【Vol.165】腸の話しPart-2

腸タイトル

余計なことを考えすぎる→お腹の調子が悪くなる
身体の器官に照らし合わせた場合、余計なことを考えているのは「脳」であり、その結果、調子が悪くなるのは「腸」になります。

元気に生きるための源は腸にある
頭で考えることをあまり大事にしすぎると腸はストレスでうまく働かなくなり身体は不調を訴えます。つまり、腸が元気だからこそ脳も元気に働く。これまでの腸と脳の上下関係をいったん見直し、私たちは身体の中心=ハラを意識する感覚を身につけていくべきです。「頭で考えること」はタテマエで、「腸で感じること」はホンネ。腸は心地よさに敏感です。腸には身体が望んでいること<ホンネ>がたくさん詰まっています。

大事なのは、感じる力を身につけ、お腹(腸)の声に耳を傾けること
何が正しいかを問いかけているかぎり、腸は少しも喜びません。それよりももっと頭を柔らかくして。いくら腸に優しいからといって、頭で正しいと思って食べているうちはつらいだけ。
腸・菌

「食べたい!」という欲求が「感情の」原点
「食べたいと言う欲求は生物に宿った最も原始的な感情(情動)と呼べるもの。空腹になるとまず腸が動き出し、それが神経を介しエサを見つけようという体の動きにつながる。この時代の生物は、なまこのようなもので、口から肛門へと続く消化管と脊髄の原型しか持ち合わせていません。まだ、脳はなかった。にもかかわらず、なにかを感じて生きていたのです。

「腸」と「心」と「ストレス」の深いつながり
通常、感情の源は脳にあると思われていますが、生物の進化の歴史に照らし合わせるとそうともいえません。食事の乱れは程度の差こそあれ、腸に炎症を起こします。この腸の炎症は腸内環境が乱れている1つの目安(お腹を押さえてチクチクした痛みがあるときは要注意)、免疫の働きにも影響したり、有害な菌(悪玉菌)を増やすことになってしまいます。
食べ物の内容によって、腸内は発酵か腐敗か、どちらかの環境に傾いています。発酵は生命を生かす方向に導いてくれますから、腸の働きと照らし合わせると消化吸収がスムーズにすすんだ状態。腐敗は、文字通り生命を腐敗させ、炎症を起こしたり、代謝と滞らせたりすることで、さまざまな病気を引き起こす原因に。腸と食べ物とストレス……この三者が互いに影響し合いながら、私たちの感情をアップダウンをくり返しているのです。

食べ物の乱れは心(感情)の乱れにつながる
現代社会で最も欠けてしまっているのが、このハラ感覚。それは、バイタリティーという動的なものだけでなく、もっと静的な、精神面での落ち着きにも関係している。お腹(腸)の調子を整え、気持ちがどっしり落ち着くことで、人はハラが据わり自分らしさを取り戻せるわけです。メンタルトレーニングに食事の改善を加味すれば、より効果的。

味噌や納豆が「腸に優しい」のはなぜか?
むかしの日本人は腸の喜ぶ食事を続けてきた「腸脳力民族」
日本生まれの発酵食に注目しよう!
日本では昔から、腸の働きを活性化させる食べ物が数多くありました。味噌や納豆、漬け物などがその代表ですが、腸内細菌のエサになると言う…では、食物繊維を多く含んだ根菜類、未精製の穀類(玄米や雑穀)もおすすめです。

細胞の生命力をいかに高めるか
腸内細菌が生息しているのは基本的には大腸のほう。これに対し、消化吸収を担っている小腸は、体に必要なもの(栄養素)と必要でないもの(菌やウィルスなど)をより分ける必要があるため、多数の白血球が待機しています。免疫というと、菌やウィルスを抗体という武器をつかって捕まえる白血球の仕事ばかりが注目されますが、抗体の製造には時間がかかるため、待っていてはとても対処しきれません。そこで、腸の内壁を構成する細胞が自然免疫センサーを駆使して初期段階の防御を引き受けます。食べ物と一緒に摂取した善玉菌(乳酸菌)は、じつはこのセンサーを刺激し、腸の免疫機能を活性化させる働きがあると考えられています。
食べてエネルギーを引き出すこと(=代謝)、異物から身を守ること(=免疫)、その総和が細胞の生きる力であるとしたら、それは「生命力」と呼んでもいいものでしょう。

アタマ(脳)ではなくハラ(腸)で感じるには
生命力ごはん
脳が進化する以前から機能してきた腸は、食べるということを通じて、生物の世界とつながった場所、外部の自然との接点でもあるのです。あるものをただ受け入れる。それが「ハラで感じる」ということなのです。一人ひとりのお腹の中には地球に暮らすヒトの数をゆうに上回る数の菌達が棲んでいます。日本の発酵食品を摂ることで菌とのつながりを良くしたいものです。

実践・腸脳力 長沼敬憲/BABジャパン