I`m Challenger
自然の中での育ちあい
2009年6月に開園した、園舎を持たない認可外幼稚園「森のわらべ」は、多治見市内の里山や緑地公園などがフィールドです。雨が降っても基本的にはいつも屋外で活動をしています。だから親御さんには、入園時にはカッパだけはきちんとした登山用のレインコートを買っていただいてるんですよ。特に冬場の雨にあたってしまうと、小さい子は体温を奪われてしまいます。そういった雨対策をきちんとすれば園舎がなくても充分活動できます。逆に園舎がない気楽さ、自由さをすごく感じていて、園舎が欲しいとは思ってないですね。
ただ、野外の体験が第一の目的か、というと、そうではないんです。子どもの育ちに寄り添ってみたら自然が一番いいフィールドだったということ。子どもって、とっても自然な生き物なので、彼らが持っている物を一番受け入れてくれて、また、子どもの育つ力を発揮できるのが自然の中かなって思うんです。
私自身、次男と春日井市の森のようちえんに通いました。そこでは、母であり、スタッフでもあるという経験をし、母親目線で森のようちえんを見た時に、あぁ、すごくいいなぁと思ったんです。お母さんたちが関わる度合いが普通の幼稚園や保育園と比べたらうんと濃い。それが外側から見たらとても大変そうに見えると思うんですけど、お母さんたちにしてみたら、森の中で子どもを仲間と一緒に育てて行く事がとっても心地いい。育児の不安だったり悩みだったりということが軽減されていくんです。自然の中に入って行く事でお母さん自身も癒されていくし、仲間と一緒に、何を一番大事に子育てをするか、という共通のものを学び、知り、考えて行きます。本当にお母さんが育っていくということを実感しています。
多治見に楽しい風を
私が「プレーパーク」の存在を知ったのは1998年のこと。「火や水、木も土なども自由に扱え、のびのび遊び回れる場所が名古屋市天白区に誕生!」と、「てんぱくプレーパーク」が報道番組で紹介されていました。初めて知る「プレーパーク」にワクワクし、こんな場所が近くにあったらいいなぁと、ニュースを見た直後に問い合せの電話をしました。
その後「森のようちえん」を知り、春日井市の森のようちえんで次男を自然の中で仲間と共に育て合い、息子が小学校一年生になるときに「森のわらべ」を多治見に開園し、<信じて待つ>、を理念に、活動を始めました。
開園して5年目、どんどん成長して行くわが子と、卒園した「森わらっ子」たちがいます。卒園してこういう環境と縁が切れてしまうというのではさみしい、いつまでも自然の中で自由に遊び回れる場所・プレーパークを地元につくりたい、ずっと描いてきた夢への想いはますます強くなっていきました。そんな私の呼びかけに応えてくれた仲間、6人の世話人と5人の実行委員たちと共に、今年2月から準備を始め、8月9日と10日、とうとう「たじみプレーパーク楽風」を開幕させることができました。心から大事に思える仲間たちと共に追いかけた夢が本当に、本当に、実現したんです!
開催当日真っ先にやってきたのは、森のわらべの卒園児たちで、木に登り、火をおこし、ハンモックに揺られました。「木登りしていい?ヤマモモの樹が多いね」とやってくる子。森わら時代に木に登り、実を食べた体験がちゃんと根付いているなぁ、と実感しました。
いろんな面において、プレーパークの必要性を森のわらべのお母さんたちは理解をしてくださっていて、今回の立ち上げに関しても、ものすごく力になっていただきました。多治見にこういう場所がほしい、という潜在的なニーズとして、「森のわらべ」で育って来たお母さんたちがいらっしゃることは大きいな、と思います。
子どもがつくる縦のつながり
プレーパークにもいろいろ特色があるようですが、私たち楽風が目指しているのは、遊ばなくてもいい場所、遊んでてもいい場所。その子がそこで何を表現をしていてもいい場所。人に迷惑をかけたり、大きな取り返しがつかないことでなければ。
プレーパークでは、0才から120才までってよく言われますけど(笑)、対象は誰でもOKです。ただ実際には今の楽風は、お母さんに連れられて来ている幼稚園、小学校低学年のお子さんの割合がとても高いです。小学校のグラウンドの裏山でやっているので、そこの小学生の子どもたちが自分でぶらっと自転車に乗って来て、という高学年の子たちもいますけど、中高生はほとんどいないんですね。
小さい子どもたちにとって、ちょっとお兄さん、お姉さん、という人たちがやっていることに憧れる気持ちは大事で、ああいうお兄さんたちみたいになりたいな、みたいなのを見せてくれるのは、やっぱり中高生。彼らは自分がしてもらって自然と小さい子にしてあげている、素敵なつながりだと思います。これから何年もかかって、楽風で育って来た子が、中学になっても高校になってもそこに戻ってきたい、という形になっていくのでしょう。そういう子たちの来られるプレーパークにしたいですねぇ。それにはまだまだ時間がかかるんですけど。
子どもたちの居場所として
最近は実体験が乏しい子が多いと言われますが、それよりも前に実は、その子の存在そのものが、今の社会では受け入れられていない環境にあります。中高生、小学生も不登校、ひきこもりの数が日本は非常に多いです。そういった子たちが、自分は居てもいいんだ、と思える場所がプレーパーク、となっていけばいいな、って思っていますね。そういう意味では、私たちの目指しているところはみなさんが最初にイメージするプレーパークとちょっとニュアンスが違うかもしれないです。
本当なら各家庭とか各地域が居場所になっていればプレーパークは存在しなくてもいいのかもしれません。それが難しいのなら、子どもたちにはこういう場が必要だよね、という発信基地になっていくという役割もプレーパークにはあるんじゃないかと思っています。
子どもにとって家庭が居場所になること。そのことの大事さをお母さんたちに伝えていきたいんです。でも、そこの受け皿に入りきらない方達がいる。子どもたちが苦しくなって生き辛さをすごく感じてたときに、「楽風があるよ」と伝えたい。申し込みも登録も会費も必要がない楽風に、子どもが行きたいと思えば行ける、というのがすごく大事かなと思っています。
社会には行き辛さを抱えて苦しんでいる子どもたちはいるので、そういう子と出会える場として楽風が機能していたら嬉しいし、森のわらべで育ったお母さんの子どもたちが、やがて楽風の中でも持ち味を発揮する存在にもなっていってくれる、と私は思っています。
楽風の開催日は、今は月に一回です。世話人全員が仕事を持っていたり子育て中のお母さんだったりします。常駐のプレリーダーは楽風にはいないし、実際物理的にはまだ常設のプレーパークは難しいですね。気持ちとしては常設しているつもりですけど…とにかく、長く続けていくことを大事にしたいと思っています。
「子どもたちにとって遊ぶことは生きることそのもの。子どもから遊びを取り上げることは、生きる力を奪うこと」そんな楽風の理念が多治見に根付いていきますように。
Introduction
楽風の次回開催予定日/11月30日 (土)、
12月14日(土)10:00?16:00
場所/多治見市滝呂小学校裏山
問合せ/tjpprafu@yahoo.co.jp
開催日当日連絡先・三原携帯090-6617-2684
facebook/ https://ja-jp.facebook.com/TajimiPlayPark
【プレーパークとは】プレーパークは「自分の責任で自由に遊ぶ」をモットーにした遊び場です。子どもたちの好奇心を大切にして、自由にやりたいことができる遊び場を作ろうというもので、1940年(昭和15年)以降ヨーロッパを中心に広がった遊び場です。屋外での自由な「遊び」を通して得られるさまざまな体験や交流を通して、子どもたちは自主性や主体性、社会性やコミュニケーション能力を育んでいきます。そんな願いが込められた遊び場です。
【その他の岐阜県のプレーパーク】
団体名 大垣公園プレーパーク/NPO法人 緑の風
URL http://oogakiplaypark.blog.fc2.com/
活動場所 岐阜県大垣市郭町大垣公園内
活動日 毎週水曜日から日曜日(10~17時)
団体名 岐阜県立森林文化アカデミー みのプレーパークの会
URL http://www.forest.ac.jp/index.html
活動場所 岐阜県美濃市曽代88番地 岐阜県立森林文化アカデミー内
活動日 不定期