障害者差別解消法
7、8年前、グループホームをつくろうと、行動をしたことがあります。事業所近くに適当な土地が見つかり、その近辺の人に説明をしようと出向きました。予定地の周りの人にビラを配ったところ、びっくりすることが起きました。3、4人に取り囲まれ、グループホームでは夜に誰か見張りの人がいるのか?車いすじゃないのか?車いすだと移動制限があり襲われることはないから安全だけれど、一人で歩く人は何をするか分からないから、危険だと。この言い方はどうなんでしょう?障がいのある子どもを持つ私に面と向かって、そのように平気で言われる。それを言われた方たちは、昔からその土地に住んでいらっしゃる高齢の方ばかりでした。この偏見に満ちた考えには驚いたのと同時にショックでした。世の中には、まだこんな考えの人がいるんだ。自分の家の近くには障がい者の施設は来て欲しくないのだなと。
平成28年4月から障害者差別解消法(正式名称:障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律)がスタートしました。この法律では「不当な差別取り扱い」を禁止し、「合理的配慮の提供」を求めています。例えば、受付の対応を拒否する、本人を無視して介助者や支援者、付添の人にだけ話しかける、学校の受験や入学を拒否する、不動産屋さんなどで障がい者向けの物件はないと対応しない、保護者や介助者が一緒にいないとお店に入れないなど正当な理由なく拒否することです。正当な理由があると判断した場合は、障がいのある人にその理由を説明し、理解を得るよう勤めることが求められます。私を取り囲んだ人たちは、明らかに法律違反になります。これから、この法律により一般の方がどのように変わって下さるのか楽しみです。それにはまず障がいのある人たちを理解してもらわないといけないのですが、小学校、中学校で同じクラスに障がいのある子がいる、または特別支援学級と交流するなど、少しでも接点があると理解はしやすいのかなと思います。
現在は、障がいのある人たちは、ヘルパーさんと一緒に外出できる制度が出来ていて、出かける人が増えました。岐阜市を歩いている時や電車の中でよく見かけます。社会のルールを学ぶため公共交通機関を使って移動をしています。ヘルパーさんと一緒にお風呂へ入る方もいらっしゃいます。体を清潔に保つことを学びます。時間はかかりますが、少しずつ彼らは学んでいきます。私を取り囲んだ人たちの既成概念「障がい者は怖い人」を払拭するためには、障がい者自身が社会に出て、知ってもらうということが必要になります。どうか障がいのある人たちを街中で見かけましたら、温かい目でそっと見守って頂けると嬉しいです。いつか障害者差別なんて言葉がなくなることを願っています。