vol.224 ぎむきょーるーむ インクルーシブ公園

 これまでは、物理的・心理的バリアによって公園を利用しづらい人たちがいました。すべての子どもが歓迎され、地域の多様な人々が交流できる場となるため生まれたのが、インクルーシブ公園です。

インクルーシブ公園は、ときに「障がいのある子どもが遊べる遊具がある公園」という意味で誤解されがちですが、「障がいのあるなし、子どもか大人かにも関係なく、すべての人が利用できる公園というのがポイント」(一般社団法人TOKYO PLAYの神林俊一さん)なのだそう。

インクルーシブは「人と人の関係性」によりつくられる
神林さん:社会にある物理的・情報的・制度的なバリアを、デザインを使って解決し、心理的バリアもなくしていこうとするのがユニバーサルデザイン。インクルーシブとは、ユニバーサルデザインでは取り除けないバリアを含めて、周囲の人の意識やアクションで取り除いていくという考え方です。もしスロープがあったとしても、まわりの人から『お手伝いしましょうか?』と声をかけてもらったほうが安心してその場にいられますよね。

 今、日本にできはじめているインクルーシブ公園は、「人との関わり合いによってつくられる、誰もが集える場所」を目指しています。

インクルーシブ公園と従来の公園とのちがい
公園のつくられ方がちがいます。これまでの公園は「行政により計画され、つくられるもの」でしたが、インクルーシブ公園は「公園を利用者とともに育てていく」という考えのもと、計画・設計の段階から積極的に公園利用者へのヒアリングや意見交換を行います。また、完成後も利用者のヒアリングを重ね、検証・改善を繰り返す「変化し続ける公園」であることも特徴です。
 神林さん:遊具について、ここで挙げている回転系遊具や円盤ブランコなどは、体幹が弱い人でも遊びやすいだけでなく、大人や子どもが混じり合って複数人で遊ぶことができるため、自然なコミュニケーションが生まれやすいのが特徴です。ただし、単にユニバーサルデザインの遊具を置いただけではインクルーシブ公園にはなりません。さまざまな特性の人々のニーズに合わせた空間構成や遊具などが求められ、木々などの自然、水道、休憩スペース、ユニバーサルトイレ、そして地域の理解や文化など、全体が絡み合ってデザインされます。

私たちにできる3つのアクション
公園で育った「みんな」は、多様な人と生きていくことが当たり前になり、公園の外でもあたたかい眼差しを持ったり、人に手を貸したり借りたりできるようになるでしょう。
公園という小さな輪が少しずつ広がって、インクルーシブなまちへ変わっていく。それはつまり、「みんな」が安心して暮らせる未来を「みんな」でつくっていくということなのですね。