投稿者「にらめっこ高阪」のアーカイブ

vol.194 未来に続く暮しの学びPrt-35

自然の魔法

 まだ、ところどころ山火事が続くオーストラリア。 私たちの住むエリア「バイロンベイ」には数週間前にやっと雨が届いてくれて、付近の火事も収まりました。滝が流れ、川が流れ、気も流れ始めレインフォレスト復活という感じです。それとともに、夏らしい蒸し暑さが戻ってきました。亜熱帯気候特有の、昼間は太陽のエネルギーが強く、湿気もあり、暑い。でも夕方になると夕立が訪れて、すべてを落ち着かせてくれます。
 雨が降って、気持ち的にやっと落ち着いたというか、まず生活の面で水の心配をしなくてもよくなったことにほっとしました。畑の水やりも心配なくできることにも感謝です。草も樹も、もちろん雑草も大喜びで、すくすく伸び放題。でも、それが自然な反応なのだなと思いじっくりと観察しています。

 動物たちもほっとしているところだと思います。雨が降りいつもの自然が戻ってくることで、彼らの動きも活発になってきています。コアラ、イグアナ、ウォーターリザード、鳥たちが私たちのエリアにも現れるようになり、共存共有の生活をより意識するようになりました。

 この土地とともに暮らすことで気づくことはたくさんあります。まず自然の変化やエネルギーに敏感になり、たまに魔法みたいな体験をさせてもらったり・・・・私たちも、人が本来持っている自然の部分を開けば開くほど、自分自身とつながり、人と人が調和し、あらゆるものを共有しやすくなるんだろうな、なんて思ったりします。
 学びの多いこの2か月間。様々な変化を受け止めながら、その変化に対応できるよう心がけてきました。日々、自然というおおきな存在のなかで暮らしていられることに感謝し、自然のサイクルをからだ全体で感じながら生活をしていこうと思うこの頃です。


vol.194 菌ちゃん野菜応援団 vol.15

 シンポジウムから大きく動き出した方々のお話をよく聞くようになりました。
 「畑に草を入れてみたよ」「生ごみを捨てるのがもったいないと思うようになったよ」「土作りしたいけど何からしたら良い?」
 そんな話を聞くたびにシンポジウムをやってよかったなぁとじんわり嬉しくなります。

 春に備えて土作りを考えていらっしゃる方はぜひ手始めに枯れた草を手にいれてください。プランター、もしくは畑に草をこれでもか、というくらいた〜〜っぷり敷き詰め、軽く水をかけたら上に土を少しかぶせます。畑の時は畝の上にやると後が楽です。使ってない炭が家にあればそれを混ぜると、さらに良し。あとは水がかからないようにシートをかけておけばOK。水はけが悪い畑の時は回りに溝をほって雨水がたまらないようにしてください。

 雨にあてないのがポイント。草にはもともと糸状菌というキノコ菌がついてます。それが春に向けてゆっくり活動を始め、草を分解していきます。そのときに雨にあたると菌ちゃんは死んじゃうんですよね。なので、必ずシートはしてくださいね。

寒い時期は動きがないけど大丈夫。春になったら草が残ってても野菜の植え付けが出来ますよ!要らないと思っていた草が極上の土を作って、野菜を育ててくれるなんてほんとかしら!!ぜひやってみてくださいね‼

 写真は無煙炭化器で炭をつくっているところ。子どもたちも一緒になってわいわいやってます。これはあとからた〜っぷり土にすき混んで菌ちゃんのマンションになってもらう予定です!!たのしみ〜〜〜〜〜。

 今年も菌ちゃん野菜応援団をよろしくお願いいたします。


vol.194 ここいく日記 はじめの11歩!

お母さんパワーが学校を変える!

 『ここいく』は、今年で10年目を迎えます。
 市内に住む私達が10年も活動しているのだから、市内の幼少中学校へ浸透していてもいいはずなのに実際には思うように実現できていません。
 しかし大垣市では2015年に市PTA連合会の研修会で「いのちの授業」発表依頼があり、それをきっかけに役員さん方が「是非、我が子の通う学校で授業を受けさせたい。」と学校へ働きかけて下さり何校かの小中学校での授業実施へ繋がりました。
そして、毎年の恒例行事として呼んでくださる学校につながっています。お母さんパワ-はすごい!!役員さんパワ-は大きい!!私自身もそのパワ-を活用したいと思いました。
 長男の子育て時代、いのちの授業の主催者側として小中学校へ勧めたけれどもハ-ドルが高く、望みは叶いませんでした。ですから長男は残念ながら私のワンツ-マン・プチ授業(‘_’)しかし、第2子の長女の頃には私にも人脈ができ、主催者である私からではなく他のお母さんや役員さんが学校へ掛け合ってくれました。ある時には友人5.6人が学校行事の際に校庭で校長先生を囲んでいのちの授業の必要性を訴えてくれました。そのお陰で娘は小中学校で授業を受けることができました。そして、ついに私も高校のPTA役員となり校長先生や担当の先生に掛け合い、各務原市内の娘の通う高校での開催に至った。まさしく、役員パワ-!!ばんざ-い!! 御理解くださった先生方に感謝。高校1年生239人を対象に体育館で授業を行うことができました。

 事前に16問の避妊認知度実力テストをしてもらい、テスト結果は当日の授業でクラスごとのランキング発表をして盛り上がりました。ワ-スト問題は写真の5問。答えは全てNO! 不確かな知識でこれまで学んでこなかったことがよくわかる結果です。
 性感染症の体験ワ-クでは、たった一人の感染者からセックスでどう広がっていくかを体験。20人中7人に感染しました。この実験は生徒からも反応がたくさんありました。授業後に届いた感想を読んでいると泣けてきました(T_T) 一部ご紹介します。

・講話のなかに「無知は罪」とあったけれど無知ほど怖いことはないと本当に思いました。
・嫌なことがあって死んでしまいたいと思ったことがあると思 いました。でもそれは命をかけて産んでくれた母にとても酷 いことを思っていたんだなと知りました。
・私は特にLGBTのことについて触れてくださったことがとても嬉しかったです。私自身LGBTのうちの1つをもっていて、それを理由にハブられたりということが昔ありました。その時から、1人1人それぞれが違っていいということを多くの人に知って欲しいと思っていました。なので今回、多くの人に教えていただけて本当によかったです。
・嫌だったら嫌と言えるようにすること、ちゃんと自分のことを大切にしてくれる相手、人任せにしないということを大切 にしていきたいと思った。

 オランダでは障害児を対象とする特別支援学校を含み、すべての初等教育(4~12歳)・中等教育(12~15歳)に性教育が義務化されていて学ぶ環境が整えられています。一方、日本は性産業先進国だけれど性教育に関しては最後進国。でも、できることはたくさんあります。学校を変えるのはお母さん達一人ひとりのパワ-です。パワ-を繋いでいけば国をも変える!!
もうすぐ、年度替わり。役員決めは終わりましたか?まずは一歩踏み出して役員に立候補!そして、子ども達へいのちの授業を一緒に届けましょう。ご依頼お待ちしております(^^♪

担当:ここいくメンバー・大塚道でした。
ここいく☎090-3446-8061(中村)


vol.194 「見たまま・感じたまま」from韓国 

 韓国に来て約半年が経ち、2月末でこの留学も終えることとなりました。今韓国のニュースは、新型コロナウィルスのことばかりで、日本に関する事はほとんど見られません。

 僕がこの留学を通して、一番伝えたいのは、僕が日本のニュースで見てきた韓国は、韓国で起きた一部分であり、それが全てではなかったという事。一部の切り抜いた情報だけで、韓国に対して悪いイメージを持つ人が日本には多いのでは、と感じました。
 日本では「韓国は反日教育をしている」と今でも言い続ける人がいますが、僕は逆に日本の方が反韓教育をしているんではないかと思ってしまいます。韓国の歴史を学ぶ上で、当時の日本に対して悪いイメージを持つのもわかります。教える先生にもよると思いますが、韓国で周りの人に聞いてみても、「反日教育?なにそれ?」と言う人がほとんどでした。僕の周りの韓国の人を見てみると、日本にワーキングホリデーに行く若者も沢山いるし、旅行に行くという人も沢山います。韓国に来て半年、そんな人たちの中で暮らしているからでしょうか、僕自身が“反日”と感じた事は今までありませんでした。
 一方、デモなどは減ったそうですが、日本製品の不買運動はまだ続いてるそうです。そういった活動をする人の中には、日本の事が嫌いだからという人もいるのでしょうが、ほとんどが、韓国と仲良くできない安倍首相に対する反対の運動だと聞きました。

会いに来てくれた姉と街を散策

 僕はこの留学でたくさんの国の方と出会いました。中国、台湾、ベトナム、モンゴル、マレーシア、ロシア…。どの国の人も本当にいい人で出会えてよかったと心から思っています。日本人だけが優しくて親切というわけでもない。韓国も日本も他のどの国の人も素晴らしいし、自分の国に誇りをもっている。世界中のみんなが、尊重しあえるといいなと思いました。

平和について語り合いたいと、各務原市の中学生でつくったPeace of peace。主要メンバーの古川司さんは、2019年秋から韓国へ語学留学した。日韓関係が危ぶまれている状況の中で彼の「見たまま・感じたままリポート」を韓国からお届けします。

韓国は朝鮮半島の南半分に位置する東アジアの国で、非常に厳しい軍事境界線が北朝鮮との間にあります。韓国はまた、桜の木や数百年前に建てられた仏教寺院が点在する緑に覆われた丘陵地帯や、海辺の漁村、亜熱帯の島、首都ソウルのようなハイテク都市でも知られています。


vol.194 プレゼントコーナー

1- あなたは環境のために何をしますか?してますか? まずは自分でできることから!具体的に教えてね。
2- 気になるにらめっこ紙面での広告
3- 気に入った記事、気に入らない記事の
 タイトル1つ・その理由もお書きください。
4- ご希望のプレゼント名
(第1希望・第2希望)
 ※Cは編集室まで受け取りに来られる方。
5- 本紙をどこで入手されましたか?
6- 氏名、年齢、住所、郵便番号、電話番号、家族構成

プレゼントご希望の方は

ハガキまたはe-mailで、上記のアンケートを
1〜6までご記入の上、編集部・プレゼント係りまでお送りください。
〆切:3月25日(Bは3月15日) 当日消印有効。

宛先
〒504-0855 各務原市蘇原新栄町3-15
e-mail: info@niramekko.com
※お寄せいただいた個人情報は、本紙プレゼントの発送に限り、 使用させていただきます。
※当選の発表は発送をもって代えさせていただきます

A.CINEX映画招待券

シネックス様より…ペア3組様

主人公と一緒に泣いたり笑ったり。感情を素直に出して映画館を出る時にはすっかりリフレッシュ!そんなひとときをどうぞ!写真は映画「グッドバイ」より。岐阜柳ヶ瀬のCINEXにてご利用いただけます。

B.JAZZE!ご招待

アートギャラリー是様より…2名様

奇数月に行なわれる大人のためのライブ。森永 理美(p)・大森ひろ(ds)・出宮 寛之(b)のトリオが奏でる世界にご招待!  飲食の料金はご負担ください。

C.春日のほうじ茶

ちゃぼぼ園様より…3名様

760年の歴史を持つ春日のお茶。大地に呼応し、自然の恵みだけでゆっくり育ちます。深く澄み切った味を心ゆくまで味わってね。にらめっこ編集室でお受け取りください。

D.人生これから!NOTE

人生これから!様より…5名様

「人生これから!」が今年度の活動を通して得た“いきいき暮らすヒント”を凝縮した1冊。食(薬膳)・運動(ゆる体操)・脳活(歌)・これからの生き方について、など。ぜひ活用してね!


vol.194 始動・にらめっこ!

 甘夏と八朔の移植は1月中旬に行い「ここで生きてね!」と祈るような気持ちで作業を見守りました。各部屋はまだ整備不十分ですが、風の芸術村の個別教室もできるようになり、ちょっと嬉しい。あとは、障子を張り替える作業が…真っ白な障子になったら、雰囲気はぐっとよくなること間違いなし!
 そこで、「障子張り替えワークショップ」を行いたいと思いま〜す!障子張りの得意な方、または一度体験したい方、集合しませんか?わいわいおしゃべりしながら。お茶とお菓子を用意してお待ちしています。

3月10日(火)11日(水)10時から。
(雨天順延)お時間のある方はぜひ!

新住所:各務原市蘇原新栄町3丁目15番地


vol.193 動物のいのち 私たちのいのち

「いのち」の背景を考える

    写真家・映画監督 大西 暢夫さんに聞く

『ぶたにく』 著:大西 暢夫  
お米や野菜は、どうやって育つかを知っている。でも、ぶた肉がどうやって食卓へあがるのかは知らない!鹿児島市にある知的障害施設が舞台。そこでは障害をもつ方たちが、とても大切にぶたを育てている。ぶたの餌は小学校の残飯。私たち人間が残したものをぶたは食べ、10か月で出荷され、ぶた肉となる。その繰り返しで、我々は生きている…「いのち」「食」を学ぶドキュメンタリー写真絵本。          A4変形版 幻冬舎

動物のいのちを考える

ー『ぶたにく』。ずいぶんストレートなタイトルですね。

 はい、直球ですね。かわいい黒豚が表紙で裏表紙がソーセージ。さらにこの本には屠殺場も出てきます。最初かわいい豚さんで始まるのに、最後の方に枝肉がダーって吊るされているシーン。すると子どもたちは大興奮するんですけど、親はそれを見せるかどうかっていうので賛否両論が結構ありました。そして、次の展開ではついこの間産んだばかりのお母さんブタが、またタネをつけられ、また子豚が生まれるっていう話で終わリます。
 実はそこまでの過程がとても大事なのだと思っています。僕は今まで豚と出会うことがなかった。牛は牧場で見かけるけど豚は豚舎。だけど豚って可愛いし、結構アイドルでいいキャラしているし。でも、豚って何者?って思うくらい全然知らなかった。

 僕たちはどれくらい成長した豚を食べているか知らないですよね。みんな子豚なんですよ。8ヶ月とか10ヶ月の子豚。柔らかくて美味しいからって。それを知った時は結構ショックでしたね。

 養豚場にはいろんなルールがあるんですね。いつごろ、何匹生まれるとか、体温が37度、お乳の数と生まれてくる数はほぼ一緒でだいたい満月の頃に生まれる、全国で毎日6万頭潰して、さらに毎日7万頭輸入しています。売り切れがなくどこでも売ってる・・・そういう数字をベースに本を作ったんですね。
 全て人間の都合で命を操作している。そういう背景を知って愕然としました。取材先である鹿児島のゆうかり学園という社会福祉法人は、豚に残飯を食べさせて10ヶ月で出荷しています。
 残飯は老人ホームや小学校、コンビニからパン屋さんを回ります。するとポリタンクが10箱くらいになる。で、その残飯には、豚肉やソーセージとかが入っている。ブタが豚を食べる・・・命を育てているのか、食べ物を育てているのか、わからないサイクルがあって、僕たちは、一体何を作っているんだろって、頭がこんがらがっちゃて。

 毎年、池田町の八幡小学校で講演をするのですが、「ぶた、見たことある?」って聞くと、見たことがない子が多いんです。「豚肉は美味しいけどお腹いっぱいだからポイッと捨てたけど、その豚肉が豚の餌となってまた肉になって給食のおかずとなって戻ってきているってどう思う?」と投げかけてもいます。

ー豚をペットにしている人もいます。ぶたはきれい好きだそうですね。

 においは動物ですから多少は漂いますが結構可愛いですから豚をペットにする人もいるでしょう。ということはペット用に育成して大量に繁殖するという背景を考えて欲しいと思います。例えば、チワワ。CMで人気が出て爆発的に増やした。それでどれだけのチワワが捨てられたことか。どれだけいのちが操作されているか、ブームの背景を読み取らないとね。
 僕らはホームセンターや大型マーケットにあるようなペットショップという形態で動物を売るという方法をなくした方がいいと思っています。プロのブリーダーが、保健所の犬を扱って、かっこよくして、そこで売ればいいのにと思う。ただ犬種がみんな雑種!とかなるかもしれないけど(笑)。あの子たちは本当に可愛いですから。殺処分に関して岐阜県はまだまだですね。滋賀県はやめたし、広島はゼロです。

 うちのハナ(柴犬)も保健所で目があっちゃったんですよね。保健所の片隅にいてね、静かで吠えないんです。吠える人には吠えるけど、好きな人には尻尾振って・・・だけど保健所の人が、「この犬はすごい凶暴ですから気をつけてください。最初にちょっと散歩をしてみますか?」そう言って、引っ張ると固定される紐を首に入れてぎゅっとするとワーワーワンって怒るんですよね。「こいつはこうやってはむかって」って言うんですが、そんなことされればどんな犬でも怒るでしょ。
 家に連れてきた日かな、撫でていたら突然がぶって僕の手を噛んだんですよ。やや甘噛みだったのですが、血が出たんで「ハナ痛いよな」って目を合わせて言ったら、血の出ているところをぺろぺろなめ始まるんですよ。それからのハナは僕と取っ組み合いの喧嘩しても平気です。
 ところが、前の飼い主は、孫にすごい勢いで噛むと言うんですね、孫が棒で殴ったらしいんです。それから首輪が変えられないくらいもう凶暴になって、危ないからと保健所に連れてこられた。結局そこに愛情があるかどうかの話ですよね。しかも子犬を産んだ後に、です。ハナは自分の子どもたちとも別れ、ボコボコにされて、死のギリギリのところまで行って、「ちょっと待った」と声がかかった。ラッキーですけど、彼女の背景にはそういうすごい辛い体験があるんです。

今は幸せなハナ

たくさんの小さないのちを考える

 糸は繭から紡ぐのですが、綿は引っ張って作ります。滋賀県の米原と長浜の話。この地域では<棚がい>という古くて珍しい昔の飼い方で、藁で飼っています。これも実はいのちの話につながっていくんですが、彼らは「虫供養」というのをきちんと行います。例えば一つの掛け布団を作るのにおよそ3,600個くらいのお蚕さんの命をいただいているわけです。ついこの間までお蚕さん(養蚕業)は盛んで生産量が世界ナンバーワンで日本で唯一の輸出品目だったのですが、今はお蚕さんという存在自体わからなくなっています。蚕糸協会に他県の養蚕農家が取引にやってきます。それくらい近県に市場がないんです。年に一回だけ美濃加茂で取引が行われています。
 僕たちはたくさんの小さないのちを身にまとっているんです。それはお蚕さん自身がくるまって温まっている暖かさなんですね。(取材中、お借りした真綿の膝掛けはとても軽くて暖かかった)人が加工したものの中に、このいのちあるお蚕さんたちのあったかさがある、という話です。子ども達にとっては、いのちあるものから糸ができるなんてことすら想像ができない、そこからがスタートで書いた本です。

『お蚕さんから糸と綿と』 著:大西 暢夫  
お蚕さんを育て、その繭から糸を取る。それが生糸になり、真綿にもなる。滋賀県で養蚕業にたずさわる人々の姿から、人間本来の生活の営みについて伝える。2020年1月中旬発売 B5変形版 アリス館

ー今は石油製品からできる人工的なもので包まれていますね。ナイロン、フリース、ポリエチレン、ポリエステルなどなどですが、静電気が起こり体にもよくないですね。

 ものが簡単に手に入る時代。インターネットでも、ポチッと押せばもう翌日に送られてくる。製品が作られるまでの過程をポンと飛び越えて。下手すればネットで犬、猫に限らず生きものさえ買える時代。それまでに生きてきた動物の背景なんて知らなくてもいいわけですよね。そこが今「いのちを大事にする」という中で足りないものですよね。出会うまでの過程がないからだろうなと思う。

ー過程が省略されているから、元の形を知らない。日常の、食べ物、身に纏うものの背景を知ることがとても大事なんですね。ちょっと広げてみたときに、棲む場所を失う野生動物、実験に使われいのちを落とす動物たち、被災地の動物たち、そういう動物たちに日常の中で少しでも思いを馳せたいと思うんですが…

 そうですね。いのちがもっと生活の中の近い場所にあればいいんだけど、そういうものがかなりバーチャルになってきていて、実感がないというか。実際、こういう子(大西家の保護猫)を触ったり抱っこしたりすることで、温もりを感じたり、死んだら生き返らないことを実体験することはバーチャルではできません。(大西家には保護猫が4匹と、前述した保護犬・ハナがいます)生き物は死ぬということ、生き物を看取るということ、そういうことが次に繋がり、また次に動物と向き合うかどうかということも考えるでしょう。

ー生きものと切っても切れない関係にあるにも関わらず、みんなあまり意識をしていない感じがします。

 意識していたら多分殺処分なんかないでしょうね。そいうところに連れてくるのは飼い主の身勝手。さまざまな事情もあるでしょうが、保健所に連れて行くというのは最終決断じゃないですか。でもそれほど考えずに持ってくる人が多いだろうなと思います。たとえ最終でも保健所へという決断はないでしょう。葬っちゃうわけですから。

ー『ぶたにく』に関連しますが、鶏を飼い卵を売って資金にしているある福祉施設では、卵を産まなくなった鶏をどうするか議論になりました。子どもたちが世話をして最終的に肉にするのはどうかと。結局私たちは日常的に鶏肉を食べています。そこに触れずにその過程を避けているという気がします。

 そういう中でちょっと動物に対して、隙を与えるというか、そういう生き方だってありだよなって、思ったりするんです。

ー隙というと?

 動物が生きやすい場所というか、そういうところがあってもいい。昔は野良犬がいっぱいいた。今だとすぐ保健所に電話する。それは街をきれいにしていくという言葉に似たようなところがある。僕は精神病院の取材を長くやっていますが、変わったおっちゃんたちが排除されました。そういう変わった人たちを町から排除したりとか、犬だって、動物たちだって同じようなもので、住みかのない子たちは駆除という名目で役場に連絡して捕獲されることと、構造的には結構似てる話だと思います。犬と人間を一緒にするのは違和感はありますが、考えるスタイルとすれば、排除するという感覚が似ていますね。

私たちのいのちを考える

ー排除という言葉、ヤマユリ学園の殺傷事件では生産性がない、生きていてもしょうがない、と多くの方が殺されました。

 関わってないから、知らないからだろうなって思います。実は東北のるんびにい美術館(アール・ブリュットの美術館)で僕の写真展が開かれています。タイトルは「いのちの姿、あなたの形」。重症身体障害者で動けない、喋れない、立てない、ないない尽くしの方達ばかりでいわゆる生産性のない人たちです。ずっと悩んでいたテーマで、10年間岩手に通って撮影してきました。
 人はこの人たちを見たときにどう思うか、その背景を考えないで漠然と彼らを見たときに、「なんや、なんもできへんやん」だけで終わってしまう。

大西暢夫写真展2019年10月11日ー2020年1月27日

彼らを撮るとすごく絵になりやすいんです。へんてこりんな形をしてるし。だけど、絵になると写真ってつまんない、という僕の持論があって、「彼らの何が撮りたいんだ」と突き詰めたときに、彼らのことが「わからなかった」わけです。それで、「わからない」っていうことをテーマにしようと思った。そのときに初めてこの車椅子と出会ったんです。ボコボコしているし誰が座るか想像がつかない超オーダーメイドの車椅子。これを作る人たちって誰?と思って、会津若松の職人さんのところに行きました。


 そこでは作業療法士らとタッグを組みながら、「こんなに変形しているけどどうしたらええか」と、ず—っとその人を見て職人さんたちが悩むわけです。リハビリをする人たちも、ずっと悩んで仕事をするわけですよね。リハビリの哲学みたいなものの中には、やっぱり歩くこととか、元の機能に近づけるとかがあるけれど、この人たちには全く通じない話なんですね。もともと歩く機能がないわけだから、歩かせることをリハビリと言わないわけです。だけど踏ん反り返ったこの角度は辛いんじゃないかと疑問を持つわけです。あーでもない、こうでもないと断定をしない仕事ばかり。仕事は断定して即決して効率が求められますよね。それとは真逆で、彼らは断定しないんです。

ー考える軸をどこに当てるか、ということでしょうか

 「この人はどうやったら立つんだ」というのが僕の見方でした。それはこの人にとっていいか悪いかではなく、僕の都合だったんですね。この人たちと出会わなかったら、そういうことを考えることはなかったでしょう。だからこそ、この人たちのいのちは大事だと思ったんです。僕がこのことに対して考えなきゃいけないから。そしてそこに、「わからない」を形にする車椅子を作る職人さんたちがいた。その職人さんたちの阿吽の呼吸で、車椅子はでき上がっていくんだけど、福祉的な議論というよりも、どうやったらこの人をうまく座らせることができるかなと、職人さんたちが頭をひねるわけです。僕はそこに一番の愛情を感じたんです。
 で、職人さんたちが、「彼らのことがわからない」とよく言うので、その「わからない」という言葉を表現したいがために、彼らを撮っているという感じでした。そういう中で、彼らの存在がなぜ必要なのか、ということに行き着いていくんです。それは多分、出会って知って考えること。彼らが存在するからこそ考えたことは山ほどありました。それらが一つの基本ベースとなれば、いろんなことに応用できるのではないかと思っています。

おおにし のぶお●プロフィール
写真家、映画監督。1968年東京生まれ。岐阜県揖斐郡池田町で育つ。東京綜合写真専門学校卒業後、写真家の本橋成一さんに師事。アシスタントをするあいまに、ダムに沈む岐阜県徳山村の取材を独自に開始する。独立後も今に至るまで全国を巡りダムに沈む村を追い続けている。そのほか精神科病棟、東日本大震災被災地、いずれも終わりのない長期取材を続けている。
映画監督作品に「水になった村』『家族の軌跡 3.11の記憶から』『オキナワへいこう』
著書に「ひとりひとりの人」「糸に染まる季節」「津波の夜に 3.11の記憶」など。


 


vol.193 ちびっこルーム

鼻とのどの不快な症状 看病の基本はなに?

心配しなくてよいとき、我慢させてはいけないとき、受診する目安って…        耳鼻咽喉科医 水谷 淳子

鼻、つらそうに見えても

鼻がつまるということは、鼻汁が増えて粘膜がはれているということですから、これらを軽くすればいいのです。温度と湿度あたえると手当てがしやすくなるので、入浴後や、あたたかいおしぼりを当ててみてください。粘膜のはれがひいて、鼻汁の粘りも軽くなります。そうすると鼻汁を吸ってあげやすくなり、鼻もかみやすくなります。
 ところで、鼻づまりがあって苦しそうに見えても、当の本人はあまりつらくないことがよくあります。赤ちゃんの場合、おっぱいやミルクを休み休みでも飲めていれば気にすることはありません。  もう少し大きいこどもの場合でも、鼻づまりでズーズーしていても眠れていれば、あるいは本人が気にしていなければ、やっきになって鼻づまりを治そうとする必要はありません。急性副鼻腔炎になっても、二〜三週間で自然に治ることもけっこう多いです。
 ですから、受診する目安は、おっぱいやミルクが十分に飲めないとき、鼻づまりやのどに落ちてくる鼻汁のためにせきが出て、何度も目が覚めて眠れないときでしょうか。あまり起きないことですが、発熱や頭痛が続くとき、頬が痛み赤くはれているときなども受診してください。

からだを守るために必要なせき

 コンコン、ゼロゼロのせきもつらそうです。とくに夜、何度もせきが出て親子ともども眠れない夜が続くと、ほんとうに疲れます。だけど、せきというのは、からだを守るために必要があって出ているという面があり、せきをすることによって、のど、気管、気管支といった空気の通り道にある刺激物を追いだす役目を果たしているのです。

 刺激物というのは、乾いた冷たい空気、ほこり、気道の粘膜のはれ、そのために増えた分泌物である痰、のどへ流れてくる鼻汁などです。せきを強い薬で止めてしまうということは、からだにとってよくありません。重い病気でせきが出ない状態、弱いせきしか出せない状態の人が肺炎になりやすいことでも、せきが出ることがいかに大事かわかると思います。
 せきが出ていても元気に遊びまわっている、少しおとなしくしていればひどいせきは出ない、夜分せきで目が覚めることはあってもだいたいは眠れている。という場合は受診しなくてよいと思います。
 受診する目安は、せきが出て親子ともどもほとんど眠れない、だんだんせきがひどくなってくる、といったときでしょうか。でも最近は、せきがうるさいので医者に行くようにと、学校からいわれて受診するこどもがいるくらいですから、目安といっても確たるものではありません。
 ただし、我慢してはいけないときもあります。赤ちゃんや小さいこどもののどは内径がせまいし、やわらかく、分泌物も多いのです。いちばんせまい喉頭付近がはれると、息ができなくなることがあります。肩で息をしている、くちびるが紫色になっている、話もできない、声がくぐもっている、よだれも多くなっている、せきこんだあとにヒューとかゴーといった音が聞こえるなどのときは、夜中であっても救急に受診してください。

あ゛っ鼻血! どうやって止める?

こどもといっしょに覚えたいその原因と応急処置のしかた 小児科医 山田 真

 こどもは鼻血をよく出します。しょっちゅう鼻血が出るこどももいます。お母さんやお父さんのなかには「鼻血→白血病」というふうに想像をたくましくして不安になる人もいますが、ほとんどは心配のないものです。 
 20分以上も出つづけるようなときや、鼻血以外に歯ぐきからの出血があったときなどは血液の検査をしたほうがいいでしょうが、短時間の鼻血をくり返す場合は、検査の必要もありません。
鼻血が出たときの対処方法をお話ししておきましょう。
 まずこどもを座らせ、頭を前に傾けます。このとき、頭を仰向きにさせると、鼻血がのどのほうへ落ちて、吐き気が起きたりしますから、かならず頭は前に傾けることです。そして口呼吸をさせながら小鼻の部分をつまみ、十分後に指を離すと、たいていは止まっています。もしまだ出血が続いていたら耳鼻科へ行くことにしましょう。
 鼻をかんだり首のうしろを叩いたりするのはやめましょう。鼻を冷やすことも意味がないと思われます。
 また鼻へティッシュペーパーなどをつめることも意味がないようです。綿をつめるのは、奥のほうへ入りこんでとれなくなることもあり、有害ともいえます。とにかく鼻をつまみつづけていることで、たいていの鼻血は止まってしまうということです。

プロフィール 

みずたに・あつこ 埼玉県にて耳鼻咽喉科医院を開業                 やまだ・まこと 小児科医、八王子中央診療所所長。「子どもたちを放射能から守る全国小児科医ネットワーク」代表。ち・お編集委員。


vol.193 「ズッコケ三人組」平和を語る

1978年にシリーズ「ズッコケ三人組」が始まり、2004年に50巻に。2500万部という戦後のベストセラーになった。2005年からは40歳になった三人組のシリーズが始まる。

児童文学者 那須 正幹さん

なぜこの本が子ども達に支持されたか

 小学6年のハチベェ、モーちゃん、ハカセという3人が、それぞれの特徴を生かして事件を解決する物語で徹底した娯楽小説です。それが受けた理由じゃないかなと思っている。ただ、戦争のことだけは取り上げなかった。もしこの3人が、太平洋戦争の時に国民学校の生徒だったら、ハチベェのようなおっちょこちょいがうろちょろすると先生から目をつけられてマークされる。モーちゃんみたいにスローな子は配属将校にお尻を蹴飛ばされるだろうし、ハカセみたいな理屈屋は、「先生、戦争は間違っているんじゃないか」と言って特高に睨まれる…裏を返せば、この3人がこれだけ元気に駆け回れるのは、日本が平和で民主主義の国だからこそ。そう考えて、この50巻では一切戦争について書きませんでした。

わたしの原体験

 では私自身は戦争に対して全く無関心だったかというと、実は他の本では取り上げています。わたしは1942年6月に広島市の西区己斐本町で生まれ、3歳の時に被爆しました。私の家は爆心から直線距離でおよそ3キロ。爆発の瞬間に、爆風で我が家の屋根が吹き飛びました。その後、雨が降ってきたので押入れの中で雨宿りしながら当時の国民学校の一年生の国語の本を眺めていた。巻末に桃太郎のお話が載っていた。天然色というか、綺麗な色がついていたような記憶がありますね。そして午後になると、市街地から被爆した人が逃げて来られました。全身灰色で、髪もパーマをかけたみたいにチリチリでまるで人形がフラフラ歩いている…怖いというよりあっけにとられていたという記憶があります。さらに夕方になって大八車に缶詰を山積みにしたおじさんが、「水を飲ませてくれ」と言ってきたので、我が家の井戸水をあげたら、お礼にみかんの缶詰を一つ開けてくれた。それが火傷するくらい熱かった。それをフーフーしながら食べた。この記憶だけは77歳になるのにいまだにあります。

子ども心にも「変だ」と思う出来事

 私の父は当時女学校の教師をしており、爆心地から10キロほどにある学校の職員室で被爆し頭と背中に怪我をしました。ある時、父親が家族会議を開こうと言い出した。その時に憲法の話もしまして、「これからの日本は戦争をしない」と。これは子ども心にすごく嬉しかった。父親は79歳で死んだのですが、遺品に「憲法入門」という本が出てきて、中にものすごく画期的なことが書いてあるんですよ。当時の大人たちは、新憲法というのを勉強していたんですね。
 私が小学校2年の時に、朝鮮戦争が始まりました。日本には警察予備隊という軍隊まがいのものができました。あれよあれよという間に保安隊と名前が変わり、6年生の時にはいわゆる自衛隊となった。
これには流石におかしいなと思いましたね。で、友達と学校帰りに、「ほりゃおかしいぞ!日本は戦争をしないといっているのに、軍隊を持たんことになっているのに、なんで自衛隊ができるんだ」って。友達も「そうだそうだ」、「今の大人は信用できん」、「あいつらが戦争をはじめたんだ」、「わしらが大人になったら自衛隊ぶっ潰そうぜ!」「一緒にやろう!」って、息巻いていた。
 残念ながら自衛隊をぶっ潰すこともできずに、もう77歳になりました。まぁ、その代わりに児童文学の中で、色々書いていこうと思っております。

広島を離れて気づいたこと

 戦争について一番最初に書いたのは「屋根裏の遠い旅」。いわゆるSFで戦争に勝った日本から戦争に負けた日本に行く冒険小説です。まず巻頭に「日本国憲法 第9条」の前文を書きました。平和憲法の中で、自衛隊が生まれたことに対する疑問、これについてなんか書こうと。当時はベトナム戦争の真っ只中で、今の日本だっていつ戦争になるかもわからないんだよというということを読者に伝えたかった。
 当時、被爆体験を児童文学の形として継承しようというのをモットーにしていた「こどもの家」という同人誌があったんですが、私は一度も原爆について書かなかった。広島に住んでいると、原爆、広島では「ピカ」というんですが、ピカの話が日常茶飯事で、今さら原爆を文学の形で書いても、という思いがあったからです。でも山口県に引っ越したら途端に原爆の情報が途絶えたんです。そうすると逆に気になりだす。さらに乾富美子さんという大先輩と一緒に飲んだ時、「あんたも原爆の被爆者なんでしょ、やはり原爆のことを書きなさい」とお説教されたんです。
 その時ふっと思ったのが、平和公園にある「原爆の子の像」。折鶴を折る少女の像です。私が高校一年の時に除幕されたんですが、あの像のモデルになった佐々木禎子さんという人は昭和18年の2月生まれ。早生まれですから私とは学年は一緒。同じ世代の目線で、佐々木禎子さんのこと、原爆の子の像の建立運動を書いてみようと取材をはじめました。
 佐々木禎子さんは、小学生になって白血病になり、中一の10月に亡くなった。クラスメートたちが同級生の死を悼んで世界平和のための原爆の子の像を作ったわけです。
 この「折り鶴の子どもたち―原爆症とたたかった佐々木禎子と級友たち」を書いた時に、いかに自分が原爆について無知だったか思い知らされた。言葉のルーツや正確な意味をもういっぺん勉強し直さなきゃと思いました。

原爆と原子力

 1989年に西村繁男さんが福音館から「僕らの地図旅行」という絵本を出したんですね。その絵を見た時に、絵本だったら広島の原爆の全体像が表現できるな、と思いました。文章で書いても難しすぎて、子どもは読んでくれません。この「絵で読む広島の原爆」は、「セミの声」をキーワードにしています。読者を50年前にタイムスリップさせるんです。セミの声は、江戸時代の城下町で栄えた頃も、明治以降、政治、経済、教育そして軍事の中心として発展した1941年の夏にもうるさいほど聞こえていたそうです。そしてこの本は科学絵本でもあります。例えば核分裂について。核兵器の元になった原子核の分裂によってすごいエネルギーが出るということまで、詳しく描いて日本に原爆を落とす経緯を説明している。さらに、戦後の日本、冷戦時代のソ連崩壊までを全部年表にして載せてある。原爆の百科事典みたいな本になっています。
 実はこの本を書いていた時に、身体を壊しました。だからもう原爆については書かないと思ったけど、広島の人間として一度は書かないと。原爆だけじゃなく、特に戦後の日本を書いていかなきゃいけないなと、そんな思いで書きましたね。
 そして、2011年3月11日、東日本大震災が起こりました。その年の6月に福島の小学校に行き「広島の人たちは苦しいこともあったけど、あの日に起こったことだけは絶対に忘れないよう、作文でもいいし、なんでもいいから記録しておきなさい」と、話をしたんです。するとある児童から「私たちは30歳までに死ぬと思っています。那須先生は3歳の頃にいっぱい放射能を浴びたのにいまだに元気で、だからすごく嬉しい」と言われました。それを聞いた時はショックでしたね。小学校6年のごくごく普通の子ですよ。これはね、放射線は、肉体だけでなしに心まで傷つけるんだと思いました。その子の話がきっかけで山口県の上関原子力発電所建設の反対運動に積極的に関わることになりました。

今の子どもたちにどう伝えたらいいか…

劇団風の子中部による朗読劇「茶色の朝」

 今の子ども達に戦争を伝えるというのは、非常に難しいです。戦争というのは勝つために全てを収斂させます。「欲しがりません、勝つまでは」という標語がありましたが、文字通り戦争に勝つためにあらゆることを犠牲にした。そういう状況を今の子ども達は知らない、というより50代の人たちも知らないわけですよ。まさか戦争になることはないだろうと。しかし気がついたときには戦争になってた・・・。戦前もそうだった。そういう状況が作られるのですから。
 ですが、戦争を語るのは大変難しいんですね。じゃぁ、語らずにいたらいいのか?例えば平和教育。私もいろんなところで話をしますが、今の親御さんの中には戦争の体験談のような話を子どもに聞かせたくない、と思っている方が多い。例えば「はだしのゲン」を子どもに見せるのは良くないと。読ませない。図書館から撤去したと。本当にそれでいいのか。

次の世代に伝えたいこと

 私の家族の話をします。長男が小学校5年、次男が小学1年生、3番目の長女が年少の時だったかな、広島の資料館に連れていった。今は撤去された被爆人形(子どもを連れた全身ケロイドの母親の人形)がうす暗い照明の中に立っている、お化け屋敷みたいなもんですね。その側まで行ったら、次男が固まってしまった。私自身は3歳の時、被爆体験をしているから見せても構わんだろうと思ったんだけど、次男の反応があまりにもひどかったので、ちょっと反省したんです。
 ところがその次男が高校3年の時、「資料館」へ行きたいと言うんです。それから3年くらい経った時に、長女も「資料館へ行きたい」って言うんですよ。「子どもの時に見てすごく怖かったんだけど、あれはどういうことなのか、なぜ怖かったのか自分でちゃんと見たい」と。それから一昨年かな、長男が家族を連れて「資料館」に行きました。だから子どもの時に、いっぺんはね、こういうことを見たり聞いたりしたほうがいいんじゃないかと私は思っている。その時は怖かっただろうけど、大人になって「なぜ?」と思って再確認をする。今の若い人たちには、特に必要なことだと思うんです。
 次に私が卒業した高校の話をします。創作表現コースという芸術のコースがあり、学生達が12年前から「被爆者と光」という絵を描きはじめたんです。これは平和プロジェクトの一つです。「次世代と拓く 原爆の絵」は被爆者から聞いた話を油絵にします。これは大変な作業です。今の子にゲートルとか三角巾と言ってもわからん、国防色って何色? 語り部も70年前のこと、うろ覚えのところもある。記憶を記録にする。しかも今の子どもたちがそれに協力している。こういうプロジェクトはすごく大切なことです。
 だから、「次世代と描く東京大空襲」「次世代が描く東日本大震災」、そういう形で次の世代に、繋いでいけたらと思います。

岐阜市民会館大ホール 講演に聞き入る参加者のみなさん
シンガーソングライター・増田康記さんとフィナーレ

2019年11月3日 平和のつどい 主催:「2019平和のつどい実行委員会」 参画:岐阜県内「九(9)条の会」 事務局:岐阜・9条の会


vol.193 しょうがいをみつめる vol.4

特別支援教育

特別支援教育:2007年4月から学校教育法の一部改正によって、特殊教育から特別支援教育に変わり、すべての幼稚園・学校において、障害のある子どもの支援を充実していくことになりました。特殊教育との大きな違いは、理念として「障害のある幼児・児童・生徒への教育にとどまらず、障害の有無やその他の個々の違いを認識しつつ様々な人々が生き生きと活躍できる共生社会の形成の基礎となるもの」という共生社会の実現が加わったことです。

 今回は、公立小学校の特別支援学級に在籍がある子どもたちの例を紹介します。文中に出てくる交流学級とは、特別支援学級に在籍がある児童生徒が交流している通常学級のクラスのことです。

・小学1年生、情緒障害A君
 A君は、自分の身の回りのことができ、友だちと基本的なコミュニケーションがとれます。愛嬌があり人気者です。語彙が少なく、自分の気持ちを言葉で表現するのことが苦手なため、小さなすれ違いからトラブルになることがあります。
 A君は、国語、算数以外(生活、音楽、図工、体育、行事)は交流学級で学んでいます。
 特別支援学級で学ぶ時間には、国語や算数の基本的な学習をA君に合わせた進度や学習方法で、自主的に学ぶ力をつけていきます。また、交流学級で学んできた他の教科でのまとめや、理解できなかった部分の確認なども行います。
 交流学級で意欲的に学習に向かえるよう、特別支援学級で基本的な力を身に付けています。また、特別支援学級の少人数の中で基礎的なコミュニケーションスキルを獲得しています。

・小学5年生、知的障害B君
 B君は、体験的な学習から気づく力がありますが、それを文章や言葉でまとめることが不得意です。文章を読んだり書いたりするのには、時間がかかります。
 B君が交流で通常学級へ行くのは、理科、体育、英語、総合的な学習、行事です。学習内容により、教師が付き添います。
 理科の実験では、多くの気付きがあり、事象を捉える力がありますが、それをノートに書いたり、人に伝えることは苦手なため、付き添いの教師が書くことの手助けをすることで皆の前で堂々と発表することができます。教師の付き添いが必要かは、授業内容やB君の希望、他の子の授業内容とも相談しながら決めていきます。

 私が初めて特別支援教育に関わったのは、「特別支援教育」という言葉が学校教育法に位置付けられた平成19年でした。当時は、特別支援学級に在籍している児童生徒は、ほとんどの時間を特別支援学級で過ごし、交流へ行き通常学級で過ごすのは、特別な行事のある時間くらいでした。
 現在では、交流学級で学習する上での困難が軽減するために、特別支援学級で基礎・基本的な力を身につけると言えるくらい、交流学級(通常学級)で過ごす時間が増えています。(個人差や学校の取り組み方に違いはあります。)
 障害のある子とない子が共に学ぶインクルーシブ教育の実現に向けて、特別支援学級のあり方も形を変えていることを実感しています。一方で、障害のある子もない子も、その能力を最大限に生かすにはまだ課題があることも事実です。


vol.193  niramekko Gallery「せかいに1つのくさ」

さくらちゃんのクールなものの言い方に、ドギマギする大人たち。彼女のことばは的確に状況を表すからなのかもしれない。自分だけの世界観を持っているから、どんなクラスでもマイペース。具象、抽象と表現は常に変わる。しかし彼女の発想は驚くほど豊かです。その作品に出会うと、大人たちはまたしてもドギマギ。私たちは彼女が興味を持つものに、次第に惹かれていきます。

風の芸術村 会員・随時募集中です。
詳しくは下記へお問い合わせください。


vol.193 えんぴつ・カフェ

人生これから!シンポジウム

2020年1月19日(日)14:00-16:00

各務原市那加福祉センター1階 集会室(予定)
参加無料

講演会「定年、そして10万時間の自由時間」
著者:上鵜瀬 孝志氏の講演会のあとは
いきいきシニアのシンポジウム

講師の上鵜瀬さんはこんな人。
今号のにらめっこ『熱中人』でも紹介しています。
上の新聞記事は10年前、「定年、そして10万時間」の出版が毎日新聞に大きく取り上げられました。

定年後にやりたいことはなんですか?

えんぴつ・カフェ

次回は、2020年3月7日(土)14:00~16:00    場所:にらめっこ編集室(各務原市蘇原新栄町3-15)

★みんなでワイワイおしゃべりしながら、「ゼロの昇天」の書き込みを中心に。お茶とお菓子 付き。  (準備の都合上事前にご連絡をお願いします。)

シンポジウム、えんぴつ・カフェのお申し込み、お問合せ:NPO人生これから!090-5638-7044 田辺   090-7854-4561 三上


vol.193 熱中世代 上鵜瀬 孝志さん

友だちは年金、定年後は楽しく、充実した人生を送ろう!

セカンドライフアドバイザー ウィ! エルダーマン代表 上鵜瀬 孝志さん

  いわゆる団塊の世代として生まれ育った上鵜瀬さん。第一次ベビーブームの昭和22年〜24年に生まれた団塊の世代は800万人を越す。小中高時代から常にひしめき合い、社会の中でも競争を強いられてきた。
 「定年が視野に入ってくるようになった50代、それまでの競争という価値観そのままで、地域や家庭に帰ったって通用しない。今から男性のネットワークを作っておかないといけないんじゃないかという思いがありました。それで「ウイ!エルダーマン」という活動グループを設立したんです」
 エルダーマンのキーワードは「驕らず、威張らず、腐らず」、「来る人拒まず、去る人追わず」。楽しくなければ人生じゃない!と言いながらも、実は楽しいだけではない。それまでの人生で得た技術なり経験を、社会のために活かす活動もする。社会に貢献し、人と繋がることで、それぞれが自分の存在意義を見出すという奥深い団体でもある。
 エルダーマンの活動は多岐にわたる。セミナーの開催、フリーマーケットに出店し売り上げを寄付、学校の余剰机をリフォームしベトナムに送る、懇親会(飲み会)、芝居、旅行…。仲間とともに様々な活動をする中で定年後の生き方について感じたことを書き溜め、一冊の本にしたのが、「定年そして、10万時間」だ。
 10万時間というのは定年後から男性の平均寿命までの時間。定年までの40年間会社に拘束されていた時間もほぼ10万時間。同じウエイトが定年後にかかることになる。しかも、人生100年時代などとも言われる昨今、10万時間どころか、もっと多くなることもある。その時間をどう使うのか。
 「仕事の関わりではなく、社会との関わりの中で自分の存在意義を確認できるかどうか。自治会のことをやるとか、ボランティアをやるとか、なんでもいい、それが豊かな人生に繋がっていくんじゃないかな。」と定年を機に価値観の転換を上鵜瀬さんは提案する。
 多くの同年代の女性は、子どもが手が離れた段階で価値観の転換をすでに済ませて、女性同士のネットワークもできているという。
 1つのアンケート結果がある。「定年後に旅行に行くなら誰と行きたいですか?」というもの。夫の1位は妻。それに対し、妻が夫と答えたのは6位。
「現実は、こんなにも夫婦間にズレがあるんです。夫婦といえどもそれぞれの人生、妻には妻の人生があるでしょ。親に育てられた子どもから学生までの時代、社会に育てられた会社員の時代を経て、定年後は自分で自分を育てる時代です。自分の人生だもん、妻に頼るんじゃなくて、自分で存在意義を見つけていこうよ」と語る。ただ、 そういう生き方をしていくには、友だちの存在が欠かせない。
 「友だちは年金って僕はよく言ってるんだけど、飲み友だちや趣味の友だち、そういう友だちが多いほうが人生はより豊かになるよね。友だちって、知人以上、親友未満というふうに僕は考えています。友だちのプライバシーや、過去にどういう仕事をしていたかとか、家族がどうとかという話は知らなくてもいいんです。その人がこれから何をしたいのかが大事。」
 退職した男性には、過去の実績や肩書きにとらわれ、そこにしか自分を説明するものがないという人も意外と多い。
 「それでは寂しいし、後ろ向き。そこから抜け出さないと誰も相手してくれなくなって孤立しちゃうよね。人に対して上から目線になりがちな人もいる。だけど、僕らの年代まで生きてきたら、どういう境遇であってもそれぞれいろんなことを乗り越えてきた実績がある。財産やポストの問題じゃなくて、その年までお互い生きてこれたねって話。いかに相手のことを尊重できるか、そこも大事にしたいよね。」
 「自然災害や病気、この先、誰だっていつどういう状況におかれるか分からない。ならば、一日一日を充実したものにできるといいよね。そうなると楽しいじゃない」。
 これからの時間をどう過ごすのか、それは自分自身が決める、のである。

かみうせ たかし
コピーライター、「イマージ」主宰。「ウイ!エルダーマン」ネットワーク代表。
広告代理店を経て独立。広告制作会社「(有)イマージ」を設立。2000年、団塊世代の男性を中心とした市民活動グループ「ウイ!エルダーマン」を設立し、各地で定年後の生き方などをテーマに講座やセミナーで講師を務める。
趣味は昭和の車(旧車)のカタログ収集と美味しいものを食べること。
名古屋市在住。
H.P http://kamiuse.com/

本の帯には「定年よ、大志を抱こう!」。本文にはダジャレやオヤジギャグが満載。難しくなりがちなテーマも楽しく痛快な語り口で綴られている。


vol.193 ボーダーレス社会をめざして vol.52

NPO法人オープンハウスCAN 理事長 伊藤佐代子

「くん」「ちゃん」って虐待?

 15年ほど前から、岐阜のスポーツクラブに通っています。がんになってからは、時間があれば優先的にスポーツクラブに行くようにしています。先日、そのクラブで「ちょっと聞いていいですか?」と声をかけられました。話を聞くと一升餅の話でした。孫が出来て娘の所に紅白の一升餅を送ったのだけれど、小さな子にお餅を背負わせる行為そのものが虐待にあたるかしら? 送ったのをすごく後悔しているとのことでした。
 一升餅とは、一歳の誕生日を祝い、一生食べ物に困らないように、これからの健やかな成長を祈る伝統行事で、風呂敷にお餅を包み斜めに背負わせ歩かせるようなことをするのです。地域によっていろいろあるようですが。私は、「それは虐待にはならないでしょう。紅白のお餅でしょ。そんな気遣いをして下さったお母様に感謝されるでしょう」とお答えしました。
 虐待のつもりなんて毛頭ないと思っている行為も一つ間違えば虐待と言われてしまうことがあります。それが、障がいのある人の呼び方です。○○くん、○○ちゃんなどの呼び方は虐待にあたるかもしれないと最近は言われ始めました。ちなみに息子に「ヘルパーさんにどう呼んで欲しい? あっちゃん・伊藤さん・淳司さん?」と聞きますと「淳司さんです」「あっちゃんではだめ?」「僕は41歳です。淳司さんがいいです」とはっきり答えました。何度聞いても変わりませんでした。41歳なのでと言われた時には、ギクリとしました。ちゃんと分かっているのだなとちょっとびっくりしました。
 平成24年に障害者虐待防止法ができ、当たり前のことなのですが、障がいのある方の気持ちを汲みとろうと多くの人が考えています。ご本人が嫌がっていなくても、「くん、ちゃん」とよぶことは虐待にあたる場合があります。見下すように○○ちゃんと呼んだり、○○くんは、明らかに年少者に対する呼称になり気をつけなければいけません。年齢にふさわしくない呼び方はどうなんでしょう?
 幸いにも息子からは、明確な回答を得られ、年齢相応に成長してきていることに正直感心するより、甘く見ていた自分を反省しました。しっかりと大人になっていました。呼称は、人格・人間関係をも示す大切なものであり、ご本人が一人の大人であり、それにふさわしい対応がされるようにと考慮する必要があります。ご本人、ご家族がどう呼んで欲しいのか教えていただき、周囲から見ても適切な呼び方、ご本人を尊重している呼び方を考えなくてはいけないと思います。


vol.193 ここいく日記 はじめの10歩!

未だグラグラ揺れる日々ですが…

 私と「いのちの授業」の出逢い、それは私が高齢出産のワンオペ育児で子育てに辛さを感じていた時でした。
「歳をとってからの子どもだから、甘やかして、我がままね」と後ろ指を指されないようにと必要以上に張り詰めていた時、「頑張らなくても大丈夫だよ」と優しく語りかけてくれたここいくのメンバー。
 その後、メンバー募集のチラシを見た時は、後先考えず「入りたいです」と言葉を発していました。少しずつ授業に参加するうちに、我が子の通う保育所に「いのちの授業」を届けたい。娘と同じ時期を過ごす子どもたちが誰にも被害者にも加害者にもなって欲しくない。生まれてきてくれただけで素晴らしいことを知って欲しいと思い、役員になり企画をしました。

 授業当日は、私は「セックスの絵本」を担当しました。
いつもより緊張しましたが、子どもの笑顔と真剣な眼差しに、子どもたちの吸収する力のすごさを感じました。
精子と卵子の出逢い、みんなはラッキーボーイ・ラッキーガールと伝えると、子どもたちの笑顔はキラキラ。こんな宝物がもらえる「いのちの授業」
 各務原市でもっと授業ができるようになるといいなぁ~といつも感じています。

 そんな娘も小4になり思春期のドアを開けようとしています。心と体の変化する時期。友達との関りに悩んだり、いつ来るか分からない月経に不安を感じています。思春期がやってくるぞと思うと、ドキドキ、ハラハラしますが、少し楽しみ。娘が生まれた頃の気を張っていた私とは違い「大丈夫」が心のどこかにあります。

 最近は「ここいく」の活動になかなか参加できず、辞めようかと何度も悩みました。でも「できる範囲でいいよ」と言ってもらい続けています。
いつか、自分の感じていることをつなげていける私になれたらと思います。

 「思春期はすぐに来るよ」と言われても、遠い未来だと思っていましたが、10年はあっという間でした。まだまだ甘えてくる我が子も、いつか離れていく。当たり前のことなのに、ずっと甘えが続く気がしていた。私自身もまだ「今」にグラグラ揺れる日々ですが、ここいくの先輩ママの姿を追いかけていきます。

 小さな人と過ごしているママたちに「いのちの授業」に出逢って欲しい。そして1日1日を大切にして欲しいと思います。

担当:ここいくメンバー・前畑かおるでした。
ここいく☎090-3446-8061(中村)


vol.193 第4回 菌ちゃん野菜交流会全国大会in岐阜

心と体をはぐくむシンポジウム プレイベント 
11月25日(月)13:00〜

 全国各地から「菌ちゃん野菜応援団」の方々が実践されている取り組みを発表。遠くは福岡、熊本、新潟、東京、長野、岐阜…地域に違いはあるものの、吉田俊道さんの「すべてのものに役割がある すべてのいのちと折り合おう」の考えをベースに活動をしている様子がよくわかりました。NPO法人や社団法人の方、農林水産部の「食と花の推進課」という行政の方の発表、どれも眼を見張るものばかりでした。中でも、行政の方が小学校や幼稚園に出向いて、「子どもたちの心と身体を育む、欽ちゃん元気野菜つくり」の発表にちょっとびっくり。官民一体となって「菌ちゃん野菜つくり」に取り組むことは、私たちの目標でもあるので先駆的例としてしっかり胸に刻みました。
 どの地域でも、子どもの反応はとっても素直。菌ちゃん野菜作りの仕組みがわかれば、子どもは家族に話すでしょう。するとおかあさんやおとうさんたちが考える。それが暮らしを振り返るきっかけとなる。交流会では「未来は大人が守らなきゃ!」という吉田さんのメッセージを受け止め、改めて共有できたのではないかと思いました。(三)

講評:吉田 俊道氏

菌ちゃん野菜つくりの効果

 菌ちゃん野菜つくりは「すべてのものに役割がある」という考えがベースにあります。子ども達に命の大切さとを伝える時に、「世の中にいらないものなんてないんだよ、全部大切なんだよ」っていうことを、菌ちゃん野菜つくりを通じて伝えられることに先生が気づいたんですね。久留米の方では小学校で結構広まっています。この地球にいらないものなんてない。ぜ〜んぶ意味があってそれぞれ助け合ったり、ときにはケンカすることもありますが、折り合いをつけて生きてるんですね。

菌ちゃん野菜つくりにはもう1つ大事な目的がある

 それはこの社会をかえること!あと一年と数ヶ月の間に何もしなかったら、もう取り返しのつかないところまで来そうだってこと、気候変動はどうもCO2のせいだ、ということをみんな気付き始めてます。スェーデンではグレタさんを筆頭に毎週金曜日に子どもたちがストライキをする。「将来のために勉強しろよ!と言っても子どもたちは「えっ?私たち将来あるんですか?」って。

 なんでCO2がこんなに増えたか。原因は農業なんです。昔は地球の表面にはいっぱい生き物がいた、それが炭素です。残念なことに今は除草剤や化学肥料、農薬や土壌殺菌剤をかけたりして土が痩せどんどん砂漠化して、炭素がCO2を固定化(※)できなくなっている。それがこの温暖化の原因の4割くらいと言われています。昔の農業は、自然界をうまく活用していたね。土の中は微生物だらけになって、虫も増え、小動物も増えて…それで温暖化の4割は解決できるんですよ。

 そして、あとの6割の原因は石油。石油が地球温暖化を作ったと言われていますが、それをたて直すことができるのも実は農業なんです。FAO(国連食糧農業機関)は炭を畑に入れれば、世界中のCO2を回収できることをすでに発表しています。そうすることで理論上は5年未満で地球温暖化は止まるってわかっている。さらに発酵力が強まって、いろんな菌が入ってくる。微生物と共生するこの「菌ちゃん野菜つくり」が世界中に広がったら、CO2問題はかなり解決できるってことを、子どもたちに教えてください。

 「循環型共生社会」と言いながら、今は循環も共生もない。このまま未来がなくなっていくかもしれない。そんな中で地球のかけがえのない生き物たちの役割をもう一回考え直してみる。教えるのではなくて子どもと一緒に考えることができたら、子どもたちが大人になった時に、今の社会の矛盾に気付いて、社会を変えていく人たちになると思ってます。未来は私たちが守るしかないんですね。   (文責・にらめっこ)

※炭素固定(たんそこてい、英: carbon fixation)とは、植物や一部の微生物が空気中から取り込んだ二酸化炭素(CO2)を炭素化合物として留めておく機能のこと。 この機能を利用して、大気中の二酸化炭素を削減することが考えられている。 同化反応のひとつ。


vol.193 菌ちゃん野菜応援団 vol.14

 先日、「菌ちゃん野菜応援団 東海支部」と「つくろ!の会」の共催で2日にわたりちょっと大きなイベントを開催しました。お越しいただいた方も多かったと思います、本当にありがとうございました。2日目のイベントのなかで講師の方が二人とも「このまま何も手を打たなければ地球環境は1年半で手がつけられなくなる、というのが世界の公式発表です」とはっきり言われました。
 ではそのために私たちが何ができるかというと、一番簡単なのが大地を微生物でいっぱいにすること、という話をされました。農地から微生物がいなくなったが為に二酸化炭素が吸着されなくなり、地球温暖化が加速した。では農地をもう一度微生物でいっぱいにすればいい。そのためのノウハウは菌ちゃん野菜作りのなかにすべてある!と力強く仰ってました。それを受けて各地で人が立ち上がり始めました。

 ある地域では「では、はじめの一歩として耕作放棄地に草を入れよう!そこで野菜を作って地域活性化もしちゃおう!」という動きがおきました。
つくろ!の会に要請が来たので、早速大量の草を畑に運びみんなで畝に下ろして土をかけてマルチを張って。ちゃーんとおまじないもしましたよ。この畝はすこしづつ増やして春には野菜を植え付けます。

 耕作放棄されていた土地に微生物が増え、春からは野菜の命が育まれる。それが私たちの地球を救い、地域の活性化にもつながる。
こんなわくわくすることがあるでしょうかー!!!

みなさんもぜひ、ご自分の手の届く範囲でやってみませんか??


vol.193 半農半X vol.34

 10月半ば、台湾・高雄の美濃(メイノン)という美しいまちから綾部訪問がありました。大型バスで約30名、縁あって、わが村を訪ねてくださったのでした。里山ねっと・あやべがおこなってきた「綾部里山交流大学」では、都会からの参加者と、「里山・村散策」をおこなっていて、とても好評です。今回、台湾の一行をお連れしたところ、大変喜んでくださいました。季節はちょうど秋のいい季節です。たくさんの質問をいただいたなかで、特に印象的だったのは、「たくさん柿が生っていますね。なぜ柿をとらないのですか?もったいないです」というものです。昔は日本でも柿をたくさんとっていたけれど、いつしかあまり食さないようになってしまいました。柿は「眠れる地域資源」の最たるもののような気がしています。活かすアイデアをみんなで出し合えたらいいですね。

お地蔵様と一本檜

 子どものころから村にある「お地蔵様と一本檜」の風景にひかれてきました。15年ぶりにUターンしたとき、都会の友を連れてきたら、とても気に入ってくれました。村人にとってもここはこころの風景です。都会の人も村人もみんな好きな風景というのがあるのですね。この地は昔の塚が多くて、「八塚」という地名です。すこし先には産土の神社があり、田んぼの中には、古墳がいくつか現存し、お地蔵さまもあります。それらを結ぶラインの先には、その昔、行基が霊気を感じて寺を創建したといわれる地もあります。それらが一直線に並ぶのです。私はここを村のパワースポットと呼んでいます。ほんとうに何気ない村
の風景ですが、もしかしたらここはすごい場所かもしれません。ときどき、里山散策で都会の方をお連れし、喜んでもらっています。

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塩見直紀(しおみなおき)半農半X研究所代表
1965年、京都府綾部市生まれ。20年前から「半農半X(エックス=天職)」コンセプトを提唱。半農半X本は翻訳されて、台湾、中国、韓国にもひろがる。著書に『半農半Xという生き方 実践編』など。

※半農半Xとは・・・半農は環境問題、半Xは天職問題(どう生きるか)を背景と する。持続可能な農のある小さな暮らしをベースに、天与の才を社会に活かす生き方、暮らし方。ex.半農半漁、半農半大工、半農半看護師、半農半カフェ、 半農半絵描き、半農半歌手、半農半鍼灸師、半農半カメラマンなどなど。


vol.193 未来に続く暮しの学びPrt-34

オーストラリアの山火事で感じること。

異常に長引く“乾期”に猛威を振るう山火事

 この6ヶ月間、まとまった雨が降っていないところへ、山火事が発生しています。新聞やニュースでご存知の方も多いと思いますが、かなり広範囲でいまだに燃え続けています。
ここバイロンベイは亜熱帯気候なので、熱帯雨林が国立公園として守られています。でもこの過激な乾期のおかげで、熱帯雨林でも乾燥しすぎて火事が発生するほど。各地域では、一時避難警告がだされ、家から離れなければいけない家族もたくさんいました。バイロンベイでは節水と、水量使用制限などの規制がだされ、市内に住んでいる人たちも、節水を強いられています。私たちの土地では、雨水を集めてまかなう仕組みなので、完全に水不足になり、4日ほど断水状態が続きました。いまは、地下水を汲み上げて、施設内の水はまかなえるようになりました。このような異常事態を経験すると、あらためて”水” がどれだけ自分たちの生活に関わっているかを実感します。自分だけではなく、この国全体で、体験しているようです。

 全ての生き物が生きる上で、最も重要な水。だから、細かな部分までにも神経を使って常に「命を育む水」を意識して、無駄なく使いたいもの。いやそうしなければいけない。危機をとおしてしか、学べない人間の未熟さを感じながらも、これをきっかけに、水に対しての意識が高まり、水は人間だけのものではないという意識も伝わるといいなと思います。

 樹齢を重ねた木々、食卓を潤してくれる畑の野菜や植物、動物、爬虫類、昆虫類などなど生あるものには欠かせないものであり、あらゆる生き物と水を共有しているのだという意識が大事。日常生活もそんな思いで水を使えるようになるといいなと思います。
 火事は少しづつ収まってきていますが、まだまだ目が離せない状況です。収束に向けてこの地域では、レインダンスを呼びかけて、みんなの意識が雨を呼ぶことに集中しています。
雨期はもうすぐの、、、はず。。。動物も、人間も、植物も、みんな雨を待っている。

自然の猛威になすすべもなく…私たちもその自然の一部。


vol.193 夢か悪夢かリニアが通る!vol.22

「水枯れ」経験した掛川

 南アルプスを愛した山岳写真家、白籏史朗さんが11月30日、86歳でなくなりました。5年前の2014年9月、白籏さんがリニア中央新幹線建設に反対する集会で講演する様子が動画投稿サイトYouTubeで公開されています。白籏さんは「気持ちが非常に落ち着く、包み込んでくれるような山地」と南アルプスの魅力を語り、リニア南アルプストンネル計画について、「トンネルを掘るということで、地下水の流路がどのように変わるかということが非常に心配。森林に相当大きな被害が出るのではないかと思います」と警鐘を鳴らしています。「何か工事すると金が絡む。金が絡むとつい巻かれてしまう人もいる。それによって自然は荒れ、地下水は枯れ、生物は減ってしまう。悪循環なんですね」。その言葉は、長年にわたり山々の襞を分け入って歩き続けた白籏さんの実感だったのでしょう。   井澤宏明・ジャーナリスト

60万人の生活用水

「一番頼りになるのは、水を利用している方々に『命の水』だと声を挙げていただくこと」と訴える難波副知事

 静岡県掛川市で12月3日、「掛川の水について考えるシンポジウム」が開かれました。平日の昼間にもかかわらず会場の市生涯学習センター大ホールには約500人が詰めかけました。リニアの南アルプストンネル建設で大井川の水が減る問題を受けて、身近な水について考えてもらおうと市が主催したものです。


 長年、水不足に苦しんできた掛川市には県内の3分の1に当たる200以上の「ため池」が作られ、毎日の水くみが大変なことから、「水のない掛川には嫁をやるな」と言われたという悲しい歴史があるほど。現在、使用量の9割を大井川の水でまかなっていますが、大井川の渇水により、最近では昨年12月から今年5月まで147日間も節水対策を行いました。
 同市には苦い経験があります。新東名高速道路の粟ヶ岳トンネル掘削工事で2000年5月、地域の水道の水源だった粟ヶ岳中腹の湧水が枯れてしまったのです。
 パネリストとして参加した富士東製茶農協の平井文男組合長は、年間収入の7、8割を得る「一番茶」シーズンに水が枯れ、製茶に必要な水を給水車で運んだこと、その後、中日本高速道路(ネクスコ中日本)の補償で上水道が整備された(水道料は30年分のみ補償)経緯を振り返り、こう語りかけました。

約60万人分の水をまかなう大井川。その影響範囲は広大だ(配布資料より)


 「お風呂のふたを開けて湯気が出てきたとき、今のカルキ臭がする水に最初は慣れることができなかった。本来のおいしい山の湧き水を飲んでみたいという思いがあります」
 ネクスコが工事前に、「水は枯れない」と地域の先輩たちに説明していたこと、水枯れ発生当初は、「因果関係は調べてみなければ分からない」となかなか話し合いにも応じなかったことを挙げ、「JR東海は(大井川の減水について)色々数字等を言っているが、本当にそれが正しいのか。(水枯れの経験があるので)信用できなくなっている」と訴えました。

「県民共有の財産」

平日にも関わらず多くの掛川市民が詰めかけた「掛川の水について考えるシンポジウム」

 基調講演を行った静岡県の難波喬司副知事は、JR東海が推計している大井川の毎秒2トンの減水量について、「大井川の水を利用している約60万人の生活用水がそっくりそのままなくなるということ」と解説。JR東海が「原則として、湧水の全量を大井川に流す」と表明したのは昨年10月、減水を公表してから5年後のことでした。
 ところが今年8月になって、「先進坑がつながるまでの工事期間中、山梨、長野両県へトンネル湧水が流出する」ことをJR東海は明らかにしました。静岡・山梨県境には地下水をたたえた「畑薙山断層」があることが分かっています。難波副知事は、映画「黒部の太陽」を例に挙げながら、「断層の水が枯れるまで出し切って、それで工事が再開になる。1年間ここから出た水は全部、山梨側に流れる。それでも大井川水系の水は減らないと言っている。まったく理解できない」とJR東海を批判、議論がこう着状態にあることを伝えました。
 さらに、「水循環基本法」などを紹介して、「トンネルで出る水はJRの水じゃない。県民共有の財産を、よそに流す権利はどこにもない。ここはどんなことがあっても我々は譲れない」と決意を述べ、利水者の応援を求めました。




vol.193 緊急特集 中村 哲さんを悼む

中村 哲 なかむら てつ
ペシャワール会現地代表。PMS総院長。1946年福岡市生まれ。九州大学医学部卒業。国内の病院勤務を経て、1984年パキスタン北西辺境州の州都ペシャワールに赴任。その後、東部アフガニスタンへも活動範囲を拡げ、ハンセン病や結核など貧困層に多い疾患の診療、農村復興のため水利事業に携わる。

なぜ、どうして……、
ペシャワール会の中村 哲医師が死去

 12月4日、アフガンで支援活動を30年以上行なってきたペシャワール会の中村哲さんが武装集団に銃撃され死去された。友人からのメールでそのことを知った私は、驚きととともにその事実が信じられなかった。政治、思想をこえてアフガンの現地で救援活動を行ってきた中村さんは、戦乱とは関係なく、現地の人々の尊敬と支援を集めて黙々と活動してきたのである。その中村さんが標的となり死去したのである。
 ペシャワール会は1983年に中村哲医師の活動を支援する目的で結成された日本の民間支援団体です。パキスタンのペシャワールから始まった医療活動はアフガニスタンにも拡大され、医療活動とともに生命の根源である「命の水」を求めて井戸掘り、カレーズ(伝統的な地下水路)の修復活動へと進展しました。また、アフガン戦争では空爆の下で食料援助を実施しました。
 2000年の大干ばつから続く干ばつの影響、戦乱による治安の悪化によってアフガンの国土は荒れ、多くの難民が生まれました。中村さんによれば、報道されるのは戦乱のようすばかりですが、アフガン荒廃の根本的な原因は継続する干ばつの影響です。当初行なっていた医療活動から、命の水を求めての飲料水源確保事業から(掘った井戸は現在1600)、「緑の大地」計画のもと2003年から砂漠化した大地を緑の農地にするために用水路の建設が始まりました。用水路によって荒廃した大地に緑がもどり、ふるさとに帰還した難民は約15万人と推定され、その水利事業によって現在約65万人の人たちの生活を支えています。
 そんなペシャワール会の活動を支えているのが約2万人(会員・寄付者)の日本人の真心です。民間による支援活動ですが、その活動はすでに国家的な事業といえるほどに成長しており、その活動の根源は現地の人たちと中村哲氏の強固な信頼関係にあります。当たり前のことですが、現地の人たちの思いにそった、アフガンの人たちのための支援活動です。いまだに戦乱は治まらず、治安悪化のアフガンにあって、用水路建設、農村復興が進むアフガン東部、クナール川流域は暗闇の中の光明です。医療活動から井戸掘り、そして「緑の大地」計画による用水路建設、農地の確保、「命の水」は「平和の水」となってアフガンの国土を潤す。ペシャワール会の活動はすでに30余年、武力によらない真の積極的平和主義を実践してきたのがペシャワール会、中村 哲医師でした。
 なぜ、どうして中村さんが狙われたのか、アフガン国内の混乱を狙った武装集団の正体、思惑が私にはまったく理解できません。ただただ驚きと悲しみでいっぱいです。日本に帰る中村さんの棺をガニ大統領が担ぐ報道写真を見て、アフガンの人たちとともに涙があふれてきました。
 08年にペシャワール会の現地スタッフであった伊藤和也さんが殺害される事件があったが、「私たちペシャワール会は、変わらずに事業を継続して、皆さんと苦楽を共に致したいと思います……皆さんの協力と要望がある限り、ペシャワール会の活動をやむことなく継続されることを誓い、弔辞と致します」と中村医師。
 中村さん死去という大きく深い悲しみを乗越え、今までの活動を変わらず継続していくことが残された私たちのつとめであろう……ただただ合掌。

(新年になったら、中村哲医師追悼の集いとペシャワール会の報告会を計画したいと思っています)  
黒野こうき(岐阜ペシャワール会を応援する会・代表)

記憶に残る中村さんのことば

「憤りと悲しみを友好と平和への意志に変え、今後も力を尽くすこと誓う」
伊藤和也さん(ペシャワール会スタッフ)が2008年に殺害された時の追悼の言葉。

「100の診療所より1本の用水路を」

「誰もがそこへ行かぬから、我々がゆく。
 誰もしないから、我々がする」

「戦争協力が国際的貢献とは言語道断である」

「9条がリアルで大きな力だったという現実」

2016年5月27日 各務原市民会館大ホールにて ペシャワール会は、パキスタンでの医療活動に取り組んでいた医師の中村 哲を支援するために1983年に結成された非政府組織。



vol.193 プレゼントコーナー

1- あなたは、2020年をどんな一年にしますか?
どんな一年を送るのか、あなたの決意を聞かせてね!
2- 気になるにらめっこ紙面での広告
3- 気に入った記事、気に入らない記事のタイトル1つ・その理由もお書きください。
4- ご希望のプレゼント名 (第1希望・第2希望)
 ※A、B、Dは編集室まで受け取りに来られる方。
5- 本紙をどこで入手されましたか?
6- 氏名、年齢、住所、郵便番号、電話番号、  家族構成

プレゼントご希望の方は

ハガキまたはe-mailで、上記のアンケートを
1〜6までご記入の上、編集部・プレゼント係りまでお送りください。
〆切:2020年1月27日 当日消印有効。

宛先
〒504-0855 各務原市蘇原新栄町3-15
e-mail: info@niramekko.com
※お寄せいただいた個人情報は、本紙プレゼントの発送に限り、 使用させていただきます。
※当選の発表は発送をもって代えさせていただきます。

A.九条ボールペン  

にらめっこより…5名様

日本が戦争を永久に放棄し戦力を保持しないと定めた第9条を含む日本国憲法。改憲に積極的な今の日本の政権。あなたは改憲に賛成?反対?どう思う?難しいと構えないで、身近な人とどんどん対話してみて。まずはこのボールペンでネタ振りってどうでしょう。にらめっこ編集室でお受け取りください。

B.ペアコーヒーカップ

にらめっこより…1名様

葉っぱがモチーフの藍色の柄がシックでおしゃれなペアのコーヒーカップ。寒い日には温か〜いコーヒーでほっとひと息、ブレイクタイム。そんなひとときをあなたは誰と過ごしますか?にらめっこ編集室でお受け取りください。

C.CINEX映画招待券

シネックス様より…ペア3組様

優れた映画作品は時代考証などもしっかり、まるで映画作品の時代へタイムスリップしているかのよう。観ているうちに主人公とその時代を共にする、そんな一体感は映画館ならではかも。写真は「カツベン!」より。招待券は柳ヶ瀬のCINEXでご利用になれます。

D.アルベルベッロのマグネット

にらめっこより…2名様

南イタリア、プーリア州アルベロベッロには、石と漆喰で作られたトゥルッリと呼ばれる伝統的な家屋が多く残ることで知られています。世界遺産として登録もされているこの町をデザインした小ぶりのマグネットです。サイズは約5センチ×7センチ。にらめっこ編集室でお受け取りください。


vol.192  土のある暮し

日々の暮らしの中で「循環生活」をスタート!と題して、前号は、台所→堆肥→野菜→台所…を実現する「ダンボールコンポスト」を紹介しました。今回は、「土の循環」について。そこには、私たちの暮らしに欠かせない大切な世界がありました。

大事なものは、土から生まれる。

土は、私たちの命を支えている
 人が摂取している食べ物の99.7%は土から育ったもの(※国連食糧農業機構・FAOのデータより)であることを、ご存じですか。動物はもちろん、昆虫や微生物に至るまで、食べ物を得る場所として、生きていくためのすみかとして、土は生き物にとって欠かせない存在です。土は、水を循環させていることを忘れてはなりません。私たちをふくむ多様な命は、土から始まる食物連鎖に支えられて今日も生きています。

土づくりは、自然が教えてくれる
 人が手を加えていない森の中では、土と植物がバランスを保ちつつ、持続的な仕組みを作っています。古くから伝わる「土づくりは自然から学ぶ」という言葉にうなづけます。しかし、農業での主な関心事は肥料や農薬などの散布について、ではないでしょうか。農薬や化学肥料は作物にとって、農作業者にとって都合のいいものでしょうが、結果的には土を劣化させてしまいます。リビングソイル研究所では、「土の劣化を抑制して再生させる」ことを提唱しています。

土の再生が、世界を変える
 “土壌を再生すれば、発展途上国を悩ます飢餓だけでなく、水不足や地球温暖化に対処する道も開けてくる”ナショナルジオグラフィック 2008年9月号 『食を支える土壌を救え』では、土壌を再生することで、
「▪気候変動を解決▪生物多様性の回復▪食べ物の質の向上▪飢餓・貧困を解決▪有害・汚染物質の分解▪ゴミの削減▪水の保全・水質向上▪健康向上・医療費削減▪植生の回復・植物の生育促進▪酸性雨などからの緩衝▪空気の質が向上▪海や湖など、生物の環境を快適に、」なると述べ、さらに、
 「農地や身近な環境で土を再生できれば、現代社会が抱える多くの課題を解決へと導くことが可能です。土の機能は、植物を育てたり、支えることだけではありません。水の循環サイクルでは大切な機能を果たしており、土に侵入した有害物質を分解する他、酸性雨の影響を緩和。河川や湖、海の生態系にすぐれた効果を発揮します。また、草木や家畜の排泄物、生ゴミを適切な状態で土にもどすことによってゴミが減り、土は肥沃になっていきます。土は、私たち人間の食べ物だけでなく、バクテリアや菌類などの微生物にも作用するため、生物の多様性が幅広いレベルで守られることになるのです。飢餓や貧困に苦しむ地域で土が再生されると、作物の収穫量が増え、水や燃料などに用いる樹木の生育もよ

くなって食べ物の質や栄養価の向上に影響を与えます。「土の再生」を社会の仕組みに織り込んでいくことは、さまざまな課題の解決につながっていくのです。」と、述べています。

土の再生って?
 土は生きている—土壌動物が育む土壌環境 横浜国立大学金子信博氏の研究によると、土の中の微生物、土壌動物の関係性が土をより良い状態にしていくとのこと。地球は土の惑星!土は命の源。私たちの食は「土の力」に支えられています。しかもその土を耕している微生物、土壌生物は土に循環をもたらす働きをしています。その一部をご紹介します。

土の惑星
 よく「土は生きている」と言われます。確かに土には驚くほど多くの、そして多様な生きものが暮らしています。その顔ぶれは、細菌・カビなどの微生物から、センチュウ・トビムシ・ササラダニなどの小型の土壌動物、ミミズやヤスデといった大型の土壌動物までさまざま。そのほとんどが私たちにははっきり見えない大きさですが、肉眼で見える動物に限ってみても、地上の動物の数倍から10倍程度の量の動物が、地表からせいぜい50cmほどの深さの土壌の中に生息しています。宇宙の中で地球を特徴付けるものはたくさんありますが、陸地が生物に満ちた土壌で覆われているという点も地球の大きな特徴です。

ミミズやヤスデが炭素を溜める
 土壌食で知られているミミズやヤスデの糞を調べると、土壌よりも炭素濃度が高くなっています。これは有機物と土壌を混ぜて食べるため。食べられた有機物は消化管のなかで土壌と十分混ざりあい、粘土鉱物と結合します。糞として排泄された窒素は、微生物の活動によってアンモニア態から硝酸態に変化します。このうちの一部はガスとなって大気に戻りますが、硝酸態窒素は植物に利用されやすい。一方、糞のなかの炭素は土壌に塗り込められているので、酸

素が供給されにくい糞内部にあり分解が抑制される。植物の側から見ると、必要な栄養塩はめぐり、植物にとって大気から簡単に得られる炭素は土壌に蓄積されるわけで、生育にプラスに働くことになる。大気の二酸化炭素を土壌に溜めるという点で、緑の地球は、茶色の土壌が支えていると言ってもよいと思います。

土壌動物が引き出す土の働き
 土壌が機能するには、土壌中に微生物だけでなく、土壌動物も含んださまざまな生物グループ(機能群)が揃い、たがいにゆるやかな共生関係を保っていることが重要です。単なる種の多様性(種数)ではなく、このような生物グループ(機能群)の多様性に注目することが必要だと思われます。

 近年、微生物の顔ぶれは世界中の土壌で驚くほど似ていることが分かってきました。それに対して土壌動物は環境の影響を受けやすく、場所ごとに顔ぶれが大きく異なっています。それゆえ、微生物の活動への影響も場所によって異なり、土壌機能も異なってきます。人間の開発によって土壌動物がいなくなり、炭素貯留の働きを失った農地はその一例を示しています。
 農業の開始いらい、人間がある意味、ひどい扱いをしてきた土壌が依然として働いてくれるしくみの基盤には、土壌生物の多様性があります。土壌の働きは多様な生物によって引き出されているという意味で、土はやはり「生きている」のです。


vol.192 虫はなんのためにいる?

虫たちは地球を豊かにするためにかけがえのない役割を担っています。ここでは特に畑づくりという観点から、大切だと思える3つの役割をご紹介します。

① 花粉の運び役
 植物にきれいな花が咲くのは蜂などの昆虫を呼び寄せるため。彼らに花粉を運んでもらって、子孫を残す手助けをしてもらっています。蚊やハエの仲間にも花粉を運ぶものがいるそうです。野菜も同じく、特にイチゴやカボチャのような野菜は虫が受粉してくれることで、たくさん実がなるようになります。

② 生物の死骸を分解する
 虫たちは微生物と協力して、枯葉や生き物の死骸を細かく分解していきます。そして新しく土として再合成するサイクルを繰り返すことで、土は豊かになっていきます。

③ 全体のバランスを調整する
 自然界は、特定の栄養素や微生物・植物・虫などが増えすぎたり、減りすぎたりしないようにバランスが取られる働きが自動的に行われています。畑にいる虫も同じで、自然全体で見るとこの働きに基づいて動いています。

 以上3つの役割をご紹介しましたが、結局これらをまとめると「虫は生態系を豊かにしようとしている」と言えます。

 虫は生態系や土を豊かにしようとしていると説明しましたが、畑の害虫も実は同じ目的を持っています。例えば畑の中で“野菜という植物だけ”に、集中的に“肥料”という形で栄養をあげた場合、これはその土地全体から見ると非常にアンバランスな状態です。そこで、自然のバランス調整機能が働きます。つまり、害虫が余分な栄養を与えられている野菜を食べに来て数が増えます。そしてその虫がその畑にフンを落として、その土地全体に栄養素をバラまこうとするわけです。
 しばらくするとその増えた害虫は、その天敵に食べられてしまいます。今度は天敵が個体数を増やすことで、害虫は自然と減っていきます。このように全体で見ると自然はその土地全体に栄養素を分散して、その土地と生態系全体が豊かになるような働きが起こっているのです。

根本的に害虫の被害を減らすには
 虫や自然界の目的は「生態系(土)を豊かにする」ことであり、人間の目的は「野菜を収穫する」ことです。このズレがある限り、害虫の被害は根本的には解決することはできず、対症療法に追われることになります。それなら、虫たちの目的と人間の目的を一致させてはどうでしょうか?
 視点を変えると、根本的な解決の道が見えて来ます。具体的には以下の4つの方法が考えられます。

1)土の地力を高める
 害虫の問題にしても根本的には土づくりがとても大切になります。土の中の栄養素や微生物のアンバランスが起きていると、その調整役として虫が来るリスクが高まるので、そのバランスをとりながら地力、「その土が植物を育む力」をつけていく必要があります。
 虫たちがしようとしている役割をこちらで先にやってしまうことで、彼らがくる必要性を最低限に留めることが出来ます。
 ただし注意点として、この地力を高める過程で、害虫が大量発生する可能性があることを十分に理解しておいてください。それまでバランスが崩れていた場所であればあるほど、そのバランスを取り戻す働きが強く起こります。長い目で見ることが大切です。

2)害虫は全滅させない
 いくら憎き害虫といえども全滅させてしまうと、その天敵となる生き物もエサがなくなるので減ってしまいます。そして結果的にまたその害虫が増えやすい環境を作ってしまいます。多少食べられる程度は目をつむりましょう。

3)周囲の環境を整える
 例えばナメクジが多い畑の場合、いくらナメクジを駆除し続けても、その場所自体がジメジメしているような環境であればまたやってくるでしょう。ほとんどの野菜は日当たりがよく、風通しが良く、水はけが良い場所を好み、そういった環境を好む虫とも比較的相性が良いです。

4)効き目の強い肥料や農薬の使用を減らす
 即効性のある肥料や農薬ほど、生態系や栄養素のバランスを崩すリスクも高くなります。こういった資材に頼りすぎない手入れの仕方をしていきましょう。

害虫が発生した時の対処法
 あまりにも地力がなかったり、生態系のバランスが崩れてたりしている場合、あまり効果がない時もありますが、畑の生態系に副作用があまりない液剤などを用いて、虫除けを行うものです。基本的には葉や茎に散布しますが、濃度が強すぎたり、散布しすぎると野菜が傷む可能性もあるので要注意。

○酢
 合成酢ではなく穀物の醸造酢が植物を傷めず、むしろ元気にする効果もあるとされているのでオススメ。ナメクジやアブラムシなどの様々な害虫の対策に使います。50〜100倍に薄めて使用します。焼酎を混ぜたり、唐辛子やニンニクなどを漬け込んだりしておくとより効果的です。

○木酢液
 木材を燃やした時に出る煙を冷やして液体にしたもので、ホームセンターなどでも売られています。センチュウやアブラムシなどの対策に用います。一般的には500〜1000倍に薄めて使いますが、商品によっても異なるのできちんと確認してからお使いください。

○捕殺する
 シンプルに捕まえて殺すという方法です。完全に殺すのではなく、半殺しにして体液を出させることで、それがその虫にとっての警戒信号となっており、その仲間が来にくなるとも言われています。
 例えば緑色のカメムシは強烈臭いを発しますが、あれも仲間に警戒を促すものです。畑にいるカメムシや他の害虫はこのような強い臭いを発しませんが、その体液が同じような役割を持っていると言われています。
このとき全ての虫を殺すとその反動で逆に増えるという現象が起こる場合がありますので、無理に全滅させようとせず必要最低限の捕殺で大丈夫です。

「世の中にいらないものなんてない」と熱く語る吉田俊道
さんの言葉が印象的です。詳しくは次ページで。


vol.192 土と虫と草と…

雑草は根から抜いちゃダメ!?

雑草を根から抜いていませんか?実は雑草の根を残して刈ることで、土が軟らかく栄養豊富になり、だんだん刈るのが楽な雑草が生えるようになるという不思議なことが起こるのです。      マイナビ農業「畑は小さな大自然」より

なぜ根っこから抜いてはいけないのか
 それは雑草を抜くたびに土が締まって硬くなっていくから。土が固くなると、固い土でも繁殖できる根の張りがとても強い雑草が生えて来やすくなります。つまり、根から抜くことを繰り返と、草取りがだんだん大変になるという悪循環に。

根の本来の役割
 植物の根の役割は、「土から栄養を吸うこと」ですが、「土を掘り進め、軟らかくすること」も重要な役割。すると、その植物自身も根を張りやすくなり、次の世代もそこで根を張ることができます。
 さらに、光合成で作った糖分を根から出して微生物を集め、彼らが住みやすい環境を土の中に作るという役割を持っています。つまり、土の中で微生物と植物がお互いに協力し合いながら、住みやすい土を作っているのです。それがまた、野菜が育ちやすい土の環境にもつながっていきます。
 枯れた後の植物の根は、微生物たちによって分解され、土の栄養となり、根があった部分は土の中でトンネルのように空洞として残るので、土がフカフカになっていくのです。根から抜いてしまうとこの空洞は生まれないので、土が少しずつ締まっていきます。

土の環境が変わると、生える雑草も変わる
 このように植物たちは根を使って、微生物たちと協力して土の中に住みやすい環境を作っているのですが、より住みやすい環境になってくると、実は生える雑草が変わってきます。これはちょっと難しい言葉で説明すると「植生の遷移」という現象。耕作放棄地も最初は小さな雑草が生えますが、何十年と放っておくと、だんだんと森になっていくというのと同じような現象です。つまり雑草の根っこを残して切ることで、土がフカフカになり、フカフカの土を好む微生物や雑草が増えます。このような環境で生える雑草は、根の張りが浅く、背が低く、柔らかいので草刈りするのにも楽ですし、野菜の生育の邪魔になりません。
 耕すことでも土はフカフカになったように思えますが、それは一時的なもの。根本的にそして長期的にフカフカな状態を保つためには、根っこを残した草刈りが必要になります。またこれに合わせて、”雑草・落ち葉マルチ”を行うと3〜4ヶ月でかなりフカフカで栄養豊富な土ができていきます。

お勧めする草刈りの仕方
・確実に根元の下を切る
基本は、根を残して「根元より下」を刈ること。鎌を少し土に入れて根をできるだけ残すように刈っていくことが大事なポイント。
・地下茎が生えなくなる土づくり
土がフカフカで豊かな状態になれば、自然と地下茎の植物は減っていきます。土自体が硬くて痩せている状態であれば、また繰り返し地下茎の植物が生えるようになってしまいます。

世の中にいらないものなんてない。害虫も雑草も自分の場所で自分の役割を果たしているだけだった。NPO法人大地といのちの会 理事長 吉田俊道

なぜおいしい野菜には虫がつかなくなるのか? 少し理論的に説明しましょう。

 有機物(生き物の死体)の分解、合成過程には発酵と腐敗の二つの道があります。そして関与している生物がそれぞれにいるわけです。この二つの道のどちらにも関与できる生物はあまりいません。
 私たち人間は、発酵の世界で生命を食べつないでいます。逆に、うじ虫や害虫たちは、腐敗している食べ物や腐敗しそうな食べ物を食べて、栄養を吸収しています。
 生き物は腐敗か発酵かの、どちらかの世界に分かれて生きているのです。
 畑によく現れるフトミミズは腐敗の生き物です。空気の少ない固い土や、微妙に腐敗臭のする土にたくさん発生し、腐敗しかけた有機物を食べて暮らしています。
 モグラはそんなフトミミズを食べるために、腐敗臭のする土のほうへ動き回ります。つまり、モグラの害が多いということは、土が腐敗に傾きすぎているということを意味しているのです。
 しかし、フトミミズは腐敗した土を発酵の世界に変えてくれます。
そしてモグラも、結果的にたくさんの空気を土の中に運び、より早く土の状態を発酵に戻してくれます。
 4年前まで、土の中を荒らして野菜を枯らすモグラが私はとても憎かったです。それが今では「モグラさん、ありがとう」になりました。発酵している土の中はミミズもモグラも少なくなります。土が完全に発酵状態になると、住む世界が違うので自然といなくなるのです。私たちが農業を営む上で敵と考えてきた病害虫は、敵ではなく、ただ自分の場所で自分の役割を果たしていただけだったのです。

雑草も同じです。草を取るから、土はいつまで経っても団粒構造が発達せず、いよいよゴウブシやスズメノカタビラなどの引き抜きにくい草だらけになるのです。
 反対に、よその草まで持ち込んでたっぷり土に入れると、ふかふかで微生物たっぷりの発酵型土壌に変わります。

 ナズナやハコベなどの抜きやすい双子葉類の草だけ生えるようになり、野菜は後味がよくなり、病害虫も発生しなくなります。
 雑草をできるだけ小さいうちから除草しようとする農家は多いです。ですが、ためしに運動場や固い土の畑によく生えているスズメノカタビラを、思い切って大量に畑に入れてみてほしいです。数ケ月すると、もともとタネもなかった双子葉類の草が生えてきます。

 今、中学校では生命の循環と生物の育成を習うことになっています。しかし、どれだけ教室で知識を学ばせても、校舎の周りで育っている雑草を捨ててしまっています。そんな中、福岡教育大学では雑草を運動場のような固い土に入れて、数か月で土をふかふかに変える実験を行っています。そこで育てた野菜が元気でおいしい「菌ちゃん野菜」になるかどうかを検証しています。厄介者でしかなかった校庭や校舎の周りの雑草が循環して最高の土を作り、とってもおいしい野菜が生まれる。そして、その野菜を育てた人がありがたくいただく。そのとき、「世の中の生き物はすべて自分とつながっている。世の中にいらないものなんてなかったんだ」ということを初めて実感できるのだと思います。

(熊本市で行われた「こどもの給食を考える会くまもと」主催の講演より    みやざき中央新聞

「食べることを通して、 生きることを考えよう!」

11月26日(火)吉田俊道さんと船越康弘さんの対談がありますよ。詳しくは「こころとからだをはぐくむシンポジウム」で検索!


vol.192 ぎむきょーるーむ 学校に行きたくない 

「お腹が痛い」「頭が痛い」「行きたいけど、宿題が終わってない…」「もう、死んだほうがいい!」
学校に行き渋る子どもの言葉も姿もいろいろ。
「行きたくない」と言葉にできる子もいれば、体の不調を訴える子も。中には暴言や暴力など「荒れる」というかたちで表現する子もいます。
「学校に行くのが辛い」のはわかった。
でも、どうして?
学校でなにかあったの?
ひょっとして、いじめられていたとか…。
「学校に行きたくない」子どもの声として聞こえてくるのは…

【低学年の場合】 「体育がいや」「給食を早く食べられない」「先生がこわい」「○○ちゃんが遊んでくれなくなった」「ぼく(わたし)が怒られてる気がする」「みんなできるのに、ぼく(わたし)だけできない」「一人でいたいのに、みんなと遊びなさいといわれる」 etc

【高学年から中学生の場合】「疲れる」「先生がぼく(わたし)の意見を聞いてくれない」「勉強がわかんないからだるい」「テストがあると気分が重くなる」「部活がきつい」「なんとなく…」「クラスでいじめがあるのがつらい」「友だちにハブられた」「LINEで排除された」「もうこれ以上がんばれない」 etc

子どもは、期待に応えたい、大人が安心できる言葉はなにかと、がんばってそこにあわせようとすることがあります。
自分でもそうしてよいかわからなくても、その場しのぎのことをいってみたりします。
学校のことは親にも先生にもなにも話してくれないことも。
大人は不安にかられてあれこれ問いたい。
けれど、気持ちをこらえて、そっとしておく時間も必要です。

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学校に行きたくない理由を考えるときに

答える人:山下 耕平(NPO法人フォロ事務局長)

 「学校に行けない原因はなんですか?」と親や先生が聞く場合、「その原因を潰せば行くようになる」と考えておられることが、ままあります。でも、そういう見方では、ボタンをかけちがえてしまうことが多いように思います。
 

きっかけはあるかもしれないけど、それは自分でもよくわからないとか、いろいろなことが重なってそうなったということのほうが多いのではないでしょうか。もちろん、はっきりとこれが原因という場合もありますけど。
 子どもにとっては「これが原因だから、ここをこうしよう」とやっていくとしんどい気がします。
 理由はともあれ、子どもが学校に行けないというとき、あまりそれをなんとかしようと思わずに、まずは「休むこと」を受けとめられたらいいんだろうと思います。だけど、初期ほど、それは難しいですよね。
 ぼくの見てきた経験からいうと、この時期にあまり親子でがんばりすぎて、それでも「行けない」となってしまうと、苦しみや傷を深めてしまうことが多い気がします。
 できれば、初期の段階から、がんばってどうにかしようということは少ないほうがいいのかなと思います。
 とくに学校の先生は、原因を探そうとしてしまいがちです。でも、それは「わからない」ものであって、あまり行けない原因にフォーカスしないほうがいいとぼくは思います。

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対談 「いい親」の対応をしなくても

岡崎 子どもが学校に行かないと相談してくる親御さんのなかには、「子どもに『学校に行かなくてもいい』っていわなきゃならないんですよね?」と聞いてくる人もけっこういます。ボクが「それはそうじゃないんじゃない?だって行ってほしいんでしょう?だったらそういったほうがいいんじゃない?」というと、「でも、そういったら子どもを抑圧するから」と。「いや、でもお母さんが『行かなくていいよ』といって顔をひきつらせてる抑圧のほうが強いから、それはいっていいと思うよ」と話すんですが、「そりゃあ行ってほしいけど、あなたがしんどいのに無理して行くことはないのよ」というくらいで。
山下 これはもう不登校の鉄板ネタみたいになっていますけど、昔から子どもたちがよくいうのは、「『学校に行かなくてもいいよ』といっているお母さんの目が笑っていない」(苦笑)。

里中 私も最初はそうだったと思います。
山下 階段をのぼる足音とか、ドアを開けたときの音とか、ちょっとした所作から子どもが感じとっているメッセージがある。それと言葉が食いちがってしまうと親も子どもも逆に苦しい面はあると思うんですよね。
里中 親は「いい親」をしなくちゃいけないって、すごく思っているんですよね。だから子どもにいってはいけないと思ったら、それをすごくがんばろうとしてしまう。「無理しなくていいんじゃない?」って親の会で私はよく話しますが、「この程度の親です」というのを子どもにも見せた方が楽なつきあい方ができると思うんです。
 だけど、親は子どもにとって権力がすごくある人だから、それをふりかざすことをしてしまうのはまずいですよね。立場が強いということは自覚して、これまでにしてまずかったことは、これからはしないようにすればいいんです。
 親自身が「こうできなかった」と自分をすごく否定してしまうと、子どものほうも否定感が強くなってしまうので、それよりもこれからどうしていきたいのかを親も子もそれぞれが考える、というような感じになれるといいのかなと思います。そこにたどり着くまでがなかなか難しいですが。

対談した人
NPO法人フォロ スタッフ:里中 和子、山下 耕平
お・は編集人:小学校教員 岡崎 勝

NPO法人フォロ …2001年、大阪で不登校の子どもを持つ親たちを中心に設立され、フリースクール、親のつながり、相談事業、なるには(18歳以上の居場所)の4つの活動を展開。


vol.192 しょうがいをみつめる vol.3

学びのユニバーサルデザイン

 私が考えるこれからの教育は、通常学級、特別支援学級・学校という垣根をなくして、共に安心して暮らせるクラスです。そのためには、「学びのユニバーサルデザイン」という視点が非常に重要になってくると考えます。

 始まりは、通常学級における特別支援教育において、授業や学習環境をユニバーサルデザインの視点で捉えようという動きで、10年くらい前から取り入れられている視点です。何をもってユニバーサルデザインとするのかの定義は現時点では統一したものは定まっていません。
 『学びのユニバーサルデザイン』を提唱している1つの団体として、米国の研究団体C A S T (Center for Applied Special Technology)があります。
 C A S T は障害のある児童生徒をいかにして通常学級に適応させるのかという問題を追求していました。追求すればするほど「障害は誰にあるのか?」と自問することに。そこから、90年代に「障害は学習者ではなく、教育カリキュラムの側にあるのではないか」という視点が生まれたそうです。

 私が10数年前、勤務していた小学校の通常学級では、視覚に敏感な子どもたちのため、教室全面にできるだけ掲示物を貼らない配慮がされ始めました。これまでは時間割や係り活動表、お便りなどが掲示されていました。そういった掲示物を教室背面に移動することで、気が散らずに集中できるとの理由からでした。視覚に敏感な子どもだけでなく、多くの子どもから教室がすっきりした、集中しやすいという意見が出されました。
 また、特別支援学級では、授業で使う印字された教科書が読めない子どもに対して、この子はどうして読めないのか、視覚障害か、知的障害か、読字障害かもしれないと、人に当てていた視点で教材研究がされていました。教科書が読めないのなら、教科書を読み上げるCDを使ってみよう、点字教科書はどうかな、と様々な媒体の中から本人が適したものを選んでいく。その子に障害があるから学べないのではなく、学びの手段が、印字された教科書1つに絞られているために学べないという視点の切り替えが『学びのユニバーサルデザイン』の第一歩でなのです。
 また「学びのユニバーサルデザイン」では、「学びのエキスパート(学ぶ意欲と目的を持ち、学び方がわかり、方略的に学ぶことができる学習者)」を育てることを目指しています。

 これまでの教師や学校教育の役割は、「学習者に知識を授ける」ことでした。授業とは、字のごとく「知識を授ける業」なんですね。しかし、これからの時代は、「学びのプロセス自体を提供する」ことが重要になってくると考えます。来年から施行される新学習指導要領の目指すところとも重なるのだと思います。

 C A S T では、『学びのユニバーサルデザイン』の根拠として、脳科学が基盤にあります。親子でも、双子でも、脳は2つとして同じものは存在しません。だから、学習プロセスも一人ひとり異なるという前提において、学びのための多様な手段の必要性が裏付けられています。

 『学びのユニバーサルデザイン』という言葉を私が知ったのは、つい最近です。このように名付けられていなくとも、実践している教師・学校はあるでしょうし、まだこれからというところもあるかもしれません。現時点では一教師の裁量に寄るものが大きいのかもしれませんね。


vol.192  niramekko Gallery「やさいスタンプで」

作者:さら

さら:ふふ〜ん♩ひらふぅはぁゆぅ〜♬、さらちゃんはいつも小さな声でハナウタのような歌を口ずさみながら、ペンや筆を走らせます。その集中力にいつも感心します。特に、粘土の作品つくりは気迫さえ感じます。今は、造形やドローイングを楽しんでいる段階ですが、実はそこに、ものつくりの原点があります。成長していく彼女の今後が楽しみです。


vol.192 えんぴつ・カフェ

えんぴつカフェ

11月8日(金)13:00~15:00・2020年3月7日(土)14:00~16:00 各務原市産業文化センター2階 第1会議室(予定)

★みんなでワイワイおしゃべりしながら、「ゼロの昇天」の書き込みを中心に。お茶とお菓子 付き。  (会場の都合により日程に変更が生じる場合があります。参加の際は必ずお電話にてご確認ください。)

人生これから!シンポジウム

2020年1月19日(日)14:00-16:00

各務原市那加福祉センター1階 集会室(予定)
参加無料

講演会「定年、そして10万時間の自由時間」
著者:上鵜瀬 孝志氏の講演会のあとは
いきいきシニアのシンポジウム

定年後にやりたいことは何ですか?

定年後はバイクを買ってツーリングに行きたい!
家族との時間を大切にしたい!
島に移住して自然と共に暮らしたい。
いつまで経っても現役で居続ける!
そんな意気込みが聞こえてきそうですが、東京海上日動あんしん生命がとったアンケートによると

5位/スポーツ 現役の間は忙しすぎてスポーツをする暇もないし、たまにある休みは家族サービスか寝て過ごすだけ・・・「いや、むしろ休日も働いてるから!!(怒)」という方も多い現状では確かに定年後にスポーツをやってみたいと思う方も多いでしょうね。(ゴルフ・テニス・ジム通いなどがトップ3)
4位/料理 一昔前までは「男子厨房に入らず」という言葉があるくらいでしたが、今は死語。男性、女性共に料理にはまってしまう人は多い。
3位/芸術 一口に「芸術」と行っても色々な種類があります。絵画はその内のひとつでしかありません。 例えば書道や陶芸は代表的な例でしょうし、お茶もそうですよね。少し趣向を変えればボトルシップなんかもそうですし、広い視点で言うとペットボトルで何か凄いものを作ってしまうのも芸術。
2位/働き続ける 「定年後の生活の安定の為」「ライフルスタイルが急激に変化するのを避ける為」「職場から頼まれたから」と、理由は様々ですが、定年後も再雇用という形で働き続けたいという人は多い。
1位/旅行 お金と時間さえあれば気軽に出来るので定年した人達に人気があるのもわかりますね。旅行の行き先として人気なのが温泉。

人生これからNOTE」参加者全員に進呈!(郵送)・薬膳料理のレシピ・ゆる体操のメニュー・歌うは脳活!・定年後の10万時間をどう過ごす?etc …など「えんぴつカフェ・スペシャル」をまとめた暮らしのヒント集。

申 込:人生これから!(当日参加もオーケー)
えんぴつカフェの問い合わせは NPO「人生これから!」
090-5638-7044(田辺)
090-7854-4561(三上)


vol.192 熱中世代 竹内 蘭さん

ひょうたん愛と地元愛が止まらない!

新しい風で養老の町を元気にする NPO法人ヨロスト  竹内 蘭さん(養老郡養老町)

 若い時に地元養老を離れ久しぶりに戻ってきた竹内さん。町に活気がなく、何か盛り上げたいと思い町を見ると唯一の特産であるひょうたんがあった。しかし栽培加工者の高齢化などから、途絶える寸前だった。なんとか繋げたい、それには自分もひょうたんを知ることと思い自分で栽培から加工までやり始めたのが8年前。それ以降、自らひょうたんをかぶり、ひょうたんマダムのキャラクターでひょうたんの魅力を広める活動、ひょうたんランプ作家と、まさしくひょうたんに囲まれた日々を送っている。
 栽培してみるといわゆる「いい形」のひょうたんを作るには栽培の過程で薬を使ったり、かなりの手入れが必要だった。苦労してできた実も、何百個と採れる中で本当にいいひょうたんは数個しかない。形の良くない物は商品化されず、コスト面の問題も見えて来た。
 「よくあるような、茶色くて房をつけて座布団に置く、という商品では、今後はそんなに売れないだろう。産業、文化として受け継がれていくには?特に若い人や子どもたちにアプローチするにはどうしたらいい?と模索しているうちに、すっかりひょうたんにはまって、瓢道に足を踏み入れた、という格好ですね。」と、ちゃめっけたっぷりに笑顔を見せる。
 地元で昔からひょうたんの栽培・加工をしていたおじいちゃんたちは、竹内さんのことを小さい時からよく知っている人たちでもあった。分からない事やコツを教えてもらえるベースはあった。

第42回全日本愛瓢会全国展示会での金賞受賞作品「ひょうたんランプ・ふくろう」。古代のものが好きで、アイヌのイメージで描いた。

「ただ最初にひょうたんを頭に冠ってやり始めたときには、あいつは何なんだって。(笑)ふざけているように見えたでしょうけど、私としては考えて考えた結果。ぱっと見てあれは何だ!って関心をもってもらうための作戦だったんです。その結果いろんなところに呼んでいただいたり、マスコミにも注目していただいて、それを足がかりに学校に行くこともできたので、我ながらいい作戦だったなと思います(笑)。」

 「ひょうたんの素晴らしさを語るにはきっと3時間くらいかかりますよ。まず、1点目には歴史の深さの面白さがあります。人類が一番最初に栽培を始めた植物のひとつと言われています。日本には縄文時代から、土器を焼く技術ができる前に、生活の用具である器として身近にあったんです。もうひとつは、アートの素材としての面白さ。木よりも柔らかくて加工が簡単なんですね。女性でも子どもでも比較的簡単に穴を開けたり、扱いやすいんです。転がったりしても割れませんし、とても軽いんです。このなんともいえない可愛らしい形にいろんな発想が湧いてきたり、素材としての面白さというのも魅力です。」

 養老町全部の小学校にひょうたんの苗を配ったり、春の植え付け、秋の収穫、冬に加工、と一年を通じての学習として学校へ教えにいったり。そんな活動を地道に続け、今や養老町では、「ひょうたん、やったことあるよ」という子がほとんどというまでになった。
 「ワークなどで初めてみた!とか面白かった!と言ってもらえるとああこれでひょうたんチルドレン増えた!って(笑)。『早期瓢育、英才瓢育』って言ってるんですけど小さい時からとにかく、ひょうたんをネタに遊んでもらいたいです。昔からひょうたんを作っていたお年寄りの方に教えていただいくとか、世代間交流にもなりますし。本来はそうあるべきだと私は思うんですよ」
 丸いフォルムのひょうたんに触れるとみんなが笑顔になる。養老の町がそんな笑顔でいっぱいになることを竹内さんは願っている。

たけうち らん●プロフィール大学進学を機に東京、就職で大阪と地元を離れてくらしていたが、2011年養老町に戻り、まちづくりの活動を始める。13年にまちづくりグループNPO 法人ヨロスト設立。14年養老瓢箪工房エイト8を開業しひょうたんランプ作家として活動。現在工房は休業しているが、また再開したいとウズウズする毎日。


vol.192 ボーダーレス社会をめざして vol.51

NPO法人オープンハウスCAN 理事長 伊藤佐代子

忘れられない人

「伊藤さんに出会えたから、今の僕がある。」とお姉さんに話された1週間後に頭が痛いと緊急入院をし、帰らぬ人となられましたAさん。12,3年ほど前の話です。「障害基礎年金を取りたい」と相談に来られたのがご縁でその後、家事援助に入るまでのお付き合いになりました。家事援助に私が行くと、カーテンを少し開けて私が来るのを待っておられるようなお茶目な方でした。障がいが軽いため一人暮らしをし、ずーっと年金はもらっていらっしゃらなかったようです。
 障害基礎年金は自己申請ですので、申請しない限り頂けません。高齢になり力仕事ができなくなったため、生活が成り立たなくなり、数度、年金申請されたようです。しかし、却下されどうしたらいいのか?と私の所へ。手助けをして下さるきょうだいさんが一人いらっしゃったことが、彼にとって幸せでした。いろいろ年金申請のことをお話しし、その後再申請をし年金が頂けるようになりました。年金は1か月約65、000円。とても喜ばれました。
 障害基礎年金は、誰もが生活ができなくなったからといって申請すればもらえるものではありません。小さい頃、特別支援学級に通っていたなど、障がいがはっきり分からないと年金は頂けません。審査は厳しいです。Aさんにとって、年金は恵みのお金だったに違いありません。ヘルパーとして働き出した私と部屋の掃除をする、布団を干す、洗濯をするなどなど、いろいろな家事を一緒にしました。お料理は、ご飯を冷凍することをご存知なくて、お教えしたり、冬にはお鍋をすると2日くらいはお料理をしなくても食べられますよ等、安くて簡単に栄養を取れる方法を二人で考えていきました。
 ある日、Aさんの部屋を掃除をしていて、「こんなに親身に見てくれるヘルパーさんが息子にもできるといいな。心が通い合う楽しい支援をしてもらえる人に出会えるといいな」と思いました。家事援助とは言え、支援をする側、される側の関係ではなく、ひとりの人と人の出会いです。信頼される人にならなくちゃいけません。現在、Aさんは、無縁墓地に埋葬されています。今でもそのお墓の近くを通った時は、「お元気ですか?」と寄ってきます。亡くなられた時は、どうして○○家の墓というのに入れてもらえないの?と割り切れないものがありましたが、気軽に立ち寄れるお墓でよかったなと最近は思っています。
 10年ひと昔。時代は変わり、お墓事情も変わりました。最先端のお墓の選択だったのかもしれません。Aさんが残して下さった言葉は、私にとっては宝物になっています。


vol.192 ここいく日記 はじめの9歩!

全国夏季セミナーでの発表

一般社団法人 ”人間と性”教育研究協議会主催 「全国夏季セミナー近畿大会in京都」の分科会にて、普通のお母さんたちの集まりの私たち「ここいく」が発表 ?!今回のここいく日記は、「ここいく」のこれまでの軌跡と分科会での発表のことをお伝えします。

今大会のテーマ
いつでも どこでも だれでも 大切にされる性の学び
–あらゆる暴力をのりこえる包括的性教育の希望–

 「包括的性教育」とは?どういう意味かわかりますか?
 性器・セックス、妊娠・出産のことだけでなく、性を通して人との関わり方や相手の立場を考えることも含めた性教育。そして、子ども・若者が自分で考えて決められる力を育むことを目的としています。残念ながら、日本の性教育は遅れていて、この視点での性教育はまだまだこれからという現状です。
 分科会発表の前日に聞いた田代美江子先生のお話は、世界的な性教育の指針を基にした「包括的性教育」について。
 このお話を聞けたことは大きな学びで、私たちがお母さんとして子ども達に届けたい!を原動力に日々悩み考えて積み重ねてきた内容が、まさにこの「包括的性教育」になっていたということに気付きました。最初からそこを目指していた訳ではなかったけれど、現状を見つめ、伝えたいことを選択してきた過程でそこにたどり着いていたのです。
 今まで自分たちがやってきたことは間違ってなかったんだと自信を得ることができ、とても嬉しく思いました。そして、分科会の発表の前日にこの話を聞けたことは奇跡的で、大きな意味があると感じました。

 私たちの授業はお母さん目線で、伝える内容は科学的なことだけではなく、母としての想いを乗せる。それは、子育てを通した生活の中での不安や悩みごと、「うちの子、男の子だけどピンクが好きなのよね。」「行動が他の子と違うのが心配」とか、思春期になり、「異性に興味がでてきた」「体が変化してきている」などを、授業に組み込んでいくこと。伝え方は、言葉や表現方法にこだわり、「子ども達に幸せに生きて欲しい!」「加害者にも被害者にもなって欲しくない!」を軸にマイナスでいやらしいイメージではなく、当たり前のこととして伝える、前向きで明るい性教育です。
 母の想いを乗せることについては、様々な環境で育っている子どもたちがいる中で、「この言葉の使い方はどうなのか?」「親を知らない子どもたちは、母の想いが強いメッセージをどう受け取るのか?」などという問いに、その都度悩み考えて授業を作ってきました。
 これらの過程で、包括的性教育にたどり着いたのであれば、発表では私たちらしい授業にたどり着くまでの道のり 「学びを得て変わってきたこと」、それでも「どう伝えるかを迷っていること」とや、これから「何を大切にしていくのか?」などの想いを発表で伝えるべきだと思いました。
 とにかく楽しそうに発表するメンバーを見て嬉しくなりました。そして、分科会発表に合わせて作成した「ここいく」ソング 「生まれてきてくれてありがとう」の曲に合わせて、私たちの9年間の軌跡を動画にしたスライドショーも発表。

田代先生が講評の中で、『よく勉強していますね。そしてよく話し合っている。親を知らない子が、お母さんたちの想いに触れて「親っていいなぁ~」って思ったという感想、そういうこともあるのね。現場の声を聞きながら変わっていく姿、気付いたら包括的性教育になっていた。これが「包括的性教育」。ここの分科会で良かったわ。』と、言っていただけたことがとても有り難かったです。

ここで得た、学びと気づきと勇気を糧に今後、「ここいく」はもっともっと進化していきます!新しい「ここいく」に期待していて下さいね。

担当:ここいくメンバー・中村 暁子でした。


vol.192 菌ちゃん野菜応援団 vol.13

今年の夏も暑かった!!

刈っても刈っても生えてくる草に野菜が負けないように、毎日畑に通いつめ。

それでもあの勢いは半端なかった。。。

そんなエネルギー満タンの草を堆肥にした畑からは子どもの背より大きく伸びたズッキーニ、3日に1度大量にとれるししとう、真っ赤に色づいたトマトやピカピカのなす、キュウリ、おくら等夏の恵みをたくさんたくさんいただきました。

みんなで収穫したり、バーベキューをしたりして多くの方に畑に親しんでもらえたなと思ってます。

「野菜がこんなにも身体に染み渡るって初めて知ったよー」という嬉しい声も。

「俺はあとからでいいからさ、子どもんたに先にわけたって」なんて言いながらずっと火の番をしてくれた小学生の男の子も。

畑仕事はキツいときもあるけれど、こんなドラマが垣間見れるからやめられない。

これからは冬野菜の植え付けに入ります。

今年の冬はどんなドラマが見られるかな。

菌ちゃん野菜応援団とは…
菌ちゃんとは、土の中にいる土壌微生物のこと。土に混ぜた生ごみを菌ちゃんが分解し、発酵熱で土がおふろのように温まることに、子どもたちはびっくり。さらに、菌ちゃんがたくさんいる土で育った野菜のおいしさに、またびっくり! 
菌ちゃん野菜応援団は、子どもたちが野菜づくりを通して、目に見えない微生物の存在に気づき、いのちの循環や健康の大切さを感じていくプロセスを体験しています。興味のある方は、東海支部へお問い合わせください。(070-2626-6675各務)


vol.192 未来に続く暮しの学びPrt-34

野生動物とともに暮らす

 私たちのすんでいるところでは、野生動物をよく見かけます。春は、動物たちも活発に活動する時期。とくに冬眠していた動物たち、この辺ではとくに蛇がよく顔を出し始めます。

 トカゲの一種のウォータードラゴンは、ベランダにあるソファーの下に住んでいて、よく日向ぼっこをしています。
イグアナは、レースモニターという種類で、木のぼりもします。先住民族のアボリジニのおはなしでは、イグアナは女性性を表していて、クリエーションストーリーの重要な動物の一つなのだそうです。
 ワラビーはちいさいカンガルーで、よくうちの畑で出くわ

し、お互いに「あっ」とういう感じです。収穫しにいくとよく葉っぱをムシャムシャ。かわいいんだけど、「畑の野菜はたべすぎないでよっ」と言いたいところ。
 カモノハシは、さすがオーストラリアという感じですが、とってもシャイでたまーにしか川で見かけません。
 オポッサムは、そこらじゅうにいて、夜にはよく喧嘩している声を聞きますが、昼間の寝ている姿は、やっぱりかわいいですね。
 ハリネズミは、夜中にごそごそっという音がきこえると大抵は地面を鼻でこすって昆虫を探しています。
 あとはなんといっても、コアラ!すごくたまーに敷地内で見かけますが、実は先週出くわしました。まったく私たちを怖がっている様子はなく、さすがというくらいマイペース。ユウカリの葉を求めて、地面を歩いていました。

 野生動物の存在が身近に感じられる生活は、もともとは動物が住んでいた土地を人間が勝手に土地開発をして、彼らの生息地に、私たちは住まわせてもらっているんだなという思いにさせられます。この土地に、木々も、草も、彼らにとっても大切な住処であり、食物です。人間ばかりの都合でことを決めすぎず、動物たちに対しての配慮をこころ掛けて土地の管理をしようと思います。し、お互いに「あっ」とういう感じです。収穫しにいくとよく葉っぱをムシャムシャ。かわいいんだけど、「畑の野菜はたべすぎないでよっ」と言いたいところ。
 カモノハシは、さすがオーストラリアという感じですが、とってもシャイでたまーにしか川で見かけません。
 オポッサムは、そこらじゅうにいて、夜にはよく喧嘩している声を聞きますが、昼間の寝ている姿は、やっぱりかわいいですね。
 ハリネズミは、夜中にごそごそっという音がきこえると大抵は地面を鼻でこすって昆虫を探しています。
 あとはなんといっても、コアラ!すごくたまーに敷地内で見かけますが、実は先週出くわしました。まったく私たちを怖がっている様子はなく、さすがというくらいマイペース。ユウカリの葉を求めて、地面を歩いていました。


vol.192 夢か悪夢かリニアが通る!vol.21

ウラン、掘り出していた

「リニア実験線の車両から出火 作業員3人重軽傷」。10月7日、産経新聞のネットニュースが、山梨県都留市の山梨リニア実験線車両基地で、車両点検中に機械から出火して作業員の衣服に燃え移り、3人が重軽傷を負ったことを伝えました。報道によると、JR東海は当初、「公表するかどうか未定」と答えていたといいます。記事中には、1991年に宮崎県のリニア宮崎実験線で、タイヤのパンクが原因で車両が全焼する事故が起きたことにも触れています。リニアの約9割は地下トンネルです。南アルプスの地中約1400メートルの深さで火災が起きたらどうなるのか。明確な答えをJR東海から聞いたことはありません。       井澤宏明・ジャーナリスト

基準値に迫る「ラドン」

ウランが掘り出された南垣外非常口の工事現場。

 「リニア残土微量ウラン JR東海公表せず」。「しんぶん赤旗」1面をこんな記事が飾ったのは8月5日のこと。岐阜県瑞浪市のリニア中央新幹線「日吉トンネル建設工事」で掘り出した残土から、放射性物質ウランが検出されていたことが、岐阜県に情報公開請求して入手した資料から判明した、と伝えたものです。
 この地域には、「国内最大の埋蔵量」といわれるウラン鉱床群があります。ウランを掘り出したり、ウラン残土から気体のラドンが染み出たりする危険性は、着工前から指摘されていましたし、この連載でも伝えてきました。
 これに対しJR東海は「ルートはウラン鉱床を回避している」「ウラン鉱床のようなウラン濃度が高い土を掘削する可能性は低い」と反論してきました。
 岐阜県に問い合わせると、JR東海が昨年6月と今年6月に公表した「環境調査の結果」に、ウランやラドンの検出を示すデータが既に記載されていたことが分かりました。これによると、ウランは昨年2月から7月に検出され、最大値は6月の1グラムあたり13・0マイクログラム。JR東海が「管理基準値」とした1グラムあたり77マイクログラムを下回っていました。
 一方、掘削口となっている「南垣外非常口」の工事ヤード敷地境界で測定したラドン濃度は、自然状態からの増加分が1立方メートルあたり最大15・6ベクレルと、JR東海が「管理基準値」とした1立方メートルあたり20ベクレルに迫っていました。この管理基準値は、その空気を1年間吸い続けると、1ミリシーベルトの被ばくになる濃度です。
 非常口近くの住民によると、JR東海からは定期的に説明を受けていますが、「管理基準値内です」という説明しかなかったといいます。
 「『避難が必要なら知らせてほしい』とJR東海には伝えてある。測定した時間以外にはもっと高い濃度だったかもしれず、知らせてほしかった」と話しています。
 元京都大学原子炉実験所助教の小出裕章さんは「ラドン被害で明確に分かっているのは肺がん。基準値以下でも肺がんになる可能性は高まるので、JR東海は『基準値を超えないからいい』とするのではなく、できるだけ少なくする努力が必要だし、常に住民に知らせるべきだ」と警告しています。

集落を貫く巨大なベルトコンベヤー。初めて訪れた人の中には、「リニアは完成してるんですね」と勘違いする人もいるという。

御嵩に「恒久処分場」計画

 リニアドンネル掘削を巡っては、JR東海が岐阜県御嵩町に対して、重金属が含まれる恐れがある残土の恒久処分場を設けることを打診していると、10月7日の朝日新聞、8日の中日新聞が報じています。
 報道によると、同町美佐野のトンネル工事で出る約90万立方メートルの残土のうち、約40万立方メートルを旧ゴルフ場予定地に、残り約50万立方メートルを隣接する町有地に埋め立てる計画だといいます。
 岐阜県東部には、カドミウムやヒ素などの重金属が含まれる地質帯があります。隣の可児市で行われていた東海環状自動車道建設工事で2003 年、掘り出された残土に含まれる黄鉄鉱で水質汚染が発生し、魚が大量死、稲作も出来なくなる被害が起きたことは、この連載でお伝えした通りです。
 御嵩町は1997年、産業廃棄物処分場の受け入れを巡って全国初の住民投票があり、反対が多数を占めた歴史がある土地。町民の一人は「埋め立て予定地は、農業用水を引いている可児川の上流で、汚染されたら大変。町外のリニア工事で出た汚染土が搬入される可能性もある」と、危機感を募らせています。



vol.192 新連載・「見たまま・感じたまま」from韓国 

平和について語り合いたいと、各務原市の中学生でつくったPeace of peace。主要メンバーの古川司さんは、2019年秋から韓国へ語学留学した。日韓関係が危ぶまれている状況の中で彼の「見たまま・感じたままリポート」を韓国からお届けします。

韓国は朝鮮半島の南半分に位置する東アジアの国で、非常に厳しい軍事境界線が北朝鮮との間にあります。韓国はまた、桜の木や数百年前に建てられた仏教寺院が点在する緑に覆われた丘陵地帯や、海辺の漁村、亜熱帯の島、首都ソウルのようなハイテク都市でも知られています。

 こんにちは。Peace of peaceで活動をしていた古川司です。
 僕はもうすぐ20歳になります。高校卒業後、就職をして働いていましたが、やりたい事が見つかり韓国に語学留学に来ました。現地で僕自身が感じる韓国の事を短い間ですが、連載させて頂きます。

 僕が韓国を選んだ理由は二つあります。一つは語学の習得、二つは報道での韓国とどう違うかを見てみたかったからです。

 韓国に行く前に、日韓の関係が悪化して、日本では韓国のニュースばかりが報道されているかのようでした。ですので、沢山の人が、「今韓国大丈夫なの? 生きて帰って来て!」など心配してくれました。でも 僕は、ニュースだけでなく、SNSや韓国にいる友達を通じて、日本が大好きな韓国人も沢山いて、報道がごく一部だという事も聞いていたので、何も心配しないで韓国へ行きました。
 そして今、韓国へ来て4週間が過ぎようとしています。
 まだ4週間ですが、反日と感じたことは一度もないです。
 ソウルに住んでるので、他の所は分からないですが、良い人もいれば悪い人もいる。道を尋ねたら、親切に教えてくれる。店では下手くそな韓国語でゆっくりと注文したら、笑顔で聞いてくれる。
日本と何も変わらないと感じています。

 報道にある通り、No Japan 、日本嫌い、日本政府反対!の人ももちろんいると思います。そして同時に日本にも、No Korea 、韓国嫌い、ヘイトをする人もいます。何も変わりません。

 韓国で生活していたら、日本の報道を見てきた韓国と違いすぎて、日韓の関係が良くない事など忘れるほどです。(笑)

 そして同時にメディアはなぜあんなにも韓国批判をするのか、韓国 = 悪いという報道の仕方しかできないのか、疑問しかないです。

 今、僕は韓国の語学学校に通っていますが、クラスは皆外国人です。共通語はもちろん韓国語なのですが、みんなまだ下手なので、コミュニケーションが取りづらく、なかなか友達を作れないのが悩みです。

 そして、韓国にはコシウォンっと言って、日本でいう寮みたいなシェアハウスがたくさんあります。僕も今そこにいますが、共同のキッチンはあっても、なかなか自炊ができなくて、毎日安いキンパ(のり巻き) 、ジャージャー麺、カップ麺などを食べる生活で、お金と体が心配です。でも、10月からは家具など全部付いている一人部屋に引っ越しが決まっています。そこでは野菜中心の食生活をしていきたいと思います。そして、短い留学生活なので早く韓国語を習得し、韓国の人たちと対話をして感じたことをお伝えしたいと思います。


vol.192 プレゼントコーナー


1-あなたの「2019年のうちにやっておきたいこと」とは?
 今年も残りあとわずか、今のうちにやりたいことある?


2- 気になるにらめっこ紙面での広告
3- 気に入った記事、気に入らない記事の
 タイトル1つ・その理由もお書きください。
4- ご希望のプレゼント名
(第1希望・第2希望)
 ※ CとDは編集室まで受け取りに来られる方。
5- 本紙をどこで入手されましたか?
6- 氏名、年齢、住所、郵便番号、電話番号、  家族構成

プレゼントご希望の方は

ハガキまたはe-mailで、上記のアンケートを
1〜6までご記入の上、編集部・プレゼント係りまでお送りください。

〆切:11月25日 当日消印有効。(Aをご希望の方は11月15日)

宛先
〒504-0855 各務原市蘇原新栄町2-25
e-mail: info@niramekko.com
※お寄せいただいた個人情報は、本紙プレゼントの発送に限り、 使用させていただきます。
※当選の発表は発送をもって代えさせていただきます。

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A.こころとからだをはぐくむシンポジウムご招待

つくろ!の会様より… 4名様
 

今年度の「各務原市まちづくり活動助成金」を受けて、「つくろ!の会」のお母さんたちが11月26日に、わくわくするイベントを開催しますよ。午前の部と午後の部どちらを希望するか明記してね。詳しくは「こころとからだをはぐくむシンポジウム」で検索してね。

B.CINEX映画招待券

シネックス様より…ペア3組様

映画を観ていると、つい主人公に感情移入。普段の自分にはない思考、行動、感情を味わいます。そんな体験が、他人の心をおもんばかることに繋がる、かも。写真は映画「命みじかし恋せよ乙女」より。
柳ヶ瀬のシネックスでご利用いただけます。

C.本 「定年、そして10万時間」

上鵜瀬 孝志様より…10名様

「人生80歳」の時代、定年退職者を待ち受けるのは、10万時間の途方もない「自由」(40年の勤務年数に相当!)。料理からボランティア活動まで、何をするかは自分次第。 退職後の人生を充実させるコツを、自身も団塊世代の著者が痛快な語り口で紹介しています。本の著者であり、えんぴつカフェスペシャル第4弾講師からのプレゼントです!


D.ゆりかごカレンダー`20

ゆりかご助産院様より…3名様

毎年好評に付き、恒例になっているゆりかごカレンダー。月の満ち欠け、旧暦、満潮・干潮時刻、月出入り時刻などが載っています。ゆりかごさんのロゴマークも可愛らしく、ほっこりさせてくれます。にらめっこ編集室でお受け取りください。(写真は`19年のもの)


vol.191 循環生活を始めよう!

循環生活とは?生ごみを野菜にかえる!?

 私たちの生活の中で一番身近で、実行しやすいのはズバリ!コンポスト生活です。有機物(生ごみ)が堆肥に変わっていくプロセスがたのしい!ふだんは目に見えない微生物、土の変化、野菜の成長や生き物との出会いは、時にはどきっとしたり、ひゃーっと叫んだりするかもしれませんが、土の中の小さな生命活動の見事さに思わず唸り声をあげてしまいます。
 私たちが1日3回の食事で出す生ごみは、栄養がたっぷりでバランスが良く、いい堆肥のもととなります。堆肥を土にまぜて育った野菜は、とってもおいしい。甘みが強くて香りが高いと評判です。誰にでもつくれる理想的なごみのリサイクル方法です。地域資源がごみにならずに堆肥に活用され、庭や畑の土の状態を改善して、豊かな土からおいしい野菜ができる。まさに一石三鳥です。身の回りの有機物(生ごみ・雑草・落ち葉・海藻等)を循環させることで、これまで“やっかいもの”だったものが、宝物に見えてくるかもしれません。

ダンボールコンポストってなに?

 ダンボールコンポストとは、家庭の生ごみをコンポスト基材※に混ぜて分解させ、堆肥を作る道具のことです。生ごみを入れて混ぜるだけで、他には何も加える必要ありません。たとえば4人家族の場合、1日に出る生ごみの量は500グラム程度と言われていますが、2~3カ月毎日生ごみを入れ、その後1ヶ月ほどの熟成期間を経れば、滋養豊かな堆肥ができ上がります。生ごみには約90%も水分があり、焼却するだけでもたくさんの燃料を使うため、大量のエネルギーを消費しています。なにより、栄養がたっぷり含まれているのに焼却処分するなんてもったいない。生ごみを堆肥化し、その堆肥を含んだ土壌でおいしい野菜が育ち、食になる。都会でもできる小さな循環を活用し、生ごみを100%活かせる世の中になれば、それまで不要だった“やっかいもの”は地域の宝物になり得ます。また、これまでのゴミ出し・回収・焼却の負担軽減、二酸化炭素CO2の削減、ごみ袋代も減る、おいしい野菜が育つ、いいことばかりです。ベランダに簡単に設置でき、臭いもほとんどないダンボールコンポストがおすすめです。

 ただし!短所もあります。虫がわく…コトがあるんです。そんな時は、虫たちも生態系のひとつだとひとまず考えて、よく観察をしてみます。彼らは人間に悪さをするわけでもなく、せっせと生ゴミを分解してくれています。だからと言って虫たちウエルカム!にはなれません。そこで、虫たちがコンポストに入らないよう防護策をご紹介します。
❶ ダンボールコンポストを家の中(台所のかたすみとか)に置く。臭いはしないので大丈夫。
❷ コンポストのカバーをぴったりフィットさせる。(着なくなったTシャツを利用)さらに、ゴムバンドなどですき間をなくす。
❸ あれば木酢液とか虫が嫌がるような臭いをスプレーする。

そして、虫が湧いちゃった!となったら
❶ 黒いビニール袋でくるんで3、4日放置。ちょっと残酷ですけどね。抵抗のある方は、そのまんま畑にすき込んでしまう。
❷ 米糠とか、廃油を入れる。そうするとたちまち発酵が進んでその熱で虫たちが息も絶え絶えに。でも、死滅まではいかない。
❸ 虫も菌ちゃん同様、生ごみを分解してくれるので、共存を試みる。 
くれぐれも殺虫剤なんか使わないでね!
コンポストをやって、虫たちも菌ちゃん(微生物)と同じく、有機物(生ごみ)分解の立役者の一員であること。そして私たちも“自然の循環”の中で生きいることに気付きました。

循環生活は やさい → 料理 → たべる のどこがスタートでもOK.生ごみをコンポストに入れ始めたら、生ごみを捨てるのがもったいない!と思えてきます。ただ、「うちはマンションだし、プランターでプチトマトしか作れない」とか「虫がわくならできない!」などの意見もたくさん聞かれます。そんな方に朗報!


コンポストで堆肥ができたらやさいと交換してくれるところがあります。「なんなら、野菜の作り方もお教えしますよ!」とキッパリ宣言してくれたのは、菌ちゃん野菜応援団 東海支部、つくろ!の会代表の各務亜紀さん。つくろ!の会の畑はスーパーサカイ(おがせ街道・蘇原島崎町)のすぐ近くにあります。
 
 地球規模で考えると、大いなる循環の中で生きている私たちですが、身近な暮らしの中にも、そして私たちの体の中でも、(例えば血の巡り、リンパ液の巡りなどの循環が滞ると、健康に影響が出てきます)いい循環を作っていきたいものです。

 今日からあなたも、「循環のあるを暮らし」を、たのしみながら生活に取り入れてみませんか?
 


vol.191 大いなる循環

 地球上の人口が増えて、巨大なビルなど建造物を建てても、地球全体の重量は変わりません。人間も物も、地球上にもともとある物質の形を変えて作られていくからです。
 私たちが暮らすこと全てが自然のバランスに影響を与え、結局は、私たち自身の健康まで影響を与えているということを常に気にかけて暮らすことはとても大事なことです。では普段のくらしの中でどんなことに気を配り暮らしたらいいのでしょうか?

 この「循環」に大いにこだわって活動をしている人たちがいます。一つは、菌ちゃん野菜応援団/東海支部の方たち。本紙18ページに活動レポート掲載中です。にらめっこ編集室でも、循環にこだわって事務所裏の畑で野菜作りをしています。

どんな循環?

 まず、台所から出る生ごみをコンポストに入れて(にらめっこは段ボールコンポスト)堆肥にします。それを畑にすき込んで、野菜を作る。収穫した野菜をいただき、そこから出る野菜くずをまたコンポストに・・・いたってシンプル。
 これだけでも、ゴミの量がグンと減ります。しかも生ごみ堆肥で作られた野菜たちの美味しいこと!例えばニンジン嫌いな子でも、この菌ちゃん野菜なら食べられる!という報告は定番となっているほど。農薬は一切使用しないので安心なのはもちろんですが、「菌ちゃん」たちがとっても元気に生ごみを分解してくれて、そのまま生きて土に潜り込んでくれるから、土がすごくいい状態になリます。普段はあまり意識しないと思うけれど、土と私たちは切っても切れない関係にあります。人は土なくしては生きていけない。土は私たちと密接に関係しています。肥沃な土は豊かな食をもたらしてくれます。そこにも大いなる循環があるのですがその循環を断ち切ってしまう一つの要因は「農薬」「化学肥料」ではないかと思うのです。

ナショナルジオグラフィック5月号では

「トウモロコシや小麦、米など人間が主食にする農作物は、とりわけ多くの窒素を必要とするため、自然が与えてくれる窒素だけでは足りないのだ。
 大気中に大量に含まれる窒素ガスは、巨大な工場で化学反応によって水素ガスと結びつき、植物が利用しやすい窒素化合物に生まれ変わる。こうして生産された窒素肥料が、毎年、世界中で1億トンも使われている。今や、窒素肥料なくして70億人を養うことはできないのだ。現に、私たちの体に含まれる窒素の約半分は、元をたどれば化学肥料に由来している。

窒素肥料漬けになる農家

 1970~90年にかけて、中国では人口が3億人も増えた。農家もそれに合わせてさまざまな手を試みた。南京近郊に住むある農夫は、0.5ヘクタールの農地をなんとか肥沃にしようと、生ごみを堆肥にし、人や家畜の糞尿をまいたという。そうして農地1ヘクタール当たりの米の収穫量は3000キロを超えるほどになった。世界の水準を上回る立派な数字だ。
 だが現在、彼はさらにその倍以上の8100キロを収穫している。農夫が田畑にまく窒素は以前の約5倍に増えた。農地は固形肥料として与えられた尿素で飽和し、窒素の投与量は1ヘクタール当たり590キロに達している。

現れ始めた代償

 だが、窒素を使い過ぎた代償が、環境問題や地球温暖化という形で現れ始めた。田畑にまかれた窒素化合物は、じわじわと周囲に流出し、しばしば環境に悪影響を及ぼす。一部の窒素は、直接河川に流れこむか大気中へと蒸発する。そのほかは、農作物に吸収されて一旦は人間や家畜の体内に取り込まれるが、下水や家畜の糞尿を通して、再び自然界へと循環するのだ。
 近年、中国政府が国内40カ所の湖で実施した調査によると、半数以上の湖が大量の窒素やリンに汚染されていることがわかった。リンを含む肥料は、湖に生息する藻類の異常増殖の元凶とされている。最もよく知られるケースが、中国第3の淡水湖、太湖だ。太湖では有毒なシアノバクテリアが幾度となく異常発生し、2007年には近くの無錫市に暮らす約200万人の生活用水が汚染された。また、中国の沿岸部では現在、「デッドゾーン」と呼ばれる酸欠状態の海域が生じ、魚が窒息死して漁業関係者に打撃を与えている。中国だけでなく世界的にも、窒素肥料の使用は増えこそすれ、減ることはないだろう。」
と述べています。

また農薬問題の第一人者のロメオ・キハノ博士の講演では

 「人間とは生きている地球の一部であり、環境の一部をなしており、切り離すことはできません。ですから環境を破壊するということは人間を破壊することになります。健康な状態というのは現在の医学が定義するようなただ単に病気でないということに留まらず、個々人と環境の間の調和された状態であると定義すべきです。そして病気とはその関係の乱れとなります。


 これらの要素は互いに関係しあいます。ですからどれかひとつを切り離すことはできません。ひとつの要素が阻害されたら他の要素も影響を受けます。遺伝子組み換え作物の導入は人間と環境の関係において生物学的な破壊を与えます。鉱物資源の採掘では大きな物理的な環境破壊につながります。プランテーションや鉱山開発のために、土地から人びとを追い出すことは人びとの社会面や精神的な面でも健康に悪影響を及ぼします。これらすべてが相互に影響します。個別に考えるのではなく、相互につながっていることを指摘したいのです。

世界を覆う農薬

 さまざまな化学物質が環境に導入され環境を破壊しています。中でも農薬が私の懸念事項の中心となっています。私は食の中の毒について語ることを続けています。多くの人たちがこの問題に気がついていないことについて警告を発せざるをえません。まず、農薬が世界で非常に幅広く使われているかということです。農薬に汚染されていない地域は世界にはありません。どんなに離れた村に行っても、農薬は検出されるのです。
 もしここフィリピンで農薬を使えば、たとえばカナダ北部の先住民族の村を汚染します。ですからフィリピンで農薬を使うということはカナダの先住民族の人びとを汚染することになってしまうのです。カナダの氷に囲まれ、農薬など使っていない地域で高いレベルのDDTが検出されるのです。大気の移動によってカナダのようなところにも汚染物質はビザもいりませんから国境を越えて広がります。この農薬がこのような広い地域に広がっているということは驚くべきことです。

生態系に与える影響

 農薬の与える影響は人体に対する悪影響に留まりません。農薬によって生物多様性が失われます。農薬によって昆虫が殺される。それによって生物の生態系が狂ってしまうわけです。トンボ類がいなくなり、土壌の中にいる微生物も殺されてしまうことで、他の農薬がターゲットとしていない生物も死んでしまいます。

精神の破壊=土地の破壊

 霊的という時にはみなさんが信じていること、動機、心理的なものすべてを含みます。特に先住民族の間で、大事な要素となっています。これは科学者や医者ではわからない。でも私は感じることができます。なぜなら、私の祖母は純粋な先住民族でした。ですから私は実際、先住民族でもあります。先住民族にとって、この霊的なものを感じることはとても大事なことなのです。そして、それは先祖から受け継いでいる土地と結びついています。
 この土地を破壊することは、この人たちの霊的なもの、精神的なものを破壊することになるわけです。これは破壊される側だけでなく、破壊する側の人たちの精神も破壊していると思います。傲慢で無関心で鈍感な彼らの行動そのもの、これは精神が破壊されているということの兆候だと思います。」
と述べています。
(ATJ ひとからひとへ 手から手へ)では、農薬と健康被害について述べています。(一部抜粋)


vol.191 続・ゲノム編集

前号で特集した「ゲノム編集」は大きな反響を呼びました。
新聞でも相次いで取り上げられ、その安全性が問われています。河田昌東さんは「食」や「環境」の安全を脅かすのではと危惧されています。また、cas9を発見したカルフォルニア大学のジェニファー・ダウトナーさんは開発した瞬間に「これは核兵器と一緒だと思った。
いいことばかりではない。化学者だけでは決められない。社会一般の人も含めて、この技術をどうするのか決めて欲しい。国際的に共有し基準を作成したい」と述べたそうです。私たちも引き続き、関心を持ちできることからアクションを起こしたいと思います。その一つとして、署名があります。右のページをコピーして拡散お願いします。

ゲノム編集食品とは? なにが問題?

Q.ゲノム編集って何?

 ゲノムとは、すべての DNA のことをいいます。DNA にはすべての遺伝子がありますから、すべての 遺伝子といってもいいと思います。ヒトゲノムというと人間の遺伝子全体を指します。そのゲノムを自 由自在に編集できることから「ゲノム編集」と名付けられました。

Q.ゲノム編集で何ができるの?

 ゲノム編集は、基本は目的とする遺伝子の働きを壊す技 術です。生命体はバランスや調和で成り立っています。体 を大きくする遺伝子がある一方で、あまり大きくなり過ぎ ないように抑制する遺伝子があります。大きくする遺伝子 を壊すと、小さいままの動物が誕生しますが、中国ではす でにマイクロ豚がペットとして販売されています。逆に抑制する遺伝子を壊すと、成長が早く肉の多い 魚や家畜が誕生します。これもすでに市場化が間近な状態にあります。

Q.どのようにして遺伝子を壊すの?

 ゲノム編集では、「CRISPR-Cas9(クリスパー・キャス・ナイン)」と呼ばれる手段が使われます。 これは壊す遺伝子への案内役であるガイド RNA と、DNA を切断して遺伝子を壊すハサミの役割を果た す制限酵素が組み合わさったものです。この仕組みを利用すると簡単に目的の遺伝子を壊せます。ゲノ ム編集では壊した遺伝子の代わりに新たな遺伝子を挿入することも可能です。ネズミの皮膚の遺伝子を 壊し、人間の皮膚を作る遺伝子を挿入すれば、正確な組み換えが可能になります。

Q.ゲノム編集の問題点とは?

 ゲノム編集技術は DNA を切断するという粗っぽい方法で、生命体の最も大事な遺伝子を壊します。 壊してよい遺伝子などありません。生命の操作が拡大しています。このままでは自然の調和が壊れてし まいます。さらに遺伝子を壊した際に、目的外の遺伝子を壊す「オフターゲット」が必ず起きます。そ れが重要な遺伝子を壊せば、その生命体にとって大きな影響が出るだけでなく、環境や食の安全にも影 響してきます。さらにはゲノム編集した細胞と通常の細胞が入り乱れる「モザイク」も起きます。これ も環境や食の安全に影響が出かねない問題です。とても安全とは言えない技術です。

 米国では、2015 年から除草剤耐性ナタネが、2018 年からは高オレイン酸大豆が栽培・収穫さ れ、流通を始めました。他にもさまざまなゲノム編集作物の研究・開発が進んでいます。このまま では、ゲノム編集技術を応用した作物や家畜が私たちの食卓に登場することになりそうです。

だから私たちはゲノム操作食品に反対します。
ぜひみなさんも声をあげ、署名にご協力ください。

遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン
特定非営利活動法人 日本消費者連盟                         署名を集めた用紙は下記の住所にお送りください。

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vol.191 ママがほっとする子育てアドバイス

 一番大事なのは親子関係だと私は思っています。取り替えがきかない。だけど、親子だけで関係を良くするのはなかなか難しい。カリカリしているお母さんに、「あなたのお子さん元気でいいじゃない。心育ってるわよ」と言うと、お母さんの肩の荷が下りることがたくさんあるんじゃないかな。親子の間に他人が入って風を通してあげることが大事です。

 同じ親のDNAを引き継いで産まれても、同じような教育を受けたからといっても、同じように育つわけではない。10年間保育の現場で勉強してきましたが、結論を言えば、この世に正しいものなんてない、ということ。

時代や国によって大きく変わる子育て事情

時代によっても子育て事情はずいぶん変わって来ています。
40、50年くらい前は赤ちゃんが産まれたら産湯で体を拭っていました。今はお湯につけると赤ちゃんの体温が一気に下がるから良くないとされて、産まれた赤ちゃんを布で拭っています。また、ミルクの方が栄養バランスいいと、母乳が出てもミルクを買った時代。今は母乳が一番、何かの事情でミルクで育てていると、「母乳じゃないのね」という視線だけで心痛めている人がいるくらい。それから、赤ちゃんは泣くのが仕事、すぐに抱くと抱きくせがつくと言われた。今は泣いたら何かのサインだから抱いてあげましょうって。こんなふうに180度違う考えが変わっています。

 国によっても考え方は違います。うちの園はお昼ごはんはお弁当。ドイツ人の子が入園してきました。お弁当箱の一段目ごはんだけ、2段目パプリカだけ、でおしまい。他の日、一段目ごはんだけ、2段目キュウリだけ。お母さんの集まりがあった日のお母さんのお弁当はなんとごはんとスイカだけ。
 日本ではバランスよく、子どもに良かれという気持ちがすごく強いから、朝から一生懸命お弁当を作る。ある時2才の子のお母さんが、「この子が痩せてるのでいつも7品目は作ってお弁当に入れてるのに、食べないんです。どうしたらいいですか?」って聞かれた。親は頑張れば頑張るほど、子どもが受け取ってくれないと「あなたのためにやっているのになんで食べないの」となる。「病気がちで何か栄養補給が必要ならともかく、この子元気だし顔色もいいから大丈夫よ」って答えます。生きていくために必要な物を食べるというのは動物の本能。食が細い子は細いなりにそれで足りてると私は思う。

 それからみんな専門家に弱い。例えば、指しゃぶり。横浜市では1才半検診の時に歯医者さんから「指しゃぶりしていると歯並びに影響して出っ歯になりますよ。永久歯に影響もするしやめさせた方がいい」って言われる。「それは大変だ」と大体のお母さんはやめさせようとする。2、3才の子を前に「指をしゃぶっていたら出っ歯になっちゃうよ」と話しても幼児は出っ歯を理解できません。言葉を聞いて、納得して更に理解して自分をコントロールする能力っていうのは5才以上にやっと芽生えてくる。


 少し前の精神科医は、指しゃぶりをする子を「あ、お母さんこれは愛情不足」って、わけのわからないことは大体愛情不足かストレスでしょうって言う。それが一番刺さりますね、親としては。毎日怒濤の日々を過ごしているわけで、愛情不足って言われてたら100%の人に心当たりがあるよ。ところが、今時の精神療法ではね、「とりあえず指しゃぶりで安心出来るんだからムリにやめさせなくてもいいでしょう」って。欧米では5、6才になってもしてる子多いですよね。あれをしているから鼻呼吸がうまいんだって。
 専門家はどんどん細かい専門分野でよりベストのことを公表しているのかもしれない。でもあなたとあなたの子どもを実際に見てアドバイスをくれている訳じゃない。

その子の育ちをよろこんで

 今はデータが多すぎ。何才では何々ができるはずと平均値の物差しでわが子を測る。すると早い、普通、遅いという評価がうまれる。赤ちゃんの時には自己肯定感120%だったはずなのに、2、3才になるともう評価が始まって、そこから自己肯定感はどんどん崩されていく。たとえば、平均1才で歩くと言われているけど10ヶ月で歩く子も2才過ぎで歩く子もいます。4才でしゃべらないって連れて来られた子なんて山ほどいます。でもみんな何事もなく話すようになっていく。私は、ステップアップしていくには何かの必然性があるんじゃないかと思っています。発達が早い人は喜んでもらえるからいいのですが、ここで一番大事なのは、発達が遅い子です。まだかしら、まだかしら…心配されて待って待って、やっと歩いた時には喜びじゃなく安堵なんです。子どもは自分が出来なかった事が出来るようになっていくのが成長していくということです。1つ1つできることを親御さんや周囲の人に喜んでもらって育つのと、まだできない?と心配と不安を抱えられて育つ子とでは、子どもの気持ちが一番違う。「ありのままの僕じゃ私じゃいけないんだね」「もっとちゃんと早くなくちゃいけないんだね」っていう気持ちを持ってしまう事になる。マイナスの部分をとりあげて、どうにかしなくちゃって思ってる親がすごく多い。その子が人より劣っているところ、そこばっかりを見て子育てしていると、子どもは苦しいです。
 

 2、3才のイヤイヤ期は自分中心に地球が回っている。この時はわがままでプライドが高い。でもこれから続く一生の「自分は大事」「私は私を軸にします」という大きな根っこを張っている時期です。だからイヤイヤ期はないよりあった方がいいと思います。4才5才になってからという子もいますけどね。だからその時はしょうがない。「嫌だって言わないの!」って上から押しつけるんじゃなくて、「はいはい、嫌でしたね、どうもどうも」とね。じゃあこれとこれ、どっちにします?って選択権を与えると納得することが多いです。子どもの摩訶不思議な現象をどうにかしようと思うよりも、それをどうくぐっていくか、そこには親の工夫しかないと思います。
 4才くらいになると言葉を使って思考するようになる。だから言葉が大事になってくるわけです。でも4才くらいだと想像と現実が混沌としているから嘘だか本当だかよくわからない。5才になるとそこに思考が入る。だから理屈っぽくなるのよ。

 親のポイントとしては、何度言ってもやめないことは「何かの足しになるかしら?」とあきらめましょう。何度言ってもできないことは、未発達でできないことが多いわけですから。「鼻をかむことをどう教えたらいいですか?」2才では一気に鼻から息を出すということはできないんです、未発達で。だからちょっとやって「あ、できないんだ」と思ったら、まだ未発達でできないんだ。とあきらめる。
 子育てのポイントはあきらめです。そしてわが子を命に関わるような危険からは守って、「うちの子はゆっくりだから大器晩成だわ、きっと」って、ありのままの子どもでよしとして欲しいですね。一気には育たない、だんだん育っていく。そして、あなたがどれだけ頑張っても頑張らなくても、お宅の子はお宅の子くらいには育ちます。高い望みは親も子も苦しいです。目標は低ければ低い程いいと私は思っています。  (文責・にらめっこ)
        7/15 各務原市子育て支援課主催 講演会より

しばたあいこ●プロフィール りんごの木代表。保育者。1948年東京生まれ。1982年自らの目指す幼児教育を求めて仲間3人で「りんごの木」を創設。保育のかたわら保育雑誌や育児雑誌などに寄稿、小学校や幼稚園、子育て支援広場など様々な場所で講演。「子どもの心により添う」を基本姿勢とし、子どもとあそび、子どもたちが生み出すさまざまなドラマをおとなに伝えることで、子どもとおとなの気持ちのいい関係づくりをしたいと願っている。
<主な著書>「今日からしつけをやめてみた」「それって保育の常識ですか」「こどものみかた」「けんかのきもち」「ともだちがほしいの」他多数


vol.191 しょうがいをみつめる vol.2

 初めて就職したのは静岡県の小学校の特別支援学級でした。担当したのは重複障害(肢体不自由、知的・情緒障害)クラス。そこで出会ったのが9歳まで発語がないと言われていたT君です。
 T君のお母さんはT君が入学する前、教育機関に「お子さんは特別支援学校へ通う障害の度合いです。普通小学校はおすすめできません。」と言われ、レッテルを貼られたような悲しい思いをしたそうです。きっと、悲しい思いをしたなんて一言で表現できるようなものではなかったでしょうが、私が出会った時は辛さを吹き飛ばすように明るく話してくださいました。
 小学校の特別支援学級では、まず一年の国語、算数など教科のカリキュラムを作ります。発語なし、絵本は数分も見ていられない、鉛筆は持てない子の国語や算数。何をすればいいのか大学の授業では教わりません。
 まずは、学校教育に対する本人のニーズや親のニーズを聞きました。何ができる様にしていきたいのか、将来望む姿など。お母さんは仰いました、「この子は私が死ぬ時に一緒に連れていくので大丈夫です。せめて楽しく通えれば。」22歳の私に言えたのは「ダメです…お母さん。」だけでした。

 カリキュラムを作る過程で、校内の特別支援コーディネーターなどと話し合い、今のT君には『マカトン法』が有効ではないかという意見がありました。マカトンとは、手話よりも簡単なハンドサインで、これから言語を獲得する人に適したサインです。ベビーサインにも似ています。
 実際にマカトンを使うまでには、何度も何度も繰り返しが必要で、もう辞めたいと思うこともありました。でも少しずつ生活の中で活用できるようになってきました。例えば、今までは欲しいものがあった時、無理矢理にでも勝手に相手から奪う様にとったり、相手を引っ掻いたりしていましたが、「ちょうだい」のサインをしたり、不明瞭であるけれど言葉を発する様になりました。
 続けて、「おいしい」「もっと」「そっと」「おしまい」「一緒に」と、生活の場面でいつも使えるわけではありませんが、使えることが増えました。また、私とだけ使っていたマカトンが、友達との関わりでも使うことが起きました。自然とサインが出て、これには私も驚きました。

 T君との日々から、言葉を発していない子どもにも内言語があり意志疎通ができること、内言語を伝える方法を知れば言葉によるコミュニケーションがとれることを確信しました。
 この可能性を感じるT君との出会いは、私の可能性をも広げてくれました。
 T君と出会った後も様々な子どもたちに出会いました。T君と出会ったことで、目の前の子どもが何をしたいと主張するのかに意識を向け、どのようなコミュニケーション手段があるか考えます。
 「この子と意志疎通ができる」という前提で接することで、子どものコミュニケーション能力が伸びていくのを肌で感じています。これは障害のある子どもだけでなく、まだしゃべれない乳幼児の子育てや障害のない子どもとの関わりでも一緒です。大人が子どもの力を信じて見守るだけで、子どもは能力をぐーんと発揮していきます。これは、発語がないと言われていたT君から教えてもらったことです。


vol.191  niramekko Gallery 「砂漠」

たはたともか:高校進学をまぢかに控えて、学業も頑張ってます。小さな子の面倒をよく見てくれます。内面に秘めた複雑な思いが時々「表現」として現れます。いつも笑顔でいることが、彼女のバリアなのか…。思春期を陽気に過ごそうとしているのは彼女の強さ、優しさなのだと思う。


vol.191 えんぴつ・カフェ

えんぴつカフェ

9月6日(金)・11月2日(土)・2020年3月7日(土)         14:00~16:00 各務原市産業文化センター2階 第1会議室(予定)      ★みんなでワイワイおしゃべりしながら、「ゼロの昇天」の書き込みを中心に。お茶とお菓子付き。                     (会場の都合により日程に変更が生じる場合があります。参加の際は必ずお電話にてご確認ください。)

10月20日は生演奏をバックにみんなで歌おう!

スペシャル第4弾は「定年後の10万時間」

2020年1月19日(日)講演会「定年後の10 万時間、あなたはどう生きる?」著者:上鵜瀬 孝志氏講演会といきいきシニアのシンポジウム。
著者の講演後、人生これから!を実践しているシニアに登壇してもらい、講師と対談をします。

「人生これからNOTE」えんぴつカフェスペシャルの参加者全員に進呈! ・薬膳料理のレシピ・ゆる体操のメニュー・歌うは脳活!・定年後の10万時間をどう過ごす?etc …など「えんぴつカフェ・スペシャル」をまとめた暮らしのヒント集。

申込・問い合わせ
NPO「人生これから!」
090-5638-7044(田辺)
090-7854-4561(三上)



vol.191 熱中世代 臼田 幸夫さん

自然は学びの宝庫!
子どもには実体験の積み重ねが大事なんだと思う。

ふどうの森トレイルラン大会実行委員長  臼田幸夫さん(関市下迫間)

 「子どもが気になるんよ。登校時にあいさつしても誰も返事しない。まぁこんな強面の顔してっから?学校で見知らぬ人から声をかけられても返事をしないっていうのが徹底されているのもあるんだろうけど、自分は地元の人間なんだけどなぁ。それでも、近所の大人として、子ども達のいく末が心配でたまらないんだ。」と話すのは、おしゃる通りの強面のおじさん。
 この集落には66軒230人が住む。昔ながらの田んぼや畑を守り、迫間不動を守り、多賀の霊水を守ってきた。迫間川をはさみ点在する集落は関市の南に位置する。山あり、川あり、お不動さんがありと自然環境に恵まれた地区。その環境を最大限に生かした「トレイルランニング大会」が2017年から行われている。来年2月に行われるのが第4回となる。臼田さんが発起人であり、トレラン協会を立ち上げその代表をつとめる。
 若い頃は会社のサッカー部に所属し、休暇には山登り。実は北アルプスに近いところに移住しようかと密かに思っていたほどの山好きだった。それが、トレランを知ってすっかり魅了された。
 「次回は是が非でもキッズトレランをやりたいんだ。なんていうか、子ども達にはリアルな体験が本当に必要だと思うんだよね。今の子はさ、禁止事項が多くてさ、なかなかチャレンジできなんじゃないかなって思ってんの。危ないから、なんかあったら誰が責任を取るのか、とか、おとなも腰が引けてるよね。実は昨年ね、田原小学校の校長先生に頼まれて、3年生の児童の体験学習で迫間不動の山登りをさせたいから協力してもらえないかって、依頼があったんだよ。よっしゃ!チャンスやって思いましたね。そのためには、トレラン協会の会員に声をかけボランティアで付き添いをお願いしました。子ども55人に対して大人35人。落伍者が出ないよう、安全には万全を期しました。その時ね、一人の男の子が『怖い、歩くのやだーっ』って、ずっと泣いてたんだよね。自分はその時膝を痛めてたんだけど、ここは踏ん張りどころって思って、その子をずっとおんぶして登ったんです。いろんなことを話しながらね。途中の休憩ポイントで下ろそうとしたんだけど、それでも『やだーって』。そっか、まだ怖いのか、ならもうしばらくおんぶかなと覚悟を決めてたら、歩くと言い出した。そんでそこからは彼が先頭を歩いたんです。もちろんゆっくりとね。で、ゴールですよ。もういい顔してましたね。登っている最中はあんまり泣くのでもう帰そうか、と一瞬思ったけど、ここで帰したら彼には何にも残らないような気がしてね。どんなことがあっても、ゴールにつくことが大事って。それが達成感になると思ってましたから、彼の笑顔に救われましたよ」と豪快に笑う。
 熱い想いがズンと伝わってきた。損得勘定のない本気さが伝わってきた。今では、小学生も中学生も、臼田さんのあいさつにはちゃんとあいさつを返すという。来年の2月までは本業をあげてトレランの準備に余念がない臼田さん。キッズトレラン、実現まであと一息。臼田さん、頑張って!

2020年2月16日    

出発場所 ■大雲寺 岐阜県関市迫間1184 TEL0575-24-3354

ダブルコース44km/ロングコース22.2km:一般男子/女子(18歳以上)スタート8:30
キッズコース3km:小学生以下
スタート9:00
給水 4ヶ所(ロング)、1ヶ所(ショート)
サービス 受付地点にて、おにぎり、おしるこ、鍋など 【抽選会】あり
詳しくは ◆一般財団法人関市体育協会 TEL0575-23-8525

2020年2月 トレランのコース(ロング)  http://sportsentry.ne.jp


vol.191 ボーダーレス社会をめざして vol.50

NPO法人オープンハウスCAN 理事長 伊藤佐代子

明日

 障がいのある息子を持つ私が胃ガンを患ってから7年が経ちました。障がいのある子を持っているから、心配で死んでも死にきれないというような思いは全然ありませんでした。そこそこ準備ができつつあったからかもしれません。
 最近は2人に1人がガンになると言われます。最初の頃は、朝起きて「生きてる!」と毎日思い、感謝の日々でした。明日があるということは、希望がある証拠です。元気がない頃は、明日が見えませんでした。生きているかどうか分からなかったから何カ月後の約束はできませんでした。今は2カ月後くらいの約束はできるようになりました。手術後5年間は修行僧のように、玄米菜食に近い食事を続けていました。酵素玄米(寝かせ玄米)を作り、無農薬の野菜、調味料は本物を使い料理をし、たくさんの野菜と白身魚を食べる生活をしていました。勝手に自分で知り得た情報(肉類はだめと考えていた)のみで暮らしていました。  しかし、信じる者は救われるものです。腫瘍マーカーという数値はどんどん下がり、お医者さんもびっくりでした。半年に一回検査を受け、5年間経過を見て、何も出なければOK。5年が経ち、「卒業です」と言われ、喜んでの帰り道、不思議な感覚を味わいました。
 岐阜駅のあたりを歩いていて、「私の周りを歩いている人と私は同じになったんだ」と思ったのです。もう好きなように食べていいのだ。ピザを食べよう!坦々麺を食べよう!あれもこれも・・・。と思いましたが、そうはできませんでした。5年間、添加物の少ない生活をしていたため、変な?ものが入っている食事をすると、下痢や吐き気をもよおすようになってしまっていました。これはいけない!災害にあった時に何も食べられなくて困ると思い、私の体に刺激がなさそうなお弁当や外食のメニューを選び食べ、変な抵抗力のある体を作っているところです。今の私の舌には、外で食べるサンドイッチは塩気が多い、お弁当も濃い味が多いように感じます。しかし、周りの人は平気でそれを食べています。
 この違いをどう考えたらいいのか?人の体は食べた物からできているという当たり前のことを、5年間の体験から知りました。半年に1回ある検査は人体実験をしていたようなものでしたから。これを食べたら白血球の数値が上がるなど、ネットで仕入れた知識?を試行錯誤した5年間でした。現在、私がしている食生活が正しいとは思いませんが、自分で調理し、楽しく食べることが一番体にいいのだと思っています。食事をおろそかにしないことが、その人の明日という未来を築くと考えています。


vol.191 ここいく日記 はじめの8歩!

自分が大好き!

 私たち「ここいく」メンバーが「性教育=生教育」に出逢い、子どもたちに、「うまれてきてくれてありがとう」そして、「ありのままのあなたでいいよ」を伝えたくて始めた「いのちの授業」。心に響く授業を!と、出逢いを大切にしながら深化させてきた9年目の今年。「多文化共生コミュニティ いきる」の乳幼児のいるお母さんたちが、各務原市のまちづくり活動助成金事業に申請し、私たちの年齢別いのちの授業を企画してくれました。
 中学生の妊娠、学校のトイレで産んだ高校生、誰にも相談できず自宅で産んで道に捨てるしかできなかった子、性的ないじめを受け、自らいのちを断ってしまった子・・・目をそむけたくなるような悲しいニュースがあふれる今、子どもたちに、「あなたは愛されて生まれた、かけがえのないひとりなんだよ、自分をもっと好きになって大切にしてほしい、そして何かあったとき、寄り添いたいと思っている大人が近くにいるよ」と伝えたいと、熱い想いで企画してくれた事業です。
 今回、高2の息子に声をかけたら、「いのちの授業?行くわけないやん、花火に行くわ!」と即答。でも諦めずに、彼女と一緒に受けてほしいなぁと口説いていたら、数日後「行ってもいいよ」との返事。少し前に付き合い始めた彼女と、とても幸せそうに過ごしている息子と3人で参加できることになりました。
高校生対象授業の当日、導入は「月経中にSEXしたら妊娠しない?」「精子は冷えに弱い?」などの体の仕組みの〇×クイズ!それぞれ札を挙げて答えていきます(ちなみにどちらも×です)。意外と勘違いしている体のこと。答えを聞くと、へぇ~、そうなんだ!と心が動いているのが伝わってきます。


 そして妊娠、避妊、性感染症についての話。いつの日かパパ、ママになりたいと思った時に、願いが叶えられるように、そして望まない妊娠を防ぐために正しい知識を伝えます。性感染症については、参加者全員がいろんな色の紙片が入ったコップを持ち、全員が3人の人とコミュニケーションしながら中身を半分ずつ交換していくゲームを実践。実はこの交換という行為がSEXです。最初に赤い紙の入ったコップを持っていた人が性感染症に罹っていたという前提。最終的に赤い紙が入っていなかった人は12人中1人という結果!感染するリスクを実感しました。
また、多様な価値観や考え方があっていいこと。それは性でも同様で、LGBTの人が特別ではなく、左利きやAB型と同じように、当たり前のこととしての理解される必要があることを教わりました。また「愛」は、「相」や「合」という字の意味も兼ね備えていること。相手を思いやり、話し合い、ふれ合い、助け合い、励まし合い、認め合い・・・対等な関係を築いていくことの大切さを教わります。学生はNOセックスが一番の避妊方法だということも伝えられ、自分を守り相手を大切にするために、自分でよく考え行動を決めていくことの大切さに共感しました。
 そして、いのちが誕生する神秘的な映像や実際の出産のビデオを見たり、「大切なあなたへ」の朗読を聞いたりする中で、「うまれてきてくれてありがとう」という奇跡的で一番大切なことに思い返らせてもらい、感動で思わず涙する参加した大人たち。そんな大人の姿に触れた子どもたちに、愛されてうまれてきたこと、大切な存在であることが伝わる、かけがえのない時間になっていたら嬉しいです。
 日本では、性を語ることがタブーとなっていて、学校ではなかなか知ることができない現実。私たち親も、きちんと習っていないから、子どもに伝えられない。子どもも大人も幸せに生き、いのち輝かせていけるよう、この授業をすべての人に届けていきたいと思った瞬間でした!
最後に、授業を受けた息子の感想を紹介します。「おれ大事☆」             担当:ここいくメンバー・長縄恵実でした。


vol.191 自主上映会 タイマグラばあちゃん

プロデューサー: 伊勢真一・菅原淳一
監督:澄川嘉彦(すみかわよしひこ)
撮影:太田信明ほか
音響構成:米山靖
音楽:三上憲夫
語り:小室等

【あらすじ】
 岩手県のほぼ真ん中にある早池峰山(はやちねさん)の麓に「タイマグラ」と呼ばれる小さな開拓地がある。戦後10軒あまりの農家が入植したが、東京オリピックの頃にはほとんどの家が山を去り、向田(むかいだ)久米蔵・マサヨさんの二人だけとなった。
 それから20年あまり後の昭和63年、畑仕事にいそしむ向田さん夫婦の静かな暮らしに二つの事件があった。ひとつは夏に久しぶりのお隣さんができたこと。大阪出身の若者(奥畑充幸さん)が開拓農家の残した空き家を借りて住み始めたのである。もうひとつは、年の瀬になってタイマグラに電気がひかれたこと。昭和の最後に灯った明かりであった。
 自分が畑で育てた大豆を使っての豆腐作り、「お農神さま」への信仰、春一番の味噌作り 土に生きる素朴な暮らしぶりにかわりはないが、マサヨばあちゃんの歳月にはさまざまな出来事が起きてゆく。長年つれそった久米蔵さんの死、大雨にたたられた不作、奥畑さんの結婚、そしてばあちゃんが産婆をすることになった長男の誕生… 。
 2000年の春、ばあちゃんは心臓の発作で山をおり、一昨年の暮れに亡くなった。しかし、ばあちゃんの生きた証は消えない。タイマグラに住み続ける奥畑さんは家族とともにばあちゃんが教えてくれた味噌作りを受け継いでいこうとしている。

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かわらないもの    監督 澄川嘉彦
ばあちゃんの暮らしには便利な「モノ」はなくでも、さまざまな生命たちと一緒に生きているという安心と喜びがありました。かわることなく春夏秋冬をきざむ大自然がばあちゃんの笑顔を生み、暮らしを豊かに彩っているのです。

   自主上映会

日時:9月28日土曜日 18:00開場 18:30開演                      場所:長良川スポーツプラザ 岐阜市長良福光2070-7
上映協力金:800円  高校生以下無料
主   催:一般財団法人 日本熊森協会 岐阜県支部 共催:マクロコスモス 長屋章
申込連絡先:河口るり子090-1755-7684 松浦利重090-1787-2951


vol.191 半農半X vol.32

半径3キロ

 「人はな、生まれ在所(ざいしょ)から三里以内にでけたもんを食べてたら、体によろしねん」。これは作家・田辺聖子さんのお母さんのことばです。昔から、自分が暮らす土地から「三里四方」のものを食べたら身体にいいと言われてきました。「三里四方」の哲学は世界でも最も先端をいく思想といえるかもしれません。大阪の友人は「半径3キロ」にこだわったまちづくり活動をおこなっていて影響を受けました。半径3キロ内に住む人、お店や隠れた名所、動植物や自然などを掘り起こす活動です。この活動はもしかしたら、同じく最先端かもしれないと思うようになりました。自分が住んでいるところから半径3キロにこだわり、見つけた宝物をみんなと分かち合えたら、すてきだろうなって思うのです。
※一里=約4キロ

もうひとつのもったいない   

 台風、地震、温暖化・・・。過疎、高齢少子、年金・・・。私たちはいま「大難問時代」を生きています。いま、日本(日本人)の課題は何か。ある学者が以下の3点あげておられました。①「変革(イノベーション)ができるかどうか」。②「活用していない資源を活かすことができるかどうか」、③「連携(ネットワーク、シェア)できるかどうか」です。大きな変革はできなくても小さな変革を重ねていく。活かされていない資源が人的にも、村にも町にもたくさん眠っていて、それをどんどん活用していく。一人でできないことでも連携・協力しあえば、できることもいっぱいあるのですね。ノーベル平和賞受賞のワンガリ・マータイさんは日本のこころ「もったいない」の精神に光をあててくださいましたが、この国には、誰もが必ず有する「天与の才」や「地域資源」の「未活用」という「もうひとつのもったいない」がありそうです。各家庭にも、各職場にも、この各地域にも、きっとそれは豊富に眠っていて、掘り出されるのを待っているのです。

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塩見直紀(しおみなおき)半農半X研究所代表
1965年、京都府綾部市生まれ。20年前から「半農半X(エックス=天職)」コンセプトを提唱。半農半X本は翻訳されて、台湾、中国、韓国にもひろがる。著書に『半農半Xという生き方 実践編』など。

※半農半Xとは・・・半農は環境問題、半Xは天職問題(どう生きるか)を背景と する。持続可能な農のある小さな暮らしをベースに、天与の才を社会に活かす生き方、暮らし方。ex.半農半漁、半農半大工、半農半看護師、半農半カフェ、 半農半絵描き、半農半歌手、半農半鍼灸師、半農半カメラマンなどなど。


vol.191 未来に続く暮しの学びPrt-33

持続可能な暮らしのアイデア Part-3

 先月、冬至を迎えた南半球のオーストラリアでは、朝、晩がとても冷え込むようになってきました。 先日は初霜が降りて、亜熱帯系の植物は四苦八苦したりしていますが、昼間は春先のように暖かいので、なんとか持ちこたえています。

 数ヶ月前から、毎週火曜日をガーデニングDAYにしています。朝8時30分から12時30分まで、畑やパーマカルチャーに興味のある人たちが、専門家のレクチャを受けながら私たちと一緒に作業をします。それから私たちのテーマでもある「Farm to Table」でランチです。そして畑の収穫物がお土産となる、というガーデニングDAY。土と関わり、汗を流し、収穫を共に喜ぶ。 参加者が増えるほど、畑仕事ははかどり、Win Winの環境が生まれます。
 たくさんの手がこの土地に関わってくれることで、この”土地”そしてこの土地の元となる”土”を始め、参加者たち、私たちスタッフみんな笑顔で喜びに溢れているように感じます。
 特にこの時期は、春に備えて、苗植え、種植え、ガーデンベットを整えて、畑の整備をする時期となります。 しかし冬ならではの、大根や、根菜、ハヤトウリ、菜っ葉などの収穫があり、柑橘系の果樹には沢山の実が付いてきます。まさに収穫の秋!それらを収穫しながら、季節の移り変わりを楽しんでいます。
畑作業をすること、自分たちの食べ物を自分たちで作ることなどの意識が高まってきています。特にこの地域では盛んになってきました。
近隣でも似たような、コミュニティーや、パーマカルチャーガーデンを始める人たちも増えてきて、土とともに暮らすという意識が強まってきています。

こうした週ごとのアクティビティーを通して、ネットワークが広がっていくといいなと思います。