投稿者「にらめっこ高阪」のアーカイブ

vol.191 菌ちゃん野菜応援団 vol.12

さぁ、収穫だよ!


私たちの会には時々こんな電話がかかってきます。 「収穫しきれんかった玉ねぎが大量にあるんやわー。今夜雨降ったら腐ってまう、手伝ってくれへんやろか?お土産つけるで」

「今じゃがいも掘っとるけど、数が多いわー。手伝いに来てくれたら規格外のお土産あげるよー」

さぁ、大変!ラインやフェイスブックで慌てて告知です。

運良く予定の合った人たちがわらわらと現地に集合。時には子どもちゃんも一緒に作業開始。
一人で畑作業はしんどい時もあるけど、みんなとやったらとっても楽しい。

うわぁ、この玉ねぎ、君の顔よりでっかい!!
なにこれ、じゃがいもたくさんついてるー!!!

大人も子どもも目がきらっきら。

もう帰るー、なんて泣いていた子もほら、にこにことお野菜運んだり。力を合わせて何かを成し遂げるって大きな自信になるんでしょうね。

収穫したお野菜の一部はキャンプに使われたり保養活動で福島から来る人たちのご飯になったり。

自分のおうち以外のところに渡っていくお野菜さんたち。こんな体験を重ねながら食卓の向こう側に想いを馳せれる子に育ってくれたら。

嬉しいなー。



vol.191 かなでの沖縄だより 最終回

3年前、各務原で平和について学び行動してきたかなでさんが、沖縄で声楽を学びたいという夢を持ち、猛特訓の末にその夢を実現させました。そこでボクは彼女をサポートしてくれる先輩として、京都出身で沖縄在住のゆきえさんを紹介しました。沖縄と内地の食い違いや沖縄の現実について身をもって体験しているゆきえさんは良き先輩になったようです。この連載を終えるに当たり、この3年を振り返ってもらいました。(國枝)

私が沖縄で感じたこと、そして考えていること!

 私にとって沖縄の問題が気になり始めたのは、2016年高校三年生のオープンキャンパスで沖縄に行く前、沖縄に居る米軍関係者が女の子を殺したという事件があってからのことでした。
 沖縄に来たばっかの時は、各務原の自衛隊の飛行機の騒音には慣れっこになっていた私も、それとはまた違う大きな音にびっくりしたり、ミサイルが飛んだという知らせのアラームにびっくりしたりして、そのたびにゆきえさんに連絡していろんなことを教えてもらっていました。この3年間、ゆきえさんにはアルバイトからいろいろな相談事まで本当にお世話になってきました。
 初めのうちは驚いていたYナンバー(米軍関係者およびその家族が乗っている車のナンバー)も今はそれが普通になってしまっています。
 騒音で起こされるのも、オスプレイが飛んでいることも「あっ、また」って思ってしまうくらい普通になってしまっているのです。ただ、ひとつ変わらない気持ちは「怖い」ということ。オスプレイが飛んでいる、あの音がするだけで怖いと思う気持ちには普通ならないと思います。
 私がこういった事に関してもっとちゃんと考え始めたのは、ゆきえさんに出会うことができたから。何かひとつ聞けばたくさんのことをお話ししてもらえて、私自身色んな事を考えることができるようになりました。辺野古基地建設のことも。ゆきえさんの娘さん、ひろちゃんの大浦湾の貝の発表を聞いて、豊かな自然が破壊される可能性が高い現場を実際に見て「何とかしなきゃ」って、また更にその問題について考える事ができました。だから、県民投票の時も、参議院選挙の時も私の思いが伝わるか伝わらないかはわからなかったけど、話すだけ話すという事をやってきました。それをやった事で、無意識だった友達が少し考えるようになってくれたこと、話すことができなかった政治の話を話せる雰囲気になったことが自分の中で一番大きいと私は思っています。

 これから先、沖縄でなにが起こるか起こらないかはわかりません。民意を無視している政府のやり方がこのまま続いていくのか、沖縄の政治的な力関係は変わらないのだろうか、それもどうなるかわかりません。沖縄には巨大な基地があって、そこに所属する人たちが問題を起こし続けている可能性もあります。
 でも、これは沖縄だからじゃない。どこにでも起こり得る問題だという事を忘れないでほしいです。沖縄だから関係ないじゃなくて、みんなの問題として考えてほしいと私は思います。
 特に、各務原にはかつてアメリカ海兵隊の基地があり、1953年には犯罪などの多発により住民が反対運動を起こし、結果として1956年アメリカの統治下にあって反対運動を抑えやすい沖縄に移転したという過去があります。それにより、沖縄への負担が増えたのです。これが沖縄でなければ沖縄の負担が減っていたかもしれないのです。かと言って「各務原市に米軍基地を戻しましょう」となったとして、素直に受け入れることができますか?私ならできません。今思っている自分の気持ちと同じ思いを他の人にして欲しくないから。

 これで連載は終わりになりますが、私は「戦争と基地と平和」について考えながら残された1年半を過ごしていきます。みなさんもぜひ一度沖縄に来てもらって、「沖縄と基地と平和」について考えませんか?


vol.191 夢か悪夢かリニアが通る!vol.20

「太陽」が奪われる前に

 「ただ単に『止めたいから止める』としか受け止められない。2027年度のリニア(中央新幹線)東京―名古屋開業が今、この段階で、静岡県の意図的な行為によって遅れることは到底、受け入れることはできない」「(リニア建設を)どんどん進めてもらいたいというのが、私がお聞きする静岡県民のほとんど、というか全員の声ですよ。静岡県民や経済界に聞いてみたい。『静岡県のせいでリニアが止まっていいんですか』って」――愛知県の大村秀章知事は7月29日の定例会見で、いら立ちを隠さずまくし立てました。その「矛先」は、リニア南アルプストンネル掘削によって「大井川の水が毎秒約2トン減る」問題などを巡り、着工を認めていない静岡県の川勝平太知事に向けられています。   井澤宏明・ジャーナリスト

リニア工事差し止め訴訟第1回口頭弁論で、甲府地裁に入る秋山さん(前列左から2人目)ら(7月30日、山梨県甲府市で)

登山基地が工事現場に

 川勝知事は6月13日、大井川源流部のリニア工事予定地を視察しました。目的地の1つが南アルプス南部を代表する赤石岳や聖岳の登山基地「椹島」(さわらじま)。その風景は、私が2年前に訪ねたときとすっかり様変わりしていました。
 登山者が清流のせせらぎに耳を澄ませ、疲れた体を休めていた憩いの場は、工事事務所や巨大な作業員宿舎などが建ち並び、工事現場のよう。これで、トンネル工事が始まってしまったらどうなってしまうのだろうと、「かつて」登山者だった私も、恐れおののかずにはいられません。
 案内したのはJR東海の宇野護副社長。「準備工事は終盤戦。できれば引き続いてトンネル工事を進められるよう話し合いを続けながらやっていきたい」と本体工事着工を急ぐ考えを示しましたが、視察を終えた川勝知事は「今はとてもじゃないけど、ゴーサインを出せるような状況ではありません」と厳しい表情を変えませんでした。

「夜も寝付けない」

 隣の山梨県では、住宅地の真上を通るリニアの巨大高架橋によって生活が破壊されるとして、南アルプス市内のリニア建設工事差し止めなどを求めて住民が起こした裁判が7月30日、甲府地裁で始まりました。
 意見陳述に立った秋山美紀さん(47)は8人の原告住民の1人。自宅建物のわずか約2メートル南東側に、高さ30メートルにもなるリニア高架橋が計画されています。秋山さんは訴えます。
 「最悪な生活環境になるのにも関わらず、ここ(高架橋)にかかる土地代と30年間分の日照補償だけで、『ここに住め。お家の方は買えません』というJR東海のお話でした。とても納得できる状況ではありません」

多くの取材陣やJR東海職員に囲まれながら視察する川勝知事。後ろは作業員宿舎(6月13日、静岡県の南アルプスで)

 今年6月には、走行試験が行われている山梨リニア実験線の高架橋を、夫婦で見に行ったといいます。
 「高架橋の下に立ったときの恐怖感は計り知れません。『ここに何十年も住まなければいけないんだね』って、夫婦で話をしましたが、帰りの車では2人とも黙ったままでした」
 さらに、JR東海の予測(冬至)で周辺の日照が1時間に満たなかったことから、「寒い時期に太陽の恵みをほとんど受けられない。耐えがたい苦しみが一生続く状況です」と述べ、交代勤務の夫が、騒音で不眠になる不安にも触れました。
 「リニアで、このような弊害をまとめたような宅地に一変する。一生ここに住まなければと考えるだけで、夜も寝付けません。人として最低限の平穏な日の当たる暮らしだけを願って今ここに立っています」
 秋山さんは裁判長に向かって毅然と述べました。
 原告代理人の梶山正三弁護士は「もともと正当な補償を求めてきた人たちが『工事を止めろ』に変わった。JR東海には正当な補償を求められないので、工事を止めてもらうしかない」と、提訴の目的を説明しました。

JR東海の宇野副社長(手前中央)らから説明を受ける川勝知事(その左)

 続いて、「少しでも現地を見ていただきたい」と裁判官に求めました。訴えの棄却を求める答弁書を出したJR東海側は、法廷に姿を現しませんでした。
 各地で噴出する問題の背景には、リニアの悪影響にJR東海が真摯に向き合ってこなかった、という背景があります。
 「(リニア建設を)どんどん進めてもらいたいというのが、静岡県民全員の声」と述べた大村知事。ぜひ、現地を歩いてから、ものを言って欲しいものです。

 隣の山梨県では、住宅地の真上を通るリニアの巨大高架橋によって生活が破壊されるとして、南アルプス市内のリニア建設工事差し止めなどを求めて住民が起こした裁判が7月30日、甲府地裁で始まりました。
 意見陳述に立った秋山美紀さん(47)は8人の原告住民の1人。自宅建物のわずか約2メートル南東側に、高さ30メートルにもなるリニア高架橋が計画されています。秋山さんは訴えます。
 「最悪な生活環境になるのにも関わらず、ここ(高架橋)にかかる土地代と30年間分の日照補償だけで、『ここに住め。お家の方は買えません』というJR東海のお話でした。とても納得できる状況ではありません」
 今年6月には、走行試験が行われている山梨リニア実験線の高架橋を、夫婦で見に行ったといいます。
 「高架橋の下に立ったときの恐怖感は計り知れません。『ここに何十年も住まなければいけないんだね』って、夫婦で話をしましたが、帰りの車では2人とも黙ったままでした」
 さらに、JR東海の予測(冬至)で周辺の日照が1時間に満たなかったことから、「寒い時期に太陽の恵みをほとんど受けられない。耐えがたい苦しみが一生続く状況です」と述べ、交代勤務の夫が、騒音で不眠になる不安にも触れました。
 「リニアで、このような弊害をまとめたような宅地に一変する。一生ここに住まなければと考えるだけで、夜も寝付けません。人として最低限の平穏な日の当たる暮らしだけを願って今ここに立っています」
 秋山さんは裁判長に向かって毅然と述べました。
 原告代理人の梶山正三弁護士は「もともと正当な補償を求めてきた人たちが『工事を止めろ』に変わった。JR東海には正当な補償を求められないので、工事を止めてもらうしかない」と、提訴の目的を説明しました。
 続いて、「少しでも現地を見ていただきたい」と裁判官に求めました。訴えの棄却を求める答弁書を出したJR東海側は、法廷に姿を現しませんでした。
 各地で噴出する問題の背景には、リニアの悪影響にJR東海が真摯に向き合ってこなかった、という背景があります。
 「(リニア建設を)どんどん進めてもらいたいというのが、静岡県民全員の声」と述べた大村知事。ぜひ、現地を歩いてから、ものを言って欲しいものです。



vol.191 プレゼントコーナー

1- あなたの「大好きなおかず」教えて!
 これさえあれば大満足!そんなおかずって何?
2- 気になるにらめっこ紙面での広告
3- 気に入った記事、気に入らない記事の
 タイトル1つ・その理由もお書きください。
4- ご希望のプレゼント名
(第1希望・第2希望)
 ※AとDは編集室まで受け取りに来られる方。
5- 本紙をどこで入手されましたか?
6- 氏名、年齢、住所、郵便番号、電話番号、  家族構成

プレゼントご希望の方は

ハガキまたはe-mailで、上記のアンケートを
1〜6までご記入の上、編集部・プレゼント係りまでお送りください。
〆切:9月25日 当日消印有効。        Bをご希望の方は9月15日

宛先
〒504-0855 各務原市蘇原新栄町2-25
e-mail: info@niramekko.com
※お寄せいただいた個人情報は、本紙プレゼントの発送に限り、 使用させていただきます。
※当選の発表は発送をもって代えさせていただきます。



  

A.ベビーマグちゃん  …2名様

こころ野農園様より

黒川で自然農を営む「こころ野農園」さんからのプレゼント。ピュアマグネシウムでつくる水素水で汚れと臭いを落とすと言われている洗剤を使わない洗濯用品です。マグちゃん1個で3kg以下の洗濯物が約300回ほどがご使用の目安です。
にらめっこ編集室でお受け取りください。

B. JAZZE!ご招待  …2名様

アートギャラリー是様より

落ち着いた雰囲気の会場で、ピアノとベースが奏でるジャズのシャワーに酔いしれる…そんな大人のひとときはいかが?
(会場での軽食は別途ご負担下さい)

C. CINEX 映画招待券  …ペア3組様

シネックス様より

映画館で鑑賞した作品は心に残る事が多い…そんなふうに語る人もいます。映画を見るための施設で、製作者のメッセージを真正面から受け取る、そう考えると納得できますね。招待券は柳ヶ瀬のシネックスでご利用いただけます。

D. ノリタケ Bone chinaカップ&ソーサー…2名様

にらめっこより

忙しい毎日だけど、時には飲み物をいただくひとときを。その時はお気に入りのカップでどうぞ。お一人一客のプレゼントです。柄の選択はこちらにお任せください。
にらめっこ編集室でお受け取りください。


vol.190 特集 ゲノム編集ってなんだ?

 なんだ?って言われても…ねぇ…、
なんだか難しそうだし専門用語が多すぎて…、でも、なんか本能的に「これはやばいんじゃない?」と感じる。本能が感じるなら、それはビンゴ!遺伝子を操作するってかなり抵抗を感じるしね。でも研究が進み医療分野では助かる命があるというのなら、それもあり?ただし生命倫理に関わることなら、研究者のみではなく、一般の人たちとも協議できる時間と機会が欲しいところ。5月24日、ぎふハートフルスクエアで開かれたお話会「『ゲノム編集――安全性と生命倫理』講師:河田昌東さん」に参加してきました。以下は、河田さんのお話の抜粋です。

ゲノム編集 ― 安全性と生命倫理

河田 昌東氏 名古屋大学在職中、遺伝子の基礎研究の経験から遺伝子組換え作物の安全性について、1990年代から問題点を指摘してきた。ゲノム編集もその延長上にある。

ゲノム編集とは?

 生命は遺伝子の働きによって支えられている。この遺伝子を自由に操り、人間に都合の良い農作物や家畜を造り、あるいは人間の遺伝病治療に役立つ技術として登場したゲノム編集は今世界を揺るがしています。
 ゲノム編集が広く知られることになったのが、昨年11月、シンガポールで開かれた国際学会で、中国の研究者がHIV感染の恐れがある夫婦の受精卵をゲノム編集で修理し双子の赤ちゃん(女児)を誕生させたと発表したことです。(2018年11月29日毎日新聞)
 そもそも遺伝子操作は、植物、動物で研究してきた過程があります。中国では人間の遺伝子操作は禁止なのにいきなりニュースで発表され世界に大きな衝撃を与えました。

ゲノム編集で食物革命!?臓器移植!?

 動物には筋肉を増えさせるホルモンを作る遺伝子の他に、それを抑制するミオスタチンという遺伝子が必ずあります。動物は成長と抑制とバランスをとっているんですが、その抑制遺伝子を壊すと、食べたものがみんな筋肉になるので通常より大きく育つわけです。中国では商品価値を上げるために生産されている筋肉隆々の豚は普通の豚の1.5倍くらい肉がつきます。それからアメリカで開発されたツノのない牛。ツノは畜産農家にしてみれば怪我の元になるし、牛同士ケンカするとよくないという理由で、ツノを作る遺伝子を壊し生産されています。キメラ動物の製作も始まっています。例えばラットの体内でマウスの腎臓を作る。将来的には人間の臓器を豚の体内に作る。これは臓器移植に使うのが狙いです。
 植物では国内でも既に「栄養価の高いトマト、多収穫のコメ、筋肉隆々の真鯛、芽を出しても毒性のないジャガイモ、等々」が既に開発されています。厚労省は、早ければこの夏にもゲノム編集食品などを商品化すると発表しています。
 こちらはすでに商品化されていますが、アメリカ産の高オイレン酸大豆。アメリカ農務省は遺伝子組み換えは安全審査をしていますが、これは遺伝子を壊しただけだから規制しないと言っています。しかもオーガニックと表示してもいいと。オーガニックと表示してあるのが、ゲノム編集で作ったものか、そうではないのか区別できなくなっているのが現状です。
 今、産業界は医療分野や農業分野での新たな産業革命になるかもしれないと期待しています。内閣府のHPにはゲノム編集が将来、600兆円規模の産業になるかもしれないと書かれています。去年の6月15日、統合イノベーション戦略会議(いろんな産業の活性化のために内閣府主催の会議)で安倍首相が「このゲノム編集は成長戦略のど真ん中に位置付けられる技術。だから慣習にとらわれないで各大臣は一丸となって取り組むように」とハッパをかけました。それで急に環境省も厚労省もそれまでのタガを外して、一斉に取り組むようになったのです。

ゲノム編集は目的の遺伝子を壊すのみ。遺伝子組み換えは他の生物の遺伝子を組み込む.

遺伝子組み換えとゲノム編集の違いは?

 従来の遺伝子組み換えには、例えば、除草剤をかけても枯れない大豆とか、害虫がくっついても害虫が死んでしまうので農薬はいらないトウモロコシとかがあります。そういうものは、外来遺伝子(例えば、除草剤で枯れない大豆は、土の中に除草剤に強いバクテリア)から遺伝子を取って大豆の中に押し込んだわけです。だから除草剤をかけても枯れないんですね。
 ゲノム編集というのは、前述の双子の赤ちゃんの場合は、人間の遺伝子(特定の遺伝子)を壊すわけです。そうするとHIVになりにくいということがわかっている。単に壊しただけで、外来遺伝子が入ってない。だから、遺伝子組み換えとは違うと厚労省は言っています。そういう定義で外来遺伝子が残存しないものについては安全性審査は不必要、表示も不要としました。内閣府のホームページには品種改良と同じと発表しています。

ゲノム編集がなぜ問題なのか

 今年の3月1日、文科省は「ヒトの心臓を持つ豚」の出産を認める文書を発表しました。目的は臓器移植です。しかし、登場して日が浅いこの技術にはまだまだ未解決の問題が沢山あり、実用化には大きなリスクが伴います。それは生殖細胞のゲノム編集は種の保存を脅かす危険性があること、編集した遺伝子が子孫に伝えられること、社会のニーズ次第で生命が左右されること、などです。遺伝子を操作する事は長い進化の歴史を経て作られた生態系を破壊する恐れや、社会の要請に応じてデザイナー・ベビィを作る優性思想にもつながる際どい技術でもあるのです。

生命倫理の問題は?

技術的問題が解決されても課題は残ります。それは生命倫理の問題です。特に医療分野では臓器移植のために豚の体内でヒトの心臓を作ったり、雌同士の交配で子どもを作る技術が登場しています。こうした問題は技術的リスクとは別に「そもそも、やって良いことと悪いこととの区別をどうするか」という大きな、しかし避けては 通れない問題を突きつけています。


 最近、国で大きな動きがありました。3月1日に文科省がそれまで禁止していた「ヒトの臓器をもつ動物の出産を認める」という決定をしたのです。これは、例えば豚の受精卵で心臓を作る遺伝子を破壊し、そこにヒトの多能性幹細胞を移植し子宮に戻して出産させれば、ヒトの心臓を持つ豚(即ちキメラ動物)が生まれる、という事になります。提供者の足りない人の臓器を動物で賄おうという狙いですが、こうした事が果たして生命倫理の立場から許されるのでしょうか。
 ゲノム編集は誰がどのように規制するのか、国際的な規制が必要ですし、専門家だけでなく一般市民の判断が必要と強く感じています。

■ か わ た ・ ま さ は る 1940 年、秋田県生まれ。東京教育大学理学部卒業後、名古屋大学理学部大学院分子生物学入学。卒業後助手に。2003年定年退職。専門は遺伝子の分子生物学と環境化学。遺伝子組み換え情報室代表。著書に『チェルノブイリと福島』(緑風出版)など。訳書に『遺伝子の分子生物学』(J・D・ワトソン著)第一販がある。


vol.190 遺伝子組み換え食品

私たちはいつの間にか「遺伝子組み換え食品」を食べている⁉

遺伝子組み換え(Genetic Modification)など生命操作された作物が私たちの食と農に何をもたらすか、考えてみましょう。

遺伝子組換え技術を利用した食品

 1994年に米国カルジーン社が遺伝子組換え技術を利用し、「フレーバー・セーバー」 という名の日持ちがよい(熟して柔らかくなるのを遅くした)トマトを初めて商品化しました。また、ゼネカ社のペクチンを多く含むトマトを利用したトマトピューレも英国で販売されました。
 日本では、遺伝子組換え農作物は生鮮食品として利用されていませんが、除草剤耐性大豆やナタネおよび害虫抵抗性のジャガイモ、トウモロコシ、ワタ等は、大体、次のような加工品に利用されています。

除草剤耐性大豆は・・・

  食用油、豆腐、豆乳、醤油、マーガリン、マヨネーズ、サラダ・ドレッシング、ショートニング、グリセリン、乳化剤、乳 製品、大豆タンパク質、タンパク強化剤、アミノ酸、調味料、水産練製品、ソーセージ、麺類、パン類、菓子類等

害虫抵抗性ナタネは・・・

  食用油、マーガリン、マヨネーズ、サラダ・ドレッシング、 ショートニング等

害虫抵抗性ジャガイモは・・・

  フライドポテト、ポテトチップス等

害虫抵抗性トウモロコシは・・・

   食用油、マーガリン、てんぷら粉、シリアル製品、コー ンスターチ(酒類、水産練製品)、水飴、ブドウ糖(菓子類、 佃煮、ジャム、酒類、飲料、パン類、缶詰、ソルビット)、 異性化糖(飲料、パン類、冷菓、缶詰)

害虫抵抗性ワタ・・・

  食用油

    バイオテクノロジーQ&Aより  一般財団法人バイオインダストリー協会

あなたは遺伝子組み換え食品を食べていますか?

 
いやいや、「遺伝子組み換えでない」を選んで買っているから大丈夫。そう思い込んでいたら、それは大間違いかもしれませんよ。
 あなたの買うサラダ油も、あなたの飲む清涼飲料水に含まれる「果糖ぶどう糖液糖」も、遺伝子組み換え作物からつくられている可能性が非常に高いのです。なぜなら、油や糖類には遺伝子組み換えの表示義務がないから。遺伝子組み換え食品には表示義務のあるものとないものとがあるため、ほとんどの日本人が、何も知らないままに、日々大量の遺伝子組み換え食品を消費しています。
 しかし本来、私たち消費者には、自分の食べるものに何が含まれているのかを知る権利があります。消費者基本法にも、消費者の権利として「必要な情報が提供される権利」が明記されています。
 その知る権利を、現在の表示制度は保障しているとはとてもいえません。誰にでもすぐにわかるよう、すべての遺伝子組み換え食品にその旨を表示すべきですよね。

◆日本が輸入を許可している遺伝子組み換え作物

 とうもろこし、大豆、なたね、綿実、じゃがいも、てんさい、アルファルファ、パパイヤの8種類。そのうち、食品として主に流通しているのは、とうもろこし、大豆、なたね、綿実の4種類のみです。とうもろこしは、コメの消費量の2倍近くもの量を輸入しており、その8割以上が遺伝子組み換えであると推測されます。日本は世界最大の遺伝子組み換え作物輸入国です。

◆日本の遺伝子組み換え表示制度の問題

 ◇表示義務のあるものとないものとがある
◇組み換えられたDNAとそれによって生成したタンパク質が含まれない食品には表示義務がない
 具体的には……油、ショートニング、マーガリン、マヨネーズなどの油製品。果糖ぶどう糖液糖などの糖類や水あめ、みりん風調味料などの甘味料類。醤油、醸造酢、たんぱく加水分解物などの調味料類。そのほかにも、コーンフレーク、醸造用アルコール、デキストリン(増粘剤等に使う多糖類)などには表示義務がないとされています。

◆表示義務のある食品とは?

 大豆では、豆腐、納豆、豆乳、味噌、そして油揚げなどの豆腐派生製品。とうもろこしでは、ポップコーンその他のコーンスナック菓子、コーン缶など。表示義務のある食品で「遺伝子組み換え」のものは、実際にはほぼ流通していません。

            「サルでもわかる遺伝子組み換え」より

私たちが選べば世界は変えられる

「美味しい料理の始まりは・・・・・・・・・
台所ではなく種だと母は言っていた。
そして娘たちに食べ物の背景を教えるために家庭菜園を作っていた。
最初の遺伝子組み換え食品(GM)が発売された時、自分で調べようとした上に私に本を送ってきた。
母の料理はタネから始まった。
母と娘の10年の記録

『たねと私の旅』

内容:小さい頃から食いしん坊だったオーブは、母が作る愛情たっぷりの料理で育った。母は環境活動家でもあったが、もっとも力を注いだのは家庭菜園。娘たちに“食べ物の背景”を伝えたかったのだ。
 畑から収穫される豊かな御法(みのり)が、台所でとびきりおいしい一皿になる至福のひととき。オーブは幼い頃から、畑と台所が大好きだった。
 大学に入ったオーブは、都市で一人暮らしを始める。大学では映像を勉強し、実家に戻っては、母が世話する美しい菜園のすがたを映像に収めた。
 都会での生活は、母の菜園が食品店代わりだったそれまでの生活とはガラッと変わった。オーブにとっては、“スーパーで食品を買う”という新しい体験でもあったが、一方で、「何を食べているのかわからない」という不安が常につきまとうのだった。
 奇しくもその年、最初の「GM(遺伝子組み換え)食品」が市場に出回る。多くの国が食品にGMの表示義務を設けたのに対し、カナダとアメリカは表示義務を設けなかった。除草剤を使っても枯れない大豆やナタネ、殺虫能力をもつトウモロコシ、種の壁を越える遺伝子組み換え……。
 母からは、GMについて書かれた本が度々送られてくるようになり、読み進めるうちに、企業が開発するGMのたねが急速に広がり、特許によって、農家が“たねを採る自由”を奪われていることを知る。実際に、実家に戻るたびに、周辺ではGMの大豆やトウモロコシが増える一方だった。
 何が起きているのかを知るべく、オーブはカメラを携えて外の世界へと向かっていった。

       写真は映画「たねとわたしの旅」(国際有機農業映画祭のサイトより)

色々な方のお話を聞いたり、調べたりするほど、食材の選択肢が狭くなる?いいえ、知っていることは強みです。しっかり表示を見て買えるから。「私たちが選べば世界は変えられる!」という思いを繋いでいきたいね。それから『たねと私の旅』上映会、どなた一緒にやりませんか?映画に出てくる料理も作ってみんなでシェアしたり…。興味のある人、にらめっこまでご連絡ください!(info@niramekko.com  058-383-8666)



vol.190 ここいく日記 はじめの7歩!

寸劇で伝えることで心で感じる

 子育ても一段落して、これから先自分は何を目標にしたり、やりがいを感じるのだろう・・・と思うことがありました。しかし今は「ここいく」の活動から自分を見つめ直すことができました。
私が「ここいく」のメンバーに加わったのは、我が子に正しい性の知識を伝えたいと思ったことがきっかけでした。
 もともと何かを自分から始めるということがなかった私は、補助的な裏方のお手伝いができればと思い「ここいく」に加わりました。
 しかし、授業を重ねていくうちに「ここいく」のいのちの授業は、みんなで創り上げるものでありメンバーひとり一人が自分が出来ることを見つけ、主体的に動いていく事によって各々が仕事を持っているにも関わらず、オーダーメイドのような授業が出来上がるのだということに気づきました。
 それなら私にできることは何だろう?…とここで初めて自分は何ができるか何がしたいか真剣に考えはじめました。
 そうして辿り着いたのが、恥ずかしがり屋の私がメンバーと一緒に子役に扮し寸劇をすることでした。

 寸劇では、成長期の体の変化を伝えたり、体や心の悩みは皆が持ってるもので自分だけが特別ではないこと等を伝えます。普通に言葉に伝えるだけでは伝わりにくいことも、面白おかしく劇をすることで、子どもたちは実生活に置き換えるることができ、よりイメージしやすくなります。これは「ここいく」が得意とするオリジナルメニューです。・・・とは言うものの、普通のお母さんがツインテールでミニスカートを履き舞台に立つということは、とても勇気が必要でした。
 しかし、授業を通じてリアルタイムで感じる子どもたちの笑顔には、そんな恥ずかしさも吹っ飛ばす程のパワーがありました。
 個人差があることに安心してホッと表情が和らぐ姿、照れて下を向きながらも耳ではしっかりと聞こうとする姿「あなたたちは3億分の1のラッキーボーイとラッキーガールなんだよ」というメッセージに素直に喜ぶ横顔・・・

 このような様々な反応を見ているうちに、私たちが大切だと思うことを未来ある子どもたちに少しでもたくさん伝えたい。それに小さければ小さい程、水を含むスポンジのように吸収してくれるので、できれば低年齢の子どもたちにも伝えていきたいと思うようになりました。難しい言葉や、体の複雑なメカニズムは1回聞いただけでは忘れてしまうかもしれませんんが、心が感じた気持ち(感動や安心感)や一緒に授業を受けるという一体感は薄れることはありません。
 今後1人でも多くの子どもたちに「いのちの授業」を届けることができれば嬉しいです。

担当:ここいくメンバー・多田良子でした。


vol.190  niramekko Gallery 「えき」「くまおやこ」

 なんか疲れたなぁ、と思ったときは思い切って日常から離れてみませんか?私達の暮らしは意味や役割がある脳で作られたものに囲まれています。そうすると、意味のないものに耐えられなくなるかもしれません。アートに触れるときは、意味を求めないで、心の働きを感知する力を取り戻しましょう。共感したり感動したりすることで、心の働きが活発になっていきます。たまには、美術館やギャラリーでアートな作品を鑑賞してみませんか?気持ちが落ち着いたり、リフレッシュしたり、時にはワクワクしたり…まだ自分が体験した事のない領域の喜びを体や心で感じることができるかもしれません。


vol.190 ぎむきょーるーむ 大人の手助け中毒こそが問題

石川憲彦 児童精神神経科医 

「誰のつまずき」かをよく整理

 子どもは、つまずくのがしごと。つまずくことで、起きあがることを学ぶ。学ぶのは、どう起きあがるかだけではない。つまずかない方法や、ときには同じつまずくならどんな風につまずくのがいいのか、そんなことも学ぶ。何より「順調にいっているときも、つまずいたときも自分は自分でいられる」ということをこそ学ぶ。
 つまずいたとき、大人がなすべきことはただひとつ。じっくり自分で立ちあがるのを待ってあげる。けっして手を貸してはいけない。ただただ、ひたすらじっと耐え、忍び、祈るような気持ちで待ちつづける。これが極意だ。周囲の大人の待てる時間が長ければ長いほど、子どもの人間性も、人生の味わいも、深みを増す。


 断言しておこう。手助けは、基本的に悪なのだ。
 例外はある。子どもの側に事態の解決を期待するのが困難な場合や、大人の側に待つゆとりのない非日常的な事態の場合など、悪とはわかっていても手助けが必要なときはある。ほんとうに必要な手助けは、ときには人間への信頼感を強めてくれるだろう。しかし今日、大人はあまりにもおせっかいだ。不必要な善意を「子どもには解決できないだろう」とか「手おくれになっては困る」とか理屈をつけてばらまく。多少のおせっかいなら、子どもへの愛敬、かえって微笑ましいと笑ってすませられるのだが、ことには限界がある。
 いったい、なにが・いつ・どこで、誰にとって・どのような意味で、「誰のつまずき」なのか。
 この点をよく理解しないと「いつ・どこで・誰に・なにを・どう」手助けしていいのか、ということも、手助けが「いつ・どこで・誰に・どう」問題となるのかということも、さっぱりわからなくなってしまう。

日常の行きちがいのなかで

 脳性麻痺の小学生。担任は「歩行できない。火事のとき、足手まといになっては当人が困るだろう。歩けるようにトレーニングを」と養護学校をすすめる。親は「先生に理解がない。いじめられてかわいそう」と転校を考える。当人は沈黙。しかし20年後、昔をふり返っていう。「歩けないことは苦痛ではなかった。いじめにも慣れていた。ただ、他人と別のあつかいをされること、保護されることは、いまでもいちばん苦痛だ」。

 拒食症の高校生。担任は「痩せてつらそう。家族が必要なケアをきちんとしていない」と家族療法をすすめる。親は「注意しても反抗するし、放っておくと食べないし」と娘の反抗を嘆く。そして、当人は「飢えるアフリカのテレビを見ていたら、食べるなんて贅沢できなくなった。でも同じテレビを見て泣いていた親は、番組後けろっとして食べていた。平和教育に熱心な担任には、遠い他国のことより今の自分が大事と諭された。大人になるって、そんなふうにに自分をコントロールすることか。そう思うとこわくなる自分は、最低だ」と自分を罰する。
 わかりやすくするために、少し極端な話を選んだ。しかし手助けが、つまずきそのものよりもずっと大きな問題になるという話は、日常のごくありふれたいきちがいのなかにずっと目立つ。

相場がふっとんだ時代に

 不幸なことに、今日圧倒的多数の大人は、なんでも早めに手助けしてあげるのがいいことだとひたすら信じこんでいるふしがある。この手助け中毒が進むと、子どもがつまずくこと自体が悪に見えてくる。そしてついには、世間なみでないこと(みんなが漠然とよいと思っていること)以外は、すべて悪と信じこみ、つまずきが起こる前に処理してしまおうと考えはじめる。
いまの若い人たちを見ていると、親も教員もこの中毒への耐性が弱いと思う。自分の判断基準にしたがってものを考えることを、独善的ではないかとおそれる謙虚さが強すぎて、まず周囲を見渡し、世間の判断にしたがって大過なくやりすごそうとする。
 ひと昔前までなら、中毒にも救いはあった。まだ世間には、「これくらいは放っておく」というつまずきに対する相場があった。「はしかみたいなもんだ」などと、封建的に「蛮勇」をふるうような差別的な内容ではあっても、相場は社会全体に広く共有されていた。だから世間の判断にしたがっておけば、たいていのことは丸く収まった。相場に異議を申し立てる子どもも、大人になると「まあこんなものか」とやがて納得してくれるのも相場のうちであった。
 しかしバブルと同様、相場なんてふっとんでしまった。現代は、つまずきをおそれることが、最悪のつまずきという時代だ。つまずくことへのいたずらなおそれから解放され、いま目の前にいる子どものつまずきを見定めないと、たいへんなつけを払わされる。

では、どうやって手助け中毒から離脱すればよいのか。

 手助けの弊害を明確にすること。いま自分がすすめようとしている手助けは、「何が・いつ・どこで・誰にとって・どのような意味で」最終的には「誰のつまずき」として問題となるのか。この点を、じっくり考えてみよう。この点さえ承知していれば、手助けもやむをえない。あとで手助けが失敗だと気づいても、まだカバーできる。しかしこの点が不明確なら、生命に異常が想定されないかぎり、絶対に手助けはしてはいけない。

100号「学校でつまずかない人生」で伝えたいこと

 中毒は手助けをやめれば治る。心配なのは絶対に必要なときにも身動きできない「手助け手抜き症」への悪化だ。
 もうひとつ心配なのが、「手助け忖度(差別?)症」。いつの時代にもわが子のためにほかの子の生き方を操作する一部の特権階級は存在する。
 「忖度症」と「不能症」。両者は逆方向の社会存在だが、先行きの見えない不安や不満に対して、筋ちがいの攻撃性や衝動性を示すところはなぜか共通する。それが「善意のゴリ押し」や「クレーマー」程度で済めばいいが、いじめ・ハラスメント・虐待などに発展することも多い。
 今や「手抜き症」の治療がカギになる。手抜き症の問題は、古い因習に捕らわれて手抜きを開くとか恥とか思うことだけ。脱出するには、「手抜きを責めない」「最低必要限の手助けを明確にして、それはどんな手を使ってでも実行する」のふたつで十分だ。それには「おたがいが気楽に遠慮なく依存し合える双方向性の関係」が、上手に手を抜く極意を見つけるためになによりも必要になるのだ。

いしかわのりひこ:林試の森クリニック院長。お・は編集協力人。著書に『みまもることば〜〜思春期・反抗期になってもいつまでもいつまでも』他。2,018年より『こころ学』シリーズの刊行が始まり、第1巻は『「精神障害」とはなんだろう?ー〜ー「てんかん」からそのルーツをたずねて』(ジャパンマシニスト社刊)。


vol.190 えんぴつ・カフェ 7月はゆる体操

開催します! えんぴつカフェ14:00-16:00 9月 7日(土)、11月16日(土)、 3月7日(土)

 各務原市産業文化センター2階第1会議室(予定)お茶とお菓子付きみんなでワイワイおしゃべりしながら「ゼロの昇天」の書き込みを中心に。

【報告です】5月19日(日)えんぴつカフェスペシャル第1弾「作ってみよう!薬膳料理」 各務原市総合福祉会館3階料理教室にて

 最初に、チェックシートで中医学に基づいた体質チェックと、中医学の考え方や薬膳食材の効能など高山先生のお話し。その後、4つの班ごとに調理実習をしました。

参加者からは、「薬膳は薬臭いイメージだったけど、普通のおいしい食事でした。これなら家でつくっても家族も喜ぶと思いました」「先生のお話しはわかりやすくて、薬膳って日常に結びついてるんだなと思いました」などという感想が聞かれました。

7月14日はスペシャル第2弾 ゆる体操です。みなさんの参加をお待ちしてま〜す!

 


vol.190 熱中世代 山口克己さん

伝統野菜の「桑の木豆」のあるまちで、食文化と元気を発信

 山県市 ふれあいバザール生産物直販組合長 山口克己さん

 今からさかのぼること30年余り。作っても食べきれない地元野菜を生かそうと、有志が朝市で売り始めたのがそもそもの始まりでした。10年程続けるうちに、ここで野菜を買ってお茶でも飲めたらいいね、そんな会話から「ふれあいバザール」発足へと発展。当時の美山町に申請すると補助金などの後押しも心強く、スタッフが腕によりをかけた食事を提供できる食事処もできました。もちろん食材は地元食材。以来「ふれあいバザール」は地域の食文化を発信する拠点となり、地域に根付いています。
 「桑の木豆は、岐阜県の飛騨・美濃伝統野菜に指定されている珍しいインゲン豆の一種です。美山町から山県市になりましたが、この地域の特産野菜をもっといろんな人に知ってほしいですね」と、現在の組合長を務める山口さん。岐阜県民でも知らない人が多い桑の木豆を広めようと、スタッフと一緒に日々奮闘しています。
 桑の木豆を使って商品化された、おかず味噌、そばまんじゅう、アイスクリーム、パウンドケーキなど、現在バザールで提供されていて人気を呼んでいます。
 「バザールで働く人は全員が女性。だから家族の病気や子どもの学校行事などで仕事を休む時はみんなが交代で補いあって働いています。女性が生き生きと輝ける場なんです。そして、生産者さんは自分の作った野菜が売れることでやりがいにも繋がっています。ここに野菜を持ってくるだけで、スタッフやお客さんなどいろんな人と会話ができて元気が出る、という高齢の方は多いんですよ」
 バザールでは、山菜に詳しい人、明るく接客が得意な人、漬け物や加工食品作りが得意な人、経理が得意な人…。スタッフはそれぞれの持ち味を生かし、適材適所で忙しく働きます。
 しかし、農産物には厳しいチェックも。栽培記録を提出してもらう。残留農薬があったり、規定外の農薬を使用した物は取り扱えない。そういう品質の管理も山口さんの仕事。必然的に生産者は土つくりから勉強することになります。それはバザールとの信頼関係を築いていくことに繋がっていきます。
 地域で採れた新鮮な野菜や、それらを使った料理の味とともに、個性豊かなスタッフや生産者、いろんな人たちがふれあう和やかな雰囲気は口コミで広がり、県外からも多くのお客さんが訪れます。
 「現在働く女性スタッフは50代から70代です。年輩の方は若い人と一緒に働けることを喜び、若い人は先輩から知識、経験、料理方法など多くのことを学んでいます。今後の課題は次の世代にここを引き継いでもらうこと、かな。今はとにかく忙しい日々だけど、ゆっくりできるようになったら、花を育てたいなぁ」
 その笑顔には組合長ではない、素の山口さんの顔が覗いたようでした。

桑の木豆(くわのきまめ)
岐阜県山県市(旧・美山町)で、昔から自家用に育てられてきた地方野菜。岐阜県の「飛騨・美濃伝統野菜」の認証を受けている、インゲン豆の一種。収穫時期が10月頃で、台風による倒伏の予防のために昔から桑畑が多くあった美山地域で、桑の木に絡ませて栽培されていたことからその名がついた。完熟すると、さやや豆に赤くかすり模様が入り、目に鮮やかな豆になる。このように色づくのは美山地方の豆だけ。完熟した豆は、さやごと乾燥し保存。水でもどして調理するときは、さやごと使われる珍しい豆である。

ふれあいバザール/人気の定食
岐阜県山県市船越416-13
営業時間:10:00~14:30 定休日:月曜日、第3日曜日

   


vol.190 カタコトの部屋 しょうがいをみつめる

 みなさんは「しょうがい」という言葉を聞いてどんなイメージを持ちますか?「障害」という文字を見て、どんなことを思い浮かべますか?

 私は、悲しくて残念なイメージと共に、ふんわり優しくてあったかい感じを持っています。と同時に、「障害」ということばに違和感を感じています。他に適切な言葉や造語や新語を考えますが、これだ!というものにまだ出会ったことがありません。
 私が出会ってきた障害のある人と言われる人たちの特徴は、「害」ではなく、ただただ「個性」でした。社会生活に差し障りがあると認識しているのは周りであって、本人は与えられた体や心、環境をめいっぱい活用して今を楽しく生きています。差し障りがあるという周りの意識が、生きずらさを生み出しているのではないかと感じています。
 このページでは「障害」(しょうがい)を見つめていきたいと思います。見つめていく中で、上で述べた考えが変わっていくかもしれないし、進化するかもしれないし、迷宮入りしていくかもしれないし、そんな自分を楽しみたいと思っています。と、同時にみなさんの感じたこと、見つめていることも知りたいです!21ページのプレゼント応募とともに、あなたの思うところもお待ちしています!

 納得はいっていませんが、現時点では、障害を見つめていく中で「障害」という表記が1番伝わりやすい言葉であると思います。もっと伝わりやすい言葉が見つかるまでは「障害」という言葉を使っていこうと思います。

 私が「障害者」という人に初めて出会ったのは0歳の時でした。父の兄、私のおじが聴覚障害者でした。隣町に住んでいて床屋を営んでいました。おじの側にはいつも、彼の母、わたしにとっては祖母がいて自立を支えていました。祖母とおじは、私の父を慕っていてよくうちに遊びに来ました。私が読み書きができる様になると、辞書を片手に筆談やジェスチャーを駆使して、おじと会話をするのが楽しみでした。小学校高学年くらいになると、おじが本当に1人で生活できているのか気になり、おじがスーパーへ買い物に行くのに隠れてついて行き、影からそーっと見ていました。レジの人はちょっと嫌そうな顔をしながらも(いつもの人が来たわ)という感じで対応していました。おじは親しげに話しかけますが、会話は噛み合っていないようでした。でも、たぶん、おじはそんな空気を感じておらず、会話を続けるのでした。それを見て、おじの1人暮らしは地域の方に見守られているからこそ成り立っていること。おじは耳から自然と入ってくる情報がゼロの為、"暗黙の了解"とか"何となく常識"みたいなことが全くわからないことに気づきました。
 そんな経験があったからか、小学生になると特殊学級と普通学級を行き来している友人の送り迎えの役割をしたり、今では発達障害と言われそうな友人のそばにいつもいました。新しい経験やいつもと違うことがあると逃げて走り回る彼女を追いかけ、落ち着いた頃に一緒に教室へ戻っていました。帰り道では、興味があるものに出会うといっこうに歩く気配がなく、一歩歩いては何十分も進まないなんてことはよくありました。彼女が何をしてるのか感じながら、距離をおいて、植物で遊んで時間を潰したり、そろそろかなって具合で声を掛けたりして。それでも、進んだり進まなかったり、結果が出るような出ないような、ゆったりとした時間が好きでした。
 どの経験も、愛くるしくて笑っちゃう様な、心があったかくなる記憶として刻まれています

 そんなこんなで特別支援学級の先生として働くことになりました。大学を出たばかりの22歳の私は、どの子も可愛くて可愛くて仕方ありませんでした。10名ほどの子どもたちの中でも主に担当したのは、重複障害(肢体不自由、知的障害、情緒障害)という特徴を持つ10歳前の男の子Tくんでした。

       Tくんとの日々のお話は、また次号で!ひつじ

みんながあたりまえに暮らせる社会って?

幼いうちからともに生活すること 特別扱いして考えることをしない
                小児科医 山田 真


 大人になってはじめて障害者と出会う場合、ぎこちなくなってしまうことが多いのです。「どんな言葉づかいをしたらいいのだろう」「どういう行為が差別的な行為にあたるのだろう」など、いろいろ考えてしまうと、変に他人行儀な言葉づかいになったりします。
 また「つきあっていくうちに腹の立つこと、許せないことがあっても、障害者なのだから大目に見るべきなのだろうが、それはきついな」というふうに考えると、つきあうことに躊躇することにもなりがちです。


 子どもたちはよけいなことを考えません。「こんなことを聞いたら差別になって傷つけることになるのではないか」などと考えません。大人だと、障害について口に出してはいけないのではと思って、聞きたいことも聞かずにいることも起こるでしょうが、子どもは素直に「腕は動かないのか」「どうして車いすに乗っているのか」など、自由に聞くことができます。
 また、障害児が普通学級に入った場合、教員など大人が介入しないで子どもたちに伝えておけば、子どもたちが障害児と上手につきあっていく方法を見つけていくものです。
 つきあい方などというものは、一緒に生活していくなかで自然にわかっていきます。大人がなにかいってもいうことを聞かないけれど、同級生にいわれるということを聞くというような障害児はたくさんいます。
 いろいろな価値観を身につけてしまった大人は、その価値観ゆえにうまくつきあえなかったりします。それに対し、子ども、とくに幼い子どもは、そういった価値観から自由であるため「いろいろな個性をもった人間がいっしょに生活していく方法」を見つけ出すことが得意なのです。
 子どもだと障がい児に対しても対等につきあうことができ、ケンカもするし注意をしたりもします。「障がい児だから…」と特別あつかいして考えることをしないのです。これが大事なことです。
 僕たちはどんな障害をもった子どもも幼いときから健常な子どもたちと同じ集団のなかにいるべき、けっして健常な子どもたちと分けられてはいけないと考えて運動してきましたが、その最大の理由はここまで書いてきたようなことなのです

やまだまこと  小児科医。八王子中央診療所所長。「子どもたちを放射能から守る全国小児科医ネットワーク」代表。「お・は」編集協力人。著書に『水俣から 福島へ 公害の経験を共有する』(岩波書店)ほか。

『お・は』NO.90より


vol.190 アウトドア特集

とにかく日陰を確保することが夏キャンプの基本。夏の強い日差しは体力をどんどん奪い、熱中症にかかる恐れもあります。そうならないためにもタープを張って日陰を作りましょう。経口補水液をお忘れなく!

■テントに直接日光を当てない工夫を
夏の太陽にさらされたテント内は、かなり室温が上昇します。夜になっても熱気がこもっているということも……。それを防ぐには、テントを直射日光に当てないことが大切です。

では、どんなサイト選びをすればいいのでしょう?キャンプサイトには高原、林間、水辺などいくつか種類がありますが、直射日光をさえぎってくれる林間サイトがおすすめです。
また設営の際は、テントの一部をタープ内に入れたり、日の向きを考えて影になるところに設営するといいでしょう。

■水を味方につける
日本に古くから伝わる「打ち水」が、キャンプサイトを涼しくさせるのに効果あり!打ち水をすると、水が蒸発するときに地面の熱を奪って周囲の気温を下げてくれます。サイトのまわりに打ち水をして涼しさを手に入れましょう。またテントやタープに水をかけるのも効果的です。バケツがあれば、水を張って足をつけると涼しさもアップします。

■暑さをしのぐ睡眠便利グッズを取り入れる
夏キャンプの夜、暑くてなかなか眠れなかったというのはよく聞く話。睡眠時に背中の蒸れを防ぐため、テント内ではコットやエアーベッドを利用して、背中と地面の間に空間を作るようにしましょう。触れた感じがさらっとしているゴザもおすすめです。また、小さいクーラーボックスに氷を入れてフタを開けておけば、簡易クーラー代わりにもなりますよ!

■暑さ対策をして快適夏キャンプを!
せっかくキャンプに来たのだから、暑い
時期でも楽しみたいですよね。こちらで紹介した夏キャンプの基本テクニックを使えば、暑くても快適な夏キャンプが楽しめます。せっかくの夏休み、楽しい思い出がいっぱいのキャンプライフを過ごしてください!

こんなキャンプ飯ささっと作ったらかっこいい! 外で食べるから10倍うまい

◆夏野菜のホイル焼き
【 材料 (2人分) 】
プチトマト、ズッキーニ(輪切り)
マッシュルーム(薄切り)
パプリカ、ピーマン、白ワイン
塩、粗挽き黒こしょう 適量
【調理のポイント】
夏野菜をふんだんに使ったお手軽な焼き料理。カンタンで鮮やかな一品。アルミホイルを広げて野菜をのせ、白ワイン、塩、粗挽き黒こしょうをふったら、アルミホイルの口をしっかりと閉じ、網の上で焼きます。野菜に火が通ったら完成です!

◆フランスパンのホットサンド【 材料 (4人分) 】
フランスパン 1本
粒マスタード、マヨネーズ
オリーブ、モツァレラチーズ
ピザ用チーズ、プチトマト
【調理のポイント】
チーズがとろりと溶けて食欲をそそるメニューです!フランスパンに切り込みを入れ、切った側面に粒マスタードを塗り、スライスしたスパムミート、輪切りのオリーブ、ピザ用チーズなど好きなモノを挟んだら、アルミホイルを2~3枚重ねて大きく包み、グリルの上に置いて焼いたら完成です!。残り物やサラダをはさむのもオススメでよ。

◆味噌チーズフォンデュ【 材料 (4人分) 】
レンコン、パプリカ、アスパラガス、むきえび、季節の野菜やシーフードなど適量
(ディップ)
クリームチーズ 1/2カップ
豆乳 1/4カップ 赤味噌 小さじ2
【調理のポイント】
みんなでグリルをワイワイ囲みながらの料理は、バーベキューが10倍楽しくなりますね。シェラカップにディップの材料を入れ、グリルの上で、なめらかなディップを作りましょう。一口大に切った野菜やエビを焼きながら、温めたディップにつけて食べます!

◆食後にデザート&コーヒーがあれば満足度100


vol.190 ボーダーレス社会をめざして vol.49

NPO法人オープンハウスCAN 理事長 伊藤佐代子

家族旅行?

 「一泊で温泉に行くけど、一緒に行く?」いつも即答で「行きません。」と答えるのに、今回はどうしたのか「僕も行きます。」と。あっけなく家族旅行することになりました。
 旅行好きの自閉症の息子は、、「ダーツの旅」のように、日本地図のジグソーパズルのパーツをポケットに入れ、取り出したパーツの所へ遊びに行くという事をして旅行を楽しんでいましたが、2014年9月に全国制覇し、その後、ぴたりと一泊旅行をしなくなってしまいました。今回どういう訳か行くということで、息子が楽しめる旅行にしなければと考えました。
 電車で行ける所、温泉地でありながら息子一人で寝られる場所を確保できる所、カラオケやゲームなどで遊べる宿泊施設。いろいろ探して片山津温泉で泊り、金沢に行く事にしました。何時に出発か、何時の特急に乗るのか?質問攻めにあい、きちんと分かるように文字で書き出しました。すると自分でパソコンに向かい、ハガキ大の紙に印刷をしてきました。「これでいいですか?」「これだとJRの人が分からないでしょ。岐阜と金沢の往復券と書いた方がいいんじゃない。」などアドバイスをし、切符を買うための準備をしました。その書いた紙をJRの窓口で見せ、切符を買ってくるのです。上手に言葉で話せない彼がたどりついた切符を買う方法です。
 旅行前日は、テンションマックスで、「僕は5時に起きます。」「いや、そんな早くなくていいよ。6時半くらいで。」。当日、一緒に出掛ける素振りは全くなく「僕は、岐阜駅に先に行ってます。」と一人で行ってしまいました。特急電車の中では、私たちからは離れて一人で座っていました。福井で昼食を食べようと、途中下車したのですが、「13時50分改札口に集合。自由行動。」、加賀温泉駅に下車しても同様に「14時35分集合。自由行動。」、ホテルに着いてからも、自由行動!と夕食だけ一緒に食べたという感じです。お風呂も一人で入りに行き、お父さんとは別行動。
 次の日、金沢についてからも同様に自由行動で、家に帰るのも自分の好きな時間の電車に乗っていいことにしました。すると意気揚々と金沢駅を出てどこかに行ってしまいました。「これって家族旅行なの?」と友人に言われ「そうだね。変かな。」
 自閉症の息子と一緒に行動する時は、いつもこんなものです。いかに上手に付き合うか。いつも一緒にいるばかりがいい訳ではないのです。本人が楽しく過ごせればOKです。少し後、彼は一人で岡山へ行ってきました。もちろん日帰りで。泊まりはしないのだそうです。


vol.190 半農半X vol.31

たのしみは

 20数年前のことですが、人生を生きるたのしみを歌った幕末の歌人・橘曙覧(たちばなあけみ)の歌が流行ったことがありました。「たのしみは」ではじまる歌52首「独楽吟」は読むほうも幸せになる歌ばかりです。有名な歌をいくつかご紹介しましょう。「たのしみは朝おきいでて昨日まで無かりし花の咲ける見る時」や「たのしみは妻子(めこ)むつまじくうちつどひ頭ならべて物を喰ふ時」「たのしみはまれに魚煮て児等皆がうましうましといひて喰ふ時」「たのしみは三人の児どもすくすくと大きくなれる姿みる時」「たのしみは機おりたてて新しきころもを縫て妻が着する時」・・・。世界には恵まれない人がまだまだいっぱいです。私たちにほんとうのしあわせとは何かということをそっと教えてくれているようです。

感謝と報恩と

 私たちの先祖をさかのぼれば、10代前のご先祖様だけで2の10乗の「1024人」にもなります。すごい数ですね。さらに計算してみると、20代前だけで約105万人。50代前だけだと気の遠くなるようなものすごい数のご先祖様になります。この世は縁の重なり合い。すべてつながっているのですね。地球温暖化が心配ないま、そして、令和のはじまりのときに思うのは、先人に感謝しつつ、同時代の仲間(=周囲)と力をあわせて、未来の世代のための “贈り物づくり”に励まねばということ。どんなに小さなアクションでもいいので、それを重ねて、すてきな未来を築いていきましょう。

塩見直紀(しおみなおき)半農半X研究所代表
1965年、京都府綾部市生まれ。20年前から「半農半X(エックス=天職)」コンセプトを提唱。半農半X本は翻訳されて、台湾、中国、韓国にもひろがる。著書に『半農半Xという生き方 実践編』など。

※半農半Xとは・・・半農は環境問題、半Xは天職問題(どう生きるか)を背景と する。持続可能な農のある小さな暮らしをベースに、天与の才を社会に活かす生き方、暮らし方。ex.半農半漁、半農半大工、半農半看護師、半農半カフェ、 半農半絵描き、半農半歌手、半農半鍼灸師、半農半カメラマンなどなど。


vol.190 菌ちゃん野菜応援団 vol.11

夏野菜を植える!

今年度市の助成金を受けて1年間食育をテーマに活動できることになりました。早速夏野菜を植えるイベントをしましたよ。

ここは去年枯れ草をたくさんたくさんいれたところ。
半年かけて菌ちゃんが草を食べてさらさらホロホロの土に育ててくれました。
そこにこれまたこだわって固定種、在来種のお野菜の苗を。

無農薬無化学肥料のお野菜栽培スタートです。

畑をやろう!と一口に言っても何からとりかかるのか、何をいつやるのかわからない人がほとんど。

こうやってみんなで一緒にやれるのはとても心強い!
親子連れさんが多かったので皆さん助け合いながら苗を植え付けていました。

「ずーっと子育てしながら仕事をしてきて実は少し私にはしんどいところがあった。パートナーにも不満や文句ばかり。でも、いま、こんな時間が持てるのは間違いなくパートナーのおかげ。そして、畑にいる子どもがこんなにも愛おしく思えるなんて知らなかった。幸せってこういうことなのかもしれないね」

ポツリとつぶやいた一人のママの言葉に危うく泣き出すところでした。お母さんたちみんな頑張ってますよね。毎日本当に一生懸命。
そんないっぱいいっぱいのお母さんたちが土に触れて野菜に触れる。そこから親子でつかみ取っていく何かをみんなでシェアしあえたらこんなに素敵なことはないなぁ。野菜作りは人との絆を強くするのかもしれないな、と感じています。

お野菜も子どもたちも。すくすくおおきくなぁれ。


vol.190 未来に続く暮しの学びPrt-32

持続可能な暮らしのアイデア                Part-2 Garden to Table and Dance floor

 前号では、Farm to Table (畑からテーブルへ)の提案をしました。この号では、それにプラスDance! (踊り場へ!!)を取り入れた企画の報告をしたいと思います。
 秋の初めに当たる4月。畑ではさまざまな作物が実りを迎える季節です。この一ヶ月間を「収穫祭」として、毎週末、畑で収穫した野菜でご飯を作り、音楽を楽しむという企画をしました。
食。音。踊り。

 まずその時の音楽のジャンルに合わせて、料理のテーマを考えます。次に畑で採れる野菜をいろいろと工夫します。ブラジル料理、メキシコ料理、エチオピア料理、中華料理、中近東料理、インド料理、などに対応できるようアイディアを出し合い、新しいメニューに挑戦しました。キッチンスタッフも新しいレシピを考案するいい機会になり、ここに集う人みんながアーティストになりました。
 さらに、スーパーでは見かけない野菜…たとえば、キャッサバ、ハヤトウリ、グリーンバナナ、ヤーコン、根菜など、あまり馴染みのない野菜が実はこの地域でも育てられるということ、その野菜の料理方法を共有することは、私たちの活動目的につながって、とても感慨深く感じました。
 もう一つの大きな特徴は、いろんなバックグラウンドの人たちが混在しているということ。オーストラりアならではの土地柄でしょうが、みんなの違いを感じるいい機会にもなりました。

 音楽、料理、ダンス、パフォーマンス、いろんなアートが混ざり合い、異文化を共有できた今回の企画。
 まさにアートに国境はない。そんなことを思いつつ、次はどんなコラボレーションが生まれるか、この地域の特性を生かし可能性を広げていきたいと思います。      やお


vol.190 夢か悪夢かリニアが通る!vol.19

 あなたの家の軒先に高架橋が現れ、時速505キロで車両が行き交うようになったら――そんなことを想像したことがありますか。前回の東京オリンピックが開かれた1964年10月に開業した東海道新幹線を巡って、沿線の名古屋市の住民が騒音や振動の差し止めと損害賠償を当時の国鉄に求めて、「名古屋新幹線公害訴訟」を起こしました。長い裁判を経て86年に和解は成立しましたが、国鉄を引き継いだJR東海はこの経験から何を学んだのでしょうか。新幹線開業から半世紀を経た今、リニア中央新幹線で「いつか来た道」を歩もうとしています。                  井澤宏明・ジャーナリスト

見上げれば超特急

「最後の手段」、差し止め提訴

 品川―名古屋間約286キロのうち9割近くがトンネルのリニア。既に実験線(全長42・8キロ)が完成している山梨県では全体の3割以上が地上部を走る予定です。
 住宅地の真上を通るリニアの巨大な高架橋によって静穏な生活が破壊される――などとして、山梨県南アルプス市の沿線住民が5月8日、事業を進めるJR東海を相手取り、同市内の建設工事差し止めや慰謝料を求める訴訟を甲府地裁に起こしました。

 提訴したのは「南アルプス市リニア対策協議会」の8人。同協議会は昨年4月、JR東海がリニア建設用地として幅約22メートル(両側4メートルが緩衝帯)だけしか移転補償の対象としないことなどに異議を唱え、甲府簡裁に民事調停を申し立てました。
 民事調停で住民側は、▷リニア用地から約30メートル以内の住宅の移転または金銭補償▷高架橋で分断される「残地」の買い取り▷日陰が発生するすべての住民に対して、日陰の時間に応じた補償――などを求めました。これに対しJR東海側は「いずれも応ずることはできない」とし、調停は不調に終わりました。
 やむなく提訴となったわけですが、原告の志村一郎さん(77)は会見で、「最後の手段という気持ち。JR東海とは何回も話し合ったが、沿線住民の生活に配慮していないことがはっきりした。(リニアが)軒先を通るような場合でも、移転対象ではない、金銭補償がない、ということですから、どなたも納得できない。少なくとも正当な補償を求めたい」と訴えました。
 訴状では、リニア建設予定地になったために、原告の土地や建物の価値が低下、将来の生活設計が台無しになり精神的苦痛を負っていると主張。高架橋が建設されリニアが開業すると、公害が起こり健康被害をもたらすと指摘しています。
 具体的には、▷高さ30メートルの高架橋の日陰になり、冬至には日照が1時間になる▷早朝から深夜まで6分間隔で車両の騒音や振動にさらされる――ことなどを挙げています。 
 


百害あって一利なし

 原告のトマト農家河西正廣さん(71)は、リニアにより農地が斜めに分断され、高架の日陰で栽培が続けられなくなります。

 「我々の地域は風光明媚で過ごしやすい穏やかな街です。ここに、怪物のような半永久的なものが出来てしまう。リニアで利便性が良くなると言われているが、我々にとって、『百害あって一利なし』です」と、語気を強めました。
 差し止め請求の対象は同市内の約5キロですが、代理人の梶山正三弁護士は「全部を止めるのと同じ効果を狙っている」と説明しています。JR東海は、リニアは「公共事業」で「公共の利益となる事業」だとしていますが、梶山弁護士は「リニアは、不特定多数のためという意味で『公共性』はあるけど、皆のためになるという『公益性』はみじんも認められない。皆のためにならない事業だったら、『皆さん、我慢する必要ありませんよ』という理屈です」と、差し止め請求の理由を解説しました。
 リニアを巡っては、国の事業認可取り消しを求め約800人が起こした行政訴訟が東京地裁で続いていますが、JR東海によると、建設差し止めを求める民事訴訟は初めて。
 金子慎社長は5月30日の記者会見で南アルプス市の裁判について、「リニア工事を差し止めてほしいという大きな要求で、私たちとしては応じがたい」と述べたと報じられています。しかし、住民が自分たちの生活を守ろうとすることが、果たして「大きな要求」と言えるのでしょうか。


vol.190 かなでの沖縄だより vol.13

沖縄に住んで、こちらで伝えると言うこと

 5月3日、西濃憲法集会でお話しさせていただきました。お話しするのは上手ではないし、うまく伝わるかも分からなかったけど、伝えないより自分の言葉で思っていることを伝えていくことが大切だと思い、今私が思っていること、沖縄の現状などをお話しさせていただきました。
 ここ3ヶ月の間に3回、こちらで沖縄についてお話しさせていただきました。どの会場も、やっぱり大人が多い印象。大垣と各務原でお話しした時は、子ども劇場のプレ学習会ということで子どもも多かったけど、私と同い年くらいの20歳前後の人は1人もいない。西濃憲法集会に至っては、私が最年少じゃなかったのかなと思うくらい若者がいませんでした。すごく悲しかったです。

 なんで、若者がこういうことに関心を持たないのか、知る機会が少ないからなのか、元々興味がないからなのか…。何をどうしたら同じ世代の人が聞いてくれるのか。たくさん考えました。ちゃんと考えていかないとあとあと困るのは自分たちだという事。考えても答えは出ません。まずはにらめっこに書いて1人でも多くの人に記事を読んでもらうこと、そして自分からお話しができるような環境を作っていくことしかないなと思いました。黙っているより、私が、私の目で見たこと感じたことをお話しした方がいいということは確かです。何か1つでも伝わっていたら嬉しいなと思います。西濃憲法集会では、たくさんの方に「よかったよ、ありがとうね」といっていただきました。発言することを止めずに続けていけたらと思います。

沖縄慰霊の日

 6月23日の慰霊の日が近づいてきました。毎年行われるモーツァルトレクイエムの練習が始まるといつもたくさんのことを考えさせられます。沖縄1年目のこの日は外に出ることも恐ろしいくらいでした。2年目は普通に迎えることができ、糸満の平和祈念公園で行われている式典をテレビで見ることもできました。そして3年目の今年、この日が特別な日だということを意識して沖縄の空気を心と体に染みこませたいと思っています。
 今年になってアメリカ兵がらみの事件がしばしばテレビから流れてきます。4月には本土復帰後では14件目の米軍関係者による沖縄県内での民間人殺害事件が起きました。このようななかでの今年の慰霊の日は、さらに特別なものになるんじゃないかと私は思います。とは言っても、沖縄についてはまだまだ私も勉強不足です。
 県民投票で普天間基地の辺野古移転反対が沖縄の民意であることがはっきりしても、その声は尊重されないまま辺野古基地建設が進められています。最初沖縄ではそれが毎日ニュースで流れていたけれど、もうそれが少なくなっている気もします。那覇市にいる限りアメリカ兵はあまり見かけませんでしたが、最近目につくようにもなりました。
 天気がいい日だと、1日に2回はオスプレイを見ます。沖縄に来て1年目はそんなことありませんでした。
 黙っていれば、それが何事もなかったかのように進んでいってしまうのです。沖縄に住んでまる2年、事態は危ない方向に進んでいるのではないかと感じています。今沖縄で起きていることは、いつどこで起きてもおかしくないことです。実際、内地でもオスプレイが飛び始めていると聞きます。
 こちらの人に、沖縄のことを人事だとは思わず少しでも興味を持って考えてもらえたらいいなと願ってます。


vol.190 プレゼントコーナー

1- あなたの「夏の乗り切り方」教えて!
 これから暑〜い夏がやってくる!元気に乗り切るコツは?
2- 気になるにらめっこ紙面での広告
3- 気に入った記事、気に入らない記事の
 タイトル1つ・その理由もお書きください。
4- ご希望のプレゼント名
(第1希望・第2希望)
 ※CとDは編集室まで受け取りに来られる方。
5- 本紙をどこで入手されましたか?
6- 氏名、年齢、住所、郵便番号、電話番号、  家族構成

プレゼントご希望の方は

ハガキまたはe-mailで、上記のアンケートを
1〜6までご記入の上、編集部・プレゼント係りまでお送りください。
〆切:7月25日 当日消印有効。 Aをご希望の方は7月10

宛先
〒504-0855 各務原市蘇原新栄町2-25
e-mail: info@niramekko.com
※お寄せいただいた個人情報は、本紙プレゼントの発送に限り、 使用させていただきます。
※当選の発表は発送をもって代えさせていただきます。

A.ゆる体操で活力アップ!ご招待 …3名様

     人生これから!様より

ゆる体操をすると固まったからだが上手にゆるみ、コリや冷えの解消につながります。今、アスリートの間でも人気急上昇中!楽しくて心もカラダもゆるゆる、ゆったり、誰にでもムリなくできる体操です。詳しくはP12を参照ください。7月14日(日)14:00-16:00 総合福祉会館3階遊戯室にて

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B. CINEX 映画招待券 …ペア3組様

          シネックス様より

目の前に広がる広大な景色、大きなスクリーンで観ると、まるでそこに自分がいるよう。だからこそ登場人物に感情移入もしやすいのでしょう。写真は「荒野にて」より。 招待券は、柳ヶ瀬のシネックスでご利用いただけます。

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C.木製和プレート …2名様

          アートギャラリー是様より

上品な木製プレートを2枚組でプレゼント。写真のようにお茶と和菓子を乗せても、ちょっとしたおつまみを乗せてもステキ。
金銀の手描き模様に朱色のアクセントが効いています。にらめっこ編集室でお受け取りください。サイズ:約95×195×7ミリ

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D.洗濯粉石けん スノール …2名様

          にらめっこより

天然の植物油脂を100%使用。水に溶けやすく、泡立ちも豊かで汚れをきれいに落とします。蛍光漂白剤・香料・着色剤やLASなどの合成界面活性剤を使用していません。肌にも衣類にも優しい石けんです。にらめっこ編集室でお受け取りください。(1kg入り)


 




vol.189 採っていいタネ 採ってはいけないタネ

講師 岡本よりたか氏

4月7日(日)午後1時から岐阜市文化産業交流センター
じゅうろくプラザにて講演会がありました。

 「タネのことに関して、色々情報が錯綜していますね。 専門用語が多すぎて、素人の自分には難しいとか、 これから農業をやっていくのにどうしたら良いか、 家庭菜園や食卓にどんな影響があるのか分からない… そんな人がたくさんいます。 正直なところ、主要農作物種子法(種子法)が廃止されたことで、自家採種の自主規制が始まっているようです。 困ったものですね。 単に脅かすだけの情報が出回っているのは、おそらくTPPに反対している組織の情報だと僕は思います。 とても影響力のある人たちによる情報であるため、一般の方々がその情報に触れた時、曲解をしてしまっていることに問題を感じています。
 今日は採っていいタネ、採ってはいけないタネはなんなのか そんな事を、ズバリお話します。
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 まず、食べ物の一生を知ること、それは自然に寄り添う生き方に繋がります。みんなと一緒にタネを取る、収穫する、バイオテクノロジー企業がつくる交配種以外のタネを持っている、という仕組みを作っていくことが、これからとても重要になってきます。

自家採種を禁止する?!という動きに対して 

先日も「種子法が廃止されて私たち、もう自家採種できなくなるんですか」と悲壮な顔で相談に来られた方がおられましたが、そんなことはありません。これには誤解があります。そもそも種子法というのは、行政に課した法律で自家採種には全く関係ないのです。山田正彦氏(元農林水産大臣)は自家採種が禁止されるというようなことを発信をされていますが、残念ながら<誰が自家採種できなくなるのか>、<どういうものが自家採種できないのか>に踏み込んで発言されてません。ですから家庭菜園でも、固定種も在来種もダメ!?と思われてしまうんですね。
 ところがそうではないんです。基本的にどんなタネも自家採種はOKなんです。しかし次の点だけは要注意です。種子法より種苗法(知的財産権などタネの権利を決めた法律)に注目しないといけません。知的財産権は、農作物でいうと「育成者権」(植物の特許)と「品種登録」されたタネがあります。いずれもこれらのタネは自家採種はOKですが、販売・譲渡・交換会はNGです。
 育成者権のあるリスト、登録品種に関しては農水省のHPで検索できますので、チェックをお勧めします。

タネについて

いわゆるF1のタネ 意味不明のアルファベットが表記されている。

タネの種類は「交配種」「遺伝子組み換え種」「固定種」「在来種」があります。交配種というタネは人が作り上げてきたタネ。これを自然界に放つどどうなるかというと、簡単に消えていく。雑草に比べると非常に弱い。つまり自然淘汰していくタネです。なぜそんなタネが生まれたのかというと形質が安定するから。例えば大根。大きさ、質、色が均一であれば同じ値段を設定できる。大中小が混ざると、小さいものが売れ残る。それらは破棄され小売業者の損失となります。なので、小売業者は同じ大きさの大根を、仲卸へ要求します。仲卸は農協へ、農協は生産者へ要求する。そして生産者はタネ屋に要求します。本当は野菜を買うお客が要求しているんですけどね。そしてタネ屋は技術を駆使し同じ時期に発芽して、同じ時期に採れるタネを開発していく。S社のタネとかT社のタネのパンフレットを見てると面白いですよ。23cmのキュウリとか、生まれる前から身長が決まっているんですから。

育成者権申請のあるタネ。PVPマークがついていて、登録番号が表記されている。


 さらに、雄性不稔性といって雄しべができない形質を増やして、それを母株にしてどんどん交配させて新しいものにしていく。ミトコンドリアを壊せばこれは簡単にできるそうです。例えばトウモロコシ。タネができないとトウモロコシを食べられなくなる。それは困りますね。雄性不稔性(F1)でもタネはできますが、ここから分離の法則が始まります。二世代目(F2)には1対3の割合で1が不稔性となり、その結果タネができないものを増やすことになる。男爵とかメークインとか、てんさいと言われる砂糖大根とか、たまねぎ、いろんなものがあります。雄性不稔性かどうかは実際、タネを見ただけではわからない。見分けるすべは、袋に表記されたアルファベットVR、SP、CF、EXなどの文字。これらのタネはF1である確率が高く将来タネができなくなる可能性があります。そんな理由で農家がタネを採らなくなりタネに無頓着になる。タネはタネ屋さんで買い自分たちは野菜を作る。この分業制が、結局はわたしたちの安全をないがしろにすることになってくるんです。

 遺伝子組み換え種子(Gnetically Modified Organisms)これは知的財産権の特許権を取得しています。特許を与えられたこれらの種子は自家増植(種子繁殖・栄養繁殖)は認められません。農家の種子保管も禁止されており、さらに在来種を駆逐するようになります。健康への影響もあります。不妊症や、アレルギー、がん、抗生物質への耐性、リーキーガット症候群を引き起こすと言われています。

 固定種はどうか。綿々とタネを落としながら繋がっていく。自然界の中でも自分たちがいる場所をきちんと確保している。とても強い。僕ら、無農薬無肥料で野菜を作るんですが、自然と同じような環境の中で野菜を作っていこうとすると、こういう固定種とか在来種という強いタネで作らないとなかなか難しい。強いというのは、成長がいいとか悪いのではなく、雑草に負けないということですね。

自家採種は可能か

1)種子繁殖は、育成者権のある作物でも種子の次期作使用は認められる。栄養繁殖(※)は育成者権のある作物の一部(356品目)は禁止。
2)育成者権のない作物(固定種や在来種)は自家繁殖は認められる。(固定種であっても、一部PVP(植物品種保護)マークを取得しているものもあるので要注意)
3)自家採種禁止の契約(※)を交わした作物は、一切の自家繁殖禁止。
※栄養繁殖、挿し芽やランナーなど、タネ以外で作物を繁殖する事。
※自家採種禁止の契約について。タネ屋さんでトマトのタネを買おうと思ったら、買う前に契約書にサインしてくれって、契約書を持ってきた。それには、自家採種を禁止するって買いてあるんです。それにサインしてしまうと、自家採種はできなくなる。そういうトマトを買わなきゃいいだけの話。日本モンサント社のタネは買わないことです。コメだって同じですよ。
一体タネは誰のものなんでしょうね。

3時間に及ぶ講演内容のうち、自家採種に焦点をあて編集しました。(文責・にらめっこ)講演内容は「空水ビオファーム」で検索してください。


vol.189 種子法ってなに?

 岡本よりたか氏の話を聞いて、うなづくことしきり。そもそも「タネ」は誰のものか?っていう問いがおかしいと思う。家庭菜園歴20年の筆者の素朴な疑問です。芽が出て花が咲き、実をつけ、タネとなってこぼれ、また時期になると芽が出て…それは自然の営み。そこに、「種子法廃止」のニュースが飛び込み、「自家栽培でもタネを採っちゃいかんのか?」と巷で噂となりびっくり。「種子法」とはどんな法律なのでしょうか。

 種子法とは、戦後の日本で、優良な種子の安定的な生産と普及を“国が果たすべき役割”と定めている法律です。種子の生産自体は、都道府県のJAや普及センターなどが担っていますが、地域に合った良質な種子が農家に行き渡るように、種子法の下、農業試験場の運営などに必要な予算の手当などは国が責任を持って担ってきたのです。
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 種子法が制定されたのは1952年5月。注目したいのは、第2次大戦終結のためのサンフランシスコ講和条約が発効された翌月というタイミングです。戦中から戦後にかけて食糧難の時代を経験した日本が、「食料を確保するためには種子が大事」と、主権を取り戻すのとほぼ同時に取り組んだのがこの種子法の制定でした。私はそこに、“二度と国民を飢えさせない”“国民に食料を供給する責任を負う”という国の明確な意思があったと考えます。

――この法律がなぜ廃止されたのか。 

政府や農水省は、「国が管理するしくみが民間の品種開発意欲を阻害しているから」と説明しています。種子の生産コストが国の財源でまかなわれているなど、今の制度では都道府県と民間企業との競争条件が対等ではないというのです。これまでも種子法は民間の参入を禁じていたわけではありませんが、種子法をなくしてハードルをさらに下げることで、民間企業、とくに外国企業の参入を積極的に進めようという思惑があるのではないでしょうか。
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――日本のコメや麦などの種子を巡る状況はどう変化していくのでしょうか?

政府や農水省は、「国が管理するしくみが民間の品種開発意欲を阻害しているから」と説明しています。種子の生産コストが国の財源でまかなわれているなど、今の制度では都道府県と民間企業との競争条件が対等ではないというのです。これまでも種子法は民間の参入を禁じていたわけではありませんが、種子法をなくしてハードルをさらに下げることで、民間企業、とくに外国企業の参入を積極的に進めようという思惑があるのではないでしょうか。
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――日本のコメや麦などの種子を巡る状況はどう変化していくのでしょうか?

 将来的に生産コストが上乗せされて種子の価格が跳ね上がり、食べ物の価格に影響が出るかもしれません。また、都道府県が種子事業から撤退し、民間企業による種子の私有化が進むことも起こり得ます。
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――種子の私有化というのはどういうことですか?

種子法のベースにあったのは、新しい品種をつくるために素材となる品種=遺伝資源は、国や都道府県が“公共の資産”として持つという考え方です。これが民間に委ねられた場合、遺伝資源を基にして改良された新品種について、改良部分だけでなく種子全体に特許をかけ企業がその所有権を主張するということも起きかねません。ロイヤリティ(特許料)を払わなければその種子が使えなくなる。遺伝資源が企業に囲い込まれてしまう。これは「種子の私有化」を意味します。

 すでに民間が主体となっている野菜などの作物では、圧倒的な技術力と資本を持つ数社の多国籍企業が、中小の種苗会社を次々に買収し、世界中にシェアを拡大しています。今スーパーなどで販売されている野菜の多くも、そうした多国籍企業の種子によるものなのです。種子法がなくなることで、公的に支えられてきた米や麦などの主要作物の開発についても、効率や経済性の追求に傾いていかないか心配されます。

 もともと種子というのは自然のなかにあったもので、人間との関わりでいえば、どんな新しい品種もその基になる種子は数万年の歴史の中で先人たちが積み重ねてきた改良の賜です。そうした本来は公のものである、もっと言うと、“誰のものでもない”種子を、特定の誰かが所有していいものなのか。しかも、人が生きていくのに必要な食べ物の種子が一部の企業に独占されるのを許してしまうことに私は違和感を禁じ得ません。
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――この先、“公共のもの”としての種子を守り、食料を安定的に確保していくためにはどうしたらいいのでしょうか。

 消費者にとっては「何を食べるのか」を、農家にとっては「何を作るのか」を、自分で選んで決めていく権利を“食料主権”といいます。種子ビジネスが一部の多国籍企業に独占されている現状では、農家は企業が売りたい、作らせたいと思う種子を購入せざるを得ず、その結果、消費者の食べたいものを選ぶ権利も狭められてしまっています。

 米や麦のような主要作物と野菜とでは、種子を管理する仕組みが異なるので同列に語ることはできませんが、このように、さまざまな立場の人たちが地域に見合った品種の開発に関わり、付加価値のある商品を作り、その付加価値をまた地域に還元しようとしている。そうした循環が各地に見られることが希望ですね。______________________________

――私たちが消費者としてできることはありますか?

 まずは、一人ひとりが、自らに与えられている“食料主権”を意識して、自分が口にする食べものに、これまで以上に関心を払うことでしょうか。誰がどこでどういう想いで作っているのかがわかる食材を選ぶこと。そして、できるだけ地域で大切に育まれてきた種子を使った食べものを選ぶこと。台所で、食卓で作物の生産者や産地への想像力を働かせてみることが大切だと思います。
 「種子が消えれば食べ物も消える。そして君も」――これは国際的な種子貯蔵庫の創設に尽力されたスウェーデンの研究者ベント・スコウマン氏のメッセージです。人間は、食料のすべてを直接あるいは間接的に植物に依存している。つまり、種子によって生かされているのです。

 種子法が突然廃止されたことは大きな衝撃ですが、これを機に種子の大切さを改めて認識し、種子にどう関わっていくことが望ましいのかを考えてみたいですね。プランターでもいいから、何か育ててみるのもおすすめです。種子が命の源であることを、きっと実感できると思いますよ。

 種子法が突然廃止されたことは大きな衝撃ですが、これを機に種子の大切さを改めて認識し、種子にどう関わっていくことが望ましいのかを考えてみたいですね。プランターでもいいから、何か育ててみるのもおすすめです。種子が命の源であることを、きっと実感できると思いますよ。

西川芳昭・にしかわよしあき       龍谷大学経済学部教授。1960年奈良県生まれ。京都大学農学部卒業後、バーミンガム大学大学院植物遺伝資源および開発行政専攻修了。国際協力機構、農林水産省、名古屋大学大学院教授などを経て現職。専門は農業・農村開発、農業・資源経済学。主要作物種子法廃止法案においては、参議院農林水産委員会で行われた審議に野党側参考人として招聘された。『奪われる種子・守られる種子』(創成社)、『種から種へつなぐ』(創森社)など編著書多数。


vol.189 ぎむきょーるーむ   子どもの権利条約って?

 「子どもの権利条約」を批准した国は、定期的に報告書を提出しなければなりません。国連はそれを審査し、各国に対して勧告をします。国連は、政府の報告だけでは都合の悪い数字は出さない可能性もあるから一般市民やNGOによる報告もください、と言っています。第一回の政府報告から、日本全国の子どもに関わる人、教育、福祉、文化、司法、各分野の専門家が集まって、「市民NGO報告書をつくる会」を結成し、第一回の時には、子ども劇場も加わり報告書を提出しました。
 今年1月ジュネーブで行なわれた「国連子どもの権利委員会 日本政府第4・5回統合報告審査」の傍聴に行ってきました。

権利条約の成り立ち

 国連の公用語には日本語はないです。第二次世界大戦の戦犯国、敗戦国を除いたところから国連は出発していますから。第一次世界大戦では、飛行機や爆弾が発明され、市民や子どもがたくさん犠牲になった。その反省にたって国際連盟ができ、「子どものいない地球に未来はない」という言葉で表現された子どもの権利に関するジュネーブ宣言が出された。1959年、第二次世界大戦後に、ジュネーブ宣言を引き継ぎ「子どもを守る事が平和を守ること」を明確にした国連の「児童の権利宣言」が出された。もう第三次世界大戦は起こさないと。
 1979年がその宣言20周年の国際児童年。でも、状況は変わってない。子どもの権利を明確に示す条約が必要だと、1989年に「子どもの権利条約」が国連全会一致で採択された。
 権利条約はなんのためにあるのか。「子どもたちを守るため」「子どもたちが育っていくため」ですが最終的には、地球温暖化、原発、核兵器の問題…、今起きている事をみんなで解決していくためには、子どもたちも一緒に考えることが必要じゃないかということです。

権利は人権

 「子ども」とは、条文でいうと産まれた時から18歳未満。大事なのは0歳からということ。人種、男女関わらず全ての子どもたちが、産まれた瞬間からこの権利があるということを国際的にみんなが認めたということです。「権利は義務を果たしたら与えられるもの」と言われますが、産まれた時からあるということは、持って産まれてくるということ。英語で権利はRight。だから権利は人権(human rights)。子どもに権利なんてって言う人もいるけど、子どもに人権はないと言う人はいないような気がします。

日本政府の姿勢は

 子どもの権利条約が国連で採択された後、日本は条約が発効された20日後、109カ国目に署名しています。でも批准までは5年もかかった。その時の解釈が、この条約は開発途上国や紛争国、戦争や飢餓で苦しんでいる子どもたちを救うための条約、だから全面的に賛成してもいいと署名した。だけど、よくよく見たら懲戒権の問題や嫡出子の問題、男女の結婚年齢が違うとかいう国内法と矛盾があるということに気付いたんですね。それと大きいのは、子どもに権利なんか渡したら大変なことになる、その頃は学校が荒れたりとかしていた時期ですから。それで外務省が批准したのは197カ国中158番目。このままいくと取り残されてしまうと国会ではほとんどまともに議論もされずに批准されました。そのことが、この国の子どもに対する見方、権利というものに対する見方が明治から変わらず、今に続いているんじゃないかって僕は思っています。

国連子どもの権利条約の中の基本原則
差別の禁止(2条) 、子どもの最善の利益(3条)、生命および生存・発達の権利(6条)、意見を聞かれる権利(意見表明権)(12条)

 3条:大人が、「あなたのために良かれと思ってやっているのよ」というのは通用しません。それは大人の都合ではなく、この子にとって最善の利益とは何なのか、考えなきゃいけないという事。子どもの利益というのは未来に及ぶ利益ですから人類の利益なんです。
 6条:生命は生きると言うこと。生存とは豊かに暮らすということ。日本国憲法25条の「文化的な生活」とクロスしますよね。
 国連のいろんな文書を翻訳した時に思ったんだけど、幸せって言う言葉をHAPPY とかLUCKY じゃなくて、Well Beingと使うんですね。“良いありよう”なんですよ。わざわざ生命と生存をわけている意味はそこにあると思います。幸せに、文化的にということも含めて「生きる」ということが権利、そして保障されている。そして、子どもの最善の利益を保証するためには「子どもの意見を聞かなければならない」(12条)。これが基本原則の4つです。更に言うと4つの柱があります。
①生きる権利 ②守られる権利 ③育つ権利 ④参加する権利
 1989年にこの権利条約が締結した時に加えられたのが④の「参加する権利」。その頃は世界的にいろんなことがおきています。その前年にソ連崩壊、ベルリンの壁がなくなり、東西冷戦が終わる。地球温暖化などの問題もクローズアップされてくる。で、権利を当たり前と読むならば、参加するのが当たり前。だから全ての項目に、「子どもたちは参加していますか?」って国連は聞きます。いじめ防止条例とかいろいろありますけど、子どもたちの意見はどこに反映されていますか?って。日本政府は全く答えられません。なんでそんなこと聞かれるの?って顔をしているんですね。
 本当に人類はどこに向かっていくんだろう。この国をどうしていくのか、僕らはどう生きて行くのかっていうのは全部政治のでもあります。子どものときからそこを共有しながら、訓練しながら、模索しながらやっていこう。この「参加する権利」は、“大人と子どものパートナーシップ”とも言われました。

31条について

31条:(休息・余暇、遊び、文化的・芸術的生活への参加) 
条文1. 締約国は、休息及び余暇についての子どもの権利並びに子どもがその年齢に適した遊び及びレクリエーション活動を行い並びに文化的な生活及び芸術に自由に参加できる権利を認める。

 日本の子どもたちの苦しさをどう捉えるか。これがなかなか政府と国連とで一致しない。第一回の国連審査の時、「高度に競争的な教育制度のストレス及びその結果として余暇、運動、休息の時間が欠如していることにより、発達障害にさらされていることについて、31条に照らし懸念する」と勧告が出ています。
 国連発行の解説書では、子どもが思うように使用できる、自由に使うことが許される時間であるということ。そういう時間から初めて主体性というのは生まれてくる。
 子どもたちは周の親や先生から、あれしなさい、これしなさいと言われ、友だちから嫌われないかと気にし…という中では自分が何をしたいのか、自分はどうありたいかという一番大事な部分が生まれて来ない。持っていても表に出て来ない。本当に興味関心や生きる力としての想像力や好奇心というものは、何も束縛される事のない時間の中でしか生まれてこないんだと言われています。僕も全くその通りだと思います。子どもたちの今一番苦しいとこはそこなんじゃないかな、と思います。
 日本では余暇というのは余った暇ですから、放っておくと良くないと思われているんですよね。僕も子どものころ親から言われたのが「小人閑居して不善をなす」。小さい人間が暇に過ぎると悪い事をする、と。だから、ぼーっとしてるんじゃないぞって。それが日本の中の子ども観だったんじゃないでしょうか。
 余暇は子どもの主体性を生み出す時間、自由裁量の時間なんですね。国連の解説を読んで、僕も目からウロコでした。
 
 第4回・5回の勧告ではかなり細かいことまで懸念と勧告が出されました。国連はここまで日本のこどもたちのことを考えてくれたんだ、それまでの勧告とは全然違う重みを持っていました。特徴的な部分だけ紹介します。
 「生命、生存および発達に関する権利においての勧告。本委員会は、前回勧告を締約国に想起させ、以下のことを要請する。(a)社会の競争的な性格により子ども時代を発達が害されることなく、子どもがその子ども時代を享受することを確保するための措置を取ること。」
 “子ども時代を享受する”というこの言葉が入った事はとても大きな事だと思います。そして、“社会の競争的な性格”というのが、今回の一番のポイントだった。それは、「経済的な価値が全ての価値を上回っている」ということ。経済至上主義って言い方をしますが、お金があればいいこと、豊かだと思っていませんか。そのお金を得るためには競争をしなければいけない。仕事を得るためにいい学校に行き、いい点数とらなきゃいけないし、商売だったら人を蹴落としてでも自分が儲けなきゃいけない。それが生きる力っていうふうに言われている。勝ち組負け組がはっきりして、格差が出て、貧困も自分の責任でしょうがないと、自己責任論になっていく。この社会の価値の捉え方が子どもたちを苦しくしているんじゃないか、ということがここに表現されたんです。
 受験制度を変えれば日本の子どもたちの状況が良くなる、と思える程簡単な話しではないんです。国や社会の価値観の問題として余暇・休息は大事なんだ、もっと一人ひとりが自分の人生を自分のものにしていくという、まさに人権の出発点を考えていかないといけないんだと思います。

最後に

友人たちと作った「ワニブタカレンダー」を手に語る大屋さん

 僕は子どものころ、とにかく大人の言う事を聞くとってもいい子で、大人の気持ちが忖度できる子だった。そのいい子をやり続けると破綻するんですね。一番大きな破綻は僕が30半ばの時。「おれはこれがしたい、これのために生きる、という生きる価値について考えてきたかなあ」って。これから自分はどう生きていったらいいのだろう、どこまで行ったら自分は自由になるんだろう、と挫折したんです。外にある価値を一生懸命取り込もうとしたり、外にある価値に近づこうとしてた。それに気付いたのはこの「子どもの権利条約」に出会ったからでした。
 人権とは子どもたちと哲学しようっていうことでもあると思います。子どもたちと一緒に、なぜ僕らは生まれて来たんだろうね、なぜ生きているんだろうね、と語り合う事、考えあう事が今とても大切なんじゃないかと思うんですね。社会の発展のために“子どもは国の未来です”とか、“子どもは人類の宝です”とか・・・間違ってはいないけど、そこが強調され過ぎて、子どもたち自身が幸せになるために生まれて来たってこと、「今を生きている」ってことを忘れてませんかね?子どもの人生は誰のものなんだろうねって、つくづく思います。

大屋 寿朗 おおやとしろう NPO法人子どもと文化のNPO Art31代表・プロデューサー、子どもの権利条約市民・NGOの会起草委員、長野の子ども白書編集委員、NPO法人子どもと文化全国フォーラム権利条約31条委員会委員



vol.189 カタコトの部屋 ジブンnoカラダwoメンテナンスする

 よく、「〇〇は身体に良いのですか?」とか、「こういう症状の時はどうすれば良いですか?」と聞かれます。 でも、同じ顔の人がいない様に、人間の身体にはそれぞれ個性があり、「これ!」というものは存在しません。 また、症状や病気というものは無限にあり、原因も様々です。 なので、それだけを聞いて一概に「こうすれば良いです。」と言えることはほぼありません。 ただ、一つだけ言えることは、「身体は完璧なので間違ったことはしない。」ということ。
 そもそも、身体がどの様な仕組みで、どう完璧なのか?そして、症状よりも「そもそも病気や症状って何なのか?」や「何でなるのか?」を知る必要があると思います。 
 その一番大切な「根っこのところ」をわかって貰えれば、どんな枝葉の情報も「あぁ、こういうことか。」とその都度思って頂けるかと思います。また、自分や自分の周りの人の身体が起こす色々な症状にも「根っこ」さえわかっていれば、「ま、これくらい良いか。」と白黒ではなく、グレーが判断して頂けるかと思います。

 ホロソフィーという名前はHolisticという言葉の語源ともなっているギリシャ語で全体性を意味する「Holos」から生み出された「Holon」という言葉と哲学を表す「Philosophy」を合わせた造語。オステオパシー、東洋医学、徒手療法、運動療法、食事療法などの医学や各種療法、解剖学、生理学、運動学、胎生学、発達学、量子学など、様々な要素を独自の視点で“繋ぎ合わせた”哲学です。
 ただ、闇雲に繋ぎ合わせた訳ではなく、一人の人間を見る時に、その方のどこか一部分に捉われず、身体・心・精神を含めた「その人自身」を全体として捉えられること。そして、全体だけではなく、その人を支えている小さい組織にまで目を向けること。を考え方のベースとしています。そのため、今後も様々な分野の色々な軸が足されて進化していくと思います。

 体が弱った時に、体はどんな働きをしているのだろうか?例えば、経年劣化(加齢)により、体の各部位の性能が低下します。これに対応するために、体は血圧やコレステロール値を上げています。
 なぜ血圧をあげるのでしょうか?心臓が弱ってくると血液を送り出す力も弱まりますね。
 症状は体が自分を守ろうとしてくれている反応なんですね。そう捉えると、症状を消そうとしたり、症状を無視したりするのが適当なのか、症状を軽減するためにキャパシティーを広げる療法を選択したり、生活習慣を見直しめぐりをよくしたりすることを選択するのか、見えてきそうですね。
 症状が出ることは、何かのサインであり、それを受け入れ、気付くことが大切。症状が悪者ではなく、根本原因にアプローチする知恵や知識を持ち、わからない時は専門的な方に委ねることも大事です。

中壽賀宣行●なかすがのぶゆき
理学療法士(国家資格)・日本ホロソフィー協会 会長 オステオパシー&ホロソフィー施術院 奏 院長・Force Academy 会長・国際ボイタ協会認定セラピスト・サプリメント管理士
滋賀県大津市在住

2月21日一宮市「つくる」にて 「入り口に聞いて欲しいカラダの根っこ」より 講師:日本ホロソフィー協会会長 中壽賀宣行先生

【参加者の感想】
・体は体だけでなく心からもできている。心の不調は、体調を崩したりとサインで教えてくれます。そのサインを「うわ~いややわ~」と捉えず、教えてくれてありがとう!と感謝して、自分の体と向き合いたいと思いました。(Nさん)
・健康で生きるには、ガチガチした生活ではなく、遊びがあって、ゆる~く、たの~しく過ごしていこうと思えました。(Mさん)
・歯をさわらない方がいいとは知っていたけど、その原因、理由を知ることができてよかったです!楽しいお話でした!(Yさん)
・歯は歯だけでの問題でなく、体全体と繋がっていることが学べました。体は完璧!全ては自己責任!子どものうちは、親が選択してあげることが多いので、よき選択をしていきたいです。(Nさん) どの選択も自己責任で、主役は自分!知恵や知識を得ることで、選択の幅が広がり、人生の楽しみが広がり、今後益々楽しみが増えてしまいそうな講座でした。(ゆっこ)



vol.189 ここいく日記 はじめの6歩

男の子らしく
女の子らしくではなく 自分らしく

 うちの長男は、小さな頃からかわいい物が大好きで、いわゆる女の子っぽい男の子でした。男の子っぽく戦隊ヒーローごっこしていても、選ぶのはピンクやイエロー役(笑)。よくタオルを腰に巻いて、歌ったり踊ったりして、女の子と一緒にいることのほうが多かったです。ありがたかったのは、そんな彼を幼なじみや同級生や周りの大人たちが、誰もおかしいと思わずに当たり前のように受け入れてくれていたのです。でも…親としてはとても心配でした。このままで大丈夫だろうか…と。 3年生の頃、スカートを買って欲しいと頼まれた時は、彼は何気なく言っただけでしたが、どうしよう…どうしたらいいのだろう…と本当に悩みました。
 そんな時に出会ったのが、元養護教諭の坪内つるよ先生の、大人対象の性教育でした。「いのちの授業」をスタート時から今日まで、私たちをあたたかく見守ってくださる先生です。 私は、生理の話も女の子だけ集めてこっそりやっていた時代に育ちましたので、性教育?だったのですが、聞いてみたら、子育ての話から、夫婦関係や人間関係についての話にまでにおよび、本当に「性=生」の生教育だったのです。
 先生からは、スカートをはきたいだけの男性もいれば、お化粧もする女装をしたいだけの男性もいて、この世の中にはいろんな人がいることを教えてもらいました。男の子らしく女の子らしくではなく、その子をそのまま認めてあげればいいのよ~という優しい先生の言葉は、私の心にストンと入り、それからの私の子育てを楽にしてくれました。他の子と違ってもいい、その子がその子らしく幸せでいてくれたらいいね~と夫とも話すことができ、性教育と出会えたおかげで、夫婦関係もよくなっていきました。
 性教育の大切さを知り、自分たちの子どもや周りの子どもたちに伝えたいと始めた「いのちの授業」。最初は高学年と低学年に分けていたのですが、低でもないし高でもない微妙な、そして大事な時期の中学年3・4年に向けた授業がしたいとプログラムを考えました。その中でも子どもたちの反応がよく、大うけなのが心の成長で伝えている、『男の子なんて 女の子なんて大嫌い だってさ』という紙芝居です。おばちゃんたちが、小学3年生の男の子と女の子になって登場(体はってます)!!かなり引かれますが、子どもたちは優しく受け入れてくれます(笑)
 男の子女の子の、こんなところあんなところが嫌いと進んでいく紙芝居。「女の子はなんであんなにお喋りなんだ~すぐ先生に告げ口するし~」など、子どもたちにとっては、リアルに共感できる内容で、「そうそう!」と声があがります。最後は、こんないいところもある~と、お互いの良いところを認め合って紙芝居は終わるのですが、そのあとに少し考えてほしいことを子どもたちに伝えます。1•2年の時は仲良く遊べたのに、お互いのいろんなことが気になるのは、体だけではなく心も成長しているからだよ。紙芝居の中では、男の子はこう、女の子はこうとあったけど、男の子の中にはかわいい物が好きな子もいるよね。男の子らしく 女の子らしくではなく、自分らしくでいいんだよ。悪いところや嫌なところばかりを見るのではなく、いいところを見つけてね~、そして優しい言葉をかけていたら、自分のまわりも優しくていい関係がつくれると思うよ。
 まだまだ幼い子もいれば、もう思春期に入っている子もいる3・4年生。いろんなことに心が動くことは、全然おかしなことじゃない、みんな違っていいんだよ~と伝えることで、子どもたちは少しほっとした顔をします。そんな子どもたちの反応が大好きなので、もう少し体はって頑張ります(笑)

 そうそう、いろいろと悩ませくれたうちの長男は、この4月から保育士2年目となります。きっと、『自分らしく』子どもたちに接しているのだろうなぁと思っています!! 担当:ここいくメンバー・小田佐知子でした。 


vol.189 niramekko Gallery 「きんぎょ」

 なんか疲れたなぁ、と思ったときは思い切って日常から離れてみませんか?私達の暮らしは意味や役割がある脳で作られたものに囲まれています。そうすると、意味のないものに耐えられなくなるかもしれません。アートに触れるときは、意味を求めないで、心の働きを感知する力を取り戻しましょう。共感したり感動したりすることで、心の働きが活発になっていきます。たまには、美術館やギャラリーでアートな作品を鑑賞してみませんか?気持ちが落ち着いたり、リフレッシュしたり、時にはワクワクしたり…まだ自分が体験した事のない領域の喜びを体や心で感じることができるかもしれません。


vol.189 えんぴつ・カフェ 今年度の予定

2019年度はアクティブに動きます。元気で長生きするためには、まずは身体が資本。自分でできる簡単料理をはじめ、脳活、筋活を取り入れた「えんぴつカフェ•スペシャル」を企画しました。なお、開催会場につきましては、基本的には、各務原市産業文化センターですが、2ヶ月前に予約し決まり次第FBやSNSを含めチラシなどでお知らせいたします。

2019年度 えんぴつ・カフェの予定

14:00-16:00(5月のみ11:00から)
開催会場はその都度ご確認下さい。

・えんぴつカフェ
「ゼロの昇天」の書き込みを中心に行います。
14:00-16:00
4月19日(金)
産業文化センター2階 第1会議室
9月 7日(土)
11月16日(土)
3月7日(土)

えんぴつカフェ・スペシャル       第1弾:5月19日(日)・薬膳料理をつくろう!
第2弾:7月21日(日)・筋力アップを目指そう!
第3弾:10月20日(日)・歌をうたって脳活! (生演奏で歌います)
2020年
第4弾: 1月19日(日)・講演会「定年後の10万時間、あなたはどう生きる?」著者:上鵜瀬 孝志氏講演会といきいきシニアのシンポジウム

えんぴつカフェ・スペシャル参加者全員に進呈!
・薬膳料理のレシピ
・ゆる体操のメニュー・歌うは脳活!
・定年後の10万時間をどう過ごす?etc …
 など「えんぴつカフェ・スペシャル」をまとめた暮らしのヒント集。

スペシャル企画 第1弾 薬膳料理をつくろう!        5月19日 11:00-14:00(先着30名さま)
各務原市総合福祉会館3階・料理教室
講師:高山 恵美氏
資料代:700円 材料代:2,000円

  

講師:高山恵美氏
漢方ナチュラルkitchen 主宰 
国際中医薬膳師・栄養士・登録販売者・中国漢方ライフアドバイザー・食品衛生責任者・豆腐マイスター・食空間コーディネーター・介護食アドバイザー

子育て中、仕事との両立と子どものPTAや子供会の役員などで多忙を極めたときに体調をくずして、一時期食事を作ることが億劫で何もやる気が出ず鬱々としていました。食事が満足にできないと家族も荒んできて何とかしなければと模索している時に薬膳と出会います。薬膳を学ぶうちに中国伝統医学の考え方である心と身体はつながっていることを実感し、まずは食事を作る自分が元気でいることが大切だ、と自分のケアをしていくうちに自分も家族も食を通じて元気になっていきました。5年後、10年後も元気でいられるために、毎日の食事作りが楽しくなるような料理を広めたいという思いで活動しています。
2014.4~現在 栄中日文化センター料理講師
2015.4~現在 大垣中日文化センター料理講師

「元気なシニアがいきいき暮らす!プロジェクト」この活動は各務原市『まちづくり活動助成金』助成事業です。

えんぴつカフェの問い合わせは 
NPO「人生これから!」 
田辺 090-5638-7044 三上 090-7854-4561

BOOK紹介

株式会社 地球丸(A5版144pカラー)定価:1,300円+税

「みの日記」   ページをめくると見たことのある風景写真が飛び込むことで興味倍増。それだけじゃない、著者のみれいさんの会社まるごと美濃に引っ越してきてからの2年間の記録が満載で興味津々。その記録が妙にからだになじむっていうか…。読み進むうちに自分の暮らしを変えたくなってくる。自然に生きるって気持ち良さそう!気づけば美濃というみじかなエリアで暮らすナチュラリストたちに、ぐいぐい惹きこまれていくではないか。とりあえず私も実践者になろう!さてどこから始めようか。そんな気分るんるんにさせてくれる本。                   

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みんなのデータサイト出版
(A4版 200p オールカラー)
定価:2,500円(税抜き2,315円)

「放射能測定マップ」+読み解き集   この本は苦悩に満ちている。事実をそのまま伝える苦悩、測定者であり生産者でもある方々の苦悩、「汚染」ということばを使わない苦悩。そして子どもたちへ、2011年に起きた原発事故による放射能汚染の実態がどのようであったか、事実の記録として保管され伝えられるよう願わずにいられない編集者の苦悩…。 改めて「放射能」について知り、考え、分断を乗り越えてつながりあうための、一粒の種となれ!と願う。
 この本は、市民の市民によるどこにもない本を目指して、原発事故をなかったことにさせない、という思いで6年間活動してきた集大成である。200ページにも及ぶこの本を読み進むほどに本当に辛くなるが、事実を受け止め今後どのように対処していくのか、じっくり考えなければならない。
 日本には55基もの原発がある。加えて地震大国の日本。原発はもういらないと声を挙げ続けるべきだと思う。

この本をご希望の方は、
0572-69-2157(大泉 讃)へお申し込みください。

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マザーハウスing
  (B5版44p2色)
定価700円

ライフデザインノート「ゼロの昇天」    「死」を考えるより「今を生きる」ことにスポットを当てたノート。とは言っても、いずれ迎える「死」を意識して、家族や周りの人に伝えておきたいことを書き留めておくことを勧めている。高畠純さんの軽快なイラストが心を和ませてくれる。


vol.189 熱中世代 池田尚美さん

エベレストが朝焼けに染まる、そのピンク色を目にしたときは涙が出た、と語る池田さん。

 ネパールの支援活動、というキーワードで池田さんを紹介されてお会いすると、「思い立ったら吉日」という言葉がぴたりと当てはまる人だった。
 十数年前、ポスターで見た古都が忘れられなくて、いつかきっと訪れようという思いを子育てを終えた頃に実現。それがネパールだった。
 出かける前にネットで現地の情報をいろいろ調べていると、気になるフレーズが目に飛び込んできた。それは、「ボランティアができるペンション」。さっそく問い合わせた。
 そのボランティアは身体障害者の施設だった。元々、水泳で障がいのある人のクラスを受け持っていた池田さんは、まるで引き寄せられたのかと思うくらい自然の成り行きだったと振り返る。そうとわかると、荷物に事前情報で得た施設の方たちへのプレゼント「トランポリンとおもちゃのピアノ」を用意した。約1週間滞在して、「また来るからね」と約束してネパールを後にした。
 二度目の訪問は、車いすを3台持っていった。そんなふうにネパールを往復しているうちに、日本人が旅館をやっているとの情報を得た。池田さんの実行あるのみ!というパワーがここでも炸裂!さっそくコンタクトをとった。そうして出会ったのが、筋田氏だった(にらめっこ155号 掲載)。 
 それはネパール震災の直後だった。筋田氏の活動に感銘を受け、以来、彼の活動に必要な物資を運ぶことになる。一人の手荷物の制限は30キロ。それでは運びきれないと思い、試しに自身の母親に声をかけてみたら「行きたい!」と快い返事。これで60キロの荷物が運べると、あくまでも、使命感を優先する。それでも、母親はニコニコして同行してくれた。この現状を一人でも多くの人に伝えたいし、もっと多くの荷物を運びたいとスイミングの会員さんに声をかけた。するとポツポツと賛同者が現れ、ネパール行きは3人に。これで90キロの荷物が運べる!荷作りも手慣れてきた。震災で筋田さんが経営する「銀杏旅館」はかなりな被害を受けていた。岐阜ネパール会と一緒に募金活動も積極的に参加した。

 2011年の東日本大震災。その時もいてもたってもいられなかった。何か自分にできることはないかと情報を探した。被災地から少し離れたところ、あまり注目されていない地域が気になった。そこはマスコミにもあまり報道されておらずとにかく人手がいちばん必要だと感じ、持ち前の行動力で即現地へ飛んだ。テントが必要とあればテントを用意し、事前調べで必要なものはすべて手配した。毎日毎日泥かきの日々。ボランティアの人たちも体力勝負だった。

 支援にはさまざまな形や方法がある。ネパールだけをとっても、女性の自立支援のため手編みのセーターを日本で販路を広げた方や、現地に学校を建設される方、井戸を掘って水を供給できるようにされた方などなど。
 「支援なんておこがましいです。だってあっちこち駆け巡ってるばかりで、いったい自分は何をしたくて何をやってるんだろうって、最近思うんですよ」とめくるめく日々を振り返る池田さん。
 取材の内容は本当に多岐にわたった。健康や食べ物、農薬や添加物の話から、環境、世の中の仕組み、政治への関心などなど。ひとつ気になると、次から次へとつながっていく自分の関心ごと。どれも大切な事柄ばかり。関心を持つ、それをどう解釈して、行動するか。今後の課題のようだ。

現地で被災地の対応に追われる日々を過ごしていた筋田さんの養女•ミナさんたちが作るフエルトの小物たち。日本で取り扱ってもらえるカフェなどを探している。(価格は100円から500円ほど)
問い合わせはk.y.i.4800@gmail.com池田さんへ


vol.189 ボーダーレス社会をめざして vol.48

NPO法人オープンハウスCAN 理事長 伊藤佐代子

「一人暮らし」がんばってきます!

 2015年4月からアパートを借りて、一人暮らしの練習をしている障がいのある息子が「一人暮らし がんばってきます」と今朝、会社に出勤していきました。その言葉を聞き、「がんばって一人暮らしをしているんだ」と思いました。
 最初の頃は、嬉しいばかりでしたが、最近の様子は少し違います。家で何もしなくても朝・晩食事ができる。洗濯物も自分でしなくてもよく、楽であるということが身に染みて分かってきたのだと思います。しかし、誤解のないように書いておきますが、我が家で息子がお殿様状態になっている訳ではありません。時々、息子がお料理をしたり、洗濯をしたりしています。ある土曜日、餃子が大量にできていたことがあります。夕食の準備ができているなんて思いもしないで帰宅したので、驚きと嬉しさが爆発し大喜びをしたのを思い出します。「お母さん助かりますか?」「大助かりよ。」「おいしいですか?」「おいしいわ。」と会話が弾みました。本当においしかったのです。その後、グラタンやラザニアなど手の込んだ料理を作ってくれるようになりました。
 また洗濯も手伝ってくれます。洗濯機の終わりのブザーが鳴っても私がボーとしていると、待っていられないのか自分で干し出します。たたむのも気が向いたら上手にやってくれています。お風呂掃除も小学校5年生からズーとしていてくれます。家族の一員として、役割をしっかり果たしています。しかし、アパートに行くと一人で何もかもしなくてはならないため、緊張しているのでしょう。それが原因なのか?我が家に帰ってくるとよく寝ます。ほっとするのでしょうね。
 この4年間でいろいろなトラブルがありました。「トイレの電球が切れました」「アパートの玄関の鍵を閉め忘れたから(忘れていない。覚えていないだけです。)見てきて欲しい。」「食材がありません。」などなど細かなことで落ち着かない日が多々ありました。その時々、対応し我慢できるものは我慢するということを続けてきました。これはかなり難しいことではありましたが・・・。 生活をしてみないことには分からないことがいっぱいありました。一般の方であれば、臨機応変に対処出来るのでしょうが、息子はそんな訳にはいきません。経験することによって体が覚えていくのを待つしかありません。経験は何物にも勝ります。また、私にとってアパートに息子が行っている間は、息子との距離が取れる時間となり、リフレッシュできる貴重な時間になりました。素敵な贈り物をいただいた気分でいます。


vol.189 子連れキャンプで、テントデビュー

家族そろってキャンプに行きたい! でも、小さな子どもを自然の中に連れ出すのは何かと心配……。そんな悩めるママ、パパのために、子どもの年齢に合わせたキャンプの楽しみ方&注意点をご紹介。パパかママにアウトドアの経験があるなら、親がしっかり安全管理をすれば、0~3歳の子でも「できること」や「喜ぶこと」はたくさんある。普段より少し手間はかかるけれど、子ども目線で楽しむキャンプは大人にとっても新鮮で、きっと来てよかったと思えるはず。不安をクリアにして、さあ、子どもと一緒に出かけよう!

【0~1歳】暑さ・寒さに気をつけながら、五感を刺激する体験を!

 0~1歳の赤ちゃんは、見たり触ったりして「感じる」ことで外の世界からたくさんの刺激を受けている。だから、変化に富んだ自然の中で過ごすだけでも大冒険! ひとつとして同じ形のない葉っぱや小石を触ってみたり、草を引っ張ってパッと放してみたり……こんな風に遊ばせながら五感をたくさん刺激しよう。ただし、危険なものを口に入れてしまわないように気をつけて!
 まだ自分で体温調節が上手くできない0~1歳の時期は、寒さ、暑さ、水分補給に注意が必要。外の気温に合わせてウェアを脱ぎ着させるようにしよう。脱水が心配な夏場は、こまめな水分補給も忘れずに!

【2~3歳】好奇心を満たしつつ、安全管理はしっかりと

 2~3歳は、歩きもしっかりして、舗装されていない場所でも転ばず、活発に動き回るようになる時期。ずっと小石をいじっていたり、虫をじっと見つめていたりと、好奇心も強く広くなっていく。ただ、夢中になると周りが見えなくなるので、安全管理は必須! 火や危険な場所に不用意に近づいていないか、刃物を1人で扱っていないか、しっかりと行動を見守ろう。
 大人や年上の子の真似をしたがる時期なので、ちょっとしたお手伝いをさせてあげると大喜び! テント設営時にペグを持ってきてもらうなど、その子ができる小さな仕事をお願いしてみては?

子連れキャンプの不安解消! Q&A

【Q.】0~1歳でもキャンプに連れて行ける?
【A.】多いのは、上の子がいて、0~1歳の下の子を連れていくというケース。抱っこ紐でおんぶや抱っこをしたり、料理の際はベビーベルト付きチェアに座らせたりと、それぞれ安全管理には工夫をしているようだ。みんなで赤ちゃんを見守れるグループキャンプなら、より安心。

【Q.】テントや夜の暗さを怖がらない?
【A.】子どもの多くはテント泊を楽しめるようだが、感受性の強い子は、いつもと違う雰囲気に不安になることも。事前にイベントなどでテントに触れる機会を設けたり、ぬいぐるみなどお気に入りのものを持参したりと、子どもが安心できるような対策を。コテージ泊から始めるのも手。

【Q.】トイレは大丈夫?
【A.】和式トイレが苦手であれば、キャンプ場に洋式トイレがあるか事前に確認を。トイレトレーニング中なら、テントからトイレまでの距離や混み具合をチェックして子どもに伝えておくといい。それでも不安なときは「キャンプ中は特別ね」とオムツを履かせてみても。

自然の中で子どもと一緒に遊び、笑い、食べ、眠るキャンプ旅。「うちの子はまだ小さいから」と諦めていてはもったいない! 今しか楽しめない特別な時間、ぜひ体験してほしい。

(出典:『別冊ランドネ 親子でアウトドア! Vol.3』)より


vol.189 半農半X vol.30

リベロ選手のように

 アフリカには「お年寄りが帰天するということは、図書館1軒が焼失するのと同じだ」ということわざがあるそうです。たくさんの知恵や経験、記憶をもつ地域の宝物である先輩世代の知恵を少しでも継承したいと思うようになった20代から、まずはみそづくりを教わったり、餅つきを復活したり・・・。今年は故郷・綾部にUターンして20年になります。そのころ、「この国 に脈々と伝わる先人知を継承されている特に昭和1桁以前の世代の知恵を受け継がないといけない」という言葉に出会いました。帰郷以来、先人の知の収集を心がけてきましたが、昭和1桁も少なくなり、急がないといけません。それでも継承がうまくなされていることもあり、宝物はいっぱい眠っています!バレーボールでいうリベロの選手の精神で、果敢に拾っていきましょう。

チャンス・チャレンジ・チェンジ!

 男を乗せた馬が疾走してこちらへやってきます。道行く人が、馬上の男に「どこへ行くんだい?」と尋ねました。男は困ったように「馬に聞いてくれ!」と言い残し、去っていきました。将来のことは会社の社長に、日本のことは総理に、家庭や子どもや健康のことは妻に聞いてくれ・・・。25年ほど前、このたとえ話に出会い、大変ショックを受けました。日本人の大半はこの男のようです。自分はどこに辿り着きたいのかというビジョンがないと、流されてしまいます。「人馬一体」という境地ならいいけれど、馬上の男にならないためにどうしたらいいのだろう。キーワードは「大好きなこと」かなって思います。大好きなことを活かして、社会の問題とかかわっていく。小さなチャレンジ(挑戦)はチェンジ(変化)を生む。それが積み重なると・・・。いまはそんなチャンス(好機)がいっぱいです。自分からどんどん仕掛けていくと楽しい時代。それが今です。

塩見直紀(しおみなおき)半農半X研究所代表
1965年、京都府綾部市生まれ。20年前から「半農半X(エックス=天職)」コンセプトを提唱。半農半X本は翻訳されて、台湾、中国、韓国にもひろがる。著書に『半農半Xという生き方 実践編』など。

※半農半Xとは・・・半農は環境問題、半Xは天職問題(どう生きるか)を背景と する。持続可能な農のある小さな暮らしをベースに、天与の才を社会に活かす生き方、暮らし方。ex.半農半漁、半農半大工、半農半看護師、半農半カフェ、 半農半絵描き、半農半歌手、半農半鍼灸師、半農半カメラマンなどなど。


vol.189 菌ちゃん野菜応援団 vol.10

 毎年この季節の畑にはウットリします。というのも小さな命がたくさん出てくるから。カエルやミミズ、てんとう虫、ミツバチなどの小動物、そして目には見えないけど活発になる微生物さんたち。中でも花菜は格別命を感じさせてくれます。

 何度も何度も取られてもそのたびに新しい花芽を健気に伸ばすお野菜さんたちに心から「ありがとう、ごめんね」と言いながら、今日も私はせっせと摘ませていただいています。

 寒い冬をじっと耐え忍んでいたお野菜たちは春のお日様の力を感じると一気に花芽を出し始めるんです。それは自分の子孫を残そうとして花を咲かせて種を飛ばそうとするから。いわゆる菜花と呼ばれるもの以外にも小松菜、白菜、大根の花芽、ブロッコリーの脇芽、珍しいものではネギ坊主。そんなのもとても美味しいんですよね。

 野菜さんの立場に立ってみれば花を咲かせて種を結ぶ直前に私に取られちゃうわけですから「結婚式前夜に手折られるようなもんだ」とは師匠の言葉。
それでも「その野菜が自分の力を振り絞ってエネルギーと栄誉をためて創り出した花芽という場所。そこをいただくということは本当にその野菜の命をいただくということ。こんなにもありがたいことがあるだろうかと思うと毎回泣けてくるんだよ」とも言われました。

 消費者である私たちは他の命を常に手折って生きている。そこを忘れないようにしたいなと。想いを新たにする春の畑です。


vol.189 未来に続く暮しの学び vol.31

持続可能な暮らしの提案。

持続可能な暮らしの提案。

 南半球のオーストラリアは秋分の日を迎え、季節が切り替わるのをきっかけに、ここの暮らしにも新しいサイクルが始まるなという予感を感じています。

 持続可能な暮らしで大切なことは、変化を楽しんで対応できること。そして面倒(ケア)を見ること。中でもメンテナスが重要です。私たちの環境面ではガーデニングのメンテナンスがあります。草刈りをして、落葉樹の葉を集めて堆肥にする。この作業はチームワークで乗り切ります。スタッフとおしゃべりしながら、季節を感じながら楽しく進めていきます。同時にスタッフの健康から精神的なケアも必要です。プライベートな問題以外は、とにかくとことん話し合います。そこから浮上してきた問題は相互に認識し、解決の糸口を見つけていきます。スタッフは場所と時間を共有している、ということを常に意識するようにと心がけます。(もちろんプライベートは別として)
 あとは自分のメンテナンスをすることも!!自分が整っていれば、どんな変化の状況にも、落ち着いて対応できますから。
 そして最も重要なことは、今ある環境に心から感謝すること、でしょうか。

 さて、秋分を迎えたここはもう収穫の秋、芸術の秋の真っ盛り。Farm to Table(畑の収穫を食卓へ)をテーマとして音楽イベントを企画したり、絵画のリトリートを企画したりと、まさに、実りの多いパラダイスの秋の始まりです。今いる、仲間とのチームワークがこれからどのように築き上げていけるかが楽しみです。

 過去を振り返りながら、前に進む。そして、変化を受け入れる。そんなひらめきを感じた新たなサイクルの始まりです。


vol.189 夢か悪夢かリニアが通る!vol.18

 名古屋城に近い官庁街。ビルとビルの間に直径約40メートル、深さ約90メートルの大穴を開ける工事が2年余り前から進んでいます。リニア中央新幹線「名城非常口」です。本線のトンネル掘削の起点になるほか、完成後は乗客の避難口になる予定です。今年3月中旬、この非常口の掘削工事が地下水湧出のため中断していることが一斉に報道されました。掘削は昨年12月下旬から止まっていたそうです。JR東海は筆者の取材に対し、「周辺の地下水への影響は起きていない」としていますが、果たして今後もそう言い切れるのでしょうか。周辺は愛知県警本部や名城病院などもある名古屋市の中枢。注視していく必要があります。今回は、南アルプストンネル工事が行われている長野県大鹿村の今をお伝えします。
                 ジャーナリスト・井澤宏明

「二人三脚」JRと村

工事車両通行のための道路が、これまでの道路を寸断するように完成していた。左は国の重要文化財に指定されている福徳寺本堂

約束の5倍の工事車両

1月16日夜、大鹿村とJR東海による村民対象の懇談会が開かれました。目的は、南アルプストンネル工事で掘り出した残土の運搬について、JRが計画していた「う回ルート」を使用できる目途が立たないため、今後も国道152 号を使わせてもらいたい、と説明することです。
 JRによると、これまでピーク時で1日68台だった工事車両の通行が、来年3月までに5倍近い314台になるといいます。国道の周辺には、大鹿小学校や商店、住宅地があり、「う回ルートを作って残土運搬のダンプが国道を通るのを避ける」とJRはこれまで説明し、住民の我慢を強いてきました。「約束が違う」。多くの住民が驚き、不安や不満を抱くのも当然のことです。
 冒頭のあいさつで、大鹿村の柳島貞康村長とJRの古谷佳久・長野県担当部長は「う回路の地権者の合意がいただけない」ことを理由に、国道を使わざるを得ないと説明しました。
 新聞報道などによると、う回ルートに私有地を持つ旅館経営者と村、JRは2016年末から協議を続けてきました。ところが、JRが示した使用条件に、旅館経営者側が不信感を募らせ昨年10月、長野県に公害調停を申請したのです。
 JRが示したのは日曜を除く週6日間の運行。一方、旅館側が求めているのは、「旅館のお客さんにも住民にも迷惑がかからない工事」。具体的には、土曜や長期休暇、通勤時間帯の運休や台数の制限などですが、両者の隔たりは埋まらないままです。

住民を「吊し上げ」

村内のあちこちに、工事により車両通行を制限することを伝える看板が。右奥に南アルプスの赤石岳が見える

 会場では、旅館経営者の娘である前島久美さんが、村側の制止を振り切るようにして発言。「調停で話し合いを続けているにもかかわらず、台数を増やして住民生活に負担をかけるのは、地権者としてすごく残念に思っています」と、苦しい胸の内を明かしました。
 さらに、「私たちが少なくとも生活を維持していくためには、これだけのことを守ってほしいということを求めているだけです。調停の結果を待って、う回ルートの整備が整ってから工事車両を増やしてほしい」と訴えました。
 地権者を「吊し上げ」るような形で懇談会が進められることにも疑問が投げかけられました。「この小さな村の中で、『地権者』と連呼するっていうのは、ちょっと(おかしい)。これは、個人の問題ではないのに、それをあたかも個人の問題であるかのような説明会を開くのは、ちょっと違う」と住民の女性。
 どうしてそんなに工事を急ぐのでしょう。「工事が遅れているんですか」という住民の問いをJRは否定した上で、残土置き場になっている村総合グラウンドを「2020年度半ばまでに使えるようにする約束を考えると、314台の台数増加をお願いせざるを得ない」と村側の都合であるかのように説明しました。
 そもそも、グラウンドに盛り土をする必要はありませんでした。残土を受け入れるために使用できなくなっているだけです。ところが、柳島村長も「いつまでも使えないというわけにはいかない」とJRを擁護しました。
 2時間余り続いた懇談会の終盤、柳島村長は314台の国道使用について、「容認すべきだと考えている。ご協力、ご理解をお願いしたい」と住民に呼びかけました。そこには、南アルプストンネル工事着工を受け入れる苦渋の思いを語った2年余り前の姿はありません。


vol.189 かなでの沖縄だより vol.12

地元で沖縄の話をさせてもらいました

 3月23日、5月に各務原子ども劇場が高学年例会で 『ちゃんぷるー~私が幽霊!?修学旅行~』というお芝居を見るのに先だって事前の会があり、そこでお話をさせてもらいました。まずは沖縄の料理、沖縄風炊き込みご飯ジューシー、もずくの天ぷら、フーチャンプルー、サータアンダギーをみんなで作って食べました。そして、私が沖縄の大学へ行って2年、その間に沖縄で見たこと、聞いたこと、考えたことについてお話しさせていただきました。
 たくさんの人に集まってもらえ、皆さんに真剣に聞いてもらえたので、すごく嬉しかったです。ありがとうございました。
 そこでは、私が今まで沖縄で訪れた土地のこと、今問題になっている辺野古基地建設、県民投票についてを中心にお話をしました。私が一番伝えたいことは、「沖縄で起こっていることは、沖縄だけの問題ではない」ということ。沖縄県民だけが考えなければいけない問題ではなく、みんなで考えなければいけない問題ではないかということでした。
 「辺野古米軍基地建設のための埋立ての賛否を問う県民投票」は民意を示すため行われたものでした。しかも、沖縄の若者たちが、一部の大人たちの消極的な意見を乗り越え、県を説得し、投票そのものに反対する自治体との妥協点も探りながらやっとのことで実現にこぎ着けたものです。その結果反対票が70%を越えたのですが、その民意は無視され続けているのが現状です。県民投票が行われ、数字が出たのにも限らずなぜ県民が悩まなければいけないのか、私は不思議に思います。

 話を聞く前と話を聞いた後の沖縄のイメージをみなさんに書いていただきました。

もっともっと沖縄のことを知りませんか?

 みなさんからいちばん多く聞いたのは、海の話でした。
 沖縄の海は確かに綺麗です。私が住んでいる那覇の近くの海でも十分に綺麗ですし、辺野古まで行くとさらに綺麗でずっと見ていても飽きることがありません。

 ですが、その影にはいろんな歴史があるということ。その綺麗な海は今壊されようとしていること。 いろんな問題を抱えています。
 今回お話をさせていただき、誰かが思ったことや感じたことを発信していかなければ 誰もわからないし、知らないうちにたいへんなことが起こっていくんだと実感しました。知らないことって怖いことだと思います。
 沖縄ではこんなことが起こってるんだよ、という事を少しでも知ってもらいたいと思います。

 5月3日には、毎年大垣で行われる「西濃憲法集会」で少しお時間をいただいてます。こちらの人間が、沖縄で普通に大学に行きながら、そしてアルバイトをしながら見たり、聞いたり、考えたりしていることをお話しさせていただくつもりです。

 写真は今年3月の大浦湾:ここは、沖縄本島では珍しく深い入り江になっていて、変化に富んだ海底から様々な種類の貝殻が打ち上げられてきます。この深い海底を利用して大型の軍艦が着岸できる岸壁を作ろうとしているのですが、マヨネーズのような超軟弱地盤をどうするのか具体的な解決策もないままに工事が進められています。


vol.189 プレゼントコーナー

1- あなたの「ストレス解消法」教えて!
2- 気になるにらめっこ紙面での広告
3- 気に入った記事、気に入らない記事のタイトル1つ・その理由もお書きください。
4- ご希望のプレゼント名
(第1希望・第2希望)
 ※AとDは編集室まで受け取りに来られる方。
5- 本紙をどこで入手されましたか?
6- 氏名、年齢、住所、郵便番号、電話番号、  家族構成

プレゼントご希望の方は

ハガキまたはe-mailで、上記のアンケートを 1〜6までご記入の上、編集部・プレゼント係りまでお送りください。
〆切:5月25日 当日消印有効( Bは5月10日〆切)。

宛先
〒504-0855 各務原市蘇原新栄町2-25
e-mail: info@niramekko.com
※お寄せいただいた個人情報は、本紙プレゼントの発送に限り、 使用させていただきます。
※当選の発表は発送をもって代えさせていただきます。

                 

A.絵本「いのちいただきます」3名様

堀野慎吉様より

        

前号「熱中世代」でご紹介した堀野さんからのプレゼント。堀野さんの少年時代の体験を元にした文章と温かみのある絵は、読む人に大切な何かを伝えます。にらめっこ編集室でお受け取りください。           

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B.薬膳料理をつくろう!」ご招待 3名様

NPO「人生これから」様より

  

        

   

 今年度のえんぴつ・カフェスペシャルは「アクティブ」がキーワード。第1弾は季節や自分の体調にあわせた食材を食事に取り入れる薬膳料理です。詳しくはえんぴつカフェのページを参照ください。材料費はご負担下さい。   5月19日(日)11:00~14:00各務原市総合福祉会館3階料理教室にて

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C.CINEX映画招待券 ペア3組様

 シネックス様より             

映画を観るためだけに作られた空間、それが映画館。独特の雰囲気の中でしっかりとストーリーを堪能すれば映画館を後にする時に幸福感に包まれるとさえ言う人も。そんなひとときは今や貴重かもしれません。写真は映画「マイ・ブック」より。柳ヶ瀬のシネックスでご利用になれます。

                

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D.ペアカップ&ソーサー

にらめっこより

                 

ちょっとひと息ついてホットドリンクタイム。お友だちと一緒におしゃべりタイム。
そんなくつろぎのお供にこんなカップはいかが?サッと筆で描いたような模様が味わい深いポイント。色は白地に黒と若草色です。
にらめっこ編集室でお受け取りください


vol.188 「いのちの水」特集

Part-1
再び水の話し・私たちのいのちをつなぐ「水」


私たちと「水」
陸上動物も、その起源は海の中にあります。海で命を育み、進化し、上陸を試み、陸上生活ができるように適応しながら、進化したため今日に至ることができたのです。自ら生まれた命は、水がなければ引き継いでいくことはできません。私たちもまた、水なしでは存在はあり得ず、水によって生かされているのです。

 

水を飲む
水を飲み、体内の水分含有量を保つことは様々なメリットを生み出してくれます。 その効果は数えきれませんが、いくつか代表的な例を挙げてみましょう。

*基礎代謝が上がる*体温が上がる*食欲の抑制*美白になる*ニキビや吹き出物などができにくくなる*乾燥肌・シミ・小ジワ・たるみが改善する*むくみの解消*リンパの流れが良くなる*老廃物をデトックスできる*血液がサラサラになる・・・・・・いかがでしょうか。
水を飲むということは、女性に嬉しい美容面はもちろん、成人病の元ともなる肥満対策・ダイエットにも効果抜群なこと。

こまめに水を飲む
「のどが渇いたら飲む」という方も多いかもしれませんが、のどが渇くということは、その時点で体内の水分が足りなくなっているということです。理想としては「のどが渇く前に飲む=水分が足りない状況を作らない」ことです。
習慣的にこまめに水を飲むことをおすすめしますが、より効果的なタイミングとしては、以下の5つが挙げられます。

*食前・食後*運動前・運動後*入浴前・入浴後*就寝前
いずれも「体内の水分を失うタイミング」です。

寝ている間にも発汗しますし、運動すれば汗をかきますよね。これはお風呂に入ることも同じです。食事に関しては「逆に食材からの水分補給になるのでは?」と思われるかもしれません。確かに食材からも水分は補給できるのですが、それを消化するために体内の水分が使用されてしまうのです。
「塩辛いものを食べると喉が渇く」なんて経験はありませんか?これは塩分を分解するのにより多くの水を必要とするからなんです。
ですから、日常的にこまめに取るのはもちろん、体内の水分を多く使用するタイミングで飲むことが、より効果的な飲み方となるのです。

体重の4%分を飲む
飲むタイミングを知ったならば、自分が飲むべき水の適切量も覚えておきましょう。よく「1日2リットル飲むと良い」など具体的な数字を見かけるかと思います。しかし人間には個人差があるため、誰しもが同じ量で良いわけがないのです。自分にぴったりの適切量を知るためには、自分の体重に4%をかけてみましょう。
体重50キロの人の場合:2リットル
体重80キロの人の場合:3.2リットル
このように、自分の体重の4%分が、あなたの飲むべき目安として覚えておきましょう。

水ならなんでもいいの?
「水なら何でも良いのか」というとそうではありません。
水分についてこれだけは覚えておきたいです。
1:水道水
ご存知のように、水には塩素(カルキ)が含まれています。
また貯水槽の衛生面によっても、細菌や微生物が多く含まれている可能性があります。「沸かせば大丈夫」とお考えの方もおられるようですが、水道水を沸騰させると、発がん物質であるトリハロメタンを倍増させてしまうことになります。そのためどうしても水道水を飲みたいと言うのであれば、15分以上沸騰させたあとの水を飲むようにしましょう。

2:硬水
これは体質にもよるのですが、日本人の体には硬水は合わないと言われています。日本の水は軟水ですが、海外の多くは硬水です。そのため「海外の水を飲んだら下痢になった」なんて話をよく聞くのです。

3:お茶やスポーツドリンク
「水分なら何でも良い」と、水以外の水分をカウントされる方もいます。しかしお茶やスポーツドリンクにはカフェインや糖質が多くふくまれているため、それらを分解するのにより多くの水を必要としてしまうのです。

「健康のために水分補給をする」というのであれば、やはり普通の水をおすすめします。

「自分の体の半分以上が水でできている」と考えれば、水が生命維持に必要不可欠な理由もおわかりいただけるかと思います。

きれいな水道水は日本の宝!
「水道水が飲める」これを当たり前のことだと思っていませんか?水道水がそのまま飲める国は世界でもたった15か国!
・ドイツ・オーストリア・スイス・クロアチア・スロベニア・フィンランド・スウェーデン・アイスランド・アイルランド・オーストラリア・二ュージーランド・南アフリカ共和国・モザンビーク・アラブ首長国連邦・そして日本(国土交通省)
このように主にヨーロッパ地方を中心とした国でしか、水道水を飲むことは出来ません。

なぜ日本はこんなにもきれいな水道水なのか。その理由は「水質基準がとても厳しいから」に他なりません。
日本の水道水の水質基準は、1957年に施行された「水道法」によって定められています。「ずいぶん昔じゃないか」と思われるかもしれませんが、ここで掲げられた目的はたったひとつ。

「水道水を生涯飲み続けても人体の健康に全く悪影響がないこと」日本はこのたったひとつの目的のために、60年以上前から厳しい基準を整備してきているのです。

具体的には以下の3つの基準、全てをクリアさせています。
世界保健機構(WHO)の基準値
水道法の51項目の水質基準項目と基準値
厚生労働省の26項目の管理項目
これら100項目以上の基準点によって、日本の水道水は世界最高水準のきれいさを誇っているのです。例として大腸菌。感染力の高さで知られる恐ろしい菌ですが、これに対する各基準は
WHO:水道水100ml中に検出されないこと
EU:水道水100ml中に検出されないこと
EPA:水道水1Lにつき5%以下に留めること
日本:検出されないこと
ご覧のように日本だけ厳しい基準値になっています。そのおかげで、水道から出てくるまま口にすることもできるのです。
(水・ネット)参照

Part-2
自然豊かな山ふところにはいのちの水がある

ちょっとまって
水道の民営化って・・・どういうこと?
私たちの飲み水、安全は?料金は?
地震大国ニッポンで災害時に
“いのちの水”は本当に守られるの?

そもそも水道法改正って?
自治体が水道事業の運営権を民間企業に売却するコンセッション方式を導入しやすくする内容を含んだ水道法改正案が、2018年12月6日の衆院本会議で可決され、成立した。民間のノウハウの活用で水道事業の立て直しを狙う一方、野党側は料金高騰や水質悪化の懸念があるとして反対していた。(産経ニュースより)

2019年2月2日朝日新聞の「耕論」で
「命の水」誰に託す  という記事を読みました。

大阪市長の吉村さんは、民営化に積極的です。民営化で更新・耐震急げと鼻息が荒い感じ。
「このまま放置したらどうなるのか、「『命の水』が外資に食べられる」と言った抽象的な議論をする人が多いが、何も対応しなければ水道料金の大幅値上げしかありません。コンセッション方式をいかし、企業に設計段階から任せ市の試算では5から10%ほどのコスト削減出来る見込みです。」さらに「地震に弱い老朽菅の解消が10年早まり、これを大阪モデルとして全国に打ち出したい」とも。

かたやトランスナショナル研究所研究員の岸本さんは、「民営化するとコストが下がると言われますがそんなことはありません。」ときっぱり。「水道管などの設備更新の費用は、民営化すれば自治体の会計上の借金からは消えて見えなくなりますが、本質的に財務状況が良くなるわけではありません。費用は、最終的には水道料金を支払う住民が負担するのです」「「水道ビジネスを手がける「水メジャー」と言われる多国籍企業は、多大な利益を得ています。日本も狙われている市場の一つです。コンセッション方式の場合、自治体と企業の契約書は数百ページにも及びます。水メジャー側はノウハウを持つ弁護士ら百戦錬磨のプロ集団が契約を担います。自治体の職員が自治体に有利な契約を結ぶことは不可能でしょう。」
「安全な水の使用は人権で、水道は社会基盤の一つです。地元で水源を保全し、多くの薬品を使わないなどコストを抑えるためにあらゆる努力をしても原価割れするなら国が財政支援するべきです。」これからの水道事業をどうするかは「自治の力」にかかっています。自治体や議会は、住民と開かれた議論をし、目先の財政負担軽減ではなく100年先を見据えた対応をしなければいけません。民営化の圧力をはねのけ、孫の代までも享受できる持続可能な公共サービスを目指すべき。彼女は、「自治の力」を喚起しています。

そして、熊本市「ラジオ水守」の水野さんは「自然や文化を守り届けたい」と熊本の100%地下水を誇ります。ですが、「水に恵まれた熊本でも、地下水が減っています。都市化が進んでコンクリートが地面を塞ぎ、減反政策で水田も減ったため、水が地下にたまりづらくなったのです。日本人のライフスタイルの変化が、地下水システムの危機を招いていると言えるでしょう」と憂いも隠せない様子。そして、「水道の役割は、水をポンプでくみ上げて人々の元へ運ぶだけではありません。阿蘇山から田、土の中を水が巡り、人が使った後はきれいにして豊かな有明海へ返す____。熊本の水道はそんな循環の一端を担っているのです。」と締めくくっています。

三者三様の意見に私的に寄り添えるのは、持続可能な視点に立った岸本さんと水野さんの意見でした。(三)

私たちの飲み水はどうなってるの?
各務原市の水道の水源は、すべて地下水で賄われています。
降雨や河川・水田の水は、地中に浸透しながら不純物が取り除かれ、土壌や岩石に含まれているカルシウムやマグネシウムなどのミネラル分を吸収して地下水となります。

各務原地区には三井水源地に13本、西市場水源地に9本、弥平島水源地に1本、川島地区には小網水源地に3本(小網水源地内に2本、河田取水ポンプ場に1本)、笠田水源地に1本の井戸(取水井)を設備し、地下水をくみ上げています。各務原地区においては、消毒された水(浄水)は、送水ポンプの圧力で水源地から団地の受水池や山の上の配水池に送られ、そこに一旦貯水されます。貯められた水は、自然流下の圧力で配水管、給水管を通って各家庭などに届けられ生活用水として使われます。
川島地区においては、消毒された水(浄水)は、配水ポンプの圧力で配水管、給水管を通って各家庭などに届けられ、生活用水として使われます。( 各務原市のHPより抜粋)


vol.188 水の特集 水道民営化って?

Part-3
水道民営化って?
水道民営化について、長良川市民学習会の武藤仁さんに詳しくお話をうかがいました。

武藤さんは長良川水系をもまるため、いろいろな活動をされています。その中で大切にしているのは以下の2点だそう。
・わが町の水を「おまかせ」にしない。
・ 命の水を後の世代につなぐ。

水道民営化に反対・賛成と言う前に、今の自分たちの飲み水がどうなっているか知ることが大事です。それによって、「民営化がいいのか、従来通りがいいのか、その他もあるのか」の選択が変わってきます。
憲法25条(生存権)に基づいて、水道法の第一条には、「清浄、豊富、低廉」と言う飲み水の最低限の条件が書いてあります。水がきれいなことは当然だけど、しょっちゅう断水するようではいけないし、高くて貧乏人が飲めないようでは、命の水として失格です。そういう意味では、水道法は今まで守られてきた。水道は国がきちんと守っていかなければいかん、国にその義務があったということですね。

水道法の水道事業というのは
水道法の改正では、「水道を計画的に整備し、および水道事業を保護育成する」この文章が削られ「水道の基盤整備を強化する」に変わっています。
水道行政の最高責任者、厚生労働大臣が基盤を強化するための基本的な方針を定め、都道府県がそれをもとに基盤強化計画を作り各市町村で広域関係推進協議会を作ってやっていきなさい、というものです。そして「で、あなたのところの自治体はどうする?」となリます。この段階になると、県や市町村の議会も、もちろん市民も意見を出すところがなくなってきます。いわゆる、有識者と水道関係の職員、官僚だけで決まっていきます。結局、今度の水道法改正というのは、各自治体が考えて行ってきたことを、広域連携という名のもとに、国から大規模にやりなさい、とトップダウンで命令が下りて来るようになる、ということです。
わかりやすくいうと、人口密度の低い地域の小さな水道事業は水道料金だけ(独立採算)では経営できません。今まで一般会計や国の補助金でやってきました。ところが国はもう金は出したくない。そこで例えば岐阜、各務原、関…の水道事業を広域に合併しスケールメリットを生かして基盤整備をしなさいというのが国の狙いです。けれど、ほとんどの市町村は自分たちでやっていくという思いがあるから、なかなかそれが進まない。だから、水道法という法律を変えたい、というのが今回の水道法改正の狙いの一つです。そして、二つ目の狙いは水道事業の民営化です。

では民営化とはどういうものか。
水道というのは市町村が自分たちでプランを立てて経営する、というのが日本の水道事業の原則でした。ところが、フランスを中心として世界的に「水メジャー(上下水道事業を扱う国際的な巨大企業)」が水道を支配したいという思惑があります。安倍さんや麻生さんは、それに合わせ日本の門戸を開きたい、市場開放しましょう、と高らかに公言しました。(2013年)
ですが、水道事業を今すぐ民営化にすると国民から猛反発を食らうことはわかっていますので、官民連携PPP(Public Private Partnership)の名で政策を進めています。官民連携には、PFI(Private Finance Initiative・民間の資金や経営手法・技術力を活用して公共施設などの社会資本を整備すること)があります。例えばゴミ焼却場の建設はとてもお金がかかるから、民間の資金で、設計してもらって、建設も、運営もしてもらうもの等があります。PFIは病院建設やその運営など、いわゆるハコモノを中心に進んでいます。

PFIはこれから行政用語でどんどん出てくるでしょう。
第2次安倍政権になり、PFIをもっとやりやすくしていこうと、コンセッション方式を進めています。これは、例えば市町村の水道の施設や配管などは自治体の財産のままですが、運営権を売って、20〜30年間、企業に任せるやり方のこと。安倍さんは「これは民営化ではない。皆さんの水道局がどっかの企業になるわけじゃありません。」と和らげるようなことを言っていますが、30年も経ったら市の職員だって入れ替わりもあるし、どこにどういう管が埋まっているのかなど、いろんなことがわからなくなってしまいます。
また「この水道事業はおかしいんじゃない?」と市民や、議会が民間企業に文句を言ったって、「それは企業秘密です」で済まされちゃう。水道のことは市民も議会も追求できない、そういう恐ろしさがあるんです。にも関わらず、国は「水道管が老朽化して、大地震が来たらどうするのか。民間の金を借りて任せないと、今の役所では対応しきれないよ」という理由で民営化を進めています。さらに「基盤強化は今の役所は貧乏だからできないだろう」と。だから民営化しようということです。だけどこれはまやかしで、住民と行政がきちんと工夫すればできることなんです。

そもそも水道事業にコンセッション方式導入はどうなの?
いままでは住民は自治体に料金を払い、自治体が下請け会社と委託・請負契約をしても、何か問題があれば住民は自治体に文句を言えば良かった。しかし、コンセッション方式になると、自治体がSPC(Special Purpose Company・特別目的会社。ヴェオリアとか外資系企業も入いる)という会社に運営権を移しちゃうわけだから、市民は水道料金をここに払う。しかも運営権は20〜30年契約です。そうでないと企業側にメリットがないですからね。
災害の時にどうなるかというのがすごく怖いです。僕が名古屋市上下水道局にいたときは、災害が起きたら、横浜とか、京都に助けてもらうとか、役所どうし公と公の連携や約束をしていた。だけど民間になるとそういう信頼関係はないし「想定外の災害だ!」「損害を受けた賠償せよ!」と、逆に市役所が法外な請求をされるかもしれない。水道施設が大きな被害を受けると手に負えないので撤退する可能性もあるんです。
コンセッション方式導入に対して、大阪市議会では2回否決、奈良市議会も否決。これからは自治体でこういう機運を作っていく必要がありますね。要するに市長が民営化しませんとはっきり言えばいいんです。それだけのこと。僕らも早速岐阜市で「命の水を考える会」を立ち上げ、上下水道事業部を訪れ「民営化」についての考え方と施策を聞きました。今のところ岐阜市長も記者会見で「コンセッション方式を導入することはしません」と言い切っています。

で、民営化になるとどうなるか
水は市民のものではなくなる。繰り返しますが、議会の声ももう届かないようになる。民間企業だから、情報の資料提供も期待できません。企業も全ての業務はできませんから、結局下請け、孫請けがやることになるのですが、その際、どこと契約したか民民契約だから、そんなことは議会も市民もチェックできなくなります。そして大手の息のかかった一部の特定の業者に工事を任せる…、そうすると利権がらみが蔓延するという可能性が出てきます。民営化のメリットは何もないと、僕は思っています。

市民や自治体がスクラムを組んで対応。
国は自治体に対して「財政力がないのに市民の未来を担えるのか」と、指導という圧力をかけてきます。その時に「市民とともに考えて、こういう政策でやっていきます!」と、突っぱねられればいい。それには市民と自治体の認識が一致して団結してないとね。「水道事業は、原則として市町村が経営するもの」という水道法第6条は生きています。
僕らは一つ一つ拾い上げ、役所に対して、「これどうなってますか?」って聞いていくしかない。役所だって民間に明け渡すとか、仕事をいい加減にやろうとは、だれも思ってないはずです。官民連携という名で、一部の人が潤うという仕組み、その構図は見え見えです。でもね、それを跳ね返していくのは、市民の力しかないんです。
各務原市はまだ、データだけ見ていると頑張ってるんじゃないかなと思いますよ。しかも、100%地下水を水源としているんですよね。かつて各務原市で、ニンジン畑の化学肥料による地下水汚染が発覚した時、市民・研究者・市役所が連携して水道水源を守ったと聞いています。水に関して敏感だったんですね。その勢いで万が一民営化の話が来たら住民どうし団結して、行政としっかり協議した方がいいと思います。

長良川市民学習会は、2007年12月、「徳山ダムの水を長良川に流す」木曽川水系連絡導水路計画に驚き、「長良川に徳山ダムの水はいらない!」と声をあげた市民の集まりです。会を結成後、長良川の環境にかかわる市民学習会の開催、調査活動、関係機関への要請行動などを重ね活動を広げています。
代表:粕谷 志郎 岐阜大学名誉教授 事務局長:武藤 仁
(連絡先)500-8211 岐阜市日野東7-11-1 TEL 090-1284-1298

UP TO THE LAST DROP
『最後の一滴まで』
ヨーロッパの隠された水戦争
水道サービスのあり方を問うドキュメンタリー映画
「民営化の是非だけの問題でなく、持続可能な地域、公共サービスのあり方、住民自治の実践という観点から、私たちは対案を出していく必要があるでしょう。この映画がその議論の一助となることを願っています。」
ドキュメンタリー映画の翻訳プロジェクトのHPでは、こう締めくくっていました。

ヨーロッパの国が水道民営化で揺れている。4年に及ぶ取材。制作期間を経て2018年にギリシャで公開されたそうです。フランス、ドイツ、ギリシャ、ポルトガル、イタリア、アイルランドの6ヵ国・13都市を綿密に取材し、自治体議員や、市長、研究者、NGO、アクティビスト、そして民営化を推進する企業へのインタビューまで、多用な登場人物が発言していきます。特に印象的だったのが、アイルランドの一人の若い女性の取った行動。債務危機を抱え民営化を余儀なくされ住民の敷地外に水道メーター設置をはじめるのですが、路上でメーター設置に抵抗するスタンディングをはじめたシーン。アイルランドはもともと水道メーターはなく、OECD諸国で唯一、「水の貧乏の人がゼロ」という実績を誇っていた国だったんです。で、その女性の行動に触発され、地域の住民がひとり、ふたりと徐々に増え、その輪は次第に全国に広がっていくという展開シーンでした。
さて、私たちはどうでしょう。行政が決めたこと、民主主義で決めたことだから、とあきらめムードになってないでしょうか?
私のキーワードは「持続可能」。それが可能か否かで判断したい。水道民営化、人ごとじゃないないですから。(み)

こんなふうに、図解があるとわかりやすい!

民間企業に運営を任せる・・・第3セクターで各務原市の学童保育も民間企業のシダックスになったね。

 

 

あなたの街の水道料金はいくら?他市町村と比較してみるのも、いいね!


vol.188 カタコトの部屋「100点の自分」なんていらない

「100点の自分」なんていらない
「大学を辞めてロケットが作りたい」と僕らの工場に来た人がいました。彼は入っていきなり、もっといいロケットを作るために会社を変え、働きやすい職場を作り、売上も伸ばそうと思っていたようです。
いくら小さい工場でも、初めてやってきた若者がドラマみたいな活躍はできません。彼はその事実に直面し、自信をなくして大学に戻っていきました。
まだ大学生なのに「100点の自分でなければならない」と思い込んでいたのです。

僕らは彼の「何もできない、何も知らない」というところに魅力を感じていました。
いっぽう彼は、「何でもできる、何でも知っている」という自分になろうとしていました。

いつも100点を目指す教育に彼の自信はゆがめられたのだと感じ、かわいそうでした。
僕は50歳ですが、まだまだできないこと、知らないことがたくさんあります。100点には程遠いけれど、それでもいいと思っています。
なぜならば、「世界のすべてを知り尽くしたら、相当つまんない」と思うからです。知らないから知りたいし、できないからできるようになると嬉しいのです。

講演会に参加したい❣という方々の声を聞いてみました
著書を読んで
・うんうん♡と頷ける内容で、ありのままでいいのだという大きな安心感を頂ました。
・「夢は自分の好きな事、仕事は人の為になる事を」ということが書かれていて、自分の近い将来を思い描くのに役立った。
・こどもにも高学年くらいになったら読んで欲しいなと思ったので『空想教室』は手元に置いてあります♡
・お茶目な印象を受けたので、生の植松さんを見たいです。笑
・「我が子(生徒)の為を思って、本当に良かれと思って、子どもの将来を心配して、悪気なく、子どもの可能性をぶち壊す大人」ね。気をつけたいなと思います。(Sさん)

TED×Sapporo※の動画を見て
・言葉では簡単におっしゃってるけど、本当は相当な山や壁があったと思う、でも、植松さんは信じることをやめなかった人。夢を前においてひたすら自分を信じた。まず、本当に自分がやりたい事っていうのがわかってない人たちが多いこの世の中に、子どもの頃の自分を思い出させる素敵な動画だったなー(Cさん)
・自分はひとりだ、とか、自分なんてとか、ここまでか…と、諦めてしまいそうな中、やっぱり続けたいと思えたのは、自分が好きな分野なんですね~。植松さんのお話の内容も然り、これだけの人を惹きつける話術も盗みたいな。(Yさん)

※TED
様々な分野で活躍する人を招き、アイデアなどを語ってもらうイベントを開く米国の非営利団体。名前は「技術」「エンターテインメント」「デザイン」を意味するTechnology Entertainment Designの略。ビル・ゲイツら著名人も登場、動画がインターネットを通じて無料で配信され、注目を集める。同様のスタイルを踏襲した「ご当地」版イベントが「TED×(場所の名前)」の名前で世界中で開催。日本では北海道のほか、東京など約20の都道府県で開かれている。

次号では植松さん講演会を特集します♪
植松 努さん
・北海道芦別市生まれ
・幼い頃から紙飛行機が好きで、大学では流体力学を学ぶ
・小さな町工場(植松電機)から、自家製ロケットを打ち上げ、宇宙開発の常識を逆転
・TED×Sapporoの感動スピーチがYouTubeで270万再生


〜こどもも大人も 輝ける社会をつくる〜
【日時】2019年3月30日(土)
10:00開演(9:30開場)
【場所】甚目寺公民館 大ホール
(愛知県あま市甚目寺二伴田)
【参加費】大人 2,500円(当日3,000円)、
3歳〜大学生500円(当日1,000円)

【定員/800人】
※駐車場には限りがあります。できるだけ公共交通機関またはお車に乗り合わせてお越しください。
主催:自然派ママの会@あま市 ・名古屋ママ会・ 岡崎お母さんの会・豊田おかあさんの会・日進市 自然派おかあさんの会・長久手まちづくり♡おかあさんの会
協賛:一宮市子育てコミュニティtocotoco
【問合せ】facebook「子育てコミュニティtoco toco」


vol.188 ここいく日記 うまれる

うまれる

我が家には2人の思春期を迎えている息子たちがいますが、物心つく頃から誕生日になると、彼らの誕生物語を語って聞かせています。私は助産師という職業にありながら、ずいぶんにぎやかなお産をしました。威張れるようなお産ではありませんが、主演:子どもと私、助演:立ち会ってくれた主人と助産師さん、で作り出した誕生物語を誇らしげに語っています。時々、主人や祖父母のサイドストーリーも織り交ぜながら、世界で唯一の、彼だけの物語。小さい頃は目を輝かせ聞いていた息子たちも、今では「またか!」という表情で聞いていますが、彼らが巣立つ日までは、子どもと私のために語り続けていきたいと思っています。
子どもたちは、幼児期くらいになると「ぼくは、わたしはどこから生まれてきたの?」と聞きたがる時期があります。そんな時、親としてどのように答えようか迷われる方も多いと聞きます。本当のことを話すべきなの?本当のことを話すのは早すぎる?そんな迷いが顔に出ないかと不安に感じる親御さんもいらっしゃると思います。「ここいく」では紙芝居で誕生までの物語を伝えています。その中で「お花の中から生まれてきたの?もしかして畑からとれたとか?そんな、ばかな!」というシーンがありますが、子どもたちなりに自分がどのように生まれてきたのかを知りたがっています。
子どもたちのそんな疑問に答えるべく、「ここいく」のいのちの授業では、出産劇もやっています。メンバーが産婦さんになりきり、陣痛を乗り越えて出産に至ります。赤ちゃん人形を使った出産劇ですが、本物の音源を使い、なかなか工夫をしているなと自画自賛しております。そこでは、おなかの中にいる時の赤ちゃんの心音を確認する場面もあります。子どもたちに耳を澄ませるように伝えると「ドク、ドク、ドク・・・」お馬さんが駆けるようなリズミカルな心音が聞こえてきます。この劇ではお父さんも出演、その時の授業にいらっしゃったお父さんや、男性の先生に急きょご協力を頂き、お母さんの手を握って応援するお父さんの役を演じて頂きます。「がんばれー!!」となかなか迫真の演技をしてくださいます。子どもたちも頑張れー、頑張れーと応援していますが、いよいよ生まれる場面となると、息をひそめ出産場面を見守ります。そして誕生、産声が響き渡り「おめでとう!」そんな声の中に赤ちゃんとお母さんは包まれます。それから赤ちゃんのへその緒が切られ、赤ちゃんを育て守ってくれた胎盤が出ることまでを伝えています。
出産は、経膣と帝王切開で生まれる2つの方法があります。帝王切開でのお産のこともお話しします。どんなお産でも、お母さんも赤ちゃんも一緒に頑張るから生まれてくるんだよと話しています。そして「おめでとう!」いう喜びと祝福の中、赤ちゃんはみんな生まれてくるよということを伝えられたらよいなと思っています。一緒に見て頂いたお母さんからは、自分の出産の時のことを思い出したと涙される方もいます。この出産劇は、日々育児を頑張っているご両親にとっても、わが子が産まれた時の感動を思い出す機会になっていることを嬉しく思います。
「あなたは、この世に望まれて生まれてきた、大切な人」(マザーテレサ)という言葉があります。誰もが祝福の中で生まれてきたことを知ることで、自分を大切にし、周りの人も大切にすることにつながってほしいなと思っています。

担当:ここいくメンバー・安田紀代子でした。
ここいく☎090-3446-8061(中村)


vol.188 リバース 第18号

 

日向ぼっこをするときはこのように翅を開きます。

成虫で冬越しするチョウ…ムラサキシジミ

ムラサキシジミ属はおよそ200種類からなる、蝶としては大きなグループです。その分類は未だに定まっておらず、Arhopala属を更にいくつかの属に分けることがあります。日本のムラサキシジミ、ムラサキツバメなどもNarathuraという別の属に扱われることが多いのですが、Arhopalaとのはっきりした区別方法がない。
ムラサキシジミの仲間はスリランカから日本、そしてソロモン諸島までに分布しており、主に低地の森林で見られます。多くの種類は日中ほとんど飛ぶことがなく、森林の低い場所で止まっています。また、多くは成虫になってから餌を食べているところが観察されておらず、口吻はありますが、何も食べないのではないかと考えられています。止まっている場所に日がさすと木の高いところまでに移動し、種によっては夕方から活発に活動を始めます。
開張約30-40mm。翅の表が青紫色で、周囲を黒褐色で縁取られている。
成虫で越冬し、年3-4回、6月から翌年3月にかけて現れる。平地の林やその周辺で見られる。花を訪れる事は少なく、成虫が主に何を摂取しているのか不明。 昆虫図鑑より

撮影:mikami miki

 

 児童文学雑誌「コボたち」での作品発表に始まり、教員のかたわら児童文学を書き続けてきた堀野さん。絵本の発行はこの『いのちいただきます』で八冊目となる。
「僕が教員として何か自分の核になるもの、何が出来るのかを考えた時、ひとつは日記や作文、詩などの作文教育でした。もうひとつが情操教育でしたから、読み物を通して子どもたちの心に響くものをと心がけてきました。そして子ども向けの作品であろうと、その作品を通して自分の感動をきちんと伝えていかなきゃいけないと思うんですね」
「子どもが成長していくときの通過点、やれなかったことが、ある時ふっとできるようになるという、成長の節目みたいなものがあるような気がするんです。『いのちいただきます』ではそれに至るプロセス、苦しみとか悲しみ、そういうものも含めて、人間が成長していくということを題材にして書きたかったんです」。
いわゆる団塊の世代の堀野さん。少年時代を過ごしたのは片田舎で、どこの家も貧しかった。ニワトリ、ウシ、ブタなどの家畜を飼う家は田舎だっただけに多かった。この絵本の主人公、真二も自分の少年時代がモデルだ。
「僕の家でも、祭りや祝いの時には、じいちゃんが飼ってるニワトリを、柿の木に逆さ吊りにぶら下げて、首をバシッとやって血抜きをして、ぐらぐら煮えている湯の中に入れて毛をむしって・・・そうやって庭で解体していました。自分で育てていたニワトリだけど、結局最後はさばいて食べる。僕はそういう行程を見て育ちました。だから、同じ鶏肉でも店で売っているものとは、愛着度が全然違うんやね。食卓にあがるまでの過程は全く違うから。いのちをダイレクトに感じるというんかね」。
「食べるという事は、人間の生命維持に必要なんだけど、食べられる側にも思いを馳せるというか、「動物の命」を感じながらいただく。そういう視点は大事なんじゃないかな。絵本の中で真二が、『じいちゃんはなんで平気でそんなことをするっ』て、すごく嘆く場面があるんですけど、その辺は真二の葛藤やね」と、自分の少年の時の思いがそこにあるようだ。

児童文学に取り組む一方で、堀野さんは地域の民話や伝説の発掘、監修、発表などにも関わり続けて来た。円空を題材にした絵本がきっかけになり、カルチャー教室で仲間と共に円空彫りを教えたりもする。彫った円空仏はこれまでに三百体を数える。
「教員仲間だった人の多くは定年を迎えても再雇用で学校現場で奮闘しているけど、僕は自分の好きな事だけやってる」と明るく笑うが、教員の現状に話しが及ぶとちょっと表情にかげりが見えた。
「今の教員は本当に大変。コンピューターのプログラミングや英語などいろいろ教えることが増えたし、子どもの不登校や家庭環境の変化による問題が山積していて、みんな疲れています」と仲間を気づかう。
伝記、戦争と平和、少年記・・・。堀野さんが出す絵本はどれも可愛らしさや楽しさとは離れたもの。しかし、実話が元であるからこそ、「心に伝わる何か」があるのだろう。人と人が関わって、気持ちをわかちあうことで人は成長する。堀野さんの絵本はそう語っているようだ。

ほりのしんきち○プロフィール
1949年岐阜県の長良川上流域に生まれ育つ。
日本児童文学者協会・日本リアリズム写真集団・岐阜県芸術文化会議・岐阜県歌人クラブ・岐阜創作集団コボたち・コボたち綴り方教室・草笛短歌会・岐阜円空仏を彫る会 等に所属し、創作活動に励む。
主な著書に「しろい鳥の八月」(あかり書房)・「広太はじめてのなつやすみ」(岩崎書店)・「恋坂」(文溪堂)・「少年期 青いアケビ」「お浪草」(洛西書院)・「円空〜その長い旅のはてに」「かっぱ淵の夏」「史郎ニイの戦争」「野球選手は南の海に散った〜近藤清の青春」(あとべの書房)など。岐阜県関市在住。

 


vol.188 ボーダレス社会をめざして  vol.47

          NPO法人オープンハウスCAN 理事長 伊藤佐代子

障がい者のアートと権利
障がい者のアート活動を支援してくれる岐阜県障がい者芸術文化支援センター「tomoniアートサポートセンター」という所ができました。やっと岐阜にこのような施設ができました。平成30年6月には「障害者による文化芸術活動の推進に関する法律」(障害者文化芸術活動推進法)が成立しました。
基本理念として、(1)文化芸術活動の推進 (2)芸術性の高い作品の創造に対する支援強化(3)地域での作品発表の促進 を掲げています。また、障がい者が芸術を鑑賞する機会を増やすよう、音声や手話による説明を促進、障がい者が福祉施設や学校で芸術を創造するための環境整備も盛り込まれました。障がい者作品の所有権や著作権など権利に関する契約締結の指針を作成するように求めています。
この促進法がつくられた背景には、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催により世界から注目されることが大きな要因になっているようです。これを機会に、障がい者作品の著作権について、施設などの意識改革が出来るといいのになと思います。
障がいのある人の絵や書は、一般にぞんざいに扱われています。20年くらい前は、欲しかったら持っていってという世界でした。私も淳司がデビューした頃は、皆さんに見てもらえるだけでいいと思っていました。そうではないのです。仮に、私が一生懸命制作した作品を「好きに持って行って」と言われたらどんな気分になるでしょう。障がいのある人が作った織物を一部だけ切り取って額に入れ、売るというやり方もされていました。また本人の了解なしで、絵の一部だけ切り取ってポスターにされたりもします。息子の絵をそのように扱われた時は抗議をしました。一枚の作品として出して欲しいと。立場を自分に置き換えて、嫌だと思うことはやってはいけないのです。そういう私も書道を始めた頃は、障がいのある人の作品に印を押すのを、私がやっていました。ある展覧会でそれはいけないと指摘を受け、すぐにご本人に押してもらうようにしました。すると、歪んで押す人、薄く押す人、書道をやっている人では考えられないような所に押す人が出てきました。しかし、出来上がると妙にいい所に納まっているのです。
彼らの作品は、彼らのもの。誰も邪魔をしてはいけないのです。障がいのある人に関わる人は、彼らの権利を守らなくてはいけないのです。


vol.188 えんぴつ・カフェ


えんぴつ・カフェスペシャル第4弾 1月19日(土)
高齢者の心と身体を知り楽しく介護をしましょう!」を開催しました。
講師/入学佳宏氏(ケアマネージャー)
「認知症の方は自分が間違ったことを言ったりしたりしたつもりはありません。そのことを周りの人が怒ると、内容は忘れても、怒られて悲しい気持ちだけが残 るんです。怒られ、責められた記憶だけが積っていくと、誰でも鬱になってしまいますよね。だから認知症の方が困った事をしても、まずはどういうつもりだっ たのか聞いてみてください」
 「介護する方は、体の負担を少なくするために、テコの原理を応用する、重心を低くし、接地面積を広くするなど、ちょっとしたコツをつかみましょう」など、介護される側、する側、両方の立場にたってのお話しを、ユーモアを交えて楽しく、わかりやすくしてくださいました。途中、パウンドケーキと温かい飲み物をいただいて、リラックスした雰囲気で時間はあっという間に過ぎました。
参加者の方からは、
・「料理教室で高齢者の方に作業を伝えるコツがわかってよかったです」
・「寝ている人を寝返りさせるのに、立てた膝を軽く押すだけでできたのがビックリしました」などと感想をいただきました。

次回のえんぴつ・カフェ スペシャル企画 第5弾
「どうお別れしますか?」
講師:市川雅清氏
一級葬祭ディレクター、ディレクター技能審査協会審査官、終活アドバイザー
と き:2019年3月20日(水) 13:30-15:30
ところ:産業文化センター2階 第4会議室
会費1,000円(紅茶&お菓子を楽しみながら、質問タイムで情報交流をします)

2019年度 えんぴつ・カフェ&スペシャルの予定
5月19日・大人の食育「薬膳料理をつくろう!」
7月21日・筋活で筋力アップを目指す!
10月20日・歌をうたって脳活!(生オケです)
2020年 1月19日
講演会といきいきシニアのシンポジウム
基調講演:「定年後の10万時間、あなたはどう生きる?」

※えんぴつカフェは4/6,9/7,11/2,2020年3/7に開催予定です。
開催場所、時間は決まり次第順次お知らせいたします。

えんぴつカフェの問い合わせは
NPO「人生これから!」
田辺 090-5638-7044 三上 090-7854-4561


vol.188 ホスピスナース奮戦記 最終回

自然なこととして死をむかえるために…

今日一件目の訪問は60代のメキシコ人の男性。末期の肝疾患のためにたまった腹水の圧迫で、かなり呼吸が苦しい状態とのこと。腹腔にたまった体液を対外に排出するためのカテーテルが腹部に入れてあるので、その体液をある程度取り除いて呼吸困難や痛みの緩和と、家族も体液を抜くことができるようにやり方を覚えてもらうことが今回の訪問の目的だった。着いてすぐ、英語が話せる患者さんの甥っ子が出迎えてくれた。患者さんも他のご家族もスペイン語のみだったので、甥っ子さんの存在はとても助かった。もちろん通訳電話も使うけど、やっぱり誰かがそこにいて意思疎通を手伝ってくれるのが一番だ。他国からの移民は、お国柄やそれぞれの事情はあれど、家族や親戚とのつながりがとても強く、看取りの場でも親戚一同で協力しあう姿に毎度感心させられる。
患者さんは、話すのがやっとの状態でとても苦しそうだった。痛みよりも呼吸が楽にできない苦しさで落ち着けない。つきっきりで世話をしている患者さんの妻も、そんな夫をみて実に辛そうだった。呼吸ができない苦しさは、水に溺れるような、なんともいいあらわせない恐怖にも似た苦しさだそうだ。酸素吸入をしていても、上半身を起こしても、どんな格好をしても、とにかく苦しく、眠りにつくこともままならない。
在宅のホスピスケアに移行してまだ2日、カテーテルから腹水を抜くためのいろいろなキットは段ボールに入ったままだった。ホスピスケアから送られた症状緩和のための薬もまだ一度も使っていなかった。入院先の病院から在宅ホスピスへの切り替え時のサポートが、充分でなかったのかもしれない。言葉の壁があったのかもしれない。
ご家族は、患者さんがこんな苦しい状態で家でケアをしていけるだろうか、必要な時に、自分たちで薬をあげていいのか、カテーテルから腹水を抜くことができるのか、とてもとても不安だったと思う。患者さんは、溜まった腹水や下半身のむくみのせいで大人2人がかりでしか動かせないような状態。しかし、なによりも自宅で、家族のそばで過ごせるのが、とても有意義なことのようだった。
今日はまず腹水を抜く手順を一つ一つご家族に見せながら、2Lほど抜いた。パンパンに張ったお腹にはまだ腹水が溜まっているけど、今できるのはここまで。患者さんは、少し呼吸が楽になったと教えてくれたけど、まだ苦しそう。痛みもあるようだったので、呼吸の苦しさの緩和にも使うオピオイド(モルヒネ)の使い方をご家族に説明し実際に患者さんにあげてもらった。ご家族に助けてもらいながら、なるべく落ち着ける体勢を探した。とにかくご家族にどんどんケアをやってもらえるように覚えてもらうしかない。やれないことや問題があれば、すぐに電話してもらう。家族の不安と緊張、患者さんの肉体的な苦痛と衰弱とはうらはらに、患者さんの口からは片言ではあるが、「ありがとう」「助かるよ」「大丈夫」。といつもあたたかい言葉がでてくる。
衰弱が一定のレベルに達すると、ご本人にはわかるのだろう。死というものがとても近いことを。体に刻々と訪れる変化を受けとめていくしかない。そしてこの患者さんは多分しっかりと自分の体の変化を受けとめていた。
家族にとっては、その変化が早ければ早いほど、どうにか生きていてほしいと思うだろうし、死へむかう変化にとまどい、本人以上に変化を受け入れづらかったりする。とまどいも、悲しみも、不安も、緊張も、すべて患者さんには伝わっている。だから患者さんからは、どんなにしんどくても、「ありがとう」「大丈夫」、そんな言葉がでてくるのだろう。この家族をみていてそんなことを思った。

怖いのは、実は死ぬことではなくて、死ぬとは実際にどういうことなのかわからないゆえの、いわば未知への恐怖だと私は思っている。家族との肉体的な別れや、愛する人々が悲しみにくれるのを見たくないという思い、自分の人生に対する心残り、自分という存在がどうなってしまうのかという不安、そういった漠然とした、なにかとても大きなエネルギーに飲み込まれるような感覚。でも、この患者さんをみていて、自分の死を間近に自覚すると、心はなにかあたたかいもので包まれているような、そんな感覚になるのではないかと思った。そうであるならば、おかしな言い方かもしれないけれど、死に対しても希望をもてる。生まれたら死ぬという自然なことを自然に受けとめられる。そんなふうに肉体の死をむかえるために、家族や患者さんにはホスピスケアや緩和ケアをおおいに活用してほしいと思う。自分たちが舵をにぎっているつもりで・・・。

長い間ご愛読ありがとうございました。新しい“いのち”を育む為に今回にて連載を休止させていただきます。また、いつかお目にかかれる日まで。       わかばま〜く

わかばま〜く:プロフィール 1987年生まれ。ニューヨーク州立大学卒業後、ニューヨーク市立病院に看護師として4年勤務。その後訪問看護師としてホスピスケアに携わっていた。岐阜県各務原出身。


vol.188 ぎむきょーるーむ 農薬・添加物との つきあい方

買ったかまぼこ、作ったかまぼこ
ある日の授業から

ほんとうのところはわからないんだ

名取 かまぼこを作ったけど、おうちの人の評判はどうだった?
子ども 味はよかった。長い竹がかっこいいって。かまぼこじゃなくてちくわでしょうっていってた。
名取 かまぼこって言葉は、ガマって草の穂に似てるからで、もともとは竹に巻きつけたものが由緒正しいものだよ。ところで、スーパーで買ってきたかまぼことちくわの食品表示を見て、自分たちが作ったかまぼこに使わなかったものが、入ってます。なにかな?
子ども 卵白!
名取 はい、たまごの白身だね。粘る力をつけてます。
子ども あとは・・・・・・発酵調味料。砂糖、ソルビトール、調味料(アミノ酸)。ソルビトールってなに?
名取 よくわからないけど、甘味をつけるための添加物だと思う。かまぼこはどうですか?
子ども 食塩。砂糖、発酵調味料、魚介エキス、卵白、でんぷん、植物油、酵母エキス、調味料(アミノ酸など)、加工でん粉、貝Ca。なんだかわからないものがいっぱい入っているね。
名取 そのわけのわからないもののほとんどを「食品添加物」っていいます。日本では300種類以上が許可されています。ほかにも甘味料、保存料、糊料、酸化防止剤、発色剤、漂白剤、着香料・・・・・・。なにからなにまで合成の、化学的に作られたものです。これで見た目にきれいなもの、いい匂いのもの、食べたときのプリンプリンした感じ、味のいいものにして、たくさん売ろうとしているわけです。
食品添加物は安全だとされているけど、ほんとうのところはわからないといわれています。昔、豆腐の殺菌剤に使われていたAF2というのは、すぐ症状が出たから危険だと分かって使用禁止になったけど、発がん性があるかどうかは10年も20年もたたないとわからない。
それに何十年もたってから症状が出ても、あのとき食べたかまぼこのせいだって証明できないでしょう。

 

大きな声で「使うな!」っていおう

名取 それともう一つ、がんよりこわいのが、遺伝子を傷つけてしまうかもしれないことです。つまり、生まれてくる赤ちゃんに異常が出るかもしれない。あるいは、その次の世代、つまり私の子どもの子ども。
子ども 孫ってこと?
名取 そう、孫に異常が出るかもしれない。だけど、そのときおじいちゃんが食べたちくわのアミノ酸のせいだなんて立証できないでしょう。
それに一つひとつの添加物が安全だとしても、2つとか3つが化学的に反応して毒性のものを作ってしまうかどうかもわからない。
子ども じゃ、どうすればいいの?
名取 個人としては、食べものを買うときには注意して、なるべく添加物の入っていないものを買うことかな。あと、みんなで声を大きくして、わけのわからない添加物を使うなって会社や国にいうことかな。
食品添加物だけじゃなくて農薬も怖い。農薬って薬じゃなくて、農毒薬です。農毒薬をまいて死んじゃった人、病気になった人もいます。
このほか、遺伝子組み換え食品といって、除草剤を浴びても平気なように作りかえられた大豆やトウモロコシのことも問題です。
うちに帰ったら家族みんなと話してみてください。で、どうしたらいいかを考えましょう。


vol.188 半農半Xという生き方 vol.29

天職観光
人はこれから、どんな旅をするのか。その方向性について、福知山公立大学地域経営学部と一緒に調べています。僕はこれからの時代の旅のことを「天職観光」と呼んでいます。天職観光とは、「天職のヒントを探す旅」を表現する造語で、12年ほど前、ふと自分の中で生まれたことばです。
 いろいろな方にインタビューをさせていただき、その方の仕事(天職)について、そしてどんな旅(日帰り~数泊)をされているか、されてきたか、毎週学生と尋ねています。
自分の旅を振り返ると、過去、以下のところに行ってきました。有名なところをいくつか紹介してみます。
高校生レストラン「まごの店」(三重県多気町)、IT企業を誘致する神山町(徳島)、葉っぱビジネスの聖地・上勝町(同)、里山を舞台に「大地の芸術祭」を3年ごとに開催する津南町・十日町市(新潟)、瀬戸内国際芸術祭の舞台の1つの直島(香川)などなど。
昨年、香港から若いカップルが綾部にやってきました。天職観光の文字を見せると、「まさに僕たちの旅はこれです」とのこと。綾部への旅が二人の未来をすこしでも応援することになればすてきです。まちや村が旅人の人生も応援していく時代が来ています。みなさんなら、いまどこに旅したいですか?

あらためまして、半農半Xってなぁに?って言う方にご紹介!
半農半Xの種を播く 塩見 直紀(共編著)
出版社: コモンズ ¥1,728
安全な食材、いただきま〜す。食糧自給率、アップしちゃいます。仕事のストレス、減りますよぉ。作物を育てる喜び、たまりません。「半農半X」はいいこといっぱい。半農半XのこころAtoZ~26のキーワード。

 

 

 

塩見直紀(しおみなおき)半農半X研究所代表
1965年、京都府綾部市生まれ。20年前から「半農半X(エックス=天職)」コンセプトを提唱。半農半X本は翻訳されて、台湾、中国、韓国にもひろがる。著書に『半農半Xという生き方 実践編』など。

※半農半Xとは・・・半農は環境問題、半Xは天職問題(どう生きるか)を背景と する。持続可能な農のある小さな暮らしをベースに、天与の才を社会に活かす生き方、暮らし方。ex.半農半漁、半農半大工、半農半看護師、半農半カフェ、 半農半絵描き、半農半歌手、半農半鍼灸師、半農半カメラマンなどなど。


vol.188 菌ちゃん野菜応援団 vol.9

毎日寒くてお部屋から出たくありませんよねー!!!我が家のにゃんこも毎日のように私の布団のなかに入ってきてはスヤスヤ寝ています。
さて、菌ちゃんたちも寒いのは苦手なようで、段ボールコンポストも外では発酵しない季節になりました。我が家は家族が多いので毎日けっこうな量の生ゴミが出るんですが、それを段ボールのなかに投入してよく混ぜると。次の日ホカホカ湯気を立てながら菌ちゃんが生ゴミを分解しているんですよねぇ。
基本の大きさのコンポストで約60キロもの生ゴミを分解できると言うのだから驚き‼

いろんなタイプの生ゴミ処理器を導入しましたが、家庭内で処理できるという点で見れば一番続いているのがこの段ボールコンポスト。先日講習を改めて受けて、例えば身体の具合が悪い人がゴミ捨てに行けなくても家の中に生ゴミがたまらない、有事のときに最悪簡易トイレになる等々、なるほどー、と思うことがたくさんありました。

 核家族や独り暮らし世帯が増え、ゴミ捨て一つ大変な人がいること、昔のような汲み取り式トイレが減り、多くの世帯が水洗になっていること。今の社会は便利だけど、同時に何かのときに簡単には動きのとれない危うさも秘めているんだなぁと普段は気づかない分野にも想いを馳せました。
消費者である私たちからすると、一見汚いものを分解していく菌とはできればかかわりたくないと思われる方も多いのかもしれませんが、環境のこと、健康のこと、様々な分野で活躍している微生物である菌ちゃん。私たちはもっともっと菌ちゃんと仲良くしていけると良いのかもしれませんね。
ちなみに段ボールコンポスト内の菌ちゃんは寒いのが苦手だけど、地球上にはどんな環境でもたくましく生きている菌ちゃんはたくさんいます。かの福島でも菌ちゃんは放射能除去に大活躍しているんですよね。

これからの時代は菌を排除してはいけないのかもしれないなぁ、などと思ったりしています。文章と関係なくなっちゃったけど、じゃがいもほりの写真。寒いけど子どもは元気だ〜。


vol.188 未来に続く暮しの学び vol.30

共同生活と保存食

2019年がスタートしてこちらは夏本番を迎えます。
今年の夏は冷夏という予測なのに、昼間は灼熱、汗だくだくの毎日です。しかし、湿度がなくカラっとしていて、日陰にいれば過ごしやすいのがありがたいです。日はだいぶ長くなってきましたが、夜の8時過ぎに日が落ちれば涼しく、夏でも過ごしやすい気候です。
1月は、催しも少なく静かな月なので、忙しくなる2月3月に向けて、自分たちのメンテナンスに時間を費やせる月にします。
ゆっくりした自分のペースで日々を送っていると、忙しい時にできなかったことが目につきます。畑では特にトマト、ズッキーニ、スクオッシュ、キュウリなど夏野菜が豊富に収穫できます。ですがあまりにも獲れすぎるので、とにかくキムチ、サワークラウド、ピクルスなど、発酵させたり、貯蔵できる形に変えて保存食品として、今後使えるようにみんなで手分けして大量に作っています。
 あとは、自分たちの時間。私は絵描きとして活動しているので、この夏の季節はイベントが重なりとても忙しくなりそうです。なので、空いてる時間はとにかく制作!制作!と制作時間を大事にしています。
自然のなかの静かな空間は、いろんなインスピレーションを与えてくれます。つくづく今居るこの環境に感謝!自分の家で、自分のリトリートタイム。パラダイスは住んでいる私たちにとっても癒しの場所になっているのだなと実感しながら、日々に感謝して、この静かな1月を過ごそうと思っています。
 共同生活では、自分の時間を確保することはとても重要です。アクティブに人とかかわる時と、自分の内側に入り、自分と向き合う時。そのバランスが、ここ5年目にしてやっと整ってきたように感じます。
目には見えないお互いの境界線を意識し保ちながら、個々の活動、生活を確立して、お互いに関わりあう。基本は、お互いを認め合い、尊重しあうこと。このようなコミュニティーでは一番大事なことです。それがようやく少しづつですが、わかってきました。     YAO


vol.188 夢か悪夢かリニアが通る!vol.17

  「工事の影響で水枯れ 田植え断念も」。昨年12月、九州新幹線長崎ルートのトンネル建設工事で周辺河川の流量が減少し、長崎県諫早市で農家の田植えができないなどの被害が出ていることが毎日新聞などで報じられました。工事を請け負う鉄道・運輸機構は、リニア中央新幹線の中央アルプストンネル建設なども担当しています。機構はトンネル工事の影響と認め、井戸を掘ったりしていますが、十分な水量は確保出来ていないと報道は伝えています。水枯れ問題は山梨県のリニア実験線でも起きていますし、これからのリニア工事でも各地で起きる恐れがあります。     ジャーナリスト・井澤宏明

 

大井川の水を巡って

「事業をやめていただきたい」
静岡県では、リニアの南アルプストンネル建設で大井川の流量が減少する問題を巡り、今年に入っても議論が続いています。1月25日には静岡県庁で、県の中央新幹線環境保全連絡会議が開かれ、県、有識者とJR東海との間のリスク認識の差が浮き彫りになりました。
県はJR東海に対し、着工前の段階で、大井川の流量減少などリスク推定の不確実性をできる限り縮小するよう努力することを求めました。具体策として、流量減少についての予測を複数の解析方法で行うことを有識者が提案しましたが、JR東海はこれを拒否しました。

大井川上流の流れ。リニア工事により、生態系に壊滅的な打撃を受ける危険性が指摘されている(2017年11月10日撮影)

JR東海の澤田尚夫・環境保全統括部担当部長はその上で、「トンネルを掘る前に不確実性を縮小するためにできることは限られている。どんな(予測の)やり方をしても不確実性は残るので、工事を通してしっかり事前の予測や調査をやっていきたい」と述べ、あくまでも工事に着手してからリスク管理を行っていくことを主張しました。
これを聞いた難波喬司副知事は「あ然とした。リスク管理について事前にできませんと言っているに等しい。事業をやめていただきたいと言うしかない」と厳しい言葉を投げかけました。
有識者もJR東海の頑なな姿勢にあきれた様子。「事前にできることは何でもやるというのが基本的なリスク管理だが、国鉄時代に使った手法をそのまま踏襲して、それ以外はやらないという考えがどうして出て来るのか」(森下祐一・静岡大教授)、「JR東海の説明は古典的。リニアのような大プロジェクトでなくても、方法の限りを尽くして試算して絞り込んでいくことは、現状ではごく常識的に行われている」(大石哲・神戸大教授)などと、辛口の指摘が続きました。
会議後、報道陣の取材に応じた難波副知事は「これだけの大規模公共事業を、20年以上前のリスク管理のやり方でやろうとしている。現代的には認められない」と苦言を呈しました。

事業者の良心
30日に再び開かれた同会議。JR東海の澤田部長は冒頭で、「実質的にアセス(環境影響評価)のやり直しか追加措置を求めるもので、(環境影響評価)法の趣旨にもそぐわないのではないか」と、前回の会議での県や有識者の提案に反論しました。
さらに、環境影響評価手続きの過程で知事の意見を聞いてきたことを挙げ、「今の段階で(追加の調査や措置を)求められるのは、引き延ばしに通じるものではないか」「いつまでたっても工事着手ができない」などと、県を非難しました。
はたして、JR東海が行ってきた環境影響評価は、堂々と胸を張れるようなものなのでしょうか。「環境影響評価が不十分だから今のような問題が起きているのではないか」。私の問いかけに澤田部長は「(環境影響)評価書まで手続きが終わった後に工事実施計画の(国の)認可をいただいているので、きちんとできていると認識している」と答え、手続きの正当性を主張しました。
30日の会議後、報道陣に囲まれた板井隆彦・静岡淡水魚研究会会長は述べました。「大井川の非常に貴重な自然の一番肝心な部分がかなり大きく壊される可能性があるので、我々は発言しないわけにはいかない。環境影響評価の手続きはなされたが、大井川という場所の特殊性に合わせて行われたとは思わない」。さらにこう語りかけました。「環境影響評価の制度は、事業者の良心に依存している。いかに自然を保全するかという心構えが求められている」。一緒に聞いていたJR東海の職員はどのように受け止めたのでしょうか。

JR東海の基本認識には本当にびっくりした」。取材陣の質問に答える難波副知事(1月25日、静岡県庁で)

 


vol.188 かなでの沖縄だより vol.11

沖縄県民は、なぜここまで基地のことで
悩まなければならないんですか?

いま、沖縄で一番問題になっている「辺野古基地建設問題」。なぜ、県民がこれだけ悩まなければいけないのか、不思議に思うことがたくさんあります。
辺野古新基地移設は、世界で最も危険と言われる普天間基地返還のために考えられました。けれども新基地ができても返還8条件が満たされない限り、普天間基地は返還されません。(※1)
新基地を建設している辺野古には、綺麗な大浦湾が広がっています。ジュゴンがいます。たくさんのサンゴもあります。そんなところを条例違反の赤土で埋め立てをしています。青くて綺麗な海は赤土の色に染まっています。そして、埋め立て予定地の北側はマヨネーズ地層で活断層もあり、埋め立てるのは絶対不可能です。去年11月に沖縄県が出した試算によると、基地を作るのに2.5兆円、工期も10年以上かかりそうだということです。

県民投票
そんな基地建設が本当に必要なのか、沖縄の若者が提案した県民投票は民意を示すためのものでした。
ですが、5つの市では議員が予算執行を否決、市長がそれを支持して投票権を奪う違憲・違法の状態になっていました。今は、どの市も県民投票を行うことになりましたが、二択ではなく三択に変更されました。全市で投票を行うために「どちらでもない」という選択肢が増えたのですが、果たしてこれでよかったのでしょうか。なぜ、県民が意見を表明するために悩まなければいけないのか…不思議に感じます。
普天間基地のある宜野湾市は、県民投票に参加しないと言っていました。それに対して、ハンガーストライキをした方がみえました。私はTwitterでこのことを知り、心が痛くなりました。毎日、更新されるTwitterを見て私は、「これをみた政府はなにも思わないのかな?」と思いました。県民がなぜここまでしなければいけないのか…おかしな世の中だと感じました。国って国民になにをしようと思ってるのかな?とも思いました。
大浦湾
「大浦湾には5806種もの生き物が生息していて、そのうち一番多いのが貝類で1974種です。沖縄でこんなに多様な生物が生きている海はもうここしかありません。絶滅危惧1類のオガタザクラは、大浦湾でしか生息していないと言われています。薄紫色の美しい小さな二枚貝です。昔は湾奥の瀬嵩という浜が紫になるくらいたくさん打ち上がっていたそうですが、今は運が良くて1日1個か2個拾える程度です。」とバイト先の、貝殻研究を続けている中学生のひろちゃんは言います。数年前までは瀬嵩浜もたくさんの珍しく美しい貝殻が打ち上がっていたのですが、工事のフロートがじゃまをして、浜に打ち上げられる貝殻の数は激減したそうです。それでも、波に揺られてオイルフェンスを潜り抜けて打ち上がった貝殻が「海を守ってくれ!」と訴えているようだとも言ってました。貴重で大切な物を、嫌だといってるのに、無理やり土砂で埋めてしまう事を許すわけにいきません。この理不尽で違法な行為は、いつ誰に向けられてもおかしくないからです。小さな貝を守る事が、私たちの生きる権利と、子供達の平和な未来を守る事に繋がると思います。

※1:普天間返還8条件は、2013年4月に「沖縄における在日米軍施設・区域に関する統合計画」で日米両政府が合意したもの。辺野古新基地建設のほか、新基地では確保されない長い滑走路を持つ民間空港の使用などが、記載されている。