NPO法人オープンハウスCAN 理事長 伊藤佐代子
移動支援
趣味を楽しむ時間は、心を解き放ち、生活に彩りを添える大切なひとときです。障がいのある人、ない人すべての人にとって、生きていくための活力となる大切な時間だと思います。
障がいのある人の趣味は、例えば「電車を見る・乗る・写真を撮る・絵を描く・歌を歌う・ゲームをする」など一般の人と何ら変わることはありません。自分一人では行動が難しい人には、障害福祉には、移動支援というサービスがあります。
移動支援とは、『単独では外出困難な障害者(児)が、社会生活上必要不可欠な外出及び余暇活動や社会参加のため、外出時にヘルパーを派遣し、必要な移動の介助及び外出に伴って必要となる介護を提供するサービス』とされています。
このサービスを利用し、趣味を楽しんだり、興味を満たすことができます。電車を見に行く人、カラオケをする人、電車に乗り、遠くへ出かける人など、いろいろな支援を私たちはしています。障がいの程度に差はなく、楽しんでいらっしゃる姿はいいものです。この時間があるから一週間頑張って事業所へ行けるという人も中にはいらっしゃいます。
趣味とは言えないかもしれないのですが、支援者と出かけるということを楽しみにしているという人も多くいらっしゃいます。ストレスの発散の仕方が難しい人には、親、きょうだいではなく、支援者と出かけて、いつもと違った空気を吸うのはいいことだと思います。
余暇を充実させるという事は、楽しみばかりだけでなく、緊張を緩和したり、気分転換ができるという役割をもっていて、なおかつ生活の質(QOL)をも高めるのではないかと思います。
現在は意思決定支援ということが盛んに言われ、当たり前のことですが、ご本人の意思を大切にしなければいけません。買い物に行き、何が欲しいのか一緒に売り場を見て回り、好きなものを選び、できる限り自分の手でお金を支払うという事をしてもらっています。
最近は店員さんではなく、機械相手に支払う事が多くなってきましたが、挑戦しています。まず人差し指を立てることから始まり、画面をタッチしてお札を入れる場所を探し、自分で入れるなどとても時間はかかりますが一緒にしています。こんなことからご本人は自分でやったという達成感が得られ、より楽しむことができている気がします。自分一人の力でできることが嬉しく、自信になることは間違いありません。
障がいのある人は、家族以外の人と少しずつ時間を過ごせるように準備した方がいいのではないかと思います。是非、皆さんに移動支援のご利用をと思うのですが、実際には人手が足らなくて、私の事業所ではお受けすることはできません。が、調べてみましたら、岐阜市には45の移動支援を行っている事業所がありました。上手に制度を利用してほしいと思います。