2023年の高齢者(65歳以上)は3623万人、このうち4〜5人に1人は認知症になると推定されています。最も多い認知症のタイプは「アルツハイマー型」です。
年齢を重ねると誰でも物忘れをするけれど、病的な認知症と加齢による物忘れというのをわけないといけません。
もしも軽度認知障害(MCI)だったら、認知症予備軍ではあるものの、認知症ではないので、薬や対処で改善する可能性があります。本当に認知症なのか、もし認知症だったらどういうタイプなのか、それによって治療方法も対応も全く変わってきます。今どこまで進んでいるのか、MRIやCTで画像診断すればわかるので、きちっと専門医に診断してもらう事が大事です。
アルツハイマー型認知症の防御には、・意欲を持って生きる・ソーシャルネットワーク・知的活動・運動・家族とのコミュニケーション。これらが一番大事という事がわかってきました。これらがない人は認知症になるのも、なってからの進行も大変早くなっています。
認知症も情緒が安定しているかしていないかで進行度合いが違います。中でもストレスが一番大きい障害になると言われています。まずは情緒を安定させる、ストレスを取り除くことが予防にはすごく重要です。
予防のために、知的な方面ではエピソード記憶、注意分割機能、計画力や思考力、そういったところを鍛えていきます。学習や教育によって神経細胞は増えないものの、シナプスの密度が関係して代償機能が働き、認知症の程度が抑えられるのです。それは知的刺激・運動・ソーシャルネットワークの量に相関しますので、それらが多いほど予防ができます。
一番いい予防は実は、「歩くこと」なんです。歩くと脳が活性化してきて、前頭葉が強化されます。足の血流も増加し、心臓に血液が戻り、脳全体の血流も増加します。
また、運動すると体へのストレス反応がなくなります。歩いていると嫌なことも忘れますよね。最近は関節が悪い人は1日に3~4000歩でいいと言われますけど、できれば関節を丈夫にして、1日1万歩いてほしいです。
★一度に数品料理を作る。
★人と話をするときに、相手の表情や気持ちに注意を向けながら話す。★仕事や計算をテキパキ行う。
(注意分割機能訓練/複数のことを同時に行うときに適切に注意を配る)
★家計簿、日記をつける
(エピソード記憶訓練/体験したことを思い出す)
★旅行、献立、買い物の計画をたてる。
できれば効率良い方法の工夫を。(計画力を含む実行機能訓練/新しいことをする時、段取りを考えて実行する)
*他にも囲碁、将棋、麻雀など頭を使うゲームをする、やり慣れたことではなく、新しいことをやる。
★動きやすい身体、関節をつくる。(筋トレ前に関節運動を!)
★複雑な動きを加える
★趣味を楽しむ。
自分の好きなことを楽しんでもらって、笑顔で、不機嫌にならないこと。脳にストレスを与えないことが一番大事と思っています。楽 しんでもらって、みんなが笑顔で過ごせればいいかなと思います。
先生おすすめの大人が楽しめるグッズ「誹諧カルタ、仏像の塗り絵、木の絵本」。このうち木の絵本を使い、各自サイコロのように振って出た絵柄をテーマに、軽い話をしました。お茶をいただきながら、みんなで楽しく認知症予防!
講師:後藤 真澄さん(ごとうますみ)
中部学院大学に25年勤務。現在は看護リハビリテーション学部 名誉教授として非常勤勤務。専門領域は地域在宅看護、老年看護学を担当、医療と福祉の連携を目指して活動中。