「伝えたい100の話」
人はみな、誰かに伝えたい話をきっと持っています。子どものとき、おばあちゃんから聞いた話、先生が授業中してくれた話、職場での感動の出来事、子どもから教わったこと、本や講演などで知った話などなど。あるとき、こんなことを思いつきました。一人ひとりが誰かに伝えたい心に残る話を100個書き出し、それぞれの話について、400~600字書くというものです。私にとって大事な話を1つ、例としてあげてみましょう。20代の時、講演で聞いたアフリカのことわざ「お年寄りが亡くなるということは、図書館が1軒、焼失するのと同じ(=知恵が失われる)」はそんな1つです。みんなが伝えたい話を持ちより、それに学び、まちづくりや新しい時代づくりに活かせればと思います。まずは1個でも10個でも、書き出してみましょう。宝物がいっぱい眠っていることに気づきます。
「歌いたい歌があるなら」
数年前、本の取材で、歌手の加藤登紀子さんと次女Yaeさん親子と鼎談する機会をいただいたことがあります。会場は亡くなった登紀子さんのご主人・藤本敏夫さんが築かれた千葉県鴨川市の「鴨川自然王国」です。いろいろ話題が 尽きない中で、登紀子さんがふとこんなことを話してくださったことがいまも心に残っています。登紀子さんはときどき、若い人から、「どうしたら歌手になれますか?」と問われるそうです。そんなとき、決まってこう答えるそうです。「なろうと思えばすぐになれますよ。歌いたい歌が、届けたい歌があるなら」と。歌手とは何かを教わったような気がしました。登紀子さんの歌のテーマは「愛と革命」だそうです。20年ほど前に作詞作曲された「Revolution(レボリューション)」は私の座右の曲。大変な時代だけど、1人ひとりがゆっくり変わっていきましょうという熱いメッセージ。いまも勇気をいただく一曲。おすすめの歌です。
塩見直紀(しおみなおき)半農半X研究所代表
1965年、京都府綾部市生まれ。20年前から「半農半X(エックス=天職)」コンセプトを提唱。半農半X本は翻訳されて、台湾、中国、韓国にもひろがる。著書に『半農半Xという生き方 実践編』など。
※半農半Xとは・・・半農は環境問題、半Xは天職問題(どう生きるか)を背景とする。持続可能な農のある小さな暮らしをベースに、天与の才を社会に活かす生き方、暮らし方。ex.半農半漁、半農半大工、半農半看護師、半農半カフェ、半農半絵描き、半農半歌手、半農半鍼灸師、半農半カメラマンなどなど。