vol.172 メディアよもやま…ばなし 新連載-1

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底力をみせて!テレビ局
近頃、テレビのあたりがなんだかキナ臭いと思いませんか? 春の新番組では、テレビ朝日『報道ステーション』の古館伊知郎、NHK『クローズアップ現代』の国谷裕子、TBS『ニュース23』の岸井成格ら、おなじみのニュースキャスターが画面から消えました。番組が政府からにらまれていたからだ、と言われています。事実、『報道ステーション』と『クローズアップ現代』の責任者が、去年自民党に呼びつけられて“事情聴取”され、その後高市総務大臣が『クロ現』のヤラセ問題で、NHKを「厳重注意処分」にしたという背景があります。『報ステ』では、原発問題や日本人人質事件をめぐって、政権に批判的だったプロデューサーや古賀茂明コメンテーターが去年、同時に番組から外されていますが、最終回での発言を、自民党や政府が蒸し返して呼びつけたものです。さらに今年になって高市大臣は、「政治的公正を欠く放送を繰り返したら電波停止もありうる」という高圧的な発言をし、首相も国会でこれを認めました。
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ところで放送法には、番組の内容を根拠に「処分」「停波」する条項はあるのでしょうか?憲法21条は「言論・表現の自由」を定めていますから、もちろんそういう条文はありません。逆に放送法3条は、「放送番組は、法律に定める権限に基づく場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない」と明言しています。それらに従って放送局は、「公序良俗を守る、政治的に公平である、報道は事実をまげない、意見が対立している問題は多くの角度から論点を明らかにする」という放送局自身による「自律」の原則(放送法4条)を持つことになっています。しかし、高市総務大臣らは、自律の原則を無視し、「公平を判断するのは総務省だ」と法的な根拠もないのに声高に叫んだり、「免許を取り上げるぞ」と、あからさまにテレビ局を脅しています。政府を批判する意見を封じようとするものです。これに対し、テレビ局の連盟や憲法学者たちが抗議しています。
パリに本部を置く「国境なき記者団」が毎年発表している、各国の「報道の自由度」ランキングで、日本は180の国と地域のうち、かつては10~15位でしたが、今年4月の発表では「72位」と、去年の61位からさらに順位を下げました。だんだん、どこかの独裁国に似てきますね。

つだまさお・プロファイル
1943年金沢市生まれ。京都大学卒業後1966年~1995年NHK(福井・岐阜・名古屋・東京)で報道番組の制作・開発に従事する。その後東邦学園短大、立命館大学でメディアやジャーナリズムの在り方を教えたり、全国の市民メディアをつなぐ仕事に携わる。ぎふメディアコスモスの中から発信する市民による市民のための放送局「てにておラジオ」代表。





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