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vol.217 モザンビークからレポートvol.11

Vol.11 モザンビークの選挙事情 

英雄Samoa Machel。Ferlimoへの不満を垂らす人がいても、彼の存在は没後39年経った今でも全面的に崇拝されています。

モザンビークは変革期を迎えています。10月11日、市長選が行われました。全国一斉に行われ、それぞれの州の市ごとに開票、続々と結果が上がってきました。そんな中でも注目は、やはり首都マプト。10月26日の、正式発表の結果や、いかに!?

現在の大統領はFilipe Nyusi 。政権はFerlimo(与党モザンビーク開放戦線党)が握っています。1975年にポルトガルからの独立を果たして以来、ずっとSamoa Machelが率いていたグループ(Ferlimo) がこの国を率いてきました。Samoa Machelは今でも永遠の英雄です。独立記念日、Samoa Machelの誕生日、彼を讃えるイベントはたくさんあります。「モザンビーク、オイエー!」(モザンビーク最高!みたいな感じです)といい、盛り上がります。しかし、彼の精神を今もFerlimo が引き継いでいるかというと、そうではないと思っている人が増えていると聞きました。今でもFerlimo支持者は多くいるのは確かで、よく集会を見かけます。しかし同時に、省庁に入りたければFerlimo支持者でなければならない、と言った事実などから、若者を中心に政府不信は募る一方のようです。「政府は何もしてくれない。」という言葉をこの2年間で何度も耳にしました。「アフリカの問題は国の汚職。だから何も気にせず楽しんでおいで。」モザンビーク出身の先生にそう言われたことを、今でも覚えています。

Renamo の行進。我が家の前は大通りなので、ちょくちょくマーチがやってきました。

選挙後は、日本では見られない盛り上がりを見せました。選挙の翌日、Renamo( 野党モザンビーク民族抵抗運動)が勝利宣言。これからモザンビークに新たな勢いがつくのか⁉︎と思いきや、Ferlimoも、さらに翌日勝利宣言を出しました。「投票者が少ないから、途中結果だけでRenamoが勝つことが明らかだった。Ferlimoは今までも票を盗んできた。」と言ったのはもちろんRenamo派の友人。約一週間、デモが各地で行われた後、26日にFerlimoの正式勝利が宣言されました。しかし、「Ferlimoが投票箱を壊して幾つかの表を無効にした」と28日金曜日に再びRenamo支持者の大規模デモ発生。何故か平和な2日間の週末を挟み(とてもモザンビークらしいです)、翌週からまた何回かデモがありましたが、危険な感じではなく、平和に、歌やダンスも交えての訴えが続きました。11月14日までに憲法評議会に選挙プロセスが適切であったか確認の申し込みがされ、11月24日、その結果が発表されました。Ferlimo派の勝利。長い長い攻防を繰り返しても、結果は変わりませんでした。他の市ではReramoやもう一つの野党MDM(モザンビーク民主運動)が勝利しているところもあります。今年まで64都市をFerlimoがとっていたのに対して、56都市になりました。
来年は大統領選挙です。さらに激しい盛り上がりを見せることでしょう。
その一致団結のパワー、政府に頼らず、自分の生活を自分で改善していくという方向には向かないんだろうか!?という問いは、モザンビーク人には言わずに心の中にしまっておきました。

 


vol.217 プレゼントコーナー

217号PRESENTS

プレゼントご希望の方は
ハガキまたはe-mailで、下記のアンケートを
1〜6までご記入の上、編集部・プレゼント係りまでお送りください。

1.あなたの今年一番のビックニュースは?

2023年も終わろうとしています。世界ではいろんな出来事がありました。

あなたの最大の出来事はなんでしたか?

2- 気になるにらめっこ紙面での広告
3- 気に入った記事、気に入らない記事の
タイトル1つ・その理由もお書きください。
4- ご希望のプレゼント名 (第1希望・第2希望 を必ずお書きください)

※Cは編集室まで受け取りに来られる方。
5- 本紙をどこで入手されましたか?
6- 氏名、年齢、住所、郵便番号、電話番号、 家族構成

〆切:2024年1月25日   当日消印有効。Dは1月15日
宛先 〒504-0855 各務原市蘇原新栄町3-15
e-mail: info@niramekko.com
※お寄せいただいた個人情報は、本紙プレゼントの発送に限り、 使用させていただきます。


A.CINEX映画招待券 CINEX様より…ペア3組様

深い、深い映画に出会ってしまったら、そしてそれが現実とリンクした作品だったら…。時には問題提起する映画を観て、自分に問いかける時間も必要なのかも。写真は「月」のワンシーン。柳ヶ瀬のCINEXでご利用いただけます。


B.よりよく生きるためのライフデザインノート 『ゼロの昇天』 人生これから!様より…3名様

人は必ず“その時”を迎えます。あなたはそこまで、どんなふうに生きますか?難しく考えなくてもいいけれど、時には真面目に向き合うのもいいよね。このノートに書き込む事で、自分の心が整理されていきます。


C.トートバッグ型コンポスト 命の循環プロジェクト様より…1名様

生ゴミで堆肥作り、興味あるけど、虫の発生や匂いが気になるなあ。そんな方におすすめなのがこのバック型コンポスト。ファスナーで虫も匂いもシャットアウト!機材とセットで気軽にはじめられますよ。

にらめっこ事務所でお受け取りください。


D.わんにゃんドーム2024ペア招待券 テレビ愛知様より…3組様

2024年1月27日(土)、28日(日) バンテリンドーム ナゴヤ

https://wannyandome.com/

日本最大級のペットイベントを2024年も開催!トップブリーダーのチャンピオン犬や珍しい猫、わんわん運動会がやってくる!子どもから大人まで誰でも楽しめるコーナーなど、イベントも盛りだくさん!


vol. 216 水は体内を駆けめぐる

体内水は、絶えず体内を駆け巡り循環している

私たちの体の約6割は水分であり、筋肉は約80%、皮膚は約70%、骨でさえ約30%が水分です。この水分は、主に口から食物や飲料として体内に入り、胃腸で吸収され、血管に入って血液として全身を流れ、体の各部位に分配されます。このように体内に分配された水分を“体内水”といいます。
体内水のうち、その3分の2は、細胞の中に存在する細胞内液です。残りの3分の1は、血液の中、リンパ管の中、組織の隙間などに取り込まれ、体のさまざまな働きを助けます。
全ての体内水は、特定の場所に留まっているわけではなく、各部位から常に移動して、絶えず体内を駆け巡りながら循環しています。

毎日、3リットルの水分が入っている

1日に体を出入りする水の量は、約2,000~2,800ml。私たちは、毎日これだけの水を摂取し、同じ量を排出しています。
 水が体に入る経路は、飲料水から1日1,000~1,500ml、また食べ物に含まれる水分が約800~900ml、代謝(体内で脂肪などが分解され、エネルギーに変わる)時に作られる水分が約300 mlです。
体内水が体から出ていく経路は4つ。最も多いのが尿で、1日に体内水の約半分にあたる1,000~1,500mlが排出されます。次に多く排出されるのは汗で、約600 ml。また吐く息からも体内水は排出されており、1日の呼吸の回数は約2~3万回で、その排出量はコップ2杯分の約400 ml。そして、便にも体内水が含まれ、これが約100~200mlです。

水が体内に入り出ていくまでの循環が、私たちの健康を支えており、体内水がスムーズに循環し、水分の代謝がきちんと行われていれば、臓器の新陳代謝も正常になり、また不要な老廃物も排泄されるので、体は健康を保つことができます。

体の不調の主な原因は、水分不足

しかし、この体内水の循環がうまくいかなくなると、血液やリンパの流れが滞ったり、体温の調整や細胞に含まれる水分量などが乱れ、私たちの体はたちまち不調をきたしてしまいます。体の不調の多くは、体内水の循環バランスが崩れることから起きます。その原因は主に2つあります。
1つは、水分不足です。
水分の補給が十分でないため、脱水症状を起こしてしまうのです。脱水症状には、激しい運動で大量に汗をかいた後などに起こる急性脱水症と、生活習慣によって起こる慢性脱水症があります。
例えば、高齢者は加齢により筋肉が落ちるため、若い頃よりも筋肉に蓄えておける水分量が少なくなり、新陳代謝も腎臓の機能も低下するので、老廃物を排出するのにより多くの水分が必要になります。また、喉の渇きも以前より感じなくなってくるため、意識的に水分を摂る必要があります。

もう一つの原因は、体内水の“滞り”

体内水の循環バランスが崩れるもう1つの原因は、滞りです。これは、水のめぐりが悪くなり、老廃物がスムーズに排出されていない状態をいいます。体内水が滞っている場所ではむくみが起こり、不調が現れます。
例えば、筋肉がむくむと体がだるくなったり、手足がこわばったり、肩凝りや腰痛が発生することもあります。水不足も滞りも、放っておくとドンドン悪化し、長期に渡る不調や、深刻な病気を引き起こす可能性があります。ですので、そうなる前に、早めにその兆候に気付いて、体内水のバランスを整える必要があるのです。体に入った水分=体内水は体内を循環し、日々入れ替わっていること、また体内水の正常な循環により、体は健康を保つことができるということです。

そこで気になる水道水

クイズ 世界で水道水をそのまま飲める
国は何カ国?
①11カ国 ②51カ国 ③101カ国         Q1 答え ①

【解説】水道水を安心して飲めるのは、日本の高度な浄水技術や徹底した管理のおかげ。※国土交通省「令和4年版 日本の水資源の現況」より

日本のほとんどの水道水は、そのまま飲むことができる世界でも類まれな国です。緒外国では、そのままでは飲めない「硬水」が多いようです。硬水は、マグネシウムやカルシウムを多く含んでおり、料理に使えば、タンパク質を硬くし、料理に影響します。(硬度:ミネラルの中で含有量が多いカルシウム、マグネシウムの量を示し、硬度の低い水は癖がなく、高いと好き嫌いが大きく分かれる。マグネシウムが多いと苦い。ミネラル分を酸化カルシウムに換算して、水1立方メートル中に10グラム含むときを1度とする。硬度20以上を硬水、10以下を軟水という。お茶や料理には軟水が適しているとのこと)


橋本 淳司 水ジャーナリスト   朝日新聞 2023年9月2日
水道水飲む?映す価値観
飲み水についての感覚は、人によってかなり異なります。
水道の普及率は1959年には約26%でした。飲み水は井戸水から水道水へ。災害による断水を経験した地域などでは、水を大切にする感覚が強い傾向がある。生きてきた時代や場所により、価値観は変わります。
日本の河川は、70から80年代には工業化の影響などで汚れていました。下水道も普及しておらず、水道水が臭いと言われました。しかし下水道の普及などで水質が向上し、90年代以降は味が回復していきました。
ただ、依然として水道水に不信感がある人がいたり、便利だったりで、ペットボトル水の需要は増加傾向です。ミネラルウォーターの生産・輸入量は40年間で約50倍になりました。
駅などに置かれている冷水機が減ったのも、ペットボトルの普及が一因でしょう。コロナ禍では、感染防止を理由に利用停止された冷水機も。
味とは別に安全性の問題もあります。これまでも寄生虫の検出や原発事故など安全性が脅かされるような事態がありましたが、最近は有機フッ素化合物(総称PFAS)の検出が問題になっています。高濃度で検出された地域では、家庭で浄水器を設置したり議会で議論されたりしています。
どのように水を飲むかは各自の価値観に基づく選択ですが、飲んでいる水がどこからやってきているかはぜひ意識してほしいと思います。ペットボトルにつめる地下水はくみすぎると枯れる場合もあり、メーカーには水源保全の活動やその公表が求められる。消費者にも「飲む責任」があります。


vol.216 水はすべてにつながっている

水のこと、一緒に考えましょう!
地下水がおいしいのは、地上に降った水が、地下にしみ込んでいく内に汚れがろ過されて、きれいになり、土中の炭酸ガスや岩石のミネラル分を溶かし込み、1年中水温が一定である為です。今、地下水として沸き出している水は、数年から数十年も前に降った雨水が、地下にしみ込んだものなのです。
今、そんな地下水の危機が叫ばれています。地下水の減少や汚染など、様々な問題が起きています。開発や植林の名のもとでの“森林伐採”、“除草剤汚染”の問題なども。

地下水を増やすには?
山林や田畑などの涵養域(かんよういき)が必要・・・
涵養域とは、水田、畑地、草地、林地、水域など、地下水を染み込ませ蓄えておける場所です。地下水は、雨水が涵養域から地下にしみこんだものです。

山林や田畑が減少し、建物や舗装道が増えると、地下水の量が減少するだけではなく、雨水が側溝や河川に一気に流れこみ、河川のはんらんや水害も増加します。雨水をしみこませる山林や田畑を多く確保することが必要です。開発や休耕田の増加や農地の減少で、涵養域は増えるどころか減っているのが現実です。抜本的な地下水確保のために、行政当局の早急な対応にも期待したい。安全でおいしい地下水確保にお金をかけるべきではないでしょうか。

知っていますか?
木の根や落ち葉は雨水を蓄えるため、水の流出を制御することができます。森林は、まさに自然が作り出した緑のダムと言えます。ブナなどの広葉樹林の方が、よく根を張るため、雨水をしみこませるのに適しています。

各務原の水は大丈夫かな?
ゴルフ場などの除草剤の問題。芝生の雑草を除去するために、様々な薬品が使われているようです。(岐阜県は全国で7番目にゴルフ場が多い県。一位は北海道)また、最近増えているのが、産業廃棄物処理場の問題です。ゴミの不法投棄を含め、ダイオキシンやPCB(ポリ塩化ビフェニル)・鉛・ヒ素などをはじめとする多種多様な重金属・有機塩素系化合物等による汚染問題も深刻なものとなっています。これらは地下水汚染につながります。加えて今騒動となっているPFAS(有機フッ素化合物・永遠の化学物質)と言われているもの。各務原市ではこの値が基準値を超えていて、市民に公表せず、問題となりました。

永遠の化学物質?PFASってなに?このPFAS についてはP-5-6で詳しく解説します。

そもそも、基準値ってなんだ?
日本科学未来館 科学コミュニケーターより
政府は、大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染及び騒音に係る環境上の条件について、それぞれ、人の健康を保護し、及び生活環境を保全する上で維持されることが望ましい基準を定めるものとする。つまり、ヒト(を含めた生態系)が健全に生活をし続けられることを目的とした値です。
※環境基準は、行政上の目標なので破っても罰はありません。しかし、環境基準を維持するために、個々の事業所や車などの発生源に対して「規制基準」が定められています。さらに、地方自治体は、それぞれの地域の特性に合わせてより厳しい規制(上乗せ規制)を行うことができます。

同じ化学物質でも状況によって扱い方が変わります!例えば、大気中に放出されたベンゼンは、ヒドロキシラジカルによって分解され、6.7~13.4日で半分の濃度になっていくと推測されています。しかし、土壌中や水中では、どれくらいのペースで微生物によって分解されるのか、大気中に放出されるのかなどを考えなくてはならず、一層議論 が複雑化します。

時代や場所によって、科学的事実や人の考え方が変わり得る
こ れ は と て も 重 要 で す !
例えば、無害だと思われていた化学物質も、有害であることが後か ら判明することもあります(逆も然り)。事故などをきっかけにして「基準値以下ならば本当に安全なのだろうか・・・子どもや赤ちゃんには?」と不安を覚える人が多くなることもあるでしょう。なので、環境基準は、新しい情報が反映され、基準値の根拠を添えるなど、不安に答えられるものであることが理想です。

例として、大気中のベンゼンの基準値について考えてみましょう。ベンゼンは、発がん性(急性骨髄性白血病など)といったヒトへの危険性が報告されています。ごく微量でも発がん性があると考えられているため、どの程度の量までならさらされても大丈夫という値(閾値・しきいち)が設けられていません。しかし、ベンゼンは、車の排ガスやタバコの煙からも発生しています。大気中のベンゼンを失くすことは不可能です。

ど う す れ ば 良 い の で しょ う ?
 このような閾値がなく、排出を抑制できない化学物質に対しては、実質安全量(ある化学物質の影響をほぼ無視できると考えられる量のこと)という考え方が用いられます。発がん物質に対しては、一生涯(現在だと70年)さらされ続けた際に、その物質の影響のみによる発ガン確率が10〜5増加する量として設定されることが多いようです。
つまり、70年間で10万人に1人がガンになる程度ならば実質的に安全とみなすという考え方です。この考えに基づき、ベンゼンを使用していた海外の工場における事故に関する研究などを参考にして、3 μg/m3 以下という環境基準が算出されたのです。さて、いきなり3 μg/m3以下と言われて、イメージできますか?身近な単位に変えてみましょう!!
・(気体のベンゼン) 約1 ppb 空気中の約10億個の原子・分子のうち1個の割合でベンゼンが混ざっているイメージ。
「それっぽっちしか入ってないなら大丈夫な気がする。」「いや、たったこれだけで人体に影響を及ぼし得るの!?」「70年間さらされ続けて10万人に1人なら良いかな。」「いや、100万人に1人くらいにもっと厳しくしないと不安だ!」
人によって捉え方はいろいろでしょうし、まだまだたくさんの意見があると思いますが、まずは”知ろうとする”ことが第一歩です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


vol.216 教えてぴーふぁす先生

PFASとは何か。汚染の現状と課題

フッ素って虫歯予防?とよく聞かれますがそれは無機のフッ素で適切に使えば害はないです。
PFASは、人間が作った“フッ素をたくさん持っている有機物”です。フッ素をたくさんつけると熱や光に強く壊れにくくなることがわかってきました。
PFASは1940年代に3M社によって開発されましたが2000年5月、同社はPFOA/PFOS生産を2002年までとし自主的廃止を発表。しかし、PFASの性質である環境残留性により各地で深刻な地下水や土壌汚染が継続しており健康影響が懸念されています。4700種類もある中で、特に注目されている2物質PFOSとPFOA、この二つが各務原市の水質検査で国が定める基準50ナノグラムを超えていましたね。

身の回りにあるたくさんのPFAS用途
私たちの身の回りには撥水撥油コーティング剤としてゴアテックス、テフロン、撥水スプレーなどが使われています。泡消火剤として使用されるのは飛行場、立体駐車場とかいろんな工場。意外かもしれませんが、アリ誘引殺虫剤の有効成分にも使用されています。なじみのあるテフロン(フッ素樹脂)はフライパンを作る工程でPFASを使っています。
化粧品も水をはじくものとか、崩れにくいとか、そういった性質のものが気になります。一部ですがPFASを使っています。ラベルを見るとなんか小さい字でいっぱい書かれています。その中で、…フルオロ…と書かれているもの、それがおそらくPFASです。ポリフルオロリン酸エステル(PAPs)は、化粧品・日焼け止めはじめ、ハンバーガーやポテトフライなどの包装紙などに広く使用されています。ファーストフード店も2025年くらいまでには使用をやめ、別のものに切り替えると言っ
ている。企業側もだんだんPFASを使わないほうがいいだろうという動きが出てきています。
それに加えPFOA/PFOSは野生生物や我々の体に残りやすい性質を持っています。将来的に健康への影響があるのか、今後、しっかり見極める必要があります。

PFAS濃度が高いと影響は確実に出る
我々がPFASを口にするとなかなか体から出ていかず血液に結構残ります。血液を調べると我々が普段摂取しているPFASの濃度がわかるので、血液検査は重要です。データを見るとPFASを作るのをやめて身の回りからなくなっていけば、確かに減っていくことが明らかになっています。
実験動物を使って、調べます。血液の脂質(コレステロールとか、中性脂肪など)こう言ったものが、出てくる。もちろんある一定の量を与えた場合です。動物でそういう結果が出るなら人はどうなのか。脂質異常症、血液中のコレステロールが高いと病気の確率が上がる。甲状腺疾患、喉にある小さい組織なんですが、ホルモンとかを分泌するところです。そこの病気の確率が上がる。
健康被害というと、濃度がやや高い水を飲んだら、体の調子が悪くなって何かの病気になりますとか、病気になる確率が上がりますとか、そういう意味じゃないんですね。リスクは確率です。一人ひとりに対して確実にこうなりますということではなく、血液中の濃度が高い人の中で、そういった病気の人の割合が多いということが今までの研究で分かっています。発がん性と言われていますが、腎臓がんの割合が高くなる。精巣がんの確率も高いです。

泡消火剤とPFAS汚染
 国内の事例で話していきますと、PFASが使われ始めたのが1960年代。この消火剤は必ずしも事故の時に使うだけじゃなくて、日常の消火訓練にも使うし、いざ使う時になって消火剤が作動しないと困るので、定期的にテストします。一度出した消火剤を回収することはできないので、外に流れた状態となる。使った後にそれが土壌にしみこむとそれが土壌の汚染になります。
土壌が汚染されるとどうなるか。工場があるとか、その周辺が汚染されているというイメージがありますが、重金属だったら、あまり汚染されません。なぜかというと、土壌の成分と結合するから、土壌の上から下まで沈み込まない。一方で程よく水に溶け込む性質のものは、この土壌を突き抜けて地下水の層に混ざってしまい、井戸水・水道水の汚染につながります。PFASは分解しにくく、水に溶けやすい性質があるので、土壌の中をゆっくりと進んでいく。いわゆる帯水層、という地下水の層まで入っていくと流れに乗ってさらに周辺に広がっていくわけです。

各務原市の水道水
各務原市で水道水でいくつか水源地でピーファスが見つかった。三井水源地で1Lあたり77ng。一番近い鍋島水源地は26ng。西市場が9ng。三井水源地から離れていくと濃度が下がっている。そして岐阜基地に近いほど濃度が高い。各務原市の発表では国の暫定基準を超えてない所の濃度がいくらだったかわからないので、ハッキリはしないですが、そういった情報も出していけば、本当にこの基地から離れていけばいくほど濃度は薄くなっていく…そういった関係が本来は見えてくるはずです。この地域だと東の方が高く西の方が低い。水は高い所から低い所へ流れますから東から西に向かって流れていってるわけですね。PFASというのは地下の中を動いていると考えることができると思います。

では、どうすればいいのか
対策は?まず発生源を止めないといけない。今後の調査が必要であり重要です。発生源自体を抑えないといつまでも地下水にPFASというのは残ってしまい、除去を続けないといけないという状況になります。除去する方法としては、単純でも活性炭が導入しやすい。浄水器は値段が高いものを必ずしも買う必要はありません。活性炭でも、先程言ったようにPFOSやPFOAは大体8割から9割は除去できます。ここで何が大事かというと、活性炭を定期的に交換することなんです。活性炭はだんだん吸着が落ちていくので一定期間でちゃんと交換しないといけない。それから日用品のPFASはできれば避ける。これはちゃんと意識することです。また、長期的な視点でこれからの対応が重要です。値が低下した状態が続いているかどうかという継続調査は、行政の対応としては必要ですね。

今後とまとめ
2020年 日本に基準は50ng/L。 これはすごく評価できることでした。しかしそのあと欧米諸国がもっと厳しくしようという動きが出て、日本の数字が逆に今高くなっています。(米国環境保護庁の新しい勧告値 2023年3月全国水道基準(法的規制)案は4ng/L(PQL)です。
 水も大事なんですけど、水以外にも、土壌も汚染されます。そうすると食品とかにも部分的に汚染が広がる可能性もあります。私たちにできることは、、まず「そういう製品を選ばない、できるなら避ける」というような流れ、雰囲気を作るということが、企業にとっても取り組みを進めるきっかけになるんじゃないかと思っております。

 

 

Q:日本では科学的知見がないので飲み続けてもいいとのこと。先生のお考えは?
A:摂取量が高い人と低い人という比較の中で研究がされていないのが問題。そういった中で、人への影響というのはありうると。そういうリスクを未然に防止するために目標値を決めて、それを超えないようにしましょうというのをやっているわけ。その中でヨーロッパやアメリカでは目標をどんどん下げてきた流れがあります。ストックホルム条約は、基本的に分解しにくくて、人体とか生物にたまりやすいようなものをまずは優先的に禁止していくとしています。

Q:私以前登山をしておりまして、登山靴、レインウエアを撥水効果のあるゴアテックスを使っておりました。それらを身につけた時、体への影響はあるのでしょうか?
A:衣服に含まれている場合、接触するのは肌。問題になっているものは主に口から入ると体の中に吸収されますが、皮膚からは通過しにくいので、ご安心していただいていいと思います。

Q:アメリカとかヨーロッパ他の地区でもやっぱり活性炭での除去法が一番多いのですか?
A:使い捨てで、その分安く済むので、多くの場合は活性炭が使われます。浄水場だと他の有機物とかも除去しないといけないので、活性炭が処理施設に入っている事が多い。特に川の水を使う場合は、ほとんどは活性炭処理を導入している。もともと地下水はきれいと思われているのでわざわざ活性炭を通さないのですけど、今回各務原市で活性炭を選んだのはとりあえず導入しやすいという背景があると思います。今三井山浄水場の地下水中の濃度が、1リットルあたり70ナノグラム。おそらくこの濃度だと完全に溶けている状態で移動していると考えられています。

Q:測定をするときに資格とか認証とか必要でしょうか?それから、測定をする装置というものはかなり大掛かりなものなのか、実際の数値が実測値なのか、理論値なのかお聞かせください。
A:PFASは環境汚染物質なので、いわゆる病院とかでやる検査、コレステロールとかいろんなものをやる検査とはちょっと扱いが違います。なので、臨床検査場、衛生検査場とかそういった認証とかは必要ありません。多く使われている分析装置は、一台安くても2,000万、高いものだと5,000万するようなものを使っています。民間でやっている検査ですと、水を測るだけでも2万円か3万円くらいかかるでしょう。実際のPFOSとかPFOAとかの濃度がわかっているものに対して量を決めているので、これは全部実測値になっています。

(文責・にらめっこ)


vol.216 ぎむきょーるーむ 緑の処方箋とは

 

レクリエーションをしなくても、自然とのつながりを感じられる子どもは「子ども自身が幸せなだけでなく他人にも優しい」ことが判明したという研究結果が出ているそうです。 これは本紙前号の特集<P-1見えないつながり・自然とつながる私たちの健康『自然欠乏症候群』>と大きく関連しています。この研究では、子どもの健全な発達には自然が必要だとの見方が強まっています。「自然とのつながりは子どもの幸福だけでなく、人に優しくなれる人間性を育む」ことが確かめられました。
子どもに自然と触れ合わせることの重要性が明らかになるにつれて、実際に自然との触れ合いを重視する動きも活発化しています。「子どもたちは、わくわくできて、楽しく自然と接する事ができる生涯学習者のお手本を必要としています。なにも環境科学や自然の専門家である必要はありません。大切なのは、楽しく安全な環境で子どもが好奇心を満たせるように、子どもと一緒の時間を過ごすこと。野外で過ごす時間が少ない子どもにさまざまな問題行動が観察されており、こうした症状は「自然体験不足障害(NDD)」と呼ばれています。

「自然体験不足障害」とは?子どもたちが自然から切り離されることの危険性
「自然体験不足障害」というと、なにか恐ろしい病名のような気がしますが、これは医学的に定義された言葉ではありません。『あなたの子どもには自然が足りない』の著者でありジャーナリストのリチャード・ルーヴ氏が作った言葉です。子どもが自然と切り離されることの危険性や緊急性を伝えるために、このような表現を作り出したのです。
2005年以降、自然体験が人間の発達に与える影響に関する研究が増え、自然から疎外されることが人、特に子どもの心身に深刻な影響を与えていることが明らかになってきています。
自然と過ごす時間が得られない子どもは不安感や抑うつ感を強く持っていたり、注意力や集中力の低下、落ち着きのなさといった注意欠陥障害の傾向があったりすることがわかっています。また、屋外での活動が不足することで肥満になったり、環境の変化に気付きにくい「感覚麻痺」という症状も出てきたりするのです。

自然体験不足障害の原因
都市化により屋外での遊び場が減るだけでなく、車などの交通量も増え、子どもが屋外で楽しむことが難しくなりました。また、テレビやコンピュータなど電子機器が増えたことで、子ども自身が部屋で過ごすほうが楽しいと思うようにもなってきています。それらに加えて、屋外で起こる事故や不審者などによる事件などの報道に影響を受けた親たちが、「外は危険だ」という考えを持つようになり、子どもを屋内で守ろうとし過ぎていることも原因の一つだと指摘しています。

自然体験不足障害の改善策
ルーヴ氏は、「自然体験不足障害」の子どもは、親、学校、地域の努力で救うことができると考えています。
屋外に出て静かな時間を持つだけでも子どもは落ち着きを保てるようになります。芝生や土の上を裸足で歩く、木を触ってみる、小石を拾ってみるという機会を持つだけでも「感覚麻痺」を改善することができます。
 学校の校庭や近くの公園で、5分でも10分でもいいからそこにある花や木を観察する。それを季節ごとに繰り返すと、環境の変化にも気づけるようになります。
大がかりなキャンプに行かなくても、一日かけて登山をしなくても、放課後や週末に身近にある自然と触れ合う機会を作ることで「自然体験不足障害」による症状を改善することはできるのです。大切なのは、自然体験が減っていることによって失われているものを恐れるのではなく、身近にある自然環境から得られるものは何かを考え、子どもに自然と触れ合う時間を持たせてあげることなのです。

子どもに自然が必要なワケ
自然との触れ合いが減っている子どもたち。自然そのものの減少で、触れ合う機会を失ったこともありますが、ゲーム等の存在や放課後の自由な時間の減少により、”外で遊ぶこと”への興味を失ったことも、少なからず影響しているのかもしれません。
自然のなかでの遊びは、問題解決能力、集中力、自制心の発達にも役立ちます。また、協調性や柔軟性が向上するため、他人とうまく付き合えるようになり、社会的にも意味のある遊びと言えるのかも。

直接的に自然に触れる機会をつくる
 木登りを例に挙げてみましょう。登るのも下りるのも自己責任。どうしたら登れるか、どうしたら落下せずに済むか、どうやって下りるか、という一連の流れを自分の頭で考えなければいけません。こういった体験は、実際に自然と触れ合ってみないとわからず、単に木を眺めて景観を楽しむのと、実際に登ってみるのとでは、子どもにもたらす影響はまったく違ったものになります。
何気なく転がっている石も、落ち葉も、木の枝も、自然の中にあるものは発想力さえあれば、子どもの遊ぶ道具となり、子どもの発育を手助けする道具となり得ます。大人にとっても自然はストレス発散やリラックスの場として大切ですが、子どもにとっても、とても大切な場ということなのです。普段の子どもの遊ぶ時間を、それとなく自然との触れ合いに導いてみてはいかがでしょうか。

      参:gigazine/NATURESより


vol.216 しょうがいをみつめる vol.9

しないのっ!

 

「自閉症でよかったと思うことは何?」と質問されたら「自然と一体化した感覚になること」と答えるでしょう。人であることを忘れられる、その時間は何もかもが遠い過去のように思え、幸せで胸が一杯になります。人と心を通わせることが苦手でも、この世に生まれてよかったと思えるできごとはあります。

「自閉症が30歳の僕に教えてくれたこと」東田 直樹:著

 

この言葉を見た時に強い安堵感を覚えた。親としては誠に身勝手なセリフではあるが、そう感じてしまったことに間違いはなかった。“息子の言葉を聞いた”と勘違いしたとも言えるが、そうなのかもしれないと私自身が想像を巡らしていた内容だった。そうであったら良かったと思いたかったのかもしれない。
息子との暮らしの中には、悩ましいことや怒りに似た悲しみは私の日常に溢れていた。なぜ悩ましいのか?悲しいのか?その心を持っているのは私自身であって“彼”の中には全くその要因とするものはない。私の奥底にあるドロドロしたものを喚起するそれらの“憂い”は、私が根本的に抱えているものだと見つめざるを得なく、抑えつけたり、蓋をしてやり過ごすには息子という存在はあまりにも大きかった。
今を生きる力。昨日を後悔せず、明日を憂うこともなく淡々と今を生きるように見えた息子の一面は私の憧れる気持ちも喚起していた。どうしたら自然や大いなる宇宙の流れに乗って何にも囚われず“生”を全うできるのか。“自然と一体化”しているように見えた息子の生きる姿は大いなる目指したい姿でもあった。
日常のほとんどの時間はいわゆる“大変なこと”に費やされ、いつまでコレは続くのか?と私は思っていた。いや、息子もそんな苛立ちは、通じない私に対して感じていたのだと想像している。そんな中で時折り“ふと”彼が見せる表情や行為からは、どこから司令が来ているのだろうかと思うほど、美しさや滑らかさを纏う“自然と一体化”したかのような姿を見ることがあった。
思うようにならない言葉と身体、混乱する思考を悩ましくも愛でながら生きている自閉症の方々の姿は東田さんの著書から想像することが出来る。著書を読んで、息子に対してああすれば良かった、こうすれば良かったなどと戯言を今更ながら思うのだが、彼の人生の最後の半年をぶつかり合いながらも過ごせたことは私の財産となっている。
自閉症とは自らの世界に閉じこもっているような言葉ではあるが、“こうあらねば“とか“やりたいことはなんなのか”という“囚われ”から自由に開いた存在という一面も待ち合わせている気がしている。それに憧れるのは当然であるし、“自然と一体化”というものを少しでも味わうことができないものかと目指さないように目指すのもオツなものである。

 

自由というのは
いつかは本当の自由を手に入れたいと願っている人も多いのではないでしょうか。けれど簡単にそれが叶えられるわけではありません。今、何をしたいのか、自分の欲に縛られているうちは不自由なままです。
自由というのは、したいことをすることではなく、したいことがなくなることなのかもしれません。

「自閉症が30歳の僕に教えてくれたこと」東田 直樹:著

 

「しないのっ!(なんもしなくていいんじゃね)」と息子の声が聞こえてくるようだ。


MASA:若者をはじめ、障がい者も一緒になって、ごちゃまぜイノベーションを目指している。知的障がいのある息子は享年24歳で2021年2月27日に旅立った。関市在住。


vol.216 やってみた 渡邊さん


やってみたシリーズ第19弾

幸せの種をどうぞ!はなさかおばさん 渡邊さん(70代)

 緑豊かな、庭に花咲く家で育った渡邊さん。結婚して庭のない借家で、ガーデニングもままならない日々を過ごしました。数十年前、庭のある今の家に越してきた時のうれしかった気持ちは、今でも鮮明に記憶にあります。以来、大好きな花に囲まれて過す日々が今も続いています。
庭に出て花の世話をしていると時間の経つのも忘れ、家族にあきれられるほど。
毎日のように庭仕事をしていると、家の前を通りがかった人に、「きれいですね」「珍しい花ですね」と声をかけられることも。反射的に「種が採れたらさしあげますよ」。それがきっかけで花談義に盛り上がることもしばしば。するとやがて「あの花、今日咲いたよ」と嬉しい報告の言葉が返ってきます。中には、咲いた様子の写真をメールで送ってくれる友達もいます。
以前、なんとなく話しかけにくいなぁと思っていた人がいました。ところがある日、花がきっかけで話してみたら、自分が持っていたイメージとは違うとわかり、今では会えば話がつきないような友人になりました。「きれいな花を見て嫌な顔する人はいないし、花って不思議な力があるねえ。」と渡邊さんはつくづく感じます。

今年の春先にちょっと気になることもありました。物忘れが多くなってきたのです。他ごとをしているうちに鍋を火にかけていることを忘れて安全装置が働いたこと、少し怒りっぽいと家族に言われたり…。そんなことを友達に話すと、「一度脳神経外科で診てもらったら?」と言われ、ドキッ。あの人、最近ちょっと変だね、と噂されていた近所の奥さんの、あっという間に認知症が進んでいった姿が頭をよぎります。一方で、認知症も程度が軽いうちに手を打てば進行を遅らせることができるとも聞いていたので早速、脳神経外科で診察をうけました。幸いにも脳の萎縮も、問診の結果も認知症の兆候はみられませんでした。 ほっとする渡邊さんに、医師が認知症予防のためにとアドバイスをいくつかくれました。
・首の後ろをマッサージするなど、頭まわりの血行を良くすること。
・手先を使うこと。
・感動できる趣味をもつこと。
もともと編み物や小物作りなどが好きで、庭で花を育てることも大好き。医師にそう話すと、「ああ、それはすごくいいことだね。どんどんやってね。」とうれしいお言葉。もともと好きでやっていたことにお墨付きをもらった気分になった渡邊さん。以前より一段と明るい気分で花のおすそ分けに精が出ます。

小物作りや編み物、庭仕事など毎日忙しい渡邊さんですが、人に誘われたり頼まれたりすると、できるだけ断らないようにしています。「だって、せっかく私に声をかけてくれたんだもの。これも何かのご縁でしょ。そんな私を八方美人と言う人もいるけど、どんな人でもつきあってみないとわからないしね」
今の社会は、知らない人とは口をきかないようにと子どもに教えたり、物のやりとりをしないとか、知らない人とはあまり関わらない風潮もあります。いろんな怖い犯罪もあるから、それも無理ないことかもしれない。
「でも、私はどんどん関わっちゃう。近所の人みんなが知り合いの方が安心して暮らせるし、幸せなことだと思うの。だから私は小物を作ったり花の種が採れたら、どんどん人にもらってもらうの。」


vol.216 人生これから「あれ?認知症かな?と思ったら」&野菜染め

 ご家族を見ていて、あれ?認知症かな?と思ったらどうするか。認知症かどうか診断してもらうことも一つの方法ですが、他に病気の影響もあるかもしれないので、脳の検査もしておくといいですね。認知症は、脳細胞が正常に働かなくなることで、記憶力や判断力が低下します。でも、だからと言って、「何もできない」と思うのは誤りです。

 私の今までの経験で言えることは、「できないことを数えるよりもできることを数えてほしい」ということです。その人ができることをとりあげないで、どんどんやってもらって、「ありがとう、助かったわ」と伝える。その人を大切にする声かけをしてほしい、ということです。その人の心に寄り添う関わり方をし続けることで、認知症の進み具合もゆるやかになっていきます。

実例として、買い物や料理、掃除や洗濯などの家事一般はできるのに、娘さんなど身近な人が認知できない。買い物もお料理も上手にできるのに、物を盗られたと思い込んだり、冷蔵庫の中には時期が過ぎ傷んだ食品がいっぱい、という認知症の方もいらっしゃいます。グループホームに入って欲しいとご家族が希望されても本人がそれを拒むケースもあります。実際、グループホームに入所するには認知症の診断書が必要です。ただ、認知症かどうかの診断はしてもらえても、その人がどういう人なのかは医者にはわかりません。よく「人を変えることはできないが自分を変えることはできる」と言いますが、ご家族の考え方や対応が変わることで、ご本人が変わってきた、という例を私はたくさん見てきました。

Q.姉の行動で、もしや認知症のはじまりかも、と思ってしまう出来事がありました。本人は全く自覚がないので、検査をしたら?と言いにくいです。
A.明るくさらっと「私もいい年頃になって気になるから、お姉さんも一緒に検査してみない?」と誘うのはどうでしょう。「検査しないと!」とか、本人が傷つくような言い方は決してしないでください。
Q.怒りっぽくなるのも認知症の始まりの一つの特徴と聞いたことがあります。優しく接しなくてはいけないとわかっていても、怒られてばかりでは、辛いです。
A.確かに辛いですよね。そういう人は自分の話を人に聞いてもらうといいですね。話すことで自分の気持ちも整理できるし、心も軽くなります。認知症の方のご家族にとって大切なことは、自分1人で抱え込まないこと、話せる場所に行くことです。


 

えんぴつカフェ 9月20日は「野菜染め」にトライ。みぢかな野菜で一体どんないるに染まるのか…
前回、藍染め体験をして染めの面白さにはまってしまい、今回は、野菜染め。よもぎ(春に採って乾燥保管したもの)、ごぼう、玉ねぎの皮。媒染は焼きミョウバン、重曹、酢で試しました。定番の玉ねぎの皮はみんな綺麗に染まりました。ごぼうは重曹を入れるときれいな萌黄色に。でも、絞って見るとすっかり色が落ちてしまい、うっすらと色が残る程度。よもぎは酢で色止めしてベージュ色。布によっても染まり方が違います。今回は自然素材で染め体験をしましたが、媒染も鉄やアルミを使うとまた色の変化を楽しめるようです。

参加者感想
・ 初めての体験で、知らないことばかりでした。楽しかったです。
・ でき上がるまでどんな色合いかわからないところが面白かった!
・ ごぼうやよもぎの色が薄くて意外でした。玉ねぎはしっかり染まって嬉しかったです。初心者向きは玉ねぎかな。
・ 他のいろんな野菜で試したくなりました。

 


vol.216 熱中人 佐久島のゴミひろい 中川美穂さん


人が人を呼ぶ 中川流 さくっとプロジェクト

ゆっくり・のんびりエコツーリズム

中川 美穂さん 西尾市在住

一昨年から佐久島にご縁があり、何度も訪れていた中川さん。「この島は観光の島なんです。でも、人口減少で過疎化が進んでいます。この島が大好きで、何かお手伝いできないかと模索していたら島以外の人たちが参加できる、『さくっとプロジェクト』があることを知り、私は海岸のゴミ拾いをすることにしました」。
9月22日、一色港に9時に集合。9時30分発の船で佐久島・西港に到着。弁天サロンでプロジェクトに初参加の方はカードを発行してしてもらいます。次に自転車をレンタルして島を時計回りに。いざ出発!


今回は白浜海岸でゴミ拾いです。ゴミ袋は二つ。燃えるごみ用(プラスティック、ビニールなど)と燃えないごみ用(ビン・カン類など)。ペットボトルは稀に中身が入っているのでそれを捨てて回収。大きさもまちまち。1時間もするとゴミ袋にいっぱい集めることができました。
「ゴミの中で特に目立つのが、ペットボトルなどの軽いゴミ。陸から川を流れてやってきます。時期によっても(夏、冬)風の吹く方向がかわるので漂着物が多い海岸が変化します。潮の満ち引きによってゴミは行ったり来たりします。街から流れてくるゴミがほとんどなので、自分たちの街に帰った時にこの島のゴミを思い出してもらって捨て方を考えてください、とお願いしています」と語るのは、西尾市 交流共創部 佐久島振興課の三矢さん。

ゴミ拾いの後は海岸でお弁当タイム。参加者同士の交流の時間です。「がっつりゴミ拾いかと思って参加したけど、こんな時間(交流タイム)もいいですね」「ゴミ拾いとランチタイムに交流するというやんわりムードなら参加できる」「食べたもので血液が作られるんだよ。この塩むすび最高!」と様々な意見・感想を述べながら自己紹介。最後はみんなで歌を歌って帰路につく。東港から帰るルートで、他の海岸に寄るとそこも目に余るゴミが…。「今度のゴミ拾いはここだね」と、誰からともなくそんなつぶやきが聞こえました。
大空に飛ぶトンビが「また来てね〜」と言わんばかりに頭上を旋回していました。


vol.216 夢か悪夢かリニアが通る!vol.45

高速道路「東京外郭環状道路」(外環道)の地下トンネル工事により東京都調布市の住宅街で陥没事故が起きてから10月18日で丸3年になります。トンネルルート沿いでは今、「地盤補修」という名の街壊しが進んでいます。住民自慢の閑静な住宅街は更地や空き家が目立つようになり、街全体が工事現場のようになってしまいました。残された住民は今、地盤補修工事の騒音や振動にもおびえる日々を送っています。      井澤 宏明・ジャーナリスト

 

「地盤補修」という街壊し

入間川に蓋をするようように敷かれた管の束。両岸には住宅が迫っている

公園も工事ヤードに

3年前の陥没事故と続いて次々と見つかった地中の空洞は、地上に影響を与えないことを大前提とした「大深度地下の公共的使用に関する特別措置法」(大深度地下使用法)で認可された地下トンネル工事が原因でした。ところが、事故現場の街壊しが進む一方で、外環道工事は再開され、同法で同じように認可されたリニア中央新幹線の大深度地下工事も始まりました。「大前提」が崩れてしまったのにも関わらずです。
秋晴れの10月10日、地盤補修工事の現場を巡る見学学習会が開かれました。主催したのは事故現場の周辺住民とNPO法人「市民科学研究室」で結成した「外環振動・低周波音調査会」です。事業者の東日本高速道路(NEXCO東日本)が行おうとしない住民の健康被害や住宅の損傷被害などの調査を地道に行ってきました。
京王線つつじヶ丘駅を出発した一行は甲州街道(国道20号線)沿いにあるプラントヤードを見学しました。住宅街にセメントを送り込む拠点で、住宅や動物病院と隣り合った敷地に4本のセメントサイロやコンプレッサーが所狭しと置かれ、コンクリートミキサー車が並んでいます。
NEXCO東日本が約2年間かけて行うという地盤補修工事は次のような大規模なものです。
トンネル直上の長さ約220メートル、幅約16メートルの範囲の約30軒の住宅を解体して更地にし、地中にセメントを高圧噴射して土と混ぜ、直径約4メートル、高さ約40メートルの円柱状の塊を約220本作って地盤を強化する。
プラントヤードを出発したセメントスラリーは、甲州街道と京王線の下をくぐり、入間川に蓋をするように敷かれた管を通じて陥没事故の起きた住宅街に至ります。子どもたちの声があふれていた「入間川ぶんぶん公園」は中継ヤードにすっかり形を変えてしまいました。
公園の向いにこの春まで住んでいた近田眞代さんも見学学習会に駆け付けました。夫の太郎さんが育った家を夫婦の退職金で建て替えた窓の多い瀟洒な3階建ては既に解体され、長女の誕生記念に植えた桜の木も今はなく、地盤補修のための工事現場の一画になってしまいました。

 

周知されない「危険」

案内してくれたメンバーの1人、岡田光生さん(東京都杉並区)によると、ここから地盤補修箇所までセメントが380気圧もの「超高圧」で管を通して送られます。氷山と衝突して111年前、沈んだタイタニック号が眠る水深約3800メートルと同じ水圧がかかるというのですから、「どこかで配管の一部が破裂したときに、そんなのが当たったら我々はモロに死にますよ」と、プラントのエンジニアとして海外でも働いた岡田さんが危機感を感じるのも無理はありません。
現地見学の後、東部公民館で開かれた意見交換会で「市民科学研究室」代表の上田昌文さんは地盤補修工事について警鐘を鳴らしました。
「(NEXCO東日本が)こういう危険な工事を周知していない、自治体が関与しようとしていないのは大変おかしいこと。自治体には住民の安全を守る義務があるので、住民が住む真っただ中で行われる工事ですから、事業者(NEXCO東日本)が対策をとっているかどうかをチェックしなければいけないが、そのあたりが全然、手薄になっているのが日本の公共工事のあり方です」
続けてリニア工事にも言及しました。
「ここを改めていかないと、リニアでも同じこと(事故)が繰り返されるのではないか。自治体への働きかけは今のところ住民の力でするしかないので、早い段階から頑張っておくことが大事です」

 


vol.216 ボーダーレス社会をめざしてvol.75

NPO法人オープンハウスCAN 理事長 伊藤佐代子

 

がんと向き合って

2012年に胃ガンの手術をして、11年が経ちました。最近、知人が乳がんになり、「伊藤さん、どんな食事をしていた?何に気を付けたらいい?」と質問攻めにあっています。私が何を頼りに、何を食べて、何を大切にしてきたかを今回は書こうと思います。
抗がん剤が合わなかったと以前書きましたが、体に力がみなぎってこなくなり、明らかに死に向かっているなという感じでした。一度座ったら立てないんですから。抗がん剤をやめようと決心したのは草思社出版の「論より証拠のガン克服術」(中山武さん・著)を読んで、明かりを見出せたからです。
医師に頼らず、患者自身が「自分の心と体質の改善」に努力し、ガンを退縮させている現実が書かれていました。ガンは生活習慣病だから、体質改善をすれば良くなる。食生活やストレスでガン体質になったためにガンになった。ガン体質を改善しない限り、別の場所にガンができるのは当たり前。事例がいくつも書かれ、中山さんが率いる会の10年間平均生存率は95パーセントです。
こんな現実を知らせされたら同じようにやってみようと思うのはそれこそ当たり前ではないでしょうか?書かれていることを私流にやってみました。①玄米菜食。よく言われる言葉です。2年間は徹底的にやりました。「酵素玄米」を食べます。ネットで調べると出てきますが、玄米・小豆・塩・雑穀米を入れ、焚き、3日間寝かせます。柔らかい玄米ご飯が出来上がり、おいしいです。これを食べることにより、便通がよくなりました。腸の環境が良くなったのでしょうね。現在も食べています。②塩。にらめっこの裏表紙に書かれているコトノハ工房さんの記事をご覧になればよく分かると思いますが、「塩の質こそが大切」です。基本的に、スーパーで高い塩を買えばいいと思っています。安い塩は買わないことです。私は栗國の塩や塩の袋の裏面を読み、製法にこだわっているものを購入しています。昔からの製法で作っているおいしい塩が至る所にあります。旅行先で見つけては買ってきています。③砂糖。砂糖は取らないことが一番。我が家に砂糖はズーとありません。その代わりにハチミツを使っています。岐阜の大野町に小森養蜂場という所があり、そこのハチミツを使っています。甘いものは厳禁です。④カタカナで書かれる食品は極力食べない。パスタ、パン、ラーメン、ビザなどは食べない。⑤胡麻。黒胡麻はご飯の上にかけて食べています。胡麻を食べ続けると甘いものを欲しくなくなるとか?⑥発酵食品。体にいいと言われていますので、納豆・味噌汁は、1日1回は食べる。味噌汁は具だくさんで、芋類、人参、きのこ、海藻を入れ、後は家にある野菜を入れる。味噌汁だけで栄養は十分かもしれません。⑦油。オリーブオイルとえごまオイル・胡麻油を使っています。胡麻油も九鬼の圧搾法を使った油がいいそうです。これはにらめっこさんで教えていただきました。調味料も安い偽物は使わない。昔を惜しむと年寄り扱いされますが、添加物が入っていない老舗と言われる店の調味料を使っています。
いろいろ試してきて分かったことは、昔ながらの食事が、たぶん日本人の体に合った食事だという事です。体に負担のない良い食事なのだと思っています。食事以外に心の持ちようも大切です。自分で考え、自分で勉強し、他人ではなく自分が決定権を持ち治療することです。


vol.216 モザンビークからレポートvol.10

人気スポーツはサッカー

モザンビークに歴史的な日が訪れました!アフリカカップ(CAN…1957年に始まり、1968年からは2年ごとに開催されているアフリカ大陸のサッカー大会) の予選を突破し、来年の本リーグに進出です。日本のサッカー史上で言うところの、ワールドカップ予選を初めて突破した   年の時のような感じでしょうか。モザンビーク3ー2ベナンの大接戦の上での勝利。

試合に誘ってくれたアントニオも大喜び。今回の記事執筆にも協力してくれました。

モザンビークでの人気スポーツ、誰もが口を揃えて、サッカーと答えます。首都近郊にあるスタジアムに全モザンビーク中から4.5万人のファンが集まりました。立見も大勢いるほどの観戦率。観戦料金が100~200メティカイッシュ(200~400円)と、安い食堂のご飯が食べられるくらいの料金設定というのも万人へ観戦機会が開かれています。みんなモザンビークの代表カラーである赤の服を着ていましたが、モザンビークの国旗やオフィシャルグッツを身につけている人はさほど多くありませんでした。常に伝統楽器の太鼓の音が鳴り響き、モザンビークの歌を歌ったり、ところどころ拍手したり、基本的には日本でのサッカー観戦と変わらないのに、ゴールを外した時やミスした時の惜しみ方や、責めたりする感じの一つ一つのリアクションがまるで日常会話のまんまでした。
ベナンチームがゴールを決めた瞬間の静けさと静止具合と言ったら、都合の悪い時に何も答えない日々の習慣が如実に現れているようでした。なんと、モザンビークが得点を重ねたときには掲示板もすぐに加点されるのに、ベナンが加点したときには何分たっても掲示板が変わらない。私にとってはそんなところ面白かったです。
試合は、ベナンが1点入れたところから動き出しました。どっちが勝ってもおかしくない攻防戦でしたが、ベナンの方が常にボール回しができている感じでした。それでも、やはり観客の力でしょうか。残り7分20秒のロスタイムが表示されて、3分くらいたった頃、最後の3点目。心臓バクバクの90分の後、歓喜に溢れかえりました。シャパ(乗合バス)の中でも大盛り上がり。「月曜日は祝日だ!」と大きな声で話す人が何人もいたり、道を歩きながら国旗を掲げてプープーと笛を吹いて練り歩く人もいて、その余韻は夜通し続くんだろうと想像しました。ちなみに、今回ベンチ入りした23人の選抜選手には勝利金として1人70,000メティカイッシュ(14万円)、さらに試合の出場割合によって325,000メティカイッシュ(約70万円)×○○%の賞金が出ました。「首都の平均月給7,500メティカイッシュ(15,000円)とは比べ物にならない額を、選手達は90分の試合で手にしたんだ。」と友人は呟きました。


vol.216 菌ちゃん野菜応援団vol.37

記録的猛暑もようやく山を超えすこーし秋の気配が漂ってきました。畑は秋冬野菜の準備に入っていますがあまりの暑さに苗も萎れ気味。頑張ってー、と声をかけながら水やりをしたり草のおふとんを敷いたりする日々です。

 

前回は、身体の外からくる敵を3つの方法で防いでいますよ、というお話をしました。その働きとは
①物理的にシャットダウンする。
②もともと持ってる自然免疫でやっつける。
③後天的に獲得した獲得免疫でやっつける。の3つ。
身体はそこまでして私達を病から守ろうとしてくれているんです。1つづつ説明していきます。
まず「身体」には「体内」と「体外」があります。
「体内」とは読んで字の如く、体の中のことですが、これは皮膚や粘膜に守られた内側の細胞という意味です。
心臓や肝臓などの臓器があるところや血管や筋肉、骨があるところ。そこを体内といいます。
反対に体外とは皮膚など「外のものと接触出来るところ」。あと、口から肛門までは1つの管で繋がっていて外と接触出来ますから身体の中にあるように見えて実は「体外」というくくりになります、なんとまぁ、びっくりですね!
私たちが住む地球の環境下には、食べ物や飲み物のほかに、たくさんの微生物(菌ちゃん)やウイルス、ホコリ等も存在します。それらを口や鼻から私達は吸収するわけですが、必要なものと必要ではないものを身体は分けて行く必要があります。皮膚や粘膜はそこに付着したものが要るものなら体内に、要らないものなら体外に排出します。つまり①のシャットダウンするとはどういうことかというと、
○皮膚でブロックする。
○身体の中に入ってしまったウイルスやばい菌を物理的に粘液で捉え、くしゃみや鼻水などで体外に排出する。
○腐ったものや体に合わないものを食べたときは吐いたり下痢をしたりして体外に排出する。
文字通り体内に入れないぞ!!!とシャットダウンしている、ということになります。これが防衛の第一関門です。
シャットダウンが行き過ぎて過敏に反応してしまったの
が花粉症やアレルギー反応。防衛がうまくいかず、ウイルスやばい菌などが「体内」に入ってしまって悪さをし始めると、病気になったと言うんですね。
まぁ、基本はこの第一関門でほとんどの不要物が淘汰されますから、私達の免疫力って素晴らしいんです。そして、防衛機能が健やかに働くために必要なのは、皮膚を強くしたり粘膜を強化すること。その働きに大きく寄与するのが微生物。微生物のバランスが整っていれば皮膚も強くなるし粘膜もつよくなる。つまりは難なく防衛に成功するってこと。やはり菌ちゃんは身体にとって大切そうですね!

次回は第2の壁、自然免疫についてお話しますね。

さつまいものツルのきんぴら
葉っぱを落とすだけで皮をむかずに甘辛く炒め煮すると、美味しいおかずの一品に。大人は七味を振って!
作り方は超簡単。
フライパンにごま油を熱して、3センチくらいに切ったツルをバサッといれる。しんなりしたら塩、醤油、好みでみりんで味付けてでき上がり。


vol.216 ここいく日記 はじめの33歩!

 様々な幼稚園、保育園で「いのちの授業」を行っていますが、2年に1度揖斐川町にある森のようちえん「こだぬき」で授業を行っています。今年は保育の活動場所が変更したと聞き、初めての場所に車を走らせます。ナビを頼りに運転していますが、どんどん山道に入っていくので、一体どこへ連れていかれるのかと少々不安。そしてついた場所はとっても素敵な森の中。森の一角にあるコテージで授業をさせていただきました。
なんで、こんな素敵な場所で保育が実践できるのかをお尋ねすると、揖斐川町は、豊かな森林に子どもたちが親しみ、学び、たくましく育って欲しいと考え「森のようちえん」の取り組みを支援しているそうです。そんな町の支援を受け、とても素敵なフィールドで「こだぬき」の日々の保育は実践されていました。
私たちが普段授業にお邪魔している、幼稚園・保育園とはちょっと違う環境の子どもたちとの「いのちの授業」は、あれ?なんだかいつもと違う感覚・・・思いがけず、大切な気づきをいただく授業となりました。
最初の導入は「おへそあるかな」のパネルシアターです。
いつもの通り、楽しく歌いながら、おへそある?ない?のクイズで楽しみます。これは、どの園でも子どもたちが楽しんで参加してくれるプログラムです。クイズの後は、おへそのない生き物は卵で産まれること、おへそのある生き物はお母さんのお腹の中で育ち生まれてくる哺乳類であることのお話をします。
「生まれた赤ちゃんは何を飲んで大きくなるのかな?
毎回、そう問いかけます。すると、即答で「ミルク!」と答えが返ってくることが増えてきました。
「それは牛の乳だよ。人間の乳はなにかな?」
そう問い返します。それでも答えがない時は、「お母さんの?」と、言葉かけをしながら「おっぱい」という答えを引き出していきます。しかし、こだぬきの子どもたちは即答で「おっぱい」と答えてくれました。「おっぱい」という言葉がなかなか出てこない傾向が多い体験を重ねていたので、わぁ~ 凄い・・・と、導入でいきなり感動しました。
私たちは、ミルク派・おっぱい派とか、どっちがいいとか悪いとかではなくて、人間も哺乳類という動物として、ただシンプルにおっぱいが自然なことを伝えたいだけです。おっぱいが出ないお母さんが、ミルクを活用することは何ら問題はありません。こんな簡単なやり取りのなかでも、不自然なことが、当たり前になっている現実を感じました。
最近、人間が動物として生きる力がとても弱くなっていることを日々感じています。エアコンの効く部屋で過ごすことで、汗をかく機会も減り、機械音に囲まれ、自然の音を感じることも苦手な子どもたちが増えています。また病気になるとお薬で熱を下げることが多く、菌と闘う力、自然治癒力も弱まっている気がします。

私たちは、授業で伝えるために、生き物の受精や生まれ方の仕組みを勉強していますが、それぞれの生き物が種の保存のために、様々な仕組みがあることを学べば学ぶほど、生き物って凄いなぁ~と感動します。授業では、お産のお話をしていますが出産に痛みがあることや、時間がかかることは動物として自然なこと。時として医療の力も必要で頼ることを否定はしません。でも、不自然なことに違和感を持ち、思い通りにならないことを、自然なこととして受け入れることが当たり前に感じる人が増えるといいなと思います。
便利になることが悪いとは思いませんが、「こだぬき」の子どもたちと出逢い、思い通りにならない自然の中で毎日を生きていると、動物としての感覚が失われにくいのかなと感じました。

担当:ここいくメンバー 古川 明美でした。
ここいく☎090-3446-8061(中村)

 


vol.216 みんなのひろば

 

 

 

環境・未来・各務原ーPFAS汚染と市政を明らかにする会ー 
代 表:小川 麻実さん
連絡先:kakamigahara.mizu2023@gmail.com

教員である私は、昨年の冬に「環境と子どもの健康を考える」という講義をon-lineで受ける機会がありました。その時にPFASの話を聞いたんです。そしたら今、各務原の水道水が問題となって…私の家、三井水源地エリアなんです!!
いろんなことを知りたいと思った。一緒に勉強できる仲間が欲しくてこの会を立ち上げました。何より子どもたちが口にするのが気になった。というのも、仕事場では子どもたちが水道水をガブガブ飲むんですよ。自宅には浄水器も付けたし、対策もとった。でも、これでいいのか???暑いのに、水を飲むなとも言えなくて…苦痛でした。
学校現場で「がん教育」っていうカリキュラムがあるんです。生活習慣を見直そうという内容で学んでいるのに、水道水に発がん性物質が含まれているかもしれない、ていうか「健康リスクのある水」なんて・・・おかしいと思いませんか?
水はみんなが使い、直接口に入るもの、しかも毎日。発生源を明らかにしないと、対症療法でしかないので、永遠に活性炭を交換し続けることになる。職業柄、血液検査は子どもの検査を優先してほしい。そして経年変化を見て行く必要があると思う。
娘が学童に行っていた時に、突如民営化の話が持ち上がり、あっという間に決まって…他の保護者と話す時間がなかった。長男が1歳の時は、保育所から入所は無理と言われ、実家に頼った。長年の不満が溜まっています。これも全て行政が決めること。政治は私たちの暮らしに直結しています。もっと関心を持たなきゃと思いました。だから市政を身近に感じられるところからスタートしたいと思っています。
夢フォーラムに参加してくれた人と繋がって、水問題も含めて、自分の思いを話せる場所と機会を作りたい。無理なく楽しく活動ができることを目指しています。

 


 

120億円の新総合体育館建設中止を求める会
代 表:高橋 明丈さん
連絡先:aki.takahashi@wh.commufa.jp

大規模体育館建設を必要とする根拠は3つ。 (1)国体、高校総体等大規模な大会がある。(2)興行として成り立つ。 (3)まちおこしの一環として。各務原市 の新総合体育館は 3,000 人以上が観覧で きる規模で根拠は、(3)の “まちおこし” のようです。スポーツ議員連盟が音頭を とったのですが、その理由は、「現在の体育館の収容力が少なく、近隣自治体の施設と比較しても人口規 模に対しては十分でない、エアコンが無い、駐車場が狭い、公式試合が出来ていない」と言うことです。
大規模な体育館を作る場合、全国レベルの競技チームがある かないかで施設の利用目的が達成できるか否かが決まります。例えば沖縄アリーナ、1万人が収容可能で年間10億円の売り上げがあります。それは、実力のある世界的なバスケットチー ムがホームグラウンドとして使っていると言う現状があるからです。しかも今の時代の流れは建物建設で賑わいを期待する時代ではなくなりました。次回アジア大会名古屋は分散型で、水泳競技は東京、ホッケー、サッカーは岐阜で開かれ名古屋では新規の体育館建設はありません。名古屋城構内の体育館の建替えのみです。
新総合体育館建設に120億もの予算をかけて、年に1、2回ほどの大規模大会開催しか期待できません。市は採算を問わないと言っています。即ち、維持管理費を含め負の遺産となり膨大な費用は子どもたちの世代にのしかかって来ます。
建設に予算を使うなら、今問題となっている「飲み水」に予算を使うべきです。それとこれは別?いいえ、財布は一つ ですからね。僕は120億円 かけてでも、新しい水源を探すべきと 考えています。PFAS が含まれた水、問題のある水源に活性炭を通して給水するやり方は中途半端で持続可能ではない。まさしく負の遺産です。PFAS が基準値越えたのは行政の手落ちではないからこそ、口先だけで誤魔化してはいけないんです。数値は日本の基準に甘んじ てはいけない。本来ゼロであるはずだから。

 

 


vol.216  BOOK紹介


『学校バトルを真面目に楽しむ』

著:岡崎 勝

本書には気になるワードがいっぱい。「GIGAスクール構想」「教員の働き方改革」「学校のデジタル化」などなど。「育つ過程で欠くことのできない身体性はデジタル化された学校でどう保証されるのか。回り道や散歩の面白さを味わいながら試行錯誤することが『コスパが悪い』とされるなら、AIの最適化に社会を委ねることは『思考停止』と同じである」。長年、学校現場にいた著者の手厳しい内容には、うなずくことしきり。保護者にも、教師の方にも読んでほしい一冊。

 


『元気で行こう』

著:木田ひと美

バイク乗りなら一度は憧れる海外ツーリング。それは著者の「いいことないかな」のつぶやきから始まった。バイク歴数年で敢行したその気概に大いに触発される。資金、言葉、食、治安などなど幾多の不安も「元気で行こう!」の掛け声で走る!この元気の源は一体…。
読後、寒いなぁ、ガタガタ道は苦手、暑い!急勾配のヘアピンカーブは無理むり〜!なんて言ってられない…。痛快で勇気をもらえる一冊。


vol.216 プレゼントコーナー

216号PRESENTS

プレゼントご希望の方は
ハガキまたはe-mailで、下記のアンケートを
1〜6までご記入の上、編集部・プレゼント係りまでお送りください。

1.あなたが自然の恵みを感じる時は? 温暖化など、異変が多く報じられる昨今。それでもまだ自然界からいただいてるものも多いですね。あなたが感じる自然の恵って何ですか?
2- 気になるにらめっこ紙面での広告
3- 気に入った記事、気に入らない記事の
タイトル1つ・その理由もお書きください。
4- ご希望のプレゼント名 (第1希望・第2希望 を必ずお書きください)
※Aは編集室まで受け取りに来られる方。
5- 本紙をどこで入手されましたか?
6- 氏名、年齢、住所、郵便番号、電話番号、 家族構成

ハガキまたはe-mailで、上記のアンケートを
1〜6までご記入の上、編集部・プレゼント係りまでお送りください。
〆切:2023年11月25日、Bは11月10日
当日消印有効。
宛先 〒504-0855 各務原市蘇原新栄町3-15
e-mail: info@niramekko.com
※お寄せいただいた個人情報は、本紙プレゼントの発送に限り、 使用させていただきます。
※当選の発表は発送をもって代えさせていただきます。


A.ゆりかごカレンダー2024  ゆりかご助産院様より…3名様

分かりやすい月の満ち欠け、月の出入りや満潮干潮の時間なども載って、自然とともに日々を送りたい方へおすすめのカレンダーです。見やすい日付の文字、書き込める余白など、実用性もバッチリ。かわいいゆりかご助産院さんのロゴがアクセント!にらめっこ編集室でお受け取りください。


B.やきものワールド2023招待券  やきものワールド実行委員会様より…ペア3組様

国内最大級の陶磁器イベントが今年もドルフィンズアリーナにやってくる!食卓を楽しくするアイテムが集まる、買えるブースが大集合。同時開催のふるさとご当地グルメ&地酒フェアと、盛りだくさんのイベントに今からワクワクが止まらない!!

11月17日(金)〜23日(木・祝) https://yakimonoworld.jp/

 


C.舞台劇「ギャング・エイジ」ご招待  NPO法人各務原子ども劇場様より…大人1名様

クラスの人気者だったエイジは
突然らんぼう者のレッテルを
貼られてしまう…。

「ぼくはギャングになる!」子どもたちの周りで現実に起こりうるシリアスな問題を、ユーモアや歌やブルースハープの演奏で軽快に前向きに描いています。詳細は下記インフォメーションを参照してくださいね。

<インフォメーション>12月16日(土)18:00-「ギャング・エイジ」各務原市産業文化センターあすかホール ※劇団風の子中部による主に小学生親子向き舞台劇。大人2300円(当日2800円)子ども1500円(当日2000円)問合せ申込み:各務原子ども劇場☎058-370-5893(月水金10時~16時)

 


D. CINEX映画招待券  CINEX様より…ペア3組様

事実は小説より奇なり。実話を映画化した作品に出会うことで、私たちは様々な事実に出会うことができます。そして、多くのことをそこから学べます。写真は「ロスト・キング 500年越しの運命」の一場面。柳ヶ瀬のCINEXでご利用いただけます。


vol.215 自然とつながる私たちの健康

 

前号は「スマホは脳に猛毒!?」なんていうちょっとドキッとするタイトルで特集しましたが、今回はその続き、となります。
にらめっこ174号(2016年11&12月号に「自然、足りてますか?」というタイトルで特集を組み「自然欠乏症候群」について掲載しました。
やる気起きない、不安になる、いらいらする、落ち込む、憂鬱になる、何をやっても楽しくない、体がだるい、重苦しい、辛い、眠れない、熟睡できない。気力や体力が追いつかない感覚。こんな不調を感じている人結構多いですよね。これらの症状が「自然の欠乏」からきているのではというのが今回の話です。

1.「健康」と「病気ではない」は違う

「健康」=「病気でない」「弱っていない」ということではなく、例え病気でなくても健康ということにはなりません。どこも悪くないのに、なぜか心も体も不調な状態は健康とは言えないですね。

2. 自然欠乏症とは自然不足が原因で出る症状

英語では「自然欠乏症候群」をNature Deficit Disorderと表現します。Natureは自然、Deficitは欠損や赤字、Disorderは障害です。
「自然欠乏症」とは
2005年リチャード・ループという著述家が「あなたの子どもには自然が足りない」という本で提唱した自然欠乏症という概念があります。昔の子どもたちは川で遊ぶ、野原で遊ぶなど外で遊ぶことが通常でした。しかし現代外で遊ぶ子どもはまれ。子どもたちは、家の中に閉じこもりテレビやゲーム、Youtubeに夢中で、自然から遠ざかった生活しています。この自然から遠ざかる環境や生活が子供の心と体に影響を与えているというものです。
〜 自然欠乏症候群の症状 〜
☆集中力がない。一つのことに集中できない
☆他人に対する気遣いができず、友達とうまく遊べない
☆落ち着きがなく、じっとしていられない
☆忍耐力がなく、かんしゃくを起こす

これは子どもだけの話ではなく、都会に住む大人の心や体にも影響を与えます。「最高の体調」に載っていたワシントン州のボブ・ムーアヘッド牧師の文章ともとても関連しているように感じます。

3. 現代人の不調 – 人間は自然から遠ざかるほど、病気に近づく

現代医学の父と呼ばれるヒポクラテスは、自然から離れるほど健康から遠ざかり、やがては病気になってしまうことを指摘したそうです。近代化が進み、テクノロジーが発展し、化学物質に囲まれる環境で暮らす都会人は、明らかに「自然」から遠ざかっています。自然から遠ざかることで、五感が鈍化し、注意力が散漫になり、脳の疲労を招いている可能性があります。
便利な環境に身を置き不便や不足を感じることはほとんどなく生活している。でも何か「足りない」と感じる感覚ありますよね。今ガーデニング、キャンプ、アウトドア、つり、山登りやトレランなど自然に触れる趣味が注目を浴びているのは、この何か物足りない感覚を埋めているのかもしれません。人の「自然に触れたい」という本能なんです。

4. バイオフィリア – 人は本能的に自然と のつながりをもとめている

バイオフィリアとは、生命や生き物や自然を表す「バイオ」と、愛好や趣味を表す「フィリア」を組み合わせた造語で「人は本能的に自然とのつながりをもとめている」という概念。人間は自然の中で進化し、自然に囲まれている時が一番くつろげる。自然は人にとって五感をフルに活動させることができる唯一の場所であると。その自然から離れると総合失調症、不安障害、気分障害を発症しやすいそうです。うつの代表的な症状である「体がだるい」「気力が湧かない」「眠れない」も自然欠乏症からきている可能性も考えられるそうです。

5. 自然欠乏症を防ぐには日々の意識が大切

「自然欠乏症のチェックリスト」
★日の出と日没を意識して生活している
★木材など自然素材の住宅に住んでいる
★静寂さや、自然の音などを感じやすい場所で活動している
★自然の香りを実感しやすい環境で活動している
★綿や麻、絹など自然素材の衣類をきていることが多い
★携帯電話やパソコンに接することが少ない
★長時間の自動車運転や電車通勤(通学)をしていない
★主に自然食を摂取し化学薬品は摂取していない
★飲料物は自然水や有機栽培などでつくられたものである
★電気毛布や電子レンジなど、電気製品は用いていない
★日常的に森林浴、日光浴などしている
★化学薬品を塗布または吸収していない
※このリストは、「何個チェックがついたら重度」と判定するのではなく、自然欠乏症候群にならないためには、どう暮らせば良いかを知るための手段としてください。

自然欠乏症を招くような生活。例えば、自然に触れる機会の減少、科学物資に囲まれた生活、自然のリズムを無視した夜型の生活を少しでも見直し、自然に触れる機会を意識的に作る、化学調味料を避ける、早寝早起きして太陽を浴びる生活をするでも変化させることができます。そうすれば、私たちが持っている自然治癒力が本来の力を取り戻すかもしれません。

6. 1ヶ月に5時間自然に触れる習慣を持つ

ストレス回復度では「気持ちが落ち着いている」「日々の仕事に熱意と意欲を持てている」「集中できている」など、活力度では「生き生きと活力に満ちている」、創造性では「新たなアイデアがいくつも浮かんだ」などの効果です。
1回30分程度を週2回、近所の公園や自然のある場所で過ごせば月に5時間になります。1ヶ月に1回海や山を訪れ自然の中で5時間過ごす選択もできます。5時間は最低ラインで10時間過ごせば更に効果が上がります。5時間を目安に自分に合った自然と触れ合うプランを作るのも良いですよね。

自分のためのMY RETREATを計画してみよう。
例えば、朝日を浴びること、平日公園に立ち寄ること、
休日に自分の好きな自然の場所を訪れること、
なんでも良いので自然とのつながりを生活に
取り入れてみませんか?

 

BE HERE NOWより

 

 


vol.215 ダムから川へつなぐ意味

「総貯水容量で日本最大の徳山ダムの水を、トンネルの導水路で約43キロメートル先の木曽川まで延々と流そうという計画である。愛知県・岐阜県・三重県を流れる木曽川・長良川・揖斐川は木曽川水系と呼ばれ、一体として水資源開発が行なわれてきた。だが水需要の減少と、長良川河口堰や徳山ダムなどの建設により、この地域は完全な水余り状態なのだ。そのため、この導水路建設は2009年から休眠状態だった。しかもその14年前に、導水路事業からの撤退を表明し、凍結へと追い込んだのは河村市長本人だった。」と語るのは、フォトジャーナリストの伊藤孝司さん。

 私が岐阜に移り住んで間もない頃、バイク(50cc)で岐阜市内の高島屋の前を走っていた時、路面電車(今は撤去された)のレールでスリップして転倒。しかも路面電車の真ん前で。多数の視線を感じながらバイクを起こし、とぼとぼ歩いて自宅へ帰る途中の金華橋で足がとまった。西の空の夕日と川面に映る夕日が、私のしょぼくれた心に直球で飛び込んできたのです。「なんてきれいな景色。なんて美しい川面。これが長良川。この美しい川を私は忘れない」と、胸に刻んだのでした。
それから間もなく、長良川河口堰建設の話が再浮上(1959年に河口堰計画が作られた)。1988年、天野礼子氏が、長良川河口堰建設の反対を始めた。本能的・直感的に私は反対運動に飛び込んだ。私の原風景である長良川を守りたい一心だった。「長良川ネットワーク」というA3二つ折りの情報紙の編集を担当。しかし、1995年に、河口堰運用が始まってしまった…。
 反対運動は熱を帯び、長良川DAYという全国規模のイベントで毎年多くの人と交流し、賛同を得たかに見えた。折しも政権は社会党が覇者となり、村山政権となった。これで完成された河口堰も閉めることはないだろうと皆が思っていた。だが1995年7月6日、当時の建設大臣の命で閉門された。その日大雨の中、私たちは河口堰を閉門させまいとゴムボートに乗って抗議をしていた。すると水資源開発機構の人から「ここは危険ですから立ち退いてください」と言われ、「この堰は安全じゃないのか」という応酬も徒労に終わり無念を胸にボートを降りた。この運動は「公共事業の見直し」を成果とし、今は「河口堰開門」に向けて運動は続いている。

「長良川河口堰は、工業用水の水源確保を最大の目的に建設された施設ですが、未だ一滴の水も工業用水に使われていません。使われているのは僅か16%で水道水として使われていますが、住民からは「まずい!元の水源に戻してほしい」と声が上がっています。海と川を分断した河口堰の下流側には約2mのヘドロ層が堆積し、日本でも有数のシジミ漁は大きなダメージを受けました。堰き止められた上流側は、潮の干満がなくなり、水面は上がったままとなりました。長良川下流域生物相調査団の報告書によると、広大なヨシ原は水没し90%が消滅。そこに生息していたオオヨシキリは1/4程度に減少し、多くの生き物の棲みかがなくなりました。」と長良川市民学習会 武藤 仁さん。

武藤さんが事務局長を務める、長良川の環境改善を目指す市民団体などでつくる「よみがえれ長良川実行委員会」による 討論集会「長良川に徳山ダムの水はいらない」が2023年6月11日、長良川国際会議場で開かれたので即駆けつけた。

基調講演で岐阜大学教授・向井貴彦氏。「清流・長良川のためには何が必要なのか?」がテーマ。以下概要。

揖斐川・長良川・木曽川の自然は同じなのか?
木曽三川は、揖斐川・長良川・木曽川。濃尾平野を流れる下流域はかつて網目状につながっていたことから、一つの水系として考えられがち。行政的にも「木曽川水系」としてまとめられている。木曽三川は地質的にも岐阜県東部の木曽川水系(飛騨川含む)と西部の揖斐川・長良川は異なっている。木曽川は渓谷が発達し、多数のダムが建設されてきた。長良川は、両岸が開けておりダム建設には不向き。

木曽川水系連絡導水路は「環境」をよくするのか?
この導水路事業は、長良川と木曽川の渇水時に徳山ダムに貯留された水を導水して環境を維持するためとしている。遺伝的に異なる魚類などが混ざると遺伝的撹乱と呼ばれる自然破壊となる。そうなれば生物多様性の保全という観点から明確にマイナス。予防原則的には水系間での生物の移動を生じさせることはしないでほしい。特に外来種は繁殖力が強い。揖斐川ではコクチバスがものすごい勢いで繁殖していて、鮎が危ない。導水路で徳山ダムの水を利用するというのは、水質的にはNGです。最大の懸念は徳山ダムで毎年生じる淡水赤潮、アオコ。特に、長良川や木曽川が渇水となるような場合に、徳山ダム湖のアオコがどうなるかは大きく懸念される。

様々な長良川の環境問題として

「現在、世界的には『30by30』という目標が掲げられている。30by30(サーティ・バイ・サーティ)とは、2030年までに陸・海それぞれ30%以上の面積を健全な生態系として効果的に保全しようというもの。これは、効果的に自然の劣化を防ぐには、まずは自然が適切に保全されている場所を一定面積以上、維持することが必要だという考え方に基づいています。
長良川河口堰は、堰を解放すれば自然環境への問題は解決する。それに対して、揖斐川や木曽川のダムは恒久的な構造として建設されており、河口堰の解放のようにはいかない。清流・長良川は、様々な事業で自然を失いつつあるが、木曽三川の中では最も回復できるポテンシャルがある。
こうした状況において、自然環境を劣化させる事業をさらに積み上げるのか、30by30を目標とする時代において自然環境を回復させる方向に舵を切るのか。世界に誇れる清流長良川へと蘇らせてほしいと願わずにいられない。」と結んだ。

私が住む市では、既存の体育館が「大規模のスポーツ大会ができない」、「駐車場に限界がある」などの理由で、こともあろうか湿地帯(農地)に新総合体育館を建設しようとしている。その湿地帯には、新丸山ダム建設時に出る残土を充てがうという。さらに特別支援学校が新設される。市庁舎も完成に向け工事真っ只中。(業務は新庁舎で行われている。残すは駐車場だ)巨大公共事業は巨大な金が動く。全て税金だ。この負の遺産を次世代につないでしまうことになる。そんな「つながり」は責任ある大人たちが断ち切らなければ。
 木曽川水系連絡導水路事業も巨大な税金が使われる。6月11日の討論集会には約100人が参加(主催者発表)。・声を上げること・ムーブメントを起こすこと・事実を知ること。この3つはとても重要なこと。人任せにせず自ら発信者になること。この討論会に参加して改めて思いました。

 


vol.215 水道水にPFAS?有機フッ素?

 各務原の水(かかみがはらの水)の源は、木曽川の水でも池の水でもなく、地下40mの深層からくみ上げた「100%地下深層水」水脈である地下の帯水層は豊かな水量に恵まれ、地下水は、東から西へ1日に約1mの速さで、常に流れ続けています。地下水がよどみなく流れる帯水層は、まさに「地下の川」なのです。 ●地下水はミネラルの宝庫 各務原台地は、350万年前から形成されてきたミネラル豊富な何層もの地層から成り立っています。雨水などが、この地層を浸透する過程で少しづつ磨かれ、ミネラルたっぷりの「かかみがはらの水」となっていきます。鏡水産HPより(各務原市鵜沼朝日町)

そんな地下水にびっくりするニュースが・・・

各務原市に移り住んで30数年経ちます。各務原市は地下水を汲み上げているので水はおいしいと定評がありました。実は以前住んでいた愛知県半田市も水には定評がありました。しかし、長良川河口堰建設のあおりを受け、取水が愛知用水から河口堰に変わって、味が激変し、多くの家庭が浄水器を取り付けたとのこと。実家に帰ると水道水のまずいこと!塩素臭が半端ない!沸騰させて塩素を抜くか、(水道水の塩素は熱に弱いため、煮沸によって除去することができる。ただし、その場合は沸騰してから「さらに15分以上」沸騰し続けることが大切。なぜなら、水道水には消毒処理の過程で発がん性があるとされる「トリハロメタン」が含まれている場合があり、水道水を沸騰させることでその量は2〜3倍に増え、沸騰直後には最もその濃度が濃くなるから。水道水が沸騰してからさらに15分ほど沸騰し続ければ、ピークを超え水分中のトリハロメタンを除去することができる。なお、気化したトリハロメタンを空中に逃がすため、やかんのフタは開けたままにしておくことが重要)それか、溜めて一晩くらい置いて塩素抜きをしないと使えなかった。(み)

そもそもPFAS PFOSって何?
PFASとは、人工的に作られた有機フッ素化合物の総称です。種類は4,700以上といわれています。水や油をはじく効果があり、熱にも強いことから半導体や包装紙、防水服など身近な製品に使われ私たちの暮らしを支えています。ただ、一部は分解されにくく、体に蓄積されるため、人への有害性が指摘されるものもあります。現在、こちらの3つの化学物質が国際条約で製造・使用禁止となっています。環境省が、これらの物質について調べたところ、西日本から東日本に及ぶ各地の河川や地下水から国の値を超える場所が次々と見つかり、その地点は139に上っています。一体何が起きているのか。各務原市もその一つだった。

2009年以降、国際条約でPFOSなどは規制対象になり、日本でも原則として新たに製造・使用はされなくなりました。
「永遠の化学物質」と呼ばれるほど分解しにくい性質があり、過去に環境中に出てしまったものも長く土壌や地下水の中に残り続け、全国各地で高濃度のPFASが検出されています。

各務原市の対応
各務原市民への説明について
・まずは全力で、浄化作業。市職員にも限界があるので、各地域での説明会は考えていない。
・有機フッ素化合物(PFOS A)の面的広がりを調査するため、市内全域に設けた 95箇所の水質観測井戸の水質調査を行う。

・対象となった水源地の配水区域にある市内の市内の保育所、幼稚園、小・中・特別支援学校等の一部の給水栓に浄水器を設置する。設置予定時期/8月21日〜25日に順次設置する予定
(8月8日市議会議員宛書面より抜粋)

・市民説明会は職員の人出が足らないので考えてはいない。
・血液検査をしても原因が特定できないので行わない。
(各務原市議会 全員協議会)

今後の対策について
・令和4年9月から令和5年2月にかけ基本構想策定
・令和5年5月から基本計画実施
・活性炭による除去対策決定。
沖縄で高い実績。8月~実証実験。効果確認次第、早急 に本格稼働。12月までに浄化目指す
・三井水源地に除去施設をつくる。

R2年になぜ公表しなかったのか
令和2年の時点では、水質検査は任意であり、水質は急激に悪化するものではないという認識でいた。令和4年4月19日の検査結果を、22日に報告を受け、副市長が浅野市長に報告。
市長の判断:水の浄化が第一、原因究明に努める指示。市民の公表の考えなし。

唐突に判明するより、対策を練ったと同時に発表した方が市民に不安を与えないと判断したと説明。


vol.215 ぎむきょールーム 「外遊び」が子どもにとって大切な10の理由

1. 太陽光を浴びられるから!

太陽光は子どもの健康的な成長を促す上でとても重要です。人の体は太陽光、その中でも特に紫外線を浴びることによって、体内のビタミンDの生成がされます。このビタミンD、私たちが健康的な生活をする上でびっくりする程沢山の手助けをしてくれてます。骨の成長、免疫力の向上、感情のコントロール、しっかりとした睡眠… 子どもたちは風邪をひきにくくなり、肺などの臓器も強化され、体力がぐーんとアップ!

 

2.遊びの中で工夫が生まれる

子どもたちは大人の制限のない「外遊び」という小さな社会の中で、自分たちの遊びを作ったり、問題を解決したりして行くプロセスの中で管理能力を身に付けることが出来ます!これらのスキルは元から子どもたちが持っているものではなく、経験や練習を積むことで徐々に発達していくものなのです。

 

3.学ぶきっかけがいっぱい

例えば、「木を登る」という行為をとって見てください。木を掴んだ時の感触や、落ちた時の痛さ、登って行った時にだけ見える最高の景色、そしてそこで出会う今まで見たことのない虫たち…「危ないからダメ」の一言は、子どもたちがこれら全てのことを学ぶチャンスを奪ってしまうのです。

 

4.協調・共同性が身につく

外遊びの大きな魅力の一つは大人数で遊ぶこと。鬼ごっこやかくれんぼ、缶蹴りや陣地取り….子どもたちは友達とこのような外遊びをすることを通して “ルール” の概念を学んでいきます。人の意見を聴く力、自分の意見を口にする力…沢山のことを教えてくれる場でもあります!

 

5. 想像力・発想力が豊かになる

外の自然の中には五感で感じられる不思議なものがたーくさん。子どもにとっては様々な想像を掻き立てるワクワクする出会いとの連続です!これらの自然との出会いから、子どもたちは自分の道具を作ったり、ごっこ遊びをしたり、壮大なお話を考えついたりします。昔から愛されている小説「赤毛のアン」の主人公であるアンも、雄大な自然に囲まれて想像の翼を広げていきましたよね!
外遊びは室内にいるだけでは活性化されない脳の一部を刺激し、子どもたちの想像力や発想力を豊かにしていってくれるのです。

 

6.自然への興味が生まれる

雪の上を歩くとどのような感触がしてどのような音がするのか?植物はどうやって成長するのか?土を触るとなんで暖かいのか?どうやってちょうちょうは飛び方を覚えるのか?外で遊んで、自然に触れていると、子どもたちには様々な疑問が浮かんできます。そして自然の世界は、子どもたちがその動きや変換を観察することでしっかりと疑問に答えてくれます。

 

7.開放感から集中力が高まる

外遊びは子どもの集中力を高める効果があることでも知られています。自然は子どもたちが自然の時間の流れに沿って物事を観察するスペースを与えてくれるため、子どもたちは自分たちが疑問に思ったことに真っ直ぐに集中する事ができます。外の自然環境は子どもたちの日頃の生活からの逃避場所としての役目を果たすことによって、彼らのストレス軽減に大きく役立っているんだとか。
こんなにメリットが一杯だなんて、やっぱり自然は偉大ですね!

 

8. 自分自身への理解が深まる

ブランコをどれくらい高く漕げるか。どれくらいの高さまで木を登れるか。砂の上で転げ回るのはどんな感触なのか。このような体験を通して、子どもたちは自分の限界を試していくことで、自らの身体的・精神的な能力を認知できるようになります。自分の身体の限界は試してみないと分からないし、何かが出来た時・出来なかった時の悔しさや喜びや痛みの感情は経験してみないと子どもたちは学べません。

 

9. エネルギーの発散に役立つ

アメリカの教育現場では、子どもたちは体を動かさない勉強などのアクティビティに長時間専念していると、身体の中に発散しなければならないエネルギーが溜まっていくという考え方がよくされているようです。このように子どもたちの身体の中に蓄積されたエネルギーは外遊びを通して健康的に放出出来るんです。例えて言うならば、机に向かって使い切っちゃった電池を、外で遊ぶことでリチャージするというイメージ!外で十分遊んで身体の充電を終えた子どもたちは、また勉強などに集中して取り組む準備が出来ます。

 

10. 夜、ぐっすりと眠れる

外遊びはそんなお子さんたちの規則正しい睡眠を促すのにも一役買ってくれるんです!
これは、外遊びをすることによって生成が促されるメラトニンというホルモンに深く関係しています。人の身体は、日中に日の光を浴びると夜中にメラトニンが作られるようになっており、それが分泌されることによって眠気が誘発されます。このメラトニンは自律神経を整える役割も果たしてくれており、しっかりとした生活リズムを刻む上で大変重要な役割を果たしてくれるんです!

piyground hope より


vol.215 しょうがいをみつめる vol.8

磁 足
世の中には垂直に立った“モノ”は目に見える範囲で無数に立っている。家の中では壁や建物そのもの。一歩外に出てみれば建物だけではなく標識、看板などありとあらゆる“モノ”が垂直方向に向かって施されている。小さいものだと縁石や車止めは低いけれども壁を形成している。

そんな垂直に立って平面を遮断するあらゆる壁たちが磁気のようなものを発していて、歩いていると足がそれにくっついてどうしても離れないということがあるだろうか?

長男は歩き出しのタイミングで壁などに足の側面を当てながら進む。家の中であれば壁に足をドン、ドンと当てながらその通りの幅を確かめるように進む。スーパーの駐車場に車を停めた時などは、隣の車のタイヤに足の側面を当てたりするので、“させないように”ヒヤヒヤしながら進んだものだ。

時にはその壁面に足が磁石のようにくっついてしまうようで、どれだけ彼の手や身体を引いてもその足は一定時間を経過するまで離れない。自分の意思で離さないようにしているという見方が“常識”ではあると思うのだが、本人の少し困ったような表情や私たちに引っ張られて身体が前のめりになっても、大股で股が裂けそうになっていても、くっついた彼の片足は離れてくれないように見えた。

行動に障がいがあるというチンケな言葉で簡単に隅に追いやられる彼らの見せる“非常識”は、私たちの持っている“常識”というものをいとも簡単に揺さぶってくる。揺さぶられてもなお、自分の“常識内”で理解しようとしてしまう自分はよく出没した。時折り自分の常識を揺さぶってくれる長男の存在は、私自身が自分の“常識”という檻の中で生きて窮屈にしているんだなと感じさせてくれた。しかし、人はまた自分の居心地の良い檻の中に戻っていく。そんなことを繰り返し感じていくのが生きていくということなのかもしれない。

ほんの些細な「足が壁にくっついてしまう」という彼の日常は、彼にとっては常識的で窮屈なことだったのかもしれない。だって、足が壁にくっついて離れないのだから。

常識、非常識で分けて見ているから私たちの目に留まりやすい行為であって、全ての人は何かにこだわったり、ついついしちゃうことに困ったり、やめようとしたり、ワクワクしたりもしながら生きている。見えないように隠しながら、折り合いをつけながら。それが人の営みのようにも感じる。人々をあえて混ぜることもなく、共に居させることでもなく、意識せずに違いが「在る」ということを確認し合えば、自分たちが閉じこもっている“常識”という檻の隙間は広くなって、もっと出入りしやすくなるような気がする。

呼吸など自然に委ねていることから始まり、何でもない動きや情動であっても、ひとつひとつが生きているということ、「表現」と呼ばれるものだろうと思う。たまたま絵に描いたら“アート”と呼ばれる表現のひとつとなるのだろうが、「足が壁にくっついてしまう」のも「彼が生きていてこそ」であって、それは彼の紛れもない「表現」であった。

常識や非常識という区別を無意識的にしている自分を見出すことができれば、世の中は混ぜなくとも既に渾沌としており、それはバランスよく個々の「表現」という形をとりながら調和していくような気がしている。

※渾沌=荘子によると、物事の区別がなく人の手が加えられていない未分化な状態で、無為自然のことを意味している。


MASA:若者をはじめ、障がい者も一緒になって、ごちゃまぜイノベーションを目指している。知的障がいのある息子は享年24歳で2021年2月27日に旅立った。関市在住。


vol.215 やってみた 小栗 秀子さん

やってみたシリーズ第18弾 木版画
イメージが湧いてくる、その瞬間が好き!
小栗 秀子さん(70代)

小学校の時、授業で木版画があって、江ノ島(行ったこともないのに)をなんかで見て、それを題材に版画を作ったんです。それが校内に張り出されて…がきっかけかな?とにかく図画工作の授業が面白くて、その時間がもう楽しくって。それと中学の時、美術の先生に褒められたのも大きかったかなぁ。そんな記憶が社会人になってから呼び覚まされたって感じかな。
働き始めた会社では山岳部に所属しましたが、そこにいたTさんに、「美術部もあるよ」と誘われて両方に所属。スケッチ旅行とかしてました。
退社後、街で偶然Tさんに出会って、近況報告。 岩田覚太郎先生(風景や動植物を、自然な親しみ易い画風で表現した木版画家・1902-1999)の弟子であるTさんと、覚太郎先生が主宰されていた淡虹会の版画展を観に行きました。それを見たら自分もやりたい!と思ったんです。それからTさんのところに通って木版画を始めたら、版画の持つ世界観に魅了されてしまいました。

木版画
まずデザインを考えます。題材はふと思いつくことがほとんど。彫るのが一番大変で、まさに体力勝負です。版木に版分け(色分け)して彫るんですが、イメージを常に思い浮かべて彫り分けないといけなくて頭がくらっとしてくるの。でも面白い!この作業はほんと脳トレになりますね。
木版画の工程で「彫り」はいつでも休憩できるけど、「刷り」は途中でやめられません。絵の具を多めに作ってそれを使い切らないとね。途中で足らなくなって絵の具を足すと色が変わっちゃうし。後からもう一枚刷りたいと思っても、それはできないの。もちろんバレンで刷るんだけど、見当合わせに苦労するし、面積が広いと大変。だから1枚か2枚くらいしか刷れないんです。
江戸木版画は、「絵師」「彫師」「摺師」と分業ですが、私は一人でやるしかない。まず、イメージ画を書いて、どういう版画にしようか下絵を描きます。一旦分解して色分けを考えながら彫る。版別に着色して刷る。がんばって刷って2〜3枚かな。最初から最後まで一人でやらないといけないから、やっぱしんどいね。しんどいけど楽しい。
油絵をやっていた時より大変だけど楽しいですね。何が楽しいかって?だんだんと積み重ねていくところかな。それと油絵は描いたら終わり。でも1点もので世界に一枚しかない。だけど、修正は可能。一方版画は何枚も刷れるイメージがあるけど、私の場合は2〜3枚が限界。それでも、一枚一枚風合いが違うので、やっぱり1点ものといっていいのかもね。木版画は、体力と視力が必要だとつくづく思いますね。
3年前に「ワルツ」を町民展に出した時、観てくれた人から「色がいいね」と言われました。Tさんから色彩感覚を学んだことで色の使い方が変わってきた。初期の作品と色使いが全く違うことに、自分でも驚いています。

シルクスクリーン
この作品は「マーシーストリート」(ハービー・ハンコック)っていう曲を聴きながらイメージを膨らませてデザインした4色刷りです。シルクは木版に比べ刷りが楽ですね。配色を変えたり、紙を変えたりできるところも面白い。何枚も印刷できるから、クリスマスカードや年賀状を作っていました。このてんとう虫は私のお気に入りの一枚です。


vol.215 人生これから ここが知りたい認知症のこと&藍染め体験会

家族が気づく初期症状
・ 同じことを何回も行ったり聞いたりする
・ 料理など家事の手順がわからなくなる
・ 料理の途中で別の事が気になり今やって  いることを忘れる
・ 時間、日時、場所がわからなくなる
・ 物の名前が出てこない
・ 薬の管理ができなくなる
・ 物事の関心や興味がなくなる
・ 水道やガス戦の閉め忘れが多くなる
・ テレビや新聞などの内容が理解できない
発病の要因(喪失体験が誘因になる)
・ 子どもの独立
・ 退職した
・ 配偶者や知人が死亡して寂しい
・ 嫌な事があった
・ あてにされなくなった
・ 寂しくて頭を使わなくなった
        当日の資料より

参加者の感想

・明日は我が身?みじかな人が心配、夫が認知になったら…「備えあれば憂なし」の気構えで参加しました。
・本を買って勉強したんだけど内容はハード面(お金の問題とか、後見人制度とか)今日は実例をたくさん聞く事ができてとても参考になりました。
・ 義母を施設に入れたくなくて私がみています。「財布を盗られた!」と何度警察を呼びつけたことか。犯人は息子(私の夫)と決めつけるんですね。でも、私の友人たちが「あなたはすごいよ、よくやってる」「あなたの心意気に感激」とか褒めてくれるので、続いているかな。
・ 知人のご夫妻について。奥様が認知症になり、ご主人が介護をされていますが、共倒れにならないか心配。デイサービスなどを利用されたら?と提案しても「今まで本当によくやってくれたから俺がみる」ときっぱり。でも、疲弊しているのは明らかで…。今日はみなさんにいろんなご意見をいただき参考になりました。
・食べ物がとっても大事だということを再認識しています。直接の要因ではなくても、できるだけ薬に頼らない生活をするにはやはり食べ物から。魚や野菜、大豆製品、海藻などを使う和食(いわゆる伝統食)がいいと思う。

最後に認知症予防ゲームをやってみました。
右手と左手は一つづつずらしてカウント。


 藍染めの体験会は、初めての人ばかり。説明書を読みながら、あーでもない、こーでもないとなんとか原液を作る。ぶくぶくしてくるはずだよね、と待つ間に、模様作り。絞ったり、板を挟んだり、輪ゴムや糸でおしゃべりしながら絞り染めに。模様は乾いてから解きほぐす。だんだんわかってくると、いろんなアイデアが出始める。
右下の写真は畳一枚ぶんはある布。テーブルクロスにどお?色といい模様といいなかなかグッド!模様をイメージしてたわけではないけど、偶然の模様が面白い!そして色もちょうどいい。原液が元気なうちは色濃く染まり、Tシャツ15枚、という能書きを無視して、あれもこれも染めたくなって、シーツを染めてみた。原液のキャパオーバーになるとだんだん薄くなっていく。それもまた良し。手袋してたけど、みんなの手は真っ青に!

 


vol.215 熱中人 円通寺住職 岡田 英賢さん

 

 

 

 

たった一つのルールは「ひとりにしない」こと。
誰かといっしょは、ご飯がおいしいからね。
今日は誰と食べる?

円通寺 住職・岡田 英賢さん

居場所としての子ども食堂
例えばおかあさんが仕事していて子どもさんが帰ると、一人だけ、という家庭があったりとか、私はそう状況を分かったりする立場にあったので、「じゃ、ここにおいでよ、晩ご飯食べていく?」となって…。それがいわゆる子ども食堂の始まりかな。週に2回、火曜日と木曜日。毎回20から30人ほどのお子さんがきます。子ども食堂は貧困をイメージしがちですが、貧困だけではない。一番気になるのは孤食です。一人じゃないよっていうのを伝えたい。
坐禅の時に、呼吸を意識してねっていうんです。吐き切らないと吸えないから最後まで吐き切って、それから吸う。普段の呼吸ってあまり意識しないですよね。空気も水も大事。それらが「ある」前提で暮らしています。当たり前すぎて意識しないという側面があります。人との繋がりもそうなんですよね。

友心庵
心を通わせる場所。ここは「ひとりぼっちを作らない」というルールがあります。30人くらい定期的に来る子たちがいますので、大量生産できるキッチンを整備しました。
和尚さんが作ったカレーをちょっと味見してよと、そんな雰囲気。受け皿というか、本当に困っている人のサポートになればいいかなと。ゼロ円カレーをやるためにここを作ったようなもの。一昨日もここで高山ラーメンを80食くらい作りました。

子どもの頃の記憶
例えば今の10歳の子が、20年もすると30歳になる。もしかすると自分の子どもがいて、その子に、小学校の時にお寺で勉強してね、と話すかもしれない。だから目いっぱい楽しいことを経験して欲しい。

大人の本気
大人も本気でないと。私はここでラーメン作ります。実は子ども達の間では、和尚さんのラーメン世界一だといって楽しみにしているんです。それは大人の意地ではなく本気なんです。大人の本気は一番伝わりますよね。
ダメなことは目いっぱい怒ります。それは、相手を傷つけることとか、人を馬鹿にしたりとか、無意識のうちに傷つけてしまうこと。悲しんだり一人ぽっちになった人を出した時は連帯責任です。ということは、傍観者になるなってことです。大人でも同じですよ、見て見ぬ振りとかね。それもダメだよって。
病気した時に健康のありがたさがわかるように、ピンチになった時に、周りに誰もいないっていうのがいちばんきついんじゃないかと思うんです。ピンチになったら、必ず誰かが助けてくれる。だから、傍観者ではいけないんです。それがいちばんそれが大事なことのような気がしています。
マザーテレサさんが「『愛』という言葉の反対の言葉って何?『無関心』て言いました。もっとね、いろんなことに関心を持ってということなんですね。

幸せって、なんですか?
先日、車いすのダンスチームの舞台を見に行ったんです。いろんなグループで小学生から大人の方までが曲に合わせて踊ります。車椅子を押しているお母さんも笑いながら、本人も声だして笑いながら、発表するというか。みんなとってもいい笑顔なんだよね。団体の代表の方が、「練習で集まる時は、嫌なことがあっても、残した問題がそのままであっても、『笑顔』でいようねって言うんです。そして、笑顔でいること、それを積み重ねることで、幸せになるんですよね」って。本当にそう思います。
宗教の根っこの部分はね、みんなが「しあわせだな」って思えることじゃないですか。

フードバンク物流センターには、あらゆる企業や個人から食品の寄付がある。それを丁寧に仕分けし冷蔵保管する。7月29日に開催された「フードドライブ」では、高校生が「こめっこカフェ」を開催したり、寄付をされた方にかき氷をプレゼントしたりと、大にぎわいの1日となりました。(円通寺・関市小屋名)

共感を得ること
もう一軒のお寺・観修寺の管理が難しくなり、ご本尊様とお墓を移築をして、解体する話に。近隣の方に迷惑かけてもいけないので、まず綺麗にすることから始めた。それが6〜7年前。コツコツやっているうちに、「和尚さん、なにやってるの?」って声をかけられ、一人二人と手伝っていただける方が増えてきて、みんなで片付けをするようになりました。
自ら汗をながしてやっているところに人が来て、人と人が繋がって、だんだんと大きくなっていきます。我々は知らないだけで、人は皆いろんな悩みや問題を抱えている。それは誰でもあるので、もっともっと人が関われるような場所を作っていきたいというか。それが今のいちょう庵。いろんな人の受け皿になることができればいいなと思って。
ここを頼ってくれる人がいたりとか、そういう人たちがいることで、この建物自体の価値が出るんですね。


vol.215 夢か悪夢かリニアが通る!vol.44

 リニア中央新幹線の工事実施計画の認可取り消しを求め、沿線住民らが国を相手取り7年前の2016年5月に起こした行政訴訟「ストップ・リニア!訴訟」の判決が7月18日、言い渡されました。連休明けのこの日、東京地裁入り口にあるX線手荷物検査機が故障するトラブルが発生し、係員が手荷物を一つ一つ確認。東京都心で最高気温が37.5度を記録する中、傍聴人には高齢者が多いのにも関わらず長時間待たされる羽目に。この影響を受け、午後2時開廷の裁判は傍聴人がすべて席に着くのを待ち、約15分遅れてスタートしました。                                                                                                                                井澤宏明・ジャーナリスト

 

 

住民の声、司法に届かず

「不当判決」の旗を掲げる(左から)橋本良仁・原告団事務局長、原告の天野捷一・リニア新幹線沿線住民ネットワーク共同代表、半田虎生弁護士

「請求を棄却」
判決は、口頭弁論終結後に異動した市原義孝裁判長に代わり、篠田賢治裁判長が代読。篠田裁判長は小声で主文を読み上げ、「いずれも棄却する」という言葉が辛うじて聞き取れるだけ。
「聞こえません」「ナンセンス」「不当判決」と傍聴席から怒号が飛び交う中、3人の裁判官はそそくさと逃げ帰るかのように退廷しました。その間、1分足らず。
主文は「原告らの請求をいずれも棄却する」というものでした。判決文は700ページにも及びましたが、原告団や弁護団は直後に出した「声明」で「本判決は、国及びJR東海の主張を丸写しにしたものであり、現実に生じている(山梨)実験線での環境被害を無視したもので、責任ある判断を放棄したに過ぎない」と痛烈に批判しました。
どのような内容なのでしょうか。争点の一つ、環境影響評価を例にとってみましょう。原告側は、JR東海の環境影響評価は、トンネル掘削により発生する残土の置き場を十分に確保しなかったり、駅や車両基地などどんな鉄道施設を造る計画なのかを明らかにしなかったりしたまま行われた杜撰(ずさん)なもので、そのような環境影響評価に基づいた工事実施計画を国が認可したのは環境影響評価法違反だ、などと主張しました。
これに対して判決は、残土(発生土)置き場を十分確保しなかったことを容認する判断を以下のように示しました。「環境影響評価の手続上、原告らの主張するような発生土置き場の位置等を具体的に特定すべきとする法的な根拠までは見当たらない」「環境影響評価の手続は、事業の内容が順次具体化していく過程で、事業特性等を踏まえつつ実施されるものであって、必ずしも(環境影響)評価書の作成時にあらゆる事項が具体的に特定されていることまでは求められていないものと解される」「最終的に、発生土置き場等を必要とする量等を確定することが困難であったことなどから、本件評価書の作成時に、全ての計画を具体化することまではできず、事後調査を検討すべき状況にあった」

「杜撰アセス」を容認

どんな鉄道施設を造るかを明らかにしなかったことについても、判決は以下のように容認しています。「原告らの主張するように、鉄道施設の形状等を具体的に特定するよう求めることは、建設線の建設の事業を実施しようとする事業者に実行可能な範囲を超えて困難を強いるものにほかならない」
そのうえで判決は、「評価書の記載事項等を精査しても、国交大臣の判断が重要な事実の基礎を欠き又は社会通念に照らし著しく妥当性を欠くことが明らかとまではいえないし、裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとは認められない」と国土交通大臣の「裁量」を広く認め、原告の主張を退けました。
記者会見で原告団長の川村晃生・慶應義塾大学名誉教授は「我々が7年にわたって住民被害や環境への影響、安全性の問題など、鉄道事業が持っている根源的な問題を投げかけてきたのにも関わらず、裁判官が全く汲み取らなかった点に不満、憤りを感じる」と悔しさをにじませました。
国会内で開かれた報告集会では、行政法や環境法が専門の礒野弥生・東京経済大学名誉教授が「環境アセスメント(環境影響評価)をどう評価するかについて裁判所は全体的に消極的だが、(今回の判決は)ひど過ぎる、最悪だなと思った。この判決をこのままにさせておいたら、次の裁判、他の事項にとってもすごく問題だ」と、東京・神宮外苑の再開発問題を例に挙げて警鐘を鳴らしました。
原告側は7月28日、東京地裁判決を不服として東京高裁に控訴しました。


vol.215 ボーダーレス社会をめざしてvol.74

NPO法人オープンハウスCAN 理事長 伊藤佐代子

違う世界

6月に大阪にいる娘の所に行きました。娘婿が出張で5日間いないので助けてほしいと。娘は小学校の先生をしていて、大忙しのようでした。子どもが3人いて、2歳の子がまだまだ手がかかります。コロナが収まったようなので2年ぶりに、電車を使い出かけました。
大阪はやはり人が多いです。都会は違うなと再確認しました。娘の家に着いてからは、食事の用意・子どもたちの宿題を見る・習字を一緒にする・トランプやカードで遊ぶなど普段できないことをたくさんしてきました。子どもたちを相手にしていると少々若返ったような気がします。3人の子どもは、我が家の障がいのある息子とは違い、手がかかりません。泣いてもすぐ元に戻ってくれます。小学6年生ともなると大人です。何の手もかかりません。可愛いばかりです。障がいのある人は、ひとつこじれたらなかなか元には戻れません。本当にこだわりがないって楽だなと思います。障がいのある子どもがいない生活ってこういうものなんだなとつくづく感心してしまいました。
こんな平和な生活をしている人が、世の中のほとんどなのかなとその時は考えてしまいました。(実際は、貧困家庭が多くなってきていて大変な世の中になっているようですが。)そしてこのような生活をしている人に、障がいがある人を理解してほしいと訴えても無理なんじゃないかなとも思ってしまいました。娘は道徳の本を見せてくれて、障がいのある人の事も勉強するよと言ってくれましたが、身近に障がいのある人がいない場合、そのような人の事を子どもたちは想像できるのでしょうか?私はどうしたら、障がいを理解してもらえるのか?考えてしまいました。息子からの何度も繰り返されるメール・電話で、あ~我が家には障がい者がいたのだったと我に返る5日間でもありました。
人が10人いれば10人が違った生活をしています。娘たちの生活が普通であるとすれば、それとは、かけ離れた生活をしてきました。全く違う世界で私は生きてきたのだなと、フッと思いました。きっと価値観も何かにつけての基準も違うのだと思います。娘が中学を卒業した時、すごく嬉しかったのを思い出します。義務教育が終え、まずは親としてすることはした。後は好きに生きてちょうだいと思いました。高校で少し不登校になりかけた時も、学校を辞めればいいんじゃないと言いました。ハードルが滅茶苦茶低いのです。精神を患うくらいなら学歴なんか関係ないと思ってしまいます。
まず楽しく生きることが一番です。生きていかなくちゃいけないのです。学歴なんか無縁の所で生きている障がいのある人たちを見てきている私には、誰もが、今そこにいるということが一番なのです。人と比べてみても仕方ないことは明白です。自分は自分。好きなことがあればそれで 。障がいがあっても息子のように好きなことがある人は、とても幸せそうです。障がいのある人と接していると、人としての原点に時々戻れます。これは幸せなことだったのかもしれません。
娘が「言われた事をすぐやらない」と6年生の を叱っているのを見ても、そのうちやるのにと内心思い、助け舟を出します。「何でそんなことで叱るの。ちっともいう事をきかなくても私は 君の事、大好きやわ」と言うと は照れて「孫は可愛いいって言うからな」と満面の笑みです。「味方が一人いて良かったね」と娘も笑うしかなく、場は和やかになりました。ひょっとしたらハードルが低いのって、皆が笑顔になれるのかもしれません。


vol.215 モザンビークからレポートvol.9


価値観の違いはどこから?

Makuma tani ( テテ州のNhemgua 語;元気ですか?朝のあいさつ)!
テテ州の出張で新たな生活に関する発見がありました。日本人は、備えて蓄える、働くという感覚がそもそも備わっているように思いますが、モザンビーク人は今、以外は何も見ていない、考えていない。とでも言える行動が多いです。そんな中で農村での計画性も垣間見て、貧困についても考えるきっかけとなりました。

「節約方法を学んでお金が貯まるようになった。とても興味深かった。ただ、隣の子どもが病院に行く、学校の用意が必要…結局自分の家族より困っていることは起こるから自分のために使えるお金はなくなる。」これは、ナンプラ州のコミュニティでプロジェクトについての感想を伺ったときのこと。家族の範囲の感覚が広い、助け合うことが前提で生きているというべきか、自分が明日必要なお金は気にしていないというべきか・・・

お金が貯まらない理由は人を助けているからだけではありません。友達にパンのおつかいを頼んだら、勝手におつりを使い切り、ジュース(こっちでは結構高級)も買ってきて、「おつりに自分が少しお金を足したら、ジュースをプレゼントできることに気づいた。きっと喜ぶと思ったから」と。単なる欲でジュースを買ってきたと思った私としては、「泥棒と一緒じゃないか!?」くらいの勢いで腹を立てたけれど、逆に相手としても、せっかく朝ごはんをより楽しもうと思って、なけなしのお金をかけたのに、何で怒られているんだ?と腹を立てました。話し合っているうちに、あぁ、モザンビーク人にとって、誰がお金を払っているか、いくらなのか、明日お金が残っているか、ではなく、やっぱり「今」が大切なんだ、と気づき、最終的には私が反省することに。
かと思えば、テテ州のコミニュティで話を聞くと、計画性のある暮らしぶりでした。テテ州はダムがあるため電気も水も通すことができるし、動物の家畜も盛んで、物価も高いです。そんな中で農家さんの暮らしは、簡単ではありません。もちろん電気も水も通す余裕はありません。それでも、収入が上がる収穫期は週3日くらいはヤギや鶏を食べることもあるんだとか(モザンビークの農村部に暮らす人は一般的な動物性食品を積極的に食べる地域は少ないです。虫やネズミは食べます。)。誰かが屠殺すると、お隣さん同士で買い合ったり、お金の持ち具合では現金の代わりに畑に働きに行くそうです。収穫期の収量が明らかに少なく、1年を通して主食のキビやヒエが食べられないことが分かると、山に木炭を作りに行って、飢えないようにする、それがこの土地の暮らしだと教わりました。今しか見ていないと思いきや、そうではない。お金がなくても、他の方法がある。私たちがその違いに目を向けていないだけ。なぜ、世界の貧困がなくならないの?そもそも貧困って何?答えはあるんでしょうか?


vol.215 菌ちゃん野菜応援団vol.36

 今年は5年ほどお借りしていた畑を移動することになり、植え付けた夏野菜を移動させ植え替えて、その後の水やりに日々追われてます。ですが、新しい畑は菌ちゃんが少ないのかな?草もあまり生えず、なんとなく殺伐とした雰囲気。野菜たちにとってはかなり過酷な場所みたいで、水をあげてもあげてもなかなか根付かず、大半が枯れてしまいました、ざんねーん!

でもね、これって、お腹の中も一緒なんです。

普段からお腹の中の菌ちゃんを考えた生活を心がけていると、いざという時も楽に乗り越えていけるけど、無頓着でいたらちょっと大変なことになりかねないということ。いざ、とは風邪をひいたり、不要なものを体内に入れたり、大きなストレスにさらされたりした時。そんな時、外からは見えないけど身体の中の免疫力は総動員。

シャットアウトする、追い出す、やっつける。

そんな複雑な三段階で身体は私達の健康を守ってくれてるんです。滞りなく免疫力が働くためには日々いかに体内環境を安定させておくか、がとても大事。
じゃあ体内環境の安定化とは?となると以前からお伝えしている、腸内を発酵モードにしておくこと、ミネラルを努めて取ること、身体にとって負担となるものを減らすこと、になるわけですよね。体を整えるとは、本当にシンプルなことなんだと都度都度思わされます。ただし、そのバランスが崩れたときは復活させるのに時間がかかる。でもそれってリセットのチャンス。

どうしようー、ではなく「よしリセットキター、
もっと良い身体にしよう」と思えば良いですね!

この夏、暑くて体調を崩される方も多いです。
そんな時は身体を信頼して、外から内から出来ることを丁寧にやってみてください。
身体の防衛三段階とは?内外からのアプローチについては次回詳しくお伝えしますね!!

 あれ?体調イマイチかな?という時は、梅酢を3倍に薄めてうがいをする&飲む。これだけでも身体は元気になりますよ。旬のみょうがを梅酢に漬け込んでも箸休めになります。お試しあれ。

 

 

 


vol.215 ここいく日記 はじめの32歩!

多様性を認める社会って?

 私たちは、性教育の授業を通して人はみな違うこと、ありのままの自分でよいことを伝えたいと思っています。性の多様性を伝える時は男らしい女らしいって何だろう?普通って何だろう?と問いかけます。そもそも人はみな多様で唯一無二の存在だということが伝わればいいなと願っています。

先日、各務原市主催で、中京大学教養教育研究院の風間孝教授の講演会 「性の多様性と性的少数者(LGBT+Q)の人権」がありここいくメンバーと参加しました。
講義の中で風間先生から参加者にいくつかの問いかけがあり、そのたびに性的少数派の人の日々の傷つきや、多数派の当たり前だと思っている感覚が少数派の人の心を傷つけていることに気付かされました。 「世の中には男と女しかいない」 「好きになる相手は異性」 「自分の思う性別と体の性別は一致している」など、多くの人が「当たり前だ」と思っている考え方。例えば友人に「彼氏いる?」「彼女いる?」という日常の何気ない言葉に同性愛者の方は答えられない。「好きな人いる?」「付き合ってる人いる?」と聞かれたら答えることができるかもしれないのに。日常の中で多数派の「当たり前」を「当たり前じゃない」と感じる少数派の人たちは、私は「当たり前じゃないんだ」と、日々の中で感じさせられていることにさえ気付いていない現状。
そして、多数派には当たり前に保証されている「特権」について。異性愛者のカップルの婚姻届けは当たり前に受理されるが、同性愛者の場合は受理されず夫婦として認められない。夫婦ではないので、パートナーが病気やケガの時にも病状説明も受けられず、パートナーが死亡したときには二人で住んでいた持ち家は婚姻関係がなければただの同居人で譲渡もできない現状。
 性教育を学んできた私も気付いてなかった性的多数派の「当たり前」にある特権がないことで、性的少数派の人たちの人権が守られていない社会。 多数派が普通で少数派は普通じゃないから認められないのか?人は誰もが多様性にあふれていて性の多様性に限らず、誰一人同じ人はいないのにその理解が進んでいないことが問題だと思います。
最近成立したLGBT理解増進法をめぐり「女子トイレや女子風呂に、男性が私は女性ですと入ってくるかもしれない」、と 幼い子どものトイレでの性被害の事例をあげて女性や子どもの権利を脅かす法案と反対の声があがった。私たちは、この機運に違和感があり、6月3日名古屋レインボープライドのパレードに参加をし、当事者の方からこの件に対して意見を聞きました。
トランスジェンダー当事者の方の意見としては、そもそも日本はジェンダー指数は先進国最下位の国。雇用を含めあらゆる場面で女性の権利は守られていない。子どもの自殺も不登校も増え続け、子どもの権利も守られているとは言えない。そんな状況に対して運動すべきであり、なぜここで女性や子どもの権利を訴えるのか、女性や子どもの権利については分けて考えるべきである。性犯罪は自認する属性の問題ではなく、性犯罪を犯す個人の問題である。性自認の問題と性犯罪の問題は分けて考えるべき。全てにおいて非常に雑な議論のまま「女性や子どもの権利」を保護する観点が優先され、結果「この法律に定める措置の実施等に当たっては、性的指向又はジェンダーアイデンティティにかかわらず、全ての国民が安心して生活することができることとなるよう、留意するものとする」という文言が条文に加えられた。これは「マイノリティの人権や尊厳は、どこまでいっても多数派が認める範囲でしか守られない」という発信であり、性的少数者が抑圧されている社会の不均衡や不平等を考える問題、という大前提は置き去りになっていて、非情に悲しい。との意見を聞きました。

この法案自体が、LGBTの人の理解を深め、その人たちを守るための法案であったはずなのに、LGBTの人たちみんなが悪い人ではないけれど、そういう人もいるかもしれないからこの法案に反対、という思考はLGBTの人(少数派)を守るためのものではなく、多数派を守る視点の法案になってしまったことに社会の無理解を感じずにはいられない。

担当:ここいくメンバー 中村 暁子でした。
ここいく☎090-3446-8061(中村)


vol.215 みんなのひろば ちゃんと座れる椅子、作ったよ!&Book紹介

ジャーナリスト 井澤 宏明氏
連載中の「夢か悪夢かリニアが通る!」ジャーナリスト井澤氏が第2章を執筆。
リニア新幹線は、死に体に近づきつつある。財源不足、発生土の処理や静岡での未着工問題、大都市でのトンネル掘削でのシールド工法の技術問題、その結果導かれた大幅な工期遅れ、住民の反対運動など。そしてこれから直面する南アルプスのトンネル掘削、それに伴う南アルプスの壊滅的な環境破壊。強行すれば、さらに大きな破綻を招くことになる…。

 

「メディアよもやま話し」を執筆していただいた(172号から180号)
津田 正夫氏・著
オッペケペー節で有名な役者・川上音二郎。風刺の効いたセリフと威勢のよさが一世を風靡。今、明治の庶民にとっての「自由民権運動」を追体験する!

 

 

188号「熱中人」で取材をさせていただいた
堀野 慎吉氏・著
戦争の秘話をやさしい挿絵と文体でまとめられています。地元で起きたこと、知らなかった事実。過去を振り返ることは未来を作ること。今ある平和は、先人達のおかげ。感謝せずにはいられない。


vol.215 プレゼントコーナー

215号PRESENTS

プレゼントご希望の方は
ハガキまたはe-mailで、下記のアンケートを
1〜6までご記入の上、編集部・プレゼント係りまでお送りください。

1.あなたのおすすめスポット教えて! コロナ禍も暑い夏も乗り切りました。この秋お出かけしたい人におすすめスポット教えてね。
2- 気になるにらめっこ紙面での広告
3- 気に入った記事、気に入らない記事の
タイトル1つ・その理由もお書きください。
4- ご希望のプレゼント名 (第1希望・第2希望 を必ずお書きください)
※Dは編集室まで受け取りに来られる方。
5- 本紙をどこで入手されましたか?
6- 氏名、年齢、住所、郵便番号、電話番号、 家族構成

ハガキまたはe-mailで、上記のアンケートを
1〜6までご記入の上、編集部・プレゼント係りまでお送りください。
〆切:2023年9月25日 当日消印有効。
宛先 〒504-0855 各務原市蘇原新栄町3-15
e-mail: info@niramekko.com
※お寄せいただいた個人情報は、本紙プレゼントの発送に限り、 使用させていただきます。
※当選の発表は発送をもって代えさせていただきます。


A.「おとなの音あそび」発表会ご招待券 CLUB是様より…3名様


何か一つ楽器を演奏できるといいよね、に端を発しておとなの音遊びが始まりました。練習に励みになるよう発表会を設けました。この日はおとなの学芸会のようなもの。石釜で焼きたてのピザを頬張りながら、素人の演奏を聴くのもいいかもよ。会場はアートギャラリー是(関市武芸川)


B.CINEX映画招待券 CINEX様より…ペア3組様

この世界のどこかで、私たちの生活とはかけ離れた日々を送っている人々がいる。その事実をドキュメンタリー映画は教えてくれます。それを観て、あなたは何を思いますか?写真は「世界のはしっこ、ちいさな教室」の一コマ。柳ヶ瀬のCINEXでご利用いただけます。


C.シニアポートレート撮影券 NPO人生これから!様より…1名様

プロのヘアメイクとフォトグラファーが引き出すあたなの魅力は一段とアップしてる?普段とは違う一面?以前のこの撮影会が自分を見つめ直すきっかけになった方も。もしもの時に使えるお気に入りの一枚を。撮影日は11月16日。会場はにらめっこフリースペースを予定。晴れたら公園へ。


D.トートバッグ型コンポスト 命の循環プロジェクト様より…1名様

生ごみを「入れる・混ぜる・フタをする」たったこれだけ。おしゃれなトートバッグ型コンポストで、生ごみを捨てない暮らしを。スタイリッシュなトートバッグ型のコンポストです。生ごみと混ぜ合わせる原料つき。栄養価の高い堆肥を作ることが出来ますよ。にらめっこ編集室でお受け取りください。


vol.214 動植物と私たちの暮らしとのつながり

参:自然と社会の豊かさを考えるcircu

かつて欧米ではミツバチの大量失踪が問題となり、事態を重く見た日本でも有識者会議が行われました。
「ミツバチが減少している」と聞いても、どのような影響があるのか、すぐに自分事として問題に感じられる人はあまりいないのではないでしょうか?しかしこのまま減少が続けば、自然環境や私たちの食生活に大きな影響が出ます。

ミツバチはなぜ必要?
ミツバチの存在は、自然環境にとって不可欠。同時に、私たちの食生活にとっても欠かせない存在です。花々の受粉を助けて植物を繁栄させるだけでなく、受粉によって野菜や果物を実らせるからです。
2011年にはUNEP(国連環境計画)のアヒム・シュタイナー事務局長が、「世界の食糧の9割を占める作物100種類のうち、7割以上がミツバチによって受粉している」と発表しています。
このことからも、ミツバチの存在が私たちの食生活を支えていることがわかります。

ミツバチ減少の原因は?
・農薬の使用
欧米でミツバチの大量失踪が起きた後、その原因として「ネオニコチノイド」系農薬による影響の可能性が指摘されました。農作物につく害虫駆除や、植物が受ける害虫被害を最小限に抑えることを目的として、散布します。効果の持続時間が長く散布回数が少なく済むというメリットがあるので、多くの農作物を育てる過程で使われてきました。
しかしミツバチに限らず、ネオニコチノイド系農薬を散布している田んぼではアキアカネやワカサギが同様に減少していることがわかりました。こうした背景を踏まえ、ネオニコチノイドが生物に対して何らかの影響を及ぼしているということは言えるでしょう。

・ダニの発生
ミツバチの体に寄生するミツバチヘギイタダニによる被害。このダニは、幼虫とサナギの中間期であるミツバチの体液を吸って産卵し、繁殖します。
一方、体液を吸われた蜂は成虫になっても羽が縮れて飛べず、花の蜜や花粉を集められません。つまりエサを得ることが出来ないまま、命を落とすこととなります。
欧米では数百万箱以上の巣箱が
ダニの被害に合い、巣箱にいたミツバチは全滅したと言われています。しかし、ダニの詳しい生態はわかっておらず、現在もなお、対策のための生態研究が行われています。

・気候変動
蜂は温度や湿度などにデリケートで、季節ごとに状態が変化します。
しかし、温暖化によって植物の開花時期がずれたり花が咲かず、蜂がエサを得られなくなっているのです。熱波や豪雨などの異常気象も、蜂にとって過酷な状況。一方、蜂の天敵であるダニや寄生虫は温暖化によって寿命を延ばし、蜂にとってはより生きづらい環境となっています。
ミツバチが減少を続けることで、自然環境や私たちの生活には具体的にどのような影響があるのでしょうか。

ミツバチが減少すると影響は?
・自然環境への影響
ミツバチが減少し続ければ、多くの植物は受粉が出来ず数を増やすことが出来ません。森林の減少にも繋がり、地球温暖化は加速するでしょう。また、森林減少が続くと雨水の浄化機能を失い、水質汚染や水害を引き起こす原因となります。水質汚染が起きれば、川や海に住む魚や貝、海藻といった生態系も被害を受けます。
同様に、植物が育たないことで、ミツバチのように花の蜜を吸う蝶や木の実を食べる動物はエサを失うでしょう。生態系は連鎖しているので、こうした事態がさらなるミツバチの減少を招き、悪循環となるのです。

・私たちの生活への影響
ミツバチの減少による影響は、自然環境に対するものだけではありません。はちみつや野菜、果物の獲れる数が減り、価格の高騰が起こります。
他にもコーヒー豆やアーモンドもミツバチによる受粉が行われているため、ミツバチが減るとこうした食品は価格が高騰したり、口に出来なくなったりするでしょう。
植物を食べて育つはずの家畜を育てることが出来なくなり、食肉や乳製品も、入手出来なくなります。さらに、綿花の生育過程でもミツバチによる受粉が行われているため、コットン製品が使えない、着られないといった事態も起きます。
農作物の種類によっては、農家による自家受粉が行えるものもありますが、ミツバチが媒介することによって効率的かつ経済的に受粉を行えるだけでなく、果実の品質も良くなるため、やはりミツバチの存在に頼らざるを得ないのです。
これらを踏まえると、ミツバチの減少は私たちの生活ひいては経済を破綻させるだけのインパクトがあると言えるのではないでしょうか。

私たちにできること
買い物をするときに無農薬・オーガニックの野菜や果物、製品を選ぶことがまず第一歩。価格の安いものの多くは多量の農薬が使われ、大量生産されています。
「買い物は投票」であることから、無農薬・オーガニックのものを積極的に購入することで、無農薬・オーガニックで作物や商品を作る農家やメーカーを応援することに繋がり、ミツバチを守ることに繋がります。

 

 

 

ドイツ発Topics

2019年秋に造った1号機とセバスチャン・エバーディングさん(40)

ハチのための自動販売機「ガチャガチャ」をアップサイクル 生息地増やせ

「ハチのごはん自販機」
機械はもともと、子ども向けにチューインガムやおもちゃを売るガチャガチャだった。エバーディングさんはそれらを修理して、新たな用途に使えるように「アップサイクル」。

なぜハチなのか。ドイツが児童文学「みつばちマーヤの冒険」で知られているから?エバーディングさんは「最初みんなそれを連想するんだけど、僕の自販機はむしろ野生のハチのためなんだ。ミツバチは養蜂家が大切にしているけど、野生のハチのことはほとんどの人が気にしない。生息地はどんどん少なくなっている」。野生動物が好きで、保護団体でボランティア活動をした経験もあるという。
花粉を媒介するハチや鳥の働きは、農作物生産の4割近くに影響を与え、果実や種子として栽培される作物の75%がハチの恩恵を受けている。
この自販機は、わずか3年半でドイツ全土に広がり、現在稼働中のものが約300台もある。一つのカプセルで1~2平方メートルの植栽ができると仮定すると、これまでに100万平方メートル以上になる計算という。

ハチの自販機から出てくるカプセル。ひまわり、コリアンダー、ディルなど地域にあわせた植物の種が詰まっている。

「僕たちの世代は、学校帰りに自販機でガムやおもちゃを買うのが楽しみだった。何味が出るかな、どんなおもちゃかな、って。自販機はそういうワクワクを生み出す。子どもがお小遣いでハチのための種を買って、『お父さん、お母さん、植えようよ』と言ったら断る理由なんてないよ」
これですべての問題が解決するわけではないことはエバーディングさんも分かっているが、人々の意識を変えるきっかけになれば、と願っている。

朝日新聞GLOBE 自販機 機械と人の物語より

 

 

 


vol.214 植物編から食物連鎖を考える

植物が繁殖のために他の生物を利用することも、自然界にはよく見られます。最も有名なのは、ミツバチとさまざまな植物との関係でしょう。ミツバチは花の蜜を吸う行為を通して花粉を運び、他の花に受粉させます。これは「送粉」といい、ミツバチだけでなく、チョウやガ、また地域や環境によっては、コウモリも送粉を行ないます。洞窟などといった特殊な環境では、ハチやチョウといった送粉者が存在しません。そのため、こうした環境下にある植物は、花の蜜をコウモリに吸わせることで、送粉をしてもらっているというわけです。

受粉して果実を作った植物は、その後、種子を散らし、より広範囲に繁殖していくことを目指します。その際に利用する生物、つまり種子の運搬という作業を協力してくれる存在が、鳥になります。昆虫などに比べると遠くまで飛べる鳥に果実を食べてもらうことで、広範囲に渡って種子を散布してもうらわけですね。
植物は、鳥に実を食べてもらうため、さまざまな工夫を凝らします。熟すと目立つように色づき、果実は鳥が好む味になります。さらに、胚は消化されずにフンとともに鳥の体外に出てくるよう、硬い殻で包まれています。こうした花粉や種子を運んでもらう行為も、昆虫や鳥などに利益があるため、「相利共生」のひとつ。

さて、食物連鎖の右の図をよくみてください。

人間をふくむすべての動物の食べ物は、植物が光合成によってつくる有機物(ゆうきぶつ)が源になっています。そして植物を食べる草食動物が肉食動物に食べられ、その肉食動物の遺骸(いがい)はバクテリアによって分解されるというように、たがいに「食べる・食べられる」関係を食物連鎖といいます。食物連鎖の最下位で、あらゆる命を支えているのが植物です。そんな植物とそれを食べる生物は、単なる捕食・被食の関係というわけではありません。上記にあるように、植物は自ら身を守り、ときには食物連鎖の上位の生物を利用して、したたかに生きています。
食物連鎖の構造にはいくつかの層があります。植物を草食性のこん虫が食べ、これらの草食性こん虫を肉食性のこん虫や小動物が食べています。さらにこれらを食べる、ワシ、タカ、フクロウといった猛禽(もうきん)類、キツネ、タヌキといった肉食ほ乳類がいます。このように生物の量を図にするとピラミッドの形になり、それを生態系ピラミッドと呼びます。生態系ピラミッドは、上位であればあるほど、生きていくために広い自然環境を必要とします。

上図の生態系ピラミッドのように、全ての生きものは他の生きものとお互いに支えあいながら生きています。例えば、特定の地域で、ある種類の昆虫や植物が減った場合、食物連鎖などの影響により他の生きものも減り、生態系全体の危機に繋がります。

人間は肉食動物だから、高次消費者?だから生態系ピラミッドの頂点にいる?そうでしょうか…。人間は火を使い道具を使うことで、上位に位置する動物たちでも倒す力を持った。だけど、そこにどれだけの「畏敬」があるのかは不明…例えば日本。文明を手に入れた人間は、アンブレラ種※と言われるヒグマやツキノワグマの強さを畏敬することを忘れ、開発によって彼らの生息域を狭め、深山に追いやった。
私たち人間は既に大自然を構成する一員ではないのかもしれないし、大自然にとっても、もはや単なる闖入者でしかないのかもしれないね。

※アンブレラ種とは、個体群維持のために、エサの量など一定の条件が満たされる広い生息地(または面積)が必要な種のこと。地域の生態ピラミッドの最高位に位置する消費者である。アンブレラ種を保護することにより、生態ピラミッドの下位にある動植物や広い面積の生物多様性・生態系を傘を広げるように保護できることに由来する概念。
日本では一般的にツキノワグマやヒグマ、オオタカ、イヌワシなど大型の肉食哺乳類や猛禽類がアンブレラ種と言われることが多い。

何も食べなくても成長できる生産者「植物」

すべての動物は食物を探し求め、動き回っています。自らの食物だけでなく、子に与える食物を探し求めて、あちらこちらへと動き回ります。これは、動物が生命を維持していくためには、食物が必要だから。ところが、草花や樹木などの植物は、じっとしていても生きることができ成長します。
私たちは摂食することによりエネルギー源であるブドウ糖を外から取り入れています。
植物はブドウ糖を体内で生産しています。光合成により、光と空気と水から自らのエネルギー源となるブドウ糖を作っている「生産者」です。

すべての生命のエネルギー源は太陽

植物(生産者)は、光合成により水と二酸化炭素からブドウ糖を作るとき、太陽からの光のエネルギーを吸収します。その結果、ブドウ糖の中に光のエネルギーが取り込まれ、蓄えられます。元をたどれば、生命のエネルギー源は太陽ということになります。

すべての動物の食料を賄う生産者「植物」

植物は生物として生きて、成長するために必要な物質(ブドウ糖、デンプン、タンパク質、脂肪、ビタミンなど)を自分で生産することができます。端的に言えば、植物は動物がいなくても生きていけるかもしれません。しかし、動物は植物がないと生きていけません。
食物連鎖の関係をたどっていくと、植物は、地球上すべての動物の食糧(エネルギー)をまかなっていることがわかります。私たち人間は、食糧を植物や動物に依存しています。ウシやブタ、ニワトリなどの動物は、植物の体である葉や茎、根や実などを食べています。「肉食動物」のライオンやチーターなどは、シマウマなどの「草食動物」の肉を食べ、草食動物は「植物」を食べて生きています。
食物連鎖の形態は、数多くありますが、どれも出発点は生産者である植物。植物は、すべての動物の食糧(エネルギー源)を作り出している「生産者」なのです。

 

参考:ACORNコラム、一般財団法人環境イノベーション情報機構、森林・林業学習館

 

 

 

 


vol.214 ぎむきょーるーむ スマホは脳に猛毒?!?

 1日何時間以上スマホを使ったら依存症? 3時間以上、8時間以上、10時間以上…様々な説があります。依存しているかどうかは、以下のような質問から自身で判断することができます。

スマホ依存症・セルフチェック

★ スマホは、家でも仕事中や移動中でも、どんなときでもすぐに手に取れる場所にスタンバイしてある。
★ 電車内、仕事の休憩中、待ち時間など、ちょっとでも時間が空いたらスマホを取り出すのがクセになっている。
★ スマホの着信音やバイブレーションの「空耳」が聞こえることがある。
★ 「情報に乗り遅れること」「みんなが知っている情報を自分だけが知らないこと」に対して不安や恐怖を抱いている。
★ 夜、ふとんやベッドの中でもスマホをやっている。
(参考:奥村 歩著『そのもの忘れはスマホ認知症だった』)

★ スマホをする時間を増やすために、家庭での仕事や役割をおろそかにすることがある。
★ スマホをしている時間が長いと周りの人から文句を言われたことがある。
★ 人にスマホで何をしているのか聞かれたとき防御的になったり、隠そうとしたことがある。
★ スマホをしている最中に誰かに邪魔をされると、いらいらしたり、怒ったり、大声を出したりすることがある。
★ スマホをしているとき「あと数分だけ」と言っている自分に気がつくことがある。
★ スマホをしていた時間の長さを隠そうとすることがある。
★ スマホ使用のため、予定していた仕事や勉強ができない。
★ スマホ使用のため、(クラスで)課題に取り組んだり、仕事や勉強をしている時に、集中できない。
★ スマホを使っていると、手首や首の後ろに痛みを感じる。
★ スマホがないと我慢できなくなると思う。
★ スマホを手にしていないと、イライラしたり怒りっぽくなる。

(出典:久里浜医療センターHP「インターネット依存度テスト」より設問の一部を抜粋)
上記の質問は依存度をチェックするためのものですが、当てはまる数が多ければやはり、依存度は高い状態だと言えます。                                                       精神科医・樺沢 紫苑

 

精神科医・樺沢氏が教える「スマホは脳に猛毒?!?その3つの理由とは」

① 視覚障害
光っているものを見ると人間は興奮して楽しくなる。パチンコなどはすごく光っていますね。パチンコ台そのものが光と音で興奮するようにできてます。スマホの落ちもの系のゲームも連鎖して爆発してたくさん光ります。
短時間であれば問題ないですが、3時間以上一回も立ち上がらずにゲームを6時間できたりするのは脳が興奮している証拠。視覚刺激はすごく脳を疲れさせます。

② 脳が休む暇がない
仕事の休憩時間にスマホをする人が多いですね。電車の待ち時間や乗車中もスマホを見る。スマホ依存症の人やヘビーユーザーで、ぼーっとする時間がないのは脳の危機です。ぼーっとしているときに活躍する「デフォルトモード・ネットワーク」※に入ってきた情報や記憶を整理して脳に固定していきます。何かをインプットするときより、ぼーっとしている時の方が脳は活発になる。ぼーっとしているようで、脳を整理して活性化しているんです。スマホを見ていると脳を整理できないし、情報を詰め込みながら整理するのは無理。記憶ができなくなり、認知症のような状態になります。だから脳を休ませることが大事。何もしないでぼーっとするのが一番いい。それができない人はお風呂がオススメ。精神科医・樺沢氏のマイブームは「闇風呂」。電気を消してお風呂に入るとすごくリラックスできます。アロマキャンドルを焚くとさらにいい。光の刺激を遮断するだけでも脳がすごくリラックスします。
(三上も実践中!ほんとリラックスできます。超おすすめ!)

③ ブルーライトによる体内時計の撹乱
寝る前2時間以内のスマホやゲームなどのブルーライトを浴びると睡眠障害の原因になります。ブルーライトは午前中の波長なので夜10時に浴びた場合、夜なのに朝の10時だと脳が思ってしまうので脳が目を覚ます指令を出すんです。夜間にブルーライトを浴びると体内時計がどんどん撹乱します。体内時計が狂うとすごく健康に悪い。メンタル疾患やがんなど様々な病気のリスクを数倍高めることにつながります。特に夜間のブルーライトが良くない。寝る前2時間はデジタルデトックスしよう。
メンタル疾患で療養中の人や、メンタルの調子がよくない人などは何をするにも意欲がないので、スマホやゲームをやってしまいがち。意思や判断の必要のない行動をとる傾向があります。メンタルの弱っている人が、スマホやゲームを長時間した場合、脳の活動性(特に前頭葉)を弱めてしまい、余計にメンタル疾患を悪化させます。スマホが常習化している人は、前頭葉に負担をかけ続けているので脳が休息できなくなります。メンタル疾患が治らない状態を自分で作っているんです。スマホやゲームをゼロにするのは無理ならせめて1日2時間以下に。メンタル疾患でない人も、1日4〜5時間もやると脳が疲れてくるから、メンタル疾患に移行する可能性が高いですよ。スマホやゲームをする場合は時間を限定してください。

 

脳の活動エネルギーの約75%を消費するのが、このデフォルト・モード・ネットワーク。主にぼーっとしているときに、内側前頭前野と後帯状皮質の活動がアップします。逆に集中して作業をしているときに使われるエネルギーは5%、残りの約20%は脳細胞のメンテナンスに当てられるのだそう。

DMNデフォルトモード・ネットワークについて

※DMNは<Default Mode Network>の略語で、ぼんやりした状態の脳が行なっている神経活動のこと。

DMNの具体的な役割には「危機への備え」と「情報の整理」があります。
危機管理 脳が完全に休んでしまうと、突然の危機に反応しづらいため、脳の一部(DMN)を待機(アイドリング)状態にして万が一に備えています。
情報の整理 入力:五感を通して情報を収集。 整理:入力した情報を取捨選択。 出力:言葉や行動として表す。DMNの働きが弱いと、脳内で情報が整理されず、ぐちゃぐちゃに散らかったデスクのような「脳過労」状態に。インプットした情報が脳に定着しづらくなったり、脳の活動自体が低下したりといった恐れがあります。
DMNが活発な状態と活発でない状態には、それぞれメリットとデメリットがあります。両方を理解したうえで、DMNの「オン」と「オフ」を切り替える必要があります。

 

 

DMNを活性化(オン)させる方法
脳内にたまった情報をスッキリと片づけ、脳疲労を防ぐためにも、DMNをオンにすることは重要です。
● 観察瞑想 3つのステップで実践します。
1. 調身:背筋を伸ばしつつ、力を抜く
2. 調息:5秒かけて息を吸い、10~15秒かけて吐く
3. 調心:感情・思考を観察する。心をなるべく弛緩(しかん)させて、とりとめのない思考や感情の動きに身を委ねる。
● 楽しい空想 PCD(Positive Constructive Daydreaming)ポジティブで建設的な空想をする。脳の集中状態を解除し、心を緩める効果が期待できる。
● デジタルデトックス 現代人はみんなやった方が良さそう。
● 単純な作業・運動 たとえば、皿洗いや掃除、靴磨きなど。
● パワーナップ 15分間から30分程度、昼寝するとDMNが活性化し、記憶の取捨選択や定着を行ってくれます。

DMNを不活性化(オフ)させる方法
仕事や勉強に集中したいなら、DMNの活動を抑制することが必要。
● 集中瞑想 観察瞑想と異なり、雑念をシャットアウトして精神を研ぎ澄ます感覚。観察瞑想と同じ3ステップですが、「調心」における心の使い方がまったく異なるので要注意。
3. 調心:呼吸に集中する。自分の呼吸に全神経を集中させ、「5秒かけて息を吸う→10~15秒かけてゆっくり吐く」をキープしながら、鼻を通り抜ける息の感触や、膨らんだりしぼんだりする肺の感覚などに意識を向ける。
● 雑念のコントロール
捨てる:心のなかで「もう十分!」と叫び、雑念を頭の外に放り捨てる様子をイメージする。
例外を考える:心配事が当てはまらないケースを想像する。
賢者の目線で考える:自分が尊敬する人や歴史上の偉人なら、問題をどう解決するか想像する。
善し悪しで判断するのをやめる:雑念や心配事について「善い」とも「悪い」とも判断せず、中立に考える。
由来を探る:なぜその考えにとらわれてしまうのか、原因を考える。

STUDY HACKERより抜粋

 

 

 

 


vol.214 ソーラークッキング

ソーラークッキングの大きなポイントは2つ
①太陽光を集約すること→「光るもの」
②集めた太陽光を熱に変えること→「黒いもの」

まずは身近なものでつくってみよう!

太陽の光を集める①には、反射板や集光板となるものを使います。身近な素材として、レジャーシートの裏側や、車用のサンシェード、もしくは銀色の厚紙、アルミホイルを貼ったダンボール等々。②は、黒い鍋など、調理したい食材の周りを黒くしておくと、光が吸収されて熱に変わります。ダッチオーブンや南部鉄器のような黒くて鋳物の鉄鍋があればパーフェクト。ない場合も、市販の黒いアルミホイルを使って鍋や食材を包めば大丈夫。
さらに熱を効率よく通すためには、輻射熱(ふくしゃねつ)も重要です。たとえば鍋の内側まで黒い鋳物鍋なら、内側ではたらく輻射熱によって、食材の中心部まで早くしっかり火が通ります。そうした鍋がない場合は、ガラスやビニールなどで覆い、温められた周りの熱も逃さずに対流をつくり出すようにします。

いざ実践!

身近なアイテムを揃えて、太陽光がちょうどあたる位置を決めます。ソーラークッキングでつくる料理といえば、ゆで卵、焼き芋、焼きりんごなど。それとは別にオススメしたいのは、ソーラークッキングを日常的に、日々の暮らしに取り入れる方法です。それは、下ごしらえを任せること。
ただし手づくりソーラークッカーにはいくつか難点があります。
・食材に火が入るまでの時間を予想しにくい。
・ガス調理より時間が掛かる(ゆで卵で60分前後など)
・食材によって火の入り方が違うこともある
・調味料、特に油は使えない(液状の調味料に浸けながら煮込むなどは可能)。そこで、これを食材の準備、下ごしらえだと割り切ると難点は全て解決されるんです。

ソーラー「下ごしらえ」実例紹介

朝起きて天気を確認し、キッチンにある野菜をチェック。夏なら茄子やズッキーニ、玉ねぎや人参、水で戻した大豆なんかもソーラークッキングと相性がいい食材です。それぞれ黒アルミホイルで包んだり鍋に入れてソーラークッカーへセット。あとは普段通り、家事や仕事をしながら午前中を過ごします。
1〜2時間後、すっかり火の通った野菜を取り出したら、お昼に使う分を残して、あとは保存しておきましょう。ズッキーニを適度にスライスして、好きなソースと一緒に茹でた麺に絡めたら、もうお昼のパスタが完成です。
もう少し時間がある時は、各野菜を同じ位のサイズにカットしておけば、好きな時に色んなお料理に使えます。塩こしょうでラタトゥユ、ビネガーを加えてカポナータ風、バジルソースで軽く炒めてバジル炒め、チーズを乗っけてトースターで焼くのもお手軽です。
夕食の準備だってもちろん昼間のうちに保存しておいた野菜を活かせます。茄子をスライスしたらフライパンで軽く焼き上げて、生姜醤油を掛ける。茹でた後でダシ汁に浸けて冷やしておいた浸し豆を取り分ける。玉ねぎと人参を水と一緒に温めてお味噌を溶かす。あとはご飯をよそうだけです。

もっと簡単な“ソーラー下ごしらえ”ならこちらをぜひ。
お水を入れた鍋をソーラークッカーにセットして約1時間。沸騰前後まで熱したら、鍋ごと室内に移動させ、生卵を沈めて蓋をします。8分経過したら卵を取り出し、水で冷やせばトロトロの温泉卵が完成です。
メリットを強調したくなる
・下ごしらえが一気に済んで自炊が楽になる
・太陽に任せてる間に仕事や用事ができる
・ガスの火を使う時間が短くて済む(夏場は特に助かる)
・素材の味が引き出されるようにおいしい(と感じる)

じっくりじわじわと加熱されるソーラークッキングなら、時間の感覚もおおらかになってくるから不思議です。慣れたらきっと、よく晴れた日に「何か焼かなきゃもったいない!」と感じてしまうかも。                   参:Greenz

 

干し野菜のきほん

干し野菜とは切った野菜を太陽に当てて干したもの。干し野菜のきほんは「野菜を洗う」→「水気をふく」→「切る」→「風通しがよく日の当たる場所に干す」の工程のみ。朝から夕方まで天日干ししておけば半生タイプの干し野菜が完成。乾物のようにカラカラに干すのはもう少し時間がかかりますが、半生タイプの干し野菜なら半日もあればOKなものもあるのです。
干し野菜は、栄養価が増し手頃な価格で買える旬の野菜を長期保存して、最後までおいしく食べる昔ながらの知恵から生まれたものです。買ったのに捨ててしまう…というもったいないことは止めにして、買ったらおいしく使い切る干し野菜生活をはじめてみませんか。

干し野菜のメリット

野菜本来の旨味を太陽と風の力を借りて中にぎゅーっと閉じ込める干し野菜は、あれやこれやと調味料を足さなくても出汁が出て薄味でもとってもおいしいんです。また、料理のレパートリーが少なくて毎日の献立に頭を悩ませている方にもおすすめ。同じ調理法でも干し野菜をつかえば食感や風味が異なり新鮮な一品が完成。 乾燥させることで実(み)はもちろん皮も葉っぱも丸ごと使い切れる保存食をつくることができます。冷蔵庫に残っている野菜を干して、冷凍保存も可能です。

干し野菜初心者さんはこれを干そう

まずは「きのこ・かぼちゃ・大根・にんじん・さつまいも」など、水分の少ない野菜から。大切なポイントは干し野菜の大敵、湿気。水分が少ない野菜でも野菜を洗った後や切った後にキッチンペーパーなどでしっかり水気を拭かないとカビの原因になりかねませんのでここは丁寧に処理しましょう。

向いている野菜、向いてない野菜

干し野菜の代表といえば、にんじん・大根・蓮根などの根菜類、ピーマン・ナス・オクラ・かぼちゃなども干し野菜向き。干すと野菜特有の青臭さが消えるだけでなくピーマンは苦みを感じにくくなるため、苦手なお子さんもペロリと   食べてくれるはず。また、オクラは干してもネバネバが残り、歯ごたえ抜群の食感を楽しめます。しょうが・にんにく・ねぎなどの少しだけ使いたい薬味も、干し野菜にしておくと使いたい分だけをさっと使うことができ重宝します。
逆に干し野菜に向かないのは水分が多い野菜ですが、トマトは種を取り除き水分をしっかり拭き取ることでおいしい干し野菜にすることができます。また油分が多いアボカド、かいわれ大根など細い野菜は干し野菜には不向きな野菜と言えます。

保存方法と賞味期限は?

乾燥具合によって保存方法、保存期間が異なります。カラカラになるまで干した野菜は密閉瓶や密閉袋などに乾燥剤を入れ、直射日光と湿気を避ければ長期間常温での保存が可能。 半生タイプは袋か保存容器に入れて冷蔵庫に入れておけば、素材にもよりますが3~4日程度、水分が多い場合はキッチンペーパーに包み、2日に1度交換するとより長持ちします。すぐに使わない時はカビの発生を防ぐためにも冷凍保存がおすすめ。かさが減ってスマートに保存できる干し野菜のストックはあと一品欲しい時や忙しい朝のお味噌汁づくり、キャンプごはんにも活躍しますよ。         参:PROKITCHEN

 

 

 

 


vol.214 しょうがいをみつめる vol.7

平たんなうねり

落ち着く、整う、心穏やか。
どれも今の心境を表す言葉にはならないけど、なんとなく心の“うねり”と“うねり”の波間は平たんになっている。
明るく努める、元気よく努める、前向きに努める。
どれも今気にしている事柄を表す言葉にはならないけど、なんとなく衝動の“うねり”と“うねり”の波間は平たんになっている。
まだまだ頻繁に起こる“うねり”を観察しながら、その“うねり”の間隔は広くそして低くなったと感じている。落ち着いているとか混乱しているとかのどちらににも当てはまらない平たんな景色が広がりつつあるようにも見える。ような気がするだけかも。
春から夏に向かうこの季節は2年前に他界した長男を想い、寂しさを纏う時期である。今年も然り、やはり寂しいのである。
2月末に長男の3回忌法要を終え、3月末には香川県三豊市。瀬戸内海に浮かぶ粟島の「漂流郵便局」を訪れた。
届け先のわからない手紙、預かります。行き先不明の手紙が届く小さな島の『郵便局』

~いつかのどこかのだれか宛~
こちらは、届け先の分からない手紙を受け付ける郵便局であり、「漂流郵便局留め」という形で、いつか宛先不明の存在に届くまで漂流私書箱に手紙を漂わせてお預かりいたします。

過去/現在/未来
もの/こと/ひと
何宛でも受け付けます。

いつかのどこかのだれか宛の手紙がいつかここにやってくるあなたに流れ着く。

懐かしい未来への郵便局。漂流郵便局、開局いたします。

【漂流郵便局】
築50年の郵便局を使ったアートプロジェクト。手がけたのは現代美術作家の久保田沙耶さんで、第2回目の瀬戸内国際芸術祭を機に誕生。局内では、全国から寄せられた「誰かに届けたい想い」を綴ったハガキが展示されています。※本物の郵便局ではありません。

三豊市観光交流局HPより

2022年2月に主催したアート展「渾沌の中の調和」の開催前に漂流郵便局留めで長男宛にハガキを出した。彼が繋いでくれた人たちと共に展示という形を取りながら、町なかに空気が広がっていく気配を感じた。その稀有なる縁や彼が存在として在ってくれることを感謝する内容をハガキに記した。2023年2月の展示ではさらにそれは広がり、大きな渦”の”始まりを見ているかのようであった。
訪れた瀬戸内の景色は、美しさや荘厳さ、悲しみや寂しさ、懐かしさや喜びを同時に連れてきた。感情が両極端に揺れるのを平たんな心の景色から眺めていた。そこには優しく海と島々が広がっているだけであった。ハガキを出した時からみると未来である今を優しく抱きしめたいと思えた。そして「ありがとう」と伝えたいと思った。
自分が書く文章、いや今までの会社経営の中でも「衝動」に駆り立てられ実行することは多かった。長男と離れて2年経った今は、臨場感あふれる彼との触れ合いがない。身体にギュッとくる感覚がない。思わず抱きしめる、思わず怒る、思わず笑う、思わず悩む、思わず気づく、思わず……書き留める。臨場感をなくした今は書けない。書きたい衝動にかられない。瀬戸内を訪れて以来そう感じていた。
今感じている景色を表すことは私を困惑させる。それは存在や悲しみを薄れさせ、失っていく恐怖として感じるからである。しかしフェーズは変わろうとしているのだろう。「もう彼に関する文章は書けない」と思っていた昨日を平たんな景色から今は眺めていようと思う。

って、書いとるやん!


MASA:若者をはじめ、障がい者も一緒になって、ごちゃまぜイノベーションを目指している。知的障がいのある息子は享年24歳で2021年2月27日に旅立った。関市在住。

 


vol.214 やってみた 松野 知子さん

やってみたシリーズ第17弾

楽しみを見つけた日々に、今日もルンルン!

松野知子さん(仮名・70代)

いよいよ定年…もう仕事がなくなるの?これから自分はどう生きていけばいいの?という不安があり、思い切って社長に相談しました。ありがたいことに継続勤務となりちょっと一安心。でも仕事を続けるには、体が動くとこが大事。友人の勧めもあり、ジムに通うことにしました。
通い始めて数ヶ月、自分でもだいぶ筋力がついてきたなぁと思った時、コーチからも「筋力がついてきましたね、何かやりたいことはないですか?」と聞かれた時、何気に浮かんだのが「山…山に行きたい」でした。するとコーチから「いい登山クラブをご紹介しますよ」と言われ、早速入会しました。全国規模の山の会で、犬山の会はメンバーが50人ほど。ハイキングから軽登山、沢登り、山スキー、アルパインまでの幅広い活動をしています。そこから私の山歩きが始まったんです。
高い山に行きたいときは、教育トレーニング部で、滑落した時の救助方法、その際のロープワークなど色々教えてくれます。段階を踏んで「いつか自分も」と思っているのですが、私は超初心者。なので、まずは体力をつけるべく、低山からスタートしました。

初めて登った山は夜叉ヶ池山。夜叉ヶ池から岐阜県側を見た景色がすごくきれいで…それで山にハマってしまいました。
見る景色、感じる空気、仲間との会話、全てが楽しくて、下山した時は「次はどこの山に?」と自分に問うててちょっとびっくり。メンバーにはいろんな人がいます。花に詳しい人、キノコが得意な方、山菜なら任せて!という人がいて、頼もしいし、楽しさも倍増します。でも、「連れてって〜」という思いではいけないんですね。「一緒に登る」、という意識でないと。これも例会の時に教わりました。今は先輩方に頼っているけれど、今度新しく入会してきた人を引っ張れるようにならないと、と思っています。
実は私は歩くのが好きではなかったんです。というより「歩けない」と自分で思っていた。ところが今は自信がついてきて、先日は自分が計画を立てて、鵜沼宿からうとう峠を経由して岩屋観音堂、ロマンチック街道で太田宿まで歩く、というコース約15kmをメンバーと歩きました。帰りはJR美濃大田駅から電車。以前、鵜沼に住んでいたのに、地元のことを何も知らなかったなぁ、と思ってこの計画書を出して実践しました。

コロナ禍でしばらく山に行けなかった時期に、この団体の活動報告をしっかり読むようになって驚いたんですが、本当にいろんな人が入会されているんです。最高齢は81歳。平均年齢が65歳くらい?定年で会社を退いた方が多いので、平日も山に行けるんですよね。

山を歩き始めて、自分に自信がついたのも大きかったけど、何より楽しみができたのが大きいですね。人生は楽しまなきゃ!「今度はこの山に行ける!」と思うと仕事も楽しみながらできるしね。今は山に行けるのが楽しくて楽しくて…。

そう語る松野さんはもう次の山を見据えていました。

 

 


vol.214 人生これから ここが知りたい認知症のこと

Kさん:自分や家族の言動が気になる時、何科の病院に行けばいいんでしょう?
田辺:脳神経内科というところに行くのが一番いいと思います。近くになければ、物忘れ外来というのが、いろんな病院に作られていて、脳のいろんな検査をしてくれます。はっきりと脳や脳の血管の萎縮が画像にみられるまでは診断がつかないかもしれない。でもその時にMRIを撮ったなら、後でどこの病院で診てもらっても比較はできるのでMRIのデータは保存しておいた方がいいです。
Mさん:認知症は遺伝や生活習慣、食べ物などと関係ありますか?
田辺:食事の影響や様々な要因が組み合わさって現在のその人の状態なのですから、それをしたから良いとかは言い切れないです。ただ、運動するとか、外に出て行くとか、そういうのはすごく大事なので、家に閉じこもりがちな人はデイサービスなどに行くと良いのかな。
私は今、認知症予防ゲームをやっているんですけど、そこで見ていると予防ゲームに参加する人の方がしない人より認知症の進み具合がゆるやかになる、と私もスタッフも実感しています。でも、ゲームに来ていても、家族との関係などは家庭によって違います。周りの人の対応も大きいです。特に、「あんた駄目だね」「できてないよ!」って出来ない事ばっかり言われるとだんだん萎縮して、転がるように落ちてどんどん悪くなります。本人ができることを見つけて「これやってほしいわ」と言うとやれることも多いんです。周りの人は心配のあまり本人ができることを先回りしてとりあげずに、できる事を増やすように関わってもらいたいです。
Tさん:それは認知症に関係なく人間関係ですね。
田辺:要は関係作りをいかにしていくか、っていうのが一番大事なところだと思いますね。それしかないと思います。
Mさん:認知症から鬱になったり、精神障害になったりすることもありますか?
田辺:動きが悪くなったり沈みがちになったとか、その辺も病院で見てもらわれると良いでしょうね。認知症によって鬱になるということもあるし、反対に、鬱だと思っていた、人格が変わってしまって精神障害かなと思っていたのが実は認知症だったということもあります。その辺も病院で脳の検査をしてもらうとわかります。
Hさん:最近私、物忘れが多いんですけど、加齢によって、みんな脳が萎縮していくんですか?
田辺:そうです。でも、先日ラジオで聞いたのですが、「海馬の萎縮からくるアルツハイマー型認知症は、物忘れではなくて、記憶の玄関である海馬そのものが扉を閉ざしている状態」だそうです。新しく情報が入ってこないからいろんなことがやれないようです。何度言ってもできない、と周りは思うかもしれないけど、言われたことが理解できないという事のようです。昔できていたことは残っているでしょうね。
Mさん:私たちは今はまだ認知症になっていないと思うので、今のうちに自分ができることを増やしておいたほうがいいよね。そういうことならできるね!


4大認知症

1.アルツハイマー型認知症
脳の中にアミロイドβなど「脳のごみ」と呼ばれる不要なたんぱく質が溜まり、それによって、神経細胞が変性し、死滅。そのうち脳の海馬や頭頂葉などが萎縮して、認知症の症状が出てくる。認知症のなかで最も多くみられるタイプで、症状は物忘れなどの「記憶障害」から始まり、自分のいる場所や時間などがわからなくなる「見当識障害」、物盗られ妄想、徘徊などの一般的にイメージされる認知症の症状が出現する。

2.血管性認知症
脳梗塞や脳卒中、くも膜下出血など、脳の疾患が原因で発症。脳の認知機能を司る部分(前頭葉、頭頂葉、側頭葉、後頭葉、海馬など)などで血管が詰まり、十分に酸素や栄養を送れなくなることで細胞が死滅。主な症状は、「記憶障害」や「判断力障害」など。一日のうちでも症状に波があり、認知機能はまだらに低下していく。さらに、感情のコントロールが効かなくなり、すぐに泣きだしたり、怒りだしたりする「感情失禁」も多くのケースでみられる特徴。

3.レビー小体型認知症
レビー小体とは、脳の神経細胞にできる特殊なたんぱく質のこと。レビー小体がたくさん集まる場所では神経細胞が破壊され、命令がうまく伝達されなくなる。後頭葉と呼ばれる視覚を司る部位にレビー小体が集中して発症すると幻視の症状が出る。みんなの「家の中に知らない人がいる」「服の中に虫がたくさん入ってきた」など、現実にはないことを言い出すようなことがあれば、レビー小体型認知症を疑うことも必要。

4.前頭側頭型認知症(FTD)
脳の約4割を占める前頭葉と側頭葉が萎縮し、血液の流れが滞ることで発症するのが前頭側頭型認知症。初期段階では、認知症の一般的な症状である物忘れよりも、性格の変化や異常行動が目立つ。人格の変化や異常行動が現れるため、精神疾患と間違われることも。また、罪悪感がなくなることから、万引きや痴漢を起こしてしまうケースがみられる場合もあるので要注意。                                                             みんなの介護 より抜粋

 

 

 

 

 


vol.214 熱中人 都竹 政貴さん

一人縫製の現場から見えるコト、見えないモノ

メルチデザイン 都竹 政貴さん

 

バクまくら
tomoniプロジェクトで「僕ら専門家(陶、ガーデン、服などの表現者)と障がいのある表現者の作品を掛け合わせて何ができるか」そんな取り組みに参加させてもらった時に、伊藤淳司さんとつながりました。(P-15ボーダーレス社会を目指して イラスト作者)淳司さんと雑談をしながら、彼が描いた絵をたくさん見せてもらいました。「どれが一番好きなの?」と聞いた時に、バクのイラストを出してきてくれたんです。「じゃぁ、これで何を作ろう」と話し合いました。
バクは夢を食べるよね。「そうだ、怖い夢を食べてもらえる枕にしよう」ってことで、バクまくらを作ることに。安眠する枕だから、枕の中身のそば殻は近所の蕎麦屋さんからもらって、薪で炊いて煮沸消毒。そのあと天日干し。「いい夢を見てもらう」というのがコンセプトのちょっとこだわったバクまくらを作った。淳司さんの書いたバクの絵も素敵だし、寝室にバクがいるっていうだけで、安心感を得られるんじゃないかな。

最高の生地に出会って
tomoniつながる和綿プロジェクト※でいろんな人とつながっていく中で、特にリトアニアでリネンを育てている、カミンスカスさんが面白くとても印象に残っています。リトアニア(エストニアやラトビアと共に、1940年以降ソ連に併合されていた。1990年に独立回復宣言)がもと旧ソ連に併合されていた頃、国中がリネン畑だらけだったんだって。彼が子どもの頃は「青い花が咲く頃には青空が下に落っこちたんじゃないかっていうくらいの景色があったんだ」って。ソ連が崩壊して、リネン産業が衰退。青い色が消えてしまったことを憂えていた彼は、昔ながらのやり方でリネンを育てようと一念発起。そんなカミンスカスさんが原料を送ってくれた。それが生地になった。ものすごく肌さわりがよくて、ワンピースドレスを作りました。自分の中では、この生地は寝具とかパジャマがいいんじゃないかという思いがあり、和綿プロジェクトでできた生地で、もう一回バクまくらを作ったんです。今度は、墨でシルクスクリーン印刷。完全に乾ききっていなかったのか、一回洗いをかけたら、墨が溶けて、墨染めになっちゃった。全体を見るとそれはそれで悪くはないんだけど、今の段階では洗濯機では洗えない。商品化にはまだまだ課題が残りました。
アートと福祉
伊藤さん(淳司さんのお母さん)にはできればこれを「売れるようにしたい」と話しています。これでお互いに収益が上がれば、と。福祉とアートをつなぐ、まさにコラボレーションです。ただ何をもって福祉というのか、自分はあまりよくわかってないんです。障がいのある人の創造性を支えるというか、実はお互い様なんですけどね。でも、専門家とコラボすることで、色々な接点が生まれて来るんじゃないかと感じてはいます。
自分はかつてべルギーのアントワープ王立アカデミーという、ヨーロッパでも歴史ある美術大学のオープンスクールで学んだのですが、そこで感じたのは、モード科、テキスタイル科のレベルがすごく高いということでした。そこで出会って仲良くなった日本人とある時、「目を隠して過ごしてみよう。 時間でやめる」と決めてスタート。目から入る情報が何もない状態で、コーヒーを飲みたくても、どれくらいが一杯なのかわからなくて…。夜になると、外も部屋も真っ暗。急に暗闇の怖さが襲ってきました。でも、そういう疑似体験を重ねることで、立場の違いを理解できるようになればいいなと思いますね。そこにどうアートを絡めていくか…。

アートの役割
体力には自信があったけど、9年前に潰瘍性大腸炎を患って、一ヶ月半の入院生活。あっという間に筋力が衰えました。退院しても足腰が痛いし、仕事はできないし…。そんな時に、近所の第2いぶきさんが、非常勤で来ないかと声をかけてくれたんです。そこで最初に「百々染め(草木染め)」を仲間たちと取り組みました。第2いぶきは結構重度の方が多くいろいろ学ばせてもらいました。ただ、自分自身の体が弱っていたのもあって、職員より仲間たちと一緒に話をすることが楽しいし、気持ちもよかった。もちろん難しいこともありますけど。
障がい者って、一括りにはできないですが、昔は大変だったと思うんですよ。差別とか偏見で隠されちゃったりとかして。やっと今になって、障害者差別禁止法ができて、是正されつつあるように思いますが、まだまだ昔を引きずっている感じは否めないですね。そんなこともあって、「アートの役割の一つには福祉とつながりあうこと、そして、ともに支えあっていけること」なんだと思っています。

tomoniつながる和綿プロジェクトとは 日本の風土と日本人の肌に一番なじむ繊維である「和綿」を通じて、 人と人、人とモノ、モノとコトがつながる物語を紡ぎ、 アート、デザイン、ビジネス、福祉の分野をつなぎ、新たな出会いと仕事が生まれる場をつくりたい――そんな願いを込めたプロジェクト

 

つづくまさき●メルチデザイン デザイナー・服飾作家・コラボレーション作家。
1971年生まれ。岐阜県立岐南工業デザイン科卒。デザインから縫製まですべて一人で行う。地元縫製工場にて技術を身につけた後、独自のパターンメイキングで制作。
1996年 個展「大量生産できない服」 MELCHI DESIGNSを始める
服の原料(種から)づくりを実施。


vol.214 夢か悪夢かリニアが通る!vol.43

リニア中央新幹線を巡る対照的な2つの集会が5月末、東京で開かれました。一方は、「講演&シンポジウム 立往生するリニア建設」。7月18日に東京地裁で予定されているストップ・リニア!訴訟判決を前に原告団などが主催、「リニア新幹線と南海トラフ巨大地震」(集英社新書)の著書がある地震学者で神戸大学名誉教授の石橋克彦さんが講演しました。もう一方は、「リニア中央新幹線建設促進期成同盟会」総会です。こちらは沿線10都府県で構成し、リニアの早期実現を目指す会。昨年7月加盟した静岡県の川勝平太知事が出席するとあってマスコミも注目する中の開催でした。今回はこの総会でどんなことが語られていたのかレポートします。                     井澤宏明・ジャーナリスト

 

「リニアムラ」の住人たち

「進捗率」には触れず
リニア建設促進期成同盟会の総会は5月31日、東京・永田町のザ・キャピトルホテル東急に約260人を集めて開かれました。副会長の川勝知事が登壇したのは会長の大村秀章・愛知県知事らに次いで3人目。冒頭、「静岡県は一貫してリニアに賛成しております」と述べると、少なからぬ出席者は顔を見合わせ、驚きの表情を見せました。
続いて、静岡県が県内の着工を認めていない南アルプストンネル問題に言及しました。「南アルプス工事を含め、トンネルを掘ると2つの問題が出てきます。1つは水です。もう1つは掘削土です」。川勝知事は具体的な課題を列挙した上で、「これらを合理的に解決すれば、何の支障もない。ぜひぜひ皆さま方のお知恵を拝借し解決しながら、リニアの成功に向けて協力したい」と挨拶を締めくくりました。が終始、不機嫌そうな大村知事の表情が印象に残りました。
他の知事は競い合うかのように、いかに県内の工事が順調に進んでいるかということをアピールしました。
「トンネル区間は9割強が契約。明かり(地上走行)区間は、釜無川橋梁に続き、笛吹川、濁川橋梁が着工するなど、県民に目に見える形で着実に進捗している」(長崎幸太郎・山梨県知事)、「県内の工事契約率96.9%ということで、発生土の処理の問題を始めさまざまな課題があるが、一つ一つ解決しながら事業が着実に進められてきている」(阿部守一・長野県知事)、「岐阜県も順調に進んで来ており、工事が本格化したという状況。その象徴が昨年6月の岐阜県駅舎本体の起工式で、いよいよ始まるなということを実感している。15工区のうち13工区の契約が実施済みで、12工区で既に工事が進んでいる。全体の91%」(古田肇・岐阜県知事)
どの知事も工事の「契約率」は明言するのですが、工事の「進捗率」には一切触れません。なぜなら、各都府県の工事は大幅に遅れており、川勝知事が昨年9月、神奈川県視察の際に指摘した「不都合な真実」だからでしょう。

アセス開始をごり押し
来賓はリニア「夢物語」を次々と披露しました。「早期実現を目指す議員連盟」の高市早苗衆議院議員(奈良県)は「大地震が来た後のことを考えてみてください。(リニアが走る)大深度は比較的強いですから、何とか流通が維持される。今朝もJアラートが鳴りました。飛来物があったときでも避難場所としての考え方もできるんじゃないか」と呼びかけましたが、冒頭の石橋名誉教授によると、南海トラフ巨大地震発生時に起こる「複合災害」では、津波被災者などから救助要請が殺到し、南アルプス山中のトンネル内に停車したリニアの乗客を救助する人員は割けず、JR東海は原発のような自主防災組織を用意する必要があるといいます。
総会では、「名古屋・大阪間については、(中略)2023年から環境影響評価(環境アセスメント)に着手すること」とした決議を採択しましたが、JR東海の宇野護副社長は今年4月11日、国の有識者会議後の私の質問に「(名古屋)以西のアセスについては、静岡工区着工の見通しがついて、(品川・)名古屋開業の見通しがハッキリした段階で考えていく話なので、今年やるというのは考えていない」と否定しています。
どこか浮世離れした「原子力ムラ」ならぬ「リニアムラ」の住人たち。「不都合な真実」からいつまで目を背け、ごまかし続けるのでしょうか。


vol.214 ボーダーレス社会をめざしてvol.73


NPO法人オープンハウスCAN 理事長 伊藤佐代子

障がいを知る

「交通事故にあったの?」「ばあばって、ガンもして交通事故にもあって、大変やなぁ」と孫が言った言葉に笑ってしまいました。
確かに大変でした。11年前に胃がんになり、4年前に車にはねられました。ちょうど今頃です。その頃の気持ちを忘れないように記録を残しておきました。今は気持ちの整理ができているので、書いてみようと思います。
『自転車に乗っていた私は、乗用車にはねられた。足が動かない。救急車を呼んでもらい、病院に運ばれた。レントゲン検査では、骨に異常はないとのこと。簡単な手当で、自宅に帰ることになった。帰りは車いすに乗らないと動けない。両足が動かない。家に帰り、寝て動かしてみても、両足とも動かない。腰が痛く、動けない。右にも左にも動かせない。一晩過ぎて、朝起きるのにも15分以上かかったが、動けた。しかし、腰が痛くて、起き上がれない。腕の力を使い、起きてみると足は動いたが、一人では立てない。何かにつかまってだったら、動ける。足が動いたことに感謝する。キャスター付きの椅子を杖替わりにする。椅子がないと動けない。左の腰を強く打ったため、整形外科で左膝に電気を流す電気治療をしたためか、痛みが少なくなった。しかし、右足は、特に悪くないだろうということで、そのままにしておいたら筋肉が収縮してしまい、股関節に激痛が走り始めた。約3週間歩けなく、右足の筋肉は衰えていった。お医者さんに右足も電気治療をしてほしいとお願いすると3日ほどで激痛はなくなった。が、筋肉の収縮はすさまじいのと、筋肉の衰えで足が動かなくなっていた。理学療法士さんにつき、筋トレを始める。両足とも衰えていたため、膝がぐらぐらする。毎日スクワットなどをし、鍛えなおす。日にち薬で徐々に歩けるようになる。足元に落としたものが拾えない。階段が上がれない。身体障がいの人の辛さが分かった。また、車に乗せてもらうのも、自由ではない。遠慮しつつ、運転手に気を遣う。なんて自由がないのかと思う。きっと知的障がいの方もこんな思いをしているのだろうと思う。遠慮しつつどこかに出かけるより、自転車、歩きで自由にと思うのも分からなくない。今回の事故は、まだまだ修行が足らない私への試練だったようだ。弱者の気持ちが十分わかり、人の優しさが分かったのは間違いない。』と綴られていました。
自分の行きたい所へ行けない。なんて辛いことなのでしょう。一度、どうしても本が読みたくて、本屋に行きたいのに行けないことがありました。自分の思いは封印せざるを得ない。諦めるしかありませんでした。 こんな生活は、ひょっとしたら障がいのある人は、日常茶飯事なのかもしれないです。支援者が、嫌だと拒否したら、障がいのある人は自分の意思があってもその通りにはならないのではないでしょうか。自分自身が、障がいのある本人になって初めて分かりました。もちろん頭の中では、今まで十分、分かっているつもりでしたが違っていました。本当の辛い気持ちを、体で、感覚で知りました。人の気持ちは、想像はできますが、本当に想像していることが合っているかどうかは全く分かりません。
今では、痛みはもちろんありますが、歩けるようになりました。自分の体は、自分で治すという体操に巡り合ってからは、毎日15分程度の体操と    のトリセツショーという番組で紹介されていた「血管のばし」を朝晩10分やることで健康な体を取り戻しつつあります。限りある人生、健康が一番です。