vol.179 かなでの沖縄だより-3

レクイエム、心を込めて歌えました

沖縄平和祈念堂

6月11日 モーツァルトレクイエムコンサート(「ぬちぬぐすーじさびらコンサート」)が無事に終演しました。(※1)会場の沖縄平和祈念堂は思っていたのとはまったく違い、中に入ったらすぐに大きな大仏さんがいてビックリしました。
すごく響いて、うたっていてすごく気持ちよかったし、沖縄戦でお亡くなりになった24万人を越える人たちの魂を鎮めるための「レクイエム(鎮魂歌)」だけあって感じることがたくさんありました。

沖縄戦のことをまだ何も知らない私は、勉強してからまたここに来たいと思いました。私の記憶の中で、沖縄戦(※2)は「小学校・中学校の時にやったかなぁ?」というあいまいなものです。戦争と言えば、広島・長崎に原爆が落とされたということだけが頭にあり、沖縄のことはどうしても忘れがちになってしまいます。高校でも、音楽科だった私は修学旅行で沖縄に来ていません。しかし、沖縄に住んでみると、アジア太平洋戦争の末期にここですごいことが起きてたんだということが伝わって来て、ここにいるうちにしっかり学ぶべきだと思いました。

6月23日が沖縄戦の区切りとなった日で、「慰霊の日」として休日になるということはこちらにきて初めて知りました。家を出た近くに「うどんやま」という小さな丘みたいなものがあり、そこにも碑のようなものが建てられていて、薄く名前が刻まれてます。しかし、この日は怖くて、とても良い天気だったにもかかわらず、家から出てそこへ行く気にさえなれませんでした。また、家から遠く海が見えるのですが、いつもなら綺麗と思える海がそうは思えず、なにかどよんとしてました。私のアルバイト先の奥さんも「いつもは綺麗に見える糸満の海も、その日は綺麗に見えなかったよ」…と言ってました。

沖縄にいる多くの人の心が慰霊の気持ちで満ち溢れているこの日だからこそ、悲しみに包まれて海がきれいに見えなかったのかなぁと思いました。

そんなわけで外に出ることができなかったお昼、平和祈念式典をテレビで見ました。高校生が朗読する詩(※3)を聞いて涙が出てきました。初めて沖縄で迎えた慰霊の日、沖縄の人だけじゃなく、内地の人にも、広島や長崎だけじゃない、沖縄で起こったことももう少し知って欲しいと思いました。

※1ぬちぬぐすーじさびらコンサートin摩文仁「モーツアルトレクイエムコンサート」(日時:6月11日午後6時):沖縄戦などで亡くなられた24万余の人々が刻銘されている平和の礎、そのすべての方々の追悼と沖縄平和祈念堂をはじめ平和祈念公園から全世界に恒久平和の祈りを発信するためのコンサートです。沖縄平和祈念堂のHPより
※2沖縄戦:太平洋戦争末期の1945年、沖縄で繰り広げられたアメリカ軍と日本軍との戦い。特に4月1日米軍が沖縄本島に上陸してから6月23日に日本軍の組織的抵抗が終わるまでの約80日間は日米両軍に多くの犠牲者が出たばかりでなく、沖縄県民の4人に1人が無くなったと言われている。両軍、民間人を合わせた戦没者は20万人以上に達する。
※3「沖縄慰霊の日 平和の詩 2017」で検索