性交について。
性教育と聞くと、性器の話や性行為の話だと思う人が多いのではないかと思います。
小学校や中学校に「いのちの授業」に行って最初に「皆さんのいのちはどうやって生まれたのか知っていますか?今日はいのちの話をしに来ました」と言うとニヤニヤしたり恥ずかしそうしている子がいます。
私たちのいのちは性交から始まりました。両親が性交をしなければ私たちのいのちは生まれていません。性交はいのちをつなぐとても大切な行為だということを大人が教えていないから、多くの子どもたちが性を商品や暴力として扱うネットや、アダルトビデオや漫画などから学んでいます。そういう情報の中の性では、「いのちの尊さ」を学ぶことはできません。正しい性を学んでないから、子どもたちは性を恥ずかしいこと、いやらしいこと、エッチなことというように刷り込まれてしまっていると感じます。
学校の学習指導要領には性交は教えないとされています。
2次性徴や、卵子と精子が受精卵になり、子宮の中で赤ちゃんに育ち生まれてくるということは習うが、受精卵になるための行為、お母さんのお腹の中にある卵子に射精された精子がどうやって届けられるのかがすっぽりと抜け落ちています。そうなるとどうなっているのか知りたくなるのは当然のこと。でも、性のことは先生にも親にも聞きにくいとなると、友達に聞くかネットや漫画など性産業のものから調べるしかありません。
昔は、大人がわざわざ教えなくても自然と伝わってきたことかもしれない。学校で教えるものではない「寝た子を起こすことはない」という意見がありますが、朝日新聞デジタルのアンケート調査によると「あなたがセックス 性交とその意味について知ったのはいつですか?」の問いで約89%の人が中学生までに知ったと答えています。小学生までに知った子は約半数です。寝た子はほとんどいなくてとっくに起きています。
このような現状でも、子どもたちに正しい性を学ぶ機会が保障されていないのです。授業で性器の仕組みや働きの話をすると、ざわざわし始め話が進んでいくと、「キャー」とか「えー」の声があがるか、下を向き、話が出来ないぐらいざわざわするときもあります。ざわつきが収まるまで少し待って、性器はエッチなところ、恥ずかしいところではないこと、大切な働きがあることを丁寧に伝えます。そして、性交を含むいのちの成り立ち、いのちの稀少性を伝えていくと、子どもたちの表情が変わっていきます。体の中でどの働きもとても大切なのに、性器だけはいやらしいと思ってしまう。目や耳の働きを勉強するときにはこんなにざわつくことはないでしょう。それぐらい性の話はタブー視されて、大切だという教育がされていないのです。
性という字は (りっしんべん)に生きると書きます。
( りっしんべん)は心という意味なので性は心を生きる、生き方を学ぶということ。こういうことを大人も学んできていないのです。だからこそ、性を本気でかっこよく語れる大人になりたいと思っています。最後に尊敬する助産師で性教育の大先輩でもある山本文子さんのことばを紹介します。
担当:ここいくメンバー・中村暁子でした。
ここいく☎090-3446-8061(中村)