vol.219 熱中人 青木 ラブさん

“普段遣いの女優”というキャッチーなフレーズを引っさげて颯爽と現れた青木ラブさん。マッシュルームヘアが印象的なラブさんは、今年2月24日から上映された「女優は泣かない」に出演した。

ーラブさんが演じた内田仁美はどんな人?
主人公の梨恵(蓮佛美沙子)は可愛い人なんですけど性格が悪くて友達がいないのね。内田は梨恵の地元の同級生で、唯一の友達。ちょっとキャラが強め、というのが私の役どころです。

ー映画のストーリーは?
主人公の梨恵がスキャンダルで仕事を干されて、その再起をかけた仕事を地元・熊本でドキュメンタリーを撮る。ドキュメンタリーを撮るのが、若手ディレクターの咲(伊藤万理華)。地元で撮りながら、彼女のルーツに触れていき、彼女の家の問題と、仕事を絡めた梨恵自身の問題がさらに絡んで、最後は家族の話になっていくんです。升毅さんが、梨恵のお父さん役。宮崎美子さんは梨恵の昔の彼氏のお母さん役。そして双子のマナカナのお姉ちゃんの方、三倉茉奈さんが梨恵のお姉さん役というキャスティングです。
まだ完成する前のたたきの状態の台本を読んで、なんていい本なんだって感激しちゃって。だからオファーをいただいたときは本当にうれしかった。

ー自分が演じた作品が、世の中に出ました。どんな気分ですか?
実はこの映画の企画ができたのは6年も前なんです。コロナ禍があったので、伸びに伸びてしまって。熊本ではクランクインして2日目でコロナになって、自分のパートを一つだけ撮ったら、監督から「ラブさんごめん、大事な話があります」って言われた時はドキッとしました。結局、監督はじめ5人の方がコロナに感染してしまい、もう撮れないと判断し一回中止しますと。そこからさらに1年。本当にやっとできた作品なんです。だから私、一演者なんですけど、この作品の宣伝をやれることがあれば全てやりたいと思って、東京でもラジオに出て、豊田と東海市のラジオ、高崎のラジオと岐阜のラジオ…ともう一人でいろんなところに行って宣伝していました。

ー青木さんの出身は岐阜県大垣市。高校では演劇部で活躍、大学卒業後は、就職活動はせずに女優の道に進みました。今、迷いはないですか?
それは…ありますね。やっぱり同級生の友達が大企業で働いてちゃんとした収入を得て生活しているのを見たり、友人の家に遊びに行くと、友人の子どもが懐いてくれて、それは楽しい時間なんですけど、こんなにも人と違う生活、人生を選んだ私。これで良かったのかなというのは、ついて回ってきますね。でも、今は邁進してやりきること。この映画の番宣をやりきる。そこから何か派生してお仕事に結びつくこともあるだろうし、いろんな人に出会えるチャンスだと思うんです。こういう風にちゃんとした映画になったものがあるので関心を持って頂ける。見せるものがないと、宣伝もできないし、評価もしていただけないですしね。なので今はこの映画の番宣をしながら自分の営業をしています。

ーこれから、目指すことは?
朝ドラに出たいですね。なんでかわからないんですけどすごく「朝ドラ」に出たい。年末に自身のプロフィールを持っていろんなテレビ局に飛び込みで営業に行きました。日本テレビと共同テレビ、テレビ東京。プロデューサーさんに手渡すんですが、最初は手も止めてくれない。でも自分はフリーの役者をしていてちゃんと自己紹介をして、ごあいさつをすると「えっ?本人なの?」って、きちんと正対して向き合ってくださるプロデューサーさんもいらっしゃいます。これはもう自分で行かなきゃと思ってます。ただ、朝ドラは日本放送協会。入構証がないと入れないんです。西島秀俊さんのマネージャーさんがとても親切な方で、その方が NHKに行かれる時に一緒に行きたいとお願いしました。

ー呪文のように「朝ドラ」「朝ドラ」に出るまでは…?
はい、髪の毛もツヤツヤにして、マッシュルームヘア(天使のリング)を売りに、こういう個性的な人、要りませんか?と記憶に残る飛び込み営業をし続けます。

あるオーディションを受けた時、大変すぎて帰りの電車の乗り換えがわからないほどヘロヘロになってしまって。体力には自信あったんですが、これじゃダメやと思い、心肺機能を高めようと始めたのが、キックボクシングです。もう7年続けていますが、運動することで心と体が保たれるんです。

*1983年生まれ、岐阜県出身。近年の主な出演作品に、映画『タイトル、拒絶』(20/山田佳奈監督) 、YouTube日本生命チャンネル「心配性の母ちゃん」(22)、TV「働かざる者たち」(20)、「スカッとジャパン」(21)、舞台「呼吸」(22/西条みつとし演出)、「快物」(19/倉本朋幸演出)ほか。秦建日子主宰演劇ワークショップTAKE1 出身。