投稿者「にらめっこWeb版スタッフ」のアーカイブ

vol.213 ここいく日記 はじめの30歩!

持てる力を発揮できるお産を

私は助産師で女性の妊娠出産子育てに寄り添う仕事をしています。ここいくの「いのちの授業」では、子どもたちには「大人の体に近づくと命をつくる仕事が始まり、赤ちゃんができる体に成長すること」「赤ちゃんは子宮の中で丁度良い大きさになった時に自分で生まれる日を決めて生まれてくること」「生まれ方は二通りで膣を通って生まれてくる経腟分娩と、手術でおなかを切って生まれてくる帝王切開があり、どの生まれ方であってもお母さんは命がけでみんなを産んでくれたこと」を伝えています。
昨年の10月、青年会議所主催のキッズジョブパークというお仕事体験に助産院として出店し、子どもたちに助産師の仕事を体験してもらう機会がありました。母親の産む力と赤ちゃんの産まれる力を十分発揮できるように助産師がケアをすることが、満足なお産につながります。お産の時に産婦さんが安心、リラックスすることでオキシトシンというホルモンがたくさん出て、産む力がより発揮され、赤ちゃんへの愛着効果も高めてくれます。このことを子どもたちに想像してもらうにはどう伝えればよいかを考えました。
 赤ちゃんを産み出す感覚は排便の感覚に似ています。リラックスできる状況でないと出にくいことも似ています。そこで、排便がしやすい場所を子どもたちに聞くと、全ての子が家のトイレを選びました。慣れ親しんだ落ち着く場所は安心できて排便しやすい、「お産も一緒だよ」と伝えて、産婦さんが安心して過ごせるには何を望んでいるかを知ること、その人が望むことをすることがリラックスにつながると伝えました。
お産が進んでくると腰のあたりが痛くなったり、体が暑くなり汗をかいたり、のどが渇いたりします。苦痛や不快を軽減させるにはどうすればいいかを聴いてもらい、望むことをしてもらうことで、産婦さんはリラックスできます。「汗を拭く」「水分を飲むのを助ける」「うちわであおぐ」「痛いところをマッサージする」その他にも様々なケアの中から、目の前にいる産婦さんの状況や発する言葉を聞いて、どのケアが良いかを子どもたちに選んでもらい行いました。産婦さんは、自分に寄り添って大切にケアされることで、自分の持てる力を最大限発揮でき、自分の力で出産をやり遂げた!と思えます。もし、異常が起こり帝王切開などの医療が必要になったとしても自分が大切にされて力を発揮でき、ここまでやり遂げることができたと思えれば達成感や自尊感情が得られ、お産を前向きにとらえることができます。
でも、お産の現場ではともすれば、「無事に産めればよい」ということに重きが置かれ、産む人の人権や気持ちが置き去りにされているのでは?と思う時があります。それでも、お産の周辺の出来事は女性や子どもの人生に大きな影響を及ぼします。性教育と同じで、妊娠出産のことを学ぶ機会はほぼないままです。自然の営みとして妊娠出産をどう受けとめて日常生活をどう過ごすのか?そしてどのように産みたいと思うのか?妊婦健診で何回も通院していてもこれらのことを考える機会や情報共有の場は限られているのが現状です。ここいくの「いのちの授業」でも出産のことを詳しく伝える機会は今までありませんでした。今回の職業体験を機に今後はお産についても伝えていきたいと思いました。

今年度、各務原市まちづくり助成金が採択され、10月28日に「いのちのつながりフェス」の開催が決定しました。市民公園で「いのちの授業」が体験できます。

担当:ここいくメンバー 中村暁子でした。
ここいく☎090-3446-8061(中村)


vol.213 プレゼントコーナー

213号PRESENTS

プレゼントご希望の方は

ハガキまたはe-mailで、下記のアンケートを
1〜6までご記入の上、編集部・プレゼント係りまでお送りください。

1-あなたが最近、いいね!と思ったことは?

まゆをひそめるような出来事も多いけど、世の中には「いいね!」も溢れてる〜♪

2- 気になるにらめっこ紙面での広告
3- 気に入った記事、気に入らない記事の
タイトル1つ・その理由もお書きください。
4- ご希望のプレゼント名 (第1希望・第2希望 を必ずお書きください)
※A、Bは編集室まで受け取りに来られる方。
5- 本紙をどこで入手されましたか?
6- 氏名、年齢、住所、郵便番号、電話番号、 家族構成

〆切:2023年5月25日 当日消印有効。
宛先 〒504-0855 各務原市蘇原新栄町3-15
e-mail: info@niramekko.com
※お寄せいただいた個人情報は、本紙プレゼントの発送に限り、 使用させていただきます。
※当選の発表は発送をもって代えさせていただきます。


A.ミネラルたっぷり!ふりかけ20g…各務 亜紀様より…3名様

「菌ちゃん野菜応援団」の各務 亜紀さんのプレゼント第2弾!いわしやあご、昆布などが入った天然だし、あおさ、ごま、塩、しょうゆ、野菜粉末などが入ってミネラルが豊富!魚の臭みもなく、お子さんにも食べやすい味で、「おひさまのおうち」で好評発売中の商品です。にらめっこ編集室でお受け取りください。


B.味わい深いカップ&ソーサー…にらめっこより…3名様

忙しい毎日の家事や仕事の合間にコーヒーブレイクでほっとひと息。

そんなときに温かみがあり使いやすい、こんなカップ&ソーサーはいかが?商品のお受け取りはにらめっこ編集室にて。その際お選びいただけます。


C.CINEX映画招待券…CINEX様より…ペア3組様

大きなスクリーンに映し出される素敵な街並み。臨場感あふれる映像に自然と登場人物に感情移入して、一緒に泣いたり笑ったり。

映画館ならではの味わいですね。写真は映画「パリタクシー」より。柳ヶ瀬のCINEXでご利用いただけます。


D.よりよく生きるためのライフデザインノート 『ゼロの昇天』
…人生これから!様より…3名様

絵本作家・高畠 純さんのイラストが軽妙!これからの人生をどう生きようか?私らしくってなんだろう?そして人生の最期を自分らしく迎えるって?そんなヒントがいっぱい詰まっています。

 

 


vol.212 あなたは誰とどうつながっていたいですか?

コミュニケーションは「意思の疎通」双方向で意思が伝わること。関係性の中でお互いの意思が伝わること、信頼関係を築くこと。インターネットが日常に根付いて、いつでもどこでも誰とでも「つながれる」ことが可能になっています。では人は果たしてどのような「つながり」を求めているのでしょうか。そして、ネットによって人と人とのつながりは深まったのでしょうか。
つながって、そこからコミュニケーションが生まれて関係性を築いていく。今号は「コミュニケーションする生き物たち」の特集です。

コミュニケーションは、言葉だけではなく身振り手振りといった動きを加えて自分の考えを相手に伝えたり、相手から伝えられたりすることで成り立ちます。互いを理解し合うために必要なことだといえるでしょう。しかし、言葉もなく身振り手振りもできない植物の世界には、こんなコミュニケーションが成り立っていました。

 

知られざる植物の驚異的な能力。
超進化論
(NHKスペシャルより)

植物は言語を持たないと思っていたが、離れた相手とおしゃべりをしているという事実もわかってきたんだそうです。ある不思議な現象でそれが明らかになりました。

一部の木が虫や動物に食べられた時に、なぜかその周辺の木々はあまり食べられない。どうして、そんな不思議なことが起こるのでしょう。また、青虫のいる植物といない植物を並べて特殊な顕微鏡で観察すると、青虫のいる葉っぱでは、食べられたことを感じて防御反応として身を守る毒の物質を作りました。驚くのは虫のいない植物。虫に触れられてもいないのに同じ防御反応を起こしたのです。

虫に食べられた木からは10種類以上もの物質が発せられていました。これはいわば植物が発するメッセージ。それを食べられていない植物に送ることで、防御の遺伝子が働き始めます。虫に食べられた葉から出ていたのは、「食べられた」というメッセージを周りに伝えるための物質。すると、周りの植物は敵が来る前に防御することができます。つまり彼らは、敵が近くにいることを周りに知らせるコミュニケーションをしていたということになるのです。植物は物言わぬ寡黙な生き物ではない。コミュニケーションを取る生き物だったのです。
さらになんと、植物が植物以外の他の生き物にまで同じようにメッセージを送っているということもわかってきました。例えば、楡の木は葉に卵を産み付けられると、ハムシが卵を産んだというメッセージを発して、その天敵のハチを呼び寄せる。コミュニケーションを取る相手は虫だけではなく、赤松はマツバハチの幼虫に食べられると、その幼虫が大好物な鳥、シジュウカラを呼びます。
自然のカで虫や鳥は自分の力だけで食べ物を見つけているのではありません。人間の知らない膨大なコミュニケーションがこの地球には存在しているのです。

「植物は地下世界でも助け合って生きている!?
植物の根の先を見てください。これは「菌糸」と呼ばれる細い糸状の菌で、世界中の植物の80%がこのように菌と繋がって共に暮らしています。
菌というのはキノコを作ったりする地下の微生物のこと。菌糸は根の内部にまでに入り込み一体化しながら土の中にびっしりと張り巡らされていく。植物は窒素やリンなどの栄養の大部分を実は菌から得ています。
そして驚くことに菌と菌はつながり合うことで、森中の木々をつないでいることが突き止められたのです。なんと地下には木と木をつなぐ巨大なネットワークが存在していることがわかってきました。
私たちはこれまで植物は、隣の植物と競い合って、光や栄養分の取り合いをしている、競争していると考えてきた。しかし、実際は全く違い、むしろ彼らは、ネットワークを介して強い協力関係を築くことで、安定した生態系を作っていたのです。

森の地下に広がる 助け合いの世界
それこそが地球を覆い尽くす陸の王者、植物が大事に守り抜いてきた生きかただったのです。自然界の掟について、自然科学者チャールズ・ダーウィンが唱えた進化論。それから160年余り。当時の常識を超えて、最先端の科学はより広くより早く生き物たちの進化の仕組みを明らかにしようとしています。私たち人間に見えている世界とは異なる植物たちが生きているもう一つの世界。ここには私たちが暮らすこの地球の命の多様性を生み出していた、進化の本当の姿があるのかもしれません。

動物の世界ではどうでしょう。(TED Edより)
カニは仲間にハサミを振って自分の健康状態を知らせるそうです。
イカは色素胞と呼ばれる皮膚細胞の色素で皮膚の模様を変えてカモフラージュしたり、ライバルを威嚇したりします。ミツバチは自分の動き、角度、感覚、ダンスの激しさで、食べ物の場所や豊富さを表現し仲間に知らせます。プレーリードッグは何千もの仲間と共に暮らしていて、コヨーテやタカ、アナグマ、ヘビやヒトといった敵がいます。彼らは警戒音を出すとき、捕獲者の大きさや姿、スピードだけでなく敵がヒトの場合はどんな服装をしていて銃を持っているかも知らせるのです。チンパンジーやゴリラといった大型人類猿も巧みなコミュニケーション能力を持っています。巧みなコミュニケーションの例として年齢や場所、名前や性別を口笛で伝えるイルカのような生き物がいます。イルカは文法もいくらか理解でき研究者がイルカとのコミュニケーションに使用する身振りを理解します。
ヒトの脳は有限数の要素から無限のメッセージを作り出すことが可能です。私たちは複雑な文章だけでなく全く新しい言葉を作り出したり理解することができます。私たちは言語で限りないテーマを伝達でき、想像上の事柄について話し嘘をつくことさえできるのです。
ヒトの言語と動物のコミュニケ—ションは全く異なるものではなく、連続的な存在だと思われます。つまるところ誰もが動物なのですから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


vol.212 断ち切りたい花粉症


花粉症の原因
花粉症は花粉に対するアレルギー反応が発生する病気。花粉は体内に入ると、免疫機能により受け入れられるかどうかを判断されます。そして異物と判断された場合、花粉を攻撃する抗体が作られ、花粉を体外に出そうとします。この抗体の働きがアレルギー反応であり、花粉を体外へ出そうとする行動が、くしゃみや鼻水、涙という形で現れる。そのため、花粉が体内にある限り、それらの症状が止まらなくなってしまいます。

花粉が飛ぶ日を把握する カラダカイゼン委員会より抜粋

家に花粉を持ち込まない

花粉は特定の条件の日に飛散しやすいため、その日の外出を避けるのも効果的。
花粉が飛びやすい条件は
•気温が高く湿度が低い日
•風の強い日
•前日に雨が降った日
•晴れた日の昼過ぎ
•晴れた日の日没ごろ
反対に夜間や雨の日、気温が低い日は花粉が飛びにくいため、外出する用事はその条件の日に済ませておくのもいいですね。

花粉症におすすめ!普段から取り入れたい食べ物
花粉症はアレルギー反応のため、体の免疫力を高めることで抵抗力を上げ、アレルギー反応を抑えることが期待できます。

① 乳酸菌
花粉症は免疫機能の異常により発生します。免疫機能が正常に働くことで、花粉症特有のアレルギー症状の発生を抑えられます。免疫機能をつかさどる免疫細胞の約60%は腸に集中しているため、腸の環境を整えることが正常な免疫機能の活動につながるのです。
また、白血球の中に含まれる免疫細胞「Th1」「Th2」のバランスが、花粉症の発生に深く関わっています。
この2つのバランスが取れていると免疫機能が正常に働きますが、花粉に反応する「IgE抗体」の産生に関わるTh2が多くなると、アレルギー反応を引き起こす「ヒスタミン」を発生させやすくなるのです。
乳酸菌は腸内環境を整える働きが知られていますが、免疫細胞のバランスを整える働きも持っています。Th1とTh2のバランスを保つことで過剰なIgE抗体の産生を抑え、ヒスタミンの発生を抑えるよう働きかけてくれるのです。乳酸菌の代表的な食品としてヨーグルトやチーズ、味噌、キムチなどの発酵食品が挙げられます。

② 食物繊維
免疫力を高めるためには食物繊維をとることも効果的です。
食物繊維は腸内環境を整える働きだけでなく、乳酸菌などの善玉菌のエサになるため、腸内を整える善玉菌の増加をうながしてくれます。
善玉菌の増加は、アレルゲンとなる花粉の吸収を抑える「IgA抗体」の増加にもつながるため、積極的な食物繊維の摂取が花粉症の症状を抑えることにつながります。
花粉症を悪化させないために生活習慣を見直し、免疫力を向上させることで、花粉症の症状を抑えることができます。

免疫、とか、菌とか、いつもにらめっこの紙面に登場する慣れ親しんだ言葉にふと『土と内臓 微生物が作る世界』体の中の隠された大自然 という本を思い出した。

地中に伸び微生物と共生する植物の根と、「腸内フローラ」という言葉で知られるようになった私たちの体内での多様な微生物の働きを対比しながら、土と内臓という異なるアイテムをつないで語っています。「栄養を得ること」、「外敵から身を守ること」という生きていく上で欠かせない二つの要素を菌たちが助ける活躍は読んでいて頼もしい。原題は「隠された自然の半分」なんだそう。自然の半分は地球で最も繁栄しながら見えていなかった微生物のことなんですね。

以下は好書好日より
地質学者と生物学者の著者夫妻が自宅の裏庭を「不毛の荒れ地から生命あふれる庭園」にする懸命な試み、がんと診断された妻が健康や食生活を見直し始めた体験、二つの物語が科学と巧みに融合して微生物を身近な存在にしている。
『土の文明史』で農耕文明が土壌を使い尽くして衰退させていくことを示して話題になったD・モントゴメリーへの期待も本書が読まれる理由だろう。
本書も微生物と動植物の共生という科学の世界にとどまらず、科学技術史の流れからの位置づけ、目を引く話題、携わった研究者の物語も紡がれる。
有機物や微生物に頼らない化学肥料は、火薬と原料が共通で、肥料工場は有事に軍需工場に転換でき、それも化学肥料の普及につながった。健康な人の便を致命的な下痢患者に肛門(こうもん)から注入する「糞便(ふんべん)微生物移植」が1958年に行われ、圧倒的な効果がありながらも抗生物質が重用されてきた。「害虫を一掃するための農薬と病原体を殺すための抗生物質」も有用な微生物に被害を及ぼしている。

こうして考えてみると、地球に存在する「もの・こと・ひと」は全てつながっているんですね。何一つおろそかにできない。
コミュニケーションでつながっているのは私たち人間だけではないこともわかったし。植物、動物を見る目が変わってきませんか。そこに目に見えない世界にも意識をすることで、様々な「つながり」を感じることになりそうです。


vol.212 檻の中のライオン


「檻とライオン」とは何をたとえているのか。
百獣の王・ライオンは国家権力です。その国家権力を動かす仕事、これが政治家。ライオンが暴走したら危ないから檻の中にいてもらおうと、この檻に当たるものが憲法です。もしライオンが檻を壊して外に出ようとしたら、憲法違反!
憲法で主権者とされているのは私たち国民です。主権者である私たちが、この檻を壊しちゃダメと言わなきゃいけない。
憲法ってそもそも何のためにあるのかなというのが今回のお話の出発点。木でいうとここが「根っこ」となります。

あなたは人権を誰からもらいましたか?
「国」?「憲法」?「それ以外」?

答えは、「それ以外」です。人権というのは憲法以前の問題です。天賦人権・生まれながらに天から授かっているのが人権です。11条をみてください。人権は生まれながらに、天から自然に与えられているものです。
歴史を振り返って見ましょう。権力が濫用されて無茶な政治が行われて、人が当たり前に持っている人権というのが、犯されてきたという背景があります。
みんなそれぞれ違うけど、みんなが共存できるような仕組みを作っていかなきゃね、これが憲法のテーマです。そもそもなんで政治が必要なのでしょう。それは一人ひとり立場の違う人が、その人らしく生きて暮らしていけるように国家権力を使って整えていく。これが13条「個人の尊重」の根本です。どんな政治権力であってもこれを尊重するのが大前提だと思います。しかし、権力というものは濫用されがち。そこで、「ライオンにやってほしいこと、やってもらっちゃ困ることを書いたから、これを守って政治をやってくださいよ」。これが憲法なんですね。こういう考え方が「立憲主義」といいます。

「立憲主義」→ライオンは檻の中へ
この檻は何のため、誰のためにあるんですか?私たちを守るためにあるんだから、この檻はわたしたちが作らなきゃ。檻を作るのも改修するのも私たちです。これを「国民主権」と言います。まず出発点は、民が主だから民主主義、ですね。民主主義の採決は多数派の意思で決定されます。私たち一人ひとりが主権者なんだぞ、主体的に政治のことに関わろうとしていくぞ、と一人ひとりがそういう意識を持っていてこそ「民主主義」の中身は充実するんですね。数の力でお前の人格を否定する、なんていうことをやってはいけません。少数派が尊重されるにはやはり「話し合い」です。

ここからは、枝・葉の話です。
「話し合ってますか?」について考えてみましょう。53条に「内閣は国会の臨時会を招集することができる。いずれかの議員の1/4以上の要請があれば内閣は召集を決定しなければならない」とあります。話し合いをするのが、立憲民主主義。 少数派の人権が犯されにくくするために、1/4しかいない勢力の意見も聞こう、ということです。
2017年、野党の議員が「モリカケ問題などもっと追求しよう」と臨時国会を開くよう要求しました。3ヶ月以上放置され、9月の終わりにようやく開かれた。でも臨時国会を開いた瞬間、はい、衆議院解散!って。秒で終わっちゃった。
そういう解散をしてもいいんですか?解散権を使うのは内閣です。内閣の解散権は、内閣のためにあるのではありません。これは53条違反です。
2020年、コロナが来た時の夏に同じことが起きました。野党が53条に基づいて臨時国会を開けと要求。今度は夏休みー。2021年も全く同じ流れです。この夏は自民党内のイベント、自民党総裁選をやってましたね。誰を看板にすれば選挙に勝てるかって。翌月の衆院選ではまた相変わらず、自民党が勝ちました。
2022年8月。一応臨時国会が開かれました。でも3日で終わっちゃいました。だって、岸田さん、安倍さんの国葬をやりたいばっかりで…。国葬をそんなにやりたいなら、国会を急いで開いて、やり方とかちゃんと議論しなきゃ。国葬をやりたいという一方で、国会はやりたくないという。それは筋が通っていない。

「平和」と「自由」
ライオンを檻に入れることで私たちの何を守っているのか、
「平和」と「自由」、この2つです。
まず平和主義。軍事力を憲法というルールで縛っておく、それによって戦争を防ぐんだ、と。これは「根っこ」から育つ「幹」です。
自民党の改正草案、何が問題なのでしょうか。自衛隊を書き込むなら自衛隊を縛るルールも書き込まないと。九条の2項、これが日本国憲法の特色と言われていますね。「ライオンは、戦力、交戦権、軍事力は一切使っちゃだめです。自衛隊って戦力じゃないんですか?違憲じゃないんですか?」という議論が昔から行れています。自衛隊ができたのが、1954年。「これは戦力じゃない。合憲です」これが政府解釈。
みんなが人間らしく生きられるためには、「自分とこが攻められたら自分の身を守らなきゃ人間らしく生きられない。だから自分の身ぐらい守っていいでしょ」って、これを「個別的自衛権」といいます。これを憲法は否定しているわけじゃない。これができるための実力部隊は戦力と言わなくてもいいんじゃないかと。そういう解釈で自衛隊は存在してきたわけです。
「集団的自衛権」の方は檻の中のライオンは手が届かないようにしてきた。そういう区別で長年自衛隊というものが存在してきたということです。
檻の中のライオンは権力の及ばないところに置いてあるので、もし「集団的自衛権」をやる必要があるなら、この檻を広げる改修工事をして「集団的自衛権」を中にいれなきゃいけない。憲法改正手続きをやらないと、この集団的自衛権はできないわけです。現行憲法ではこれ禁止されているんだから。
ところが、2015年、憲法のルールがライオンによって勝手に破られてしまいました。衆議院本会議において、「安全保障関連法案」が与党のみによる賛成多数で強行採決されたんです。集団的自衛権を改憲せずに、勝手に檻を破って外にあるものに手を出しちゃった。これは檻の破壊、つまり憲法違反と全国すべての弁護士会が「これは違憲です」という意見を公式に発表していますが、そんなことはお構いなしに多数決で法律をつくってしまった。改憲しないとできないことを勝手に決めてしまった。
改憲するのは誰ですか?国民ですね、「国民が憲法を作る」、「国民が憲法を変える」ということなんで、時の権力がどうしても憲法を変える必要があるなら「国民のみなさん、主権者のみなさん、改憲をしてもよろしいでしょうか」と、お伺いをたてるということが必要だったんだけど、勝手にやっちゃったということ。国民主権をないがしろにするやり方をしたということです。

いま話題のトピック
「敵基地攻撃能力」。日本からよその国の基地を攻撃できる、そういう技術能力を備えていこう。そのためにはまずアメリカからトマホークとやらを買ってきます。それが本当に私たちのためになるのかどうか、あと使われ方が問題ですね。
そういったいろんな個別の安全保障に関する政策が憲法の枠に収まっているのか収まっていないのか…。「これは合憲です、檻の中です」という前提で政策を考えなきゃいけないのに、檻そのものが壊れている感じがします。

憲法というのは、いくら時の政権であってもこの檻の中、という安心感があったけど、今は政権とって、数で勝っちゃうと何をしてもいい、みたいになりかねない。14条という檻で縛っているわけですが、権力を持ったライオンは、「僕、国有地とか持っているけど、8億円に値引きしてあげようか」とか、「君だけは獣医学部ができるようにしてあげよう」とか、「桜を見る会に来たら税金でごちそうしてあげますよ、後援会のみなさん」とかいろいろありましたね。日本学術会議問題では、6人の学士さんはなぜか任命しませんでした。なぜ任命しないのか説明はしないけど、なんか嫌なんです、みたいなね。権力者に気に入られるかどうかが勝負?それで忖度ということが流行ったり…。

檻が壊れないために
「改憲手続きの規定」。この規定はライオンの力だけでは変えられませんよ、とハードルを高くしています。具体的に「第何条をこのように変えよう」という改憲案が国会議員の3分の2以上の賛成がないと発議ができません。仮に発議されても、それから国民投票があります。改憲は簡単ではありません。だからと言って、改憲されないから安心では全くありません。憲法を無視する政治で国葬とか、臨時国会やらないとかは、全部憲法違反なんです。そこにかけるブレーキは二つあります。三権分立という権力同士がブレーキをかける仕組みがひとつ。そして、私たちがかけるブレーキです。それが大事です。このブレーキは、「主権者意識を持つ」「政治に関心を持つ」主権者なんだから檻を壊すときは私たちがちゃんとダメって言わないと、ダメなこと(憲法違反)がまかり通ってしまいます。
12条をみてください。「この憲法が国民に保障する平和と及び権利は国民の不断の努力によってこれを保持しなければならない」と。一人ひとりが政治に関心を持ち、憲法を学び、投票に足を運ぶ、そういった努力をしてこそ私たちのための政治が行われ、私たちの権利が保障されるんだ、ということです。
とはいえ、普段あまり憲法のことを考える機会はないかもしれませんが、憲法のことを考えなくても普通に生活ができている、それは憲法のおかげなんですよ。

知る⇨考える⇨行動する
憲法を学び、時事問題を知ろうとする、考える、そして投票所に足を運ぶ。その他いろんな政治行動をしましょう。
今回は「知る」「考える」「行動する」この三拍子そろった主権者になれるように不断の努力をしていきましょう!という話でした。今日の話を聞いて新たに知ったこともあるかもしれませんが、ふ〜ん、と知っただけで終わらないように。行動して初めて話した意味がある、と僕は思っています。

講演会「檻の中のライオンin各務原」より(2022年11月15日つくる・みらいの会:主催)

憲法がわかる46のおはなし
『檻の中のライオン』
楾 大樹:著 かもがわ出版
定価(本体価格1,300円+税)

楾 大樹(はんどう たいき):弁護士(広島弁護士会)、ひろしま市民法律事務所所長。1975年生まれ。『けんぽう絵本 おりとライオン』、かもがわ出版、(2018年)を刊行、いずれもヒット作に。講演は全国29の都道府県で230回を超える。檻を憲法に見立て、国家権力はライオンのぬいぐるみ。視覚的にも工夫をして分かりやすい活動を進めており、小学生から高齢者までファンを増やし続けている。


vol.212 しょうがいをみつめる vol.5

境界線

2023年2月10日〜23日。岐阜県関市において「渾沌の中の調和展Ⅱ」の開催に至った。岐阜県障がい者芸術文化支援センターさんと共催したアート展である。その一部は完全メタバース内展示とした。

なぜ私がメタバースに興味を持ったのか?それは「自閉症という知性」という書籍の中に仮想空間の中で活き活きと活躍する自閉症の方々の物語があり、興味を持ったからである。書籍の主題は「ニューロダイバーシティ(神経構造の多様性)」というもの。脳のバリエーションは人それぞれで、それを活かすことによって創造性を育む糸口になり得ることを様々な人たちの例を取り上げて書いてあった。私は興味を持った。

というのも、私の長男は自閉を伴う知的障がい者であった。言葉を使うことが少ない彼との暮らしの中で、親として迷ったり知りたいことは多かった。彼は同じ発音の言葉でも肯定や否定を使い分けた。前後の会話の雰囲気や声のトーン、表情や身体の向きなどから予測し判断したが、私が彼の真意を読み取れていたかどうかは分からない。

私はヘッドセット購入し試してみた。そこで感じたのは、身体の向きを変えるなど身体性を伴う会話が可能であること、相手も自分もアバターゆえに心理的ハードルが少し低いと感じたこと。(おそらく個人差あり)脳みそはいかに簡単に騙されてしまうのかということ。

仮想空間は仮想であるという定義は認識している。しかし逆説的に改めて考える。脳がいとも簡単に騙されるということは、私たちが見ているリアルは本当にリアルなのか?リアルって何?

人は五感から情報収集して脳が判断・解析している。自分の経験や思考をフィルターとして見聞きしている現実は、自分という仮想世界の中なのではないか。同じものを見ているのに他者は全く違う見解。という経験は誰にでもある。

ふと、荘子の中に出てくる「胡蝶の夢」を思い出していた。

“いつだったか、わたし荘周は夢で胡蝶になった。ひらひらと舞う胡蝶だった。心ゆくまで空に遊んで、もはや荘周であることなど忘れはてていた。ところが、ふと目覚めてみれば、まぎれもなく人間荘周である。はて荘周が夢で胡蝶となったのであろうか。それとも、胡蝶が夢で荘周となったのであろうか。”

カタチにとらわれる人の儚さを説いたものだと思っているが、どんな形であれ主体は私なのである。現実も仮想も主たるヌシは私そのものである。

社会性というものにも阻まれ、主たる私はモヤの中にいるようだ。現実と仮想の境界線はどこにあるのか。仮想空間で体験したからこそ、現実も少し疑うことができた。

視点や聴き方を変えてみる。社会的な正誤にとらわれず、本来の主体である自分を感じて見聞きすれば、眼前に広がるその現実は違って見えるのではないか?それに気づくことができるのであればテクノロジーも使ってみる価値はありそうだ。

脳には人それぞれのバリーエーションがあるというのだから、個々の「リアル」は「障がい」というフィルターを通して見なくても、彩り豊かなバリエーションに溢れているはず。


MASA:若者をはじめ、障がい者も一緒になって、ごちゃまぜイノベーションを目指している。知的障がいのある息子は享年24歳で2021年2月27日に旅立った。関市在住。


vol.212 やってみた 川瀬 智子さん

やってみたシリーズ第15弾
食習慣を変えたことで心身ともに復活した
川瀬 智子さん(50代)

あることが、自分の生き方を大きく変える。川瀬智子さんはそれを身をもって実感しました。
「2年前のある日、鏡を見ていて、あれ?私痩せてる?と恐るおそる体重計に乗ったら、思い当たることもないのに以前より5キロほど減っていて…。その後もどんどん減り続け、合計10キロくらい落ちたんです。もともとそんなに太ってはいないので、ガリガリになっちゃったんです」。
体重減少に伴い体力の低下、全身に出る痛み。常にある膨満感。徐々に臭いが氣になりはじめてた便やおなら。ひどい生理痛。当然のように精神的にも落ち込み、心身ともに「最悪な状態」となってしまいました。
重篤な病気かもしれない、とあちこちの病院で調べてもらってもこれといった病気は見つかりません。「もう自分で調べるしかないと、ネットやSNS、書籍など片端から調べました。リーキーガット、腸内細菌、発酵食品、自然療法など、いろんな情報と出会い、取捨選択する日々の中で、ようやく見つけた自分なりの結論が、自分は腸から栄養を吸収しにくい状態になっているのでは、ということだったんです」。
それからは自分に必要そうなことをどんどんと食生活に取り入れる日々が始まりました。
「メチャクチャな食生活をしていたつもりはなかったのですが、ラーメンやうどんなどの麺類も、パンも餃子も大好きだったし、化学調味料が多そうな店での食事も抵抗なかった。自分の体がここまで来て初めて食生活を変えよう!と強く思ったんです。以前からオーガニックに少しは関心があったし、特に最初の2、3ヶ月は集中的に取り組みました」。
具体的には、小麦粉をなるべく摂らないグルテンフリーを心がける。味噌汁やぬか漬けなど発酵食品や梅干しを意識して摂る。塩や油を選ぶ。砂糖は極力摂らない。できるだけ無農薬の野菜や、化学調味料・保存料等が添加されていない食品を選ぶ。揚げ物は控える、梅肉エキス、重曹・クエン酸を摂取する。1日2食にするなど。
その結果徐々に回復し、現在は体重が6キロほど戻り、様々な不調も消えました。「食と健康は結びついている、とつくづく感じました」。今では砂糖の甘さや化学調味料の味が苦手、食べ物の好みも野菜中心のあっさりしたものに。それとともに心が穏やかになりました。
「今回の不調になる以前から、政治や社会的な問題や身の周りの理不尽さにも怒りの感情が強くて、常に戦いモードでした。今は、物事って善と悪がすべてではないし、人それぞれに事情がある場合もある、と思えるようになりました」。
そして、犬や猫といったペットだけではなく、木立でさえずる小鳥、ふと目した雑草や草木、虫…。生き物すべてが愛おしく感じるようになったそう。
「発酵食品のことを詳しく知り、菌という存在さえ可愛く思えるんですよ。生きてる!って」と明るく笑うその姿からは不調時代の翳りは見えません。
「今回、自分なりにやったことで効果が出たのですが、それはあくまで自分に合っていただけ、どの人にも当てはまるわけではないです。でも、自分の体は自分が守るんだ、という意識はみんなが持っていた方がいいんじゃないでしょうか」。不調な時は内にこもり、余裕がなかったけれど、心身ともに元気になり、他の人を思いやる余裕が出てきた、そのこともうれしく思う川瀬さんです。


vol.212 人生これから 認知症は、年齢に関係ない?


人生これから!は、やがて来るその時までを「自分らしく・楽しく・生きる」ことを目指します。しかし、忍び寄る加齢による身体の衰え、もの忘れの頻度、気持ちの浮き沈みなどが生活や思考に影響を与えることもあります。そこで、自分の生活にもっとも影響があると思われる「認知症」について、まず「知る」こと、次に「考える」(対処法など)こと、そして「行動する」(対処法を知ったら実践する)ことを念頭に、活動をしていきます。
 認知症は自分には関係ないわ、と思っていませんか?実は、人生これから!のスタッフである私も人ごとでした。身の回りに対象者はいないし、まさか自分が?と疑ってもいなくて…。でも、知れば知るほど、誰がなってもおかしくない、予測はできない、兆候も読めない、しかも発症年齢がどんどん早くなってきている、進行を遅らせることができても治るわけでもない…そんなことを聞いた途端に、みぢかな問題となりました。「認知症」について何にも知らないわ、と思うと急に知りたくなって…。
「人生これから!」で定期的に勉強をしようと、えんぴつカフェでも取り上げることにしました。関心のある方はぜひご参加くださいね!随時紙面で告知いたし、学んだことをレポートしていきます。

 


vol.212 熱中人 坂井 ユリさん

やりたい」を仕事にしたい
シフォンケーキのお店を開いた 坂井ユリさん(犬山市・在住)

今から数年前、ケアマネージャーとしてボランティアで参加していた集まりの席で、仲間の一人が持参した手作りのシフォンケーキが本当に美味しくて。レシピを教えてもらって早速作ってみるが、みごとにふくらみが悪く大失敗。そんな馬鹿な!くやしくて、アドバイスをもらってはまた作り、納得いかないと作り直すの繰り返し。時には1日2回、3回焼く日も。それが3ヶ月ほども続きました。
毎日出る失敗作は、当時小学4年生の娘が一緒に食べてくれました。ある日「シフォンケーキってお腹を満たさないよねえ」と娘に言うと、「お母さんのシフォンケーキは心を満たすよ」って。 そういえば上手に焼けたシフォンケーキを友人知人にあげるとみんな大喜びしてくれる。その笑顔と娘の言葉が重なり、「手作りのものって、人を感動させる力があるんだな」とつくづく感じました。

安定して作れるようになってきた頃、私の住む犬山市では、木曽川沿いに毎週日曜に開催される朝市の体験出店者を募集していました。私のシフォンケーキを食べてくれた人が「これ売れるよ」と口々に言ってくれたことも後押しとなって、2021年8月に朝市デビューを果たしました。すると、初日になんと54個のシフォンケーキがたった23分間で完売。最初は恥ずかしそうに一緒に接客していた中学生になった娘も、飛ぶように売れていくのが嬉しそうで、にこにこ顔に。
自分の作ったものを大勢の人が買ってくれた感動、お客さんや他店の方との会話も楽しい。ケアマネージャーという仕事を続けてきたのも、もともと人と接することが好きということもあったんです。すっかり朝市の魅力にはまっちゃって、すぐに本登録をし、毎週出店を続けました。朝市を訪れるお客さんは常連の方がほとんどです。私の店に来るお客さんが一人でもいるかもしれない、そう思うと休むことはできませんでした。「おお、来とったかね。」と雪の朝に嬉しそうに声をかけられたこともありました。

次第に、これを本業でやってみたい、との思いが膨らんできました。家族に話すと「言うってことは、もうやるって決めてるんだろ?開店資金は新車を買ったと思って投資するわ」と、私の性格をよく知る夫は理解を示してくれました。ケアマネの仕事もやめ、夫や娘、周囲の方の協力のもと、友人が写真撮影やポップ作り、姉が製品作り等を協力してくれ、手作り感満載の小さな小さなプレハブのお店「あいぽち」が自宅敷地内に完成。2022年10月に無事オープンしました。シフォンケーキだけでなく、パン類、キッシュなどを並べています。

娘の愛さんと

娘には自分の好きなことを仕事にしてほしい。私の夢に向けて行動する姿を見せたい、そんな思いもありました。だからお店を4年後も5年後も続け、ゆくゆくはキッチンカーのような移動販売で、過疎の地域に住む高齢の方が近所に歩いて出かけられて、手にとって買い物ができるようにしたい。そこで安否確認もできるし、「今度来るときこれを買ってきてよ」そんな用事を頼まれるような関係もできたらいいですよね。それは自分一人ではできないことだから、賛同してくれる有志の方とチームを組んでできたらなと思うんです。

シフォンケーキという違う方向を向いているようですが、結局、ケアマネ時代に「こんなのがあったらいいのに」と思っていた事の実現に向けて歩いているんですよね。地域貢献が私の原点ですから。

シフォンケーキやパンの焼けるいい匂いに包まれて…

※お店の「あいぽち」という名前は、娘と愛犬の名前から。所在地は犬山城下町の片隅ですが、古くから住んでいらっしゃる方も多く、地元の方、観光客の方、みなさんに親しまれる店でありたいです。

場所は各種マルシェやワークショップなどのイベント会場になっている「余遊亭」のお隣です。
犬山市犬山東古券499番 090-3080-7432
営業時間:9:00~16:00
定休日:水・木 駐車場:あり


vol.212 ボーダーレス社会をめざしてvol.71

NPO法人オープンハウスCAN 理事長 伊藤佐代子

ことば

障がいのある人たちの書道展を昨年末に行いました。掛け軸あり、額に入った作品あり、サイズも大小さまざま、書いた内容も一文字だけのものや金子みすゞの詩を書いたものなどバラエティーに富んだ作品を展示することができました。会場には、メッセージを入れる箱を用意し「〇〇さんへ  〇〇より」という紙を置いておきました。箱の中には毎日のように2,3枚入っており、多くの方が見て下さっているようでした。メッセージの中には、お知り合いの方の作品への感想などを書いて下さっているものや「この作品が好きです」「魚が泳いでいるのを見ているような気持になります」など率直に感想を書いて下さっているものがありました。全く作者をご存知なく、個人あてに書かれている感想は、人の心を揺さぶりました。ご本人よりご家族の方がとても、とても喜んでいらっしゃる姿を見させてもらいました。知らない方からのメッセージは、ご本人が、障がいがあるゆえにことばの理解が難しいですので、親としてはこの上ない喜びだったのでしょう。偶然にも阿川佐和子さんのアガワ対談傑作集という本を読み、義家弘介先生(ヤンキー先生)が、事故で内臓複数破裂をし、生死をさまよう入院中に、恩師から「死なないで。あなたは私の夢なんだから」と言われ、生きる意欲を取り戻したというのを読んだばかりで、ことばってなんてすごい力を持っているのだろうと感激をしていた所でした。これと同じ様なことが起き、嘘のない心からのことばは、並ではない力があるのだなと実感しました。息子が3年生の時に、主人がシアトルへ赴任するときに息子を一緒に連れていくか否かでお医者さんに助言をもらおうと名大病院まで行き、診てもらったことがあります。その時にお医者さんが言われたのは「よくここまで頑張ったね」ということばでした。嬉しくて忘れられないことばです。また、ひと月ほど前に洗濯物を干しながらふっと思い出したことがありました。書道教室でのできごとです。今は大学生。当時は小学4,5年生の男の子が「お姉ちゃんは、どうやってこれから生きていくの?」障がいのある姉を思っての突然の私への質問でした。周りには誰もいなくて私一人の時に、真剣な顔で聞いてきました。「社会は変わっていくから、心配しなくていいよ。きょうだいが、両親の代わりをしなくて良い制度が出来てきているから、君がお姉ちゃんをすべて見なくていいんだよ。そのために私たちが頑張っているんだからね。」と答えました。そんな話を最近、お母様にお話ししたら、「そうでしたか。そんな小さい頃に・・・。聞いた相手が伊藤さんで良かった。」と言ってもらえました。少しは彼の役に立てたでしょうか?誰かのことばが人を元気にすることができるというのを今回、目の当たりにし、いつもとは違う展覧会の良さを知りました。


vol.212 夢か悪夢かリニアが通る!vol.41

 リニア中央新幹線の残土処分場が計画されている岐阜県御嵩町の「美佐野ハナノキ湿地群」(美佐野湿地)。環境省の「生物多様性の観点から重要度の高い湿地」(重要湿地)に2016年に指定されていた事実を、同町とJR東海が長年にわたって伏せてきたことに町民が反発。問題は未だ、解決の糸口さえ見出せません。          井澤宏明・ジャーナリスト

 

美佐野は「最後の砦」

御嵩町、ようやく認める
1月21日に開かれた第5回「リニア発生土置き場に関するフォーラム」。御嵩町は、残土処分場候補地A、Bすべてが「重要湿地」だという認識を初めて示しました。これまでは処分場候補地の一部だけが重要湿地だとして、環境省のレッドリストで「絶滅危惧Ⅱ類」に指定されているハナノキ群落の伐採を避けるよう配慮したというJR東海の計画を擁護してきました。

重要湿地の勉強会であいさつする渡邊町長

渡邊公夫町長は、処分場候補地が「重要湿地」に指定されていることを頑なに否定する発言を繰り返してきました。前回も記したように昨年11月10日の第4回フォーラム後には、「重要湿地に残土処分場を作ることは適切ですか」という筆者の問いに、「私は重要湿地に隣接してるっていう解釈です」と答えています。
残土処分場候補地すべてが重要湿地に含まれるという認識を町が示した以上、さすがの渡邊町長も否定できないはずです。第5回フォーラムの後、改めて直撃しました。
――前回、「重要湿地は候補地の隣接地だ」とおっしゃったが、これは間違いということでいいですね。
「解釈の違いってことですよね。きょうの先生方の説明で、(候補地)全体がそういう(重要湿地という)解釈になるっていうのは認識はしました」
――重要湿地という認識になったということですね、候補地が。
「ええ」
なかなかご自身の誤りを認めたくないようです。

「世界的にも屈指の規模」
2月5日には、環境省の担当者や専門家を招いて町主催の「重要湿地の保全に関する勉強会」も開かれました。
登壇した富田啓介・愛知学院大学准教授(自然地理学)は、「湧水湿地研究会」の会長を務め、環境省が2016年に「日本の重要湿地500」を見直し633か所に拡大した際、美佐野湿地を指定するよう推薦しました。
富田准教授は勉強会で、美佐野湿地の特徴について、「ハナノキの個体数で屈指の規模を誇っている。ハナノキは東海地方の固有種なので、世界的にも屈指の規模だということ」と述べ、これまでの調査で80本ほどの成木が確認され、ハナノキが自然に生えている「自生地」の中でも5本の指に入ると紹介しました。
さらに、多くのハナノキの自生地の面積が0.5ヘクタール未満なのに対し、美佐野湿地は2ヘクタール以上あることや、胸高直径(胸の高さの直径)が30センチ以上の大木が多く、樹冠(枝ぶり)が非常に大きいものが多い点でも「貴重だ」と指摘しました。
遺伝的な多様性にも言及。美佐野湿地を含めた御嵩地域のハナノキ自生地はそれぞれが近くにあっても遺伝的な系統が異なっているという専門家の研究成果を挙げ、「それだけ多様性があるということは、昔は多分、たくさんのハナノキの大群があり、多様に分化していったものが今残っている(と考えられる)。美佐野は大きく残されているので、『最後の砦(とりで)』の一つと言える」と力説しました。
会場の町民からの質問に答える形で富田准教授が「正直な気持ちを申し上げると、(美佐野湿地を)そのまま残してほしいと思っています」と本音を漏らすと、会場は大きな拍手に包まれました。
西村明宏環境大臣は2月7日の記者会見で「(美佐野湿地を)基本的には、できれば残してほしいという方針でしょうか」という記者の質問に次のように答えています。
「環境省とすれば、自然環境を守るということは重要なことだと思っておりますけれども、(中略)重要湿地に選定することによって法的な規制が生じるものでない現状において、事業者、住民、自治体の皆さんとしっかり協議をした上で進めていっていただければと思っています」
昨年5月に始まったフォーラムも残すところ1回。このような混迷の中、御嵩町は判断を下せるのでしょうか。

 

 


vol.212 モザンビークからレポートvol.6


Nampulaに行ってきました!お仕事編

明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。みなさま、年末年始はどのように過ごされましたか?私は日本とは一味も二味も違う、夏真っ盛りの冬休みを楽しみました。

モザンビークのカレンダーでは、12月25日のクリスマスと、1月1日の元旦が祝日(今回は両日ともに日曜日だったため、26日も2日も振替休日となり連休!)なだけで、そのほかの日は労働日です。暑いし、何だか年越し感のない毎日でした。ただ、クリスマスと年始だけは、首都の人の多くが田舎の家族の家で過ごすから、首都はゴーストタウン化!シーンと静まり返ると聞いていました。私は両日ともモザンビーク人の友人の家で過ごさせてもらったので、街の様子はわからないのですが、6日の今でも少し閑散としている感じはあります。カレンダー通りと言っても、閉まっている個人店も多いです。

さて、事前に、クリスマスは、24日の夜にお祈りに出かけて、夜通しダンスを踊って過ごし、25日はどちそうを沢山用意して多くの家族や友人を招いて食べる。年越しは、31日の21時くらいに多くの人がビーチに迎い、花火を打ち上げて新年をお祝いし、1日もごちそう!と言われていました。ビーチで年越し?ご馳走って何?と期待を胸に、25日はUtília(ウッティリア)ちゃん宅を、31日、1日はCrionícia(クリオニシア)ちゃん宅を訪問しました。まず何よりも大切なのが、音楽とダンス!イベントの時は料理よりも何よりも音楽が大切と言われていて、DJの質が問われます。どの家庭からも常に大音量の音楽が流され、ふとした間にそれぞれ踊るし、食後も銘々に気持ち良さそうに踊っていました。子どもはお腹にいる時からダンスを覚えると言われていますが、お母さんの踏むステップに身体が揺れ、知らず知らずの間にアフリカン音楽の独特のリズムを身体で覚えているんだなぁと、妙に納得しました。そして、特徴的なのは、「時間」の違いでしょうか。料理の準備を朝から始めて、お客さんが来たらみんなでAlmoço( 昼食)だよ!と言われていたのに、食べ始めたのは25日は16時ごろ、31日は18時を過ぎていました。そして、その準備量の多いこと!5リットルほどの鍋いっぱいの牛肉の煮込みだったり、サラダだったり、フライドポテトも5kgくらいの芋で作った気がします。その他にもフェジャオン(トマトとニンニクで味付けた煮豆)、味付けご飯が両日、両家庭で共通していたものです。そして、Utíliaの家では鶏肉と豚肉の炭火焼き、Crioniciaの家では、ヤギがお嫁さんの実家から一頭送られてきて、屠殺、解体後、炭火焼きやら内臓の煮込みやらを作りました。これは大ご馳走中の大ご馳走。こちらの人は毎日お肉や魚を食べる習慣はありません(経済的な理由にもよります)が、お祝いとなると、お肉料理が並びました。残念ながら、謎の理由で年越しのビーチには行きませんでしたが、家々の庭から上がる打ち上げ花火を見て、豪華に新年を迎えました。


vol.212 菌ちゃん野菜応援団vol.33

 


腸活!菌ちゃんをたくさんお腹に入れよう(^^)/

今月は「身体が苦手なものを控えよう」です。ここで言う「身体」とは「お腹」のことをさします。なぜなら食べたものはお腹で消化吸収されていくからです。
では、お腹が苦手なもの、とはなんでしょう?
ずばりこれは「加工され過ぎたもの」となります。カットされて消毒されたり、半調理されてパックに詰められたお野菜。元のかたちがなくなるまで加工されたお肉やお魚。スナック菓子類などなど。
すぐ食べられるようなものは便利で手軽でとても簡単。
つい頼りたくなってしまいますね。だけど、すぐ食べられるということは素材そのものの時より腐りやすくなっている、ともいえます。
それを防ぐために加工食品には様々な添加物が施されていますが、それは、昔の私たちの生活にはなかったもの。
私たちの食生活はこの数十年で劇的に変わりましたがDNAはそう簡単に変わらない。そうすると、身体のなかで「異物」と認識されてしまう「添加物」はやはり負担になるんですね。
同じ理由で「農薬」「化学肥料」なども身体にとってはあまり歓迎されないもの。少しなら構いませんが日常的にたくさん取りすぎると腸内細菌のバランスを崩しやすくなってしまいます。
そうすると?付随して身体のバランスも崩れ、免疫力や自然治癒力が低下してしまうんですね。バランスが崩れすぎた結果がアトピー性皮膚炎やアレルギー、もしくは、様々な不定愁訴として症状が出てしまう、という事実が有るんです。
私たちの身体は柔軟に環境に対応してくれますからちょっとのことではこわれませんが、体調が優れない人やもう少し元気になりたいな、という方は「身体が喜ぶものを食べる」以外に「身体が苦手なものを減らしてみる」を実践してみてください。
シャンプーや洗剤、化粧品なども自然由来のものに変えるだけで驚くほど底力が沸いてきたりしますよ。少しの歩みが大きな力になります(*^^*)
どうしても加工品が続くときは解毒を促進してくれる発酵食品の他にミネラルも取り入れてみてくださいね。

次回は「ミネラル」についてお話ししますね。

菌ちゃん野菜応援団・東海支部の各務亜紀さんより「味噌玉」のプレゼントあり。
プレゼントコーナーを見てね!


vol.212 ここいく日記 はじめの29歩!

『幸せなお産』が日本を変える

いつも私たちの「いのちの授業」では、助産師である中村が、出産について経腟分娩と帝王切開があることを伝えてくれます。そして、帝王切開で生まれてきた赤ちゃんも産んだお母さんも、経腟分娩と同じようにとっても頑張った。どんな生まれ方であっても、今ここにみんながいるっていうことは、生まれた時にしっかり呼吸ができて、元気に泣くことができたってことだよ…その言葉を聞いて、普通に産んであげられなかった後悔と懺悔でいっぱいの私の心が軽くなります。そして授業で出会ったお母さんの中には、私と同じように帝王切開で産んだことを、マイナスに捉えているお母さんが多いと感じました。

私の初めてのお産は後悔だらけでした。妊娠を喜んだのも束の間、初期には流産をしかけて2週間の入院、7ヶ月には前置胎盤と診断され、リスクを避けるために仕事も辞めました。初めから病院で産むことを選び、不安と心配があっても、転院するという選択もありませんでした。出産では、入院と同時に医師からは帝王切開での出産を伝えられました。陣痛がきたら経腟分娩ができるのではないかと考える助産師さんに勧められ、陣痛を促す行為を試し陣痛がくることを待ちましたが、結局は帝王切開手術へ。それも全身麻酔だったため、長男の産声を聞くこともなく、顔を見ることも出来ずに離されて、会えたのは次の日でした。そんな納得のいかない出産を、私は育児中も引きずっていました。熱が続いたり、アトピーなどのアレルギーが出れば、下から産んでないからでは…と悪気のない言葉に傷つき、悩み、二人目はどうしても経腟分娩で産みたいと思う気持ちが強くなりました。
今回題名につけた『幸せなお産が日本を変える』は、自然なお産をする「吉村医院」の故吉村 正先生の本の題名です。日本を変えるって?と、大げさに聞こえるかもしれませんね。
昨年は、ずっとお会いしたかった、吉村医院の元婦長・岡野眞規代さんのお話を聞くことができました。助産師として病院での出産に関わってきて、「お医者さんに産ませてもらう」管理医療と、命をかけて「自分の力で産む」自然分娩の違いを吉村医院で知り、吉村先生の考え方や幸せなお産のことを、もっと知ってもらいたと講演活動をされています。
お産は全ての人の原点であり出発点。いいお産をするためには、『ゴロゴロ パクパク ビクビクしない』
しっかり動いて食べ過ぎない、胎児にも伝わる安心感。産むのも亡くなるのも当たり前に家であった、昔の日本の姿が自然分娩につながる。現在の日本では、赤ちゃん5人中1人の割合で帝王切開になっているようです。便利な世の中になった分、失ったものもたくさんあるということですね。こう言うと、帝王切開を否定しているように聞こえるかもしれませんが、自然分娩とは、けっして”下”から産むことだけを指すのではない、精一杯自然なお産を目指した結果の帝王切開なら、それはその人にとっての「自然なお産」。素晴らしいのは『自然に生きる』ということ。自然に正解はなく、人それぞれ、みんな違っていいのです…と伝えてくださいました。
このお話を、もっと若い世代の人に聞いてほしい!!きっと幸せなお産に関わることで、虐待や自殺、DVや不登校が減り、出産率も上がると思う。本当に日本が変わるかもしれないですね。

私は運良く、気持ちを受け入れてくれる先生に出会い、2人目を経腟分娩で産むことができました。この二つの出産を経験したのは、「何かお役目があるのよ」と岡野さん言われ、無駄ではなかったと嬉しくなりました。

担当:ここいくメンバー 小田佐知子でした。
ここいく☎090-3446-8061(中村)


vol.212 プレゼントコーナー

212号PRESENTS

プレゼントご希望の方は

ハガキまたはe-mailで、下記のアンケートを
1〜6までご記入の上、編集部・プレゼント係りまでお送りください。

1-あなたがこの春、始めたいことは?
寒い冬も過ぎ、日差しが暖かくなると何か始めたくなりませんか?あなたが始めたいこと、なんですか?
2- 気になるにらめっこ紙面での広告
3- 気に入った記事、気に入らない記事の
タイトル1つ・その理由もお書きください。
4- ご希望のプレゼント名 (第1希望・第2希望 を必ずお書きください)
※A、Cは編集室まで受け取りに来られる方。
5- 本紙をどこで入手されましたか?
6- 氏名、年齢、住所、郵便番号、電話番号、 家族構成

〆切:2023年3月25日 当日消印有効。
宛先 〒504-0855 各務原市蘇原新栄町3-15
e-mail: info@niramekko.com
※お寄せいただいた個人情報は、本紙プレゼントの発送に限り、 使用させていただきます。
※当選の発表は発送をもって代えさせていただきます。


A.菌ちゃんたっぷり!味噌玉80g 各務 亜紀様より…3名様


本紙で好評連載中の「菌ちゃん野菜応援団」(P.18)。東海市部応援団長の各務 亜紀さんによる手作りの味噌玉です。お湯を注ぐだけで地味溢れ、体も心も喜ぶお味噌汁がいただけます。スペシャルブレンドの味噌に、だし、オリーブオイル、乾燥わかめ、乾燥ネギが入っています。お味噌汁3杯分です。にらめっこ編集室でお受け取りください。


B.冊子 認知症のことで知っていてほしい5つのこと NPO団体「人生これから!」様より…2名様


誰がなってもおかしくない認知症。「人生これから!」主催のえんぴつカフェでも今後とりあげていくテーマです。冊子は、介護施設で勤務経験のある漫画家・北川なつさん著、知っておくとよいポイントがわかりやすく描かれています。(A5版、12ページ)


C.天下布武 信長バナナ 2本セット 信長バナナ(合)様より…3名様


岐阜県で栽培、収穫、販売!栽培期間中、農薬、化学肥料は使っていませんので皮まで食べれる安心・安全なバナナです。糖度も25度前後と高く、黄金の香りのバナナです。にらめっこ編集室でお受け取りください。


D.CINEX 映画招待券 シネックス様より…ペア3組様


登場人物の心情を感じながら深く考える。そこにユーモアも少し。心に残る作品と出会えたら、もう映画館にはまってしまいますね。写真は映画「すべてうまくいきますように」より。岐阜市柳ヶ瀬のシネックスでご利用いただけます。


VOL.211 風邪対策をはじめよう

冬はウイルスが活発に活動するため、風邪やインフルエンザなどが流行しやすい季節です。

安静にしていれば、数日で回復
風邪は、鼻やのどに起こる急性の炎症のことで、正確には「かぜ症候群」と呼ばれます。何百種類もあるウイルスのいずれかに感染することにより引き起こされ、その症状は、のどの痛み、鼻水、鼻づまり、せき、たん、くしゃみ、悪寒、微熱、頭痛など、さまざまです。インフルエンザとは異なり感染力はあまり強くなく、重症化することもほとんどありません。通常のかぜであれば、「かぜかな?」と思った段階でただちに安静にしていれば、数日で回復します。
しかし、無理をしてこじらせてしまうと、気管支炎、扁桃炎、副鼻腔炎、中耳炎、肺炎などや、まれに合併症を引き起こしたりすることがあります。また、かぜではなくインフルエンザの可能性も考えられますから、症状を見極めて適切に対処することが必要です。

免疫力を高める生活のポイント
そもそも風邪(かぜ)は正式には『かぜ症候群』と総称される呼吸器の感染症で、医学的には、『急性上気道炎』や『急性上気道感染症』と呼ばれています。鼻腔から咽頭(食道の入り口)までの上気道と呼ばれる部分に炎症が起こり、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、のどの痛み、咳、たん、発熱などの症状が出る病気です。
風邪の原因となるウイルスはライノウイルス、コロナウイルス、RSウイルス、アデノウイルスなど実に200種類以上もあるため、原因を正確に特定するのは難しいとされています。
ちなみに、人に感染する一般的な風邪の原因となるコロナウイルスは4種類が知られていましたが、2002年にSARS(重症急性呼吸器症候群)、2012年にMERS(中東呼吸器症候群)、そして2019年にCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)と、病原性の高い新しいコロナウイルスが現れています。
一方、インフルエンザは、感染の様式は風邪と似ていますが、風邪を起こすウイルスとは異なること、上気道だけでなく肺(下気道)まで感染するケースもあること、また、症状も重くなりやすいことから、風邪とは別の病気だと考えたほうがよいでしょう。
秋から冬に向かう時期など、季節の変わり目には自律神経のバランスが乱れて体の防御機能が低下しやすくなります。また、気温が下がり、空気が乾燥してくると、風邪の原因ウイルスに感染するリスクが高くなります。コロナ禍の今、なるべく医療機関にかからないようにするためにも、“風邪に負けない”(ウイルスの防御および体内で増殖させない)体づくりが大切です。

免疫システムを活性化する生活習慣とは?
感染症から身を守るためにウイルスと戦ってくれる免疫システムですが、免疫細胞を作る力は、生まれてから徐々に上がっていって、20歳をピークに下がっていくとされています。年齢を重ねると風邪をひきやすくなるのも、こうした免疫機能の低下が影響していると考えられます。そのほか、免疫は食事や睡眠、運動など様々な生活習慣にも影響されます。まずは下のチェックリストでご自身の生活を振り返ってみよう。
 免疫システムを考える上で、わかりやすい指標の一つが体温。体温が下がると免疫の働きが低下します。血液の粘度が上がるため血流が悪くなり、免疫細胞の働きが衰えるからです。体温が下がれば、液体であるリンパの流れも滞ります。体が冷えていると感じたら、腹部や太ももなど、動脈が体の表面近くを走っている部分を直接温めるのが有効です。日ごろ“冷え”を感じていなくても、平熱が35℃台などで低い人は、体を温めることを心がけてください。“自家発電”とは、体の芯から温めること。
ストレスなどで自律神経のバランスが崩れ交感神経系が優位になると血管が収縮して血流が悪くなります。ですから、夜は体をゆっくり休めることが大切です。寝る前にぬるめのお湯に長〜く浸かる半身浴をして、副交感神経の働きを高めておくといいでしょう。リンパ球が増えるのは夜中なので、睡眠をしっかりとることも重要です。
わざわざジムで運動しなくても、早歩きを心がけ、駅などの階段をなるべく使う、電車に乗っても座らない、洗濯物を干すときには1枚干すごとにしゃがむなど、自分にとって“ちょっと面倒で嫌だなと思うこと”を日常的に行えばそれが運動になり、免疫が活性化します。運動により筋肉も増加し、体温を上げることにもつながります。 ただし、運動のし過ぎは逆効果。激しい運動は活性酸素を作り出してしまうので避けてね。

免疫力を高めるキーワードは、食事、運動、生活習慣です。免疫が健康に貢献するのは、守りを固めることができるから。
人の体は常に、細菌やウイルス、がんなどの攻撃にさらされています。そられから体を守ることができれば、健康を維持できます。栄養バランスが取れた食事をするのも、適度な運動をするのも、しっかり眠ることも、すべて免疫を高めて守りを固めることにつながり、それが健康の土台になっています。
免疫力アップを意識した生活を送りましょう。

 


VOL.211 風邪かな?と思ったら

冷えてしまいがちな首、手首、足首の3つの首を温めます!靴下やレッグウォーマー、子ども用のカイロなどを上手に活用。お砂糖を入れた生姜湯などを作って、体の中から温めるのも効果的です。忙しい時も、温めるだけならささっと即実行!!

風邪のひきはじめに食べたいのが、消化の良いうどんや雑炊。できれば、ネギ、玉ネギ、ショウガ、ニラ、梅干など殺菌作用や発汗作用があるものをたっぷり入れて。
喉が痛い場合は、炎症を抑えてくれるハチミツ大根や生のレンコンジュースもぜひ!小さな子どもの場合は、片栗粉でとろみをつけたり、砂糖で甘くしたりと食べやすい工夫もしてあげてくださいね。水分をしっかりとることもお忘れなく!

 空気が乾燥していると、風邪のウィルスは力を増してしまいます。風邪のひきはじめは、濡れたタオルを室内に吊るす、加湿器を利用するなどして湿度を50%くらいに保ち、ウィルスの繁殖を防ぎます。
同時に、換気も大切なので、2~3時間おきに窓を開け、新鮮な空気と入れ替えるように。

 風邪のひきはじめは特にうがいが重要です。喉が痛くなるのは、喉の粘膜についているウィルスと戦っている証拠。ですから、うがいでウィルスを洗い流すことが有効ですが、喉の奥まで水が届いてないと効果はありません。「アーイーウーエーオー」と声を出しながらだと、しっかり奥まで届くので、ぜひ試してみてください。

 風邪のひきはじめは、体を休めることも大事。体からの欲求に逆らわず、たっぷり睡眠をとる。寝ている間に、体の免疫力や抵抗力が高まっていきますので、眠たいという欲求に逆らわず、たっぷり睡眠をとることを心がけます。心地よい眠りをサポートしてくれる、ラベンダーなどのアロマオイルを焚くのもおすすめです。

この5つの対処法を実践すれば、薬を飲まなくても翌日にはケロっと元気になっていることも!風邪の引きはじめだけでなく、毎日の生活に取り入れるのがおすすめです。自然と免疫力があがり、風邪を寄せ付けない、たくましい身体になれますよ♪

冷えは“ちょっとした不調”と思われがちですが、実は万病のもと。「手足が冷たい」、「肩がこる」、「しもやけができやすい」、「おなかが冷えると下痢をしやすい」、「腰が冷えると腰痛や足にしびれを感じる」など、冷えの感じ方は人によってさまざま。

精神的なストレスと子どもの冷えにご用心
 冷えには、いろいろな原因があります。冬の冷えというと、気温の低下や寒冷が影響して手足が冷たくなったり、体調を崩したりする人が多くいますが、意外な原因もあります。それは、精神的なストレスです。
精神的なストレスがかかり交感神経が優位になり、体が戦闘モードになって心臓の鼓動が速く、そして体温が上がってきます。「しかし、1か月、半年とこのような状態が続くとエネルギーがなくなって体温は下がってきます。精神的なストレスによって冷えが起きているときは、自律神経を乱しているストレスを解消することが大切です」ストレスの多い生活をしていると体は温かくなりません。スポーツや趣味など、楽しくて夢中になれる活動を自分の生活の中に取り入れましょう。
また、冷えは大人だけでなく、子どもにも見られます。「冬になるとしもやけができやすい」、「風邪をひきやすい」といった不調は、冷えの兆候です。子どもの頃から体を温めることを大切にして、冷やさないように心がける事が大事。「10代、20代は、男女ともにホルモンバランスが変わる時期。とくに10代の子どもをもつ親は、子どもの体温に気をつけて健康管理をしてほしいと思います」
と『上体温のすすめ』の著者・今津医師は話す。

自分に合った体調管理の方法
 簡単で長く続けやすいおすすめの方法は、起床後に1杯の白湯を飲むこと。体の芯から温まります。
日頃から体温計を身近に置いて活用すると自分の普段の体温(平熱)がわかり、体調管理に役立ちます。体の温度には、皮膚の温度と深部体温の2種類があります。皮膚の温度は寝ているときは上がり、朝になると下がってきます。一方、体の深部温度(体温)は寝ているときに下がり、朝になると上がってきます。体の温度はこのように違いがあるため、「体温は、この2つの温度がちょうど交差するときに測定するのがいいです。起床後は食べたり飲んだりする前に、夜は布団に入る直前がよいでしょう。体温は測定時の条件をきちんと揃えることが体調管理の大事なポイントです。ぜひ、起床時や就寝前などの測定習慣をつけるようにしてみましょう

風邪やインフルエンザの予防法としてよく知られているマスクの着用。しかし、インフルエンザの予防においてはほとんど効果がないとする研究も報告されています。そこで今回は、マスクには具体的にどのような効果があるのか、インフルエンザはどう予防すればよいのか、考えてみます。

インフルエンザウイルスの大きさとマスクの穴の大きさを比較すると、インフルエンザウイルスが直径約0.1μm(マイクロメートル)であるのに対して、一般的な不織布マスクの穴は直径約5μm。インフルエンザウイルスは乾燥した空気中においては1日~2日ほど生存可能なのでマスクでは防ぎきれないといえます。

マスクをして咳をする女性

マスク装着で飛沫を防ぐ
ただし、近くにいる誰かがくしゃみや咳をしたときには、マスクによって飛沫感染(くしゃみや咳をしたときに出る水分による細菌やウイルスへの感染)を防ぐことができます。
また、マスクを着用することでマスクの内側が湿った状態になり、この湿気によりインフルエンザを予防できる可能性も示されています。(不織布マスクは除く)

マスクの着用は・・・
これまでインフルエンザの話でしたが、これはコロナについても同じことが言えます。そもそもマスクの常時着用は健康上のリスクを高めます。
「人は表情を見ながらコミュニケーションをとりますからマスクは障害になります。世界では、マスクだけでなくワクチン接種に対しても冷静な対応がされるようになっています。米国ではワクチン3回目接種は国民の30%ほどで低迷しています。海外ではそれぞれの国民が、マスクにもワクチンにも見切りをつけて不要に思って行動しているということです。こういったことも知っているはずなのに、なぜ日本人はいつまでもマスクをつけているのでしょう。自分で考えて責任を引き受けて行動することを避ける国民性も大きく関係しているように思います。自分で考えず、言われないとやらない。一度言われると考えないで永遠にやりつづける――。マスク着用はまさに、責任回避行動の典型例です。“相手を感染させないため”のマスクが、“感染しないため”のマスクとなり、最終的には自身の責任を回避するためのマスクになってしまったと言えるでしょうか」と大和田 潔 医学博士は話しています。
私たちは「マスクはなんのため?誰のため?その効果は?」をしっかり理解して、着脱は自分で決めたいですね。

参考:ボムス、自治医科大学医療センター、オムロン、PRESIDENT Onlineより


長いもバーグ
長いもは中国では滋養強壮剤(漢方薬)で、生で食べられる世界でも珍しい芋。ジアスターゼという消化酵素を含んでいるため、胃腸の働きを助けて消化を促す作用があります。
~ポイント~
つなぎに「麩(ふ)」を使用。ふわふわ食感、じゅわっとジューシーなハンバーグに焼き上がります!
<材料>
★鶏ひき肉、長いも/各100g ★麩/20g ★豆乳/50cc
★にら/40g ★卵/1/2個
★塩/1.6g ★胡椒/0.2g
★大根おろし/100g ★しそ/2枚
<たれ>しょうゆと酢・小さじ2、ごま油・小さじ1、唐辛子1/4本 小口切り
<作り方>
❶ ポリ袋に麩(ふ)を入れてたたき、豆乳を加えて馴染ませる。❷ 長いもを加え、さらに叩いて、なめらかになるまでつぶす。❸ 肉、にら、卵、塩こしょうを入れ、もみこむ。❹ ポリ袋の端を切り、フライパンに絞り出す。❺ 中火で両面をこんがり焼き、皿に移す。❻ たれを作る。ハンバーグの上に大根おろしとたれをかけ、細かく刻んだシソをのせ出来上がり。

さつまいもとりんごの春巻きパイ
秋~冬にかけての季節の変わり目は朝晩の寒暖差が大きく、体調を崩しやすくなります。さつまいもには食物繊維やビタミンCが豊富に含まれています。食物繊維は腸内環境を整える作用があり、免疫力アップが期待できます。ビタミンCは抗酸化作用が非常に高く、風邪予防に効果的ですよ。
<材料> 春巻き8本分
★春巻きの皮/4枚 ★さつまいも/200g ★豆乳/20-30cc★砂糖/30g ★バター/10g ★水溶き片栗粉/適宜 ★サラダ油/大さじ1
<作り方>
❶ りんごは皮をむき、種を除いて1cm角の角切りにする。❷ 鍋にりんご、砂糖(10g)、バターを入れて火にかけ、出てきた水分がなくなるまで煮詰める。(少し透明感が出て、色付くくらい)❸ さつまいもは電子レンジで加熱し(または茹でるか蒸す)、皮をむいて熱いうちにボウルに移して砂糖(20g)を加え、つぶす。豆乳は硬さを見ながら加えて混ぜ、餡に使える硬さにする。❹ 春巻きの皮は2等分に切る。さつまいもとりんごを乗せ、水溶き片栗粉を塗りながら巻いていく。❺ フライパンにサラダ油をひいて火にかけ、4を並べて両面色付くまで焼く。❻ 食べやすく斜めにカットする。

 

 

 


vol.211 映画「杜人」を観て

「大地の再生」に挑む

 かつて人は自然の循環を損なうことなく暮らしてきた。「鎮守の杜」の「杜」という字は「この場所を 傷めず 穢さず(けがさず)、大事に使わせてください」と紐を張った場のことだった。
映画「杜人」を観た。私たちの体も、この大地も、この地球も、息を止められたら生きられない。造園家であり、環境再生医でもある矢野さんの一言ひとことが心に響く。映画の中で、記憶に残る言葉を記し一つひとつ説明しようと思う。

「息をしている限り、まだ間に合う」。

映画の中に、巨木を移植するシーンの一言。私も事務所を移る時に柑橘類の木を2本移植したことがある。その作業は大変だった。まず深く根付いている根の周りを掘り起こすことから始める。運搬を考え根を随分切ってしまい痛めつけた。それでもこの事務所に根付き、花をたくさんつけ、今年は実もたくさんつけた。植物の生命力に感嘆している。

矢野さんはこともなげに巨木を移植すると決めた。費用も作業も大変であるが、「息をしている限り、まだ間に合う」と。 この映画は「環境問題の根幹に風穴をあける奇跡のドキュメンタリー」として各地で上映会とワークショップを展開している。


穴掘りの先生はイノシシ

イノシシは鼻先をうまく使い、凸凹に穴を掘っていく。木の根元、岩だらけの土を道具も使わずに見事に掘る。私がよく登る早朝の鵜沼の森で掘られたばかりの登山道に出くわす。鍬で耕した?と思うくらい…。

「イノシシはただ食べものが欲しくて土を掘っているわけじゃない。循環が悪い大地を掘って、空気の通りをよくしてくれているんです」「虫たちは風通しの悪いところにつく。葉っぱを食べて空気の通りをよくしてくれているんですよ」

『コラム 森・生物・ヒト』によると、「イノシシが掘り起こした穴は、漬物石よりも大きな石がいくつも掘り起こされて周囲に弾き飛ばされていたりする。大変なパワーだ。しばらくすると、穴には落ち葉がたまる。天然の堆肥場である。ミミズやムカデ、菌類などいろいろな土壌生物が集まってきて、せっせとこれらの遺骸を分解し、栄養分に富んだ腐葉土を製造する。そのうち、草木の種子が飛来したり、転がり落ちたりして、芽を出し、伸び始める」とある。さらに「イノシシが頑張るほど、土壌の通気性がよくなり、微生物をはじめとした土壌生物の活性が高くなり、有機物の分解が進み、土壌の肥沃度があがることが期待できそうである。イノシシは通常、農作物の害獣としか考えられてこなかったようだが、このように見てくると、普段はさっぱりわからなかった、森林生態系の中でのイノシシの役割が見えてこようというものである」。

人間以外の生き物は・・・

「植物はともにこの地球を生きる仲間。セミも、カニも、イノシシも、人間以外の生きものはみんな空気と水が循環するように日々環境改善している。その循環の輪から人間だけがはみ出してしまっていることが、いま、災害という形で人間社会に還ってきている

この言葉に私はうるうるしてしまう。紙面で何度も書いてきた開発という名の自然破壊に矢野さんがはっきり表現してくれたようで。しかも温かい眼差しで語る矢野さんに。
土石流や河川の氾濫が証明するように、護岸も山肌もコンクリートで被われて、いかにも息苦しそうだ。コンクリートジャングルという言葉も生まれた背景には高度成長期がある。果たして暮らしは豊かになったのだろうか。

風の通り道

「草は根こそぎ刈ると反発していっそう暴れる。風に倣って刈るとおとなしくなるんです」

今まで私は草の根元を握って、地表から5cmくらいを鎌で刈っていた。草刈りはそういうものだと思っていた。しかしそうすることで、その草の根は太くなり、土が固くなるという。
矢野さん曰く「風の通り道を作るように揺れる部分を刈るだけでいい。そうすることで主根に細いひげ根が張り巡らされ、さらに毛細根が現れる。その力で土が軟らかくなる」のだそうだ。確かにひげ根がガッチリと土をつかみ、酸素を土に入れて、ひげ根の先から出ている毛細根(もうさいこん)が団粒構造(だんりゅうこうぞう)を作っているのだから納得した。が、それは私にとってはカルチャーショックだった。

 

大地の呼吸
高度成長期からの国土開発という名の下で行われる土地の利用は、大地を窒息させる方向へ進んできた。せき止められた循環が長い時間をかけて問題を起こしていることに、矢野さんは強い危機感を抱いていた。そこで「大地の再生」に取り組むことになる。

「大地も人間と同じように呼吸し、地下を血液のような脈が流れています。それを人間が塞ぐから呼吸不全や動脈硬化が起こる。土砂崩れは大地の深呼吸なんです」

小さな移植ゴテで運動場の土をカリカリと掘り、水の流れを作る。溜まった水が、行き場を求めるかのように、または「水路を見つけた!」とばかりに流れ始める。気持ちは「詰まりを取り、流す」である。ん?なんか身体のリンパを流す時の気持ちになっている。要は同じなんだよね。身体の中で起きること、大地(土の中)、森、川、で起きることって。詰まらせたら確実に問題が起きるから。

「人間のからだでいうと呼吸と血管、空気と血液がからだの中をめぐっているのと同じように、地球全体で大気と水がからだのように循環しているんです」

そこで矢野さんはスコップ一本と観察力で問題に対峙する。一人ひとりの力を集めることで、かつての集落では当たり前だった「結(ゆい)」が今こそ必要なんだと説く。こういった一連の作業で、雨や風、動物たちがすることにならった環境改善のやり方を彼は実践し、伝えていた。       (三)


vol.211 しょうがいをみつめる vol.4

こころのもよう

アフォーダンスという言葉をご存じだろうか?ある方の文献でこの言葉を知った私は興味を持っていた。

アフォーダンス(affordance)とは、環境が動物に対して与える「意味」のことである。アメリカの知覚心理学者ジェームズ・J・ギブソンによる造語であり、生態光学、生態心理学の基底的概念である。「与える、提供する」という意味の英語 afford から造られた。Wikipedia参照

デザインなどにも用いられる概念で、引く・押すを直感的に促すドアの形状であったり、ボタンやレバーなど意識しなくとも促されてしまうことはある。大自然の中にも物質的な中にもその作用は活きていて、人はそれに無意識的に影響を受けている。そう、私たちは環境・物質・自然・人と関わり、アフォーダンスの中で生かされている。匂いで季節を感じたり、水のせせらぎに落ち着いたり、山々を見て荘厳さを感じたり。アフォーダンスは心模様にもアクセスしてくるようだ。

慧正(あきまさ)は言葉(とりわけ発話)を道具として使うことが少ない人生だった。言葉は道具であること。思考は自らが持ち合わせる語彙の範疇の中に留まっていること。それは慧正との関わりの中において、彼から表現される様々な感情の多彩さに驚きと共に感じる事が出来た。「知る」ではなく「感じる」。なぜなら「そうである」と答えを彼から聞いたわけではないから。無意識のうちに彼の態度に反応していた私はアフォードされ、アフォードしていたのかもしれない。

心が痛い、心が暖かい、心が揺さぶらせるなど、どこにあるか分からない「こころ」に温度や動きが生じるのは、アフォーダンスによるものなのだろうか。私には確かに体感として在る。

心とは一体何なのかは分からない。確かに言えることは自分という閉じた箱の中にあるのではないということ。それは関係性という空気感、安心感という場、人から出入りする息が交わる所に在るのかもしれない。そもそも「自分」とは閉じておらず、全てに繋がっているようだ。

慧正の表現は私を含む環境からアフォードされ、自ずと発せられていたと感じる。時にお互いにとって心地良くなくても。彼は私とは違い自分を表現するだけで、表現で他者をコントロールしようとはしなかった。もっともっと素直に彼にアフォードされていたなら、私はもっと自由でいられたのかもしれない。

 

MASA:若者をはじめ、障がい者も一緒になって、ごちゃまぜイノベーションを目指している。知的障がいのある息子は享年24歳で2021年2月27日に旅立った。関市在住。


vol.211 やってみた 内藤 俊さん

内藤 俊さん(60代)

日々の感動が創作の源!創作童話が2度の入選

田んぼの稲についた朝露が朝日に輝くさま、食事に出された筍ごはんの美味しさ、昨夜見た夢の奇想天外なこと!日々のふとしたことが発見につながり感動する。それらを忘れないうちにノートに書き留める。そんな毎日がなんと楽しいことか。
58歳の時に一年間だけ好きなことをやらせて欲しいと家族を説得して退職。映画を見ること、本を読むこと、童話を書くこと、朗読の講座に参加することなど、あっという間に一年が過ぎ、復職した。童話の創作を始めてからは、改めて周りの景色や日常の出来事を注意深く見るようになった。
自身の中に、物語を書きたい、という思いはずっと以前からあった。でも小説はちょっと長いな、と考えていたとき、目にしたENEOS童話賞の募集。応募要項には原稿用紙5枚とある。これなら自分にも書けるかもしれないと思い切ってチャレンジした。そのときの初めての応募作品は撃沈したけれど、それをきっかけに童話の創作は続け、ここ6年間は毎年2作品を書き上げ、「ENEOS童話賞」、「日産童話と絵本のグランプリ」の2つの公募に応募し続けている。
「書き上げた作品を息子に読んでもらうんですが、説教くさい、心に響く言葉が何もない、と、かなり辛口ですわ。ほんとうは妻の感想も聞きたいんですが、忙しそうだしちょっと遠慮しています」とはにかむように話す内藤さん。
そんな中でも、物語を書くという喜びはもう自分の中にしっかりと根を張り、今や生活の中心にさえなっている。
2018年には『漢字仙人がやってきた』がENEOS童話賞に見事佳作入選!
「だめかなと思っていたので、ええ〜!そんなことあるの!?ってびっくり。涙が出るほど嬉しかったです」。
送られてきた『童話の花束』という冊子に収められた自分の作品は、活字印刷され、イラストまで入っていて、感激もひとしお。一緒に掲載されている他の作品にも大いに刺激を受けた。その数年後、今度は日産童話と絵本のグランプリの方でも入賞。「2回も入賞するなんて、できすぎですが、よし、もっと頑張ろう!という気になりました」。
物語はパソコンで書くが、応募するときは原稿用紙に清書というのが内藤さんのスタイル。「webからも応募できるんだけど、もともと手書きが好きということもあるし、手書きの方が思いを込められる気がして」。
題材は日常に、身近にあるもの。文章は簡潔に短めに。基本はハッピーエンド。というのが内藤さんの童話。「希望が見えるというか、救われて終わりたいよね。最後が辛いと悲しくなっちゃうし」。
子ども目線に立って童話を書くようになり、小学校教員時代に出会った子どもたちの自由な発想を思い起こし、子どもってすごいなと改めて感心する。そして、「今となってはできないことだけど、教員時代に子どもたちの気持ちにもうちょっと丁寧に寄り添えたらよかったなあ」としみじみ思う。
今は1つ書き上げ応募してひと息ついた状態。大好きな映画鑑賞や読書をしたり、時には料理もしたり。面白いものを読んで、観て、体験して、たくさんの感動に出会う日々を送っている。もちろん、創作のヒントになりそうな物事は見逃さずに。


vol.211 熱中人 山田 雅樹さん


モノはうそをつかない

綿100% 徹底したこだわりは 生きている証し

山田縫製工場 社長・山田 雅樹さん

 

実は僕、洋服を作ったことがなくて、30歳を機に自分でミシンを踏むようになりました。スタッフの経験者や父親に教えてもらいながら、5年間ずっと服を作ってきました。

父親の縫製会社に就職した時期が、ファストファッション全盛期。薄利多売で安い人件費で作るというアパレル業界の流れにずっとモヤモヤしていました。今までのモノの作り方はおかしい。そこを改めたかった。「売れるためのモノづくり」はやりたくなかった。とはいえ、じゃ、何を作ったらいいのかわからなかった。そんな時、大阪に用事で行くことになり、高速を走って高架下をくぐったら右手にドーンと太陽の塔が現れたんです。あれを見た時に「なんだこれ!」とゾクゾクって鳥肌が立って…。モノづくりって、もしかしたらこれじゃないかなって思った。太陽の塔は僕に「なんだこれ」って思わせた。それは強烈に記憶に残り、自分もこういうモノつくりをしたいと思った瞬間でした。後世に残るものというか。太陽の塔は僕の感情を揺さぶり、生きることとか、自分って何者なんだ、とかを思い知らせてくれたんです。 圧倒的な モノって、服も、音楽も、アートも、それ以外のエンタテイメントも、基本的にはそういう力をもっていると、その時改めて実感しました。

自分に納得できたりとか、うそのないモノづくりをしたい。人が見た時に信じられるものを作りたい。それを突き詰めていった時、最初に「白色」がパッと出てきた。僕の中で「白」は本質的な部分という思いもあって、まず白い何かを作ろうと思った。いろんな服を探っていた時、あるブランドのシャツがすごく柔らかくて、なめらかで、これすごいな!と思うと同時に自分ならもっとできるんじゃないかと思いました。
そうして、色は「白」、形は「シャツ」と決まった。次は素材です。物質はうそがないから、素材そのものが絶対的じゃないとと思い「綿」しかも「100%」にこだわった。縫い糸も、タグも、ボタンも、です。デザインは装飾であると同時に情報でもあると思っていたので、ポケットをつけたり、ギャザーを入れたり、カフスの形を変えたりということを一切やめました。実は少し前から、あらゆる情報を断っていたんです。    を全部やめ、いろんな人間関係もかなり断ちました。情報過多は僕を混乱させるだけだから。そしてシンプルな状態に身を置いて、改めて自分が何をしたいのか、もっと自分と向き合おうと思ったんです。

シャツという一つのアイテムが、その人の生活スタイルを変えるきっかけにもなる。そうなってくれたら一番うれしい。欲を言えば僕のシャツを見て、僕が岡本太郎さんの作品をみたときのように、「なんだこれ!」みたいな、なにか感じてくれたらさらにいい。で、その人がまた何か新しいものを作れば、たぶん本当の意味でのいい循環が生まれると思うんですよ。いい循環さえ生まれれば、もう最高です。

モノを作るっていうのは、何かを残すってこと。その分責任を持たなきゃ、ですよね。この服だったら綿なので、自然から、大地からいただいたものから出来上がっていくんですね。また綿を織るときに大量の水を使いますから、水不足だと作れない。これから先々、綿を作れるかって、その保証はない。20、30年後はわかんないですし、その中でものを作って生きていくっていうことは、環境のことも含めて、自分たちが真剣に考えないと、と思っています。

綿100%。全てが綿で作られたシャツって、この世にないんじゃないかと思っています。そう考えると面白いですよね。それは自分の中で一つの自信になるし、こういう方向性でモノつくりをしていけばいいのか、と思うと自分自身も楽しい。そういう考え方で生きていけることが幸せかなと思う。

山田 雅樹(やまだ まさき)1986年生まれ・各務原市在住。祖父の代からの縫製工場を引き継ぎ、レディース物を中心に制作。自身の「100%綿シャツ」は12月13日にオープンするアトリエにて展示する。ブランディングに必要なロゴなどを依頼したグラフィックデザイナーの佐藤卓氏に「デザインとは、人とモノをつなぐもの」と言われ「これだ!」と思う。綿100%。誤魔化さない、うそのないシャツづくり。その最終場面は、綿のボタンを作る時で約1年もの間、思考錯誤を重ねた。こだわり続ける覚悟をしたからこそ生まれた結果は、佐藤氏も納得し、「これは面白い」と。

出来上がったロゴはやはりシンプル

山田縫製工場 ショールーム兼アトリエ
〒504-0952 岐阜県各務原市那加新加納町2652-1
お問い合せ  support@yamada-sf.jp


vol.211 夢か悪夢かリニアが通る!vol.40

「岐阜・御嵩町 リニア残土問題 不都合な事実を伏せた事情」――。10月25日発売のサンデー毎日(11月6日号)に筆者の記事が掲載されました。この連載の37回目でも指摘したように、リニア中央新幹線の残土処分場が計画されている山林が環境省の「重要湿地」に指定されている事実を、同町とJR東海が町民に伏せてきたことを世に問いました。続いて朝日新聞(名古屋本社版)が11月8日付の朝刊社会面トップで報じるとマスコミ各社も取り上げ、環境大臣や岐阜県知事も対応せざるを得なくなっています。     井澤宏明・ジャーナリスト

「重要湿地」を巡って

指定に「後ろ」向き
サンデー毎日で報告したのは次のような内容です。
JR東海は御嵩町に掘るリニアの2本のトンネルから出る残土約90万立方メートルを同町の山林に埋める計画ですが、予定地は「美佐野ハナノキ湿地群」(美佐野湿地)にあり2016年、環境省の「生物多様性の観点から重要度の高い湿地」(重要湿地)に指定されています。
ところが、同省のホームページにある重要湿地リストには、美佐野湿地は載っていません。今年3月、指定されているのかどうか同省に確認すると「指定されている」という回答。担当者によると、「東濃地域湧水湿地群」のリストの最後にある「など」に含まれているということです。
どうしてそんな分かりにくいことになってしまったのか。同湿地を巡っては、町生物環境アドバイザーだった女性が当時、町の担当者から耳を疑うような“自慢話”を聞かされたといいます。
「環境省に電話して、重要湿地から美佐野湿地の名前を消してやったんだ」
今年10月、この担当者に発言の真意を尋ねると、「そんなこと言った記憶は全くない。デマだと思います」と否定しました。しかし、筆者の情報公開請求に基づいて町が開示した文書から、町がリニア計画を理由に重要湿地の指定に「後ろ向き」だった事実が浮かび上がってきました。

知事「適地といえるのか」
一連の報道を受けて西村明宏環境大臣は11月11日の記者会見でこう述べました。
「美佐野ハナノキ湿地群は絶滅危惧種のハナノキなどが集中的に分布しており、同省が選定した重要湿地に含まれている。重要湿地に選定されることによって法的に規制が生じるものではないが、当該地域における事業を検討する際には、関係自治体や事業者が適切に環境配慮を行うことが大変重要であると思う」
岐阜県の古田肇知事も11月22日の記者会見で記者の質問に答えて重要湿地に言及しました。
「美佐野ハナノキ湿地群が(重要湿地に)含まれているのか、いないのか、何となくモヤモヤっとした状況でズルズル来てしまった。正式に重要湿地に含まれることが明らかになったのは今月に入ってからの御嵩町の会議で、正式なお話があったということだ。残念なプロセスで、環境省に確認するなり、もっと行政が迅速に動くべきだったと思っている」
どこか「他人事」のようですが、重要湿地の指定に向けた同省と町のやりとりは県を通じて行われていたハズです。古田知事は、リニアの残土処分場が計画されていることについては「これが適地といえるのかどうか、しっかりとした議論が必要ではないか」としたものの、今後、JR東海から提出される残土処分場計画と環境影響検討書を「県の専門家会議できっちりとチェックする」として、計画の見直しには踏み込みませんでした。
当の御嵩町はどうでしょうか。11月10日に開かれた残土処分場を巡るフォーラムには、町が初めて「重要湿地」について説明するとあって10人余りの報道陣が詰めかけました。
しかし、肝心の説明が始まったのは開会から2時間半がたった午後9時ごろ。町民の質問も受け付けませんでした。終了後、渡邊公夫町長に尋ねました。
――重要湿地に残土処分場を作ることは適切ですか。
「私は重要湿地に隣接してるっていう解釈です」
――町長は残土処分場受け入れに何でこんなに前向きなんですか。
「前向きじゃないですよ。ウェルカムじゃないって言ったでしょ。こんな嫌なことはやりたくないです」


vol.211 ボーダーレス社会をめざしてvol.69

NPO法人オープンハウスCAN 理事長 伊藤佐代子

障がい者の展覧会

息子の展覧会をした時に、アンケートに「こんな絵でよく展覧会をやるな」と。また、障がいのある人の書道作品に対しても同様にネットで「障がい者だったら何でもありなんや」と書かれた事があります。ある人には「あっちゃんは、障がいがあるから新聞に取り上げられるんやね。」暗に、普通の人だったら取り上げられないよねというニュアンスで言われた事があります。
どの方も芸術的とは認めてもらえなかったからの言葉でしょう。しかし、そのような事があっても怒り、落胆など全くなく、世の中にはいろいろな意見があるのだなと事実として受け止めてきました。
普段、私が美術館に行き「これが作品?」と思うことが実際にあります。作品を見る側の問題で、芸術的と見るかそうでないと見るかはその人次第です。障がいのある人が描きたいと思い、一心に描く。言葉で表せない何かを絵として表現する。出来上がった作品を批判するのは自由です。作り手には、表現の自由があり、受け止め手には、言論の自由があります。
ただ、人を傷つけるような言論は、控えるべきであると思っています。現実問題、障がいのある人の発表の場は、健常者に比べて極めて少ないです。チャンスがあれば、おおいに展覧会をし、障がいのある人の作品を見せる努力をしていかなくてはいけないと考えています。そんな訳で、11月の初旬に、障がいがある息子が岐阜市で「伊藤淳司作品展」を開催しました。私の肩をトントンとたたき、「前の展覧会から4年が経ちました。いっぱい絵ができました。」と珍しく展覧会をやってほしいと言ってきました。20日ほど前からカウントダウンが始まり、「あと何日」と楽しみにしているのが分かりました。自分の好きな人が集まってくれることが何よりの楽しみのようでした。絵を媒体とし、コミュニケーションを取るという方法でしょうか?いいものを彼は見つけました。絵を描き、展覧会を開けば人が集まってくれると考えたのでしょう。
自閉症であっても決して自分の殻に閉じこもるのではなく、人が好きなんだと思います。ただ、どう接していいのか分からないのでしょう。知っている人が来て下されば、全部の絵の説明をし、最後に「終わり」と言い、その場所からさっさと離れてしまっていました。それが彼の人との接し方でした。土・日曜日は、1日5時間、展覧会場に詰めていたわけですから素晴らしい成長だと思います。息子の絵を最初に見出して下さった方がお祝いに来て下さり「今回の展覧会が今までの中で一番好き」と言って下さいました。多くの人に支えられ今があると感謝しております。
現在の息子になるまでには、楽な道のりではありませんでしたが、結果オーライです。展覧会場で、通りすがりの若い人たちの「ワ~かわいい!!」「何か癒されるのよね。この絵」という声が、何だか忘れられません。


vol.211 モザンビークからレポートvol.5

Nampulaに行ってきました!お仕事編

北部ナンプラ州MalemaとRibáuèという地域に行ってきました。モザンビークの中でも一番農業生産率が高いのに、一番低栄養の割合が高い地域です。主食のとうもろこしやおかずに欠かせないピーナツ、野菜、果物など、何でも揃っているのに…彼らが一体どういう生活をしているのか、視察の出張となりました。

イハリ!(Emakuwa語:こんにちは!)
ポルトガル語もままならない私が、こう言うたびに大喜びしてくれたナンプラ農民との活動中に思ったこと、第二弾。

私の担当プロジェクトは、バーチャル・ファーマーズ・マーケット( VFM )。インターネット版卸会場です。AGROPONTOというアプリケーション内で農家さんと買い手をマッチング。農産物を農家さんの言い値で確実に売り、生活の安定を計るプロジェクトです。ただ、売ることを優先するばかりに家族の食べ物が無くならないように、同アプリ内に栄養に関する情報もあるし、農作物の質の向上も応援すべく、天気予報や農業技術の配信もあります。

栄養部門が私の担当と言っても、食べることは生活の基本だから、「私たちのプロジェクト」として手を出すべきところからはみ出さないようにするのが本当に大変。だって、栄養と料理、食材と作物、売り上げと家計、収入高と健康、健康と水、水と病気、って生活は無限ループで全部繋がっていきますよね?例えば、農民が気になっていることがマラリア(蚊を媒体とする感染病)だったとしても、VFMとは関係ないからできることはマラリア予防ではないんです。それが、どうも歯痒い!伝えたいことは他にあっても、下手に口出しできない!そう、大きな機関って、できる規模が大きい反面、できる分野が限られているんです。当たり前なんだけれども、生活の質の向上をしようと思うと、そこをどう乗り越えるかが難しいところだなと改めて思い知らされました。

そして、何より、教育の差がある時の関わり方の難しさを感じずにはいられませんでした。学校に行かないこと、アルファベット文字が読めないこと(現地の言葉は文字がありません。No1参照)、計算ができないこと、、、生活する上で大きな問題ではないと思っていました。それが、1から2にいけない、10から9になるのも想像できない、その様子を垣間見て、きっとこれを教育の差と言うんだなと。「アフリカは支援慣れしていて支援を待っている」と言う人がいますが、きっとこれも支援を受けると言う行為が1だとすると、1でしかなく、1の後にそれを生かして2にすると言う発想もないんだと思います。その上、支援をする側の人は大学院まで行って、2ヶ国語以上話せて当たり前の人が揃っているわけですから、思考回路のギャップもあるのでしょう。プロジェクトの目的も、プロジェクトはきっかけでしかないことも、プロジェクト後の目標も、伝わっていない。あるコミュニティでは、「支援が足りてないから自分たちは貧乏だ」と言われ、別のコミュニティでは「農薬が買えないからうまく育てられない」と言われ、その度に、「支援って何だろう?」「農薬を使うって、どうゆうことだろう?」「人生をどうしたいと思ってる?」そんな話し合いをしてきました。きっと、こういう時間が大切。心に種を植える時間が。

「必要なのは時間。この20-30年でモザンビークの暮らしはすごく変わった。何かを変えようとしなくていいから、何も気にせず楽しんでおいで」。そう言ってくれたポルトガル語の先生の言葉が身に沁みるミッションとなりました。

 


vol.211 菌ちゃん野菜応援団vol.32

腸活!菌ちゃんをたくさんお腹に入れよう(^^)/ その2

前号に引き続き、今号では菌ちゃんがお腹の中でうまく発酵してくれるためにどのようなものをどのように食べたらいいのかな、というお話です。
これはもう、とってもシンプル。「身体が食べてうれしいものを食べて、消化吸収できるような身体づくりをする」ここが基本なんです。言ってしまえば身体の中の菌ちゃんが増えるようなものを務めて食べるようにして、嫌がるものは少し控えめに。そして次に食べたものが消化吸収できる身体づくりをする、ということなんですね。
では、菌ちゃんが喜ぶ食べ物とは何でしょうか。
日本に住む私たちは日本の土壌に合っている菌を好む傾向があります。日本の土壌、気候に合っている菌は、日本に昔から存在し、日本人が昔から食べてきた食べ物や菌。つまり四季折々目にする旬のものが一番ということですね。菌の代表的なものは「糀」です。糀はお米につくカビの一種なのですが、日本固有の菌で日本でしかうまく育たないんです。なので「国菌」に認められているんですよ。
その糀で作ったものには「味噌」「しょうゆ」「みりん」「酒」などという日本を代表する調味料がありますね。昔ながらの製法で作られた調味料とお出汁を使った和食を日々身体に入れることで私たちのお腹はぐんぐんと元気になっていきます。最近では「塩糀」「甘酒」などもメジャーになってきていますね。それらを食事の中に組み込んで日々少しづつ身体に取り入れていくと、ウイルスや腐敗菌に負けない強い身体になっていきますよ!
発酵食品というとヨーグルトやチーズなどもありますが、乳製品は日本人の2割くらいの人はお腹に合わないという統計も出ていますので、健康のために無理をして食べるものではなく、嗜好品としてとらえていただけるといいのかな、と思っています。また、日本人の腸に合うのは動物性ではなく植物性の菌ともいわれていますので、そういう視点からも「糀」由来の菌は身体に負担がなく取り込めますね。
まずは「お腹が喜ぶものを食べる」ここはお判りいただけたかなと思います。

糀菌のほかには代表的な有用菌に乳酸菌や酵母菌がいます。乳酸菌はヨーグルト、キムチ、たくあん、白菜漬。酵母菌はパンやスパークリングワインなどが有名。これらも全て菌の働きで美味しくなる食べ物なんです。
冷蔵庫や防腐剤がなかったその昔、人は菌ちゃんと仲良しだったんですよね。特に高温多湿でものが腐りやすい気候の日本では、微生物を使って食べ物を保存する技術は先人の卓越した知恵と自然への畏敬の念がなせる技と言えるのかもしれませんね。

 

塩こうじは市販でもありますが作るのも簡単!
ぜひチャレンジしてみてくださいね。
糀-200g 塩-35グラム 水-ひたひた
糀はばらばらにほぐす。糀と塩をよく混ぜ合わせて「糀を起こす」。水をひたひたになるまで入れて、しばらく置く。糀の乾燥具合によって吸収率が違うので、あまりにも減るようなら水を足す。 常温で4~5日、毎日清潔なスプーンなどでかきまぜて糀がやわらかくなるまで発酵させる。
出来上がった後は冷蔵庫で保存。
鶏肉などにまぶして焼くととてもおいしいよ。

 

次回は「身体が苦手なものを控える」ここをお伝えしようと思います。


vol.211 ここいく日記 はじめの28歩!

「からだの権利」「性の権利」は人権
日本ドイツ撃破!サッカーのワールドカップ・カタール大会初戦、日本の逆転勝利が新聞の一面記事となり、朝のテレビでは東京渋谷のスクランブル交差点で、多くの人が歓喜する様子が報道されていました。スポーツを楽しむことは悪くはない、でも開催国カタールで移民労働者や性的少数者の人権が守られていない現実を想うと胸がザワザワした。ふと、報道のあり方が性を正しく教えない教育と重なりました。
日本の勝利に歓喜する人たちが悪い訳ではない。カタールの人権問題も知らないし、これまで丁寧に人権について考える機会を与えらず生きてきた人は少なくないと思う。
ここいくの「いのちの授業」では性的指向、性自認のお話を毎回します。年齢に合わせた伝え方でどの学年でも伝えています。

ある小学4年生の授業で「男の子が赤やピンクのランドセル使っていたらどう思う?」と聞くと「いいと思う」と答えが返ってきました。「じゃあ、男の子がスカート履いていたらどう思う」と聞くと「変態だ!盗んできたかも犯罪だ!」そんな答えが返ってきました。私は、この発言をした子どもが悪いとは思いません。日本の勝利に歓喜する人たちのように、よく知らないためだと思っています。
ほとんどの子どもたちが、自分自身が自分の身体の主人公であるという「からだの権利」「性の権利」の認識がありません。性は多様であり、自分の性は自分が決める。決められるのはあなただけ。
それは誰もが生まれながらにして持っている権利で、奪われることも、誰かに侵されることもない永久の権利。こんな当たり前で大切なことを教えてもらっていない子どもたちが、大人になっていく。
ジェンダー・ギャップ指数が主要先進国で最下位の日本。人権を学べない国であることを痛感しています。
国は2023年度から全国の学校において「生命(いのち)の安全教育」を実施することをきめました。それは子どもを性暴力・性犯罪の当事者にしないための、性暴力に関わる安全教育とのことです。文科省の指導内容を確認すると、性暴力は中学生からの指導となっています。現実には幼児期の子どもの性暴力被害があり、性暴力に関する学びは幼児期から必要だと私たちは考えています。

 私たちここいくの「いのちの授業」は、「国際セクシュアリティ教育ガイダンス」に基づいており、国が進める「生命(いのち)の安全教育」の学習内容と学習計画とはかなり違います。最も異なる点は、私たちは、すべての学習テーマをすべての年齢で伝えます。学習テーマは年齢に応じて「らせん型」に発展させていく形で、繰り返し積み重ねるように年齢に合わせて学んでいきます。国は「発達段階にそくしたもの」として年齢ごとに指導内容がことなります。「性の安全教育」ではなく「生命の安全教育」のネーミングとなった理由はなにか?
「からだの権利」「性の権利」=人権を避けているとしたら、そこには日本の教育の根本的な問題がある気がしています。


vol.211 プレゼントコーナー

211号PRESENTS

 

プレゼントご希望の方は

ハガキまたはe-mailで、下記のアンケートを
1〜6までご記入の上、編集部・プレゼント係りまでお送りください。

1-2023年がどんな一年であることを望みますか?世界的なことでもプライベートなことでもOK。あなたが願う2023年の形を教えてね。

2- 気になるにらめっこ紙面での広告
3- 気に入った記事、気に入らない記事の
タイトル1つ・その理由もお書きください。
4- ご希望のプレゼント名 (第1希望・第2希望 を必ずお書きください)
※A、Bは編集室まで受け取りに来られる方。
5- 本紙をどこで入手されましたか?
6- 氏名、年齢、住所、郵便番号、電話番号、 家族構成

〆切:2023年1月25日 当日消印有効。
宛先 〒504-0855 各務原市蘇原新栄町3-15
e-mail: info@niramekko.com
※お寄せいただいた個人情報は、本紙プレゼントの発送に限り、 使用させていただきます。
※当選の発表は発送をもって代えさせていただきます。

 

A. ecoで可愛い!アクリルたわし  浅井 彰子様より…3名様

なんて楽しいアクリルたわし!フリーアナウンサー・浅井さんの手編みです。ギャラリー展示では大好評だったたわしは、もうアートです。食器洗いもお掃除も、これならルンルンと楽しめそう!壁かけにしてもGood!ご希望の番号を明記してね。にらめっこ編集室でお受け取りください。

 

 

B. 濃姫パパイヤ 信長バナナ(合)様より…3名様

信長バナナに引き続き、岐阜で栽培、収穫、販売が始まった「濃姫パパイヤ」。まだ栽培本数が少ないため、レアな商品です。栽培期間中、農薬と化学肥料を不使用なので、安心していただけますよ。様につき1個プレゼント。にらめっこ編集室でお受け取りください。

 

C. CINEX 映画招待券 シネックス様より…ペア3組様

突然、自分のこれからの人生を左右する選択に迫られるできごとが起こったら?自分の中になかった問題を考えさせられる、そんな映画との出会いもありますね。写真は「シスター 夏のわかれ道」より。岐阜市柳ヶ瀬のシネックスでご利用いただけます。

 

D. わんにゃんドーム2023 招待券 テレビ愛知様より…ペア3組様

東海地区最大級!わんちゃん・ねこちゃんとふれあえるペットイベント。20回記念開催の今年は、内容も一段と充実!!もちろんペット同伴もOK♪わんにゃん大好きな人集まれ〜!!


vol.211 とっておきの本 BOOK紹介

読む、というより見る。見るというより読み込む。そんな絵本。見開きページの対比から思考が深まる。ページをめくる手がゆっくりとなっていく。
文も絵もシンプルだがテーマは重い。
同時に、自分ごととして捉えられる構成となっている。せんそうが起きたら自分はどうなるのか、へいわな「今」だからこそしっかりと向き合いたい。

 2019年8月、愛知県で開幕した国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」。「慰安婦」を象徴した「平和の少女像」は旧日本軍の「慰安婦」制度や軍国主義下での天皇制、朝鮮人強制連行といった歴史認識の問題と絡んだ、メッセージ性のある作品。過去に展示を拒まれたり、撤去されたりした作品を一堂に展示するという挑戦的な狙いの「表現の不自由展・その後」の中止…。本書は、「表現の不自由展・その後」をはじめ、2021年7月の「名古屋展」と「大阪展」、そして、22年4月の「東京展」など「表現の不自由展」をめぐる出来事の取材記録であり、表現の自由とは何かを考える。著者の井澤氏は弊紙P-15の「夢か悪夢かリニアが通る!」の執筆者でもある。


vol.210 直感力を信じよう

直感力とは

大切な選択をしなければならない時は、人生では何度となくあります。じっくりと考えるべきか、それとも自分の直感を信じるか。あなたはどちら?

そもそも直感とはどのようなものか?
「やっぱりそうだった」と直感通りに行動を起こして、満足した経験はありませんか。そもそも直感とは第六感とも呼ばれ、直接的に本質を捉える認知能力の可能性があります。脳が決断をするメカニズムで、その瞬間に感覚的に真相を感じるのかもしれません。よく考えて出した結論よりも、直感のほうが優れた結果を導く可能性もあるようです。

直感は偶然起こるものではない
直感というのはヤマカンとは違い、感じ取るものには要因があります。なんとなくこちらのほうがよいと直感が働く時、偶然にそんな気持ちが湧いてくるものではありません。直感は、自分の経験や知識を土台にして生み出されるもの。そのため判断が必要な場面では、無意識に自分にとって有利なものを選ぶように、過去の積み重ねが活かされているのです。

意識して無理な場合は直感を信じよう
考えすぎて失敗する経験は誰しもあるはずです。人間の直感は90%もの的中率があるという説も。無意識に直感で物ごとを判断していることも、実際によくあるのです。論理的に考える場合、頭の中では必要以上の情報や知識を使ってしまい、物ごとの本質が見えなくなった状況で判断してしまいます。

ポジティブになり直感を信じよう
困った時に自分を信じるためには、ポジティブ思考を心がけてください。たとえば直感がひらめき判断できそうな瞬間に、ネガティブ思考があると直感を否定してしまいます。失敗しても大丈夫、これなら安心だと、自分を励ます勇気を持つことも時には大切です。

直感を生かす生活のコツ
人の思考パターンや判断力は生活習慣の中で形成されています。たとえば気の進まない行為はやらない、また直感を感じやすいように健康を大切にするなど。イライラや興奮を覚えやすい人は直感を感じ取りにくく、選択を間違えることがよくあります。そうならないためにもリラックスした時間を大切にして、心を穏やかにしておくのも重要です。(参考/ワークポートプラス)

********

脳科学者の中野信子さんは、脳の中にはものごとを判断するシステムが二つあるといいます。一つは迅速に判断を下すXシステム、もう一つは論理や理性に基づいてゆっくりと慎重に判断を下すものをCシステム。「直感」を決めているのは前者のXシステムだそうです。

自分の選択が正しいか否か
それを決めるのは自分です。直感で選んだ答えを正解にする力が必要です。直感は必ずしも正解を選ぶ力ではないんです。
選択したことをブレずに正解にする。直感で何を選ぶかよりもそれを実行することが重要だと説く。また、直感を裏打ちする力は、Cシステムの、ゆっくりと理性で詰めていく力だと。

直感と実行力の協働にはマインドフルネスが役立つ
マインドフルネスの本来の意味は非常に単純で、「自分が今やっていることを常に気づくようにしていくこと」。例えば、ミーティング中に話していること以外にも気が回って「あ、気温が低いな」とか「口が乾いたな」とか、そんなふうに自分を外側から見ることをほとんどしていません。だからこそ自分のことを観察する視点を育てましょう、と考えるのが、本来のマインドフルネスです。mind(心)ではなく、mindful、つまり「注意とか気をフルに働かせている状態」ということです。マインドフルネスとは「自分の中に何があるのか、何が起こっているのか気づきましょう」ということであって、決して無になるとか空っぽになるということではありません。もしも禅でいう「無になる」に通じることがあるとすれば、「ジャッジしない」こと。「自分はこう思っているんだ」と気づき、認め、ジャッジする自分をなくそうということです。
一方、メタ(※)な視点ばかり意識しすぎて自分をなくしてしまうと、何も判断できなくなりそうです。だから、直感による判断も必要なんです。それを、専門用語でヒューリスティクスといいます。


例えば、官僚の意思決定がなぜ微妙になってしまうのか?ヒューリスティクス=直感が欠けているからです。知識と前例だけを手がかりにしていると、判断は常に遅れますし、前例のないデータが出現すると対応できません。これは、現時点のレベルでのAIが行う意思決定と同じです。AIに「世界平和はどうやったら実現できるか」と尋ねると、「世界中に核爆弾を落として人類を滅亡させてしまえば平和になる」という答えが出てきてしまう。問題解決にならない答えだけれど、今のAIはそれをおかしいとは思わない。では、人間はなぜこの答えをおかしいと思うのか。その人間的な感覚こそがヒューリスティクスです。直感と論理なら、直感を優先したほうが後悔が少ない。

ひらめきは口に出し人を動かして実行しよう。
思いついたことをプロジェクトにして進めていくことこそ重要ですし、その段階では自分が動き、人を動かすことが必要です。ところがそれを実行していくトレーニングを私たちはあまり受けていません。ひらめきがあっても「みんなに言ったらおかしいかな」「笑われちゃうかな」という思いが先立ち、自分で潰してしまうこともしばしばです。
直感力が優れているといわれる人は、「こんなこと思いついたけど、すごいと思わない?」とすぐに口に出してしまうのだと思います。誰も思いついていなかったわけではなくて、周りの誰かしらは必ず「それ、私もそう思ったよ」と思っているはず。でも「これ、すごいと思わない?」と言った人の勝ち。「すごいでしょ」と言って回って、動き回って「こういうふうにしようよ」と働きかけていく。そうして実現し始めたら、それはもうその人の手柄なんです。だから、思っているだけではだめ。ひらめきは誰にでもある。それを形にする力があるかどうか。それが、最終的に「直感力がある」ということなのです。 (参考Vogue)

********

Apple社創設者であるスティーブ・ジョブズ氏も名門スタンフォード大学の卒業式でのスピーチで「直感」の大切さを語っています。
「あなた方の時間は限られています。だから、本意でない人生を生きて時間を無駄にしないでください。ドグマにとらわれてはいけない。それは他人の考えに従って生きることと同じです。他人の考えに溺れるあまり、あなた方の内なる声がかき消されないように。そして何より大事なのは、自分の心と直感に従う勇気を持つことです。あなた方の心や直感は、自分が本当は何をしたいのかもう知っているはず。ほかのことは二の次で構わないのです。」

ドグマとは「宗教や宗派の教え」や「独断的(独りよがり)な考え」

 

 


vol.210 直感力を鍛える

STEP 01.自分に「質問」してみよう
何か重要な局面に行き当たったとき、すぐに決断できないのは心に迷いがあるから。自分の中に抱いている疑問のコアな部分をはっきりさせれば、自ずと進むべき道は見えてくる。

STEP 02.心の中の疑問を紙に書き出す
心の中の疑問が見えてきたら、紙に書き出してみよう。最初はなんだか変な気持ちになるかもしれませんが、大丈夫。瞑想の一種だと思って試してみて。

STEP 03.書けないときは無理しない
ただ、結論を焦らないこと。疑問に対して、すぐに反応するのは大抵はエゴの部分。もっとじっくり向き合わないと、直感の声は聞こえてこない。もし心の中の声が聞こえてこないようなら、今は一旦中断して、また今度試してみる。頭で考えたことではなく、心の中から湧いてきたものこそが、自分にとって正しい決断だということを忘れないで。

STEP 04.さらなる質問で直感を確かめる
直感を捕まえることができたら、さらに関連するいろいろな質問と答えを書き出して、自分の直感を確かなものにしていく。

STEP 05.迷ったら仲間を見つけよう
このエクササイズを初めてやるときは、どうやっていいかわからないと思うかも。そういうときは、一緒にやる仲間を見つけること。お互いに話しながら進めれば、きっと新しい気づきがあるはず。

STEP 06.自分なりのやり方でOK
「正しい」「間違っている」という判断は、ひとまず置いておく。直感を捉える正しい方法などないのですから。自分に合ったやり方を見つけることが大切。たくさん書けばいいというものでもないし、少ししか書かないからダメ、というものでもないので、自分のやり方で。

STEP 07.焦ってすぐに行動しない
自分の中の直感を書き留めることができたら、エゴに邪魔されないよう要注意。自分の直感に従えば、次に何をするべきかは自ずとわかってくるはず。今は何もしないほうがいい、というのも立派な直感です。

 

なんかおかしい、と思う「勘」。それは直感!
直感とはこれまでの経験や知識に基づいて、想像できないほどの計算を経て、潜在意識がくれる、間違いのないサイン。
直感は意図的にトレーニングすることが可能です。少しずつ訓練して磨いていけば、その精度を上げることができますが、ヤマ勘はあてずっぽうで、いつまでたっても精度が上がることはありません。
直感は《当たったとき》と《当たらなかったとき》の感覚の違いを覚えておいて、うまくいった時の感覚のデータベースを増やしていけば、少しずつ精度を上げていくことが可能です。その感覚がだんだん明瞭になっていくと、「これは間違いない」というのと、「うーん、これはちょっと分からない」という違いもハッキリと分かるようになります。

直感力を養うために大切なこと。
1.正解を選ぶ力ではなく、直感で選んだ答え
に取り組み続けて正解にする力をつける。
2.直感に従った結果をブレずにやり通す力は、 論理的な力の裏打ちから生まれる。
3.直感力に必要な自分をメタ的に見る力は、  マインドフルネスで鍛えられる。

「手書き」の恐るべき創造的効果
書くと不安やストレスを抑制したり、自己認識力が高まります。今の時代になぜデジタルではなくアナログの手書きなのかなぜ手書きに絶大な効果があるのか
手を動かしながら考えた方が「大脳基底核」を刺激できるということであり、インスピレーションも湧きやすいということです。手で書きながら新しい気づきが生まれたり、連想的に発想したりしやすいのはこうした理由があるのです
デジタルは一度決まった枠組みを整理していくのには向いていますが、自由に創造したり、深い気づきを得たりするためには手書きの方が効果的だといえそうです。

書いて気づく「内臓感覚」の大切さ
さらに、心理学の大家、カール・ロジャーズは、自分で気づくには「内臓感覚」が大切だと強調します。
心理学者の諸富祥彦氏はそれを著書『カール・ロジャーズ カウンセリングの原点』で「内臓感覚は、論理的思考だけよりもはるかに精緻で、的確な判断を可能にする」「自分の内臓感覚から言葉を発し、この感覚にしたがって生きていくことは、人がより深く、賢明に生きることを可能にする」と解説しています。
深い内臓感覚を感じていくには、自分の中で「しっくりくる」とか「ピンとくる」という感覚、感情を大切にすること。言ってみれば「腹に聴く」ようなもので、内臓感覚には多くの知恵が眠っていて、人生の方向感覚や洞察が生まれる源泉があります。

やることばかりのカオスの毎日から脱出する
毎日やるべきことが山積みで、頭も心もいつもごちゃごちゃ。それをスッキリさせ、シンプルに生きたいと思いませんか?「いつも、不安と焦りで心に余裕がない」「やるべきことばかりで、やりたいことに時間が取れない」「生活リズムが最悪。朝は遅いし、夜ふかしの毎日を変えたい」「マイナスの考えがぐるぐる巡って疲弊する」「自分のやりたいことって何だろう? それを考える時間すらない」心も、生活も、人生もごちゃごちゃしている。バタバタと忙しいのに心に充実感がない。そう感じる人は少なくないでしょう。

「書く」ことで不安やストレスをなくし自分を深く知る
「書く」ことには様々な効果があることが学術的な研究からもわかっています。不安やストレスを抑制したり、自分の感情を可視化することで客観的に自己認識したりすることができます。意識的な思考ではなく、自分でも気づかない深層の「感情」をすくい上げることで、自分への理解が進みます。
ぐるぐると堂々巡りしていた悩みが、「感情」に焦点を当てることで不思議なくらい解決されます。 (参考 DIAMOND online)


vol.210 瞑想のススメ

直感力が鈍る原因とは?答えは簡単で「欲」が強すぎるから!なんだって。
直感力を働かせたい場面はいろいろありますが、どれも「欲」か「余計な感情」によって「失いたくない」「損をしたくない」「少しでも得をする方を選びたい」とあれこれ考えすぎてしまい、せっかく「ピピ」っとひらめいた直感はかき消されてしまうのです。

 

瞑想で直感力が鍛えられる?
なぜ瞑想すると直感力が鍛えられるのでしょうか。それは瞑想が「欲」に気づき、欲を減らす練習に直結しているから。瞑想をしている時に最も大切なことは「頭の中の状態」です。
瞑想中にもさまざまな思考が浮かびますが、この「思考」は大抵「欲」と一致しています。この「思考(欲)」とあなた自身は、全く別物と理解することが大切です。
「思考(欲)」は「AI」のようなもので、さまざまな経験から学習をし、予測することでいつしか暴走します。
例えば本当のあなたの中では「○○に挑戦したい」とひらめいたとしても、「思考(欲)」が「いや、失敗したくないから」「お金を使いたくないから」と勝手に暴走するのです。その結果、あなたは直感に従うことができなくなります。
瞑想中は、「思考(欲)」が浮かんだら「一旦保留(今は考えない)」にします。これを繰り返すことで、やがて「思考(欲)」は静かになり、勝手な推測や判断をしなくなるのです。
つまり瞑想とは「思考(欲)」の存在に気づき、それを静かにさせる練習だと言いかえられます。瞑想を繰り返していると、頭の中が整理されて、どれが「思考(欲)」で、どれが「自分の内なる声(直感)」なのか、きっちり判断できるようになります。
心で感じることやひらめいたこと(直感)には、必ず「思考(欲)」がつきまといますが、瞑想を繰り返すことで「ああ、これは思考(欲)の声だから聞かずに、直感に従おう」と思えるようになるのです。

脳へのリラックス効果
絶えず何かを考えている現代人の脳には疲労が蓄積しています。ちょっとした空き時間にもスマホに手を伸ばし情報をインプットしている方は、特に脳が疲労している可能性が高いです。そんな風に“脳疲労”を抱えていると、集中力や判断力の低下、感情の浮き沈み、イライラしやすいといったデメリットが起こります。
瞑想は、頭の中でできるだけ何も考えない状態をつくり、働き続けている脳を休ませます。集中力や決断力、想像力といったビジネスシーンに必要な能力にも良い影響があります。また、リラックスすることでイライラすることが減り、いつでも心穏やかな人でいることができます。さらに、ストレスに強くなったり、集中力、記憶力、免疫力が向上することもわかっています。

身体へのリラックス効果
仕事や家事、育児が忙しい、人間関係に悩んでいるなどのストレス状態下では身体の筋肉は緊張しています。
すると血流が悪くなり、全身倦怠やコリ、むくみ、冷えを感じるようになります。
瞑想は、全身の力を自然に抜くことができるメソッドです。マッサージ無しで筋肉の緊張をほぐし、身体をリラックス状態へと導くことができます。
瞑想を1日のうち数分でも継続していくと、慢性的な疲労感が抜け、アクティブに動ける身体へと変わっていきます。

瞑想で雑念が浮かんできたときは…
瞑想は、雑念を手放すメソッドです。ですが、頭の中を必ずしも空っぽにする必要はありません。複雑な説明になりますが、頭に考えごとや想いが浮かんでも、それ自体を“気にしない”ことが大切なのです。雑念が浮かんだから失敗だ、瞑想は難しいと思うのではなく、考えが浮かんできたことを「あ、今自分はこういうことを考えていたんだな」「気持ちがそれてしまったな」などと受け止めてみてください。それだけで大丈夫。あ
とはまた、今の呼吸へと意識を戻していけば良いのです。

瞑想のやり方はいろいろ
静かに瞑想
・呼吸を深くして、吐く息、吸う息を意識する
・呼吸を数えていく
・言葉やマントラをただ唱える
・ひたいのあたりに光をイメージする
・音の向こう側にある静けさを感じてみる
・ろうそくの炎を見つめる
・感情や思考を観察する
動く瞑想(自分が今やっている動作を細部まで意識し観察する)
・ 仕事を誠心誠意、心を込めて行う
・ 食事を徹底的に味わう
・ ピカピカに掃除する
・ 大好きなことに没頭する
・ 目の前の人、目の前のことに、奉仕する
自分に向いているものがいくつかあると思います。私は山歩きの時、「一歩一歩に集中して、今に集中!」して登っています。自然の中で遊ぶように瞑想するのもいいですね。
たとえば、海に行って、波の音に集中したり、寄せては返す波を見ているだけでもいい。川に行って、流れる水を見つめたり、キャンプの時は焚き火の炎を見つめる、そこに吹く風の感触を感じたりとか。木々の間から差し込む光を見たり、夜のしじまに星を見つけたりとか。コーヒーを入れる時の時間がとても好きで、瞑想的になったり・・・1日のうち、わずかな時間でも瞑想にあてることで「本当の自分」との繋がりが太くなり、内と外に、美しい世界が現れてくるから不思議です。それが瞑想のすごく素敵なところ。自分の中に溜まっていた“りきみ”が自然に抜けていく感覚を覚えます。

瞑想の脳への影響は?
脳内神経物質・セロトニンが瞑想によって活性化し、心身に作用します。セロトニンは〝幸せホルモン”ともいわれ、ストレスを軽減して免疫力を高めるといわれています。 瞑想を行い、脳の前頭葉にある前頭前野が活性化されることで、このセロトニンの分泌が活発化し、脳内全体を巡ります。
セロトニンの主な働きは5つ。
第1: 精神を安定させる「クールな覚醒」
第2:「交感神経の適度な亢進」で自律神経を調整
第3:医療現場でも応用される「痛みの軽減」
第4:自分へのこだわりを手放す「皮膚感覚の抑制」
感覚をゆるめる作用があり、皮膚感覚が抑制されることで、自分と外界との境界線が曖昧になり、自分へのこだわりがなくなる。
第5:「抗重力筋の促通効果」で良い姿勢を維持
こうしたセロトニンの作用は、瞑想に加え、呼吸や定期的な動きを繰り返すリズム運動、太陽の光を浴びることでも活性化するそう。瞑想実践法で心の免疫力の維持が期待できるセロトニンを活性化させましょう!     (参考/ヨガジャーナル)


vol.210 ぎむきょールーム たまごの殻を送ってください

2019年より乳歯中のストロンチウム-90の測定をしている「はは測定所」。今回、乳歯の他に、たまごの殻を、10月〜12月の期間、測定することにしました。皆さんの地域のたまごの殻をぜひお届けください。

たまごの殻に含まれるストロンチウム-90を調べます。
① ご自分のお住いの地域のたまごの殻をを送ってください。
② たまごのパックについている産地・説明書を添付してね。
③ 鶏の飼い方や殻の色は問いません。
④ 中身はなしで、殻だけ送ってください。(洗っても、洗わなくても可)
⑤ たまごの殻は1個分を潰してビニール袋にいれ、封筒でお送りください。

はは測定所とは

子どもたちのいのちを守るために。

東京電力福島第一原発事故は、土や水、ヒトを含む動植物を汚染しました。
関東および東北を中心に降下した人工放射性物質のセシウム-137(Cs-137)の累積降下量は、チェルノブイリ原発事故による日本への降下量(135Bq/m21986年起床研究所)の約1,000倍以上になります。小児甲状腺がんの多発は、日本政府の無策と隠ぺいで把握されなかった初期被ばくの深刻さを証明しています。いのちに深刻な影響を及ぼすのは内部被ばくです。
ウクライナでは、チェルノブイリ原発事故から10年後、体内に取り込まれた放射能量が事故直後を凌ぐレベルまで急増しました。原因は、事故の衝撃が風化して、人びとが汚染食品を食べ始めたからです。
日本政府や自治体の風評被害撲滅キャンペーンは、同じ事態を招きかねません。
日本政府の大きな罪は、骨や歯に付着して内部被ばくをまねくストロンチウム-90(Sr-90/半減期29年)の測定をしていないことです。Cs-134,Cs-137と Sr-90は原子炉のなかで1対1の割合で生成され、かなりが事故原子炉内に残っています。
私たちは乳歯中Sr-90を測定するために、測定器LB4200(CANBERRA)を購入し、「はは測定所」を開設しました。

 

にらめっこ171号にご紹介した「乳歯保存ネットワーク」。改めて簡単にご紹介します。

2011年3月11日の東京電力福島第一原発事故は大量の人工放射生物質を放出し、大気・土・地下水・海など、地球規模で自然環境を汚染しました。破損し穴とひびの入った格納容器に流れ込む大量の地下水は、融け落ちてたまっている核燃料と接触して高濃度に汚染され、今なお海に流出しつづけています。
原発事故によって放出された人工放射性物質のひとつにストロンチウム-90があります。ストロンチウム-90は、大気圏内核実験が盛んに行われるようになった1950年代から、日本各地でどれだけ降り注いだか測定されました。同時に乳歯中のストロンチウム-90も調べられ、乳児の栄養の違い[母乳、人工、混合(母乳と人工)]によって、乳歯のストロンチウム-90の蓄積量に差があることも明らかにされました。欧米諸国でも、同様の研究結果が得られました。受精卵からわずか十ヶ月足らずで人となる胎児や乳幼児の成長は大変早く、その分、子どもに対する人工放射性物質の影響は、おとなよりはるかに大きいのです。

乳歯は内部被ばくの重要な証拠試料です。乳歯の測定によって、ストロンチウム-90がどのくらい体内に取りこまれているかがわかります。私たち自身の測定データをもとに話し合い、子どもたちのいのちと健康を守り、病気の予防に役立てます。

何のために保存するの?
1)東京電力福島第一原発によって、人工の放射性物質・ストロンチウム(Sr-90)も大気中に飛散しました。体内に取りこまれたSr-90は、調べられていません。それを乳歯を使って測定するのです。
2)測定の結果は、子どものいのちと健康を守るために使います。被ばく事実の確認、被ばくと健康への影響の分析、一般市民や国・自治体に対する提言の基礎資料とします。
3)子どもたちの健康影響を調べるためには、一地域だけでなく全国のデータが必要です。

大切なのは予防原則です。
子どもたちをこれ以上被ばくさせないこと、環境や食生活への配慮・改善で今以上の蓄積を防ぐこと、これが一次予防です。流通する食品のストロンチウム-90の濃度を調べ、汚染の少ない食品を摂るよう心がけることが大切です。
二次予防は、精度の高い検診システムで、病気をはやく見つけ、適切な治療によって子どもたちのいのちを守ることです。

乳歯は最も重要な検体です。子どものいのちと健康を守るために、乳歯中のSr-90を測定します。乳歯を提供いただいた方には、受け取り通知書と預かり証をお送りします。乳歯は検査の過程で形がなくなりますから、お返しできません。ご了承ください。乳歯と測定結果は一元管理し、個人情報を厳重に守ります。測定が終わったら、結果を乳歯提供者にお知らせします。今後の生活は病気の予防などについて相談したい場合は、「はは測定所」内の相談コーナーにお尋ねください。(予約制)

取り組みなど 乳歯提供の方法

たまごの殻or乳歯の送り先
非営利未来型株式会社 はは
乳歯保存ネットワーク
はは測定所
〒500-8262 岐阜市西茜部本郷1-63-3
TEL/FAX 058-208-2310
E-mail:haha.akanabe@gmail.com

乳歯提供の方法

取り組みなど全般


vol.210 新・しょうがいをみつめるvol.3

 


ハシワタルベカラズ

「このはしわたるべからず」一休さんの有名なお話である。
この物語は ”端を歩いてはいけない” と読み替え ”真ん中を堂々と行く”という頓智が効いたお話であったと思う。今の世の中「どちら側をどの方向を目指して歩くのか?」と問われる風潮がある気がしてなんだか落ち着かない。正義は相反している両方にとって大切な正義であるから、どっちに賛成するのかという問いがあるだけで根本的に解決しない。一休さんのように堂々と知らんぷりしながら真ん中を歩いてみたいものである。中道とか中庸という概念がそれに相当するのだろう。

私の最近のお気に入りは「なんでそんなんプロジェクト」という岡山県にある生活介護事業所「ぬかつくるとこ」が繰り広げているプロジェクトである。

人の行為から生まれる「よくわからないもの」を断絶し、排除するのではなく、または、「無理にわかり合おうとするのでもなく」、想像力を駆使して「分からなさを楽しむこと」。「なんでそんなん」な行為や作品に注目するだけでなく、「なんでそんなん」を見つける「発見者」の育成をすることで生きやすい社会を目指す。
「なんでそんなんプロジェクト」のコンセプト

 

――「なんでそんなん?」は、お笑いでいうところの「ツッコミ」の言葉です。他者の突飛とも思える行動をネガティブに捉えるのではなく、ポジティブに受け入れ「ツッコミ」を入れる。ツッコミによって、多様な人の営みをおおらかに受け入れ「楽しむ」能力を高めます。想像を超える現実を前にユーモアを持ってツッコミを入れることのできる人材を育成することが、福祉、教育、医療、のみならず現代の社会全体に有効に働くことになると考えます。――
nuca公式サイトより

このプロジェクトに表わされているのは、まさに真ん中を行くために『ツッコミ』という形の柔和さで正誤による判定をしない関わり方をユーモアを持って構築していく手段であり、私が惹かれるところである。

仕掛け人の一人、高知在住の美術家・土谷享さんはこう語っている。

「つまり問題は問題のままなんです。でも日々の人間らしい営みを送るために、ささいな問題や事件、事故を日常の中に内在しておくのは一つの方法でもある。拭ってしまおうとすると逆に大変なことになる。問題は問題で解決しないで愛を持って置いておく。でもそれが「解決」でもあるんです。」
厚生労働省 障害者文化芸術活動普及支援事業 特集記事より

なんでそんなんプロジェクト 
長男と私の「傾斜角マイケルなみ」

早急に答えを出すことに慣れてしまっている私たちは、何かを選択する、早く決めてブレない、自分は何者かと心を落ち着かせようと焦りの中にいる。またそれは自分軸とか自分らしさと変換され評価対象にもなるから厄介だ。問題や課題をそのままに置いて、時には余白を持っていつもと違う視点を持つ時間に使ってみるのも粋であると思う。

長男が日常生活の中で動くきっかけをつかむ時は体重をかけ傾きながら身体を預けてくる。動く回数だけ繰り広げられるこの行為の中には大変さだけではなく「なんでそんなん」という笑いと愛があると気づいた。「傾斜角マイケルなみ」と名付けたこの行為の投稿は多くの人に届いた。

長男は重度知的障がい者であった。故になのかもしれないが、彼は他者からの評価や何かに影響されることなく、誰にも媚びず、何にもよらず、”好きなものは好き”と堂々と真ん中の「今ここ」を生き歩いていたと感じる。どれをとっても私には真似ができない。私は共に居て多くの視点変換の機会に恵まれていたのだった。彼は私の人生において大きな視点の変換をもたらしてくれた「利他」の人であると受け取っている。

 

MASA:若者をはじめ、障がい者も一緒になって、ごちゃまぜイノベーションを目指している。知的障がいのある息子は享年24歳で2021年2月27日に旅立った。関市在住。


vol.210 人生これから!やってみたシリーズ第13弾


“ぼやき川柳”に大賞2回の快挙

高井 浩さん(60代)

川柳を始めて丸3年。その間、採用が6回。そして大賞が2回。
毎回の応募点数は多い時で2,000作品くらいあるというから、もう「やってみた」の域を超えている。

「バンドの仲間5人で始めました。妹にも勧めたんだけど、半年でやめてしまった。始める時って、すぐ採用され読まれる気になるんでしょう。自分では「これは傑作だ」と思うんだろうけど、なかなか読まれないと、やる気が出ないのか、今も続けているのは僕一人です。やっぱりラジオで採用(詠まれる)されるとやる気になるし、大賞はすごく励みになりますね。」

川柳は俳句とは違い季語はない。いつもお題があって、日常のちょっとしたシーンを5・7・5に乗せる感じ。川柳のどんなところが魅力なのか?
「年に一度新聞に載るサラリーマン川柳が有名ですよ。サラリーマンの悲哀とか、嫌なことでも「はい」と言わないかんとかね。クスッと笑える。わかるわかる、みたいなね。あれが理想で、いちばんの目標です。」

大賞をもらった時のお題は「欲」でした。生前葬の話を聞いてひらめいて、イメージしたらこういう句になった。
・ 香典を生前葬で取り戻す 採用 大賞
コロナでお葬式がなくなりつつある。できなくなったというか、身内だけでやる家族葬とかに移行しています。でも香典だけは相当包んでるよなぁ。葬式がなくなったら多分出費の方が多いんじゃないかって思ってできた句だという。
寸評は:生前葬、流行っているんでしょうか。最近はお葬式も様変わりしているようですけど、“取り戻す”の意気込みが凄い。
「シャレを入れて絶対いけると思ったのがボツだった。こんな句です。<お題「魚嫌い」帰省中食べてしまったアニサキス>。どんなのが採用されるか本当にわからない。似たような作品がいっぱいあるから、その中で印象に残るということですかね。短い言葉の中に、ありありと情景が浮かぶような句っていうのはいいんじゃないかな。でも、毎回なぜか自信がないのばっかりが採用されたり大賞になったりするんだよね。まぁとりあえず出しとけ、みたいなやつが良かったり。それがほとんど採用されてる。不思議なところだわ」と屈託なく笑う。

ぼやき川柳は<関西発ラジオ深夜便>の人気コーナー。大賞受賞句を選者:大西泰世さんの寸評と合わせて放送される。
「月に3回あるこの放送は金曜日の夜、11時15分から。しかも生放送なんですよ。僕はすぐ寝てしまうんでアーカイブで聴いてます。採用は放送を聞かないとわからないんです。「応募した人はみんな聞いていると思うよ。最初県名から読み上げるんで、岐阜県、っていうとドキッとする。」大賞は通知が来る。そして「ラジオ深夜便」(毎月一日発行)に掲載される。

 

今回のお題は「太る」。日常のちょっとしたこととか、お題に対していつも考えているという高井さん。
パソコンに思いついた句を書き出し、並べてみて、言い回しを変えてみたり試行錯誤している。嘘はかけない、架空も書かない、そんな暗黙のルールの元、毎日の暮らしが川柳のネタになっているそうだ。

俳句と川柳の違い。
俳句には季語が必要だが、川柳に季語は必要ない。 俳句には「や」「かな」「けり」などの切れ字が必要だが、川柳に切れ字は必要ない。俳句は主に文語表現を用い、川柳は主に口語表現が用いられる。

 

 

 


vol.210 えんぴつ・カフェ スパイスカレー、自彊術

「食べる漢方薬」と言われるほど健康効果が高い「スパイスカレー」。スパイスの原料には、漢方薬に使う生薬(しょうやく)と共通しているものが多いのです。使われるスパイス一つひとつに効能があり、使い分ければ健康効果が得られる、と言われています。

今回使用したスパイスと、その健康効果
【クミンシード】消化促進、食欲増加、抗酸化作用
【にんにく】滋養強壮、抗菌作用、疲労回復、
【生姜】代謝向上、冷え性や腹痛の改善
【コリアンダー】消化促進、デトックス作用
【ターメリック】肝機能向上、抗酸化作用、認知症予防
【カイエンペッパーorチリ】消化促進、代謝向上

 

・ とても楽しく、美味しくカレーができて嬉しいです。
・ 家でも早速作ってみます。
・ 市販のルーは油っぽいものが多く、気になっていたので、さらっとして美味しいカレーの作り方を教えていただいて良かったです。

 

 健康保持増進を目的として作られた健康体操です。自力による体操形式を用い31種の動作を一連とする形式にまとめられている。各運動はすべて、反動を利用し弾みを持って行われることが特徴です。
31種の動作は、関節の運動、首を曲げ伸ばす運動、体の側転・捻転・回旋、あんま・マッサージ、呼吸法を内容としています。また、各運動はその次にくる運動の準備となることを予想して行われます。


クールダウンは、ローゼルティーにローゼルジャム、マーマレードをクラッカーにトッピングしていただきました。色もきれいで、程よく疲れた体を優しく包んでくれました。

 

・ 体の隅々まで伸ばすことができて、少し汗ばんで気持ちよかった。
・ 31種の動作、家でも早速やってみます。
・ なかなか自分の意思通りに体が動かないということがわかりました。
・腕立て伏せの動き、きつかったぁ。二の腕のプルプルが取れると聞いて頑張った。


vol.210 熱中人 YAOさん

Color of Soil
大地のエネルギーを感じながら
ことばにできないイメージを絵画

オーストラリアを拠点にアート活動を続けるYAOさん

 

オーストラリアに移り住んで10年。アート活動の傍ら、畑で作物を育て、雨水を循環し生活に使用するなど、できる限り自給自足に近い生活をしてきた。その暮らしぶりを本誌でも「未来に続く暮らしの学び」で約8年間リポートしてもらった人でもある。

「絵画の制作がメインですが、トリオのパフォーマンスチームの1員として、劇場、シアター、イベントなどで1時間ほどのビジュアルアートの展開もしています。音とダンサーの動きに合わせ、わたしがオーバーヘッドプロジェクターでライブペインティングのように抽象的な絵を描いて、独特な世界観を作り上げていくパフォーマンスです。だんだん需要も広がり、こちらのウエイトも大きくなってきました」。

3年ぶりに帰国し、友人たちの縁で各地で個展を開催した。オーストラリアで描いた作品は、地元の土とか石を採取するところから始まる。それを砕いて色粉にし、テンペラ(乳化剤)とメディウム(希釈剤)を混ぜて天然絵の具を作る。まず遊ぶ感じでレイヤー(背景)を作って、そこから見えて来る世界を油絵の具で描きこんでいく。

今回は『土』という要素から出てきた世界を描く、と言うテーマで展示をした。油絵の具の色数を抑え、アースピグメント(顔料・色粉)も土から取れる物を使用。

「『Color of Soil』というのが展示のタイトルです。オーストラリアの土地のエネルギーとか土の色を感じてほしい。芸術って人間本位のものだけど、実は自然からいただいたもので作画できるということに気づいたことは大きかったです」。

日本での個展は徳島、愛知、静岡、岐阜、兵庫の5箇所。各会場では展示とワークショップをセットにした。絵の具の作り方を見せると、「あ、絵の具ってこうやってつくれるんだ」って関心度が一段とアップしたそう。観覧者からは「オーストラリアの風を感じる」、「動いてる感じ」、「あ、魂が入ってるね」、「エネルギー的に動いてる感じがする」といった感想がとても嬉しかったという。天然絵の具というキーワードが観る人を惹きつけたのだろう。自身の描いた絵が色々な人と繋がらせてもらえたことに感謝しかないという。中でも京丹波に工房を構える陶芸家との出会いは衝撃だったそう。ストレートな問いかけにドギマギしたことは、今後の自身の生き方に大きなインパクトがあったという。

「その方は、土から釉薬に至るまで地場にこだわり作陶されています。変わらないスタンスというか、その方の覚悟に感銘を受けました。自分にその覚悟があるのか、本当にどきっとしました。私も自然界から採れる色を使ってもっと描けるようになりたい。そして作陶や草木染めを手がけている方たちともつながって、絵の具の可能性を探りたいと思っています。いろんなジャンルの制作者同士が繋がって、それぞれの良さを生かした作品作りができると面白いだろうな。今後、アートの世界はそういうコラボ制作が広がっていく気がするんです。そうすることで世界観が広がっていくだろうし、感謝も生まれそう。土集めてくれてありがとうございます!興味あったんですよ、みたいなね。」

天然の色をもっと知りたい。作陶に使う土も、草木染めの植物も可能性に満ちている。染料を顔料にして、顔料が色粉になるにはどうしたらいいのか日々模索中というYAOさん。

「科学的な物を使いたくないわけじゃないけど、自然の中にはどれだけの色があるんだろうって考えるだけでもワクワクします。」と笑顔で語ってくれた。
(各務原市出身 オーストラリア バイロンベイ在住)


vol.210 夢か悪夢かリニアが通る!vol.39

「2027年開業は幻想」――。静岡県の川勝平太知事が9月7日、神奈川県のリニア中央新幹線建設工事現場を視察した際の発言が波紋を呼んでいます。  井澤宏明・ジャーナリスト

 

不都合な「真実」

 

相模原市緑区鳥屋の関東車両基地予定地。住宅の基礎だけが残り、虫が盛んに鳴いていた

「2027年開業は幻想」
川勝知事は、神奈川県相模原市の藤野トンネル(大洞非常口)と神奈川県駅(仮称)の建設現場を視察しました。移動の途中、相模原市緑区鳥屋の「関東車両基地」予定地に立ち寄りました。ところどころに住宅の立ち退き跡があるものの多くの住民が生活を続け、着工もしていないのを目の当たりにして、工期が大幅に遅れるのを実感したそうです。
なぜなら、JR東海が2014年8月に公表したリニアの環境影響評価書資料編(神奈川県)には、関東車両基地の着工から完成まで11年かかると書かれているからです。
「もしJR東海の公表通りなら、来年春から始めても11年かかる。もう2027年(の開業)どころじゃありません。(神奈川県が)それを知らないということであれば大問題。(JR東海が)知らせなかったというのは情報の秘匿。不都合な真実は言わないということはあってはならない」。川勝知事は語気を強めました。
さらに、静岡県が7月に加盟したばかりの沿線10都府県で作る「リニア中央新幹線建設促進期成同盟会」や自民党の「超電導リニア鉄道に関する特別委員会」の会合で、リニア工事について出席者が口々に「順調に進んでいる」と話していたことを紹介して次のように述べました。
「案外、現場の状況をご存知ないままに、2027年がお題目のようになって、できるものだというふうな幻想を持っていらっしゃる」

「火消し」に躍起
川勝発言を受けて神奈川県の黒岩祐治知事やJR東海の金子慎社長はすぐに「火消し」に走りました。黒岩知事は翌9月8日、次のようなコメントを出しました。
「金子社長は、静岡県の工事にまだ着手出来ておらず、2027年の品川―名古屋間の開業は難しいとする一方、(関東)車両基地については、用地の取得ができた箇所から工事を進め、2027年までの整備を目指すとしており、車両基地が全体のスケジュールに影響を及ぼすことはないと考えています」
黒岩知事はフジテレビで報道記者やディレクター、キャスターを務めてきました。にも関わらず、金子社長がかねてから繰り返してきた、静岡のせいで開業が遅れるという「静岡悪者論」を引用するだけでした。
一方の金子社長は8日、川勝知事に会談を申し入れ13日、2年ぶりのトップ会談が非公開で行われました。「着手に理解と協力をお願いしたが、具体的なコメントをもらえなかった」と終了後、金子社長がこぼしたように成果は乏しかったようですが、それもそのはず。国土交通省が20年4月にスタートした有識者会議では今年6月から、南アルプスの環境保全についてようやく議論が始まったばかりなのです。
そもそも、20年6月26日に開かれた前回のトップ会談では、金子社長は6月中の静岡工区のヤード整備着工を迫ったうえで、「今ダメだと言われちゃうと、2027 年は難しいなと」と明言しています。それから2年余りたっているのに、「2027年開業」の旗を下さないのです。
筆者は川勝知事の視察翌日の9月8日、関東車両基地が計画されている鳥屋を訪ねました。県の無形民俗文化財「鳥屋の獅子舞」で知られる鳥屋諏訪神社の近くでは、車両基地予定地から移転する住民のための住宅造成が進んでいました。車両基地が計画されている集落に近づくと、ロープに「JR東海管理地」という札が掲げられ住宅の基礎だけが残る生活の跡が点在していました。
地元自治会でリニア対策委員会の幹部を務める男性に偶然、お会いしました。車両基地の着工について聞くと「まだ2、3年はかかるんじゃないか」と答えました。車両基地造成用の土砂などを運ぶ工事車両が通る道路をどうするかさえ、まだ決まっていないからだといいます。
工期が11年だとすると、完成は2035年から36年。リニアに伴う移転や再開発、道路工事は今も沿線各地で27年開業を目指して行われています。「不都合な真実」はいつになったら明かされるのでしょうか。

 

 

 

 

 


vol.210 ボーダーレス社会をめざしてvol.68

NPO法人オープンハウスCAN 理事長 伊藤佐代子

 

この人の反応は?

ある利用者さんに、コップいっぱいのお水を故意に床にこぼされたことがあります。彼にとってコミュニケーションを取る方法の一つとして叱られることがあるのかなと思っています。この支援者の反応はどうかな?とテストをされてしまいます。
どのような反応をすれば正解なのか分かりませんが、その反応如何で今後の支援内容が左右されます。同じ目線もしくは少し下に立つことが重要だろうと思います。間違っても上から目線はいけません。支援者によって彼らの対応は違います。支援者に合わせて下さるということが最近ではよく分かってきました。
実は、自閉症の人以外よく知らなかった私は、知的障がいと言われる人とのコミュニケーションの取り方が分かりませんでした。彼らは、人をよく観察し生きていくための知恵があります。感性で、この人はどこまで自分のことを理解してくれているのか?見られています。心に思ってもいない言葉などには全く左右されません。
例えば、書道ですと本当に感動して「いい作品だね」「上手!」という言葉には笑顔で応えて下さいますが、心から出ていない言葉には反応を示されません。一度、お母様がそばにいらっしゃって、おざなりに「上手」と言われた言葉に無反応だった重度の人がいらっしゃいました。いつも私が褒めるとニコニコだったのに??びっくりしました。心底思っていない言葉は、伝わらない様です。この人は自分のしていることにきちんと対応してくれているか?瞬時に厳しい判断が下され、その後の態度として示されます。忖度のない世界です。
障がいのある人は、正直な人が多いです。年齢は関係ありません。自分を理解してくれるか否か。自分の思いを汲み取ってくれるか否か。あの人は面白い。あの人はつまらない。あの人は話が通じない。あの人はユーモアがない等言い出したらきりがないくらい事細かに観察をしていらっしゃいます。
私たち支援者はしっかり見られています。もちろん家族もです。障がいがあるから何も分からないだろうなんて思わないで下さい。経験を積むごとに、障がいのある人を支援するという仕事は、難しいと感じています。資格を取ったからできるというものでもありません。信頼関係の下に、人を支援するという人間の根本が問われる仕事です。一般の人が、どのように思おうと障がいのある彼らにはこの人は信頼できるか否かは、お見通しです。彼らの眼鏡に叶うように、日々勉強です。

 

自閉症の息子が個展を開催します。
11月3日(木・祝)~13日(日)9時~21時
JR岐阜駅東 ハートフルスクエアG二階です。
よろしかったらご覧ください。


vol.210 モザンビークからレポートvol.4

Vol.4 Nampulaに行ってきました!生活編

 

北部ナンプラ州MalemaとRibáuèという地域に行ってきました。モザンビークの中でも一番農業生産率が高いのに、一番低栄養の割合が高い地域です。主食のとうもろこしやおかずに欠かせないピーナツ、野菜、果物など、何でも揃っているのに、、、彼らが一体どういう生活をしているのか、視察の出張となりました。

 

ナンプラの州都ナンプラに着いた瞬間、目の前に山が連なり、少し日差しが強いけれど、とても気持ちのいい空気を感じました。イスラム教徒が多いせいか、異国情緒漂う感じを目で楽しむのも束の間。すぐに大自然の中へ!
時速100キロでとばせるような主要道路の脇道ですら、子どもも女性も頭にたくさんのものを抱えて歩く人が沢山います。どこまで行くの?いつ着くの?と思うくらい、周りには畑しか見当たりません。一本脇道にそれると、様々なコミュニティに続く道があったのですが、家の周りはあたり一面畑というべきか、畑の中に家があるというべきか分からないほど、永遠と豆やキャッサバなどに囲まれた未舗装の道を進みます。学校?行かなくていいかも。そう思うくらいコミュニティとコミュニティの間を遠く感じました。
実際車が通ることは珍しいようで、どの旅路にも嬉しそうに駆け寄り、顔の色が違う私を見るなりお化けにでも会ったかのように目をキョトンとさせる子ども達。可愛かったです!そうして到着してみると、沢山の人が集まって歌やダンスで歓迎してくれたり、ピタッと密着しても溢れかえるくらいの人が茅葺き屋根の集会所に集まってくれたり、とにかく、一つの家族のようにコミュニティ内の人と人との距離が近いように感じました。
私の主な使命の一つが低栄養の改善なので、農作物、食習慣、家計など様々な質問をさせてもらいました。「1年間どこにも行かなくても生きていけるんだよ。」と豪語するコミュニティもあれば、食べ物がなくなる時期があって、そんな時はお隣さんの畑で働いて、その日の夕飯を分けてもらうというコミュニティもありました。一番の驚きは1か月に4人で60〜80kgものとうもろこしの粉を消費すると言うこと。毎日1人で米4合食べるくらいの量、まるで宮沢賢治の世界です。
そんな会話の中で、ある女性がさらりと言ったのです。「動物は販売用だから、自分たちが食べることはあまりない。お金がなくなると動物を売って、そのお金でまた販売用の動物の雛を買う。そのお金もなくなると子どもを売る」と。テレビ番組を見ているかと思いました。私には事実も、真実もさっぱり分からないままだけれども、誰が自分の親か分からないくらい、温かいコミュニテイの中で育つならば、早いうちに許嫁が決まっているだけのことかも。そんな風に思える会話の一片でした。
「そこに暮さなければ、何が幸せか分からない。」と柔らかな感覚を覚えたし、夕日が目の前で美しく輝き、家を含めた多くの物が自然に帰る素材でできているのを見て、彼らの自然と一体化した暮らしを羨ましく思ったりもしたのでした。


vol.210 菌ちゃん野菜応援団vol.31

腸活!菌ちゃんをたくさんお腹に入れよう(^^)/

 

先月は元気の良い野菜をつくるためには微生物がたくさんのふかふかの土をつくることが大切、そしてそれは私たちの身体も同じなんですよ、とお伝えしました。

今回から少しそのあたりにふれていきます。
みなさん、腸活という言葉は聞かれたことがあると思います。腸活とはなんでしょうか?読んで字のごとし、腸のためにいろいろ行う行動のことですね。
世間では腸活のために!というフレーズで様々な提案がなされていますが、一体そこにはどんな理屈があるのでしょうか?そして、わたしたちは具体的に何をすれば腸のためによいのでしょうか?
実はとても簡単。この世は相似形ですから、畑に起こることは私たちのからだに起こることと同じ。となれば、腸の元気さを保つためにすることは。
そう、腸にも微生物=菌ちゃんをたくさん入れてあげれば良いのです。菌と言っても腐ってしまったものはお腹を壊しますので、お腹のなかで発酵して腸内を整えてくれる菌がいいですね。発酵を促す微生物のことを専門的には「有用微生物」という言います。人体にとって有用な働きをしてくれる微生物の総称です。

ちなみに大地には無用微生物というのは居なくて「人にとって有用な働きをしてくれる菌」のことを「有用微生物」といい、腐敗を促す菌と勝手に分けているんですよ(*^^*)
発酵菌、腐敗菌というものがいるわけではないのですね。では、発酵を促す菌が多い食べ物はなんでしょうか?
私たちのまわりではヨーグルト、チーズ、味噌、しょうゆなどが食べ物として食卓に上ることが多いでしょうか。パンや納豆なども微生物が介在していますね。
ほかにも私たちの身の回りには微生物の働きを使ってつくられたものがたくさんあり、それらはだいたい発酵食品と言われています。

畑も土のなかで菌ちゃんをうまく発酵に待っていくと良いのでしたよね。
では、私たちにとって有用な働きをしてくれる微生物、菌ちゃんがお腹のなかでもうまく発酵してくれるためにはどうやって食べたらいいのかな。

そんな話はまた次回(*^^*)

*******************

ルービーレッドの魅惑的な色と爽やかな酸味を持つローゼルは、栄養豊富で美容と健康に良いハーブです。そして栽培することでCO2を削減するため地球温暖化に役立ち、地下水や土地を浄化する能力があるとされ、地球にとても優しい植物なのです。ローゼルにはビタミン・ミネラル類や、アントシアニン色素・ペクチンなど、美容と健康に良い有効成分がたっぷりで、クエン酸・リンゴ酸などの有機酸類を多く含んでいます。ローゼルティー(ハイビスカスティー)を3名様にプレゼント!詳しくは、プレゼントコーナーをご覧くださいね。

*******************

 

きのこの塩こうじあえ

秋と言えばきのこの美味しい季節。新鮮なしいたけを一口大に切りさっと茹でます。少しの塩こうじであえればお腹も喜ぶ菌ちゃんおかずのできあがり。エノキやエリンギでも美味しいし、鶏ハムなどと合わせてもおつまみにも良いですよ♪


vol.210 ここいく日記 はじめの27歩!

~全国夏期セミナー中国大会in広島~に参加して。

7月30日・31日 一般社団法人“人間と性”教育研究協議会主催の『全国夏期セミナー』が開催されました。全国から集まった性教協の会員や学校の先生、養護教諭、助産師、団体など様々な立場の方が共に学ぶ場です。(ここいくは3年前に発表する側で参加しました)
今年のテーマは いま、広島で考える平和に生きる権利 ―個人の尊厳とジェンダー平等を実現する性教育を!―
研修初日は、記念講演:平尾直政さん「原爆が遺した子ら」、理論講座:水野哲夫さん「『生命(いのち)の安全教育』せっかくやるならいいものに」、シンポジウム「個人の尊厳とジェンダー平等を実現する性教育をどうやって実践してきたか」。3つの話から“人権・身体の権利”や“性教育の歴史的背景”が見えてきました。

2日目の分科会で、男の子の体で生まれ心が女の子“たいちゃん”のお父さんのお話を聞きました。幼稚園ではスカートで過ごしていたたいちゃんが小学校に上がる時、学校から「前例がない」「周りの子どもが混乱する」「男の子はズボン、女の子はスカートが決まりだから」(いつから決まりになった?)「診断書がない」(病気じゃないですけど…)など思わず突っ込み入れたくなるような理由で、男の子がスカートでの通学は難しいと言われてしまいます。校長室で「なんでスカートはいちゃいけんのん!! たいちゃんは女の子なんだからスカートで学校行きたいっ!!」たいちゃんの魂の叫びが。。。そこで病院で診断書「小児性同一性障害」と書いてもらい、名前も「たいじ」から「たいら」へ改名し、やっとスカート登校が認められました。
そんなこんなで小学校生活が始まったたいちゃんでしたが、小学4年生から不登校に。6年生になった今も学校にいけない日々が続いているそうです。小さい頃は堂々と主張していたたいちゃんも、周りの子から噂話が出始め仲の良い子にも伝わった事で怖くなってしまったそう。この学校では、保護者への説明はしていたものの、子ども達へは伝えていなかったようです。
思春期に近づけば、だんだん自分と友達との違いに気づいてくるようになります。不登校は選択肢の1つで決してダメなことではないと思いますが、もしこの学校で入学当初から子どもたちに伝えていたら・・・。たいちゃんはもっと楽しく、自分らしく過ごせていたかもしれませんね。

ここいくの授業では3・4年生のプログラムで、ジェンダーの紙芝居があります。子どもたちは大人が考えるより柔軟です。男らしく、女らしくではなく自分らしくが良いよね、と伝えています。「自分らしくていいと聞いて安心しました」という感想ももらいます。
2日間のセミナーは一つ一つの内容が深く、とてもここで全部は紹介しきれません。。。(^_^;)また次回に続くと思います(笑)。
このセミナーを通して、ここいくのプログラムもさらに深めていけるよう精進していきたいです。

 

担当:ここいくメンバー・今尾 幸子でした。
ここいく☎090-3446-8061(中村)