投稿者「にらめっこWeb版スタッフ」のアーカイブ

vol.192 未来に続く暮しの学びPrt-34

野生動物とともに暮らす

 私たちのすんでいるところでは、野生動物をよく見かけます。春は、動物たちも活発に活動する時期。とくに冬眠していた動物たち、この辺ではとくに蛇がよく顔を出し始めます。

 トカゲの一種のウォータードラゴンは、ベランダにあるソファーの下に住んでいて、よく日向ぼっこをしています。
イグアナは、レースモニターという種類で、木のぼりもします。先住民族のアボリジニのおはなしでは、イグアナは女性性を表していて、クリエーションストーリーの重要な動物の一つなのだそうです。
 ワラビーはちいさいカンガルーで、よくうちの畑で出くわ

し、お互いに「あっ」とういう感じです。収穫しにいくとよく葉っぱをムシャムシャ。かわいいんだけど、「畑の野菜はたべすぎないでよっ」と言いたいところ。
 カモノハシは、さすがオーストラリアという感じですが、とってもシャイでたまーにしか川で見かけません。
 オポッサムは、そこらじゅうにいて、夜にはよく喧嘩している声を聞きますが、昼間の寝ている姿は、やっぱりかわいいですね。
 ハリネズミは、夜中にごそごそっという音がきこえると大抵は地面を鼻でこすって昆虫を探しています。
 あとはなんといっても、コアラ!すごくたまーに敷地内で見かけますが、実は先週出くわしました。まったく私たちを怖がっている様子はなく、さすがというくらいマイペース。ユウカリの葉を求めて、地面を歩いていました。

 野生動物の存在が身近に感じられる生活は、もともとは動物が住んでいた土地を人間が勝手に土地開発をして、彼らの生息地に、私たちは住まわせてもらっているんだなという思いにさせられます。この土地に、木々も、草も、彼らにとっても大切な住処であり、食物です。人間ばかりの都合でことを決めすぎず、動物たちに対しての配慮をこころ掛けて土地の管理をしようと思います。し、お互いに「あっ」とういう感じです。収穫しにいくとよく葉っぱをムシャムシャ。かわいいんだけど、「畑の野菜はたべすぎないでよっ」と言いたいところ。
 カモノハシは、さすがオーストラリアという感じですが、とってもシャイでたまーにしか川で見かけません。
 オポッサムは、そこらじゅうにいて、夜にはよく喧嘩している声を聞きますが、昼間の寝ている姿は、やっぱりかわいいですね。
 ハリネズミは、夜中にごそごそっという音がきこえると大抵は地面を鼻でこすって昆虫を探しています。
 あとはなんといっても、コアラ!すごくたまーに敷地内で見かけますが、実は先週出くわしました。まったく私たちを怖がっている様子はなく、さすがというくらいマイペース。ユウカリの葉を求めて、地面を歩いていました。


vol.192 夢か悪夢かリニアが通る!vol.21

ウラン、掘り出していた

「リニア実験線の車両から出火 作業員3人重軽傷」。10月7日、産経新聞のネットニュースが、山梨県都留市の山梨リニア実験線車両基地で、車両点検中に機械から出火して作業員の衣服に燃え移り、3人が重軽傷を負ったことを伝えました。報道によると、JR東海は当初、「公表するかどうか未定」と答えていたといいます。記事中には、1991年に宮崎県のリニア宮崎実験線で、タイヤのパンクが原因で車両が全焼する事故が起きたことにも触れています。リニアの約9割は地下トンネルです。南アルプスの地中約1400メートルの深さで火災が起きたらどうなるのか。明確な答えをJR東海から聞いたことはありません。       井澤宏明・ジャーナリスト

基準値に迫る「ラドン」

ウランが掘り出された南垣外非常口の工事現場。

 「リニア残土微量ウラン JR東海公表せず」。「しんぶん赤旗」1面をこんな記事が飾ったのは8月5日のこと。岐阜県瑞浪市のリニア中央新幹線「日吉トンネル建設工事」で掘り出した残土から、放射性物質ウランが検出されていたことが、岐阜県に情報公開請求して入手した資料から判明した、と伝えたものです。
 この地域には、「国内最大の埋蔵量」といわれるウラン鉱床群があります。ウランを掘り出したり、ウラン残土から気体のラドンが染み出たりする危険性は、着工前から指摘されていましたし、この連載でも伝えてきました。
 これに対しJR東海は「ルートはウラン鉱床を回避している」「ウラン鉱床のようなウラン濃度が高い土を掘削する可能性は低い」と反論してきました。
 岐阜県に問い合わせると、JR東海が昨年6月と今年6月に公表した「環境調査の結果」に、ウランやラドンの検出を示すデータが既に記載されていたことが分かりました。これによると、ウランは昨年2月から7月に検出され、最大値は6月の1グラムあたり13・0マイクログラム。JR東海が「管理基準値」とした1グラムあたり77マイクログラムを下回っていました。
 一方、掘削口となっている「南垣外非常口」の工事ヤード敷地境界で測定したラドン濃度は、自然状態からの増加分が1立方メートルあたり最大15・6ベクレルと、JR東海が「管理基準値」とした1立方メートルあたり20ベクレルに迫っていました。この管理基準値は、その空気を1年間吸い続けると、1ミリシーベルトの被ばくになる濃度です。
 非常口近くの住民によると、JR東海からは定期的に説明を受けていますが、「管理基準値内です」という説明しかなかったといいます。
 「『避難が必要なら知らせてほしい』とJR東海には伝えてある。測定した時間以外にはもっと高い濃度だったかもしれず、知らせてほしかった」と話しています。
 元京都大学原子炉実験所助教の小出裕章さんは「ラドン被害で明確に分かっているのは肺がん。基準値以下でも肺がんになる可能性は高まるので、JR東海は『基準値を超えないからいい』とするのではなく、できるだけ少なくする努力が必要だし、常に住民に知らせるべきだ」と警告しています。

集落を貫く巨大なベルトコンベヤー。初めて訪れた人の中には、「リニアは完成してるんですね」と勘違いする人もいるという。

御嵩に「恒久処分場」計画

 リニアドンネル掘削を巡っては、JR東海が岐阜県御嵩町に対して、重金属が含まれる恐れがある残土の恒久処分場を設けることを打診していると、10月7日の朝日新聞、8日の中日新聞が報じています。
 報道によると、同町美佐野のトンネル工事で出る約90万立方メートルの残土のうち、約40万立方メートルを旧ゴルフ場予定地に、残り約50万立方メートルを隣接する町有地に埋め立てる計画だといいます。
 岐阜県東部には、カドミウムやヒ素などの重金属が含まれる地質帯があります。隣の可児市で行われていた東海環状自動車道建設工事で2003 年、掘り出された残土に含まれる黄鉄鉱で水質汚染が発生し、魚が大量死、稲作も出来なくなる被害が起きたことは、この連載でお伝えした通りです。
 御嵩町は1997年、産業廃棄物処分場の受け入れを巡って全国初の住民投票があり、反対が多数を占めた歴史がある土地。町民の一人は「埋め立て予定地は、農業用水を引いている可児川の上流で、汚染されたら大変。町外のリニア工事で出た汚染土が搬入される可能性もある」と、危機感を募らせています。



vol.192 新連載・「見たまま・感じたまま」from韓国 

平和について語り合いたいと、各務原市の中学生でつくったPeace of peace。主要メンバーの古川司さんは、2019年秋から韓国へ語学留学した。日韓関係が危ぶまれている状況の中で彼の「見たまま・感じたままリポート」を韓国からお届けします。

韓国は朝鮮半島の南半分に位置する東アジアの国で、非常に厳しい軍事境界線が北朝鮮との間にあります。韓国はまた、桜の木や数百年前に建てられた仏教寺院が点在する緑に覆われた丘陵地帯や、海辺の漁村、亜熱帯の島、首都ソウルのようなハイテク都市でも知られています。

 こんにちは。Peace of peaceで活動をしていた古川司です。
 僕はもうすぐ20歳になります。高校卒業後、就職をして働いていましたが、やりたい事が見つかり韓国に語学留学に来ました。現地で僕自身が感じる韓国の事を短い間ですが、連載させて頂きます。

 僕が韓国を選んだ理由は二つあります。一つは語学の習得、二つは報道での韓国とどう違うかを見てみたかったからです。

 韓国に行く前に、日韓の関係が悪化して、日本では韓国のニュースばかりが報道されているかのようでした。ですので、沢山の人が、「今韓国大丈夫なの? 生きて帰って来て!」など心配してくれました。でも 僕は、ニュースだけでなく、SNSや韓国にいる友達を通じて、日本が大好きな韓国人も沢山いて、報道がごく一部だという事も聞いていたので、何も心配しないで韓国へ行きました。
 そして今、韓国へ来て4週間が過ぎようとしています。
 まだ4週間ですが、反日と感じたことは一度もないです。
 ソウルに住んでるので、他の所は分からないですが、良い人もいれば悪い人もいる。道を尋ねたら、親切に教えてくれる。店では下手くそな韓国語でゆっくりと注文したら、笑顔で聞いてくれる。
日本と何も変わらないと感じています。

 報道にある通り、No Japan 、日本嫌い、日本政府反対!の人ももちろんいると思います。そして同時に日本にも、No Korea 、韓国嫌い、ヘイトをする人もいます。何も変わりません。

 韓国で生活していたら、日本の報道を見てきた韓国と違いすぎて、日韓の関係が良くない事など忘れるほどです。(笑)

 そして同時にメディアはなぜあんなにも韓国批判をするのか、韓国 = 悪いという報道の仕方しかできないのか、疑問しかないです。

 今、僕は韓国の語学学校に通っていますが、クラスは皆外国人です。共通語はもちろん韓国語なのですが、みんなまだ下手なので、コミュニケーションが取りづらく、なかなか友達を作れないのが悩みです。

 そして、韓国にはコシウォンっと言って、日本でいう寮みたいなシェアハウスがたくさんあります。僕も今そこにいますが、共同のキッチンはあっても、なかなか自炊ができなくて、毎日安いキンパ(のり巻き) 、ジャージャー麺、カップ麺などを食べる生活で、お金と体が心配です。でも、10月からは家具など全部付いている一人部屋に引っ越しが決まっています。そこでは野菜中心の食生活をしていきたいと思います。そして、短い留学生活なので早く韓国語を習得し、韓国の人たちと対話をして感じたことをお伝えしたいと思います。


vol.192 プレゼントコーナー


1-あなたの「2019年のうちにやっておきたいこと」とは?
 今年も残りあとわずか、今のうちにやりたいことある?


2- 気になるにらめっこ紙面での広告
3- 気に入った記事、気に入らない記事の
 タイトル1つ・その理由もお書きください。
4- ご希望のプレゼント名
(第1希望・第2希望)
 ※ CとDは編集室まで受け取りに来られる方。
5- 本紙をどこで入手されましたか?
6- 氏名、年齢、住所、郵便番号、電話番号、  家族構成

プレゼントご希望の方は

ハガキまたはe-mailで、上記のアンケートを
1〜6までご記入の上、編集部・プレゼント係りまでお送りください。

〆切:11月25日 当日消印有効。(Aをご希望の方は11月15日)

宛先
〒504-0855 各務原市蘇原新栄町2-25
e-mail: info@niramekko.com
※お寄せいただいた個人情報は、本紙プレゼントの発送に限り、 使用させていただきます。
※当選の発表は発送をもって代えさせていただきます。

****************************

A.こころとからだをはぐくむシンポジウムご招待

つくろ!の会様より… 4名様
 

今年度の「各務原市まちづくり活動助成金」を受けて、「つくろ!の会」のお母さんたちが11月26日に、わくわくするイベントを開催しますよ。午前の部と午後の部どちらを希望するか明記してね。詳しくは「こころとからだをはぐくむシンポジウム」で検索してね。

B.CINEX映画招待券

シネックス様より…ペア3組様

映画を観ていると、つい主人公に感情移入。普段の自分にはない思考、行動、感情を味わいます。そんな体験が、他人の心をおもんばかることに繋がる、かも。写真は映画「命みじかし恋せよ乙女」より。
柳ヶ瀬のシネックスでご利用いただけます。

C.本 「定年、そして10万時間」

上鵜瀬 孝志様より…10名様

「人生80歳」の時代、定年退職者を待ち受けるのは、10万時間の途方もない「自由」(40年の勤務年数に相当!)。料理からボランティア活動まで、何をするかは自分次第。 退職後の人生を充実させるコツを、自身も団塊世代の著者が痛快な語り口で紹介しています。本の著者であり、えんぴつカフェスペシャル第4弾講師からのプレゼントです!


D.ゆりかごカレンダー`20

ゆりかご助産院様より…3名様

毎年好評に付き、恒例になっているゆりかごカレンダー。月の満ち欠け、旧暦、満潮・干潮時刻、月出入り時刻などが載っています。ゆりかごさんのロゴマークも可愛らしく、ほっこりさせてくれます。にらめっこ編集室でお受け取りください。(写真は`19年のもの)


vol.191 循環生活を始めよう!

循環生活とは?生ごみを野菜にかえる!?

 私たちの生活の中で一番身近で、実行しやすいのはズバリ!コンポスト生活です。有機物(生ごみ)が堆肥に変わっていくプロセスがたのしい!ふだんは目に見えない微生物、土の変化、野菜の成長や生き物との出会いは、時にはどきっとしたり、ひゃーっと叫んだりするかもしれませんが、土の中の小さな生命活動の見事さに思わず唸り声をあげてしまいます。
 私たちが1日3回の食事で出す生ごみは、栄養がたっぷりでバランスが良く、いい堆肥のもととなります。堆肥を土にまぜて育った野菜は、とってもおいしい。甘みが強くて香りが高いと評判です。誰にでもつくれる理想的なごみのリサイクル方法です。地域資源がごみにならずに堆肥に活用され、庭や畑の土の状態を改善して、豊かな土からおいしい野菜ができる。まさに一石三鳥です。身の回りの有機物(生ごみ・雑草・落ち葉・海藻等)を循環させることで、これまで“やっかいもの”だったものが、宝物に見えてくるかもしれません。

ダンボールコンポストってなに?

 ダンボールコンポストとは、家庭の生ごみをコンポスト基材※に混ぜて分解させ、堆肥を作る道具のことです。生ごみを入れて混ぜるだけで、他には何も加える必要ありません。たとえば4人家族の場合、1日に出る生ごみの量は500グラム程度と言われていますが、2~3カ月毎日生ごみを入れ、その後1ヶ月ほどの熟成期間を経れば、滋養豊かな堆肥ができ上がります。生ごみには約90%も水分があり、焼却するだけでもたくさんの燃料を使うため、大量のエネルギーを消費しています。なにより、栄養がたっぷり含まれているのに焼却処分するなんてもったいない。生ごみを堆肥化し、その堆肥を含んだ土壌でおいしい野菜が育ち、食になる。都会でもできる小さな循環を活用し、生ごみを100%活かせる世の中になれば、それまで不要だった“やっかいもの”は地域の宝物になり得ます。また、これまでのゴミ出し・回収・焼却の負担軽減、二酸化炭素CO2の削減、ごみ袋代も減る、おいしい野菜が育つ、いいことばかりです。ベランダに簡単に設置でき、臭いもほとんどないダンボールコンポストがおすすめです。

 ただし!短所もあります。虫がわく…コトがあるんです。そんな時は、虫たちも生態系のひとつだとひとまず考えて、よく観察をしてみます。彼らは人間に悪さをするわけでもなく、せっせと生ゴミを分解してくれています。だからと言って虫たちウエルカム!にはなれません。そこで、虫たちがコンポストに入らないよう防護策をご紹介します。
❶ ダンボールコンポストを家の中(台所のかたすみとか)に置く。臭いはしないので大丈夫。
❷ コンポストのカバーをぴったりフィットさせる。(着なくなったTシャツを利用)さらに、ゴムバンドなどですき間をなくす。
❸ あれば木酢液とか虫が嫌がるような臭いをスプレーする。

そして、虫が湧いちゃった!となったら
❶ 黒いビニール袋でくるんで3、4日放置。ちょっと残酷ですけどね。抵抗のある方は、そのまんま畑にすき込んでしまう。
❷ 米糠とか、廃油を入れる。そうするとたちまち発酵が進んでその熱で虫たちが息も絶え絶えに。でも、死滅まではいかない。
❸ 虫も菌ちゃん同様、生ごみを分解してくれるので、共存を試みる。 
くれぐれも殺虫剤なんか使わないでね!
コンポストをやって、虫たちも菌ちゃん(微生物)と同じく、有機物(生ごみ)分解の立役者の一員であること。そして私たちも“自然の循環”の中で生きいることに気付きました。

循環生活は やさい → 料理 → たべる のどこがスタートでもOK.生ごみをコンポストに入れ始めたら、生ごみを捨てるのがもったいない!と思えてきます。ただ、「うちはマンションだし、プランターでプチトマトしか作れない」とか「虫がわくならできない!」などの意見もたくさん聞かれます。そんな方に朗報!


コンポストで堆肥ができたらやさいと交換してくれるところがあります。「なんなら、野菜の作り方もお教えしますよ!」とキッパリ宣言してくれたのは、菌ちゃん野菜応援団 東海支部、つくろ!の会代表の各務亜紀さん。つくろ!の会の畑はスーパーサカイ(おがせ街道・蘇原島崎町)のすぐ近くにあります。
 
 地球規模で考えると、大いなる循環の中で生きている私たちですが、身近な暮らしの中にも、そして私たちの体の中でも、(例えば血の巡り、リンパ液の巡りなどの循環が滞ると、健康に影響が出てきます)いい循環を作っていきたいものです。

 今日からあなたも、「循環のあるを暮らし」を、たのしみながら生活に取り入れてみませんか?
 


vol.191 大いなる循環

 地球上の人口が増えて、巨大なビルなど建造物を建てても、地球全体の重量は変わりません。人間も物も、地球上にもともとある物質の形を変えて作られていくからです。
 私たちが暮らすこと全てが自然のバランスに影響を与え、結局は、私たち自身の健康まで影響を与えているということを常に気にかけて暮らすことはとても大事なことです。では普段のくらしの中でどんなことに気を配り暮らしたらいいのでしょうか?

 この「循環」に大いにこだわって活動をしている人たちがいます。一つは、菌ちゃん野菜応援団/東海支部の方たち。本紙18ページに活動レポート掲載中です。にらめっこ編集室でも、循環にこだわって事務所裏の畑で野菜作りをしています。

どんな循環?

 まず、台所から出る生ごみをコンポストに入れて(にらめっこは段ボールコンポスト)堆肥にします。それを畑にすき込んで、野菜を作る。収穫した野菜をいただき、そこから出る野菜くずをまたコンポストに・・・いたってシンプル。
 これだけでも、ゴミの量がグンと減ります。しかも生ごみ堆肥で作られた野菜たちの美味しいこと!例えばニンジン嫌いな子でも、この菌ちゃん野菜なら食べられる!という報告は定番となっているほど。農薬は一切使用しないので安心なのはもちろんですが、「菌ちゃん」たちがとっても元気に生ごみを分解してくれて、そのまま生きて土に潜り込んでくれるから、土がすごくいい状態になリます。普段はあまり意識しないと思うけれど、土と私たちは切っても切れない関係にあります。人は土なくしては生きていけない。土は私たちと密接に関係しています。肥沃な土は豊かな食をもたらしてくれます。そこにも大いなる循環があるのですがその循環を断ち切ってしまう一つの要因は「農薬」「化学肥料」ではないかと思うのです。

ナショナルジオグラフィック5月号では

「トウモロコシや小麦、米など人間が主食にする農作物は、とりわけ多くの窒素を必要とするため、自然が与えてくれる窒素だけでは足りないのだ。
 大気中に大量に含まれる窒素ガスは、巨大な工場で化学反応によって水素ガスと結びつき、植物が利用しやすい窒素化合物に生まれ変わる。こうして生産された窒素肥料が、毎年、世界中で1億トンも使われている。今や、窒素肥料なくして70億人を養うことはできないのだ。現に、私たちの体に含まれる窒素の約半分は、元をたどれば化学肥料に由来している。

窒素肥料漬けになる農家

 1970~90年にかけて、中国では人口が3億人も増えた。農家もそれに合わせてさまざまな手を試みた。南京近郊に住むある農夫は、0.5ヘクタールの農地をなんとか肥沃にしようと、生ごみを堆肥にし、人や家畜の糞尿をまいたという。そうして農地1ヘクタール当たりの米の収穫量は3000キロを超えるほどになった。世界の水準を上回る立派な数字だ。
 だが現在、彼はさらにその倍以上の8100キロを収穫している。農夫が田畑にまく窒素は以前の約5倍に増えた。農地は固形肥料として与えられた尿素で飽和し、窒素の投与量は1ヘクタール当たり590キロに達している。

現れ始めた代償

 だが、窒素を使い過ぎた代償が、環境問題や地球温暖化という形で現れ始めた。田畑にまかれた窒素化合物は、じわじわと周囲に流出し、しばしば環境に悪影響を及ぼす。一部の窒素は、直接河川に流れこむか大気中へと蒸発する。そのほかは、農作物に吸収されて一旦は人間や家畜の体内に取り込まれるが、下水や家畜の糞尿を通して、再び自然界へと循環するのだ。
 近年、中国政府が国内40カ所の湖で実施した調査によると、半数以上の湖が大量の窒素やリンに汚染されていることがわかった。リンを含む肥料は、湖に生息する藻類の異常増殖の元凶とされている。最もよく知られるケースが、中国第3の淡水湖、太湖だ。太湖では有毒なシアノバクテリアが幾度となく異常発生し、2007年には近くの無錫市に暮らす約200万人の生活用水が汚染された。また、中国の沿岸部では現在、「デッドゾーン」と呼ばれる酸欠状態の海域が生じ、魚が窒息死して漁業関係者に打撃を与えている。中国だけでなく世界的にも、窒素肥料の使用は増えこそすれ、減ることはないだろう。」
と述べています。

また農薬問題の第一人者のロメオ・キハノ博士の講演では

 「人間とは生きている地球の一部であり、環境の一部をなしており、切り離すことはできません。ですから環境を破壊するということは人間を破壊することになります。健康な状態というのは現在の医学が定義するようなただ単に病気でないということに留まらず、個々人と環境の間の調和された状態であると定義すべきです。そして病気とはその関係の乱れとなります。


 これらの要素は互いに関係しあいます。ですからどれかひとつを切り離すことはできません。ひとつの要素が阻害されたら他の要素も影響を受けます。遺伝子組み換え作物の導入は人間と環境の関係において生物学的な破壊を与えます。鉱物資源の採掘では大きな物理的な環境破壊につながります。プランテーションや鉱山開発のために、土地から人びとを追い出すことは人びとの社会面や精神的な面でも健康に悪影響を及ぼします。これらすべてが相互に影響します。個別に考えるのではなく、相互につながっていることを指摘したいのです。

世界を覆う農薬

 さまざまな化学物質が環境に導入され環境を破壊しています。中でも農薬が私の懸念事項の中心となっています。私は食の中の毒について語ることを続けています。多くの人たちがこの問題に気がついていないことについて警告を発せざるをえません。まず、農薬が世界で非常に幅広く使われているかということです。農薬に汚染されていない地域は世界にはありません。どんなに離れた村に行っても、農薬は検出されるのです。
 もしここフィリピンで農薬を使えば、たとえばカナダ北部の先住民族の村を汚染します。ですからフィリピンで農薬を使うということはカナダの先住民族の人びとを汚染することになってしまうのです。カナダの氷に囲まれ、農薬など使っていない地域で高いレベルのDDTが検出されるのです。大気の移動によってカナダのようなところにも汚染物質はビザもいりませんから国境を越えて広がります。この農薬がこのような広い地域に広がっているということは驚くべきことです。

生態系に与える影響

 農薬の与える影響は人体に対する悪影響に留まりません。農薬によって生物多様性が失われます。農薬によって昆虫が殺される。それによって生物の生態系が狂ってしまうわけです。トンボ類がいなくなり、土壌の中にいる微生物も殺されてしまうことで、他の農薬がターゲットとしていない生物も死んでしまいます。

精神の破壊=土地の破壊

 霊的という時にはみなさんが信じていること、動機、心理的なものすべてを含みます。特に先住民族の間で、大事な要素となっています。これは科学者や医者ではわからない。でも私は感じることができます。なぜなら、私の祖母は純粋な先住民族でした。ですから私は実際、先住民族でもあります。先住民族にとって、この霊的なものを感じることはとても大事なことなのです。そして、それは先祖から受け継いでいる土地と結びついています。
 この土地を破壊することは、この人たちの霊的なもの、精神的なものを破壊することになるわけです。これは破壊される側だけでなく、破壊する側の人たちの精神も破壊していると思います。傲慢で無関心で鈍感な彼らの行動そのもの、これは精神が破壊されているということの兆候だと思います。」
と述べています。
(ATJ ひとからひとへ 手から手へ)では、農薬と健康被害について述べています。(一部抜粋)


vol.191 続・ゲノム編集

前号で特集した「ゲノム編集」は大きな反響を呼びました。
新聞でも相次いで取り上げられ、その安全性が問われています。河田昌東さんは「食」や「環境」の安全を脅かすのではと危惧されています。また、cas9を発見したカルフォルニア大学のジェニファー・ダウトナーさんは開発した瞬間に「これは核兵器と一緒だと思った。
いいことばかりではない。化学者だけでは決められない。社会一般の人も含めて、この技術をどうするのか決めて欲しい。国際的に共有し基準を作成したい」と述べたそうです。私たちも引き続き、関心を持ちできることからアクションを起こしたいと思います。その一つとして、署名があります。右のページをコピーして拡散お願いします。

ゲノム編集食品とは? なにが問題?

Q.ゲノム編集って何?

 ゲノムとは、すべての DNA のことをいいます。DNA にはすべての遺伝子がありますから、すべての 遺伝子といってもいいと思います。ヒトゲノムというと人間の遺伝子全体を指します。そのゲノムを自 由自在に編集できることから「ゲノム編集」と名付けられました。

Q.ゲノム編集で何ができるの?

 ゲノム編集は、基本は目的とする遺伝子の働きを壊す技 術です。生命体はバランスや調和で成り立っています。体 を大きくする遺伝子がある一方で、あまり大きくなり過ぎ ないように抑制する遺伝子があります。大きくする遺伝子 を壊すと、小さいままの動物が誕生しますが、中国ではす でにマイクロ豚がペットとして販売されています。逆に抑制する遺伝子を壊すと、成長が早く肉の多い 魚や家畜が誕生します。これもすでに市場化が間近な状態にあります。

Q.どのようにして遺伝子を壊すの?

 ゲノム編集では、「CRISPR-Cas9(クリスパー・キャス・ナイン)」と呼ばれる手段が使われます。 これは壊す遺伝子への案内役であるガイド RNA と、DNA を切断して遺伝子を壊すハサミの役割を果た す制限酵素が組み合わさったものです。この仕組みを利用すると簡単に目的の遺伝子を壊せます。ゲノ ム編集では壊した遺伝子の代わりに新たな遺伝子を挿入することも可能です。ネズミの皮膚の遺伝子を 壊し、人間の皮膚を作る遺伝子を挿入すれば、正確な組み換えが可能になります。

Q.ゲノム編集の問題点とは?

 ゲノム編集技術は DNA を切断するという粗っぽい方法で、生命体の最も大事な遺伝子を壊します。 壊してよい遺伝子などありません。生命の操作が拡大しています。このままでは自然の調和が壊れてし まいます。さらに遺伝子を壊した際に、目的外の遺伝子を壊す「オフターゲット」が必ず起きます。そ れが重要な遺伝子を壊せば、その生命体にとって大きな影響が出るだけでなく、環境や食の安全にも影 響してきます。さらにはゲノム編集した細胞と通常の細胞が入り乱れる「モザイク」も起きます。これ も環境や食の安全に影響が出かねない問題です。とても安全とは言えない技術です。

 米国では、2015 年から除草剤耐性ナタネが、2018 年からは高オレイン酸大豆が栽培・収穫さ れ、流通を始めました。他にもさまざまなゲノム編集作物の研究・開発が進んでいます。このまま では、ゲノム編集技術を応用した作物や家畜が私たちの食卓に登場することになりそうです。

だから私たちはゲノム操作食品に反対します。
ぜひみなさんも声をあげ、署名にご協力ください。

遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン
特定非営利活動法人 日本消費者連盟                         署名を集めた用紙は下記の住所にお送りください。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



vol.191 ママがほっとする子育てアドバイス

 一番大事なのは親子関係だと私は思っています。取り替えがきかない。だけど、親子だけで関係を良くするのはなかなか難しい。カリカリしているお母さんに、「あなたのお子さん元気でいいじゃない。心育ってるわよ」と言うと、お母さんの肩の荷が下りることがたくさんあるんじゃないかな。親子の間に他人が入って風を通してあげることが大事です。

 同じ親のDNAを引き継いで産まれても、同じような教育を受けたからといっても、同じように育つわけではない。10年間保育の現場で勉強してきましたが、結論を言えば、この世に正しいものなんてない、ということ。

時代や国によって大きく変わる子育て事情

時代によっても子育て事情はずいぶん変わって来ています。
40、50年くらい前は赤ちゃんが産まれたら産湯で体を拭っていました。今はお湯につけると赤ちゃんの体温が一気に下がるから良くないとされて、産まれた赤ちゃんを布で拭っています。また、ミルクの方が栄養バランスいいと、母乳が出てもミルクを買った時代。今は母乳が一番、何かの事情でミルクで育てていると、「母乳じゃないのね」という視線だけで心痛めている人がいるくらい。それから、赤ちゃんは泣くのが仕事、すぐに抱くと抱きくせがつくと言われた。今は泣いたら何かのサインだから抱いてあげましょうって。こんなふうに180度違う考えが変わっています。

 国によっても考え方は違います。うちの園はお昼ごはんはお弁当。ドイツ人の子が入園してきました。お弁当箱の一段目ごはんだけ、2段目パプリカだけ、でおしまい。他の日、一段目ごはんだけ、2段目キュウリだけ。お母さんの集まりがあった日のお母さんのお弁当はなんとごはんとスイカだけ。
 日本ではバランスよく、子どもに良かれという気持ちがすごく強いから、朝から一生懸命お弁当を作る。ある時2才の子のお母さんが、「この子が痩せてるのでいつも7品目は作ってお弁当に入れてるのに、食べないんです。どうしたらいいですか?」って聞かれた。親は頑張れば頑張るほど、子どもが受け取ってくれないと「あなたのためにやっているのになんで食べないの」となる。「病気がちで何か栄養補給が必要ならともかく、この子元気だし顔色もいいから大丈夫よ」って答えます。生きていくために必要な物を食べるというのは動物の本能。食が細い子は細いなりにそれで足りてると私は思う。

 それからみんな専門家に弱い。例えば、指しゃぶり。横浜市では1才半検診の時に歯医者さんから「指しゃぶりしていると歯並びに影響して出っ歯になりますよ。永久歯に影響もするしやめさせた方がいい」って言われる。「それは大変だ」と大体のお母さんはやめさせようとする。2、3才の子を前に「指をしゃぶっていたら出っ歯になっちゃうよ」と話しても幼児は出っ歯を理解できません。言葉を聞いて、納得して更に理解して自分をコントロールする能力っていうのは5才以上にやっと芽生えてくる。


 少し前の精神科医は、指しゃぶりをする子を「あ、お母さんこれは愛情不足」って、わけのわからないことは大体愛情不足かストレスでしょうって言う。それが一番刺さりますね、親としては。毎日怒濤の日々を過ごしているわけで、愛情不足って言われてたら100%の人に心当たりがあるよ。ところが、今時の精神療法ではね、「とりあえず指しゃぶりで安心出来るんだからムリにやめさせなくてもいいでしょう」って。欧米では5、6才になってもしてる子多いですよね。あれをしているから鼻呼吸がうまいんだって。
 専門家はどんどん細かい専門分野でよりベストのことを公表しているのかもしれない。でもあなたとあなたの子どもを実際に見てアドバイスをくれている訳じゃない。

その子の育ちをよろこんで

 今はデータが多すぎ。何才では何々ができるはずと平均値の物差しでわが子を測る。すると早い、普通、遅いという評価がうまれる。赤ちゃんの時には自己肯定感120%だったはずなのに、2、3才になるともう評価が始まって、そこから自己肯定感はどんどん崩されていく。たとえば、平均1才で歩くと言われているけど10ヶ月で歩く子も2才過ぎで歩く子もいます。4才でしゃべらないって連れて来られた子なんて山ほどいます。でもみんな何事もなく話すようになっていく。私は、ステップアップしていくには何かの必然性があるんじゃないかと思っています。発達が早い人は喜んでもらえるからいいのですが、ここで一番大事なのは、発達が遅い子です。まだかしら、まだかしら…心配されて待って待って、やっと歩いた時には喜びじゃなく安堵なんです。子どもは自分が出来なかった事が出来るようになっていくのが成長していくということです。1つ1つできることを親御さんや周囲の人に喜んでもらって育つのと、まだできない?と心配と不安を抱えられて育つ子とでは、子どもの気持ちが一番違う。「ありのままの僕じゃ私じゃいけないんだね」「もっとちゃんと早くなくちゃいけないんだね」っていう気持ちを持ってしまう事になる。マイナスの部分をとりあげて、どうにかしなくちゃって思ってる親がすごく多い。その子が人より劣っているところ、そこばっかりを見て子育てしていると、子どもは苦しいです。
 

 2、3才のイヤイヤ期は自分中心に地球が回っている。この時はわがままでプライドが高い。でもこれから続く一生の「自分は大事」「私は私を軸にします」という大きな根っこを張っている時期です。だからイヤイヤ期はないよりあった方がいいと思います。4才5才になってからという子もいますけどね。だからその時はしょうがない。「嫌だって言わないの!」って上から押しつけるんじゃなくて、「はいはい、嫌でしたね、どうもどうも」とね。じゃあこれとこれ、どっちにします?って選択権を与えると納得することが多いです。子どもの摩訶不思議な現象をどうにかしようと思うよりも、それをどうくぐっていくか、そこには親の工夫しかないと思います。
 4才くらいになると言葉を使って思考するようになる。だから言葉が大事になってくるわけです。でも4才くらいだと想像と現実が混沌としているから嘘だか本当だかよくわからない。5才になるとそこに思考が入る。だから理屈っぽくなるのよ。

 親のポイントとしては、何度言ってもやめないことは「何かの足しになるかしら?」とあきらめましょう。何度言ってもできないことは、未発達でできないことが多いわけですから。「鼻をかむことをどう教えたらいいですか?」2才では一気に鼻から息を出すということはできないんです、未発達で。だからちょっとやって「あ、できないんだ」と思ったら、まだ未発達でできないんだ。とあきらめる。
 子育てのポイントはあきらめです。そしてわが子を命に関わるような危険からは守って、「うちの子はゆっくりだから大器晩成だわ、きっと」って、ありのままの子どもでよしとして欲しいですね。一気には育たない、だんだん育っていく。そして、あなたがどれだけ頑張っても頑張らなくても、お宅の子はお宅の子くらいには育ちます。高い望みは親も子も苦しいです。目標は低ければ低い程いいと私は思っています。  (文責・にらめっこ)
        7/15 各務原市子育て支援課主催 講演会より

しばたあいこ●プロフィール りんごの木代表。保育者。1948年東京生まれ。1982年自らの目指す幼児教育を求めて仲間3人で「りんごの木」を創設。保育のかたわら保育雑誌や育児雑誌などに寄稿、小学校や幼稚園、子育て支援広場など様々な場所で講演。「子どもの心により添う」を基本姿勢とし、子どもとあそび、子どもたちが生み出すさまざまなドラマをおとなに伝えることで、子どもとおとなの気持ちのいい関係づくりをしたいと願っている。
<主な著書>「今日からしつけをやめてみた」「それって保育の常識ですか」「こどものみかた」「けんかのきもち」「ともだちがほしいの」他多数


vol.191 しょうがいをみつめる vol.2

 初めて就職したのは静岡県の小学校の特別支援学級でした。担当したのは重複障害(肢体不自由、知的・情緒障害)クラス。そこで出会ったのが9歳まで発語がないと言われていたT君です。
 T君のお母さんはT君が入学する前、教育機関に「お子さんは特別支援学校へ通う障害の度合いです。普通小学校はおすすめできません。」と言われ、レッテルを貼られたような悲しい思いをしたそうです。きっと、悲しい思いをしたなんて一言で表現できるようなものではなかったでしょうが、私が出会った時は辛さを吹き飛ばすように明るく話してくださいました。
 小学校の特別支援学級では、まず一年の国語、算数など教科のカリキュラムを作ります。発語なし、絵本は数分も見ていられない、鉛筆は持てない子の国語や算数。何をすればいいのか大学の授業では教わりません。
 まずは、学校教育に対する本人のニーズや親のニーズを聞きました。何ができる様にしていきたいのか、将来望む姿など。お母さんは仰いました、「この子は私が死ぬ時に一緒に連れていくので大丈夫です。せめて楽しく通えれば。」22歳の私に言えたのは「ダメです…お母さん。」だけでした。

 カリキュラムを作る過程で、校内の特別支援コーディネーターなどと話し合い、今のT君には『マカトン法』が有効ではないかという意見がありました。マカトンとは、手話よりも簡単なハンドサインで、これから言語を獲得する人に適したサインです。ベビーサインにも似ています。
 実際にマカトンを使うまでには、何度も何度も繰り返しが必要で、もう辞めたいと思うこともありました。でも少しずつ生活の中で活用できるようになってきました。例えば、今までは欲しいものがあった時、無理矢理にでも勝手に相手から奪う様にとったり、相手を引っ掻いたりしていましたが、「ちょうだい」のサインをしたり、不明瞭であるけれど言葉を発する様になりました。
 続けて、「おいしい」「もっと」「そっと」「おしまい」「一緒に」と、生活の場面でいつも使えるわけではありませんが、使えることが増えました。また、私とだけ使っていたマカトンが、友達との関わりでも使うことが起きました。自然とサインが出て、これには私も驚きました。

 T君との日々から、言葉を発していない子どもにも内言語があり意志疎通ができること、内言語を伝える方法を知れば言葉によるコミュニケーションがとれることを確信しました。
 この可能性を感じるT君との出会いは、私の可能性をも広げてくれました。
 T君と出会った後も様々な子どもたちに出会いました。T君と出会ったことで、目の前の子どもが何をしたいと主張するのかに意識を向け、どのようなコミュニケーション手段があるか考えます。
 「この子と意志疎通ができる」という前提で接することで、子どものコミュニケーション能力が伸びていくのを肌で感じています。これは障害のある子どもだけでなく、まだしゃべれない乳幼児の子育てや障害のない子どもとの関わりでも一緒です。大人が子どもの力を信じて見守るだけで、子どもは能力をぐーんと発揮していきます。これは、発語がないと言われていたT君から教えてもらったことです。


vol.191  niramekko Gallery 「砂漠」

たはたともか:高校進学をまぢかに控えて、学業も頑張ってます。小さな子の面倒をよく見てくれます。内面に秘めた複雑な思いが時々「表現」として現れます。いつも笑顔でいることが、彼女のバリアなのか…。思春期を陽気に過ごそうとしているのは彼女の強さ、優しさなのだと思う。


vol.191 えんぴつ・カフェ

えんぴつカフェ

9月6日(金)・11月2日(土)・2020年3月7日(土)         14:00~16:00 各務原市産業文化センター2階 第1会議室(予定)      ★みんなでワイワイおしゃべりしながら、「ゼロの昇天」の書き込みを中心に。お茶とお菓子付き。                     (会場の都合により日程に変更が生じる場合があります。参加の際は必ずお電話にてご確認ください。)

10月20日は生演奏をバックにみんなで歌おう!

スペシャル第4弾は「定年後の10万時間」

2020年1月19日(日)講演会「定年後の10 万時間、あなたはどう生きる?」著者:上鵜瀬 孝志氏講演会といきいきシニアのシンポジウム。
著者の講演後、人生これから!を実践しているシニアに登壇してもらい、講師と対談をします。

「人生これからNOTE」えんぴつカフェスペシャルの参加者全員に進呈! ・薬膳料理のレシピ・ゆる体操のメニュー・歌うは脳活!・定年後の10万時間をどう過ごす?etc …など「えんぴつカフェ・スペシャル」をまとめた暮らしのヒント集。

申込・問い合わせ
NPO「人生これから!」
090-5638-7044(田辺)
090-7854-4561(三上)



vol.191 熱中世代 臼田 幸夫さん

自然は学びの宝庫!
子どもには実体験の積み重ねが大事なんだと思う。

ふどうの森トレイルラン大会実行委員長  臼田幸夫さん(関市下迫間)

 「子どもが気になるんよ。登校時にあいさつしても誰も返事しない。まぁこんな強面の顔してっから?学校で見知らぬ人から声をかけられても返事をしないっていうのが徹底されているのもあるんだろうけど、自分は地元の人間なんだけどなぁ。それでも、近所の大人として、子ども達のいく末が心配でたまらないんだ。」と話すのは、おしゃる通りの強面のおじさん。
 この集落には66軒230人が住む。昔ながらの田んぼや畑を守り、迫間不動を守り、多賀の霊水を守ってきた。迫間川をはさみ点在する集落は関市の南に位置する。山あり、川あり、お不動さんがありと自然環境に恵まれた地区。その環境を最大限に生かした「トレイルランニング大会」が2017年から行われている。来年2月に行われるのが第4回となる。臼田さんが発起人であり、トレラン協会を立ち上げその代表をつとめる。
 若い頃は会社のサッカー部に所属し、休暇には山登り。実は北アルプスに近いところに移住しようかと密かに思っていたほどの山好きだった。それが、トレランを知ってすっかり魅了された。
 「次回は是が非でもキッズトレランをやりたいんだ。なんていうか、子ども達にはリアルな体験が本当に必要だと思うんだよね。今の子はさ、禁止事項が多くてさ、なかなかチャレンジできなんじゃないかなって思ってんの。危ないから、なんかあったら誰が責任を取るのか、とか、おとなも腰が引けてるよね。実は昨年ね、田原小学校の校長先生に頼まれて、3年生の児童の体験学習で迫間不動の山登りをさせたいから協力してもらえないかって、依頼があったんだよ。よっしゃ!チャンスやって思いましたね。そのためには、トレラン協会の会員に声をかけボランティアで付き添いをお願いしました。子ども55人に対して大人35人。落伍者が出ないよう、安全には万全を期しました。その時ね、一人の男の子が『怖い、歩くのやだーっ』って、ずっと泣いてたんだよね。自分はその時膝を痛めてたんだけど、ここは踏ん張りどころって思って、その子をずっとおんぶして登ったんです。いろんなことを話しながらね。途中の休憩ポイントで下ろそうとしたんだけど、それでも『やだーって』。そっか、まだ怖いのか、ならもうしばらくおんぶかなと覚悟を決めてたら、歩くと言い出した。そんでそこからは彼が先頭を歩いたんです。もちろんゆっくりとね。で、ゴールですよ。もういい顔してましたね。登っている最中はあんまり泣くのでもう帰そうか、と一瞬思ったけど、ここで帰したら彼には何にも残らないような気がしてね。どんなことがあっても、ゴールにつくことが大事って。それが達成感になると思ってましたから、彼の笑顔に救われましたよ」と豪快に笑う。
 熱い想いがズンと伝わってきた。損得勘定のない本気さが伝わってきた。今では、小学生も中学生も、臼田さんのあいさつにはちゃんとあいさつを返すという。来年の2月までは本業をあげてトレランの準備に余念がない臼田さん。キッズトレラン、実現まであと一息。臼田さん、頑張って!

2020年2月16日    

出発場所 ■大雲寺 岐阜県関市迫間1184 TEL0575-24-3354

ダブルコース44km/ロングコース22.2km:一般男子/女子(18歳以上)スタート8:30
キッズコース3km:小学生以下
スタート9:00
給水 4ヶ所(ロング)、1ヶ所(ショート)
サービス 受付地点にて、おにぎり、おしるこ、鍋など 【抽選会】あり
詳しくは ◆一般財団法人関市体育協会 TEL0575-23-8525

2020年2月 トレランのコース(ロング)  http://sportsentry.ne.jp


vol.191 ボーダーレス社会をめざして vol.50

NPO法人オープンハウスCAN 理事長 伊藤佐代子

明日

 障がいのある息子を持つ私が胃ガンを患ってから7年が経ちました。障がいのある子を持っているから、心配で死んでも死にきれないというような思いは全然ありませんでした。そこそこ準備ができつつあったからかもしれません。
 最近は2人に1人がガンになると言われます。最初の頃は、朝起きて「生きてる!」と毎日思い、感謝の日々でした。明日があるということは、希望がある証拠です。元気がない頃は、明日が見えませんでした。生きているかどうか分からなかったから何カ月後の約束はできませんでした。今は2カ月後くらいの約束はできるようになりました。手術後5年間は修行僧のように、玄米菜食に近い食事を続けていました。酵素玄米(寝かせ玄米)を作り、無農薬の野菜、調味料は本物を使い料理をし、たくさんの野菜と白身魚を食べる生活をしていました。勝手に自分で知り得た情報(肉類はだめと考えていた)のみで暮らしていました。  しかし、信じる者は救われるものです。腫瘍マーカーという数値はどんどん下がり、お医者さんもびっくりでした。半年に一回検査を受け、5年間経過を見て、何も出なければOK。5年が経ち、「卒業です」と言われ、喜んでの帰り道、不思議な感覚を味わいました。
 岐阜駅のあたりを歩いていて、「私の周りを歩いている人と私は同じになったんだ」と思ったのです。もう好きなように食べていいのだ。ピザを食べよう!坦々麺を食べよう!あれもこれも・・・。と思いましたが、そうはできませんでした。5年間、添加物の少ない生活をしていたため、変な?ものが入っている食事をすると、下痢や吐き気をもよおすようになってしまっていました。これはいけない!災害にあった時に何も食べられなくて困ると思い、私の体に刺激がなさそうなお弁当や外食のメニューを選び食べ、変な抵抗力のある体を作っているところです。今の私の舌には、外で食べるサンドイッチは塩気が多い、お弁当も濃い味が多いように感じます。しかし、周りの人は平気でそれを食べています。
 この違いをどう考えたらいいのか?人の体は食べた物からできているという当たり前のことを、5年間の体験から知りました。半年に1回ある検査は人体実験をしていたようなものでしたから。これを食べたら白血球の数値が上がるなど、ネットで仕入れた知識?を試行錯誤した5年間でした。現在、私がしている食生活が正しいとは思いませんが、自分で調理し、楽しく食べることが一番体にいいのだと思っています。食事をおろそかにしないことが、その人の明日という未来を築くと考えています。


vol.191 ここいく日記 はじめの8歩!

自分が大好き!

 私たち「ここいく」メンバーが「性教育=生教育」に出逢い、子どもたちに、「うまれてきてくれてありがとう」そして、「ありのままのあなたでいいよ」を伝えたくて始めた「いのちの授業」。心に響く授業を!と、出逢いを大切にしながら深化させてきた9年目の今年。「多文化共生コミュニティ いきる」の乳幼児のいるお母さんたちが、各務原市のまちづくり活動助成金事業に申請し、私たちの年齢別いのちの授業を企画してくれました。
 中学生の妊娠、学校のトイレで産んだ高校生、誰にも相談できず自宅で産んで道に捨てるしかできなかった子、性的ないじめを受け、自らいのちを断ってしまった子・・・目をそむけたくなるような悲しいニュースがあふれる今、子どもたちに、「あなたは愛されて生まれた、かけがえのないひとりなんだよ、自分をもっと好きになって大切にしてほしい、そして何かあったとき、寄り添いたいと思っている大人が近くにいるよ」と伝えたいと、熱い想いで企画してくれた事業です。
 今回、高2の息子に声をかけたら、「いのちの授業?行くわけないやん、花火に行くわ!」と即答。でも諦めずに、彼女と一緒に受けてほしいなぁと口説いていたら、数日後「行ってもいいよ」との返事。少し前に付き合い始めた彼女と、とても幸せそうに過ごしている息子と3人で参加できることになりました。
高校生対象授業の当日、導入は「月経中にSEXしたら妊娠しない?」「精子は冷えに弱い?」などの体の仕組みの〇×クイズ!それぞれ札を挙げて答えていきます(ちなみにどちらも×です)。意外と勘違いしている体のこと。答えを聞くと、へぇ~、そうなんだ!と心が動いているのが伝わってきます。


 そして妊娠、避妊、性感染症についての話。いつの日かパパ、ママになりたいと思った時に、願いが叶えられるように、そして望まない妊娠を防ぐために正しい知識を伝えます。性感染症については、参加者全員がいろんな色の紙片が入ったコップを持ち、全員が3人の人とコミュニケーションしながら中身を半分ずつ交換していくゲームを実践。実はこの交換という行為がSEXです。最初に赤い紙の入ったコップを持っていた人が性感染症に罹っていたという前提。最終的に赤い紙が入っていなかった人は12人中1人という結果!感染するリスクを実感しました。
また、多様な価値観や考え方があっていいこと。それは性でも同様で、LGBTの人が特別ではなく、左利きやAB型と同じように、当たり前のこととしての理解される必要があることを教わりました。また「愛」は、「相」や「合」という字の意味も兼ね備えていること。相手を思いやり、話し合い、ふれ合い、助け合い、励まし合い、認め合い・・・対等な関係を築いていくことの大切さを教わります。学生はNOセックスが一番の避妊方法だということも伝えられ、自分を守り相手を大切にするために、自分でよく考え行動を決めていくことの大切さに共感しました。
 そして、いのちが誕生する神秘的な映像や実際の出産のビデオを見たり、「大切なあなたへ」の朗読を聞いたりする中で、「うまれてきてくれてありがとう」という奇跡的で一番大切なことに思い返らせてもらい、感動で思わず涙する参加した大人たち。そんな大人の姿に触れた子どもたちに、愛されてうまれてきたこと、大切な存在であることが伝わる、かけがえのない時間になっていたら嬉しいです。
 日本では、性を語ることがタブーとなっていて、学校ではなかなか知ることができない現実。私たち親も、きちんと習っていないから、子どもに伝えられない。子どもも大人も幸せに生き、いのち輝かせていけるよう、この授業をすべての人に届けていきたいと思った瞬間でした!
最後に、授業を受けた息子の感想を紹介します。「おれ大事☆」             担当:ここいくメンバー・長縄恵実でした。


vol.191 自主上映会 タイマグラばあちゃん

プロデューサー: 伊勢真一・菅原淳一
監督:澄川嘉彦(すみかわよしひこ)
撮影:太田信明ほか
音響構成:米山靖
音楽:三上憲夫
語り:小室等

【あらすじ】
 岩手県のほぼ真ん中にある早池峰山(はやちねさん)の麓に「タイマグラ」と呼ばれる小さな開拓地がある。戦後10軒あまりの農家が入植したが、東京オリピックの頃にはほとんどの家が山を去り、向田(むかいだ)久米蔵・マサヨさんの二人だけとなった。
 それから20年あまり後の昭和63年、畑仕事にいそしむ向田さん夫婦の静かな暮らしに二つの事件があった。ひとつは夏に久しぶりのお隣さんができたこと。大阪出身の若者(奥畑充幸さん)が開拓農家の残した空き家を借りて住み始めたのである。もうひとつは、年の瀬になってタイマグラに電気がひかれたこと。昭和の最後に灯った明かりであった。
 自分が畑で育てた大豆を使っての豆腐作り、「お農神さま」への信仰、春一番の味噌作り 土に生きる素朴な暮らしぶりにかわりはないが、マサヨばあちゃんの歳月にはさまざまな出来事が起きてゆく。長年つれそった久米蔵さんの死、大雨にたたられた不作、奥畑さんの結婚、そしてばあちゃんが産婆をすることになった長男の誕生… 。
 2000年の春、ばあちゃんは心臓の発作で山をおり、一昨年の暮れに亡くなった。しかし、ばあちゃんの生きた証は消えない。タイマグラに住み続ける奥畑さんは家族とともにばあちゃんが教えてくれた味噌作りを受け継いでいこうとしている。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

かわらないもの    監督 澄川嘉彦
ばあちゃんの暮らしには便利な「モノ」はなくでも、さまざまな生命たちと一緒に生きているという安心と喜びがありました。かわることなく春夏秋冬をきざむ大自然がばあちゃんの笑顔を生み、暮らしを豊かに彩っているのです。

   自主上映会

日時:9月28日土曜日 18:00開場 18:30開演                      場所:長良川スポーツプラザ 岐阜市長良福光2070-7
上映協力金:800円  高校生以下無料
主   催:一般財団法人 日本熊森協会 岐阜県支部 共催:マクロコスモス 長屋章
申込連絡先:河口るり子090-1755-7684 松浦利重090-1787-2951


vol.191 半農半X vol.32

半径3キロ

 「人はな、生まれ在所(ざいしょ)から三里以内にでけたもんを食べてたら、体によろしねん」。これは作家・田辺聖子さんのお母さんのことばです。昔から、自分が暮らす土地から「三里四方」のものを食べたら身体にいいと言われてきました。「三里四方」の哲学は世界でも最も先端をいく思想といえるかもしれません。大阪の友人は「半径3キロ」にこだわったまちづくり活動をおこなっていて影響を受けました。半径3キロ内に住む人、お店や隠れた名所、動植物や自然などを掘り起こす活動です。この活動はもしかしたら、同じく最先端かもしれないと思うようになりました。自分が住んでいるところから半径3キロにこだわり、見つけた宝物をみんなと分かち合えたら、すてきだろうなって思うのです。
※一里=約4キロ

もうひとつのもったいない   

 台風、地震、温暖化・・・。過疎、高齢少子、年金・・・。私たちはいま「大難問時代」を生きています。いま、日本(日本人)の課題は何か。ある学者が以下の3点あげておられました。①「変革(イノベーション)ができるかどうか」。②「活用していない資源を活かすことができるかどうか」、③「連携(ネットワーク、シェア)できるかどうか」です。大きな変革はできなくても小さな変革を重ねていく。活かされていない資源が人的にも、村にも町にもたくさん眠っていて、それをどんどん活用していく。一人でできないことでも連携・協力しあえば、できることもいっぱいあるのですね。ノーベル平和賞受賞のワンガリ・マータイさんは日本のこころ「もったいない」の精神に光をあててくださいましたが、この国には、誰もが必ず有する「天与の才」や「地域資源」の「未活用」という「もうひとつのもったいない」がありそうです。各家庭にも、各職場にも、この各地域にも、きっとそれは豊富に眠っていて、掘り出されるのを待っているのです。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

塩見直紀(しおみなおき)半農半X研究所代表
1965年、京都府綾部市生まれ。20年前から「半農半X(エックス=天職)」コンセプトを提唱。半農半X本は翻訳されて、台湾、中国、韓国にもひろがる。著書に『半農半Xという生き方 実践編』など。

※半農半Xとは・・・半農は環境問題、半Xは天職問題(どう生きるか)を背景と する。持続可能な農のある小さな暮らしをベースに、天与の才を社会に活かす生き方、暮らし方。ex.半農半漁、半農半大工、半農半看護師、半農半カフェ、 半農半絵描き、半農半歌手、半農半鍼灸師、半農半カメラマンなどなど。


vol.191 未来に続く暮しの学びPrt-33

持続可能な暮らしのアイデア Part-3

 先月、冬至を迎えた南半球のオーストラリアでは、朝、晩がとても冷え込むようになってきました。 先日は初霜が降りて、亜熱帯系の植物は四苦八苦したりしていますが、昼間は春先のように暖かいので、なんとか持ちこたえています。

 数ヶ月前から、毎週火曜日をガーデニングDAYにしています。朝8時30分から12時30分まで、畑やパーマカルチャーに興味のある人たちが、専門家のレクチャを受けながら私たちと一緒に作業をします。それから私たちのテーマでもある「Farm to Table」でランチです。そして畑の収穫物がお土産となる、というガーデニングDAY。土と関わり、汗を流し、収穫を共に喜ぶ。 参加者が増えるほど、畑仕事ははかどり、Win Winの環境が生まれます。
 たくさんの手がこの土地に関わってくれることで、この”土地”そしてこの土地の元となる”土”を始め、参加者たち、私たちスタッフみんな笑顔で喜びに溢れているように感じます。
 特にこの時期は、春に備えて、苗植え、種植え、ガーデンベットを整えて、畑の整備をする時期となります。 しかし冬ならではの、大根や、根菜、ハヤトウリ、菜っ葉などの収穫があり、柑橘系の果樹には沢山の実が付いてきます。まさに収穫の秋!それらを収穫しながら、季節の移り変わりを楽しんでいます。
畑作業をすること、自分たちの食べ物を自分たちで作ることなどの意識が高まってきています。特にこの地域では盛んになってきました。
近隣でも似たような、コミュニティーや、パーマカルチャーガーデンを始める人たちも増えてきて、土とともに暮らすという意識が強まってきています。

こうした週ごとのアクティビティーを通して、ネットワークが広がっていくといいなと思います。


vol.191 菌ちゃん野菜応援団 vol.12

さぁ、収穫だよ!


私たちの会には時々こんな電話がかかってきます。 「収穫しきれんかった玉ねぎが大量にあるんやわー。今夜雨降ったら腐ってまう、手伝ってくれへんやろか?お土産つけるで」

「今じゃがいも掘っとるけど、数が多いわー。手伝いに来てくれたら規格外のお土産あげるよー」

さぁ、大変!ラインやフェイスブックで慌てて告知です。

運良く予定の合った人たちがわらわらと現地に集合。時には子どもちゃんも一緒に作業開始。
一人で畑作業はしんどい時もあるけど、みんなとやったらとっても楽しい。

うわぁ、この玉ねぎ、君の顔よりでっかい!!
なにこれ、じゃがいもたくさんついてるー!!!

大人も子どもも目がきらっきら。

もう帰るー、なんて泣いていた子もほら、にこにことお野菜運んだり。力を合わせて何かを成し遂げるって大きな自信になるんでしょうね。

収穫したお野菜の一部はキャンプに使われたり保養活動で福島から来る人たちのご飯になったり。

自分のおうち以外のところに渡っていくお野菜さんたち。こんな体験を重ねながら食卓の向こう側に想いを馳せれる子に育ってくれたら。

嬉しいなー。



vol.191 かなでの沖縄だより 最終回

3年前、各務原で平和について学び行動してきたかなでさんが、沖縄で声楽を学びたいという夢を持ち、猛特訓の末にその夢を実現させました。そこでボクは彼女をサポートしてくれる先輩として、京都出身で沖縄在住のゆきえさんを紹介しました。沖縄と内地の食い違いや沖縄の現実について身をもって体験しているゆきえさんは良き先輩になったようです。この連載を終えるに当たり、この3年を振り返ってもらいました。(國枝)

私が沖縄で感じたこと、そして考えていること!

 私にとって沖縄の問題が気になり始めたのは、2016年高校三年生のオープンキャンパスで沖縄に行く前、沖縄に居る米軍関係者が女の子を殺したという事件があってからのことでした。
 沖縄に来たばっかの時は、各務原の自衛隊の飛行機の騒音には慣れっこになっていた私も、それとはまた違う大きな音にびっくりしたり、ミサイルが飛んだという知らせのアラームにびっくりしたりして、そのたびにゆきえさんに連絡していろんなことを教えてもらっていました。この3年間、ゆきえさんにはアルバイトからいろいろな相談事まで本当にお世話になってきました。
 初めのうちは驚いていたYナンバー(米軍関係者およびその家族が乗っている車のナンバー)も今はそれが普通になってしまっています。
 騒音で起こされるのも、オスプレイが飛んでいることも「あっ、また」って思ってしまうくらい普通になってしまっているのです。ただ、ひとつ変わらない気持ちは「怖い」ということ。オスプレイが飛んでいる、あの音がするだけで怖いと思う気持ちには普通ならないと思います。
 私がこういった事に関してもっとちゃんと考え始めたのは、ゆきえさんに出会うことができたから。何かひとつ聞けばたくさんのことをお話ししてもらえて、私自身色んな事を考えることができるようになりました。辺野古基地建設のことも。ゆきえさんの娘さん、ひろちゃんの大浦湾の貝の発表を聞いて、豊かな自然が破壊される可能性が高い現場を実際に見て「何とかしなきゃ」って、また更にその問題について考える事ができました。だから、県民投票の時も、参議院選挙の時も私の思いが伝わるか伝わらないかはわからなかったけど、話すだけ話すという事をやってきました。それをやった事で、無意識だった友達が少し考えるようになってくれたこと、話すことができなかった政治の話を話せる雰囲気になったことが自分の中で一番大きいと私は思っています。

 これから先、沖縄でなにが起こるか起こらないかはわかりません。民意を無視している政府のやり方がこのまま続いていくのか、沖縄の政治的な力関係は変わらないのだろうか、それもどうなるかわかりません。沖縄には巨大な基地があって、そこに所属する人たちが問題を起こし続けている可能性もあります。
 でも、これは沖縄だからじゃない。どこにでも起こり得る問題だという事を忘れないでほしいです。沖縄だから関係ないじゃなくて、みんなの問題として考えてほしいと私は思います。
 特に、各務原にはかつてアメリカ海兵隊の基地があり、1953年には犯罪などの多発により住民が反対運動を起こし、結果として1956年アメリカの統治下にあって反対運動を抑えやすい沖縄に移転したという過去があります。それにより、沖縄への負担が増えたのです。これが沖縄でなければ沖縄の負担が減っていたかもしれないのです。かと言って「各務原市に米軍基地を戻しましょう」となったとして、素直に受け入れることができますか?私ならできません。今思っている自分の気持ちと同じ思いを他の人にして欲しくないから。

 これで連載は終わりになりますが、私は「戦争と基地と平和」について考えながら残された1年半を過ごしていきます。みなさんもぜひ一度沖縄に来てもらって、「沖縄と基地と平和」について考えませんか?


vol.191 夢か悪夢かリニアが通る!vol.20

「太陽」が奪われる前に

 「ただ単に『止めたいから止める』としか受け止められない。2027年度のリニア(中央新幹線)東京―名古屋開業が今、この段階で、静岡県の意図的な行為によって遅れることは到底、受け入れることはできない」「(リニア建設を)どんどん進めてもらいたいというのが、私がお聞きする静岡県民のほとんど、というか全員の声ですよ。静岡県民や経済界に聞いてみたい。『静岡県のせいでリニアが止まっていいんですか』って」――愛知県の大村秀章知事は7月29日の定例会見で、いら立ちを隠さずまくし立てました。その「矛先」は、リニア南アルプストンネル掘削によって「大井川の水が毎秒約2トン減る」問題などを巡り、着工を認めていない静岡県の川勝平太知事に向けられています。   井澤宏明・ジャーナリスト

リニア工事差し止め訴訟第1回口頭弁論で、甲府地裁に入る秋山さん(前列左から2人目)ら(7月30日、山梨県甲府市で)

登山基地が工事現場に

 川勝知事は6月13日、大井川源流部のリニア工事予定地を視察しました。目的地の1つが南アルプス南部を代表する赤石岳や聖岳の登山基地「椹島」(さわらじま)。その風景は、私が2年前に訪ねたときとすっかり様変わりしていました。
 登山者が清流のせせらぎに耳を澄ませ、疲れた体を休めていた憩いの場は、工事事務所や巨大な作業員宿舎などが建ち並び、工事現場のよう。これで、トンネル工事が始まってしまったらどうなってしまうのだろうと、「かつて」登山者だった私も、恐れおののかずにはいられません。
 案内したのはJR東海の宇野護副社長。「準備工事は終盤戦。できれば引き続いてトンネル工事を進められるよう話し合いを続けながらやっていきたい」と本体工事着工を急ぐ考えを示しましたが、視察を終えた川勝知事は「今はとてもじゃないけど、ゴーサインを出せるような状況ではありません」と厳しい表情を変えませんでした。

「夜も寝付けない」

 隣の山梨県では、住宅地の真上を通るリニアの巨大高架橋によって生活が破壊されるとして、南アルプス市内のリニア建設工事差し止めなどを求めて住民が起こした裁判が7月30日、甲府地裁で始まりました。
 意見陳述に立った秋山美紀さん(47)は8人の原告住民の1人。自宅建物のわずか約2メートル南東側に、高さ30メートルにもなるリニア高架橋が計画されています。秋山さんは訴えます。
 「最悪な生活環境になるのにも関わらず、ここ(高架橋)にかかる土地代と30年間分の日照補償だけで、『ここに住め。お家の方は買えません』というJR東海のお話でした。とても納得できる状況ではありません」

多くの取材陣やJR東海職員に囲まれながら視察する川勝知事。後ろは作業員宿舎(6月13日、静岡県の南アルプスで)

 今年6月には、走行試験が行われている山梨リニア実験線の高架橋を、夫婦で見に行ったといいます。
 「高架橋の下に立ったときの恐怖感は計り知れません。『ここに何十年も住まなければいけないんだね』って、夫婦で話をしましたが、帰りの車では2人とも黙ったままでした」
 さらに、JR東海の予測(冬至)で周辺の日照が1時間に満たなかったことから、「寒い時期に太陽の恵みをほとんど受けられない。耐えがたい苦しみが一生続く状況です」と述べ、交代勤務の夫が、騒音で不眠になる不安にも触れました。
 「リニアで、このような弊害をまとめたような宅地に一変する。一生ここに住まなければと考えるだけで、夜も寝付けません。人として最低限の平穏な日の当たる暮らしだけを願って今ここに立っています」
 秋山さんは裁判長に向かって毅然と述べました。
 原告代理人の梶山正三弁護士は「もともと正当な補償を求めてきた人たちが『工事を止めろ』に変わった。JR東海には正当な補償を求められないので、工事を止めてもらうしかない」と、提訴の目的を説明しました。

JR東海の宇野副社長(手前中央)らから説明を受ける川勝知事(その左)

 続いて、「少しでも現地を見ていただきたい」と裁判官に求めました。訴えの棄却を求める答弁書を出したJR東海側は、法廷に姿を現しませんでした。
 各地で噴出する問題の背景には、リニアの悪影響にJR東海が真摯に向き合ってこなかった、という背景があります。
 「(リニア建設を)どんどん進めてもらいたいというのが、静岡県民全員の声」と述べた大村知事。ぜひ、現地を歩いてから、ものを言って欲しいものです。

 隣の山梨県では、住宅地の真上を通るリニアの巨大高架橋によって生活が破壊されるとして、南アルプス市内のリニア建設工事差し止めなどを求めて住民が起こした裁判が7月30日、甲府地裁で始まりました。
 意見陳述に立った秋山美紀さん(47)は8人の原告住民の1人。自宅建物のわずか約2メートル南東側に、高さ30メートルにもなるリニア高架橋が計画されています。秋山さんは訴えます。
 「最悪な生活環境になるのにも関わらず、ここ(高架橋)にかかる土地代と30年間分の日照補償だけで、『ここに住め。お家の方は買えません』というJR東海のお話でした。とても納得できる状況ではありません」
 今年6月には、走行試験が行われている山梨リニア実験線の高架橋を、夫婦で見に行ったといいます。
 「高架橋の下に立ったときの恐怖感は計り知れません。『ここに何十年も住まなければいけないんだね』って、夫婦で話をしましたが、帰りの車では2人とも黙ったままでした」
 さらに、JR東海の予測(冬至)で周辺の日照が1時間に満たなかったことから、「寒い時期に太陽の恵みをほとんど受けられない。耐えがたい苦しみが一生続く状況です」と述べ、交代勤務の夫が、騒音で不眠になる不安にも触れました。
 「リニアで、このような弊害をまとめたような宅地に一変する。一生ここに住まなければと考えるだけで、夜も寝付けません。人として最低限の平穏な日の当たる暮らしだけを願って今ここに立っています」
 秋山さんは裁判長に向かって毅然と述べました。
 原告代理人の梶山正三弁護士は「もともと正当な補償を求めてきた人たちが『工事を止めろ』に変わった。JR東海には正当な補償を求められないので、工事を止めてもらうしかない」と、提訴の目的を説明しました。
 続いて、「少しでも現地を見ていただきたい」と裁判官に求めました。訴えの棄却を求める答弁書を出したJR東海側は、法廷に姿を現しませんでした。
 各地で噴出する問題の背景には、リニアの悪影響にJR東海が真摯に向き合ってこなかった、という背景があります。
 「(リニア建設を)どんどん進めてもらいたいというのが、静岡県民全員の声」と述べた大村知事。ぜひ、現地を歩いてから、ものを言って欲しいものです。



vol.191 プレゼントコーナー

1- あなたの「大好きなおかず」教えて!
 これさえあれば大満足!そんなおかずって何?
2- 気になるにらめっこ紙面での広告
3- 気に入った記事、気に入らない記事の
 タイトル1つ・その理由もお書きください。
4- ご希望のプレゼント名
(第1希望・第2希望)
 ※AとDは編集室まで受け取りに来られる方。
5- 本紙をどこで入手されましたか?
6- 氏名、年齢、住所、郵便番号、電話番号、  家族構成

プレゼントご希望の方は

ハガキまたはe-mailで、上記のアンケートを
1〜6までご記入の上、編集部・プレゼント係りまでお送りください。
〆切:9月25日 当日消印有効。        Bをご希望の方は9月15日

宛先
〒504-0855 各務原市蘇原新栄町2-25
e-mail: info@niramekko.com
※お寄せいただいた個人情報は、本紙プレゼントの発送に限り、 使用させていただきます。
※当選の発表は発送をもって代えさせていただきます。



  

A.ベビーマグちゃん  …2名様

こころ野農園様より

黒川で自然農を営む「こころ野農園」さんからのプレゼント。ピュアマグネシウムでつくる水素水で汚れと臭いを落とすと言われている洗剤を使わない洗濯用品です。マグちゃん1個で3kg以下の洗濯物が約300回ほどがご使用の目安です。
にらめっこ編集室でお受け取りください。

B. JAZZE!ご招待  …2名様

アートギャラリー是様より

落ち着いた雰囲気の会場で、ピアノとベースが奏でるジャズのシャワーに酔いしれる…そんな大人のひとときはいかが?
(会場での軽食は別途ご負担下さい)

C. CINEX 映画招待券  …ペア3組様

シネックス様より

映画館で鑑賞した作品は心に残る事が多い…そんなふうに語る人もいます。映画を見るための施設で、製作者のメッセージを真正面から受け取る、そう考えると納得できますね。招待券は柳ヶ瀬のシネックスでご利用いただけます。

D. ノリタケ Bone chinaカップ&ソーサー…2名様

にらめっこより

忙しい毎日だけど、時には飲み物をいただくひとときを。その時はお気に入りのカップでどうぞ。お一人一客のプレゼントです。柄の選択はこちらにお任せください。
にらめっこ編集室でお受け取りください。


vol.190 特集 ゲノム編集ってなんだ?

 なんだ?って言われても…ねぇ…、
なんだか難しそうだし専門用語が多すぎて…、でも、なんか本能的に「これはやばいんじゃない?」と感じる。本能が感じるなら、それはビンゴ!遺伝子を操作するってかなり抵抗を感じるしね。でも研究が進み医療分野では助かる命があるというのなら、それもあり?ただし生命倫理に関わることなら、研究者のみではなく、一般の人たちとも協議できる時間と機会が欲しいところ。5月24日、ぎふハートフルスクエアで開かれたお話会「『ゲノム編集――安全性と生命倫理』講師:河田昌東さん」に参加してきました。以下は、河田さんのお話の抜粋です。

ゲノム編集 ― 安全性と生命倫理

河田 昌東氏 名古屋大学在職中、遺伝子の基礎研究の経験から遺伝子組換え作物の安全性について、1990年代から問題点を指摘してきた。ゲノム編集もその延長上にある。

ゲノム編集とは?

 生命は遺伝子の働きによって支えられている。この遺伝子を自由に操り、人間に都合の良い農作物や家畜を造り、あるいは人間の遺伝病治療に役立つ技術として登場したゲノム編集は今世界を揺るがしています。
 ゲノム編集が広く知られることになったのが、昨年11月、シンガポールで開かれた国際学会で、中国の研究者がHIV感染の恐れがある夫婦の受精卵をゲノム編集で修理し双子の赤ちゃん(女児)を誕生させたと発表したことです。(2018年11月29日毎日新聞)
 そもそも遺伝子操作は、植物、動物で研究してきた過程があります。中国では人間の遺伝子操作は禁止なのにいきなりニュースで発表され世界に大きな衝撃を与えました。

ゲノム編集で食物革命!?臓器移植!?

 動物には筋肉を増えさせるホルモンを作る遺伝子の他に、それを抑制するミオスタチンという遺伝子が必ずあります。動物は成長と抑制とバランスをとっているんですが、その抑制遺伝子を壊すと、食べたものがみんな筋肉になるので通常より大きく育つわけです。中国では商品価値を上げるために生産されている筋肉隆々の豚は普通の豚の1.5倍くらい肉がつきます。それからアメリカで開発されたツノのない牛。ツノは畜産農家にしてみれば怪我の元になるし、牛同士ケンカするとよくないという理由で、ツノを作る遺伝子を壊し生産されています。キメラ動物の製作も始まっています。例えばラットの体内でマウスの腎臓を作る。将来的には人間の臓器を豚の体内に作る。これは臓器移植に使うのが狙いです。
 植物では国内でも既に「栄養価の高いトマト、多収穫のコメ、筋肉隆々の真鯛、芽を出しても毒性のないジャガイモ、等々」が既に開発されています。厚労省は、早ければこの夏にもゲノム編集食品などを商品化すると発表しています。
 こちらはすでに商品化されていますが、アメリカ産の高オイレン酸大豆。アメリカ農務省は遺伝子組み換えは安全審査をしていますが、これは遺伝子を壊しただけだから規制しないと言っています。しかもオーガニックと表示してもいいと。オーガニックと表示してあるのが、ゲノム編集で作ったものか、そうではないのか区別できなくなっているのが現状です。
 今、産業界は医療分野や農業分野での新たな産業革命になるかもしれないと期待しています。内閣府のHPにはゲノム編集が将来、600兆円規模の産業になるかもしれないと書かれています。去年の6月15日、統合イノベーション戦略会議(いろんな産業の活性化のために内閣府主催の会議)で安倍首相が「このゲノム編集は成長戦略のど真ん中に位置付けられる技術。だから慣習にとらわれないで各大臣は一丸となって取り組むように」とハッパをかけました。それで急に環境省も厚労省もそれまでのタガを外して、一斉に取り組むようになったのです。

ゲノム編集は目的の遺伝子を壊すのみ。遺伝子組み換えは他の生物の遺伝子を組み込む.

遺伝子組み換えとゲノム編集の違いは?

 従来の遺伝子組み換えには、例えば、除草剤をかけても枯れない大豆とか、害虫がくっついても害虫が死んでしまうので農薬はいらないトウモロコシとかがあります。そういうものは、外来遺伝子(例えば、除草剤で枯れない大豆は、土の中に除草剤に強いバクテリア)から遺伝子を取って大豆の中に押し込んだわけです。だから除草剤をかけても枯れないんですね。
 ゲノム編集というのは、前述の双子の赤ちゃんの場合は、人間の遺伝子(特定の遺伝子)を壊すわけです。そうするとHIVになりにくいということがわかっている。単に壊しただけで、外来遺伝子が入ってない。だから、遺伝子組み換えとは違うと厚労省は言っています。そういう定義で外来遺伝子が残存しないものについては安全性審査は不必要、表示も不要としました。内閣府のホームページには品種改良と同じと発表しています。

ゲノム編集がなぜ問題なのか

 今年の3月1日、文科省は「ヒトの心臓を持つ豚」の出産を認める文書を発表しました。目的は臓器移植です。しかし、登場して日が浅いこの技術にはまだまだ未解決の問題が沢山あり、実用化には大きなリスクが伴います。それは生殖細胞のゲノム編集は種の保存を脅かす危険性があること、編集した遺伝子が子孫に伝えられること、社会のニーズ次第で生命が左右されること、などです。遺伝子を操作する事は長い進化の歴史を経て作られた生態系を破壊する恐れや、社会の要請に応じてデザイナー・ベビィを作る優性思想にもつながる際どい技術でもあるのです。

生命倫理の問題は?

技術的問題が解決されても課題は残ります。それは生命倫理の問題です。特に医療分野では臓器移植のために豚の体内でヒトの心臓を作ったり、雌同士の交配で子どもを作る技術が登場しています。こうした問題は技術的リスクとは別に「そもそも、やって良いことと悪いこととの区別をどうするか」という大きな、しかし避けては 通れない問題を突きつけています。


 最近、国で大きな動きがありました。3月1日に文科省がそれまで禁止していた「ヒトの臓器をもつ動物の出産を認める」という決定をしたのです。これは、例えば豚の受精卵で心臓を作る遺伝子を破壊し、そこにヒトの多能性幹細胞を移植し子宮に戻して出産させれば、ヒトの心臓を持つ豚(即ちキメラ動物)が生まれる、という事になります。提供者の足りない人の臓器を動物で賄おうという狙いですが、こうした事が果たして生命倫理の立場から許されるのでしょうか。
 ゲノム編集は誰がどのように規制するのか、国際的な規制が必要ですし、専門家だけでなく一般市民の判断が必要と強く感じています。

■ か わ た ・ ま さ は る 1940 年、秋田県生まれ。東京教育大学理学部卒業後、名古屋大学理学部大学院分子生物学入学。卒業後助手に。2003年定年退職。専門は遺伝子の分子生物学と環境化学。遺伝子組み換え情報室代表。著書に『チェルノブイリと福島』(緑風出版)など。訳書に『遺伝子の分子生物学』(J・D・ワトソン著)第一販がある。


vol.190 遺伝子組み換え食品

私たちはいつの間にか「遺伝子組み換え食品」を食べている⁉

遺伝子組み換え(Genetic Modification)など生命操作された作物が私たちの食と農に何をもたらすか、考えてみましょう。

遺伝子組換え技術を利用した食品

 1994年に米国カルジーン社が遺伝子組換え技術を利用し、「フレーバー・セーバー」 という名の日持ちがよい(熟して柔らかくなるのを遅くした)トマトを初めて商品化しました。また、ゼネカ社のペクチンを多く含むトマトを利用したトマトピューレも英国で販売されました。
 日本では、遺伝子組換え農作物は生鮮食品として利用されていませんが、除草剤耐性大豆やナタネおよび害虫抵抗性のジャガイモ、トウモロコシ、ワタ等は、大体、次のような加工品に利用されています。

除草剤耐性大豆は・・・

  食用油、豆腐、豆乳、醤油、マーガリン、マヨネーズ、サラダ・ドレッシング、ショートニング、グリセリン、乳化剤、乳 製品、大豆タンパク質、タンパク強化剤、アミノ酸、調味料、水産練製品、ソーセージ、麺類、パン類、菓子類等

害虫抵抗性ナタネは・・・

  食用油、マーガリン、マヨネーズ、サラダ・ドレッシング、 ショートニング等

害虫抵抗性ジャガイモは・・・

  フライドポテト、ポテトチップス等

害虫抵抗性トウモロコシは・・・

   食用油、マーガリン、てんぷら粉、シリアル製品、コー ンスターチ(酒類、水産練製品)、水飴、ブドウ糖(菓子類、 佃煮、ジャム、酒類、飲料、パン類、缶詰、ソルビット)、 異性化糖(飲料、パン類、冷菓、缶詰)

害虫抵抗性ワタ・・・

  食用油

    バイオテクノロジーQ&Aより  一般財団法人バイオインダストリー協会

あなたは遺伝子組み換え食品を食べていますか?

 
いやいや、「遺伝子組み換えでない」を選んで買っているから大丈夫。そう思い込んでいたら、それは大間違いかもしれませんよ。
 あなたの買うサラダ油も、あなたの飲む清涼飲料水に含まれる「果糖ぶどう糖液糖」も、遺伝子組み換え作物からつくられている可能性が非常に高いのです。なぜなら、油や糖類には遺伝子組み換えの表示義務がないから。遺伝子組み換え食品には表示義務のあるものとないものとがあるため、ほとんどの日本人が、何も知らないままに、日々大量の遺伝子組み換え食品を消費しています。
 しかし本来、私たち消費者には、自分の食べるものに何が含まれているのかを知る権利があります。消費者基本法にも、消費者の権利として「必要な情報が提供される権利」が明記されています。
 その知る権利を、現在の表示制度は保障しているとはとてもいえません。誰にでもすぐにわかるよう、すべての遺伝子組み換え食品にその旨を表示すべきですよね。

◆日本が輸入を許可している遺伝子組み換え作物

 とうもろこし、大豆、なたね、綿実、じゃがいも、てんさい、アルファルファ、パパイヤの8種類。そのうち、食品として主に流通しているのは、とうもろこし、大豆、なたね、綿実の4種類のみです。とうもろこしは、コメの消費量の2倍近くもの量を輸入しており、その8割以上が遺伝子組み換えであると推測されます。日本は世界最大の遺伝子組み換え作物輸入国です。

◆日本の遺伝子組み換え表示制度の問題

 ◇表示義務のあるものとないものとがある
◇組み換えられたDNAとそれによって生成したタンパク質が含まれない食品には表示義務がない
 具体的には……油、ショートニング、マーガリン、マヨネーズなどの油製品。果糖ぶどう糖液糖などの糖類や水あめ、みりん風調味料などの甘味料類。醤油、醸造酢、たんぱく加水分解物などの調味料類。そのほかにも、コーンフレーク、醸造用アルコール、デキストリン(増粘剤等に使う多糖類)などには表示義務がないとされています。

◆表示義務のある食品とは?

 大豆では、豆腐、納豆、豆乳、味噌、そして油揚げなどの豆腐派生製品。とうもろこしでは、ポップコーンその他のコーンスナック菓子、コーン缶など。表示義務のある食品で「遺伝子組み換え」のものは、実際にはほぼ流通していません。

            「サルでもわかる遺伝子組み換え」より

私たちが選べば世界は変えられる

「美味しい料理の始まりは・・・・・・・・・
台所ではなく種だと母は言っていた。
そして娘たちに食べ物の背景を教えるために家庭菜園を作っていた。
最初の遺伝子組み換え食品(GM)が発売された時、自分で調べようとした上に私に本を送ってきた。
母の料理はタネから始まった。
母と娘の10年の記録

『たねと私の旅』

内容:小さい頃から食いしん坊だったオーブは、母が作る愛情たっぷりの料理で育った。母は環境活動家でもあったが、もっとも力を注いだのは家庭菜園。娘たちに“食べ物の背景”を伝えたかったのだ。
 畑から収穫される豊かな御法(みのり)が、台所でとびきりおいしい一皿になる至福のひととき。オーブは幼い頃から、畑と台所が大好きだった。
 大学に入ったオーブは、都市で一人暮らしを始める。大学では映像を勉強し、実家に戻っては、母が世話する美しい菜園のすがたを映像に収めた。
 都会での生活は、母の菜園が食品店代わりだったそれまでの生活とはガラッと変わった。オーブにとっては、“スーパーで食品を買う”という新しい体験でもあったが、一方で、「何を食べているのかわからない」という不安が常につきまとうのだった。
 奇しくもその年、最初の「GM(遺伝子組み換え)食品」が市場に出回る。多くの国が食品にGMの表示義務を設けたのに対し、カナダとアメリカは表示義務を設けなかった。除草剤を使っても枯れない大豆やナタネ、殺虫能力をもつトウモロコシ、種の壁を越える遺伝子組み換え……。
 母からは、GMについて書かれた本が度々送られてくるようになり、読み進めるうちに、企業が開発するGMのたねが急速に広がり、特許によって、農家が“たねを採る自由”を奪われていることを知る。実際に、実家に戻るたびに、周辺ではGMの大豆やトウモロコシが増える一方だった。
 何が起きているのかを知るべく、オーブはカメラを携えて外の世界へと向かっていった。

       写真は映画「たねとわたしの旅」(国際有機農業映画祭のサイトより)

色々な方のお話を聞いたり、調べたりするほど、食材の選択肢が狭くなる?いいえ、知っていることは強みです。しっかり表示を見て買えるから。「私たちが選べば世界は変えられる!」という思いを繋いでいきたいね。それから『たねと私の旅』上映会、どなた一緒にやりませんか?映画に出てくる料理も作ってみんなでシェアしたり…。興味のある人、にらめっこまでご連絡ください!(info@niramekko.com  058-383-8666)



vol.190 ここいく日記 はじめの7歩!

寸劇で伝えることで心で感じる

 子育ても一段落して、これから先自分は何を目標にしたり、やりがいを感じるのだろう・・・と思うことがありました。しかし今は「ここいく」の活動から自分を見つめ直すことができました。
私が「ここいく」のメンバーに加わったのは、我が子に正しい性の知識を伝えたいと思ったことがきっかけでした。
 もともと何かを自分から始めるということがなかった私は、補助的な裏方のお手伝いができればと思い「ここいく」に加わりました。
 しかし、授業を重ねていくうちに「ここいく」のいのちの授業は、みんなで創り上げるものでありメンバーひとり一人が自分が出来ることを見つけ、主体的に動いていく事によって各々が仕事を持っているにも関わらず、オーダーメイドのような授業が出来上がるのだということに気づきました。
 それなら私にできることは何だろう?…とここで初めて自分は何ができるか何がしたいか真剣に考えはじめました。
 そうして辿り着いたのが、恥ずかしがり屋の私がメンバーと一緒に子役に扮し寸劇をすることでした。

 寸劇では、成長期の体の変化を伝えたり、体や心の悩みは皆が持ってるもので自分だけが特別ではないこと等を伝えます。普通に言葉に伝えるだけでは伝わりにくいことも、面白おかしく劇をすることで、子どもたちは実生活に置き換えるることができ、よりイメージしやすくなります。これは「ここいく」が得意とするオリジナルメニューです。・・・とは言うものの、普通のお母さんがツインテールでミニスカートを履き舞台に立つということは、とても勇気が必要でした。
 しかし、授業を通じてリアルタイムで感じる子どもたちの笑顔には、そんな恥ずかしさも吹っ飛ばす程のパワーがありました。
 個人差があることに安心してホッと表情が和らぐ姿、照れて下を向きながらも耳ではしっかりと聞こうとする姿「あなたたちは3億分の1のラッキーボーイとラッキーガールなんだよ」というメッセージに素直に喜ぶ横顔・・・

 このような様々な反応を見ているうちに、私たちが大切だと思うことを未来ある子どもたちに少しでもたくさん伝えたい。それに小さければ小さい程、水を含むスポンジのように吸収してくれるので、できれば低年齢の子どもたちにも伝えていきたいと思うようになりました。難しい言葉や、体の複雑なメカニズムは1回聞いただけでは忘れてしまうかもしれませんんが、心が感じた気持ち(感動や安心感)や一緒に授業を受けるという一体感は薄れることはありません。
 今後1人でも多くの子どもたちに「いのちの授業」を届けることができれば嬉しいです。

担当:ここいくメンバー・多田良子でした。


vol.190  niramekko Gallery 「えき」「くまおやこ」

 なんか疲れたなぁ、と思ったときは思い切って日常から離れてみませんか?私達の暮らしは意味や役割がある脳で作られたものに囲まれています。そうすると、意味のないものに耐えられなくなるかもしれません。アートに触れるときは、意味を求めないで、心の働きを感知する力を取り戻しましょう。共感したり感動したりすることで、心の働きが活発になっていきます。たまには、美術館やギャラリーでアートな作品を鑑賞してみませんか?気持ちが落ち着いたり、リフレッシュしたり、時にはワクワクしたり…まだ自分が体験した事のない領域の喜びを体や心で感じることができるかもしれません。


vol.190 ぎむきょーるーむ 大人の手助け中毒こそが問題

石川憲彦 児童精神神経科医 

「誰のつまずき」かをよく整理

 子どもは、つまずくのがしごと。つまずくことで、起きあがることを学ぶ。学ぶのは、どう起きあがるかだけではない。つまずかない方法や、ときには同じつまずくならどんな風につまずくのがいいのか、そんなことも学ぶ。何より「順調にいっているときも、つまずいたときも自分は自分でいられる」ということをこそ学ぶ。
 つまずいたとき、大人がなすべきことはただひとつ。じっくり自分で立ちあがるのを待ってあげる。けっして手を貸してはいけない。ただただ、ひたすらじっと耐え、忍び、祈るような気持ちで待ちつづける。これが極意だ。周囲の大人の待てる時間が長ければ長いほど、子どもの人間性も、人生の味わいも、深みを増す。


 断言しておこう。手助けは、基本的に悪なのだ。
 例外はある。子どもの側に事態の解決を期待するのが困難な場合や、大人の側に待つゆとりのない非日常的な事態の場合など、悪とはわかっていても手助けが必要なときはある。ほんとうに必要な手助けは、ときには人間への信頼感を強めてくれるだろう。しかし今日、大人はあまりにもおせっかいだ。不必要な善意を「子どもには解決できないだろう」とか「手おくれになっては困る」とか理屈をつけてばらまく。多少のおせっかいなら、子どもへの愛敬、かえって微笑ましいと笑ってすませられるのだが、ことには限界がある。
 いったい、なにが・いつ・どこで、誰にとって・どのような意味で、「誰のつまずき」なのか。
 この点をよく理解しないと「いつ・どこで・誰に・なにを・どう」手助けしていいのか、ということも、手助けが「いつ・どこで・誰に・どう」問題となるのかということも、さっぱりわからなくなってしまう。

日常の行きちがいのなかで

 脳性麻痺の小学生。担任は「歩行できない。火事のとき、足手まといになっては当人が困るだろう。歩けるようにトレーニングを」と養護学校をすすめる。親は「先生に理解がない。いじめられてかわいそう」と転校を考える。当人は沈黙。しかし20年後、昔をふり返っていう。「歩けないことは苦痛ではなかった。いじめにも慣れていた。ただ、他人と別のあつかいをされること、保護されることは、いまでもいちばん苦痛だ」。

 拒食症の高校生。担任は「痩せてつらそう。家族が必要なケアをきちんとしていない」と家族療法をすすめる。親は「注意しても反抗するし、放っておくと食べないし」と娘の反抗を嘆く。そして、当人は「飢えるアフリカのテレビを見ていたら、食べるなんて贅沢できなくなった。でも同じテレビを見て泣いていた親は、番組後けろっとして食べていた。平和教育に熱心な担任には、遠い他国のことより今の自分が大事と諭された。大人になるって、そんなふうにに自分をコントロールすることか。そう思うとこわくなる自分は、最低だ」と自分を罰する。
 わかりやすくするために、少し極端な話を選んだ。しかし手助けが、つまずきそのものよりもずっと大きな問題になるという話は、日常のごくありふれたいきちがいのなかにずっと目立つ。

相場がふっとんだ時代に

 不幸なことに、今日圧倒的多数の大人は、なんでも早めに手助けしてあげるのがいいことだとひたすら信じこんでいるふしがある。この手助け中毒が進むと、子どもがつまずくこと自体が悪に見えてくる。そしてついには、世間なみでないこと(みんなが漠然とよいと思っていること)以外は、すべて悪と信じこみ、つまずきが起こる前に処理してしまおうと考えはじめる。
いまの若い人たちを見ていると、親も教員もこの中毒への耐性が弱いと思う。自分の判断基準にしたがってものを考えることを、独善的ではないかとおそれる謙虚さが強すぎて、まず周囲を見渡し、世間の判断にしたがって大過なくやりすごそうとする。
 ひと昔前までなら、中毒にも救いはあった。まだ世間には、「これくらいは放っておく」というつまずきに対する相場があった。「はしかみたいなもんだ」などと、封建的に「蛮勇」をふるうような差別的な内容ではあっても、相場は社会全体に広く共有されていた。だから世間の判断にしたがっておけば、たいていのことは丸く収まった。相場に異議を申し立てる子どもも、大人になると「まあこんなものか」とやがて納得してくれるのも相場のうちであった。
 しかしバブルと同様、相場なんてふっとんでしまった。現代は、つまずきをおそれることが、最悪のつまずきという時代だ。つまずくことへのいたずらなおそれから解放され、いま目の前にいる子どものつまずきを見定めないと、たいへんなつけを払わされる。

では、どうやって手助け中毒から離脱すればよいのか。

 手助けの弊害を明確にすること。いま自分がすすめようとしている手助けは、「何が・いつ・どこで・誰にとって・どのような意味で」最終的には「誰のつまずき」として問題となるのか。この点を、じっくり考えてみよう。この点さえ承知していれば、手助けもやむをえない。あとで手助けが失敗だと気づいても、まだカバーできる。しかしこの点が不明確なら、生命に異常が想定されないかぎり、絶対に手助けはしてはいけない。

100号「学校でつまずかない人生」で伝えたいこと

 中毒は手助けをやめれば治る。心配なのは絶対に必要なときにも身動きできない「手助け手抜き症」への悪化だ。
 もうひとつ心配なのが、「手助け忖度(差別?)症」。いつの時代にもわが子のためにほかの子の生き方を操作する一部の特権階級は存在する。
 「忖度症」と「不能症」。両者は逆方向の社会存在だが、先行きの見えない不安や不満に対して、筋ちがいの攻撃性や衝動性を示すところはなぜか共通する。それが「善意のゴリ押し」や「クレーマー」程度で済めばいいが、いじめ・ハラスメント・虐待などに発展することも多い。
 今や「手抜き症」の治療がカギになる。手抜き症の問題は、古い因習に捕らわれて手抜きを開くとか恥とか思うことだけ。脱出するには、「手抜きを責めない」「最低必要限の手助けを明確にして、それはどんな手を使ってでも実行する」のふたつで十分だ。それには「おたがいが気楽に遠慮なく依存し合える双方向性の関係」が、上手に手を抜く極意を見つけるためになによりも必要になるのだ。

いしかわのりひこ:林試の森クリニック院長。お・は編集協力人。著書に『みまもることば〜〜思春期・反抗期になってもいつまでもいつまでも』他。2,018年より『こころ学』シリーズの刊行が始まり、第1巻は『「精神障害」とはなんだろう?ー〜ー「てんかん」からそのルーツをたずねて』(ジャパンマシニスト社刊)。


vol.190 えんぴつ・カフェ 7月はゆる体操

開催します! えんぴつカフェ14:00-16:00 9月 7日(土)、11月16日(土)、 3月7日(土)

 各務原市産業文化センター2階第1会議室(予定)お茶とお菓子付きみんなでワイワイおしゃべりしながら「ゼロの昇天」の書き込みを中心に。

【報告です】5月19日(日)えんぴつカフェスペシャル第1弾「作ってみよう!薬膳料理」 各務原市総合福祉会館3階料理教室にて

 最初に、チェックシートで中医学に基づいた体質チェックと、中医学の考え方や薬膳食材の効能など高山先生のお話し。その後、4つの班ごとに調理実習をしました。

参加者からは、「薬膳は薬臭いイメージだったけど、普通のおいしい食事でした。これなら家でつくっても家族も喜ぶと思いました」「先生のお話しはわかりやすくて、薬膳って日常に結びついてるんだなと思いました」などという感想が聞かれました。

7月14日はスペシャル第2弾 ゆる体操です。みなさんの参加をお待ちしてま〜す!

 


vol.190 熱中世代 山口克己さん

伝統野菜の「桑の木豆」のあるまちで、食文化と元気を発信

 山県市 ふれあいバザール生産物直販組合長 山口克己さん

 今からさかのぼること30年余り。作っても食べきれない地元野菜を生かそうと、有志が朝市で売り始めたのがそもそもの始まりでした。10年程続けるうちに、ここで野菜を買ってお茶でも飲めたらいいね、そんな会話から「ふれあいバザール」発足へと発展。当時の美山町に申請すると補助金などの後押しも心強く、スタッフが腕によりをかけた食事を提供できる食事処もできました。もちろん食材は地元食材。以来「ふれあいバザール」は地域の食文化を発信する拠点となり、地域に根付いています。
 「桑の木豆は、岐阜県の飛騨・美濃伝統野菜に指定されている珍しいインゲン豆の一種です。美山町から山県市になりましたが、この地域の特産野菜をもっといろんな人に知ってほしいですね」と、現在の組合長を務める山口さん。岐阜県民でも知らない人が多い桑の木豆を広めようと、スタッフと一緒に日々奮闘しています。
 桑の木豆を使って商品化された、おかず味噌、そばまんじゅう、アイスクリーム、パウンドケーキなど、現在バザールで提供されていて人気を呼んでいます。
 「バザールで働く人は全員が女性。だから家族の病気や子どもの学校行事などで仕事を休む時はみんなが交代で補いあって働いています。女性が生き生きと輝ける場なんです。そして、生産者さんは自分の作った野菜が売れることでやりがいにも繋がっています。ここに野菜を持ってくるだけで、スタッフやお客さんなどいろんな人と会話ができて元気が出る、という高齢の方は多いんですよ」
 バザールでは、山菜に詳しい人、明るく接客が得意な人、漬け物や加工食品作りが得意な人、経理が得意な人…。スタッフはそれぞれの持ち味を生かし、適材適所で忙しく働きます。
 しかし、農産物には厳しいチェックも。栽培記録を提出してもらう。残留農薬があったり、規定外の農薬を使用した物は取り扱えない。そういう品質の管理も山口さんの仕事。必然的に生産者は土つくりから勉強することになります。それはバザールとの信頼関係を築いていくことに繋がっていきます。
 地域で採れた新鮮な野菜や、それらを使った料理の味とともに、個性豊かなスタッフや生産者、いろんな人たちがふれあう和やかな雰囲気は口コミで広がり、県外からも多くのお客さんが訪れます。
 「現在働く女性スタッフは50代から70代です。年輩の方は若い人と一緒に働けることを喜び、若い人は先輩から知識、経験、料理方法など多くのことを学んでいます。今後の課題は次の世代にここを引き継いでもらうこと、かな。今はとにかく忙しい日々だけど、ゆっくりできるようになったら、花を育てたいなぁ」
 その笑顔には組合長ではない、素の山口さんの顔が覗いたようでした。

桑の木豆(くわのきまめ)
岐阜県山県市(旧・美山町)で、昔から自家用に育てられてきた地方野菜。岐阜県の「飛騨・美濃伝統野菜」の認証を受けている、インゲン豆の一種。収穫時期が10月頃で、台風による倒伏の予防のために昔から桑畑が多くあった美山地域で、桑の木に絡ませて栽培されていたことからその名がついた。完熟すると、さやや豆に赤くかすり模様が入り、目に鮮やかな豆になる。このように色づくのは美山地方の豆だけ。完熟した豆は、さやごと乾燥し保存。水でもどして調理するときは、さやごと使われる珍しい豆である。

ふれあいバザール/人気の定食
岐阜県山県市船越416-13
営業時間:10:00~14:30 定休日:月曜日、第3日曜日

   


vol.190 カタコトの部屋 しょうがいをみつめる

 みなさんは「しょうがい」という言葉を聞いてどんなイメージを持ちますか?「障害」という文字を見て、どんなことを思い浮かべますか?

 私は、悲しくて残念なイメージと共に、ふんわり優しくてあったかい感じを持っています。と同時に、「障害」ということばに違和感を感じています。他に適切な言葉や造語や新語を考えますが、これだ!というものにまだ出会ったことがありません。
 私が出会ってきた障害のある人と言われる人たちの特徴は、「害」ではなく、ただただ「個性」でした。社会生活に差し障りがあると認識しているのは周りであって、本人は与えられた体や心、環境をめいっぱい活用して今を楽しく生きています。差し障りがあるという周りの意識が、生きずらさを生み出しているのではないかと感じています。
 このページでは「障害」(しょうがい)を見つめていきたいと思います。見つめていく中で、上で述べた考えが変わっていくかもしれないし、進化するかもしれないし、迷宮入りしていくかもしれないし、そんな自分を楽しみたいと思っています。と、同時にみなさんの感じたこと、見つめていることも知りたいです!21ページのプレゼント応募とともに、あなたの思うところもお待ちしています!

 納得はいっていませんが、現時点では、障害を見つめていく中で「障害」という表記が1番伝わりやすい言葉であると思います。もっと伝わりやすい言葉が見つかるまでは「障害」という言葉を使っていこうと思います。

 私が「障害者」という人に初めて出会ったのは0歳の時でした。父の兄、私のおじが聴覚障害者でした。隣町に住んでいて床屋を営んでいました。おじの側にはいつも、彼の母、わたしにとっては祖母がいて自立を支えていました。祖母とおじは、私の父を慕っていてよくうちに遊びに来ました。私が読み書きができる様になると、辞書を片手に筆談やジェスチャーを駆使して、おじと会話をするのが楽しみでした。小学校高学年くらいになると、おじが本当に1人で生活できているのか気になり、おじがスーパーへ買い物に行くのに隠れてついて行き、影からそーっと見ていました。レジの人はちょっと嫌そうな顔をしながらも(いつもの人が来たわ)という感じで対応していました。おじは親しげに話しかけますが、会話は噛み合っていないようでした。でも、たぶん、おじはそんな空気を感じておらず、会話を続けるのでした。それを見て、おじの1人暮らしは地域の方に見守られているからこそ成り立っていること。おじは耳から自然と入ってくる情報がゼロの為、"暗黙の了解"とか"何となく常識"みたいなことが全くわからないことに気づきました。
 そんな経験があったからか、小学生になると特殊学級と普通学級を行き来している友人の送り迎えの役割をしたり、今では発達障害と言われそうな友人のそばにいつもいました。新しい経験やいつもと違うことがあると逃げて走り回る彼女を追いかけ、落ち着いた頃に一緒に教室へ戻っていました。帰り道では、興味があるものに出会うといっこうに歩く気配がなく、一歩歩いては何十分も進まないなんてことはよくありました。彼女が何をしてるのか感じながら、距離をおいて、植物で遊んで時間を潰したり、そろそろかなって具合で声を掛けたりして。それでも、進んだり進まなかったり、結果が出るような出ないような、ゆったりとした時間が好きでした。
 どの経験も、愛くるしくて笑っちゃう様な、心があったかくなる記憶として刻まれています

 そんなこんなで特別支援学級の先生として働くことになりました。大学を出たばかりの22歳の私は、どの子も可愛くて可愛くて仕方ありませんでした。10名ほどの子どもたちの中でも主に担当したのは、重複障害(肢体不自由、知的障害、情緒障害)という特徴を持つ10歳前の男の子Tくんでした。

       Tくんとの日々のお話は、また次号で!ひつじ

みんながあたりまえに暮らせる社会って?

幼いうちからともに生活すること 特別扱いして考えることをしない
                小児科医 山田 真


 大人になってはじめて障害者と出会う場合、ぎこちなくなってしまうことが多いのです。「どんな言葉づかいをしたらいいのだろう」「どういう行為が差別的な行為にあたるのだろう」など、いろいろ考えてしまうと、変に他人行儀な言葉づかいになったりします。
 また「つきあっていくうちに腹の立つこと、許せないことがあっても、障害者なのだから大目に見るべきなのだろうが、それはきついな」というふうに考えると、つきあうことに躊躇することにもなりがちです。


 子どもたちはよけいなことを考えません。「こんなことを聞いたら差別になって傷つけることになるのではないか」などと考えません。大人だと、障害について口に出してはいけないのではと思って、聞きたいことも聞かずにいることも起こるでしょうが、子どもは素直に「腕は動かないのか」「どうして車いすに乗っているのか」など、自由に聞くことができます。
 また、障害児が普通学級に入った場合、教員など大人が介入しないで子どもたちに伝えておけば、子どもたちが障害児と上手につきあっていく方法を見つけていくものです。
 つきあい方などというものは、一緒に生活していくなかで自然にわかっていきます。大人がなにかいってもいうことを聞かないけれど、同級生にいわれるということを聞くというような障害児はたくさんいます。
 いろいろな価値観を身につけてしまった大人は、その価値観ゆえにうまくつきあえなかったりします。それに対し、子ども、とくに幼い子どもは、そういった価値観から自由であるため「いろいろな個性をもった人間がいっしょに生活していく方法」を見つけ出すことが得意なのです。
 子どもだと障がい児に対しても対等につきあうことができ、ケンカもするし注意をしたりもします。「障がい児だから…」と特別あつかいして考えることをしないのです。これが大事なことです。
 僕たちはどんな障害をもった子どもも幼いときから健常な子どもたちと同じ集団のなかにいるべき、けっして健常な子どもたちと分けられてはいけないと考えて運動してきましたが、その最大の理由はここまで書いてきたようなことなのです

やまだまこと  小児科医。八王子中央診療所所長。「子どもたちを放射能から守る全国小児科医ネットワーク」代表。「お・は」編集協力人。著書に『水俣から 福島へ 公害の経験を共有する』(岩波書店)ほか。

『お・は』NO.90より


vol.190 アウトドア特集

とにかく日陰を確保することが夏キャンプの基本。夏の強い日差しは体力をどんどん奪い、熱中症にかかる恐れもあります。そうならないためにもタープを張って日陰を作りましょう。経口補水液をお忘れなく!

■テントに直接日光を当てない工夫を
夏の太陽にさらされたテント内は、かなり室温が上昇します。夜になっても熱気がこもっているということも……。それを防ぐには、テントを直射日光に当てないことが大切です。

では、どんなサイト選びをすればいいのでしょう?キャンプサイトには高原、林間、水辺などいくつか種類がありますが、直射日光をさえぎってくれる林間サイトがおすすめです。
また設営の際は、テントの一部をタープ内に入れたり、日の向きを考えて影になるところに設営するといいでしょう。

■水を味方につける
日本に古くから伝わる「打ち水」が、キャンプサイトを涼しくさせるのに効果あり!打ち水をすると、水が蒸発するときに地面の熱を奪って周囲の気温を下げてくれます。サイトのまわりに打ち水をして涼しさを手に入れましょう。またテントやタープに水をかけるのも効果的です。バケツがあれば、水を張って足をつけると涼しさもアップします。

■暑さをしのぐ睡眠便利グッズを取り入れる
夏キャンプの夜、暑くてなかなか眠れなかったというのはよく聞く話。睡眠時に背中の蒸れを防ぐため、テント内ではコットやエアーベッドを利用して、背中と地面の間に空間を作るようにしましょう。触れた感じがさらっとしているゴザもおすすめです。また、小さいクーラーボックスに氷を入れてフタを開けておけば、簡易クーラー代わりにもなりますよ!

■暑さ対策をして快適夏キャンプを!
せっかくキャンプに来たのだから、暑い
時期でも楽しみたいですよね。こちらで紹介した夏キャンプの基本テクニックを使えば、暑くても快適な夏キャンプが楽しめます。せっかくの夏休み、楽しい思い出がいっぱいのキャンプライフを過ごしてください!

こんなキャンプ飯ささっと作ったらかっこいい! 外で食べるから10倍うまい

◆夏野菜のホイル焼き
【 材料 (2人分) 】
プチトマト、ズッキーニ(輪切り)
マッシュルーム(薄切り)
パプリカ、ピーマン、白ワイン
塩、粗挽き黒こしょう 適量
【調理のポイント】
夏野菜をふんだんに使ったお手軽な焼き料理。カンタンで鮮やかな一品。アルミホイルを広げて野菜をのせ、白ワイン、塩、粗挽き黒こしょうをふったら、アルミホイルの口をしっかりと閉じ、網の上で焼きます。野菜に火が通ったら完成です!

◆フランスパンのホットサンド【 材料 (4人分) 】
フランスパン 1本
粒マスタード、マヨネーズ
オリーブ、モツァレラチーズ
ピザ用チーズ、プチトマト
【調理のポイント】
チーズがとろりと溶けて食欲をそそるメニューです!フランスパンに切り込みを入れ、切った側面に粒マスタードを塗り、スライスしたスパムミート、輪切りのオリーブ、ピザ用チーズなど好きなモノを挟んだら、アルミホイルを2~3枚重ねて大きく包み、グリルの上に置いて焼いたら完成です!。残り物やサラダをはさむのもオススメでよ。

◆味噌チーズフォンデュ【 材料 (4人分) 】
レンコン、パプリカ、アスパラガス、むきえび、季節の野菜やシーフードなど適量
(ディップ)
クリームチーズ 1/2カップ
豆乳 1/4カップ 赤味噌 小さじ2
【調理のポイント】
みんなでグリルをワイワイ囲みながらの料理は、バーベキューが10倍楽しくなりますね。シェラカップにディップの材料を入れ、グリルの上で、なめらかなディップを作りましょう。一口大に切った野菜やエビを焼きながら、温めたディップにつけて食べます!

◆食後にデザート&コーヒーがあれば満足度100


vol.190 ボーダーレス社会をめざして vol.49

NPO法人オープンハウスCAN 理事長 伊藤佐代子

家族旅行?

 「一泊で温泉に行くけど、一緒に行く?」いつも即答で「行きません。」と答えるのに、今回はどうしたのか「僕も行きます。」と。あっけなく家族旅行することになりました。
 旅行好きの自閉症の息子は、、「ダーツの旅」のように、日本地図のジグソーパズルのパーツをポケットに入れ、取り出したパーツの所へ遊びに行くという事をして旅行を楽しんでいましたが、2014年9月に全国制覇し、その後、ぴたりと一泊旅行をしなくなってしまいました。今回どういう訳か行くということで、息子が楽しめる旅行にしなければと考えました。
 電車で行ける所、温泉地でありながら息子一人で寝られる場所を確保できる所、カラオケやゲームなどで遊べる宿泊施設。いろいろ探して片山津温泉で泊り、金沢に行く事にしました。何時に出発か、何時の特急に乗るのか?質問攻めにあい、きちんと分かるように文字で書き出しました。すると自分でパソコンに向かい、ハガキ大の紙に印刷をしてきました。「これでいいですか?」「これだとJRの人が分からないでしょ。岐阜と金沢の往復券と書いた方がいいんじゃない。」などアドバイスをし、切符を買うための準備をしました。その書いた紙をJRの窓口で見せ、切符を買ってくるのです。上手に言葉で話せない彼がたどりついた切符を買う方法です。
 旅行前日は、テンションマックスで、「僕は5時に起きます。」「いや、そんな早くなくていいよ。6時半くらいで。」。当日、一緒に出掛ける素振りは全くなく「僕は、岐阜駅に先に行ってます。」と一人で行ってしまいました。特急電車の中では、私たちからは離れて一人で座っていました。福井で昼食を食べようと、途中下車したのですが、「13時50分改札口に集合。自由行動。」、加賀温泉駅に下車しても同様に「14時35分集合。自由行動。」、ホテルに着いてからも、自由行動!と夕食だけ一緒に食べたという感じです。お風呂も一人で入りに行き、お父さんとは別行動。
 次の日、金沢についてからも同様に自由行動で、家に帰るのも自分の好きな時間の電車に乗っていいことにしました。すると意気揚々と金沢駅を出てどこかに行ってしまいました。「これって家族旅行なの?」と友人に言われ「そうだね。変かな。」
 自閉症の息子と一緒に行動する時は、いつもこんなものです。いかに上手に付き合うか。いつも一緒にいるばかりがいい訳ではないのです。本人が楽しく過ごせればOKです。少し後、彼は一人で岡山へ行ってきました。もちろん日帰りで。泊まりはしないのだそうです。


vol.190 半農半X vol.31

たのしみは

 20数年前のことですが、人生を生きるたのしみを歌った幕末の歌人・橘曙覧(たちばなあけみ)の歌が流行ったことがありました。「たのしみは」ではじまる歌52首「独楽吟」は読むほうも幸せになる歌ばかりです。有名な歌をいくつかご紹介しましょう。「たのしみは朝おきいでて昨日まで無かりし花の咲ける見る時」や「たのしみは妻子(めこ)むつまじくうちつどひ頭ならべて物を喰ふ時」「たのしみはまれに魚煮て児等皆がうましうましといひて喰ふ時」「たのしみは三人の児どもすくすくと大きくなれる姿みる時」「たのしみは機おりたてて新しきころもを縫て妻が着する時」・・・。世界には恵まれない人がまだまだいっぱいです。私たちにほんとうのしあわせとは何かということをそっと教えてくれているようです。

感謝と報恩と

 私たちの先祖をさかのぼれば、10代前のご先祖様だけで2の10乗の「1024人」にもなります。すごい数ですね。さらに計算してみると、20代前だけで約105万人。50代前だけだと気の遠くなるようなものすごい数のご先祖様になります。この世は縁の重なり合い。すべてつながっているのですね。地球温暖化が心配ないま、そして、令和のはじまりのときに思うのは、先人に感謝しつつ、同時代の仲間(=周囲)と力をあわせて、未来の世代のための “贈り物づくり”に励まねばということ。どんなに小さなアクションでもいいので、それを重ねて、すてきな未来を築いていきましょう。

塩見直紀(しおみなおき)半農半X研究所代表
1965年、京都府綾部市生まれ。20年前から「半農半X(エックス=天職)」コンセプトを提唱。半農半X本は翻訳されて、台湾、中国、韓国にもひろがる。著書に『半農半Xという生き方 実践編』など。

※半農半Xとは・・・半農は環境問題、半Xは天職問題(どう生きるか)を背景と する。持続可能な農のある小さな暮らしをベースに、天与の才を社会に活かす生き方、暮らし方。ex.半農半漁、半農半大工、半農半看護師、半農半カフェ、 半農半絵描き、半農半歌手、半農半鍼灸師、半農半カメラマンなどなど。


vol.190 菌ちゃん野菜応援団 vol.11

夏野菜を植える!

今年度市の助成金を受けて1年間食育をテーマに活動できることになりました。早速夏野菜を植えるイベントをしましたよ。

ここは去年枯れ草をたくさんたくさんいれたところ。
半年かけて菌ちゃんが草を食べてさらさらホロホロの土に育ててくれました。
そこにこれまたこだわって固定種、在来種のお野菜の苗を。

無農薬無化学肥料のお野菜栽培スタートです。

畑をやろう!と一口に言っても何からとりかかるのか、何をいつやるのかわからない人がほとんど。

こうやってみんなで一緒にやれるのはとても心強い!
親子連れさんが多かったので皆さん助け合いながら苗を植え付けていました。

「ずーっと子育てしながら仕事をしてきて実は少し私にはしんどいところがあった。パートナーにも不満や文句ばかり。でも、いま、こんな時間が持てるのは間違いなくパートナーのおかげ。そして、畑にいる子どもがこんなにも愛おしく思えるなんて知らなかった。幸せってこういうことなのかもしれないね」

ポツリとつぶやいた一人のママの言葉に危うく泣き出すところでした。お母さんたちみんな頑張ってますよね。毎日本当に一生懸命。
そんないっぱいいっぱいのお母さんたちが土に触れて野菜に触れる。そこから親子でつかみ取っていく何かをみんなでシェアしあえたらこんなに素敵なことはないなぁ。野菜作りは人との絆を強くするのかもしれないな、と感じています。

お野菜も子どもたちも。すくすくおおきくなぁれ。


vol.190 未来に続く暮しの学びPrt-32

持続可能な暮らしのアイデア                Part-2 Garden to Table and Dance floor

 前号では、Farm to Table (畑からテーブルへ)の提案をしました。この号では、それにプラスDance! (踊り場へ!!)を取り入れた企画の報告をしたいと思います。
 秋の初めに当たる4月。畑ではさまざまな作物が実りを迎える季節です。この一ヶ月間を「収穫祭」として、毎週末、畑で収穫した野菜でご飯を作り、音楽を楽しむという企画をしました。
食。音。踊り。

 まずその時の音楽のジャンルに合わせて、料理のテーマを考えます。次に畑で採れる野菜をいろいろと工夫します。ブラジル料理、メキシコ料理、エチオピア料理、中華料理、中近東料理、インド料理、などに対応できるようアイディアを出し合い、新しいメニューに挑戦しました。キッチンスタッフも新しいレシピを考案するいい機会になり、ここに集う人みんながアーティストになりました。
 さらに、スーパーでは見かけない野菜…たとえば、キャッサバ、ハヤトウリ、グリーンバナナ、ヤーコン、根菜など、あまり馴染みのない野菜が実はこの地域でも育てられるということ、その野菜の料理方法を共有することは、私たちの活動目的につながって、とても感慨深く感じました。
 もう一つの大きな特徴は、いろんなバックグラウンドの人たちが混在しているということ。オーストラりアならではの土地柄でしょうが、みんなの違いを感じるいい機会にもなりました。

 音楽、料理、ダンス、パフォーマンス、いろんなアートが混ざり合い、異文化を共有できた今回の企画。
 まさにアートに国境はない。そんなことを思いつつ、次はどんなコラボレーションが生まれるか、この地域の特性を生かし可能性を広げていきたいと思います。      やお


vol.190 夢か悪夢かリニアが通る!vol.19

 あなたの家の軒先に高架橋が現れ、時速505キロで車両が行き交うようになったら――そんなことを想像したことがありますか。前回の東京オリンピックが開かれた1964年10月に開業した東海道新幹線を巡って、沿線の名古屋市の住民が騒音や振動の差し止めと損害賠償を当時の国鉄に求めて、「名古屋新幹線公害訴訟」を起こしました。長い裁判を経て86年に和解は成立しましたが、国鉄を引き継いだJR東海はこの経験から何を学んだのでしょうか。新幹線開業から半世紀を経た今、リニア中央新幹線で「いつか来た道」を歩もうとしています。                  井澤宏明・ジャーナリスト

見上げれば超特急

「最後の手段」、差し止め提訴

 品川―名古屋間約286キロのうち9割近くがトンネルのリニア。既に実験線(全長42・8キロ)が完成している山梨県では全体の3割以上が地上部を走る予定です。
 住宅地の真上を通るリニアの巨大な高架橋によって静穏な生活が破壊される――などとして、山梨県南アルプス市の沿線住民が5月8日、事業を進めるJR東海を相手取り、同市内の建設工事差し止めや慰謝料を求める訴訟を甲府地裁に起こしました。

 提訴したのは「南アルプス市リニア対策協議会」の8人。同協議会は昨年4月、JR東海がリニア建設用地として幅約22メートル(両側4メートルが緩衝帯)だけしか移転補償の対象としないことなどに異議を唱え、甲府簡裁に民事調停を申し立てました。
 民事調停で住民側は、▷リニア用地から約30メートル以内の住宅の移転または金銭補償▷高架橋で分断される「残地」の買い取り▷日陰が発生するすべての住民に対して、日陰の時間に応じた補償――などを求めました。これに対しJR東海側は「いずれも応ずることはできない」とし、調停は不調に終わりました。
 やむなく提訴となったわけですが、原告の志村一郎さん(77)は会見で、「最後の手段という気持ち。JR東海とは何回も話し合ったが、沿線住民の生活に配慮していないことがはっきりした。(リニアが)軒先を通るような場合でも、移転対象ではない、金銭補償がない、ということですから、どなたも納得できない。少なくとも正当な補償を求めたい」と訴えました。
 訴状では、リニア建設予定地になったために、原告の土地や建物の価値が低下、将来の生活設計が台無しになり精神的苦痛を負っていると主張。高架橋が建設されリニアが開業すると、公害が起こり健康被害をもたらすと指摘しています。
 具体的には、▷高さ30メートルの高架橋の日陰になり、冬至には日照が1時間になる▷早朝から深夜まで6分間隔で車両の騒音や振動にさらされる――ことなどを挙げています。 
 


百害あって一利なし

 原告のトマト農家河西正廣さん(71)は、リニアにより農地が斜めに分断され、高架の日陰で栽培が続けられなくなります。

 「我々の地域は風光明媚で過ごしやすい穏やかな街です。ここに、怪物のような半永久的なものが出来てしまう。リニアで利便性が良くなると言われているが、我々にとって、『百害あって一利なし』です」と、語気を強めました。
 差し止め請求の対象は同市内の約5キロですが、代理人の梶山正三弁護士は「全部を止めるのと同じ効果を狙っている」と説明しています。JR東海は、リニアは「公共事業」で「公共の利益となる事業」だとしていますが、梶山弁護士は「リニアは、不特定多数のためという意味で『公共性』はあるけど、皆のためになるという『公益性』はみじんも認められない。皆のためにならない事業だったら、『皆さん、我慢する必要ありませんよ』という理屈です」と、差し止め請求の理由を解説しました。
 リニアを巡っては、国の事業認可取り消しを求め約800人が起こした行政訴訟が東京地裁で続いていますが、JR東海によると、建設差し止めを求める民事訴訟は初めて。
 金子慎社長は5月30日の記者会見で南アルプス市の裁判について、「リニア工事を差し止めてほしいという大きな要求で、私たちとしては応じがたい」と述べたと報じられています。しかし、住民が自分たちの生活を守ろうとすることが、果たして「大きな要求」と言えるのでしょうか。


vol.190 かなでの沖縄だより vol.13

沖縄に住んで、こちらで伝えると言うこと

 5月3日、西濃憲法集会でお話しさせていただきました。お話しするのは上手ではないし、うまく伝わるかも分からなかったけど、伝えないより自分の言葉で思っていることを伝えていくことが大切だと思い、今私が思っていること、沖縄の現状などをお話しさせていただきました。
 ここ3ヶ月の間に3回、こちらで沖縄についてお話しさせていただきました。どの会場も、やっぱり大人が多い印象。大垣と各務原でお話しした時は、子ども劇場のプレ学習会ということで子どもも多かったけど、私と同い年くらいの20歳前後の人は1人もいない。西濃憲法集会に至っては、私が最年少じゃなかったのかなと思うくらい若者がいませんでした。すごく悲しかったです。

 なんで、若者がこういうことに関心を持たないのか、知る機会が少ないからなのか、元々興味がないからなのか…。何をどうしたら同じ世代の人が聞いてくれるのか。たくさん考えました。ちゃんと考えていかないとあとあと困るのは自分たちだという事。考えても答えは出ません。まずはにらめっこに書いて1人でも多くの人に記事を読んでもらうこと、そして自分からお話しができるような環境を作っていくことしかないなと思いました。黙っているより、私が、私の目で見たこと感じたことをお話しした方がいいということは確かです。何か1つでも伝わっていたら嬉しいなと思います。西濃憲法集会では、たくさんの方に「よかったよ、ありがとうね」といっていただきました。発言することを止めずに続けていけたらと思います。

沖縄慰霊の日

 6月23日の慰霊の日が近づいてきました。毎年行われるモーツァルトレクイエムの練習が始まるといつもたくさんのことを考えさせられます。沖縄1年目のこの日は外に出ることも恐ろしいくらいでした。2年目は普通に迎えることができ、糸満の平和祈念公園で行われている式典をテレビで見ることもできました。そして3年目の今年、この日が特別な日だということを意識して沖縄の空気を心と体に染みこませたいと思っています。
 今年になってアメリカ兵がらみの事件がしばしばテレビから流れてきます。4月には本土復帰後では14件目の米軍関係者による沖縄県内での民間人殺害事件が起きました。このようななかでの今年の慰霊の日は、さらに特別なものになるんじゃないかと私は思います。とは言っても、沖縄についてはまだまだ私も勉強不足です。
 県民投票で普天間基地の辺野古移転反対が沖縄の民意であることがはっきりしても、その声は尊重されないまま辺野古基地建設が進められています。最初沖縄ではそれが毎日ニュースで流れていたけれど、もうそれが少なくなっている気もします。那覇市にいる限りアメリカ兵はあまり見かけませんでしたが、最近目につくようにもなりました。
 天気がいい日だと、1日に2回はオスプレイを見ます。沖縄に来て1年目はそんなことありませんでした。
 黙っていれば、それが何事もなかったかのように進んでいってしまうのです。沖縄に住んでまる2年、事態は危ない方向に進んでいるのではないかと感じています。今沖縄で起きていることは、いつどこで起きてもおかしくないことです。実際、内地でもオスプレイが飛び始めていると聞きます。
 こちらの人に、沖縄のことを人事だとは思わず少しでも興味を持って考えてもらえたらいいなと願ってます。


vol.190 プレゼントコーナー

1- あなたの「夏の乗り切り方」教えて!
 これから暑〜い夏がやってくる!元気に乗り切るコツは?
2- 気になるにらめっこ紙面での広告
3- 気に入った記事、気に入らない記事の
 タイトル1つ・その理由もお書きください。
4- ご希望のプレゼント名
(第1希望・第2希望)
 ※CとDは編集室まで受け取りに来られる方。
5- 本紙をどこで入手されましたか?
6- 氏名、年齢、住所、郵便番号、電話番号、  家族構成

プレゼントご希望の方は

ハガキまたはe-mailで、上記のアンケートを
1〜6までご記入の上、編集部・プレゼント係りまでお送りください。
〆切:7月25日 当日消印有効。 Aをご希望の方は7月10

宛先
〒504-0855 各務原市蘇原新栄町2-25
e-mail: info@niramekko.com
※お寄せいただいた個人情報は、本紙プレゼントの発送に限り、 使用させていただきます。
※当選の発表は発送をもって代えさせていただきます。

A.ゆる体操で活力アップ!ご招待 …3名様

     人生これから!様より

ゆる体操をすると固まったからだが上手にゆるみ、コリや冷えの解消につながります。今、アスリートの間でも人気急上昇中!楽しくて心もカラダもゆるゆる、ゆったり、誰にでもムリなくできる体操です。詳しくはP12を参照ください。7月14日(日)14:00-16:00 総合福祉会館3階遊戯室にて

。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。

B. CINEX 映画招待券 …ペア3組様

          シネックス様より

目の前に広がる広大な景色、大きなスクリーンで観ると、まるでそこに自分がいるよう。だからこそ登場人物に感情移入もしやすいのでしょう。写真は「荒野にて」より。 招待券は、柳ヶ瀬のシネックスでご利用いただけます。

。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。

C.木製和プレート …2名様

          アートギャラリー是様より

上品な木製プレートを2枚組でプレゼント。写真のようにお茶と和菓子を乗せても、ちょっとしたおつまみを乗せてもステキ。
金銀の手描き模様に朱色のアクセントが効いています。にらめっこ編集室でお受け取りください。サイズ:約95×195×7ミリ

。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。

D.洗濯粉石けん スノール …2名様

          にらめっこより

天然の植物油脂を100%使用。水に溶けやすく、泡立ちも豊かで汚れをきれいに落とします。蛍光漂白剤・香料・着色剤やLASなどの合成界面活性剤を使用していません。肌にも衣類にも優しい石けんです。にらめっこ編集室でお受け取りください。(1kg入り)


 




vol.189 採っていいタネ 採ってはいけないタネ

講師 岡本よりたか氏

4月7日(日)午後1時から岐阜市文化産業交流センター
じゅうろくプラザにて講演会がありました。

 「タネのことに関して、色々情報が錯綜していますね。 専門用語が多すぎて、素人の自分には難しいとか、 これから農業をやっていくのにどうしたら良いか、 家庭菜園や食卓にどんな影響があるのか分からない… そんな人がたくさんいます。 正直なところ、主要農作物種子法(種子法)が廃止されたことで、自家採種の自主規制が始まっているようです。 困ったものですね。 単に脅かすだけの情報が出回っているのは、おそらくTPPに反対している組織の情報だと僕は思います。 とても影響力のある人たちによる情報であるため、一般の方々がその情報に触れた時、曲解をしてしまっていることに問題を感じています。
 今日は採っていいタネ、採ってはいけないタネはなんなのか そんな事を、ズバリお話します。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 まず、食べ物の一生を知ること、それは自然に寄り添う生き方に繋がります。みんなと一緒にタネを取る、収穫する、バイオテクノロジー企業がつくる交配種以外のタネを持っている、という仕組みを作っていくことが、これからとても重要になってきます。

自家採種を禁止する?!という動きに対して 

先日も「種子法が廃止されて私たち、もう自家採種できなくなるんですか」と悲壮な顔で相談に来られた方がおられましたが、そんなことはありません。これには誤解があります。そもそも種子法というのは、行政に課した法律で自家採種には全く関係ないのです。山田正彦氏(元農林水産大臣)は自家採種が禁止されるというようなことを発信をされていますが、残念ながら<誰が自家採種できなくなるのか>、<どういうものが自家採種できないのか>に踏み込んで発言されてません。ですから家庭菜園でも、固定種も在来種もダメ!?と思われてしまうんですね。
 ところがそうではないんです。基本的にどんなタネも自家採種はOKなんです。しかし次の点だけは要注意です。種子法より種苗法(知的財産権などタネの権利を決めた法律)に注目しないといけません。知的財産権は、農作物でいうと「育成者権」(植物の特許)と「品種登録」されたタネがあります。いずれもこれらのタネは自家採種はOKですが、販売・譲渡・交換会はNGです。
 育成者権のあるリスト、登録品種に関しては農水省のHPで検索できますので、チェックをお勧めします。

タネについて

いわゆるF1のタネ 意味不明のアルファベットが表記されている。

タネの種類は「交配種」「遺伝子組み換え種」「固定種」「在来種」があります。交配種というタネは人が作り上げてきたタネ。これを自然界に放つどどうなるかというと、簡単に消えていく。雑草に比べると非常に弱い。つまり自然淘汰していくタネです。なぜそんなタネが生まれたのかというと形質が安定するから。例えば大根。大きさ、質、色が均一であれば同じ値段を設定できる。大中小が混ざると、小さいものが売れ残る。それらは破棄され小売業者の損失となります。なので、小売業者は同じ大きさの大根を、仲卸へ要求します。仲卸は農協へ、農協は生産者へ要求する。そして生産者はタネ屋に要求します。本当は野菜を買うお客が要求しているんですけどね。そしてタネ屋は技術を駆使し同じ時期に発芽して、同じ時期に採れるタネを開発していく。S社のタネとかT社のタネのパンフレットを見てると面白いですよ。23cmのキュウリとか、生まれる前から身長が決まっているんですから。

育成者権申請のあるタネ。PVPマークがついていて、登録番号が表記されている。


 さらに、雄性不稔性といって雄しべができない形質を増やして、それを母株にしてどんどん交配させて新しいものにしていく。ミトコンドリアを壊せばこれは簡単にできるそうです。例えばトウモロコシ。タネができないとトウモロコシを食べられなくなる。それは困りますね。雄性不稔性(F1)でもタネはできますが、ここから分離の法則が始まります。二世代目(F2)には1対3の割合で1が不稔性となり、その結果タネができないものを増やすことになる。男爵とかメークインとか、てんさいと言われる砂糖大根とか、たまねぎ、いろんなものがあります。雄性不稔性かどうかは実際、タネを見ただけではわからない。見分けるすべは、袋に表記されたアルファベットVR、SP、CF、EXなどの文字。これらのタネはF1である確率が高く将来タネができなくなる可能性があります。そんな理由で農家がタネを採らなくなりタネに無頓着になる。タネはタネ屋さんで買い自分たちは野菜を作る。この分業制が、結局はわたしたちの安全をないがしろにすることになってくるんです。

 遺伝子組み換え種子(Gnetically Modified Organisms)これは知的財産権の特許権を取得しています。特許を与えられたこれらの種子は自家増植(種子繁殖・栄養繁殖)は認められません。農家の種子保管も禁止されており、さらに在来種を駆逐するようになります。健康への影響もあります。不妊症や、アレルギー、がん、抗生物質への耐性、リーキーガット症候群を引き起こすと言われています。

 固定種はどうか。綿々とタネを落としながら繋がっていく。自然界の中でも自分たちがいる場所をきちんと確保している。とても強い。僕ら、無農薬無肥料で野菜を作るんですが、自然と同じような環境の中で野菜を作っていこうとすると、こういう固定種とか在来種という強いタネで作らないとなかなか難しい。強いというのは、成長がいいとか悪いのではなく、雑草に負けないということですね。

自家採種は可能か

1)種子繁殖は、育成者権のある作物でも種子の次期作使用は認められる。栄養繁殖(※)は育成者権のある作物の一部(356品目)は禁止。
2)育成者権のない作物(固定種や在来種)は自家繁殖は認められる。(固定種であっても、一部PVP(植物品種保護)マークを取得しているものもあるので要注意)
3)自家採種禁止の契約(※)を交わした作物は、一切の自家繁殖禁止。
※栄養繁殖、挿し芽やランナーなど、タネ以外で作物を繁殖する事。
※自家採種禁止の契約について。タネ屋さんでトマトのタネを買おうと思ったら、買う前に契約書にサインしてくれって、契約書を持ってきた。それには、自家採種を禁止するって買いてあるんです。それにサインしてしまうと、自家採種はできなくなる。そういうトマトを買わなきゃいいだけの話。日本モンサント社のタネは買わないことです。コメだって同じですよ。
一体タネは誰のものなんでしょうね。

3時間に及ぶ講演内容のうち、自家採種に焦点をあて編集しました。(文責・にらめっこ)講演内容は「空水ビオファーム」で検索してください。


vol.189 種子法ってなに?

 岡本よりたか氏の話を聞いて、うなづくことしきり。そもそも「タネ」は誰のものか?っていう問いがおかしいと思う。家庭菜園歴20年の筆者の素朴な疑問です。芽が出て花が咲き、実をつけ、タネとなってこぼれ、また時期になると芽が出て…それは自然の営み。そこに、「種子法廃止」のニュースが飛び込み、「自家栽培でもタネを採っちゃいかんのか?」と巷で噂となりびっくり。「種子法」とはどんな法律なのでしょうか。

 種子法とは、戦後の日本で、優良な種子の安定的な生産と普及を“国が果たすべき役割”と定めている法律です。種子の生産自体は、都道府県のJAや普及センターなどが担っていますが、地域に合った良質な種子が農家に行き渡るように、種子法の下、農業試験場の運営などに必要な予算の手当などは国が責任を持って担ってきたのです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 種子法が制定されたのは1952年5月。注目したいのは、第2次大戦終結のためのサンフランシスコ講和条約が発効された翌月というタイミングです。戦中から戦後にかけて食糧難の時代を経験した日本が、「食料を確保するためには種子が大事」と、主権を取り戻すのとほぼ同時に取り組んだのがこの種子法の制定でした。私はそこに、“二度と国民を飢えさせない”“国民に食料を供給する責任を負う”という国の明確な意思があったと考えます。

――この法律がなぜ廃止されたのか。 

政府や農水省は、「国が管理するしくみが民間の品種開発意欲を阻害しているから」と説明しています。種子の生産コストが国の財源でまかなわれているなど、今の制度では都道府県と民間企業との競争条件が対等ではないというのです。これまでも種子法は民間の参入を禁じていたわけではありませんが、種子法をなくしてハードルをさらに下げることで、民間企業、とくに外国企業の参入を積極的に進めようという思惑があるのではないでしょうか。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

――日本のコメや麦などの種子を巡る状況はどう変化していくのでしょうか?

政府や農水省は、「国が管理するしくみが民間の品種開発意欲を阻害しているから」と説明しています。種子の生産コストが国の財源でまかなわれているなど、今の制度では都道府県と民間企業との競争条件が対等ではないというのです。これまでも種子法は民間の参入を禁じていたわけではありませんが、種子法をなくしてハードルをさらに下げることで、民間企業、とくに外国企業の参入を積極的に進めようという思惑があるのではないでしょうか。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

――日本のコメや麦などの種子を巡る状況はどう変化していくのでしょうか?

 将来的に生産コストが上乗せされて種子の価格が跳ね上がり、食べ物の価格に影響が出るかもしれません。また、都道府県が種子事業から撤退し、民間企業による種子の私有化が進むことも起こり得ます。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

――種子の私有化というのはどういうことですか?

種子法のベースにあったのは、新しい品種をつくるために素材となる品種=遺伝資源は、国や都道府県が“公共の資産”として持つという考え方です。これが民間に委ねられた場合、遺伝資源を基にして改良された新品種について、改良部分だけでなく種子全体に特許をかけ企業がその所有権を主張するということも起きかねません。ロイヤリティ(特許料)を払わなければその種子が使えなくなる。遺伝資源が企業に囲い込まれてしまう。これは「種子の私有化」を意味します。

 すでに民間が主体となっている野菜などの作物では、圧倒的な技術力と資本を持つ数社の多国籍企業が、中小の種苗会社を次々に買収し、世界中にシェアを拡大しています。今スーパーなどで販売されている野菜の多くも、そうした多国籍企業の種子によるものなのです。種子法がなくなることで、公的に支えられてきた米や麦などの主要作物の開発についても、効率や経済性の追求に傾いていかないか心配されます。

 もともと種子というのは自然のなかにあったもので、人間との関わりでいえば、どんな新しい品種もその基になる種子は数万年の歴史の中で先人たちが積み重ねてきた改良の賜です。そうした本来は公のものである、もっと言うと、“誰のものでもない”種子を、特定の誰かが所有していいものなのか。しかも、人が生きていくのに必要な食べ物の種子が一部の企業に独占されるのを許してしまうことに私は違和感を禁じ得ません。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

――この先、“公共のもの”としての種子を守り、食料を安定的に確保していくためにはどうしたらいいのでしょうか。

 消費者にとっては「何を食べるのか」を、農家にとっては「何を作るのか」を、自分で選んで決めていく権利を“食料主権”といいます。種子ビジネスが一部の多国籍企業に独占されている現状では、農家は企業が売りたい、作らせたいと思う種子を購入せざるを得ず、その結果、消費者の食べたいものを選ぶ権利も狭められてしまっています。

 米や麦のような主要作物と野菜とでは、種子を管理する仕組みが異なるので同列に語ることはできませんが、このように、さまざまな立場の人たちが地域に見合った品種の開発に関わり、付加価値のある商品を作り、その付加価値をまた地域に還元しようとしている。そうした循環が各地に見られることが希望ですね。______________________________

――私たちが消費者としてできることはありますか?

 まずは、一人ひとりが、自らに与えられている“食料主権”を意識して、自分が口にする食べものに、これまで以上に関心を払うことでしょうか。誰がどこでどういう想いで作っているのかがわかる食材を選ぶこと。そして、できるだけ地域で大切に育まれてきた種子を使った食べものを選ぶこと。台所で、食卓で作物の生産者や産地への想像力を働かせてみることが大切だと思います。
 「種子が消えれば食べ物も消える。そして君も」――これは国際的な種子貯蔵庫の創設に尽力されたスウェーデンの研究者ベント・スコウマン氏のメッセージです。人間は、食料のすべてを直接あるいは間接的に植物に依存している。つまり、種子によって生かされているのです。

 種子法が突然廃止されたことは大きな衝撃ですが、これを機に種子の大切さを改めて認識し、種子にどう関わっていくことが望ましいのかを考えてみたいですね。プランターでもいいから、何か育ててみるのもおすすめです。種子が命の源であることを、きっと実感できると思いますよ。

 種子法が突然廃止されたことは大きな衝撃ですが、これを機に種子の大切さを改めて認識し、種子にどう関わっていくことが望ましいのかを考えてみたいですね。プランターでもいいから、何か育ててみるのもおすすめです。種子が命の源であることを、きっと実感できると思いますよ。

西川芳昭・にしかわよしあき       龍谷大学経済学部教授。1960年奈良県生まれ。京都大学農学部卒業後、バーミンガム大学大学院植物遺伝資源および開発行政専攻修了。国際協力機構、農林水産省、名古屋大学大学院教授などを経て現職。専門は農業・農村開発、農業・資源経済学。主要作物種子法廃止法案においては、参議院農林水産委員会で行われた審議に野党側参考人として招聘された。『奪われる種子・守られる種子』(創成社)、『種から種へつなぐ』(創森社)など編著書多数。


vol.189 ぎむきょーるーむ   子どもの権利条約って?

 「子どもの権利条約」を批准した国は、定期的に報告書を提出しなければなりません。国連はそれを審査し、各国に対して勧告をします。国連は、政府の報告だけでは都合の悪い数字は出さない可能性もあるから一般市民やNGOによる報告もください、と言っています。第一回の政府報告から、日本全国の子どもに関わる人、教育、福祉、文化、司法、各分野の専門家が集まって、「市民NGO報告書をつくる会」を結成し、第一回の時には、子ども劇場も加わり報告書を提出しました。
 今年1月ジュネーブで行なわれた「国連子どもの権利委員会 日本政府第4・5回統合報告審査」の傍聴に行ってきました。

権利条約の成り立ち

 国連の公用語には日本語はないです。第二次世界大戦の戦犯国、敗戦国を除いたところから国連は出発していますから。第一次世界大戦では、飛行機や爆弾が発明され、市民や子どもがたくさん犠牲になった。その反省にたって国際連盟ができ、「子どものいない地球に未来はない」という言葉で表現された子どもの権利に関するジュネーブ宣言が出された。1959年、第二次世界大戦後に、ジュネーブ宣言を引き継ぎ「子どもを守る事が平和を守ること」を明確にした国連の「児童の権利宣言」が出された。もう第三次世界大戦は起こさないと。
 1979年がその宣言20周年の国際児童年。でも、状況は変わってない。子どもの権利を明確に示す条約が必要だと、1989年に「子どもの権利条約」が国連全会一致で採択された。
 権利条約はなんのためにあるのか。「子どもたちを守るため」「子どもたちが育っていくため」ですが最終的には、地球温暖化、原発、核兵器の問題…、今起きている事をみんなで解決していくためには、子どもたちも一緒に考えることが必要じゃないかということです。

権利は人権

 「子ども」とは、条文でいうと産まれた時から18歳未満。大事なのは0歳からということ。人種、男女関わらず全ての子どもたちが、産まれた瞬間からこの権利があるということを国際的にみんなが認めたということです。「権利は義務を果たしたら与えられるもの」と言われますが、産まれた時からあるということは、持って産まれてくるということ。英語で権利はRight。だから権利は人権(human rights)。子どもに権利なんてって言う人もいるけど、子どもに人権はないと言う人はいないような気がします。

日本政府の姿勢は

 子どもの権利条約が国連で採択された後、日本は条約が発効された20日後、109カ国目に署名しています。でも批准までは5年もかかった。その時の解釈が、この条約は開発途上国や紛争国、戦争や飢餓で苦しんでいる子どもたちを救うための条約、だから全面的に賛成してもいいと署名した。だけど、よくよく見たら懲戒権の問題や嫡出子の問題、男女の結婚年齢が違うとかいう国内法と矛盾があるということに気付いたんですね。それと大きいのは、子どもに権利なんか渡したら大変なことになる、その頃は学校が荒れたりとかしていた時期ですから。それで外務省が批准したのは197カ国中158番目。このままいくと取り残されてしまうと国会ではほとんどまともに議論もされずに批准されました。そのことが、この国の子どもに対する見方、権利というものに対する見方が明治から変わらず、今に続いているんじゃないかって僕は思っています。

国連子どもの権利条約の中の基本原則
差別の禁止(2条) 、子どもの最善の利益(3条)、生命および生存・発達の権利(6条)、意見を聞かれる権利(意見表明権)(12条)

 3条:大人が、「あなたのために良かれと思ってやっているのよ」というのは通用しません。それは大人の都合ではなく、この子にとって最善の利益とは何なのか、考えなきゃいけないという事。子どもの利益というのは未来に及ぶ利益ですから人類の利益なんです。
 6条:生命は生きると言うこと。生存とは豊かに暮らすということ。日本国憲法25条の「文化的な生活」とクロスしますよね。
 国連のいろんな文書を翻訳した時に思ったんだけど、幸せって言う言葉をHAPPY とかLUCKY じゃなくて、Well Beingと使うんですね。“良いありよう”なんですよ。わざわざ生命と生存をわけている意味はそこにあると思います。幸せに、文化的にということも含めて「生きる」ということが権利、そして保障されている。そして、子どもの最善の利益を保証するためには「子どもの意見を聞かなければならない」(12条)。これが基本原則の4つです。更に言うと4つの柱があります。
①生きる権利 ②守られる権利 ③育つ権利 ④参加する権利
 1989年にこの権利条約が締結した時に加えられたのが④の「参加する権利」。その頃は世界的にいろんなことがおきています。その前年にソ連崩壊、ベルリンの壁がなくなり、東西冷戦が終わる。地球温暖化などの問題もクローズアップされてくる。で、権利を当たり前と読むならば、参加するのが当たり前。だから全ての項目に、「子どもたちは参加していますか?」って国連は聞きます。いじめ防止条例とかいろいろありますけど、子どもたちの意見はどこに反映されていますか?って。日本政府は全く答えられません。なんでそんなこと聞かれるの?って顔をしているんですね。
 本当に人類はどこに向かっていくんだろう。この国をどうしていくのか、僕らはどう生きて行くのかっていうのは全部政治のでもあります。子どものときからそこを共有しながら、訓練しながら、模索しながらやっていこう。この「参加する権利」は、“大人と子どものパートナーシップ”とも言われました。

31条について

31条:(休息・余暇、遊び、文化的・芸術的生活への参加) 
条文1. 締約国は、休息及び余暇についての子どもの権利並びに子どもがその年齢に適した遊び及びレクリエーション活動を行い並びに文化的な生活及び芸術に自由に参加できる権利を認める。

 日本の子どもたちの苦しさをどう捉えるか。これがなかなか政府と国連とで一致しない。第一回の国連審査の時、「高度に競争的な教育制度のストレス及びその結果として余暇、運動、休息の時間が欠如していることにより、発達障害にさらされていることについて、31条に照らし懸念する」と勧告が出ています。
 国連発行の解説書では、子どもが思うように使用できる、自由に使うことが許される時間であるということ。そういう時間から初めて主体性というのは生まれてくる。
 子どもたちは周の親や先生から、あれしなさい、これしなさいと言われ、友だちから嫌われないかと気にし…という中では自分が何をしたいのか、自分はどうありたいかという一番大事な部分が生まれて来ない。持っていても表に出て来ない。本当に興味関心や生きる力としての想像力や好奇心というものは、何も束縛される事のない時間の中でしか生まれてこないんだと言われています。僕も全くその通りだと思います。子どもたちの今一番苦しいとこはそこなんじゃないかな、と思います。
 日本では余暇というのは余った暇ですから、放っておくと良くないと思われているんですよね。僕も子どものころ親から言われたのが「小人閑居して不善をなす」。小さい人間が暇に過ぎると悪い事をする、と。だから、ぼーっとしてるんじゃないぞって。それが日本の中の子ども観だったんじゃないでしょうか。
 余暇は子どもの主体性を生み出す時間、自由裁量の時間なんですね。国連の解説を読んで、僕も目からウロコでした。
 
 第4回・5回の勧告ではかなり細かいことまで懸念と勧告が出されました。国連はここまで日本のこどもたちのことを考えてくれたんだ、それまでの勧告とは全然違う重みを持っていました。特徴的な部分だけ紹介します。
 「生命、生存および発達に関する権利においての勧告。本委員会は、前回勧告を締約国に想起させ、以下のことを要請する。(a)社会の競争的な性格により子ども時代を発達が害されることなく、子どもがその子ども時代を享受することを確保するための措置を取ること。」
 “子ども時代を享受する”というこの言葉が入った事はとても大きな事だと思います。そして、“社会の競争的な性格”というのが、今回の一番のポイントだった。それは、「経済的な価値が全ての価値を上回っている」ということ。経済至上主義って言い方をしますが、お金があればいいこと、豊かだと思っていませんか。そのお金を得るためには競争をしなければいけない。仕事を得るためにいい学校に行き、いい点数とらなきゃいけないし、商売だったら人を蹴落としてでも自分が儲けなきゃいけない。それが生きる力っていうふうに言われている。勝ち組負け組がはっきりして、格差が出て、貧困も自分の責任でしょうがないと、自己責任論になっていく。この社会の価値の捉え方が子どもたちを苦しくしているんじゃないか、ということがここに表現されたんです。
 受験制度を変えれば日本の子どもたちの状況が良くなる、と思える程簡単な話しではないんです。国や社会の価値観の問題として余暇・休息は大事なんだ、もっと一人ひとりが自分の人生を自分のものにしていくという、まさに人権の出発点を考えていかないといけないんだと思います。

最後に

友人たちと作った「ワニブタカレンダー」を手に語る大屋さん

 僕は子どものころ、とにかく大人の言う事を聞くとってもいい子で、大人の気持ちが忖度できる子だった。そのいい子をやり続けると破綻するんですね。一番大きな破綻は僕が30半ばの時。「おれはこれがしたい、これのために生きる、という生きる価値について考えてきたかなあ」って。これから自分はどう生きていったらいいのだろう、どこまで行ったら自分は自由になるんだろう、と挫折したんです。外にある価値を一生懸命取り込もうとしたり、外にある価値に近づこうとしてた。それに気付いたのはこの「子どもの権利条約」に出会ったからでした。
 人権とは子どもたちと哲学しようっていうことでもあると思います。子どもたちと一緒に、なぜ僕らは生まれて来たんだろうね、なぜ生きているんだろうね、と語り合う事、考えあう事が今とても大切なんじゃないかと思うんですね。社会の発展のために“子どもは国の未来です”とか、“子どもは人類の宝です”とか・・・間違ってはいないけど、そこが強調され過ぎて、子どもたち自身が幸せになるために生まれて来たってこと、「今を生きている」ってことを忘れてませんかね?子どもの人生は誰のものなんだろうねって、つくづく思います。

大屋 寿朗 おおやとしろう NPO法人子どもと文化のNPO Art31代表・プロデューサー、子どもの権利条約市民・NGOの会起草委員、長野の子ども白書編集委員、NPO法人子どもと文化全国フォーラム権利条約31条委員会委員



vol.189 カタコトの部屋 ジブンnoカラダwoメンテナンスする

 よく、「〇〇は身体に良いのですか?」とか、「こういう症状の時はどうすれば良いですか?」と聞かれます。 でも、同じ顔の人がいない様に、人間の身体にはそれぞれ個性があり、「これ!」というものは存在しません。 また、症状や病気というものは無限にあり、原因も様々です。 なので、それだけを聞いて一概に「こうすれば良いです。」と言えることはほぼありません。 ただ、一つだけ言えることは、「身体は完璧なので間違ったことはしない。」ということ。
 そもそも、身体がどの様な仕組みで、どう完璧なのか?そして、症状よりも「そもそも病気や症状って何なのか?」や「何でなるのか?」を知る必要があると思います。 
 その一番大切な「根っこのところ」をわかって貰えれば、どんな枝葉の情報も「あぁ、こういうことか。」とその都度思って頂けるかと思います。また、自分や自分の周りの人の身体が起こす色々な症状にも「根っこ」さえわかっていれば、「ま、これくらい良いか。」と白黒ではなく、グレーが判断して頂けるかと思います。

 ホロソフィーという名前はHolisticという言葉の語源ともなっているギリシャ語で全体性を意味する「Holos」から生み出された「Holon」という言葉と哲学を表す「Philosophy」を合わせた造語。オステオパシー、東洋医学、徒手療法、運動療法、食事療法などの医学や各種療法、解剖学、生理学、運動学、胎生学、発達学、量子学など、様々な要素を独自の視点で“繋ぎ合わせた”哲学です。
 ただ、闇雲に繋ぎ合わせた訳ではなく、一人の人間を見る時に、その方のどこか一部分に捉われず、身体・心・精神を含めた「その人自身」を全体として捉えられること。そして、全体だけではなく、その人を支えている小さい組織にまで目を向けること。を考え方のベースとしています。そのため、今後も様々な分野の色々な軸が足されて進化していくと思います。

 体が弱った時に、体はどんな働きをしているのだろうか?例えば、経年劣化(加齢)により、体の各部位の性能が低下します。これに対応するために、体は血圧やコレステロール値を上げています。
 なぜ血圧をあげるのでしょうか?心臓が弱ってくると血液を送り出す力も弱まりますね。
 症状は体が自分を守ろうとしてくれている反応なんですね。そう捉えると、症状を消そうとしたり、症状を無視したりするのが適当なのか、症状を軽減するためにキャパシティーを広げる療法を選択したり、生活習慣を見直しめぐりをよくしたりすることを選択するのか、見えてきそうですね。
 症状が出ることは、何かのサインであり、それを受け入れ、気付くことが大切。症状が悪者ではなく、根本原因にアプローチする知恵や知識を持ち、わからない時は専門的な方に委ねることも大事です。

中壽賀宣行●なかすがのぶゆき
理学療法士(国家資格)・日本ホロソフィー協会 会長 オステオパシー&ホロソフィー施術院 奏 院長・Force Academy 会長・国際ボイタ協会認定セラピスト・サプリメント管理士
滋賀県大津市在住

2月21日一宮市「つくる」にて 「入り口に聞いて欲しいカラダの根っこ」より 講師:日本ホロソフィー協会会長 中壽賀宣行先生

【参加者の感想】
・体は体だけでなく心からもできている。心の不調は、体調を崩したりとサインで教えてくれます。そのサインを「うわ~いややわ~」と捉えず、教えてくれてありがとう!と感謝して、自分の体と向き合いたいと思いました。(Nさん)
・健康で生きるには、ガチガチした生活ではなく、遊びがあって、ゆる~く、たの~しく過ごしていこうと思えました。(Mさん)
・歯をさわらない方がいいとは知っていたけど、その原因、理由を知ることができてよかったです!楽しいお話でした!(Yさん)
・歯は歯だけでの問題でなく、体全体と繋がっていることが学べました。体は完璧!全ては自己責任!子どものうちは、親が選択してあげることが多いので、よき選択をしていきたいです。(Nさん) どの選択も自己責任で、主役は自分!知恵や知識を得ることで、選択の幅が広がり、人生の楽しみが広がり、今後益々楽しみが増えてしまいそうな講座でした。(ゆっこ)



vol.189 ここいく日記 はじめの6歩

男の子らしく
女の子らしくではなく 自分らしく

 うちの長男は、小さな頃からかわいい物が大好きで、いわゆる女の子っぽい男の子でした。男の子っぽく戦隊ヒーローごっこしていても、選ぶのはピンクやイエロー役(笑)。よくタオルを腰に巻いて、歌ったり踊ったりして、女の子と一緒にいることのほうが多かったです。ありがたかったのは、そんな彼を幼なじみや同級生や周りの大人たちが、誰もおかしいと思わずに当たり前のように受け入れてくれていたのです。でも…親としてはとても心配でした。このままで大丈夫だろうか…と。 3年生の頃、スカートを買って欲しいと頼まれた時は、彼は何気なく言っただけでしたが、どうしよう…どうしたらいいのだろう…と本当に悩みました。
 そんな時に出会ったのが、元養護教諭の坪内つるよ先生の、大人対象の性教育でした。「いのちの授業」をスタート時から今日まで、私たちをあたたかく見守ってくださる先生です。 私は、生理の話も女の子だけ集めてこっそりやっていた時代に育ちましたので、性教育?だったのですが、聞いてみたら、子育ての話から、夫婦関係や人間関係についての話にまでにおよび、本当に「性=生」の生教育だったのです。
 先生からは、スカートをはきたいだけの男性もいれば、お化粧もする女装をしたいだけの男性もいて、この世の中にはいろんな人がいることを教えてもらいました。男の子らしく女の子らしくではなく、その子をそのまま認めてあげればいいのよ~という優しい先生の言葉は、私の心にストンと入り、それからの私の子育てを楽にしてくれました。他の子と違ってもいい、その子がその子らしく幸せでいてくれたらいいね~と夫とも話すことができ、性教育と出会えたおかげで、夫婦関係もよくなっていきました。
 性教育の大切さを知り、自分たちの子どもや周りの子どもたちに伝えたいと始めた「いのちの授業」。最初は高学年と低学年に分けていたのですが、低でもないし高でもない微妙な、そして大事な時期の中学年3・4年に向けた授業がしたいとプログラムを考えました。その中でも子どもたちの反応がよく、大うけなのが心の成長で伝えている、『男の子なんて 女の子なんて大嫌い だってさ』という紙芝居です。おばちゃんたちが、小学3年生の男の子と女の子になって登場(体はってます)!!かなり引かれますが、子どもたちは優しく受け入れてくれます(笑)
 男の子女の子の、こんなところあんなところが嫌いと進んでいく紙芝居。「女の子はなんであんなにお喋りなんだ~すぐ先生に告げ口するし~」など、子どもたちにとっては、リアルに共感できる内容で、「そうそう!」と声があがります。最後は、こんないいところもある~と、お互いの良いところを認め合って紙芝居は終わるのですが、そのあとに少し考えてほしいことを子どもたちに伝えます。1•2年の時は仲良く遊べたのに、お互いのいろんなことが気になるのは、体だけではなく心も成長しているからだよ。紙芝居の中では、男の子はこう、女の子はこうとあったけど、男の子の中にはかわいい物が好きな子もいるよね。男の子らしく 女の子らしくではなく、自分らしくでいいんだよ。悪いところや嫌なところばかりを見るのではなく、いいところを見つけてね~、そして優しい言葉をかけていたら、自分のまわりも優しくていい関係がつくれると思うよ。
 まだまだ幼い子もいれば、もう思春期に入っている子もいる3・4年生。いろんなことに心が動くことは、全然おかしなことじゃない、みんな違っていいんだよ~と伝えることで、子どもたちは少しほっとした顔をします。そんな子どもたちの反応が大好きなので、もう少し体はって頑張ります(笑)

 そうそう、いろいろと悩ませくれたうちの長男は、この4月から保育士2年目となります。きっと、『自分らしく』子どもたちに接しているのだろうなぁと思っています!! 担当:ここいくメンバー・小田佐知子でした。 


vol.189 niramekko Gallery 「きんぎょ」

 なんか疲れたなぁ、と思ったときは思い切って日常から離れてみませんか?私達の暮らしは意味や役割がある脳で作られたものに囲まれています。そうすると、意味のないものに耐えられなくなるかもしれません。アートに触れるときは、意味を求めないで、心の働きを感知する力を取り戻しましょう。共感したり感動したりすることで、心の働きが活発になっていきます。たまには、美術館やギャラリーでアートな作品を鑑賞してみませんか?気持ちが落ち着いたり、リフレッシュしたり、時にはワクワクしたり…まだ自分が体験した事のない領域の喜びを体や心で感じることができるかもしれません。


vol.189 えんぴつ・カフェ 今年度の予定

2019年度はアクティブに動きます。元気で長生きするためには、まずは身体が資本。自分でできる簡単料理をはじめ、脳活、筋活を取り入れた「えんぴつカフェ•スペシャル」を企画しました。なお、開催会場につきましては、基本的には、各務原市産業文化センターですが、2ヶ月前に予約し決まり次第FBやSNSを含めチラシなどでお知らせいたします。

2019年度 えんぴつ・カフェの予定

14:00-16:00(5月のみ11:00から)
開催会場はその都度ご確認下さい。

・えんぴつカフェ
「ゼロの昇天」の書き込みを中心に行います。
14:00-16:00
4月19日(金)
産業文化センター2階 第1会議室
9月 7日(土)
11月16日(土)
3月7日(土)

えんぴつカフェ・スペシャル       第1弾:5月19日(日)・薬膳料理をつくろう!
第2弾:7月21日(日)・筋力アップを目指そう!
第3弾:10月20日(日)・歌をうたって脳活! (生演奏で歌います)
2020年
第4弾: 1月19日(日)・講演会「定年後の10万時間、あなたはどう生きる?」著者:上鵜瀬 孝志氏講演会といきいきシニアのシンポジウム

えんぴつカフェ・スペシャル参加者全員に進呈!
・薬膳料理のレシピ
・ゆる体操のメニュー・歌うは脳活!
・定年後の10万時間をどう過ごす?etc …
 など「えんぴつカフェ・スペシャル」をまとめた暮らしのヒント集。

スペシャル企画 第1弾 薬膳料理をつくろう!        5月19日 11:00-14:00(先着30名さま)
各務原市総合福祉会館3階・料理教室
講師:高山 恵美氏
資料代:700円 材料代:2,000円

  

講師:高山恵美氏
漢方ナチュラルkitchen 主宰 
国際中医薬膳師・栄養士・登録販売者・中国漢方ライフアドバイザー・食品衛生責任者・豆腐マイスター・食空間コーディネーター・介護食アドバイザー

子育て中、仕事との両立と子どものPTAや子供会の役員などで多忙を極めたときに体調をくずして、一時期食事を作ることが億劫で何もやる気が出ず鬱々としていました。食事が満足にできないと家族も荒んできて何とかしなければと模索している時に薬膳と出会います。薬膳を学ぶうちに中国伝統医学の考え方である心と身体はつながっていることを実感し、まずは食事を作る自分が元気でいることが大切だ、と自分のケアをしていくうちに自分も家族も食を通じて元気になっていきました。5年後、10年後も元気でいられるために、毎日の食事作りが楽しくなるような料理を広めたいという思いで活動しています。
2014.4~現在 栄中日文化センター料理講師
2015.4~現在 大垣中日文化センター料理講師

「元気なシニアがいきいき暮らす!プロジェクト」この活動は各務原市『まちづくり活動助成金』助成事業です。

えんぴつカフェの問い合わせは 
NPO「人生これから!」 
田辺 090-5638-7044 三上 090-7854-4561

BOOK紹介

株式会社 地球丸(A5版144pカラー)定価:1,300円+税

「みの日記」   ページをめくると見たことのある風景写真が飛び込むことで興味倍増。それだけじゃない、著者のみれいさんの会社まるごと美濃に引っ越してきてからの2年間の記録が満載で興味津々。その記録が妙にからだになじむっていうか…。読み進むうちに自分の暮らしを変えたくなってくる。自然に生きるって気持ち良さそう!気づけば美濃というみじかなエリアで暮らすナチュラリストたちに、ぐいぐい惹きこまれていくではないか。とりあえず私も実践者になろう!さてどこから始めようか。そんな気分るんるんにさせてくれる本。                   

。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。

みんなのデータサイト出版
(A4版 200p オールカラー)
定価:2,500円(税抜き2,315円)

「放射能測定マップ」+読み解き集   この本は苦悩に満ちている。事実をそのまま伝える苦悩、測定者であり生産者でもある方々の苦悩、「汚染」ということばを使わない苦悩。そして子どもたちへ、2011年に起きた原発事故による放射能汚染の実態がどのようであったか、事実の記録として保管され伝えられるよう願わずにいられない編集者の苦悩…。 改めて「放射能」について知り、考え、分断を乗り越えてつながりあうための、一粒の種となれ!と願う。
 この本は、市民の市民によるどこにもない本を目指して、原発事故をなかったことにさせない、という思いで6年間活動してきた集大成である。200ページにも及ぶこの本を読み進むほどに本当に辛くなるが、事実を受け止め今後どのように対処していくのか、じっくり考えなければならない。
 日本には55基もの原発がある。加えて地震大国の日本。原発はもういらないと声を挙げ続けるべきだと思う。

この本をご希望の方は、
0572-69-2157(大泉 讃)へお申し込みください。

。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。

マザーハウスing
  (B5版44p2色)
定価700円

ライフデザインノート「ゼロの昇天」    「死」を考えるより「今を生きる」ことにスポットを当てたノート。とは言っても、いずれ迎える「死」を意識して、家族や周りの人に伝えておきたいことを書き留めておくことを勧めている。高畠純さんの軽快なイラストが心を和ませてくれる。


vol.189 熱中世代 池田尚美さん

エベレストが朝焼けに染まる、そのピンク色を目にしたときは涙が出た、と語る池田さん。

 ネパールの支援活動、というキーワードで池田さんを紹介されてお会いすると、「思い立ったら吉日」という言葉がぴたりと当てはまる人だった。
 十数年前、ポスターで見た古都が忘れられなくて、いつかきっと訪れようという思いを子育てを終えた頃に実現。それがネパールだった。
 出かける前にネットで現地の情報をいろいろ調べていると、気になるフレーズが目に飛び込んできた。それは、「ボランティアができるペンション」。さっそく問い合わせた。
 そのボランティアは身体障害者の施設だった。元々、水泳で障がいのある人のクラスを受け持っていた池田さんは、まるで引き寄せられたのかと思うくらい自然の成り行きだったと振り返る。そうとわかると、荷物に事前情報で得た施設の方たちへのプレゼント「トランポリンとおもちゃのピアノ」を用意した。約1週間滞在して、「また来るからね」と約束してネパールを後にした。
 二度目の訪問は、車いすを3台持っていった。そんなふうにネパールを往復しているうちに、日本人が旅館をやっているとの情報を得た。池田さんの実行あるのみ!というパワーがここでも炸裂!さっそくコンタクトをとった。そうして出会ったのが、筋田氏だった(にらめっこ155号 掲載)。 
 それはネパール震災の直後だった。筋田氏の活動に感銘を受け、以来、彼の活動に必要な物資を運ぶことになる。一人の手荷物の制限は30キロ。それでは運びきれないと思い、試しに自身の母親に声をかけてみたら「行きたい!」と快い返事。これで60キロの荷物が運べると、あくまでも、使命感を優先する。それでも、母親はニコニコして同行してくれた。この現状を一人でも多くの人に伝えたいし、もっと多くの荷物を運びたいとスイミングの会員さんに声をかけた。するとポツポツと賛同者が現れ、ネパール行きは3人に。これで90キロの荷物が運べる!荷作りも手慣れてきた。震災で筋田さんが経営する「銀杏旅館」はかなりな被害を受けていた。岐阜ネパール会と一緒に募金活動も積極的に参加した。

 2011年の東日本大震災。その時もいてもたってもいられなかった。何か自分にできることはないかと情報を探した。被災地から少し離れたところ、あまり注目されていない地域が気になった。そこはマスコミにもあまり報道されておらずとにかく人手がいちばん必要だと感じ、持ち前の行動力で即現地へ飛んだ。テントが必要とあればテントを用意し、事前調べで必要なものはすべて手配した。毎日毎日泥かきの日々。ボランティアの人たちも体力勝負だった。

 支援にはさまざまな形や方法がある。ネパールだけをとっても、女性の自立支援のため手編みのセーターを日本で販路を広げた方や、現地に学校を建設される方、井戸を掘って水を供給できるようにされた方などなど。
 「支援なんておこがましいです。だってあっちこち駆け巡ってるばかりで、いったい自分は何をしたくて何をやってるんだろうって、最近思うんですよ」とめくるめく日々を振り返る池田さん。
 取材の内容は本当に多岐にわたった。健康や食べ物、農薬や添加物の話から、環境、世の中の仕組み、政治への関心などなど。ひとつ気になると、次から次へとつながっていく自分の関心ごと。どれも大切な事柄ばかり。関心を持つ、それをどう解釈して、行動するか。今後の課題のようだ。

現地で被災地の対応に追われる日々を過ごしていた筋田さんの養女•ミナさんたちが作るフエルトの小物たち。日本で取り扱ってもらえるカフェなどを探している。(価格は100円から500円ほど)
問い合わせはk.y.i.4800@gmail.com池田さんへ


vol.189 ボーダーレス社会をめざして vol.48

NPO法人オープンハウスCAN 理事長 伊藤佐代子

「一人暮らし」がんばってきます!

 2015年4月からアパートを借りて、一人暮らしの練習をしている障がいのある息子が「一人暮らし がんばってきます」と今朝、会社に出勤していきました。その言葉を聞き、「がんばって一人暮らしをしているんだ」と思いました。
 最初の頃は、嬉しいばかりでしたが、最近の様子は少し違います。家で何もしなくても朝・晩食事ができる。洗濯物も自分でしなくてもよく、楽であるということが身に染みて分かってきたのだと思います。しかし、誤解のないように書いておきますが、我が家で息子がお殿様状態になっている訳ではありません。時々、息子がお料理をしたり、洗濯をしたりしています。ある土曜日、餃子が大量にできていたことがあります。夕食の準備ができているなんて思いもしないで帰宅したので、驚きと嬉しさが爆発し大喜びをしたのを思い出します。「お母さん助かりますか?」「大助かりよ。」「おいしいですか?」「おいしいわ。」と会話が弾みました。本当においしかったのです。その後、グラタンやラザニアなど手の込んだ料理を作ってくれるようになりました。
 また洗濯も手伝ってくれます。洗濯機の終わりのブザーが鳴っても私がボーとしていると、待っていられないのか自分で干し出します。たたむのも気が向いたら上手にやってくれています。お風呂掃除も小学校5年生からズーとしていてくれます。家族の一員として、役割をしっかり果たしています。しかし、アパートに行くと一人で何もかもしなくてはならないため、緊張しているのでしょう。それが原因なのか?我が家に帰ってくるとよく寝ます。ほっとするのでしょうね。
 この4年間でいろいろなトラブルがありました。「トイレの電球が切れました」「アパートの玄関の鍵を閉め忘れたから(忘れていない。覚えていないだけです。)見てきて欲しい。」「食材がありません。」などなど細かなことで落ち着かない日が多々ありました。その時々、対応し我慢できるものは我慢するということを続けてきました。これはかなり難しいことではありましたが・・・。 生活をしてみないことには分からないことがいっぱいありました。一般の方であれば、臨機応変に対処出来るのでしょうが、息子はそんな訳にはいきません。経験することによって体が覚えていくのを待つしかありません。経験は何物にも勝ります。また、私にとってアパートに息子が行っている間は、息子との距離が取れる時間となり、リフレッシュできる貴重な時間になりました。素敵な贈り物をいただいた気分でいます。


vol.189 子連れキャンプで、テントデビュー

家族そろってキャンプに行きたい! でも、小さな子どもを自然の中に連れ出すのは何かと心配……。そんな悩めるママ、パパのために、子どもの年齢に合わせたキャンプの楽しみ方&注意点をご紹介。パパかママにアウトドアの経験があるなら、親がしっかり安全管理をすれば、0~3歳の子でも「できること」や「喜ぶこと」はたくさんある。普段より少し手間はかかるけれど、子ども目線で楽しむキャンプは大人にとっても新鮮で、きっと来てよかったと思えるはず。不安をクリアにして、さあ、子どもと一緒に出かけよう!

【0~1歳】暑さ・寒さに気をつけながら、五感を刺激する体験を!

 0~1歳の赤ちゃんは、見たり触ったりして「感じる」ことで外の世界からたくさんの刺激を受けている。だから、変化に富んだ自然の中で過ごすだけでも大冒険! ひとつとして同じ形のない葉っぱや小石を触ってみたり、草を引っ張ってパッと放してみたり……こんな風に遊ばせながら五感をたくさん刺激しよう。ただし、危険なものを口に入れてしまわないように気をつけて!
 まだ自分で体温調節が上手くできない0~1歳の時期は、寒さ、暑さ、水分補給に注意が必要。外の気温に合わせてウェアを脱ぎ着させるようにしよう。脱水が心配な夏場は、こまめな水分補給も忘れずに!

【2~3歳】好奇心を満たしつつ、安全管理はしっかりと

 2~3歳は、歩きもしっかりして、舗装されていない場所でも転ばず、活発に動き回るようになる時期。ずっと小石をいじっていたり、虫をじっと見つめていたりと、好奇心も強く広くなっていく。ただ、夢中になると周りが見えなくなるので、安全管理は必須! 火や危険な場所に不用意に近づいていないか、刃物を1人で扱っていないか、しっかりと行動を見守ろう。
 大人や年上の子の真似をしたがる時期なので、ちょっとしたお手伝いをさせてあげると大喜び! テント設営時にペグを持ってきてもらうなど、その子ができる小さな仕事をお願いしてみては?

子連れキャンプの不安解消! Q&A

【Q.】0~1歳でもキャンプに連れて行ける?
【A.】多いのは、上の子がいて、0~1歳の下の子を連れていくというケース。抱っこ紐でおんぶや抱っこをしたり、料理の際はベビーベルト付きチェアに座らせたりと、それぞれ安全管理には工夫をしているようだ。みんなで赤ちゃんを見守れるグループキャンプなら、より安心。

【Q.】テントや夜の暗さを怖がらない?
【A.】子どもの多くはテント泊を楽しめるようだが、感受性の強い子は、いつもと違う雰囲気に不安になることも。事前にイベントなどでテントに触れる機会を設けたり、ぬいぐるみなどお気に入りのものを持参したりと、子どもが安心できるような対策を。コテージ泊から始めるのも手。

【Q.】トイレは大丈夫?
【A.】和式トイレが苦手であれば、キャンプ場に洋式トイレがあるか事前に確認を。トイレトレーニング中なら、テントからトイレまでの距離や混み具合をチェックして子どもに伝えておくといい。それでも不安なときは「キャンプ中は特別ね」とオムツを履かせてみても。

自然の中で子どもと一緒に遊び、笑い、食べ、眠るキャンプ旅。「うちの子はまだ小さいから」と諦めていてはもったいない! 今しか楽しめない特別な時間、ぜひ体験してほしい。

(出典:『別冊ランドネ 親子でアウトドア! Vol.3』)より


vol.189 半農半X vol.30

リベロ選手のように

 アフリカには「お年寄りが帰天するということは、図書館1軒が焼失するのと同じだ」ということわざがあるそうです。たくさんの知恵や経験、記憶をもつ地域の宝物である先輩世代の知恵を少しでも継承したいと思うようになった20代から、まずはみそづくりを教わったり、餅つきを復活したり・・・。今年は故郷・綾部にUターンして20年になります。そのころ、「この国 に脈々と伝わる先人知を継承されている特に昭和1桁以前の世代の知恵を受け継がないといけない」という言葉に出会いました。帰郷以来、先人の知の収集を心がけてきましたが、昭和1桁も少なくなり、急がないといけません。それでも継承がうまくなされていることもあり、宝物はいっぱい眠っています!バレーボールでいうリベロの選手の精神で、果敢に拾っていきましょう。

チャンス・チャレンジ・チェンジ!

 男を乗せた馬が疾走してこちらへやってきます。道行く人が、馬上の男に「どこへ行くんだい?」と尋ねました。男は困ったように「馬に聞いてくれ!」と言い残し、去っていきました。将来のことは会社の社長に、日本のことは総理に、家庭や子どもや健康のことは妻に聞いてくれ・・・。25年ほど前、このたとえ話に出会い、大変ショックを受けました。日本人の大半はこの男のようです。自分はどこに辿り着きたいのかというビジョンがないと、流されてしまいます。「人馬一体」という境地ならいいけれど、馬上の男にならないためにどうしたらいいのだろう。キーワードは「大好きなこと」かなって思います。大好きなことを活かして、社会の問題とかかわっていく。小さなチャレンジ(挑戦)はチェンジ(変化)を生む。それが積み重なると・・・。いまはそんなチャンス(好機)がいっぱいです。自分からどんどん仕掛けていくと楽しい時代。それが今です。

塩見直紀(しおみなおき)半農半X研究所代表
1965年、京都府綾部市生まれ。20年前から「半農半X(エックス=天職)」コンセプトを提唱。半農半X本は翻訳されて、台湾、中国、韓国にもひろがる。著書に『半農半Xという生き方 実践編』など。

※半農半Xとは・・・半農は環境問題、半Xは天職問題(どう生きるか)を背景と する。持続可能な農のある小さな暮らしをベースに、天与の才を社会に活かす生き方、暮らし方。ex.半農半漁、半農半大工、半農半看護師、半農半カフェ、 半農半絵描き、半農半歌手、半農半鍼灸師、半農半カメラマンなどなど。


vol.189 菌ちゃん野菜応援団 vol.10

 毎年この季節の畑にはウットリします。というのも小さな命がたくさん出てくるから。カエルやミミズ、てんとう虫、ミツバチなどの小動物、そして目には見えないけど活発になる微生物さんたち。中でも花菜は格別命を感じさせてくれます。

 何度も何度も取られてもそのたびに新しい花芽を健気に伸ばすお野菜さんたちに心から「ありがとう、ごめんね」と言いながら、今日も私はせっせと摘ませていただいています。

 寒い冬をじっと耐え忍んでいたお野菜たちは春のお日様の力を感じると一気に花芽を出し始めるんです。それは自分の子孫を残そうとして花を咲かせて種を飛ばそうとするから。いわゆる菜花と呼ばれるもの以外にも小松菜、白菜、大根の花芽、ブロッコリーの脇芽、珍しいものではネギ坊主。そんなのもとても美味しいんですよね。

 野菜さんの立場に立ってみれば花を咲かせて種を結ぶ直前に私に取られちゃうわけですから「結婚式前夜に手折られるようなもんだ」とは師匠の言葉。
それでも「その野菜が自分の力を振り絞ってエネルギーと栄誉をためて創り出した花芽という場所。そこをいただくということは本当にその野菜の命をいただくということ。こんなにもありがたいことがあるだろうかと思うと毎回泣けてくるんだよ」とも言われました。

 消費者である私たちは他の命を常に手折って生きている。そこを忘れないようにしたいなと。想いを新たにする春の畑です。


vol.189 未来に続く暮しの学び vol.31

持続可能な暮らしの提案。

持続可能な暮らしの提案。

 南半球のオーストラリアは秋分の日を迎え、季節が切り替わるのをきっかけに、ここの暮らしにも新しいサイクルが始まるなという予感を感じています。

 持続可能な暮らしで大切なことは、変化を楽しんで対応できること。そして面倒(ケア)を見ること。中でもメンテナスが重要です。私たちの環境面ではガーデニングのメンテナンスがあります。草刈りをして、落葉樹の葉を集めて堆肥にする。この作業はチームワークで乗り切ります。スタッフとおしゃべりしながら、季節を感じながら楽しく進めていきます。同時にスタッフの健康から精神的なケアも必要です。プライベートな問題以外は、とにかくとことん話し合います。そこから浮上してきた問題は相互に認識し、解決の糸口を見つけていきます。スタッフは場所と時間を共有している、ということを常に意識するようにと心がけます。(もちろんプライベートは別として)
 あとは自分のメンテナンスをすることも!!自分が整っていれば、どんな変化の状況にも、落ち着いて対応できますから。
 そして最も重要なことは、今ある環境に心から感謝すること、でしょうか。

 さて、秋分を迎えたここはもう収穫の秋、芸術の秋の真っ盛り。Farm to Table(畑の収穫を食卓へ)をテーマとして音楽イベントを企画したり、絵画のリトリートを企画したりと、まさに、実りの多いパラダイスの秋の始まりです。今いる、仲間とのチームワークがこれからどのように築き上げていけるかが楽しみです。

 過去を振り返りながら、前に進む。そして、変化を受け入れる。そんなひらめきを感じた新たなサイクルの始まりです。