクシマがどうなっているかということが全くわからないという状態でした。私はフクシマに行く時には線量計を持って行きます。避難している人たちは、本当にどれくらいの線量があるのか知りたいけれど一般的に流されている情報はもう信じられないと。
子どもたちの健康状態を不安に思っている親さんは沢山います。福島市内のかかりつけの医者へ行っても「心配のしすぎ、何ともないよ」と言われ相手にしてもらえない。だけどそれで安心できる状態ではないので、「もう少し丁寧に診てもらいたい」というのが親さんたちの希望でした。最初は400人以上の人が相談に来ましたが、2回目の8月には激減して、30~40人くらいしか来ない。しかもなんかコソコソ来るという感じで、報道関係の人に来られたら困るとも言うんです。ものすごく強力な戒厳令状態というか、ものが言えない地域になっている事がわかり、これはここに来ないといけないと思ったんです。
当時フクシマの渡利地区の人たちが、「すごく線量が高いので強制避難地域に指定してほしい」と運動していました。渡利は、阿武隈川の対岸に福島市役所がある福島市の中心的なところ。そこが線量が高いという事になれば福島市全体が線量が高いという事で、20万人規模の人たちを避難させなければならない。同時に強制避難地域だと莫大な賠償金を払わなければいけないだろう、ということもありフクシマは完全に押さえられた状態だったと思います。土壌を調べても表面は減ってはいても染み込んだ深いところで測ればかなりの線量になると言われています。セシウムの半減期は30年くらい。そうするとチェルノブイリの時に飛んで来たセシウムでさえまだ日本に残っていることになります。学校も、グランドの真ん中の方はもう除染されてきれいになっていますが、そこでかき出した土は袋に詰めて校庭の周りに並べてある。プールも問題になりました。プールは水が大丈夫だからって解禁されましたが、実際はプールサイドのコンクリートの部分があぶない。お母さんたちが「せめてプールサイドを歩く時にはサンダルを履いて歩くようにしてほしい」と言っても、安全なんだからそういう余計なことは考えるなって話しです。今、特に福島市は復興に向けてのフェスティバルばかり。本当にものが言えない状態になっています。

これまで何が出来なかったのか、本当は何を知らなければいけないのか。

フクシマで甲状腺がんが増えているかどうかというには比較をしないといけない。これは時系列での比較と地域別の比較とがあります。例えば2005年の地域での甲状腺がんの発生率の資料があって、2011年以降の甲状腺がんの発生率と比較することで、どのくらい増えたかと言える。ところが甲状腺がんについては、今みたいな形で超音波、エコーを使っての調査はほとんどされてない。
私は東京で、フクシマから避難して来ている人たちの健康相談をしています。自主避難の人たちは特別辛い思いをしています。原発事故によって地域的な分断とか、家族間の分断とかいろんなことが起りました。特に自主避難の人たちについては、実際に非常に線量の高いところから逃げているにもかかわらず、一般的には本当は大したことないところから逃げたんだと思われて。フクシマに残ってる人たちも決して安心しているわけではないけど、「もうここに住むしかない」ということだったらいい情報の方を信じよう、悪い情報は考えないようにしよう、そうするしかもう生きていけない。だからもうお互い言わない事にしようっていう、そういう自主規制が働いている中で、逃げる人たちは困るわけですよね。お母さんは、子どもたちが住める状態じゃないと思って逃げようと思うが、じいちゃんばあちゃんは大した事ないんだから逃げる事ないんじゃないかって言う。その間に挟まったお父さんは何も言えない。嫁さんと子どもで避難をして、そうするとお父さんが甲斐性なしってことになるし、近所からもお前の力がないから逃げられたんじゃないか、と言われるわけで、非常に辛い思いをしています。
学校では、子どもたちがいじめられると言う例もたくさんありました。学校でもキチンとした放射能教育がされない。文科省が「放射能は怖くない」という副読本を作って学校に配ったこともありました。それに対して福島県の教職員組合がちゃんとした副読本を作ったんですが、ほとんど使われる事はありませんでした。実際に学校の先生たちに聞いてみても、文科省から配られたのを使わないことで抵抗をしているという事で、放射能については触れないというような形で終わってしまったようです。
で、これで終わりになってしまうとすると、私たちは一体何を学んで来たのかと思います。どうも私たちは原爆を受けた時から、一年に一度追悼式典みたいなものをやる、ということで忘れないと言うけれど、日常的に、あの被害を二度と起こさないという形では憶えて来なかったと思います。今回の事故についても二度と起こさないという話しにはなかなかなってこないというのが残念な事だと思いますね。

ちょっとヨウ素についてお話しします。

今日「安定ヨウ素剤」を持ってきましたのでお土産に差し上げたいと思います。これは甲状腺を守るためのものです。
ヨーロッパでは、みんなが買って家に備えておけるものですが、日本ではそうなっていません。
原発が壊れると100種類くらいの放射性物質が飛び出すといわれます。中でも一番多いのが放射性のセシウムと放射性のヨウ素。自然界にあるのは安定ヨウ素で毒性がなく、昆布などに含まれていて、私たちの体に入るとほとんどが甲状腺に吸収されます。ここでヨウ素を材料にして甲状腺ホルモンが作られます。だからヨウ素を取り入れる事は大事なんですね。ですが、原発が壊れると放射性のヨウ素がそこから飛び出してきます。これが空中や汚染された食べ物や飲み物から体に入ってきます。甲状腺が自然のヨウ素でいっぱいになっていると隙間がありませんから、放射性ヨウ素は甲状腺に入り込めません。ですが隙間があるとそこに放射性のヨウ素が入り込み、これがのちのち甲状腺がんや何かになることがありますから、とりあえずここを一杯にしておくということが大事です。
私はこの安定ヨウ素剤を財布に入れて持ち歩いています。今回の大震災の時、私も家に帰れなくて診療所に泊まりました。家に置いておくと肝心なときに役に立ちませんので持ち歩くしかありません。とにかく事故が起ったら指示を待ってないで、勝手に飲んじゃっていいです。副作用はゼロと言っていいです。
これは1回に大人が2錠、13歳以下は1錠飲みます。以前にレントゲンを撮るときにヨウ素剤を使って何か大きな副作用が起ったという人やめる。また、妊娠している人は気をつけてほしいですが、それ以外の人は飲んでも大丈夫です。本来はこんなものは使わなくてもいいように、原発がなくなるのが第一ですが、現実に稼働しているし福島第一原発は壊れた後も放射能は漏れ続けているのです。
自分たちを守る事と、行政に「風化させない事」を求める気持ちを含めてこれを持ち歩いてほしいし、いろんな地域で自主配布会ができるといいと思います。薬を配るのは医療行為だとかクレームがつくといけないので、私たち医者も何人かが立ち会って配布をしています。
小さい子どもが一番被害を受ける訳ですから、こういう話しの集まりには、子どもを持ったお父さんお母さんが来てくださるといいんですけどね。ただ、こういうお話会をやれば少し若い方にもわかってもらえるだろうし、私たちがいろいろやってきたことを引き継いでもらえることにもなると思うので、そんな事を考えていただければと思います。

質疑応答
Q:全国各地に保養プログラムと呼ばれる活動があります。先生はその保養というこについてどう思ってらっしゃいますか?
A:精神的なプラスみたいなものが非常に大きいと思います。放射能で被害を受けてということとは別に心が慰められる場所として保養を使ってらっしゃるということはあると思います。本当は国や東電がやるべきことを代わりにやってきたという感じがして、それはかえって国だとか東電を楽にさせたんじゃないか、本来やることをこっちが代わってやったわけですから、というすごく残念な思いありますが。
Q:今日はヨウ素剤をぜひ手にいれたくて来ました。この国は子どもは国の宝というものの大事な宝物の命を粗末にして、お金の方が大事な国なんだなってすごく思います。子どもの心のケアとか親ごさんたちの心の手当なんかはどんな情報があるのかなって先生にお聞きしたいです。
A:フクシマの事故だけではなくて、例えば学校で子どもが殺されたとか、いじめがあって自殺したとか、いろんなことがあるとわりとすぐ心のケアと言って心理の専門家なんかが行くんですが、あれはあんまりいいことかどうかわかりません。結局余計な事を考えない方がいいよ、という不安にならないようにするのがケアだと・・・。でも不安になるはしょうがないことです。心のケアはとても難しいです。東京都がメンタルをサポートしようと精神科医をフクシマに派遣しています。私の友人がそのリーダーになるからフクシマの話しを聞きたいというので私は話しをしました。そうして彼はフクシマに行ったんですが彼に相談した人に聞くと、彼はずっと泣いていたそうです。行って何も言えないでフクシマの人たちの話しを聞いて泣いていた。泣くしかないんだな、と思いました。彼には「われわれが出来る事はできれば彼らがそこに住まなくてもいい状態になれるように頑張る事で、なんか医療の領域ではないんじゃないか」言ったんですけど。私たちができることは一緒に泣く事しかないのかなって思ってます。


vol.187 夢か悪夢かリニアが通る!vol.16

2025年の大阪万博開催が決まりました。東京五輪(2020年)、リニア中央新幹線品川ー名古屋開業(2027年、あくまで予定)との3点セットは、高度成長期の東海道新幹線、東京五輪、大阪万博をほうふつとさせます。1970年の大阪万博のテーマは「人類の進歩と調和」。私たちはあれから、進歩し調和してきたのでしょうか。進歩の象徴とされるリニア工事が引き起こしている不調和と向き合うたび、首を傾げざるを得ません。     ジャーナリスト・井澤宏明

 

痛めつけられ 失われ

惜別の市民散策会
リニア神奈川県駅が建設される予定の神奈川県立相原高校(相模原市)。連載5回目で紹介したこの学校は来春の移転が決まってしまいました。11月10日には最後の市民散策会が開かれ、約80人の参加者が別れを惜しみました。
10ヘクタールを超える広大な敷地に約150種類の木々が植えられている校内は、市民が通り抜けできる憩いの場。生徒が育てる牛、豚、ヤギやポニーは子どもたちの人気者です。
散策会は19年前から、市民団体「教育と緑ある橋本の町づくりを考える会」が開いてきました。最終回の案内役を務めた安藤弘明さん(66)は元同校理科教師で会の発足メンバーです。「移転危機が何回もあり何とか持ちこたえてきたんですけど、とうとう移転することになってしまいました」。
土曜日にもかかわらず、この日も家畜をかいがいしく世話したり、大根を収穫したりする生徒の姿がありました。
会代表の浅賀きみ江さん(69)は1980年代、見知らぬ土地に引っ越してきて行く当てもなく、毎日のように子どもを連れて同校に通いました。「子育てをさせてもらった場所なので本当に残念。橋本の町の誇りだと思ってきました」。
リニア駅建設に伴い同校跡地は再開発の対象となり、のどかな風景は一変します。移転先は約2㌔離れた職業能力開発総合大学校跡地。駅からバスで約30分かかります。

埋めがたい隔たり
南アルプストンネル掘削により、「大井川の流量が毎秒約2トン減る」とされる問題を巡り、JR東海とのにらみ合いが続いてきた静岡県。JR東海が「トンネルの湧き水全量を大井川に戻す」と方針を変えたことで、事態が動き始めました。11月21日には静岡県庁で、リニアに関する2つの会議が立て続けに開かれました。
先に開かれた有識者会議。JR東海がようやく公表した2トンの根拠を示す膨大なデータを検討した地質専門の委員は、垂直ボーリングが極端に少ないことなどを挙げ、「2トンの根拠は何もないことがはっきりした」と指摘しました。
続いて行われた環境保全連絡会議には、JR東海の担当者も出席。湧水を電動ポンプ6台で戻す計画について、水工学専門の委員が「恒久的という観点から疑問がある。何万年、何十万年という規模で検討してもらいたい」と迫りました。
これに対しJR東海の澤田尚夫部長は「リニアの構造物は50年、100年使っていく。JR東海がどこまで会社としてあるか分からないが、会社が続く限りメンテナンスと運営はやっていく」としか答えられず、埋めがたい意識の隔たりを感じさせました。
生態系専門の委員は「地下の湧水を川に戻すと、水質が違うために生態系が全滅状態になる」と危機感を訴えましたが、澤田部長は「どんなことを調べればいいのか」と逆質問する始末。
「あまりにもひどい」。難波喬司副知事が口をはさんだのは、大井川下流にある島田市の担当者がJR東海の説明に懸念を示したことに対し、「下流域への地下水の影響は考えにくい」とJR東海側が改めて説明した直後でした。副知事は「地下水に影響が出ているのに、『影響を及ぼすことはありません』と言うのが根本的な問題だ」と苦言を呈しました。
「ご理解を深めていただいたものと考えている」。会議後、取材陣に囲まれた澤田部長は、長野県を担当していたときと同じような独りよがりな発言を繰り返しました。
一方、国土交通省時代に公共事業を手がけた難波副知事は「事前にリスクを徹底的に小さくして、利水者の皆さんや自然環境を考えている方々が、『それぐらいだったら、やってもいいんじゃないか』というところまでリスクを落とさないと、(トンネル本坑に先立って掘削する)先進坑にはいけないと思っている」と、前のめりなJR東海の姿勢にくぎを刺しました。

 

 

開校当初に植えられた樹齢100年近いクスノキを見上げる参加者。幹に空洞が広がっているため移植できないと診断され、移転に伴い運命を終える(11月10日撮影)

広い農場で大根を収穫する生徒たち。後方のコスモス畑では、市民が思い思いに花を摘んでいた。


vol.187 ボーダーレス社会をめざして vol.46

NPO法人オープンハウスCAN 理事長 伊藤佐代子

 

声なき声

「その“あざ”どうしたの?」「たたかれた」「誰に?」話を聞いていると、働いている所でたたかれたようです。これは、私が入浴介助の仕事に入っている時の話です。テレビで、障がい者施設で暴力を振るわれている映像が流されたことがあります。遠い所で起きている事ではありません。身近にある話なのです。
一方的に聞いただけで、何が真実かは定かではありませんが、さっそく相談支援センター(介護保険のケアマネージャーに相当する相談員)に電話をしました。私には通報義務がありますし、暴力を受けたその方を守るためだからです。その相談員の方は、次の日にその人が行っている事業所をアポなしで訪問してくれました。強気でいたその事業所の方が、“あざ”の事を話すとおとなしくなったとか?その後、行政にも報告をしたそうです。近い将来その事業所は行政処分を受けるだろうと思います。
言っても分からないからたたく???平成24年には「障害者虐待防止法」という法律ができてからの対応としては、信じられません。時代錯誤としか思えません。障がいのある人は虐待されていても、虐待だと認識できない場合があるので、自分から被害として訴えられないことがあります。その障害者虐待防止法は、虐待に気付いた人は、行政の担当窓口への通報義務を謳っています。早めの対応や支援が、虐待されている人の問題の解決につながるからです。虐待防止法は、虐待によって障がい者の権利や尊厳がおびやかされることを防ぐ法律です。虐待例としては、身体的虐待・・・障がい者の体に傷や痛みを負わせる暴行を加えること。また正当な理由なく身動きが取れない状態にすること。
・性的虐待・・・障がい者に無理やり(また同意と見せかけ)わいせつなことをしたり、させたりすること。
・心理的虐待・・・障がい者を侮辱したり拒絶したりするような言葉や態度で、精神的な苦痛を与えること。
・放棄・放任(ネグレクト)・・・食事や入浴、洗濯、排せつなどの世話や介助をほとんどせず、障がい者の心身を衰弱させること。
経済的虐待・・・本人の同意なしに障がい者の財産や年金、賃金を使うこと。また障がい者に理由なく金銭を与えないことなど、たくさんの虐待例があります。 あってはならないことですが、現実にはある虐待です。声なき声をいかにすくい取るか、周りにいる人の務めだと思います。


vol.187 半農半Xという生き方 vol.28

簡略版自分史のススメ
いつか自分史を書いてみたい。そう思われる方もいらっしゃるかと思います。生まれてから今日までの長い人生を1冊にまとめることはなかなか大変なことです。生まれてからを順に書く方法もありますし、励んできた仕事を中心にまとめることもできます。簡単にできる方法として、おすすめしたいのが、自分はどんなキーワードで成り立っているか、AからZまでの26のキーワードでまとめる手法です。
短歌が趣味ならT(歌のUでも可)、山登りが好きならY(登山のTでもOK)、写真を撮るのが好きならSとなります(カメラのCでもよい)。座右の銘や本、影響を受けた人の名前や大事な場所(故郷など)も加えてください。
見本があればつくりやすいのではということで、私塩見直紀の26のキーワードと、それぞれに130字で説明文をつけた簡単なミニブックをつくってみました。現在、私は52才。今までの人生がコンパクトにまとまっていて、自分のことが8~9割、表現できていると思っています。みなさまもぜひチャレンジください。おすすめのワークです。

 

「村の目標(バッタリ―村憲章)」(岩手県久慈市)
この村は与えられた(①   )を生かし、
この地に住むことに(②   )を持ち、
ひとり(③   )何かをつくり、
(④   )の後を追い求めず、
(⑤   )の生活文化を(⑥   )の中から創造し、
集落の(⑦   )と(⑧   )の精神で、
(⑨   )を高めようとする村である。

過疎、高齢化等でこれからどうしたものかと
考えると、心細くなっていきます。とても心細いので、言葉が必要になり、村人がいまから30年ほど前に考えられたものだそうです。その後、この集落は注目を集めるようになり、生きざまがかっこいいと、若者がたくさん訪れるようになりました。筆者が担当する福知山公立大学の授業でこのことばを紹介すると、学生は同じように感じてくれるのです。世の中、捨てたものではないなと思います。

※空欄の答え=① 自然立地 ② 誇り ③ 芸 ④ 都会
⑤ 独自 ⑥ 伝統 ⑦ 共同
⑧ 和 ⑨ 生活

 

塩見直紀(しおみなおき)半農半X研究所代表
1965年、京都府綾部市生まれ。20年前から「半農半X(エックス=天職)」コンセプトを提唱。半農半X本は翻訳されて、台湾、中国、韓国にもひろがる。著書に『半農半Xという生き方 実践編』など。

※半農半Xとは・・・半農は環境問題、半Xは天職問題(どう生きるか)を背景と する。持続可能な農のある小さな暮らしをベースに、天与の才を社会に活かす生き方、暮らし方。ex.半農半漁、半農半大工、半農半看護師、半農半カフェ、 半農半絵描き、半農半歌手、半農半鍼灸師、半農半カメラマンなどなど。


vol.187 菌ちゃん野菜応援団 vol.8

実りの秋

今年も畑はたくさんの命を生み出してくれました。
私たち畑のメンバーもお芋を掘ったり人参を間引きしたり。
そんな中でのひとこまをご紹介したいと思います。

我が家は段ボールコンポストをやっています。これは、食事で出た生ゴミが目の前で分解されていく様が見えるのでこどもの食育にもってこい。時々うちの息子も菌ちゃんたくさんだ。と言いながら混ぜてくれます。

ある時畑で数年繋いできた人参の間引きに連れていきました。
その時彼は幼稚園で袋から種を出して蒔いたことを覚えていたのでしょう。うちの畑も種を買えばいいのにといったんです。

私は買った種も良いけれど繋いだ種はその土地にとても合ってるから美味しいんだよ、野菜はみんな時期が来ると種を飛ばしてくれるから、それを大事にとっておくんだよ。と伝えました。
その時はピンと来なかった息子も畑で人参を抜き、種をつけたトマトやニラを見ておおいに納得。
「おかーさん、種があるね!これがまた来年芽を出すんだね!!」と大興奮。その後も野菜を見るたびにこれに種はある?種はどこにできるの?ときき、ミカンを食べて種を見つけると「これは捨てないで植えるんだよね?」と宝物を見つけたかのように報告してくれます。出た生ゴミはもちろんコンポスト。命が循環してお野菜の力になるとわかったんですね。

こんなに素敵な食育があるかしら、と私もそのたびに感動。
こうやって子どもは命の繋がりを体得して優しい子に育っていくのかもしれませんね。


vol.187 未来に続く暮しの学び vol.29

方向性の確認

山あり谷ありのPARADISE ONE での生活。数か月前から市役所と書類のやりとりでかなり繁雑な作業が続いています。何をするにも、申請、許可、申告書、企画書。もちろんルールに従ってやっていくことは、必要なこと。しかし、あまりの煩雑さに、自分たちのやりたいこと、共有したいこと<持続可能な暮らしプロジェクト>はここではできないのかと、あきらめかけていました。ただただ、書類の申請に振り回されている時間が長すぎて、自分たちのしたいことは許可が下りないのかもしれないと、不安になったり、どうしたらいいのか、悶々とした日々を過ごしていていたからです。
でも、これはきっと、自分たちのやり方を変える必要があるのではないかと頭を切り替えることにしました。不平不満を言葉にしても、何もプラスにはならない。誰もハッピーになれない。だとしたら、これはなにかの示唆・・・と考えや思いをチェンジしたのです。
市役所から言われることは、ルールに他ならない。どうしたらルールに基づき問題と思われる部分を解決できるか。ここの運営面でなにを変えるべきなのか、経済面も含めて立て直しを必要とされていたのかなと思います。同時に、自分たちが本当にやりたいこと、作りあげたいことは何なのかを、問いただすいい機会となりました。
メンテナンスなど経済的負担をビジネス意識を持ってまかなわなければという焦りに似た気持ち・・・集客して稼がなければという思いに駆られてスタッフ間もぎくしゃくしてきたのも事実です。しかし、自分たちの最初の熱い思いを忘れかけていたことに気づく機会にもなりました。自分たちが求める方向性に、常にポジティブに歩いていけるか。それを問われたようにも感じます。

持続可能な暮らしが私たちのテーマ、そしてその方法を模索していくこと。畑と食卓がリンクすること。生活をクリエイトし楽しむこと。それらを、かかわってくれる人たちと、どのように共有したらいいか。また、運営者として、どう発信したらいいか。基本に立ち返ることが出来たのは、市役所との折衝、書類の煩雑さというハードルの高さでした。ハードルは自分たちが作っていたのだとさえ思えるようになりました。
真に法をもって自分自身を正す。自分自身の生きようとする力を信じることが大事だと思いました。
まだ、課題は残っていますが、日々のここでの生活を感謝しつつ、リサーチを重ね企画を練って続けていこうと思います。 YAO


vol.187 プレゼントコーナー

PRESENTS 187号

1- あなたがイメージする
「2019年の自分の姿は?」
自分の将来をイメージすると夢にぐっと近づくとか。あなたの夢が叶いますように!
2- 気になるにらめっこ紙面での広告
3- 気に入った記事、気に入らない記事の
タイトル1つ・その理由もお書きください。
4- ご希望のプレゼント名
(第1希望・第2希望)
※BとDは編集室まで受け取りに来られる方。
5- 本紙をどこで入手されましたか?
6- 氏名、年齢、住所、郵便番号、電話番号、家族構成

プレゼントご希望の方は
ハガキまたはe-mailで、上記のアンケートを
1〜6までご記入の上、編集部・プレゼント係りまでお送りください。
〆切:1月25日 当日消印有効。

宛先
〒504-0855 各務原市蘇原新栄町2-25
e-mail: info@niramekko.com
※お寄せいただいた個人情報は、本紙プレゼントの発送に限り、 使用させていただきます。
※当選の発表は発送をもって代えさせていただきます。

A.ミックスベビーリーフ引換券
大堀研磨工業所様より…5名様

サラダはもちろん、ピザやパスタにトッピング、肉料理に添えたりと、いろいろ使えるベビーリーフ。栄養豊富なのもうれしいですね。40g入り2パックのプレゼントです。大堀研磨直売所(各務原市蘇原寺島町1-9)で商品をお受け取りください。

 

B.ゆりかごカレンダー 月暦

ゆりかご助産院様より…3名様

シンプルなデザイン、書き込みスペースもあり、機能的。でもこのプレゼントが毎年好評なのは、毎日の月の満ち欠け、満潮干潮の時刻、旧暦など、多彩な情報が載っているから。ゆりかご助産院さんのロゴもかわいいポイントになっています。

 

C.CINEX映画招待券

シネックス様より…ペア3組様

映画館で観るときの醍醐味のひとつは、大音量でサウンドを楽しめること。音楽がポイントの内容ならばなおのこと。サウンドのシャワーがあなたを別世界に誘います。写真は「アリー スター誕生」より。招待券は柳ヶ瀬のシネックスでご利用になれます。

D.ヤジロプレーンorヤジロコプター
にらめっこより…各2名様

わずかな風でもゆれ動くウッディなヤジロベエスタイルの置物。かわいい雰囲気で、お部屋に飾ればなんだかほっこり。どちらをご希望か明記してご応募してくださいね。(高さ29cm、横42cm)

 

 


vol.186 デンキの特集


台風の多かったこの夏。停電や断水になり不便な思いをされた方も多かったと思います。水、デンキ、ガスなどのライフラインが機能しなくなったとき、日ごろのあたりまえが、あたりまえでなくなります。前号では、日本ではあたりまえに供給されている「水」がテーマでした。今回は「デンキ」について考えてみたいと思います。

ライフライン (lifeline) とは、元は英語で「命綱」の意味。日本では主にエネルギー施設、水供給施設、交通施設、情報施設などを指して、生活に必須なインフラ設備を表す語。
現代社会においては、電気・ガス・水道等の公共公益設備や電話やインターネット等の通信設備、圏内外に各種物品を搬出入する運送や人の移動に用いる鉄道等の物流機関など、都市機能を維持し人々が日常生活を送る上で必須の諸設備のことを指す。


「あなたにとって 欠かせない家電は?」
回答が多い順に

1番目は「冷蔵庫」1,071件(25%)
2番目は「洗濯機」586件(14%)
3番目は「携帯電話/スマホ」463件(11%)
4番目は「テレビ」443件(10%)
5番目は「照明器具」367件(9%)でした。
次いでエアコン、電子レンジ、炊飯器、と続き、さらにドライヤーや、食洗機、タブレット端末のあとに、掃除機と続きます。
2014年8月20日~11月30日に実施しましたニッポンの産業技術50年第1弾「家電&のりものWebアンケートより

たとえば冷蔵庫を置かないと食生活はどうなる?
『電気代500円。贅沢な毎日』の著者・アズマカナコさんの場合、冷蔵庫や洗濯機などの家電製品を置かないのは、電気代を節約するためではない。「ただ好きだから」なのだそうです。
冷蔵庫がない。だから、まとめ買いはしない。肉や魚はすぐに食べきってしまい、野菜は近所の農家直売所で買っている。数日くらいなら常温で保存できるものしか買わない。余った食材は保存食にする。ぬか床があるので、たいていの野菜は漬け物にできる。
朝食は、野菜たっぷり具だくさんの味噌汁をつくって、あとはご飯と漬け物で済ませる。昼ごはんや弁当は、夜のおかずを温め直したものだ。アズマさんは「料理は適当にする」という方針。テキトーといっても、レトルト食品や冷凍食品を食卓に並べるわけではありません。あらかじめ作っておいた佃煮や干物やビン詰めなどの保存食を活用する。これは「手抜き」とは言わず「段取りが良い」といいます。
玉子は常温でも1~2週間くらいは保存できる(生食もできる)が、アズマさんは玉子を買わない。そのかわり烏骨鶏(ウコッケイ)を自宅で飼っている。薬効や栄養価が高いといわれている高級種だが、じつは畜産試験場に行けば「ひな」を500円程度で購入することができる(東京都の場合)。 雑食なのでエサは何でも良い。1kg100円のクズ米や野菜クズでよく育つらしい。大きな声で鳴くのはオスだけであり、玉子を産んでくれるメスは静かなので住宅地でも無理なく育てることができるという。

洗濯機がない!脱水もできない・・・
基本、コインランドリーは使わない。まず洗濯は、ぬるま湯を「たらい」にためて、せっけんを溶かして洗う。洗濯板は「しつこい汚れ」を落とすときに使うものであり、たいていは押したりもんだり踏んだりすればアカや汗はキレイになるし、風呂の残り湯をつかうので冬でも手が冷たくない。ちなみに、バスタオルは使わずに小さいタオルで代用している。『必要十分生活』という本でも紹介されているライフハック※であり、洗濯機のある家庭でも有効です。
問題は脱水です。雑巾を絞る感覚でぎゅーっと絞って完了。ワイシャツや生地の厚い服なんかは干すときに結構水が垂れてきますが気にしないことに。
※ライフハック:ライフ(人生)、ハック(術)効率良く仕事をこなし、
高い生産性を上げ、人生の クオリティを高めるための工夫。


掃除機もない。
掃除をこまめに心がければ、ホウキとチリトリと雑巾で不自由ありません。

火鉢を使うのは難しくない?
エアコンもヒーターもない。しかし、火鉢(ひばち)がある。火がついた木炭で暖をとる。いまや時代劇ドラマでしか見かけない、日本古来の暖房方法です。
「スキマ時間のなるほど!メディア」より

「炭のこたつや火鉢、あんかに炭を入れて暖をとるんです。中でも、火鉢は手軽に使えて便利です。使い方は簡単。中に燃やした炭を入れて、手などの冷えるところを部分的に暖めます。炭はガスコンロで火をつけることができ、1回火がつけば、それをつないで一日中使うこともできます。夜は灰に埋めておけば火は消えません。朝になって灰をどかせば、またすぐに使うことができる。慣れると、毎回火をおこさなくても、ずっとつないでいくこともできます。」 (『電気代500円。贅沢な毎日』から引用)

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ちなみに、にらめっこの三上はエアコン、テレビ、電子レンジ、こたつ、ファンヒーター、オーブントースターを手放しました。契約アンペアも20Aのまま。以前は、よくブレーカーが落ちて家の中が真っ暗になることも。子どもたちは学習したのか、「今から○○使うから、◇◇は消して」とか声かけをするように。家電をいくつか手放したおかげで、今ではそれもなくなりました。
今年の異常な暑さの中、「暑さ対策はどうしてたの?」とよく聞かれます。とくに熱帯夜。寝苦しい夜は窓を全開して扇風機を弱にセット。部屋の空気をかき混ぜるようにすると、問題なく熟睡です。これから冬。暖は石油ストーブ、たまに囲炉裏で炭火を楽しむことも。人間の体って不思議ですよ、ちゃんの環境に順応しますから。節約モードではなくガマンでもない、なんか楽しいから続けてるって感じです。持続可能なことを考えると、消費は出来るだけ押さえたほうがいい。自分が出来ることをやってみる、そんな気持ちです。

 


やってみよう!どうせやるならたのしくね〜!創意工夫(*^^)v

煮込まない「煮込み料理」でおいしく節電しよう!
体が温まる料理として思い浮かぶのは煮込み料理ではないでしょうか。カレー、シチュー、おでん、スープといった汁気が多く暖かいものは、冬場にうれしいですね。
こうした料理は長時間コトコト煮込んでこそというイメージがありますが、「保温調理」をすれば小さな労力と少しのエネルギーで簡単に作ることができます。保温調理とは、1度暖めた鍋をできるだけ長時間保温することで、とろ火で煮込んでいるような状態を作り出す方法。鍋が沸騰してから10分程度で加熱を止めてしまうため、調理にかかりきりになる時間が少ない。保温調理用の鍋を使うのが最も手軽な方法ですが、土鍋など厚くて冷めづらい鍋を、バスタオルや毛布でくるむという方法でも十分代用できます。
例えば、おでんを作る時は前の晩に1度火を入れ、沸騰させたものを新聞紙で包んだ後バスタオルや毛布で多重にくるみ、コタツの中にでも入れておく。コタツの電気を入れる必要はなく、要するに熱がこもる場所に入れておけばよいのです。朝、もう1度沸騰させてから保温し直せば、夜にはじっくり煮込んだおでんが出来上がる。カレーやシチューならば、ルーを入れる前段階で保温調理し、最後に暖めなおす時にルーを入れるとよいでしょう。
この調理方法だと具材が煮立てられて踊ることがないため、じゃがいもなどの煮崩れ防止にも役立ちます。形を残して調理したい時にもオススメ。逆に、煮崩れて渾然一体となったものが好みなら、最初から具材の一部をすり下ろして入れてしまえば、同じような状態にできます。
また、保温調理は味がよくしみるのも特徴です。実は、味は冷える時にしみます。しかもゆっくり冷やすとさらにグッド。大根の煮物などは長時間煮込んでも芯の辺りが白かったりしますが、「沸騰させて冷やす」を繰り返すと簡単かつ全体に味がしみます。普通の鍋でも、「しばらく煮立ててから火を止め、自然に冷えたらまた火を入れる」を繰り返すと簡単です。汁気の少ない煮物などでも試せる方法だから、ぜひ試してみて!
何より前日の晩や朝にちょっと手をかけるだけで、仕事中がまるごと調理時間になる。忙しくて簡単な料理ばかりという人でも、うまく保温調理を使いこなせば手が込んだように見える料理が楽しめるのがうれしい。しかも、暖かいものを食べれば体が自然に温まって、暖房も控えめにできてしまうから一石二鳥。節電・節約だからと我慢せず、手間をかけずにおいしいものが食べられる機会を楽しみましょう。

意外と電力を食うテレビ! 消して新しい趣味を見つけよう
わたしたちが思っているより節電効果があるものは?それはテレビなんです。テレビはエアコンのように、安定稼働の状態に入ったら消費電力が減るというものではないですが、長時間つけっぱなしにされることの多い家電です。特に見たい番組があるわけではなく、食事時などにBGM代わりにつけていたり、時刻を知るためにつけていたり・・・
でもね、テレビの消費電力はなかなかあなどれないんです。プラズマテレビよりは液晶テレビのほうが省電力であるものの、最新の省エネモデルでも32V型で60W程度。一般的なモデルならば100Wは消費してしまうそうです。もちろん大型化すれば消費電力も増えて、60Vクラスになると省エネモデルでも200W以上!!プラズマテレビだともっと跳ね上がり、42V型で300W以上も使う。そして、古いモデルだとさらに消費電力は増え、なかには500Wというプラズマテレビの旧型もあるようです。何となくつけておくには、あまりにももったいないですよね。
そこで提案したいのが、ラジオの積極利用とテレビのスイッチを入れる前に番組表を確認する習慣です。ラジオは音だけで伝えるメディアだけに、番組内容は「聞いてわかる」ようにできているから、ニュースや交通情報などもわかりやすい。しかも、消費電力は昔のラジカセ的なものでも10W程度。テレビを見なくなった分は、本を読むもよし、絵を描いたりプラモデルを作ったりと別の遊びをするもよし。あなたなら何をする?

冬の節電に備えて湯たんぽ&捨てないカイロ
いま注目を浴びているのが「湯たんぽ」。空気を暖める防寒グッズよりも肌が乾燥せず、頭の辺りだけが暖かくてボーっとしてしまうこともありません。
椅子に座って使うなら、小さなものを腹部にかかえるようにしたり、背もたれとの間に置いて腰を温めたりするといいですね。また、最近では足下を暖めることに特化して、床に置いた湯たんぽに足カバーが取り付けられた製品もあります。床置きにする時は、湯たんぽの下に薄い座布団のようなものを置くと暖かさが長持ちします。冷えは大敵ですからね。まずは足下から温めることをおすすめします。
さらに、大きめの膝掛けで足下から腰辺りまで覆えば、ちょっとしたコタツのようになって快適。今は内部にアルミ層などを入れて反射熱で暖める膝掛けや、巻きスカートのように腰にまきつけてたち歩けるものもあります。オフィスのひざかけといえば女性が使うものというイメージがあるが、この機会にぜひ男性も使ってみてほしいなぁ。
屋外で暖を取る時は「ハクキンカイロ」が頼りになります。本家ハクキンカイロはベンジンをゆっくりと中で燃やして金属ボディが温まるという仕組み。近年はライターで有名なZIPPOブランドのOEMモデル「ZIPPO ハンディウォーマー」もあり、こちらはZIPPOのオイルを入れて利用します。コンビニでも売っているオイルが使えるから手軽だし、たっぷりオイルを入れれば24時間は暖かく、ゴミも出ないというのがいいですね。金属ボディだけに火傷に注意は必要ですが、カバーをきちんと使っていれば心配ありません。

防寒の基本は分厚い服を1枚着るのではなく、薄い服の重ね着。吸汗性の高い肌着も使って暖まり過ぎて汗をかいた時の冷えも防ぐことが大切です。さらにレッグウォーマーで足首を、リストバンドで手首を温めるのも効果的。「今年は節電がんばらないと!」と思うのではなく、おしゃれな防寒グッズを早めにチェックしてみては?


デンキのない生活7年目山田 征
私は2012年10月3日朝、東京電力の人達によって電気を切られてしまいました。それ以来もうすぐ丸7年の間、全く電気を使えない生活をしています。
その理由は、その同じ年の4月から日本中のすべての電気利用者から徴収され始まった、固定価格買取制度、「太陽光発電促進付加金」というものを不払いしたことによります。
なぜ不払いしたかは紙面の余裕がありませんので、その後の電気無し生活について書きます。
よくきかれるのが、「何が一番困りますか?」という質問です。私は迷うことなく「照明です」、と答えます。電気の代わりの照明はローソクと懐中電灯、それから外の電柱についている外灯です。
懐中電灯は玄関とお勝手のまな板の上にぶら下げ、スポットライト状で使っています。これらを使い始めて気付いたのは、懐中電灯は向けた先だけ明るくて手前は暗いままです。でも探し物には無くてはなりません。ローソクはどんなに小さくてもその空間全体を照らしてくれます。食事の時や、寝室ではほとんどローソクだけです。ローソクは洋と和ローソクの二種類あってそれぞれ使い勝手がちがいます。
次にきかれるのが冷蔵庫や冷暖房についてです。冷蔵庫は気温が低い時は必要ありませんが、高くなってくる頃は保冷剤を入れたクーラーボックスを利用しています。保冷剤は一日一回娘の家で凍らした物と交換しています。
私の処はもともとエアコンも扇風機もありませんでしたので前と同じで、有りったけの窓を全開して風を入れています。それでも暑い時は、タオルをぬらして頭に乗せています。車もエアコン無しですから同じです。いまの家屋はまるで箱のように窓が小さいので大変だろうと思います。
暖房はもともと電気と関係無い灯油ストーブです。上で湯を沸かしたり煮物も出来ます。
そして電話です。私の家のは白ですが、一般的に「黒デンワ」といっているダイヤル式のものですから前と同じです。でも電気が無いと通じない、と思っている人が多く、電気無しになってからは掛かってくる量がガタンと減りました。
それからトイレですが、これも前から電気と関係無しのものです。炊飯器も同じです。昔から土鍋で炊いていました。
洗濯機ですが、小さい物は手洗です。大きい物は溜めておいて時々よそで洗濯機を使わせてもらいます。あとお風呂でしょうか。あいにく電気が無いと使えませんので、夏場は行水です。年をとってくると、そんなに汚れもしませんので、ひんぱんに出掛ける旅先で入ります。
それから私はパソコンも携帯電話もありませんので、それも困りません。
近年巻き起こっている、特に今回北海道全体での大停電。いったい何が起きたのかぜひ詳しく知りたい思いです。

やむを得ず電気を使わなくなってから丸7年、そういう生活の中で気付いたこと、見えてきたこと、考えたことほんとに沢山沢山あります。何はともあれ、他の動植物とちがって、人間は電気を使い過ぎています。その結果、必然的に滅びの道を歩んでいるのでは、と思います。

山田 征(やまだ せい)
1938年東京生まれ。6才より九州宮崎で育つ。24歳で結婚、以降は東京都武蔵野市在住。4人の娘たちの子育てと共に、農業と直接関わりながら共同購入グループ「かかしの会」を約20年主宰し、地元の学校給食に有機農産物他食材全般を約17年にわたり搬入。仲間と共にレストラン「みたか・たべもの村」をつくる。並行して反原発運動、沖縄県石垣島白保の空港問題他、さまざまな活動を経る。


『ご存知ですか?自然エネルギーのホントのこと』

山田 征:著
自費出版1200円+送料200円
自然エネルギーの裏に潜む深刻な問題にどれほどの人が気付いているでしょう。硫黄と反応すると危険物質に変化するとされるソーラーパネルに多く含まれる「鉛」と「銅」。大規模に自然を破壊し、そこに作られた風車やソーラーパネルは十数年後には粗大ゴミに。風力発電の風車は電気を使わなければ回らない…。脱原発の切り札とはならない自然エネルギー。発電設備の諸問題について分かりやすく書かれています。
※この本をご希望の方は、にらめっこに在庫あります。

 

 

これからの暮らしを「降りてゆく生き方」から考える
2009年に公開された映画「降りてゆく生き方」。それから9年。日本は、世界はどうかわってきたか。「デンキ」は私たちの生活を激変させました。「便利」を追求したその先には何が潜んでいるのか・・・私たちは改めてじっくり考える必要があります。生き方で暮らしは変わるし、暮らし方で環境は変わると思うから。

「人と出会うこと、それが映画作りの出発点でした」と言う監督の森田さんは、5年かけて日本全国を旅して200人の人々にインタビュー。作品中の台詞には、実際に出会った人々から発せられた言葉が多く使われているという。東京生まれ東京育ちの彼が、過疎地域、限界集落の地域で町づくりに奔走している人々から与えられた影響は計り知れない。その気づきが見る者の魂にずんと伝わってくる。
以下は、監督からのメッセージ(全文は129号に3ページにわたり掲載した文章)をコンパクトにまとめたものです。

「降りてゆく生き方」
戦後、世界中の人々は、科学の進歩こそ人類の明るい未来があると考えていた。そのハイライトは、世界中が熱狂した米国のアポロ計画による月面着陸だろう。当時の人々は「人類は月にも行くことができる!科学技術は、どんな問題も解決できる」と。まさに「昇っていく時代」の象徴といえる。

かつて人間は、他のあらゆる生物(熊、ジャガー、猿、鮭、森の木々など)と、対照的・同列的な存在であり、敬い、畏怖していた。しかし、人類は生物圏から分化し人間圏を生み出した。そのころ、地球が寒冷化して狩猟採集による生活維持がままならなくなったため「農耕牧畜」に舵を切る。そうして人間は、地球上のエネルギーや物質の流れに影響を与える存在になった。だが、しばらくの間は、その影響はさほど大きくはなかった。これが劇的に変化するのは、17世紀に世界を襲った寒冷期による食物の不作がきっかけで18世紀に始まった「産業革命」以降。地球が冷えるとき、人間圏は変化している。産業革命により、人間の生産量は飛躍的に伸び、史上初めて、余剰生産物が発生する・・・。ここから、余剰生産物の流通が始まり、「貨幣経済」が本格化していく。資本主義の萌芽である。

人間は産業革命によって、石炭・石油といった「駆動力」を持つことで地球に与える影響力は飛躍的に大きくなった。産業革命は、人間と地球との関係を一変させ、貨幣経済を発展させるきっかけともなった。資本主義の発展は、それまで生きることが精いっぱいだった人間が、抑圧していた「欲望」を解放する。そして「欲望」は「所有欲」「消費欲」へと向かっていった。さらに「貨幣制度」が人間の「欲望の解放」をさらに促した。「貨幣」の価値がぐんと上がることになり「マネー」は「手段」から「目的」へと変化し、資本主義がめざましい発展を遂げた。

一方で、科学や技術の発展は、人口増加を招く。日本では江戸時代に3000万人だった人口が、今はその4倍以上。近代の主役である国民国家は、いわば「領土」や「国民」を「所有」する存在となる。国民国家の台頭により、「領土は国家が所有するもの」となった。これが「地球は人類が所有するもの」という現代の人間の考え方の出発点といってよい。

日本では、明治以降、官僚が国家の経済をリードするようになる。日本は、第二次大戦で敗北した。しかしその反動か、敬愛的・物質的豊かさこそが幸福であると国民の誰もが信じ「右肩上がりの経済成長神話」を共有し、一体となって働いた。戦後の新憲法は、「福祉国家」を謳い、国民は「いざとなれば国や行政が何とかしてくれる」という幻想を抱くようになる。しかし、官僚主導の護送船団方式は、バブル崩壊によってもろくも崩れ「安定的なシステム」であった日本というものが終わりを告げた。

地球において人間圏が膨張する中、地球温暖化や環境汚染や食糧問題が発生している。中国など新興国の工業化により、食料が今後確実に不足してくると言われている。食料と水は、人間が生きていく基礎をなす。

これまで日本人は、「物質的に豊になれば幸福になれる」という、カネやモノをより多く得ることを欲求の対象として生きてきた。これは、「足していく」ことに価値を見いだす「足し算の生き方」といえる。しかし、多く持ちすぎることで、何が大切か分からなくなっている。これからは何を得るかではなく、何を手放すか。いらないもの、無駄なものをどんどんと「引いていき」、本当に大事なモノを見すえるという「引き算の生き方」こそが、現代の日本人にとって大事である。われわれは今、経済成長がピークを迎えて下り坂となる「降りてゆく」時代に生きているのである。

かつての人間は、森には神の力が宿っていると畏敬の念を抱いていた。それによって、森は開発から逃れ、生命を育む力を持ち続けていた。だから日本人は、長らく森を大切にしていたのである。自然との一体感のある農耕漁労生活こそ、日本人が立ち戻るべき生き方であり、奥山や、棚田をはじめとする、里山を再生していくことが、私たちの急務ではないだろうか。森を造ることは、人間と自然の一体性を体感させ、取り戻させてくれる。

「生きていく喜び」を感じるような生き方をしたい。そのために、「自然」や「動物」や「人間」と一体化するための「祭り」というものの意義をもう一度、縄文人や先住民たちに学びたい。そのスピリットを再現した現代の「祭」を創り上げ、自他が一体となる「場」を創造することが大切である。それには「夢」を語ること。他者の情動を引き起こし、新しいイメージを生み出す。そうやって、夢が共有され、刺激し合って、大きな夢をつくっていくことが大事なのだ。そうすることで、人々はつながり、新しい「コミュニティー」が生まれるのではないだろうか。その「新しいコミュニティー」の第一関心事はこれまでのように「お金」ではなく、「生命の躍動感」になっていくだろう。

イラスト・にらめっこ147号表紙 ライフデザインノート「ゼロの昇天」の表紙にも使わせていただいたお気に入りのイラスト。
映画「降りてゆく生き方」のイメージにもピッタリ!。


vol.186 カタコトの部屋 お塩のはなし


お塩のお話会【好塩快】
講師/ご塩社 社長 笹谷達朗さん
8月下旬、古民家再生工房(羽島市)参加者:学生~お母さん15人

 

 


「どんなお塩を選んだらいいですか?」
「岩塩」がとれる欧米は、岩塩に含まれたミネラルを多く含んだ硬水が土壌にもいきわたり、ミネラル豊富な土壌となっています。その土壌で育った植物にはミネラルが豊富に含まれ、その植物を食べた草食動物(家畜の肉)にも当然、ミネラルが多く含まれています。
日本の水はミネラル分が少ない軟水です。土壌も火成岩で、育つ植物はそれなりのミネラルしか含みません。だから、日本人は昔からミネラルの宝庫である海からの「海塩」を摂り続けてきました。
塩という物質は、身体に入って、直接、細胞に作用するモノですから、お塩の製造方法・工程が大切で重要なポイントとなります。海には多くのミネラルが溶け込んでいます。しかし、旧日本専売公社が販売していた「食塩」は、イオン交換膜法でつくった塩化ナトリウムが99%以上の過精製イオン塩。海水に含まれているミネラル等を取り除いた「ミネラル欠乏塩」なのです。どの塩が身体に良いか、それはご自身で試してみて実感するのが一番確かですね。


「健康のために減塩、とよく聞きますが?」
健康の第一条件は、血液の塩分濃度を0.9%にすることです。自分の血液が塩分濃度0.9%かどうかは体が判断してくれます。塩っけが足りていると塩がいらなくなる。舌が判断するので私は「ベロメーター」とよんでいます。実際に塩をなめてみてください。何十グラムもなめられないはず、もういらない!となります。または、いつもより塩辛い味付けの料理を続けてみてください。だんだんと塩辛い料理を受け付けなくなります。もしも塩分を取り過ぎても吐くだけ。吐くことは悪いことではなくて、もう十分であることの知らせです。塩の摂取量は頭で考えなくても体が知っているんです。
腎臓では1日に200リットルの体液、血液を濾過しているそうです。塩に換算すると25kg相当を濾過し、そこからまた99%の塩を再吸収します。その時に、減塩で塩分濃度が低いと、腎臓は濾過処理の回数を増やさなければ必要な塩分を吸収できません。結果、腎臓をこき使い過ぎ、腎臓に負担がかかります。腎臓が弱まり機能しなくなると様々な病気に繋がります。

笹谷 達朗さん

おねしょの予防は、水分を摂りすぎているなら夕飯をいつもより塩辛くしてみたらどうでしょう。塩分を排出するために尿が出るので、眠る前に不要な水分を出し切れるかな?
※精製塩では逆効果です

漬物や梅干しは使う塩によって、ずいぶん味が変わります。漬物に精製塩を使うと、塩そのものにミネラルの成分が少ないため、素材のミネラル分が漬汁のほうに溶け出てしまいます。そのため、風味はよくありません。天日海塩で漬けると、塩のミネラル成分を摂れるだけでなく、味もよくなります。

女性は子宮の上に腸があり、水分や砂糖の摂りすぎると腸が冷え、下にある子宮まで冷えてしまいます。塩を摂ることで水分が抜け、冷えを予防できます。塩分濃度が0.9%に近づくと、水分が出て体温が上がるんです。

 

 

 


●日本には昔からお塩を大切にしてきた文化があり、『いい塩梅』『手塩にかける』など塩から生まれた言葉も沢山あったことを知りました。昔ながらの日本の風土や暮らしが、健康のキーワードだと聞いて、納得しました!(Rさん)
●減塩をすることが必ずしも良いということではないんだと知り、塩分摂取について改めて考えさせられる良い機会になりました。(Mさん)
●妊活中の体質改善にも塩にかなり助けられたので、塩にはすごく興味ありました。塩などからミネラルを摂って、”出せる体、循環のいい体”に戻していくこと、コレ、ホント大事だなーと感じました。(Cさん)
●おねしょの予防法や、子宮を冷やさない方法がお塩を使ってできるとは、目からうろこでした!すぐ実践して、体の声を聞いてみたいです。(Aさん)
●自分の体にコンプレックスがあったけど、笹谷社長とお話していたら、そのままの自分をまるっと認めてOK、大丈夫、むしろこのままの方がいい、と包まれたような気持ちになりました。楽しく健康になれそうです。(Sさん)

 

 

この車で全国をまわってます

笹谷 達朗さんプロフィール
北海道夕張市出身 。大学を出て食肉の日本一の会社で輸入実務を担当、畜産業界がどういう業界かを知る。25年ほど前に、お塩の大切さとお塩の裏事情を知り、生業とし、塩屋になる。2006年、夕張市の財政破綻が、きっかけで、夕張市にご塩社を移す。夕張で政治を勉強。2011年大震災をきっかけに、「お塩の大切さを伝える」塩屋となる。2014年より、軽トラックで、「全国塩脚」をして、お塩のお話を700回以上こなす。

 

子育てコミュニティ toco toco
子育て世代のやってみたい、知りたい、学びたいことを、自ら企画・運営。誰かが講師、受講者という立場のない、一人一人が活躍する「学び合い会」を中心に、顔と顔を合わせて集う良さを生かした活動を展開中。
問い合わせ:facebook「子育てコミュニティtoco toco」


vol.186 ここいく日記 自分を守る

自分を守る
私が「ここいく」の仲間となり授業に参加するようになり6ヶ月たちます。授業では、まだ伝えることに必死ですが、「ここいく」のメンバーは、まずはきよちゃん(私のことです)が楽しんで!と言ってくれます。そして、毎回子どもたちからたくさんのパワーをもらうこともできます。それが幸せな時間につながるのかなと思っています。
それまで、頑張らなきゃ認めてもらえない!と突っ走ってきた私に、「ここいく」の仲間は、無理をしなくていいんだよ、ありのままでいいよ、と温かく受け容れてくれました。優しい気持ちをたくさんもらうと、自分も優しい気持ちになれます。そうすると、自分のことも、みんなのことも大切にしたいな・・・と思えるようになりました。
そんな思いもあり、授業では「自分を大切にすることは自分を守ること」を大切に伝えています。

自分を守るためには、まず自分の体を知る、相手(異性)の体を知ることが大切です。授業では、男の子・女の子の体の仕組みや成長について、絵や模型を使ったり、または劇や紙芝居などで表現します。
感動体験が心を動かし、子どもたちはちょっとずつ声を出して応えだし、テンションも上がり、楽しい雰囲気になります。
小学生の高学年では精通や初潮について、いのちのもとを作ることができる大人の体になることの素晴らしさ、個人差があること、どう対応したらよいか、どんな注意がいるのかについてもお話しています。また、悩んでいても、なかなか人に聞きにくい勃起や生理痛などの話もします。体の仕組みを知ることで、感想文の中には、「自分は異常ではなかったんだ」、「誰でも起こるかもしれないんだ」、「個人差が大きいんだ」との意見も聞かれ、ちょっとホッとした気持ちが伝わってきます。知ることで、自分の体の成長を嬉しく思うことにつながってほしいな・・・と思っています。そして、お互いの体を知ることは、からかったり、不用意に指摘することも避けることができ、相手を思いやる心が生まれます。このように、自分の体、相手の体のことを知ることは自分と相手を尊重し、自分も相手も守ることの第一歩であると思っています。
子どもが狙われる性犯罪が多い中で、『プライベートゾーン』のお話をしています。プライベートゾーンとは「他人に見せたり触らせたりしてはいけない体の部位。自分だけの体の場所」なので、自分の体、プライベートゾーンは大切に守るべき場所であることを伝えます。
たとえお友だち同士であっても、そこに性的な意味がなくてもプライベートゾーンは触らせない、触ってはいけない場所だと話すことで、それが自分でも守るべき場所であることを自覚することにつながります。また、プライベートゾーンが大切な場所と知らせることに合わせて、きれいに保つ場所なんだということもお話をしています。
「もし、誰かが、プライベートゾーンを見せてって言ったり、見てって言ってきたらどうする?」と問いかけると、逃げる!助ってっていう!お母さんやお父さんに言う!と、大きな声で答えてくれる子どもたち。もし、思いつかなくても、お友だちの意見を聞くことで子どもたちはどうしたらよいかを学んでいます。自分を大切にするために、小さな勇気を持てるようになってほしいなと思っています。
プライベートゾーンについて、小さい頃は「大切な場所だよ」と伝えることで十分ですが、成長と共に望まない妊娠を避けること、性感染症の予防にもつながること、結果的に自分も相手も守ることを伝えます。
自分を守るための性教育だけではなく、幸せに生きるための性教育を届けています。

担当:ここいくメンバー・安田紀代子でした。
ここいく☎090-3446-8061(中村)


vol.186 リバース 第16号

 ヤマセミはブッポウソウ目カワセミ科に分類される山地の渓流に生息するカワセミの仲間。動物写真家には一度は狙いたい被写体である。人の気配は2〜300メートルで察知され撮影には難儀をする。20数年前は岐南町の造園会社に勤めていた。板取からは往復100キロの道程を16 年間通勤したお陰でヤマセミにも出会えた。というのは、今はなくなったが板取と洞戸境近辺に吊り橋があり一羽のヤマセミが居たのだ。吊り橋の太いワイヤーがいつもの場所の様だ。下は透明度が良い板取川が流れる。チャンス到来!毛布に穴を開けカモフラージュして橋の橋台に身をかがめ早朝何度も狙った覚えがある。
6月頃のある日、今度はなんと2羽のヤマセミ!解像度はイマイチのミラーレンズだが、くちばしが黄色の巣立ちから間がない幼鳥だと確認できた。レンズ越しには寂しそうに見えた。切り立った土の崖に横穴を開け巣を作る。近年セメントが吹き付けられ巣作り環境が狭められているのが心配だ。   撮影・文:長屋 泰郎

松岡さんは、劇団はぐるまの元団員。劇団員の時は自分の声に劣等感を抱いていたとか。柔らかくて耳にここちいい声が、実は自分のやりたい役にはそぐわなかった。その声ゆえに「娘役が多くて・・・本当はね、荒くれだったおばあさんの役とか、土臭い人物を演じたかったの」と笑う。その笑顔がまた魅力的な頼詩子さんは詩人の顔もあわせもつ。

取材には松岡さんが所属する、朗読グループ「あきの会」のメンバー、高橋明子さん、外山澤子さん、堀口博子さんの3人と講師の浅井彰子さんが駆けつけてくださった。みなさん長いお付き合いの仲間たちで「講師の浅井彰子さんの指導力とその人柄に惚れ込んで」、と口をそろえる。本紙3周年でお世話になった実践童話の会の浅野彬さんの志を次いで全国大会にも参加された高橋さん、コボたちの詩集を編んで44年という外山さん、お孫さんの世話にかかりっきりでも、そのおかげで自分の世界が広がったとおっしゃる堀口さん。それぞれの人生を「朗読」を通じて共有しているよう。さっそく、朗読の練習風景を見学させていただいた。
まず発声練習。「明るい声で、口角をあげてにこっとね、はいどうぞ!」の合図で始まっったのは、浅井さんのオリジナル「笑み声体操」。ウォーミングアップしてから、作品を朗読。

「川の声」
「伊自良川の石にすわると」
いろんな音が降ってくる・・・
みんなの顔が程よく緊張し声にもハリが出る。目を閉じて聴いてみる。水の音、鳥の鳴き声、木々のざわめき、などが折り重なるように川の情景として浮かんできた。何やら美しい旋律の音も聴こえてくるようだった。
「自然界の音は、いろんなタイミングできこえてきたり、降ってきたりします。そこには規則性なんてないわけだから、みんなが口々に言っていくことが、ここは詩的かなって思う。」と、浅井さん。次は「さそりざのおんな」。そして「ふしぎなビー玉の世界」と続く。どの作品も、コボたち詩コンクールの入賞作品だ。声の抑揚や声色でいろんな情景が浮かぶ。
 こんなに楽しそうな練習風景に身を置いていると、つい声を出したくなる。だけど腹から声を出す、というものの素人ではなかなか難しい。すると松岡さんは、「孫たちを怒鳴っていれば、声は出ますので。」(笑)ユーモアたっぷりでその場が和む。
「松岡さんの声は、文学に対する愛情そのもの、本当に暖かくてやさしいの。お人柄そのものが現れている。」と3人が口を揃える。すると、「わたしなんか、お腹は出てるけど、声は出ないんだよ」(一同笑)突っ込みが入る。なんとも楽しい雰囲気で笑いが絶えない。
「実践童話の会の浅野彬先生(故人)の話術は、本当に素晴らしくてなかなか真似は出来ないです。いつだったか先生のお宅におじゃました時に先生の本棚を見せていただいたんです。落語とか、私たちが普段手に取らないような本がね、いっぱいあったの。こういうところからヒントを得て、先生は実践されているんだなって感心して帰って来たんです。」という松岡さんたちは図書館でも朗読をしている。そこではゼロ歳の子もお母さんに抱っこされて聞く。最初は「えーっ!ゼロ歳に絵本を読める?」という危惧感があったが、お母さんが一生懸命に聞いてくれて、赤ちゃんも絵を見ながらジッと聞いてることに驚いた。朗読をしている喜びは、そういうシーンをみられることなのだろう。反対に朗読のむずかしさも痛感している。常に、どんなふうに読むか、そのための練習は欠かせない。
「自分が、そのものごとをどうとらえているか、というのが声に出ます。その本の人物とかものごとと、自分との距離感も声に出るので、ほどよい距離感を持って朗読することが大事。」と講師の浅井さんの言葉を常に意識しながら取り組んでいる。
「『あきの会』の名は、講師の彰子さんからつけさせてもらったの。平和のつどいの群読で知り合って、あこがれちゃってね」とお茶目に笑う松岡さんは永遠の娘役が似合いそう。会は発足して今年で10年目となる。現在会員は11名。今年7月には「『はじめまして』のおはなし会」で浅井さんと共に朗読を楽しむ6グループの発表会が、みんなの森 ぎふメディアコスモスでおこなわれ、『蜘蛛の糸』(芥川龍之介)「サーカス」(中原中也)を朗読した。
松岡さんは今後も練習を積み、朗読の場を重ねていく。作品とほどよい距離感を持って楽しみながら・・・


vol.186 ボーダーレス社会をめざして vol.45

お金
障がいのある人たちは、社会でどのように暮らしているのでしょうか?小学校・中学校・高等学校は一般の方と同じです。が、人によって普通学級・特別支援学級・特別支援学校と学ぶ場所が違ってきます。その後社会に出る時には、一般就労・福祉就労の2つに別れます。一般就労とは企業や公的機関などに就職して、労働契約を結んで働くことです。一方、福祉就労とは、一般就労のような働き方が難しい方で、福祉サービス事業所等で働く形態をいいます。社会に出てから暮らしていくためには、お金が必要となります。障がいのある方たちがどのような状況に置かれているのかご存知でしょうか?障がいのある方は、収入がとても少ないのです。福祉就労している障がい者の収入源としては、福祉サービス事業所の給料と障害基礎年金があります。

平成28年度の福祉サービス事業所の工賃(なぜか給料の事を工賃と言います)の全国平均は、ひと月あたりA型事業所が70,720円、B型事業所が15,295円です(厚労省ホームページより)。A型事業所は、利用者と雇用契約を結んでいて最低賃金が出ます。B型事業所は比較的軽作業が多く、ひと月3,000円の事業所もあります。私の知り合いに障がい者の収入の話をしていた時に、「一日3,000円なの?」「いいえ、ひと月で3,000円なんですよ」とお話したことがあります。一般の方の想像をはるかにこえた金額なのです。それで今は賃金アップの対策が取られています。一般就労は、最低賃金以上支払われているのが普通ですが、最低賃金適用除外という制度があります。最低賃金を一律に適用してしまうと、逆に雇用の機会が狭まってしまうケースなど一般労働者よりも著しく労働能力が低い場合は、都道府県労働局長が認めたら、最低賃金以下になります。息子は最初の会社は、1時間250円くらいでした。最低賃金適用除外の申請が出されていたようです?幸いにも、現在の息子の会社は、理解ある良い会社で息子が幸せだなと思います。また、障害基礎年金と言うものがあり、ひと月1級81,177円、2級64,941円という年金が頂けます。これは自己申請なので申請しない限りはいただけません。一人で暮らしていくために必要な金額は、平均で163,665円(総務省単身世帯データより)というデータがあり、事業所の収入と障害基礎年金を合わせても地域で暮らしていくのには、たくさんのお金が不足になります。さて、どうすればいいのか?考えなくてはいけません。大きな大きな課題です。


vol.186 えんぴつ・カフェ

えんぴつ・カフェスペシャル第2弾
「成年後見制度ってなぁに?」
9月20日(木) 各務原市産業文化センター第4会議室にて


参加者の感想

・実際の事例説明でしたので、とてもわかりやすかったです。後見人の方と多職種連携は大切です。地域ケア会議(ネットワーク会議)にも参加していただけるといいと思いました。ありがとうございました。
・ 成年後見人制度は、財産保全に有効なことがわかりました。諸事情のある方にメリット、デメリットもありますが、必要な制度だと思います。これからは財産の金額により対応を変えていく制度がいるのではないかと思います。
・主人の両親が認知症が進んでいます。初めて成年後見人制度のことをしっかり聞くことができました。主人としっかり相談したいと思います。司法書士というお仕事も身近に感じることができました。

こんなおしゃべりを通じて、自分の考えを調整したり、確認したりするのが“えんぴつ・カフェ”です。みなさまの参加を、お持ちしております。

次回のえんぴつ・カフェスペシャル企画 第3弾
「住み慣れた街で最期まで過ごすために」
講師:木田盛夫氏
(木田ファミリークリニック院長)
終末期医療について、実情を検証しながら、在宅のメリット、デメリットを学びます。
と き:11月18日(日)13:30-15:30
ところ:産業文化センター2階第3会議室
会費1,000円
(講師の基調講演後、紅茶&お菓子を楽しみながら、質問タイムで情報交流をします)
※当日は航空際と重なっていますので、周辺道路と駐車場が大変混雑します。できるだけ公共機関でのご参加をお願いします。(ご希望の方は、にらめっこ事務所から送迎いたします。)

えんぴつ・カフェ 開催日程
会場:各務原産業文化センター2F会議室
時間:13:30−15:30
(2019年1月からの会場は予約でき次第お知らせいたします)
2019年 1月19日(土) スペシャル第4弾「在宅の現場から」
講師:入学佳宏氏(ケアマネージャー)
ケアマネージャーから在宅の現場の声を聞き、介護や看護のあり方を考えます。
2月20日(水) おしゃべりしながらノートに書き込む
3月20日(水) スペシャル第5弾「どうお別れしますか?」
講師:市川雅清氏(一級葬祭ディレクター&終活アドバイザー)
えんぴつ・カフェで常に話題になる葬儀やお墓の問題それぞれの土地柄や実情などを含 め情報交換します。

えんぴつカフェの問い合わせは
NPO「人生これから!」
田辺 090-5638-7044 三上 090-7854-4561


vol.186 ホスピスナース奮戦記 vol.11


人の終末期に思うこと
病棟勤務のとき、受け持ちの患者さんをみていて、「あぁ、ホスピスケアか緩和ケアに切り替えて自宅に帰れたらいいのに」と思うことがよくあった。穏やかでより自然な最期を迎えられるだろうなと思ってしまうから。でも、いろんな事情で在宅のホスピスケアが受けられない人もたくさんいる。ホスピスケアや在宅での緩和ケアのことをよく知らない人、在宅でのサポートをしてくれる家族がいない人、家族がいてもサポートができない場合、病院や施設の方が安心する人、家族に迷惑かけたくないという人、家族との意見が合わない人など実に様々。自己決定能力のない人、アメリカでは保険の有無でホスピスが受けられない場合もある。
これは仲間の看護師が勤務する病棟での出来事。その日彼女は94歳のアルツハイマーの患者さんを受け持っていた。感染症で入院して危うく敗血症で命を失いかけたものの一命は取り止めたが、いくつかの臓器の機能低下が著しくて、予後もあまり良さそうではなかった。食事はほとんど自力では取れないし、口元に運んでもほとんど口を開けようとしなかった。それでも、その患者さんがまとう雰囲気というか、なんとなく発している空気感が、とても穏やかだったそう。
このまま一般の病棟にいる以上、毎日の採血でいろんな数値に対応するだけになって治療というよりは、毎日上下する数値を許容範囲に戻すためだけの薬や点滴を続けるだけ。食事もとれていないから、家族が一般的な治療を望めば、鼻からチューブを胃に入れる経管栄養とか、心臓に直接つながる大きな静脈にカテーテルを入れて栄養を点滴でいれるとか、胃瘻とか・・・になる。もし意識低下や心肺停止が起こったときには、気管挿管して人工呼吸器につないだり、心臓マッサージをして心臓をふたたび動かすための薬を大量に投与したり・・・になる。一般的な治療を続けた場合、いろんなものが数値化されて可視化される。異常が数字や映像で認められた以上、それに対応することになる。たとえそれが患者さんに苦痛を与えることになってもだ。患者さんが穏やかに過ごせる状態につながらないとわかっていてもだ。そのため、主治医は早い時点で、緩和ケアへの切り替えを提案した。このままゆっくりと衰弱していくのは予想できたし、安定している間に家族のいる自宅に帰り、できるだけ穏やかに毎日を過ごせたほうが患者さんにはベストだろうということだった。どう死を迎えるかは、その瞬間までをどう過ごすか、どう生きるか、本当にそれに尽きる。
 患者さんはアルツハイマーの症状に加え、現時点では意思疎通も難しいため自己決定能力がないと判断され、主治医は家族にDNR(do not resuscitate: 蘇生措置拒否)の話し合いを持ちかけた。それと同時に在宅でのホスピスケアへの切り替えも提案した。でも、家族は渋った。理由は宗教上の理由だった。どんな状態であろうと今できる医療行為は全部すると言った。もちろんDNRのサインも拒否した。ホスピスではく病院内の緩和ケア病棟への移行も拒否したため、日をあらためもう一度話し合いをすることになった。まさにその夕方。患者さんの容態が急変して、なんと心肺停止状態になったのだ。その日は私の仲間が担当看護師だった。彼女は、脈が無い事と呼吸をしていない事を確認して心肺蘇生を始めた。やせ細った胸を何度も押す、何度か骨の折れる感覚がしたそう。チームが駆けつけて心臓マッサージを交代し、あらためて目の前の患者さんをみつめた時、正直、「お願い、もう一度こっちに帰ってきて!」ではなく、「こんなに痛い思いをさせてごめんなさい」と思ったそうだ。これで再び心臓が動いても、この94歳のかわいいおばあちゃんは、しばらく胸骨か肋骨かが折れたままいろんな管につながれて人工呼吸器で息をすることになる。患者さんはどんな風に感じていたのだろう。家族はそんな姿のおばあちゃんをみて、どんなふうに思ったのだろう。この患者さん、なんとこのあと一命をとりとめて、ICUで治療が続けられた。数日後、残念ながら人工呼吸器につながれたまま意識のない状態となってしまい、それから数日後に、ICUで亡くなった。
前にどこかで、「肉体の死を迎え魂が体を離れる瞬間を現代の医療が邪魔することがある」と聞いたことがある。もしかしたら、この患者さんは死を迎えるタイミングに、うまく魂と体が離れられなかったのでは・・・と思ってしまった。それとも、心臓が再び動いてICUにいた数日間に、家族に伝えたいことを身をもって伝えたのだろうか。もちろんこの患者さんにとっては、これが最良だったのかもしれないし計画通りだったのかもしれない。それぞれのストーリー、それぞれの死。自分にとって何が自然かは、人それぞれ。結局は、自分の心と体と魂の全部が納得する生き方が、不必要な苦しみや矛盾のないその人らしい死に方につながるのかなぁと考えている。

わかばま〜く:プロフィール 1982年生まれ。ニューヨーク州立大学卒業後、ニューヨーク市立病院に看護師として4年勤務。現在は訪問看護師としてホスピスケアに携わっている。岐阜県各務原市出身。


vol.186 ぎむきょーるーむ 続・先生にこんな「ひとこと」を言われたら 


「やることが遅いです」

学校では「遅い」ということが致命的だと思われている。
学校で「遅い」といわれる子どもたちには、じつはそれぞれにそれなりの事情があるものだ。だが、教員が「早くしなさい」というときには必ず「集団で動いているのだから」という理由がつく。
例をあげよう。ボクは給食の時に時間をある程度決めている。その時刻が来たら、「はい、かたづけて」ということになる。だいたい25分間くらいだろうか。こうしたときに、もっとゆっくり食べたいと言う子がいても不思議ではないと思っている。
でも、じゃぁ、「自由に食べていなさいね」とはいえない。なぜなら、いつまでも食べていると、食器や残り物のあとかたづけが一度にできなくなって、ほかの子どもたちにおおいに負担になるからだ。遅れた子のあとかたづけを、二度も係りの子がやることになってしまう。これは家庭でも同じだと思う。
じつはこうした「遅いー早い」というのも社会的な価値観のものさしでしかないのだから、結局は比較に過ぎない。親や教員は、早さだけでは世の中は渡れないということを十分に承知しているはずだ。ならば遅いといわれる子どもが、結果はともかく、それなりの充実感をもっていろいろな活動をしていることに気づかないで、ただダメダメ光線ばかりを出すのはまずい。それは結局、子どもたちの意欲を削ぎ、適当にやってかたづけておけばいいということを習慣化してしまう。

「自己中心的ですね」
そもそも「自己中心的」とはなにか?よい意味でいわれる「自己主張の能力」とどうちがうのか?
静かに黙っていると「きみはおとなしいが、自分をもっと出さなきゃいけないよ」などといわれる。ところが、ちょっと(人によってその程度にちがいはあるが)「自己主張」しようものなら、とたんに「自分勝手」「わがまま」と非難される。こういうあいまいで似たようないい方は、子育てや学校教育の現場ではよく使われる。しかも、それらの言葉は、その中身を吟味されることなく、発せられたとたんに、子どもや親に突き刺さるのだ。だから、「自己中」といういい方で非難されたら、「じゃあ、自分の考えはどうやって表現するんですか?」と聞けばいい。つまり、なぜ自己中に見えるかといえば、相手や周囲とのちがい・異質さがあるからだ。ちがいがあるからこそ社会が成り立つ。「自己中といわれるくらいの表現や行動でなきゃ、個性とはいえないよ!」くらいはいっていいのだ(笑)。
教員がこどもを自己中心的と非難するときは、自分のいうことを聞いてくれない、とくに「素直に聞いてくれない」ということから、むっとして口から出ることが多い。
授業中に先生の配布したプリントを前からうしろにまわすとき、自分のぶんだけ取って、あとは知らんぷりという子どももいる。しかし、それは自己中心的というよりは、視野が狭く、自分しか見えていないということであり、他人との生活のしかたを知らないのである。だから、しつけや生活のかけひきのなかで学ぶことだ。どちらかというと、生活の技術のような内容でさえある。
「あいつは自分のことしか考えていない」といわれても、やらねばならぬときがある。
リスクまで考えて自己中心的であるかどうかが問題なのだ。格調の高い自己中心的態度は自律のきわみであり、「教育の目的」でもある。

「ヘンな友だちとはつきあうな」
昔から「朱に交われば赤くなる」とか「類は友を呼ぶ」ということがいわれ、親が友だちをきちんと選んだり、監視していないと、自分の子どもがよくならないといわれてきた。
親としては、事件を未然に防ぐために、誰と友だちになっているか?その友だちは「いい子」かどうかが気になる。まして、教員から「あの子と遊ばせるのは注意したほうがいいですよ」などといわれれば、そうとう気になる。
教員に「不良と遊ぶと不良になる」とか「あいつとつきあうとロクなことはない」といわれても、あわててはいけない。もちろん、そういう場合がまったくないとは思わない。しかし、その「見解」が予断と偏見の産物であることはよくあるし、その「ロクでもない子」が、じつは遊ぶことがうまく、集団を仕切ることもうまく、いっしょにいると「あぶないがスリルがある」ということを子どもたちが知っているから「追従し交わる」場合もあるのだということも知るべきだ。
また、たとえ「朱」だとしても、観る角度や価値観によっては、その「朱」が個性として、その子なりのおもしろい展開をしていることもある(いまどきの大人は、「最近の子どもはたくましさがない」というが、ほんとうはそのたくましさとは、ときには「悪いこともやってしまう」ようなことまでふくんでいるはずだ)。
ちょっと「マズイ奴」とつきあっているわが子を見つけたら、ドキドキしながらも、いい勉強をしているくらいに思った方がいい。親のお金を黙ってぬいたりさせるような「悪い奴」ならカミナリを落とせばいい。それだけのことだ。
他人様の子どもをしかるのは勇気がいるし、めんどうだ。教員も親も、そうしたリスクを避けんがために、「楽な友だち」を子どもの周囲におきたいのだろう。そんな気持ちはわからないでもないが、それって、純粋培養に似て、いざというときにとても弱く、親も右往左往することになるのではないだろうか。

「もっとお子さんとかかわってあげてください」
どんな「提言」も頭から無視するのはよくないのだが、この「もっとかかわりあって」というのは、はなはだあいまいでありながら、親にとってけっこう痛いところをつかれていて、笑ってすますことができない場合がある。
結論的にいえば、「かかわりあう」ということが、あまりにわざとらしく教育的になってしまうところに問題があるとボクは考えている。
小学生になれば、世話をする内容も複雑になるだろう。しかし、どんなに複雑になっても、食べさせること、服を洗い着せること、安眠させることは、相手がモノではない以上、こころ配りせざるをえないだろうし、当然いろいろと苦労する。そうしためんどうな生活そのものが、「かかわっている証拠」なのではないか?子どもといっしょに夕飯を作るなんていう「上等」のかかわりもあっていいが、実際にはそんなチャンスは少ない。
めんどうなコトをできるだけ避けて子どもを育てたいという気分は十分わかるが、一方でめんどうでややこしいコトが子どもをめぐって起きれば、そのときこそが「かかわる」チャンスであると思えばいい。
多くの教員が「もっとかかわってあげてください」というような状況があったとしても、ボクはいわないなあ。だって、そんなことをいったら「先生こそ、学校でもっとうちの子にかかわってやってくださいよ」といわれ、悩みをひとつ増やすことにもなる。
最近の「幼児・児童虐待」といわれるものも、けっして親としての愛情がないというたぐいのモノではないのではないか?自分の思いどおりにならない身近な存在を、許すことができるかできないかという問題なのではないか、と思うのだが。
とりあえず、ひとつ屋根の下で存在しつづけることで、まずよしとすべきなのだ。いっしょに暮らすこと、それ自体がかかわりの第一歩なのだ。


vol.186 半農半Xという生き方 vol.27

地域資源が増えるまち
僕が住む中学校区に信号がいくつあるか、数えてみたら、3つでした。すこし前まではわが家から最寄りのJR綾部駅まで、信号ゼロで行けたものです。そんな信号3つのわが豊里地区ですが、なんとすてきなパン屋さん「5miche(サンクミッシュ)」が、誕生しました。神戸でパン屋さんをされていた夫妻がUターンして開業されたのです。お店はすぐに人気店に!お客さんも絶えません。綾部だけではありませんが、街中も農村部も店がどんどんなくなる時代に新しい店ができるってすごいことだと思うのです。地方創生 が叫ばれるいま、すべきことは地域資源(地域の宝)を再発見し、それを磨くことといわれます。最近、こんなことに気づきました。地域資源がなくならないまち、地域の宝がゆっくりとさらにいいものになるよう育まれるまち、そして、新たに宝物が生まれるまちが大事だと。みなさんのまちに、最近、何か新しい地域資源が加わっていたらすばらしいです。大事に支えてあげてくださいね。

「修行」
10年勤めた会社を卒業し、京都市から故郷・綾部にUターンしたのは、1999年(平成11)のことでした。早いもので来年1月末で、まる20年となります。当時、私たち夫妻は33歳、子どもは1歳。いま、娘は大学3年生となりました。先哲のことばに「場所が決まれば、修行が始まる」というのがあります。たしかに綾部という場所に戻ると決めたことで、新しい修行が始まったと実感しています。それまでの京都時代とは違う深い日々であったように思うのです。歌手・加藤登紀子さんと獄中結婚をされたことでも有名な故藤本敏夫さんは『青年帰農』(農文協、増刊現代農業)という本のなかで、「ポジションが決まれば、ミッションがわかる」というメッセージを遺されました。1999年は母校の小学校が閉校となった年でした。そんなタイミングに帰ってきて、縁あって、あるポジション(場所、置かれる部分、立ち位置)を与えられました。それによって、私は都市農村交流や定住促進、情報発信、全国に綾部ファンを増やすことがミッションとなったのです。いくつになっても、歳月を経ても、まだまだ未熟者ですが、綾部での修行を今後も励んでまいります。

塩見直紀(しおみなおき)半農半X研究所代表
1965年、京都府綾部市生まれ。20年前から「半農半X(エックス=天職)」コンセプトを提唱。半農半X本は翻訳されて、台湾、中国、韓国にもひろがる。著書に『半農半Xという生き方 実践編』など。

※半農半Xとは・・・半農は環境問題、半Xは天職問題(どう生きるか)を背景と する。持続可能な農のある小さな暮らしをベースに、天与の才を社会に活かす生き方、暮らし方。ex.半農半漁、半農半大工、半農半看護師、半農半カフェ、 半農半絵描き、半農半歌手、半農半鍼灸師、半農半カメラマンなどなど。


vol.186 菌ちゃん野菜応援団 vol.7

今年の夏は暑かった!!


あまりの暑さに我が家の庭からは、日中に限りとはいえ蚊が姿を消し(普段の夏は殺人的に飛び交ってます)、畑の野菜もぐったり。それでも盛夏を過ぎたあたりから元気を盛り返した野菜たちの生命力に何度も勇気づけられました!

いくらやっても水やりが追いつかない、と農家の方も泣いてました。こんなに暑い日が一体いつまで続くのか、とうんざりしていたけれど暦は確実に移り変わって、今は朝晩はヒヤッとするくらいです。夏野菜を片付け、冬野菜に向けてせっせと畑支度。そのときに活躍するのがなんと家庭から出る生ゴミちゃん!なのです。

生ゴミの分解方法はたくさんありますが、その中でも割と知られているのをいくつか紹介しますね。
1つ。家庭用生ごみ処理機を使って乾燥もしくは微生物分解させる。
2つ。バケツにぼかしと一緒にため込み、ある程度貯まってから土に返す。
3つ。ダンボールコンポストなどを使って微生物分解させる。
4つ。そのまま土に穴を掘ったりぼかしと混ぜ合わせて戻す。


どのやり方も一長一短ですが、最終的に土に戻すのは一緒。
それをすることで土がフカフカになり、空気や微生物をたくさん含んだいわゆる団粒構造の土になります。
生ゴミに限らず微生物たっぷりの土で採れたお野菜を、私たちは「菌ちゃん野菜」と言っているんですね。そしてなんと私は「菌ちゃん野菜アドバイザー」(2年かかりますが・・・)の資格を取ることに。(^_^)b
皆さんで楽しめる畑も新たに借りられることになりました。これまでどこでやっているのか、どこで手に入るのかわかりにくかった私達の活動や野菜たち。

来年からは希望者の方とどんどん一緒に畑をやっていきたいと思っています。一人ではやれないし〜、なにからやっていいのかわからないし〜、と二の足を踏んでいたそこのあなた!
畑なかま募集中ですよ〜!!一緒にやりませんか??
詳細は 070-2626-6675 各務までお問い合わせくださいね。


vol.186 未来に続く暮しの学び vol.28

畑のあるくらしを共有する
いま、続けることの大切さを実感しています。
5年間畑で作物を作り続けて、やっと自分たちの食事と、団体で泊りにくるお客さんの食事の食材は穀物や豆以外ほぼ賄えるようになってきました。

テーブルに並べられた料理の材料の作物たちは、いったいどんな形をしているのか、いつ収穫できて、どんな調理をされてこの食卓に並ぶのか。一連のプロセスをお客さんと共有します。すると、「今まで何気なく食べてきたけど、プロセスを知ったことで、食べ物がとっても愛おしくなりました」という反応がときとして返ってくることがあります。
作物の成長過程を体験することは、実はいちばん必要な事だと感じています。自分たちが実際に体験して、「畑から食卓へ」というサイクルの心地良さを感じる程に、どうしたらより多くの人たちとそれを共有していけるだろうという思いも強くなりました。

また、3週間から一ヶ月という短いスパンでボランティアとして来てくれている人の反応を見ていると、「旅を終えたら自分でも畑で作物を作れるようになりたい、穀物採食の料理を家族に作ってあげたい」、という人が多くなり、このようなスタイルが求められているのだと感じました。

 ということで、畑のある生活を実践的に学べて、体験できるプログラムを企画することにしました。特にここはパーマカルチャーに対しての意識や注目が高いので、ここ亜熱帯気候に適応した野菜、畑、素材の作り方から、自分の生活に取り入れていける実践的な部分を伝えていこうと思っています。そして、ここに滞在してもらうことによって、畑の収穫物での料理を食べてもらいます。

お互いに学んでいくことを始めていこうと思っています!!

share what you have with others.!!  yao
(お互いに共有しましょう!!)


vol.186 夢か悪夢かリニアが通る!vol.15

「日経ビジネス」8月20日号が「リニア新幹線 夢か、悪夢か」と題した特集を組み注目されています。葛西敬之・JR東海名誉会長のインタビューでは、「私がじゃなくて、神様が見ても、誰が見たって(リニアは)いけるんです」という「神懸かりな」言葉を引き出しました。これに対し、「WiLL」11月号は「朝日に成り果てた『日経ビジネス』」などの記事で先の特集を批判。その内容はさておき、新聞やテレビが本格的に取り上げてこなかったリニアの是非を巡る議論が、多くの人の目にさらされることを歓迎したいと思います。                                ジャーナリスト・井澤宏明

 

「安全神話」に守られて

静岡で準備工事
リニア沿線7都府県のうち、唯一工事が始まっていなかった静岡県で9月18日、JR東海は南アルプストンネル工事の準備のため、作業員宿舎と林道の工事に着手しました。
南アルプストンネル工事の影響で「毎秒2トン減る」と予測されている大井川の水を巡り、静岡県とJR東海の対立は解決しないまま。2027年開通に向けて切羽詰まってきたJR東海が見切り発車した形ですが、積み残された課題は何も解決していません。その一つに、トンネル工事で掘り出される膨大な残土があります。
「東日本大震災前の東京電力の考え方と変わらない」。昨年2月、大井川源流部の残土置き場について話し合っていた静岡市の有識者協議会で、委員の明星大学准教授・長谷川裕彦さん(57)(自然地理学)がJR東海の姿勢を批判しました。
計画では、大井川本流と燕沢の合流地点に、東京ドーム約3杯分に当たる約370万立方メートルの残土の大部分を最大約70メートルの高さに積み上げるとしています。
すぐ上流にある千枚岳(2879メートル)は、これまでも大規模な崩壊を繰り返してきました。山頂から深層崩壊が起こった場合、土石流や水分をあまり含まない岩屑なだれが上千枚沢を駆け下り、大井川本流に達して対岸に積み上げられた残土にせき止められ、より大規模な土砂ダムができてしまう恐れもあります。長谷川さんは、「最悪のシナリオを検討しておくべきだ」と、JR東海に繰り返し迫りました。

千枚岳と上千枚沢。大規模に崩れた跡(右上のだ円)が見える。左下のだ円付近が、残土置き場となる予定だ(長谷川さん提供)

岩屑なだれを確認
ところがJR東海は、山腹からの小規模な土石流を想定したシミュレーションしか行わず、「土石流は大井川本流には達しない」と主張。「規模が大きい崩壊ほど、発生確率は低くなる」などとして、長谷川さんが提案した深層崩壊を想定したシミュレーションを行うことを頑なに拒否しました。

「毎夏、長いときには20日間ぐらい南アルプスで調査しています」という長谷川さん(明星大学で)

静岡県で準備工事が始まる直前の9月15日、東京都日野市の明星大学に、長谷川さんを訪ねました。
南アルプスの氷河地形などを研究してきた長谷川さんは学生時代、先鋭的な登山で知られる山学同志会にも所属していた「山ヤ」です。
「日本で一番地質が脆弱なところ」(長谷川さん)を掘る南アルプストンネルに疑問を感じていましたが、2015年に静岡市の有識者協議会の委員に就任し、「(リニアを)作る形で進めるにしても、地形学を専門にしている人間として、残土置き場が本当にそこでいいのか、明確にしなくちゃいけないと思って取り組んできた」と話し、次のように警鐘を鳴らします。
「千枚岳の山頂直下に崩壊前兆地形がたくさんあって、大規模な地震があったとき、雨水をたっぷり吸いこんでいると、一気に崩れることが十分ある。科学者として山を見てきた立場から言うと、次の東海地震で起こってもおかしくない」
長谷川さんたちの現地調査により、古く見積もっても1000年から2000年前、上千枚沢で少なくとも2回の岩屑なだれが発生し、大井川本流より100メートル、80メートルの高さまで堆積したことも分かりました。
これは、JR東海が「1000年に1回以上の規模」として想定したという土石流よりも大規模な岩屑なだれが起きていたことを意味します。専門家の警告に背を向け続けるJR東海について長谷川さんは、「安全神話に守られていたときの電力会社と同じ」と苦言を呈します。
大井川本流をせき止めた土砂ダムが決壊して、下流域の住民に被害を及ぼさないためにも、「残土を置いたとき、置いていないときをシミュレーションしたらどう違うのか、JR東海は明らかにする義務を負っている」と長谷川さん。JR東海が、東電の轍を踏むのを黙って見過ごすことはできません。


vol.186 かなでの沖縄だより vol.10


バングラデシュに行ってきました!①
 8月13日から24日までバングラデシュに行ってきました。以前、Peace of Peaceで話をお聞きした渡部清香さんのフィールド、バングラデシュ東部の「チッタゴン丘陵」を案内していただくスタディーツアーに参加。清香さんと一緒に現地に行き、講演会で聞いたことを自分の目で見て感じることができました。
そのことを報告したいと思います。

首都ダッカ
沖縄からは1日半かけての移動でした。久しぶりの長い飛行機だったので疲れました。でも得ることがとても多く、疲れが吹っ飛ぶほどでした。バングラデシュに着いてから、私はびっくりすることばかりで開いた口がふさがりませんでした。そのうち、初日と最終日はダッカで行動しました。その間はチッタゴン丘陵地帯のランガマティでの活動でした。
 ダッカでは、ダッカ大学の見学やマーケットでの買い物をしました。バングラデシュで働いている日本人の看護師さんにも会いました。
バングラデシュの交通手段の1つCNGがあります。これは天然ガスで走るタクシーで、大きい乗り物ではありません。初めて乗ったCNGがバスとぶつかった時は、「あ?もう終わった」と思ったし、すごく怖かったことを覚えてます。バングラデシュの交通事情は決して良いとは言えません。信号があっても守らない、免許を持って運転しているかどうかわからない、バスがあっても路線は決まってない。クラクションの鳴らし方は、日本でやったら捕まるだろうというくらいの多さ。バングラデシュについて30分間に一生分を聞いたような気がします。
ダッカマーケットでは、日本ではありえない光景が目の前にありました。食べ物は30度越えの外に出しっぱなし。服は山積み。お金くださいってついてくる子どもたち。飴買って欲しいってついてくる子どもたち。世界で最も貧しい国と言われる一端を見せつけられました。「助けてあげられるならみんな助けてあげたい」って思い、少し悲しくなりました。
 これが現実なんだって…。一緒に行った清香さんの妹、千秋さんはもう4回目のバングラデシュでした。その千秋さんに20代の男性がしつこく付きまとってきました。その男性もお金が欲しいようでした。断っても服装を変えてまたついてきました。でも、その反対に「日本人だ?!」って笑顔で話しかけてくる人や、手を振ってくれる人も少なくありませんでした。「怖い」という体験もしたけど、人の温かさも感じたダッカでの1日でした。

チッタゴン丘陵へ
ダッカから12時間かけて夜行バスでチッタゴン丘陵の中心地ランガマティへ向かいました。途中、軍にVISAを確認されたのですが、銃をもって立っている人がこんなところにいるんだってびっくりしたのを覚えてます。チッタゴン管区はバングラデシュ南東部に位置し、インド、ミャンマーと国境に接しています。少数民族が多く住んでいます。

渡部清香さん:教育NGO「ちぇれめいえproject」を仲間と立ち上げる。駐在員として自費で単独1年間滞在。仏教寺院が母体で運営している学校の業務をボランティアで行い、交換に衣食住の提供を寺院から受け、村の寄宿舎学校に滞在し、現地の若者たちと豚の飼育で村の教育資金を作る事業を共に立ち上げた。現地での活動はトータル2年に及び、その中で、日本で2人しか話せない今では口承言語となった、チャクマ語(ベンガル語版、英語版、ポルトガル語版)をマスターする。
NGO「ちぇれめいえProject」取材記事は176号にて掲載

平和について語り合いたいと、各務原市の中学生でつくったPeace of Peace。主要メンバーの小田 奏さんは、2017年春から沖縄の大学生。彼女の平和への思いを沖縄からリポートします。


vol.186 プレゼントコーナー

PRESENTS 186号
1- あなたの「今年1番インパクトがあった出来事」教えて!
今年ももう残りわずか!印象に残った出来事なあに?
2- 気になるにらめっこ紙面での広告
3- 気に入った記事、気に入らない記事の
タイトル1つ・その理由もお書きください。
4- ご希望のプレゼント名
(第1希望・第2希望)
5- 本紙をどこで入手されましたか?
6- 氏名、年齢、住所、郵便番号、電話番号、家族構成

プレゼントご希望の方は
ハガキまたはe-mailで、上記のアンケートを
1〜6までご記入の上、編集部・プレゼント係りまでお送りください。
〆切:11月25日 当日消印有効。Cは11月10日〆切

宛先
〒504-0855 各務原市蘇原新栄町2-25
e-mail: info@niramekko.com
※お寄せいただいた個人情報は、本紙プレゼントの発送に限り、 使用させていただきます。

 

A.こだわりのコーヒー呈茶券

ボンガ珈琲様より…3名様


“コーヒーに取り憑かれた男”の異名を持つマスターが丁寧に焙煎し、入れてくれる一杯はまさに絶品!コーヒー好きさんは一度は行ってね。呈茶券で本日のおすすめコーヒーが1杯いただけます。12時〜16時にお使いいただけます。(写真はイメージです)
お店所在地/各務原市鵜沼東町2-165

 

 

B.よりよく生きるためのライフデザインノート「ゼロの昇天」
NPO「人生これから!」様より…3名様


さあ、私はこれからどんなふうに日々を送ろうかな、そんな気軽な気持ちで書いてみては?高畠純さんのイラストもほのぼのと優しい気持ちにさせてくれます。えんぴつ・カフェに参加の方はご持参くださいね!

 

 

 

C. Afternoon Liveご招待
アートギャラリー是様より…ペア1組様


日常から離れて、ちょっと大人なひとときはいかが?ギター、ベース、サックスが醸し出す絶妙なジャズメロディは、あなたを心地良い音の世界へと誘います。大切な人とご一緒にどうぞ。

 

 

 

 

 

D.CINEX映画招待券

シネックス様より…ペア3組様


事実は小説より寄なり。実話をもとにした映画はまさに、それを実感させてくれます。映画館の大型スクリーンでその世界を疑似体験してみよう!写真は、「グッバイ・ゴダール!」。
柳ヶ瀬のシネックスでご覧ください。


vol.186 編集部で取り扱っている商品のご案内

にらめっこ編集部では、体や環境に配慮した商品を扱っています。
お近くにご用の際にはのぞいてみてくださいね。ここに出ているもの以外もありますよ。

玄米珈琲 メモリザ

玄米を焙煎したカフェインゼロ珈琲。お子様や妊娠中の方でも安心していただけます。着色料、香料、保存料など化学的なものは一切入っていません。カラダに必要なエネルギーとビタミンE・玄米ポリフェノールやフィトケミカル・ミネラルを豊富に含み、美容と健康にとても良いと言われています。また、身体を芯から温めてくれます。(顆粒1袋1,800円)

 

 

微量栄養素ふりかけ げんきっこ

微量栄養素をたっぷりバランスよく取り入れるため、頭ごと煮干し、頭ごと焼きアゴ、昆布が、これらの消化吸収を高めるため空心菜、キクイモ(無農薬)が入ったふりかけです。毎日の食事にごはん、おかず、何にでもふりかけてお召し上がりください。ミネラルが補給され、心や身体の不調が改善された、という報告もありますよ。(60g入り600円)

 

ほうじ茶 ちゃぼぼ

760年もの年月を引き継ぐ、岐阜県揖斐郡旧春日村の在来種の茶畑。自然の甘味と大変よい香り、味に深みがある在来種の茶木は地中深く深く根を伸ばし、大地に呼応し、自然の恵みだけでゆっくり育ちます。丁寧に手摘みし、仕上げたほうじ茶は香りがよく、深い味わいなのに後味はすっきり!農薬不使用、自然栽培、無添加のほうじ茶を味わってみてね。(150g入り1,296円)

 

善玉バイオ洗剤 浄

善玉バイオを使った、洗濯物・人・環境に優しい洗剤です。【善玉バイオ】生態系の中に存在する善玉菌や酵素で洗浄します!【優れた再汚染防止性能】一度落ちた汚れを衣類や洗濯機によせつけません。【肌にやさしい自然派】植物性の界面活性剤成分は0.5%以下!衣類への界面活性剤の残留がほとんどなく、赤ちゃんや敏感肌の方にも安心してご使用できます。(1.3kg入り1,296円)

 

こいくちしょうゆ 茜しょうゆ

国内産大豆・小麦、自然塩を使った天然醸造醤油です。木樽にて1年以上長期熟成させれた醤油。やや甘口の上品でまろやかな味。煮物などによく合います。(720ml入り687円)

 

 

 

国産なたね油 菜の花畑

国内産の農薬不使用栽培なたねを使用した圧縮一番搾りなたね油。精製は手すき和紙でろ過するだけで、添加物や化学薬品は使用していません。なたね本来の風味が豊かです。天ぷらや炒め物にどうぞ。(720ml入り918円)

 

 

東ティモール産 コーヒー豆
程よい苦みとキレのいい酸味、程よい甘味も感じます。バランスが良く、飽きのこない珈琲です。有機栽培の珈琲生豆を焙煎しました。有機JAS認証商品です。(100g入り600円)

 

 

※ご紹介した商品はweb販売はしておりません。申し訳ありませんが、購入を希望される方は、編集室にお立ち寄りください。また、物によっては品切れになることもあります。事前にご連絡をいただけると確かかと思います。m(_ _)m


vol.185 「水 Water」の特集


水は鏡・・・水が汚れると私たちが汚れ、私たちが汚れると、また水が汚れる。

水はいのちの始まり・・・火星に「水」の証拠があったなら、生命も存在しうるのか?と私たちは水があれば生命体を連想します。

水は循環している・・・生き物は、水を吸収したり、出したりを繰り返しています。また、海の水は蒸発して雲となり、やがて雨となって地上に降りそそぎ、さらに川となって再び海へと注がれます。

水は資源 ・・・地球上には約14億km3というたくさんの水があり「水の惑星」と呼ばれていますが、使える水はほんのわずか。

水は誰のもの?・・・地球の水は誰のものでもない、ましてや人間のものでもありません。誰もが安全に必要な分の水を手にできる環境にしていくことが大事。

1992年12月22日の第47回国連総会本会議において、毎年3月22日を「世界水の日(World Water Day)」とすることが決議され、2008年の「世界水の日」を前に国連(UN)は、世界人口が増え続ける中、2025年には地球上の3分の1の人々が安全な飲料水を必死に捜し求める状態になりかねないと警告しました。

世界的に水が枯渇すると、水は貴重な資源として、これからは石油のように高値で売買される時代が到来するかもしれません。つまり、水の利権を巡って国同士の奪い合いが拡がる可能性が予測されているのです。 日本は水の豊かな国です。「蛇口をひねればいつでもキレイな水」が当たり前のように出てきます。水があることは本当にありがたいことなのですが、国際的な問題になればなるほど、日本は国際的に孤立し、標的になってしまうという可能性もあるのです。

しかし、水は誰のものでもありません。科学がいかに発達しはるか彼方の星が観察できるようになった今も、地球以外の星に、これほど豊かな水や生命は存在していません。この天からの恵みである奇蹟の「水」で、地球上に存在する人類が争うなど、決してあってはいけないことではないでしょうか。

 

水。それは人類を含めた生命の維持に不可欠なもの。「水の惑星」と呼ばれる地球ですが、その97%が海水で、残りの3%もほとんどが氷山や氷河であり、生物が飲める水は約1%・・・。その1%の水を大事な共通資源として生物たちは何万年も前から飲んでは排出し、排水は自然の力で浄化し新たな水になって・・・と繰り返してきました。
このように人間は自然の力に頼りながら水を共有してきたはずでしたが、経済の発展に伴い環境破壊で水を汚染し続け、限られた飲める水は資源から商品へと変わってきました。人口増加も加担して貧富の差によって安全な水を飲めるかどうか、生死が左右される時代となってしまいました。
水が商品となるのは水の民営化によって大企業が水を独占をするからでしょう。利益を追求すると、自然が壊され貧しい生活を余儀なくされる人がいるということを、私たちは忘れてはなりません。この問題を回避する手段に人間は科学を用いようとします。例えば海水淡水化工場。海水を淡水に変えられるのはいいのですが、莫大なエネルギーがいるので地球温暖化は進みます。それで原子力に注目しましたが、ご存知の通り多くの危険と問題を伴っています。その場その場で科学の力で無責任に自然を破壊してきた結果、次の自然破壊へと負の連鎖は続くのです。
◆では、今後どうしたらいいのでしょうか。
まず自然のサイクルへの回帰と、水を確保して需要を減らし、市場を減らすことで水の民営化を阻止すること。農業を改革し、それぞれが輸入に頼らない食糧自給に戻る。ダムを減らし、浸透性のある舗道を作る。人口を制限する。こういった方向に向かうことが大事であり、何よりも水は限りある資源という意識を個人レベルで持つこと・・・。
日本は豊富な山と森林と河川に恵まれていて、昔から水に困ることはほとんどなかったので、水が限られた資源であることを忘れがちです。水が豊かだからこそ「水ビジネス」も盛んに進められています。しかし、周りを見渡してみると、川は汚れ、森は切り開かれています。これは「人からコンクリートへ」を推進してきた結果。そして、3.11の原発事故で関東圏の水が一気に汚染される見えない恐怖に怯え、スーパーからは水がごっそり無くなりました。今こそ“水について・自然について”考える必要があります。
◆私たちに何ができるか。
まずは知り、学ぶこと。学ぶことによって意識を持てば資源の無駄遣いは控えるはずです。自分の住む周辺の流域を調べ、自分の活用する飲料と排水の行き先くらいは最低限知っておくと、洗濯や洗い物の洗剤や入浴剤なども環境に優しいものを使おうと思えるし、節水を心がけることもできます。まずは最初の小さい一歩を踏み出す。これが何より大事です。
中国で生まれた「水」という漢字は「支配」を表し、英語で「敵(ライバル)」という語源は「川(リバー)」から来ています。敵は川の向こう岸に立つ人間を表して呼んだそうです。結局のところ人間の最大の敵は人間であるということでしょうか。いや、そうあってはならないのです。人間だからこそ知恵をもって共に生きてゆくべきですね。    (抜粋:青い果実の実る頃には)

BOOK紹介

『いのちの水』新教出版社 定価:1,500円+税

『いのちの水』
あらすじ:昔々、誰もが飲める「いのちの水」の泉があった。 しかし、その水に感謝するために建てたはずの記念碑や礼拝堂は、当初の思いを越えてどんどん大きくなり、やがて、泉がどこにあるのか分からなくなってしまった。 また、泉を管理する特別な人たちが現れ、その水を誰が飲めるのか、いつ飲めるのか、どうやって飲めるのかについて、意見の相違が生じてしまった・・・。 カナダ人神学者トム・ハーパーが遺した痛烈な寓話を、流麗な訳文と幻想的な消しゴム版画と共に贈る。

訳者あとがきより(中村𠮷基)
このちいさな絵本が、信仰、思想、性別、人種、年齢、価値観、経歴などを超えて一人でも多くの人に読まれることを心から願っています。そしてあらゆる「壁」を打ち壊し、「いのちの水」を自分の手で得る働きを、「今、ここ」からご一緒に始めていけるならば、きっと素晴らしい世界が実現することでしょう。

DVD紹介

「水」にまつわる社会派ドキュメンタリー。

『ブルーゴールド』

サム・ボッゾ監督 製作国:アメリカ / 上映時間:90分

あらすじ:経済が発展すると同時に環境破壊や都市化、人口増加も進み地球規模で水不足が深刻化している。21世紀は水戦争の時代になるとも言われている。水の循環の仕組みから、今の現状、水を巨大なビジネスチャンスとみなして独占しようとするグローバル企業、水をめぐる国家間の争い、海水淡水化工場による新たな環境汚染など、世界の水資源問題を様々な角度から検証していく。

折しも今夏、水道法改正案が衆議院で可決されたとの報道があり、話題になっています。もし、ひとつの企業が日本の水道を独占したら、水道水はその企業の言い値で買わなければならない。民営化になるとまさに、この映画のようなことが起きる可能性があります。しかも対立ばかりだと辛くなる。ではどうしたらいいの・・・とても複雑。それにしても水はいったい誰のものか!共有財産としての水をどう管理したらいいのか改めて考えさせられた。

 

白山信仰を通じて「水」を語る

長滝白山神社宮司 若宮多門さん

水の道は命の道

「自然を敬い畏れる」を忘れてはならない

水は命そのもの。人も他の生命体も、命の源を求めて水辺へと導かれる。

山は感謝の対象であり怖れの対象でもあります。山には豊かな水があり、生命が育まれます。水なしにはわれわれの存在はあり得ない。山から安心安全な水が湧き出て、その水を利用させてもらい、私たちや他の生き物も生かさせてもらっている。しかもその周りには多くの食べ物や自然の恩恵(解熱剤、化膿しないための薬など)も豊富です。だから山は感謝の対象であったわけです。

先人達は、その水を手に入れるだけでなく、そこに集ういのちも頂きながら、種を守り、集落を形成し発展。水の豊かな地は、洪水の地、氾濫すればなにもかも奪い去る。

同時に山は恐怖の対象でもあるんですね。噴火であり地震、水害・・・こういったことすべて、山の力によるものです。われわれの先祖は、山は特別なもの、山のおかげさまで暮らしがある、と同時に山は恐ろしい、という感覚を常に持ち合わせていました。ですから神々を鎮めるため、感謝の真(まこと)を捧げるため、今後を占うため、地域の輪を作るために、山の麓に神祀りをする場所をつくりました。それがお宮です。そこに皆が集まり、そこを核としながら山麓一帯にある地域が繁栄してきました。
ところが、今山の中は開発がすすみ、森林が減少し保水力がなくなった。さらに細かく側溝を作り、水路をつくったため広いエリアに降った雨は一気に本流へ流れる。そうするとどこかで破綻します。わたしたちは自然界の仕組みの中で生きてきたにもかかわらず、机上で物事を考え合理性を求め、自分たちの幸せだけを考えるようになってしまった。神の存在を忘れたんですよ。雪、氷、水、変化(へんげ)する水、それ自体が神さまです。水の豊かな地は50年単位、100年単位で川が氾濫するんです。それは自然界の摂理なんです。自然災害の何割かは愚かな私たちが利便性を求め続けて自然界を侵したために起きるんです。

水の流れは神の流れ
神の流れである川の水は平野部を潤し、さらに産業を支え暮らしを豊かにしていきます。そして川は森からミネラルも運びやがて海へたどり着き海を育てる。河口には真水と塩水が交わる汽水域といういのちを育む場所があります。そこでは塩分や栄養源も調整されます。川と海を行き来するする魚はいきなり真水や海水では生きられない。だからグレーゾーンいわゆる汽水域でならしていくんですね。川で生まれる稚魚たちはこの一帯で成長していきます。川底には泥がたまるので葦が繁る。そこに昆虫たちが集い小魚や鳥たちも来る。あらゆる生き物を育む大事な場所が汽水域・河口部分です。ですから真水と海水と分断させる堰をつくってはいけない。畏れ多くも川は神さまの道、分断は自然界の摂理に反しています。

万年の雪をたたえ、白く輝く霊峰白山。白山の「白」の意味する霊性(清浄・無垢・再生など)は多くの人々を白山へいざなった。また、
命の水を分け与えてくれる水分(みくまり)の神であった。その高く白く輝く姿は海上からの目標となり、漁業や航海の守り神とも仰がれてきた。

 

白く輝く霊峰白山
白山は標高2702㍍で、北アルプスの山々や富士山にくらべたら決して高い山ではありません。問題は位置です。かつて政治の中心的な地からの距離感やいろいろな理由で白山が、山の象徴となっていくんですね。山の神々の象徴として、水の恵の象徴として一番古くから理解された山なんです。その名の由来は雪があるから。それゆえ白山は雨乞いの対象でもあるんです。
実は岐阜県の長良川、福井県の九頭竜川、石川県の手取川、富山県の㽵川は、日本を代表する巨大河川。この大きな河川の水源が白山なのです。そして、濃尾平野だけでなくて、越前の平野、加賀の平野、砺波の平野をも潤しているのです。川は単純に水の流れではなく、海に行って温められそして雲になり、雨となってわれわれに降り注ぎ、森に蓄えられ、また高いところで、雪になって降り積もる。水の循環があるからこそ、人々の暮らしがあり生命の営みがあるわけですね。

大いなる水の循環
白い山と広大なる森 、そこから涌き出る水の流れは、数々の恵みを集め、豊かな河川となって、平野を潤し、海へ。海水は温められ、水蒸気となり、雲となり、雨となって大地に降り注ぎ、雪となって山に降りつもる。白山を起点とした水の流れは、大地も海も浄化し、恵みを与え、あらゆる命を育む。私たちは、大いなる水の循環の中でいかされている。

 

白山の霊性
白山の「白」の意味する霊性(清浄・無垢・再生など)は多くの人々を白山にいざないました。日本の登山人口は一千万人といわれ、彼らは「そこに山があるから」と気軽に山に入りますが、今時の登山者からは山に対する畏敬の念や感謝の気持ちは感じられない。この場所は川にたとえるとまさに汽水域。神への入り口であります。神の聖域に入るには心身ともにここで準備が必要なんです。僧侶の話を聞いたり、仏画や美しい絵画に触れ、神前儀式の中で歌や舞に接して山に入る覚悟が定まるわけです。
万葉集の中には、ばん歌と言われる死を悼む歌がたくさんあります。その歌には「死ぬと魂が山へ行く」とあります。つまり山は先祖がいらっしゃる場所でもあり非常に尊い場所なんです。お宮は身を清めるためにあるんです。それは決して非科学的なことではありません。
山を自然という形だけでとらえるのではなく、科学の眼、感謝の目、畏れの目をもって見直すという作業を始めるべきではないかなと思う。そんな時期に来たんじゃないかと思います。       (文責・にらめっこ)

境内に可憐に咲く中尊寺蓮。奥州藤原氏最後の当主、四代目泰衡の首桶の中から見つかった種子から、800年の時を越えて再び華を咲かせたという。この蓮は本家 中尊寺から平成16年4月に株分けされたものだそうです。

 

 

 

 

人が健康に、尊厳を持って生きるには「水」が不可欠。
NGOウォーターエイドジャパンの高橋 郁さんにお話を伺いました。

〜高橋さんが「ウォーターエイド」にかかわることになったきっかけは?〜
高校時代の夏休みの宿題で「差別」について調べていました。調べていくうちに、南アフリカのアパルトヘイトについて学んでいた時、黒人というだけ

家庭用トイレの前で(東ティモール)

で差別されていることにとても衝撃を受けたと同時に憤りも感じたんです。いろいろんな本をたくさん読んで、国連とか開発途上国とくに貧困問題などにかかわりたいと思いました。大学では、もっともっとアフリカのことを知りたいと思い、社会学部に。そのゼミの研修でケニアに行くことになったんです。そこで経験したのが、今のわたしに大きく影響しています。ケニアに行く前にインドに立ち寄ったのですが、その日のうちにお腹をこわしてしまったこと。トイレにいっても、当然水洗ではなく、自分でバケツで流す。道路で暮らす人々や物乞いをする人を目の当たりにして衝撃的でした。
大学卒業後、一度は民間企業に就職したのですが、仕事って人生のうちでたくさん時間を使いますよね。だとしたら、貧困とか、大変な境遇のいる人たちの役に立つことを仕事にしたいと思った。自分の人生、開発途上国の人々のために、なにかしたいと思っていました。

村の女性たちと(東ティモール)

〜そしてウォーターエイドの立ち上げからかかわることに〜
はい。日本で立ち上げることになったのが2012年。もともとは、1981年にイギリスで立ちあがったNGOです。1981年、イギリスの水道業界で働く人々によって、「渇いた第三世界会議(The Thirsty Third World Conference)」が組織され、清潔な水、適切な衛生設備、衛生習慣がない中で暮らしている数百万人への支援が決まりました。同年7月21日にウォーターエイドが設立され,ザンビアとスリランカが最初にウォーターエイドの支援プロジェクトの対象国となりました。

〜現地の子どもたちと直接触れ合って、どんなことを感じましたか?〜

水を喜ぶ子どもたち(マダガスカル)WaterAid/ Ernest Randriarimalala

みんな明るくて元気なんですよ。貧困さえ解決できれば・・・水汲みは女性や子どもたちの仕事です。水たまり、川の水、山からの水を汲みに行きます。学校へ行く前に、帰って来てからも汲みに行く。子どもによっては水汲みに時間がかかり、学校に行けない子もいるんです。教育を受けたり、仕事が出来るのも、病院で治療を受けられるのも、水があたりまえにあるからこそ。水がないと、とくに出産する人にとっては深刻な問題です。生まれたての赤ちゃんをお湯もなく、汚れた水で洗ったために、感染症になって死亡することもあるんです・・・。

〜水は私たちの生活に深く関わっています〜
飲み水だけではなく、私たちのすべての生活に深く関わっている水。日本人は、災害時とかを除くと水に苦労はしてないからありがたみを忘れてしまっているのではと思います。水栓を捻るとどこでも飲み水が得られますからね。ティモールのコミュニティーで「水があれば、あれも出来るし、これも出来るよね」と話していることが、現実になるんです。水が来てからは、作物を作り、種を採り、家畜などに食べられないよう工夫し始めます。畑は見事に作物が育っていきます。ティモールの人々の創意工夫に驚嘆です!上右の2枚の写真は東ティモールです。
水は生きていくのに必要不可欠。水があれば暮らしをどんどん変えられるというのを実感しました。水があれば生活そのものが潤うんですね。途上国は電気がなくても火をたいて、水がなければ水源から水を引いて、そういう工夫が欠かせません。サバイバーだなと思う。生きるスキルが全然違うんですね。
6年間、ウォーターエイドジャパンのスタッフをやってきて感じたことは、その地域本来のニーズが浮かび上がってこないこと。女性や子どものニーズを聞くことが大事なんですが、現実は、その村の長老が出てきて話しをしてくれるパターンとなってしまうのです。

〜高橋さんの役割とは?〜

村に水が来てから作ったという畑(東ティモール)髙橋撮影

まず情報発信です。企業、または個人ができる社会貢献活動を広げることや、連携できるシステムをつくったり、寄付を集めることです。
出前講座もやっています。高校に行くときは、みんなに関心を持ってもらいたい一心でお話しをさせてもらいます。ただ、伝えたい内容をつい強い口調で話してしまったときなど、高校生の反応がとてもあっさりしたもので、悶々としたこともあります。それで、体験型の教材を用意し、ワークショップ形式にしてみました。たとえば、人は平均一日に250リットルのお水を使います。この数字は東京の平均です。飲んだり、洗ったり、お風呂に入ったりと。じゃぁ、これを25リットルにしたら、あなたは何に使う水を減らしますか?その状態が一週間続いたら?3ヶ月続いたらどうしますか?自分事として考えられるよう工夫しています。墨田区のオフィスでも「水の循環講座」をやっていて水源地を見に行ったり、情報交換などをしながら「雨・循環・みんなで分け合う」をキーワードに学び合うのですが、参加してくれるのは、もともと関心のある方がほとんどで、関心のない人に伝えることのむずかしさを痛感しています。

〜今後はどのように発信していきますか?〜

水が来てから作ったという畑(東ティモール)高橋撮影

水は限られた資源です。そういうと日本では節水意識が高まり、節水グッズや水道代を節約するという発想になりがちですが「水源を守る」という方向性をもちたいと思っています。実は開発途上国へ水など衛生分野で援助しているのは日本が一番なんですよ。ですから、国際会議があると、水と衛生にもっと積極的に、優先的に取り組んでもらうよう働きかけています。
21世紀、これからも日本は発展していくと思います。でも、8億4,400万人の人々が(地球の総人口の10人に1人)きれいな水を得られていません。そして、23億人がキレイなトイレを使えていない現実があります。

きれいな水を使って、安心してトイレを使えるように!
尊厳をもって生きられるように!詳しくはwebサイト「ウォーターエイドジャパン」で検索してみてくださいね。

高橋 郁(たかはし かおる)
特定非営利活動法人ウォーターエイドジャパン 事務局長
大学卒業後、流通小売業を経て、ロンドン大学東洋アフリカ研究所にて開発学修士号取得。帰国後の2004年より2010年まで緊急支援のNGOにてファンドレイズ、広報、企業連携に従事する。その後、教育関係の民間企業に勤務し、2012年7月より現職。唯一の事務局スタッフとして、特定非営利活動法人ウォーターエイドジャパンの設立に携わる。現在は、ファンドレイズ、広報、アドボカシー、講演等、幅広い業務に取り組んでいる。

ウォーターエイドとは
水・衛生専門のNGO「ウォーターエイドジャパン」
ウォーターエイド(WaterAid)は、「すべての人々が清潔な水と衛生を利用できる世界」をビジョンに掲げ、途上国で活動を行う国際NGO。国連の「持続可能な開発アジェンダ2030」を踏まえ、ウォーターエイドは2030年までにこのビジョンを実現するために、さまざまな活動を行っています

 


vol.185 カタコトの部屋 ごはん選挙

『ごはん選挙』とは、今晩のメニューという身近なテーマを通じ、選挙を楽しく学ぶ勉強会です。全員が意見を出し合い、選挙で今夜のメニューを決定します。人の意見をしっかり聞くこと。自分の意見をしっかり言葉にして伝えること。それを大切に、さあ、ごはん選挙をやってみよう!

講師・座間宮ガレイさん
参加者・4歳~10歳のこどもと30〜50代のおとな、計9名

 

まず、晩ご飯にしたいメニューを理由と共に1人ずつ発表。インドカレー、からあげ、醤油ラーメン、すきやき、ハンバーグ、マカロニグラタン、焼き肉が候補メニューとしてあげられました。これを投票に向けて3つに絞ります。自分の希望したメニュー以外で、これもいいかも!というものがあったら挙手。結果、最終候補は「ハンバーグ」「醤油ラーメン」「インドカレー」に。メニューを提案した人は、それぞれ自分が食べたい理由を発言して、他の参加者にアピールしました。

醤油ラーメンを提案・Tくん(6才)

麺に味がしみているから!
醤油の味が好きだから!
家で醤油を作っているから!

 

ハンバーグを提案・Hさん

挽肉は安くて経済的!
中に野菜を細かくして入れれば野菜嫌いな子も野菜が食べられます!
小さく作れば明日のお弁当にも使えて便利です!

インドカレーを提案・Aさん
ナンが大きいから!
ナンが美味しいから!
ナンのお代わりが無料だから!
安くてたくさん食べられる…!!
などなどインドカレーの魅力を10以上も挙げ、熱弁!

 

いよいよ、決戦投票!
参加者全員が、投票したいメニューとその理由を紙に書きます。いくつ書いてもいいです。
子どもも1人で一生懸命考えます。うまく書けない幼児は、親さんとお話ししながら書いていきます。おとなも真剣です!
さてその結果は…
合計6票を獲得し『醤油ラーメン』に決定!!
ラーメンといえば、インスタントラーメンを連想する人が多いのですが、家で醤油を手作りしているT くんは、その醤油を使っての本格ラーメンつくりを提案。もともと醤油つくりをしている人が多かった参加者の心をつかんだようです。カレーやハンバーグ支持から醤油ラーメンへと票が動いた事が「醤油ラーメン」決定へと結びつきました。

<参加者の感想>
・理由をいくつも発言したのが、敗因だったと思います。3つくらいだけを、強く印象に残るように話せばよかったです。(インドカレーを提案したAさん)
・唐揚げのカリッとかたいところが好き!と意見したのに、選ばれなくて悔しかった。(からあげを提案するも最終候補に残らなかったGくん・7才)
・ラーメンの票が多かったので、ラーメンに対抗して「麺よりマカロニが好き」「チーズやホワイトソースが美味しい」と話したのに、ダメだった。残念。(当初マカロニグラタンを提案したYくん・10才)
・ 理由を考えても考えても出てこなくて、最後に出てきた理由が「家で醤油を作ってるから」だった。自分が考えた理由で、醤油ラーメンに票が増えて嬉しい!(選ばれた醤油ラーメンを提案したTくん・6才)
・ 子どもでも、熱い想いが複数の人の票を動かすこともある。言葉の力ってすごい!理由の説得力により、共感度がアップし、得票数が変わるのを目の当たりにしました。(Tくん母)

ごはん選挙 今後も開催の予定です!
自分の食べたいものを主張しないと、その他大勢の意見で決まってしまう。でもアピール次第で、自分の勢力を増やすこともできます。大人も子どもも当日の夕食という、超身近な問題から、民主主義を学べるものすごーく画期的なイベントだと思います♪

メニューを選んだ理由をガレイさんに話す子どもたち。
他の子どもたちは、友達の理由が聞きたくて、どんどんガレイさんに近づいていきます。発言したい時は手を挙げて、みんなの意見を聞きます。手を挙げても、いざ発言となると、言えなくなり、お母さんに頼る子に対しても「お母さんは、あなたとは別の考えをもっているんだよ、自分の意見は自分で言うんだよ。」と、励ましたり、寄り添ったりしながら、とことん対話をするガレイさんでした。

座間宮ガレイ・ ざまみやがれいプロフィール
石川県小松市出身、早稲田大学法学部中退。2,000年頃~構成作家(放送作家)「ナニコレ珍百景」「大竹まことゴールデンラジオ!」など。2,015年から選挙アナリストとして地域主義を大切に選挙お勉強会を開催。全国で500回を超える選挙お勉強会を開催。全国の選挙情勢を研究し続けている。『日本選挙新聞』代表 。原発問題を中心に研究するブログ「ざまあみやがれい!」
著書:「一億総選挙革命」

 

子育てコミュニティ toco toco
子育て世代のやってみたい、知りたい、学びたいことを、自ら企画・運営。誰かが講師、受講者という立場のない、一人一人が活躍する「学び合い会」を中心に、顔と顔を合わせて集う良さを生かした活動を展開中。
問い合わせ:facebook「子育てコミュニティtoco toco」


vol.185 ここいく日記 はじめの二歩

 はじめの二歩!

性交について。

性教育と聞くと、性器の話や性行為の話だと思う人が多いのではないかと思います。
小学校や中学校に「いのちの授業」に行って最初に「皆さんのいのちはどうやって生まれたのか知っていますか?今日はいのちの話をしに来ました」と言うとニヤニヤしたり恥ずかしそうしている子がいます。
私たちのいのちは性交から始まりました。両親が性交をしなければ私たちのいのちは生まれていません。性交はいのちをつなぐとても大切な行為だということを大人が教えていないから、多くの子どもたちが性を商品や暴力として扱うネットや、アダルトビデオや漫画などから学んでいます。そういう情報の中の性では、「いのちの尊さ」を学ぶことはできません。正しい性を学んでないから、子どもたちは性を恥ずかしいこと、いやらしいこと、エッチなことというように刷り込まれてしまっていると感じます。
学校の学習指導要領には性交は教えないとされています。
2次性徴や、卵子と精子が受精卵になり、子宮の中で赤ちゃんに育ち生まれてくるということは習うが、受精卵になるための行為、お母さんのお腹の中にある卵子に射精された精子がどうやって届けられるのかがすっぽりと抜け落ちています。そうなるとどうなっているのか知りたくなるのは当然のこと。でも、性のことは先生にも親にも聞きにくいとなると、友達に聞くかネットや漫画など性産業のものから調べるしかありません。
昔は、大人がわざわざ教えなくても自然と伝わってきたことかもしれない。学校で教えるものではない「寝た子を起こすことはない」という意見がありますが、朝日新聞デジタルのアンケート調査によると「あなたがセックス 性交とその意味について知ったのはいつですか?」の問いで約89%の人が中学生までに知ったと答えています。小学生までに知った子は約半数です。寝た子はほとんどいなくてとっくに起きています。
このような現状でも、子どもたちに正しい性を学ぶ機会が保障されていないのです。授業で性器の仕組みや働きの話をすると、ざわざわし始め話が進んでいくと、「キャー」とか「えー」の声があがるか、下を向き、話が出来ないぐらいざわざわするときもあります。ざわつきが収まるまで少し待って、性器はエッチなところ、恥ずかしいところではないこと、大切な働きがあることを丁寧に伝えます。そして、性交を含むいのちの成り立ち、いのちの稀少性を伝えていくと、子どもたちの表情が変わっていきます。体の中でどの働きもとても大切なのに、性器だけはいやらしいと思ってしまう。目や耳の働きを勉強するときにはこんなにざわつくことはないでしょう。それぐらい性の話はタブー視されて、大切だという教育がされていないのです。
性という字は (りっしんべん)に生きると書きます。
( りっしんべん)は心という意味なので性は心を生きる、生き方を学ぶということ。こういうことを大人も学んできていないのです。だからこそ、性を本気でかっこよく語れる大人になりたいと思っています。最後に尊敬する助産師で性教育の大先輩でもある山本文子さんのことばを紹介します。

担当:ここいくメンバー・中村暁子でした。
ここいく☎090-3446-8061(中村)


vol.185 リバース 15号

写真:長屋 泰郎

ナダレタゴガエルStream Brown Frog
ナガレタゴガエル(流田子蛙、学名:Rana sakuraii)はアカガエル属のカエルの一種。種小名のsakuraiiは、発見者である桜井淳史にちなみつけられた。

分布:本州中央部(関東、中部、北陸、近畿の各地方)
生態:低山地の森林地帯に住んでいます。繁殖は、2月から4月に山間渓流で行われます。雄は、秋に渓流に集まり、水中の石の下で越冬し、繁殖期になると流れに乗って産卵場所の淵に集まります。
鳴き声:(水中で)ククククク、ククククク・・・

石の下に産み付けられた卵塊と雌 撮影:佐久間 聡

解説:世界的に見ても珍しい日本固有種で、真の渓流性のアカガエルです。タゴガエルに似ていますが、水かきの発達がよく、繁殖期には、皮膚が著しく伸びてひだ状になります。(佐久間 聡)

 

危険要因:生息域が山地の渓流周辺と限られており、森林の皆伐による乾燥化およびそれに伴って沢が干上がることで、成体と幼生双方の生息場が失われる。また林道脇へのU字溝の埋設により、移動が妨げられたり、小型の個体が脱出できずに死亡してしまう例も知られている。


vol.185 ボーダーレス社会をめざして vol.44

NPO法人オープンハウスCAN 理事長 伊藤佐代子

 

自分の展覧会

 息子は40歳の自閉症スペクトラム障害(最近はこのように言います)。7月に本人の希望で絵の個展を開きました。展示、キャプション作り、お客様の案内など本人が主になり行いました。開催当日までカウントダウンのメールが、毎日私に届き、「お母さんとお父さんは見に来て下さい」と言い、本当に自分一人でやるつもりのようでした。知り合いの方にも「来て下さい」とお願いをしていたようです。今までの展覧会ではなかった姿です。きっと今までは、私に展覧会をやらされていたのでしょう。自分の好きな絵をすべて展示できるということは、彼にとってすごい喜びだったようです。これまでは、私が展示する作品を選んでいました。今回はすべてOKとし展示の方法もすべて本人に相談し、本人が好きなように額に入れました。息子の作品展ですから好きなようにやればいいのだと・・・。やっと私がそんな気持ちになりました。するとこのように楽しみにする展覧会になったのです。
 支援する人の自己満足ではいけない、支援する人の思いが一番ではいけないということがよく分かりました。もう嬉しくて嬉しくて仕方がない、ニコニコと久しぶりに見る笑顔でした。やっと思い通りの展覧会ができたのだなぁとちょっと反省しました。展覧会が始まると、来て下さったお客様に絵の説明をしていました。長時間、会場にいなくてはいけなかったのですが、静かにご来客を待っていました。
 その中で印象深かったのは、会社の方が見に来て下さったことです。最初、会社には案内状は持って行かないと言いはっていたのですが、途中から店長さんだけに持って行く、次にブレークルームに案内状を置かせてもらうと本人が考えなおしていきました。たぶん、会社と自分の趣味の世界とは違うと考えていたのだと思います。しかし、案内状を会社に持っていったお陰で、会社の方が来て下さいました。メッセージの中に「いつも裏方のお仕事でお店をささえてくれてありがとう。」と書いてありました。なんと嬉しい言葉でしょう。お話をさせてもらうと皆さんに見守られながら、可愛がって頂いているのがよく分かりました。我が家とは全然違う一人の社会人としての息子の様子を聞くことができました。
 もう一人幼稚園、小学校とよく遊んでくれた同級生が来てくれました。彼は毎回、展覧会を見に来てくれます。「絵が少し変わって来たね。進化してる」って。
展覧会は、作品の発表の場とは言いながらも、息子の大好きな人たちとの良い出会いの場にもなっていました。笑顔笑顔の息子を見ることができた展覧会は、最高でした。


vol.185 えんぴつ・カフェ

6月20日(水)第7回 えんぴつ・カフェスペシャル

「絵本の朗読」参加者の感想

今回はスペシャル企画第1弾「絵本の朗読」でさまざまな感想を書いてくださいました。一部をご紹介します。
・「だいじょうぶだよ ゾウさん」をききながら、今一緒に暮らしている父をゾウにてらしていました。耳が聞こえなくなり、だんだん弱っていくゾウは最後はネズミに大丈夫だと言われながら、つり橋をわたっていく。歳をとって死んでいくことは辛いけどネズミのように、ゾウの気持ちにより添っていけたらいいと思います。
・ 赤ちゃんは泣いて生まれてくる。周りは笑顔で迎える。死を迎えるときは「この世に生まれてよかった」と笑顔で死んでいきたい。
・ 日常生活の中で生老病死にかかわっていますが、自身のことに関しては具体性を明記するには至っていません。
・わたしは偶然にも「たいせつなこと」と「つみきのいえ」を小学校の読み聞かせで読ませていただいていました。自分で読むのと、朗読を聴く側での気持ちに大きな違いがあることに気づきました。私は今47歳ですが、人生について考えるよいきっかけとなりました。
・ 「なきすぎてはいけない」は祖父から孫への思いが表現されていて共感できる内容で、主人が読んだら涙ポロポロと想像しました。「だいじょうぶだよゾウさん」は理想的な、老と若の共存だと感じました。

こんなおしゃべりを通じて、自分の考えを調整したり、確認したりするのが“えんぴつ・カフェ”です。
みなさまの参加を、お持ちしております。

 

次回のえんぴつ・カフェ  スペシャル企画 第2弾
「成年後見人制度って?」
講師:青木文子氏(司法書士)
成年後見人制度って知ってる?
制度をよく理解し、自分や家族のライフデザインを設計してみます。
と き:9月20日(木)
じかん:13:30-15:30
ところ:産業文化センター2階第4会議室
会費1,000円
(講師の基調講演後、紅茶&お菓子を楽しみながら、質問タイムで情報交流をします)

 

えんぴつ・カフェ 開催日程

会場:各務原産業文化センター2F第4会議室
時間:13:30−15:30
(会場、日程は変更の場合がありますのでお申し込みの際にご確認ください)

10月18日(木) おしゃべりしながらノートに書き込む
11月18日(日) スペシャル第3弾「終末期医療を考える」
講師:木田盛夫氏(木田ファミリークリニック副院長)
終末期医療について、実情を検証しながら、在宅のメリット、 デメリットを学びます。
2019年 1月19日(土) スペシャル第4弾「在宅の現場から」
講師:入学佳宏氏(ケアマネージャー)
ケアマネージャーから在宅の現場の声を聞き、介護や看護
のあり方を考えます。
2月20日(水) おしゃべりしながらノートに書き込む
3月20日(水) スペシャル第5弾「どうお別れしますか?」
講師:市川雅清氏(一級葬祭ディレクター&終活アドバイザー)
えんぴつ・カフェで常に話題になる葬儀やお墓の問題それ ぞれの土地柄や実情などを含め情報交換します。

えんぴつカフェの問い合わせは
NPO「人生これから!」
田辺 090-5638-7044 三上 090-7854-4561


vol.185 ホスピスナース奮戦記 vol.10


生前準備についておもうこと

7月10日。容態の確認のための訪問だった。ヘルパーさんから「さっきから患者さんは息をしていないようだ」という連絡が入りアパートにつくと、患者さんはとても安らかな顔をしていて、一目で亡くなっているとわかった。死後硬直も始まって、腕が曲がったまま、体も半分横向きになった姿で硬くなりはじめていた。確認のためバイタルをチェックするが、呼吸も心音もない、脈も感じられず瞳孔も動かない。ヘルパーさんは英語が通じないので、通訳電話を介し話しを聞くと、3時間以上前から息が浅くなったと判明。亡くなったことを伝え、家族に電話する。ヘルスケアプロキシ―である長女に電話すると、電話口で泣き崩れて会話にならない。すると、フロリダに住む次女から電話があり、今度は開口一番、「どんな薬を投与したのか、なんで死んだのか、なぜ病院につれていかないのか」と怒鳴り声。。。。。半分叫び声のような怒声を聞きながらパソコンに食らいつき日中どんなことがあったのかもう一度看護記録を読む。今日何があったのか、昼間訪問した看護師とは連絡が取れないし、途方にくれた。ヘルパーさんに聞くと、お昼ごろ、酸素マスクや体位交換だけでは呼吸困難の症状がコントロールできず、症状緩和のために看護師が呼ばれ、モルヒネ投与が始まったことがわかった。あとはヘルパーさんが(家族として扱われるので)患者さんの呼吸の状態をみながら、教えられた量をあげることになっていた。
患者さんのような心不全が進んだ場合、呼吸困難はよくみられる。ふたたび次女と話をすると今度は、「誰がモルヒネあげたの!?モルヒネがお母さんを死なせたのよ!あんたたちが殺したのよ~!」と狂ったように怒り出した。

モルヒネについては、多くの人がいろんなイメージや考えをもっていて、誤解している人も少なくない。口に入れ、舌の下やほほの内側から体内へ吸収されるこの種類のモルヒネは、飲み込めなくなった患者さんや意識のない患者さんへも使われる在宅ホスピスでは基本の薬。痛みだけでなく、苦しい呼吸を和らげるときにも使われる。なぜ患者さんがこの薬を必要としたか、どんな効果があるのか、どんな量が投与されたか、次女に説明する。だんだんと落ち着いてきて、だいぶわかってくれたようだった。次は葬儀屋に連絡しなければならないが、なんと葬儀屋が決まっていない。長女に聞くと、次女に聞いてという。次女に聞くと、お金がないという。というより、二人ともが葬儀にお金を出すような余裕がないという。再度ヘルパーさんが電話口によばれ、患者さんがもっていた通帳に葬儀分はとってあるはずだから、通帳を探せということになった。アパートには、同じビル内にすむ患者さんの妹やその家族が集まっていたものの、ただあきれたように一部始終をみながら待っているだけだった。
ニューヨークではご遺体はできるだけ死後4時間以内に葬儀屋や病院などの遺体安置のできる場に移すルールがある。私は、ソーシャルワーカーに電話して、家族の経済的状況と葬儀屋の紹介など、公共の遺体安置所の使用など含めて次女に直接話をしてもらうようお願いした。しかしニューヨーク市の公共の遺体安置所というのは、愛する家族をいったん預けるなんてできないような場所だという。(どんなだろう・・・)結局、安く葬儀をうけもってくれる葬儀屋に頼むことになった。
このカオスの中、患者さんはどんな気持ちでこの一部始終を眺めてるだろう、上からみて笑い飛ばしているだろうか。。。。ホスピスのサービスを受けていても、死はまだ先のこと、と思っているご家族も多い。まだ生きているのに死後のことを決める、葬儀屋を決めるなんてと、そのこと自体ができない人も多い。ご本人も、ご家族も。でも、死は必ずやってくる自然の摂理。死が訪れた時に対する準備または理想や考えをもつことは、縁起が悪い、あきらめたくない、生きる希望をもっていたい、それとはまた完全に別なるものだと、私は思う。生まれてくる命を迎えるのにいろいろ準備や手配をするのと同じ、気持ちや心情は違えど、命を見送ってあげる準備や手配。家族の中でのゴタゴタもあれど、それがやはり家族への愛というものなのではと思った。

わかばま〜く:プロフィール 1982年生まれ。ニューヨーク州立大学卒業後、ニューヨーク市立病院に看護師として4年勤務。現在は訪問看護師としてホスピスケアに携わっている。岐阜県各務原市出身。


vol.185 ぎむきょーるーむ 先生にこんな「ひとこと」を言われたら 

「集中力が足りませんよ」
「集中力の欠如」を先生はよく問題にする。実際には子どもが授業中に消しゴムをきざんで定規の跳躍台からとばしたり、シャープペンの解体作業をしたり、教科書のイラストにひげをつけたりということなのだが。
こうした集中力というのは、夢中になると言うこととは少しちがうようだ。簡単にいえば「先生の提議した問題なり課題に、よそごとをせずに黙ってとりくめる力」ということになる。この力を先生は高く評価する。なぜなら集中していてくれれば教室も静かだし、「よしよし、いい子いい子」の学級帝国主義が築かれていることが確認できるからだ。もちろん、「まじめにやれば賢い子になる」という学校の原理にかなうことでもあるし。
ところが、先生の提議している課題にクラス全員が集中することができるという事態はそうあるものではない。
じつは集中力を決める大きな要因には、子どもの個人的な要因と同時に、先生の出す「問題・課題」の質と量によることが多い。たとえば、計算問題を45分の授業や宿題で100問出したとしよう。先生としては「45分あればできるのが標準」だと予想しても、実際にはほとんどの子どもが集中してやると考えているとしたら、そうとうノー天気だと思う。
子どもが授業中にこっちを見て聞いてくれて、課題にそこそこ一生懸命とりくんでくれるように先生は「工夫」する。この工夫なしに「アンタの子は集中力がない」などと常識のある先生はいわない。いや、いえない。
子どもはそれなりに息をぬきながら、先生の目を盗みながら、授業中休憩していくだけの自律性が必要なのだ。おそらく子どもは自分でオーバーヒートしないよう工夫しているはずだ。それが、「集中力の欠如」というかたちであらわれてくることもある。
親としてはまず「アンタ、ちゃんと授業聞いている?!」としかりつつも、「たまには大事なことはきちんと聞かなくちゃいけないよ」くらいのお小言にしておきたいものだ。

 

「偏食では丈夫な身体になりませんよ」
「学校ぎらいの原因は給食なんだ」という子どもがいる。入学の前に、親は「給食を残したらいけないんじゃないか?」と心配する。子どもに「給食を全部食べないとダメ」とおどかす親もいる。しかし、なんかおかしい?
以前、給食主任に「『何でもよく食べて!?』というのはヘンだ。だって、ブタじゃないんだからなんでも食べろというのはおかしいでしょう?」といったことがある。すると、いやな顔をされたが反論はなかった。でも、そのことをエコ農業を志している人に話したら、「オカザキさんはまちがっている。ブタはおいしいもんしか食べないぜ、ブタに失礼だ!」としかられた。
だいたい、学校はおかしな食文化を強制している。ご飯に牛乳がまず変だ。もちろん、牛乳のリゾットなら、まあ話しはわかる。コッペパンに、メキシコ風タコス、いちごジャム、スープ煮といった組み合わせなど、なんじゃこれ??
ある教員が「しっかり食べないと大きくなりません」といったときに、すかさず、「先生は小さいけど好ききらいがあったんですか?」と子どもに聞かれて、はり倒さんばかりに怒ったというはなしを聞いたことがある。
『食』というのは自分たちの生活全体を考え直すための入り口としてはとても意味があるのだ。「偏食です」という発想では、肉ばかり食べるのも偏食なら、野菜ばかり食べるのも偏食ではないか。でも、そういう「偏食」の地域や国の人々はみんな不健康なんだろうか?
偏食は、文化の問題なのだから、給食のあり方をそのままにしておいて、なんでも食べるほうがいいというのは偏見である。なんでも食べる時代ではなく、選んで食べる時代なのだ。

 

「特別支援学級へ行ったらどうですか?」
就学時健診や、進級の時に「お子さんのために特別支援学級へ行ったらどうですか?」と学校からいわれた場合、子どもが普通学級で学びたい、生活したいと思うなら、やはりきちんと学校へ申し入れなり主張をすべきだ思う。
労働者の立場からいうと、一般的に仕事は楽なほうがいいに決まっている。だから、「発達障がいのある子は世話が大変だ」という教員も多い。しかし、現実には「手のかかる」いろいろな子どもがいるのは当然のことであり、発達障がいがあるかどうかは関係がない。
教員の中には、「特別支援学級へ入れたほうが、きめこまかい指導を受けられるので本人は幸せです」という、一見良心的ないい方をする人もいる。しかし、ある意味で無責任な言葉といえる。だって、そんなことは「わかんない」のだ。そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない。それより一緒に生活することがまず重要なことであり、その場の集団の、つまり社会の「構成員」であることが、すべての子どもたちにとって重要なのだ。そこを分離してしまっては、最初から排除が前提になる。
ボクの知っているお母さんは、特別支援学級を学校からすすめられたが、ガンとして「普通学級に入れます」と主張していた。毎年、実施される「進級判定委員会」で、校長は特別支援学級をすすめるように職員にくり返していたらしいが、担任は校長の提案にあまり乗り気でない人だったようだ。そこで校長は保護者を呼び出して「特別支援学級への編入」をしきりにすすめたが、保護者はクビを縦にふらなかった。
しかし、なんといっても、そのお母さんがいちばんこたえたのは、「お宅のお子さんのせいで、うちの子たちの勉強が遅れるんじゃないですか」などというまわりの親たちの無言の圧力や反発だった。こうした親たちを説得するのはエネルギーがいる。やはり学校を相手に、きちんと親の権利として意見を文章などで述べるのがいちばんいいと思う。

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多治見市は「多治見市子どもの権利に関する条例」を制定し今年で15年を迎え、子どもの権利を保障するまちづくり、子どもの笑顔があふれるまちづくりを進めています。平成30年度のセミナーでは公的第三者機関として子どもの権利救済を行う子どもの権利擁護委員の一年間の報告と、岡崎勝氏の講演会が行われました。

2018年7月30日 岡崎まさる講演会 in多治見
「気づいていないかも・・・子どもの気持ち」
子どもの権利が学校のなかで語られることは少ないです。それでも学校では「語る・学ぶ・活かしていく」を最優先課題にしています。しかし、いじめなどのトラブルがあると、大人はどうしてもどっちが正しくてどっちが悪いのかを判断しようとします。それは果たしていいことか。まずきちんとルールを示すのが大人。わがままや、はみ出しを個性と見ていくのが教育です。では、子どもが教員に暴力をふるう・・・それは個性か??どう考えてもルールからはみ出している。いったいどうしてそんなことをするのか、きっと何か理由があるはず。根気よく会話をしていく。ここが勝負どころです。それではじめて子どもの実態が明らかになります。ボクが判断するときは常に「子どもの最善の利益」を優先します。 たとえば、子どもが嘘をついたとします。嘘をついたことを謝まらせて叱って・・・それが子どもにとって最善の利益か??子どもと相談という形をとり一週間ぐらい考えようか、と時間をつくる。うやむやで終わるのもいい。子どもの世界って忘れた方がいいことがたくさんあるんです。ところが、社会に寛容性が無くなったので、大人のガマンが出来なくなった。 だいたい人に迷惑かけてナンボ、これが子どもですよ。
学校は生活の場でもあります。学習指導要綱には大事なことが抜けています。それはぼーっとする時間。だけど、そういう時間があったとしても、子どもはなにかやらかして教員を困らせます。そんな時は子どもの可能性の世界を信じることです。登下校の時、見守り隊の高齢の方に「くそじじぃ」と言えば「この悪ガキがっ!」と応える。そういう人と人との距離感。こういうことがホントに大事なんです。子どもはすでに学校も含めた社会で育っています。社会のゴタゴタの中でもたくましく育って欲しいです。
子どもの権利を保障していくことが大人の役割です。子どもの最善の利益を優先し、こどもの将来を考えて今の子どもを見る。最終的には子どもに聞きなさい!とボクは言いたいです。 (文責・にらめっこ)

岡崎 勝 おかざき まさる
1952年愛知県名古屋市生まれ。小学校教員43年目。フリースクール「アーレの樹」理事。1998年より「お・は」編集人。きょうだい誌「ち・お」編集協力人も務める。著書に『きみ、ひとを育む教師ならば』『ガラスの玉ねぎーーーこどもの姿を写し出す1年白組教室通信』(ともにジャパンマシニスト社)、『みんなでトロプス!』(風媒社)、『学校再発見!』(岩波書店)『新・子どもと親と生活指導』(日本評論社)、『センセイは見た!——「教育改革」の正体』(青土社)、共・編著に『友だちってなんだろう』(日本評論社)、『がっこう百科』(ジャパンマシニスト社)など。

 


vol.185 半農半Xという生き方 vol.26

希望の創造
将来に希望をもてる人ともてない人の格差が歴然とひらき、希望の二極化が進んでいくという『希望格差社会』という本が数年前、ベストセラーになりました。不透明な時代ですが、希望のかけらはやはり足元に落ちているものです。ノーベル平和賞受賞のワンガリ・マータイさんが「もったいない」の精神に光をあてました。持続可能な小さな暮らしをしていくことは希望の基礎。「もったいない」は希望社会への大事なキーワードの1つです。「もったいない」が流行る少し前、ベストセラーになった『13歳のハローワーク』は自分の大好きなことや得意なことなどを世に活かしていく、社会に貢献していく時代に変化しつつあることを教えてくれました。将来の希望は「もったいない精神」と「(他者に役立てる)大好きなこと」にあるといっていいかもしれません。「ないもの」を嘆くのではなく、いま、「あるもの」に目をやって、知恵を絞って、活かしていけば、「希望の創造」はきっと可能です。小さなしあわせという希望を自らつくり、みんなで育てていける、そんな社会にしたいと思うのです。

 

まなざし
「みつばちが一生かかってあつめるはちみつは、スプーンにわずか半分。養蜂家は、みつばちの世話をすることで、そのたいせつなはちみつをわけてもらうのです」。茂市久美子さん作の児童文学『つるばら村のはちみつ屋さん』(講談社)を開いていたらこんな一文に出合いました。はちみつへのまなざしが変わりますね。大事に味わいたいですね。ふと、思い出したのが童謡詩人の金子みすゞの有名な詩「大漁」です。それはこんな詩です。「朝やけ小やけだ/大漁だ/大ばいわしの/大漁だ。/はまは祭りの/ようだけど/海のなかでは/何万の いわしのとむらい/するだろう」。人間も他の生命もみんなしあわせに生きられたらいいですね。

塩見直紀(しおみなおき)半農半X研究所代表
1965年、京都府綾部市生まれ。20年前から「半農半X(エックス=天職)」コンセプトを提唱。半農半X本は翻訳されて、台湾、中国、韓国にもひろがる。著書に『半農半Xという生き方 実践編』など。

※半農半Xとは・・・半農は環境問題、半Xは天職問題(どう生きるか)を背景と する。持続可能な農のある小さな暮らしをベースに、天与の才を社会に活かす生き方、暮らし方。ex.半農半漁、半農半大工、半農半看護師、半農半カフェ、 半農半絵描き、半農半歌手、半農半鍼灸師、半農半カメラマンなどなど。


vol.185 未来に続く暮しの学び vol.27

 


メンテナンスの冬

 日本は猛暑日が続いているようですが、南半球のオーストラリアは冬の中盤を迎え、朝晩どんどん寒くなってきました。冬の期間はメンテナンスを主にこなす時期となります。
まず、畑でとれる冬野菜を、漬物にしたり、ドイツ流のキムチ・ザワークラウトを作ったり、醗酵食の仕込みをします。また、かぶ、白菜、キャベツ、はやと瓜、などはどんどん発酵野菜にして貯蔵できるようにしていきます。持続可能な生活にとって、貯蔵、保管、は不可欠な要素。
たくさん採れる根菜をどう保管するか、特に季節ごとに大量に収穫できる、人参、南瓜、ジャガイモ、ニンニク、ウコン、生姜、ヤーコン、キャッサバ、タロイモなどはうまく保管していかないと、すぐ腐ってしまいます。去年は大量の南瓜をダメにしてしまったので、今年は少しずつ収穫するようにしています。
ただ、ここでの一番の問題が・・・ネズミ・・・・・・・ネズミはどんどん増えるし、どんな隙間でも侵入してきます。畑の野菜はかじるし、シードリングハウス(苗を保管する場所)にも入りこんで、わかばの苗を食べてしまうし、保管場所にも入りこんで野菜をかじっていくし、私たちを悩ませています。捕獲する?罠を仕掛ける?第二ステージの動物に被害のない軽い駆除剤をまくとしても、畑に毒はまけないし、室内のみならまだしも。。と色々考えこんでしまいます。
猫を借りてくるという案も室内ならOK。野生の動物、鳥、大きいトカゲに手を出さない猫ならといっても、保証はないし・・・。
野生動物の生態系の維持プラス、害虫の駆除のバランスはなかなか簡単ではありません。双方うまくバランスをとっていくのも、大きい意味での、共存の仕方を見出していかないといけないのだなと思います。
できるだけシンプルに人間が生きることができれば、バランスは保てやすいだろうな。。。。そう思いながら、複雑な生活を作り上げている自分たちを振り返り、持続可能な生活を模索しています。

土地の有効活用と、自然環境とのバランスの一致。それを保てられる仕組みを、この冬いろいろ検討することになりそうです。


vol.185 菌ちゃん野菜応援団 vol.6

夏野菜がたわわに実り始めていますね!ちょっと油断するとキュウリなんてぶっといこん棒みたい!
トマトもなすもたわわに実って嬉しい限りです。

私たちの農法は菌ちゃん、つまり微生物と仲良くする農法。
土の中に菌ちゃんがたくさん増えてくれるように生ゴミを漬け物のようにしてすき込んだり、草を積み重ねたりして土作りをします。もちろん腐らないようにコツがあるんですけどね。微生物たっぷりの土で育った野菜はみんなぴっかぴか。虫もほとんど居ないんです。

あまり知られていないけど、実は虫に食われたお野菜は弱っているお野菜。私たちが食べてもちょっと苦かったりするんです。
一方元気なお野菜は生で食べてもとても美味しい。そして、抗酸化作用もたっぷり。なぜって夏の強い太陽光線から自分を守るためにたくさんの抗酸化物質を作り出しているから。
知ってました?無農薬だから虫がいても当たり前、ちっちゃくて当たり前、じゃないんです。

元気でぴかぴかなお野菜は見て嬉しい、食べて美味しい、作って楽しい。そんな3拍子がそろってます。
そして、そんなお野菜を食べていたらあつーい夏もへっちゃらで乗り越えられちゃいます!!
元気なお野菜と出会うことがあればぜひ手にとってみてくださいね。


vol.185 夢か悪夢かリニアが通る!vol.14

今夏の西日本豪雨では、山あいの集落が土石流にのみこまれ、たくさんの人たちが犠牲になりました。自然の前に人間はいかに無力であるかを改めて思い知らされるとともに、真っ先に思い浮かんだのはリニア中央新幹線の残土のことです。リニアは品川-名古屋間の86%がトンネルのため、東京ドーム約50杯分もの残土を出します。JR東海は多くを谷沿いに積んで処理する予定ですが、今回のような豪雨に襲われないという保証はありません。そのとき何が起こるのか、被災地が教えてくれていると思うのですが。  ジャーナリスト・井澤宏明

公聴会で語られたこと

地上への影響を否定
豪雨で交通機関が混乱しているさなかの7月6、7の両日、国土交通省主催のリニアに関する「公聴会」が名古屋市内で開かれました。
「公聴会」とは、重要な政策決定をする際、関係者や有識者などの意見を聞く制度。JR東海がリニア建設のため、東京、神奈川、愛知3都県の計50・3キロを対象に、深さ40メートル以上の「大深度地下」使用について国土交通相に認可申請したことから開かれました。
大深度法によると、国の認可を受ければ、事業者は住民に補償することなく、大深度地下を使用することができます。騒音や振動、電磁波、地盤沈下や地下水への影響、地価の下落などが憂慮されますが、JR東海は「問題となることはない」などと、これらを否定しています。
ところが、既に大深度地下使用を認可されトンネル工事が進んでいる東京外郭環状道路で今年5月以降、酸素濃度の低い空気が工事現場の上を流れる川に漏れ出して気泡が発生したり、地下水が流れ出したりするトラブルが発生しています。
公聴会では、事業者のJR東海を始め「賛成」側の7人、「反対」側の6人が公述に立ちました。JR東海をのぞく「賛成」側の6人は、地元経済界などを代表するメンバー。沿線住民からはめったに聞くことのできないリニアへの期待をどのように語るのか、注目しながら耳を傾けました。

合理的説明なされたか

公聴会は公開の場で行われた。「賛成」「反対」の意見を聞く貴重な機会だったが、大手マスコミの姿はなかった

公聴会初日、中部経済連合会の小川正樹氏がアピールしたのは、「新たなライフスタイル」です。
リニア長野県駅が計画されている飯田市は、東京まで高速バスで4時間余りかかりますが、リニア利用で45分に短縮される計画です。想定される効果について、小川氏は次のように述べました。
「飯田に住み、それ以外のところに仕事場がある、という2拠点居住も可能になる。東京や名古屋だけに住むのではなく、(飯田との)2拠点を行き来するライフスタイルが生まれ、若者やシニア層、シニア予備軍の移住も期待できる」
愛知県観光協会の鈴木隆氏は、「愛知県は、2、3泊と長く泊まってもらう観光資源に乏しく、1泊の方がほとんどだ」と、厳しい実情を打ち明けたうえで、リニアで首都圏からの往復時間が大幅に短縮されることにより、「(名古屋の)滞在時間が2時間延びる効果はとても大きい」と、飲食などによる経済効果に期待を示しました。
2日目に登場した名古屋都市センター長の奥野信宏氏は、元名古屋大学副総長で国土審議会会長。「スーパー・メガリージョン構想」を推進しています。
スーパー・メガリージョン構想は、リニア沿線を人口7000万人に上る巨大な広域都市圏として機能させ、東京一極集中を是正したり、人口減少に歯止めをかけたりしようという国家プロジェクトです。
奥野氏はリニア効果の具体例として、名古屋に住む学生が東京の大学に通学出来るようになることを挙げました。
「東京の大学に行きたいというお嬢さんを持つ家庭では、『一人暮らしをさせるのは不安だから、名古屋の大学に行かせる』という話をよく聞くが、40分で通えたら東京の大学へ行かせることも可能になるのではないか」
公述を聞きながら私の頭をよぎったのは、「ストップ・リニア!訴訟」の原告が法廷で語った以下のような言葉でした。
「私たちは、これから行われるリニア新幹線の工事によって、さまざまな被害をこうむることになります。問題は、私たちにそうした実害を与えてもなお、リニア新幹線が必要だという合理的説明がなされていないことです」

リニア大深度地下トンネルが真下を通る予定の名古屋市立大杉小学校。子どもたちの健康は守られるだろうか


vol.185 かなでの沖縄だより vol.9

碧い海、碧い空。沖縄というところ

7月8日、静岡から来た知り合いのTさんたちと南部戦跡巡りをしてきました。最初に陸軍病院南風原壕群20号へ。南風原文化センターから「飯あげの道」という、ひめゆり学徒たちが当時ご飯を担いで壕まで行ったという道はすごい急坂でした。今は道が整備されているけど昔は砂利道だったと聞きました。ここを、攻撃を避けながら食料を担いで行くのはとても過酷な任務だったと考えると恐ろしくなりました。壕の中に入った瞬間冷やっとしました。長さが約70メートルあり、途中19号と21号と2つの壕に分かれる交差点のようなところが手術場。あんな狭い道にベットがあり、すごい臭いがしたり人のうめき声やうなり声が聞こえたと聞くと本当に恐ろしく感じました。たくさんの木々が生い茂っている小山の中に壕があるのに なぜやすやすと米軍に見つかり、火炎放射にやられてしまったのか?という疑問を投げかけたTさん。「今ではこんな森だけど、当時は一面、焼け野原で見渡せたから」と教えてくださった時、わたしは言葉を失いました。ここで私たちのチームをガイドしてくださったおじいちゃんに「私 今沖縄に住んでいるんだよ」話すと、最後に「あなたたち若い子がたくさん学んでたくさん発信してね。あなたもこんなことしたくないでしょう?だから、ちゃんと学んで伝えてね。今日は私の話を聞いてくれてありがとう。来てくれてありがとう」と言ってくださいました。

平和祈念公園・魂魄の塔
次に平和祈念公園と魂魄の塔に行きました。日本では沖縄でしか見られないんじゃないかなというくらい真っ青な空、真っ青な海でした。けれども、1945年の夏米軍の上陸により逃げ場を失った人たちがその絶壁から飛び降りた、恐ろしい光景をイメージしながらこの景色を見ていました。

ひめゆりの塔・資料館
最後にひめゆりの塔と資料館へ行きました。南風原町で壕の見学をし、展望台からの素晴らしい景色を見た後だったので、感動も大きく考えさせられることがたくさんありました。1つ1つの展示物を見て、資料を読んでいたら知らないことばかり。改めて、沖縄戦が激戦だったこともわかりました。同時に、これだけのことを知っている人ってどれだけいるのだろうと思いました。日本で唯一の地上戦。「こんな事があったんだよ」って少しでもみんなに知ってもらえたらと今までで一番強く感じました。
ひめゆりの塔に着いて私が忘れられない光景が1つあります。それは、お花を持って塔の前で泣いて何かを語りかけていたある男性の姿です。二度と同じことを繰り返してはいけないということを改めて思いました。
最後に私のバイト先の奥さんからこんな事を言われました。
「ひめゆりの塔や壕に行って、少しどよんとしたかもしれない。でも、ちゃんと共感できたのは心がちゃんとしている証拠。少しチルダイ(心も体もだれてしまった)しただろうから、途中でアイスでも食べて今の有難さを感じて。亡くなった人は、凹んでないでもっと頑張れ!と言っているはずだよ」と。そうなのかなと思ったら少し前向きに考える事ができました。学んで終わりでなく「ちゃんと伝えて、みんなで考えて、二度と同じことを起こしたらいけないんだよ」と思いました。南部巡りもして、私の大好きなお店で沖縄料理を食べたり、海水浴をしたり…。楽しい時だったし、とても勉強になりました。
沖縄って素敵な場所だなって改めて思いました。でも、ここまでにすさまじい歴史があり、今も基地問題やオスプレイ問題などのたくさんの問題をかかえている沖縄です。海水浴をしてる上をオスプレイが通って行きました。なんでこんなに素敵な場所が力ある者の意のままに踏みにじられていくのかと思うと、とても辛く思います。みんなが幸せな暮らしができる。そんな世界にしたいと心から思います。


vol.185 プレゼントコーナー

PRESENTS 185号

1- あなたの
「リフレッシュ方法」教えて!
みんな忙しい毎日。どんなふうにリフレッシュしてる?
2- 気になるにらめっこ紙面での広告
3- 気に入った記事、気に入らない記事の
タイトル1つ・その理由もお書きください。
4- ご希望のプレゼント名
(第1希望・第2希望)
5- 本紙をどこで入手されましたか?
6- 氏名、年齢、住所、郵便番号、電話番号、家族構成

 

プレゼントご希望の方は
ハガキまたはe-mailで、上記のアンケートを
1〜6までご記入の上、編集部・プレゼント係りまでお送りください。
〆切:9月25日 当日消印有効。
Dはにらめっこ編集室に受け取りに来ていただける方。
宛先
〒504-0855 各務原市蘇原新栄町2-25
e-mail: info@niramekko.com
※お寄せいただいた個人情報は、本紙プレゼントの発送に限り、 使用させていただきます。

 

A.ロケット発芽にんにく引換券  大堀研磨工業所様より…5名様

地元各務原で、航空産業に携わっている町工場がなんと!無農薬のやさいを作りはじめました。今回はにらめっこ読者に発芽させることで栄養価をぐ〜んとアップした「ロケット発芽にんにく20g入り3袋」をプレゼント!商品は大堀研磨さん(各務原市蘇原寺島町)でお受け取りください。※写真はイメージです。

 

 

 

 

B.9条ボールペン にらめっこより…3名様

本体横にあるつまみを引っ張ると、あ〜ら何と、憲法9条のアピール文が!日本の憲法は今、どこがどう変わろうとしているのか??
それをあなたはどう思う?このボールペンをきっかけにして憲法について考え、みんなで話してみよう!

 

 

 

 

 

C. CINEX映画招待券 シネックス様より…ペア3組様

映画館で鑑賞する良さの1つに音響の素晴らしさがあります。体にズゥンと響く低音。あらゆる音は劇場全体の空気を揺らし、肌で音を感じるような感覚。それは映画館ならではの味わいなのです。写真は「チャーチル ノルマンディーの決断」より。招待券は柳ヶ瀬のシネックスでお楽しみください。

 

D.絵本[ちいさな島の日本人] かわさきまりあ様より…3名様

読む人の心が少しでもあたたまりますように…。そんな作者の心がそのまま絵本になりました。「君のおかげでぼくがいる」と表題の2つのお話しが収録された、かわいい15cm × 15cm サイズの絵本です。


vol.185 編集部で取り扱っている商品のご案内

にらめっこ編集部では、体や環境に配慮した商品を扱っています。
お近くにご用の際にはのぞいてみてくださいね。ここに出ているもの以外もありますよ。

玄米珈琲 メモリザ

玄米を焙煎したカフェインゼロ珈琲。お子様や妊娠中の方でも安心していただけます。着色料、香料、保存料など化学的なものは一切入っていません。カラダに必要なエネルギーとビタミンE・玄米ポリフェノールやフィトケミカル・ミネラルを豊富に含み、美容と健康にとても良いと言われています。また、身体を芯から温めてくれます。(顆粒1袋1,800円)

 

微量栄養素ふりかけ げんきっこ

微量栄養素をたっぷりバランスよく取り入れるため、頭ごと煮干し、頭ごと焼きアゴ、昆布が、これらの消化吸収を高めるため空心菜、キクイモ(無農薬)が入ったふりかけです。毎日の食事にごはん、おかず、何にでもふりかけてお召し上がりください。ミネラルが補給され、心や身体の不調が改善された、という報告もありますよ。(60g入り600円)

 

ほうじ茶 ちゃぼぼ

760年もの年月を引き継ぐ、岐阜県揖斐郡旧春日村の在来種の茶畑。自然の甘味と大変よい香り、味に深みがある在来種の茶木は地中深く深く根を伸ばし、大地に呼応し、自然の恵みだけでゆっくり育ちます。丁寧に手摘みし、仕上げたほうじ茶は香りがよく、深い味わいなのに後味はすっきり!農薬不使用、自然栽培、無添加のほうじ茶を味わってみてね。(150g入り1,296円)

 

善玉バイオ洗剤 浄

善玉バイオを使った、洗濯物・人・環境に優しい洗剤です。【善玉バイオ】生態系の中に存在する善玉菌や酵素で洗浄します!【優れた再汚染防止性能】一度落ちた汚れを衣類や洗濯機によせつけません。【肌にやさしい自然派】植物性の界面活性剤成分は0.5%以下!衣類への界面活性剤の残留がほとんどなく、赤ちゃんや敏感肌の方にも安心してご使用できます。(1.3kg入り1,296円)

 

植物油脂100%洗濯石けん スノール

良質の天然植物油脂を原料にした純石けん分99%の無添加石けんです。手肌にやさしく、デリケートな衣類も洗えると好評です。水に溶けやすく泡立ちも豊かで汚れをきれいに落とします。蛍光増白剤、香料、着色料やLASなどの合成界面活性剤を使用していません。(1kg入り799円)

 

 

こいくちしょうゆ 茜しょうゆ

国内産大豆・小麦、自然塩を使った天然醸造醤油です。木樽にて1年以上長期熟成させれた醤油。やや甘口の上品でまろやかな味。煮物などによく合います。(720ml入り687円)

 

 

 

国産なたね油 菜の花畑

国内産の農薬不使用栽培なたねを使用した圧縮一番搾りなたね油。精製は手すき和紙でろ過するだけで、添加物や化学薬品は使用していません。なたね本来の風味が豊かです。天ぷらや炒め物にどうぞ。(720ml入り918円)

 

 

グルテンフリー ライスパスタ

お米を主原料として作った、乾麺タイプのスパゲッティーです。お米から作ったとは思えない、コシのある食感と歯ごたえ。パスタソースにもよくから絡みます。岐阜県産のハツシモを使用。 グルテンフリー商品です。
※この商品の収益はすべて放射線量の高い地域に住む子どもたちのための活動に役立てられます。(青空の下つながろう会https://www.facebook.com/Tsunagarou2012/)(200g入り350円/3袋1,000円)

 

完熟もみがら堆肥 いぶきのめぐみ

お米を大切に守っている『もみがら』を醗酵(はっこう)・炭化した、これまでにない堆肥です。畑や花壇の土に、5cmくらいの厚みでまいて軽く混ぜるだけ。水はけや通気性が良くなり、土がふかふかになってきます。また、株元やうねに2~3cm敷き詰めるとマルチになります。乾燥、泥はね、雑草、凍みあがりを防止しつつ、土と一体化します。(40L入り)

※ご紹介した商品はweb販売はしておりません。申し訳ありませんが、購入を希望される方は、編集室にお立ち寄りください。また、物によっては品切れになることもあります。事前にご連絡をいただけると確かかと思います。m(_ _)m

 


*** お知らせ♪ 2018年こども芸術村 芸術祭は10月14日

今年のテーマは「ツリーハウスをつくるぞ〜!」。

日本一の気温を記録した飛騨金山でしたが、暑さもなんのその、子どもたちは見事な集中力を見せてくれました。
朝ごはんの前に作りだしたり、おやつも忘れて作り続けたり。そのかいあって、素晴らしいツリーハウスができあがりました!

今年は作品展は現地での「ツリーハウスお披露目会」となります。
10月14日飛騨金山の森キャンプ場 ささゆりにて(現地集合、解散)詳細は後日
保護者の方にもツリーハウスを見ていただいたり、活動記録映像を観たり、交流会をしたいと思っています。

 

 


vol.184 いのち特集


前号では「環境」特集として「森・川・海 つながるいのち」森・川・海が人とつながること、自然の懐に入って楽しむことをお伝えしました。今号ではさまざまな視点から「いのち」について考えてみたいと思います。
いのちの特集、むずかしいテーマに取り組んでしまい、編集に四苦八苦していたところ、素敵なメッセージに出会いました。北海道旭川市にある旭山動物園の前園長のブログです。旭山動物園の許可をいただいて掲載をさせていただきました。

伝えるのは「命」
旭山動物園の命題は「生命を伝えること」です。

46億年も前に地球上で誕生した生命が長い長い時間をかけて,さまざまな生物を生み出しながら現在に至っています。生命の誕生も奇跡だったでしょうが,それがこんなに長く続いていることもまた奇跡なのではないでしょうか。どのくらい奇跡かというと,私の命は両親から受け継いだものですよね。父母はまたそれぞれの両親からいただいた命です。そのまた両親は・・・というように生命の糸は,延々と続くのです。さらに,ヒトが現れる前にまでさかのぼり,ほ乳類の登場から両生類~魚類~無脊椎動物~単細胞生物まで,それこそ地球の歴史をさかのぼって私たちの生命の糸は切れることなく繋がっているのです。ですから,命とは自分のものであって,自分だけのものではないのです。このことは今,地球上で生きている生物,すべてに言えることなのです。

さて,その命がよく分かりません。誰かが,命を教えることができるのでしょうか。“いのち”という言葉は教えることができます。でも、子どもから「命って何ですか」と訊かれて答えることができる人が,果たしているでしょうか。だいいち,命は見えないし、さわれないし、絵にも描けません。ですから,「命を大切にしましょう」と言われても子どもたちにはその意味がよく分からないのではないでしょうか。
10年以上も前のことです。幼児にニワトリをさわらせて解説をしていた時、中学生が「僕にもさわらせてください」と近寄ってきました。そして鶏冠に手を触れた途端、手を引っ込めて「温かい」と目を丸くしたのです。以下二人のやりとりです。

小菅「君はニワトリが温かいことを知らなかったの」
少年「いえ、ニワトリは恒温動物ですから体温を持っています」
小菅「では、なぜ驚いたの」
少年「そうですね、何で驚いたんだろう」
彼は,不思議そうにしていました。知識として鳥は恒温動物であることを知っていましたが、実体験がないので、「鳥」が知識だけに止まり、生きている鳥を認識していなかったのでしょう。
命でも,まったく同じことが言えるのではないでしょうか。
旭山動物園には,家畜やペットとふれあえる「こども牧場」があります。そこでは、幼児を椅子に座らせ、膝の上にスタッフがウサギやモルモットをそっと置き、抱き方を指導しています。ウサギに触れる前の幼児にウサギを見せて,「ウサギ、どうだった」と聞くと、ほとんどの子が「かわいかった」と答えます。ところが、ウサギを抱いた後で同じように訊いてみると、「フニャフニャしてた」とか「あったかかった」、「やわらかかった」、「コトコトいってた」という答になるんです。

幼児の行動を観察してみると、不思議なことが見られます。多くの子どもが、ウサギを両手で抱え込み、頭を下げて全身でウサギを包み込むのです。誰も教えていないのに・・・。私は、その瞬間に命は伝わったのだと思います。命は覚えるものではなく、感じるものだからです。でも、それだけで“命の大切さ”は伝わりません。そのためには,命は決して後戻りしないことを知らなければ・・・・。

最近,耳にしたことですが、“死んでも生き返る”と思っている子どもが少なからずいると言うのです。本当に驚きました。それは,「死」が私たちの生活から遠ざけられてしまったからだと思います。最近では、人は病院で生まれ病院で死ぬので、子どもたちが,命の始まりと終わりを実感することが少なくなってしまいました。一方で,新聞やテレビで多くの人の「死」が伝えられてはいます。悲惨な報道を目にしたりもします。でも,どうでしょうか,そのことで自分の心が痛み苦しみ耐えられなくなることがあるでしょうか。やはり,心が最も痛むのは,家族や共に暮らしていた動物たちが死亡したときであり,次に友人,そして知り合いというように,だんだん薄まっていくのが実感ではないでしょうか。
命の大切さを心に刻むには、身近な生きものの死を体験しなければならないのだと思います。愛しているものの死に臨んだ時の心の苦しさが、“かけがえのない命だからこそ、大切にしなければならない”ことを認識する大切で唯一の瞬間なのです。
愛するものの死を通してしか、生きていることのすばらしさは伝わりません。
そして,その命が地球上に存在するためには,命の入れ物が必要なのです。その入れ物がヒトであり,オランウータンであり,オジロワシなのです。

私たちが生命の奇跡に気付いてはじめて,すべての生命がかけがえのないものであると認識できると思います。そういう人々は決して動物たちを苦しめません。そういう人々が多くなれば,この地球上から多くの野生動物たちが絶滅してしまうような事態は絶対に回避できると信じています。このままでは,危ないのです。恐竜たちが絶滅していった時代を大絶滅期と呼ぶのであれば,まさに我々は大絶滅期の中に踏み込んでしまっているのです。この大絶滅の渦巻きから動物たちを救うことができるのは私たち人間だけなのです。

昨年8月に死んだキリンの「タミオ」です。彼が21年間伝えてくれた「命」は私たちにたくさんのものを残してくれました。

旭川市旭山動物園ホームページから引用
平成17年3月4日 旭山動物園長小菅正夫(当時)

「いのち」について 助産師 赤塚庸子さんに聞きました。

心のいのち

<人が人たるゆえんは言葉>
いのちって、生体としてのいのちもあるけど、精神、心が病んでるというか人としての本来のいのちがあまり生きていないんじゃないかって思うときがあるんです。それはおそらく人としての共感とか、相手を思う気持ちとかが希薄になってしまっているから。
今、特に若い人たちが変わってきましたよね。とくに遊び方。その一つゲームが気になります。ボタンひとつで答えが手に入り、欲求もある程度満たされる。画面を見つめる姿はちょっと奇異です。さらに電話は苦手、就職試験の連絡もメール・・・。それでは言葉を発することが少なくなるよね。わたしは人であるゆえんって言葉だと思うんです。言葉を介して共感することがとても大事だと。それを使いこなせないと、社会全体が立ち行かなくなるのではないかと不安に思います。

<生きていく基本は食べること>
今から20年ほど前にデザイナーズベイビーについての記事を医療系の雑誌で読んだことがあります。自分の好みの目の色、髪の色、肌の色、身長はこれくらい、IQが高いとか…そういう全てをデザインして、自分の希望に叶った子どもをもうけることは、近い未来難しい事ではないと。もちろん倫理的な問題はおおいにあります。また、さまざまな理由から自分と同じDNAでクローンを作り、もう一度自分の人生をと考える人もいるけど、魂とか精神は同じではないですからね。そんなことを考えると何か末恐ろしいんですけど、あまり恐ろしい事を想像すると楽しくないですね。
人が生きていく基本って結局は食べることじゃないかな(笑)。食べることって楽しい。でも食べることは、他のいのちをいただくこと、決して無駄にしてはいけないんですね。私は小さい時に「お米一粒には千人の神様がいる」っていつも言われてました。だからどうしてもごはんを一粒も残せないの。

<他を思いやる気持ちで>

この世はもう全てが矛盾だらけ。その中でいかに過剰に動物の命をとらないとか、自分が他者の不幸の上に立たないようにするとか、誰かが喜ぶことをするとか、その時その時に選択して生きていくしかないんじゃないかな。
子育てって待つ事ばっかりだし、お産も待つ事ばかりです。でも今の私たちは、手間をかけるということに価値を見いださないですよね。密猟や貧困な人々の搾取の上に成り立つ商品や問題ある家畜の飼育方法とか、全然違うように見えるけど、それってワンクリックで手間をかけずいろんなものがデリバリーされてくるということの延長なんですよ。ネットで朝注文したものがその日の夕方や翌日の午前中に来ることが日常茶飯事。そこで2日間待たされた時にどういう感情が芽生えるのか。面白くないという感情だとしたら、それが全国に蔓延したときにどうなるんでしょう。ヒューマンエラーは絶対ある。相手を非難するんじゃなくて、お互い様っていう気持ちをもちたいですね。

先日、「助産師として気になる母子って?」というインタビューを受けました。多少体重が少なくても、おとなしい子でも、言葉が遅くても、それはその子の個性です、特に小さい頃はね。子どもの方に問題を感じてこの母子気になるな、という場合はまずないんです。むしろ、お母さんの視線とか、声のかけ方、言葉つかいなど、ちょっとした仕草、そういうのが気になります。いのちを育む(はぐくむ)側である大人の、子どもへのまなざしや接し方が鍵だと思います。

あかつか ようこ●プロフィール
1966年、岐阜県生まれ。助産婦学校卒業後、総合病院や個人病院で助産婦として勤務。医療施設以外でのお産に興味を持ち、助産院の見学や短期研修を体験。
平成13年に実妹の自宅出産をサポートする。
平成16年6月、地元の岐阜県各務原市にゆりかご助産院開業。市内で入院分娩ができる唯一の助産院。
(社)日本助産師会会員 岐阜県助産師会会員

私たちの暮らしは、動植物の命に支えられていると言っても過言ではありません。そこで、あらゆる「いのち」に思いを巡らせてみました。下記は否定でも肯定でもありません。現実です。それぞれの現場では、生活の糧にしている人々もいます。複雑な問題が絡み合っていますが、あえてシンプルに考えてみます。そして、自分のいのちをつないでくれるのは、他のいのち。そこに浮かび上がってきたキーワードは・・・「いのちの尊厳」と「感謝」。

食文化と称して
魚貝類、肉類など動物を食べること。その地域の特徴もある。アザラシ、鯨、イルカ、カンガルー、ワニ、鹿、いのしし、うさぎ、亀、コウモリ、などなど数え上げたらキリがないくらいの野生動物もその土地に根付く食生活に欠かせない。
それは植物にも当てはまります。

世界の珍味ともてはやされて・・・
・フォアグラ・・・強制給餌の果てにいのちを
奪われるガチョウ、あひる。
・フカヒレ・・・生きたままひれを引き裂かれ
海で窒息死するサメ。
・キャビア・・・基本的に魚卵は、
食品用には魚の腹を開いて取り出されます。

害獣と位置づけられて
人間活動に害をもたらす哺乳類に属する動物一般をさす言葉。 人間の多い地域では、家畜などの飼育動物以外はほとんどがこれに含まれる可能性があります。
農作物に被害が出ると、狩猟。最近ではジビエ料理として、
狩られた動物を提供するレストランも。

害虫といって嫌われて
人間(ヒト)や家畜・ペット・農産物・財産などにとって有害な作用をもたらす虫。 主に無脊椎動物である小動物、特に昆虫類などの節足動物類をいいます。駆除には殺虫剤が使われることが多いですが、環境に負荷を与えることにも注意が必要とされています。

ペットの殺処分・・・人間の身勝手の果てに
あなたが選んだその子犬は、あなただけが頼り。
空前のペットブームの裏側で暗躍する、ブリーダーや引き取り屋の実態。大量生産・大量消費の影で起こる遺伝病の問題なども含め、行き場のない犬・猫が
大量に発生している現状。

密漁・・・人間の欲望の果てに
象牙、それはゾウの命です。ゾウだけではありません。
サイ(角)、トラ(骨)・・・。海では赤珊瑚も密漁で絶滅の危機に。私たちは、食品、医薬品、ペット、衣類、装飾品などいろいろな形で野生生物を利用しています。
植物の種や動物の羽、牙、爪、毛、骨など、実にさまざま。
世界にはさまざまな野生の動植物が生息していますが、
人間による過剰な利用によって絶滅の危機に瀕しています。

いのちを思うときぜひ読んで欲しい本をご紹介


いのちつぐ「みとりびと」
みとりびと1
恋ちゃんはじめての看取り
おおばあちゃんの死と向き合う
著者:國森康弘 文・写真
【第1巻】おおばあちゃんの死と向きあう恋ちゃん(小5)の想いをたどりながら、あたたかな看取りの世界を臨場感あふれる写真・文で描く。
出版:農山漁村文化協会(農文協)

おおきなけやき
作: 林 木林 絵: 広野 多珂子
この冬最後の寒さがやってきた日、森で一番背の高いけやきの木が倒れました。森で一番歳をとっていたのです。
倒れたけやきの周りに、森に住む動物たちが集まります。日当たりがよくなったけやきの周りには、他の木がどんどん伸びていきます。やがて時が過ぎて、静かに土にかえったけやき。そこには新しい木の芽が生まれてきました。
出版社: 鈴木出版 ¥1,200 +税


vol.184 アウトドア特集


基本の虫よけ対策
スプレーなど虫よけアイテムを、と考える前に、危険を回避するとても大事な虫対策。蜂対策はできるだけ薄い色の服で!黒や赤など、濃い色の服は蜂に狙われやすいと言われています。理由は定かではありませんが、白や水色など、薄い色の服のほうが無難。帽子もできれば色の薄いものを。また、蜂が近くに飛んで来るとつい手で払ったりしがちですが、これはNG。蜂が攻撃されていると勘違いして、反撃してくる可能性があります。静かに、じっとして通り過ぎるのを待ちましょう。

靴やバッグの中身をよく確認
海のキャンプで靴の中にムカデが入っていることに気づかず、そのまま履いて刺された経験、ありませんか?ムカデに限らず、靴やバッグの中に虫が潜んでいる可能性は十分にあります。靴を履くとき、バッグの中から洋服を出して着るときは、必ず虫がいないことを確認してからにしましょう。

持って行きたいアイテム
・ケガに
絆創膏/消毒液/包帯/ガーゼ/創傷被覆材/サランラップ/固定テープ
・やけどに
冷やしタオル/鎮痛薬/非ステロイド軟膏(患部に塗ると治りが早まります)/コップ、ビニール袋
・虫除けに
虫よけスプレー/虫よけキャンドル/蚊取り線香/ステロイド軟膏/抗ヒスタミン剤/ポイズンリムーバー

ポイズンリムーバー
一家にひとつ持っておきたいのがポイズンリムーバーです。傷口に吸い出し口を当て、レバーを引いたり、ピストンを押すことで、皮膚の下にある毒を吸い出せます。蜂やムカデなど強力な毒を持つ虫に刺されたときの応急処置に、用意しておくとよいアイテムです。

刺されたら直ぐにポイズンリムーバーで応急処置!
:ミツバチ、アシナガバチ、スズメバチなど。中でもオオスズメバチの危険度は高く、土の中に巣を作ることが多い。
ムカデ:刺されると30分くらいは動けなくなるほど痛い! 山よりも海辺のキャンプで多く見かけます。
ブヨ:蚊より大きくハエより小さい。人の身体を口で噛んで吸血します。蚊より痕が大きく強いかゆみが残る。
:「困った虫」の代表格。池や水たまり、川の流れが弱い淵の近くに発生しやすく、テントはできるだけ離れて設営したほうがよいでしょう。
マダニ:藪に潜む小さな虫は、対策は潜む場所に「近寄らない」こと!

スズメバチは決して手で払わない!怒らせるだけ。その代わりにこれを試してみよう。

粉コーヒー
ボールに粉コーヒーをとり、ライターで少し燻しましょう。煙がスズメバチを遠ざけます。
にんにく
スズメバチはにんにくの芳香油も苦手。にんにくを割って置いておきましょう。
茶色の紙袋
これは面白い方法です。大きめの茶色の紙袋を置いておくと、スズメバチは他のハチの巣があると錯覚して戦いを避ける為に近寄らないのです。

つくってみよう!カンタン虫除けスプレー
ハッカ油で虫除けスプレー!
市販のものより虫除けの威力は落ちるのですが、日常的に使うのであれば安心して使えコスパも良い「ハッカ油」で虫除けスプレーを使ってみませんか?ハッカが苦手な虫は【ゴキブリ・蚊・コバエ・アリ・ダニ】など。

◎ 用意する物
・無水エタノール(10ml)・ハッカ油(20~40滴)・精製水(90ml)
・スプレー容器(ハッカ油はポリスチレン(PS)を溶かしてしまいますので「ポリプロピレン(PP)」「ポリエチレン(PE)」「ガラス製」「陶器」「耐油性」「耐アルコール性」の容器を)
◎作り方
①-無水エタノール10mlとハッカ油20~40滴を良く混ぜる。 ②-スプレー容器に移し、精製水90mlを加え良く混ぜる。 ③-使用する時は良く振って。使用期限は約1週間から10日。しっかり虫除けをしたい時はハッカ油の濃度を上げる。
◎使い方
コバエ・ゴキブリが出そうな台所・ゴミ袋・エアコン周り・部屋・車の中◎ダニがいそうな布団・カーペット・畳◎蚊や虫が入りそうな網戸、玄関にスプレー。
◎ハッカの効用
抗菌効果:メントールに高い抗菌性。
覚醒効果:神経を落ち着ちつかせイライラや眠気・ストレスに効果的。
殺虫効果:ほとんどの虫が嫌いなハッカの香りで虫を寄りつかないようにします。
消臭効果:天然の芳香剤になるハッカは人間とペットにも優しい成分。部屋のダニには100%の殺ダニ効果があると報告もされています。梅雨時期からしっかり掃除をしていても体が痒く感じる時には、布団やカーペット、畳にハッカ油スプレーをしてみて下さい。

虫に刺されたらハッカバーム
「ハッカ油」バーム(軟膏)

◎ 用意する物
ワセリン(10g)ハッカ油(6滴)容器
◎作り方
ワセリンとハッカ油を混ぜるだけ。密閉容器で保存。混ざりにくく感じた場合は、湯煎したり、ドライヤーで溶かします。ワセリンは、不純物が少ない「白色のワセリン」で日本製を選びます。
虫さされのほか・軽い切り傷・かゆみどめ、肩こり・頭痛・鼻づまり・心身疲労・乗り物酔いにも効果があります。


vol.184 カタコトの部屋 災害時に役立つパッククッキング

災害にあったときのために、知っておくと便利な「パッククッキング」。
今回は参加ママたちが、お米1合(もしくは主食メニュー)と、
パッククッキングおかずメニュー1品を各自で準備し、持ち寄りました。
ガスコンロとボンベを使ってさぁ、挑戦!

パッククッキングとは、ポリ袋に食材を入れて湯せんで火を通す調理法。ガスや水道、電気などのライフラインが使えなくなっても、カセットコンロ、鍋、水、ポリ袋を準備すれば簡単な食事を作って食べることができます。

今回のメニュー
主食:ごはん、炊き込みごはん
リンゴジュースで炊くごはん
(炊飯用の水が不足と想定して)
おかず:野菜スープ、肉じゃが、さつまいもの塩煮、汁なし中華そば、切干し大根煮、ポテトサラダ カレー味
おやつ:バナナ蒸しパン、米粉ういろう
※番外編:味噌玉で味噌汁
冷蔵庫にあるものを、味噌でくるむだけで、食材の保存期間も長くなり、パッククッキングのお湯が使える。

用意するもの
食材・調味料・水・カセットボンベ・ガスボンベ・鍋・ポリ袋(耐熱性のもの)
災害時にあると便利
牛乳パック(切って食器に、切り開いてまな板に)
キッチンばさみ・ナイフ

作り方はかんたん!
① 材料と調味料を袋に入れる。空気を抜いて袋の上の方で口を結ぶ。(調理で温まった空気が膨張して袋が破裂しないよう)
② 鍋にお湯を沸騰させます(今回は5ℓ使いました)沸騰まで17分
③ 袋を入れて蓋をし、ふきこぼれないように30分間温める。
※袋が底やふちについてしまうと溶けて破れる可能性あり
汁なし中華そば15分、ういろう25分で取り出す。
④ 30分たったら袋を取り上げ、ごはんは10分蒸らす。
※鍋のお湯はまた使えます。

tocotocoメモ
今回は炊飯用、鍋の水合わせて6ℓの水と、
ガスボンベは1/2本を使用しました。
災害時に1日2回パッククッキングするとして、
1日1本のボンベが必要という計算になります。
ただ、その日の気温などでもっと必要になるかも。
多めに準備するといいでしょう。

いっきにできたよ!ほっかほか〜♪

 

参加ママたちの感想
★実際に震災が起きたとき、初めてではできないかも。でも、一度経験したのでいざというときでも作れそうです。
・蒸しパンがおいしかった。味噌玉は保存が効くしすぐ作ってみたいと思いました。(Mさん)
★どんな袋を使えばいいか比べてわかりました。
・鍋のお湯が体拭きなどに使い回しできるところがいいわ。
・今回、自分で準備したので勉強になりました。(Yさん)
★りんごジュースご飯が冷めた後、お酢を加えて酢飯にアレンジ、とは目からウロコでした!
・車麩など水分吸うものが腹持ちがよく、重宝することがわかりました。ストックしておきます。(Kさん)
★高密度ポリエチレン袋でもパッククッキングに対応していないものがあることがわかりました。できれば厚手で破れにくい日本製だと安心して使えそうです。
・数種類のおかずと主食が一気にできるから、全部ができたてほかほかの温かい状態で食べられる。震災時にはとても安心すると思います。
・途中で味見ができないから、濃い味や凝った複雑な料理より、シンプルなのが美味しいと思いました。(Tさん)

子育てコミュニティ toco toco
子育て世代のやってみたい、知りたい、学びたいことを、自ら企画・運営。誰かが講師、受講者という立場のない、一人一人が活躍する「学び合い会」を中心に、顔と顔を合わせて集う良さを生かした活動を展開中。
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