投稿者「にらめっこWeb版スタッフ」のアーカイブ

vol.179 天然のくらし応援団 第12回


要注意!アトピービジネス
「アトピー性皮膚炎は良くなったり悪くなったりを繰り返す、かゆみのある湿疹を主な病変とする疾患」です。アトピー性皮膚炎(以下、アトピー)の患者はかゆみに苦しみ、肌をかくことで皮膚を痛めることがあります。無理解な人はそれを恐れたり、嫌がったりします。このため患者は人前に出るのをためらい、時には引きこもることさえあります。保護者の苦労も大変で、夜でさえ十分眠ることができません。
アトピーは先進国に多いといわれます。日本にも多数のアトピー患者がいますが、他の国とは異なる2つの特徴があります。それはステロイド恐怖症とそれに便乗したアトピービジネスです。ここでステロイドとはステロイド系抗炎症薬のことです。

ステロイドを恐れるのは
アトピー治療に使うステロイド外用薬は注意深く使用すると非常に有効な医薬品で、重い副作用はほとんど出ません。しかし、強い外用薬を漫然と長期間使うと、皮膚萎縮(皮膚が薄くなる)や紫斑、毛細血管の拡張、皮膚感染症などが起こることがあります。ステロイド注射薬や内服薬による副作用が、通常の外用薬使用でも生じるという誤解が一部にあります。この様なステロイドのよる副作用を1990年ごろのマスコミが取り上げ、人々はに不安になりました。この不安を「ステロイド恐怖症」と呼ぶ人々もいます。

アトピービジネス
患者の不安につけ込む形で様々な形の商売、アトピービジネスが現れました。それはアトピーに効くという高価な水や温泉水の販売(害にも薬にもならないだけまだ良いでしょうか)や、宗教、化粧品、エステサロンなどです。アトピービジネスが好ましくないのは、(1)患者が有効な治療を受ける機会を奪い、(2)高額な治療費を出させることが多いことです。その例を少し見ましょう。

ステロイドが入っていないクリーム?
ステロイド入り化粧クリーム「NOATOクリーム」を販売したとして、警視庁は2009年8月、東京都新宿区の輸入販売会社イエス・オーケーの5人を薬事法違反の疑いで逮捕した。同社はインターネットなどで「ステロイドは一切含まないので、赤ちゃんや妊婦も使える」などと宣伝し、約4000万円を売り上げたという。「かってはステロイドが化粧品に入っていた時代がありました」と書きたいのですが、東京都は2016年5月にアトピーに効果があると宣伝するステロイドの入っていた「ばらクリーム」の製造・販売の中止をを指示しました。外国からもステロイドが含まれている類似品が入り込んでいます。

エステティックサロンでも被害が(科学的そうな説明)
過去にアトピー性皮膚炎にかかっていたが、良くなっていた女性(20)は、肌をきれいにとエステティックサロンに行った。従業員の過去にステロイド剤使用の有無を質問。女性は5、6年前まで使用していたと答えた。従業員は、ステロイド使用経験者は超音波美容器具使用によって肌の中にあるステロイドがリバウンドして症状が出ることがあるが、3カ月後には治ると説明。超音波による顔面エステを受けたが、翌日顔が赤く腫れ、かゆみを感じた。エステ店店長はステロイドによるリバウンドで、3カ月の辛抱だという。アトピーが体にも出てきたので相談すると、従業員は血液が流れているから体にも出ると答え、ストロイド剤の悪影響を繰り返し説明した。3カ月というのはエステエキスなどを飲めば3カ月で治るのだといわれ、高価な品を購入した。
その後1年半たっても悪かったので、皮膚科の診察を受け、ステロイドやアトピー性皮膚炎の説明を受け、ステロイドを使用する治療を受けた。エステティックサロンに損害賠償を請求し、2001年東京地裁で勝訴し、高裁で和解。(国民生活センター、2003年)。

医学界の対応
医学界は自分らにも責任があるこの様な状態の是正に取り組んでいます。日本皮膚科学会は「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2016年版」を発行し、適正な治療の進め方を示しました。さらに、アトピー患者や保護者が病気や治療を十分理解できず不安を持つので、適切な治療ができていないと認め、医師などによる複数回の患者教育の必要性に気づき、患者が治療方針を守れる方策を考え、ステロイド以外の新しい医薬品も示しました。

困った時は、思い出して下さい。
・ステロイド外用薬は炎症をなくし、 アレルギー反応を抑える即効性が ある薬です。通常のステロイドに 重い副作用はありません。
・信頼できる専門病院に行き、良く 相談し、説明を良く聞いて下さい。
・科学的と思えるような説明でも、 うかつに信じるのは止めましょう。
・インターネットや雑誌などに出て くるうわさや宣伝などは鵜呑みに しないで下さい。

わたなべかずお:福島県生まれ。新潟大学卒。浜松医科大学勤務(脳研究と教育に従事)医学博士、各務原ワークショップ主宰(毎月第4木曜日13:00〜渡部宅(各務原市蘇原東栄町)主に健康と環境に関することの勉強会)参加希望者はbandaikw@sala.dti.ne.jpまで


vol.179 プレゼントコーナー


プレゼントご希望の方は
ハガキまたはe-mailで、下記のアンケート1〜6をご記入の上、編集部・プレゼント係りまでお送りください。
〆切:9月25日 当日消印有効。
Aはにらめっこ編集室に受け取りに来ていただける方。
宛先:〒504-0855 各務原市蘇原新栄町2-25
e-mail: info@niramekko.com http//www.niramekko.com
※お寄せいただいた個人情報は、本紙プレゼントの発送に限り、
使用させていただきます。

アンケート
1- あなたの「心に響いた言葉」をおしえて!
有名人、親、映画や本など…あなたの心に響いた言葉はなに?
2- 気になるにらめっこ紙面での広告
3- 気に入った記事、気に入らない記事のタイトル1つ
その理由もお書きください。
4- ご希望のプレゼント名 (第1希望・第2希望)
5- 本紙をどこで入手されましたか?
6- 氏名、年齢、住所、郵便番号、電話番号、家族構成

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A.無農薬 ほうじ茶  ちゃぼぼ園様より…3名様

香ばしい香り、スッキリとしながらも深い味わいのほうじ茶です。760年の歴史を持つ旧春日村の在来種の茶木は、地中深く深く根を伸ばします。化学肥料も、農薬も使わず、自然の恵みだけでゆっくりと育ったお茶を味わってみて。
P11参照してね。※にらめっこ編集室でお受け取りください。

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B.CINEX 映画招待券  シネックス様より…ペア3組様

もしもあなたが主人公だったら、どんな決断をする?どう生きる?名作といわれる映画に触れることは、自分の内面をより豊かにすることに繋がっている…という言葉を聞いたことがあります。写真は「ギフト 僕がきみに残せるもの」より。

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C.冊子「心身を害するミネラル不足食品」 にらめっこより…2名様

今号のにらめっこで特集した「ミネラル」。NPO法人「食品と暮らしの安全基金」が発行するこの冊子は、コンビニ弁当やスーパーのお惣菜、冷凍食品など、つい気軽に手が伸びる身近な食品をミネラルにフォーカスして分析しています。

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D.アートギャラリー是 呈茶券アートギャラリー是様より…3名様

木々に囲まれ落ち着いた大人の空間でゆったりと過ごす…。たまには日常から離れ、そんなひと時も大切にしたいですね。呈茶券は珈琲、和紅茶、玄米コーヒー、抹茶のいずれかにご利用いただけます。添えられたビスコッティも好評ですよ。


vol.178 アウトドア特集


焚き火の魅力
焚き火には不思議な力があります。火を見つめていると心が落ち着きます。童心に戻った気持ちになります。いつもだったら自分を良くみせようと力んだり意識したりする。肩に力が入った感覚が次第に和らいでいきます。話したくなければ話さなくたって大丈夫。焚き火を見つめていたらいい。それを許してくれる空気感。自然なながれで「安全、安心な場」ができていきます。焚き火を囲んだ人同士は初対面でも距離感がなくなり、知らない間に仲良しになります。
綺麗な芝や草地のキャンプサイトが、直火禁止なのは当たり前。禁止される理由として、地中の微生物を殺してしまうからということがあちこちで囁かれています。
確かに、自然への影響を考えれば、直火は影響が無いとは言えないでしょう。しかし、これも反論があって、
・焚き火をした痕の地面から、数ヵ月後には植物が立派に生えた。
・焼き畑農業はどうなるんだ!?むしろ作物を育てるのに有効な方法として、昔からあるじゃないか!!
・微生物と自然の回復力を考えたら、影響は無いはず。
なんて意見も聞こえてきます。
実際、数十年前から直火禁止のキャンプ場が多い海外では、その理由として、微生物の問題ではなく、キャンプ場には痕跡を残さず、感謝のみ残す。というモラルがキャンパーに存在しているからのようです。アウトドアアクティビティの先進国ならではですね。アウトドア総合研究所より


COLUMN
脳にも効く!焚き火
焚き火は注意力や現場対応力など、大げさではなく「生きる力」を身につけるのに最適。
「自然の中で過ごすキャンプは子供にさまざまなことを教えてくれ、日常では巡り合えない多くの体験をさせてくれます。たとえば、昆虫はどんなところ に棲んでいるか。木登りに適しているのはどんな木か。効率よく魚を捕まえるには、どうやって川の流れをせき止めればいいか。どんな木を集めればいい焚き火 ができるか(略)自然はどんな図鑑よりも多くのことを教えてくれます」 「遊びながら発想力アップ!アウトドア術」より

 

ちょっと大人なトルティーヤ
ガスとフライパン持参で、ワインにも相性ぴったり!
トルティーヤを作ってみよう。
★材料(2人分・6枚)
・薄力粉(60g)→大7.5杯・強力粉(60g)→大7.5杯
・オリーブオイル(大さじ2)・砂糖(小さじ1)
・塩(2つまみ)・水(200cc)
★作り方
①上の材料が全て入る容器に素材全てを入れます。
※我が家ではクッカーに水から入れます。内側に目盛り付きなので、水の計量も計量カップ無しでできちゃいます。
②ダマが無くなるまでひたすらかき混ぜる。
③クレープ作りの要領でフライパンに適量を入れて伸ばし、表面にこんがりと焼き色が付くまで両面焼く。
こちらでトルティーヤの生地が完成です。食感はクレープとホットケーキの中間といったところです。簡単に作れますし、しっとりとしていてかなり美味ですよ~!
この生地に、レタスやウィンナーなどお好きなものを巻いて完成です。

【トマトとひき肉のペースト】
★材料
・トマトペースト(150g)・ひき肉(100g)
・タマネギ(1/2個)・塩コショウ(適量)・オリーブオイル(適量)
★作り方
オリーブオイルでひき肉・タマネギを炒め、火が通ったらトマトペーストを投入しひと煮立ちさせる。塩コショウで味を整えて、粗熱を取り完成。簡単にササッと作れます。人数が多くても、材料の液を多く作っておけば生地を大量生産できるので大人数のキャンプやパーティーなどでもオススメのレシピです。トルティーヤにお好きな食材を巻いて!

 

一斗缶でピザ

小麦粉に重曹を使って生地から作る!焼きたてはやっぱりおいしいよ!!生地を作るのめんどくさ〜い、という方には市販の餃子の皮でミニピザはいかが?トッピングが楽しくて、子どもたちとアイデアを出し合って、いろんなテイストを楽しめます(^o^)。


vol.178 健康回復学

「書く」トレーニング
生きる意味、目的、夢を見つけるために書く

 夢や目的、そんなものはなくてもいいんじゃないの?ただ今を楽しむ、今の一瞬一瞬を充実して生きる。ゆっくりと呼吸し、ほほえみを浮かべ、自然と共に生きる。生きる意味、使命などとは関係なく生きた方がいいのでは?
目的がなくても今を大切に生きる。自然と解け合い、今日の糧だけ自然からいただき、質素に暮らすことができれば、心は穏やかでしょう。
しかし、多くの人は目的を持たずに生きていると、なぜか活力がなくなります。さまよっている感じになります。そうなると気づきます。夢や目的、人生の意味や意義—これこそ人間が発明した最高のエネルギー源だと。
「思い、考え方」が、感情も、行動も、健康も左右することを考えれば言葉という思考の素材にアプローチします。言葉を声に出したり、文字にしたりします。特に書くという行為は脳神経細胞に多大な影響を与えます。文字に込めたエネルギーは大きいのです。

まずノートを準備し、書きます。何を描こうか考えると書けなくなります。でも、何事も訓練、慣れです。最初は殴り書きでもいいです。ノートには最初に思いついたことをページの中心に書きます。言葉のスケッチです。池の真ん中に最初の言葉を投げて周りに波紋を拡げるように書き広げていきます。ミクロの世界では考えただけで変化しています。書いたらもっと変化します。思考の広がりを感じることができます。

1.まず子ども時代に楽しかったことを書き出します。
2.自分に起ったちいさな感動、ささやかだけど誰かに喜んでもらえたこと。
3.自分の長所を書いてみます。得意なことも書きます。
4.何をしているときが楽しいか書きます。どんなことが嫌いか、不愉快かも。
5.どんな人が尊敬できるか、好きか、リストを作ってみます。
6.他人にどう評価されたらうれしいか。
7.自分の価値観、言葉のクセ、考え方のクセについて書いてみる。
8.夢、希望、手に入れたいものをランダムに。
9.自分の人生のキャッチフレーズを考えてみる。変なたとえですが、お葬式の時に友人にどう言ってもらいたいのか・・・そんな言葉です。

 

「思考」トレーニング
より良い解釈ができるようになるために

考えることは人間にとってあたりまえのこと。
ところが、窮屈な考えをしてしまうとたちまち気分は悪くなります。考えることで次々と感情が生まれてくるのです。悪い考えは不快な感情を生み出します。良い考え方は穏やかな感情をつくります。

健康回復学では細胞もまた心を持ち、振動を発信し、脳も内臓も思考を司っていると考えます。頭でわかっていても、なぜかお腹あたりで納得していないことがあります。
これこそ内臓の細胞たちが脳の細胞たちと判断が食い違っていることを示唆していると思います。
生体は細胞間の情報ネットワークです。細胞には数億年の記憶が振動情報としてインストールされています。前世の記憶がメディアで話題になったりしますが、過去の記憶はチャンネルのあわせ方がわかれば、たまたま偶然引き出されることがあると考えます。

再び考えること そのメカニズムについて
考えることについてもっと意識してみます。朝起きてから夜寝るまで次々となにかが目の前で進行していきます。それらに必ず意味づけをしていきます。その意味づけをするとき、今までの体験、知識をたよりにしています。その時、短絡的に意味づけると怒りや悲しみや苦しみという感情が生まれます。わからないことがあり結論を出すには不十分だと判断すると、なんとなく不安は感じるものの、強いマイナスの感情にはなりません。

「思考が感情を生み出す」と言うことを確認しましょう。
落ち着いて次のことに思いを巡らせば感情のコントロールはできます。
1- 自分が知っていることには限界がある
2- 自分が信じていることも完全ではない
3- 相手が言葉使いを間違うこともある
4- 自分にはない考えが相手にはある
5- 立場で見方は変わる
6- 社会や家庭の価値観はみな異なる

人はみな基本的に自己中心的です。自分の利害を守ることを優先します。利害が守られるなら守られる理論を作ってしまいます。
それぞれ家庭の価値判断は違います。それが知らずしらずにその人の考えの基準になっています。ですから、他の人と憶測、想定が異なり、意味づけが異なるのは当然のこと。ですが、どれだけ相手を尊重できるか、より良い考えが見つけられるか、双方の未来に向けて考えられるかが問われます。
この意味で目的や夢が明確にあれば良い思考がしやすくなります。またこころに余裕をつくります。
私たちは日々、思考を修正、改善しながら生きています。良い思考はよい感情をつくります。良い感情は良い伝達物質、ホルモンを出し細胞、臓器の活動を適正にします。血圧、体温、呼吸、脈拍を正常に保ちます。
「良い思考」が「生きる意味づけ」が精神を活性化し病気を勝手に治していきます。これが健康回復のエッセンスです。

もし仮にひどいことが起こったときは?
① ひとまず深呼吸
② 思ったほどひどくないと言い聞かせる
③ 冷静に対処すれば必ず解決する、と考える
マザーグースに「この世の問題はみんな解決法が1つあるか、ないかだ。あるなら見つけ出せ。ないなら気にしないことだ」
④ 緊急でなければ判断を保留。明日になれば別の選択もできる。何か行動すればより的確な情報がやってくる

6つのエネルギーの充電

生きていればエネルギーは常に使われます。人間にとってエネルギーは大きく分けて6つあります。食、光、音、かおり、情報・智恵、友情・愛情です。

その中で今回は「音」にフォーカスしてみます。生物は音に敏感に反応します。音はすなわち振動ですから、細胞にもミトコンドリアにも原子にも影響を与えます。不快音が聞こえると血圧が高まり、心拍、呼吸が速まり、血中に脂肪が放出され血中のマグネシウム濃度が高くなります。心臓病等では不快音は患者の生死に影響します。
音楽は私たちの体に物理的な変化をもたらします。特定の音には心を鎮める作用があります。お経も教会音楽も治療の一環と言えます。除夜の鐘も生体に潜む悪い振動を追い出す働きがあることを昔の人は理解していました。お祭りや儀式に音楽は欠かせません。音の振動でこころを揺らし感動を増幅させるのです。それが心を軽くし、気晴らしともなるのです。
すべてが振動であり音楽だとすれば地球上の生命は石や土も含めすべて音楽を奏でているのかもしれません。私たちはその自然の音を聴いて、こころの調整を無意識に行っています。
宇宙は4ヘルツの振動でゆっくりと世界をおおっています。地球もまた8ヘルツ弱で私たちの地球上の生命にかすかな安らぎの音楽を奏でています。最近の研究者はこれらの低周波機器の開発と患者の実験から脳神経に対する効果を証明しています。
残念なことに、私たちの細胞の振動を調整してくれるこれら宇宙や地球の振動が、文明の人工物によってかき消されて届かなくなりつつあります。環境破壊はこのようにダイレクトに人間の健康に影響を与えています。いずれにしても音には健康回復の鍵が隠されていると思います。

免疫力が強くなる
『言葉の法則』

工藤清敏・著


vol.178 チョ〜!超〜!腸に、ご注目!!


いちばん賢い臓器は、脳ではなく腸

人間の脳細胞の数は数千億個のスケールで、日々、私たちが使っている細胞はわずか10%といいます。脳が秘めた潜在能力はまさに無尽蔵であり、脳の中に張り巡らされた神経系は高レベルで進化し、多様性にあふれているといえます。しかし、生物の進化をみると、最初に神経系が誕生したのは脳ではなく【腸である】という意外な事実が明らかになっています。

生命や細胞の長い歴史の中で、最初に特殊化した細胞がニューロンです。ニューロンは神経系を構成する細胞で、情報の処理や伝達に関わる重要な役割を担っています。いわば「知」に特化した特徴を有し、人間の場合には、円滑なコミュニケーションをやりとりする上で欠かせない、最も重要な神経系の細胞といえます。そのニューロンが生物史上で最初に出現したのはヒドラ、イソギンチャク、クラゲ、サンゴなどの腔腸動物の腸の中でした。腔腸動物は腸が脳の役割を果たしているのですが、それは腸が脳の「原型」であることを物語っています。

脳は腸から進化してできた

ここで「最初に腸ありき」を理解してもらうためにも、ごく簡単に進化の話しをします。動物は腔腸動物を基にして、2種類の系統に分かれて進化しました。一つは昆虫を頂点とした「腹側神経系動物」で、もう一つは脳を有するほ乳類を頂点とした「背側神経系動物」です。一方、腔腸動物から背側神経系動物の進化した動物は「後口動物」。最初のステップとしてウニ、ナマコ、ヒトデといった無脊椎動物の棘皮動物から始まります。そして、背側神経系動物の頂点に立つほ乳類、さらにそのトップの座に君臨する私たちヒトの大脳皮質の発達した脳にたどり着くのです。
動物の脳の進化をふりかえってみると、間違いなくいえることは【最初に腸ありき】ということです。脳は腸から進化してできたものであり、私たちヒトの脳もそのルーツは腸にあったのです。

腸は有害物質を下痢で体外に排出する

イラスト:「腸能力」より

人命を奪ってしまうような細菌やウイルスが含まれた食品を口にするとき、脳はそれが安全かの判断がまったくできません。食中毒を起こす菌が含まれていても「食べていい」というシグナルを出してしまいます。有害な食物などが腸に入ってくると、腸は大量の液体を分泌して下痢を起こさせます。その有害度が高ければ、下痢にとどまらず嘔吐の指令も出します。下痢や嘔吐は生態としての優れた防御反応であり、腸がこの指令を出さなければ人間は生命を維持できないと言っても過言ではないのです。

 

腸が嫌うことは、脳も嫌う

ここ数年、臓器移植の話題が多いのですが、たとえ脳死状態になっても腸はその後も機能し続けることができます。反対に、腸の機能が停止してしまったら人間は自力で生きていくことは不可能であり、当然脳も停止してしまいます。
これに加えて、知能の面でも「腸脳」に軍配が上がります。いまだに腸は消化・吸収を目的としているととらえがちですが、人間の感情や気持ちを決定する、神経伝達物質の多くは腸で作られているのです。「腹が煮えくりかえる」「断腸の思い」「腹をくくる」「腹を探る」など、人の気持ちやこころと腸や腹を関係づけた表現が多いのは脳と腸の関係が影響していると考えられます。
こうしてみると、「第二の脳」である「腸脳」からドーパミンやセロトニンといった「幸せ物質」がつくられていることがあたりまえのように思えてきます。
「腸は第二の脳である」。したがって、脳がたのしくなることなら腸内細菌は活発になり、「幸せ物質」もどんどん脳に送られていくのです。腸はそれくらい、優秀で頼もしい器官なのです。

腸の動きが停滞すると、脳は老化してしまう

ストレスという言葉には「ストレス解消」という言葉もついてきます。単に脳を休め、リフレッシュさせるだけの「ストレス解消法」では十分ではありません。むしろ、脳に「幸せ物質」をはじめとする重要な神経伝達物質を送っている腸にこそ、適切かつ迅速な「ストレス解消法」を実行していただきたい。そうすれば脳に「幸せ物資」が満ち足りて、ハッピーな気分になれることは間違いないですから。

セロトニンが増えれば、たちまち脳はスッキリ

腸内にはセロトニン、ドーパミンという「幸せ物質」が存在しています。それが脳に伝わることで、私たちは前向きでハッピーな気分になれるのですが、ストレスにより、「幸せ物質」の流れが阻害されるのですから、ストレス恐るべし、です。
さまざまな研究などによって、いまの日本人にとって“現代病”といってもいいくらい増えているうつ病も、脳内にセロトニンの量が少なくなってくると発症することがわかっています。その反対に「幸せ物質」であるセロトニンが増えてくると、脳はすっきりし、幸せな気持ちで満たされてくるのです。
進化の過程の中で、セロトニンは腔腸動物の腸の中で神経伝達物質の中心的な役割を果たしてきましたが、人間の体の中では大半が腸で合成されています。セロトニンも、もともとは腸内細菌間の伝達物質の一つで、人間の精神活動に深く関与し、ドーパミンとともに私たちの「幸せ度」「健康度」を大きく左右している重要物質なのです。そして、それらの「幸せ物質」に大きく関わっていたのが、まさに腸内細菌の働きだったのです。

Column

腸内細菌はフェイクニュースを嫌がっている?
虚偽の情報を伝えるためにインターネット上で発信されたフェイクニュース。この「デマ情報」に関する医学的な調査が発表され話題となっている。腸内細菌研究の第一人者・スタマック教授に聞いた、人間の身体が発するもうひとつの声とは・・・

「この研究は、人間が備えている直感を証明することになりました。直感を英語で“gut feeling”(腹の感情)と表現しますが、まさにその通りだった」腸内細菌に関する研究の実績で知られるオランダのヒーダ大学医学部教授のジョン・スタマック氏。

人間の腸内で活動している細菌は、外部の情報をインプットされると敏感に反応することで知られているが、フェイクニュースに対しては特徴的な反応を示した。これまでのいかなる情報よりも、腸内細菌はそれを「嫌悪」しているというのです。
「瞑想やクラシック音楽が、腸内細菌に対して良好な影響を与えることは、これまでも知られていました。彼らは、明らかに外部の情報に対する好みがあり、『好き』な情報を宿主が得ると活動が活発化し、フェイクニュースに対しては、人間でいえば自殺に近い動きを取りはじめる個体も存在していたくらいだ。」

2017年の1月に183人を対象に行われた実験で、被験者は大手メディアの「信頼すべきニュース」といわゆる「フェイクニュース」をランダムに与えられ、それぞれに対して真偽を判定したのち、腸内細菌の状態を計測するという作業を繰り返した。すると、ニュースの真偽を被験者がどう判断したかとは相関なく、フェイクニュースを与えられた人の腸内細菌は、例外なく活動が大きく弱まった。
人間はいかなる情報も自分の文脈でしか捉えることはできないが、われわれの『腹』はおどろくほど客観的かつ冷静に、目の前の情報に対して反応していたのです。

ただ、実際の社会について何も知らないだろう腸内細菌が真偽を判断するという事実に、正直腹落ちしないという人も少なくはないだろう。「腸内細菌には個性があり、宿主により大きく異なります。それでも、フェイクニュースについては明確な『嫌悪』がみられたというのが、今回の研究からわかったこと。それ以上のメカニズムについては、まだ謎と言わざるを得ません。もしかしたら、フェイクニュースの文体に反応しているだけなのかもしれない。今後は言語学的な観点からの分析も必要となってくるでしょう」
世界を変え、「新たな未来」をもたらす30の革新 より


vol.178 えっ!ミツバチが減ってる!?

私たちのまわりのミツバチは?
Cさん:知人のイチゴ農家では、「ミツバチが来てくれない」「来ても弱っている、すぐに死んでしまう」と言っていたよ。
Sさん:数えたことはないけど、あきらかに最近菜の花やドウダンツツジに来るミツバチが減っているわ。庭のサクランボの実の付き方が悪くなっているのはミツバチが減っていることと関係あるのかな?
Mさん:ミツバチといえば集団で蜜を集めるイメージがあったけれど、最近は2~3匹や1匹で弱々しく飛んでいるミツバチを見かけるよ。
Iさん:子どもの頃は、田んぼいっぱいにレンゲが咲いていて、ミツバチがたくさんいた。今は、レンゲを見かけることが少なくなったよね。
Kさん:実家には巣箱があります。ここ3~4年のことですが、スズメバチが増えてミツバチがやられたり巣箱に入ってくるミツバチの数が減ったりしていると聞きました。
Yさん:ハウスの作物を実らせるために働いた西洋ミツバチの中には、仕事が終わったら処分されてしまうミツバチもいるらしいね。人間の都合の良いようにしすぎだと思う。

ミツバチが減ると…
私たちの食べ物の70%がミツバチの手助けで実っていると言われています。ミツバチが減ると作物が受粉できず収穫量が減る。また、家畜用の飼料にも影響が出てきます。収穫量の減少に加え、人工授粉などの人件費など、今まで必要なかった経費のために作物や食肉、乳製品などの価格が上昇。それどころか、世界的な食料不足になることが心配されています。
また、ミツバチが受粉するのは食べ物だけではありません。綿など自然素材のものなどにも影響が出ますし、自然界にある樹木や野の花も受粉ができず、植物や生物の多様性や循環が崩れてしまいます。そして、人間も自然の一部、影響がないはずはないでしょう。

ミツバチが減少・大量死しているのはなぜ?
・花の減少。・巣を作る環境の減少や悪化。・作物に散布する農薬を浴びたり、農薬が溶けた水を飲んだりして、免疫力低下や神経異常になっている(家庭用殺虫剤も同じ)。
・携帯電話など電磁波の影響を受け、巣箱に帰る情報(帰巣本能)を失う。・免疫力や機能が低下し、ダニ被害を受けやすくなっている。
など、いろんな原因が挙げられていますし、原因は1つだけではない、ともいわれています。

プーさんに手紙を書こう!
プーさんが主人公のアニメーションで、世界中にミツバチのメッセージを伝えてほしいと、ウォールト・ディズニー社に直談判したハニーさんこと船橋康貴さん(※)。くまのプーさんに手紙を書いて、ウォールト・ディズニー社に送ろう!と呼びかけています。
世界中のこどもたちに知られているくまのプーさんは蜂蜜が大好き。プーさんから世界中のみんなに伝えてもらえるように、tocotocoでも、学び合い会やイベント、ワークショップなどでプーさん宛の手紙を書いています。今回もミツバチが減っていること、困っていることを大人も子どもも自分の言葉で手紙に書きました。この手紙はまとめて、ウォールト・ディズニー社に送ります。
みなさんも、お子さんとプーさんへの手紙を書きながら、ミツバチのこと、日頃の暮らし方について考えてみませんか?

※船橋康貴さん
環境活動家、一般社団法人ハニーファーム代表理事。
ミツバチたちのコミュニティーや社会性を通して自然の偉大さ、豊かさ、優しさを伝え、人間都合で考えないミツバチ目線の生き方を提案する環境教育・街づくりの活動をしている。http://honeyfarm.jp/
(にらめっこ177号で船橋さんのトークライブを掲載しました)

★ミツバチが好きな花や木を植えよう!
白、黄、紫色の花(ミツバチの目には赤色は認識できない)、土地に昔からある植物(野草、菜の花、レンゲ、シロツメクサ、タンポポ、栗、ミカン、柿など)を育てよう。

★殺虫剤は使わないようにしよう!
殺虫剤はミツバチ大量死の大きな原因とされています。農家さんだけでなく、家庭でも使わないようにしましょう。アリの巣ごと殺すもの、コバエ取り、ペットのノミとり、ガーデニング用虫除けなど。

★農薬を使っていないお米や野菜を買おう!
環境を考える農家さんをみんなで支援しよう!無農薬の野菜やお米を買う人が増えれば、作る農家さんも増え、無農薬の農地が増えます。また、家庭菜園で無農薬野菜を作ることも環境を良くすることにつながります。

子育てコミュニティ toco toco
子育て世代のやってみたい、知りたい、学びたいことを、自ら企画・運営。誰かが講師、受講者という立場のない、一人一人が活躍する「学び合い会」を中心に、顔と顔を合わせて集う良さを生かした活動を展開中。お問い合せ(仙石) tocotoco.hug@gmail.com


vol.178 かなでの沖縄だより

大学から首里城をのぞむ

沖縄で暮らし始めて

生活はとても順調です。ただ、覚悟はしていたのですが、沖縄はもう暑いです。それに、もう梅雨に入っているのですが、今のところまったく雨のふらない天気が続いています。
友だちもでき、一緒に食事したりお話したりと楽しい毎日を過ごしています。沖縄出身の子、内地出身の子、異なる出身地の子との交流の中で 方言の違いや地元の食べ物の事だったり、驚きと発見がたくさんある毎日です。

米軍機の恐ろしいほどの騒音
私は、沖縄って言うと沖縄戦や、米軍の話が浮かぶのですが、今のところ友達とそういったことを話すことはほとんどありません。とは言うものの、生まれてから高校を卒業するまで各務原の自衛隊基地の側で育った、飛行機の騒音には慣れているはずの私でも、沖縄に来てからずっと続く騒音は恐ろしくなるほどです。那覇市内にいるだけでも、飛行機やヘリの騒音は各務原のそれ以上です。飛ぶ量の違いにもビックリしてます。「きた!」と思った数分後「また!」というように常に飛んでいます。まだオスプレイは見てませんが、いつか見る日が来るんだろうな…と思うと恐ろしいです。
ニュースなどを見ていると、米軍基地が集中する沖縄にいるからこそ、各務原にいる時とは違う「何か」を感じます。

北朝鮮をめぐる動きと沖縄
ところで、私が沖縄へ来たあたりから北朝鮮をめぐる動きがあわただしくなっていますが、沖縄にいるとそれがよくわかります。
一ヶ月くらい前、アメリカが北朝鮮に対して圧力をかけていると言うニュースがありました。ニュースを見ていても何がどうなっているのか分からなくなり、調べてみたり聞いてみたりしました。そこから、沖縄での米軍機のうるささと北朝鮮に圧力をかけているということが繋がっているらしいということは分かったのですが、沖縄で何が起こっているか、北朝鮮との関係はどうなのか、「知りたい」という気持ちがあっても、片方に「知りたくないな」と思う自分がいます。知ってしまうと、今以上に恐ろしくなるように思えてならないのです。
同じニュースでも、各務原で見る沖縄のニュースと、沖縄のテレビや新聞が伝える沖縄のニュースは、まったく感じることが違い、たくさんの事を考えさせられます。

ぬちぬぐすーじさびらコンサート
6月23日は沖縄慰霊の日。6月11日に糸満市にある平和記念公園のホールで行われるモーツァルト「レクイエム」コンサートに出演します。このコンサートは、ぬちぬ=いのち、ぐすーじ=お祝い、さびら=しましょうという、沖縄戦で親や兄弟姉妹を失い嘆き悲しんでいる人々を、生き残った私たちが元気を出して頑張ろうと励まし、勇気づけ、沖縄復興に尽力した小那覇舞天さんが呼びかけた言葉をタイトルにしたもので、戦没者への追悼と、永久平和への祈りを全世界へ発信することを目的としたものです。
高校時代に、平和のことや戦争のことに関心があり、ヒロシマ・ナガサキにも足を運んでいろいろなことを目にしてきた私にとって、新しい発見ができそうで楽しみです。しかも、自分の好きな音楽で何かを伝え、学ぶことが出来るのはすごく嬉しいことです。


vol.178 熱中世代発 リバース8号

ホソミイトトンボ(Aciagrion migratum)

イトトンボ科 ホソミイトトンボ属 に属します。名前の由来は、腹部が長いイトトンボ、細身のイトトンボという意味です。昆虫や植物の名はその色や形状から名づけられることが多いものです。
中型のイトトンボで体長は30~38m 越冬型と夏型がいます。秋に羽化する越冬型は、成虫で冬を越し翌年の春交尾し産卵します。写真のように連結しながら水没して水中の草の組織内に産卵することもあります。
日本特産種で沖縄県から新潟県まで生息しており、岐阜県の美濃地方ではよく見る事が出来ます。飛騨地方ではほとんど見られないようです。(参考 日本のトンボ)

200坪ほどの畑に農薬を散布しなくなって20数年の歳月が過ぎました。自家消費の野菜畑は殺虫剤だけでなく除草剤も使用していないのです。
5月の末の事です。アスパラガスとレタスの収穫をし、芽吹いた大豆の小苗を見ていた目の前を腹部が長い水色のきれいなイトトンボが横切ったのです。トンボは、畑に隣接する幅が30㎝足らずの小さな農業用水の方へ飛んでいきました。その用水は、子供の頃に小鮒やドジョウなどを捕らえて遊んだ小川でした。いつの頃から三面コンクリート構造の農業用水路と呼ばれるようになりました。今では、ドジョウも棲まない味気ない水路なのです。なんと、その水路の雑草の間を無数のイトトンボが飛び回っているのです。なかには、交尾をしているものもいます。よく見ると、体を水中に潜らせて、草の茎に産卵をしているものまでいます。この水路は、管理が行き届かなくなり底に泥が溜まり、自然を少し取り戻しつつあるのです。提案があります。このようなコンクリート水路に穴を開けて土の底にしてみてはどうでしょうか。それが、生き物であふれ、子供たちの声で賑わう小川を取り戻す一歩になるのかもしれません。

 

写真・三輪芳明(みわよしあき)プロフィール 1952年  関市生まれ。仲間と岐阜県では絶滅したと考えられていたコイ科の魚類ウシモツゴを発見、人工的な大量繁殖させ野生復帰に成功する。岐阜・美濃生態系研究会 二ホンミツバチ協会 日本チョウ類保全協会。

 

 

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 名古屋市中区に美術研究所をスタートさせて半世紀、今年で53年目になる。1歳から92歳までと幅広い年齢層が通う。教室には画材はもちろんの事、さまざまな素材がびっしりと壁面にならぶ。ここに来る子どもたちは、それだけでわくわくしてしまうだろう。米山さんは、「表現は、技術より感情。いかに描いたかより、どんな気持で描いたかが重要。そこには必ず本人の気持が現れ、それが観る人のこころを動かす事に繋がる。障害のあるひともない人もそれは同じです」と語る。


障害のある人もない人も、一緒にワークショップをしているというこの研究所。それは、まさに私が目指していたことだった。実現するには幾つものハードルをクリアしないと、と思っていたが、米山さんは、「どんな子でもどんな人でも絵を描きます。落書きでも立派な絵です。もしそれが美術教室での事なら、一生懸命取り組んでいる時、集中して描いていたときに、的確にほめる。そのほめ方にひと工夫してください。いいねとか、うまいねとかじゃなく、その子が表現したものから、自分ならどんな連想をしたか、どんなイメージを抱いたかを伝えるんです。すると、中学年以上の子ならそのイメージを受け、さらに広げようとします。イメージが広がる事が大事です」。なるほど!さらに「思い込みは捨てる」とも。「たとえば、目の見えない子がどうやって絵を描くのか。まず本人は「描けない」と言います。でも、感じる事はできるでしょう。風、空気、太陽・・・サポートをしていた看護師は画材としてクレパスを用意しました。画用紙に描くと表面がザラザラします。そしてその子を河原に連れて行きました。川の音、きこえるよね。水の感触を一緒に感じます。その子が感じたままを描きはじめます。クレパスで描いたザラザラ感を手でなぞることで、表現を愉しむんです。」

やる気のない子にはどのようにうながしたらいいのか。
「まず本人の興味のある事を聞く。何が好きか、おもしろいか、問いかけをします。資料として、例えば図鑑とか用意しておくといいね」と。描きたくなる環境作りをしっかり準備することで、要求ばかりでは相手は逃げるばかりかも、と思った。確かにこの研究所には、いろんな物が棚にびっしり用意されている。どんなもの、どんな事柄に興味を持つか、可能性を広げるのはこちらの準備が欠かせないのだと実感。

「絵を描くという事はね、頭が良くなるんだよ」と、絵を描くために必要とする「知覚と精神性について」という資料を見せていただいた。


★何を描くか→思考力・創造性 ★いかに描くか→構成力・判断力 ★いかに表すか→表現力・精神性 ★デッサン→観察力・持続力 ★色彩→表現力/想像力 ★いかに描き進めるか→想像力・持続力 ★どの時点で完成させるか→決断力・判断力 ★全課程において→自主性・精神性・バランス感覚。描き始めから描き終わるまでに、こんなにたくさんの能力を使っているとのこと。楽しく絵が描けるだけでもすばらしいのに、自然にいろんな能力が身に付く「絵を描く事」をもっと日常に取り入れたいと思った。

米山さんの講評を受ける研究生

研究室の午後からのクラスが始まった。風景画、生物画、町並みを描いたもの、仏像や、ペットの絵に米山さんがていねいに講評をしていく。名は体を表す、というが、絵もその人柄を表す。講評が終ると「あなたも絵を描いてみないか」と提案され、思い切ってチャレンジしてみた。6つの言葉(山、川、木、家、太陽、へび)をそれぞれ使って一枚の絵にする。むずかしい・・・。初めて手にするオイルパステル。言葉が頭の中でグルグル踊り始めた。迷わずに描いたのは太陽、次にヘビ、そこで手が止まってしまった。深呼吸をして、自分の絵を俯瞰して、再度描き始める。どうしても描けなかったものがひとつあり、思案しているうちに時間切れ・・・。絵と言えるかわからないものだったが、米山さんの講評を受ける。その絵を見て、「あなたが大切にしているもの」、「あなたの人間関係」、「あなたの夢やビジョン」、などを絵から読み解かれたことが、今の自分にぴたりと当てはまりびっくり。どんな気持ちで描いたか、やはり現れていたのだ。(三上)

よねやまいくお:プロフィール
日本表現派代表、グループ青焔・主宰。スペシャルオリンピックス日本・愛知副理事長。絵から心を読み解き、障がいのある人、不登校、自閉症、子育ての問題等をカウンセリング。アートセラピー等の活動を各種大学、小牧を始め日本各地、スリランカでも開催。

 

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海の日は、7月の第3月曜日に制定されている国民の祝日で、
「海の恩恵に感謝するとともに、海洋国日本の繁栄を願う日」。

今から百数十年前の明治9年、時の明治天皇が大型の船で、青森、北海道を回り横浜に帰ってきました。その頃、船による移動に不安を感じていた一般の国民も、明治天皇が無事に帰ってきたのを知って、その安全性に信頼を置くようになりました。
その横浜港に帰ってきた日にちが7月20日で、その日を海の記念日としていたのです。

世界で6位の海洋国家

世界地図を見てわかる通り、日本より面積が広い国はたくさんあります。しかし、日本は海に囲まれ、さらに多くの島があります。そのため、日本の力が及ぶ海の範囲は広いものです。その範囲を難しい言葉で「排他的経済水域」と言いますが、その海の広さは世界で6位なのです。

このことは私たちの食生活と大いに関係があります。古くは大昔の縄文時代から、魚や貝をとって日本人は食料としてきました。今も、魚や貝を食べる量は世界でもトップクラスです。

もともとは治療目的だった海水浴

さて、皆さんにとって海の楽しみと言えば海水浴ですね。今年になってすでに行った人もいることでしょう。
この海水浴が始まったのは150年ほど前のこと。その頃のお医者さんたちが始めたとされています。しかも、楽しむためではなく、病気の治療のために入っていました。治療のための海水浴の本も発行されたほどです。やがて、海水浴場がどんどん増え、今のように暑い夏を快適に過ごす楽しみに海水浴も変わってきたのです。


vol.178 メディアよもやま… 連載7

「言論・表現の自由」って何だっけ?

昭和20年、東京に出張していた私の父は大空襲に遭遇し、着の身着のままなんとか金沢へ逃げ帰った。滞在していた下町は焦熱地獄となり、半地下の浅い防空壕に入った人たちは、みんな焼け死んだという。その後、金沢の町内での日課である「竹槍、バケツリレー、防空壕」の防空訓練で、父は防空壕の改善を提言したところ、当時の秘密警察・特高(特別高等警察)に“不穏分子”だと睨まれて、我が家のタバコや砂糖の配給を減らされた。独裁者にとって万能薬のような治安維持法という監視制度、密告制度が日本中を支配していた。戦後、小学生になった僕が何かわがままを言うと、母は「特高が聞いとるぞ!」と僕をおどし、それは子ども心にもぞっとするような効果があった。ナチスとかソ連とかも、同様の雰囲気だったのだろう。圧政と密告は同じ銅貨の裏表だ。それから70年、政権は“オリンピック”と“テロ対策”を安易な口実として議論を閉じ込め、またもや力ずくの国会運営で、現代の治安維持法だと指摘されている共謀罪を強行採決しました。
私たちにとって、そもそも思想・信条の自由、言論・表現の自由って、何でしょう?昔学校で学んだように、中世ヨーロッパではローマ法王の宗教解釈がすべての秩序を支配し、日本の中近世は儒教・仏教・天皇制を背負った幕府権力が支配しました。しかしルネサンスと宗教改革、科学的な発見や進歩などによって、あらゆる文化・文明が問い直され、社会が発展するには、思想や宗教の自由、言論・表現の自由こそが要だと確認され、市民革命に至ります。近代社会の基礎になったイギリス権利章典、アメリカ憲法、フランス人権宣言は、「信教の自由」「言論の自由」「集会・結社の自由」や、政府の不当に抗議・請願することは人間の基本的権利だと宣言し、それは国連憲章や世界人権宣言にも引き継がれました。こうした人類史を踏まえて作られた日本国憲法は、第19条で思想及び良心の自由、20条で信教の自由、21条で集会、結社、言論、出版、その他一切の表現の自由。検閲の禁止。通信の秘密の保持を定め、それは私たちの社会や生活の根本を成しています。


ところでこの数年、日本の政権はこうした人類史の知恵や戦争の悲惨な教訓を軽んじ、立憲制度や自由で豊かな議論を踏みにじって、急速に軍事国家への道を選ぼうとしています。多数の議員を擁するおごり、中世への愚かな逆戻り、というほかありません。「自由というものは、サンチョよ、天が与えてくれた最も価値あるものの一つなのだ。地や海の下に隠れたいかなる宝もそれには及ばぬ。自由のためになら、人は命の危険を冒すことができるし、冒さねばならないのだ。」(セルバンテス「ドン・キホーテ」)

 

つだまさお 「てにておラジオ」代表
1943 年金沢市生まれ。1966 年から NHK で、 主として報道番組の制作に従事。1995年から東邦学園短大、 立命館大学などで市民社会のメディアのあり方を教えたり、 全国の市民 メディアを繋ぐ仕事に携わる。2016年から、「みんなの森・ぎふメディアコスモス」で発信する市民による放送局「てにておラジオ」を運営。


vol.178 ホスピスケア♥訪問介護日記-vol.3

美しい最期
インド人の70代の男性の死。一人だけずっとずっと泣いていた女性が、患者さんの妻だった。私は死亡確認に行っただけで、死が訪れるまでの様子を知らない。ただ、家族はそれぞれに役割をはっきりさせてケアに関わってきたようで、患者さんの死の後も、全体的に落ち着きがあり、親族への連絡や葬儀屋への連絡などがスムーズにいっていた。悲しみの中にも、なにかやりきった感をともなう清々しさを感じた。部屋にはキッチンから心地よい風が舞い込んでいた。
小学生くらいの孫二人が、「おじいちゃんにさようならを言いたい」と死んだ患者さんのベッドまで来た。親族の中には、死体を見せるのは早すぎると止めようとした人もいたが、家族も親族のほとんどが、「おじいちゃんにしっかりお別れを言いなさい」といった。二人とも、泣いてしまったけど、すぐにお父さんがしっかり二人を抱きしめていた。あぁ、この家族は大丈夫だなと思った。
家で家族を看取るということは、とてもとても大変なこと。特に核家族化の進む今の社会では、本当に大変。このご家族は、仕事をしていない妻が患者さんにつきっきりで、その他家族も普段の日常生活の中で患者さんのケアに大きなウェイトを置いてきたようだった。普段どおり仕事をする者、連絡係となる者、ケアを交代する者、時々様子をみにくる者、自然と役割があったようだ。親族が多く結束も強いと、家族それぞれが役割を担い誰かに全部お任せになることもない。移民の家庭では、お国柄・宗教・文化面も影響するが、家族・親族が一緒にまたはとても近くに住んでいるところが多い。家を出る時、まだ泣いていた患者さんの妻に、「本当によく看取られました。ご自身のされたケアにどうか誇りをもってください、夫の○○さんもすべて感じられていたと思います。」と声をかけたら、泣きながらいっぱい何か言ってくれた。英語ではなかったのですぐ理解できなかったけど、周りの助けがあって「本当に素晴らしい夫だったの」とおっしゃっていたのがわかった。
悲しく美しい最期であったと思う。自分自身の生活、家族とのありかたを強く考えさせられた訪問だった。

死を受け止めること、そして受け入れること
ベトナム人の夫婦。60代前半の男性、肝臓がん。痛みの緩和ができない。訪問は23時だった。眠っていられる時間も長いので、頻繁に痛み止めは必要ないのではと思った。それでも時々あげる声を聞くたびに、妻の○○さんは「夫は痛みに苦しんでいる、どうしていいかわからない」といって、パニックになりそうだった。
患者さんは私が見る限り、痛みの緩和ができていれば最期までお家にいられると思った。でも、妻は「家で死んでほしくない、いざとなったら私一人で看取れるかわからない。とても怖い、できれば病院か施設で医療スタッフが24時間体制でケアする状態で看取りたい」といった。この晩は娘さんがいたものの、一緒に住んでいるわけではなく、仕事にも行かなければならない。。。。育児休暇はあるのに、なんで看取り休暇がないんだろう。。。死んでからじゃ遅いのに。
妻は、自分一人の時に夫が死んでいく過程に向き合うこと、夫が死ぬこと、死自体が自分の目の前にあることが、怖かったのだ。怖いという気持ちと大きな不安が、夫の痛そうな声にあおられて居ても立ってもいられなかったのだ。


この時の私には、それを察して別の形で家族をサポートするまでに至らなかった。話をじっくり聞き、痛み緩和のためにドクターの指示をもらい、現時点での選択肢を説明したが、あと一歩足りなかった。結局、次の日からクライシスケアというLPN(准看護師)が12時間体制で看護をする処置がとられた。それから亡くなるまでの5日間は看護師が24時間体制で看護。もっと彼女の恐怖をわかってあげられれば、違うアプローチでこの訪問ができたのではないかと自問自答する。在宅ホスピスを始める時に準備できている人もいれば、実際に始まってみないとわからない人も多い。家族の気持ちに寄り添ったとき、その時何が必要かを判断できる力がまだ足りないとあらためて痛感した。

 

わかばま〜く:プロフィール  1982年生まれ。ニューヨーク州立大学卒業後、 ニューヨーク市立病院に看護師として4年勤務。現在は訪問看護師としてホスピスケアに携わっている。岐阜県各務原市出身。


vol.178 忍耐・ガマンの上手な伝え方part-2

「行きたくない」といえない

がまん強い子の先に待ち受けること

学校生活のなかで
内田 良子(心理カウンセラー)

病気は見つからないのに症状が

子ども相談で出会う子どもたちは、がまん強い子たちが多いです。ある日、朝から吐いて吐いて、胃の中に吐くものが残っていない状態でぐったりしている小学生が受診してきました。問診や医療上の検査をしても、どこも具合が悪いところが見つかりません。医者は首をかしげ、心理室に紹介してきました。
病気が見つからないのに症状があるとすれば、心になにかいうにいわれぬ事情を抱えているのかもしれません。でも子どもの場合このなにかにたどりつくのが、なかなか難しいのです。
同伴している母親に事情を聞いてみると、症状は、夏休みがあけ、二学期が始まってから現れたとか。夏休みのあいだは夜更かしをして、朝ゆっくり起きていました。生活週間が崩れてしまったのか、登校時間にまにあうように起こしても、なかなか起きられません。
心配した母親が「学校はどうするの?」と聞くと、「学校は行きたい」と答えます。「学校へ行きたいなら、早く起こして支度をしなくては!」と、母親は子どもを抱きかかえて起こし、学校へ行く用意をさせようと手を出します。しかし、立ちあがるとめまいがして、吐き気がするため、座りこんだまま動けません。毎朝のように同じ状況をくり返していました。やがて吐き気がとまらなくなり、吐いて吐いて転げまわるほど苦しむようになってしまったわけです。

体が無理だと訴えているときは

学校という狭い世界では、先生の言うことが絶対です。矛盾したことをいわれ、おかしいと思っても、教室にいるあいだは従わざるをえません。理不尽ながまんです。がまんを重ねていくとストレスがたまります。先生のいうとおりに従いなさいと親はあたりまえのように子どもにいいます。子どもは自分の感じている矛盾をどこに向かっても表現できず、ストレスはたまる一方です。
がまんの限界にきたときに、子どもの心身に不調が出ます。熱が出たり、おなかが痛くなったり、吐き気がします。頭が痛くなったり、手足が動かなくなる子どももいます。
体が学校へ行くのは無理と悲鳴をあげているのです。体の不調が続くと、親は心配して病院を受診します。子どもも、なにか深刻な病気のはじまりではないかと不安に陥っています。
しかし、病院で検査しても、病気は見つからず、学校を休むと症状が消え、元気になって、再び学校へ行くと、今度は別の症状が子どもの体のあちこちに出ます。
学校へ行くことが求められている間では、こうした心身症状は消えません。さみだれ登校や不登校の始まりです。

不登校対策が徹底しておこなわれるようになった近年、原因不明の体調不良で休みがちの子どもに対し、スクールカウンセラーや担任が精神科の受診を進めるケースが増えています。精神科を受診すると、小学生に対しても抗不安剤や抗うつ剤などが処方されるケースがめずらしくなくなっています。がまん強い子どもたちの先に待ち受けているのは、心と精神を操作する薬物治療の世界です。
子どもの体の声を聞き、体が無理だと訴えているときは、休むことです。休んで安心すると、心の声が話しはじめます。

うちだりょうこ・心理カウンセラー。子ども相談室「モモの部屋」主宰。著書に『登園しぶり・登校しぶり』(小社刊)ほか。

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自立と自律ができないことには・・・

岡崎  勝(小学校教員)


「がまん」しないほうがいいとき

なんとかして「がまんさせよう」と思っているのに、「がまんしないほうがいい」などとはなかなか思えない。しかし、「がまんしてしまうことのリスク」がたくさん語られていた。
それは、心身が病気になってしまうとか、自分の考えや意志が「他人志向的」になってしまうことである。惰性的・慣習的思考の一つである。それは「まじめ」であることと似ている。がまんすべきだとまじめに思いこんでしまうことにもリスクはある。

ケースバイケースで、がまんすることのリスクをどれだけ敏感に感じとれるかということになる。これはけっこう高度な裁量であって、子どもには簡単ではない。とりわけ小学生くらいで「がまんしすぎるのは良くない」と判断できる子は少ない。「自由にしていいよ」が、無言の「がまんすべきでしょ」という圧力になることがある。
しかし、いじめで深く傷ついたり、病気になってしまってりしては「元も子もない」ということは、誰かが教えなくてはなかなか本人にはわからない。
体育会系やスポーツ型の親や教員はこの判断に疎いことが多い。スポーツ的意志の強さは「ちょっとのケガ(痛み)くらいは、がまんできること」でもあるからだ。がまんしすぎのアスリートが燃え尽きることもある。

なにに「がまん」するのか?
たとえば、ゲーム機やスマホを買いあたえるか、がまんさせるか?」というとき、親として「がまんさせたい」という場合、つまり子どもと反対の立場を取るとき、それをがまんさせるのはむつかしい。
もちろん、子どもにがまんの意味や、がまんしなかったときのリスクや制限を伝える努力はしたほうがいい。「がまんさせること」が「子どもへのいじわる」とならないようにするためだ。
がまんはがんばってるすというより、しなくてはしょうがないものといてあるほうが考え方はシンプルでよい。つまり、「できればがまんなんかいたくないけど、がまんしないとうまくない。まずいよな」という気分。だから「がまんしなくてもまずくならないなら、がまんしない」という判断になる。ましてや親や周囲の大人が、ぜんぜんがまんしていないのに、「自分だけがまんするのは許せない!」などといい出す。
どうやってがまんするか?ときどき休憩を入れるとか、気晴らしをするなど、がまんを続けるためのコツがある。がまんの本道は、孤独と無力感との戦いだろうと思う。
結局、意味のある。意義のある、必要ながまんができるようになるのは、自立と自律ができるようになることと同じことなのかもしれない。そうなると、子ども以前にまず大人からではないかと思う。子どもより大人のほうが、がまんしていないもの。

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国・社会の「利益」のために?他人に迷惑をかけないように?決められたルールだから?ぐっとこらえなければいけないとき、がまんしすぎてはいけないとき、それぞれの時代や環境によって、いえること。

戦争の時代から見てみると

今も続く、国民に強いられた「がまん」

強制は危険きわまりない

「じっとがまんの子であった」というのは、昔々「子連れ狼」というドラマの中ででてきた言葉だったでしょうか。
一般に、がまんできる子どもはほめられるようですが、がまんしすぎるとしばしば危険なことになります。いじめにあっている子どもなどはがまんしすぎる傾向があるといわれますが、がまんせずに反発したり誰かに伝えたりすると、よりひどいいじめにあうので、がまんするしかないのかもしれません。
ともかく、がまんは自発的なものでも危険があるわけですが、これが強制されたがまんということになると、危険きわまりないといわねばなりません。
太平洋戦争のおりなど、国が国民にがまんを強いたものでした。この場合、戦局がすすんで戦いが不利になり、経済的にも困難な状況になるにつれ、国民はより強く「がまんしろ」といわれました。

福島の人にある現実

そしていま、福島でぼくは戦時中に似通った状況を見てきました。たとえば、福島の渡利地区。ここは原発事故後、放射能の空間線量がとても高い地域として知られていました。この地域の人たちが国に「この地域を非難地域に指定しろ」と求めましたが、認められませんでした。国はこの地域の人たちに「健康に影響しない線量だ」と根拠のない情報を流し、がまんして住み続けることを求めました。
ぼくは福島から東京へ非難している人の支援も続けていますが、そういうなかで、自主避難の子どもたちがあちこちでいじめられていると報道されました。
福島にかぎらず、沖縄や原発再稼働に反対して戦っている地域を除く日本中で、がまんをしすぎているように思います。これはこの国の将来をあやうくすることではないでしょうか。

山田 真(やまだまこと) 小児科医。八王子中央診療所所長。「子どもたちを放射能から守る全国小児科医ネットワーク」代表。お・は編集協力人


vol.178 エコビレッジfromオーストラリア

火を囲む
2017年5月1日で、持続可能な暮らしを追求するパラダイスワンがスタートして4年。今年は、メンバーとファイヤーサークルを企画して4周年をお祝いしました。

ファイヤーサークルでは火に向かって「自分の手放したいこと」、「パラダイスに来たきっかけ、理由」、「どんなコトをここに持ってきたいか」など、各々が語り共有しました。

火を囲むと、満ち足りた語らいの時間が生まれます。炎のゆらぎ、木の燃える音や香りなど、五感で感じるさまざまなものが、心をほぐし温めてくれます。そんな時間と空間を共有することで、多くを語らなくても、心を寄せ合うことができると思います。

 パラダイスワンは、いろいろな国の人たちが関わっています。様々な文化が混ざり合うなかで、火を囲んで語り合うことは、メンバーの思いや問題意識が言葉として表れてきます。火を見ながらだと不思議と落ち着いて、今まで話せなかったことも話せるきっかけがうまれました。原住民族であるアボリジニの人たちの間でも、セレモニーをするときは火を囲んで、精霊たちとつながると聞きました。

セレモニーには様々な意図がありますが、今回の私たちの4周年を祝うファイヤーサークルでは、原点に戻って、自分たちの作り上げていることを確認し合える場となりました。

仏教には、火(成熟)、水(収集)、風(成長)、地(保持)の4つの要素とつながり合い生活するという考えがあります。

日々のルーティーンワークにとらわれるぎると、自分たちの住む環境に感謝を忘れがちであることを実感しました。木があり、川が流れ、畑がある。虫が住み、鳥が飛び、動物たちが住んでいる。そんな環境で、土地をはじめ自然とつながることを忘れずに、ここでの生活を続けられるようにしたいと思います。

継続は力!続けていくことの大切さもみんなと共有でき、とても充実した時間を持つことができました。
写真はイメージです


vol.178 ボーダーレス社会をめざして-vol.37


NPO法人オープンハウスCAN 理事長 伊藤佐代子

二人のおじいちゃん
私が胃がんの手術をしてから、5ヶ月後に私の父が、その3ヵ月後に義父が他界しました。相次いでおじいちゃんが亡くなり、淳司はどんな反応を見せるのか?未知の世界でした。息子は、葬儀の際一般の方と何ら変わることなく静かで、お焼香も周りの様子を見ながらし、お棺を運ぶ時は誰にも言われなくても自分から動いていました。そんな姿を見て、「よくここまで成長したな」と思ったくらいです。二人のおじいちゃんは、淳司を本当に可愛がってくれました。彼にはかけがえのない人でした。何も問題なく葬儀などは終わったのですが、しばらくしたら淳司に変化が起きました。私たちは、父が具合が悪く死期が迫っているのは分かっていて、覚悟は出来ていたのですが、自閉症の息子には何も分からなかったのだと察します。葬儀などの儀式がばたばたと続き、分からないまま時間が過ぎていったのでしょう。自閉症の人は、見通しがつかないと不安になると 言われます。息子に説明をしている時間などありませんでした。当事者ですからどのように葬儀を済ませるか、終わった後どうすればいいのか、そんなことで頭の中はいっぱいでした。それにもまして、がんの私は自分の事でいっぱいいっぱいでした。息子は義父が亡くなってから、少しづつ自分の部屋から出ようとしなくなりました。部屋にこもり、お昼でもカーテンをしたまま一日を過ごすようになりました。どこかに出かけない?と誘っても全然反応なしでした。あれだけ旅行や出かけることが好きだったのに、ただご飯を食べるためだけに自分の部屋から出るという生活が半年くらい続きました。ただ、幸いなことに仕事にだけは行ってくれていました。しかし、会社からジョブコーチに電話があり、ボーとしている時が多く、やる気があるのか?と連絡があったようです。その理由をジョブコーチに話し、会社に伝えてもらったということがありました。静かな時間が過ぎたなと思ったら、今度は自分に気に入らないと私に怒ってくるということが増えてきました。そんな時、偶然に障害者支援の本の中に、身近な人が亡くなると喪失感があり、その回復には数カ月を要する。「非哀のプロセス」否認、絶望、脱愛着という3段階を経て、自分の内面をいたわり態勢を立て直しを図っていくと書かれているのを見つけました。見守るしか方法がないというのを知り、淳司は淳司なりに苦しんでいたのだなということが分かりました。その後、徐々に回復し現在はお墓参りが彼の仕事になりました。「天国のおじいちゃんは喜んでいますか?」「おじいちゃ~~ん」と天に向かい叫んでいるらしいです。


vol.178 半農半Xという生き方-vol.19

一枚の紙に雲を見る

10年以上前、「一枚の紙に雲を見る」という表現に出合い、はっとしました。紙があるということは、原料となる木があるということ。木があるということは、それを育むいのちの水があるということ。水があるいうことは、それを降らせる雲が空にあるということ。雲なしには、水はなく、水なしには、木も紙もない。1枚の紙から雲まで想いをめぐらせることができるとは!「飲水思源(いんすいしげん)」というすてきな語もあります。水を飲み、もたらしてくれた山の水源や井戸を掘ってくれた先人をありがたく思う。いま大事なこころがここにあるようです。

「その実を落とす者はその樹を思い、その流れに飲む者はその源を思う」という、北周の詩人・癒信の「徴調曲」という詞に基づく故事成語である。

「飲水思源」
…水を飲むときは源を思う(井戸を掘った人を忘れない)。即ち、“私達の現在があるのは先人が流した汗と涙のお陰であり、その思いを忘れずに感謝し、次に我々は後世(子孫)に対し何を残せるかを考えよう”という意味です。

 

センス・オブ・ワンダー

立夏を過ぎ、野山はますます多様な生命に満ちていきます。田んぼの上空では雲雀が鳴いたり、カエルの大合唱が聞こえてきたり。私たちはいろんな生命と一緒にこの地球に生きているのですね。田んぼや畑で過ごすとき、よく思い返すのが、アメリカの科学者レイチェル・カーソンさんの次のことばです。「生まれつき備わっている子どものセンス・オブ・ワンダー(自然の神秘さや不思議さに目を見張る感性)をいつも新鮮に保ち続けるためには私たちが住んでいる世界の喜び、感激、神秘などを子どもと一緒に再発見し感動を分かち合ってくれる大人が少なくともひとりそばにいる必要があります」。子や孫に、地域の子どもたちに「いま大事なこと」を伝えていきたいと思うのです。

 

塩見直紀(しおみなおき)半農半X研究所代表
1965年、京都府綾部市生まれ。20年前から「半農半X(エックス=天職)」コンセプトを提唱。半農半X本は翻訳されて、台湾、中国、韓国にもひろがる。著書に『半農半Xという生き方 実践編』など。

※半農半Xとは・・・半農は環境問題、半Xは天職問題(どう生きるか)を背景とする。持続可能な農のある小さな暮らしをベースに、天与の才を社会に活かす生き方、暮らし方。ex.半農半漁、半農半大工、半農半看護師、半農半カフェ、半農半絵描き、半農半歌手、半農半鍼灸師、半農半カメラマンなどなど。


vol.178 夢か悪夢かリニアが通る!-vol.7


ラドンに向き合えるのか 小出裕章さんに聞く

岐阜県瑞浪市で昨年12月、県内初のリニア中央新幹線工事が始まりました。ところが直後に、基準を大幅に上回るヒ素などの有害物質が検出されたり、JR東海の発注を受けた業者が、砂防指定地や地すべり防止区域内を無許可で掘削したりするなど、住民が不信を抱く事態が続いています。昨年9&10月号でお伝えしたウランを掘り出す危険性も解決していません。住民はどう向き合っていったらいいのか、長野県松本市に元・京都大学原子炉実験所助教の小出裕章さん(67)を訪ね、お話を聞きました。      ジャーナリスト・井澤宏明

吸い込むと肺から出ない
小出さんは岡山・鳥取県境の人形峠で、1950年代から60年代に掘り出されたウラン残土による住民の健康被害を目の当たりにしてきました。瑞浪市のある東濃地方には、国内最大の埋蔵量といわれるウラン鉱床群があり、採掘が行われていました。
JR東海は「(リニア)中央新幹線はウラン鉱床を回避している」「トンネル掘削中にウラン鉱床のようなウラン濃度が高い土を掘削する可能性は低い」と説明していますが、小出さんはそんなふうに割り切れるものでないと指摘します。
「ここまでがウラン鉱床で、ここからは違うということではないんです。ウラン濃度の高い所から低い所が連続的にあるわけで、トンネルを掘ってみたら濃度の高いところにぶつかることはあるかもしれない。そうなれば避けることができずに、掘り出すしかないわけです」
ウランは放射線を出してトリウム、ラジウムなどに姿を変え、ラドンという気体になり空気中に逃げ出します。
小出さんは人形峠で、放置されたウラン残土からラドンが染み出し、集落に流れ込んでいることを突き止めました。 「鳥取県側の方面(かたも)という集落の人たちは、親族がみんながんで死んでいるっていうんですよ、肺がんで。日本人はラドン温泉やラジウム温泉を喜ぶという習性があるが愚かなことです。ラドンは放射線を出しながらポロニウムなどになって細かいちり状で分散しています。それが危険の正体。吸い込むと肺から出なくなってしまいます」

掘らないのが一番いい
JR東海は、7.4キロのトンネルを掘った残土約85万立方メートルを、非常口から約2キロ離れた谷沿いの埋め立てに使う予定です。万が一、ウラン濃度の高い土を掘り出した場合、最終処分方法が決まるまで、遮水シートや土で覆って工事現場で保管するといいます。
「掘らないのが一番いい。掘ってしまったら、ちゃんとラドンが出ないようにお守りをするしかありません。(ウランを含んだ)土がある限り、ラドンは次から次へと出てきてしまいます。結局、埋めるしかないと思います」
建設に携わる人たちの健康も心配です。
「トンネルで働く人が一番ひどいでしょうね。ラドンから身を守ろうと思ったら、逃げるしかありません。フィルターもマスクも全く意味がない。ですから、ウラン鉱山でも労働者を守るためには換気が一番大切。でも換気するってことは、ラドンガスを外にほっぽり出すってことです」
東濃地方の工事で、ウラン残土が問題にならなかったのはなぜなのでしょう。
「これまでの工事も問題だったんだと思います。誰も気が付かなかったから、何もしないまま来てしまった。でも、リニアの工事は他とは比べることができないほど巨大なので、リスクもそれなりに大きくなるだろうと心配することは正しいと思います」
市民団体の調査で、ウラン鉱床を避けているはずのリニアルート上で高い放射線量が観測されました。JR東海はこの原因として、花こう岩が地表に露出していることを挙げ、「花こう岩中のウラン濃度はウラン鉱床よりもかなり低いことが分かっている」と説明しています。小出さんはJR東海にきっちりとした測定を求めるよう地元の住民に助言した上でこう言います。
「花こう岩という岩石は、泥岩、砂岩に比べると、ウラン、トリウムの含有量が高いのでラドンの放出率は高い。地底に埋まっているところを地表に掘り出してくるわけですから危険を伴いますよ。そんなことまでしてリニアをつくる価値があるんでしょうか」
小出さんの問いかけに、JR東海はどう答えるのでしょうか。

瑞浪市のリニア非常口周辺。厳重な警備の中、起工式が行われた


vol.178 まちカフェ レポート

まちカフェレポート まずは意見交流の場として


「こども食堂とは、こどもが一人でも安心して来られる無料または低額の食堂」。それだけ。「こども」に貧困家庭という限定はついていない。「こどもだけ」とも言っていない。 大事なことは、子どもが一人ぼっちで食事しなければならない孤食を防ぎ、さまざまな人たちの多様な価値観に触れながら「だんらん」を提供することだ。だから、一人暮らし高齢者の食事会に子どもが来られるようになれば、それも「こども食堂」だ。子どものための、子ども専用食堂ではない。

“場”としてのこども食堂
「むしろ、より積極的に、多世代交流型になることが望ましい」と東京都大田区にある「気まぐれ八百屋 だんだん」店主の近藤さんは言う。孤食をわびしく感じるのは、子どもだけではない。若者もお年寄りも、仕事で疲れて食事をつくる元気の出ない母親や父親も「今日はちょっと食べに行こうかな」と寄れればいい。そして、子どもは食事後に遊んでもらったり、ちょっと勉強を見てもらったり、母親や父親は人生の先輩たちから子育てのアドバイスを受けたり、地域の子育て情報を交換したり、お年寄りは、子どもと遊んであげることを通じて子どもに遊んでもらえばいい。そこに障害のある子どもや大人がいてもいいし、外国籍の子どもや大人がいてもいい。より多くの人たちが「自分の居場所」と感じられるようになることが理想だ、と。

人々が交差するときに、ただすれ違うだけでなく、ちょっと留まることによって生まれる“場”が、近藤さんのイメージだ。

まさに“まちづくりの基本”ですね!まちカフェで話題になった各務原市初のこども食堂「おだやか荘」もがんばってます。まちカフェが、いろんな活動の交流の場になるといいなと思います。

 

5月13日(土)10:00-12:00 参加者:7名 にらめっこ編集室にて

まちカフェについて
・世代別で開きそれぞれが抱える問題をピックアップして、2、3ヶ月に一回くらい「ごちゃまぜ会議」を開き、各世代が抱える問題をみんなでシェアし違う視点で問題を考えるってどお?
・それ、いいね!!
・土曜日の午前中って、けっこう参加しにくいわ(-。-;)
・平日の夜なんかの開催もあり?
・素敵なカフェで、お客さんも巻き込んじゃうとか?
・営業中は難しいんじゃない?定休日に開催とかは?

市民活動を活発にしたいんだけど・・・

・各務原市は財政的に余裕があるから、市民活動に頼らなくてもいいらしいよ。
・それって、市民に頼らずともお金で解決するってこと?
・学童保育の民間委託もその現れかな?
・学童の民営化では、安定した人員確保のためっていうことなんだけど、現実、人員確保できてないんだよね〜
・まちづくり活動支援センターができないのも、市が必要としていないのね。
・隣の町のNPO 団体の活動が盛んで、近隣ケアの仕組みもすごくうまくいってる。子育てで孤立しているお母さんは少ない気がする。行政と民間がうまく連携しているよね。

6月7日(水)18:30-20:30  参加者:10名 ボンガ珈琲(鵜沼東町)にて

こども食堂について

・学習支援をすることが条件の県の助成制度に、やはり本質をわかってもらえてないという複雑な気持ちになるの・・・
・居場所が一番大事なんだけどね。それは、子どもに限らないよね。
・子育て支援課に相談に行っても解決できなくて、児童相談所、社協、近隣ケア、民生委員と回っても、情報の共有ができていないので、たらい回しされてるっていう気がしてしまう。
・行政だけではなく、NPOとか個人で活動している団体とも連携した「居場所つくり」をしていきたいね。

文化発信の拠点を!

・中央図書館3階の市民ギャラリーが廃止!創作室も使えなくなる、といきなり通知が来た。寝耳に水!でびっくり。
・何かいつもそういうやり方だよね。学童の民営化もね。
・文化が人を育む!と断言したいくらい。学習支援で教育の格差をなくすのももちろん大事。でも、人の心が豊かになることのほうがさらに大事な気がするなぁ。
・障がいがあってもなくても、人として生きていることを実感できる場所、そんな文化の拠点が欲しい!!

発達障がいって、よくわからない

・うーん、基準は曖昧だし医者によって診断もまちまちだし、そもそも診断名がつくことがいいことなのかな。
・親にとっては楽になる部分はある。けど本人にとってはどうなんだろう。生きづらい部分というのは結局は社会のほうに原因がある気がするよ。
・だよね。差別とか偏見とかただ知らないだけでさ、情報不足もあると思う。
・隔離はよくないね。やっぱりごちゃまぜにしないと!
・生産性の低い人が置いてきぼりになっている今の社会、かなり問題だと思う。


vol.178 プレゼントコーナー

プレゼントご希望の方は
ハガキまたはe-mailで、下記のアンケート1〜6をご記入の上、編集部・プレゼント係りまでお送りください。
〆切:7月25日 当日消印有効。
B、Dはにらめっこ編集室に受け取りに来ていただける方。
宛先:〒504-0855 各務原市蘇原新栄町2-25
e-mail: info@niramekko.com
※お寄せいただいた個人情報は、本紙プレゼントの発送に限り、使用させていただきます。

1- あなたの夏バテ防止法をおしえて!
これから暑〜い夏に突入。バテないための方法をおしえてね。
2- 気になるにらめっこ紙面での広告
3- 気に入った記事、気に入らない記事のタイトル1つ
その理由もお書きください。
4- ご希望のプレゼント名 (第1希望・第2希望)
5- 本紙をどこで入手されましたか?
6- 氏名、年齢、住所、郵便番号、電話番号、家族構成

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A.「Bossa Nova Liveご招待券」
アートギャラリー是様より…2名様

真夏の夕暮れ、木陰を求めるように体も心も涼を求めてます。ちょっとひと休みしませんか?
今回は特別メニューあり!地元夏野菜のローフードをお楽しみください!(飲み物をご利用される場合の料金はご負担お願いします)

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B.「無農薬 紅茶」
ちゃぼぼ園様より…3名様

お茶栽培の条件に恵まれた旧春日村には760年にわたるお茶の歴史があります。在来種の茶木は地中深く深く根を伸ばし、大地に呼応し、自然の恵みだけでゆっくり育ちます。深く澄み切った無農薬の紅茶を心ゆくまで味わってね。にらめっこ編集室でお受け取りください。

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C.「CINEX 映画招待券」
シネックス様より…ペア3組様

ストーリー、音楽、カメラワーク、衣装、そしてキャスト…。映画を味わう要素は人それぞれだけど、良い作品には出会いたいですよね。奥深い作品を多く上映するCINEXにぜひ行ってみてね! (写真は『怪物はささやく』)招待券は、シネックスマーゴではご利用になれません。

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D.「Eco Wrap」
にらめっこより…3名様

地球に優しい自然素材からできた、繰り返し使えるフードラップ。蜜蝋には自然界の抗生物質と言われるほど高い抗菌効果があります。 保湿、抗菌性、防水性に優れています。にらめっこ編集長が読者プレゼントにと厳選した逸品です。サイズS (20×20cm) 模様の指定不可。にらめっこ編集室でお受け取りください。

174号で紹介した“エコラップ”現地で仕入れてきました!
☆ ECO WRAPは繰り返し使えるフードラップです。布は認定オーガニックコットン、コットン、ヘンプ×オーガニックコットンの3種類。 地元バイロンの蜜蝋、オーガニックホホバオイル、天然樹脂を使っています。
☆蜜蝋の効能☆ 自然界の抗生物質と言われるほど高い抗菌効 果があり、 保湿、抗菌性、防水性に優れています。
☆ホホバオイルの効能☆ 非常に酸化しにくく、数年間保存が 可能。 殺菌作用、反バクテリア作用、抗酸化作用、高い保湿効果。
☆使い方☆ 食品や器などを包む時は手の温かみで形を整えピッ タリと押さえる。 冷たくなると固くなり形をキープします。
☆お取り扱い方☆ 使用後は水または中性洗剤で手洗い、自然 乾燥させれば何度でも繰り返し使えます。 高温、多湿での保管 やお湯(蜜蝋は60~70°cで溶け始めます)、電子レンジ等 でのご使用、生肉や生魚、柑橘類へのご使用はお避け下さい。 使い始めはコップや容器に蜜蝋や香りが残りますが、お使いい ただくうちに消えていきます。食品には蜜蝋や香りはつきま せん。 お手入れの度合いにより使用期間は変わります。 夏場で の直射日光はお避け下さい。 ラップがベタついた時は一旦冷蔵 庫に入れて冷たくすると、ベタつきはなくなります。
Yoko Zirov ・オーストラリア バイロン在住


vol.177 アウトドア特集

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キャンプデビュー
キャンプ場ではコテージ(小屋)、トレーラーハウス(車)、テントなど様々な場所に泊まることができます。その中でもぜひテントに泊まってみましょう!
快適さの面では他に劣るかもしれませんが、テント泊の雰囲気の良さに勝るものはないと思います。お昼からテント、タープなどを設営して準備を整えて外で遊び、夜になったら焚き火を囲んで、自分で設営した狭いテントの中で寝袋で寝る。
いつもの生活とは全く違ったアウトドアな雰囲気を楽しむことができます。

テントで泊まる
どこにテントを張るか?選ぶのも子どもといっしょに。「自分たちの基地作り」が始まります。テント場が決まったら、次に居心地いい空間作り。

自然の中で、ここからぼくの(わたしの)エリアね〜!と自分の場所を確保します。そして、食事を囲むテーブルをセットしたり、照明はこの辺がいいかな・・・このプロセスが実に楽しい!
今日から過ごす空間ができたら、ご飯の下準備。なんといってもメインイベントともいえる「そとめし」。アウトドアならではのダイナミックご飯を用意しましょう。

夕闇から夜の闇の中、焚き火はかかせません。家族と、仲間とゆらゆら揺れる炎を見ながら語り合う時間は格別です。

晴れた夜なら、星空ウォッチング。この日のために一夜漬けで仕入れた星座名をスラスラと言えちゃったりしたら、尊敬の眼差し、まちがいなし!

意外と手軽にできる!初めてのキャンプ!

「キャンプやってみたいけど、道具揃えなきゃなぁ〜」と思う方!充実したキャンプ場の多くでは、キャンプ道具のレンタルできます。テント、タープ、シュラフ(寝袋)、シュラフマット、机、椅子、焚き火台、BBQグリルなど全部借りれるところが多いです。

初めてのキャンプで留意しておきたいこと

1、近くに温泉があったり、お風呂が付い ているキャンプ場を選ぼう。お風呂があ ると快適さが違います。要チェック!

2、防寒対策はしっかりと!
ずっと野外で過ごすキャンプは体温の調 整が重要です。薄着で風邪をひいてしま わないよう、普段+αの防寒着を持って 行きましょう。

3、片付けのことまで考えて過ごそう!

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1、薄手のケープ(まだまだ夜風は冷たい時期です)
2、調味料(塩、こしょう、七味、醤油など)
3、懐中電灯、軍手、ビニール袋
4、チャッカマン、ライター
5、クーラーボックス、氷
6、トイレットペーパー、ウェットティッシュ
7、ハンガー、ロープ(ぬれたものを乾かすのに便利)
8、外ばき用のサンダル
9、吊し型のネット(小物の整理に便利)

 

 

1200_main_08_01小物はなにかと荷物に
紛れ込みがちなので、ハンガーに掛けておくと一目瞭然。

 

ca_i01初夏といっても場所によって朝晩は冷えます。大型のブランケットは重宝しますよ!

 

toiletpaperティッシュBoxより便利。トイレになかった時のためにも

 

oktools_to-0008いざというときにホント便利!補修ツールとして、ちいさなゴミを貼り付けて集めたり、ひも代わりにしたり・・・とにかく助かる一品。剥がしやすい布テープがおすすめ。


vol.177 大地と森とミツバチと私たち

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F:船橋康貴さん 環境活動家、一般社団法人ハニーファーム代表理事(写真・左)
Y:Yaeさん 鴨川自然農園で半農×半歌手として活動。(写真・中)
N:萩原・ナバ・裕作さん 岐阜県立森林文化アカデミー 准教授(写真・右)
*シンガーソングライター ASUMIさんの歌を間にはさみながら、内容は深く、雰囲気は楽しいトークで盛り上がりました。

ミツバチとつながり
F:今日この会場のあたりにもいっぱいミツバチが飛んでます。ハチというと日本の人は怖いという感覚ですが、欧米は感謝の対象。「ご飯(作物)を作ってくれてありがとうね」。だから庭の花や、窓辺の花も、ミツバチのため。
Y:え〜、お花はミツバチのため!
F:はい、景観のためじゃないんです。いのちの循環があるということを小さい子も知っている。
Y:舟橋さん、ミツバチとのつながりは何年前から?
F:5年です。もともとは地球環境のシンクタンクで、地球温暖化対策とかに取り組んでいました。でもちっとも改善できない。そんなとき、ミツバチと出会ったんです。ミツバチを先生にしたら環境問題は解決するって思った。だけど今、ミツバチは危機的状況なんですよ。そしてそれは、今食べているもの、それがなくなるってことに繋がっているんですよ。
Y:ミツバチがいないと、食べ物がなくなる?
F:ミツバチの受粉でおおよそ人間の食べるものの7割ができている。ミツバチがジャングルや森に入って、受粉をするから、実がなる。それを動物が食べる、フンといっしょに種を落とす。そこから芽が出て、その根本が森のダムになり、たまった栄養豊富な水が川や海の生態系を維持している!ミツバチがいなくなると、この「いのちの循環」の仕組みが止まる・・・ぼくはこのことを一生懸命あちこちで話している。でも、なかなか74億人に伝わらない。で、誰ならたくさんの人に伝えられるかなと考えたときに、おー!くまのプーさんだと思った。ミツバチの受粉で食べ物ができているんだというメッセージを、プーさんが主人公のアニメーションで、世界中にいろんな言語で伝えてほしいと、実は昨年6月にウォルトディズニーの本社へ直談判しに行って来たんです。
N:プーさんも蜂蜜が食べれないと困るんですよね。
F:困るんです。
Y:ミツバチと食べ物が直結しているということを知らない人は多いと思います。
F:こんなに深刻だっていうこと、こんな楽しいマルシェもできなくなるってことを知らない人もいますよ。
Y:鴨川自然王国は千葉県の南の方にあり、そこに大山千枚田っていう棚田があります。昨年、すっごい雨の中で、稲刈りをしました。もともとは手作業で有機農業をやってきたんですよね。多くの人が関わることで、食糧の自給率がすごく高かった。機械化することによって、農薬も使うようになり、その分やっぱり生態系に異常をきたしてきた。田んぼにね、ウナギがいたんです。すごい豊かだなと思うんです。ところが、農薬を使い出したときから、ウナギが腹を見せて死んでたんですよ。地元のおばあちゃん、さみしそうでした。私たちはそういう豊かさを取り戻していかなきゃいけないよね。

みつばちの巣F:ミツバチが減っている原因の一つが、農薬にあることとは別に、ボディーブローのように徐々に生態を弱くしていくことにも注目したいです。環境主要生物であるミツバチが元気だと他の虫も動物も人間も元気なんです。実は、ミツバチは温暖な沖縄が育ててくれています。ところが、沖縄も農薬の使用によって、ミツバチの生育に影響がでてきました。さらに農薬が地下に染み込み海にいき、サンゴが死にはじめた。ミツバチの象徴というのはハニカム(ミツバチの巣)の六角形。沖縄の紅型にも六角形のデザインがあって、それはサンゴの象徴だとか。海の環境主要生物である珊瑚がダメになったら、海は死ぬでしょう。ともに環境主要生物。繋がっている感じがしますね。
Y:千葉の定置網の漁師さんたちは、海をキレイにするならまず山、川をキレイに整備するって。海と山とのつながりを昔の人たちは理解していたのでしょうね。

自然と人
Y:今は昔からの農業も、土からも離れてしまった。ナバさん、子どもたち、土に触れたときどんな感じになります?
N:
なんだろう、子どもだけじゃなくて大人もね、生き物にかえるっていうか。畑仕事とかに夢中になっちゃう。土のじわじわ感、大人が変わるんですね。
Y:田んぼに入ったとき、私、感激しましたね。あの、むにゅ〜っていう、なんていうの?泥に足を取られずぶずぶって、ゆびとゆびの間に泥が入る感覚…快感だったりするんです。なんていうか、こう、地球にガーって入っていく感じ。
F:土を触ったあとは、心地よい疲れってありますね。あれはたぶん、全部いろんなモノ(毒素)が出ていくんじゃないですかね。
Y:田舎に住んでいる私の周りの子どもたち、土に触れることがあんまりなく育って、目の前に田んぼがあるのに入ったことがないし、山があるのに山で遊んだことがない。遊び方も親が知らないしね。
N:そのとおりですね。岐阜は、8割くらいが森。このあたりは違いますが、子どもたちの周りにはたいてい森があるんだけど入れない。危ないから、とか、大人がどう遊んだらいいか知らないし。それで、森の幼稚園を立ち上げた。ここにはこんなに川があって森がある!なら、毎日外でしょう!って。特徴は小規模。10〜15人くらいの子どもたちを、お母さんたち3、4人がいっしょに大家族みたいな感じで面倒を見る。手作りの教育を森の幼稚園でずっとやってきました。
F:ぼくも去年から、「ハニービースモールスクール」というのを始めました。最近は自分たちでひみつ基地なんかを作り出したりして。そんなことをやっていると、戦争ってなぜ起きるの?どうしたらそれが起きないか、ちっちゃい子でもみんな語れるんですよ。ちゃんと待っていれば語るんです。今は大人がどうなの?って、せかしすぎて、違うでしょ、こうでしょって言うから、言わないだけでね。
N:その、待てるっていうのがいいですね。
Y:スローだからね。
F:自然の中だと待てるんです。
N:そう!!そこ!ふだんお母さん大変でしょ、朝早く早く!とか、せかすんですよ。でも、森の中に入るとお母さん方もおおらかになって、待てるんですね。そして少人数だから待てるとも言います。とっても大事なことですね。
F:やっぱり自然に戻っていくということをもう一度考えないといけないね。自然としっかり繋がることで、幸せを十分に感じることをしていきたいですね。

楽園
F:ASUMI さんの『楽園』という歌の中に「なにもないけど、すべてある。」そんなフレーズがありましたよね。自然っていうところに子どもたちを連れて行くと、なんにもないじゃんって言うんですよ。でも、結局すべてがそこにあるということに気づいていくんだよね。これ、とっても大事なことですよね。

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N:大事ですよね。森の中で子どもは次から次へと遊びを作っていけるんですよ。そういう能力が発揮できるなにかが森にはあるんじゃないかな。
Y:そうだよね、蜂に刺されるからやめなさいって言う、そういう大人にはならないよね。
F:どうしたら、刺されないのかっていうのもわかるんだよね。
Y:虫が嫌いな子どもって多いじゃない?私もあんまり好きじゃなかったんだけど、虫って危ないのとそうでないのとがいるでしょ。ちゃんと知識として身につければ、すごく可愛く思えてくるのね。
N:よく子どもたちとやるんだけど、毛虫をね、手のひらの上に這わせるんです。
Y:えっ、そうなの?かぶれない?
N:かぶれない。かぶれる毛がついているのは背中だけだから。
Y:背中を触らなきゃいいんだ!毛虫って、野菜喰われると思って、害虫!って感じでみてました。毛虫とは違うんだけどキャベツの葉っぱにモンシロチョウの幼虫がついて、葉っぱがレース状になってしまうんですよ。
F:ぼくの知り合いの畑では一番外の葉っぱだけレース状になって、虫が2枚目から絶対手を出さないって。

Y:私なりにちょっと分析したのね。虫って、自分の食べるものが絶滅したら自分のいのちがないじゃん。そのキャベツが、次の世代に繋がるために、残しているんじゃないかなって。でも、人間だけは、全部絶滅させちゃう。
F:食べ尽くし、使い尽くし・・・いくつかの文明がこの地上から現れては滅びているのは、全部、環境問題といわれているんだよね。ここで、お二人に悩み相談です。アインシュタインが、ミツバチがいなくなったら4年で人類が滅亡するって言ってます。そうならないために、私たちはどうすべきでしょう。
N:気づいたら動き始めるしかない。あと、人に言いまくる。伝えまくる。なんか一瞬でも誰かにハッとさせることをやれば、みんなフッと振り向くでしょ。
Y:そうですね、「楽しいことは正しいこと」と言った人がいて、楽しいっていうことにみんな欲求を持つでしょ。鴨川自然王国では、楽しくなければ人生じゃないっていう言葉を私の父が残しているんですけど、とにかく楽しさに邁進しようと思っています。
N:さっきの楽園、楽園ですよ。楽園を作っていけばいいんですよね。
F:いいね!まとまってきました。ボクもね、Yaeさんといっしょで、すべてを陽気にがモットー。だから、ミツバチがいなくなって、食べ物がなくなるのをなんとかしようと、深刻になると重たいから、プーさんに手紙を書こうよって。それがプーさんに届いて、プーさんが語ってくれて、ディズニーが本気になったら、みんなが知るようになって、つながっていくよ。とにかく陽気に。プーさんに手紙を書こう!!!

最後にメッセージをひと言づつ。
N:我々は猿だったんだよね。猿は森から来たんですよ。たまには森に行こうよ。これほど人が住んでいる平地に近い場所に森がある県というのは、岐阜県しかないんですよ。
Y:3人の子育てをしながら、やっぱりいっぱいいっぱいなのね。でもその中でも、自分を解き放ち、あー気持ちいいなぁ、みたいなそういう瞬間をね、もっと作っていこうかなって思います。
F:では最後にぼくから。みなさんお買いものに注意して下さい!お金というのは、投票権(券)です。すごいエネルギーを持っています。いいことをしてくれる企業やミュージシャン、幼稚園のおじさんに投票してあげて下さい。買い物で社会が変わる、一通のプーさんへの手紙で社会が変えられる。みなさんは無力だと思わないで下さい。一番力を持っている人です。なので、社会、世界をいい方向へ変えるのは、みなさん自身です。

(つながりフェスティバル2017年3月12日トークライブより 文責にらめっこ)


vol.177 トラスト活動って知ってる?

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日本のナショナル・トラスト
日本のナショナル・トラストがはじまったのは、高度経済成長期まっただなかの鎌倉でした。以来、全国にナショナル・トラストの輪が広がり、将来世代に引き継ぐべき日本の豊かな自然が、幾多の開発から守られています。

市民による初めての土地の取得
1960年代の高度経済成長期、各地でさまざまな開発計画がたてられ、多くの自然豊かな場所がその対象となりました。古都・鎌倉においても、鶴岡八幡宮の裏山である「御谷(おやつ)の森」が宅地開発の対象となりました。行政による解決が難しかったことや、一刻も早い対応が必要であったことから、御谷を守りたい鎌倉の市民が立ち上がり、英国で取り組まれていたナショナル・トラストを取り入れて募金活動をはじめました。1964年のことです。そして2年後、市 民からの寄付金900万円と、鎌倉市からの600万円を合わせた1,500万円で1.5haの土地を買い取り、御谷の森を守ることに成功しました。

全国に広がるナショナル・トラスト
現在では、全国50以上の地域で、それぞれの風土に根ざしたナショナル・トラストを展開しています。活動分野も、土地や建物の取得をはじめ、普及啓発や環境教育、まちづくりなど、多岐にわたっています。

トラスト活動の必要性
守られている本来の自然は国土のわずか5%。日本は国土の70%は森林で、一見、自然が多く残っているように感じられますが、その40%はスギやヒノキが植林された人工林です。植林地を含まない自然の森や草原など、本来の自然は、国土の20%しかありません。そして、そのわずかに残された本来の自然も、法律等で保護区に指定され、確実に守られているのは国土のわずか5%※です。
※環境省第2~5回自然環境保全基礎調査植生調査及び国土交通省 数値情報自然保全地域データ等より

行政の取り組みを補う民間の活動
豊かな自然や美しい風景を守るため、行政によって公有地化や国立公園などの保護区の指定が進められています。しかし、重要な自然でありながら、保護区に指定されていない場所や、国立公園など保護区でありながらも私有地も多く含まれ、いつ失われてしまうかわかりません。このような、行政だけでは守りきれないところを、民間によるナショナル・トラスト活動で自然地の保全と再生を進めていくことが必要です。

山や森が荒れる原因のひとつ?
山の地主のひとりごと…として聞いてください。
先祖代々から守ってきた山林があるのですが、自分が生まれた年に、オヤジがヒノキを植樹してくれた。下草刈り、間伐、枝打ちなどできる範囲内で山を守ってきた。次世代にどう残そうかと考えたとき、60数年育ってきたひのきを伐採し、あえて植樹せずそのままにしておけば雑木が育ち自然林になると考えていた。しかし、見積もりを見てびっくり。木材市での買い取り価格から、手数料、伐採人件費などを差し引くと、手元に残るのはわずか約1割の50万ほど。60年かけて見守ってきた山林の価格がそれだけ…。でも、これが現実?!外国の業者がやってきて、水源だ、伐採権だとポンと大金を積まれたら、そりゃ心が動くわ。山に愛着が持てず、ほったらかしにしている地主の気持ちもわかるなぁ。(関市在住 K・M)

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平成29 年3月13日、公益財団法人 奥山トラストは、岐阜県白川村で自然林43haを購入。今回取得したのは、庄川源流域の標高約1200m付近にある、ブナ林やシラカバ林からなる100%の天然林です。取得したトラスト地の周囲も原生的な天然林となっており、一帯が岐阜県「水源地域保全条例」の指定地域となっています。

ツキノワグマ爪あと

ツキノワグマ爪あと

周辺では、カモシカやツキノワグマ等の生物の痕跡が確認されており、水源の森としても、多種多様な生物の生息地としても保全の意義のある場所。森林全体が還移過程にある天然林であるため、今後は手をいれることなく、自然状態のまま永久に保全をしていきます。また、岐阜県在住の当財団支援者の方々とともに、トラスト地内部の動物や植生調査等を進め、地域の貴重な財産として水源の森をトラストする意義を広めていきたいと考えています。かつては日本のどこにでもあった奥山の豊かな原生的な森ですが、開発やスギ・ヒノキの人工林化により、その多くが失われています。文明の基盤である奥山水源域の豊かな森を保全・復元していくことは、21世紀の重要な課題であり、当財団にもさらなるナショナル・トラストを進めてほしいという声が多く届いています。今後も、次世代のため、全ての生きもののため、水源の森を守るナショナル・トラスト運動を全国で進めていきます。
公益財団法人 奥山保全トラスト 理事長 室谷悠子

公益財団法人 奥山保全トラストについて
奥山保全トラストは、今、わずかに残る「奥山」の豊かな森を、市民から集めた寄附金で買い取るナショナル・トラスト運動によって保全しようと設立された自然保護団体です。
かつて日本の奥地には、多種多様な生物にあふれる鬱蒼とした巨木の森が広がっていました。そして、この森から湧き出る滋養豊かな水は、あらゆる生き物の生命を育み、農業、林業、漁業、工業、全ての産業と都市の水源を支えてきました。私たちの祖先が「奥山」として大切に守ってきたその森は、戦後数十年の間に、道路や観光開発、スギ・ヒノキの拡大造林などのためにその多くが破壊されました。近年、世界的な水不足を背景に、海外の資本が残された日本の水源地を取得するという憂うべき事態も発生しています。
《奥山保全トラストの事業》bear
①原生的な森林の購入や保全 ②や性動植物の生態調査や研究 ③環境教育・環境保全に携わる人材の育成


vol.177 放射能から体を守る食べ物って?

p-7title3.11の震災で福島第1原発が事故を起こし、放射能汚染が問題となってからはや6年、なんと!福島よりもっと近い岐阜県土岐市で2017年3月7日から核の実験が開始された。(※)
実験については難しいことも多く、まだまだ勉強が必要と実感してる子育てコミュニティーtocotocoさんが「いますぐできること、放射能から体を守る食べ物」に焦点をあてた学び合い会を開催。子育て中のママとママになる準備中の人、9人が参加しました。

玄米とわかめの味噌汁
Aさん:長崎へ原爆が投下 された当時、自らも被爆しながら、医師として負傷した被爆者の治療にあたった秋月辰一郎医師の著書に、「その時私といっしょに、患者の救助、付近の人びとの治療に当たった従業員に、いわゆる原爆症が出なかった原因の一つは、「わかめの味噌汁」であったと、私は確信している。」とあるよ。「わかめの味噌汁と玄米食」で自分の結核を克服し、スタッフ全員にも勧めていたそうだよ。hakkou
Bさん:やっぱり発酵食品はいいんだね!
Aさん:味噌の中でも、この地方の豆味噌は、放射能から身を守るのに効果的なんだって。
Cさん:味噌汁と玄米ね。わが家でも玄米食を食べていた時期があったけど、子どもが消化不良になったり、自分も体調を崩したりしたの。誰にでも合うわけではないのかな。
Eさん:たしかに玄米は消化しにくいよね。玄米を吸収するためには亜鉛をたくさん必要とするそうだよ。亜鉛のようなミネラルは活性酸素を抑えてくれるのに必要なので、現代は亜鉛不足の人が多いのかも。
Dさん:活性酸素って何?
Eさん:簡単にいうと、体を錆びさせる、老けさせるもの。細胞が劣化するので活性酸素は少ない方がいいよ。
Fさん:放射能の大きな害として、活性酸素を発生させるということがある。がんやいろんな病気を引き起こすよね。
Eさん:活性酸素を除去するポイントとして、スカベンジャー(抗酸化作用)の働きをする栄養素を摂ること。ビタミンC、ビタミンE、ビタミンB群、ポリフェノール、カロチノイドなど。
Gさん:ファイトケミカル(植物中に存在する天然の化学物質)も抗酸化物質がいっぱい!元気な野菜の皮をむかずに食べれば、簡単に取り入れられるよ!お米を炊く時に、野菜の皮を上に乗せて炊くだけでもいいし。菌がいっぱいの元気な土で作られた野菜には、より多くのファイトケミカルがあるからできればそういう野菜を食べたいね。
Aさん:活性酸素はストレスでも大量に発生するそうだから、笑って暮らすのが一番!笑うと免疫力も上がるしね!

微生物の力ってすごい!
Fさん:アルコール飲料に放射線を防護する効果があると放射線医学総合研究所が発表しているよ。ビールの場合、麦芽の甘味成分などに放射線によってできる染色体異常を最大で34%減少させる効果があるんだって。
Dさん:お酒好き、発酵食品好きには嬉しい研究結果だね!
Eさん:『ビール』として販売されているものには、原材料や添加物の成分が違う様々な種類があるから、よく調べて判断しないと、良かれと思って飲んでいて逆効果ということになりかねない!
Eさん:東日本大震災後、福島でEM(有用微生物群)を使って栽培した作物のセシウムの吸収は抑制されたり、EM散布した数十メートル周りの土地まで放射線量が低下したりしていると発表されているよ。
Iさん:微生物の力ってすごいなぁ。これからも勉強しながら良いと思ったものはできることからどんどん実践していきたいね。

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海藻類や大豆をバランスよく!kodomo
からだに十分なカリウムがあれば、万が一セシウムがからだの中に入ってきたとしても、余分なものとしてからだの外へ排出されます。同様にヨウ素も、普段から海藻類をたべて甲状腺にしっかり溜め
込んでおけば、ヨウ素131は身体から排出されます。ただ、ストロンチウムの場合、歯や骨に一旦、取り込んでしまうと排出は難しいので、カルシウムは十分に取り込んでおく必要があります。

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※岐阜県土岐市の「核融合科学研究所」で核融合発電を効率よく行うため、重水素ガスを用いてプラズマをつくる実験が始まりました。
2017年3月7日~7月7日、火曜~金曜(月曜も行なう場合あり)の9:00~18:45の間、15分間隔で行なわれます。この実験により中性子線とトリチウム(放射性物質)が発生します。研究所はまったく問題のない微量といいますが、安全性や実験そのものに疑問を投げかける専門家や一般市民が反対の声をあげています。
※放射能とは、放射性物質が放射線を出す能力。放射性物質は放射線を放出しながら、時間の経過とともに放射線を放出しない安定した物質になっていきます。

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前号の特集「どうする、どうする?予防接種」にこんなお便りをいただきました。
息子が3才のときに、インフルエンザ予防接種後、アナフィラキシーショック症状を起こし、すぐに救急車で大きい病院に搬送されました。接種後数時間で症状は治まりましたが、安易に予防接種をしたことを後悔して、以降日本脳炎、はしかを見合わせています。親の考え方によりそれぞれですが、全ての予防接種に対してよく考えるべきだと感じました。(美濃加茂市 Mさん)


vol.177 新連載・かなでの沖縄だより

p-9title こんにちは、奏です。
私はこの3月高校を卒業し、4月から声楽を勉強するために沖縄の大学に進学します。大学では歌をやるために必要なイタリア語やドイツ語を勉強したり…今まで少ししか触れてこなかった勉強も始まります。もちろん高校生ではなくなるので「中高生、平和を考える」も卒業です。しかし3年半せっかく続けてきたコーナーまで卒業するのは心残りなので、「かなでの沖縄だより」と題を変え、連載は続けさせてもらうことになりました。沖縄で岐阜出身の私が見て、聞いて、感じたこと、考えたことを報告させてもらいたいと思っています。
私はミュージカルに興味があり、高校は音楽科を選びました。大学でもミュージカルの勉強を続けたいと思い、私が指導を受けたいと思えるような先生を探したところ沖縄の大学にいらっしゃることがわかりました。ミュージカル科ではなく声楽科ですが、「まずは歌から頑張ろう」と決めて、沖縄の大学を受けることに決めました。
中学校の時から平和についていろいろと勉強してきて沖縄に興味もあるし、迷わず第一希望にしました。
8月には一人でオープンキャンパスに参加しました。この時、沖縄がすっかり好きになってしまいました。もちろん推薦入試から受けたのですが、だめでした。でも、「ここで勉強したい!」という思いが強かったので、あきらめず、冬休みにセンター試験対策の特訓をしてもらって、一般入試を受けました。
結果は合格、あきらめずに良かったです。

ここで4年間しっかり勉強して、あこがれの舞台に立ちたいと思っています。とっても楽しみです。そして、沖縄の生活も満喫したいと思っています。この1年で、オープンキャンパス、推薦入試、一般入試と3回も沖縄に行って、沖縄の空気にすっかり慣れてしまいました。また人の温かさ、大学では他にはないすごく少人数で勉強ができるという魅力に、沖縄のことがどんどん好きになってきました。
ただ、不安もあります。生まれてから高校を卒業したここまで、ずっと鵜沼で暮らしてきました。それが一気に沖縄ということで、ずいぶん遠くなります。去年の悲しい事件のことも心の片隅に引っかかっています。しかし、それ以上に岐阜とは違った気候、食べ物、習慣などなど、そこに住んでみて初めてわかるようなことがあるのではないかと思うと楽しみです。
もちろん、基地の島沖縄ということで、平和についても考えてみたいと思っています。航空自衛隊の基地がある街に育った私にとって、普天間や嘉手納がどんなものなのかを考えてみたいと思っています。6月23日にはさっそく「慰霊の日」がやって来ます。沖縄戦についても、現地でしっかりと考えてみたいと思っています。
やりたかった勉強が、いちばん関心のある場所でできることに感謝して、生活も、連載もぼちぼち始めます。よろしくお願いします。

嘉数高地から見た普天間基地

嘉数高地から見た普天間基地


vol.177 熱中世代発 リバース第7号

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2017-04-03 ツバメシジミ (24)2017-04-03 ツバメシジミ (17)

ツバメシジミ(Everes argiades)

4月3日、その日はとても暖かく、畑へ菜の花を摘みに出かけました。そこで、数頭の青い蝶が飛ぶのを見たのです。黄色い菜の花、青いオオイヌノフグリ、白いナズナやハコベ、カラスノエンドウの花園をツバメシジミは飛び回っていたのです。まだ、発生の初期らしく、青い色のオスのチョウばかりでした。チョウは、オスが羽化しその後、数日遅れてメスが羽化するのです。
最近では農薬が畑や田だけでなく、畔や農道、河川の堤防にまで使用されることが多くなりました。農業従事者の老齢化や人手不足を補うため、農協や行政の指導によるものです。また、一昨年来のデングス病の発生による蚊等の防除のための農薬散布も行われるようになりました。このまま、自然環境を考えない農薬使用が続けられるなら、ツバメシジミの様な身近なチョウたちも姿を消してしまう事に成るのでしょう。今、自然環境の保全について考え話し合う『場』が必要なのです。

2017-04-03 ツバメシジミ (46)

チョウ目(鱗翅目) シジミチョウ科ツバメシジミ属 ヒメシジミ族に属します。名前の由来は、後翅に燕の様な尾状の突起をもつことによる。小型のシジミチョウで、日本では北海道、本州、四国、九州や付属する島々に生息。濃尾平野では3月下旬から10月までこの蝶を見ることができる。国外ではユーラシア大陸の北部からアメリカ大陸まで分布。幼虫で越冬し、成虫は年4回~5回発生する。食草は、在来の植物であるカラスノエンドウやクララなどや、帰化植物であるレンゲやウマゴヤシ、シロツメグサや栽培植物であるササゲ、インゲンマメ、ダイズなどマメ科植物で15種類以上に及ぶ。幼虫は、これらの花や新芽、葉も食べ、卵は蕾の間に産みつける。幼虫は甘い分泌物で蟻を誘い、蟻に守ってもらう性質があり、ツバメシジミの幼虫には各種のアリが集まる。

 

写真・三輪芳明(みわよしあき)プロフィール 1952年  関市生まれ。仲間と岐阜県では絶滅したと考えられていたコイ科の魚類ウシモツゴを発見、人工的な大量繁殖させ野生復帰に成功する。岐阜・美濃生態系研究会 二ホンミツバチ協会 日本チョウ類保全協会。

 

 

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「ちいさなチェンバロ」を積んで全国を旅するHARUさん。古楽器に魅せられ、江戸時代の日本の楽器から、ルネサンス、バロック時代のヨーロッパの楽器と、東洋・西洋両方の楽器を演奏する。
もともとはクラシックギターを弾いていたが、弦をはじくならとチェンバロを選んだ。
「ちょっと編曲してありますが、ギターのご先祖様のリュートという楽器にバッハが独奏曲を書いているんです。それをギターで弾く。チェロのためのソナタなんかもギターで弾く。ただ難しいんですね。オリジナルの楽器じゃないし。ギターでの限界も感じて、いつかバッハが作曲するときに弾いていた楽器で弾けるようになりたいと、大学に入る前から思っていたんです。ですから、入試のためだけにピアノを習い、入ったら直ぐにチェンバロに変えました。」
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チェンバロを弾き始めた頃は、その美しい音色の研究に没頭。ノルウェーに留学していたときには、たくさんの楽器に触った。楽器博物館を巡り、いろんな製作家の、あるいは古いもの新しいものさまざな楽器を弾いて美しい音の追求をして日本に戻った。しかし日本には自分のイメージした楽器がなかった。なら、自分で作ろうという思いに至る。
実際につくるのは難しく大変だった。木の質で音はどう変わるのか、いろいろ研究を重ねるうちにオリジナルの作り方が見えてきた。「たとえば、千八百年代の頭に書かれた文献に、[チェンバロの爪にはカラスの羽根が最も美しい音を出す]とある。ところが、カラスといっても種類が多いので、何ガラスかわからない。ですが、日本のカラスはでかいので、これはいけるんじゃないかと思って拾ったカラスの羽根を使ってみたら、案の定自分の想像を絶するすごくいい音がしたんです!」

材料は地元の製材所で十年以上天然乾燥させた、ほとんど値段もつかないような木を買ってくる。それを木工業者に持っていき削ってもらう。今では自分で削るので、弦以外ほぼ手づくりだ。
「チェンバロの細長い独特のフォルムは、ムダなところを削った結果です。あのフォルムには、数学的な美しさが出ています。楽器作りは、かなり数学の知識が必要で、何ヘルツの音を出すときの材質が、おなじ弦で作っている時、何センチの弦の長さにすると音がどういう比率で高くなっていくか、ということを全部計算しないと作れないんですよ。」
「弦の長さは大変シビアな問題です。弦の張りが弱いと音が出ないし、強すぎると弦が切れてしまう。だから、楽器作りでいちばん難しいのは、弦を張るところかな。切れる寸前まで張っていくと、美しい音に突然変わるところがあるんですよ。」
音楽という学問は、昔は数学と肩を並べるような学問だった。ピタゴラスは実際、ドレミファソラシドを作る名人だったし、ピタゴラス音階というのが今でも使われているという。

「自分で作るということは、時間にとらわれることがない。たとえば、接着剤に米のりを使うという実験もできます。米のりは、つけたら次の日にならないと加工できない。なかなか固まらないから、逆に失敗しても剥がしてやり直せるという利点があります。そういう風にこだわって作った楽器が今使っている楽器です。」
製作期間は、工作方法をずーっとイメージして、どんな道具が必要で、どういう過程でつくるか、どういう順番で接着していけば間違いがないか、などの構想に1年、作り出して1年、完成までに2年はかかっていた。が、今では半年で作り上げる。

全国津々浦々を旅して演奏活動を続けているHARU さんは現場に着くと、まずチェンバロを組み立てる。
「ぼくは楽器を自由に触ってもらいます。その理由は、自分で作った楽器なので壊れても直せるから。それから、自分で楽器を作れるっていう喜びを伝えたい。子どもたちに触ってもらうことで記憶に残り、いつか作れるよって、暗示をかけておくっていうか、そうするといつか作るかもしれないじゃないですか!(笑い)そういう種をまくんですよ。それも楽しいことですよね。」

山に木があっても建築材料として値段がつかないような材木などもあり、苦しいと思っているいうHARUさんは、そんな材木を原料に、もっと付加価値のある楽器を作りたい、と話す。「ストラディバリウスが世界に出て行ったように、日本からそういう名器を作ればいい。いい山を見つけていい木に巡り会えれば、いい楽器ができる。そんな楽器作りがぼくの夢です。」

HARUさんプロフィール(わたなべとしはる)
チェンバロ、ヴィオラ・ダ・ガンバ、胡弓奏者、オカリナ作家。東京芸術大学音楽学部楽理科およびノルウェー国立音楽大学卒業。
1999年より古楽アンサンブル「コキリコ社」結成。2000年より群馬大学音楽専攻科講師、2007年より都留音楽祭アシスタント講師、2011年より加子母「木の香る音楽祭」主宰。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA『古楽器奏者、渡辺敏晴の日記』ブログ更新中
アトリエ 玉手箱
〒508-0421 岐阜県中津川市加子母3921番地5
TEL/FAX  0573-79-3681
http://tebako.jp

 

ƒvƒŠƒ“ƒg伝統からモダンまで

IMG_0635南部鉄器は、17世紀中頃、南部藩主(現在の岩手県盛岡市)が京都から盛岡に釜師を招き、茶の湯釜をつくらせたのが始まりといわれます。以来、良質な原材料に恵まれたことや、藩が保護育成に努め各地より多くの鋳物師、釜師を召抱えたことで発展を続け、その製造品も茶釜から日用品にいたるまで広い用途に応じていました。有名な南部鉄瓶は、18世紀になって茶釜を小ぶりにして改良したのが始まりで、一般の人にも手軽に用られるようになりました。

IMG_0634水道水の塩素除去には鉄瓶がいちばん!
水道水の塩素濃度が1ppmの水を用意し、アルミを表面加工したアルマイト製、ステンレス製、鉄製、ホーロー製、ガラス製の5種類のやかんを使って実験。どのやかんも沸騰するまでのあいだに塩素濃度が半分くらいに落ちたものの、その後は素材による差が生じ、塩素の減り方は、鉄製、アルマイト製、ステンレス製、ホーロー製、ガラス製の順で早かったとのこと。特に鉄製は効果が絶大で、「沸騰にともなって鉄瓶の鉄がごく微量とけだし、イオン状態の鉄と残留塩素が反応するため」と、浜松市の「県お茶と水研究会」が分析しています。


vol.177 メディアよもやま… 連載 6

メディア題字

“偽ニュース”の正体って何だろう?

 ネットショッピングなどで急成長し、横浜ベイスターズも経営する大手IT企業DeNAの医療情報サイト「ウェルク」に載った、「肩こりの原因は霊かも」など多くのいかがわしい記事や、他人の文章を無断引用した(著作権を侵した)記事が次々と問題化し、去年末DeNAすべての「まとめサイト(キュレーションサイト)」が閉鎖に追い込まれました。この事件だけでなく、多くのまとめサイトなどで同様の「偽ニュース(フェイクニュース)」が問題化しているのですが、たまたまアメリカ大統領になったトランプ氏が、自分に批判的なメディアを名指しして「偽ニュース!偽メディア!」と叫んで、この言葉が注目を浴びるようになりました。「ライオンが逃げた」「移民やイスラム教徒がテロの原因」といった興味本位で根拠のない情報が、今、ネット世界を中心に大暴れしています。

20 Creative Negative Space Design Inspiration 鳥のシルエット×卵

20 Creative Negative Space Design Inspiration 鳥のシルエット×卵

ちょっと考えればアヤシイと思われる情報が、なぜ最近フェイスブックやツイッター、ユーチューブなどソーシャルメディア(SNS)から大量に出回り、簡単に拡散してしまうのでしょうか? まず第一の背景には、アメリカ大統領選挙でも注目されたように、極端に単純化した乱暴な言葉で大衆を煽る・挑発するという、ポピュリズムと言われる政治家たちのパフォーマンスがあります。今回の大統領選挙では、トランプ陣営はこの方法で終始マスコミをひきつけ、クリントン陣営が投じた広告費(約2億ドル)の20倍以上、46億ドルの広告効果を上げたと推定されています。第二には、欲求不満の人たちが、面白半分、興味本位で世間を騒がせるというのも昔からよくあります。さらにSNSで誰でも簡単に発信できるようになったことが、これに拍車をかけています。第三に何よりも悪質なのは、情報配信サイトを運営するIT企業が、投稿者に報酬を払って、「偽であろうとなかろうと、刺激的な大量の情報を発信する」無責任な商売です。刺激的な記事へのクリックが多ければ、そのサイトの広告が知られるようになり、その広告費がIT企業や投稿者に還元される仕組みです。偽ニュースが、ビジネスとして世界中で成立、営業しているわけです。
スマホ向けに良質なニュースを配信しようとしている日本の「スマートニュース」の関係者らが、ネット配信しているマスメディアにも呼びかけて、ネットニュースの倫理的な基準を作ろうという動きも出てきています。ルールのない競争、無秩序なデジタル社会で繁殖してきた“鬼子”のような偽ニュースから身を守るのは、今後の学校教育もふくめた大きなテーマですよね。

つだまさお 「てにておラジオ」代表
1943 年金沢市生まれ。1966年からNHKで、主として報道番組の制作に従事。1995年から東邦学園短大、立命館大学などで市民社会のメディアのあり方を教えたり、全国の市民メディアを繋ぐ仕事に携わる。2016年から、「みんなの森・ぎふメディアコスモス」で発信する市民による放送局「てにておラジオ」を運営。


vol.177 ホスピスケア♥訪問看護日記-vol.2

kango

雪のふる寒い日
クリスマス前に訪問したことのある患者さんの死亡確認の訪問。90歳近いウルグアイ人のおばあちゃん。とても安らかな死に顔だった。娘さんはまだまだ感情があがったりさがったり大変そうだったけど、自分は家で看取るためにすべてをやり遂げたと言った。そして泣きながら、「とてもいいお母さんだったの。。。本当にいいお母さんだったの」と繰り返した。遺灰は生まれ故郷のウルグアイまで持っていくわと言っていた。ついつられて涙目になっていたのに、連絡を入れた葬儀屋さんに、「あんたんとこ死亡診断書(オンラインで出される)出んのすんごい遅くて嫌なんだよね~」と文句を言われ、ムッとする。そのくせ「今日は雪だからご遺体のピックアップは遅くなるから」と言ってくる。やれやれと思っていると、娘さんが亡くなったお母さんの口を閉じようと四苦八苦していた。「お母さんはほんとうにきっちりしてた人だから、最期まできれいな顔でいたいはず。」娘さんはあごをスカーフでしばりたかったのにちょうどいいスカーフがなくて、なぜかタンスから出したのがドクロがいっぱいついたやつで。。。 娘さんは気づいていないのか、スカーフの柄は気にしていないようで、これでいいと患者さんのあごをきれいにしばって口を閉じてあげた。
それをみていた娘ムコが「お義母さん。。。。やっぱりこれはチョットぉぉ。。。。」と、とても気まずそうに言い出し、お義母さんと険悪なムードに。2人ともひかないので、私はあわてて車においてきたカバンの中の包帯を取りに走った。
そんなやりとりも患者さんは天井からクスクス笑って見てるのかもしれないと思ったら、なんだかすべてが愛おしく思えたのでした。

意思表示
40代の女性の家族が訪問をリクエスト。10代の子供と旦那さん。到着したころにはもう午前12時をまわっていた。15-16歳にみえる娘さんが、おとうさんと2人で、お母さんの容態が安定しないために不安そうに、必死に看病していた。それでも私への受け答えには笑顔を絶やさず、お父さんにもいろいろと手厳しく指示をとばし気丈な娘さんだった。患者さんには高熱がでていた。意識はしっかりしていて、意志疎通もでき、そんなにひどい痛みや苦しみはないようだったが、とにかくどんどん弱っていくようだった。がんの進行で口から顎にかけて大きく穴が開き、口の中には膿のようなものも見え、感染症を繰り返した末の在宅ホスピスだった。流動食や水分はストローを使って飲み込めるようだったが、本人にとっても家族にとっても、とても辛い容態だった。今日の高熱が、ターミナルフィーバーなのか、がんからなのか、または感染症による発熱なのか判断できない。家族は、容態の安定に望みをかけ抗生物質の投与を希望する。ご主人は、まだあきらめたくない、まだ早すぎると、救急車を呼ぼうとする。抗生物質の投与で一旦は症状が収まるかもしれないけど、また同じ状態を繰り返すのは目に見えていて、がんセンターの医師もその上でホスピスを提案したに違いなかった。がんの種類や場所、それによるダメージがあまりにも大きすぎた。ご本人からは、とりあえず朝まで待ちたいという意思表示があった。その夜は解熱剤の座薬投与と、お体をきれいにふいて家を後にした。
翌日、気になってレポートを読んだ。次の日の午後5時ごろ、熱は下がったものの、家族からの点滴による抗生物質投与の希望と、子供さんに気遣ってか、家で死んでほしくないというご主人の希望により、結局長く入院していたがん専門の病棟に戻ることになった。この時点で患者さんの意識があったのか、意志疎通ができていたのかわからない。でも、この患者さん、病院にもどるため医療用の搬送サービスが来て、お家でストレッシャーに移った瞬間に息を引き取ったそう。患者さんは、きっとお家で最期を迎えたかったのでしょう。。。死もまた意思表示なのだと思った瞬間でした。
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yjimageわかばま〜く:プロフィール 1982年生まれ。ニューヨーク州立大学卒業後、 ニューヨーク市立病院に看護師として4年勤務。現在は訪問看護師としてホスピスケアに携わっている。岐阜県各務原市出身。


vol.177 忍耐・ガマンの上手な伝え方

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忍耐力ある?ない?
わが子の場合

・ 「自分が第一で譲れない」
10歳の長女は、自分の希望にそぐわないと不満を吐いて怒って、あげくしくしく泣き出す。弟や妹にも譲れない・・・(娘10歳・6歳、息子2歳)
・ 「大好きだから続けている」
大学一年の長女は小一から、次女は年長から現在まで剣道を続けています。娘たちに忍耐力が身についているとしたら、親が「忍耐力・がまん」は「苦しい・嫌悪」ではないと思わせることだと思います。(娘19歳・18歳)
・ 「しんどいと忍耐が薄くなる」
親も余裕があるときは、忍耐強く子どもの話を聞けるときもあり、気持ちを察しようとすることもできますが、しんどいとき、貧乏だったり、体調が悪いとき、疲れているとき、悩んでいるとなどはそれができない。(娘14歳)


ガマンを通して人生の歩みを見直してみると

池内 了(宇宙物理学者)

外的な抑圧と内的な抑圧
堅苦しくいえば、心はあるモノを欲したり、あることをしたいと願ったりしているのだが、そこになんらかの抑圧が働いて心の自由度が抑圧された状態をガマンと呼んでいる。
強制されたガマンは反発や不満が常にともない、自らの判断や自制心からのガマンは、やり通せば自己満足を味わうが、途中でくじけると自己嫌悪に陥ることになる。
外的にしろ、内的にしろ、いずれにしろ抑圧にはそれなりの合理性があるので従わざるをえないと心では認めながらも、精神の自由度を奪うと感じる程度には素直に従えないとの気分もあり、いわば心の葛藤状態にある。抑圧を振り切って心を解放しようとするギリギリのところまで追い詰められると、「一か八か」あるいは「ケセラセラ」の心境になって思い切ってガマンと手を切ることになる。それは、はじめにあった心の抑制からの解放を意味するが、あらたなガマンの種を背負い込むことも多い。
このように次々とガマンをくり返していくのが人生であるかもしれない。

みずから課すのができるのは10歳くらいから
赤ん坊時代の人間は心の抑制とは一切無縁だから、ガマンとも無縁であることは明らかで、人生において自分が世界の中心であると主張できる唯一の時を生きる。やがて自分は世界の中心にはいないとわかるようになってガマンの心が少しずつ芽生えてくる。親から「静かにしなさい!」とか「早く寝なさい!」と命令され、自分のペースですべてが進むとはかぎらないと悟って、ガマンしなければならない状況があることを学ぶからだ。ただ、この年齢のころは抑圧に素直に従っておくほうが楽で、わざわざガマンしてがんばろうとはしない。体も心もガマンについていかないからだ。
成長するにつれて親の一方的な命令に対して反発したり、ガマンすれば我意を通せることを覚え、6歳くらいになるとガマンした方が損か得かを天秤にかけるようになる。
10歳くらいになると、自分でなすべきことの目標を決めたり、道徳心から自分の生き方を反省して、みずからを制御してガマンするということを課すことができるようになる。

集団として生きるためには
青年期にはガマンの源泉に外部からの抑圧と自己が課す自制があることを強く意識するようになり、抑圧があることを予想すると前もって自制してそなえるという高等策を打つようになる。さらに抑圧は自分の心の持ちようでもあると気づき、ガマンするのではなく無関心を装ったり、抑圧とガマンの関係から降りたり、ガマンせずにもっぱら欲望と取引するようになっていくのだ。しかし、それは若さが持つ特権で、人は遅かれ早かれ集団として生き、それとの調和のためにガマンしなければならないことが多々あると知っていく。
さらに、中年から老年期のガマンについて。最後に「認知症は人生の最終章におけるガマンからの解放かもしれない」と書く予定だったが紙数が尽きてしまった。
ガマンということばを通して人生の歩みを見直すのも悪くないな。と書きつつ思ったことであった。

いけうち・さとる 総合研究大学院大学名誉教授、名古屋大学名誉教授。専門は宇宙論、科学・技術・社会論、新しい博物学。宇宙や科学をテーマにしたものを中心に著書多数。最新刊は『ねぇ君、不思議だと思いませんか?』(而立書房)

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対談
岡崎 勝(小学校教員・おは編集人)×五味太郎(絵本作家)

「ガマンさせたい」親の気分
「どうしてがまんするの?」という子どもの疑問。
社会が混沌とするいま、学校に求められること、大人ができることとは?

自由なんてどこにもない
五味:オレは10年くらい前にアフリカに行ったんだけど、そこでわかったのは、人は環境の中に生きているってことだよね。社会というより環境。アフリカのような大自然が自由だっていうのは大まちがいで、ぶらぶら歩いていればライオンにはやられるしサイやゾウが寄ってくる。その環境をどう生きぬくかってことしかないんだな、ということ。アフリカで暮らすと、ゾウが横切るのを待つ、飲める水がなかったら、五時間かけてでも汲みに行く。それは生きるためのことだから、人間は耐えられる。つまり、それ以外のものが、がまんできないっていうのは、生命に関係ないからなんだよ。
岡崎:すごくシンプルだけど、生活というものがしっかり見えるような景色が、子どもたちにはほんとうに足りていない。「がまん」といっても、子どもたちはただランニングマシーンで景色の変わらないところをずっとがまんして走らされているような、そういうしんどさをすごく感じているんだと思います。

身体を壊さない環境をつくる
岡崎:子どもが「ゲーム買ってくれ」「スマホ買ってくれ」っていったら、親はがまんしなさいっていうし、ぼくのところにも「どうやったらがまんさせられるでしょう」ってよく相談がある。「買えるんなら買うしかないんじゃない?」っていっちゃいます。「ダメなら、嫌われる覚悟で子どもと対立するしかないよ」って。
五味:いまの大人たちも置いてきぼりになっちゃったのが、やっぱり経済の世界だと思う。ゲームもスマホも子どもたちがどうしても欲しくなっちゃうようなもので商売してる。一過性に楽しいものをどんどん編み出していく。
この世界を生きぬくにはこんな手があるよっていうのを、子どもたちにどのくらい提示できるかだよね。子どもが「なんで、これをがまんするの?」って聞いたら、その情報公開ができるかできないかなんだよ。「こうだから・・・・がまんしなよ。中学でなきゃ、免許証もパスポートもとるのがたいへんになるから」って。

よけいなお世話が多すぎる
岡崎:ぼくは今フリースクールで不登校の子たちとかかわっているけど、そういう子たちはほんとうにいろんなことが学校でいやになっちゃってます。なにをやろうとしても「どうせつまんないから」っていうんです。それは、もったいないなって。
五味:そういう子たちはやっぱり社会に対して自閉しちゃってる。何かはじめるとよけいなこといわれて、めんどうくさいんだよね。大人は、子どもが絵を描いているとき「何描いているの?」って聞くけど、塗る楽しさを感じているときにそう聞かれたら、めんどうくさいんだよ。
岡崎:子どもたちのなかにはしょうがないから友だちやっている子もいますよね。「友だち」の数を競うようにSNSをやったり、何人が「いいね!」してくれたとか・・・産業資本主義のなかで数が多いほどいいっていう神話が子どもたちにも身についちゃってる。

子どもは大人に気をつかってる
五味:今の子はとくに、気をつかってるね。肉体的に、社会的に、自分たちが弱いってことをわかっているんだよ。切ない子ども心よね。だから優しいんだよ。親のいうことや先生のいうことに一生懸命応えてあげようとしてるの。
岡崎:それで疲れちゃうんですよね。
五味:力があればいいけど、そうじゃない子は本当に疲れちゃう。やっぱり大人がバカなのが、いちばんつらいよね。だから、子どもたちは今自信がないだろうけど、ある年齢になって体が動くようになったら働けるというのを、大人は保障しないといけないよね。


vol.177 エコビレッジfromオーストラリア

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動物を観察する
私たちの住むエコビレッジ、パラダイスワンには野生動物もいっしょに住んでいます。ウォータードラゴン、数種類の蛇、ワラビー、バンディクートという小さなワラビー、フクロウ、鷹、カワセミ、たーくさんの鳥たち、昆虫。毒を持っているのもいれば、もっていないのも。

先住民族であるアボリジニ人達と深くかかわっている友人から、自分たちの土地の精霊たち、気がいいかどうかは動物たちを観察しなさいと教わりました。動物たちが元気で幸せそうであれば、いい状態だというサインだそうです。

色々と暗い過去をもつ地域もあるなかで、いい気を保つために私たちのできることは土地のケアをすること。
人間たちのエゴからの計画は、たまに過ちを引き起こします。
自分たちによかれと思ってしたことが、動物たちに対してどうか、土地の環境に対してどうか、それぞれ判断が必要になります。

1か月前、どうみても体調の悪そうな蛇を、畑で見つけました。変な形で脱皮をして、あまり動かない状態。それと同じ時期に、私の腹部の調子も悪く、とっても個人的な感情ですが、おんなじ苦しみを味わっているように感じました。カーペットパイソンという蛇で、ここではシンボル的存在。変容、性的エネルギーなどの意味を表します。

カーペットパイソン

カーペットパイソン

折しもその時は、クルー間でいざこざのあった時期でもあり、男性性と女性性のバランスを取り戻さないといけない状態でもありました。こういったことは、単なる偶然でおこることもありますが、起こるタイミングには意味を含んでいると思います。蛇の体調不調と同時に、自分たちの不調の部分を見直しつつ、きっと大丈夫!元気になる!乗り超えれらる!と信じて、数日間その蛇を見守りました。数日間は体力もなさそうにみえました。でも体が動くのを見て、大丈夫だと希望をもち続けました。その後姿を消してしまい少し不安でしたが、きっと元気になったのだと、信じようと思いました。

その数日後、私たちが畑仕事をしている最中、3匹の鳥たちが一斉に鳴き出し、私たちに何かを伝えているように感じました。なにかな?と思って周りを見回していると、なんとその蛇が畑の際にいたのです。「蛇が生きていたこと、元気を取り戻したこと」にみんなで喜びあいました。
野生動物とのコンタクト。先住民の人達はこのように、自然や野生動物とつながり、メッセージを受け取りながら繊細に対応しているんだろうなと感じました。私たちも自分たちのできる範囲で、この土地で生きていくために自然や野生動物とのつながり、接し方を意識していこうと思いました。     やお


vol.177 ボーダーレス社会をめざして

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NPO法人オープンハウスCAN 理事長 伊藤佐代子

究極の選択

今回はボーダレス社会を目指しての内容にならないのかもしれませんが、がんについて。2人に1人ががんになるという世の中になってしまいましたので、がんになった本人からのメッセージとしてお読みください。

胃がんの手術をしてから5年が経ちます。ステージⅡA。胃の下の部分幽門側を切除しました。ですから食べた物はダーと腸に直通です。早く食事をしたり、よく噛まないで飲み込むというようなことはしないよう気をつけなくてはなりません。間違ってそんなことをしてしまうと、激しい痛みを伴う下痢や嘔吐に悩まされます。こんなことは生きていれば大したことではありませんが。実は、私は抗がん剤を飲むことを途中でやめ、現在があります。抗がん剤「TS-1」という薬を2週間飲むことにしたのですが、まず、「TS-1」の薬について薬剤師さんから副作用の説明を受けました。
① 白血球の減少 ②貧血(ヘモグロビン減少) ③血小板減少 ④食欲不振 ⑤ 吐きけ ⑥下痢 ⑦口内炎 ⑧色素沈着 ⑨発疹 ⑩同質性肺炎 ⑪その他に注意する症状など、実際に症状が出る人、出ない人様々ですという内容でした。
私の周りには、祖母・父・叔母ががんになっています。叔母は乳がんだったのですが、「生き地獄だ」という言葉を私に残して逝きました。父は「今の抗がん剤やるくらいなら、死にたい」と私に懇願し、抗がん剤を止めた経緯があります。
そんな経験をしている私は、抗がん剤に対する恐怖は他の人より敏感だったためなのか、副作用が出ました!出ました!2週間飲んで、食べられない、口の中はただれる、指は真っ黒、便秘、白血球の減少、自力で立つことが難しくなってきました。点滴をしても力が出ない。座ったら起き上がれない。もう廃人になるなとその時思いました。死を目の前に感じ、死というものを真剣に考え、死を受け入れました。
予防のための薬で苦しむのは変。もしできるのであれば、2年間くらい普通に暮らしたいなと究極の選択をしました。抗がん剤を止めることをお医者さんに告げました。少しの論争はありましたが、自己責任ですからと話は打ち切りにしました。自分の人生は自分で決めなくてはいけません。止めてからどうしていくか、いろいろ本を読みあさり、その中で本当に私を救ってくれた本は「論より証拠のガン克服術」中山武著でした。
生存率97パーセントというがん患者さん達の集まりの話で、食事についてが一番参考になりました。今、元気でいられるのは、食べものに気をつけていること、私の心が、超プラス思考であったことでしょうか??
生きてるって楽しいです!


vol.177 半農半Xという生き方

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「つみかさね」
綾部市内で京ブランドの黒豆「紫ずきん」を作っておられる先輩世代の方に、好きな言葉を尋ねたら、「努力は天才に勝る」でした。こつこつ。我が国のキーワードは昔も21世紀もはやりこれですね。海の向こうでがんばる大リーガーもそうだし、小学生の子どもの宿題もそうです。緑の美しい季節になりました。手入れされた里の美しい風景や田んぼも同じですね。こつこつと積んできた努力をみるとき、思い出す詩があります。仏教詩人の坂村真民さんの詩です。ご紹介しましょう。
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「つみかさね」  坂村真民

一球一球のつみかさね
一打一打のつみかさね
一歩一歩のつみかさね
一坐一坐のつみかさね
一作一作のつみかさね
一念一念のつみかさね

つみかさねの上に
咲く花
つみかさねの上に
熟する実
それは美しく尊く
真の光をはなつ

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今年は暑い夏なのか冷夏かわかりませんが、とにかくこの詩を思い出しながら汗をかいていきたいと思っています。
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寝食を忘れて打ち込めること
田んぼの季節がもうすぐ始まります。ある夏、草取りをしていたときのことです。空を見上げると大空に舞う鳥の姿が見えました。うまく風に乗って、かなり上空を悠々と飛んでいます。田では、小さなカエルが得意の泳ぎを、アメンボが水上の走り(滑り)を披露していました。東北の知人が送ってくれた「新・ウサギとカメ」の絵本のことをふと思い出しました。「走って競争しよう」というウサギの誘いに対し、カメは池で泳ぐことも提案したらどうだっただろうという物語です。誰でもみんな得意な分野がある。寝食を忘れて打ち込める大好きなこと、得意なことを他者のために活かしあえたら、どんなにか幸せなことでしょう。そんな世界をつくりたいですね。

塩見直紀(しおみなおき)半農半X研究所代表
1965年、京都府綾部市生まれ。20年前から「半農半X(エックス=天職)」コンセプトを提唱。半農半X本は翻訳されて、台湾、中国、韓国にもひろがる。著書に『半農半Xという生き方 実践編』など。

※半農半Xとは・・・半農は環境問題、半Xは天職問題(どう生きるか)を背景とする。持続可能な農のある小さな暮らしをベースに、天与の才を社会に活かす生き方、暮らし方。ex.半農半漁、半農半大工、半農半看護師、半農半カフェ、半農半絵描き、半農半歌手、半農半鍼灸師、半農半カメラマンなどなど。


vol.177 夢か悪夢かリニアが通る!(vol.6)

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名古屋駅開発の陰で

10年後の2027年のリニア中央新幹線品川―名古屋開業を目指すJR東海は昨年12月、名古屋駅地下30メートルのリニア新駅建設に着手しました。すでに新駅と直結する高さ約220メートル、地上46階建ての高層ビル「JRゲートタワー」が完成、この号がお手元に届くころには、全面開業しています。一方、名古屋駅周辺には、新駅建設のために立ち退きを迫られ、不安な毎日を送っている人たちがいます。              ジャーナリスト・井澤宏明

 

我が家が工事予定地に
JR名古屋駅の新幹線改札に近い太閤通口。ここから歩いて数分、商店街から路地を入った閑静な住宅地に、鈴木多づ子さん(79)のお住まいはあります。
岐阜県出身の鈴木さんは、まだ東海道新幹線も走っていなかった1959年、空豆やグリーンピースなどの豆菓子を製造していたこの家に嫁いで来ました。朝4時に起き、ともに汗を流してきた夫に先立たれ、隣に住む娘家族と寄り添うように暮らしています。
戦前に建ち、豆を煎るのに使ったコークスの煙が染みついた鈴木家。リニア新駅工事予定地にかかっていることが分かったのは2014年秋、JR東海が中村区役所で開いた説明会でのこと。工事予定地を示した地図が壁に貼り出されていました。「少しでも(家を)それてくれればいいがなと思って、願いを込めながら一所懸命、地図を見ました」。鈴木さんの願いはかないませんでした。
計画では、新駅をつくるため、現在の名古屋駅の東西約1キロにわたって開削工事を行います。昨年着工したのはJR東海の土地だけですが、駅の東西も「2019年ごろには着手したい」(同社広報部)としています。
立ち退きの対象となる地権者は約120人。JR東海から委託を受けた「名古屋まちづくり公社」が用地買収にあたっていますが、鈴木さんは「どっこも行きたくない」と立ち退きの前提となる家屋調査を拒み続けています。

鈴木さん宅から椿神社の森の向こうにJRゲートタワー(中央)が見える

鈴木さん宅から椿神社の森の向こうにJRゲートタワー(中央)が見える

「私が生きとるうちは」
「今なら近所の人も知ってる人ばっかでお話できるで、寂しいことはないけども、この歳で全然知らん土地に行くのはねえ、抵抗を感じるんです」
やむなく調査を受け入れた近所の女性は「押入れを開けられたりして嫌だった」と辛そうに振り返ります。
鈴木さんは今年に入って、公社が示した移転候補地を見に行ってみました。「今の家は南向きで一日じゅう陽が当たってるのに、北向きだもんで嫌だと言ったの」。担当者から「今の家の前に大きなビルが建ったら(日陰になるから)、一緒でしょう」と心無い言葉をかけられたそうです。

「私が生きとるうちは、そんな工事はやってほしくない。若い人はどんどん街が良くなるのはいいだろうけど、老人にとってはこのまんまで結構だから。何も不便しとらへんもんねえ」と鈴木さん。
「本当に嫌だけど、一軒だけ頑張ってるわけにはいかんもんねえ」。ちらっと弱気をのぞかせるのも無理もないことでしょう。

老舗の市場も
立ち退きを迫られているのは、住民だけではありません。鈴木さんの家の近く、椿神社の向かいにある椿魚市場もそのひとつ。戦後の露店がルーツの同市場には現在、鮮魚店9店舗が軒を連ねています。
昨年の大みそか、市場はなじみの客で混雑していました。客の要望を聞きながら手際よくマグロの塊をさばく店員には、高齢の方が目立ちます。

客と会話しながら、包丁を入れる(2016年12月31日、椿魚市場)

客と会話しながら、包丁を入れる(2016年12月31日、椿魚市場)

市場の社長を務める森金商店の森善徳さん(70)によると、市場の一角が工事予定地にかかっているため、建物を壊さざるを得ません。残った土地に新しく市場を建てて商売を続けたいという人、土地を全部売って終わりにしようという人、それぞれの思いが交錯しています。
森さん自身も、「まだ5年や10年は続けるつもりでおったけど、リニア工事のことが決まってからは何とも言えんもんね」とこぼします。お客さんから「いつまでですか」と聞かれることも多くなりました。
「リニアが通れば世界の最先端になっていいことだと思うけど、親の代から70年もやってきたところがなくなるのは寂しい」。森さんはやるせなさそうです。

JR東海が説明会で示した資料より

JR東海が説明会で示した資料より

 

 


vol.177 天然のくらし応援団 第12回

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各務原にもウメ輪紋ウイルスが!!

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ウメ輪紋ウイルスが各務原に来ました。アブラムシがこの植物ウイルスを運び、ウメやモモ、スモモなどに感染します。葉に色があせたような模様ができます。このウイルスの駆除のために感染樹木を除去、農薬でウイルスを運ぶアブラムシを殺します(緊急防除)。農薬は周囲を汚染し、人間に、特に幼い子ども胎児に悪影響を与えます。環境・農水の両省は農薬の悪影響を防ぐ通知を出しています。通知が守られるように見守りましょう。

ウメ輪紋ウイルス
ウメ輪紋ウイルスはウメやモモ、スモモ、オウトウなどに感染するウイルスで、別名プラムポックスウイルス、PPVともいいます。感染すると葉に輪状や葉脈に沿う薄い緑の模様ができます。果実にも影響が出るといわれますが、農水省の植物防疫課長によると、「収量への影響はほとんど見られない」そうです。ウメ輪紋ウイルスは人間や動物に感染することはなく、感染した木の果実を食べても大丈夫だそうです。

ウイルスの防除
ウメ輪紋ウイルスに効果がある農薬はありません。駆除作業はウイルスを運ぶアブラムシをねらい、殺すために農薬を使います。使用農薬はネオニコチノイド系やピリジンカルボキシアミド系の殺虫剤などを使います。ネオニコチノイド系殺虫剤はミツバチの群崩壊症候群(ミツバチが大量にいなくなってしまう現象)で良く知られており、小児や胎児の発達中の脳に有害だという科学者がいます。ピリジンカルボキシアミド系殺虫剤は研究や使用経験が少なく、どのような影響が出るか心配です。
他の地区への感染を避けるため、木の移動は制限されます。

ウイルスの潜伏期間は3年
ウメ輪紋ウイルスが感染してから発病(葉に特有の模様が現れる)までの期間は3年といわれています。ウイルス感染がないと証明するには3年間が必要です。3年間、農薬を散布し続けるか、被害木を切り倒し、根を掘り起こして除去して、3年間感染する木がないことの確認が必要です。3年間、感染がなかった場合、ようやく再移植が許されます。

どこかで見た防除
病原生物を殺せないので病原を運ぶものを農薬で駆除しようというのが、ウメ輪紋緊急防除事業です。同じような防除事業を思い出しませんか。「松くい虫被害対策」として行われた農薬散布です。この事業は十分な効果をあげていないばかりか、農薬による被害が登校中の子どもに出て問題になりました。この事業は松枯れの原因とされる線虫を殺すのではなく、この線虫を運ぶカミキリ虫を殺そうとしています。本当に松を守るなら、線虫に有効な薬剤を松の木に注入すればよいのです。
梅でも同じです。残念ながらウイルスに有効な薬剤はありません。防除には被害木の除去が有効です。アブラムシは梅から駆除できても、近くの草むらに残っていますから。

農薬散布に気をつけましょう
最近の農薬は厳しい安全審査を経ているので、昔の様な死亡事故等は起こりにくくなっています(まだ死亡事故はあります)。しかし、内分泌かく乱物質が問題になったように、新しい悪影響が発見されることはしばしばです。そのため、特に子どもや胎児は農薬などにさらされないで下さい。国も「住宅地等における農薬使用について」という通知を出して、人が農薬にさらされないように指導しています。

近くで、あるいは敷地内で緊急防除作業が行われる場合は、次のことに留意!
・子どもや妊婦はできるだけ農薬にさらされない。
・子どもの遊具や洗濯物などは散布時や散布後しばらくは外に出しておかない。
・できるだけ窓や戸を開けない。
・農薬に過敏な方は散布しないように相談するか、「でんぷん」剤のような安全な薬剤使用を求める。
・気になる点があれば市役所に電話で相談する。

 

各務原ワークショップ代表の医学博士・渡部和男さんを団長に「天然のくらし応援団」というコーナー誕生。日常生活を脅かすものはなんだろう?環境化学物質の影響は?など。渡部博士に質問し、それに答えていただく形で連載します。素朴な質問、専門的な質問、どしどしお寄せ下さい!info@niramekko.comまで


vol.177 プレゼントコーナー

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プレゼントご希望の方は
ハガキまたはe-mailで、下記のアンケート1〜6をご記入の上、編集部・プレゼント係りまでお送りください。
〆切:5月25日 当日消印有効。
Dはにらめっこ編集室に受け取りに来ていただける方。
宛先:〒504-0855 各務原市蘇原新栄町2-25
e-mail: info@niramekko.com
※お寄せいただいた個人情報は、本紙プレゼントの発送に限り、
使用させていただきます。

1- あなたのイチ押しの本を教えて!
感動した本、笑っちゃった本、泣けた本…。あなたのお薦めの一冊を教えてね。
2- 気になるにらめっこ紙面での広告
3- 気に入った記事、気に入らない記事のタイトル1つ
その理由もお書きください。
4- ご希望のプレゼント名 (第1希望・第2希望)
5- 本紙をどこで入手されましたか?
6- 氏名、年齢、住所、郵便番号、電話番号、家族構成

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A.CINEX 映画招待券 シネックス様より…ペア3組様
大きなスクリーン、整った音響、映画だけに没頭できる貴重な時間。映画館ならではの醍醐味ですね。写真は「私は、ダニエル・ブレイク」より。(招待券は、シネックスマーゴではご利用になれません。)

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B.吟醸生貯蔵酒 百春 引換券 ワインショップ サチ様より…3名様
美濃の、国の重要文化財指定のうだつ造りの建家で、長良川の伏流水に良質な原料米を用いて醸し出された清酒。なめらかで端麗な地酒をお楽しみください。720ml入り。(ワインショップサチさん(各務原市尾崎西町)で、商品とお引き換えください。)

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C.「Jazz Liveご招待券」 アートギャラリー是様より…2名様
5月28日(日)開場18:00 開演19:00
アートギャラリー是(関市武芸川小知野489)にて
たまには日常から離れて、大人なひとときを過ごしませんか!ギターとウッドベースが奏でるアンプラグドな音が心地よく心に身体に染みわたります。
(軽食と飲み物ご利用される場合の料金はご負担お願いします。)

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D.写真集『奥飛騨に響く種蔵の里』 加藤麻美様より…2名様
岐阜県の北部、飛騨市古川町種蔵。春夏秋冬、それぞれの表情を持つ豊かな自然とそこに暮らす人々が映し出されています。写真:加藤麻美(にらめっこ編集室でお受け取りください。)

写真集1*************************************

E.麻のコースター5枚セット にらめっこより…1名様
天然素材の良さを堪能できるコースター。ちょっとした来客に、ふだんのお茶タイムにさりげないおしゃれな演出を!刺し子の色がアクセント。麻100%です。

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*** お知らせ まちカフェ ***

 まちカフェ 毎月  第2・第4 土曜日   10:00〜12:00

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にらめっこ編集室(蘇原新栄町2-25)にて
出入り自由 参加費200円

こんなまちに住みたい!
こんなアイデア、みんな聞いて!
どうしたら実現できる?
「まちカフェ」は世代を超えた
井戸端会議。でも、おしゃべりを
形にする力へとつなげませんか?

参加希望の方は事前にご確認をお願いいたします。

☎058-383-8666


vol.176 ちぇれめいえproject 渡部 清花さん

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バングラデシュへ
私がバングラデシュに初めて行ったのは小学校一年生の時、家族での旅行でした。その時のことはあまり憶えていませんが、その数年後、教科書の国際協力政治、青年海外協力隊のページにバングラデシュの写真が載っていて、「見たことあるよ、ここ!」と強く印象に残ったんです。
大学生になり、国際文化学科に籍を置きました。開発のことを勉強していて、フィールドワークでバングラデシュの首都に行くことになりました。でも、私が興味を持ち見たかったのは、国から弾圧にあっている人たちがどうやって地域の中で生きていくのか、ということ。それで、いろいろ調べたら、先住民の人たちのことが出てきました。ぜひともそこに行きたいと思ったのですが、大学のゼミのフィールドワークで行けるところではないと。パスポートとビザがあっても行けない地域なんですね。外国人特別入域許可証やらが必要。つい最近まで紛争をしていたので。じゃあ、みんなが帰った後、ひとりで行くのでいいですか?と言ったら、それはハタチ超えているんだからどうぞ、と言われて(笑)その年の夏休みにリュック 背負って行ったんです。大学 3 年生の時です。

 

少数民族の村に暮らす人たち

ちぇれめいえ:バングラデシュの言葉で「子どもたち」

ちぇれめいえ:バングラデシュの言葉で「子どもたち」

首都ダッカからバスで12時間、チッタゴン丘陵地帯。バングラデシュの他の平野部とは違い、山が多く、焼き畑農業をして、50万人の先住民が住んでいます。そこは宗教や食べ物、使う言葉、文化が他のバングラデシュの地域とは違います。そこで私はとても素敵な人たちに出会いました。今日私が着ているのはそのチャクマの民族衣装です。

美しい自然と、昔からの暮らし。おばあちゃん、お母さんからつないで来た命を、次の世代につないでいく。そこでは、地域、家族、親戚、みんなで助けあって暮らすのが当たり前。私は彼らのファンになりました。
大好きな土地だったのですが、紛争の爪痕はずっと残っていました。中央政府から送られて来る軍隊がこの地域に入って来て、家もお寺も焼かれてしまったり、レイプ事件も起きたり・・・。そして、帰国の前日に私が見たのは、とてもきれいだった街が、村が、紛争により荒れた姿でした。車も動かないし、戒厳令や治安維持令とかが出たくらいひどかった。それから3、4年経ってますけど、紛争がいきなり勃発することが今もあるんです。
日本に帰って来てから、私はチッタゴン丘陵地帯という、たまたま出会った場所について、貪るように学びました。私にできること、なにかないかなぁって友だちに話しても、大学3年生は就職活動の時期。同世代の友だちは一緒に活動ができないけど、話しているうちに少しづつ後輩が集まってくれて、「NGOちぇれめいえproject」という団体を立ち上げました。「ちぇれめいえ」とは現地の言葉で「こどもたち」という意味です。

ちぇれめいえの活動

それから私は「NGOちぇれめいえproject」の現地駐在員として大学4年生を休学してバングラデシュに戻りました。お金があまりなかったので、お坊さんと小僧さんにいろんな言葉を教えてもらいながらお寺に住みました。
私たちが取り組んでいたのは、子どものこと、若者のこと、紛争があったときの緊急支援と日本との架け橋でした。子どもたちが安心して学べる環境を生み出したいと、「ちぇれママ&ちぇれパパ制度」という里親制度をつくって、25人の子どもたちを日本から支えることを始めました。中学校卒業まで寄宿舎学校で暮らせて、ご飯も食べられて勉強もできる生活を支えてくれる人たちが日本にいます。
また、バングラデシュの若者と日本の若者が一緒の時間を過ごし、笑い語るという「スタディツアー」も始めました。日本の若者がバングラデシュに行き、2週間一緒に過ごしますが、「どんな家庭に産まれても、子どもたちが教育を受けるにはどうしたらいい?」というようなテーマが毎年あり、答えが出ないようなことを毎日毎日話し合いました。一緒に村を歩くことで見えてくるものもありました。一緒に何かをしたい、そんな現地の若者たちがいたから、これを続けてきました。
1年経った時、現地の若者が「自分たちでも団体をつくるよ」といって「DABAGI(ダバギ)」という団体をつくり「豚で教育資金プロジェクト」という活動を始めました。最初に豚を小学生のいる貧しい家庭5軒に提供、その家庭は豚を育て繁殖させて、半年ごとに産まれる子豚を市場に売り、代金は子どもの教育費に。子豚のうち2匹は「DABAGI」に返し、それを次の貧しい家庭に貸し、その家でもまた同じサイクルができる。そうして村の中でお金と知識を回していくプロジェクトです。

 

国際協力って?

バングラデシュの山岳地帯の少数民族の村で、私は子どもや若者、おばちゃんたちと約2年間を過ごしましたが、家族や地域の強い絆など、現地の人たちの素晴らしさにたくさん出会いました。
今、バングラデシュやアフリカとか、発展途上と言われている国を助けようと、先進国からいろんな人たちが派遣されています。そして、企業やボランティアが人やお金を送っています。まだまだ自分たちの地点まで発展してない、と。でも、世界中の国や地域が「発展」という道の上に、一直線上に並んでいるわけではないと私は思っています。それぞれ、自分の前の道を歩んでいる。バングラは日本が歩いた道を進む必要はないし、ケニアはアメリカにもならないです。
私が過ごした村で人々が教えてくれたことは、村の発展の先の姿が先進国の都市ではないということでした。「ないもの探し」や「つくってあげよう」を前提にすると、「あるもの」が、見えなくなる。「ここにはこんなものがある、文化がある、人がいる」そんな視点が必要です。そして、最初から持ち込むプロジェクトではなく、現地から聞こえて来る必要なことに耳を傾けることも。
国際協力って、一方的に助けることじゃない。共に生きる、お互いに学びあうこと。大げさなことじゃない。それは日本にいる家族・親戚から始められます。
朝、ご近所さんに声をかけてみる。身体の不自由な人に席をゆずってみる。ちょっと離れた地方の活動をのぞいてみる。被災地に関心を持つ。国際協力はこの延長線上にあります。
そして、海を越えたところに住む子どもたちを応援してみる、それって実は楽しいことかもしれません。
私たちがたまたま日本に生まれたから知っていたこと。たまたまこの年代に生まれたからもっているもの、たまたま教育を受けたから学べたこと。それを誰かの幸せのために使えたら、その「うれしい」って気持ちを自分の大好きな人たちと共有できたら、こんな幸せなことはないなって。私は現地の人たちに、教えてもらいました。
静岡県出身・東京都在住

「peace of peace」主催「ワークショプ  世界がもし100人の村だったら、バングラデシュ・バージョン」(1月7日各務原市総合福祉会館)にて

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バングラデシュ人民共和国/インドとミャンマーに国境を接する。1971年にパキスタンから独立。バングラデシュはベンガル語で「ベンガル人の国」を意味する。世界で最も人口密度が高い。
チッタゴン丘陵地帯/ジュマ( 焼き畑農業をする人)と総称される先住民族が暮らしている。チャクマ族、マルマ族、トリプラ族など、民族数は12 とも言われている。これら先住民族は、先住民族はいないとするバングラデシュ政府の同化政策によって迫害を受けている。

勉強中の子どもたち

渡部 清花(わたなべ さやか)
東京大学大学院総合文化研究科・国際社会科学専攻・人間の安全保障プログラム修士。
静岡文化芸術大学在学中に、「NGOちぇれめいえproject」を設立し、バングラデシュのチッタゴン丘陵地帯にて、先住民族の子どもの教育と現地の若者による村おこしの取り組みを後押し。その後、UNDP(国連開発計画)の現地事務所の平和構築プログラムのインターンシップに参加。合計2年弱、バングラデシュに滞在し、現地の支援と日本への情報発信を続けた。現在も「NGOちぇれめいえproject」の活動を続け、日本からの支援を呼びかけている。


vol.176 径気道吸収の影響について

ƒvƒŠƒ“ƒg2515925695名もの死者を出した韓国の加湿器殺菌剤事件。問題となったPHMG(ポリヘキサメチレングアニジン)は、通常おしぼりの消毒剤に使われている成分。「PHMGは、肌に触れたり、少量を口から飲食する場合には毒性は少ないが、鼻から吸引すると肺が膨らみ、呼吸困難になるなど致命的な肺の損傷を起こす」のです。気道を経由して入るとどういうことなのか。「経気道吸収」の影響について、身近な日用品を例にとってご紹介します。

 

除菌!除菌!除菌!
テレビCMで語られない中身とは?!

消臭剤にはトイレ用、室内用、車用などがあり、さらには置き方タイプからスプレータイプとさまざまな製品が販売されています。部屋の防臭からベッドやマットレス、靴やソファーなどの、洗濯機では洗えないものを消臭し、除菌するという宣伝文句で多くの家庭で使われています。その反面、消臭剤を大量に使用されていることについて忠告をする専門家や本が発売され、さまざまな情報があふれているのも事実です。
今回は、大量に使用される消臭スプレーの中身が、人体に与える影響と、成分を調べてみました。

syousyuzai_spray除菌&消臭スプレーといえば「ファ○リー○」や「リ○ッシ○」が有名。売れ筋の「ファ○リー○」の成分はP&○のHPに掲載されています。

この商品は「家庭用品品質表示法」の対象外で、洗濯用洗剤や台所洗剤のように詳細に成分を表示する必要がない。しかし「除菌成分(有機系)」というような曖昧な表示で、Quat(第四級アンモニウム塩)などの危険な成分が入っていることが多いのです。スプレータイプのものは全製品表示義務がないですが、HPには書いてあるので要チェック!!要チェックhttps://www.myrepi.com/tag/myrepi-febreze-faq-safety

 

 

Quat(第四級アンモニウム塩)の
怖さとは・・・

Quat(第四級アンモニウム塩)は揮発性のもので、蒸気を浴びたりにおいを嗅ぐことで体内に吸収されます。原因不明のアレルギー症状、胸痛やめまい、動悸や不整脈、倦怠感やうつ、ぜんそくなど、さまざまな症状に影響していると言われています。
さらに、このQuat(第四級アンモニウム塩)を長期利用すると、今は健康でもシックハウス症候群や化学物質過敏症が起こる可能性がある・・・と考えると、日常生活に取り入れたくないものです。また、化学物質というのは、少量では問題はないと言われていますが、数十年の積み重ねで影響があるかもしれないと考えると、出来るだけ遠ざけたいですね。最近は化学物質が原因でアトピーやぜんそく、アレルギーなどが発症する可能性があると指摘する専門家が増えています。

2015年11月18日 アメリカの研究機関で発表
Quat(第四級アンモニウム塩)によって、雌のマウスで妊娠率や生まれる胎仔数の減少、オスでは精子濃度や運動性が減少したという研究が発表されました。毒性が発見されたきっかけは、大学の実験室の洗浄剤をQuat(第四級アンモニウム塩)に変えて以降、実験動物の流産が増えたことだと言います。カーペットや寝具に噴霧したものを吸い込んだり、子どもが舐めたりは危険、また車用の場合は直接気道吸収されるため、妊娠中の母親、赤ちゃん、若い男性は要注意です。寝具へのスプレーで噴霧される量の0.8%以上を吸い込むだけで危険だとのことです。

わんにゃんペットに忍び寄る「除菌&消臭スプレー」
人間だけでなく、ペットも同じ危険にさらされています。ペット臭の防臭のため、マットに消臭スプレーをしたところ、中毒を起こし、ペットが吐いたり、ひきつけを起こしてしまったという事例も報告されています。また、消臭スプレーが原因で、肝臓を悪くし死亡した犬もいるそうです。このような化学物質を周囲で大量に使用され、さまざまな病気を引き起こし、ただでさえ短命が更に短くなる可能性があります。

じつはこの消臭剤、アメリカ版があるんです。その成分内容は、トウモロコシ由来消臭成分エタノール、香料となっており、日本版に入っている除菌成分が入っていません。海外で禁止されている成分が認められている日本!まさに添加物大国と言われるゆえんでしょう。

keihi.title
おしゃれなボトルのシャンプーやトリートメントの成分表示をチェックしてみて!「ノンシリコン」「ラウレル」「ラウレス」などカタカナ文字が目につきます。
「シリコン」とは、化学反応によってつくられる化学合成物のこと。シリコンは一度頭皮につくと落ちにくく、毛穴をふさぎ、髪が細くなり、抜けやすくなったりする、といわれています。シャンプーの成分は、90%以上が水と、界面活性剤で構成されています。水と油を混ぜ合わす力を持ったこの界面活性剤は、洗浄力が高いこともあり、下記のような現象が実際に起きています。

① 刺激が強くて、薄毛、頭皮の荒れの原因となる
② 一緒に配合されている成分の効能をかき消してしまう
③ 頭皮の皮質を取りすぎ、不足した脂を補うため皮脂の分泌 が盛んになる結果、表面は脂ぎって頭皮は乾燥している状態 に→薄毛、頭皮の荒れの原因となる

また、シャンプーの成分として、最も気をつけたいものが、ラウレス硫酸・ラウリル硫酸をはじめとした硫酸系洗浄成分です。これらは、洗浄力の高さと原料の安さから、一般的なシャンプーに使用されています。本来は床の洗浄に用いられる強力な洗浄剤。使い方を間違えると頭皮の皮脂を取りすぎたり乾燥による皮脂障害の原因にもなります。
シャンプーやトリートメントを選ぶときには、知名度、価格や香りで選択するのではなく

シャンプーリンス・ ノンシリコンであること
・ 硫酸系洗浄成分を使っていないこと
・ 天然由来洗浄成分を採用していること
これらを判断の基準にしながら、
使用感もよく、髪、頭皮に
安全なものを選びましょう。

まずは、有害物質である界面活性剤が成分として入っているシャンプーを一日2回以上使うのをやめ、毒性を少しでも少なくするために安心と言われているシャンプーを使うときにも、薄めた上で、泡ポンプなどで泡にして使うとよいでしょう。

消費者が知って、買わないこと。
皮膚の構造上、皮膚の表面温度が高いほど有害物質は体内に入りやすくなります。入浴時に使う入浴剤、シャンプー、ボディーソープ、入浴後にすぐに使う基礎化粧品などは要注意です。お風呂の温度は38度から40度くらい。吸収率が上がってしまいます。お湯の添加物、たとえば、「〜の湯」とかの入浴剤は極力使わないように!ゆずの皮、しょうぶ湯、びわの葉湯など、溶けてなくならないもの、自然のものを使いましょう。体を温める効果も抜群ですよ!「知る」ことは、「選ぶ」ことができる、さらに「守る」ことにつながります。
(「経皮吸収について」勉強会の内容をまとめました)


vol.176 タネが危ない!

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おいしさの8割はタネで決まる

 「在来種」や「固定種」と呼ばれる、昔から使われているタネは一粒一粒に特徴があり、多様性があり、早く育つものもあれば遅く育つものもある。 葉の形を見たり、成育の状況を見ながら、大きくなったものから収穫します。一度タネをまけば長い間収穫できますが、需要に合わせてまとまった量を定期的に 出荷することができないから、お金にするのは難しい。でも味も昔の野菜そのままで美味しいので家庭菜園に向いています。そして、いくら無農薬や有機肥料で 育てても、味を決める8割はタネ、本当に昔ながらの美味しい野菜を食べたいなら在来種を自分で育てるしかありません。
昔は日本の8割の人がなんらかの農業をやっていました。お侍だって自分の畑を耕して野菜を育てていました。 それがどんどん工業化が進み、高度成長期になると農村部に残って食べ物を育てる人が少なくなった。いまの日本では、215万軒(H27時点、農水省統計) の農家が1億2000万人の食べ物を作っている。だから効率が良くないといけないし、周年栽培(1年中栽培すること)して供給しなければならな い、だから社会全体の食の需要を賄うにはF1のタネが必要なんです。

オシベがない、タネができない「雄性不稔」
雄性不稔を使ったF1の技術はアメリカでできたもので、それがいま世界標準になっています。もともと日本にあったF1のタネはアブラナ科の野菜から作られていました。しかしアブラナ科の野菜は海外にほとんどないんです。菜っ葉なんて食べているのは日本、韓国、中国くらい、欧米ではあまり食べないんです。
雄性不稔の野菜かどうか、スーパーに並んでいるものを見てもわかりませんが、花を咲かせればすぐにわかります。試しに、スーパーで売っている大根やニンジン、タマネギなんかを庭に植えてみてください。やがて花が咲きますが、その花の先を虫眼鏡でよく見るとオシベがありませんから。つまり子孫を残せない野菜ばかりを食べてるんです、私たちは。それは危険なんじゃないのかと。でも誰もそんなこと知らないし、知ってるのはタネ屋だけだけど、タネ屋はそんなこと何も言わない。だから誰も知らないんです。

誰もタネを採らなくなった
日本の菜っ葉は交雑しやすいので、すべてのタネを一カ所で自家採種することは難しい。カブをやると菜っ葉のタネは取れないんです。みんな交雑しておかしくなっちゃうから。菜っ葉の下がカブに、カブの葉っぱが小松菜になったり白菜になっちゃったりするから。だからカブ以外のタネは他所から買うしかないんです。だからどんどん減ってるんです。
タネを採る人がいなくなったから、タネもなくなってきているんです。タネは買うものだという時代になってしまった。いまタネ採りの仕方を知っている農家は、80~90歳くらいの人だけ。50~60代の人たちはタネを採るなんて面倒くさい、買った方が安いし楽だしお金になる野菜ができると考えています。
「種採りをしたいんですけど、どうすればよいですか? 」とよく訊かれるんですが、難しいことなんてないんです。植物は人間に食べられるためじゃなくて、自分の子孫を残すために生きてるんだから、ほっとけばみんなタネになるんです。

「タネなし」を好む現代人
いまの人の「美味しい」は、甘くて柔らかいもの、生で食べられるもの。 昔の大根なんて堅くて辛い。なぜかというと細胞の一つひとつが緊密で均一だから。固定種で3〜4ヶ月かかるところをF1だと2ヶ月で収穫できる。ということは、細胞が水ぶくれのようにフニャフニャで、その細胞を維持するために細胞壁が強くなって根が崩れるのを防ぐ。だから大根おろしすると水分でペチャペチャなものが出てきて、おろし金の方には繊維が残っている。いまの大根はすぐに煮えますが、昔の大根は時間をかけると辛みが甘味にかわる、味も全然違うんです。
いまの子どもはトマトにタネがあるのも嫌がるという。子どもがよろこぶからという理由で、トマトまで雄性不稔になっています。本来植物は人間に食べられるために生きてるんじゃない、タネをつくって子孫を残すために生きている。そのタネを邪魔だというような世の中になってしまったんですね。

タネを残すために、私たちにできることimage_04
フランスでは4000〜5000人規模の「ココペリ」 というタネを交換する団体があります。タネを自由に売買できないので、会員制の組織を作って年会費を払って、カタログに載っているタネを会員が無料でもらえる 仕組みができました。育てた野菜は流通させずに自家消費して、採ったタネをまた会に送り返す。そのようなやり方で多様性が維持されています。image_top
植物というものは本来変化していくべきものなんです。生命にとって「変化」は重大なテーマで、環境が変わったら自分も変わらなければ生き続けられない。植物というのは自分で歩けないので、根が生えた世界を生きるしかない。人間にとって神経や脳にあたるような思考する器官、自分の育っている環境を判断する能力は根の表面にあって、根を張ったその土地に合った子どもをつくって、それが花を咲かせて、また同じ土地に落ちてまた育っていく。その土地の環境にあった体に変わっていくんです。
私はタネ屋を継ぐ前、手塚治虫の漫画編集の仕事をしていました。彼のテーマ、作品の根幹は生命。命をつなぐこと、地球の環境と生命を持続させることでした。このタネ屋のテーマも同じです。このままだと世界はお金持ちや大企業の思う方向に進むだけであって、その中で私たち個人が生き延びるためには、自分でタネをまいて野菜を育てて、それを食べて、自分でタネを採って、それを自分の子どもにつなぐしかないと思っています。
それをやるかやらないか、それはあなたがたの問題です。うちはタネを提供するだけです。そして一度買ったタネは二度とうちから買わないでほしい、タネをちゃんと採って欲しい。あなたの土地に合ったタネを育てて欲しい。それが野口のタネの営業方針です。

<プロフィール>野口勲(のぐちいさお)さん
野口のタネ・野口種苗研究所代表。1944年生まれ。全国の在来種・固定種の野菜のタネを取り扱う種苗店を親子3代にわたり、埼玉県飯能市にて経営。著書に「いのちの種を未来に」「タネが危ない」等。家業を継ぐ前には、漫画家・手塚治虫氏の「火の鳥」初代担当編集者をつとめた経歴を持つ。(http://noguchiseed.com/)

一般財団法人 ネクストウィズダムファウンデーションより抜粋


vol.176 カタコトの部屋 どうする?どうする?予防接種

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Q1.ワクチンってどんなもの?
「生」とか「不活化」とか…、いったいなあに?

病気を起こすウイルスや細菌、また菌がつくりだす毒素の、病原性を弱めてつくった薬剤が予防接種液、ワクチンです。ワクチンは薬事法上、「生物由来製品」になっていて、「劇薬」です。その種類は、生ワクチン、不活化ワクチン、トキソイドにわかれます。
生ワクチンとは、生きたウイルスで、病気を起こさない程度に弱いウイルスを培養して使います。(ポリオ、麻しん、MR、BCG、おたふくかぜ、水ぼうそう)
不活化ワクチンは別名「死菌ワクチン」とも呼ばれ、病気を起こすウイルスや細菌を、薬物や熱を加えて、活動しないようにして使っています。(百日ぜき、日本脳炎、インフルエンザ、ヒブ)
トキソイドワクチンとは、細菌の出す毒素を、薬物や熱を加えて活動しないようにして使うワクチンのこと。(ジフテリア、破傷風)

Q2.どうして病気を予防できるの?
注射などでワクチンを体内に送りこみ、ごく軽く病気にかかった状態にし、人工的に免疫をつくろうというのが予防接種です。
免疫とは、私たちにそなわっているからだを守るしくみのこと。一度、外から体内に入ってきたウイルスや細菌などの異物を記憶して、その異物がふたたび入ってきたときに排除する。それが、免疫のはたらきです。免疫がつけば、ふたたび病気にならない、あるいはかかっても軽くすむ、という考え方です。

Q3.免疫って、どれくらいもつの?
自然に病気にかかることで得られる免疫とちがって、弱毒化したワクチンの場合、接種した人すべてに免疫がつくわけではありません。得られる免疫の効果や持続時間もいろいろ!ポリオのように九割以上の人に免疫がつくといわれているものもあれば、水ぼうそうのように七割くらいのものもあります。免疫が得られても、ワクチンによっては、その効果が一年や数年のこともあるといいます。

Q4.どうして副作用が起きるの?
ワクチンも他の薬剤同様、効果と同時に副作用(害作用)があります。ウイルスや生物の組織は、知らないうちに活性化したりするなど、いつなにが起きるかわからないところがあるのです。
またワクチンには製造過程で使用される化学薬品もふくまれています。たとえば、ウイルスが活動しないように使われているホルマリンや、防腐剤として水銀化合物のチメロサールが入っているものなどもあります。
これら成分の物質によって、注射部位の腫れや発疹、発熱、けいれん、アレルギー反応などが副作用としてあらわれます。呼吸困難やアナフィラキシーショックという重篤な全身症状を起こす場合も。さらに、免疫機能に支障をきたすギランバレー症候群や、ワクチン接種の際につくられる抗体が、自分自身の神経を攻撃してしまうことから発症すると考えられる、緊急散在性脳脊髄炎なども引き起こします。接種後、生ワクチンの場合は数ヶ月、不活化ワクチンの場合は一ヶ月間、なにか変わったことがあったら副作用の可能性も考えてみてください。

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予防接種 わが家の場合
病気にかかって強くなりたい(3児の母)
わが家の場合、長男は BCG、ポリオ、破傷風の予防接種を受けましたが、下の2人は、なんの予防接種も受けていません。

ポリオを機に悩みはじめる
ポリオ接種当日になって、数日前に遊んだお友だちの親から「子どもが溶連菌感染症にかかったので、うつっているかもしれない」という連絡が。はじめて聞く病名にとまどい、接種医に話したところ、「のどが赤いけれど大丈夫でしょう」。問診票にサインをし、接種しました。
翌日、長男は生まれてはじめて下痢をしました。しばらく様子を見ていたときです。「九州で、ポリオ予防接種の副作用が2名?」という新聞記事を見つけました。
接種は一時中断されましたが、再開してもワクチンのロットナンバーは副作用の疑いのあるものと変わらないようだったので、区の保健センターに問い合わせました。すると、「あまり心配なら、別のロットナンバーになる来年の春に接種すれば?」との答え。納得がいきませんでした。
その後は助産院の子育てサークルで話しあったり、ワクチントークの勉強会に参加しました。

接種回数も副作用も多い3種混合
3種混合(百日ぜき、ジフテリア、破傷風)については、長男だけ破傷風単独接種を選択しました。
3種混合はなにより接種回数が多いし、厚生労働省が配布する冊子『予防接種と子どもの健康』でも、副反応が初回接種1回めのあと100人中20人近い人に、3回めのあとでは100人中40~50人くらいの人に見られるとあり、それは「多すぎないかな〜」と思ったのです。実際、小児科で、接種後に腕が腫れて痛がっている子を目にしたら、受けたくないと直感的に思いました。
百日ぜきについては、複雑な経験があります。身近にある病気だとは思えず、また、かかったとしても初期であれば抗生物質が効くとのこと。心臓や肺が弱い子でもなかったので、予防接種は必要ないと思っていました。
しかし、当時1歳の次男が発症し、その2週間後、3歳の長男へ。実際にかかってみるとふつうのかぜと変わりません。聴診器をあてても判断できず、4人めの医師の診察でやっと百日ぜきだと判明。まっ赤な顔でせきをして呼吸困難になったり…、症状が激しくなる夜の看病がとくにたいへんだったことを覚えています。
「病気を甘くみている」と医師から注意を受けましたし、これから子育てしていけるのだろうかと、そのときは不安でたまりませんでした。でも、同じ価値観の友人たちにめぐり会い模索するなかで「自分の思うように育てていいんだよ」「こどもは治っているじゃない」という言葉をもらい、これもひとつの経験だと思うようになりました。自然にかかって強い免疫をつけ、丈夫に育ていくということが、なにより大切だと考えたのです。
現在進行形で悩んでいるのは、はしか(麻しん)について。子どものうちにかかったほうが軽くすむかもしれない。ほんものの病気にかかり、終生免疫を獲得したほうがいいと思いつつ、小学校にあがった今もかかっていません。一度は予防接種を受け、軽く病気にかからせておいたほうがいいのか…、考えてしまいます。

ジャパンマシニスト社「ちいさい・おおきい・よわい・つよい」vol.70より

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おすすめBOOK
『新・予防接種へ行く前に改訂新装版』
ワクチントーク全国 編 1,200円+税
ジャパンマシニスト社
“すすめられるまま”接種をすると1歳までに約15回! 7歳までに約40回!!乳幼児期から学齢期にかけての、気になる予防接種を徹底検証。病気の流行状況、ワクチンの効果、副作用のこと…。 国内外のワクチン状況・データ分析・臨床医のアドバイスも!

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よ〜く考えてから・・・
子どもの体に入る予防接種です。スーパーで食品成分表を確認するように、よく考えて選ぶ必要があるのではないでしょうか。【予防接種 添付文書】で検索すると、厚生労働省や製薬会社などが公開している添付文書が出てきます。ほとんどの予防接種についての添付文書が、インターネットで誰でも簡単に見ることができます。ちょっと小難しいかもしれませんが、「知ること」は「選ぶこと」そして「守ること」につながりますから、ぜひ検索を!! (にらめっこ編集部)


vol.176 中高生平和を考える

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大学院生で、NGO「ちぇれめいえproject」代表の渡部清花さんをお招きして、ワークショップをしていただきました。
地球上の人口がどんどん増えていること、食料やエネルギー問題、アジアの人口が世界の60%であること、世界の人々はどんな割合でどのような人がいるのかを、ワークショップを通して考えることができました。
小学生から大人まで色々な世代で38名の参加がありました。
私が清花さんに出会ったのは、3年前の中学三年生の時でした。
清花さんからいろんな話を聞いてすごいなぁと思ったのを覚えてます。それから清花さんの書いたバングラ通信を読んだり、活動のFacebookを見たりしていて、清花さんを講師になにかできたらいいなぁと思うようになりました。そして今回、このようなワークショップを企画しました。
「所得が多いのは誰?」ゲームでは、アジアやアフリカと言った六大州別の人口比に合わせて参加者を振り分け(アジアは18人、南米は2人といったように)、そこに、GDPの規模に合わせてポネトチップを配ったのです。もちろん、州によって量は全く違います。
16507607_1220820271342171_1099053081_nとてもリアルなゲームでした。富のある人たちは、分けてあげられる余裕があります。それが世界中に向けて本当にできれば、世界に飢える人はなくなるんじゃないかと思いました。
清花さんが行っていたバングラデシュ南東部のチッタゴン丘陵地帯、少数民族の人びとの暮らしには、他にはない豊かさがたくさんあると思いました。物質的に豊かになることで失うことがたくさんあることを知り、何を大切にすればいいのかを考えるべきだと思いました。私がPeace of Peace の活動をやってきて、私が本当に考えていきたいことがわかった気がします。清花ちゃん、素敵なメッセージをありがとうございました。

【参加者の感想】
・少しの時間だったけど、バングラデシュのことについてだったり、日本の今の状態だったりと、たくさん知ることができて、すごくうれしかった。バングラデシュに興味を持てた。日本では学べないことが、バングラデシュや、それ以外の国にはあるんだと思った。(15歳)
・自分の思っていたことが当たり前ではないとわかった。こんなことはふだん知ることがないので、ためになった。(16歳)
・紛争のことや文化、日本での取り組み、政府のことなど現地に行った人の言葉で聞けてよかったです。(15歳)
・今、この話でいろいろな事が分かりました。人には命があります。国が命をなくそうとしているのも分かりますが、でも、やっぱりやっていけないと思います。(8歳)

【渡部清花さんのプロフィール】
1991年4月8日生まれの大学院生。1年間大学を休学。アジアやアフリカの国々を訪れ、結局足が止まったのが7歳のころ初めて訪れたバングラデシュだった。フィールドワークを経て、現地のNGOに1年間滞在することを決意し、仲間とともに「ちぇれめいえproject」を立ち上げる。内閣府世界青年の船では世界13か国の家族と語り笑い涙した。大学では国際協力のゼミに所属。国内では沖縄・広島・長崎、と戦争の跡地をめぐる旅や、戦争体験者の声を記録する活動に関わる。ヒッチハイクや青春18きっぷが好き。少数民族、教育、言葉、文化、多文化共生、NPO/NGO・・・などに興味がある。(「ちぇれめいえproject」のHPより)

http://cheremeie.wixsite.com/cheremeieproject


vol.176 熱中世代・発 リバース第6号

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二ホンミツバチ (トウヨウミツバチ日本亜種) (Apis cerana japonica)

二ホンミツバチ (トウヨウミツバチ日本亜種)
(Apis cerana japonica)

 

二ホンミツバチの向こうに NO.Ⅰ
二ホンミツバチの訪れる花(蜜源樹)について考えてみよう。

ミツバチは、春はフキノトウ、タンポポに始まり、ウメ、ヒサカキ、ナタネ、イチゴ、サクラ、カエデ等々。夏はニセアカシヤ、クリ、キハダ、アオハダ、エゴノキ、シナノキ、カキ、トチノキ、ハリギリ、フジ、オオハンゴンソウ、スイカ、トウモロコシ等々。秋はアレチウリ、アメリカセンダングサ、セイタカアワダチソウ、ウド、シソ、キク、カナムグラ、ソバ等々。冬でさえもオオイヌノフグリ、セツブンソウ、サザンカ、ツバキ、チャ、ビワ等々の花を蜜源としています。ここにあげた植物はミツバチが訪れる植物のほんのわずかに過ぎません。

ミツバチの観察会で「この里山には花が咲く木がないのですが、ミツバチは住めるの?何処で蜜を集めるのですか?」という質問を受けたことがあります。そこには、ヒサカキ、タラ、コナラ、クリ、リョウブ、ヌルデ、スミレ、ミソハギ、アザミ等の小さな花の咲く木や草で繁っています。モミジやドングリのような花が咲かないと思っている木々にも、花は咲きます。しかも、二ホンミツバチはそのような小さな花を好むのです。多様な植物や動物、菌類の住む、昔からの里山は蜜源の宝庫です。

農地や山を、作物や材木を生産するだけの場と考えず、人間が自然に解け込める場と考えることはできないものでしょうか。今だけ自分だけのために日本の里山を荒廃させてはいけません。野生のミツバチの向こうに、子どもたちの未来が見えてくるはずです。

写真・三輪芳明(みわよしあき)プロフィール 1952年 関市生まれ。仲間と岐阜県では絶滅したと考えられていたコイ科の魚類ウシモツゴを発見、人工的な大量繁殖させ野生復帰に成功する。岐阜・美濃生態系研究会 二ホンミツバチ協会 日本チョウ類保全協会。

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障害のある方たちの生活支援をしているNP0法人オープンハウスC N。余暇活動の一環で定期的にクラブ活動を開催している。お茶会をしたり、ピザを作ったり・・・。
二○○四年、伊藤さんが理事長に就任。それを機に伊藤さんは、自分は何ができるだろうと考えた。書道の師範免許を持っているから、「書道ならできる、よしやってみよう!」と最初は数名でスタートした。

でも、現実は課題だらけ。じっとしていられない、書けない、自分の意思で書かない・・・そうでない人もいますが、スタッフも書道の専門ではないし、一部屋で大勢でやっていると、当然ですが目が届かない・・・そんな状況を見て、一人ひとりまったく違う特性を持っているし、やる以上ベストな状況をつくらないと私が納得がいかない。それで九月からは、マン・ツー・マン体制にしました。
二○○六年、受講者の一人が「障害者による書道・写真全国コンテスト」で銀賞を受賞しました。その受賞記念として、にらめっこ編集部(当時の編集部は中央町)にて個展を開催したんです。以降、応募する作品が毎年受賞するようになり、その都度、受賞者には個展をすすめ、開催してきました。

個展(まちかどギャラリーにらめっこ)

個展(まちかどギャラリーにらめっこ)

個展をするとね、本人が目に見えて成長するんです。受賞と同時に個展の準備を始めるのですが、受賞作を中心に、その子だけの制作に時間を費やします。全部本人が主人公ですから、楽しいでしょうし、私も気合いが入ります。マンツーマンですから濃密な時間を持てます。たくさんの作品を作るには、紙のサイズ、紙質、筆の種類、墨もいろいろ使い分けます。特別扱いですよ。そして誉めて誉めて、その子と楽しい時間を過ごす。私は心から誉めますから。嘘っぽくほめても人を見分ける能力に長けている彼らには通じません。するとね、本当に変わるんです。今まで出来なかったことができるようになったりして、親さんもそれを見て変わる。子どもが認められると、自分も認められるということなんです。そして、希望を持てるように。じつはこれが一番大事なことなんです。

マンツーマンで楽しい時間

マンツーマンで楽しい時間

目的がハッキリすると、気持ちが定まる。見通しが立つようになると落ち着く。それは、すべての人に通じます。仲間が受賞して、他の親も『うちの子も可能性があるかも』と、希望を抱くようになります。
私の長男には自閉症があります。絵を描くことが好きで、描きためた作品を見た方から『すばらしいじゃない、個展をやったら?』とすすめられたことがありました。息子が誉められたのですが、私が認められたって・・・。とってもうれしかった。そして個展を開催したのですが、その時のノウハウが今とても役に立っています。

その時に感じた「認められてうれしい」という思いを、いろんな人に味わってもらいたくて、受賞された方に個展をすすめています。お金はかかりますが、それ以上に得られるものがありますから。

数年前、果たしてうちの子に出来るのかと個展を迷っていた親さんに、他の親さんが薦めてくれたことがありました。無意識のうちにあきらめてるんですね。それはいけない。どの人にも可能性はあるんだから。
個展をやってみて彼女が私に言いました。『伊藤さんが書けるようにしてくれた。出来ないとフタをしてしまいがちだけど、伊藤さんが書道で可能性のフタを開けてくれた』と。この言葉がとても印象にのこっています。うれしかったですね。

個展(ハートフルスクエアG1階) 

個展(ハートフルスクエアG1階)

現在は30名の人が通い、講師も一人増えて二人体制に。創作の時間を作り、全国の公募展に積極的に応募している。13年の活動がじわじわと浸透して、作品の依頼も来るようになった。チャンスは平等にという思いから、全員に同じ字を書いてもらい、それを依頼者に選んでもらう。地道に続けてきたことが今、確実に実を結んでいる。アートが社会を変えていく、そのモデルとなる活動にエールを送りたい。

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手作り味噌のおいしい理由
OLYMPUS DIGITAL CAMERA今年も味噌を仕込みました。各務原市に引っ越してきて早30年。毎年2月に仕込んでいます。なんで2月に仕込むのか。それは、寒仕込みといって冬は気温が低くゆっくり発酵するからです。時間をかけて発酵させた方が、味に深みが出ておいしく仕上がる。暑い時期に仕込むと気温が高いため、急激に発酵してしまいます。なんでも最初は徐行運転が肝心。しかも、冬は雑菌が少ない!というのが理由。そしてもう一つ、秋は米や大豆の収穫時、なので、新鮮な米と大豆を原料にできますね。これもおいしい味噌にはかかせない条件です。

にらめっこ編集室でも毎年2月に味噌仕込みをします。第2農園で作付けした大豆、今年の収穫は5キロ弱。(写真)玄米麹と天然塩をまぜて、ゆっくりと発酵させます。一年後が楽しみ〜!
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一年の気温の様子。このような四季を感じてお味噌は醗酵する。やはり一年熟成させたお味噌は格別です。(資料提供:マルカワみそ)


vol.176 メディアよもやま 連載5

メディア題字
トランプ選挙・メディアはなぜ世論を読み違えたのか?
アメリカで一番影響力のある新聞『ニューヨークタイムズ』が、大統領選挙開票日の夕方まで「ヒラリー・クリントン勝利の確率84%」と伝えていたのをはじめ、世界中のほとんどの新聞・テレビがクリントンが勝つと予想していましたが、劇的に勝利したのはトランプでした。長い選挙期間を通して一番忠実にトランプに密着していたはずのケーブルテレビ・CNNでさえ、「我々は現実に即した報道をしていなかった」と嘆いたほどメディアのショックは大きく、読者・視聴者からのマスメディアへの信頼は失墜しました。今年、大きな選挙を控えるヨーロッパでも日本でも、当選予測の根拠になる世論調査の問い直しは必至です。メディアの世論把握はいったいどうなっているのでしょう?
メディアよもやま これまで新聞や大手テレビ局の世論調査の多くは、有権者の電話番号をコンピュータで無作為に選んでアンケートを取る「RDD(ランダム・デジット・ダイアリング)」という方法で行われています。固定電話への質問が基礎なので、働いている人、スマホの若者、低収入の人たちの意見が反映されにくく、日中在宅する年配者の反応が中心になりがちです。更に、答えない人や、本音を言わない人もいて、補正をしても数字の誤差が大きくなります。またメディア自身の価値観や先入観も問題です。例えば「政権を支持しているかどうか」という同じテーマでも、新聞社によって質問の仕方が違ったり、新聞社自身が期待する方向へ回答を誘導する技術によって、“世論”は少しずつ違ってきます。
大げさに仕立てられた報道も世論に影響します。CBSテレビのムーンベス会長は、今回「メディアを意識したトランプの選挙運動を大げさに報道したのは、米国にとってはよくないかもしれないが、CBSの視聴率にとってはすばらしい」と漏らしました。誇張された報道が、有権者が“勝ち馬に乗る”現象(バンドワゴン効果)を招く弊害もあります。
今回の報道の誤算は、これまで無視・軽視されてきた白人貧困層の怒りを、主流政治家やメディアが読めなかった結果だと言われます。メディアそのものが既得権層、エスタブリッシュメントだとも指摘されました。日本の主流メディアの記者も、多くは首都圏の有名大学を出た男性に偏っていることは否めません。メディアの現場に、さまざまな価値観や多様な文化をもったスタッフを配置しない限り、ますますマスメディアのエスタブリッシュ化が進み、報道と民意・世論とのミスマッチが進行するのではないでしょうか。

つだまさお・プロファイル
1943年金沢市生まれ。京都大学卒業後1966年~1995年NHK(福井・岐阜・名古屋・東京)で報道番組の制作・開発に従事する。その後東邦学園短大、立命館大学でメディアやジャーナリズムの在り方を教えたり、全国の市民メディアをつなぐ仕事に携わる。ぎふメディアコスモスの中から発信する市民による市民のための放送局「てにておラジオ」代表。


vol.176 ホスピスケア♥訪問看護日記-vol.1

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ホスピスって?

ホスピスというと、施設や病院を想像する方が多いと思います。でも(こちらでは)ホスピスケアは在宅が基本です。ご家族が患者さんのケアを担い、看取るのもご家族です。一人きりの患者さんや、ご家族が患者さんと一緒に住んでいない場合は、ヘルパーさんや住み込みの介護者を雇って、看取りまで任せている場合も多いです。ホスピスの医師、看護師、ソーシャルワーカー、スピリチュアルケアカウンセラーをはじめ様々な専門職がチームをつくり、在宅ケアのサポートをします。お家では症状の緩和が難しいときや、ご家族が患者さんのケアを担うことができなくなった時などは、ホスピス病棟のある病院か提携先の病院へ一時的に入院することはあります。薬の調節や外科的・内科的な施術で症状が安定すると、また在宅へと戻ります。
患者さんとってもご家族にとってもホスピスケアという選択は、目的がはっきりしていますが、期間のきまっていない旅のようなものです。ホスピスケアを受ける・切り替えるには、2名以上の医師から「現時点の状態で、このままこの病状や体の状態が続けば余命6か月未満でしょう」という診断が必要になります。ただ、この判断も数字や数値をもとにされることが多く、実際の死期は本当に様々です。本当にあっというまに亡くなる方もいらっしゃいますし、ホスピスに切り替えて在宅で症状緩和に集中したら逆に容態が安定してホスピス自体を卒業される方もいらっしゃいます。
どんな命も生まれたら死にます。それは自然の摂理です。とてもふつうのことです。人が生まれた時には24時間体制で赤ちゃんの世話をするように、人が死ぬときにもその人を24時間体制で世話をするのは、自然なことなのかもしれません。今は、死という体験が家を離れ、避けるべきもののように扱われる傾向が強いと感じます。病院でもそう感じます。社会全体の意識がすこしずつ変わっていく必要があるように思います。たとえば産休・育休があるように、看取り休暇が半年から1年ほど保障されていてもいいのになぁと思います。本当に簡単なことではないですから。
ホスピスケアで一番大切なのは、ご本人とご家族の意見が一致していることと、どのようなケア・看取りを実現させたいかということ。そこがぶれるととても辛い道のりになります。そして、訪れる変化を受け入れることができるかどうかです。昨日できていたことが、今日できなくなる・・・その喪失感や悲しみ、フラストレーションはご本人やご家族をとても苦しめます。あきらめではなく、受容というとても大切で難しいステップです。あきらめや、なげやりになると精神的にもとても辛いですし、受け入れられないと今度はケアの方向性やホスピスケア自体続けるのが難しくなります。

これから、現場での体験や感じたことをレポートします。

2016/12/16
午前12時過ぎに患者さんの自宅に着いた。とても大きなアパートだった。寝室までの廊下には、いろんなものが飾ってあった。
あの夜が最後だったんだ。
ほんとうは、心の中で思ってた。「奥さん、もうそっとしてあげましょう。旦那さん頑張って頑張って頑張って辛そうだよ。」
旦那さんは、心の底から奥さんを愛してたんだ。
奥さんが必死だから、旦那さんは最後の最後まで、「苦しくないよ、息苦しくないよ、大丈夫だよ」って繰り返した。あんなに痩せ細った身体で弱々しいのに、息をするのも辛そうなのに、頭はずっとはっきりしてた。目を閉じても眠りに落ちることなく・・・。本当は自分の体のこと一番わかってたの患者さんご本人だったのに。
奥さんはいてもたってもいられなくて、旦那さんの痰をどうにか咳をさせて吐き出させようと必死だった。旦那さんはそれに応えるように力をふりしぼって何度も咳をして、痰を出そうとした。力の限り・・・
とても辛そうだった。
看護師として、患者さんの容態をうっすらとわかりながらも二人の姿に押されて。。。
何もできずにオロオロしてた。情けない自分。
あの時、「これ以上は辛いだけです。最期の時はとても近いです。」最後まで言えなかった。奥さんに・・・
言えなかった。愛する力の果てを見た気がした。
次の日にレポートを読んだ。
I lost the fight
旦那さんは奥さんにこう言ったそう。そしてその何時間か後に死んだ。この言葉を読んだ時、ほんとうに自分の不甲斐なさを痛感した。ホスピスケアに切り替えた後もずっと、最後の最後まで闘っていたんだ。闘うのをやめていいはずの時に。痩せ細った誇り高き優しき戦士・・・そんなイメージが浮かんだ。
あるがままを受け入れるとは、辛く難しいこと。
起こっていることを受け入れ身をまかせられると、
なんと楽なことか。

 

わかばま〜く:プロフィール  1987年生まれ。ニューヨーク州立大学卒業後、 ニューヨーク市立病院に看護師として4年勤務。現在は訪問看護師としてホスピスケアに携わっている。岐阜県各務原市出身。

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vol.176 エコビレッジfromオーストラリア

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現実に向き合うということ

今回は、ちょっと違う角度から見たコミュニティーについて書こうと思います。

夏のオーストラリアはとても暑い日々が続いています。
先週、シドニーから2時間ほどの場所で行われた、音楽、アートフェスティバルに行ってきました。
Re- Grow Festival (http://www.re-gen.org.au/) では、木を植えるプロジェクトがあり、農や自然エネルギーがテーマでした。
フェスティバルの行われた場所は、大きな湖畔。湖の対面には、発電所が立っていて、すぐ近くには鉱山があり、石炭を運んでいます。残念なことに、美しい湖は人間の脳に支障をきたすアメーバが住みついているため泳げないということです。

フェスティバルでは、自然エネルギーで電力を賄ったステージもありました。イベントの主旨がよく伝わってきます。
さらにこのイベントは、毎年、数千本の木を植え続けています。11年目を経て、67,000本もの木が植えられました。木を植える場所の土は、とても乾燥しています。だからこそ、木を植える必要があるのだと感じました。

発電のために、山を壊し、土地を破壊している、その現状を目のあたりにするのは、心が痛みます。でもそこから目をそらしてはいけないのだと強く感じました。
フェスティバルに来ている人たちの間では、景色がよくないという不満を言う人たちもいましたが、それよりも、自分たちになにができるのか、を話し合うきっかけになりました。
フェスティバルで音楽を流すにはたくさんの電力を使います。
電気を使うということは、景色が良くないというこの現状につながっているということを知るいい機会になると思いました。

さぁ、苗を植えに行こう!

さぁ、苗を植えに行こう!

電力会社に頼らない生活、自然とともにある生活の仕方。農について、パーマカルチャーについて、フェスティバルの形態について。音楽をとおして、アートをとおして、つながりを求めている私たち。文化と自然の共有のしかたとは。

これから、もっと意識的に活動していこうと思います。    Yao


vol.176 半農半Xという生き方

01

「後世への贈り物」
いまから百年以上前の1894年(明治27)、キリスト教思想家・内村鑑三は箱根において、「後世への最大遺物」と題する講演をおこないました。多くの聴衆に、「我々は何をこの世に遺して逝こうか。金か。事業か。思想か」と問いかけたそうです。この講演は岩波文庫として版を重ね、今なお多くの人びとの精神を鼓舞し続けています。28歳のとき、私はこの本に出会い、大変衝撃を受けました。何歳の時、内村はこの講演をしたのだろう。調べてみたら、なんと33歳で驚きました。内村は講演の中で、お金や事業、思想を万人は残せないけれど、「何人にも遺し得る最大遺物」があります。それは「高尚なる生涯」です、と聴衆に熱く語っています。どう生きるべきか。どう暮らすべきか。いまを生きる世代は後世、将来世代からそう問われている気がします。いま、とても大事な時期です。年の初めのこの時期に、そんなことをたっぷり思索できたらと思います。余談ですが、京都の綾部からこの講演を聞きに行った人がいるそうです。当時、綾部駅はまだなく、園部まで歩き、そこから汽車で遠路、箱根をめざしたのでしょう。すごい先人が綾部にいたのですね。
電球と壊れた卵

鼓舞する団扇(うちわ)
15歳という若さで『啓発録』という書を書いた幕末の福井藩士、橋本左内(1834-1859)は、流されやすい時代を生きていくために、壁や扇子(せんす)にことばを書いたりはったりして、自身を鼓舞していたようです。いまと同じで、江戸時代も大変だったのですね。それにしても、扇子にことば。なるほどです。数年前、綾部の新しい団地のお祭りか何かの粗品として、「団扇(うちわ)をつくるのでその裏面に世界の名言を入れたい」という依頼があり、10ほど名言をセレクトしました。できあがった団扇を何本かいただき、いまも愛用しているのですが、使うたびに思うのは、ローテクの象徴のような団扇も、アイデア次第でおもしろいことができるかも、ということです。みんなで工夫して、工夫に工夫を重ねて、すてきな世界にしていきましょう。後世を想う一人ひとりのアイデアが地球を救うかもしれない、とぼくはそう思うのです。

塩見直紀(しおみなおき)半農半X研究所代表
1965年、京都府綾部市生まれ。20年前から「半農半X(エックス=天職)」コンセプトを提唱。半農半X本は翻訳されて、台湾、中国、韓国にもひろがる。著書に『半農半Xという生き方 実践編』など。

※半農半Xとは・・・半農は環境問題、半Xは天職問題(どう生きるか)を背景とする。持続可能な農のある小さな暮らしをベースに、天与の才を社会に活かす生き方、暮らし方。ex.半農半漁、半農半大工、半農半看護師、半農半カフェ、半農半絵描き、半農半歌手、半農半鍼灸師、半農半カメラマンなどなど。


vol.176 ボーダーレス社会をめざして

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vol.35
一人暮らし

 以前からの読者の方、お久しぶりです。初めての方のために、タイトルの「ボーダレス社会をめざして」とは何か?少しご説明をしたいと思います。

 私には39歳の自閉症の息子がいます。彼と私が経験してきたことや障がい者を取り巻く社会のことを書きながら、障がいのある人たちをほんの少し理解して頂けるきっかけを作ろうというのがタイトルの趣旨です。4年前の1月まで連載をしていたのですが、2012年3月、私に胃癌が見つかり手術をし、2/3の胃を摘出したことより心身ともにこの連載を続けるのは無理と判断して止めにしました。しかし、すこぶる元気になり、復活することになりました。

 この4年の間に息子の生活が大きく変わったことをまず書かなくてはいけません。2年前に岐阜市内にあるアパートを借り、一人暮らしの練習を始めたのです。毎週アパートに2泊し、会社に行くという練習をしています。洗濯、掃除、食事作りなど一人でしなければいけないことがいっぱいですが、息子はとっても嬉しそうです。
 どうして思い切って一人暮らしの練習を始めたのか?親子喧嘩が発端です。「この家出ていく?一人で暮らす?」なんて私が怒って言ったのに、息子が「はい。アパートに引っ越しします。」と答えたのです。もうびっくりでした。チャンス到来です。気が変わらないうちに、知り合いの人にアパートを借りたいのだけれど、部屋を見せてほしいと連絡し、二人で見に行き、その場で決めてきました。何でも早い方がいいです。その勢いに乗って、市役所へ行きヘルパーさんが使えるよう手続きをしました。部屋を使えるようにしなくてはいけないので、息子と一緒に家財道具などを買い揃えました。息子は私と一緒に行動するのを嫌うので、めったにないことですがこの時ばかりは仕方なく一緒に買物をしてくれました。2週間くらいですべて用意しましたので、忙しかったこと忙しかったこと。お茶碗等の食器など、こまごましたものまですべて息子本人が選びましたので、満足そうでした。体中から嬉しいオーラが出ていて、希望にあふれる感じがしました。

 障がいがあっても何も変わらないんです。多くの人にお手伝いをしてもらって、自立または自分らしく生きることができるよう環境を整えなくてはいけないとつくづく思いました。これは親の大切な仕事ですね。これから私自身の癌のことも交えながら、障がいのある人に係ることをお伝えしていこうと思います。

NPO法人オープンハウスCAN 理事長 伊藤佐代子


vol.176 ぎむきょーるーむ 続・どう診断?どう支援?

ギムキョータイトル

今号は、

発達障害の診断基準って?
診断されたあと、
それから、子どもたちはどうなるの?

あいまいなままの特別支援
発達障害の支援のあり方は都道府県や自治体による差が大きい。診断名をもった子どもを通常学級で見ていくことを手放しつつあります。つまり、子どもを新しいかたちで分けはじめたのです。
医療機関ではADHDかLD、高機能自閉症(これは診断名としては公認されていません)かアスペルガー症候群かにふり分けられることが多いのです。診断基準は行動や症状の羅列で、同じ子どもが二つの診断名をもらうということも起きます。
一旦診断名がつくと、学校では「それでは」というかたちで、保護者と本人との面談などを通じて同意がはかられ、時間割のうち何曜日の何時間めは、支援教室に行くという個別教育計画が立てられます。特別支援教育の体制は、学校に校内委員会を作り、特別支援教育コーディネーターを中心に実態把握や校内での対応をしたうえで保護者の同意もふまえ、巡回相談員を通じて教育委員会に儲けられた専門家チームの検査や判断をするとされています。しかし専門家チームは当の子どもに接していませんし、個別教育計画は学校でなければ作れないので、実際にはこのプロセスを経なくても、診断がついた時点でゴーサインが出ているようなものです。
そもそも特別支援教室は個々の子どもの「弱点」を教育する場であり、さらに発達障害の子どものみを対象とするという取り決めはありません。ですから、あちこちの学年から不登校の子や家庭的な問題が背景にある子など、いろんな子が来ています。先生は一人だけで、個別の学習指導、人とのつきあい方などの援助ができる体制ではありません。それでも、通常学級で授業を受けているより楽しいので、本人は喜んで行くようになることが多いわけです。担任の先生にとっても、「トラブル」が減るので、支援教室に行かせる時間が徐々に増えていく傾向があります。
特別支援というならば、少なくとも支援の内容と方法を明確にし、その効果を一定期間内に評価し、計画を見直していく体制が必要ですが、それらはあいまいなままです。下手をすると、子ども本人の意思を担保にして「厄介払い」する場になりかねません。

ラベリングのデメリット
いま、日本の社会は能力主義がいきわたり、就労のハードルは高く、若い世代が派遣やアルバイトなど不安なかたちで仕事をせざるをえない現実があります。そうしたなか、人づきあいが苦手であったり、課題をなかなか期限通りには達成できない人が仕事を得たり続けていくことはむずかしいといえます。
うた 障害による不利益を被ることが多いこの社会の中で、わざわざ障害名をラベリングし、特別支援教育というコースが新設されました。支援を受けることによって徐々に通級を減らしていけるのかどうかもまだ見えていませんし、通常学級での授業参加の実態がないことから成績評価ができない教科が出てくることも予想されます。小・中学校ではさほど問題にならなくても、高校受験の段階で、明らかな進路上の不利益が生じることも考えられます。
私は、こうした特別支援教育自体に賛成はしていません。ひいき目に見ても、障害のある子の一部は「特別支援教育の成果」として社会に受け入れるけれど、それ以外の子は、教育でやれることはやったのだから、あとは「家庭で責任をとりなさい」、という主旨のように思われてきます。
ADHDとされる子はたいていいつも怒られていて、「どうせ自分はダメだ」という気持ちになりがちだということはあります。そこをついて特別支援教育を誘われたりもします。しかし、迷われている方へいいたいことは、あまり先回りして不安を感じたりふりまわされるよりも、親も腹と腰を据えて、本人にとっていまなにが大事なのかということを、いちばん考えてほしいということです。

茨城大学教員 三輪壽二(みわしゅうじ)
茨城大学教育学部教員。日本社会臨床学会運営委員。精神科医療に心理職として約10年勤めたのち、2000年より現職。著書に『カウンセリングと学校づくり』(偕成社)、『カウンセリング幻想と現実』(共著、現代書館)、『子どもの<こころの危機>はほんとうか』(教育開発出版社)ほか。

先生

予算不足で臨時講師
海和:「発達障害」と呼ばれる子どもが増えてきたためか、特別支援教育担当の教員が足らないって?
夏目:そうかも・・・非常勤講師がかなり動員されているね。
海和:普通学級にいるけど発達障害といわれる子どもたちも増えてはいると思う。
夏目:でも、「増えてきた」っていうけど、発達障害をはっきり確定できる診断はかなり少なくて、診断方法にも疑問はあるんだよな。非常に拙速で、アンケート用紙や適当な観察で医師や心理士といった「専門家」が判断しているケースが多いと思う。そういう診断をされた子どもが学級に来ても、騒ぐほどかと思うことも多い。

ほんとうに困っているのはその子
海和:私は特別支援学級をずっとやってきたけど、まぁ、なんとかなるよって感じで仕事してきたから、あんまり「発達障害」だからどうのってことはなかったな。
夏目:特に印象的だったことは?
海和:手のかかる子はいるよね。乱暴したり、教室から抜け出したり。でも、本当に困っているのはその子どもだよね。怪我しないようにじっと黙って見ているしかできないんだけど・・・。ところが、親の中には「うちの子は、もっとやればできるはずだ」「身につかないのは、教え方が悪いせい」という人もいれば、逆に「どうせやっても意味がない」など投げやりな人もいて、そういう親とは、関係を作るのが難しくて・・・。
夏目:難しいよね、そのへんは。
海和:ありのままをまず肯定し、楽しんで学校へ行っているとか、生活してくれればまずよし!と思ってもらうことが基本だと思うんだけど。そのうえで、少しでもできたり、チャレンジしようとしたときは、いっしょに喜んでもらえればと思う。けれど、親なりに勉強した専門知識に固執して「指導はこの方法で」と強要してくる親さんもいて「その方法ではお子さんにはキツイだけですよ」っていってもなかなかわかってもらえないこともある。
夏目:それは普通学級でも同じだよ。親だけでなく同僚に対しても、かなり気を遣うことが多いでしょ。
海和:普通学級の子と交流するのはとても有意義だから、うまく連携したいんだけどね。ほかの子の勉強が遅れるから迷惑だとか、平均点が下がるだとか、とんでもないことをいう普通学級の担任もいる。結局、教員自体が「競争原理」に毒されているというか、狭い価値観でいるからそうなるんだね。
夏目:学級に障害を持った子どもがいれば、逆にそういう子どもたちから「健常」といわれる子も学ぶことも多いはずだけどね。
海和:子どもの方がうんと柔軟なこともあるし。以前、特別支援の教室に子どもが来ないので、おかしいと思っていたら、その子が普通学級の方へ行ってしまっていた。その子は、子どもたちがいたからその担任ともうまくやっていた(笑)
夏目:それは、おもしろい。子どもたち自身が、制度の枠組みを乗り越えるって感じだ。

成長のための共同協力者は、どこに?
心配夏目:特別支援教育における、海和さんが思う「望ましい教員の姿」は?
海和:障害児教育の分野は、昨日の学級が明日覆されるってこともままあるから「過信しない」こと。どの子にも当てはまる有用な理論はないということを知るべき。それと、保護者には、よくも悪くもわが子の別の一面を教えてくれるのが教員と思って欲しい。子どもの成長のために存在する「共同協力者」という感じがいちばんいいかな。
夏目:「特別支援学級か普通学級か、どちらがいいでしょう」と聞かれるけど、ぼくは普通学級でやればいいと思う。場合によっては、その先生との関係次第かな。とりあえず、支援学級を見学してみて、先生の雰囲気とか、学級児童の数なんかを聞いておくことだけは絶対に必要だと思うよ。
海和:子どもは、前に立つ人、あるいは友だちによって、刻々と態度や感情が変化するもの。同じ声かけでも、マニュアルでもちがいが出る。成長って、子どもを取り巻く大人や環境との関係性が生命。だから、子どもを見るときは、彼らを「まるごと」見ることだと思うよ。でないと、視野が狭くなったり、こちらの態度が傲慢になってしまう。ずっと、そんなことに気をつけて、子どもに関わってきた私の実感です。


vol.176 真の文化は山を荒らさず

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真の文化は山を荒らさず

故・高倉健さん主演の映画「駅 STATION」の舞台として知られる北海道・増毛駅。この駅を終点とするJR留萌線の留萌―増毛間が昨年12月、運行を終えました。JR北海道は全路線の約半分について、「もはや自社単独では維持できない」と発表しています。一方、JR東海のリニア中央新幹線建設には、財政投融資を活用した3兆円の国の融資が決まり、5000億円が貸し出されました。国鉄分割民営化から30年、大きな格差を感じざるを得ません。今回は、リニアをテーマにした映像撮影で訪ねた神奈川県相模原市を紹介します。     ジャーナリスト・井澤宏明

移転迫られる「地域の宝」
新宿駅から約40分、JR線と京王線の橋本駅向かいに、神奈川県立相原高校はあります。県内各地から農業と商業を学ぶ生徒が集まる、ユニークな専門高校です。
緑あふれる校内は住民が通り抜けでき、親子連れやお年寄りの姿が見られます。生徒たちは、自分たちが育てたニワトリや豚、牛から生産した「相こっこ卵」「相原ポーク」「相原牛乳」を販売するなど、日々の活動を通じて地域に溶け込んできました。
この高校の敷地に、リニア中央新幹線の中間駅・神奈川県駅が計画されています。それに伴い同校は、郊外への移転を余儀なくされているのです。
「リニア新幹線を考える相模原連絡会」代表の浅賀きみ江さん(67)は、30年余り前に引っ越してきて以来、同校のあるこの街を愛してきました。「知らない土地で、車もないし遠くにも行けないから、子どもを連れて毎日のように遊びに来させてもらったんです」。

市民でにぎわう相原高校の文化祭「相陵祭」(2016年10月30日撮影)

市民でにぎわう相原高校の文化祭「相陵祭」(2016年10月30日撮影)

以前にも、県立高校再編が検討され移転が取りざたされたことがありました。浅賀さんたちは市民団体を作り、校内を巡る散策会を教員らと開いて、「地域の宝」の存在を多くの市民に伝えてきました。
同校は1923年(大正12)に開校。その年に発生した関東大震災の被災地となった横浜に、生徒たち50人余りの自転車隊が農場で収穫した野菜を届けたという話は、今でも語り草です。広域避難場所にも指定され、東日本大震災でも、多くの帰宅困難者を受け入れました。
浅賀さんは「畑の土壌も、90年ぐらい生徒さんや職員さんが一生懸命耕して大事に作ってきた。せっかくこんなすばらしい環境があるのに」と惜しみ、「やれることは精一杯やっていきたい」と移転反対を訴え続けています。

山あいに巨大車両基地
相原高校のある相模原市緑区には、県駅以外にも、関東車両基地、変電施設、4つの非常口の建設が計画されています。
標高1000メートルを超える峰々が連なる丹沢山地の山あいにある鳥屋(とや)地区。住民の栗原晟(あきら)さん(71)が車両基地が計画されているのを新聞報道で知ったのは、2013年9月と最近のことです。

鳥屋地区の航空写真

鳥屋地区の航空写真

車両基地が長さ約2キロ、幅約250メートル、面積50ヘクタールにも及ぶ飛行場のような巨大なものであることや、工事車両がピーク時には1日1000台以上も走行することが分ってくるにつれ、「こんなもののために、町の人間の土地を奪われ、退去させられるのはたまらない」と思うようになったそうです。
車両基地の完成予想図は、2015年2月にようやく公開されました。図を見ると、複数の谷が埋められ、鳥屋小学校の背後に迫るように車両基地が計画されていることが分かります。
地域の真ん中を車両基地が貫き、多くの家屋が移転対象となる谷戸地域の自治会は建設反対を決議し、「リニア車両基地絶対反対!」の看板を掲げています。一方で、どうしても建設が避けられないのなら地域全体で移転を、とJR東海に要請していますが、話は平行線のままです。

住民、法廷に立つ
沿線住民ら738人が昨年5月、国のリニア計画認可取り消しを求めて東京地裁に起こした行政訴訟。原告として参加した栗原さんは12月9日の第2回口頭弁論で法廷に立ち、意見陳述しました。
「真の文明は山を荒らさず、川を荒らさず、村を破らず、人を殺さざるべし」
日本初の公害問題となった足尾銅山鉱毒事件と闘った田中正造の言葉を引用して、リニア計画に疑問を投げかけました。

今回の取材を13分の映像にまとめた作品「リニアが来るまち」をOurPlanet-TVホームページ(http://www.ourplanet-tv.org)やYouTubeで公開しています。

JR東海が住民に示した車両基地鳥瞰図。飛行場のような巨大基地が計画されている

JR東海が住民に示した車両基地鳥瞰図。飛行場のような巨大基地が計画されている


vol.176 プレゼントコーナー

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プレゼントご希望の方は
ハガキまたはe-mailで、下記のアンケート1〜6をご記入の上、編集部・プレゼント係りまでお送りください。
〆切:3月25日 当日消印有効。(Cは3月10日)
B 、Dはにらめっこ編集室に受け取りに来ていただける方。
宛先:〒504-0855 各務原市蘇原新栄町2-25
※お寄せいただいた個人情報は、本紙プレゼントの発送に限り、使用させていただきます。

アンケート
1- あなたがこの春挑戦すること、したいことは?
温かくなって草木や虫、動物たちも動き始めます。さあ、あなたは?
2- 気になるにらめっこ紙面での広告
3- 気に入った記事、気に入らない記事のタイトル1つ
その理由もお書きください。
4- ご希望のプレゼント名 (第1希望・第2希望)
5- 本紙をどこで入手されましたか?
6- 氏名、年齢、住所、郵便番号、電話番号、家族構成

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A.「八海山 貴醸酒引換券」
ワインショップ サチ様より…3名様

貴醸酒とは、三段仕込みの最後の「留仕込み」に仕込み水の代わりに清酒を使う贅沢なお酒です。味が極めて濃く、食後酒向きの奥行きの深い味わいです。300ml入り。ワインショップサチさん(各務原市尾崎西町)で、商品とお引き換えください。
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B.「無農薬 ほうじ茶」 ちゃぼぼ園様より…3名様
760年の歴史をもつ春日の在来種の茶木は、地中に深く根を伸ばし、大地に呼応し、自然の恵みだけで育ちます。無農薬、無添加の深く澄んだ味を楽しんで。にらめっこ編集室でお受け取りください。
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C.「Jazz Barご招待券」 アートギャラリー是様より…2名様
3月12日(日)開場18:00 開演19:00 会場アートギャラリー是(関市武芸川小知野489)
ちょっと日常から離れて、大人なひとときはいかが?ピアノとウッドベースが奏でるジャズが心地よく心に、身体に染みわたります。(軽食と飲み物ご利用される場合の料金はご負担お願いします。)
https://www.facebook.com/%E6%98%AFZE-1169062646482636/
c.jazz

 

D.「粉石けん シャボン玉 スノール」  にらめっこより…2名様

良質の天然植物油脂を原料にした純石けん分99%の無添加石けん。手肌にやさしく、デリケートな衣類も洗えると好評です。にらめっこ編集室でお受け取りください。

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E.「CINEX 映画招待券」シネックス様より…ペア3組様

主人公と一緒に泣いたり笑ったり、感激したり。自分とは違う人生をほんの少し体験する。いやあ〜、映画って本当にいいですね♪  (招待券はシネックスマーゴではご利用になれません)

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♪お知らせ♪ まちカフェに参加しませんか?

つくる・みらいの会は、みんなでまちづくりを!

という思いで『まちカフェ』を開いています。
毎月第2土曜・第4土曜 10:00~12:00
出入り自由 参加費200円
まちかどギャラリーにらめっこ(蘇原新栄町2-25)058-383-8666

※日時が変更になる場合もあります。事前にご連絡をお願いします。
2974531

4つの分科会を設定しました。
1-市庁舎建て替えについて
2-学童民営化について
3-航空自衛隊岐阜基地について
4-福祉(高齢者・障がい者など)について
興味のある「まちカフェ」へどうぞご参加下さい!


vol.175 チャレンジャー 若き禅層 佐藤隆定さん

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仏教との出会い
得度式というお坊さんになる式で僧侶となり、10年です。
実は僕、お寺の生まれではなくて、美容師として生きていきたいと思っていました。お寺の娘さん(現在の妻)と出会ったのが、この世界に入るきっかけではありましたが、美容師を続けたくてお寺を継ぐことは考えていませんでした。結婚するとき、住職であるお義父さんから、「お寺は継がなくていい、結婚したからお坊さんになるなんて気持ちでなれるものじゃないよ」と言われました。だからといって仏教のことを考えることすらしないなんてどうなのかな、一応勉強だけでもと、自分で勉強をしてみたら、大分思ってた世界とは違ったんですね。
僕が小学校の頃にオウム真理教の事件がありました。宗教=オウムという1つの形ができている世代で、それまでは、お寺に入るだなんてそんな恐ろしい、みたいな(笑)。だけど、自分で本をめちゃめちゃ読んで学んでみると、全然違うんですよね。特に禅っていうのは宗教ではない、哲学のようなものだと思うんです。どんどん学んでいくうちに、これは思っていた程悪い世界じゃない、むしろ一生かけて学んでいく価値がある世界だなあと思って。そこから禅を学び始めたんですね。
そりゃあ僕も悩みましたよ。嫌でしたもん、頭剃るなんて(笑)。でも、何で自分は美容師になりたかったんだろうってよく考えたんですね。すると、あ、自分は人からかっこよく見られたかったんだ、と気づいた。で、かっこ良く見られたいというのと本当にカッコイイというのは、ちょっと違うんじゃないか。禅を学んでいくと、そういうふうに考える様になって、これは一生かけてでも学ぶべきものなのかなあと思って。で、大転換ですよね(笑)。

「今」「ここ」「自分」
人からカッコイイと思われたいということは、人からどう見られるかが自分の価値になる。そう考える人は、無条件に自分で自分を認めることができないんですよね。それって本当に苦しい。そうなるとへりくだってでも人から良く言われたいとか、自分を抑えて生きていくとか、そういうのに繋がっていきがちですよね。
禅の考えで「今」「ここ」「自分」という三つのベクトルがあるんですが、過去でも未来でもない今この瞬間に、自分がいるここで、自分が何をするか。それが大事なんだよ、と。それは意識的にしないとわからないですね。

出版
禅語って端的にポンと言うんですよね。そこから自分で、頭の中で考えるのではなくて、体験の中で理解していきなさい、というような姿勢なんです。でも、現代では、ポンってひと言だけではなかなか伝わらないですね。文字化というか言語化するというのが必須になってきています。
ただ、この本の冒頭にも書いたんですけど、頭で理解することがゴールではない、ということが大切なんです。最後の一歩は自分の体験として理解しないと、それは本当の理解じゃないんだ、っていうのが禅の基本です。それだけは分かっていただきたいです。その上で、そこに至るまでは文字がとっても大事なんですね。そういうことを感じたので、本にしました。
この本には文字以外のイメージとして写真が多く使われています。百聞は一見にしかずというか、文字だけでは伝わりにくいことが、写真を加えることでことばの意味がひろがるのではないかと思ったんです。
そして、出版社にこういうのを考えているんですけど、どうですかって伝えたら、1社からお返事いただいて。本当にありがたかったですね。

一押しの言葉
本の中で一番最初にもってきた「冷暖自知」。知識で本当のことは理解できない、体験じゃないとわからないよって言ってるんです。お風呂の温度が温かいか冷たいかは自分で入ってみないとわからない。入った人が仮に良いお湯だったとしても、41℃なのか39℃なのかわからないですからね。結局、あらゆることがそうだけど、自分の体験なくしては知ることはできないんだ。人から聞いて知ったつもりになっているのは、借り物の情報であって、知識とはいえない。ところが、今の社会は情報イコール知識というように考えられてます。情報というのは自分の生き方を左右するような知識までには上がらないんですよね。それをどうやったら知識までに高められるかといったら、ひとつはやっぱり体験だと思うんです。
僕も5歳と2歳の子どもがいるんですけど、失敗してもいいからいっぱい体験すればいいって思います。ただ、なかなか子どもだけで外で遊ばせるってことができなくなってきたりと、そういう環境も今は少なくなってきてるのかなって感じはありますね。

伝えるツール
ちょうど一ヶ月くらい前からなんですけど、ブログを始めたんですよ。僕、いまだにガラケーで、インターネットは未知の世界だったんですけど、仕事上メールのやり取りが必須になってきて、しょうがないなって思ってネット環境を整えました。そしたら、今って本当になんでも検索なんですね。それで、多くの人に知ってもらうということを最優先に考えれば、ブログという形でもいいのかなあって思いまして。
でも紙、いいですよね。僕は紙が好きなので最初はやっぱり「本」にこだわりましたが、ネットでは、日々の暮らしを綴るブログ「禅の視点-life-」を、もし良ければ読んでください。
仏教のよい点
仏教は、絶対者に対する信仰ではなくて、あくまでも本当に世の中はどうなっているのか、という見方で成り立っているので、他を否定しないんですね。
仏教は昔からある宗教と混ざり合ったりして、ものすごく形が変わりました。今、日本でもすごく混ざり合っていますけど。それがいけないというか、自分がないみたいにとられる人もいますけど、それは1つの寛容性の現れじゃないかと。他を否定しなければ、当然自分が変わることはあるんですね。それは別にいいんじゃないか、自分が変わったところで世界に存在する真理は何も変わらないんだから、といった寛容性というのはとてもいいですよね。
仏教の説き方で、待機説法というのがあるんですが、相手によって分かりやすく比喩を持って説き方を変えるんです。みんなに同じこと言うんじゃなくてね。そういうのは本当に面白いなあ、なるほどなあって思います。人にこういうことを伝えたいなって素朴に思いました。仏教、いいなと思いますね。

 

佐藤隆定(さとう・りゅうじょう)

1984年。愛知学院大学文学部在籍中、曹洞宗で出家得度。卒業後、福井県永平寺にて修行。現在、岐阜県美濃市霊泉寺副住職。禅僧でありつつエッセイストとしての顔ももつ。「生きる」という、人間にとって根源的・日常的な活動について禅という視点から考え、法話や執筆等を通じて多くの人々に伝える活動を行っている。
佐藤さんのブログ「禅の視点-life-」 http://www.zen-essay.com/

9784336060426
『糧になる禅語』(国書刊行会) 定価:1,300円+税
売り上げの内、著者分印税は、認定NPO法人 国境なき子どもたち(KnK)に全額寄付され、困難な状況下にある青少年の教育と自立のために活用されます。