vol.226 ここいく日記 はじめの43歩

海外での性教育の実情

本巣市で養護教諭をしている、森岡です。ここいくのみなさんが昨年度勤務先の学校に講演に来てくださり、とても魅力的なみなさんに惹かれため、Joinさせていただいております(^^)/
3月末に一般社団法人ソウレッジさんの「Sowlinks」という海外視察に参加し、デンマーク・スウェーデン・オランダの性教育の現場を訪問してきました。現地では、ユースクリニックの訪問、性教育を⾏っている団体の⽅々や現地校の先⽣へインタビュー、実際の性教育の授業の⾒学などをしました。各国の性を取り巻く環境と日本とのちがいを私なりにまとめてみました。
まず、包括的性教育を受けている現地の⼦どもたちのリアクションはどうだと思いますか?実は意外なことに、⽇本の⼦どもたちとそんなに変わりませんでした。しかし、⽇本とちがうのは、① 頼れる場所や環境が学校の中にも外にも整っていること。② 隠さずにきちんと説明してくれる⼤⼈がいること、だと思いました。
① について紹介します。まず、「自主性と柔軟性のある学校教育」です。デンマークやオランダでは何歳までにどんな姿になっていてほしいという到達目標はありますが、何を何時間習うということは決められていません。固定カリキュラムがない代わりに、学校の実態に合わせた、現場での自由な創意工夫が奨励されていたり、性教育を他の科目(市民教育や生物)と結びつけた指導のような、科目横断的な性教育が実施されていました。
また、学校だけで性教育を担うのではなく、家庭と性教育について意見交換する機会を設けて「家庭と協同して取り組んでいこうとすること」や、「若者を支える『ユースクリニック』という存在が地域に普及していること」も素敵だと思いました。この、「ユースクリニック」という施設は日本ではあまり馴染みがないですが、若者の健康(メンタルヘルス・セクシュアルヘルス)を守り、自信を育むための拠点として、現地の人々からも周知されています。性感染症の検査・治療、避妊相談、緊急避妊薬の提供、精神的な悩みへの対応を行っており、スウェーデンでは、国内に200~300か所存在しています。
②について紹介します。自身の体や感情を肯定的に捉えられるよう支援したり、様々な性情報によるスティグマや偏見をなくすための情報を提供し、「ポジティブな性教育」を推進していました。例えば、性器について、イラストではなくリアルな写真を子どもたちに見せることで、「どんな色・形でも良い!」というメッセージを伝えていました。また、見学させていただいたオランダの職業訓練校の授業でも、デンマークの学生団体のレクチャーでも、子どもたちの率直な疑問に対して、きちんと受け止めて丁寧に答えられていました。
これができるような「子どもたちとの信頼関係の構築」や、「安心・安全な教室の雰囲気」は性教育の土台としてとても重要だと感じました。
このように、日本にはない(足りていない)若者が自分の性をポジティブに受けとめ、知る権利があり、自分の行動を自分で考えて選択できるような、周囲のサポートが本当に素敵だと感じました。
⼦どもたちの今と未来のために、動き出しましょう!私は⼀緒に取り組んでくれる仲間を職場、家庭、地域に増やしていきたいです!

担当:ここいくメンバー 森岡 愛奈でした。
ここいく☎090-3446-8061(中村)