〜季節のサイクルに乗る〜
自立的に次々とバランスを変えてゆくリズムを持っているのが身体です。
自分自身と環境や自分以外の人との間の反応によっても、身体のバランスはつねに変わります。季節の変化に対しても、いつも生きることの「最適化」をはかっています。
身体の季節サイクルがうまく回れば元気を得られるし、
季節のサイクルに乗り損なえば元気も出ず、体調も優れないという事になります。
季節は誰にでも訪れる基本的環境変化のリズムです。
季節を身体の側からあらためて見直してみましょう。
大まかな身体の四季のサイクルです。実際には地域やその年ごとに気候は違いますが、夏の冷房や冬の暖房など人工的な環境からも影響を受けるので、身体のバランスの変化はさらに複雑になります。
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頭から一気に気の流れがあふれ出し、頭蓋骨も骨盤も、全身が一旦脱力し,リラックスした状態になる。(頭蓋骨のつなぎ目がゆるみ頭の皮がたるむ。骨盤は広がる)
2月 骨盤右からゆるみ始める 身体がリセットされる時季
3月 頭から気の流れあふれ出る 最も敏感な排泄期
4月 最も気持ちよくゆるむ 春の仕上げ
梅雨 身体は夏の体勢に。汗をかき放熱しやすい身体になろうとするわけです。泌尿器と関連するポイントを調整しておくと、夏が来たときの身体のバランスが良くなります。梅雨後半になると、胸の周辺部、とくに胸の下の方と上腹部がゆるもうとします。胃腸など消化器の反応が敏感に。
7月は胃腸の働きを良くするチャンスでもあります。
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梅雨が明けると胸の中心部がゆるんで一番の熱源(心臓)のある胸から直接放熱しやすくなります。暑苦しいと感じるときは、胸の真ん中あたりに熱がこもり、胸が硬くなっています。冷房などで冷えて汗のかき方が少ないと、かえって硬くなります。こうなると呼吸が浅くなってぐっすり眠れなくなるうえ、胃腸の働きが鈍くなり食欲が落ちます。これが夏バテ状態です。
5月 ふんどし(骨盤)を締めなおす 春が過ぎ、引き締まっていく身体
6月 梅雨 汗をかきやすくなる 夏へ向かう身体へ
7月 胸ゆるみ始め暑苦しさをとる 胸は自家製のクーラー
8 月 胸柔らかく自前のクーラーになる 胸に弾力をつけて夏バテ防止
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ゆるんでいた胸が縮み始め、胸からの放熱が少なくなってきます。汗はかきにくくなり、身体は冷えへの対応をスタートします。敏感に対応する臓器は腎臓などの泌尿器です。腎臓はどの季節でもひどく冷えると熱がこもり、むくみやすくなったり、 おへその周りが膨(は)ってきますが、秋は冷えがダイレクトに腎臓に影響しやすいです。冷えると頭から下りてくる気の流れがつかえてしまい、とくに10月頃はのぼせやすくなります。免疫反応が敏感になり、春に次いでアレルギーを起こしやすい時期でもあります。
9月 胸のつかえをとりお腹の動き良くなる 胸を閉じていき感傷的な時季
10月 脇腹を引き締めお腹温まりやすくなる 「食欲の秋」犯人は冷え
11月 寒さへの準備 骨盤に力 「身をすくめる」晩秋の身体
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骨盤を中心に体全体がぎゅっと縮んで身体に熱を蓄えやすい寒さに強い身体になります。骨盤がダイナミックに反応する「骨盤期」の準備は11月から始まります。骨盤は左側から縮むため、骨盤はねじれた状態になります。これが腰痛を引き起こす場合もあります。同期して肩胛骨も左側から縮むので首の付け根にねじれが生じます。
12月 骨盤縮めて冷えに対抗 保温するからだ
1月 下腹に最大限 気を集中 最大限に縮む=集中する身体
私たちの身体は一息ごとにバランスを変えます。整体では、姿勢のバランス、身体の緊張・弛緩の変化のリズムに注目するわけですが、とくに注目するのが一息で姿勢のバランスが大きく変わる瞬間そのものです。
秋は寒かったり暑かったりをくり返し冬へ向かっていきます。その時に、体温の調整が必要です。急激に冷えると身体が引き締まりすぎて硬くなり、ぎくしゃくします。しかも均等には締めてくれません。人によって違いますが、どちらかというと右側を締めて、左側という順番になります。左右差が大きい状態が続くので、秋はねじれの季節とも言われます。そのねじれをゆっくり整えていきます。また秋は身体がどんどん変化しているときなので、その変化をスムーズにしようという意識が必要です。ねじれたから戻すんじゃなく、身体をもっと自由に自然にしてあげる。「戻したい」って思うのは頭(脳)が反応するだけ。身体って柔らかいんだなぁと考えればいい。きれいに縮んでいったら、冬には整います。
柔らかさを保ったまま締めていきたいので、そういう部分のストレッチをします。大きなポイントは、体側(脇腹)ですね。足の外側、内側(内もも)も伸ばします。もしくはマッサージをします。3呼吸4呼吸くらいで、ゆっくりじっくりと。ほどよく脱力できるといいのでペアで行うといいでしょう。じわーっと伸びてきたなぁ、と自覚する。やっぱりご自分の持っている感覚をたくさん使ってほしいですね。秋はその繊細さをうまく使えるときだから。そうして確実にじっくりと締めていくと弾力がある身体になります。弾力があると、対応しやすい身体になり、冬でも動きやすくなります。自分の中心に柔らかさがあるので、冬でも熱を生みやすくなるのです。一番熱を生むのは骨盤。とくに骨盤内の動きが重要で、骨盤低筋が柔らかい人は、内臓の温度を高くできるから、冷えに対してそんなに負担を感じないでしょう。いい引き締まり方をして、内部に弾力を持っているような身体になったら、冬でもTシャツや裸足でも過ごせますよ。
整体は、” 身体がなりたい状態”に後押しすることだと考えています。身体だけではなく、実は心も関係が深いんですね。感情も身体の状態から生まれてきます。たとえていうと、悲しいから泣くんじゃなくて、泣くから悲しい、というように行動が先であとから感情がついてくる。ある出来事による思いがあって、誰にも言えない、ぎゅっと出さないようにこらえると、胸を締めて呼吸がしづらくなります。その体の反応を不安感と思い、出来事と直接結びつけてしまいがちなのですが、実は感情さえも身体の状態が左右しています。では骨格標本のように体をきれいに整えました、といったらその人はイキイキするでしょうか?ちょっと違うと思うんです。その人の営みが大事、その人の命そのものが大事だと思うんです。
談:整体師・南埜勉己(みなみのかつき) 体と心の整体 和面(にぎおも)