投稿者「にらめっこWeb版スタッフ」のアーカイブ

vol.187 プレゼントコーナー

PRESENTS 187号

1- あなたがイメージする
「2019年の自分の姿は?」
自分の将来をイメージすると夢にぐっと近づくとか。あなたの夢が叶いますように!
2- 気になるにらめっこ紙面での広告
3- 気に入った記事、気に入らない記事の
タイトル1つ・その理由もお書きください。
4- ご希望のプレゼント名
(第1希望・第2希望)
※BとDは編集室まで受け取りに来られる方。
5- 本紙をどこで入手されましたか?
6- 氏名、年齢、住所、郵便番号、電話番号、家族構成

プレゼントご希望の方は
ハガキまたはe-mailで、上記のアンケートを
1〜6までご記入の上、編集部・プレゼント係りまでお送りください。
〆切:1月25日 当日消印有効。

宛先
〒504-0855 各務原市蘇原新栄町2-25
e-mail: info@niramekko.com
※お寄せいただいた個人情報は、本紙プレゼントの発送に限り、 使用させていただきます。
※当選の発表は発送をもって代えさせていただきます。

A.ミックスベビーリーフ引換券
大堀研磨工業所様より…5名様

サラダはもちろん、ピザやパスタにトッピング、肉料理に添えたりと、いろいろ使えるベビーリーフ。栄養豊富なのもうれしいですね。40g入り2パックのプレゼントです。大堀研磨直売所(各務原市蘇原寺島町1-9)で商品をお受け取りください。

 

B.ゆりかごカレンダー 月暦

ゆりかご助産院様より…3名様

シンプルなデザイン、書き込みスペースもあり、機能的。でもこのプレゼントが毎年好評なのは、毎日の月の満ち欠け、満潮干潮の時刻、旧暦など、多彩な情報が載っているから。ゆりかご助産院さんのロゴもかわいいポイントになっています。

 

C.CINEX映画招待券

シネックス様より…ペア3組様

映画館で観るときの醍醐味のひとつは、大音量でサウンドを楽しめること。音楽がポイントの内容ならばなおのこと。サウンドのシャワーがあなたを別世界に誘います。写真は「アリー スター誕生」より。招待券は柳ヶ瀬のシネックスでご利用になれます。

D.ヤジロプレーンorヤジロコプター
にらめっこより…各2名様

わずかな風でもゆれ動くウッディなヤジロベエスタイルの置物。かわいい雰囲気で、お部屋に飾ればなんだかほっこり。どちらをご希望か明記してご応募してくださいね。(高さ29cm、横42cm)

 

 


vol.186 デンキの特集


台風の多かったこの夏。停電や断水になり不便な思いをされた方も多かったと思います。水、デンキ、ガスなどのライフラインが機能しなくなったとき、日ごろのあたりまえが、あたりまえでなくなります。前号では、日本ではあたりまえに供給されている「水」がテーマでした。今回は「デンキ」について考えてみたいと思います。

ライフライン (lifeline) とは、元は英語で「命綱」の意味。日本では主にエネルギー施設、水供給施設、交通施設、情報施設などを指して、生活に必須なインフラ設備を表す語。
現代社会においては、電気・ガス・水道等の公共公益設備や電話やインターネット等の通信設備、圏内外に各種物品を搬出入する運送や人の移動に用いる鉄道等の物流機関など、都市機能を維持し人々が日常生活を送る上で必須の諸設備のことを指す。


「あなたにとって 欠かせない家電は?」
回答が多い順に

1番目は「冷蔵庫」1,071件(25%)
2番目は「洗濯機」586件(14%)
3番目は「携帯電話/スマホ」463件(11%)
4番目は「テレビ」443件(10%)
5番目は「照明器具」367件(9%)でした。
次いでエアコン、電子レンジ、炊飯器、と続き、さらにドライヤーや、食洗機、タブレット端末のあとに、掃除機と続きます。
2014年8月20日~11月30日に実施しましたニッポンの産業技術50年第1弾「家電&のりものWebアンケートより

たとえば冷蔵庫を置かないと食生活はどうなる?
『電気代500円。贅沢な毎日』の著者・アズマカナコさんの場合、冷蔵庫や洗濯機などの家電製品を置かないのは、電気代を節約するためではない。「ただ好きだから」なのだそうです。
冷蔵庫がない。だから、まとめ買いはしない。肉や魚はすぐに食べきってしまい、野菜は近所の農家直売所で買っている。数日くらいなら常温で保存できるものしか買わない。余った食材は保存食にする。ぬか床があるので、たいていの野菜は漬け物にできる。
朝食は、野菜たっぷり具だくさんの味噌汁をつくって、あとはご飯と漬け物で済ませる。昼ごはんや弁当は、夜のおかずを温め直したものだ。アズマさんは「料理は適当にする」という方針。テキトーといっても、レトルト食品や冷凍食品を食卓に並べるわけではありません。あらかじめ作っておいた佃煮や干物やビン詰めなどの保存食を活用する。これは「手抜き」とは言わず「段取りが良い」といいます。
玉子は常温でも1~2週間くらいは保存できる(生食もできる)が、アズマさんは玉子を買わない。そのかわり烏骨鶏(ウコッケイ)を自宅で飼っている。薬効や栄養価が高いといわれている高級種だが、じつは畜産試験場に行けば「ひな」を500円程度で購入することができる(東京都の場合)。 雑食なのでエサは何でも良い。1kg100円のクズ米や野菜クズでよく育つらしい。大きな声で鳴くのはオスだけであり、玉子を産んでくれるメスは静かなので住宅地でも無理なく育てることができるという。

洗濯機がない!脱水もできない・・・
基本、コインランドリーは使わない。まず洗濯は、ぬるま湯を「たらい」にためて、せっけんを溶かして洗う。洗濯板は「しつこい汚れ」を落とすときに使うものであり、たいていは押したりもんだり踏んだりすればアカや汗はキレイになるし、風呂の残り湯をつかうので冬でも手が冷たくない。ちなみに、バスタオルは使わずに小さいタオルで代用している。『必要十分生活』という本でも紹介されているライフハック※であり、洗濯機のある家庭でも有効です。
問題は脱水です。雑巾を絞る感覚でぎゅーっと絞って完了。ワイシャツや生地の厚い服なんかは干すときに結構水が垂れてきますが気にしないことに。
※ライフハック:ライフ(人生)、ハック(術)効率良く仕事をこなし、
高い生産性を上げ、人生の クオリティを高めるための工夫。


掃除機もない。
掃除をこまめに心がければ、ホウキとチリトリと雑巾で不自由ありません。

火鉢を使うのは難しくない?
エアコンもヒーターもない。しかし、火鉢(ひばち)がある。火がついた木炭で暖をとる。いまや時代劇ドラマでしか見かけない、日本古来の暖房方法です。
「スキマ時間のなるほど!メディア」より

「炭のこたつや火鉢、あんかに炭を入れて暖をとるんです。中でも、火鉢は手軽に使えて便利です。使い方は簡単。中に燃やした炭を入れて、手などの冷えるところを部分的に暖めます。炭はガスコンロで火をつけることができ、1回火がつけば、それをつないで一日中使うこともできます。夜は灰に埋めておけば火は消えません。朝になって灰をどかせば、またすぐに使うことができる。慣れると、毎回火をおこさなくても、ずっとつないでいくこともできます。」 (『電気代500円。贅沢な毎日』から引用)

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ちなみに、にらめっこの三上はエアコン、テレビ、電子レンジ、こたつ、ファンヒーター、オーブントースターを手放しました。契約アンペアも20Aのまま。以前は、よくブレーカーが落ちて家の中が真っ暗になることも。子どもたちは学習したのか、「今から○○使うから、◇◇は消して」とか声かけをするように。家電をいくつか手放したおかげで、今ではそれもなくなりました。
今年の異常な暑さの中、「暑さ対策はどうしてたの?」とよく聞かれます。とくに熱帯夜。寝苦しい夜は窓を全開して扇風機を弱にセット。部屋の空気をかき混ぜるようにすると、問題なく熟睡です。これから冬。暖は石油ストーブ、たまに囲炉裏で炭火を楽しむことも。人間の体って不思議ですよ、ちゃんの環境に順応しますから。節約モードではなくガマンでもない、なんか楽しいから続けてるって感じです。持続可能なことを考えると、消費は出来るだけ押さえたほうがいい。自分が出来ることをやってみる、そんな気持ちです。

 


やってみよう!どうせやるならたのしくね〜!創意工夫(*^^)v

煮込まない「煮込み料理」でおいしく節電しよう!
体が温まる料理として思い浮かぶのは煮込み料理ではないでしょうか。カレー、シチュー、おでん、スープといった汁気が多く暖かいものは、冬場にうれしいですね。
こうした料理は長時間コトコト煮込んでこそというイメージがありますが、「保温調理」をすれば小さな労力と少しのエネルギーで簡単に作ることができます。保温調理とは、1度暖めた鍋をできるだけ長時間保温することで、とろ火で煮込んでいるような状態を作り出す方法。鍋が沸騰してから10分程度で加熱を止めてしまうため、調理にかかりきりになる時間が少ない。保温調理用の鍋を使うのが最も手軽な方法ですが、土鍋など厚くて冷めづらい鍋を、バスタオルや毛布でくるむという方法でも十分代用できます。
例えば、おでんを作る時は前の晩に1度火を入れ、沸騰させたものを新聞紙で包んだ後バスタオルや毛布で多重にくるみ、コタツの中にでも入れておく。コタツの電気を入れる必要はなく、要するに熱がこもる場所に入れておけばよいのです。朝、もう1度沸騰させてから保温し直せば、夜にはじっくり煮込んだおでんが出来上がる。カレーやシチューならば、ルーを入れる前段階で保温調理し、最後に暖めなおす時にルーを入れるとよいでしょう。
この調理方法だと具材が煮立てられて踊ることがないため、じゃがいもなどの煮崩れ防止にも役立ちます。形を残して調理したい時にもオススメ。逆に、煮崩れて渾然一体となったものが好みなら、最初から具材の一部をすり下ろして入れてしまえば、同じような状態にできます。
また、保温調理は味がよくしみるのも特徴です。実は、味は冷える時にしみます。しかもゆっくり冷やすとさらにグッド。大根の煮物などは長時間煮込んでも芯の辺りが白かったりしますが、「沸騰させて冷やす」を繰り返すと簡単かつ全体に味がしみます。普通の鍋でも、「しばらく煮立ててから火を止め、自然に冷えたらまた火を入れる」を繰り返すと簡単です。汁気の少ない煮物などでも試せる方法だから、ぜひ試してみて!
何より前日の晩や朝にちょっと手をかけるだけで、仕事中がまるごと調理時間になる。忙しくて簡単な料理ばかりという人でも、うまく保温調理を使いこなせば手が込んだように見える料理が楽しめるのがうれしい。しかも、暖かいものを食べれば体が自然に温まって、暖房も控えめにできてしまうから一石二鳥。節電・節約だからと我慢せず、手間をかけずにおいしいものが食べられる機会を楽しみましょう。

意外と電力を食うテレビ! 消して新しい趣味を見つけよう
わたしたちが思っているより節電効果があるものは?それはテレビなんです。テレビはエアコンのように、安定稼働の状態に入ったら消費電力が減るというものではないですが、長時間つけっぱなしにされることの多い家電です。特に見たい番組があるわけではなく、食事時などにBGM代わりにつけていたり、時刻を知るためにつけていたり・・・
でもね、テレビの消費電力はなかなかあなどれないんです。プラズマテレビよりは液晶テレビのほうが省電力であるものの、最新の省エネモデルでも32V型で60W程度。一般的なモデルならば100Wは消費してしまうそうです。もちろん大型化すれば消費電力も増えて、60Vクラスになると省エネモデルでも200W以上!!プラズマテレビだともっと跳ね上がり、42V型で300W以上も使う。そして、古いモデルだとさらに消費電力は増え、なかには500Wというプラズマテレビの旧型もあるようです。何となくつけておくには、あまりにももったいないですよね。
そこで提案したいのが、ラジオの積極利用とテレビのスイッチを入れる前に番組表を確認する習慣です。ラジオは音だけで伝えるメディアだけに、番組内容は「聞いてわかる」ようにできているから、ニュースや交通情報などもわかりやすい。しかも、消費電力は昔のラジカセ的なものでも10W程度。テレビを見なくなった分は、本を読むもよし、絵を描いたりプラモデルを作ったりと別の遊びをするもよし。あなたなら何をする?

冬の節電に備えて湯たんぽ&捨てないカイロ
いま注目を浴びているのが「湯たんぽ」。空気を暖める防寒グッズよりも肌が乾燥せず、頭の辺りだけが暖かくてボーっとしてしまうこともありません。
椅子に座って使うなら、小さなものを腹部にかかえるようにしたり、背もたれとの間に置いて腰を温めたりするといいですね。また、最近では足下を暖めることに特化して、床に置いた湯たんぽに足カバーが取り付けられた製品もあります。床置きにする時は、湯たんぽの下に薄い座布団のようなものを置くと暖かさが長持ちします。冷えは大敵ですからね。まずは足下から温めることをおすすめします。
さらに、大きめの膝掛けで足下から腰辺りまで覆えば、ちょっとしたコタツのようになって快適。今は内部にアルミ層などを入れて反射熱で暖める膝掛けや、巻きスカートのように腰にまきつけてたち歩けるものもあります。オフィスのひざかけといえば女性が使うものというイメージがあるが、この機会にぜひ男性も使ってみてほしいなぁ。
屋外で暖を取る時は「ハクキンカイロ」が頼りになります。本家ハクキンカイロはベンジンをゆっくりと中で燃やして金属ボディが温まるという仕組み。近年はライターで有名なZIPPOブランドのOEMモデル「ZIPPO ハンディウォーマー」もあり、こちらはZIPPOのオイルを入れて利用します。コンビニでも売っているオイルが使えるから手軽だし、たっぷりオイルを入れれば24時間は暖かく、ゴミも出ないというのがいいですね。金属ボディだけに火傷に注意は必要ですが、カバーをきちんと使っていれば心配ありません。

防寒の基本は分厚い服を1枚着るのではなく、薄い服の重ね着。吸汗性の高い肌着も使って暖まり過ぎて汗をかいた時の冷えも防ぐことが大切です。さらにレッグウォーマーで足首を、リストバンドで手首を温めるのも効果的。「今年は節電がんばらないと!」と思うのではなく、おしゃれな防寒グッズを早めにチェックしてみては?


デンキのない生活7年目山田 征
私は2012年10月3日朝、東京電力の人達によって電気を切られてしまいました。それ以来もうすぐ丸7年の間、全く電気を使えない生活をしています。
その理由は、その同じ年の4月から日本中のすべての電気利用者から徴収され始まった、固定価格買取制度、「太陽光発電促進付加金」というものを不払いしたことによります。
なぜ不払いしたかは紙面の余裕がありませんので、その後の電気無し生活について書きます。
よくきかれるのが、「何が一番困りますか?」という質問です。私は迷うことなく「照明です」、と答えます。電気の代わりの照明はローソクと懐中電灯、それから外の電柱についている外灯です。
懐中電灯は玄関とお勝手のまな板の上にぶら下げ、スポットライト状で使っています。これらを使い始めて気付いたのは、懐中電灯は向けた先だけ明るくて手前は暗いままです。でも探し物には無くてはなりません。ローソクはどんなに小さくてもその空間全体を照らしてくれます。食事の時や、寝室ではほとんどローソクだけです。ローソクは洋と和ローソクの二種類あってそれぞれ使い勝手がちがいます。
次にきかれるのが冷蔵庫や冷暖房についてです。冷蔵庫は気温が低い時は必要ありませんが、高くなってくる頃は保冷剤を入れたクーラーボックスを利用しています。保冷剤は一日一回娘の家で凍らした物と交換しています。
私の処はもともとエアコンも扇風機もありませんでしたので前と同じで、有りったけの窓を全開して風を入れています。それでも暑い時は、タオルをぬらして頭に乗せています。車もエアコン無しですから同じです。いまの家屋はまるで箱のように窓が小さいので大変だろうと思います。
暖房はもともと電気と関係無い灯油ストーブです。上で湯を沸かしたり煮物も出来ます。
そして電話です。私の家のは白ですが、一般的に「黒デンワ」といっているダイヤル式のものですから前と同じです。でも電気が無いと通じない、と思っている人が多く、電気無しになってからは掛かってくる量がガタンと減りました。
それからトイレですが、これも前から電気と関係無しのものです。炊飯器も同じです。昔から土鍋で炊いていました。
洗濯機ですが、小さい物は手洗です。大きい物は溜めておいて時々よそで洗濯機を使わせてもらいます。あとお風呂でしょうか。あいにく電気が無いと使えませんので、夏場は行水です。年をとってくると、そんなに汚れもしませんので、ひんぱんに出掛ける旅先で入ります。
それから私はパソコンも携帯電話もありませんので、それも困りません。
近年巻き起こっている、特に今回北海道全体での大停電。いったい何が起きたのかぜひ詳しく知りたい思いです。

やむを得ず電気を使わなくなってから丸7年、そういう生活の中で気付いたこと、見えてきたこと、考えたことほんとに沢山沢山あります。何はともあれ、他の動植物とちがって、人間は電気を使い過ぎています。その結果、必然的に滅びの道を歩んでいるのでは、と思います。

山田 征(やまだ せい)
1938年東京生まれ。6才より九州宮崎で育つ。24歳で結婚、以降は東京都武蔵野市在住。4人の娘たちの子育てと共に、農業と直接関わりながら共同購入グループ「かかしの会」を約20年主宰し、地元の学校給食に有機農産物他食材全般を約17年にわたり搬入。仲間と共にレストラン「みたか・たべもの村」をつくる。並行して反原発運動、沖縄県石垣島白保の空港問題他、さまざまな活動を経る。


『ご存知ですか?自然エネルギーのホントのこと』

山田 征:著
自費出版1200円+送料200円
自然エネルギーの裏に潜む深刻な問題にどれほどの人が気付いているでしょう。硫黄と反応すると危険物質に変化するとされるソーラーパネルに多く含まれる「鉛」と「銅」。大規模に自然を破壊し、そこに作られた風車やソーラーパネルは十数年後には粗大ゴミに。風力発電の風車は電気を使わなければ回らない…。脱原発の切り札とはならない自然エネルギー。発電設備の諸問題について分かりやすく書かれています。
※この本をご希望の方は、にらめっこに在庫あります。

 

 

これからの暮らしを「降りてゆく生き方」から考える
2009年に公開された映画「降りてゆく生き方」。それから9年。日本は、世界はどうかわってきたか。「デンキ」は私たちの生活を激変させました。「便利」を追求したその先には何が潜んでいるのか・・・私たちは改めてじっくり考える必要があります。生き方で暮らしは変わるし、暮らし方で環境は変わると思うから。

「人と出会うこと、それが映画作りの出発点でした」と言う監督の森田さんは、5年かけて日本全国を旅して200人の人々にインタビュー。作品中の台詞には、実際に出会った人々から発せられた言葉が多く使われているという。東京生まれ東京育ちの彼が、過疎地域、限界集落の地域で町づくりに奔走している人々から与えられた影響は計り知れない。その気づきが見る者の魂にずんと伝わってくる。
以下は、監督からのメッセージ(全文は129号に3ページにわたり掲載した文章)をコンパクトにまとめたものです。

「降りてゆく生き方」
戦後、世界中の人々は、科学の進歩こそ人類の明るい未来があると考えていた。そのハイライトは、世界中が熱狂した米国のアポロ計画による月面着陸だろう。当時の人々は「人類は月にも行くことができる!科学技術は、どんな問題も解決できる」と。まさに「昇っていく時代」の象徴といえる。

かつて人間は、他のあらゆる生物(熊、ジャガー、猿、鮭、森の木々など)と、対照的・同列的な存在であり、敬い、畏怖していた。しかし、人類は生物圏から分化し人間圏を生み出した。そのころ、地球が寒冷化して狩猟採集による生活維持がままならなくなったため「農耕牧畜」に舵を切る。そうして人間は、地球上のエネルギーや物質の流れに影響を与える存在になった。だが、しばらくの間は、その影響はさほど大きくはなかった。これが劇的に変化するのは、17世紀に世界を襲った寒冷期による食物の不作がきっかけで18世紀に始まった「産業革命」以降。地球が冷えるとき、人間圏は変化している。産業革命により、人間の生産量は飛躍的に伸び、史上初めて、余剰生産物が発生する・・・。ここから、余剰生産物の流通が始まり、「貨幣経済」が本格化していく。資本主義の萌芽である。

人間は産業革命によって、石炭・石油といった「駆動力」を持つことで地球に与える影響力は飛躍的に大きくなった。産業革命は、人間と地球との関係を一変させ、貨幣経済を発展させるきっかけともなった。資本主義の発展は、それまで生きることが精いっぱいだった人間が、抑圧していた「欲望」を解放する。そして「欲望」は「所有欲」「消費欲」へと向かっていった。さらに「貨幣制度」が人間の「欲望の解放」をさらに促した。「貨幣」の価値がぐんと上がることになり「マネー」は「手段」から「目的」へと変化し、資本主義がめざましい発展を遂げた。

一方で、科学や技術の発展は、人口増加を招く。日本では江戸時代に3000万人だった人口が、今はその4倍以上。近代の主役である国民国家は、いわば「領土」や「国民」を「所有」する存在となる。国民国家の台頭により、「領土は国家が所有するもの」となった。これが「地球は人類が所有するもの」という現代の人間の考え方の出発点といってよい。

日本では、明治以降、官僚が国家の経済をリードするようになる。日本は、第二次大戦で敗北した。しかしその反動か、敬愛的・物質的豊かさこそが幸福であると国民の誰もが信じ「右肩上がりの経済成長神話」を共有し、一体となって働いた。戦後の新憲法は、「福祉国家」を謳い、国民は「いざとなれば国や行政が何とかしてくれる」という幻想を抱くようになる。しかし、官僚主導の護送船団方式は、バブル崩壊によってもろくも崩れ「安定的なシステム」であった日本というものが終わりを告げた。

地球において人間圏が膨張する中、地球温暖化や環境汚染や食糧問題が発生している。中国など新興国の工業化により、食料が今後確実に不足してくると言われている。食料と水は、人間が生きていく基礎をなす。

これまで日本人は、「物質的に豊になれば幸福になれる」という、カネやモノをより多く得ることを欲求の対象として生きてきた。これは、「足していく」ことに価値を見いだす「足し算の生き方」といえる。しかし、多く持ちすぎることで、何が大切か分からなくなっている。これからは何を得るかではなく、何を手放すか。いらないもの、無駄なものをどんどんと「引いていき」、本当に大事なモノを見すえるという「引き算の生き方」こそが、現代の日本人にとって大事である。われわれは今、経済成長がピークを迎えて下り坂となる「降りてゆく」時代に生きているのである。

かつての人間は、森には神の力が宿っていると畏敬の念を抱いていた。それによって、森は開発から逃れ、生命を育む力を持ち続けていた。だから日本人は、長らく森を大切にしていたのである。自然との一体感のある農耕漁労生活こそ、日本人が立ち戻るべき生き方であり、奥山や、棚田をはじめとする、里山を再生していくことが、私たちの急務ではないだろうか。森を造ることは、人間と自然の一体性を体感させ、取り戻させてくれる。

「生きていく喜び」を感じるような生き方をしたい。そのために、「自然」や「動物」や「人間」と一体化するための「祭り」というものの意義をもう一度、縄文人や先住民たちに学びたい。そのスピリットを再現した現代の「祭」を創り上げ、自他が一体となる「場」を創造することが大切である。それには「夢」を語ること。他者の情動を引き起こし、新しいイメージを生み出す。そうやって、夢が共有され、刺激し合って、大きな夢をつくっていくことが大事なのだ。そうすることで、人々はつながり、新しい「コミュニティー」が生まれるのではないだろうか。その「新しいコミュニティー」の第一関心事はこれまでのように「お金」ではなく、「生命の躍動感」になっていくだろう。

イラスト・にらめっこ147号表紙 ライフデザインノート「ゼロの昇天」の表紙にも使わせていただいたお気に入りのイラスト。
映画「降りてゆく生き方」のイメージにもピッタリ!。


vol.186 カタコトの部屋 お塩のはなし


お塩のお話会【好塩快】
講師/ご塩社 社長 笹谷達朗さん
8月下旬、古民家再生工房(羽島市)参加者:学生~お母さん15人

 

 


「どんなお塩を選んだらいいですか?」
「岩塩」がとれる欧米は、岩塩に含まれたミネラルを多く含んだ硬水が土壌にもいきわたり、ミネラル豊富な土壌となっています。その土壌で育った植物にはミネラルが豊富に含まれ、その植物を食べた草食動物(家畜の肉)にも当然、ミネラルが多く含まれています。
日本の水はミネラル分が少ない軟水です。土壌も火成岩で、育つ植物はそれなりのミネラルしか含みません。だから、日本人は昔からミネラルの宝庫である海からの「海塩」を摂り続けてきました。
塩という物質は、身体に入って、直接、細胞に作用するモノですから、お塩の製造方法・工程が大切で重要なポイントとなります。海には多くのミネラルが溶け込んでいます。しかし、旧日本専売公社が販売していた「食塩」は、イオン交換膜法でつくった塩化ナトリウムが99%以上の過精製イオン塩。海水に含まれているミネラル等を取り除いた「ミネラル欠乏塩」なのです。どの塩が身体に良いか、それはご自身で試してみて実感するのが一番確かですね。


「健康のために減塩、とよく聞きますが?」
健康の第一条件は、血液の塩分濃度を0.9%にすることです。自分の血液が塩分濃度0.9%かどうかは体が判断してくれます。塩っけが足りていると塩がいらなくなる。舌が判断するので私は「ベロメーター」とよんでいます。実際に塩をなめてみてください。何十グラムもなめられないはず、もういらない!となります。または、いつもより塩辛い味付けの料理を続けてみてください。だんだんと塩辛い料理を受け付けなくなります。もしも塩分を取り過ぎても吐くだけ。吐くことは悪いことではなくて、もう十分であることの知らせです。塩の摂取量は頭で考えなくても体が知っているんです。
腎臓では1日に200リットルの体液、血液を濾過しているそうです。塩に換算すると25kg相当を濾過し、そこからまた99%の塩を再吸収します。その時に、減塩で塩分濃度が低いと、腎臓は濾過処理の回数を増やさなければ必要な塩分を吸収できません。結果、腎臓をこき使い過ぎ、腎臓に負担がかかります。腎臓が弱まり機能しなくなると様々な病気に繋がります。

笹谷 達朗さん

おねしょの予防は、水分を摂りすぎているなら夕飯をいつもより塩辛くしてみたらどうでしょう。塩分を排出するために尿が出るので、眠る前に不要な水分を出し切れるかな?
※精製塩では逆効果です

漬物や梅干しは使う塩によって、ずいぶん味が変わります。漬物に精製塩を使うと、塩そのものにミネラルの成分が少ないため、素材のミネラル分が漬汁のほうに溶け出てしまいます。そのため、風味はよくありません。天日海塩で漬けると、塩のミネラル成分を摂れるだけでなく、味もよくなります。

女性は子宮の上に腸があり、水分や砂糖の摂りすぎると腸が冷え、下にある子宮まで冷えてしまいます。塩を摂ることで水分が抜け、冷えを予防できます。塩分濃度が0.9%に近づくと、水分が出て体温が上がるんです。

 

 

 


●日本には昔からお塩を大切にしてきた文化があり、『いい塩梅』『手塩にかける』など塩から生まれた言葉も沢山あったことを知りました。昔ながらの日本の風土や暮らしが、健康のキーワードだと聞いて、納得しました!(Rさん)
●減塩をすることが必ずしも良いということではないんだと知り、塩分摂取について改めて考えさせられる良い機会になりました。(Mさん)
●妊活中の体質改善にも塩にかなり助けられたので、塩にはすごく興味ありました。塩などからミネラルを摂って、”出せる体、循環のいい体”に戻していくこと、コレ、ホント大事だなーと感じました。(Cさん)
●おねしょの予防法や、子宮を冷やさない方法がお塩を使ってできるとは、目からうろこでした!すぐ実践して、体の声を聞いてみたいです。(Aさん)
●自分の体にコンプレックスがあったけど、笹谷社長とお話していたら、そのままの自分をまるっと認めてOK、大丈夫、むしろこのままの方がいい、と包まれたような気持ちになりました。楽しく健康になれそうです。(Sさん)

 

 

この車で全国をまわってます

笹谷 達朗さんプロフィール
北海道夕張市出身 。大学を出て食肉の日本一の会社で輸入実務を担当、畜産業界がどういう業界かを知る。25年ほど前に、お塩の大切さとお塩の裏事情を知り、生業とし、塩屋になる。2006年、夕張市の財政破綻が、きっかけで、夕張市にご塩社を移す。夕張で政治を勉強。2011年大震災をきっかけに、「お塩の大切さを伝える」塩屋となる。2014年より、軽トラックで、「全国塩脚」をして、お塩のお話を700回以上こなす。

 

子育てコミュニティ toco toco
子育て世代のやってみたい、知りたい、学びたいことを、自ら企画・運営。誰かが講師、受講者という立場のない、一人一人が活躍する「学び合い会」を中心に、顔と顔を合わせて集う良さを生かした活動を展開中。
問い合わせ:facebook「子育てコミュニティtoco toco」


vol.186 ここいく日記 自分を守る

自分を守る
私が「ここいく」の仲間となり授業に参加するようになり6ヶ月たちます。授業では、まだ伝えることに必死ですが、「ここいく」のメンバーは、まずはきよちゃん(私のことです)が楽しんで!と言ってくれます。そして、毎回子どもたちからたくさんのパワーをもらうこともできます。それが幸せな時間につながるのかなと思っています。
それまで、頑張らなきゃ認めてもらえない!と突っ走ってきた私に、「ここいく」の仲間は、無理をしなくていいんだよ、ありのままでいいよ、と温かく受け容れてくれました。優しい気持ちをたくさんもらうと、自分も優しい気持ちになれます。そうすると、自分のことも、みんなのことも大切にしたいな・・・と思えるようになりました。
そんな思いもあり、授業では「自分を大切にすることは自分を守ること」を大切に伝えています。

自分を守るためには、まず自分の体を知る、相手(異性)の体を知ることが大切です。授業では、男の子・女の子の体の仕組みや成長について、絵や模型を使ったり、または劇や紙芝居などで表現します。
感動体験が心を動かし、子どもたちはちょっとずつ声を出して応えだし、テンションも上がり、楽しい雰囲気になります。
小学生の高学年では精通や初潮について、いのちのもとを作ることができる大人の体になることの素晴らしさ、個人差があること、どう対応したらよいか、どんな注意がいるのかについてもお話しています。また、悩んでいても、なかなか人に聞きにくい勃起や生理痛などの話もします。体の仕組みを知ることで、感想文の中には、「自分は異常ではなかったんだ」、「誰でも起こるかもしれないんだ」、「個人差が大きいんだ」との意見も聞かれ、ちょっとホッとした気持ちが伝わってきます。知ることで、自分の体の成長を嬉しく思うことにつながってほしいな・・・と思っています。そして、お互いの体を知ることは、からかったり、不用意に指摘することも避けることができ、相手を思いやる心が生まれます。このように、自分の体、相手の体のことを知ることは自分と相手を尊重し、自分も相手も守ることの第一歩であると思っています。
子どもが狙われる性犯罪が多い中で、『プライベートゾーン』のお話をしています。プライベートゾーンとは「他人に見せたり触らせたりしてはいけない体の部位。自分だけの体の場所」なので、自分の体、プライベートゾーンは大切に守るべき場所であることを伝えます。
たとえお友だち同士であっても、そこに性的な意味がなくてもプライベートゾーンは触らせない、触ってはいけない場所だと話すことで、それが自分でも守るべき場所であることを自覚することにつながります。また、プライベートゾーンが大切な場所と知らせることに合わせて、きれいに保つ場所なんだということもお話をしています。
「もし、誰かが、プライベートゾーンを見せてって言ったり、見てって言ってきたらどうする?」と問いかけると、逃げる!助ってっていう!お母さんやお父さんに言う!と、大きな声で答えてくれる子どもたち。もし、思いつかなくても、お友だちの意見を聞くことで子どもたちはどうしたらよいかを学んでいます。自分を大切にするために、小さな勇気を持てるようになってほしいなと思っています。
プライベートゾーンについて、小さい頃は「大切な場所だよ」と伝えることで十分ですが、成長と共に望まない妊娠を避けること、性感染症の予防にもつながること、結果的に自分も相手も守ることを伝えます。
自分を守るための性教育だけではなく、幸せに生きるための性教育を届けています。

担当:ここいくメンバー・安田紀代子でした。
ここいく☎090-3446-8061(中村)


vol.186 リバース 第16号

 ヤマセミはブッポウソウ目カワセミ科に分類される山地の渓流に生息するカワセミの仲間。動物写真家には一度は狙いたい被写体である。人の気配は2〜300メートルで察知され撮影には難儀をする。20数年前は岐南町の造園会社に勤めていた。板取からは往復100キロの道程を16 年間通勤したお陰でヤマセミにも出会えた。というのは、今はなくなったが板取と洞戸境近辺に吊り橋があり一羽のヤマセミが居たのだ。吊り橋の太いワイヤーがいつもの場所の様だ。下は透明度が良い板取川が流れる。チャンス到来!毛布に穴を開けカモフラージュして橋の橋台に身をかがめ早朝何度も狙った覚えがある。
6月頃のある日、今度はなんと2羽のヤマセミ!解像度はイマイチのミラーレンズだが、くちばしが黄色の巣立ちから間がない幼鳥だと確認できた。レンズ越しには寂しそうに見えた。切り立った土の崖に横穴を開け巣を作る。近年セメントが吹き付けられ巣作り環境が狭められているのが心配だ。   撮影・文:長屋 泰郎

松岡さんは、劇団はぐるまの元団員。劇団員の時は自分の声に劣等感を抱いていたとか。柔らかくて耳にここちいい声が、実は自分のやりたい役にはそぐわなかった。その声ゆえに「娘役が多くて・・・本当はね、荒くれだったおばあさんの役とか、土臭い人物を演じたかったの」と笑う。その笑顔がまた魅力的な頼詩子さんは詩人の顔もあわせもつ。

取材には松岡さんが所属する、朗読グループ「あきの会」のメンバー、高橋明子さん、外山澤子さん、堀口博子さんの3人と講師の浅井彰子さんが駆けつけてくださった。みなさん長いお付き合いの仲間たちで「講師の浅井彰子さんの指導力とその人柄に惚れ込んで」、と口をそろえる。本紙3周年でお世話になった実践童話の会の浅野彬さんの志を次いで全国大会にも参加された高橋さん、コボたちの詩集を編んで44年という外山さん、お孫さんの世話にかかりっきりでも、そのおかげで自分の世界が広がったとおっしゃる堀口さん。それぞれの人生を「朗読」を通じて共有しているよう。さっそく、朗読の練習風景を見学させていただいた。
まず発声練習。「明るい声で、口角をあげてにこっとね、はいどうぞ!」の合図で始まっったのは、浅井さんのオリジナル「笑み声体操」。ウォーミングアップしてから、作品を朗読。

「川の声」
「伊自良川の石にすわると」
いろんな音が降ってくる・・・
みんなの顔が程よく緊張し声にもハリが出る。目を閉じて聴いてみる。水の音、鳥の鳴き声、木々のざわめき、などが折り重なるように川の情景として浮かんできた。何やら美しい旋律の音も聴こえてくるようだった。
「自然界の音は、いろんなタイミングできこえてきたり、降ってきたりします。そこには規則性なんてないわけだから、みんなが口々に言っていくことが、ここは詩的かなって思う。」と、浅井さん。次は「さそりざのおんな」。そして「ふしぎなビー玉の世界」と続く。どの作品も、コボたち詩コンクールの入賞作品だ。声の抑揚や声色でいろんな情景が浮かぶ。
 こんなに楽しそうな練習風景に身を置いていると、つい声を出したくなる。だけど腹から声を出す、というものの素人ではなかなか難しい。すると松岡さんは、「孫たちを怒鳴っていれば、声は出ますので。」(笑)ユーモアたっぷりでその場が和む。
「松岡さんの声は、文学に対する愛情そのもの、本当に暖かくてやさしいの。お人柄そのものが現れている。」と3人が口を揃える。すると、「わたしなんか、お腹は出てるけど、声は出ないんだよ」(一同笑)突っ込みが入る。なんとも楽しい雰囲気で笑いが絶えない。
「実践童話の会の浅野彬先生(故人)の話術は、本当に素晴らしくてなかなか真似は出来ないです。いつだったか先生のお宅におじゃました時に先生の本棚を見せていただいたんです。落語とか、私たちが普段手に取らないような本がね、いっぱいあったの。こういうところからヒントを得て、先生は実践されているんだなって感心して帰って来たんです。」という松岡さんたちは図書館でも朗読をしている。そこではゼロ歳の子もお母さんに抱っこされて聞く。最初は「えーっ!ゼロ歳に絵本を読める?」という危惧感があったが、お母さんが一生懸命に聞いてくれて、赤ちゃんも絵を見ながらジッと聞いてることに驚いた。朗読をしている喜びは、そういうシーンをみられることなのだろう。反対に朗読のむずかしさも痛感している。常に、どんなふうに読むか、そのための練習は欠かせない。
「自分が、そのものごとをどうとらえているか、というのが声に出ます。その本の人物とかものごとと、自分との距離感も声に出るので、ほどよい距離感を持って朗読することが大事。」と講師の浅井さんの言葉を常に意識しながら取り組んでいる。
「『あきの会』の名は、講師の彰子さんからつけさせてもらったの。平和のつどいの群読で知り合って、あこがれちゃってね」とお茶目に笑う松岡さんは永遠の娘役が似合いそう。会は発足して今年で10年目となる。現在会員は11名。今年7月には「『はじめまして』のおはなし会」で浅井さんと共に朗読を楽しむ6グループの発表会が、みんなの森 ぎふメディアコスモスでおこなわれ、『蜘蛛の糸』(芥川龍之介)「サーカス」(中原中也)を朗読した。
松岡さんは今後も練習を積み、朗読の場を重ねていく。作品とほどよい距離感を持って楽しみながら・・・


vol.186 ボーダーレス社会をめざして vol.45

お金
障がいのある人たちは、社会でどのように暮らしているのでしょうか?小学校・中学校・高等学校は一般の方と同じです。が、人によって普通学級・特別支援学級・特別支援学校と学ぶ場所が違ってきます。その後社会に出る時には、一般就労・福祉就労の2つに別れます。一般就労とは企業や公的機関などに就職して、労働契約を結んで働くことです。一方、福祉就労とは、一般就労のような働き方が難しい方で、福祉サービス事業所等で働く形態をいいます。社会に出てから暮らしていくためには、お金が必要となります。障がいのある方たちがどのような状況に置かれているのかご存知でしょうか?障がいのある方は、収入がとても少ないのです。福祉就労している障がい者の収入源としては、福祉サービス事業所の給料と障害基礎年金があります。

平成28年度の福祉サービス事業所の工賃(なぜか給料の事を工賃と言います)の全国平均は、ひと月あたりA型事業所が70,720円、B型事業所が15,295円です(厚労省ホームページより)。A型事業所は、利用者と雇用契約を結んでいて最低賃金が出ます。B型事業所は比較的軽作業が多く、ひと月3,000円の事業所もあります。私の知り合いに障がい者の収入の話をしていた時に、「一日3,000円なの?」「いいえ、ひと月で3,000円なんですよ」とお話したことがあります。一般の方の想像をはるかにこえた金額なのです。それで今は賃金アップの対策が取られています。一般就労は、最低賃金以上支払われているのが普通ですが、最低賃金適用除外という制度があります。最低賃金を一律に適用してしまうと、逆に雇用の機会が狭まってしまうケースなど一般労働者よりも著しく労働能力が低い場合は、都道府県労働局長が認めたら、最低賃金以下になります。息子は最初の会社は、1時間250円くらいでした。最低賃金適用除外の申請が出されていたようです?幸いにも、現在の息子の会社は、理解ある良い会社で息子が幸せだなと思います。また、障害基礎年金と言うものがあり、ひと月1級81,177円、2級64,941円という年金が頂けます。これは自己申請なので申請しない限りはいただけません。一人で暮らしていくために必要な金額は、平均で163,665円(総務省単身世帯データより)というデータがあり、事業所の収入と障害基礎年金を合わせても地域で暮らしていくのには、たくさんのお金が不足になります。さて、どうすればいいのか?考えなくてはいけません。大きな大きな課題です。


vol.186 えんぴつ・カフェ

えんぴつ・カフェスペシャル第2弾
「成年後見制度ってなぁに?」
9月20日(木) 各務原市産業文化センター第4会議室にて


参加者の感想

・実際の事例説明でしたので、とてもわかりやすかったです。後見人の方と多職種連携は大切です。地域ケア会議(ネットワーク会議)にも参加していただけるといいと思いました。ありがとうございました。
・ 成年後見人制度は、財産保全に有効なことがわかりました。諸事情のある方にメリット、デメリットもありますが、必要な制度だと思います。これからは財産の金額により対応を変えていく制度がいるのではないかと思います。
・主人の両親が認知症が進んでいます。初めて成年後見人制度のことをしっかり聞くことができました。主人としっかり相談したいと思います。司法書士というお仕事も身近に感じることができました。

こんなおしゃべりを通じて、自分の考えを調整したり、確認したりするのが“えんぴつ・カフェ”です。みなさまの参加を、お持ちしております。

次回のえんぴつ・カフェスペシャル企画 第3弾
「住み慣れた街で最期まで過ごすために」
講師:木田盛夫氏
(木田ファミリークリニック院長)
終末期医療について、実情を検証しながら、在宅のメリット、デメリットを学びます。
と き:11月18日(日)13:30-15:30
ところ:産業文化センター2階第3会議室
会費1,000円
(講師の基調講演後、紅茶&お菓子を楽しみながら、質問タイムで情報交流をします)
※当日は航空際と重なっていますので、周辺道路と駐車場が大変混雑します。できるだけ公共機関でのご参加をお願いします。(ご希望の方は、にらめっこ事務所から送迎いたします。)

えんぴつ・カフェ 開催日程
会場:各務原産業文化センター2F会議室
時間:13:30−15:30
(2019年1月からの会場は予約でき次第お知らせいたします)
2019年 1月19日(土) スペシャル第4弾「在宅の現場から」
講師:入学佳宏氏(ケアマネージャー)
ケアマネージャーから在宅の現場の声を聞き、介護や看護のあり方を考えます。
2月20日(水) おしゃべりしながらノートに書き込む
3月20日(水) スペシャル第5弾「どうお別れしますか?」
講師:市川雅清氏(一級葬祭ディレクター&終活アドバイザー)
えんぴつ・カフェで常に話題になる葬儀やお墓の問題それぞれの土地柄や実情などを含 め情報交換します。

えんぴつカフェの問い合わせは
NPO「人生これから!」
田辺 090-5638-7044 三上 090-7854-4561


vol.186 ホスピスナース奮戦記 vol.11


人の終末期に思うこと
病棟勤務のとき、受け持ちの患者さんをみていて、「あぁ、ホスピスケアか緩和ケアに切り替えて自宅に帰れたらいいのに」と思うことがよくあった。穏やかでより自然な最期を迎えられるだろうなと思ってしまうから。でも、いろんな事情で在宅のホスピスケアが受けられない人もたくさんいる。ホスピスケアや在宅での緩和ケアのことをよく知らない人、在宅でのサポートをしてくれる家族がいない人、家族がいてもサポートができない場合、病院や施設の方が安心する人、家族に迷惑かけたくないという人、家族との意見が合わない人など実に様々。自己決定能力のない人、アメリカでは保険の有無でホスピスが受けられない場合もある。
これは仲間の看護師が勤務する病棟での出来事。その日彼女は94歳のアルツハイマーの患者さんを受け持っていた。感染症で入院して危うく敗血症で命を失いかけたものの一命は取り止めたが、いくつかの臓器の機能低下が著しくて、予後もあまり良さそうではなかった。食事はほとんど自力では取れないし、口元に運んでもほとんど口を開けようとしなかった。それでも、その患者さんがまとう雰囲気というか、なんとなく発している空気感が、とても穏やかだったそう。
このまま一般の病棟にいる以上、毎日の採血でいろんな数値に対応するだけになって治療というよりは、毎日上下する数値を許容範囲に戻すためだけの薬や点滴を続けるだけ。食事もとれていないから、家族が一般的な治療を望めば、鼻からチューブを胃に入れる経管栄養とか、心臓に直接つながる大きな静脈にカテーテルを入れて栄養を点滴でいれるとか、胃瘻とか・・・になる。もし意識低下や心肺停止が起こったときには、気管挿管して人工呼吸器につないだり、心臓マッサージをして心臓をふたたび動かすための薬を大量に投与したり・・・になる。一般的な治療を続けた場合、いろんなものが数値化されて可視化される。異常が数字や映像で認められた以上、それに対応することになる。たとえそれが患者さんに苦痛を与えることになってもだ。患者さんが穏やかに過ごせる状態につながらないとわかっていてもだ。そのため、主治医は早い時点で、緩和ケアへの切り替えを提案した。このままゆっくりと衰弱していくのは予想できたし、安定している間に家族のいる自宅に帰り、できるだけ穏やかに毎日を過ごせたほうが患者さんにはベストだろうということだった。どう死を迎えるかは、その瞬間までをどう過ごすか、どう生きるか、本当にそれに尽きる。
 患者さんはアルツハイマーの症状に加え、現時点では意思疎通も難しいため自己決定能力がないと判断され、主治医は家族にDNR(do not resuscitate: 蘇生措置拒否)の話し合いを持ちかけた。それと同時に在宅でのホスピスケアへの切り替えも提案した。でも、家族は渋った。理由は宗教上の理由だった。どんな状態であろうと今できる医療行為は全部すると言った。もちろんDNRのサインも拒否した。ホスピスではく病院内の緩和ケア病棟への移行も拒否したため、日をあらためもう一度話し合いをすることになった。まさにその夕方。患者さんの容態が急変して、なんと心肺停止状態になったのだ。その日は私の仲間が担当看護師だった。彼女は、脈が無い事と呼吸をしていない事を確認して心肺蘇生を始めた。やせ細った胸を何度も押す、何度か骨の折れる感覚がしたそう。チームが駆けつけて心臓マッサージを交代し、あらためて目の前の患者さんをみつめた時、正直、「お願い、もう一度こっちに帰ってきて!」ではなく、「こんなに痛い思いをさせてごめんなさい」と思ったそうだ。これで再び心臓が動いても、この94歳のかわいいおばあちゃんは、しばらく胸骨か肋骨かが折れたままいろんな管につながれて人工呼吸器で息をすることになる。患者さんはどんな風に感じていたのだろう。家族はそんな姿のおばあちゃんをみて、どんなふうに思ったのだろう。この患者さん、なんとこのあと一命をとりとめて、ICUで治療が続けられた。数日後、残念ながら人工呼吸器につながれたまま意識のない状態となってしまい、それから数日後に、ICUで亡くなった。
前にどこかで、「肉体の死を迎え魂が体を離れる瞬間を現代の医療が邪魔することがある」と聞いたことがある。もしかしたら、この患者さんは死を迎えるタイミングに、うまく魂と体が離れられなかったのでは・・・と思ってしまった。それとも、心臓が再び動いてICUにいた数日間に、家族に伝えたいことを身をもって伝えたのだろうか。もちろんこの患者さんにとっては、これが最良だったのかもしれないし計画通りだったのかもしれない。それぞれのストーリー、それぞれの死。自分にとって何が自然かは、人それぞれ。結局は、自分の心と体と魂の全部が納得する生き方が、不必要な苦しみや矛盾のないその人らしい死に方につながるのかなぁと考えている。

わかばま〜く:プロフィール 1982年生まれ。ニューヨーク州立大学卒業後、ニューヨーク市立病院に看護師として4年勤務。現在は訪問看護師としてホスピスケアに携わっている。岐阜県各務原市出身。


vol.186 ぎむきょーるーむ 続・先生にこんな「ひとこと」を言われたら 


「やることが遅いです」

学校では「遅い」ということが致命的だと思われている。
学校で「遅い」といわれる子どもたちには、じつはそれぞれにそれなりの事情があるものだ。だが、教員が「早くしなさい」というときには必ず「集団で動いているのだから」という理由がつく。
例をあげよう。ボクは給食の時に時間をある程度決めている。その時刻が来たら、「はい、かたづけて」ということになる。だいたい25分間くらいだろうか。こうしたときに、もっとゆっくり食べたいと言う子がいても不思議ではないと思っている。
でも、じゃぁ、「自由に食べていなさいね」とはいえない。なぜなら、いつまでも食べていると、食器や残り物のあとかたづけが一度にできなくなって、ほかの子どもたちにおおいに負担になるからだ。遅れた子のあとかたづけを、二度も係りの子がやることになってしまう。これは家庭でも同じだと思う。
じつはこうした「遅いー早い」というのも社会的な価値観のものさしでしかないのだから、結局は比較に過ぎない。親や教員は、早さだけでは世の中は渡れないということを十分に承知しているはずだ。ならば遅いといわれる子どもが、結果はともかく、それなりの充実感をもっていろいろな活動をしていることに気づかないで、ただダメダメ光線ばかりを出すのはまずい。それは結局、子どもたちの意欲を削ぎ、適当にやってかたづけておけばいいということを習慣化してしまう。

「自己中心的ですね」
そもそも「自己中心的」とはなにか?よい意味でいわれる「自己主張の能力」とどうちがうのか?
静かに黙っていると「きみはおとなしいが、自分をもっと出さなきゃいけないよ」などといわれる。ところが、ちょっと(人によってその程度にちがいはあるが)「自己主張」しようものなら、とたんに「自分勝手」「わがまま」と非難される。こういうあいまいで似たようないい方は、子育てや学校教育の現場ではよく使われる。しかも、それらの言葉は、その中身を吟味されることなく、発せられたとたんに、子どもや親に突き刺さるのだ。だから、「自己中」といういい方で非難されたら、「じゃあ、自分の考えはどうやって表現するんですか?」と聞けばいい。つまり、なぜ自己中に見えるかといえば、相手や周囲とのちがい・異質さがあるからだ。ちがいがあるからこそ社会が成り立つ。「自己中といわれるくらいの表現や行動でなきゃ、個性とはいえないよ!」くらいはいっていいのだ(笑)。
教員がこどもを自己中心的と非難するときは、自分のいうことを聞いてくれない、とくに「素直に聞いてくれない」ということから、むっとして口から出ることが多い。
授業中に先生の配布したプリントを前からうしろにまわすとき、自分のぶんだけ取って、あとは知らんぷりという子どももいる。しかし、それは自己中心的というよりは、視野が狭く、自分しか見えていないということであり、他人との生活のしかたを知らないのである。だから、しつけや生活のかけひきのなかで学ぶことだ。どちらかというと、生活の技術のような内容でさえある。
「あいつは自分のことしか考えていない」といわれても、やらねばならぬときがある。
リスクまで考えて自己中心的であるかどうかが問題なのだ。格調の高い自己中心的態度は自律のきわみであり、「教育の目的」でもある。

「ヘンな友だちとはつきあうな」
昔から「朱に交われば赤くなる」とか「類は友を呼ぶ」ということがいわれ、親が友だちをきちんと選んだり、監視していないと、自分の子どもがよくならないといわれてきた。
親としては、事件を未然に防ぐために、誰と友だちになっているか?その友だちは「いい子」かどうかが気になる。まして、教員から「あの子と遊ばせるのは注意したほうがいいですよ」などといわれれば、そうとう気になる。
教員に「不良と遊ぶと不良になる」とか「あいつとつきあうとロクなことはない」といわれても、あわててはいけない。もちろん、そういう場合がまったくないとは思わない。しかし、その「見解」が予断と偏見の産物であることはよくあるし、その「ロクでもない子」が、じつは遊ぶことがうまく、集団を仕切ることもうまく、いっしょにいると「あぶないがスリルがある」ということを子どもたちが知っているから「追従し交わる」場合もあるのだということも知るべきだ。
また、たとえ「朱」だとしても、観る角度や価値観によっては、その「朱」が個性として、その子なりのおもしろい展開をしていることもある(いまどきの大人は、「最近の子どもはたくましさがない」というが、ほんとうはそのたくましさとは、ときには「悪いこともやってしまう」ようなことまでふくんでいるはずだ)。
ちょっと「マズイ奴」とつきあっているわが子を見つけたら、ドキドキしながらも、いい勉強をしているくらいに思った方がいい。親のお金を黙ってぬいたりさせるような「悪い奴」ならカミナリを落とせばいい。それだけのことだ。
他人様の子どもをしかるのは勇気がいるし、めんどうだ。教員も親も、そうしたリスクを避けんがために、「楽な友だち」を子どもの周囲におきたいのだろう。そんな気持ちはわからないでもないが、それって、純粋培養に似て、いざというときにとても弱く、親も右往左往することになるのではないだろうか。

「もっとお子さんとかかわってあげてください」
どんな「提言」も頭から無視するのはよくないのだが、この「もっとかかわりあって」というのは、はなはだあいまいでありながら、親にとってけっこう痛いところをつかれていて、笑ってすますことができない場合がある。
結論的にいえば、「かかわりあう」ということが、あまりにわざとらしく教育的になってしまうところに問題があるとボクは考えている。
小学生になれば、世話をする内容も複雑になるだろう。しかし、どんなに複雑になっても、食べさせること、服を洗い着せること、安眠させることは、相手がモノではない以上、こころ配りせざるをえないだろうし、当然いろいろと苦労する。そうしためんどうな生活そのものが、「かかわっている証拠」なのではないか?子どもといっしょに夕飯を作るなんていう「上等」のかかわりもあっていいが、実際にはそんなチャンスは少ない。
めんどうなコトをできるだけ避けて子どもを育てたいという気分は十分わかるが、一方でめんどうでややこしいコトが子どもをめぐって起きれば、そのときこそが「かかわる」チャンスであると思えばいい。
多くの教員が「もっとかかわってあげてください」というような状況があったとしても、ボクはいわないなあ。だって、そんなことをいったら「先生こそ、学校でもっとうちの子にかかわってやってくださいよ」といわれ、悩みをひとつ増やすことにもなる。
最近の「幼児・児童虐待」といわれるものも、けっして親としての愛情がないというたぐいのモノではないのではないか?自分の思いどおりにならない身近な存在を、許すことができるかできないかという問題なのではないか、と思うのだが。
とりあえず、ひとつ屋根の下で存在しつづけることで、まずよしとすべきなのだ。いっしょに暮らすこと、それ自体がかかわりの第一歩なのだ。


vol.186 半農半Xという生き方 vol.27

地域資源が増えるまち
僕が住む中学校区に信号がいくつあるか、数えてみたら、3つでした。すこし前まではわが家から最寄りのJR綾部駅まで、信号ゼロで行けたものです。そんな信号3つのわが豊里地区ですが、なんとすてきなパン屋さん「5miche(サンクミッシュ)」が、誕生しました。神戸でパン屋さんをされていた夫妻がUターンして開業されたのです。お店はすぐに人気店に!お客さんも絶えません。綾部だけではありませんが、街中も農村部も店がどんどんなくなる時代に新しい店ができるってすごいことだと思うのです。地方創生 が叫ばれるいま、すべきことは地域資源(地域の宝)を再発見し、それを磨くことといわれます。最近、こんなことに気づきました。地域資源がなくならないまち、地域の宝がゆっくりとさらにいいものになるよう育まれるまち、そして、新たに宝物が生まれるまちが大事だと。みなさんのまちに、最近、何か新しい地域資源が加わっていたらすばらしいです。大事に支えてあげてくださいね。

「修行」
10年勤めた会社を卒業し、京都市から故郷・綾部にUターンしたのは、1999年(平成11)のことでした。早いもので来年1月末で、まる20年となります。当時、私たち夫妻は33歳、子どもは1歳。いま、娘は大学3年生となりました。先哲のことばに「場所が決まれば、修行が始まる」というのがあります。たしかに綾部という場所に戻ると決めたことで、新しい修行が始まったと実感しています。それまでの京都時代とは違う深い日々であったように思うのです。歌手・加藤登紀子さんと獄中結婚をされたことでも有名な故藤本敏夫さんは『青年帰農』(農文協、増刊現代農業)という本のなかで、「ポジションが決まれば、ミッションがわかる」というメッセージを遺されました。1999年は母校の小学校が閉校となった年でした。そんなタイミングに帰ってきて、縁あって、あるポジション(場所、置かれる部分、立ち位置)を与えられました。それによって、私は都市農村交流や定住促進、情報発信、全国に綾部ファンを増やすことがミッションとなったのです。いくつになっても、歳月を経ても、まだまだ未熟者ですが、綾部での修行を今後も励んでまいります。

塩見直紀(しおみなおき)半農半X研究所代表
1965年、京都府綾部市生まれ。20年前から「半農半X(エックス=天職)」コンセプトを提唱。半農半X本は翻訳されて、台湾、中国、韓国にもひろがる。著書に『半農半Xという生き方 実践編』など。

※半農半Xとは・・・半農は環境問題、半Xは天職問題(どう生きるか)を背景と する。持続可能な農のある小さな暮らしをベースに、天与の才を社会に活かす生き方、暮らし方。ex.半農半漁、半農半大工、半農半看護師、半農半カフェ、 半農半絵描き、半農半歌手、半農半鍼灸師、半農半カメラマンなどなど。


vol.186 菌ちゃん野菜応援団 vol.7

今年の夏は暑かった!!


あまりの暑さに我が家の庭からは、日中に限りとはいえ蚊が姿を消し(普段の夏は殺人的に飛び交ってます)、畑の野菜もぐったり。それでも盛夏を過ぎたあたりから元気を盛り返した野菜たちの生命力に何度も勇気づけられました!

いくらやっても水やりが追いつかない、と農家の方も泣いてました。こんなに暑い日が一体いつまで続くのか、とうんざりしていたけれど暦は確実に移り変わって、今は朝晩はヒヤッとするくらいです。夏野菜を片付け、冬野菜に向けてせっせと畑支度。そのときに活躍するのがなんと家庭から出る生ゴミちゃん!なのです。

生ゴミの分解方法はたくさんありますが、その中でも割と知られているのをいくつか紹介しますね。
1つ。家庭用生ごみ処理機を使って乾燥もしくは微生物分解させる。
2つ。バケツにぼかしと一緒にため込み、ある程度貯まってから土に返す。
3つ。ダンボールコンポストなどを使って微生物分解させる。
4つ。そのまま土に穴を掘ったりぼかしと混ぜ合わせて戻す。


どのやり方も一長一短ですが、最終的に土に戻すのは一緒。
それをすることで土がフカフカになり、空気や微生物をたくさん含んだいわゆる団粒構造の土になります。
生ゴミに限らず微生物たっぷりの土で採れたお野菜を、私たちは「菌ちゃん野菜」と言っているんですね。そしてなんと私は「菌ちゃん野菜アドバイザー」(2年かかりますが・・・)の資格を取ることに。(^_^)b
皆さんで楽しめる畑も新たに借りられることになりました。これまでどこでやっているのか、どこで手に入るのかわかりにくかった私達の活動や野菜たち。

来年からは希望者の方とどんどん一緒に畑をやっていきたいと思っています。一人ではやれないし〜、なにからやっていいのかわからないし〜、と二の足を踏んでいたそこのあなた!
畑なかま募集中ですよ〜!!一緒にやりませんか??
詳細は 070-2626-6675 各務までお問い合わせくださいね。


vol.186 未来に続く暮しの学び vol.28

畑のあるくらしを共有する
いま、続けることの大切さを実感しています。
5年間畑で作物を作り続けて、やっと自分たちの食事と、団体で泊りにくるお客さんの食事の食材は穀物や豆以外ほぼ賄えるようになってきました。

テーブルに並べられた料理の材料の作物たちは、いったいどんな形をしているのか、いつ収穫できて、どんな調理をされてこの食卓に並ぶのか。一連のプロセスをお客さんと共有します。すると、「今まで何気なく食べてきたけど、プロセスを知ったことで、食べ物がとっても愛おしくなりました」という反応がときとして返ってくることがあります。
作物の成長過程を体験することは、実はいちばん必要な事だと感じています。自分たちが実際に体験して、「畑から食卓へ」というサイクルの心地良さを感じる程に、どうしたらより多くの人たちとそれを共有していけるだろうという思いも強くなりました。

また、3週間から一ヶ月という短いスパンでボランティアとして来てくれている人の反応を見ていると、「旅を終えたら自分でも畑で作物を作れるようになりたい、穀物採食の料理を家族に作ってあげたい」、という人が多くなり、このようなスタイルが求められているのだと感じました。

 ということで、畑のある生活を実践的に学べて、体験できるプログラムを企画することにしました。特にここはパーマカルチャーに対しての意識や注目が高いので、ここ亜熱帯気候に適応した野菜、畑、素材の作り方から、自分の生活に取り入れていける実践的な部分を伝えていこうと思っています。そして、ここに滞在してもらうことによって、畑の収穫物での料理を食べてもらいます。

お互いに学んでいくことを始めていこうと思っています!!

share what you have with others.!!  yao
(お互いに共有しましょう!!)


vol.186 夢か悪夢かリニアが通る!vol.15

「日経ビジネス」8月20日号が「リニア新幹線 夢か、悪夢か」と題した特集を組み注目されています。葛西敬之・JR東海名誉会長のインタビューでは、「私がじゃなくて、神様が見ても、誰が見たって(リニアは)いけるんです」という「神懸かりな」言葉を引き出しました。これに対し、「WiLL」11月号は「朝日に成り果てた『日経ビジネス』」などの記事で先の特集を批判。その内容はさておき、新聞やテレビが本格的に取り上げてこなかったリニアの是非を巡る議論が、多くの人の目にさらされることを歓迎したいと思います。                                ジャーナリスト・井澤宏明

 

「安全神話」に守られて

静岡で準備工事
リニア沿線7都府県のうち、唯一工事が始まっていなかった静岡県で9月18日、JR東海は南アルプストンネル工事の準備のため、作業員宿舎と林道の工事に着手しました。
南アルプストンネル工事の影響で「毎秒2トン減る」と予測されている大井川の水を巡り、静岡県とJR東海の対立は解決しないまま。2027年開通に向けて切羽詰まってきたJR東海が見切り発車した形ですが、積み残された課題は何も解決していません。その一つに、トンネル工事で掘り出される膨大な残土があります。
「東日本大震災前の東京電力の考え方と変わらない」。昨年2月、大井川源流部の残土置き場について話し合っていた静岡市の有識者協議会で、委員の明星大学准教授・長谷川裕彦さん(57)(自然地理学)がJR東海の姿勢を批判しました。
計画では、大井川本流と燕沢の合流地点に、東京ドーム約3杯分に当たる約370万立方メートルの残土の大部分を最大約70メートルの高さに積み上げるとしています。
すぐ上流にある千枚岳(2879メートル)は、これまでも大規模な崩壊を繰り返してきました。山頂から深層崩壊が起こった場合、土石流や水分をあまり含まない岩屑なだれが上千枚沢を駆け下り、大井川本流に達して対岸に積み上げられた残土にせき止められ、より大規模な土砂ダムができてしまう恐れもあります。長谷川さんは、「最悪のシナリオを検討しておくべきだ」と、JR東海に繰り返し迫りました。

千枚岳と上千枚沢。大規模に崩れた跡(右上のだ円)が見える。左下のだ円付近が、残土置き場となる予定だ(長谷川さん提供)

岩屑なだれを確認
ところがJR東海は、山腹からの小規模な土石流を想定したシミュレーションしか行わず、「土石流は大井川本流には達しない」と主張。「規模が大きい崩壊ほど、発生確率は低くなる」などとして、長谷川さんが提案した深層崩壊を想定したシミュレーションを行うことを頑なに拒否しました。

「毎夏、長いときには20日間ぐらい南アルプスで調査しています」という長谷川さん(明星大学で)

静岡県で準備工事が始まる直前の9月15日、東京都日野市の明星大学に、長谷川さんを訪ねました。
南アルプスの氷河地形などを研究してきた長谷川さんは学生時代、先鋭的な登山で知られる山学同志会にも所属していた「山ヤ」です。
「日本で一番地質が脆弱なところ」(長谷川さん)を掘る南アルプストンネルに疑問を感じていましたが、2015年に静岡市の有識者協議会の委員に就任し、「(リニアを)作る形で進めるにしても、地形学を専門にしている人間として、残土置き場が本当にそこでいいのか、明確にしなくちゃいけないと思って取り組んできた」と話し、次のように警鐘を鳴らします。
「千枚岳の山頂直下に崩壊前兆地形がたくさんあって、大規模な地震があったとき、雨水をたっぷり吸いこんでいると、一気に崩れることが十分ある。科学者として山を見てきた立場から言うと、次の東海地震で起こってもおかしくない」
長谷川さんたちの現地調査により、古く見積もっても1000年から2000年前、上千枚沢で少なくとも2回の岩屑なだれが発生し、大井川本流より100メートル、80メートルの高さまで堆積したことも分かりました。
これは、JR東海が「1000年に1回以上の規模」として想定したという土石流よりも大規模な岩屑なだれが起きていたことを意味します。専門家の警告に背を向け続けるJR東海について長谷川さんは、「安全神話に守られていたときの電力会社と同じ」と苦言を呈します。
大井川本流をせき止めた土砂ダムが決壊して、下流域の住民に被害を及ぼさないためにも、「残土を置いたとき、置いていないときをシミュレーションしたらどう違うのか、JR東海は明らかにする義務を負っている」と長谷川さん。JR東海が、東電の轍を踏むのを黙って見過ごすことはできません。


vol.186 かなでの沖縄だより vol.10


バングラデシュに行ってきました!①
 8月13日から24日までバングラデシュに行ってきました。以前、Peace of Peaceで話をお聞きした渡部清香さんのフィールド、バングラデシュ東部の「チッタゴン丘陵」を案内していただくスタディーツアーに参加。清香さんと一緒に現地に行き、講演会で聞いたことを自分の目で見て感じることができました。
そのことを報告したいと思います。

首都ダッカ
沖縄からは1日半かけての移動でした。久しぶりの長い飛行機だったので疲れました。でも得ることがとても多く、疲れが吹っ飛ぶほどでした。バングラデシュに着いてから、私はびっくりすることばかりで開いた口がふさがりませんでした。そのうち、初日と最終日はダッカで行動しました。その間はチッタゴン丘陵地帯のランガマティでの活動でした。
 ダッカでは、ダッカ大学の見学やマーケットでの買い物をしました。バングラデシュで働いている日本人の看護師さんにも会いました。
バングラデシュの交通手段の1つCNGがあります。これは天然ガスで走るタクシーで、大きい乗り物ではありません。初めて乗ったCNGがバスとぶつかった時は、「あ?もう終わった」と思ったし、すごく怖かったことを覚えてます。バングラデシュの交通事情は決して良いとは言えません。信号があっても守らない、免許を持って運転しているかどうかわからない、バスがあっても路線は決まってない。クラクションの鳴らし方は、日本でやったら捕まるだろうというくらいの多さ。バングラデシュについて30分間に一生分を聞いたような気がします。
ダッカマーケットでは、日本ではありえない光景が目の前にありました。食べ物は30度越えの外に出しっぱなし。服は山積み。お金くださいってついてくる子どもたち。飴買って欲しいってついてくる子どもたち。世界で最も貧しい国と言われる一端を見せつけられました。「助けてあげられるならみんな助けてあげたい」って思い、少し悲しくなりました。
 これが現実なんだって…。一緒に行った清香さんの妹、千秋さんはもう4回目のバングラデシュでした。その千秋さんに20代の男性がしつこく付きまとってきました。その男性もお金が欲しいようでした。断っても服装を変えてまたついてきました。でも、その反対に「日本人だ?!」って笑顔で話しかけてくる人や、手を振ってくれる人も少なくありませんでした。「怖い」という体験もしたけど、人の温かさも感じたダッカでの1日でした。

チッタゴン丘陵へ
ダッカから12時間かけて夜行バスでチッタゴン丘陵の中心地ランガマティへ向かいました。途中、軍にVISAを確認されたのですが、銃をもって立っている人がこんなところにいるんだってびっくりしたのを覚えてます。チッタゴン管区はバングラデシュ南東部に位置し、インド、ミャンマーと国境に接しています。少数民族が多く住んでいます。

渡部清香さん:教育NGO「ちぇれめいえproject」を仲間と立ち上げる。駐在員として自費で単独1年間滞在。仏教寺院が母体で運営している学校の業務をボランティアで行い、交換に衣食住の提供を寺院から受け、村の寄宿舎学校に滞在し、現地の若者たちと豚の飼育で村の教育資金を作る事業を共に立ち上げた。現地での活動はトータル2年に及び、その中で、日本で2人しか話せない今では口承言語となった、チャクマ語(ベンガル語版、英語版、ポルトガル語版)をマスターする。
NGO「ちぇれめいえProject」取材記事は176号にて掲載

平和について語り合いたいと、各務原市の中学生でつくったPeace of Peace。主要メンバーの小田 奏さんは、2017年春から沖縄の大学生。彼女の平和への思いを沖縄からリポートします。


vol.186 プレゼントコーナー

PRESENTS 186号
1- あなたの「今年1番インパクトがあった出来事」教えて!
今年ももう残りわずか!印象に残った出来事なあに?
2- 気になるにらめっこ紙面での広告
3- 気に入った記事、気に入らない記事の
タイトル1つ・その理由もお書きください。
4- ご希望のプレゼント名
(第1希望・第2希望)
5- 本紙をどこで入手されましたか?
6- 氏名、年齢、住所、郵便番号、電話番号、家族構成

プレゼントご希望の方は
ハガキまたはe-mailで、上記のアンケートを
1〜6までご記入の上、編集部・プレゼント係りまでお送りください。
〆切:11月25日 当日消印有効。Cは11月10日〆切

宛先
〒504-0855 各務原市蘇原新栄町2-25
e-mail: info@niramekko.com
※お寄せいただいた個人情報は、本紙プレゼントの発送に限り、 使用させていただきます。

 

A.こだわりのコーヒー呈茶券

ボンガ珈琲様より…3名様


“コーヒーに取り憑かれた男”の異名を持つマスターが丁寧に焙煎し、入れてくれる一杯はまさに絶品!コーヒー好きさんは一度は行ってね。呈茶券で本日のおすすめコーヒーが1杯いただけます。12時〜16時にお使いいただけます。(写真はイメージです)
お店所在地/各務原市鵜沼東町2-165

 

 

B.よりよく生きるためのライフデザインノート「ゼロの昇天」
NPO「人生これから!」様より…3名様


さあ、私はこれからどんなふうに日々を送ろうかな、そんな気軽な気持ちで書いてみては?高畠純さんのイラストもほのぼのと優しい気持ちにさせてくれます。えんぴつ・カフェに参加の方はご持参くださいね!

 

 

 

C. Afternoon Liveご招待
アートギャラリー是様より…ペア1組様


日常から離れて、ちょっと大人なひとときはいかが?ギター、ベース、サックスが醸し出す絶妙なジャズメロディは、あなたを心地良い音の世界へと誘います。大切な人とご一緒にどうぞ。

 

 

 

 

 

D.CINEX映画招待券

シネックス様より…ペア3組様


事実は小説より寄なり。実話をもとにした映画はまさに、それを実感させてくれます。映画館の大型スクリーンでその世界を疑似体験してみよう!写真は、「グッバイ・ゴダール!」。
柳ヶ瀬のシネックスでご覧ください。


vol.186 編集部で取り扱っている商品のご案内

にらめっこ編集部では、体や環境に配慮した商品を扱っています。
お近くにご用の際にはのぞいてみてくださいね。ここに出ているもの以外もありますよ。

玄米珈琲 メモリザ

玄米を焙煎したカフェインゼロ珈琲。お子様や妊娠中の方でも安心していただけます。着色料、香料、保存料など化学的なものは一切入っていません。カラダに必要なエネルギーとビタミンE・玄米ポリフェノールやフィトケミカル・ミネラルを豊富に含み、美容と健康にとても良いと言われています。また、身体を芯から温めてくれます。(顆粒1袋1,800円)

 

 

微量栄養素ふりかけ げんきっこ

微量栄養素をたっぷりバランスよく取り入れるため、頭ごと煮干し、頭ごと焼きアゴ、昆布が、これらの消化吸収を高めるため空心菜、キクイモ(無農薬)が入ったふりかけです。毎日の食事にごはん、おかず、何にでもふりかけてお召し上がりください。ミネラルが補給され、心や身体の不調が改善された、という報告もありますよ。(60g入り600円)

 

ほうじ茶 ちゃぼぼ

760年もの年月を引き継ぐ、岐阜県揖斐郡旧春日村の在来種の茶畑。自然の甘味と大変よい香り、味に深みがある在来種の茶木は地中深く深く根を伸ばし、大地に呼応し、自然の恵みだけでゆっくり育ちます。丁寧に手摘みし、仕上げたほうじ茶は香りがよく、深い味わいなのに後味はすっきり!農薬不使用、自然栽培、無添加のほうじ茶を味わってみてね。(150g入り1,296円)

 

善玉バイオ洗剤 浄

善玉バイオを使った、洗濯物・人・環境に優しい洗剤です。【善玉バイオ】生態系の中に存在する善玉菌や酵素で洗浄します!【優れた再汚染防止性能】一度落ちた汚れを衣類や洗濯機によせつけません。【肌にやさしい自然派】植物性の界面活性剤成分は0.5%以下!衣類への界面活性剤の残留がほとんどなく、赤ちゃんや敏感肌の方にも安心してご使用できます。(1.3kg入り1,296円)

 

こいくちしょうゆ 茜しょうゆ

国内産大豆・小麦、自然塩を使った天然醸造醤油です。木樽にて1年以上長期熟成させれた醤油。やや甘口の上品でまろやかな味。煮物などによく合います。(720ml入り687円)

 

 

 

国産なたね油 菜の花畑

国内産の農薬不使用栽培なたねを使用した圧縮一番搾りなたね油。精製は手すき和紙でろ過するだけで、添加物や化学薬品は使用していません。なたね本来の風味が豊かです。天ぷらや炒め物にどうぞ。(720ml入り918円)

 

 

東ティモール産 コーヒー豆
程よい苦みとキレのいい酸味、程よい甘味も感じます。バランスが良く、飽きのこない珈琲です。有機栽培の珈琲生豆を焙煎しました。有機JAS認証商品です。(100g入り600円)

 

 

※ご紹介した商品はweb販売はしておりません。申し訳ありませんが、購入を希望される方は、編集室にお立ち寄りください。また、物によっては品切れになることもあります。事前にご連絡をいただけると確かかと思います。m(_ _)m


vol.185 「水 Water」の特集


水は鏡・・・水が汚れると私たちが汚れ、私たちが汚れると、また水が汚れる。

水はいのちの始まり・・・火星に「水」の証拠があったなら、生命も存在しうるのか?と私たちは水があれば生命体を連想します。

水は循環している・・・生き物は、水を吸収したり、出したりを繰り返しています。また、海の水は蒸発して雲となり、やがて雨となって地上に降りそそぎ、さらに川となって再び海へと注がれます。

水は資源 ・・・地球上には約14億km3というたくさんの水があり「水の惑星」と呼ばれていますが、使える水はほんのわずか。

水は誰のもの?・・・地球の水は誰のものでもない、ましてや人間のものでもありません。誰もが安全に必要な分の水を手にできる環境にしていくことが大事。

1992年12月22日の第47回国連総会本会議において、毎年3月22日を「世界水の日(World Water Day)」とすることが決議され、2008年の「世界水の日」を前に国連(UN)は、世界人口が増え続ける中、2025年には地球上の3分の1の人々が安全な飲料水を必死に捜し求める状態になりかねないと警告しました。

世界的に水が枯渇すると、水は貴重な資源として、これからは石油のように高値で売買される時代が到来するかもしれません。つまり、水の利権を巡って国同士の奪い合いが拡がる可能性が予測されているのです。 日本は水の豊かな国です。「蛇口をひねればいつでもキレイな水」が当たり前のように出てきます。水があることは本当にありがたいことなのですが、国際的な問題になればなるほど、日本は国際的に孤立し、標的になってしまうという可能性もあるのです。

しかし、水は誰のものでもありません。科学がいかに発達しはるか彼方の星が観察できるようになった今も、地球以外の星に、これほど豊かな水や生命は存在していません。この天からの恵みである奇蹟の「水」で、地球上に存在する人類が争うなど、決してあってはいけないことではないでしょうか。

 

水。それは人類を含めた生命の維持に不可欠なもの。「水の惑星」と呼ばれる地球ですが、その97%が海水で、残りの3%もほとんどが氷山や氷河であり、生物が飲める水は約1%・・・。その1%の水を大事な共通資源として生物たちは何万年も前から飲んでは排出し、排水は自然の力で浄化し新たな水になって・・・と繰り返してきました。
このように人間は自然の力に頼りながら水を共有してきたはずでしたが、経済の発展に伴い環境破壊で水を汚染し続け、限られた飲める水は資源から商品へと変わってきました。人口増加も加担して貧富の差によって安全な水を飲めるかどうか、生死が左右される時代となってしまいました。
水が商品となるのは水の民営化によって大企業が水を独占をするからでしょう。利益を追求すると、自然が壊され貧しい生活を余儀なくされる人がいるということを、私たちは忘れてはなりません。この問題を回避する手段に人間は科学を用いようとします。例えば海水淡水化工場。海水を淡水に変えられるのはいいのですが、莫大なエネルギーがいるので地球温暖化は進みます。それで原子力に注目しましたが、ご存知の通り多くの危険と問題を伴っています。その場その場で科学の力で無責任に自然を破壊してきた結果、次の自然破壊へと負の連鎖は続くのです。
◆では、今後どうしたらいいのでしょうか。
まず自然のサイクルへの回帰と、水を確保して需要を減らし、市場を減らすことで水の民営化を阻止すること。農業を改革し、それぞれが輸入に頼らない食糧自給に戻る。ダムを減らし、浸透性のある舗道を作る。人口を制限する。こういった方向に向かうことが大事であり、何よりも水は限りある資源という意識を個人レベルで持つこと・・・。
日本は豊富な山と森林と河川に恵まれていて、昔から水に困ることはほとんどなかったので、水が限られた資源であることを忘れがちです。水が豊かだからこそ「水ビジネス」も盛んに進められています。しかし、周りを見渡してみると、川は汚れ、森は切り開かれています。これは「人からコンクリートへ」を推進してきた結果。そして、3.11の原発事故で関東圏の水が一気に汚染される見えない恐怖に怯え、スーパーからは水がごっそり無くなりました。今こそ“水について・自然について”考える必要があります。
◆私たちに何ができるか。
まずは知り、学ぶこと。学ぶことによって意識を持てば資源の無駄遣いは控えるはずです。自分の住む周辺の流域を調べ、自分の活用する飲料と排水の行き先くらいは最低限知っておくと、洗濯や洗い物の洗剤や入浴剤なども環境に優しいものを使おうと思えるし、節水を心がけることもできます。まずは最初の小さい一歩を踏み出す。これが何より大事です。
中国で生まれた「水」という漢字は「支配」を表し、英語で「敵(ライバル)」という語源は「川(リバー)」から来ています。敵は川の向こう岸に立つ人間を表して呼んだそうです。結局のところ人間の最大の敵は人間であるということでしょうか。いや、そうあってはならないのです。人間だからこそ知恵をもって共に生きてゆくべきですね。    (抜粋:青い果実の実る頃には)

BOOK紹介

『いのちの水』新教出版社 定価:1,500円+税

『いのちの水』
あらすじ:昔々、誰もが飲める「いのちの水」の泉があった。 しかし、その水に感謝するために建てたはずの記念碑や礼拝堂は、当初の思いを越えてどんどん大きくなり、やがて、泉がどこにあるのか分からなくなってしまった。 また、泉を管理する特別な人たちが現れ、その水を誰が飲めるのか、いつ飲めるのか、どうやって飲めるのかについて、意見の相違が生じてしまった・・・。 カナダ人神学者トム・ハーパーが遺した痛烈な寓話を、流麗な訳文と幻想的な消しゴム版画と共に贈る。

訳者あとがきより(中村𠮷基)
このちいさな絵本が、信仰、思想、性別、人種、年齢、価値観、経歴などを超えて一人でも多くの人に読まれることを心から願っています。そしてあらゆる「壁」を打ち壊し、「いのちの水」を自分の手で得る働きを、「今、ここ」からご一緒に始めていけるならば、きっと素晴らしい世界が実現することでしょう。

DVD紹介

「水」にまつわる社会派ドキュメンタリー。

『ブルーゴールド』

サム・ボッゾ監督 製作国:アメリカ / 上映時間:90分

あらすじ:経済が発展すると同時に環境破壊や都市化、人口増加も進み地球規模で水不足が深刻化している。21世紀は水戦争の時代になるとも言われている。水の循環の仕組みから、今の現状、水を巨大なビジネスチャンスとみなして独占しようとするグローバル企業、水をめぐる国家間の争い、海水淡水化工場による新たな環境汚染など、世界の水資源問題を様々な角度から検証していく。

折しも今夏、水道法改正案が衆議院で可決されたとの報道があり、話題になっています。もし、ひとつの企業が日本の水道を独占したら、水道水はその企業の言い値で買わなければならない。民営化になるとまさに、この映画のようなことが起きる可能性があります。しかも対立ばかりだと辛くなる。ではどうしたらいいの・・・とても複雑。それにしても水はいったい誰のものか!共有財産としての水をどう管理したらいいのか改めて考えさせられた。

 

白山信仰を通じて「水」を語る

長滝白山神社宮司 若宮多門さん

水の道は命の道

「自然を敬い畏れる」を忘れてはならない

水は命そのもの。人も他の生命体も、命の源を求めて水辺へと導かれる。

山は感謝の対象であり怖れの対象でもあります。山には豊かな水があり、生命が育まれます。水なしにはわれわれの存在はあり得ない。山から安心安全な水が湧き出て、その水を利用させてもらい、私たちや他の生き物も生かさせてもらっている。しかもその周りには多くの食べ物や自然の恩恵(解熱剤、化膿しないための薬など)も豊富です。だから山は感謝の対象であったわけです。

先人達は、その水を手に入れるだけでなく、そこに集ういのちも頂きながら、種を守り、集落を形成し発展。水の豊かな地は、洪水の地、氾濫すればなにもかも奪い去る。

同時に山は恐怖の対象でもあるんですね。噴火であり地震、水害・・・こういったことすべて、山の力によるものです。われわれの先祖は、山は特別なもの、山のおかげさまで暮らしがある、と同時に山は恐ろしい、という感覚を常に持ち合わせていました。ですから神々を鎮めるため、感謝の真(まこと)を捧げるため、今後を占うため、地域の輪を作るために、山の麓に神祀りをする場所をつくりました。それがお宮です。そこに皆が集まり、そこを核としながら山麓一帯にある地域が繁栄してきました。
ところが、今山の中は開発がすすみ、森林が減少し保水力がなくなった。さらに細かく側溝を作り、水路をつくったため広いエリアに降った雨は一気に本流へ流れる。そうするとどこかで破綻します。わたしたちは自然界の仕組みの中で生きてきたにもかかわらず、机上で物事を考え合理性を求め、自分たちの幸せだけを考えるようになってしまった。神の存在を忘れたんですよ。雪、氷、水、変化(へんげ)する水、それ自体が神さまです。水の豊かな地は50年単位、100年単位で川が氾濫するんです。それは自然界の摂理なんです。自然災害の何割かは愚かな私たちが利便性を求め続けて自然界を侵したために起きるんです。

水の流れは神の流れ
神の流れである川の水は平野部を潤し、さらに産業を支え暮らしを豊かにしていきます。そして川は森からミネラルも運びやがて海へたどり着き海を育てる。河口には真水と塩水が交わる汽水域といういのちを育む場所があります。そこでは塩分や栄養源も調整されます。川と海を行き来するする魚はいきなり真水や海水では生きられない。だからグレーゾーンいわゆる汽水域でならしていくんですね。川で生まれる稚魚たちはこの一帯で成長していきます。川底には泥がたまるので葦が繁る。そこに昆虫たちが集い小魚や鳥たちも来る。あらゆる生き物を育む大事な場所が汽水域・河口部分です。ですから真水と海水と分断させる堰をつくってはいけない。畏れ多くも川は神さまの道、分断は自然界の摂理に反しています。

万年の雪をたたえ、白く輝く霊峰白山。白山の「白」の意味する霊性(清浄・無垢・再生など)は多くの人々を白山へいざなった。また、
命の水を分け与えてくれる水分(みくまり)の神であった。その高く白く輝く姿は海上からの目標となり、漁業や航海の守り神とも仰がれてきた。

 

白く輝く霊峰白山
白山は標高2702㍍で、北アルプスの山々や富士山にくらべたら決して高い山ではありません。問題は位置です。かつて政治の中心的な地からの距離感やいろいろな理由で白山が、山の象徴となっていくんですね。山の神々の象徴として、水の恵の象徴として一番古くから理解された山なんです。その名の由来は雪があるから。それゆえ白山は雨乞いの対象でもあるんです。
実は岐阜県の長良川、福井県の九頭竜川、石川県の手取川、富山県の㽵川は、日本を代表する巨大河川。この大きな河川の水源が白山なのです。そして、濃尾平野だけでなくて、越前の平野、加賀の平野、砺波の平野をも潤しているのです。川は単純に水の流れではなく、海に行って温められそして雲になり、雨となってわれわれに降り注ぎ、森に蓄えられ、また高いところで、雪になって降り積もる。水の循環があるからこそ、人々の暮らしがあり生命の営みがあるわけですね。

大いなる水の循環
白い山と広大なる森 、そこから涌き出る水の流れは、数々の恵みを集め、豊かな河川となって、平野を潤し、海へ。海水は温められ、水蒸気となり、雲となり、雨となって大地に降り注ぎ、雪となって山に降りつもる。白山を起点とした水の流れは、大地も海も浄化し、恵みを与え、あらゆる命を育む。私たちは、大いなる水の循環の中でいかされている。

 

白山の霊性
白山の「白」の意味する霊性(清浄・無垢・再生など)は多くの人々を白山にいざないました。日本の登山人口は一千万人といわれ、彼らは「そこに山があるから」と気軽に山に入りますが、今時の登山者からは山に対する畏敬の念や感謝の気持ちは感じられない。この場所は川にたとえるとまさに汽水域。神への入り口であります。神の聖域に入るには心身ともにここで準備が必要なんです。僧侶の話を聞いたり、仏画や美しい絵画に触れ、神前儀式の中で歌や舞に接して山に入る覚悟が定まるわけです。
万葉集の中には、ばん歌と言われる死を悼む歌がたくさんあります。その歌には「死ぬと魂が山へ行く」とあります。つまり山は先祖がいらっしゃる場所でもあり非常に尊い場所なんです。お宮は身を清めるためにあるんです。それは決して非科学的なことではありません。
山を自然という形だけでとらえるのではなく、科学の眼、感謝の目、畏れの目をもって見直すという作業を始めるべきではないかなと思う。そんな時期に来たんじゃないかと思います。       (文責・にらめっこ)

境内に可憐に咲く中尊寺蓮。奥州藤原氏最後の当主、四代目泰衡の首桶の中から見つかった種子から、800年の時を越えて再び華を咲かせたという。この蓮は本家 中尊寺から平成16年4月に株分けされたものだそうです。

 

 

 

 

人が健康に、尊厳を持って生きるには「水」が不可欠。
NGOウォーターエイドジャパンの高橋 郁さんにお話を伺いました。

〜高橋さんが「ウォーターエイド」にかかわることになったきっかけは?〜
高校時代の夏休みの宿題で「差別」について調べていました。調べていくうちに、南アフリカのアパルトヘイトについて学んでいた時、黒人というだけ

家庭用トイレの前で(東ティモール)

で差別されていることにとても衝撃を受けたと同時に憤りも感じたんです。いろいろんな本をたくさん読んで、国連とか開発途上国とくに貧困問題などにかかわりたいと思いました。大学では、もっともっとアフリカのことを知りたいと思い、社会学部に。そのゼミの研修でケニアに行くことになったんです。そこで経験したのが、今のわたしに大きく影響しています。ケニアに行く前にインドに立ち寄ったのですが、その日のうちにお腹をこわしてしまったこと。トイレにいっても、当然水洗ではなく、自分でバケツで流す。道路で暮らす人々や物乞いをする人を目の当たりにして衝撃的でした。
大学卒業後、一度は民間企業に就職したのですが、仕事って人生のうちでたくさん時間を使いますよね。だとしたら、貧困とか、大変な境遇のいる人たちの役に立つことを仕事にしたいと思った。自分の人生、開発途上国の人々のために、なにかしたいと思っていました。

村の女性たちと(東ティモール)

〜そしてウォーターエイドの立ち上げからかかわることに〜
はい。日本で立ち上げることになったのが2012年。もともとは、1981年にイギリスで立ちあがったNGOです。1981年、イギリスの水道業界で働く人々によって、「渇いた第三世界会議(The Thirsty Third World Conference)」が組織され、清潔な水、適切な衛生設備、衛生習慣がない中で暮らしている数百万人への支援が決まりました。同年7月21日にウォーターエイドが設立され,ザンビアとスリランカが最初にウォーターエイドの支援プロジェクトの対象国となりました。

〜現地の子どもたちと直接触れ合って、どんなことを感じましたか?〜

水を喜ぶ子どもたち(マダガスカル)WaterAid/ Ernest Randriarimalala

みんな明るくて元気なんですよ。貧困さえ解決できれば・・・水汲みは女性や子どもたちの仕事です。水たまり、川の水、山からの水を汲みに行きます。学校へ行く前に、帰って来てからも汲みに行く。子どもによっては水汲みに時間がかかり、学校に行けない子もいるんです。教育を受けたり、仕事が出来るのも、病院で治療を受けられるのも、水があたりまえにあるからこそ。水がないと、とくに出産する人にとっては深刻な問題です。生まれたての赤ちゃんをお湯もなく、汚れた水で洗ったために、感染症になって死亡することもあるんです・・・。

〜水は私たちの生活に深く関わっています〜
飲み水だけではなく、私たちのすべての生活に深く関わっている水。日本人は、災害時とかを除くと水に苦労はしてないからありがたみを忘れてしまっているのではと思います。水栓を捻るとどこでも飲み水が得られますからね。ティモールのコミュニティーで「水があれば、あれも出来るし、これも出来るよね」と話していることが、現実になるんです。水が来てからは、作物を作り、種を採り、家畜などに食べられないよう工夫し始めます。畑は見事に作物が育っていきます。ティモールの人々の創意工夫に驚嘆です!上右の2枚の写真は東ティモールです。
水は生きていくのに必要不可欠。水があれば暮らしをどんどん変えられるというのを実感しました。水があれば生活そのものが潤うんですね。途上国は電気がなくても火をたいて、水がなければ水源から水を引いて、そういう工夫が欠かせません。サバイバーだなと思う。生きるスキルが全然違うんですね。
6年間、ウォーターエイドジャパンのスタッフをやってきて感じたことは、その地域本来のニーズが浮かび上がってこないこと。女性や子どものニーズを聞くことが大事なんですが、現実は、その村の長老が出てきて話しをしてくれるパターンとなってしまうのです。

〜高橋さんの役割とは?〜

村に水が来てから作ったという畑(東ティモール)髙橋撮影

まず情報発信です。企業、または個人ができる社会貢献活動を広げることや、連携できるシステムをつくったり、寄付を集めることです。
出前講座もやっています。高校に行くときは、みんなに関心を持ってもらいたい一心でお話しをさせてもらいます。ただ、伝えたい内容をつい強い口調で話してしまったときなど、高校生の反応がとてもあっさりしたもので、悶々としたこともあります。それで、体験型の教材を用意し、ワークショップ形式にしてみました。たとえば、人は平均一日に250リットルのお水を使います。この数字は東京の平均です。飲んだり、洗ったり、お風呂に入ったりと。じゃぁ、これを25リットルにしたら、あなたは何に使う水を減らしますか?その状態が一週間続いたら?3ヶ月続いたらどうしますか?自分事として考えられるよう工夫しています。墨田区のオフィスでも「水の循環講座」をやっていて水源地を見に行ったり、情報交換などをしながら「雨・循環・みんなで分け合う」をキーワードに学び合うのですが、参加してくれるのは、もともと関心のある方がほとんどで、関心のない人に伝えることのむずかしさを痛感しています。

〜今後はどのように発信していきますか?〜

水が来てから作ったという畑(東ティモール)高橋撮影

水は限られた資源です。そういうと日本では節水意識が高まり、節水グッズや水道代を節約するという発想になりがちですが「水源を守る」という方向性をもちたいと思っています。実は開発途上国へ水など衛生分野で援助しているのは日本が一番なんですよ。ですから、国際会議があると、水と衛生にもっと積極的に、優先的に取り組んでもらうよう働きかけています。
21世紀、これからも日本は発展していくと思います。でも、8億4,400万人の人々が(地球の総人口の10人に1人)きれいな水を得られていません。そして、23億人がキレイなトイレを使えていない現実があります。

きれいな水を使って、安心してトイレを使えるように!
尊厳をもって生きられるように!詳しくはwebサイト「ウォーターエイドジャパン」で検索してみてくださいね。

高橋 郁(たかはし かおる)
特定非営利活動法人ウォーターエイドジャパン 事務局長
大学卒業後、流通小売業を経て、ロンドン大学東洋アフリカ研究所にて開発学修士号取得。帰国後の2004年より2010年まで緊急支援のNGOにてファンドレイズ、広報、企業連携に従事する。その後、教育関係の民間企業に勤務し、2012年7月より現職。唯一の事務局スタッフとして、特定非営利活動法人ウォーターエイドジャパンの設立に携わる。現在は、ファンドレイズ、広報、アドボカシー、講演等、幅広い業務に取り組んでいる。

ウォーターエイドとは
水・衛生専門のNGO「ウォーターエイドジャパン」
ウォーターエイド(WaterAid)は、「すべての人々が清潔な水と衛生を利用できる世界」をビジョンに掲げ、途上国で活動を行う国際NGO。国連の「持続可能な開発アジェンダ2030」を踏まえ、ウォーターエイドは2030年までにこのビジョンを実現するために、さまざまな活動を行っています

 


vol.185 カタコトの部屋 ごはん選挙

『ごはん選挙』とは、今晩のメニューという身近なテーマを通じ、選挙を楽しく学ぶ勉強会です。全員が意見を出し合い、選挙で今夜のメニューを決定します。人の意見をしっかり聞くこと。自分の意見をしっかり言葉にして伝えること。それを大切に、さあ、ごはん選挙をやってみよう!

講師・座間宮ガレイさん
参加者・4歳~10歳のこどもと30〜50代のおとな、計9名

 

まず、晩ご飯にしたいメニューを理由と共に1人ずつ発表。インドカレー、からあげ、醤油ラーメン、すきやき、ハンバーグ、マカロニグラタン、焼き肉が候補メニューとしてあげられました。これを投票に向けて3つに絞ります。自分の希望したメニュー以外で、これもいいかも!というものがあったら挙手。結果、最終候補は「ハンバーグ」「醤油ラーメン」「インドカレー」に。メニューを提案した人は、それぞれ自分が食べたい理由を発言して、他の参加者にアピールしました。

醤油ラーメンを提案・Tくん(6才)

麺に味がしみているから!
醤油の味が好きだから!
家で醤油を作っているから!

 

ハンバーグを提案・Hさん

挽肉は安くて経済的!
中に野菜を細かくして入れれば野菜嫌いな子も野菜が食べられます!
小さく作れば明日のお弁当にも使えて便利です!

インドカレーを提案・Aさん
ナンが大きいから!
ナンが美味しいから!
ナンのお代わりが無料だから!
安くてたくさん食べられる…!!
などなどインドカレーの魅力を10以上も挙げ、熱弁!

 

いよいよ、決戦投票!
参加者全員が、投票したいメニューとその理由を紙に書きます。いくつ書いてもいいです。
子どもも1人で一生懸命考えます。うまく書けない幼児は、親さんとお話ししながら書いていきます。おとなも真剣です!
さてその結果は…
合計6票を獲得し『醤油ラーメン』に決定!!
ラーメンといえば、インスタントラーメンを連想する人が多いのですが、家で醤油を手作りしているT くんは、その醤油を使っての本格ラーメンつくりを提案。もともと醤油つくりをしている人が多かった参加者の心をつかんだようです。カレーやハンバーグ支持から醤油ラーメンへと票が動いた事が「醤油ラーメン」決定へと結びつきました。

<参加者の感想>
・理由をいくつも発言したのが、敗因だったと思います。3つくらいだけを、強く印象に残るように話せばよかったです。(インドカレーを提案したAさん)
・唐揚げのカリッとかたいところが好き!と意見したのに、選ばれなくて悔しかった。(からあげを提案するも最終候補に残らなかったGくん・7才)
・ラーメンの票が多かったので、ラーメンに対抗して「麺よりマカロニが好き」「チーズやホワイトソースが美味しい」と話したのに、ダメだった。残念。(当初マカロニグラタンを提案したYくん・10才)
・ 理由を考えても考えても出てこなくて、最後に出てきた理由が「家で醤油を作ってるから」だった。自分が考えた理由で、醤油ラーメンに票が増えて嬉しい!(選ばれた醤油ラーメンを提案したTくん・6才)
・ 子どもでも、熱い想いが複数の人の票を動かすこともある。言葉の力ってすごい!理由の説得力により、共感度がアップし、得票数が変わるのを目の当たりにしました。(Tくん母)

ごはん選挙 今後も開催の予定です!
自分の食べたいものを主張しないと、その他大勢の意見で決まってしまう。でもアピール次第で、自分の勢力を増やすこともできます。大人も子どもも当日の夕食という、超身近な問題から、民主主義を学べるものすごーく画期的なイベントだと思います♪

メニューを選んだ理由をガレイさんに話す子どもたち。
他の子どもたちは、友達の理由が聞きたくて、どんどんガレイさんに近づいていきます。発言したい時は手を挙げて、みんなの意見を聞きます。手を挙げても、いざ発言となると、言えなくなり、お母さんに頼る子に対しても「お母さんは、あなたとは別の考えをもっているんだよ、自分の意見は自分で言うんだよ。」と、励ましたり、寄り添ったりしながら、とことん対話をするガレイさんでした。

座間宮ガレイ・ ざまみやがれいプロフィール
石川県小松市出身、早稲田大学法学部中退。2,000年頃~構成作家(放送作家)「ナニコレ珍百景」「大竹まことゴールデンラジオ!」など。2,015年から選挙アナリストとして地域主義を大切に選挙お勉強会を開催。全国で500回を超える選挙お勉強会を開催。全国の選挙情勢を研究し続けている。『日本選挙新聞』代表 。原発問題を中心に研究するブログ「ざまあみやがれい!」
著書:「一億総選挙革命」

 

子育てコミュニティ toco toco
子育て世代のやってみたい、知りたい、学びたいことを、自ら企画・運営。誰かが講師、受講者という立場のない、一人一人が活躍する「学び合い会」を中心に、顔と顔を合わせて集う良さを生かした活動を展開中。
問い合わせ:facebook「子育てコミュニティtoco toco」


vol.185 ここいく日記 はじめの二歩

 はじめの二歩!

性交について。

性教育と聞くと、性器の話や性行為の話だと思う人が多いのではないかと思います。
小学校や中学校に「いのちの授業」に行って最初に「皆さんのいのちはどうやって生まれたのか知っていますか?今日はいのちの話をしに来ました」と言うとニヤニヤしたり恥ずかしそうしている子がいます。
私たちのいのちは性交から始まりました。両親が性交をしなければ私たちのいのちは生まれていません。性交はいのちをつなぐとても大切な行為だということを大人が教えていないから、多くの子どもたちが性を商品や暴力として扱うネットや、アダルトビデオや漫画などから学んでいます。そういう情報の中の性では、「いのちの尊さ」を学ぶことはできません。正しい性を学んでないから、子どもたちは性を恥ずかしいこと、いやらしいこと、エッチなことというように刷り込まれてしまっていると感じます。
学校の学習指導要領には性交は教えないとされています。
2次性徴や、卵子と精子が受精卵になり、子宮の中で赤ちゃんに育ち生まれてくるということは習うが、受精卵になるための行為、お母さんのお腹の中にある卵子に射精された精子がどうやって届けられるのかがすっぽりと抜け落ちています。そうなるとどうなっているのか知りたくなるのは当然のこと。でも、性のことは先生にも親にも聞きにくいとなると、友達に聞くかネットや漫画など性産業のものから調べるしかありません。
昔は、大人がわざわざ教えなくても自然と伝わってきたことかもしれない。学校で教えるものではない「寝た子を起こすことはない」という意見がありますが、朝日新聞デジタルのアンケート調査によると「あなたがセックス 性交とその意味について知ったのはいつですか?」の問いで約89%の人が中学生までに知ったと答えています。小学生までに知った子は約半数です。寝た子はほとんどいなくてとっくに起きています。
このような現状でも、子どもたちに正しい性を学ぶ機会が保障されていないのです。授業で性器の仕組みや働きの話をすると、ざわざわし始め話が進んでいくと、「キャー」とか「えー」の声があがるか、下を向き、話が出来ないぐらいざわざわするときもあります。ざわつきが収まるまで少し待って、性器はエッチなところ、恥ずかしいところではないこと、大切な働きがあることを丁寧に伝えます。そして、性交を含むいのちの成り立ち、いのちの稀少性を伝えていくと、子どもたちの表情が変わっていきます。体の中でどの働きもとても大切なのに、性器だけはいやらしいと思ってしまう。目や耳の働きを勉強するときにはこんなにざわつくことはないでしょう。それぐらい性の話はタブー視されて、大切だという教育がされていないのです。
性という字は (りっしんべん)に生きると書きます。
( りっしんべん)は心という意味なので性は心を生きる、生き方を学ぶということ。こういうことを大人も学んできていないのです。だからこそ、性を本気でかっこよく語れる大人になりたいと思っています。最後に尊敬する助産師で性教育の大先輩でもある山本文子さんのことばを紹介します。

担当:ここいくメンバー・中村暁子でした。
ここいく☎090-3446-8061(中村)


vol.185 リバース 15号

写真:長屋 泰郎

ナダレタゴガエルStream Brown Frog
ナガレタゴガエル(流田子蛙、学名:Rana sakuraii)はアカガエル属のカエルの一種。種小名のsakuraiiは、発見者である桜井淳史にちなみつけられた。

分布:本州中央部(関東、中部、北陸、近畿の各地方)
生態:低山地の森林地帯に住んでいます。繁殖は、2月から4月に山間渓流で行われます。雄は、秋に渓流に集まり、水中の石の下で越冬し、繁殖期になると流れに乗って産卵場所の淵に集まります。
鳴き声:(水中で)ククククク、ククククク・・・

石の下に産み付けられた卵塊と雌 撮影:佐久間 聡

解説:世界的に見ても珍しい日本固有種で、真の渓流性のアカガエルです。タゴガエルに似ていますが、水かきの発達がよく、繁殖期には、皮膚が著しく伸びてひだ状になります。(佐久間 聡)

 

危険要因:生息域が山地の渓流周辺と限られており、森林の皆伐による乾燥化およびそれに伴って沢が干上がることで、成体と幼生双方の生息場が失われる。また林道脇へのU字溝の埋設により、移動が妨げられたり、小型の個体が脱出できずに死亡してしまう例も知られている。


vol.185 ボーダーレス社会をめざして vol.44

NPO法人オープンハウスCAN 理事長 伊藤佐代子

 

自分の展覧会

 息子は40歳の自閉症スペクトラム障害(最近はこのように言います)。7月に本人の希望で絵の個展を開きました。展示、キャプション作り、お客様の案内など本人が主になり行いました。開催当日までカウントダウンのメールが、毎日私に届き、「お母さんとお父さんは見に来て下さい」と言い、本当に自分一人でやるつもりのようでした。知り合いの方にも「来て下さい」とお願いをしていたようです。今までの展覧会ではなかった姿です。きっと今までは、私に展覧会をやらされていたのでしょう。自分の好きな絵をすべて展示できるということは、彼にとってすごい喜びだったようです。これまでは、私が展示する作品を選んでいました。今回はすべてOKとし展示の方法もすべて本人に相談し、本人が好きなように額に入れました。息子の作品展ですから好きなようにやればいいのだと・・・。やっと私がそんな気持ちになりました。するとこのように楽しみにする展覧会になったのです。
 支援する人の自己満足ではいけない、支援する人の思いが一番ではいけないということがよく分かりました。もう嬉しくて嬉しくて仕方がない、ニコニコと久しぶりに見る笑顔でした。やっと思い通りの展覧会ができたのだなぁとちょっと反省しました。展覧会が始まると、来て下さったお客様に絵の説明をしていました。長時間、会場にいなくてはいけなかったのですが、静かにご来客を待っていました。
 その中で印象深かったのは、会社の方が見に来て下さったことです。最初、会社には案内状は持って行かないと言いはっていたのですが、途中から店長さんだけに持って行く、次にブレークルームに案内状を置かせてもらうと本人が考えなおしていきました。たぶん、会社と自分の趣味の世界とは違うと考えていたのだと思います。しかし、案内状を会社に持っていったお陰で、会社の方が来て下さいました。メッセージの中に「いつも裏方のお仕事でお店をささえてくれてありがとう。」と書いてありました。なんと嬉しい言葉でしょう。お話をさせてもらうと皆さんに見守られながら、可愛がって頂いているのがよく分かりました。我が家とは全然違う一人の社会人としての息子の様子を聞くことができました。
 もう一人幼稚園、小学校とよく遊んでくれた同級生が来てくれました。彼は毎回、展覧会を見に来てくれます。「絵が少し変わって来たね。進化してる」って。
展覧会は、作品の発表の場とは言いながらも、息子の大好きな人たちとの良い出会いの場にもなっていました。笑顔笑顔の息子を見ることができた展覧会は、最高でした。


vol.185 えんぴつ・カフェ

6月20日(水)第7回 えんぴつ・カフェスペシャル

「絵本の朗読」参加者の感想

今回はスペシャル企画第1弾「絵本の朗読」でさまざまな感想を書いてくださいました。一部をご紹介します。
・「だいじょうぶだよ ゾウさん」をききながら、今一緒に暮らしている父をゾウにてらしていました。耳が聞こえなくなり、だんだん弱っていくゾウは最後はネズミに大丈夫だと言われながら、つり橋をわたっていく。歳をとって死んでいくことは辛いけどネズミのように、ゾウの気持ちにより添っていけたらいいと思います。
・ 赤ちゃんは泣いて生まれてくる。周りは笑顔で迎える。死を迎えるときは「この世に生まれてよかった」と笑顔で死んでいきたい。
・ 日常生活の中で生老病死にかかわっていますが、自身のことに関しては具体性を明記するには至っていません。
・わたしは偶然にも「たいせつなこと」と「つみきのいえ」を小学校の読み聞かせで読ませていただいていました。自分で読むのと、朗読を聴く側での気持ちに大きな違いがあることに気づきました。私は今47歳ですが、人生について考えるよいきっかけとなりました。
・ 「なきすぎてはいけない」は祖父から孫への思いが表現されていて共感できる内容で、主人が読んだら涙ポロポロと想像しました。「だいじょうぶだよゾウさん」は理想的な、老と若の共存だと感じました。

こんなおしゃべりを通じて、自分の考えを調整したり、確認したりするのが“えんぴつ・カフェ”です。
みなさまの参加を、お持ちしております。

 

次回のえんぴつ・カフェ  スペシャル企画 第2弾
「成年後見人制度って?」
講師:青木文子氏(司法書士)
成年後見人制度って知ってる?
制度をよく理解し、自分や家族のライフデザインを設計してみます。
と き:9月20日(木)
じかん:13:30-15:30
ところ:産業文化センター2階第4会議室
会費1,000円
(講師の基調講演後、紅茶&お菓子を楽しみながら、質問タイムで情報交流をします)

 

えんぴつ・カフェ 開催日程

会場:各務原産業文化センター2F第4会議室
時間:13:30−15:30
(会場、日程は変更の場合がありますのでお申し込みの際にご確認ください)

10月18日(木) おしゃべりしながらノートに書き込む
11月18日(日) スペシャル第3弾「終末期医療を考える」
講師:木田盛夫氏(木田ファミリークリニック副院長)
終末期医療について、実情を検証しながら、在宅のメリット、 デメリットを学びます。
2019年 1月19日(土) スペシャル第4弾「在宅の現場から」
講師:入学佳宏氏(ケアマネージャー)
ケアマネージャーから在宅の現場の声を聞き、介護や看護
のあり方を考えます。
2月20日(水) おしゃべりしながらノートに書き込む
3月20日(水) スペシャル第5弾「どうお別れしますか?」
講師:市川雅清氏(一級葬祭ディレクター&終活アドバイザー)
えんぴつ・カフェで常に話題になる葬儀やお墓の問題それ ぞれの土地柄や実情などを含め情報交換します。

えんぴつカフェの問い合わせは
NPO「人生これから!」
田辺 090-5638-7044 三上 090-7854-4561


vol.185 ホスピスナース奮戦記 vol.10


生前準備についておもうこと

7月10日。容態の確認のための訪問だった。ヘルパーさんから「さっきから患者さんは息をしていないようだ」という連絡が入りアパートにつくと、患者さんはとても安らかな顔をしていて、一目で亡くなっているとわかった。死後硬直も始まって、腕が曲がったまま、体も半分横向きになった姿で硬くなりはじめていた。確認のためバイタルをチェックするが、呼吸も心音もない、脈も感じられず瞳孔も動かない。ヘルパーさんは英語が通じないので、通訳電話を介し話しを聞くと、3時間以上前から息が浅くなったと判明。亡くなったことを伝え、家族に電話する。ヘルスケアプロキシ―である長女に電話すると、電話口で泣き崩れて会話にならない。すると、フロリダに住む次女から電話があり、今度は開口一番、「どんな薬を投与したのか、なんで死んだのか、なぜ病院につれていかないのか」と怒鳴り声。。。。。半分叫び声のような怒声を聞きながらパソコンに食らいつき日中どんなことがあったのかもう一度看護記録を読む。今日何があったのか、昼間訪問した看護師とは連絡が取れないし、途方にくれた。ヘルパーさんに聞くと、お昼ごろ、酸素マスクや体位交換だけでは呼吸困難の症状がコントロールできず、症状緩和のために看護師が呼ばれ、モルヒネ投与が始まったことがわかった。あとはヘルパーさんが(家族として扱われるので)患者さんの呼吸の状態をみながら、教えられた量をあげることになっていた。
患者さんのような心不全が進んだ場合、呼吸困難はよくみられる。ふたたび次女と話をすると今度は、「誰がモルヒネあげたの!?モルヒネがお母さんを死なせたのよ!あんたたちが殺したのよ~!」と狂ったように怒り出した。

モルヒネについては、多くの人がいろんなイメージや考えをもっていて、誤解している人も少なくない。口に入れ、舌の下やほほの内側から体内へ吸収されるこの種類のモルヒネは、飲み込めなくなった患者さんや意識のない患者さんへも使われる在宅ホスピスでは基本の薬。痛みだけでなく、苦しい呼吸を和らげるときにも使われる。なぜ患者さんがこの薬を必要としたか、どんな効果があるのか、どんな量が投与されたか、次女に説明する。だんだんと落ち着いてきて、だいぶわかってくれたようだった。次は葬儀屋に連絡しなければならないが、なんと葬儀屋が決まっていない。長女に聞くと、次女に聞いてという。次女に聞くと、お金がないという。というより、二人ともが葬儀にお金を出すような余裕がないという。再度ヘルパーさんが電話口によばれ、患者さんがもっていた通帳に葬儀分はとってあるはずだから、通帳を探せということになった。アパートには、同じビル内にすむ患者さんの妹やその家族が集まっていたものの、ただあきれたように一部始終をみながら待っているだけだった。
ニューヨークではご遺体はできるだけ死後4時間以内に葬儀屋や病院などの遺体安置のできる場に移すルールがある。私は、ソーシャルワーカーに電話して、家族の経済的状況と葬儀屋の紹介など、公共の遺体安置所の使用など含めて次女に直接話をしてもらうようお願いした。しかしニューヨーク市の公共の遺体安置所というのは、愛する家族をいったん預けるなんてできないような場所だという。(どんなだろう・・・)結局、安く葬儀をうけもってくれる葬儀屋に頼むことになった。
このカオスの中、患者さんはどんな気持ちでこの一部始終を眺めてるだろう、上からみて笑い飛ばしているだろうか。。。。ホスピスのサービスを受けていても、死はまだ先のこと、と思っているご家族も多い。まだ生きているのに死後のことを決める、葬儀屋を決めるなんてと、そのこと自体ができない人も多い。ご本人も、ご家族も。でも、死は必ずやってくる自然の摂理。死が訪れた時に対する準備または理想や考えをもつことは、縁起が悪い、あきらめたくない、生きる希望をもっていたい、それとはまた完全に別なるものだと、私は思う。生まれてくる命を迎えるのにいろいろ準備や手配をするのと同じ、気持ちや心情は違えど、命を見送ってあげる準備や手配。家族の中でのゴタゴタもあれど、それがやはり家族への愛というものなのではと思った。

わかばま〜く:プロフィール 1982年生まれ。ニューヨーク州立大学卒業後、ニューヨーク市立病院に看護師として4年勤務。現在は訪問看護師としてホスピスケアに携わっている。岐阜県各務原市出身。


vol.185 ぎむきょーるーむ 先生にこんな「ひとこと」を言われたら 

「集中力が足りませんよ」
「集中力の欠如」を先生はよく問題にする。実際には子どもが授業中に消しゴムをきざんで定規の跳躍台からとばしたり、シャープペンの解体作業をしたり、教科書のイラストにひげをつけたりということなのだが。
こうした集中力というのは、夢中になると言うこととは少しちがうようだ。簡単にいえば「先生の提議した問題なり課題に、よそごとをせずに黙ってとりくめる力」ということになる。この力を先生は高く評価する。なぜなら集中していてくれれば教室も静かだし、「よしよし、いい子いい子」の学級帝国主義が築かれていることが確認できるからだ。もちろん、「まじめにやれば賢い子になる」という学校の原理にかなうことでもあるし。
ところが、先生の提議している課題にクラス全員が集中することができるという事態はそうあるものではない。
じつは集中力を決める大きな要因には、子どもの個人的な要因と同時に、先生の出す「問題・課題」の質と量によることが多い。たとえば、計算問題を45分の授業や宿題で100問出したとしよう。先生としては「45分あればできるのが標準」だと予想しても、実際にはほとんどの子どもが集中してやると考えているとしたら、そうとうノー天気だと思う。
子どもが授業中にこっちを見て聞いてくれて、課題にそこそこ一生懸命とりくんでくれるように先生は「工夫」する。この工夫なしに「アンタの子は集中力がない」などと常識のある先生はいわない。いや、いえない。
子どもはそれなりに息をぬきながら、先生の目を盗みながら、授業中休憩していくだけの自律性が必要なのだ。おそらく子どもは自分でオーバーヒートしないよう工夫しているはずだ。それが、「集中力の欠如」というかたちであらわれてくることもある。
親としてはまず「アンタ、ちゃんと授業聞いている?!」としかりつつも、「たまには大事なことはきちんと聞かなくちゃいけないよ」くらいのお小言にしておきたいものだ。

 

「偏食では丈夫な身体になりませんよ」
「学校ぎらいの原因は給食なんだ」という子どもがいる。入学の前に、親は「給食を残したらいけないんじゃないか?」と心配する。子どもに「給食を全部食べないとダメ」とおどかす親もいる。しかし、なんかおかしい?
以前、給食主任に「『何でもよく食べて!?』というのはヘンだ。だって、ブタじゃないんだからなんでも食べろというのはおかしいでしょう?」といったことがある。すると、いやな顔をされたが反論はなかった。でも、そのことをエコ農業を志している人に話したら、「オカザキさんはまちがっている。ブタはおいしいもんしか食べないぜ、ブタに失礼だ!」としかられた。
だいたい、学校はおかしな食文化を強制している。ご飯に牛乳がまず変だ。もちろん、牛乳のリゾットなら、まあ話しはわかる。コッペパンに、メキシコ風タコス、いちごジャム、スープ煮といった組み合わせなど、なんじゃこれ??
ある教員が「しっかり食べないと大きくなりません」といったときに、すかさず、「先生は小さいけど好ききらいがあったんですか?」と子どもに聞かれて、はり倒さんばかりに怒ったというはなしを聞いたことがある。
『食』というのは自分たちの生活全体を考え直すための入り口としてはとても意味があるのだ。「偏食です」という発想では、肉ばかり食べるのも偏食なら、野菜ばかり食べるのも偏食ではないか。でも、そういう「偏食」の地域や国の人々はみんな不健康なんだろうか?
偏食は、文化の問題なのだから、給食のあり方をそのままにしておいて、なんでも食べるほうがいいというのは偏見である。なんでも食べる時代ではなく、選んで食べる時代なのだ。

 

「特別支援学級へ行ったらどうですか?」
就学時健診や、進級の時に「お子さんのために特別支援学級へ行ったらどうですか?」と学校からいわれた場合、子どもが普通学級で学びたい、生活したいと思うなら、やはりきちんと学校へ申し入れなり主張をすべきだ思う。
労働者の立場からいうと、一般的に仕事は楽なほうがいいに決まっている。だから、「発達障がいのある子は世話が大変だ」という教員も多い。しかし、現実には「手のかかる」いろいろな子どもがいるのは当然のことであり、発達障がいがあるかどうかは関係がない。
教員の中には、「特別支援学級へ入れたほうが、きめこまかい指導を受けられるので本人は幸せです」という、一見良心的ないい方をする人もいる。しかし、ある意味で無責任な言葉といえる。だって、そんなことは「わかんない」のだ。そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない。それより一緒に生活することがまず重要なことであり、その場の集団の、つまり社会の「構成員」であることが、すべての子どもたちにとって重要なのだ。そこを分離してしまっては、最初から排除が前提になる。
ボクの知っているお母さんは、特別支援学級を学校からすすめられたが、ガンとして「普通学級に入れます」と主張していた。毎年、実施される「進級判定委員会」で、校長は特別支援学級をすすめるように職員にくり返していたらしいが、担任は校長の提案にあまり乗り気でない人だったようだ。そこで校長は保護者を呼び出して「特別支援学級への編入」をしきりにすすめたが、保護者はクビを縦にふらなかった。
しかし、なんといっても、そのお母さんがいちばんこたえたのは、「お宅のお子さんのせいで、うちの子たちの勉強が遅れるんじゃないですか」などというまわりの親たちの無言の圧力や反発だった。こうした親たちを説得するのはエネルギーがいる。やはり学校を相手に、きちんと親の権利として意見を文章などで述べるのがいちばんいいと思う。

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多治見市は「多治見市子どもの権利に関する条例」を制定し今年で15年を迎え、子どもの権利を保障するまちづくり、子どもの笑顔があふれるまちづくりを進めています。平成30年度のセミナーでは公的第三者機関として子どもの権利救済を行う子どもの権利擁護委員の一年間の報告と、岡崎勝氏の講演会が行われました。

2018年7月30日 岡崎まさる講演会 in多治見
「気づいていないかも・・・子どもの気持ち」
子どもの権利が学校のなかで語られることは少ないです。それでも学校では「語る・学ぶ・活かしていく」を最優先課題にしています。しかし、いじめなどのトラブルがあると、大人はどうしてもどっちが正しくてどっちが悪いのかを判断しようとします。それは果たしていいことか。まずきちんとルールを示すのが大人。わがままや、はみ出しを個性と見ていくのが教育です。では、子どもが教員に暴力をふるう・・・それは個性か??どう考えてもルールからはみ出している。いったいどうしてそんなことをするのか、きっと何か理由があるはず。根気よく会話をしていく。ここが勝負どころです。それではじめて子どもの実態が明らかになります。ボクが判断するときは常に「子どもの最善の利益」を優先します。 たとえば、子どもが嘘をついたとします。嘘をついたことを謝まらせて叱って・・・それが子どもにとって最善の利益か??子どもと相談という形をとり一週間ぐらい考えようか、と時間をつくる。うやむやで終わるのもいい。子どもの世界って忘れた方がいいことがたくさんあるんです。ところが、社会に寛容性が無くなったので、大人のガマンが出来なくなった。 だいたい人に迷惑かけてナンボ、これが子どもですよ。
学校は生活の場でもあります。学習指導要綱には大事なことが抜けています。それはぼーっとする時間。だけど、そういう時間があったとしても、子どもはなにかやらかして教員を困らせます。そんな時は子どもの可能性の世界を信じることです。登下校の時、見守り隊の高齢の方に「くそじじぃ」と言えば「この悪ガキがっ!」と応える。そういう人と人との距離感。こういうことがホントに大事なんです。子どもはすでに学校も含めた社会で育っています。社会のゴタゴタの中でもたくましく育って欲しいです。
子どもの権利を保障していくことが大人の役割です。子どもの最善の利益を優先し、こどもの将来を考えて今の子どもを見る。最終的には子どもに聞きなさい!とボクは言いたいです。 (文責・にらめっこ)

岡崎 勝 おかざき まさる
1952年愛知県名古屋市生まれ。小学校教員43年目。フリースクール「アーレの樹」理事。1998年より「お・は」編集人。きょうだい誌「ち・お」編集協力人も務める。著書に『きみ、ひとを育む教師ならば』『ガラスの玉ねぎーーーこどもの姿を写し出す1年白組教室通信』(ともにジャパンマシニスト社)、『みんなでトロプス!』(風媒社)、『学校再発見!』(岩波書店)『新・子どもと親と生活指導』(日本評論社)、『センセイは見た!——「教育改革」の正体』(青土社)、共・編著に『友だちってなんだろう』(日本評論社)、『がっこう百科』(ジャパンマシニスト社)など。

 


vol.185 半農半Xという生き方 vol.26

希望の創造
将来に希望をもてる人ともてない人の格差が歴然とひらき、希望の二極化が進んでいくという『希望格差社会』という本が数年前、ベストセラーになりました。不透明な時代ですが、希望のかけらはやはり足元に落ちているものです。ノーベル平和賞受賞のワンガリ・マータイさんが「もったいない」の精神に光をあてました。持続可能な小さな暮らしをしていくことは希望の基礎。「もったいない」は希望社会への大事なキーワードの1つです。「もったいない」が流行る少し前、ベストセラーになった『13歳のハローワーク』は自分の大好きなことや得意なことなどを世に活かしていく、社会に貢献していく時代に変化しつつあることを教えてくれました。将来の希望は「もったいない精神」と「(他者に役立てる)大好きなこと」にあるといっていいかもしれません。「ないもの」を嘆くのではなく、いま、「あるもの」に目をやって、知恵を絞って、活かしていけば、「希望の創造」はきっと可能です。小さなしあわせという希望を自らつくり、みんなで育てていける、そんな社会にしたいと思うのです。

 

まなざし
「みつばちが一生かかってあつめるはちみつは、スプーンにわずか半分。養蜂家は、みつばちの世話をすることで、そのたいせつなはちみつをわけてもらうのです」。茂市久美子さん作の児童文学『つるばら村のはちみつ屋さん』(講談社)を開いていたらこんな一文に出合いました。はちみつへのまなざしが変わりますね。大事に味わいたいですね。ふと、思い出したのが童謡詩人の金子みすゞの有名な詩「大漁」です。それはこんな詩です。「朝やけ小やけだ/大漁だ/大ばいわしの/大漁だ。/はまは祭りの/ようだけど/海のなかでは/何万の いわしのとむらい/するだろう」。人間も他の生命もみんなしあわせに生きられたらいいですね。

塩見直紀(しおみなおき)半農半X研究所代表
1965年、京都府綾部市生まれ。20年前から「半農半X(エックス=天職)」コンセプトを提唱。半農半X本は翻訳されて、台湾、中国、韓国にもひろがる。著書に『半農半Xという生き方 実践編』など。

※半農半Xとは・・・半農は環境問題、半Xは天職問題(どう生きるか)を背景と する。持続可能な農のある小さな暮らしをベースに、天与の才を社会に活かす生き方、暮らし方。ex.半農半漁、半農半大工、半農半看護師、半農半カフェ、 半農半絵描き、半農半歌手、半農半鍼灸師、半農半カメラマンなどなど。


vol.185 未来に続く暮しの学び vol.27

 


メンテナンスの冬

 日本は猛暑日が続いているようですが、南半球のオーストラリアは冬の中盤を迎え、朝晩どんどん寒くなってきました。冬の期間はメンテナンスを主にこなす時期となります。
まず、畑でとれる冬野菜を、漬物にしたり、ドイツ流のキムチ・ザワークラウトを作ったり、醗酵食の仕込みをします。また、かぶ、白菜、キャベツ、はやと瓜、などはどんどん発酵野菜にして貯蔵できるようにしていきます。持続可能な生活にとって、貯蔵、保管、は不可欠な要素。
たくさん採れる根菜をどう保管するか、特に季節ごとに大量に収穫できる、人参、南瓜、ジャガイモ、ニンニク、ウコン、生姜、ヤーコン、キャッサバ、タロイモなどはうまく保管していかないと、すぐ腐ってしまいます。去年は大量の南瓜をダメにしてしまったので、今年は少しずつ収穫するようにしています。
ただ、ここでの一番の問題が・・・ネズミ・・・・・・・ネズミはどんどん増えるし、どんな隙間でも侵入してきます。畑の野菜はかじるし、シードリングハウス(苗を保管する場所)にも入りこんで、わかばの苗を食べてしまうし、保管場所にも入りこんで野菜をかじっていくし、私たちを悩ませています。捕獲する?罠を仕掛ける?第二ステージの動物に被害のない軽い駆除剤をまくとしても、畑に毒はまけないし、室内のみならまだしも。。と色々考えこんでしまいます。
猫を借りてくるという案も室内ならOK。野生の動物、鳥、大きいトカゲに手を出さない猫ならといっても、保証はないし・・・。
野生動物の生態系の維持プラス、害虫の駆除のバランスはなかなか簡単ではありません。双方うまくバランスをとっていくのも、大きい意味での、共存の仕方を見出していかないといけないのだなと思います。
できるだけシンプルに人間が生きることができれば、バランスは保てやすいだろうな。。。。そう思いながら、複雑な生活を作り上げている自分たちを振り返り、持続可能な生活を模索しています。

土地の有効活用と、自然環境とのバランスの一致。それを保てられる仕組みを、この冬いろいろ検討することになりそうです。


vol.185 菌ちゃん野菜応援団 vol.6

夏野菜がたわわに実り始めていますね!ちょっと油断するとキュウリなんてぶっといこん棒みたい!
トマトもなすもたわわに実って嬉しい限りです。

私たちの農法は菌ちゃん、つまり微生物と仲良くする農法。
土の中に菌ちゃんがたくさん増えてくれるように生ゴミを漬け物のようにしてすき込んだり、草を積み重ねたりして土作りをします。もちろん腐らないようにコツがあるんですけどね。微生物たっぷりの土で育った野菜はみんなぴっかぴか。虫もほとんど居ないんです。

あまり知られていないけど、実は虫に食われたお野菜は弱っているお野菜。私たちが食べてもちょっと苦かったりするんです。
一方元気なお野菜は生で食べてもとても美味しい。そして、抗酸化作用もたっぷり。なぜって夏の強い太陽光線から自分を守るためにたくさんの抗酸化物質を作り出しているから。
知ってました?無農薬だから虫がいても当たり前、ちっちゃくて当たり前、じゃないんです。

元気でぴかぴかなお野菜は見て嬉しい、食べて美味しい、作って楽しい。そんな3拍子がそろってます。
そして、そんなお野菜を食べていたらあつーい夏もへっちゃらで乗り越えられちゃいます!!
元気なお野菜と出会うことがあればぜひ手にとってみてくださいね。


vol.185 夢か悪夢かリニアが通る!vol.14

今夏の西日本豪雨では、山あいの集落が土石流にのみこまれ、たくさんの人たちが犠牲になりました。自然の前に人間はいかに無力であるかを改めて思い知らされるとともに、真っ先に思い浮かんだのはリニア中央新幹線の残土のことです。リニアは品川-名古屋間の86%がトンネルのため、東京ドーム約50杯分もの残土を出します。JR東海は多くを谷沿いに積んで処理する予定ですが、今回のような豪雨に襲われないという保証はありません。そのとき何が起こるのか、被災地が教えてくれていると思うのですが。  ジャーナリスト・井澤宏明

公聴会で語られたこと

地上への影響を否定
豪雨で交通機関が混乱しているさなかの7月6、7の両日、国土交通省主催のリニアに関する「公聴会」が名古屋市内で開かれました。
「公聴会」とは、重要な政策決定をする際、関係者や有識者などの意見を聞く制度。JR東海がリニア建設のため、東京、神奈川、愛知3都県の計50・3キロを対象に、深さ40メートル以上の「大深度地下」使用について国土交通相に認可申請したことから開かれました。
大深度法によると、国の認可を受ければ、事業者は住民に補償することなく、大深度地下を使用することができます。騒音や振動、電磁波、地盤沈下や地下水への影響、地価の下落などが憂慮されますが、JR東海は「問題となることはない」などと、これらを否定しています。
ところが、既に大深度地下使用を認可されトンネル工事が進んでいる東京外郭環状道路で今年5月以降、酸素濃度の低い空気が工事現場の上を流れる川に漏れ出して気泡が発生したり、地下水が流れ出したりするトラブルが発生しています。
公聴会では、事業者のJR東海を始め「賛成」側の7人、「反対」側の6人が公述に立ちました。JR東海をのぞく「賛成」側の6人は、地元経済界などを代表するメンバー。沿線住民からはめったに聞くことのできないリニアへの期待をどのように語るのか、注目しながら耳を傾けました。

合理的説明なされたか

公聴会は公開の場で行われた。「賛成」「反対」の意見を聞く貴重な機会だったが、大手マスコミの姿はなかった

公聴会初日、中部経済連合会の小川正樹氏がアピールしたのは、「新たなライフスタイル」です。
リニア長野県駅が計画されている飯田市は、東京まで高速バスで4時間余りかかりますが、リニア利用で45分に短縮される計画です。想定される効果について、小川氏は次のように述べました。
「飯田に住み、それ以外のところに仕事場がある、という2拠点居住も可能になる。東京や名古屋だけに住むのではなく、(飯田との)2拠点を行き来するライフスタイルが生まれ、若者やシニア層、シニア予備軍の移住も期待できる」
愛知県観光協会の鈴木隆氏は、「愛知県は、2、3泊と長く泊まってもらう観光資源に乏しく、1泊の方がほとんどだ」と、厳しい実情を打ち明けたうえで、リニアで首都圏からの往復時間が大幅に短縮されることにより、「(名古屋の)滞在時間が2時間延びる効果はとても大きい」と、飲食などによる経済効果に期待を示しました。
2日目に登場した名古屋都市センター長の奥野信宏氏は、元名古屋大学副総長で国土審議会会長。「スーパー・メガリージョン構想」を推進しています。
スーパー・メガリージョン構想は、リニア沿線を人口7000万人に上る巨大な広域都市圏として機能させ、東京一極集中を是正したり、人口減少に歯止めをかけたりしようという国家プロジェクトです。
奥野氏はリニア効果の具体例として、名古屋に住む学生が東京の大学に通学出来るようになることを挙げました。
「東京の大学に行きたいというお嬢さんを持つ家庭では、『一人暮らしをさせるのは不安だから、名古屋の大学に行かせる』という話をよく聞くが、40分で通えたら東京の大学へ行かせることも可能になるのではないか」
公述を聞きながら私の頭をよぎったのは、「ストップ・リニア!訴訟」の原告が法廷で語った以下のような言葉でした。
「私たちは、これから行われるリニア新幹線の工事によって、さまざまな被害をこうむることになります。問題は、私たちにそうした実害を与えてもなお、リニア新幹線が必要だという合理的説明がなされていないことです」

リニア大深度地下トンネルが真下を通る予定の名古屋市立大杉小学校。子どもたちの健康は守られるだろうか


vol.185 かなでの沖縄だより vol.9

碧い海、碧い空。沖縄というところ

7月8日、静岡から来た知り合いのTさんたちと南部戦跡巡りをしてきました。最初に陸軍病院南風原壕群20号へ。南風原文化センターから「飯あげの道」という、ひめゆり学徒たちが当時ご飯を担いで壕まで行ったという道はすごい急坂でした。今は道が整備されているけど昔は砂利道だったと聞きました。ここを、攻撃を避けながら食料を担いで行くのはとても過酷な任務だったと考えると恐ろしくなりました。壕の中に入った瞬間冷やっとしました。長さが約70メートルあり、途中19号と21号と2つの壕に分かれる交差点のようなところが手術場。あんな狭い道にベットがあり、すごい臭いがしたり人のうめき声やうなり声が聞こえたと聞くと本当に恐ろしく感じました。たくさんの木々が生い茂っている小山の中に壕があるのに なぜやすやすと米軍に見つかり、火炎放射にやられてしまったのか?という疑問を投げかけたTさん。「今ではこんな森だけど、当時は一面、焼け野原で見渡せたから」と教えてくださった時、わたしは言葉を失いました。ここで私たちのチームをガイドしてくださったおじいちゃんに「私 今沖縄に住んでいるんだよ」話すと、最後に「あなたたち若い子がたくさん学んでたくさん発信してね。あなたもこんなことしたくないでしょう?だから、ちゃんと学んで伝えてね。今日は私の話を聞いてくれてありがとう。来てくれてありがとう」と言ってくださいました。

平和祈念公園・魂魄の塔
次に平和祈念公園と魂魄の塔に行きました。日本では沖縄でしか見られないんじゃないかなというくらい真っ青な空、真っ青な海でした。けれども、1945年の夏米軍の上陸により逃げ場を失った人たちがその絶壁から飛び降りた、恐ろしい光景をイメージしながらこの景色を見ていました。

ひめゆりの塔・資料館
最後にひめゆりの塔と資料館へ行きました。南風原町で壕の見学をし、展望台からの素晴らしい景色を見た後だったので、感動も大きく考えさせられることがたくさんありました。1つ1つの展示物を見て、資料を読んでいたら知らないことばかり。改めて、沖縄戦が激戦だったこともわかりました。同時に、これだけのことを知っている人ってどれだけいるのだろうと思いました。日本で唯一の地上戦。「こんな事があったんだよ」って少しでもみんなに知ってもらえたらと今までで一番強く感じました。
ひめゆりの塔に着いて私が忘れられない光景が1つあります。それは、お花を持って塔の前で泣いて何かを語りかけていたある男性の姿です。二度と同じことを繰り返してはいけないということを改めて思いました。
最後に私のバイト先の奥さんからこんな事を言われました。
「ひめゆりの塔や壕に行って、少しどよんとしたかもしれない。でも、ちゃんと共感できたのは心がちゃんとしている証拠。少しチルダイ(心も体もだれてしまった)しただろうから、途中でアイスでも食べて今の有難さを感じて。亡くなった人は、凹んでないでもっと頑張れ!と言っているはずだよ」と。そうなのかなと思ったら少し前向きに考える事ができました。学んで終わりでなく「ちゃんと伝えて、みんなで考えて、二度と同じことを起こしたらいけないんだよ」と思いました。南部巡りもして、私の大好きなお店で沖縄料理を食べたり、海水浴をしたり…。楽しい時だったし、とても勉強になりました。
沖縄って素敵な場所だなって改めて思いました。でも、ここまでにすさまじい歴史があり、今も基地問題やオスプレイ問題などのたくさんの問題をかかえている沖縄です。海水浴をしてる上をオスプレイが通って行きました。なんでこんなに素敵な場所が力ある者の意のままに踏みにじられていくのかと思うと、とても辛く思います。みんなが幸せな暮らしができる。そんな世界にしたいと心から思います。


vol.185 プレゼントコーナー

PRESENTS 185号

1- あなたの
「リフレッシュ方法」教えて!
みんな忙しい毎日。どんなふうにリフレッシュしてる?
2- 気になるにらめっこ紙面での広告
3- 気に入った記事、気に入らない記事の
タイトル1つ・その理由もお書きください。
4- ご希望のプレゼント名
(第1希望・第2希望)
5- 本紙をどこで入手されましたか?
6- 氏名、年齢、住所、郵便番号、電話番号、家族構成

 

プレゼントご希望の方は
ハガキまたはe-mailで、上記のアンケートを
1〜6までご記入の上、編集部・プレゼント係りまでお送りください。
〆切:9月25日 当日消印有効。
Dはにらめっこ編集室に受け取りに来ていただける方。
宛先
〒504-0855 各務原市蘇原新栄町2-25
e-mail: info@niramekko.com
※お寄せいただいた個人情報は、本紙プレゼントの発送に限り、 使用させていただきます。

 

A.ロケット発芽にんにく引換券  大堀研磨工業所様より…5名様

地元各務原で、航空産業に携わっている町工場がなんと!無農薬のやさいを作りはじめました。今回はにらめっこ読者に発芽させることで栄養価をぐ〜んとアップした「ロケット発芽にんにく20g入り3袋」をプレゼント!商品は大堀研磨さん(各務原市蘇原寺島町)でお受け取りください。※写真はイメージです。

 

 

 

 

B.9条ボールペン にらめっこより…3名様

本体横にあるつまみを引っ張ると、あ〜ら何と、憲法9条のアピール文が!日本の憲法は今、どこがどう変わろうとしているのか??
それをあなたはどう思う?このボールペンをきっかけにして憲法について考え、みんなで話してみよう!

 

 

 

 

 

C. CINEX映画招待券 シネックス様より…ペア3組様

映画館で鑑賞する良さの1つに音響の素晴らしさがあります。体にズゥンと響く低音。あらゆる音は劇場全体の空気を揺らし、肌で音を感じるような感覚。それは映画館ならではの味わいなのです。写真は「チャーチル ノルマンディーの決断」より。招待券は柳ヶ瀬のシネックスでお楽しみください。

 

D.絵本[ちいさな島の日本人] かわさきまりあ様より…3名様

読む人の心が少しでもあたたまりますように…。そんな作者の心がそのまま絵本になりました。「君のおかげでぼくがいる」と表題の2つのお話しが収録された、かわいい15cm × 15cm サイズの絵本です。


vol.185 編集部で取り扱っている商品のご案内

にらめっこ編集部では、体や環境に配慮した商品を扱っています。
お近くにご用の際にはのぞいてみてくださいね。ここに出ているもの以外もありますよ。

玄米珈琲 メモリザ

玄米を焙煎したカフェインゼロ珈琲。お子様や妊娠中の方でも安心していただけます。着色料、香料、保存料など化学的なものは一切入っていません。カラダに必要なエネルギーとビタミンE・玄米ポリフェノールやフィトケミカル・ミネラルを豊富に含み、美容と健康にとても良いと言われています。また、身体を芯から温めてくれます。(顆粒1袋1,800円)

 

微量栄養素ふりかけ げんきっこ

微量栄養素をたっぷりバランスよく取り入れるため、頭ごと煮干し、頭ごと焼きアゴ、昆布が、これらの消化吸収を高めるため空心菜、キクイモ(無農薬)が入ったふりかけです。毎日の食事にごはん、おかず、何にでもふりかけてお召し上がりください。ミネラルが補給され、心や身体の不調が改善された、という報告もありますよ。(60g入り600円)

 

ほうじ茶 ちゃぼぼ

760年もの年月を引き継ぐ、岐阜県揖斐郡旧春日村の在来種の茶畑。自然の甘味と大変よい香り、味に深みがある在来種の茶木は地中深く深く根を伸ばし、大地に呼応し、自然の恵みだけでゆっくり育ちます。丁寧に手摘みし、仕上げたほうじ茶は香りがよく、深い味わいなのに後味はすっきり!農薬不使用、自然栽培、無添加のほうじ茶を味わってみてね。(150g入り1,296円)

 

善玉バイオ洗剤 浄

善玉バイオを使った、洗濯物・人・環境に優しい洗剤です。【善玉バイオ】生態系の中に存在する善玉菌や酵素で洗浄します!【優れた再汚染防止性能】一度落ちた汚れを衣類や洗濯機によせつけません。【肌にやさしい自然派】植物性の界面活性剤成分は0.5%以下!衣類への界面活性剤の残留がほとんどなく、赤ちゃんや敏感肌の方にも安心してご使用できます。(1.3kg入り1,296円)

 

植物油脂100%洗濯石けん スノール

良質の天然植物油脂を原料にした純石けん分99%の無添加石けんです。手肌にやさしく、デリケートな衣類も洗えると好評です。水に溶けやすく泡立ちも豊かで汚れをきれいに落とします。蛍光増白剤、香料、着色料やLASなどの合成界面活性剤を使用していません。(1kg入り799円)

 

 

こいくちしょうゆ 茜しょうゆ

国内産大豆・小麦、自然塩を使った天然醸造醤油です。木樽にて1年以上長期熟成させれた醤油。やや甘口の上品でまろやかな味。煮物などによく合います。(720ml入り687円)

 

 

 

国産なたね油 菜の花畑

国内産の農薬不使用栽培なたねを使用した圧縮一番搾りなたね油。精製は手すき和紙でろ過するだけで、添加物や化学薬品は使用していません。なたね本来の風味が豊かです。天ぷらや炒め物にどうぞ。(720ml入り918円)

 

 

グルテンフリー ライスパスタ

お米を主原料として作った、乾麺タイプのスパゲッティーです。お米から作ったとは思えない、コシのある食感と歯ごたえ。パスタソースにもよくから絡みます。岐阜県産のハツシモを使用。 グルテンフリー商品です。
※この商品の収益はすべて放射線量の高い地域に住む子どもたちのための活動に役立てられます。(青空の下つながろう会https://www.facebook.com/Tsunagarou2012/)(200g入り350円/3袋1,000円)

 

完熟もみがら堆肥 いぶきのめぐみ

お米を大切に守っている『もみがら』を醗酵(はっこう)・炭化した、これまでにない堆肥です。畑や花壇の土に、5cmくらいの厚みでまいて軽く混ぜるだけ。水はけや通気性が良くなり、土がふかふかになってきます。また、株元やうねに2~3cm敷き詰めるとマルチになります。乾燥、泥はね、雑草、凍みあがりを防止しつつ、土と一体化します。(40L入り)

※ご紹介した商品はweb販売はしておりません。申し訳ありませんが、購入を希望される方は、編集室にお立ち寄りください。また、物によっては品切れになることもあります。事前にご連絡をいただけると確かかと思います。m(_ _)m

 


*** お知らせ♪ 2018年こども芸術村 芸術祭は10月14日

今年のテーマは「ツリーハウスをつくるぞ〜!」。

日本一の気温を記録した飛騨金山でしたが、暑さもなんのその、子どもたちは見事な集中力を見せてくれました。
朝ごはんの前に作りだしたり、おやつも忘れて作り続けたり。そのかいあって、素晴らしいツリーハウスができあがりました!

今年は作品展は現地での「ツリーハウスお披露目会」となります。
10月14日飛騨金山の森キャンプ場 ささゆりにて(現地集合、解散)詳細は後日
保護者の方にもツリーハウスを見ていただいたり、活動記録映像を観たり、交流会をしたいと思っています。

 

 


vol.184 いのち特集


前号では「環境」特集として「森・川・海 つながるいのち」森・川・海が人とつながること、自然の懐に入って楽しむことをお伝えしました。今号ではさまざまな視点から「いのち」について考えてみたいと思います。
いのちの特集、むずかしいテーマに取り組んでしまい、編集に四苦八苦していたところ、素敵なメッセージに出会いました。北海道旭川市にある旭山動物園の前園長のブログです。旭山動物園の許可をいただいて掲載をさせていただきました。

伝えるのは「命」
旭山動物園の命題は「生命を伝えること」です。

46億年も前に地球上で誕生した生命が長い長い時間をかけて,さまざまな生物を生み出しながら現在に至っています。生命の誕生も奇跡だったでしょうが,それがこんなに長く続いていることもまた奇跡なのではないでしょうか。どのくらい奇跡かというと,私の命は両親から受け継いだものですよね。父母はまたそれぞれの両親からいただいた命です。そのまた両親は・・・というように生命の糸は,延々と続くのです。さらに,ヒトが現れる前にまでさかのぼり,ほ乳類の登場から両生類~魚類~無脊椎動物~単細胞生物まで,それこそ地球の歴史をさかのぼって私たちの生命の糸は切れることなく繋がっているのです。ですから,命とは自分のものであって,自分だけのものではないのです。このことは今,地球上で生きている生物,すべてに言えることなのです。

さて,その命がよく分かりません。誰かが,命を教えることができるのでしょうか。“いのち”という言葉は教えることができます。でも、子どもから「命って何ですか」と訊かれて答えることができる人が,果たしているでしょうか。だいいち,命は見えないし、さわれないし、絵にも描けません。ですから,「命を大切にしましょう」と言われても子どもたちにはその意味がよく分からないのではないでしょうか。
10年以上も前のことです。幼児にニワトリをさわらせて解説をしていた時、中学生が「僕にもさわらせてください」と近寄ってきました。そして鶏冠に手を触れた途端、手を引っ込めて「温かい」と目を丸くしたのです。以下二人のやりとりです。

小菅「君はニワトリが温かいことを知らなかったの」
少年「いえ、ニワトリは恒温動物ですから体温を持っています」
小菅「では、なぜ驚いたの」
少年「そうですね、何で驚いたんだろう」
彼は,不思議そうにしていました。知識として鳥は恒温動物であることを知っていましたが、実体験がないので、「鳥」が知識だけに止まり、生きている鳥を認識していなかったのでしょう。
命でも,まったく同じことが言えるのではないでしょうか。
旭山動物園には,家畜やペットとふれあえる「こども牧場」があります。そこでは、幼児を椅子に座らせ、膝の上にスタッフがウサギやモルモットをそっと置き、抱き方を指導しています。ウサギに触れる前の幼児にウサギを見せて,「ウサギ、どうだった」と聞くと、ほとんどの子が「かわいかった」と答えます。ところが、ウサギを抱いた後で同じように訊いてみると、「フニャフニャしてた」とか「あったかかった」、「やわらかかった」、「コトコトいってた」という答になるんです。

幼児の行動を観察してみると、不思議なことが見られます。多くの子どもが、ウサギを両手で抱え込み、頭を下げて全身でウサギを包み込むのです。誰も教えていないのに・・・。私は、その瞬間に命は伝わったのだと思います。命は覚えるものではなく、感じるものだからです。でも、それだけで“命の大切さ”は伝わりません。そのためには,命は決して後戻りしないことを知らなければ・・・・。

最近,耳にしたことですが、“死んでも生き返る”と思っている子どもが少なからずいると言うのです。本当に驚きました。それは,「死」が私たちの生活から遠ざけられてしまったからだと思います。最近では、人は病院で生まれ病院で死ぬので、子どもたちが,命の始まりと終わりを実感することが少なくなってしまいました。一方で,新聞やテレビで多くの人の「死」が伝えられてはいます。悲惨な報道を目にしたりもします。でも,どうでしょうか,そのことで自分の心が痛み苦しみ耐えられなくなることがあるでしょうか。やはり,心が最も痛むのは,家族や共に暮らしていた動物たちが死亡したときであり,次に友人,そして知り合いというように,だんだん薄まっていくのが実感ではないでしょうか。
命の大切さを心に刻むには、身近な生きものの死を体験しなければならないのだと思います。愛しているものの死に臨んだ時の心の苦しさが、“かけがえのない命だからこそ、大切にしなければならない”ことを認識する大切で唯一の瞬間なのです。
愛するものの死を通してしか、生きていることのすばらしさは伝わりません。
そして,その命が地球上に存在するためには,命の入れ物が必要なのです。その入れ物がヒトであり,オランウータンであり,オジロワシなのです。

私たちが生命の奇跡に気付いてはじめて,すべての生命がかけがえのないものであると認識できると思います。そういう人々は決して動物たちを苦しめません。そういう人々が多くなれば,この地球上から多くの野生動物たちが絶滅してしまうような事態は絶対に回避できると信じています。このままでは,危ないのです。恐竜たちが絶滅していった時代を大絶滅期と呼ぶのであれば,まさに我々は大絶滅期の中に踏み込んでしまっているのです。この大絶滅の渦巻きから動物たちを救うことができるのは私たち人間だけなのです。

昨年8月に死んだキリンの「タミオ」です。彼が21年間伝えてくれた「命」は私たちにたくさんのものを残してくれました。

旭川市旭山動物園ホームページから引用
平成17年3月4日 旭山動物園長小菅正夫(当時)

「いのち」について 助産師 赤塚庸子さんに聞きました。

心のいのち

<人が人たるゆえんは言葉>
いのちって、生体としてのいのちもあるけど、精神、心が病んでるというか人としての本来のいのちがあまり生きていないんじゃないかって思うときがあるんです。それはおそらく人としての共感とか、相手を思う気持ちとかが希薄になってしまっているから。
今、特に若い人たちが変わってきましたよね。とくに遊び方。その一つゲームが気になります。ボタンひとつで答えが手に入り、欲求もある程度満たされる。画面を見つめる姿はちょっと奇異です。さらに電話は苦手、就職試験の連絡もメール・・・。それでは言葉を発することが少なくなるよね。わたしは人であるゆえんって言葉だと思うんです。言葉を介して共感することがとても大事だと。それを使いこなせないと、社会全体が立ち行かなくなるのではないかと不安に思います。

<生きていく基本は食べること>
今から20年ほど前にデザイナーズベイビーについての記事を医療系の雑誌で読んだことがあります。自分の好みの目の色、髪の色、肌の色、身長はこれくらい、IQが高いとか…そういう全てをデザインして、自分の希望に叶った子どもをもうけることは、近い未来難しい事ではないと。もちろん倫理的な問題はおおいにあります。また、さまざまな理由から自分と同じDNAでクローンを作り、もう一度自分の人生をと考える人もいるけど、魂とか精神は同じではないですからね。そんなことを考えると何か末恐ろしいんですけど、あまり恐ろしい事を想像すると楽しくないですね。
人が生きていく基本って結局は食べることじゃないかな(笑)。食べることって楽しい。でも食べることは、他のいのちをいただくこと、決して無駄にしてはいけないんですね。私は小さい時に「お米一粒には千人の神様がいる」っていつも言われてました。だからどうしてもごはんを一粒も残せないの。

<他を思いやる気持ちで>

この世はもう全てが矛盾だらけ。その中でいかに過剰に動物の命をとらないとか、自分が他者の不幸の上に立たないようにするとか、誰かが喜ぶことをするとか、その時その時に選択して生きていくしかないんじゃないかな。
子育てって待つ事ばっかりだし、お産も待つ事ばかりです。でも今の私たちは、手間をかけるということに価値を見いださないですよね。密猟や貧困な人々の搾取の上に成り立つ商品や問題ある家畜の飼育方法とか、全然違うように見えるけど、それってワンクリックで手間をかけずいろんなものがデリバリーされてくるということの延長なんですよ。ネットで朝注文したものがその日の夕方や翌日の午前中に来ることが日常茶飯事。そこで2日間待たされた時にどういう感情が芽生えるのか。面白くないという感情だとしたら、それが全国に蔓延したときにどうなるんでしょう。ヒューマンエラーは絶対ある。相手を非難するんじゃなくて、お互い様っていう気持ちをもちたいですね。

先日、「助産師として気になる母子って?」というインタビューを受けました。多少体重が少なくても、おとなしい子でも、言葉が遅くても、それはその子の個性です、特に小さい頃はね。子どもの方に問題を感じてこの母子気になるな、という場合はまずないんです。むしろ、お母さんの視線とか、声のかけ方、言葉つかいなど、ちょっとした仕草、そういうのが気になります。いのちを育む(はぐくむ)側である大人の、子どもへのまなざしや接し方が鍵だと思います。

あかつか ようこ●プロフィール
1966年、岐阜県生まれ。助産婦学校卒業後、総合病院や個人病院で助産婦として勤務。医療施設以外でのお産に興味を持ち、助産院の見学や短期研修を体験。
平成13年に実妹の自宅出産をサポートする。
平成16年6月、地元の岐阜県各務原市にゆりかご助産院開業。市内で入院分娩ができる唯一の助産院。
(社)日本助産師会会員 岐阜県助産師会会員

私たちの暮らしは、動植物の命に支えられていると言っても過言ではありません。そこで、あらゆる「いのち」に思いを巡らせてみました。下記は否定でも肯定でもありません。現実です。それぞれの現場では、生活の糧にしている人々もいます。複雑な問題が絡み合っていますが、あえてシンプルに考えてみます。そして、自分のいのちをつないでくれるのは、他のいのち。そこに浮かび上がってきたキーワードは・・・「いのちの尊厳」と「感謝」。

食文化と称して
魚貝類、肉類など動物を食べること。その地域の特徴もある。アザラシ、鯨、イルカ、カンガルー、ワニ、鹿、いのしし、うさぎ、亀、コウモリ、などなど数え上げたらキリがないくらいの野生動物もその土地に根付く食生活に欠かせない。
それは植物にも当てはまります。

世界の珍味ともてはやされて・・・
・フォアグラ・・・強制給餌の果てにいのちを
奪われるガチョウ、あひる。
・フカヒレ・・・生きたままひれを引き裂かれ
海で窒息死するサメ。
・キャビア・・・基本的に魚卵は、
食品用には魚の腹を開いて取り出されます。

害獣と位置づけられて
人間活動に害をもたらす哺乳類に属する動物一般をさす言葉。 人間の多い地域では、家畜などの飼育動物以外はほとんどがこれに含まれる可能性があります。
農作物に被害が出ると、狩猟。最近ではジビエ料理として、
狩られた動物を提供するレストランも。

害虫といって嫌われて
人間(ヒト)や家畜・ペット・農産物・財産などにとって有害な作用をもたらす虫。 主に無脊椎動物である小動物、特に昆虫類などの節足動物類をいいます。駆除には殺虫剤が使われることが多いですが、環境に負荷を与えることにも注意が必要とされています。

ペットの殺処分・・・人間の身勝手の果てに
あなたが選んだその子犬は、あなただけが頼り。
空前のペットブームの裏側で暗躍する、ブリーダーや引き取り屋の実態。大量生産・大量消費の影で起こる遺伝病の問題なども含め、行き場のない犬・猫が
大量に発生している現状。

密漁・・・人間の欲望の果てに
象牙、それはゾウの命です。ゾウだけではありません。
サイ(角)、トラ(骨)・・・。海では赤珊瑚も密漁で絶滅の危機に。私たちは、食品、医薬品、ペット、衣類、装飾品などいろいろな形で野生生物を利用しています。
植物の種や動物の羽、牙、爪、毛、骨など、実にさまざま。
世界にはさまざまな野生の動植物が生息していますが、
人間による過剰な利用によって絶滅の危機に瀕しています。

いのちを思うときぜひ読んで欲しい本をご紹介


いのちつぐ「みとりびと」
みとりびと1
恋ちゃんはじめての看取り
おおばあちゃんの死と向き合う
著者:國森康弘 文・写真
【第1巻】おおばあちゃんの死と向きあう恋ちゃん(小5)の想いをたどりながら、あたたかな看取りの世界を臨場感あふれる写真・文で描く。
出版:農山漁村文化協会(農文協)

おおきなけやき
作: 林 木林 絵: 広野 多珂子
この冬最後の寒さがやってきた日、森で一番背の高いけやきの木が倒れました。森で一番歳をとっていたのです。
倒れたけやきの周りに、森に住む動物たちが集まります。日当たりがよくなったけやきの周りには、他の木がどんどん伸びていきます。やがて時が過ぎて、静かに土にかえったけやき。そこには新しい木の芽が生まれてきました。
出版社: 鈴木出版 ¥1,200 +税


vol.184 アウトドア特集


基本の虫よけ対策
スプレーなど虫よけアイテムを、と考える前に、危険を回避するとても大事な虫対策。蜂対策はできるだけ薄い色の服で!黒や赤など、濃い色の服は蜂に狙われやすいと言われています。理由は定かではありませんが、白や水色など、薄い色の服のほうが無難。帽子もできれば色の薄いものを。また、蜂が近くに飛んで来るとつい手で払ったりしがちですが、これはNG。蜂が攻撃されていると勘違いして、反撃してくる可能性があります。静かに、じっとして通り過ぎるのを待ちましょう。

靴やバッグの中身をよく確認
海のキャンプで靴の中にムカデが入っていることに気づかず、そのまま履いて刺された経験、ありませんか?ムカデに限らず、靴やバッグの中に虫が潜んでいる可能性は十分にあります。靴を履くとき、バッグの中から洋服を出して着るときは、必ず虫がいないことを確認してからにしましょう。

持って行きたいアイテム
・ケガに
絆創膏/消毒液/包帯/ガーゼ/創傷被覆材/サランラップ/固定テープ
・やけどに
冷やしタオル/鎮痛薬/非ステロイド軟膏(患部に塗ると治りが早まります)/コップ、ビニール袋
・虫除けに
虫よけスプレー/虫よけキャンドル/蚊取り線香/ステロイド軟膏/抗ヒスタミン剤/ポイズンリムーバー

ポイズンリムーバー
一家にひとつ持っておきたいのがポイズンリムーバーです。傷口に吸い出し口を当て、レバーを引いたり、ピストンを押すことで、皮膚の下にある毒を吸い出せます。蜂やムカデなど強力な毒を持つ虫に刺されたときの応急処置に、用意しておくとよいアイテムです。

刺されたら直ぐにポイズンリムーバーで応急処置!
:ミツバチ、アシナガバチ、スズメバチなど。中でもオオスズメバチの危険度は高く、土の中に巣を作ることが多い。
ムカデ:刺されると30分くらいは動けなくなるほど痛い! 山よりも海辺のキャンプで多く見かけます。
ブヨ:蚊より大きくハエより小さい。人の身体を口で噛んで吸血します。蚊より痕が大きく強いかゆみが残る。
:「困った虫」の代表格。池や水たまり、川の流れが弱い淵の近くに発生しやすく、テントはできるだけ離れて設営したほうがよいでしょう。
マダニ:藪に潜む小さな虫は、対策は潜む場所に「近寄らない」こと!

スズメバチは決して手で払わない!怒らせるだけ。その代わりにこれを試してみよう。

粉コーヒー
ボールに粉コーヒーをとり、ライターで少し燻しましょう。煙がスズメバチを遠ざけます。
にんにく
スズメバチはにんにくの芳香油も苦手。にんにくを割って置いておきましょう。
茶色の紙袋
これは面白い方法です。大きめの茶色の紙袋を置いておくと、スズメバチは他のハチの巣があると錯覚して戦いを避ける為に近寄らないのです。

つくってみよう!カンタン虫除けスプレー
ハッカ油で虫除けスプレー!
市販のものより虫除けの威力は落ちるのですが、日常的に使うのであれば安心して使えコスパも良い「ハッカ油」で虫除けスプレーを使ってみませんか?ハッカが苦手な虫は【ゴキブリ・蚊・コバエ・アリ・ダニ】など。

◎ 用意する物
・無水エタノール(10ml)・ハッカ油(20~40滴)・精製水(90ml)
・スプレー容器(ハッカ油はポリスチレン(PS)を溶かしてしまいますので「ポリプロピレン(PP)」「ポリエチレン(PE)」「ガラス製」「陶器」「耐油性」「耐アルコール性」の容器を)
◎作り方
①-無水エタノール10mlとハッカ油20~40滴を良く混ぜる。 ②-スプレー容器に移し、精製水90mlを加え良く混ぜる。 ③-使用する時は良く振って。使用期限は約1週間から10日。しっかり虫除けをしたい時はハッカ油の濃度を上げる。
◎使い方
コバエ・ゴキブリが出そうな台所・ゴミ袋・エアコン周り・部屋・車の中◎ダニがいそうな布団・カーペット・畳◎蚊や虫が入りそうな網戸、玄関にスプレー。
◎ハッカの効用
抗菌効果:メントールに高い抗菌性。
覚醒効果:神経を落ち着ちつかせイライラや眠気・ストレスに効果的。
殺虫効果:ほとんどの虫が嫌いなハッカの香りで虫を寄りつかないようにします。
消臭効果:天然の芳香剤になるハッカは人間とペットにも優しい成分。部屋のダニには100%の殺ダニ効果があると報告もされています。梅雨時期からしっかり掃除をしていても体が痒く感じる時には、布団やカーペット、畳にハッカ油スプレーをしてみて下さい。

虫に刺されたらハッカバーム
「ハッカ油」バーム(軟膏)

◎ 用意する物
ワセリン(10g)ハッカ油(6滴)容器
◎作り方
ワセリンとハッカ油を混ぜるだけ。密閉容器で保存。混ざりにくく感じた場合は、湯煎したり、ドライヤーで溶かします。ワセリンは、不純物が少ない「白色のワセリン」で日本製を選びます。
虫さされのほか・軽い切り傷・かゆみどめ、肩こり・頭痛・鼻づまり・心身疲労・乗り物酔いにも効果があります。


vol.184 カタコトの部屋 災害時に役立つパッククッキング

災害にあったときのために、知っておくと便利な「パッククッキング」。
今回は参加ママたちが、お米1合(もしくは主食メニュー)と、
パッククッキングおかずメニュー1品を各自で準備し、持ち寄りました。
ガスコンロとボンベを使ってさぁ、挑戦!

パッククッキングとは、ポリ袋に食材を入れて湯せんで火を通す調理法。ガスや水道、電気などのライフラインが使えなくなっても、カセットコンロ、鍋、水、ポリ袋を準備すれば簡単な食事を作って食べることができます。

今回のメニュー
主食:ごはん、炊き込みごはん
リンゴジュースで炊くごはん
(炊飯用の水が不足と想定して)
おかず:野菜スープ、肉じゃが、さつまいもの塩煮、汁なし中華そば、切干し大根煮、ポテトサラダ カレー味
おやつ:バナナ蒸しパン、米粉ういろう
※番外編:味噌玉で味噌汁
冷蔵庫にあるものを、味噌でくるむだけで、食材の保存期間も長くなり、パッククッキングのお湯が使える。

用意するもの
食材・調味料・水・カセットボンベ・ガスボンベ・鍋・ポリ袋(耐熱性のもの)
災害時にあると便利
牛乳パック(切って食器に、切り開いてまな板に)
キッチンばさみ・ナイフ

作り方はかんたん!
① 材料と調味料を袋に入れる。空気を抜いて袋の上の方で口を結ぶ。(調理で温まった空気が膨張して袋が破裂しないよう)
② 鍋にお湯を沸騰させます(今回は5ℓ使いました)沸騰まで17分
③ 袋を入れて蓋をし、ふきこぼれないように30分間温める。
※袋が底やふちについてしまうと溶けて破れる可能性あり
汁なし中華そば15分、ういろう25分で取り出す。
④ 30分たったら袋を取り上げ、ごはんは10分蒸らす。
※鍋のお湯はまた使えます。

tocotocoメモ
今回は炊飯用、鍋の水合わせて6ℓの水と、
ガスボンベは1/2本を使用しました。
災害時に1日2回パッククッキングするとして、
1日1本のボンベが必要という計算になります。
ただ、その日の気温などでもっと必要になるかも。
多めに準備するといいでしょう。

いっきにできたよ!ほっかほか〜♪

 

参加ママたちの感想
★実際に震災が起きたとき、初めてではできないかも。でも、一度経験したのでいざというときでも作れそうです。
・蒸しパンがおいしかった。味噌玉は保存が効くしすぐ作ってみたいと思いました。(Mさん)
★どんな袋を使えばいいか比べてわかりました。
・鍋のお湯が体拭きなどに使い回しできるところがいいわ。
・今回、自分で準備したので勉強になりました。(Yさん)
★りんごジュースご飯が冷めた後、お酢を加えて酢飯にアレンジ、とは目からウロコでした!
・車麩など水分吸うものが腹持ちがよく、重宝することがわかりました。ストックしておきます。(Kさん)
★高密度ポリエチレン袋でもパッククッキングに対応していないものがあることがわかりました。できれば厚手で破れにくい日本製だと安心して使えそうです。
・数種類のおかずと主食が一気にできるから、全部ができたてほかほかの温かい状態で食べられる。震災時にはとても安心すると思います。
・途中で味見ができないから、濃い味や凝った複雑な料理より、シンプルなのが美味しいと思いました。(Tさん)

子育てコミュニティ toco toco
子育て世代のやってみたい、知りたい、学びたいことを、自ら企画・運営。誰かが講師、受講者という立場のない、一人一人が活躍する「学び合い会」を中心に、顔と顔を合わせて集う良さを生かした活動を展開中。
問い合わせ:facebook「子育てコミュニティtoco toco」


vol.184 新連載!ここいく日記

ここいくの授業は、幼児から大人まで年齢別にプログラムがあります。幼児から性教育⁉と思われる人もいると思いますが、幼児期の子どもは何にでも興味津々で聞いてきます。「涙はどこから出てくるの?」「月はどうしてずっとついてくるの?」と。それと同じように、「赤ちゃんはどこからくるの?」「ママにはどうしておちんちんがないの?」「セックスって何?」と聞いてきます。幼児が対象の時はそんな素朴な疑問に答える授業をしています。

素朴な疑問に答えることからはじまります。
例えば、性器の話。男の子のおちんちんの後ろにぶら下がっている袋の中にある丸い玉2つ。大人の体に近づくと、この中でいのちのもとが作られる。いのちのもとの名前は精子。女の子もお腹の中に丸い玉を2つ持っている。女の子も同じように大人の体に近づくとそこでいのちのもとが作られる。いのちのもとの名前は卵子。
そして、精子は空気に触れると生きられないこと、だから空気に触れないように子宮へ送り届ける仕組み、性交についても話をします。お父さんの精子とお母さんの卵子が出会い一つになって赤ちゃんになる。赤ちゃんはお母さんのお腹の中で大きくなる。だから女の子のお腹の中には赤ちゃんが育つお部屋「子宮」と赤ちゃんが生まれてくる道「膣」がある。
性器は、いのちを作る大切な仕事をしている場所だとわかれば、大切にすることができます。下着や水着で隠れる場所「プライベートゾーン」は、ぼくだけ、わたしだけの大切な場所。ここぐらいまで話すと、おちんちんというだけでざわついていた子も大切な話をしていることがわかってきます。
精子と卵子の出会いも偶然で、みんなの命は奇跡のような確率で生まれたことを伝えると、どの子もキラキラした目で嬉しそうに聞いてくれます。
いのちの始まり受精卵、自分の始まりが、針の穴ぐらいの大きさだったことがわかると、とっても小さかったことに驚き、自分はここからこんなに大きくなったんだと誇らしげな笑顔を見せてくれます。

生まれてきた時の話を聞くのも子どもたちは大好き。
みんなは自分で生まれる日を決めて、自分の生れてくる力、生きる力を使って生まれてきたこと、そして元気に泣く力があったから、今こうしてここに生きていること。お母さんも痛みに耐え命がけで赤ちゃんを産んだこと、お父さんも他の家族もみんな赤ちゃんが生まれたことをとっても喜んだことを伝えると「ああ!そうなのか」と誇らしげで嬉しそうな顔をします。
これらの話しを通して、みんな違うし、みんな違っていいこと、自分だけでなく他の全ての人の命が尊いというメッセージも子どもたちの心に届きます。

性教育というと、どうしても「性交」を気にする大人たちがいますが、授業後に子どもたちからもらう感想文(感想文は、ここいくの宝物です!)は、親への感謝や、生まれた喜びに溢れています。性交についての感想はほぼありません。性交を伝えることを心配しているのは、大人なんだなぁ~と感じます。

担当:ここいくメンバー・中村暁子でした。

ここいく☎090-3446-8061(中村)


vol.184 リバース14号

花がスミレににているが、スミレの仲間ではなくタヌキモ科。葉の表面や花茎の繊毛から粘液を出し虫を捕らえる。

ムシトリスミレ  Pinguicula vulgaris L. var. macroceras Herder( タヌキモ科 ムシトリスミレ属 )  撮影:長屋泰郎

ムシトリスミレは高山の湿地に生える食虫植物。 葉の長さは5cmくらいで、ロゼットは10cm弱くらいの大きさになり、やや群生する。夏に分枝しない花茎を伸ばして、淡紫色の花をつける。ムシトリスミレの葉には腺毛が密生しており、粘液に小さな虫が絡め取られる。新しい葉は中央から古い葉を押し広げるように伸びてくる。古い葉は虫を抱えたまま土に返り、栄養分を返すと考えればいいのだろうか。7~8月、高さ5~15センチメートルの花茎の先に、紫色の唇形花を1個横向きに開く。捕虫はもっぱら葉で行われますが、花茎にも無数の粘液をつけており、ここでも虫と捕まえることができるそう。多年草。湿原や湿り気がある岩地、地面などに生育する。四国、中部地方以北の本州、北海道から周北極地方に広く分布する。

かんくろうさん(ミュージシャン)

2011年の東日本大震災、なにかしなければと思う自分がいました。それまでは、吉田拓郎のファンで、ファン同士がつながって、拓郎さんの歌の替え歌で反原発、なんて歌っていました。福島で避難を余儀なくされ、飼育していたダチョウや 豚などを放ったのが沈黙の街を闊歩していたり、この歳で 街を離れるなら、という悲惨な現状を歌にして訴えてみた。でも、言い過ぎもよくないからオブラートに包んで、やさしく本質を突く歌を歌っていました。あまり表現が強いとみんな引いちゃうからね。やんわりと、メッセージを伝えるようにしていました。
そんな活動をしていたら、「浜名湖フォークジャンボリー」に応募してみませんか?と声がかかりました。そしたら、選考に通っちゃって。大人数の前で歌うなんて初めての体験でした。それから7年・・・
最初はソーラーバスで登場!というスタイルで音楽活動をしようとは思っていませんでした。もともとボクはアウトドア志向で、キャンピングカーのつもりで、40年落ちのワーゲンを購入しました。屋外でラーメンとか、コーヒーを入れたらおいしいだろうなぁ、ソーラーパネルで発電した電気を使ったらおもろいやンって。
それが反原発の流れで、車にソーラーをつける理由が変わりました。自分の音響の電気は自分でまかなってみようって。野外コンサートというのはものすごい電気を使うんですね。で、電気は自前というスタイルで歌ったら、みんなが喜んでくれるんですよ。発電した電気はあえて直流電気を使っています。電気って流れの方向だけに伝わるのではなく ノイズの逆流も瞬時に伝わるのです。原発由来と 隔離していることにも意味があるのです。
フォークジャンボリーにはすごくたくさんの人が集まりますから、そこで、チャリティーグッズを販売して、売り上げのすべてを福島の子ども達に寄附しています。その他、エコフリーマーケットとかにも出向いて、歌ったり、グッズを売ったり、その売り上げも寄附する、そんな活動を続けています。
ボクの本業はウレタン加工の製造業です。端材がたくさん出るので、それをクッションにしたり、自分のマークをシルクプリントして、チャリテーグッズをつくります。自分で縫いますから 〔シンガー・ソーイング・ライター〕なんちゃって(笑)
今後めざすことは?って、よく聞かれるんですけど、ここまで来たのも、流れっていうか、自分の気持ちに添うことをしているだけです。
で、40年ぶりに新曲を書いたんです。4番まであるんですが、1番だけ披露させていただきます。

♪ 勿 体 無 意 ♪

も も も 勿体ない  も も も 勿体ない
錆びたバンパー 閉まらないドアー バネの飛び出た座席なのに
夢の ような 魔法 のエネルギー
この 車で さすらってみたい 青い風に吹かれてみたい
でも この車 燃費が悪くて 税金も 割高なのです

写真① 子どもたちがソーラーバスを見て「猫バスみたい」っていうので、ノリで装飾してみました。縫うのは得意ですし(^^)
写真② プラグを挿すだけで使える電源はありがたいですけど、ボクはあえて屋根にソーラーパネルをつけて発電して音響に使っています。
写真③ ライブハウスなどで現物のバスを見せられない時にMCネタとして このミニチュアバスをお見せして説明します。(小さいけどソーラーセル本物積んでます)

浜名湖フォークジャンボリーで初めて大勢の前で歌う。エコフリマなどで、ミュージシャンとして登壇する傍ら、自ら改造したソーラーバスで発電し音響に使う。
これは、原発に対する緩やかなアンチテーゼだ。
ちまたでは、おもろいおっさん、中村寛郎さん65才
http://mahalo2.sakura.ne.jp/genki


vol.184 ボーダーレス社会をめざして vol.43


NPO法人オープンハウスCAN 理事長 伊藤佐代子

個展を再開
3月にぎふ清流文化プラザで岐阜県の障がいのある人たちの展覧会「花さく、ハレ」がありました。出品作家約30名の中に選ばれ、息子の絵が展示されました。それをきっかけに息子は個展をやろうという気持ちになったようです。7年前に「もう僕は個展はやりません」と宣言したのにもかかわらず、同級生が個展を開いたり、知っている人が個展を開くとやたら気になり、出かけて行っては刺激を受けてきていました。同級生が書道の個展を開いた時には、相当ライバル心を持ち
「僕も賞を取って個展を開きます。」
と言い、書道の道具を一式揃えて、家で書道を始めました。
「あっちゃん、書道の個展を開こうと思ったら、全国コンテストで入賞しないとだめだし、難しいよ。あっちゃんには、絵があるから絵で個展開けばいいんじゃない。」
と伝えました。自分の絵が一部の人の間では、評価されているということが全く分からないようです。あれだけ私が褒めてるのにもかかわらず分からないのです。気持ちの上で個展をやると決めてからは「いつ個展をやるんですか?」としつこく聞いてくるので、7月14日~23日岐阜駅の隣のハートフルスクエアGの2階でやることにしました。それ以後、息子は新作を創らなくてはと、俄然張り切っていろいろな絵が出来上がってきています。これは???という作品が多いのですが、今回は本人が喜ぶ作品展を考えていますので、私が気にいらない作品もどんどん出そうと思っています。
自閉症の人は、一度言ったことは覆さないと思っていたのですが、「個展をしたい」とは・・・ちょっとびっくりです。1月頃から彼の調子がいまいち良くなかったのですが、毎日毎日絵を描き続けているので、少しずつ安定してきています。何かすることがあるというのは、自閉症の人には必要なようです。自由という時間が、一番彼らは苦手です。何をしていいか分からないからです。スケジュール表を作るなど、見通しが立つと気持ちが安定するのだと言われます。しかし、自閉症といっても十人十色です。そんなスケジュール表が必要な人ばかりではありません。息子はどちらかというと、スケジュール表は必要がない人です。自分で一日を組み立てることが出来るようになってきているので、人からの指図は苦手です。それだけ自分というものが出来、大人になったということでしょうか?
今回はDMも自分で作りました。どんな展示にするか?悩ましい所ですが、一緒に考えていこうと思っています。土、日、祝日は会場におりますので、是非ご来場下さい。


vol.184 人生これから えんぴつ・カフェ

第5回 えんぴつ・カフェの報告
今回は、お墓の話題で盛り上がりました。実家が遠い、墓守が負担にならないようにしたい、連れ合いと一緒の墓には入りたくない、そもそもお墓は要らない、散骨しておしまいにしたい、手元に置いておくのがいい・・・などなど、それぞれの思いを語り、共有しました。

千の風になって〜♪という歌の通り、お墓の前には亡き人はいないんだから、とか、いやいや、やはり、ご先祖さまがが帰るところとして必要だし、お墓の前で手を合わせると落ち着くし、墓に心のよりどころを感じるのも確か、なのでやっぱり必要だわ、とか。こんなおしゃべりを通じて、自分の考えを調整したり、確認したりするのが“えんぴつ・カフェ”です。
みなさまの参加を、お持ちしております。

次回のえんぴつ・カフェ
と き:第7回・7月21日(土)
じかん:13:30-15:30
ところ:産業文化センター2階第1会議室
会費500円
(紅茶&お菓子を楽しみながら、座談会形式で情報を交換しながら書き込んでいきます。)

えんぴつ・カフェ 開催日程
会場:各務原産業文化センター2F第4会議室
時間:13:30−15:30(会場は変更の場合がありますのでお申し込み際にご確認ください)

7月21日(土) おしゃべりしながらノートに書き込む

8月はお休み

9月20日(水) スペシャル第2弾「成年後見人制度って?」
講師:青木文子氏(司法書士)
成年後見人制度って知ってる?制度をよく理解し、自分や
家族のライフデザインを設計してみます。

10月18日(木) おしゃべりしながらノートに書き込む

11月18日(日) スペシャル第3弾「終末期医療を考える」
講師:木田盛夫氏(木田ファミリークリニック副院長)
終末期医療について、実情を検証しながら、在宅のメリット、デメリットを学びます。

12月はお休み

2019年 1月19日(土) スペシャル第4弾「在宅の現場から」
講師:入学佳宏氏(ケアマネージャー)
ケアマネージャーから在宅の現場の声を聞き、介護や看護
のあり方を考えます。

2月20日(水) おしゃべりしながらノートに書き込む

3月20日(水) スペシャル第5弾「どうお別れしますか?」
講師:市川雅清氏(一級葬祭ディレクター&終活アドバイザー)
えんぴつ・カフェで常に話題になる葬儀やお墓の問題それ
ぞれの土地柄や実情などを含め情報交換します。

スペシャル:講師の基調講演を聴いたあと、講師を囲み感じたことなどをシェアします。会費1,000円(紅茶&お菓子付き)

えんぴつカフェの問い合わせは
田辺 090-5638-7044 三上 090-7854-4561


vol.184 ホスピスナース奮戦記 vol.9

緩和ケアのむずかしさ
今日の一件目の訪問は、40代後半の女性だった。膵臓がんの末期。ベッドに横たわるその患者さんは、体中の脂肪も筋肉もすべて失ってしまったように痩せていた。肌の色は、黄疸もあって灰色がかった黄色をしていた。意識はもうろうとしていて、時折、おおきなうなり声をあげている。時々かろうじてうなずくだけの反応が確認できたが、もう意志疎通は難しかった。顔は苦しそうな表情をしていて、頻繁に寝返りを打っている。とても安らかな様子ではない。ベッドの脇には中学生くらいの息子さんと夫がいた。夫は、「妻は、朝からずっと痛み止めが効かなくてうなっている。痛みで落ち着かない。どうか痛み止めの量をあげて、楽にさせてあげてくれ」と言った。もう昨日から尿もでていないし、何も口にしない。家族の覚悟はできているという。
痛みや不安感の緩和は、ホスピスケアの中でも最優先事項。ただ私は訪問前に読んだ、前日に担当看護師の書いた記録がすごく気にかかっていた。そこには、患者さん本人から担当看護師に、「多少痛みがあってもかまわないから、痛み止めを減らしてほしい。痛み止めで意識が朦朧としたり、眠くなったりするのを極力抑えたい。痛みがあってもいいから、自分の息子としっかりした意識で会話できるように痛み止めを減らしてほしい。」と頼んだ様子が記録されていたのだ。
私は、ここでとても迷ってしまった。この状態で痛み止めの量を増やせば、たぶんきっとこの患者さんはこのまま意識がはっきりと戻らずに死を迎えるだろうと予測された。今ならかろうじてうなずいたりできる。
 私は、この家族を知らない、私はこの患者を知らない、彼女はどれだけ息子さんと会話できたのだろうか。昨日の夜からどれだけの痛みを抱えているのだろうか、またどれだけのことを伝えたのだろうか。家族に患者さん本人の希望で前日から痛み止めの量を減らしたことを伝えても、もうそれどころではなかった。患者さんの苦しそうな姿をみていると家族はいてもたってもいられない。そばにいる息子さんは、現実をみないようにしているのか、訪問中はずっとうつむいてゲームをしていた。今にも死にそうな変わり果てたお母さんの姿を前に、彼なりに踏ん張っているんだろう。本当は、ものすごく患者さんに聞きたかった。ちゃんと息子さんに伝えたいことを伝えられましたか?
今となっては本人にしかわからない。それができずに痛みだけに耐えていたら、と思うと心が痛んだ。また、そんなお母さんの姿をみているこの12歳の息子さんのことを思うとさらに心が痛んだ。この患者さんは現時点ですでにバイタルサインだけみても死が近いことが予測できたし、すでに相当量の痛み止めを必要としていたから、現時点で痛みのコントロールをしてなおかつ会話のできるような状態まで意識を戻せることはないだとうと思った。夫も他の親族もいよいよ最後だと言った。
私は、言葉だけがコミュニケーションではない、きっとこの患者さんは最期まで息子さんへ愛をこめていろんなメッセージをおくっているはずだ、と自分に言い聞かせて、痛み止めの量をあげる指示をもらった。パッチの痛み止めも張り替えて、必要な時に痛みや苦しそうなレベルに合わせてあげられる経口の痛み止めもあげて、新しい分量を家族にも説明した。帰る前に息子さんにもお別れをいったら、やっぱり黙ってじっとゲームの画面を見つめていた。
母親であり、妻であり、姉である患者さん、でもやっぱり自分の子供のことを一番考えていたのだろうと思う。この患者さんは、次の日に亡くなった。どうか、患者さんのメッセージが息子さんへ伝わっていますように。

 

わかばま〜く:プロフィール 1982年生まれ。ニューヨーク州立大学卒業後、ニューヨーク市立病院に看護師として4年勤務。現在は訪問看護師としてホスピスケアに携わっている。岐阜県各務原市出身。


vol.184 ぎむきょーるーむ 発達障がい大人が変われば「薬」はいらない!?

大人にとって「便利なもの」だから・・・・・・・・・・ 嶋田 和子
学校と医療がつながる理由

教師が手に負えない子は精神科医に

学校・医療者・薬がつながるのはなぜなのか?この疑問に答えるのは案外、カンタンかもしれません。
発達障がい、ときにADHD(注意欠陥・多動性障害)に使われる薬が、学校の先生や医療者、保護者、本人、そのほか本人をとりまく周囲の人たちにとって、たいへん「便利なもの」だからです。
飲めばある程度の、目に見える効果が得られると感じている人が多いわけです。多動が治まったり(治まったように見えたり)、勉強に集中できたり(できたように見えたり)、要するに子どもの言動に変化を及ぼすことができる(と思われる)薬なのです。
私はフリーのライターとして精神医療問題をテーマに、この7年いろいろ取材を重ねてきましたが、発達障がい、ときにADHDの対する投薬は、これまでの精神医療分野で問題になってきた多剤大量処方の問題とはまた別の側面があると感じています。
それは、集団にうまくなじめない子どもを、病気、障がいという概念を飛び越えて、その便利な薬によってなんとかしようとする大人の側の論理の存在です。
最近、「連携」ということが盛んにいわれるようになりました。学校と精神医療の連携です。一昨年の日本精神神経医学会において、そのシンポジウムに招かれた現役の中学校教師二人が、「学校現場は精神科医の助けをもとめている」とラブコールを送ったことは、私にはたいへんな驚きでした。教師では手に負えない子どもたちを精神科医にゆだねたいという、なんとも露骨な主張に、「教育の放棄である」として出席した先生たちに抗議文を送りましたが、いまなお、なしのつぶてです。

窮屈な教育現場の中で

しかし、私には驚きでしたが、現実の学校現場ではすでにそういうところにまで行ってしまっているのかもしれません。
スクールカウンセラーやソーシャルワーカーは、学校と精神医療をつなぐパイプ役になっているという話も聞きます。
それはある意味で、手のかかる子どもを教室から「排除」する役割も担っています。「排除」のために、発達障がい概念は大変便利であり、薬は手っ取り早い
手段なのです。
薬を飲めばなんとかなる。薬が解決してくれる。病気、障がいには薬は必要である・・・・・・。
発達障がいは服薬することで本人も楽になると言う考え方も広まっています。
「薬を出すこと以外できることはない」といった児童精神科医もいます。先日話を聞いた小学校の先生は「薬に疑問を抱いている教師は、ほとんどいません」といっていました。
社会全体がこの薬の「依存」に陥っているのです。
もちろん、こうした背景には、現代の教育現場の窮屈さもあるでしょう。クラスで起こったことはすべて担任の責任となれば、薬を飲んでもらって未然に「事件」を防ぎたいと考える先生がいたとしても不思議ではありません。校長の評価が気になったり、保護者の意見が気になったり・・・・・・その板挟みで学校の先生は「薬依存」に陥っていくのでしょう。
一クラスの人数が多すぎて、一人ひとりにかかわる余裕がないという事情もあるようです。書類仕事が多すぎるという意見も聞きます。そういう現実的な大人の側の問題の陰で、子どもが薬を飲むことになるとしたら、やはりその服薬はけっしてその子のためではない。
私はこの7月、『発達障害の薬物療法を考える』(彩流社)という本を出版しました。本を書くにあたってあるスクールソーシャルワーカーを取材し、本書の中で「闘うスクールソーシャルワーカー」として紹介しています。彼女はみずから子どもを医療につなげたことは一度もないといいます。
「発達障がいに精神科医はいらないです」といいきった彼女の言葉が印象的でした。「発達障がいは精神の問題じゃない。”発達“なのだから、かかわり方でよくなっていきます」。

子どもたちを医療に手渡す前に
前出、小学校の先生から聞いた話です。いつも人のものを取っては走って逃げる男の子がいました。先生も同級生も彼を追いかけ、取り返そうと躍起になりましたが、彼とずっとクラスがいっしょだった女の子がポツリといったそうです。「あーあ、ほっとけば、すぐに返してくれるのに」。
子どもたちは多様性の中で成長します。一方、障害児と健常児がいっしょに学ぶインクルージョンではない特別支援教育は「排除」の教育です。
多動ということで薬を飲ませて、その子がじっと椅子に座っていられることがそれほど重要なことでしょうか。薬を飲んでおちついたから、それで問題解決とばかりに、先生や周囲の大人がその子に対して丁寧にかかわることをやめてしまったら、その子にそのあと、どんな心の成長があるのでしょうか。あるいは、だからこそ、薬をやめることができないまま、延々と飲みつづけることになるのかもしれません。
連携という名のもとに教育現場が「医療化」することの“おかしさ”を、いま一度考え直してみる必要があります。子どもたちを医療に手渡す前に、学校の先生だけでなく、私たち大人の側も、できることはまだまだたくさんあるはずです。

しまだ・かずこ
フリーライター 2010年にブログ「精神医療の真実」を立ち上げ、精神医療の被害を中心に取材・執筆を続ける。著書に『ルポ 精神医療につながれる子どもたち』『発達障がいの薬物療法を考える』(彩流社)、『精神医療の現実・・・・・・処方薬依存からの再生の物語』(萬書房)

ジャパンマシニスト社 おそい・はやい・ひくい・たかいNo.99より


vol.184 半農半Xという生き方 vol.25

一人歩きの会
ふと思い立ち、自宅の綾部市からお隣の京丹波町の道の駅「和(なごみ)」まで歩いてみました。27号線沿い、約25キロの道のりです。朝方は雪で長靴を履いてだったので、約4時間ほどかかりました。車なら30分といったところでしょうか。時間はかかりましたが、歩くといろいろなものが見え、味わい深くすべてが愛おしく感じました。いつか、今度は和知から須知まで歩く予定です。そして、またもう1日かけて今度は須知から亀岡へ。さらに亀岡から京都市内をめざす予定です。なぜ歩くのか。そう問われれば、一度、先人のように京都まで歩いてみたかったからと答えるでしょう。我が村ではその昔、京都市内の有名社寺より、神輿を購入し、持ち帰ったという記録があります。歩くだけでも大変なのに、よくあの重いものを持ち帰ったものです。先人への敬意を表し、歩いてみたいと思うのでした。車ならあっという間ですが、排気ガスも出さず、化石燃料も減らさず、ゆっくりと風景を楽しみながら、歩いてみたいと、ふと思ったのです。

アザミの楽園
草刈りシーズンになりました。これから秋祭りのころまで、草刈りに追われる日々となります。草刈りの際、胸ポケットにはペンと紙を入れ、ひらめきがあったら書き留めています。五感が刺激されて、いいアイデアが浮かぶことが多く、草も刈れてきれいになり、アイデアも収穫でき、一石二鳥です。唯一残念なことは草むらのカエルをときどき殺してしまうこと。今年は平和でありますように。草を刈っていて、アザミ(薊)の花に出会うと、幼稚園の担任の先生のことを思い出します。遠足のときだったか、先生はぼくたちに「私はアザミが好きです」と言われたのです。そのことばをぼくはなぜか覚えているのでした。綾部にUターンをして19年ですが、野のアザミはできるだけ刈らず、残すようになりました。すると、畑の一画が美しいアザミ野に。村の方が足をとめ、「アザミってこんなにきれいだったかいな」と言われたときはうれしく思いました。タダと言っては何ですが、お金をかけず、アザミがきれいなミニ名所ができたらなと思い、今年もアザミを刈らずに大事に残します。

塩見直紀(しおみなおき)半農半X研究所代表
1965年、京都府綾部市生まれ。20年前から「半農半X(エックス=天職)」コンセプトを提唱。半農半X本は翻訳されて、台湾、中国、韓国にもひろがる。著書に『半農半Xという生き方 実践編』など。

※半農半Xとは・・・半農は環境問題、半Xは天職問題(どう生きるか)を背景と する。持続可能な農のある小さな暮らしをベースに、天与の才を社会に活かす生き方、暮らし方。ex.半農半漁、半農半大工、半農半看護師、半農半カフェ、 半農半絵描き、半農半歌手、半農半鍼灸師、半農半カメラマンなどなど。


vol.184 未来に続く暮しの学び Part-26

続けるということ
5月1日、私たちの運営するエコビレッジ/リトリートセンター・パラダイスワンは5周年を迎えました。
試行錯誤をくり返した5年間ですが、これからどうしていこうかという、方向性の転機となる年を迎えた感じです。
この5年間で、パーマカルチャーを主軸とした畑つくりと様々な国籍の人たちとのネットワークは、うまく機能してきたと思います。また、音楽、アート、ヨガ、瞑想、ワークショップ・・・などいろいろな分野で活躍している人たちに場所を提供したことで、得られた気づきも多くありました。
ほんとにたくさんの人たちの力を借り、協力があればこそ続けてこられたと思うと、感謝と喜びであふれる思いです。しかし、その喜びの反面、打ち抜き検査で、市役所の衛生管理局から、いろいろと指摘されたのが5周年記念の5月1日。65人規模の団体を受け入れて一番忙しい時期に検査が入るとは。。。。。実は、その少し前から、施設の設備(配管やキッチンなど)いたるところに不具合が生じ始めていて今後の運営をどうするか考えていたので、これも面白いタイミングだなと思いました。
役所とは、うまくつきあっていこうと話し合い、やるしかないのですが、提出する書類の多さに頭をかかえ、憂鬱になりました。
まさに、やる気を吸い取られるという感じ。とにかく役所とのやり取りは、仕組みがややこしすぎますよね。例えば、コンポストのトイレ、排水の処理、飲み水の確保、残飯の処理、生活をするうえで不可欠な部分を自分たちの住む環境に適した方法で確立する。それを全部書類で市に提出しなければいけないというのは、相当量の作業です。
でもこのタイミングの出来事は、持続可能な生活とはなにかを問いかけられ、もう一度自分たちが考えるきっかけにもなりました。
社会の仕組みを理解したうえで、持続可能な生活をアピールしながら施設を運営すること。それが、今の自分たちのミッションだと思っています。       Yao


vol.184 菌ちゃん野菜応援団 第5話

どんどんお日さまが力強く輝くようになりましたね!!
日も長くなって我が家の子ども達はいつも6時過ぎまで遊び呆けております。
草の勢いも、日に日に無視できない高さになり。。先日は草刈り機をお借りして一気に広い畑を刈り取りました。もちろん、刈った草は畑に戻すんですよー。こんなところも循環なんですね。
畑仕事も本格始動。夏野菜の植え付けを済ませた方も多いのではないでしょうか??

今回私たちが行ったのはお芋の苗植えです。
SNSでよびかけたところ、お子様連れのママを含めて10名ほどが集まりました。 広い畑を耕運機でおこして畝立てをし、一本づつ植え付けていきます。
今回は干し芋に最適な紅はるかをチョイス♥芋掘りはしたことあるけど、苗を植えるのは初めてです!という方が多かったですよ。
まぁ、ザクッとやってグッと押し込んでギュツと踏み潰すんですけど。。ってわからんですね。。
ぜひ、体験に来てみてくださいね!人数が多かったので里芋の植え付けもできました。
こちらもザクザク歩きながらぽいっと
入れてざっと土をかけて。。はい、わかりませんね(^_^;)

土に触れてると最初はきついけど、そのうちだんだんと元気になる気がします。
いつまでもはつらつとしていたい方、ぜひ土いじりしてみてくださいねー。


vol.184 夢か悪夢かリニアが通る! vol.13

さよなら椿魚市場

JR名古屋駅西口近くで戦後約70年にわたり市民に愛されてきた「椿魚市場」が5月末、営業を終えました。JR東海が進めるリニア中央新幹線の名古屋新駅建設のため、立ち退かざるを得なくなったからです。最後まで営業したのは、マグロ専門店など7店。「長い間ありがとうございました」「体に気を付けてね」。場内には、店員と客が互いを労わり合う声が飛び交いました。 ジャーナリスト・井澤宏明

最終日の営業をほぼ終え、記念写真に収まる椿魚市場の人たち(5月31日)

戦後の露店から70年
戦後、椿神社周辺の露店からスタートした同市場。1950年ごろには、神社向いの約500平方メートルの敷地に木造の市場が建ち、30店余りが入りました。
東海道新幹線の開業(64年)に伴う区画整理で3分の2になった敷地に、鉄骨造りのビルが完成したのは67年のことです。
親子2代続く店も多く、家族同然の付き合いを続けてきました。トラックが来れば、手が空いている人は皆で魚介を降ろします。
リニア予定地にかかるのは市場のほんの一角。残った土地で商売を続けたいという人もいましたが、高齢の店主が多いため、土地を売って7店とも店を畳むことを決めました。
「魚富」の橋本博さん(84)は新制中学を卒業し、17歳からこの市場で働いてきました。「65年もやった商売やで、ぱっとやめよと言われても寂しい」とこぼします。リニアについて問うと、「我々高齢者には何の魅力もないな。忙しい人はいいだろうけど、新幹線でも速過ぎるぐらいだもんね」。
長男の隆夫さん(55)は「仕方がないですよね。サラリーマンの方でもリストラや倒産はあるので」と忙しく包丁を動かしていました。翌日から、別の市場でアルバイトをしながら、お得意さんへの配達を続けています。
新駅工事で立ち退き対象となる地権者は駅東西の約120人。「一日でも長くおりたい」と立ち退きに応じていない家もあります。
椿神社の杜の一部も予定地にかかり社殿も移動する必要がありますが、氏子の一人によると、土地を交換するか売却するか、まだ結論が出ていないそうです。

大深度地下から脱出できる?
名古屋市や春日井市では5月、リニアの大深度地下トンネルの住民向け説明会が開かれました。地下40メートル以上の深さの「大深度地下」使用認可を国土交通相に申請したことから行ったものですが、説明会開催の告知をトンネル上の住民に戸別に行わないで、自治体の広報誌や回覧で済ますなどずさんな対応が明らかになり、各会場で不満の声が上がりました。
10日に名古屋市東区で開かれた説明会には約130人が参加しました。会場には、JR東海の若い社員が大勢詰めていましたが、これらの社員がルート上の家を戸別に回ることがそんなに難しいとは思えません。
説明会では、地震などで緊急停車したとき、大深度地下から地上へどのように避難するのかを巡り、参加者から様々な疑問が投げかけられました。
JR東海によると、緊急時には車内からハシゴと階段でトンネル下部の避難通路まで降り、最寄り駅か約5キロごとにある非常口まで歩いて移動、エレベーターや階段を使い地上に脱出します。
これに対し、「乗客全員が避難するのに何時間かかるのか」という質問が出ましたが、担当者は「避難通路はしっかり加圧して火や煙は入ってこない構造になっており、避難の時間は関係ない。ゆっくりでいい」と回答。他の参加者から「乗客がパニックになる可能性がある。慌てなくていいと言うのは不親切だ」と指摘され、「開業までに、訓練を通して避難時間を決めていきたい」と答え直す場面もありました。
「車いすなどの障害者はどうするのか」という問いに対しては、「乗務員が背負って降ろす。乗客にも協力していただく」との答え。歩行困難な乗客を避難通路から車両で救出する計画も示しましたが、大深度地下でのバリアフリー対応が極めて難しいことをうかがわせました。
大深度法によると、国の認可を受ければ、大深度を地権者への補償なく使用することができます。JR東海は東京、神奈川、愛知の3都県の計50・3キロで大深度の使用を計画しています。

最終日もいつもと同じようにマグロをさばいた(宇野商店で)

 


vol.184 かなでの沖縄だより vol.8

平和について語り合いたいと、各務原市の中学生でつくったPeace of peace。主要メンバーの小田奏さんは、2017年春から沖縄の大学生に。それを機に彼女の平和への思いをリポートします。

6月23日は「慰霊の日」
去年もこのコラムに書かせてもらったのですが、6月23日が沖縄にとって特別の日だということを覚えてみえますか?
私も恥ずかしいことながら、沖縄に来てからこの日が慰霊の日、沖縄戦が終わった日だということを知りました。でも、去年のこの日は怖くて外に出ることができませんでした。この日、学校はお休み、沖縄全体が悲しみの色に染まります。それは戦争から73年経った今年も同じです。そんな私も沖縄県立芸術大学に入学して、モーツァルトレクイエムコンサート(戦没者を慰霊するコンサート)にも出演させていただき、さらに思いが深くなりました。
沖縄戦は太平洋戦争末期1945年、沖縄諸島に上陸したアメリカ軍を主体とする連合国軍と日本軍との間で行われた戦いのことをいいます。太平洋戦争唯一の日本の国内で戦われた上陸戦です。その爪痕はまだ残っていて、戦争の恐ろしさを語ってます。大学のある首里もたくさんの犠牲者が出たところの1つです。首里教会には、銃撃戦でボロボロになった十字架がまだ残ってます。

日常生活

しかし、沖縄戦について考えなければならない、もっと知らなければならないとは思っているものの、悲惨なものすぎて、怖くて手を出せないというのが現状です。
最近、沖縄では基地の建設が強引に進められていたり、オスプレイ問題だったり、たくさんの問題で溢れかえってます。オスプレイが飛んでいるのをよく見るし、街では基地建設反対の運動がたくさん行われています。緊急着陸したり部品を落としたりと、トラブルが絶えないオスプレイやその他のヘリが飛んでいるのを間近で見ると、やっぱり「なんで飛んでるのかな?必要あるのかな?」と不思議に思うし、沖縄県に基地って必要なんだろうかと疑問に思います。
この前、アルバイト先の小学生の子に「かなちゃんにとっての平和ってなに?」って聞かれました。答えた後に私も「なら、りょうちゃんにとっての平和ってなに?」って聞き返したら、笑顔で 「みんなで遊んでる時!」って答えてくれました。小学一年生の子でもこんなことを聞いてくるって、もしかしたらなにか変だなと感じている部分ってあるのかなと考えてしまいました。私もまたおんなじようなことが起こるんじゃないかって感じているから…。変だなと思ったことを発信できる雰囲気であって欲しいし、「平和だよ!」って自信を持って言えるようになりたいなと思います。それよりも、今年の6月23日はしっかりと街に出て、平和の空気をしっかりと吸い込んで、平和であることに感謝したいと思っています。

写真上:「平和の礎」  写真右:平和祈願慰霊大行進・6月23日 午前9時~午前11時半まで、糸満市役所から平和祈念公園(糸満市摩文仁)まで約9㎞の道のりを歩きます。
(いずれも2016年撮影)

 


vol.184 プレゼントコーナー

PRESENTS 184号

1- あなたの
「エコな夏の過ごし方」教えて!
暑い夏もエコに涼しく過ごそう!あなたの工夫を教えてね。
2- 気になるにらめっこ紙面での広告
3- 気に入った記事、気に入らない記事の
タイトル1つ・その理由もお書きください。
4- ご希望のプレゼント名
(第1希望・第2希望)
5- 本紙をどこで入手されましたか?
6- 氏名、年齢、住所、郵便番号、電話番号、  家族構成

プレゼントご希望の方は
ハガキまたはe-mailで、上記のアンケートを
1〜6までご記入の上、編集部・プレゼント係りまでお送りください。
〆切:7月25日 当日消印有効。
A、Bはにらめっこ編集室に受け取りに来ていただける方。

宛先
〒504-0855 各務原市蘇原新栄町2-25
e-mail: info@niramekko.com
※お寄せいただいた個人情報は、本紙プレゼントの発送に限り、 使用させていただきます。

 

 

A.完熟もみがら堆肥いぶきのめぐみ (株)農トレ様より…3名様


もみがらに牛糞を混ぜて、発酵・炭化させた堆肥です。臭いニオイもなく、ふかふか!土つくりも苗つくりにも、マルチにも、プランターなどの土の再生にも!
いろいろ使える植物の強〜い味方です。

 

B.グルテンフリー ライスパスタ 青空の下つながろう会様より…3名様

2011年から福島の子どもたちを清見の大自然の中、思いきり戸外で遊ばせたいと始まった保養支援活動。毎年活動を続けています。貴重な活動資源を得るための商品・ライスパスタを提供していただきました。小麦粉不使用、岐阜県産はつしも使用。200g入り2袋。会の様子はface book「青空の下つながろう会」で検索してみてね。

 

C.Jazze! Liveご招待券 アートギャラリー是様より…ペア1組様

林かなトリオ。骨太で弾力のある音を奏でるベーシスト。女性的なしなやかなビート間の中に、ときおり見せるブラックフィーリングが魅力的なトリオです。当日は、是オリジナル石窯ピザ、オーガニックスウィーツなどもに加えカクテルバーも併設。真夏の夜のひとときを過ごしませんか?
7月29日 17:30開場 19:00開演 アートギャラリー是

 

D.CINEX映画招待券 シネックス様より…ペア3組様


映画館は映画の本当の魅力を堪能出来る、唯一無二の場所。皆と喜怒哀楽を共有するも良し。一人画面に没頭するも良し。TV画面やホームシアターでは味わえない、映画本来の姿を楽しみに、さあレッツゴー!写真は「きみへの距離、1万キロ」より。柳ヶ瀬のシネックスでご利用ください。


vol.183 環境特集Part-1 森・川・海 つながるいのち

私を自然と呼ぶ人もいる
私を母なる自然と呼ぶ人もいる
私は45億年以上も昔からここに存在している
あなたたち人間よりも2万2,500倍も昔から
人間がいなくても私は困らない
でも人間は私が必要
そうあなたたちの未来は私しだい
私が繁栄すれば あなたたちも繁栄する
私が壊れれば あなたたちも壊れる
さらに悪いことも
でも私は太古の昔からここに存在している
私はあなたたちより大きい
そして私は多くの生き物たちを飢えさせてきた
私の海
私の大地
絶え間なく流れる私の川
私の森
みんなあなたたちを受けいれてあげられる
でも見放すことだってできる
どのような生き方をあなたが選ぼうが
私のことを考えてくれようがくれまいが
どちらでも構わない
あなたたちの行動が あなたたちの運命を決める
私が決めるのではない
私は自然私の営みは続く
私は進化する覚悟ができている
あなたたちにはその覚悟があるのかしら?
NATURE DOSEN’T NEED PEOPLE
自然は人間を必要としない
PEOPLE NEED NATURE.
人間には自然が必要
ジュリア・ロバーツ/ Nature Is Speaking
「母なる自然 / Mother Nature」

森と川と海はつながっている。では森と人、川と人、海と人がどんな関わりを持っているのか、思いを馳せたり、考えたことがあるだろうか。180号の「平和特集」で、映画「カンタ!ティモール」の監督が、東ティモールの人とあいさつを交わすときに、「あなたの山の名前は?」と聞かれるとか。私たちの暮らしを支えてくれる「水」の出所。その山に感謝して暮らすのがあたりまえという文化。
私たちは水道から飲み水に適した水がいつでも出ることに、慣れてしまった。自然の恵みに感謝する気持ちを忘れないでおこう。森や川や海が元気でないと、私たちはその恩恵を受けられない。
NATURE DOSEN’T NEED PEOPLE
自然は人間を必要としない
PEOPLE NEED NATURE. 人間には自然が必要


萩原・ナバ・裕作さん

森と人をつなぐ
森には人間に必要なものがすべてそろっている。木々は家や家具、燃料となり、また、きのこや動物(肉)を育て、朽ちては肥料に。植物や木の実は人や動物の食料に…。森や里山はわたしたちの衣食住をまかなってきました。
ところが今、私たちの生活では手間を省くことが注目され、時短などがもてはやされています。手間を手放した分、森と人のつながりがなくなってきました。大事にしなくなり、気にしなくなってきた。さらに生活にかかわらなくなって森からどんどん遠ざかってしまった。子どもたちにはせめて、庭木に登ったり、垣根の根っこに潜るだけでもしてほしいです。子どもたちにとってはこれも「森」なんです。身近なところからまず「木に触れてほしい」とナバさん。(写真)
昔はちゃんと上手に木を育て、木を切るときにはお祓いなどをして、木を敬うことを忘れなかったんですね。でもその後、木がお金に見える時代がありました。お金のために次々と植林したものの、木材価格下落が原因で放棄されるようになったんです。そして、昔の人は木の性質もよく知っていて、それは伝統工芸とか曲げわっぱなどに活かされてきたのですが、職人さんが減ってきて、伝承していけるかどうか心配です。

里山の環境が気になります。
便利を覚えると元に戻れない。それは動物だって同じ。暮らしのために毎日森を活用しなくなって、人里との境界線がわかりにくくなりました。そうするうちにだんだん人里に降りてきて、ついに見つけた!食べ物がずらっと並んでいる!!しかもおいしい、となれば、もうその味を覚え何度もやってくるのは、当然の成り行き。来るな!と追い払っても、来る!しかし原因を作ったのは人間の方。甚大な被害に泣く前に、なぜ動物が人里に降りてくるのかという根本的な問題をとらえて対応しないとね。

森は”つくる、生み出す”場所、森とどうつながるか…今後の課題
きっかけ作りと継続的な活動が重要です。子どもに限らず、私たちも木というと木材となってからしか見ていないでしょ。まず生木に触れることだけでもいいから始めて欲しい。そしていろんな切り口で自然体験を積み重ねていく。「一本の木を切る」ということからでも算数、国語、理科、社会をはじめ全ての教科を学べますし、木工、染色、ライブ、アートがあったり、と木を絡めた学びの場はいっぱいあります。
そして遊び場としての森!森で暮らすとか、森の暗さを体験するとか。自分で確かめ、森の中に入っていくことをしてほしいです。頭の中だけでわかっていても、行動しにくいですし、感情を動かすのは体験です!
もう一つ、身近なビタミンN(Nature=自然)を取り入れることが大事。岐阜県は約80% が森林。他県を突出しています。気が向けばハイキングをしたり、自然を楽しんだりできる環境で恵まれています。出かけるのがおっくうだったら、公園や自宅の庭の木でも、とにかく触ってみて欲しい。そこからスタートしましょう。

はぎわら・なば・ゆうさく● 岐阜県立森林文化アカデミー准教授。自由な遊び&自由な学び 環境教育 インタープリテーション。「森と子どもをつなぎたい」「遊びと学びをつなぎたい」「自由と責任をつなぎたい」と思い、アカデミー内にプレーパークや森のようちえんといった実践現場を設け、毎日子どもたちから教わっています。2009年、野外自主保育「森のだんごむし」設立、2012年「みのプレーパーク」設立の仕掛け人。


長屋泰郎さん

自然の中に人工物が立ちはだかると生態系が狂う
川といっても上流、中流、河口と条件は違うけれど、生活排水の影響は、昔とくらべるとそんなに影響はあまりないと感じるよ。汚水処理場ができてから、キレイにしてから河川に流す仕組みになったからね、そのちからは大きい。それに、そこに生息する魚が水を浄化してくれている。でも、その魚も少なくなった。それよりも、河口堰だなぁ。あれができたおかげで、カワウが板取川上流まで上ってくるようになった。エサを求めて上流にやってくるんだ。鮎釣りのシーズン前に漁場に稚鮎を放流すると、すごい勢いで食べてしまう。カワウはグループで漁をする、賢いんです。鮎釣りシーズンになっても、成長した鮎の個体数が少なくて・・・。カワウの駆除に悩みが尽きない。生態系に狂いが生じた証拠だね。

にしても、川ガキがいなくなったよなぁ。小さいころから川で遊ぶっていうこと、しなくなった。親のせいかな。あぶないとか、先回りして禁止してしまう・・・そういう世代が「あそこにダムができるってよ!」っといっても、ピンとこないんじゃないかな。俺らは、早かった。自分たちが慣れ親しんだ自然(板取川)の中にダムができる話が持ち上がったとき、「ダムができるって知っとるか!?」とみんなが騒ぎ始めた。そして直ぐに運動が始まった。若者も含め地元板取の有志で「大釜倶楽部」を作ってダムを考える会として自然は自然のままにと、啓蒙活動も始めた。運動は闘争に変わっていった。それこそ巨大マンモスに竹槍でつついていくような状態。それでも粘り強く反対運動をしたが、ダム工事は進み、正式な調印までされてしまった。だけど大釜倶楽部の運動の成果として、工事の引き延ばしまでこぎつけた。その間に世の中が変わったんだ。原発があちこちに建設され、状況が変わった。需要の低迷などもあり、2006年に中部電力は建設中止を発表した。
われわれはソフトにやんわりじりじりと攻めたよ。マスコミにも何度も足を運んでもらって、紙面や映像として取り上げたもらった。大規模なダムの建設が止まるってめずらしかった。結局、中電は300億円くらいをばらまいたね。いくらお金をばらまいても結局は人口が減って地域の活性化にはつながらなかった。
[ダムで活性化ではなく、自然で人を集めていくべき。多くの人に川浦渓谷の美しさを知ってもらい、守ることの大切さを感じて欲しい]当時、泰郎さんが語ったことば(岐阜新聞)

ハンタイ!!と声をあげる前に
川浦渓谷の案内人でもある泰郎さんは「こぶしをあげて声を荒げてダム建設反対!ってやるのは好きじゃねぇんだ。それより、この渓谷の美しさを体感した人が、自然は守らなきゃ、と口々に伝えてくれる。草の根的だけど、それが大事」と話す。川浦渓谷には貴重な動植物が発見されており、保全対策も懸念されている。特に険しい岩場の水がしみ出す急斜面で長野県が西限とされている希少種のビランジ(ナデシコ科)の群生地、高山性の食虫植物・ムシトリスミレ(タヌキモ科)の発見者はいずれも泰郎さん。中電が計画していた川浦水力発電所について「環境アセスメントにこの2種の花は入っていない。よく調べて保全して欲しい」と訴えた。また水のきれいな渓谷に生息するナガレタドガエルやナガレヒキガエルもいて、まさに生物多様性が認められる渓谷だ。手つかずの原生林は豊かな暮らしを私たちに与えてくれる。
暮らしの中に川があり、川で遊び、川の恵みを受けて育った泰郎さんと共に運動を続けてきた人たち。その川が、経済の仕組みで川らしさがなくなることだけは避けたかった。ひたすらに生まれ育った土地を愛し、川を愛した泰郎さん。
「まぁ、あれがオレの青春だったなぁ。」と最後にひと言、感慨深げにつぶやいたのが印象的だった。
ながややすろう 庭師のかたわら、炭焼き小屋を建てて趣味の炭を焼く。アーティチョークや竹など思いも付かないものを炭にして楽しんでいる。写真家でもあり生粋のナチュラリスト。板取在住。

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7月21日は海の日

地球の7割は海です。そして地球の酸素の70%は海から作りだされている事、ご存じでしたか?森林はCO2を吸収し、光合成をして酸素を作っていますが、海の中でも光合成は行われ、太陽の光が届く海面に近いところに住んでいる植物プランクトンや、海藻が光合成をして酸素を供給してくれています。
外から見ているだけでは、一見きれいに見える海も、近年、地球温暖化や、開発、環境汚染などによって、悲鳴を上げています。ほんの数10年前まで、キラキラしていた海中は、人間の便利な生活と引き換えになくなってしまいました。
自然は、簡単に壊れてしまいますが、再生するには何十年もかかります。生態系にはかかせないサンゴは90%が死滅。海のゆりかご、アマモも90%が消えました。サンゴの天敵であるオニヒトデも大量発生。そして、漂流ゴミの山!
今まで散々自然を壊してきた人間としての償いとして、昔のイキイキとした海を取り戻すために私達ができることはなんでしょう?海での遊びを通して、海の生き物たちのことを話題にしてみましょう。自然の恵みによって私達は生かされていることを教えてあげてください。
身近にできる具体的な事を3つ上げるとすれば……
① 自分で出したゴミはもちろん、周りに落ちているゴミも積極的に拾おう。拾ったゴミは持ち帰るか所定の場所に捨てましょう。
ゴミは、街から雨に流され→排水溝を通って→川→海へたどり着きます。
② 日焼け止めは、海を汚します!自然環境に優しいオーガニック系の日焼け止めを!もしくは、海に溶けないウオータープルーフのものを。
③ サンゴがある海で泳ぐ時は、サンゴに触らない。蹴らない。立たない。砂地か岩場で立ちましょう。
ひとりひとりの小さな心掛けが、美しい地球を作っていきます。
mama_koeより

お二人のお話を伺って、森・川・海、そして人。「つながるいのち」を感じました。そして、共通する、自然に対する畏敬の念。まずは、それぞれのフィールドに親しみ、自然は私たちの生活と深くかかわっていることをしっかりと意識し、毎日感謝の気持ちをもって暮らしたいと思います。次回は海のエキスパートにお話を伺います!(編集部)


vol.183 アウトドア特集 エコキャンプ


キャンプとは自然との共生。自然の恵みに感謝して同時に自然に配慮することもエコキャンプに繋がりますね。

● 工夫はキャンプのいのち
いろいろ「エコ」について考えると「してはいけない」方に目が向いて、楽しく感じられなくなってきそうです。でも、工夫することはとても楽しいもの。「今日はこれだけの薪で料理をしよう」とか「ゴミが少なくなる工夫をしよう」とか、そうやっていろいろ考えるのも楽しいものです。キャンプ用品の豪華さなどで競うのではなく、「エコ度」で周りと競い合って欲しいなと思います。

● フィールドに刺激を与え過ぎないようにすべし!!
キャンプ場といっても、そこには沢山の生き物が住んでいます。芝生等の植物、土の中には無数の微生物もいます。例えば、そういうところに熱いお湯を流してしまったり、焚火台を使わずに焚火をしてしまったら、そこに棲む生物は死んでしまいます。

● 食材をとことん使い倒す
ふだん、野菜の皮などどこまで剥いていますか?野菜の皮近くは美味しいところばかりで、捨てるところはほとんどないなあと思っています。農薬のことなど気になるところですが、しっかり洗えば食べられる部分は結構あります。野菜くずをできるだけ少なくするようにしましょう。

● マイ箸・マイ皿・マイコップを準備!
一番簡単なエコキャンプへの第一歩。割り箸や紙皿も毎回使用していると、ゴミも増えるしコストもかかってしまいますよ。

● ゴミは出さない、持ち込まない
人間は「ゴミをいつまでも持っていたくないものなのです」と前に心理学の先生から聞いたことがあります。キャンプ場で出るゴミを減らすことはエコな意識の大切な一歩です。

● 汚れは拭き取るべし!!
ご飯を食べ終わった後に食器を洗う。そのまま炊事場で水に流す前に一手間、拭き取りましょう。この一手間だけでも十分エコ(^^)

● 自然からの贈り物
春の山は生命力に満ちあふれ、宝の山に変わります。3月から6月にかけて、コゴミ、タラ、ウド、ワラビにフキノトウ、タケノコなどなど、多くの植物が顔を出しています。
食卓に春の山菜を使った一品を加えると、時間に追われる生活の中でも春を感じることができます。少し、食べることを意識して植物を眺めてみるとおもしろいですよ。
こんなふうに生活に豊かな時間を与えてくれる山菜ですが、ちょっと気を付けたいこともあります。
困ったことに、根こそぎ山菜を採っていってしまう人や、むやみやたらと山を荒らす人がいます。これでは宝の山から宝が消えていってしまいます。自分が食べきれないほど採ったりせず、ほかの人のため、来年のために少し配慮してほしいな…と思います。
そして、宝探しに夢中になっていると、山の中に迷い込んで遭難する恐れもあります。山に入る時はくれぐれもご注意を。

たんぽぽ・・・花は天ぷらや三杯酢和えに。葉はゆでて酢の物やごま和えに。

こごみ・・・灰汁がないので茹でてすぐに食べられる。天ぷらや和え物で。

● 無駄を出さずにエコ・バーベキュー
ムダを出さない、残さない、後かたづけをしっかりすることが「エコ」につながります。野外で過ごしやすくなったこの季節、エコバーベキューに挑戦してみましょう。炭に霧吹きで水をかけ炭全体の火の起こり具合を整えます。焼き始めは炭全体が灰をかぶり白くなってきてから。この時点で網をのせます。これより早くのせると、ススや煙が食材につき、臭みがついてしまいます。
ポイント
温度チェック方法=15cm上に手をかざして3秒間我慢できる熱さがベストです。
バーベキュー成功のカギ=火加減は水加減(スプレー)肉がケムリくさくなって失敗するのは、炭がキチンと起きていないから。火の扱いが肉のうまみを変えます。炭から出る遠赤外線をしっかり利用しましょう。

【炭】
ホームセンターなどで売っているものの多くは黒炭。白炭は堅く、備長炭など。
・黒炭:原材料 ナラ・クヌギ
目が粗く、着火が早い。温度は約500度。
維持時間1~2時間
・白炭:原材料 ウバメカシ・カシ
目が細かく、着火が遅い。 温度は約700度。 維持時間2~3時間


vol.183 カタコトの部屋 買い物は投票

お買い物は、外国産よりも国内産、遠方よりも地域のものを。農産物は、低農薬や無農薬の表示があればそちらを選びたいですね。
できるなら、生産者の方に直接「これは無農薬ですか?」と聞いて買えるのがベスト。
加工品は、パッケージの裏の成分表示をチェック。
“たくさんあって、安くて、簡単”を求めれば、
添加物や農薬などの心配が…。
買い物は投票。
なにを大切にして買うものを選ぶのか、
ちょっと意識してみませんか?

「買い物は投票」という言葉は、実は中学校の家庭科の教科書にも登場しています。開隆堂が発行している中学校の、技術・家庭の教科書には次のように書かれてあります。
「購入は投票行為 消費者が何かを購入することは、結果としてそれがよいという意思表示となり、さらにそれを提供している企業を選択したことになります。購入することは、自分の意見を表明する投票行為と似ています。票が多く集まった商品は、さらに生産されることになります。わたしたちの選択が、次にど のような商品がつくられるかに影響を与えます。どの商品を選択するか、よく考えて購入しましょう」

イラスト/消費から持続可能な社会をつくる市民ネットワークH.Pより

あふれる情報の中から、[買う=投票する]のは、自分の判断。農薬はNG、添加物もできるかぎり避けたい、その気持ちを大切にしたいもの。ただ、圧倒的な情報量につい「この商品、いいかも」と手が伸びるのもわかります。反面、危険性をうながす情報もいっぱいあります。少量なら大丈夫と、食べ物を体に入れ体調不良になったとしたら?でも、努力すれば、いい商品を選ぶことはできます。そのためには普段から学ぶことが大事ですね。家族の健康を守るためにもしっかり学んでいきましょう!!

こだわりの生産者さんから直接買ってみました!
こんなところが気に入ってます!

子育てコミュニティtoco tocoさんのレポート
● 自然と調和していて、環境にも優しい育て方、考え方は、次世代にもつなげていってほしいです!育てている方の人柄もでていて、野菜も卵も鶏肉も、ものすごくパワフルで美味しいし、食べてげんきになるー!!(Mさん)
● 有機農家さん。鶏を広い場所で平飼いし、NOワクチンで育てています、その鶏の糞で有機肥料を自作。タネをとり繋ぎながら大切にお野菜を育てています。お野菜は素朴で優しい味がして美味しい♪(Sさん)
● 岐阜市の最高峰、百々ヶ峰から流れる水で、無農薬米を育てています。品種は、ハツシモ、ササニシキ。黒米なども。無農薬の農家!!というよりも、循環する社会、自然の中の人間、共存共生の精神も感じられてグッド!(Cさん)
● 農薬・肥料を使わない農法を選択されている農家さんをとくに応援したいのです!身近な農家さんだと『地産地消』にも繋がるし、直接買いに行けるので生産者さんの顔も分かるし、野菜にかける想いや愛情もよくわかります。小さくとも野菜の旨味がギュッと詰まっていて、そのまま食べても美味しい。シンプルな調理方法で済むので忙しい人の味方にもなると思います。(Fさん)
● 平飼いで、原料を厳選した(遺伝子組み換えを行なっていないポストハーベスト無農薬)自家配合飼料のみを使用し、添加や薬剤の投与は一切行っていない卵。血の混じる卵がほとんどないというところに愛情を感じます。(鶏はストレスがかかると卵に血が混じる。味や品質には問題はないそうですが。)味は、白身の美味しさが際立ち、おいしいです。(Aさん)
● ここの生産者さんのキャベツと他のキャベツで、ザワークラウト(発酵キャベツ)を作ったら明らかに発酵のパワー、菌ちゃんパワーが違って、味も違ったの。(Yさん)
● まずはなんと言っても貴重な減農薬いちご!聞くところによると一般栽培での農薬使用は60回以上。いちご摘みでは洗わずにそのまま食べるので、子ども連れでも安心して食べられました。そしてもちろん美味しい!!でも、農園の方は、減農薬だからと誇張することなく、それが当たり前のようにお話してくださるところも好感が持てました。(Hさん)

子育てコミュニティ toco toco
子育て世代のやってみたい、知りたい、学びたいことを、自ら企画・運営。誰かが講師、受講者という立場のない、一人一人が活躍する「学び合い会」を中心に、顔と顔を合わせて集う良さを生かした活動を展開中。

問い合わせ:facebook「子育てコミュニティtoco toco」