【Vol.165】“天然の暮らし”応援団  

ƒvƒŠƒ“ƒg各務原ワークショップ代表の医学博士・渡部和男さんを団長に「天然のくらし応援団」というコーナー誕生。日常生活を脅かすものはなんだろう?環境化学物質の影響は?など。渡部博士に質問し、それに答えていただく形で連載します。素朴な質問、専門的な質問、どしどしお寄せ下さい!info@niramekko.comまで

第2回目「除草剤について」

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除草剤ラウンドアップの有効成分、グリホサートに発がん性
除草剤ということばで何を思い出しますか?私はベトナムで生まれたベトちゃんドクちゃんを思い出します。1961年から1975年、ベトナムでは米軍や南ベトナム軍ががゲリラ対策として枯葉剤を散布していました。枯葉剤の中にダイオキシンが含まれていました。これが奇形発生の原因と考えられています。
最近の除草剤はダイオキシンが含まれることはなく、安全だと考えられてきました。特に除草剤ラウンドアップは安全な除草剤と宣伝されてきました。しかし、今年の3月20日に世界保健機構(WHO)の国際がん研究機関(IARC)が、ラウンドアップの有効成分グリホサートを「おそらくヒトに対する発がん性がある」物質としてグループ2Aに分類し直しました。
米国やカナダなどでグリホサート被ばくにより人間の非ホジキンリンパ腫のリスクが増加し、実験マウスでグリホサート投与により腎臓がんや血管肉腫、皮膚腫瘍が、実験ラットで膵臓腫瘍が増加すると、世界がん研究機関告は報告しています。
グリホサートが分類されたグループ2Aの中にはタバコなどが燃えた時にできる有名なベンゾピレンが含まれており、肺がんの一因とされています。
グリホサートの特許が切れ、各社が製造するようになりグリホサートが入った除草剤が販売されています。ポラリス液剤やクサトリキング、エイトアップ液剤、サンフーロン液剤、グリホス、草当番、タッチダウンなどはその一部です。これ以外にリホサートを含むが農薬として登録されていない安価な除草剤は多数あり、道路のそばや空き地や駐車場など身近な場所にしばしば使われています。
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グリホサートのような発がん物質から自分や子どもを守るために、グリホサートが入っている除草剤を使わないようにし、除草剤が散布された路肩や空き地で子どもを遊ばせないようにしましょう。できれば、「茶色に立ち枯れた草の所にはがんを起こすかもしれない農薬が散布されているかもしれない」と用心するように、子どもたちに教えましょう。グリホサートに曝(さら)されることが大きく減るでしょう。
しかし、それだけで良いのでしょうか。毎日食べる豆腐や味噌、納豆の原料である大豆のほとんどは輸入品です。アメリカから輸入される大豆にはラウンドアップレディ品種があります。この品種はラウンドアップを噴霧しても枯れないように遺伝子が組み換えられています。大豆畑の除草にラウンドアップを使うと経済的で楽な除草ができます。このためかなり多くの大豆がラウンドアップをかけられながら生産されています。私たちの食卓の上にまでラウンドアップの成分グリホサートが上っているかもしれません。心配な人は大豆製品製造者に大豆の生産地を問い合わせましょう。だたし、これは大豆だけの問題ではなく、コーンや菜種などにも注意が必要です。最近は関市など大豆生産が盛んになっている地区があります。

グリホサートが抗生物質耐性を高める
グリホサートに発がん性の恐れがあるというニュースとともに、同じ3月にはアメリカ微生物学会誌に、グリホサートなどの除草剤が細菌の抗生物質耐性を高めるという論文が発表されています。現在の医療で抗生物質は病気の治療に非常に大きく役立っていますが、抗生物質の過剰使用などで抗生物質耐性菌が現れ、抗生物質が効きにくくなっています。耐性菌を増やさないために、グリホサートなどは十二分に慎重に使用しなければなりません。

みなさん、これでも庭で除草剤を使いますか?

わたなべかずお:福島県生まれ。新潟大学卒。浜松医科大学勤務(脳研究と教育に従事)医学博士、各務原ワークショップ主催(毎月第4木曜日13:00〜 渡部宅(各務原市蘇原東栄町)主に健康と環境に関することの勉強会)参加希望者はbandaikw@sala.dti.ne.jpまで