誰もが幸せに暮らせる日々を願って
フィリピンの子どもたちの支援活動を続ける
細野 達矢(ほその たつや)さん
「TTY’s little help」。TTYとは達矢、自分の名をさす。その活動名が表すように、小さな支援活動を続ける細野さん。
2016年に語学留学で初めてフィリピンセブ島を訪れた。そこで目にした、ストリートチルドレン、スラム街やゴミの山で生活する子どもたちの姿は衝撃だった。その衝撃はやがて疑問に変わってゆく。「これほどまでに貧困なのに、幸せそうな、このキラキラ輝く瞳はどこから来るのだろう?」
方や日本は、経済的、物質的には豊かな人が多いのに、人々が感じる幸福度が低いといわれ、自殺者も後を絶たない。
「自分なりに考えてみれば、その違いはひと言で言えば「人間関係」かもしれない」と細野さん。
困ったことがあればお互いさまと、みんなで助けあうのが当たり前。家族の誕生パーティーを開いている家の前を人が通りかかれば声をかけ呼び込む。人との結びつきが強いと感じたフィリピンの人々。路上生活している人からは富裕層の生活も垣間見えるはずなのに、彼らにはネガティブな思考はないようだ。しかし決して捨て鉢ではなく「いつか自分の家を持ちたい」と自分なりの夢や希望を持っている。出会った人たちからは心の豊かさが感じられた。
そんなフィリピンの人々に惹かれカメラを向け、写真集「What Is Happiness? Are you enjoying your life now?」を帰国後に自費出版。写真を撮らせてもらった恩返しに少しでも、と本の売上金の全てを、食事支援や孤児院へのお金と物質の寄付に使用。その後も自分にできる支援活動を続けてきた。
今年6月には新たな活動を始めた。自身がデザインしたTシャツを作成し、希望者が1枚購入するごとにその収益の一部で、現地の子どもたちに シャツ1枚がプレゼントされる。プレゼントの シャツの制作は現地のスタッフが担当、雇用とまでもいかないが、わずかでもお金が動く。今はコロナの影響で思うようには動けないが、そんな状況でもできることがあるはず、と生み出した支援だ。
今まで6度フィリピンに足を運び、活動を続けてきた細野さん。「まだまだ自分は知らないことばかり。もっとフィリピンに滞在して、現地のことを良く知ったうえで、日本のみなさんに伝えていけたらって思います」。
厳しい貧困生活を送りながらも、陽気でフレンドリーな人々、街のいたるところには音楽が溢れる。「僕と肌があう」、そう感じたフィリピンという国。その向こうに日本がくっきりと浮かんでくる。
「日本では、こうでなければいけない、と常識とされることに縛られてそこで苦しい思いをしている人が多いように感じます」
いろんな形の幸せがあっていい。だからフィリピンの子どもたちの輝きを日本の人にも知ってほしいし、フィリピンの人々の支援を続ける。文具などの寄付や幸せに関するアンケートやインタビュー、現地の子どもたちの絵画展など、今後の活動プランは次々と湧いてくる。活動を通じて、日本でもフィリピンでも、幸せを感じる人がひとりでも多くなれば、細野さんはそう願っている。(岐阜県揖斐郡在住)
※Tシャツは1枚3,000円。コットンの黒地にプリントされた細野さんのデザインは6種類。後日購入者にはTシャツを着た子どもたちの写真が贈られる。Tシャツのデザインはインスタグラム参照。購入希望は細野さんまで電話かメールで。
Instagram:photographertatsuyahosono
Email:tatsuyahosono59@gmail.com
電話080-9486-7391
・2016年 6月〜フィリピンへ語学留学、10月〜写真集自費出版
・2019年 3月フィリピンで食事支援、孤児院へお金と服の寄付、12月孤児院、小学校、スラムへ服のプレゼント
・2020年6月〜Tシャツ販売開始