vol.196 トンガからこんにちは! 連載-2

 Malo e lelei !!(こんにちは)いかがお過ごしでしょうか?
 さて、緊急事態宣言中はどのように過ごされましたか??

 トンガの離島は、娯楽施設がないです。あるのは、海。透き通るような海。そして、その海を映し出しているかのような、爽快な空。夜になると満天の星が輝いてます。その海にぷかーんと浮いたり、近所の犬と遊ぶと、トンガ人と擦り合わなかった感情や何もできない自分への虚無感も、スーーーーーっと、流れていく気がしていました。

 いつもいつも、波の音を聞き、海を横目にして過ごした7ヶ月間。肥満対策に行く!と張り切っていた気持ちは、なかなか活発な活動につながらなかったのですが、海のおかげで、快適に過ごしておりました。
 そして、ふと「あぁ、このテンポ。ここ、農業省なのに、暑い日は日陰で涼みながらおしゃべり。何にも進んでないけど、このテンポがいいんだ。何にも進まないくらいが、海を清潔に保てるスピードってことなのかもしれない。」なんて思ったことがあります。コロナウィルスによる避難帰国の通達を受ける1週間ほど前のことでした。
 そしたら、やっぱり朗報、経済活動が止まったことによる環境の変化(一時的だとしても)と言えるようなニュースが続々と集まっているんだとか。ベネチアの水路が綺麗になったとか、ヒマラヤ山脈が見えるようになったとか…
 私たちは今、何をして生きるかと共に、どういうスピードで歩んでいくのか?にも目を向ける時なのかもしれないと思っています。

 と言うと、トンガの暮らしがさもクリーンで、環境問題がないかのように聞こえますが、あります。あるんです。ゴミ!プラスチックゴミ!金属!車!森に捨て放題!
小さな離島には工場がないので、森がゴミ捨て場です。

 ハーパイではペットボトルやお菓子のパッケージ、様々な輸入商品は最終的に森に持っていくことになるのですが、このようなものに対する「ゴミ」の意識が全くありません。お菓子を食べ終わった後は、オフィスであろうと、道端であろうと、ビーチであろうと、スルスルと彼らの手から抜け落ちてしまいます。むしろ、物に対する執着?関心?が極めて低くて、まだ中身があっても、その辺に転がって行きます。それは時に、Bahebahe(バヘバヘ)と言う「分け合う」精神にもつながっていて、良い面もあります。しかし、ゴミ拾いする私に「熱でもあるの?」とバカにされた時には、流石に教育の差を感じました。普段は学校教育の必然性をあまり感じていなかったのですが・・・

 その一方で、日本と違い、「フードロス」(食品廃棄物・可食部)「フードウェイスト」(食品廃棄物・可食+非可食部)は限りなくゼロに近い気がします。それぞれの家庭で豚や鶏、犬などの動物を飼っているからです。私は家で生ゴミが出たら、庭に”ポーイ”と捨てて、お隣の犬や鶏に勝手に食べてもらってました。 コンポストすら必要なしです。会食をした時に魚や肉の骨が出ても、みなさん動物用に持って帰っていたし、食べ物=ゴミにする感覚はない気がします。そうして、元気に育った豚さん、鶏さんを晴れの日に丸焼きにしていただきます。

 食の循環が分断された日本の多くの都市では、こうゆう食糧サイクルは見られません。加工品も多く、全てがパッケージされています。フードロスの削減はプラスチックゴミの削減にもつながる、食の一大問題と言えるでしょう。コロナをきっかけに、増えているテイクアウト用プラスチックパッケージ・・・環境問題に目を背けず、一人ひとりが自分ごとにできる日は訪れるだろうか!?

 ゴミ処理工場があろうがなかろうが、分別してリサイクルできようが、まず自分が手にとり、使うもの、食べるもの、関わるものに責任を持った行動をしたいですね。私は、俄然あの綺麗なトンガの海を守るために!頑張ります♩

全隊員の帰国指示
COVID-19の影響でJICA全隊員一時帰国中。多くの途上国では医療が整う先進国へのアクセスか良いことが活動の安心材料でもあります。いつトンガに帰れるかはわかりませんが、トンガの魅力が伝わるように頑張ります!引き続きよろしくお願いいたします!


加藤美希(かとうみき)農的暮らしに落ち着きたいと思いつつ、ついつい旅人人生を送っている管理栄養士です。旅するうちに、「伝統料理と健康の秘密」が人生の研究課題に。今回のミッションはトンガで蔓延する肥満や生活習慣病の改善。伝統料理の推進と学校菜園を通して、将来トンガの人々が世界に有する健康大国になることを願って日々奮闘中。