イギリスで好きなガーデニングを学ぼうと渡英
30になった時に仕事をやめてイギリスに行きました。ガーデニングの勉強と、英語の勉強も含め、ヨーロッパを回ったりとか、人間関係づくりとか、友達づくり、いろんな文化を見るという6年間でした。
帰国して、東京で仕事を探していたのですが、体調を崩し岐阜に帰ってきました。自分の周りにカフェを始める状況が整ってきたというか…これは今やるべきなんでは?と思い、全部DIYで作ったんです。さぁOPENしようと思ったら、すぐにコロナに。預金が日に日に減っていく…本当に辛い4年間でした。
実家をリノベして、カフェに
最初は4ヶ月でこの店を作れると思っていたんですが、実際は11ヶ月かかった。でもまだ完成ではないんですよ。もっと変えていきたいと思うし、それも楽しみの一つです。こんな田舎にこの空間を自分で作ったというと、入ってきた人はみんなびっくりします。カフェに来てくれる人とはいろんな話をします。僕の提案にある人は「あ、じゃぁそうしてみようと思います」と反応してくれたり、またある人は「一歩踏み出せました」って言ってくれたり。
Phin and Beanではベトナムコーヒーを提供
知り合いの人から頂いたベトナムコーヒーがあまりにも美味しかったんです。それから何回かベトナムに行って、コーヒーを飲みまくりました。海外旅行が好きなんで、ベトナムに自分で豆を買い付けに行けるというのがモチベーションの一つになっています。店では「これしかできないですよ」と言うスタイルで、食事も提供しています。それでもオッケーの人から「美味しかった」って言ってもらえればそれでいい。来てくれた人がご飯をおいしい、コーヒー美味しいって。そういう姿を見るだけでも十分幸せを感じます。
俯瞰してみることの大切さ
海外に出て感じたことは、まず自分を俯瞰して物事を見られるようになったこと、日本も含めてね。自分の知らない世界に身を置くと目新しいもの、新しい経験を重ねていけるのでとにかく毎日が楽しくて。経験値も知識も上がります。また、自分がいかに日本のことを知らないかというのを感じました。逆に僕たちは「教えられてない」ということを、海外の人に教えてもらいました。どの国の人もきちんと自分たちの歴史を学んでいます。
続けることでみえてくること
いろんな人と知り合いになれたことかな。ここが人が集まる場所っていうことに意味があるので、ここで交流できたらいいなって。関係人口が増えますよね。
持続可能というか、うちのトイレは水洗なんですが、ためておいた水にはバクテリアと、キアレーションを入れて分解するんです。うちの周りの畑の野菜は全部それで育っています。そういう植物を育てるのも楽しいし、趣味の延長で仕事をやっている感じ。ボクは庭を造るのが好きなので、イングリッシュガーデン的な庭を作りたい。高い木があって、庭をぐるっと回れて、中にいろいろな花が咲いていて、「あ、今日こんな花が咲いてる」って近くのおばさんたちが集まって来て、ただの空き地が交流の場に生まれかわるんですね。
創り出す喜びはすべてアートに
あと、フラワーロードとかもつくりたい。ただ鹿がいるので・・・花芽を食べられちゃう。でも鹿はきちんと命をいただいて、骨はインテリアに。花をあしらいオブジェにしました。動物に対するリスペクトですね。これもヨーロッパで見たものを見ようみまねで創りました。創り出す喜びがボクの中ではすべてがアートです。
自分が手がけることで、分からなかった、知らなかった価値観が見えてきます。アートってそういう垣根を越えて行く力を持っている。それは今までここにはなかったんですよ。
「おんせぇよぉ~(農家レストラン)」でやっていることがボクには刺激的でしたね。山口君みたいな人がいて、景色があって、水があって、それを活かさない手はないですよ。でも目の前の自然が壊されるのはいやだから、見張り役も要る。いつ誰がどこの土地を買っちゃうか分からないし、知らないうちに山を買われたとか、やっぱり、人がいて気にかけてないとね。ここの自然をキープすることは最大のミッションとなっています。あとDIYで古民家改修とかみんなが集まって来るようなおもしろいモノを作って、そこに泊まれるようにする。いろんな人が「ここはいいとこだ」と来てくれて、ここが潤うようなことのために尽力したいなって思っています。
人を呼ぶことが大事だなって
地元の観光系のことに興味を持ったのは、追ヶ谷さん(川魚料理屋:追ヶ谷は美山の中心から川上にどんどん登り、美山キャンプ村を過ぎてもっと上流、さらにそこから追ヶ谷という支流へ入っていったところにあった)。追ヶ谷というめっちゃいい場所で釣り体験とかして、釣った魚も食べさせてもらいました。昔は多くの観光客が来てたんですよ。残念ですが、今はもうないんです。すごく魅力的なのになんでこんなに人が来なくなったのか。人が来ないということは、こういうお店もなくなっちゃうんだなって。そこで、人が来てもらえるにはどうしたらいいんやろうって思い、観光のことを勉強しました。旅行会社は旅行業務取扱管理者という資格がないとできない。それでその資格をとりました。
旅行業法では資格を持っていないと、バスとか宿泊施設がお客さんに代わって予約ができないし、ツアーが組めないんです。人を呼ぶことが大事。それで山県ツアーズというのを作ったのが2023年2月でした。
交流しながら地域の活性化をめざす
リーマンショックで会社自体が休業中に。新規事業を探す中で、春日井市の勝川弘法市で開かれたイベントに参加しました。そこで商店街活性化に関わる方と出会って、「都市と農村の交流イベントをやりたいなら山県市に行こう」ってなったんです。
そのころ、名古屋市でCOP10(平成22年10月18日から29日、生物多様性条約第10回締約国会議)が開催されました。生物多様性保全に向けたさまざまな取り組みですね。その会場に商店街活性化の方と環境を考える団体の1スペースで出させてもらいました
そこからJAさんの活動を引き継いで、本気で「都市と農村の交流イベント」をやりたいと思ったんです。
「方言を学ぶ」とか、「昔遊びをする」「お茶摘みをする」とか、いろんなアクティビティーを企画して、街の人に参加してもらいました。
廃校を利用して飲食店をオープン
市が国に補助金の申請をして、5つの小学校区に補助金が降りました。いつも、地域のおばあちゃんたちが「人に来てもらったり喜んでもらえることをしたい」「加工場もあるといいよね」と話しているのを思い出し、飲食店、加工場を北山小学校区でつくることに。市役所の方から、「飲食店をやるなら廃校になった北山小学校を使ったらいいよ」って勧められ、2013年10月に「舟伏の里へおんせぇよぉ〜」という飲食店を個人事業としてオープン。これは山県ツアーズとは区分しています。
地元愛が強い…のかな?
「おんせぇよぉ〜」の料理を美味しい!と紹介するために、カメラを買いました。そうしたら、撮影の仕事も入るようになり、スチール写真、動画編集もするようになりました。円原川の光芒も撮影しました。(上・写真)
そして、みんなでこの地域を盛り上げたいね、ということで任意団体「山県フットパス実行委員会」が立ち上がりました。フットパスは小道を歩くという意味です。イベントだけではなく地域を歩いたり、地元の人のお祭りを手伝ったり。僕は山県市の無形文化財の一つの「北山雨乞い太鼓」にも入っていて、そういう地元のサポートもずっと続けています。
僕の実家は美山の南の方なので小学校も違う。だけどここが盛り上がれば自分の地区も盛り上がるんですよ。広く言えばそれが地元愛なのかな?出身は旧美山町なので、僕はめちゃ他所もんなんですよ、実は。河口さんは地元だけど、僕はよそもん。(笑)
もうひとつ、個人事業として、河合さん(地域おこし協力隊)と、地域まるごと宿にしようと、宿泊施設の整備、営業を進めています。リノベは河口さんに協力してもらってます。