今日はベルビュー病院のVNSNYホスピス病棟での仕事。サンクスギビング前日っていうこともあって、患者さんの数は少なかった。 その中の一人は、32歳。うちと同い年、きれいなの女の子やった。 朝から呼吸がかなり苦しそうで、意識はほとんどないものの、声を出しながら苦しんでいた。何が原因で苦しいのかわからないけど、痛みのようでもあり息ができなくて苦しんでるようにもみえた。隣で座ってたお母さんも辛そうだった。 同い年というのは、なぜか一番辛い。31歳でも33歳でもなくて、自分と同じ年に生まれて同じ年月を生きてきた32歳。同じ年に生まれたというのは、なんだか少し違う感覚を覚える。 途中なんども泣きそうになった。 ご家族によると、彼女はいつもほんとうに前向きで、がん治療にも一度も弱音を吐くことなく、最後まで精神的に強かったとお聞きした。32歳の若さで、乳がんで両方の乳房の切除、化学療法を経て、放射線療法をつい2,3日前まで受けてきた。それだけでも彼女の体はそうとう弱ってたと思う。肺炎も引き起こしてた。 朝から痛み止めや、鎮静剤、呼吸困難を和らげる薬を、かなりの量で投与して、午後になるころには、だいぶ静かになった。意識は完全になくなって、呼吸も浅くなった。 お母さんはベッドの上の娘さんを抱きしめながら、長いこと泣いてた。何度かたばこを吸うといって外にでて、涙をぬぐう姿がみえた。小雨が今にも雪にかわりそうな中・・・。 午後からは親戚や友達やいろんな人達が回りを彼女の周りを取り囲んで、いろんな思い出話をしたり、彼女に話かけたりしてた。 たとえ意識がなくなっても、耳は一番最後まで機能が残るとよく言う。最後まで話しかけてあげてください、いろんな話をしてくださいと、ご家族にはよく言う。 患者さんはたとえ反応しなくても、意識ないようにみえても、きっと全部聞いているし、感じている。 人は静かに眠っている状態を、安らかなという。 たとえ意識がなくても眉間にしわがよっていたり、うなり声を少しでもすると、痛みがあるととらえる。 もし患者さんが、痛みではなく、精神的な苦痛で苦しんでいたとしたら。悲しくて、怖くて、助けをもとめようとしていたら・・・ それでも医療従事者や家族は、うなっていたり苦しそうな顔をしたら、痛みと受けとり薬を投与する。顔が安らかに眠っている状態、またはそれに近い状態までそれを繰り返す。 薬を大量に投与して、症状を緩和させるのは、痛みや呼吸困難には必要だと思う。ただそれは同時にはっきりでもうっすらでもあった意識をも失わせてしまう。 言葉が発せられない状態で、それを痛みで苦しんでいるのとは違うとは、誰も言えない。 錯乱状態になったり、すごい体中が重くてしんどかったり、何か話そう、伝えようとしててもどうしても体がゆうこときかなくて、伝えられなかったり。身体的な痛みや苦しみはなくても、精神的な苦痛が大きいかもしれない。そういう人もいると思う。 声にならない声をきくことは、本当に難しい。 もしかしたら薬だけでなくマッサージセラピーで痛みや緊張が緩和できるかもしれない。アロマセラピーを併用したら、意識を失わせることなく、痛みや苦しみが軽減できるかもしれない。もしかしたら宗教的なお祈りや、手かざしによる霊気や浄霊で苦痛が軽減できるかもしれない。 患者さんに大量に大量に薬を投与するたびに、これでいいんだろうか、って思うの。 苦しそうにしている人をみると、針から薬を入れてくだけでなく、全身きれいにきれいにして、アロマオイルつかって、やさしくやさしくマッサージしてあげたくなる。