NPO法人オープンハウスCAN 理事長 伊藤佐代子
成年後見制度移動支援
成年後見制度とは?ご存じない方のために簡単にご説明しますと、知的障害、精神障害、認知症などによって一人で決めることが心配な人のいろいろな契約や手続きをする際にお手伝いする制度です。
知的障がいのある人は、一人で契約などができる人は少ないと思われます。親・きょうだいなど近親者が助けてくれるというのであれば、何とか後見人を付けずクリアできる事柄があるかもしれません。しかし、相続など法的な手続きとなると後見人を付けましょうという事になると思います。
後見人になってもらう方には、当然報酬を支払わなくてはいけません。裁判所でその金額は決められるのですが、財産額1000万円未満は月約2万円と言われます。障がい者施設に入っている人が毎月2万円払っていると聞いたことがありますので、そのくらいはかかるのだと思います。障害基礎年金が重度の人で1か月85000円くらいです。その中から2万円はちょっと厳しいです。ですから、親やきょうだいが後見人になったりしています。
金銭管理がとても厳しく大変な作業だと漏れ聞きます。多くの人が、現在の後見制度が使いにくいことをよく知っています。後見人の制度利用が広がっていかないのは、そんな理由からなのだろうと思います。と言う私もその一人です。
その成年後見制度が見直しされるようです。「適切な時機に必要な範囲・期間で利用する制度の導入」です。「スポット制」と呼ばれるようです。一度選任すると原則として亡くなるまで利用をやめられない現行制度を改め、期間限定で選任できる仕組みなどを検討し、2026年度までに民法などの関連法改正を目指すようです。(以下、日本経済新聞2024年2月13日掲載参照)
いまは判断能力が回復しない限りは利用をやめることができません。後見人の著しい不正がない限りは解任もしにくいのです。専門家を後見人にする場合は毎月数万円の報酬を払わなければいけないので負担が重いとの指摘を踏まえて見直しを検討されるようです。
後見人が支援する行為の範囲を限定することも論点となっているようです。いまは日常的な買い物や旅行から財産管理まで包括的な活動が対象となりますが、必要とする支援の範囲を事前に定めたり、状況によって後見人を交代できたりする制度を導入する案があるようです。例えば、日常的な行為は本人の決定に任せつつ、財産管理のときは弁護士、福祉施設へ入居する際は社会福祉士に依頼するといった形です。
利用するための経済的な負担を減らし、柔軟に選任できるようにする方向で制度の使いやすさの改善を探るようです。common02_document02.pdfをご覧いただけると全容が分かると思います。
どのように見直しをされるのか?興味津々です。使い勝手のよい見直しがされることを願っています。