vol.203 ここいく日記 リレートーク はじめの20歩!

~帝王切開の話~

 ここいくの授業の中で、幼児・小学生のプログラムに「出産劇」があります。妊婦さんが登場して、陣痛~出産までを5分くらいでやってしまうという、まさに寸劇です。
 それでも子どもたちは生まれてくる瞬間を「がんばれ‼」と応援してくれます。出産シーンは妊婦の迫真の演技に(笑)子どもたちは真剣な表情でみています。そして生まれてきた赤ちゃんを見て、「人形やんかー!」とちょっぴり残念そう(笑)
妊婦と助産師2名の構成ですが、時にはお父さん役を先生や保護者の方にお願いし、登場してもらうこともあります。急遽その場で決まりますので、先生がお父さん役の時などは大盛り上がりします。
 そんな出産劇で生まれてくる赤ちゃんは、多くの人が経験する「経膣分娩」(産道を通って生まれてくる)で生まれてきます。
私は子どもの頃から出産に対して、憧れを持っていました。テレビのドキュメンタリーなどで出産シーンがあると、かぶりつきで見ては、『いつか自分もこんな風に家族に支えられて、生まれたばかりの赤ちゃんを胸に抱きたい。』いつも感動でぐしゃぐしゃに泣きながら、そう思っていました。しかし、実際は帝王切開での出産でした。
 予定日まであと10日の検診の日。おしるしらしき出血があり、病院に行きました。念のため入院になり、翌日赤ちゃんの心音が弱くなっているとのことで、昼からの緊急手術でした。旦那さんはお仕事で大阪へ・・・私の憧れの出産は叶わず、気が付けば全身麻酔で生まれた瞬間も夢の中でした。もうろうとした頭でしたが、「元気な男の子ですよ」との声に反応した写真が唯一の思い出です。
 それでも小さな息子はげんきいっぱい!未熟児で1か月の入院後は特に大きな病気もなく、すくすく成長していきました。
帝王切開で出産したことは、私の中に少しだけ、“残念”と、“ごめんね”という気持ちが残りました。普通分娩できなかった事に引け目を感じていたんだと思います。

 ここいくでの出産劇の後に必ずお話するのが 『帝王切開のお話』です。助産師役の人が、「帝王切開も生まれ方の1つだよ。膣から生まれてくることが難しい時に、お腹を切って手術をして、赤ちゃんが生まれてきます。手術で産むのは簡単だと思うかもしれないけれど、お腹を切ることは痛いし、手術後もお母さんはおっぱいをあげるのも大変です。赤ちゃんも息を吸う練習もできないまま、お腹の中から急に外に出されるので、息を吸うことも大変です。どんな生まれ方でも、お母さんと赤ちゃんは頑張っているんだよ。」
 この話を初めて聞いた時は号泣でした。それまでの引け目や、残念な気持ちは薄れ、「私も赤ちゃんも頑張ったんだ。」と気持ちが楽になりました。

 授業後のお母さんたちとの交流会の時、このことに触れ、交流会後に駈け寄ってきた方が『私も帝王切開です。同じ気持ちでした。話を聞いて私も楽になりました』と共感して話してくれたことがとても嬉しかったです。

 帝王切開だけではなく、コンプレックスを感じたり、自信がなかったり不安を感じながら子育てをしている方は、割といるな~と感じるときがあります。そんなお母さんにも寄り添えるここいくでありたいと思います。

 子どもは『生まれてきた時の話』が大好きです。お家でも写真などを見ながらお話できると良いですね。

担当:ここいくメンバー・今尾幸子でした。
ここいく☎090-3446-8061(中村)