本 パート2
優しくあるためには、勉強しなくちゃ
新川帆立という作家をご存知でしょうか?とてもユニークな人です。東大卒、弁護士、元プロ雀士、現在作家という経歴の持ち主です。「ひまわり」という首から下がほとんど動かない女性が、司法試験に挑戦するという小説を最近出版し、BSテレビ東京「あの本読みました?」の番組で作品が紹介されました。その時、ご本人が話された内容が素晴らしかったので多くの人に知ってほしいと願い、内容を抜粋し書きます。
『多様性と言われるようになり、「皆違って、皆いいよね」という所までは合意がとれていて、「違うよね」でそこで終わってしまうと無関心で終わってしまう。「優しくあるためには、勉強をしなくちゃいけないんです。障がい者の方たちが何に困っているか知らないと、たぶん悪気なくひどいことをしたりとか、しかねないので知らなくちゃ。そういう姿勢は、けっこう人間として大事だなっと思っていて、ついつい書いちゃって、若者に煙たがられるんですよ。でも言っていくぞ』と。この話を聞いた後は少し興奮してしまいました。こんな素敵な考えの持ち主がいるのだと思うだけで嬉しくなってしまいました。
「優しくあるためには、勉強しなくちゃいけないんです」
また阿部暁子さんという作家も素晴らしいです。この人も人生を応援してくれる人です。「カフネ」という本が昨年出版されたのですが、これは私にとっては、2024年一番の読み物でした。「食」というものが、人が生きるためにいかに大切であるかという事を教えてくれる物語です。その中には、簡単にできるメニューがいろいろ出てくるのですが、一番印象的で食べたいなと思ったのは、玉ねぎのみじん切りとトマトとツナを炒め、豆乳とコンソメで軽く煮て、ゆでた素麵にかけるだけというものです。食べたくて2回も作りました。簡単で美味しく、色鮮やかです。胡麻を振りかけるといっそうおいしいです。
阿部さんの本には、他に「カラフル」という本があります。身体障がいの女子高校生が、いろいろな問題をクリアしながら学校生活をしていくという物語です。この中に「差別について」の文章があります。「物事を問題なく進めるために、誰かが犠牲になっていることを「仕方がない」で済ませようとすることが差別ではないか、という意見がありました。私もその通りだと思います」と先生が語ります。「何が本当で、何が正しく、何を大切にするべきか。それは皆さんが自分で考えていかなくてはなりません。・・・」と。 実際に、若い世代がこのようなことを真剣に考えてくれる環境があれば、どんなにいいかとつくづく思いました。
また、あさのあつこさんの本「アーセナルにおいでよ」という不登校や訳アリな青年たちが起業するという物語の話になりますが、その中で、不登校になった主人公の青年が引きこもっていた時、「誰にも会わず、部屋に閉じこもることを望んだのに、周りがそれをなかなか許しも認めもしてくれなかった」というくだりがあります。それについて、あさのさんは「大人は、正解を出そうとする。とても腹立たしい。大人は聞き下手になっている」と言われ自分自身を省みてしまいました。
本を読むことで知ること、心が揺らぐことは多いです。3人の作家の紹介になりましたが、読書は本当に楽しいです。