今回の特集で、サスティナブル(Sustainable・持続可能な)ということばから、どうしたら「自分ごと!」になるのか思いをめぐらせ考えてきました。調べると ① 持続[継続]可能な ② 環境を壊さず利用可能な ③ 〔資源など〕枯渇させず利用可能な…
このようなことばが並びます。でも、なんか持続可能ということばがしっくりこない。さらに調べを進めると、「サスティナブルの和訳!これこそ自分ごとと捉えられるアプローチだ」と思えるある方のコメントにたどり着きました。サスティナビリティ学の専門家、工藤尚悟氏です。(東京大学大学院新領域創成科学研究科サステイナビリティ学教育プログラム)さっそくコンタクトを取りました。その工藤さんからコメントをいただきました。
主語はわたし。
「私たちが将来にわたって持続していきたいコトを考え、それを守ったり新しく創ったりすること」
サステイナビリティとは、今まで私たちの社会のなかで大事にされてきたことをまもりながら、これから新しく私たちの社会のなかで大切にされて欲しいことをきちんと大切にできるような仕組みをつくり、更にそのような考え方を次世代につなげる、という概念であると言える思います。
ここから、サステイナビリティの新しい和訳を考えると、それは「まもる・つくる・つなげる」がいいのではないでしょうか。
まもるは、守るであり、護るです。
大切なものを守り保全しながら、外から害を受けないようにかばい保護することです。
つくるは、作るであり、創るです。
物理的なものや仕組みを作ることであり、アイデアや価値を創ることです。
つなげるは、繋げるであり、継承(継いで承る)です。 人々が繋がり「私たち」という主語を持つことであり、世代を超えたつながり・継いで承ることです。
これまで「持続可能な開発」と言われてきたものも、今日からは「まもる・つくる・つなげる開発」や「まもってつくってつなげる開発」とかいう表現にしていきたいなと思っています。
こうしておくと「何をまもり、何をつくり、何をつなげていくのか」について、「誰がやるのか」を考えやすくなり、そこには主語が発生します。 それは「私」でもいいでしょうし、「あなた」でもいいと思いますし、または「私たち」で考えてみてもいいと思うのです。
工藤 尚悟(くどう しょうご)
地域のサステイナビリティに取り組む研究者。日本とアフリカを行き来しながら、お互いの地域の風土から学び合うトランスローカル論の構築に取り組んでいる。