投稿者「にらめっこWeb版スタッフ」のアーカイブ

vol.193 第4回 菌ちゃん野菜交流会全国大会in岐阜

心と体をはぐくむシンポジウム プレイベント 
11月25日(月)13:00〜

 全国各地から「菌ちゃん野菜応援団」の方々が実践されている取り組みを発表。遠くは福岡、熊本、新潟、東京、長野、岐阜…地域に違いはあるものの、吉田俊道さんの「すべてのものに役割がある すべてのいのちと折り合おう」の考えをベースに活動をしている様子がよくわかりました。NPO法人や社団法人の方、農林水産部の「食と花の推進課」という行政の方の発表、どれも眼を見張るものばかりでした。中でも、行政の方が小学校や幼稚園に出向いて、「子どもたちの心と身体を育む、欽ちゃん元気野菜つくり」の発表にちょっとびっくり。官民一体となって「菌ちゃん野菜つくり」に取り組むことは、私たちの目標でもあるので先駆的例としてしっかり胸に刻みました。
 どの地域でも、子どもの反応はとっても素直。菌ちゃん野菜作りの仕組みがわかれば、子どもは家族に話すでしょう。するとおかあさんやおとうさんたちが考える。それが暮らしを振り返るきっかけとなる。交流会では「未来は大人が守らなきゃ!」という吉田さんのメッセージを受け止め、改めて共有できたのではないかと思いました。(三)

講評:吉田 俊道氏

菌ちゃん野菜つくりの効果

 菌ちゃん野菜つくりは「すべてのものに役割がある」という考えがベースにあります。子ども達に命の大切さとを伝える時に、「世の中にいらないものなんてないんだよ、全部大切なんだよ」っていうことを、菌ちゃん野菜つくりを通じて伝えられることに先生が気づいたんですね。久留米の方では小学校で結構広まっています。この地球にいらないものなんてない。ぜ〜んぶ意味があってそれぞれ助け合ったり、ときにはケンカすることもありますが、折り合いをつけて生きてるんですね。

菌ちゃん野菜つくりにはもう1つ大事な目的がある

 それはこの社会をかえること!あと一年と数ヶ月の間に何もしなかったら、もう取り返しのつかないところまで来そうだってこと、気候変動はどうもCO2のせいだ、ということをみんな気付き始めてます。スェーデンではグレタさんを筆頭に毎週金曜日に子どもたちがストライキをする。「将来のために勉強しろよ!と言っても子どもたちは「えっ?私たち将来あるんですか?」って。

 なんでCO2がこんなに増えたか。原因は農業なんです。昔は地球の表面にはいっぱい生き物がいた、それが炭素です。残念なことに今は除草剤や化学肥料、農薬や土壌殺菌剤をかけたりして土が痩せどんどん砂漠化して、炭素がCO2を固定化(※)できなくなっている。それがこの温暖化の原因の4割くらいと言われています。昔の農業は、自然界をうまく活用していたね。土の中は微生物だらけになって、虫も増え、小動物も増えて…それで温暖化の4割は解決できるんですよ。

 そして、あとの6割の原因は石油。石油が地球温暖化を作ったと言われていますが、それをたて直すことができるのも実は農業なんです。FAO(国連食糧農業機関)は炭を畑に入れれば、世界中のCO2を回収できることをすでに発表しています。そうすることで理論上は5年未満で地球温暖化は止まるってわかっている。さらに発酵力が強まって、いろんな菌が入ってくる。微生物と共生するこの「菌ちゃん野菜つくり」が世界中に広がったら、CO2問題はかなり解決できるってことを、子どもたちに教えてください。

 「循環型共生社会」と言いながら、今は循環も共生もない。このまま未来がなくなっていくかもしれない。そんな中で地球のかけがえのない生き物たちの役割をもう一回考え直してみる。教えるのではなくて子どもと一緒に考えることができたら、子どもたちが大人になった時に、今の社会の矛盾に気付いて、社会を変えていく人たちになると思ってます。未来は私たちが守るしかないんですね。   (文責・にらめっこ)

※炭素固定(たんそこてい、英: carbon fixation)とは、植物や一部の微生物が空気中から取り込んだ二酸化炭素(CO2)を炭素化合物として留めておく機能のこと。 この機能を利用して、大気中の二酸化炭素を削減することが考えられている。 同化反応のひとつ。


vol.193 菌ちゃん野菜応援団 vol.14

 先日、「菌ちゃん野菜応援団 東海支部」と「つくろ!の会」の共催で2日にわたりちょっと大きなイベントを開催しました。お越しいただいた方も多かったと思います、本当にありがとうございました。2日目のイベントのなかで講師の方が二人とも「このまま何も手を打たなければ地球環境は1年半で手がつけられなくなる、というのが世界の公式発表です」とはっきり言われました。
 ではそのために私たちが何ができるかというと、一番簡単なのが大地を微生物でいっぱいにすること、という話をされました。農地から微生物がいなくなったが為に二酸化炭素が吸着されなくなり、地球温暖化が加速した。では農地をもう一度微生物でいっぱいにすればいい。そのためのノウハウは菌ちゃん野菜作りのなかにすべてある!と力強く仰ってました。それを受けて各地で人が立ち上がり始めました。

 ある地域では「では、はじめの一歩として耕作放棄地に草を入れよう!そこで野菜を作って地域活性化もしちゃおう!」という動きがおきました。
つくろ!の会に要請が来たので、早速大量の草を畑に運びみんなで畝に下ろして土をかけてマルチを張って。ちゃーんとおまじないもしましたよ。この畝はすこしづつ増やして春には野菜を植え付けます。

 耕作放棄されていた土地に微生物が増え、春からは野菜の命が育まれる。それが私たちの地球を救い、地域の活性化にもつながる。
こんなわくわくすることがあるでしょうかー!!!

みなさんもぜひ、ご自分の手の届く範囲でやってみませんか??


vol.193 半農半X vol.34

 10月半ば、台湾・高雄の美濃(メイノン)という美しいまちから綾部訪問がありました。大型バスで約30名、縁あって、わが村を訪ねてくださったのでした。里山ねっと・あやべがおこなってきた「綾部里山交流大学」では、都会からの参加者と、「里山・村散策」をおこなっていて、とても好評です。今回、台湾の一行をお連れしたところ、大変喜んでくださいました。季節はちょうど秋のいい季節です。たくさんの質問をいただいたなかで、特に印象的だったのは、「たくさん柿が生っていますね。なぜ柿をとらないのですか?もったいないです」というものです。昔は日本でも柿をたくさんとっていたけれど、いつしかあまり食さないようになってしまいました。柿は「眠れる地域資源」の最たるもののような気がしています。活かすアイデアをみんなで出し合えたらいいですね。

お地蔵様と一本檜

 子どものころから村にある「お地蔵様と一本檜」の風景にひかれてきました。15年ぶりにUターンしたとき、都会の友を連れてきたら、とても気に入ってくれました。村人にとってもここはこころの風景です。都会の人も村人もみんな好きな風景というのがあるのですね。この地は昔の塚が多くて、「八塚」という地名です。すこし先には産土の神社があり、田んぼの中には、古墳がいくつか現存し、お地蔵さまもあります。それらを結ぶラインの先には、その昔、行基が霊気を感じて寺を創建したといわれる地もあります。それらが一直線に並ぶのです。私はここを村のパワースポットと呼んでいます。ほんとうに何気ない村
の風景ですが、もしかしたらここはすごい場所かもしれません。ときどき、里山散策で都会の方をお連れし、喜んでもらっています。

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塩見直紀(しおみなおき)半農半X研究所代表
1965年、京都府綾部市生まれ。20年前から「半農半X(エックス=天職)」コンセプトを提唱。半農半X本は翻訳されて、台湾、中国、韓国にもひろがる。著書に『半農半Xという生き方 実践編』など。

※半農半Xとは・・・半農は環境問題、半Xは天職問題(どう生きるか)を背景と する。持続可能な農のある小さな暮らしをベースに、天与の才を社会に活かす生き方、暮らし方。ex.半農半漁、半農半大工、半農半看護師、半農半カフェ、 半農半絵描き、半農半歌手、半農半鍼灸師、半農半カメラマンなどなど。


vol.193 未来に続く暮しの学びPrt-34

オーストラリアの山火事で感じること。

異常に長引く“乾期”に猛威を振るう山火事

 この6ヶ月間、まとまった雨が降っていないところへ、山火事が発生しています。新聞やニュースでご存知の方も多いと思いますが、かなり広範囲でいまだに燃え続けています。
ここバイロンベイは亜熱帯気候なので、熱帯雨林が国立公園として守られています。でもこの過激な乾期のおかげで、熱帯雨林でも乾燥しすぎて火事が発生するほど。各地域では、一時避難警告がだされ、家から離れなければいけない家族もたくさんいました。バイロンベイでは節水と、水量使用制限などの規制がだされ、市内に住んでいる人たちも、節水を強いられています。私たちの土地では、雨水を集めてまかなう仕組みなので、完全に水不足になり、4日ほど断水状態が続きました。いまは、地下水を汲み上げて、施設内の水はまかなえるようになりました。このような異常事態を経験すると、あらためて”水” がどれだけ自分たちの生活に関わっているかを実感します。自分だけではなく、この国全体で、体験しているようです。

 全ての生き物が生きる上で、最も重要な水。だから、細かな部分までにも神経を使って常に「命を育む水」を意識して、無駄なく使いたいもの。いやそうしなければいけない。危機をとおしてしか、学べない人間の未熟さを感じながらも、これをきっかけに、水に対しての意識が高まり、水は人間だけのものではないという意識も伝わるといいなと思います。

 樹齢を重ねた木々、食卓を潤してくれる畑の野菜や植物、動物、爬虫類、昆虫類などなど生あるものには欠かせないものであり、あらゆる生き物と水を共有しているのだという意識が大事。日常生活もそんな思いで水を使えるようになるといいなと思います。
 火事は少しづつ収まってきていますが、まだまだ目が離せない状況です。収束に向けてこの地域では、レインダンスを呼びかけて、みんなの意識が雨を呼ぶことに集中しています。
雨期はもうすぐの、、、はず。。。動物も、人間も、植物も、みんな雨を待っている。

自然の猛威になすすべもなく…私たちもその自然の一部。


vol.193 夢か悪夢かリニアが通る!vol.22

「水枯れ」経験した掛川

 南アルプスを愛した山岳写真家、白籏史朗さんが11月30日、86歳でなくなりました。5年前の2014年9月、白籏さんがリニア中央新幹線建設に反対する集会で講演する様子が動画投稿サイトYouTubeで公開されています。白籏さんは「気持ちが非常に落ち着く、包み込んでくれるような山地」と南アルプスの魅力を語り、リニア南アルプストンネル計画について、「トンネルを掘るということで、地下水の流路がどのように変わるかということが非常に心配。森林に相当大きな被害が出るのではないかと思います」と警鐘を鳴らしています。「何か工事すると金が絡む。金が絡むとつい巻かれてしまう人もいる。それによって自然は荒れ、地下水は枯れ、生物は減ってしまう。悪循環なんですね」。その言葉は、長年にわたり山々の襞を分け入って歩き続けた白籏さんの実感だったのでしょう。   井澤宏明・ジャーナリスト

60万人の生活用水

「一番頼りになるのは、水を利用している方々に『命の水』だと声を挙げていただくこと」と訴える難波副知事

 静岡県掛川市で12月3日、「掛川の水について考えるシンポジウム」が開かれました。平日の昼間にもかかわらず会場の市生涯学習センター大ホールには約500人が詰めかけました。リニアの南アルプストンネル建設で大井川の水が減る問題を受けて、身近な水について考えてもらおうと市が主催したものです。


 長年、水不足に苦しんできた掛川市には県内の3分の1に当たる200以上の「ため池」が作られ、毎日の水くみが大変なことから、「水のない掛川には嫁をやるな」と言われたという悲しい歴史があるほど。現在、使用量の9割を大井川の水でまかなっていますが、大井川の渇水により、最近では昨年12月から今年5月まで147日間も節水対策を行いました。
 同市には苦い経験があります。新東名高速道路の粟ヶ岳トンネル掘削工事で2000年5月、地域の水道の水源だった粟ヶ岳中腹の湧水が枯れてしまったのです。
 パネリストとして参加した富士東製茶農協の平井文男組合長は、年間収入の7、8割を得る「一番茶」シーズンに水が枯れ、製茶に必要な水を給水車で運んだこと、その後、中日本高速道路(ネクスコ中日本)の補償で上水道が整備された(水道料は30年分のみ補償)経緯を振り返り、こう語りかけました。

約60万人分の水をまかなう大井川。その影響範囲は広大だ(配布資料より)


 「お風呂のふたを開けて湯気が出てきたとき、今のカルキ臭がする水に最初は慣れることができなかった。本来のおいしい山の湧き水を飲んでみたいという思いがあります」
 ネクスコが工事前に、「水は枯れない」と地域の先輩たちに説明していたこと、水枯れ発生当初は、「因果関係は調べてみなければ分からない」となかなか話し合いにも応じなかったことを挙げ、「JR東海は(大井川の減水について)色々数字等を言っているが、本当にそれが正しいのか。(水枯れの経験があるので)信用できなくなっている」と訴えました。

「県民共有の財産」

平日にも関わらず多くの掛川市民が詰めかけた「掛川の水について考えるシンポジウム」

 基調講演を行った静岡県の難波喬司副知事は、JR東海が推計している大井川の毎秒2トンの減水量について、「大井川の水を利用している約60万人の生活用水がそっくりそのままなくなるということ」と解説。JR東海が「原則として、湧水の全量を大井川に流す」と表明したのは昨年10月、減水を公表してから5年後のことでした。
 ところが今年8月になって、「先進坑がつながるまでの工事期間中、山梨、長野両県へトンネル湧水が流出する」ことをJR東海は明らかにしました。静岡・山梨県境には地下水をたたえた「畑薙山断層」があることが分かっています。難波副知事は、映画「黒部の太陽」を例に挙げながら、「断層の水が枯れるまで出し切って、それで工事が再開になる。1年間ここから出た水は全部、山梨側に流れる。それでも大井川水系の水は減らないと言っている。まったく理解できない」とJR東海を批判、議論がこう着状態にあることを伝えました。
 さらに、「水循環基本法」などを紹介して、「トンネルで出る水はJRの水じゃない。県民共有の財産を、よそに流す権利はどこにもない。ここはどんなことがあっても我々は譲れない」と決意を述べ、利水者の応援を求めました。




vol.193 緊急特集 中村 哲さんを悼む

中村 哲 なかむら てつ
ペシャワール会現地代表。PMS総院長。1946年福岡市生まれ。九州大学医学部卒業。国内の病院勤務を経て、1984年パキスタン北西辺境州の州都ペシャワールに赴任。その後、東部アフガニスタンへも活動範囲を拡げ、ハンセン病や結核など貧困層に多い疾患の診療、農村復興のため水利事業に携わる。

なぜ、どうして……、
ペシャワール会の中村 哲医師が死去

 12月4日、アフガンで支援活動を30年以上行なってきたペシャワール会の中村哲さんが武装集団に銃撃され死去された。友人からのメールでそのことを知った私は、驚きととともにその事実が信じられなかった。政治、思想をこえてアフガンの現地で救援活動を行ってきた中村さんは、戦乱とは関係なく、現地の人々の尊敬と支援を集めて黙々と活動してきたのである。その中村さんが標的となり死去したのである。
 ペシャワール会は1983年に中村哲医師の活動を支援する目的で結成された日本の民間支援団体です。パキスタンのペシャワールから始まった医療活動はアフガニスタンにも拡大され、医療活動とともに生命の根源である「命の水」を求めて井戸掘り、カレーズ(伝統的な地下水路)の修復活動へと進展しました。また、アフガン戦争では空爆の下で食料援助を実施しました。
 2000年の大干ばつから続く干ばつの影響、戦乱による治安の悪化によってアフガンの国土は荒れ、多くの難民が生まれました。中村さんによれば、報道されるのは戦乱のようすばかりですが、アフガン荒廃の根本的な原因は継続する干ばつの影響です。当初行なっていた医療活動から、命の水を求めての飲料水源確保事業から(掘った井戸は現在1600)、「緑の大地」計画のもと2003年から砂漠化した大地を緑の農地にするために用水路の建設が始まりました。用水路によって荒廃した大地に緑がもどり、ふるさとに帰還した難民は約15万人と推定され、その水利事業によって現在約65万人の人たちの生活を支えています。
 そんなペシャワール会の活動を支えているのが約2万人(会員・寄付者)の日本人の真心です。民間による支援活動ですが、その活動はすでに国家的な事業といえるほどに成長しており、その活動の根源は現地の人たちと中村哲氏の強固な信頼関係にあります。当たり前のことですが、現地の人たちの思いにそった、アフガンの人たちのための支援活動です。いまだに戦乱は治まらず、治安悪化のアフガンにあって、用水路建設、農村復興が進むアフガン東部、クナール川流域は暗闇の中の光明です。医療活動から井戸掘り、そして「緑の大地」計画による用水路建設、農地の確保、「命の水」は「平和の水」となってアフガンの国土を潤す。ペシャワール会の活動はすでに30余年、武力によらない真の積極的平和主義を実践してきたのがペシャワール会、中村 哲医師でした。
 なぜ、どうして中村さんが狙われたのか、アフガン国内の混乱を狙った武装集団の正体、思惑が私にはまったく理解できません。ただただ驚きと悲しみでいっぱいです。日本に帰る中村さんの棺をガニ大統領が担ぐ報道写真を見て、アフガンの人たちとともに涙があふれてきました。
 08年にペシャワール会の現地スタッフであった伊藤和也さんが殺害される事件があったが、「私たちペシャワール会は、変わらずに事業を継続して、皆さんと苦楽を共に致したいと思います……皆さんの協力と要望がある限り、ペシャワール会の活動をやむことなく継続されることを誓い、弔辞と致します」と中村医師。
 中村さん死去という大きく深い悲しみを乗越え、今までの活動を変わらず継続していくことが残された私たちのつとめであろう……ただただ合掌。

(新年になったら、中村哲医師追悼の集いとペシャワール会の報告会を計画したいと思っています)  
黒野こうき(岐阜ペシャワール会を応援する会・代表)

記憶に残る中村さんのことば

「憤りと悲しみを友好と平和への意志に変え、今後も力を尽くすこと誓う」
伊藤和也さん(ペシャワール会スタッフ)が2008年に殺害された時の追悼の言葉。

「100の診療所より1本の用水路を」

「誰もがそこへ行かぬから、我々がゆく。
 誰もしないから、我々がする」

「戦争協力が国際的貢献とは言語道断である」

「9条がリアルで大きな力だったという現実」

2016年5月27日 各務原市民会館大ホールにて ペシャワール会は、パキスタンでの医療活動に取り組んでいた医師の中村 哲を支援するために1983年に結成された非政府組織。



vol.193 プレゼントコーナー

1- あなたは、2020年をどんな一年にしますか?
どんな一年を送るのか、あなたの決意を聞かせてね!
2- 気になるにらめっこ紙面での広告
3- 気に入った記事、気に入らない記事のタイトル1つ・その理由もお書きください。
4- ご希望のプレゼント名 (第1希望・第2希望)
 ※A、B、Dは編集室まで受け取りに来られる方。
5- 本紙をどこで入手されましたか?
6- 氏名、年齢、住所、郵便番号、電話番号、  家族構成

プレゼントご希望の方は

ハガキまたはe-mailで、上記のアンケートを
1〜6までご記入の上、編集部・プレゼント係りまでお送りください。
〆切:2020年1月27日 当日消印有効。

宛先
〒504-0855 各務原市蘇原新栄町3-15
e-mail: info@niramekko.com
※お寄せいただいた個人情報は、本紙プレゼントの発送に限り、 使用させていただきます。
※当選の発表は発送をもって代えさせていただきます。

A.九条ボールペン  

にらめっこより…5名様

日本が戦争を永久に放棄し戦力を保持しないと定めた第9条を含む日本国憲法。改憲に積極的な今の日本の政権。あなたは改憲に賛成?反対?どう思う?難しいと構えないで、身近な人とどんどん対話してみて。まずはこのボールペンでネタ振りってどうでしょう。にらめっこ編集室でお受け取りください。

B.ペアコーヒーカップ

にらめっこより…1名様

葉っぱがモチーフの藍色の柄がシックでおしゃれなペアのコーヒーカップ。寒い日には温か〜いコーヒーでほっとひと息、ブレイクタイム。そんなひとときをあなたは誰と過ごしますか?にらめっこ編集室でお受け取りください。

C.CINEX映画招待券

シネックス様より…ペア3組様

優れた映画作品は時代考証などもしっかり、まるで映画作品の時代へタイムスリップしているかのよう。観ているうちに主人公とその時代を共にする、そんな一体感は映画館ならではかも。写真は「カツベン!」より。招待券は柳ヶ瀬のCINEXでご利用になれます。

D.アルベルベッロのマグネット

にらめっこより…2名様

南イタリア、プーリア州アルベロベッロには、石と漆喰で作られたトゥルッリと呼ばれる伝統的な家屋が多く残ることで知られています。世界遺産として登録もされているこの町をデザインした小ぶりのマグネットです。サイズは約5センチ×7センチ。にらめっこ編集室でお受け取りください。


vol.192  土のある暮し

日々の暮らしの中で「循環生活」をスタート!と題して、前号は、台所→堆肥→野菜→台所…を実現する「ダンボールコンポスト」を紹介しました。今回は、「土の循環」について。そこには、私たちの暮らしに欠かせない大切な世界がありました。

大事なものは、土から生まれる。

土は、私たちの命を支えている
 人が摂取している食べ物の99.7%は土から育ったもの(※国連食糧農業機構・FAOのデータより)であることを、ご存じですか。動物はもちろん、昆虫や微生物に至るまで、食べ物を得る場所として、生きていくためのすみかとして、土は生き物にとって欠かせない存在です。土は、水を循環させていることを忘れてはなりません。私たちをふくむ多様な命は、土から始まる食物連鎖に支えられて今日も生きています。

土づくりは、自然が教えてくれる
 人が手を加えていない森の中では、土と植物がバランスを保ちつつ、持続的な仕組みを作っています。古くから伝わる「土づくりは自然から学ぶ」という言葉にうなづけます。しかし、農業での主な関心事は肥料や農薬などの散布について、ではないでしょうか。農薬や化学肥料は作物にとって、農作業者にとって都合のいいものでしょうが、結果的には土を劣化させてしまいます。リビングソイル研究所では、「土の劣化を抑制して再生させる」ことを提唱しています。

土の再生が、世界を変える
 “土壌を再生すれば、発展途上国を悩ます飢餓だけでなく、水不足や地球温暖化に対処する道も開けてくる”ナショナルジオグラフィック 2008年9月号 『食を支える土壌を救え』では、土壌を再生することで、
「▪気候変動を解決▪生物多様性の回復▪食べ物の質の向上▪飢餓・貧困を解決▪有害・汚染物質の分解▪ゴミの削減▪水の保全・水質向上▪健康向上・医療費削減▪植生の回復・植物の生育促進▪酸性雨などからの緩衝▪空気の質が向上▪海や湖など、生物の環境を快適に、」なると述べ、さらに、
 「農地や身近な環境で土を再生できれば、現代社会が抱える多くの課題を解決へと導くことが可能です。土の機能は、植物を育てたり、支えることだけではありません。水の循環サイクルでは大切な機能を果たしており、土に侵入した有害物質を分解する他、酸性雨の影響を緩和。河川や湖、海の生態系にすぐれた効果を発揮します。また、草木や家畜の排泄物、生ゴミを適切な状態で土にもどすことによってゴミが減り、土は肥沃になっていきます。土は、私たち人間の食べ物だけでなく、バクテリアや菌類などの微生物にも作用するため、生物の多様性が幅広いレベルで守られることになるのです。飢餓や貧困に苦しむ地域で土が再生されると、作物の収穫量が増え、水や燃料などに用いる樹木の生育もよ

くなって食べ物の質や栄養価の向上に影響を与えます。「土の再生」を社会の仕組みに織り込んでいくことは、さまざまな課題の解決につながっていくのです。」と、述べています。

土の再生って?
 土は生きている—土壌動物が育む土壌環境 横浜国立大学金子信博氏の研究によると、土の中の微生物、土壌動物の関係性が土をより良い状態にしていくとのこと。地球は土の惑星!土は命の源。私たちの食は「土の力」に支えられています。しかもその土を耕している微生物、土壌生物は土に循環をもたらす働きをしています。その一部をご紹介します。

土の惑星
 よく「土は生きている」と言われます。確かに土には驚くほど多くの、そして多様な生きものが暮らしています。その顔ぶれは、細菌・カビなどの微生物から、センチュウ・トビムシ・ササラダニなどの小型の土壌動物、ミミズやヤスデといった大型の土壌動物までさまざま。そのほとんどが私たちにははっきり見えない大きさですが、肉眼で見える動物に限ってみても、地上の動物の数倍から10倍程度の量の動物が、地表からせいぜい50cmほどの深さの土壌の中に生息しています。宇宙の中で地球を特徴付けるものはたくさんありますが、陸地が生物に満ちた土壌で覆われているという点も地球の大きな特徴です。

ミミズやヤスデが炭素を溜める
 土壌食で知られているミミズやヤスデの糞を調べると、土壌よりも炭素濃度が高くなっています。これは有機物と土壌を混ぜて食べるため。食べられた有機物は消化管のなかで土壌と十分混ざりあい、粘土鉱物と結合します。糞として排泄された窒素は、微生物の活動によってアンモニア態から硝酸態に変化します。このうちの一部はガスとなって大気に戻りますが、硝酸態窒素は植物に利用されやすい。一方、糞のなかの炭素は土壌に塗り込められているので、酸

素が供給されにくい糞内部にあり分解が抑制される。植物の側から見ると、必要な栄養塩はめぐり、植物にとって大気から簡単に得られる炭素は土壌に蓄積されるわけで、生育にプラスに働くことになる。大気の二酸化炭素を土壌に溜めるという点で、緑の地球は、茶色の土壌が支えていると言ってもよいと思います。

土壌動物が引き出す土の働き
 土壌が機能するには、土壌中に微生物だけでなく、土壌動物も含んださまざまな生物グループ(機能群)が揃い、たがいにゆるやかな共生関係を保っていることが重要です。単なる種の多様性(種数)ではなく、このような生物グループ(機能群)の多様性に注目することが必要だと思われます。

 近年、微生物の顔ぶれは世界中の土壌で驚くほど似ていることが分かってきました。それに対して土壌動物は環境の影響を受けやすく、場所ごとに顔ぶれが大きく異なっています。それゆえ、微生物の活動への影響も場所によって異なり、土壌機能も異なってきます。人間の開発によって土壌動物がいなくなり、炭素貯留の働きを失った農地はその一例を示しています。
 農業の開始いらい、人間がある意味、ひどい扱いをしてきた土壌が依然として働いてくれるしくみの基盤には、土壌生物の多様性があります。土壌の働きは多様な生物によって引き出されているという意味で、土はやはり「生きている」のです。


vol.192 虫はなんのためにいる?

虫たちは地球を豊かにするためにかけがえのない役割を担っています。ここでは特に畑づくりという観点から、大切だと思える3つの役割をご紹介します。

① 花粉の運び役
 植物にきれいな花が咲くのは蜂などの昆虫を呼び寄せるため。彼らに花粉を運んでもらって、子孫を残す手助けをしてもらっています。蚊やハエの仲間にも花粉を運ぶものがいるそうです。野菜も同じく、特にイチゴやカボチャのような野菜は虫が受粉してくれることで、たくさん実がなるようになります。

② 生物の死骸を分解する
 虫たちは微生物と協力して、枯葉や生き物の死骸を細かく分解していきます。そして新しく土として再合成するサイクルを繰り返すことで、土は豊かになっていきます。

③ 全体のバランスを調整する
 自然界は、特定の栄養素や微生物・植物・虫などが増えすぎたり、減りすぎたりしないようにバランスが取られる働きが自動的に行われています。畑にいる虫も同じで、自然全体で見るとこの働きに基づいて動いています。

 以上3つの役割をご紹介しましたが、結局これらをまとめると「虫は生態系を豊かにしようとしている」と言えます。

 虫は生態系や土を豊かにしようとしていると説明しましたが、畑の害虫も実は同じ目的を持っています。例えば畑の中で“野菜という植物だけ”に、集中的に“肥料”という形で栄養をあげた場合、これはその土地全体から見ると非常にアンバランスな状態です。そこで、自然のバランス調整機能が働きます。つまり、害虫が余分な栄養を与えられている野菜を食べに来て数が増えます。そしてその虫がその畑にフンを落として、その土地全体に栄養素をバラまこうとするわけです。
 しばらくするとその増えた害虫は、その天敵に食べられてしまいます。今度は天敵が個体数を増やすことで、害虫は自然と減っていきます。このように全体で見ると自然はその土地全体に栄養素を分散して、その土地と生態系全体が豊かになるような働きが起こっているのです。

根本的に害虫の被害を減らすには
 虫や自然界の目的は「生態系(土)を豊かにする」ことであり、人間の目的は「野菜を収穫する」ことです。このズレがある限り、害虫の被害は根本的には解決することはできず、対症療法に追われることになります。それなら、虫たちの目的と人間の目的を一致させてはどうでしょうか?
 視点を変えると、根本的な解決の道が見えて来ます。具体的には以下の4つの方法が考えられます。

1)土の地力を高める
 害虫の問題にしても根本的には土づくりがとても大切になります。土の中の栄養素や微生物のアンバランスが起きていると、その調整役として虫が来るリスクが高まるので、そのバランスをとりながら地力、「その土が植物を育む力」をつけていく必要があります。
 虫たちがしようとしている役割をこちらで先にやってしまうことで、彼らがくる必要性を最低限に留めることが出来ます。
 ただし注意点として、この地力を高める過程で、害虫が大量発生する可能性があることを十分に理解しておいてください。それまでバランスが崩れていた場所であればあるほど、そのバランスを取り戻す働きが強く起こります。長い目で見ることが大切です。

2)害虫は全滅させない
 いくら憎き害虫といえども全滅させてしまうと、その天敵となる生き物もエサがなくなるので減ってしまいます。そして結果的にまたその害虫が増えやすい環境を作ってしまいます。多少食べられる程度は目をつむりましょう。

3)周囲の環境を整える
 例えばナメクジが多い畑の場合、いくらナメクジを駆除し続けても、その場所自体がジメジメしているような環境であればまたやってくるでしょう。ほとんどの野菜は日当たりがよく、風通しが良く、水はけが良い場所を好み、そういった環境を好む虫とも比較的相性が良いです。

4)効き目の強い肥料や農薬の使用を減らす
 即効性のある肥料や農薬ほど、生態系や栄養素のバランスを崩すリスクも高くなります。こういった資材に頼りすぎない手入れの仕方をしていきましょう。

害虫が発生した時の対処法
 あまりにも地力がなかったり、生態系のバランスが崩れてたりしている場合、あまり効果がない時もありますが、畑の生態系に副作用があまりない液剤などを用いて、虫除けを行うものです。基本的には葉や茎に散布しますが、濃度が強すぎたり、散布しすぎると野菜が傷む可能性もあるので要注意。

○酢
 合成酢ではなく穀物の醸造酢が植物を傷めず、むしろ元気にする効果もあるとされているのでオススメ。ナメクジやアブラムシなどの様々な害虫の対策に使います。50〜100倍に薄めて使用します。焼酎を混ぜたり、唐辛子やニンニクなどを漬け込んだりしておくとより効果的です。

○木酢液
 木材を燃やした時に出る煙を冷やして液体にしたもので、ホームセンターなどでも売られています。センチュウやアブラムシなどの対策に用います。一般的には500〜1000倍に薄めて使いますが、商品によっても異なるのできちんと確認してからお使いください。

○捕殺する
 シンプルに捕まえて殺すという方法です。完全に殺すのではなく、半殺しにして体液を出させることで、それがその虫にとっての警戒信号となっており、その仲間が来にくなるとも言われています。
 例えば緑色のカメムシは強烈臭いを発しますが、あれも仲間に警戒を促すものです。畑にいるカメムシや他の害虫はこのような強い臭いを発しませんが、その体液が同じような役割を持っていると言われています。
このとき全ての虫を殺すとその反動で逆に増えるという現象が起こる場合がありますので、無理に全滅させようとせず必要最低限の捕殺で大丈夫です。

「世の中にいらないものなんてない」と熱く語る吉田俊道
さんの言葉が印象的です。詳しくは次ページで。


vol.192 土と虫と草と…

雑草は根から抜いちゃダメ!?

雑草を根から抜いていませんか?実は雑草の根を残して刈ることで、土が軟らかく栄養豊富になり、だんだん刈るのが楽な雑草が生えるようになるという不思議なことが起こるのです。      マイナビ農業「畑は小さな大自然」より

なぜ根っこから抜いてはいけないのか
 それは雑草を抜くたびに土が締まって硬くなっていくから。土が固くなると、固い土でも繁殖できる根の張りがとても強い雑草が生えて来やすくなります。つまり、根から抜くことを繰り返と、草取りがだんだん大変になるという悪循環に。

根の本来の役割
 植物の根の役割は、「土から栄養を吸うこと」ですが、「土を掘り進め、軟らかくすること」も重要な役割。すると、その植物自身も根を張りやすくなり、次の世代もそこで根を張ることができます。
 さらに、光合成で作った糖分を根から出して微生物を集め、彼らが住みやすい環境を土の中に作るという役割を持っています。つまり、土の中で微生物と植物がお互いに協力し合いながら、住みやすい土を作っているのです。それがまた、野菜が育ちやすい土の環境にもつながっていきます。
 枯れた後の植物の根は、微生物たちによって分解され、土の栄養となり、根があった部分は土の中でトンネルのように空洞として残るので、土がフカフカになっていくのです。根から抜いてしまうとこの空洞は生まれないので、土が少しずつ締まっていきます。

土の環境が変わると、生える雑草も変わる
 このように植物たちは根を使って、微生物たちと協力して土の中に住みやすい環境を作っているのですが、より住みやすい環境になってくると、実は生える雑草が変わってきます。これはちょっと難しい言葉で説明すると「植生の遷移」という現象。耕作放棄地も最初は小さな雑草が生えますが、何十年と放っておくと、だんだんと森になっていくというのと同じような現象です。つまり雑草の根っこを残して切ることで、土がフカフカになり、フカフカの土を好む微生物や雑草が増えます。このような環境で生える雑草は、根の張りが浅く、背が低く、柔らかいので草刈りするのにも楽ですし、野菜の生育の邪魔になりません。
 耕すことでも土はフカフカになったように思えますが、それは一時的なもの。根本的にそして長期的にフカフカな状態を保つためには、根っこを残した草刈りが必要になります。またこれに合わせて、”雑草・落ち葉マルチ”を行うと3〜4ヶ月でかなりフカフカで栄養豊富な土ができていきます。

お勧めする草刈りの仕方
・確実に根元の下を切る
基本は、根を残して「根元より下」を刈ること。鎌を少し土に入れて根をできるだけ残すように刈っていくことが大事なポイント。
・地下茎が生えなくなる土づくり
土がフカフカで豊かな状態になれば、自然と地下茎の植物は減っていきます。土自体が硬くて痩せている状態であれば、また繰り返し地下茎の植物が生えるようになってしまいます。

世の中にいらないものなんてない。害虫も雑草も自分の場所で自分の役割を果たしているだけだった。NPO法人大地といのちの会 理事長 吉田俊道

なぜおいしい野菜には虫がつかなくなるのか? 少し理論的に説明しましょう。

 有機物(生き物の死体)の分解、合成過程には発酵と腐敗の二つの道があります。そして関与している生物がそれぞれにいるわけです。この二つの道のどちらにも関与できる生物はあまりいません。
 私たち人間は、発酵の世界で生命を食べつないでいます。逆に、うじ虫や害虫たちは、腐敗している食べ物や腐敗しそうな食べ物を食べて、栄養を吸収しています。
 生き物は腐敗か発酵かの、どちらかの世界に分かれて生きているのです。
 畑によく現れるフトミミズは腐敗の生き物です。空気の少ない固い土や、微妙に腐敗臭のする土にたくさん発生し、腐敗しかけた有機物を食べて暮らしています。
 モグラはそんなフトミミズを食べるために、腐敗臭のする土のほうへ動き回ります。つまり、モグラの害が多いということは、土が腐敗に傾きすぎているということを意味しているのです。
 しかし、フトミミズは腐敗した土を発酵の世界に変えてくれます。
そしてモグラも、結果的にたくさんの空気を土の中に運び、より早く土の状態を発酵に戻してくれます。
 4年前まで、土の中を荒らして野菜を枯らすモグラが私はとても憎かったです。それが今では「モグラさん、ありがとう」になりました。発酵している土の中はミミズもモグラも少なくなります。土が完全に発酵状態になると、住む世界が違うので自然といなくなるのです。私たちが農業を営む上で敵と考えてきた病害虫は、敵ではなく、ただ自分の場所で自分の役割を果たしていただけだったのです。

雑草も同じです。草を取るから、土はいつまで経っても団粒構造が発達せず、いよいよゴウブシやスズメノカタビラなどの引き抜きにくい草だらけになるのです。
 反対に、よその草まで持ち込んでたっぷり土に入れると、ふかふかで微生物たっぷりの発酵型土壌に変わります。

 ナズナやハコベなどの抜きやすい双子葉類の草だけ生えるようになり、野菜は後味がよくなり、病害虫も発生しなくなります。
 雑草をできるだけ小さいうちから除草しようとする農家は多いです。ですが、ためしに運動場や固い土の畑によく生えているスズメノカタビラを、思い切って大量に畑に入れてみてほしいです。数ケ月すると、もともとタネもなかった双子葉類の草が生えてきます。

 今、中学校では生命の循環と生物の育成を習うことになっています。しかし、どれだけ教室で知識を学ばせても、校舎の周りで育っている雑草を捨ててしまっています。そんな中、福岡教育大学では雑草を運動場のような固い土に入れて、数か月で土をふかふかに変える実験を行っています。そこで育てた野菜が元気でおいしい「菌ちゃん野菜」になるかどうかを検証しています。厄介者でしかなかった校庭や校舎の周りの雑草が循環して最高の土を作り、とってもおいしい野菜が生まれる。そして、その野菜を育てた人がありがたくいただく。そのとき、「世の中の生き物はすべて自分とつながっている。世の中にいらないものなんてなかったんだ」ということを初めて実感できるのだと思います。

(熊本市で行われた「こどもの給食を考える会くまもと」主催の講演より    みやざき中央新聞

「食べることを通して、 生きることを考えよう!」

11月26日(火)吉田俊道さんと船越康弘さんの対談がありますよ。詳しくは「こころとからだをはぐくむシンポジウム」で検索!


vol.192 ぎむきょーるーむ 学校に行きたくない 

「お腹が痛い」「頭が痛い」「行きたいけど、宿題が終わってない…」「もう、死んだほうがいい!」
学校に行き渋る子どもの言葉も姿もいろいろ。
「行きたくない」と言葉にできる子もいれば、体の不調を訴える子も。中には暴言や暴力など「荒れる」というかたちで表現する子もいます。
「学校に行くのが辛い」のはわかった。
でも、どうして?
学校でなにかあったの?
ひょっとして、いじめられていたとか…。
「学校に行きたくない」子どもの声として聞こえてくるのは…

【低学年の場合】 「体育がいや」「給食を早く食べられない」「先生がこわい」「○○ちゃんが遊んでくれなくなった」「ぼく(わたし)が怒られてる気がする」「みんなできるのに、ぼく(わたし)だけできない」「一人でいたいのに、みんなと遊びなさいといわれる」 etc

【高学年から中学生の場合】「疲れる」「先生がぼく(わたし)の意見を聞いてくれない」「勉強がわかんないからだるい」「テストがあると気分が重くなる」「部活がきつい」「なんとなく…」「クラスでいじめがあるのがつらい」「友だちにハブられた」「LINEで排除された」「もうこれ以上がんばれない」 etc

子どもは、期待に応えたい、大人が安心できる言葉はなにかと、がんばってそこにあわせようとすることがあります。
自分でもそうしてよいかわからなくても、その場しのぎのことをいってみたりします。
学校のことは親にも先生にもなにも話してくれないことも。
大人は不安にかられてあれこれ問いたい。
けれど、気持ちをこらえて、そっとしておく時間も必要です。

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学校に行きたくない理由を考えるときに

答える人:山下 耕平(NPO法人フォロ事務局長)

 「学校に行けない原因はなんですか?」と親や先生が聞く場合、「その原因を潰せば行くようになる」と考えておられることが、ままあります。でも、そういう見方では、ボタンをかけちがえてしまうことが多いように思います。
 

きっかけはあるかもしれないけど、それは自分でもよくわからないとか、いろいろなことが重なってそうなったということのほうが多いのではないでしょうか。もちろん、はっきりとこれが原因という場合もありますけど。
 子どもにとっては「これが原因だから、ここをこうしよう」とやっていくとしんどい気がします。
 理由はともあれ、子どもが学校に行けないというとき、あまりそれをなんとかしようと思わずに、まずは「休むこと」を受けとめられたらいいんだろうと思います。だけど、初期ほど、それは難しいですよね。
 ぼくの見てきた経験からいうと、この時期にあまり親子でがんばりすぎて、それでも「行けない」となってしまうと、苦しみや傷を深めてしまうことが多い気がします。
 できれば、初期の段階から、がんばってどうにかしようということは少ないほうがいいのかなと思います。
 とくに学校の先生は、原因を探そうとしてしまいがちです。でも、それは「わからない」ものであって、あまり行けない原因にフォーカスしないほうがいいとぼくは思います。

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対談 「いい親」の対応をしなくても

岡崎 子どもが学校に行かないと相談してくる親御さんのなかには、「子どもに『学校に行かなくてもいい』っていわなきゃならないんですよね?」と聞いてくる人もけっこういます。ボクが「それはそうじゃないんじゃない?だって行ってほしいんでしょう?だったらそういったほうがいいんじゃない?」というと、「でも、そういったら子どもを抑圧するから」と。「いや、でもお母さんが『行かなくていいよ』といって顔をひきつらせてる抑圧のほうが強いから、それはいっていいと思うよ」と話すんですが、「そりゃあ行ってほしいけど、あなたがしんどいのに無理して行くことはないのよ」というくらいで。
山下 これはもう不登校の鉄板ネタみたいになっていますけど、昔から子どもたちがよくいうのは、「『学校に行かなくてもいいよ』といっているお母さんの目が笑っていない」(苦笑)。

里中 私も最初はそうだったと思います。
山下 階段をのぼる足音とか、ドアを開けたときの音とか、ちょっとした所作から子どもが感じとっているメッセージがある。それと言葉が食いちがってしまうと親も子どもも逆に苦しい面はあると思うんですよね。
里中 親は「いい親」をしなくちゃいけないって、すごく思っているんですよね。だから子どもにいってはいけないと思ったら、それをすごくがんばろうとしてしまう。「無理しなくていいんじゃない?」って親の会で私はよく話しますが、「この程度の親です」というのを子どもにも見せた方が楽なつきあい方ができると思うんです。
 だけど、親は子どもにとって権力がすごくある人だから、それをふりかざすことをしてしまうのはまずいですよね。立場が強いということは自覚して、これまでにしてまずかったことは、これからはしないようにすればいいんです。
 親自身が「こうできなかった」と自分をすごく否定してしまうと、子どものほうも否定感が強くなってしまうので、それよりもこれからどうしていきたいのかを親も子もそれぞれが考える、というような感じになれるといいのかなと思います。そこにたどり着くまでがなかなか難しいですが。

対談した人
NPO法人フォロ スタッフ:里中 和子、山下 耕平
お・は編集人:小学校教員 岡崎 勝

NPO法人フォロ …2001年、大阪で不登校の子どもを持つ親たちを中心に設立され、フリースクール、親のつながり、相談事業、なるには(18歳以上の居場所)の4つの活動を展開。


vol.192 しょうがいをみつめる vol.3

学びのユニバーサルデザイン

 私が考えるこれからの教育は、通常学級、特別支援学級・学校という垣根をなくして、共に安心して暮らせるクラスです。そのためには、「学びのユニバーサルデザイン」という視点が非常に重要になってくると考えます。

 始まりは、通常学級における特別支援教育において、授業や学習環境をユニバーサルデザインの視点で捉えようという動きで、10年くらい前から取り入れられている視点です。何をもってユニバーサルデザインとするのかの定義は現時点では統一したものは定まっていません。
 『学びのユニバーサルデザイン』を提唱している1つの団体として、米国の研究団体C A S T (Center for Applied Special Technology)があります。
 C A S T は障害のある児童生徒をいかにして通常学級に適応させるのかという問題を追求していました。追求すればするほど「障害は誰にあるのか?」と自問することに。そこから、90年代に「障害は学習者ではなく、教育カリキュラムの側にあるのではないか」という視点が生まれたそうです。

 私が10数年前、勤務していた小学校の通常学級では、視覚に敏感な子どもたちのため、教室全面にできるだけ掲示物を貼らない配慮がされ始めました。これまでは時間割や係り活動表、お便りなどが掲示されていました。そういった掲示物を教室背面に移動することで、気が散らずに集中できるとの理由からでした。視覚に敏感な子どもだけでなく、多くの子どもから教室がすっきりした、集中しやすいという意見が出されました。
 また、特別支援学級では、授業で使う印字された教科書が読めない子どもに対して、この子はどうして読めないのか、視覚障害か、知的障害か、読字障害かもしれないと、人に当てていた視点で教材研究がされていました。教科書が読めないのなら、教科書を読み上げるCDを使ってみよう、点字教科書はどうかな、と様々な媒体の中から本人が適したものを選んでいく。その子に障害があるから学べないのではなく、学びの手段が、印字された教科書1つに絞られているために学べないという視点の切り替えが『学びのユニバーサルデザイン』の第一歩でなのです。
 また「学びのユニバーサルデザイン」では、「学びのエキスパート(学ぶ意欲と目的を持ち、学び方がわかり、方略的に学ぶことができる学習者)」を育てることを目指しています。

 これまでの教師や学校教育の役割は、「学習者に知識を授ける」ことでした。授業とは、字のごとく「知識を授ける業」なんですね。しかし、これからの時代は、「学びのプロセス自体を提供する」ことが重要になってくると考えます。来年から施行される新学習指導要領の目指すところとも重なるのだと思います。

 C A S T では、『学びのユニバーサルデザイン』の根拠として、脳科学が基盤にあります。親子でも、双子でも、脳は2つとして同じものは存在しません。だから、学習プロセスも一人ひとり異なるという前提において、学びのための多様な手段の必要性が裏付けられています。

 『学びのユニバーサルデザイン』という言葉を私が知ったのは、つい最近です。このように名付けられていなくとも、実践している教師・学校はあるでしょうし、まだこれからというところもあるかもしれません。現時点では一教師の裁量に寄るものが大きいのかもしれませんね。


vol.192  niramekko Gallery「やさいスタンプで」

作者:さら

さら:ふふ〜ん♩ひらふぅはぁゆぅ〜♬、さらちゃんはいつも小さな声でハナウタのような歌を口ずさみながら、ペンや筆を走らせます。その集中力にいつも感心します。特に、粘土の作品つくりは気迫さえ感じます。今は、造形やドローイングを楽しんでいる段階ですが、実はそこに、ものつくりの原点があります。成長していく彼女の今後が楽しみです。


vol.192 えんぴつ・カフェ

えんぴつカフェ

11月8日(金)13:00~15:00・2020年3月7日(土)14:00~16:00 各務原市産業文化センター2階 第1会議室(予定)

★みんなでワイワイおしゃべりしながら、「ゼロの昇天」の書き込みを中心に。お茶とお菓子 付き。  (会場の都合により日程に変更が生じる場合があります。参加の際は必ずお電話にてご確認ください。)

人生これから!シンポジウム

2020年1月19日(日)14:00-16:00

各務原市那加福祉センター1階 集会室(予定)
参加無料

講演会「定年、そして10万時間の自由時間」
著者:上鵜瀬 孝志氏の講演会のあとは
いきいきシニアのシンポジウム

定年後にやりたいことは何ですか?

定年後はバイクを買ってツーリングに行きたい!
家族との時間を大切にしたい!
島に移住して自然と共に暮らしたい。
いつまで経っても現役で居続ける!
そんな意気込みが聞こえてきそうですが、東京海上日動あんしん生命がとったアンケートによると

5位/スポーツ 現役の間は忙しすぎてスポーツをする暇もないし、たまにある休みは家族サービスか寝て過ごすだけ・・・「いや、むしろ休日も働いてるから!!(怒)」という方も多い現状では確かに定年後にスポーツをやってみたいと思う方も多いでしょうね。(ゴルフ・テニス・ジム通いなどがトップ3)
4位/料理 一昔前までは「男子厨房に入らず」という言葉があるくらいでしたが、今は死語。男性、女性共に料理にはまってしまう人は多い。
3位/芸術 一口に「芸術」と行っても色々な種類があります。絵画はその内のひとつでしかありません。 例えば書道や陶芸は代表的な例でしょうし、お茶もそうですよね。少し趣向を変えればボトルシップなんかもそうですし、広い視点で言うとペットボトルで何か凄いものを作ってしまうのも芸術。
2位/働き続ける 「定年後の生活の安定の為」「ライフルスタイルが急激に変化するのを避ける為」「職場から頼まれたから」と、理由は様々ですが、定年後も再雇用という形で働き続けたいという人は多い。
1位/旅行 お金と時間さえあれば気軽に出来るので定年した人達に人気があるのもわかりますね。旅行の行き先として人気なのが温泉。

人生これからNOTE」参加者全員に進呈!(郵送)・薬膳料理のレシピ・ゆる体操のメニュー・歌うは脳活!・定年後の10万時間をどう過ごす?etc …など「えんぴつカフェ・スペシャル」をまとめた暮らしのヒント集。

申 込:人生これから!(当日参加もオーケー)
えんぴつカフェの問い合わせは NPO「人生これから!」
090-5638-7044(田辺)
090-7854-4561(三上)


vol.192 熱中世代 竹内 蘭さん

ひょうたん愛と地元愛が止まらない!

新しい風で養老の町を元気にする NPO法人ヨロスト  竹内 蘭さん(養老郡養老町)

 若い時に地元養老を離れ久しぶりに戻ってきた竹内さん。町に活気がなく、何か盛り上げたいと思い町を見ると唯一の特産であるひょうたんがあった。しかし栽培加工者の高齢化などから、途絶える寸前だった。なんとか繋げたい、それには自分もひょうたんを知ることと思い自分で栽培から加工までやり始めたのが8年前。それ以降、自らひょうたんをかぶり、ひょうたんマダムのキャラクターでひょうたんの魅力を広める活動、ひょうたんランプ作家と、まさしくひょうたんに囲まれた日々を送っている。
 栽培してみるといわゆる「いい形」のひょうたんを作るには栽培の過程で薬を使ったり、かなりの手入れが必要だった。苦労してできた実も、何百個と採れる中で本当にいいひょうたんは数個しかない。形の良くない物は商品化されず、コスト面の問題も見えて来た。
 「よくあるような、茶色くて房をつけて座布団に置く、という商品では、今後はそんなに売れないだろう。産業、文化として受け継がれていくには?特に若い人や子どもたちにアプローチするにはどうしたらいい?と模索しているうちに、すっかりひょうたんにはまって、瓢道に足を踏み入れた、という格好ですね。」と、ちゃめっけたっぷりに笑顔を見せる。
 地元で昔からひょうたんの栽培・加工をしていたおじいちゃんたちは、竹内さんのことを小さい時からよく知っている人たちでもあった。分からない事やコツを教えてもらえるベースはあった。

第42回全日本愛瓢会全国展示会での金賞受賞作品「ひょうたんランプ・ふくろう」。古代のものが好きで、アイヌのイメージで描いた。

「ただ最初にひょうたんを頭に冠ってやり始めたときには、あいつは何なんだって。(笑)ふざけているように見えたでしょうけど、私としては考えて考えた結果。ぱっと見てあれは何だ!って関心をもってもらうための作戦だったんです。その結果いろんなところに呼んでいただいたり、マスコミにも注目していただいて、それを足がかりに学校に行くこともできたので、我ながらいい作戦だったなと思います(笑)。」

 「ひょうたんの素晴らしさを語るにはきっと3時間くらいかかりますよ。まず、1点目には歴史の深さの面白さがあります。人類が一番最初に栽培を始めた植物のひとつと言われています。日本には縄文時代から、土器を焼く技術ができる前に、生活の用具である器として身近にあったんです。もうひとつは、アートの素材としての面白さ。木よりも柔らかくて加工が簡単なんですね。女性でも子どもでも比較的簡単に穴を開けたり、扱いやすいんです。転がったりしても割れませんし、とても軽いんです。このなんともいえない可愛らしい形にいろんな発想が湧いてきたり、素材としての面白さというのも魅力です。」

 養老町全部の小学校にひょうたんの苗を配ったり、春の植え付け、秋の収穫、冬に加工、と一年を通じての学習として学校へ教えにいったり。そんな活動を地道に続け、今や養老町では、「ひょうたん、やったことあるよ」という子がほとんどというまでになった。
 「ワークなどで初めてみた!とか面白かった!と言ってもらえるとああこれでひょうたんチルドレン増えた!って(笑)。『早期瓢育、英才瓢育』って言ってるんですけど小さい時からとにかく、ひょうたんをネタに遊んでもらいたいです。昔からひょうたんを作っていたお年寄りの方に教えていただいくとか、世代間交流にもなりますし。本来はそうあるべきだと私は思うんですよ」
 丸いフォルムのひょうたんに触れるとみんなが笑顔になる。養老の町がそんな笑顔でいっぱいになることを竹内さんは願っている。

たけうち らん●プロフィール大学進学を機に東京、就職で大阪と地元を離れてくらしていたが、2011年養老町に戻り、まちづくりの活動を始める。13年にまちづくりグループNPO 法人ヨロスト設立。14年養老瓢箪工房エイト8を開業しひょうたんランプ作家として活動。現在工房は休業しているが、また再開したいとウズウズする毎日。


vol.192 ボーダーレス社会をめざして vol.51

NPO法人オープンハウスCAN 理事長 伊藤佐代子

忘れられない人

「伊藤さんに出会えたから、今の僕がある。」とお姉さんに話された1週間後に頭が痛いと緊急入院をし、帰らぬ人となられましたAさん。12,3年ほど前の話です。「障害基礎年金を取りたい」と相談に来られたのがご縁でその後、家事援助に入るまでのお付き合いになりました。家事援助に私が行くと、カーテンを少し開けて私が来るのを待っておられるようなお茶目な方でした。障がいが軽いため一人暮らしをし、ずーっと年金はもらっていらっしゃらなかったようです。
 障害基礎年金は自己申請ですので、申請しない限り頂けません。高齢になり力仕事ができなくなったため、生活が成り立たなくなり、数度、年金申請されたようです。しかし、却下されどうしたらいいのか?と私の所へ。手助けをして下さるきょうだいさんが一人いらっしゃったことが、彼にとって幸せでした。いろいろ年金申請のことをお話しし、その後再申請をし年金が頂けるようになりました。年金は1か月約65、000円。とても喜ばれました。
 障害基礎年金は、誰もが生活ができなくなったからといって申請すればもらえるものではありません。小さい頃、特別支援学級に通っていたなど、障がいがはっきり分からないと年金は頂けません。審査は厳しいです。Aさんにとって、年金は恵みのお金だったに違いありません。ヘルパーとして働き出した私と部屋の掃除をする、布団を干す、洗濯をするなどなど、いろいろな家事を一緒にしました。お料理は、ご飯を冷凍することをご存知なくて、お教えしたり、冬にはお鍋をすると2日くらいはお料理をしなくても食べられますよ等、安くて簡単に栄養を取れる方法を二人で考えていきました。
 ある日、Aさんの部屋を掃除をしていて、「こんなに親身に見てくれるヘルパーさんが息子にもできるといいな。心が通い合う楽しい支援をしてもらえる人に出会えるといいな」と思いました。家事援助とは言え、支援をする側、される側の関係ではなく、ひとりの人と人の出会いです。信頼される人にならなくちゃいけません。現在、Aさんは、無縁墓地に埋葬されています。今でもそのお墓の近くを通った時は、「お元気ですか?」と寄ってきます。亡くなられた時は、どうして○○家の墓というのに入れてもらえないの?と割り切れないものがありましたが、気軽に立ち寄れるお墓でよかったなと最近は思っています。
 10年ひと昔。時代は変わり、お墓事情も変わりました。最先端のお墓の選択だったのかもしれません。Aさんが残して下さった言葉は、私にとっては宝物になっています。


vol.192 ここいく日記 はじめの9歩!

全国夏季セミナーでの発表

一般社団法人 ”人間と性”教育研究協議会主催 「全国夏季セミナー近畿大会in京都」の分科会にて、普通のお母さんたちの集まりの私たち「ここいく」が発表 ?!今回のここいく日記は、「ここいく」のこれまでの軌跡と分科会での発表のことをお伝えします。

今大会のテーマ
いつでも どこでも だれでも 大切にされる性の学び
–あらゆる暴力をのりこえる包括的性教育の希望–

 「包括的性教育」とは?どういう意味かわかりますか?
 性器・セックス、妊娠・出産のことだけでなく、性を通して人との関わり方や相手の立場を考えることも含めた性教育。そして、子ども・若者が自分で考えて決められる力を育むことを目的としています。残念ながら、日本の性教育は遅れていて、この視点での性教育はまだまだこれからという現状です。
 分科会発表の前日に聞いた田代美江子先生のお話は、世界的な性教育の指針を基にした「包括的性教育」について。
 このお話を聞けたことは大きな学びで、私たちがお母さんとして子ども達に届けたい!を原動力に日々悩み考えて積み重ねてきた内容が、まさにこの「包括的性教育」になっていたということに気付きました。最初からそこを目指していた訳ではなかったけれど、現状を見つめ、伝えたいことを選択してきた過程でそこにたどり着いていたのです。
 今まで自分たちがやってきたことは間違ってなかったんだと自信を得ることができ、とても嬉しく思いました。そして、分科会の発表の前日にこの話を聞けたことは奇跡的で、大きな意味があると感じました。

 私たちの授業はお母さん目線で、伝える内容は科学的なことだけではなく、母としての想いを乗せる。それは、子育てを通した生活の中での不安や悩みごと、「うちの子、男の子だけどピンクが好きなのよね。」「行動が他の子と違うのが心配」とか、思春期になり、「異性に興味がでてきた」「体が変化してきている」などを、授業に組み込んでいくこと。伝え方は、言葉や表現方法にこだわり、「子ども達に幸せに生きて欲しい!」「加害者にも被害者にもなって欲しくない!」を軸にマイナスでいやらしいイメージではなく、当たり前のこととして伝える、前向きで明るい性教育です。
 母の想いを乗せることについては、様々な環境で育っている子どもたちがいる中で、「この言葉の使い方はどうなのか?」「親を知らない子どもたちは、母の想いが強いメッセージをどう受け取るのか?」などという問いに、その都度悩み考えて授業を作ってきました。
 これらの過程で、包括的性教育にたどり着いたのであれば、発表では私たちらしい授業にたどり着くまでの道のり 「学びを得て変わってきたこと」、それでも「どう伝えるかを迷っていること」とや、これから「何を大切にしていくのか?」などの想いを発表で伝えるべきだと思いました。
 とにかく楽しそうに発表するメンバーを見て嬉しくなりました。そして、分科会発表に合わせて作成した「ここいく」ソング 「生まれてきてくれてありがとう」の曲に合わせて、私たちの9年間の軌跡を動画にしたスライドショーも発表。

田代先生が講評の中で、『よく勉強していますね。そしてよく話し合っている。親を知らない子が、お母さんたちの想いに触れて「親っていいなぁ~」って思ったという感想、そういうこともあるのね。現場の声を聞きながら変わっていく姿、気付いたら包括的性教育になっていた。これが「包括的性教育」。ここの分科会で良かったわ。』と、言っていただけたことがとても有り難かったです。

ここで得た、学びと気づきと勇気を糧に今後、「ここいく」はもっともっと進化していきます!新しい「ここいく」に期待していて下さいね。

担当:ここいくメンバー・中村 暁子でした。


vol.192 菌ちゃん野菜応援団 vol.13

今年の夏も暑かった!!

刈っても刈っても生えてくる草に野菜が負けないように、毎日畑に通いつめ。

それでもあの勢いは半端なかった。。。

そんなエネルギー満タンの草を堆肥にした畑からは子どもの背より大きく伸びたズッキーニ、3日に1度大量にとれるししとう、真っ赤に色づいたトマトやピカピカのなす、キュウリ、おくら等夏の恵みをたくさんたくさんいただきました。

みんなで収穫したり、バーベキューをしたりして多くの方に畑に親しんでもらえたなと思ってます。

「野菜がこんなにも身体に染み渡るって初めて知ったよー」という嬉しい声も。

「俺はあとからでいいからさ、子どもんたに先にわけたって」なんて言いながらずっと火の番をしてくれた小学生の男の子も。

畑仕事はキツいときもあるけれど、こんなドラマが垣間見れるからやめられない。

これからは冬野菜の植え付けに入ります。

今年の冬はどんなドラマが見られるかな。

菌ちゃん野菜応援団とは…
菌ちゃんとは、土の中にいる土壌微生物のこと。土に混ぜた生ごみを菌ちゃんが分解し、発酵熱で土がおふろのように温まることに、子どもたちはびっくり。さらに、菌ちゃんがたくさんいる土で育った野菜のおいしさに、またびっくり! 
菌ちゃん野菜応援団は、子どもたちが野菜づくりを通して、目に見えない微生物の存在に気づき、いのちの循環や健康の大切さを感じていくプロセスを体験しています。興味のある方は、東海支部へお問い合わせください。(070-2626-6675各務)


vol.192 未来に続く暮しの学びPrt-34

野生動物とともに暮らす

 私たちのすんでいるところでは、野生動物をよく見かけます。春は、動物たちも活発に活動する時期。とくに冬眠していた動物たち、この辺ではとくに蛇がよく顔を出し始めます。

 トカゲの一種のウォータードラゴンは、ベランダにあるソファーの下に住んでいて、よく日向ぼっこをしています。
イグアナは、レースモニターという種類で、木のぼりもします。先住民族のアボリジニのおはなしでは、イグアナは女性性を表していて、クリエーションストーリーの重要な動物の一つなのだそうです。
 ワラビーはちいさいカンガルーで、よくうちの畑で出くわ

し、お互いに「あっ」とういう感じです。収穫しにいくとよく葉っぱをムシャムシャ。かわいいんだけど、「畑の野菜はたべすぎないでよっ」と言いたいところ。
 カモノハシは、さすがオーストラリアという感じですが、とってもシャイでたまーにしか川で見かけません。
 オポッサムは、そこらじゅうにいて、夜にはよく喧嘩している声を聞きますが、昼間の寝ている姿は、やっぱりかわいいですね。
 ハリネズミは、夜中にごそごそっという音がきこえると大抵は地面を鼻でこすって昆虫を探しています。
 あとはなんといっても、コアラ!すごくたまーに敷地内で見かけますが、実は先週出くわしました。まったく私たちを怖がっている様子はなく、さすがというくらいマイペース。ユウカリの葉を求めて、地面を歩いていました。

 野生動物の存在が身近に感じられる生活は、もともとは動物が住んでいた土地を人間が勝手に土地開発をして、彼らの生息地に、私たちは住まわせてもらっているんだなという思いにさせられます。この土地に、木々も、草も、彼らにとっても大切な住処であり、食物です。人間ばかりの都合でことを決めすぎず、動物たちに対しての配慮をこころ掛けて土地の管理をしようと思います。し、お互いに「あっ」とういう感じです。収穫しにいくとよく葉っぱをムシャムシャ。かわいいんだけど、「畑の野菜はたべすぎないでよっ」と言いたいところ。
 カモノハシは、さすがオーストラリアという感じですが、とってもシャイでたまーにしか川で見かけません。
 オポッサムは、そこらじゅうにいて、夜にはよく喧嘩している声を聞きますが、昼間の寝ている姿は、やっぱりかわいいですね。
 ハリネズミは、夜中にごそごそっという音がきこえると大抵は地面を鼻でこすって昆虫を探しています。
 あとはなんといっても、コアラ!すごくたまーに敷地内で見かけますが、実は先週出くわしました。まったく私たちを怖がっている様子はなく、さすがというくらいマイペース。ユウカリの葉を求めて、地面を歩いていました。


vol.192 夢か悪夢かリニアが通る!vol.21

ウラン、掘り出していた

「リニア実験線の車両から出火 作業員3人重軽傷」。10月7日、産経新聞のネットニュースが、山梨県都留市の山梨リニア実験線車両基地で、車両点検中に機械から出火して作業員の衣服に燃え移り、3人が重軽傷を負ったことを伝えました。報道によると、JR東海は当初、「公表するかどうか未定」と答えていたといいます。記事中には、1991年に宮崎県のリニア宮崎実験線で、タイヤのパンクが原因で車両が全焼する事故が起きたことにも触れています。リニアの約9割は地下トンネルです。南アルプスの地中約1400メートルの深さで火災が起きたらどうなるのか。明確な答えをJR東海から聞いたことはありません。       井澤宏明・ジャーナリスト

基準値に迫る「ラドン」

ウランが掘り出された南垣外非常口の工事現場。

 「リニア残土微量ウラン JR東海公表せず」。「しんぶん赤旗」1面をこんな記事が飾ったのは8月5日のこと。岐阜県瑞浪市のリニア中央新幹線「日吉トンネル建設工事」で掘り出した残土から、放射性物質ウランが検出されていたことが、岐阜県に情報公開請求して入手した資料から判明した、と伝えたものです。
 この地域には、「国内最大の埋蔵量」といわれるウラン鉱床群があります。ウランを掘り出したり、ウラン残土から気体のラドンが染み出たりする危険性は、着工前から指摘されていましたし、この連載でも伝えてきました。
 これに対しJR東海は「ルートはウラン鉱床を回避している」「ウラン鉱床のようなウラン濃度が高い土を掘削する可能性は低い」と反論してきました。
 岐阜県に問い合わせると、JR東海が昨年6月と今年6月に公表した「環境調査の結果」に、ウランやラドンの検出を示すデータが既に記載されていたことが分かりました。これによると、ウランは昨年2月から7月に検出され、最大値は6月の1グラムあたり13・0マイクログラム。JR東海が「管理基準値」とした1グラムあたり77マイクログラムを下回っていました。
 一方、掘削口となっている「南垣外非常口」の工事ヤード敷地境界で測定したラドン濃度は、自然状態からの増加分が1立方メートルあたり最大15・6ベクレルと、JR東海が「管理基準値」とした1立方メートルあたり20ベクレルに迫っていました。この管理基準値は、その空気を1年間吸い続けると、1ミリシーベルトの被ばくになる濃度です。
 非常口近くの住民によると、JR東海からは定期的に説明を受けていますが、「管理基準値内です」という説明しかなかったといいます。
 「『避難が必要なら知らせてほしい』とJR東海には伝えてある。測定した時間以外にはもっと高い濃度だったかもしれず、知らせてほしかった」と話しています。
 元京都大学原子炉実験所助教の小出裕章さんは「ラドン被害で明確に分かっているのは肺がん。基準値以下でも肺がんになる可能性は高まるので、JR東海は『基準値を超えないからいい』とするのではなく、できるだけ少なくする努力が必要だし、常に住民に知らせるべきだ」と警告しています。

集落を貫く巨大なベルトコンベヤー。初めて訪れた人の中には、「リニアは完成してるんですね」と勘違いする人もいるという。

御嵩に「恒久処分場」計画

 リニアドンネル掘削を巡っては、JR東海が岐阜県御嵩町に対して、重金属が含まれる恐れがある残土の恒久処分場を設けることを打診していると、10月7日の朝日新聞、8日の中日新聞が報じています。
 報道によると、同町美佐野のトンネル工事で出る約90万立方メートルの残土のうち、約40万立方メートルを旧ゴルフ場予定地に、残り約50万立方メートルを隣接する町有地に埋め立てる計画だといいます。
 岐阜県東部には、カドミウムやヒ素などの重金属が含まれる地質帯があります。隣の可児市で行われていた東海環状自動車道建設工事で2003 年、掘り出された残土に含まれる黄鉄鉱で水質汚染が発生し、魚が大量死、稲作も出来なくなる被害が起きたことは、この連載でお伝えした通りです。
 御嵩町は1997年、産業廃棄物処分場の受け入れを巡って全国初の住民投票があり、反対が多数を占めた歴史がある土地。町民の一人は「埋め立て予定地は、農業用水を引いている可児川の上流で、汚染されたら大変。町外のリニア工事で出た汚染土が搬入される可能性もある」と、危機感を募らせています。



vol.192 新連載・「見たまま・感じたまま」from韓国 

平和について語り合いたいと、各務原市の中学生でつくったPeace of peace。主要メンバーの古川司さんは、2019年秋から韓国へ語学留学した。日韓関係が危ぶまれている状況の中で彼の「見たまま・感じたままリポート」を韓国からお届けします。

韓国は朝鮮半島の南半分に位置する東アジアの国で、非常に厳しい軍事境界線が北朝鮮との間にあります。韓国はまた、桜の木や数百年前に建てられた仏教寺院が点在する緑に覆われた丘陵地帯や、海辺の漁村、亜熱帯の島、首都ソウルのようなハイテク都市でも知られています。

 こんにちは。Peace of peaceで活動をしていた古川司です。
 僕はもうすぐ20歳になります。高校卒業後、就職をして働いていましたが、やりたい事が見つかり韓国に語学留学に来ました。現地で僕自身が感じる韓国の事を短い間ですが、連載させて頂きます。

 僕が韓国を選んだ理由は二つあります。一つは語学の習得、二つは報道での韓国とどう違うかを見てみたかったからです。

 韓国に行く前に、日韓の関係が悪化して、日本では韓国のニュースばかりが報道されているかのようでした。ですので、沢山の人が、「今韓国大丈夫なの? 生きて帰って来て!」など心配してくれました。でも 僕は、ニュースだけでなく、SNSや韓国にいる友達を通じて、日本が大好きな韓国人も沢山いて、報道がごく一部だという事も聞いていたので、何も心配しないで韓国へ行きました。
 そして今、韓国へ来て4週間が過ぎようとしています。
 まだ4週間ですが、反日と感じたことは一度もないです。
 ソウルに住んでるので、他の所は分からないですが、良い人もいれば悪い人もいる。道を尋ねたら、親切に教えてくれる。店では下手くそな韓国語でゆっくりと注文したら、笑顔で聞いてくれる。
日本と何も変わらないと感じています。

 報道にある通り、No Japan 、日本嫌い、日本政府反対!の人ももちろんいると思います。そして同時に日本にも、No Korea 、韓国嫌い、ヘイトをする人もいます。何も変わりません。

 韓国で生活していたら、日本の報道を見てきた韓国と違いすぎて、日韓の関係が良くない事など忘れるほどです。(笑)

 そして同時にメディアはなぜあんなにも韓国批判をするのか、韓国 = 悪いという報道の仕方しかできないのか、疑問しかないです。

 今、僕は韓国の語学学校に通っていますが、クラスは皆外国人です。共通語はもちろん韓国語なのですが、みんなまだ下手なので、コミュニケーションが取りづらく、なかなか友達を作れないのが悩みです。

 そして、韓国にはコシウォンっと言って、日本でいう寮みたいなシェアハウスがたくさんあります。僕も今そこにいますが、共同のキッチンはあっても、なかなか自炊ができなくて、毎日安いキンパ(のり巻き) 、ジャージャー麺、カップ麺などを食べる生活で、お金と体が心配です。でも、10月からは家具など全部付いている一人部屋に引っ越しが決まっています。そこでは野菜中心の食生活をしていきたいと思います。そして、短い留学生活なので早く韓国語を習得し、韓国の人たちと対話をして感じたことをお伝えしたいと思います。


vol.192 プレゼントコーナー


1-あなたの「2019年のうちにやっておきたいこと」とは?
 今年も残りあとわずか、今のうちにやりたいことある?


2- 気になるにらめっこ紙面での広告
3- 気に入った記事、気に入らない記事の
 タイトル1つ・その理由もお書きください。
4- ご希望のプレゼント名
(第1希望・第2希望)
 ※ CとDは編集室まで受け取りに来られる方。
5- 本紙をどこで入手されましたか?
6- 氏名、年齢、住所、郵便番号、電話番号、  家族構成

プレゼントご希望の方は

ハガキまたはe-mailで、上記のアンケートを
1〜6までご記入の上、編集部・プレゼント係りまでお送りください。

〆切:11月25日 当日消印有効。(Aをご希望の方は11月15日)

宛先
〒504-0855 各務原市蘇原新栄町2-25
e-mail: info@niramekko.com
※お寄せいただいた個人情報は、本紙プレゼントの発送に限り、 使用させていただきます。
※当選の発表は発送をもって代えさせていただきます。

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A.こころとからだをはぐくむシンポジウムご招待

つくろ!の会様より… 4名様
 

今年度の「各務原市まちづくり活動助成金」を受けて、「つくろ!の会」のお母さんたちが11月26日に、わくわくするイベントを開催しますよ。午前の部と午後の部どちらを希望するか明記してね。詳しくは「こころとからだをはぐくむシンポジウム」で検索してね。

B.CINEX映画招待券

シネックス様より…ペア3組様

映画を観ていると、つい主人公に感情移入。普段の自分にはない思考、行動、感情を味わいます。そんな体験が、他人の心をおもんばかることに繋がる、かも。写真は映画「命みじかし恋せよ乙女」より。
柳ヶ瀬のシネックスでご利用いただけます。

C.本 「定年、そして10万時間」

上鵜瀬 孝志様より…10名様

「人生80歳」の時代、定年退職者を待ち受けるのは、10万時間の途方もない「自由」(40年の勤務年数に相当!)。料理からボランティア活動まで、何をするかは自分次第。 退職後の人生を充実させるコツを、自身も団塊世代の著者が痛快な語り口で紹介しています。本の著者であり、えんぴつカフェスペシャル第4弾講師からのプレゼントです!


D.ゆりかごカレンダー`20

ゆりかご助産院様より…3名様

毎年好評に付き、恒例になっているゆりかごカレンダー。月の満ち欠け、旧暦、満潮・干潮時刻、月出入り時刻などが載っています。ゆりかごさんのロゴマークも可愛らしく、ほっこりさせてくれます。にらめっこ編集室でお受け取りください。(写真は`19年のもの)


vol.191 循環生活を始めよう!

循環生活とは?生ごみを野菜にかえる!?

 私たちの生活の中で一番身近で、実行しやすいのはズバリ!コンポスト生活です。有機物(生ごみ)が堆肥に変わっていくプロセスがたのしい!ふだんは目に見えない微生物、土の変化、野菜の成長や生き物との出会いは、時にはどきっとしたり、ひゃーっと叫んだりするかもしれませんが、土の中の小さな生命活動の見事さに思わず唸り声をあげてしまいます。
 私たちが1日3回の食事で出す生ごみは、栄養がたっぷりでバランスが良く、いい堆肥のもととなります。堆肥を土にまぜて育った野菜は、とってもおいしい。甘みが強くて香りが高いと評判です。誰にでもつくれる理想的なごみのリサイクル方法です。地域資源がごみにならずに堆肥に活用され、庭や畑の土の状態を改善して、豊かな土からおいしい野菜ができる。まさに一石三鳥です。身の回りの有機物(生ごみ・雑草・落ち葉・海藻等)を循環させることで、これまで“やっかいもの”だったものが、宝物に見えてくるかもしれません。

ダンボールコンポストってなに?

 ダンボールコンポストとは、家庭の生ごみをコンポスト基材※に混ぜて分解させ、堆肥を作る道具のことです。生ごみを入れて混ぜるだけで、他には何も加える必要ありません。たとえば4人家族の場合、1日に出る生ごみの量は500グラム程度と言われていますが、2~3カ月毎日生ごみを入れ、その後1ヶ月ほどの熟成期間を経れば、滋養豊かな堆肥ができ上がります。生ごみには約90%も水分があり、焼却するだけでもたくさんの燃料を使うため、大量のエネルギーを消費しています。なにより、栄養がたっぷり含まれているのに焼却処分するなんてもったいない。生ごみを堆肥化し、その堆肥を含んだ土壌でおいしい野菜が育ち、食になる。都会でもできる小さな循環を活用し、生ごみを100%活かせる世の中になれば、それまで不要だった“やっかいもの”は地域の宝物になり得ます。また、これまでのゴミ出し・回収・焼却の負担軽減、二酸化炭素CO2の削減、ごみ袋代も減る、おいしい野菜が育つ、いいことばかりです。ベランダに簡単に設置でき、臭いもほとんどないダンボールコンポストがおすすめです。

 ただし!短所もあります。虫がわく…コトがあるんです。そんな時は、虫たちも生態系のひとつだとひとまず考えて、よく観察をしてみます。彼らは人間に悪さをするわけでもなく、せっせと生ゴミを分解してくれています。だからと言って虫たちウエルカム!にはなれません。そこで、虫たちがコンポストに入らないよう防護策をご紹介します。
❶ ダンボールコンポストを家の中(台所のかたすみとか)に置く。臭いはしないので大丈夫。
❷ コンポストのカバーをぴったりフィットさせる。(着なくなったTシャツを利用)さらに、ゴムバンドなどですき間をなくす。
❸ あれば木酢液とか虫が嫌がるような臭いをスプレーする。

そして、虫が湧いちゃった!となったら
❶ 黒いビニール袋でくるんで3、4日放置。ちょっと残酷ですけどね。抵抗のある方は、そのまんま畑にすき込んでしまう。
❷ 米糠とか、廃油を入れる。そうするとたちまち発酵が進んでその熱で虫たちが息も絶え絶えに。でも、死滅まではいかない。
❸ 虫も菌ちゃん同様、生ごみを分解してくれるので、共存を試みる。 
くれぐれも殺虫剤なんか使わないでね!
コンポストをやって、虫たちも菌ちゃん(微生物)と同じく、有機物(生ごみ)分解の立役者の一員であること。そして私たちも“自然の循環”の中で生きいることに気付きました。

循環生活は やさい → 料理 → たべる のどこがスタートでもOK.生ごみをコンポストに入れ始めたら、生ごみを捨てるのがもったいない!と思えてきます。ただ、「うちはマンションだし、プランターでプチトマトしか作れない」とか「虫がわくならできない!」などの意見もたくさん聞かれます。そんな方に朗報!


コンポストで堆肥ができたらやさいと交換してくれるところがあります。「なんなら、野菜の作り方もお教えしますよ!」とキッパリ宣言してくれたのは、菌ちゃん野菜応援団 東海支部、つくろ!の会代表の各務亜紀さん。つくろ!の会の畑はスーパーサカイ(おがせ街道・蘇原島崎町)のすぐ近くにあります。
 
 地球規模で考えると、大いなる循環の中で生きている私たちですが、身近な暮らしの中にも、そして私たちの体の中でも、(例えば血の巡り、リンパ液の巡りなどの循環が滞ると、健康に影響が出てきます)いい循環を作っていきたいものです。

 今日からあなたも、「循環のあるを暮らし」を、たのしみながら生活に取り入れてみませんか?
 


vol.191 大いなる循環

 地球上の人口が増えて、巨大なビルなど建造物を建てても、地球全体の重量は変わりません。人間も物も、地球上にもともとある物質の形を変えて作られていくからです。
 私たちが暮らすこと全てが自然のバランスに影響を与え、結局は、私たち自身の健康まで影響を与えているということを常に気にかけて暮らすことはとても大事なことです。では普段のくらしの中でどんなことに気を配り暮らしたらいいのでしょうか?

 この「循環」に大いにこだわって活動をしている人たちがいます。一つは、菌ちゃん野菜応援団/東海支部の方たち。本紙18ページに活動レポート掲載中です。にらめっこ編集室でも、循環にこだわって事務所裏の畑で野菜作りをしています。

どんな循環?

 まず、台所から出る生ごみをコンポストに入れて(にらめっこは段ボールコンポスト)堆肥にします。それを畑にすき込んで、野菜を作る。収穫した野菜をいただき、そこから出る野菜くずをまたコンポストに・・・いたってシンプル。
 これだけでも、ゴミの量がグンと減ります。しかも生ごみ堆肥で作られた野菜たちの美味しいこと!例えばニンジン嫌いな子でも、この菌ちゃん野菜なら食べられる!という報告は定番となっているほど。農薬は一切使用しないので安心なのはもちろんですが、「菌ちゃん」たちがとっても元気に生ごみを分解してくれて、そのまま生きて土に潜り込んでくれるから、土がすごくいい状態になリます。普段はあまり意識しないと思うけれど、土と私たちは切っても切れない関係にあります。人は土なくしては生きていけない。土は私たちと密接に関係しています。肥沃な土は豊かな食をもたらしてくれます。そこにも大いなる循環があるのですがその循環を断ち切ってしまう一つの要因は「農薬」「化学肥料」ではないかと思うのです。

ナショナルジオグラフィック5月号では

「トウモロコシや小麦、米など人間が主食にする農作物は、とりわけ多くの窒素を必要とするため、自然が与えてくれる窒素だけでは足りないのだ。
 大気中に大量に含まれる窒素ガスは、巨大な工場で化学反応によって水素ガスと結びつき、植物が利用しやすい窒素化合物に生まれ変わる。こうして生産された窒素肥料が、毎年、世界中で1億トンも使われている。今や、窒素肥料なくして70億人を養うことはできないのだ。現に、私たちの体に含まれる窒素の約半分は、元をたどれば化学肥料に由来している。

窒素肥料漬けになる農家

 1970~90年にかけて、中国では人口が3億人も増えた。農家もそれに合わせてさまざまな手を試みた。南京近郊に住むある農夫は、0.5ヘクタールの農地をなんとか肥沃にしようと、生ごみを堆肥にし、人や家畜の糞尿をまいたという。そうして農地1ヘクタール当たりの米の収穫量は3000キロを超えるほどになった。世界の水準を上回る立派な数字だ。
 だが現在、彼はさらにその倍以上の8100キロを収穫している。農夫が田畑にまく窒素は以前の約5倍に増えた。農地は固形肥料として与えられた尿素で飽和し、窒素の投与量は1ヘクタール当たり590キロに達している。

現れ始めた代償

 だが、窒素を使い過ぎた代償が、環境問題や地球温暖化という形で現れ始めた。田畑にまかれた窒素化合物は、じわじわと周囲に流出し、しばしば環境に悪影響を及ぼす。一部の窒素は、直接河川に流れこむか大気中へと蒸発する。そのほかは、農作物に吸収されて一旦は人間や家畜の体内に取り込まれるが、下水や家畜の糞尿を通して、再び自然界へと循環するのだ。
 近年、中国政府が国内40カ所の湖で実施した調査によると、半数以上の湖が大量の窒素やリンに汚染されていることがわかった。リンを含む肥料は、湖に生息する藻類の異常増殖の元凶とされている。最もよく知られるケースが、中国第3の淡水湖、太湖だ。太湖では有毒なシアノバクテリアが幾度となく異常発生し、2007年には近くの無錫市に暮らす約200万人の生活用水が汚染された。また、中国の沿岸部では現在、「デッドゾーン」と呼ばれる酸欠状態の海域が生じ、魚が窒息死して漁業関係者に打撃を与えている。中国だけでなく世界的にも、窒素肥料の使用は増えこそすれ、減ることはないだろう。」
と述べています。

また農薬問題の第一人者のロメオ・キハノ博士の講演では

 「人間とは生きている地球の一部であり、環境の一部をなしており、切り離すことはできません。ですから環境を破壊するということは人間を破壊することになります。健康な状態というのは現在の医学が定義するようなただ単に病気でないということに留まらず、個々人と環境の間の調和された状態であると定義すべきです。そして病気とはその関係の乱れとなります。


 これらの要素は互いに関係しあいます。ですからどれかひとつを切り離すことはできません。ひとつの要素が阻害されたら他の要素も影響を受けます。遺伝子組み換え作物の導入は人間と環境の関係において生物学的な破壊を与えます。鉱物資源の採掘では大きな物理的な環境破壊につながります。プランテーションや鉱山開発のために、土地から人びとを追い出すことは人びとの社会面や精神的な面でも健康に悪影響を及ぼします。これらすべてが相互に影響します。個別に考えるのではなく、相互につながっていることを指摘したいのです。

世界を覆う農薬

 さまざまな化学物質が環境に導入され環境を破壊しています。中でも農薬が私の懸念事項の中心となっています。私は食の中の毒について語ることを続けています。多くの人たちがこの問題に気がついていないことについて警告を発せざるをえません。まず、農薬が世界で非常に幅広く使われているかということです。農薬に汚染されていない地域は世界にはありません。どんなに離れた村に行っても、農薬は検出されるのです。
 もしここフィリピンで農薬を使えば、たとえばカナダ北部の先住民族の村を汚染します。ですからフィリピンで農薬を使うということはカナダの先住民族の人びとを汚染することになってしまうのです。カナダの氷に囲まれ、農薬など使っていない地域で高いレベルのDDTが検出されるのです。大気の移動によってカナダのようなところにも汚染物質はビザもいりませんから国境を越えて広がります。この農薬がこのような広い地域に広がっているということは驚くべきことです。

生態系に与える影響

 農薬の与える影響は人体に対する悪影響に留まりません。農薬によって生物多様性が失われます。農薬によって昆虫が殺される。それによって生物の生態系が狂ってしまうわけです。トンボ類がいなくなり、土壌の中にいる微生物も殺されてしまうことで、他の農薬がターゲットとしていない生物も死んでしまいます。

精神の破壊=土地の破壊

 霊的という時にはみなさんが信じていること、動機、心理的なものすべてを含みます。特に先住民族の間で、大事な要素となっています。これは科学者や医者ではわからない。でも私は感じることができます。なぜなら、私の祖母は純粋な先住民族でした。ですから私は実際、先住民族でもあります。先住民族にとって、この霊的なものを感じることはとても大事なことなのです。そして、それは先祖から受け継いでいる土地と結びついています。
 この土地を破壊することは、この人たちの霊的なもの、精神的なものを破壊することになるわけです。これは破壊される側だけでなく、破壊する側の人たちの精神も破壊していると思います。傲慢で無関心で鈍感な彼らの行動そのもの、これは精神が破壊されているということの兆候だと思います。」
と述べています。
(ATJ ひとからひとへ 手から手へ)では、農薬と健康被害について述べています。(一部抜粋)


vol.191 続・ゲノム編集

前号で特集した「ゲノム編集」は大きな反響を呼びました。
新聞でも相次いで取り上げられ、その安全性が問われています。河田昌東さんは「食」や「環境」の安全を脅かすのではと危惧されています。また、cas9を発見したカルフォルニア大学のジェニファー・ダウトナーさんは開発した瞬間に「これは核兵器と一緒だと思った。
いいことばかりではない。化学者だけでは決められない。社会一般の人も含めて、この技術をどうするのか決めて欲しい。国際的に共有し基準を作成したい」と述べたそうです。私たちも引き続き、関心を持ちできることからアクションを起こしたいと思います。その一つとして、署名があります。右のページをコピーして拡散お願いします。

ゲノム編集食品とは? なにが問題?

Q.ゲノム編集って何?

 ゲノムとは、すべての DNA のことをいいます。DNA にはすべての遺伝子がありますから、すべての 遺伝子といってもいいと思います。ヒトゲノムというと人間の遺伝子全体を指します。そのゲノムを自 由自在に編集できることから「ゲノム編集」と名付けられました。

Q.ゲノム編集で何ができるの?

 ゲノム編集は、基本は目的とする遺伝子の働きを壊す技 術です。生命体はバランスや調和で成り立っています。体 を大きくする遺伝子がある一方で、あまり大きくなり過ぎ ないように抑制する遺伝子があります。大きくする遺伝子 を壊すと、小さいままの動物が誕生しますが、中国ではす でにマイクロ豚がペットとして販売されています。逆に抑制する遺伝子を壊すと、成長が早く肉の多い 魚や家畜が誕生します。これもすでに市場化が間近な状態にあります。

Q.どのようにして遺伝子を壊すの?

 ゲノム編集では、「CRISPR-Cas9(クリスパー・キャス・ナイン)」と呼ばれる手段が使われます。 これは壊す遺伝子への案内役であるガイド RNA と、DNA を切断して遺伝子を壊すハサミの役割を果た す制限酵素が組み合わさったものです。この仕組みを利用すると簡単に目的の遺伝子を壊せます。ゲノ ム編集では壊した遺伝子の代わりに新たな遺伝子を挿入することも可能です。ネズミの皮膚の遺伝子を 壊し、人間の皮膚を作る遺伝子を挿入すれば、正確な組み換えが可能になります。

Q.ゲノム編集の問題点とは?

 ゲノム編集技術は DNA を切断するという粗っぽい方法で、生命体の最も大事な遺伝子を壊します。 壊してよい遺伝子などありません。生命の操作が拡大しています。このままでは自然の調和が壊れてし まいます。さらに遺伝子を壊した際に、目的外の遺伝子を壊す「オフターゲット」が必ず起きます。そ れが重要な遺伝子を壊せば、その生命体にとって大きな影響が出るだけでなく、環境や食の安全にも影 響してきます。さらにはゲノム編集した細胞と通常の細胞が入り乱れる「モザイク」も起きます。これ も環境や食の安全に影響が出かねない問題です。とても安全とは言えない技術です。

 米国では、2015 年から除草剤耐性ナタネが、2018 年からは高オレイン酸大豆が栽培・収穫さ れ、流通を始めました。他にもさまざまなゲノム編集作物の研究・開発が進んでいます。このまま では、ゲノム編集技術を応用した作物や家畜が私たちの食卓に登場することになりそうです。

だから私たちはゲノム操作食品に反対します。
ぜひみなさんも声をあげ、署名にご協力ください。

遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン
特定非営利活動法人 日本消費者連盟                         署名を集めた用紙は下記の住所にお送りください。

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vol.191 ママがほっとする子育てアドバイス

 一番大事なのは親子関係だと私は思っています。取り替えがきかない。だけど、親子だけで関係を良くするのはなかなか難しい。カリカリしているお母さんに、「あなたのお子さん元気でいいじゃない。心育ってるわよ」と言うと、お母さんの肩の荷が下りることがたくさんあるんじゃないかな。親子の間に他人が入って風を通してあげることが大事です。

 同じ親のDNAを引き継いで産まれても、同じような教育を受けたからといっても、同じように育つわけではない。10年間保育の現場で勉強してきましたが、結論を言えば、この世に正しいものなんてない、ということ。

時代や国によって大きく変わる子育て事情

時代によっても子育て事情はずいぶん変わって来ています。
40、50年くらい前は赤ちゃんが産まれたら産湯で体を拭っていました。今はお湯につけると赤ちゃんの体温が一気に下がるから良くないとされて、産まれた赤ちゃんを布で拭っています。また、ミルクの方が栄養バランスいいと、母乳が出てもミルクを買った時代。今は母乳が一番、何かの事情でミルクで育てていると、「母乳じゃないのね」という視線だけで心痛めている人がいるくらい。それから、赤ちゃんは泣くのが仕事、すぐに抱くと抱きくせがつくと言われた。今は泣いたら何かのサインだから抱いてあげましょうって。こんなふうに180度違う考えが変わっています。

 国によっても考え方は違います。うちの園はお昼ごはんはお弁当。ドイツ人の子が入園してきました。お弁当箱の一段目ごはんだけ、2段目パプリカだけ、でおしまい。他の日、一段目ごはんだけ、2段目キュウリだけ。お母さんの集まりがあった日のお母さんのお弁当はなんとごはんとスイカだけ。
 日本ではバランスよく、子どもに良かれという気持ちがすごく強いから、朝から一生懸命お弁当を作る。ある時2才の子のお母さんが、「この子が痩せてるのでいつも7品目は作ってお弁当に入れてるのに、食べないんです。どうしたらいいですか?」って聞かれた。親は頑張れば頑張るほど、子どもが受け取ってくれないと「あなたのためにやっているのになんで食べないの」となる。「病気がちで何か栄養補給が必要ならともかく、この子元気だし顔色もいいから大丈夫よ」って答えます。生きていくために必要な物を食べるというのは動物の本能。食が細い子は細いなりにそれで足りてると私は思う。

 それからみんな専門家に弱い。例えば、指しゃぶり。横浜市では1才半検診の時に歯医者さんから「指しゃぶりしていると歯並びに影響して出っ歯になりますよ。永久歯に影響もするしやめさせた方がいい」って言われる。「それは大変だ」と大体のお母さんはやめさせようとする。2、3才の子を前に「指をしゃぶっていたら出っ歯になっちゃうよ」と話しても幼児は出っ歯を理解できません。言葉を聞いて、納得して更に理解して自分をコントロールする能力っていうのは5才以上にやっと芽生えてくる。


 少し前の精神科医は、指しゃぶりをする子を「あ、お母さんこれは愛情不足」って、わけのわからないことは大体愛情不足かストレスでしょうって言う。それが一番刺さりますね、親としては。毎日怒濤の日々を過ごしているわけで、愛情不足って言われてたら100%の人に心当たりがあるよ。ところが、今時の精神療法ではね、「とりあえず指しゃぶりで安心出来るんだからムリにやめさせなくてもいいでしょう」って。欧米では5、6才になってもしてる子多いですよね。あれをしているから鼻呼吸がうまいんだって。
 専門家はどんどん細かい専門分野でよりベストのことを公表しているのかもしれない。でもあなたとあなたの子どもを実際に見てアドバイスをくれている訳じゃない。

その子の育ちをよろこんで

 今はデータが多すぎ。何才では何々ができるはずと平均値の物差しでわが子を測る。すると早い、普通、遅いという評価がうまれる。赤ちゃんの時には自己肯定感120%だったはずなのに、2、3才になるともう評価が始まって、そこから自己肯定感はどんどん崩されていく。たとえば、平均1才で歩くと言われているけど10ヶ月で歩く子も2才過ぎで歩く子もいます。4才でしゃべらないって連れて来られた子なんて山ほどいます。でもみんな何事もなく話すようになっていく。私は、ステップアップしていくには何かの必然性があるんじゃないかと思っています。発達が早い人は喜んでもらえるからいいのですが、ここで一番大事なのは、発達が遅い子です。まだかしら、まだかしら…心配されて待って待って、やっと歩いた時には喜びじゃなく安堵なんです。子どもは自分が出来なかった事が出来るようになっていくのが成長していくということです。1つ1つできることを親御さんや周囲の人に喜んでもらって育つのと、まだできない?と心配と不安を抱えられて育つ子とでは、子どもの気持ちが一番違う。「ありのままの僕じゃ私じゃいけないんだね」「もっとちゃんと早くなくちゃいけないんだね」っていう気持ちを持ってしまう事になる。マイナスの部分をとりあげて、どうにかしなくちゃって思ってる親がすごく多い。その子が人より劣っているところ、そこばっかりを見て子育てしていると、子どもは苦しいです。
 

 2、3才のイヤイヤ期は自分中心に地球が回っている。この時はわがままでプライドが高い。でもこれから続く一生の「自分は大事」「私は私を軸にします」という大きな根っこを張っている時期です。だからイヤイヤ期はないよりあった方がいいと思います。4才5才になってからという子もいますけどね。だからその時はしょうがない。「嫌だって言わないの!」って上から押しつけるんじゃなくて、「はいはい、嫌でしたね、どうもどうも」とね。じゃあこれとこれ、どっちにします?って選択権を与えると納得することが多いです。子どもの摩訶不思議な現象をどうにかしようと思うよりも、それをどうくぐっていくか、そこには親の工夫しかないと思います。
 4才くらいになると言葉を使って思考するようになる。だから言葉が大事になってくるわけです。でも4才くらいだと想像と現実が混沌としているから嘘だか本当だかよくわからない。5才になるとそこに思考が入る。だから理屈っぽくなるのよ。

 親のポイントとしては、何度言ってもやめないことは「何かの足しになるかしら?」とあきらめましょう。何度言ってもできないことは、未発達でできないことが多いわけですから。「鼻をかむことをどう教えたらいいですか?」2才では一気に鼻から息を出すということはできないんです、未発達で。だからちょっとやって「あ、できないんだ」と思ったら、まだ未発達でできないんだ。とあきらめる。
 子育てのポイントはあきらめです。そしてわが子を命に関わるような危険からは守って、「うちの子はゆっくりだから大器晩成だわ、きっと」って、ありのままの子どもでよしとして欲しいですね。一気には育たない、だんだん育っていく。そして、あなたがどれだけ頑張っても頑張らなくても、お宅の子はお宅の子くらいには育ちます。高い望みは親も子も苦しいです。目標は低ければ低い程いいと私は思っています。  (文責・にらめっこ)
        7/15 各務原市子育て支援課主催 講演会より

しばたあいこ●プロフィール りんごの木代表。保育者。1948年東京生まれ。1982年自らの目指す幼児教育を求めて仲間3人で「りんごの木」を創設。保育のかたわら保育雑誌や育児雑誌などに寄稿、小学校や幼稚園、子育て支援広場など様々な場所で講演。「子どもの心により添う」を基本姿勢とし、子どもとあそび、子どもたちが生み出すさまざまなドラマをおとなに伝えることで、子どもとおとなの気持ちのいい関係づくりをしたいと願っている。
<主な著書>「今日からしつけをやめてみた」「それって保育の常識ですか」「こどものみかた」「けんかのきもち」「ともだちがほしいの」他多数


vol.191 しょうがいをみつめる vol.2

 初めて就職したのは静岡県の小学校の特別支援学級でした。担当したのは重複障害(肢体不自由、知的・情緒障害)クラス。そこで出会ったのが9歳まで発語がないと言われていたT君です。
 T君のお母さんはT君が入学する前、教育機関に「お子さんは特別支援学校へ通う障害の度合いです。普通小学校はおすすめできません。」と言われ、レッテルを貼られたような悲しい思いをしたそうです。きっと、悲しい思いをしたなんて一言で表現できるようなものではなかったでしょうが、私が出会った時は辛さを吹き飛ばすように明るく話してくださいました。
 小学校の特別支援学級では、まず一年の国語、算数など教科のカリキュラムを作ります。発語なし、絵本は数分も見ていられない、鉛筆は持てない子の国語や算数。何をすればいいのか大学の授業では教わりません。
 まずは、学校教育に対する本人のニーズや親のニーズを聞きました。何ができる様にしていきたいのか、将来望む姿など。お母さんは仰いました、「この子は私が死ぬ時に一緒に連れていくので大丈夫です。せめて楽しく通えれば。」22歳の私に言えたのは「ダメです…お母さん。」だけでした。

 カリキュラムを作る過程で、校内の特別支援コーディネーターなどと話し合い、今のT君には『マカトン法』が有効ではないかという意見がありました。マカトンとは、手話よりも簡単なハンドサインで、これから言語を獲得する人に適したサインです。ベビーサインにも似ています。
 実際にマカトンを使うまでには、何度も何度も繰り返しが必要で、もう辞めたいと思うこともありました。でも少しずつ生活の中で活用できるようになってきました。例えば、今までは欲しいものがあった時、無理矢理にでも勝手に相手から奪う様にとったり、相手を引っ掻いたりしていましたが、「ちょうだい」のサインをしたり、不明瞭であるけれど言葉を発する様になりました。
 続けて、「おいしい」「もっと」「そっと」「おしまい」「一緒に」と、生活の場面でいつも使えるわけではありませんが、使えることが増えました。また、私とだけ使っていたマカトンが、友達との関わりでも使うことが起きました。自然とサインが出て、これには私も驚きました。

 T君との日々から、言葉を発していない子どもにも内言語があり意志疎通ができること、内言語を伝える方法を知れば言葉によるコミュニケーションがとれることを確信しました。
 この可能性を感じるT君との出会いは、私の可能性をも広げてくれました。
 T君と出会った後も様々な子どもたちに出会いました。T君と出会ったことで、目の前の子どもが何をしたいと主張するのかに意識を向け、どのようなコミュニケーション手段があるか考えます。
 「この子と意志疎通ができる」という前提で接することで、子どものコミュニケーション能力が伸びていくのを肌で感じています。これは障害のある子どもだけでなく、まだしゃべれない乳幼児の子育てや障害のない子どもとの関わりでも一緒です。大人が子どもの力を信じて見守るだけで、子どもは能力をぐーんと発揮していきます。これは、発語がないと言われていたT君から教えてもらったことです。


vol.191  niramekko Gallery 「砂漠」

たはたともか:高校進学をまぢかに控えて、学業も頑張ってます。小さな子の面倒をよく見てくれます。内面に秘めた複雑な思いが時々「表現」として現れます。いつも笑顔でいることが、彼女のバリアなのか…。思春期を陽気に過ごそうとしているのは彼女の強さ、優しさなのだと思う。


vol.191 えんぴつ・カフェ

えんぴつカフェ

9月6日(金)・11月2日(土)・2020年3月7日(土)         14:00~16:00 各務原市産業文化センター2階 第1会議室(予定)      ★みんなでワイワイおしゃべりしながら、「ゼロの昇天」の書き込みを中心に。お茶とお菓子付き。                     (会場の都合により日程に変更が生じる場合があります。参加の際は必ずお電話にてご確認ください。)

10月20日は生演奏をバックにみんなで歌おう!

スペシャル第4弾は「定年後の10万時間」

2020年1月19日(日)講演会「定年後の10 万時間、あなたはどう生きる?」著者:上鵜瀬 孝志氏講演会といきいきシニアのシンポジウム。
著者の講演後、人生これから!を実践しているシニアに登壇してもらい、講師と対談をします。

「人生これからNOTE」えんぴつカフェスペシャルの参加者全員に進呈! ・薬膳料理のレシピ・ゆる体操のメニュー・歌うは脳活!・定年後の10万時間をどう過ごす?etc …など「えんぴつカフェ・スペシャル」をまとめた暮らしのヒント集。

申込・問い合わせ
NPO「人生これから!」
090-5638-7044(田辺)
090-7854-4561(三上)



vol.191 熱中世代 臼田 幸夫さん

自然は学びの宝庫!
子どもには実体験の積み重ねが大事なんだと思う。

ふどうの森トレイルラン大会実行委員長  臼田幸夫さん(関市下迫間)

 「子どもが気になるんよ。登校時にあいさつしても誰も返事しない。まぁこんな強面の顔してっから?学校で見知らぬ人から声をかけられても返事をしないっていうのが徹底されているのもあるんだろうけど、自分は地元の人間なんだけどなぁ。それでも、近所の大人として、子ども達のいく末が心配でたまらないんだ。」と話すのは、おしゃる通りの強面のおじさん。
 この集落には66軒230人が住む。昔ながらの田んぼや畑を守り、迫間不動を守り、多賀の霊水を守ってきた。迫間川をはさみ点在する集落は関市の南に位置する。山あり、川あり、お不動さんがありと自然環境に恵まれた地区。その環境を最大限に生かした「トレイルランニング大会」が2017年から行われている。来年2月に行われるのが第4回となる。臼田さんが発起人であり、トレラン協会を立ち上げその代表をつとめる。
 若い頃は会社のサッカー部に所属し、休暇には山登り。実は北アルプスに近いところに移住しようかと密かに思っていたほどの山好きだった。それが、トレランを知ってすっかり魅了された。
 「次回は是が非でもキッズトレランをやりたいんだ。なんていうか、子ども達にはリアルな体験が本当に必要だと思うんだよね。今の子はさ、禁止事項が多くてさ、なかなかチャレンジできなんじゃないかなって思ってんの。危ないから、なんかあったら誰が責任を取るのか、とか、おとなも腰が引けてるよね。実は昨年ね、田原小学校の校長先生に頼まれて、3年生の児童の体験学習で迫間不動の山登りをさせたいから協力してもらえないかって、依頼があったんだよ。よっしゃ!チャンスやって思いましたね。そのためには、トレラン協会の会員に声をかけボランティアで付き添いをお願いしました。子ども55人に対して大人35人。落伍者が出ないよう、安全には万全を期しました。その時ね、一人の男の子が『怖い、歩くのやだーっ』って、ずっと泣いてたんだよね。自分はその時膝を痛めてたんだけど、ここは踏ん張りどころって思って、その子をずっとおんぶして登ったんです。いろんなことを話しながらね。途中の休憩ポイントで下ろそうとしたんだけど、それでも『やだーって』。そっか、まだ怖いのか、ならもうしばらくおんぶかなと覚悟を決めてたら、歩くと言い出した。そんでそこからは彼が先頭を歩いたんです。もちろんゆっくりとね。で、ゴールですよ。もういい顔してましたね。登っている最中はあんまり泣くのでもう帰そうか、と一瞬思ったけど、ここで帰したら彼には何にも残らないような気がしてね。どんなことがあっても、ゴールにつくことが大事って。それが達成感になると思ってましたから、彼の笑顔に救われましたよ」と豪快に笑う。
 熱い想いがズンと伝わってきた。損得勘定のない本気さが伝わってきた。今では、小学生も中学生も、臼田さんのあいさつにはちゃんとあいさつを返すという。来年の2月までは本業をあげてトレランの準備に余念がない臼田さん。キッズトレラン、実現まであと一息。臼田さん、頑張って!

2020年2月16日    

出発場所 ■大雲寺 岐阜県関市迫間1184 TEL0575-24-3354

ダブルコース44km/ロングコース22.2km:一般男子/女子(18歳以上)スタート8:30
キッズコース3km:小学生以下
スタート9:00
給水 4ヶ所(ロング)、1ヶ所(ショート)
サービス 受付地点にて、おにぎり、おしるこ、鍋など 【抽選会】あり
詳しくは ◆一般財団法人関市体育協会 TEL0575-23-8525

2020年2月 トレランのコース(ロング)  http://sportsentry.ne.jp


vol.191 ボーダーレス社会をめざして vol.50

NPO法人オープンハウスCAN 理事長 伊藤佐代子

明日

 障がいのある息子を持つ私が胃ガンを患ってから7年が経ちました。障がいのある子を持っているから、心配で死んでも死にきれないというような思いは全然ありませんでした。そこそこ準備ができつつあったからかもしれません。
 最近は2人に1人がガンになると言われます。最初の頃は、朝起きて「生きてる!」と毎日思い、感謝の日々でした。明日があるということは、希望がある証拠です。元気がない頃は、明日が見えませんでした。生きているかどうか分からなかったから何カ月後の約束はできませんでした。今は2カ月後くらいの約束はできるようになりました。手術後5年間は修行僧のように、玄米菜食に近い食事を続けていました。酵素玄米(寝かせ玄米)を作り、無農薬の野菜、調味料は本物を使い料理をし、たくさんの野菜と白身魚を食べる生活をしていました。勝手に自分で知り得た情報(肉類はだめと考えていた)のみで暮らしていました。  しかし、信じる者は救われるものです。腫瘍マーカーという数値はどんどん下がり、お医者さんもびっくりでした。半年に一回検査を受け、5年間経過を見て、何も出なければOK。5年が経ち、「卒業です」と言われ、喜んでの帰り道、不思議な感覚を味わいました。
 岐阜駅のあたりを歩いていて、「私の周りを歩いている人と私は同じになったんだ」と思ったのです。もう好きなように食べていいのだ。ピザを食べよう!坦々麺を食べよう!あれもこれも・・・。と思いましたが、そうはできませんでした。5年間、添加物の少ない生活をしていたため、変な?ものが入っている食事をすると、下痢や吐き気をもよおすようになってしまっていました。これはいけない!災害にあった時に何も食べられなくて困ると思い、私の体に刺激がなさそうなお弁当や外食のメニューを選び食べ、変な抵抗力のある体を作っているところです。今の私の舌には、外で食べるサンドイッチは塩気が多い、お弁当も濃い味が多いように感じます。しかし、周りの人は平気でそれを食べています。
 この違いをどう考えたらいいのか?人の体は食べた物からできているという当たり前のことを、5年間の体験から知りました。半年に1回ある検査は人体実験をしていたようなものでしたから。これを食べたら白血球の数値が上がるなど、ネットで仕入れた知識?を試行錯誤した5年間でした。現在、私がしている食生活が正しいとは思いませんが、自分で調理し、楽しく食べることが一番体にいいのだと思っています。食事をおろそかにしないことが、その人の明日という未来を築くと考えています。


vol.191 ここいく日記 はじめの8歩!

自分が大好き!

 私たち「ここいく」メンバーが「性教育=生教育」に出逢い、子どもたちに、「うまれてきてくれてありがとう」そして、「ありのままのあなたでいいよ」を伝えたくて始めた「いのちの授業」。心に響く授業を!と、出逢いを大切にしながら深化させてきた9年目の今年。「多文化共生コミュニティ いきる」の乳幼児のいるお母さんたちが、各務原市のまちづくり活動助成金事業に申請し、私たちの年齢別いのちの授業を企画してくれました。
 中学生の妊娠、学校のトイレで産んだ高校生、誰にも相談できず自宅で産んで道に捨てるしかできなかった子、性的ないじめを受け、自らいのちを断ってしまった子・・・目をそむけたくなるような悲しいニュースがあふれる今、子どもたちに、「あなたは愛されて生まれた、かけがえのないひとりなんだよ、自分をもっと好きになって大切にしてほしい、そして何かあったとき、寄り添いたいと思っている大人が近くにいるよ」と伝えたいと、熱い想いで企画してくれた事業です。
 今回、高2の息子に声をかけたら、「いのちの授業?行くわけないやん、花火に行くわ!」と即答。でも諦めずに、彼女と一緒に受けてほしいなぁと口説いていたら、数日後「行ってもいいよ」との返事。少し前に付き合い始めた彼女と、とても幸せそうに過ごしている息子と3人で参加できることになりました。
高校生対象授業の当日、導入は「月経中にSEXしたら妊娠しない?」「精子は冷えに弱い?」などの体の仕組みの〇×クイズ!それぞれ札を挙げて答えていきます(ちなみにどちらも×です)。意外と勘違いしている体のこと。答えを聞くと、へぇ~、そうなんだ!と心が動いているのが伝わってきます。


 そして妊娠、避妊、性感染症についての話。いつの日かパパ、ママになりたいと思った時に、願いが叶えられるように、そして望まない妊娠を防ぐために正しい知識を伝えます。性感染症については、参加者全員がいろんな色の紙片が入ったコップを持ち、全員が3人の人とコミュニケーションしながら中身を半分ずつ交換していくゲームを実践。実はこの交換という行為がSEXです。最初に赤い紙の入ったコップを持っていた人が性感染症に罹っていたという前提。最終的に赤い紙が入っていなかった人は12人中1人という結果!感染するリスクを実感しました。
また、多様な価値観や考え方があっていいこと。それは性でも同様で、LGBTの人が特別ではなく、左利きやAB型と同じように、当たり前のこととしての理解される必要があることを教わりました。また「愛」は、「相」や「合」という字の意味も兼ね備えていること。相手を思いやり、話し合い、ふれ合い、助け合い、励まし合い、認め合い・・・対等な関係を築いていくことの大切さを教わります。学生はNOセックスが一番の避妊方法だということも伝えられ、自分を守り相手を大切にするために、自分でよく考え行動を決めていくことの大切さに共感しました。
 そして、いのちが誕生する神秘的な映像や実際の出産のビデオを見たり、「大切なあなたへ」の朗読を聞いたりする中で、「うまれてきてくれてありがとう」という奇跡的で一番大切なことに思い返らせてもらい、感動で思わず涙する参加した大人たち。そんな大人の姿に触れた子どもたちに、愛されてうまれてきたこと、大切な存在であることが伝わる、かけがえのない時間になっていたら嬉しいです。
 日本では、性を語ることがタブーとなっていて、学校ではなかなか知ることができない現実。私たち親も、きちんと習っていないから、子どもに伝えられない。子どもも大人も幸せに生き、いのち輝かせていけるよう、この授業をすべての人に届けていきたいと思った瞬間でした!
最後に、授業を受けた息子の感想を紹介します。「おれ大事☆」             担当:ここいくメンバー・長縄恵実でした。


vol.191 自主上映会 タイマグラばあちゃん

プロデューサー: 伊勢真一・菅原淳一
監督:澄川嘉彦(すみかわよしひこ)
撮影:太田信明ほか
音響構成:米山靖
音楽:三上憲夫
語り:小室等

【あらすじ】
 岩手県のほぼ真ん中にある早池峰山(はやちねさん)の麓に「タイマグラ」と呼ばれる小さな開拓地がある。戦後10軒あまりの農家が入植したが、東京オリピックの頃にはほとんどの家が山を去り、向田(むかいだ)久米蔵・マサヨさんの二人だけとなった。
 それから20年あまり後の昭和63年、畑仕事にいそしむ向田さん夫婦の静かな暮らしに二つの事件があった。ひとつは夏に久しぶりのお隣さんができたこと。大阪出身の若者(奥畑充幸さん)が開拓農家の残した空き家を借りて住み始めたのである。もうひとつは、年の瀬になってタイマグラに電気がひかれたこと。昭和の最後に灯った明かりであった。
 自分が畑で育てた大豆を使っての豆腐作り、「お農神さま」への信仰、春一番の味噌作り 土に生きる素朴な暮らしぶりにかわりはないが、マサヨばあちゃんの歳月にはさまざまな出来事が起きてゆく。長年つれそった久米蔵さんの死、大雨にたたられた不作、奥畑さんの結婚、そしてばあちゃんが産婆をすることになった長男の誕生… 。
 2000年の春、ばあちゃんは心臓の発作で山をおり、一昨年の暮れに亡くなった。しかし、ばあちゃんの生きた証は消えない。タイマグラに住み続ける奥畑さんは家族とともにばあちゃんが教えてくれた味噌作りを受け継いでいこうとしている。

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かわらないもの    監督 澄川嘉彦
ばあちゃんの暮らしには便利な「モノ」はなくでも、さまざまな生命たちと一緒に生きているという安心と喜びがありました。かわることなく春夏秋冬をきざむ大自然がばあちゃんの笑顔を生み、暮らしを豊かに彩っているのです。

   自主上映会

日時:9月28日土曜日 18:00開場 18:30開演                      場所:長良川スポーツプラザ 岐阜市長良福光2070-7
上映協力金:800円  高校生以下無料
主   催:一般財団法人 日本熊森協会 岐阜県支部 共催:マクロコスモス 長屋章
申込連絡先:河口るり子090-1755-7684 松浦利重090-1787-2951


vol.191 半農半X vol.32

半径3キロ

 「人はな、生まれ在所(ざいしょ)から三里以内にでけたもんを食べてたら、体によろしねん」。これは作家・田辺聖子さんのお母さんのことばです。昔から、自分が暮らす土地から「三里四方」のものを食べたら身体にいいと言われてきました。「三里四方」の哲学は世界でも最も先端をいく思想といえるかもしれません。大阪の友人は「半径3キロ」にこだわったまちづくり活動をおこなっていて影響を受けました。半径3キロ内に住む人、お店や隠れた名所、動植物や自然などを掘り起こす活動です。この活動はもしかしたら、同じく最先端かもしれないと思うようになりました。自分が住んでいるところから半径3キロにこだわり、見つけた宝物をみんなと分かち合えたら、すてきだろうなって思うのです。
※一里=約4キロ

もうひとつのもったいない   

 台風、地震、温暖化・・・。過疎、高齢少子、年金・・・。私たちはいま「大難問時代」を生きています。いま、日本(日本人)の課題は何か。ある学者が以下の3点あげておられました。①「変革(イノベーション)ができるかどうか」。②「活用していない資源を活かすことができるかどうか」、③「連携(ネットワーク、シェア)できるかどうか」です。大きな変革はできなくても小さな変革を重ねていく。活かされていない資源が人的にも、村にも町にもたくさん眠っていて、それをどんどん活用していく。一人でできないことでも連携・協力しあえば、できることもいっぱいあるのですね。ノーベル平和賞受賞のワンガリ・マータイさんは日本のこころ「もったいない」の精神に光をあててくださいましたが、この国には、誰もが必ず有する「天与の才」や「地域資源」の「未活用」という「もうひとつのもったいない」がありそうです。各家庭にも、各職場にも、この各地域にも、きっとそれは豊富に眠っていて、掘り出されるのを待っているのです。

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塩見直紀(しおみなおき)半農半X研究所代表
1965年、京都府綾部市生まれ。20年前から「半農半X(エックス=天職)」コンセプトを提唱。半農半X本は翻訳されて、台湾、中国、韓国にもひろがる。著書に『半農半Xという生き方 実践編』など。

※半農半Xとは・・・半農は環境問題、半Xは天職問題(どう生きるか)を背景と する。持続可能な農のある小さな暮らしをベースに、天与の才を社会に活かす生き方、暮らし方。ex.半農半漁、半農半大工、半農半看護師、半農半カフェ、 半農半絵描き、半農半歌手、半農半鍼灸師、半農半カメラマンなどなど。


vol.191 未来に続く暮しの学びPrt-33

持続可能な暮らしのアイデア Part-3

 先月、冬至を迎えた南半球のオーストラリアでは、朝、晩がとても冷え込むようになってきました。 先日は初霜が降りて、亜熱帯系の植物は四苦八苦したりしていますが、昼間は春先のように暖かいので、なんとか持ちこたえています。

 数ヶ月前から、毎週火曜日をガーデニングDAYにしています。朝8時30分から12時30分まで、畑やパーマカルチャーに興味のある人たちが、専門家のレクチャを受けながら私たちと一緒に作業をします。それから私たちのテーマでもある「Farm to Table」でランチです。そして畑の収穫物がお土産となる、というガーデニングDAY。土と関わり、汗を流し、収穫を共に喜ぶ。 参加者が増えるほど、畑仕事ははかどり、Win Winの環境が生まれます。
 たくさんの手がこの土地に関わってくれることで、この”土地”そしてこの土地の元となる”土”を始め、参加者たち、私たちスタッフみんな笑顔で喜びに溢れているように感じます。
 特にこの時期は、春に備えて、苗植え、種植え、ガーデンベットを整えて、畑の整備をする時期となります。 しかし冬ならではの、大根や、根菜、ハヤトウリ、菜っ葉などの収穫があり、柑橘系の果樹には沢山の実が付いてきます。まさに収穫の秋!それらを収穫しながら、季節の移り変わりを楽しんでいます。
畑作業をすること、自分たちの食べ物を自分たちで作ることなどの意識が高まってきています。特にこの地域では盛んになってきました。
近隣でも似たような、コミュニティーや、パーマカルチャーガーデンを始める人たちも増えてきて、土とともに暮らすという意識が強まってきています。

こうした週ごとのアクティビティーを通して、ネットワークが広がっていくといいなと思います。


vol.191 菌ちゃん野菜応援団 vol.12

さぁ、収穫だよ!


私たちの会には時々こんな電話がかかってきます。 「収穫しきれんかった玉ねぎが大量にあるんやわー。今夜雨降ったら腐ってまう、手伝ってくれへんやろか?お土産つけるで」

「今じゃがいも掘っとるけど、数が多いわー。手伝いに来てくれたら規格外のお土産あげるよー」

さぁ、大変!ラインやフェイスブックで慌てて告知です。

運良く予定の合った人たちがわらわらと現地に集合。時には子どもちゃんも一緒に作業開始。
一人で畑作業はしんどい時もあるけど、みんなとやったらとっても楽しい。

うわぁ、この玉ねぎ、君の顔よりでっかい!!
なにこれ、じゃがいもたくさんついてるー!!!

大人も子どもも目がきらっきら。

もう帰るー、なんて泣いていた子もほら、にこにことお野菜運んだり。力を合わせて何かを成し遂げるって大きな自信になるんでしょうね。

収穫したお野菜の一部はキャンプに使われたり保養活動で福島から来る人たちのご飯になったり。

自分のおうち以外のところに渡っていくお野菜さんたち。こんな体験を重ねながら食卓の向こう側に想いを馳せれる子に育ってくれたら。

嬉しいなー。



vol.191 かなでの沖縄だより 最終回

3年前、各務原で平和について学び行動してきたかなでさんが、沖縄で声楽を学びたいという夢を持ち、猛特訓の末にその夢を実現させました。そこでボクは彼女をサポートしてくれる先輩として、京都出身で沖縄在住のゆきえさんを紹介しました。沖縄と内地の食い違いや沖縄の現実について身をもって体験しているゆきえさんは良き先輩になったようです。この連載を終えるに当たり、この3年を振り返ってもらいました。(國枝)

私が沖縄で感じたこと、そして考えていること!

 私にとって沖縄の問題が気になり始めたのは、2016年高校三年生のオープンキャンパスで沖縄に行く前、沖縄に居る米軍関係者が女の子を殺したという事件があってからのことでした。
 沖縄に来たばっかの時は、各務原の自衛隊の飛行機の騒音には慣れっこになっていた私も、それとはまた違う大きな音にびっくりしたり、ミサイルが飛んだという知らせのアラームにびっくりしたりして、そのたびにゆきえさんに連絡していろんなことを教えてもらっていました。この3年間、ゆきえさんにはアルバイトからいろいろな相談事まで本当にお世話になってきました。
 初めのうちは驚いていたYナンバー(米軍関係者およびその家族が乗っている車のナンバー)も今はそれが普通になってしまっています。
 騒音で起こされるのも、オスプレイが飛んでいることも「あっ、また」って思ってしまうくらい普通になってしまっているのです。ただ、ひとつ変わらない気持ちは「怖い」ということ。オスプレイが飛んでいる、あの音がするだけで怖いと思う気持ちには普通ならないと思います。
 私がこういった事に関してもっとちゃんと考え始めたのは、ゆきえさんに出会うことができたから。何かひとつ聞けばたくさんのことをお話ししてもらえて、私自身色んな事を考えることができるようになりました。辺野古基地建設のことも。ゆきえさんの娘さん、ひろちゃんの大浦湾の貝の発表を聞いて、豊かな自然が破壊される可能性が高い現場を実際に見て「何とかしなきゃ」って、また更にその問題について考える事ができました。だから、県民投票の時も、参議院選挙の時も私の思いが伝わるか伝わらないかはわからなかったけど、話すだけ話すという事をやってきました。それをやった事で、無意識だった友達が少し考えるようになってくれたこと、話すことができなかった政治の話を話せる雰囲気になったことが自分の中で一番大きいと私は思っています。

 これから先、沖縄でなにが起こるか起こらないかはわかりません。民意を無視している政府のやり方がこのまま続いていくのか、沖縄の政治的な力関係は変わらないのだろうか、それもどうなるかわかりません。沖縄には巨大な基地があって、そこに所属する人たちが問題を起こし続けている可能性もあります。
 でも、これは沖縄だからじゃない。どこにでも起こり得る問題だという事を忘れないでほしいです。沖縄だから関係ないじゃなくて、みんなの問題として考えてほしいと私は思います。
 特に、各務原にはかつてアメリカ海兵隊の基地があり、1953年には犯罪などの多発により住民が反対運動を起こし、結果として1956年アメリカの統治下にあって反対運動を抑えやすい沖縄に移転したという過去があります。それにより、沖縄への負担が増えたのです。これが沖縄でなければ沖縄の負担が減っていたかもしれないのです。かと言って「各務原市に米軍基地を戻しましょう」となったとして、素直に受け入れることができますか?私ならできません。今思っている自分の気持ちと同じ思いを他の人にして欲しくないから。

 これで連載は終わりになりますが、私は「戦争と基地と平和」について考えながら残された1年半を過ごしていきます。みなさんもぜひ一度沖縄に来てもらって、「沖縄と基地と平和」について考えませんか?


vol.191 夢か悪夢かリニアが通る!vol.20

「太陽」が奪われる前に

 「ただ単に『止めたいから止める』としか受け止められない。2027年度のリニア(中央新幹線)東京―名古屋開業が今、この段階で、静岡県の意図的な行為によって遅れることは到底、受け入れることはできない」「(リニア建設を)どんどん進めてもらいたいというのが、私がお聞きする静岡県民のほとんど、というか全員の声ですよ。静岡県民や経済界に聞いてみたい。『静岡県のせいでリニアが止まっていいんですか』って」――愛知県の大村秀章知事は7月29日の定例会見で、いら立ちを隠さずまくし立てました。その「矛先」は、リニア南アルプストンネル掘削によって「大井川の水が毎秒約2トン減る」問題などを巡り、着工を認めていない静岡県の川勝平太知事に向けられています。   井澤宏明・ジャーナリスト

リニア工事差し止め訴訟第1回口頭弁論で、甲府地裁に入る秋山さん(前列左から2人目)ら(7月30日、山梨県甲府市で)

登山基地が工事現場に

 川勝知事は6月13日、大井川源流部のリニア工事予定地を視察しました。目的地の1つが南アルプス南部を代表する赤石岳や聖岳の登山基地「椹島」(さわらじま)。その風景は、私が2年前に訪ねたときとすっかり様変わりしていました。
 登山者が清流のせせらぎに耳を澄ませ、疲れた体を休めていた憩いの場は、工事事務所や巨大な作業員宿舎などが建ち並び、工事現場のよう。これで、トンネル工事が始まってしまったらどうなってしまうのだろうと、「かつて」登山者だった私も、恐れおののかずにはいられません。
 案内したのはJR東海の宇野護副社長。「準備工事は終盤戦。できれば引き続いてトンネル工事を進められるよう話し合いを続けながらやっていきたい」と本体工事着工を急ぐ考えを示しましたが、視察を終えた川勝知事は「今はとてもじゃないけど、ゴーサインを出せるような状況ではありません」と厳しい表情を変えませんでした。

「夜も寝付けない」

 隣の山梨県では、住宅地の真上を通るリニアの巨大高架橋によって生活が破壊されるとして、南アルプス市内のリニア建設工事差し止めなどを求めて住民が起こした裁判が7月30日、甲府地裁で始まりました。
 意見陳述に立った秋山美紀さん(47)は8人の原告住民の1人。自宅建物のわずか約2メートル南東側に、高さ30メートルにもなるリニア高架橋が計画されています。秋山さんは訴えます。
 「最悪な生活環境になるのにも関わらず、ここ(高架橋)にかかる土地代と30年間分の日照補償だけで、『ここに住め。お家の方は買えません』というJR東海のお話でした。とても納得できる状況ではありません」

多くの取材陣やJR東海職員に囲まれながら視察する川勝知事。後ろは作業員宿舎(6月13日、静岡県の南アルプスで)

 今年6月には、走行試験が行われている山梨リニア実験線の高架橋を、夫婦で見に行ったといいます。
 「高架橋の下に立ったときの恐怖感は計り知れません。『ここに何十年も住まなければいけないんだね』って、夫婦で話をしましたが、帰りの車では2人とも黙ったままでした」
 さらに、JR東海の予測(冬至)で周辺の日照が1時間に満たなかったことから、「寒い時期に太陽の恵みをほとんど受けられない。耐えがたい苦しみが一生続く状況です」と述べ、交代勤務の夫が、騒音で不眠になる不安にも触れました。
 「リニアで、このような弊害をまとめたような宅地に一変する。一生ここに住まなければと考えるだけで、夜も寝付けません。人として最低限の平穏な日の当たる暮らしだけを願って今ここに立っています」
 秋山さんは裁判長に向かって毅然と述べました。
 原告代理人の梶山正三弁護士は「もともと正当な補償を求めてきた人たちが『工事を止めろ』に変わった。JR東海には正当な補償を求められないので、工事を止めてもらうしかない」と、提訴の目的を説明しました。

JR東海の宇野副社長(手前中央)らから説明を受ける川勝知事(その左)

 続いて、「少しでも現地を見ていただきたい」と裁判官に求めました。訴えの棄却を求める答弁書を出したJR東海側は、法廷に姿を現しませんでした。
 各地で噴出する問題の背景には、リニアの悪影響にJR東海が真摯に向き合ってこなかった、という背景があります。
 「(リニア建設を)どんどん進めてもらいたいというのが、静岡県民全員の声」と述べた大村知事。ぜひ、現地を歩いてから、ものを言って欲しいものです。

 隣の山梨県では、住宅地の真上を通るリニアの巨大高架橋によって生活が破壊されるとして、南アルプス市内のリニア建設工事差し止めなどを求めて住民が起こした裁判が7月30日、甲府地裁で始まりました。
 意見陳述に立った秋山美紀さん(47)は8人の原告住民の1人。自宅建物のわずか約2メートル南東側に、高さ30メートルにもなるリニア高架橋が計画されています。秋山さんは訴えます。
 「最悪な生活環境になるのにも関わらず、ここ(高架橋)にかかる土地代と30年間分の日照補償だけで、『ここに住め。お家の方は買えません』というJR東海のお話でした。とても納得できる状況ではありません」
 今年6月には、走行試験が行われている山梨リニア実験線の高架橋を、夫婦で見に行ったといいます。
 「高架橋の下に立ったときの恐怖感は計り知れません。『ここに何十年も住まなければいけないんだね』って、夫婦で話をしましたが、帰りの車では2人とも黙ったままでした」
 さらに、JR東海の予測(冬至)で周辺の日照が1時間に満たなかったことから、「寒い時期に太陽の恵みをほとんど受けられない。耐えがたい苦しみが一生続く状況です」と述べ、交代勤務の夫が、騒音で不眠になる不安にも触れました。
 「リニアで、このような弊害をまとめたような宅地に一変する。一生ここに住まなければと考えるだけで、夜も寝付けません。人として最低限の平穏な日の当たる暮らしだけを願って今ここに立っています」
 秋山さんは裁判長に向かって毅然と述べました。
 原告代理人の梶山正三弁護士は「もともと正当な補償を求めてきた人たちが『工事を止めろ』に変わった。JR東海には正当な補償を求められないので、工事を止めてもらうしかない」と、提訴の目的を説明しました。
 続いて、「少しでも現地を見ていただきたい」と裁判官に求めました。訴えの棄却を求める答弁書を出したJR東海側は、法廷に姿を現しませんでした。
 各地で噴出する問題の背景には、リニアの悪影響にJR東海が真摯に向き合ってこなかった、という背景があります。
 「(リニア建設を)どんどん進めてもらいたいというのが、静岡県民全員の声」と述べた大村知事。ぜひ、現地を歩いてから、ものを言って欲しいものです。



vol.191 プレゼントコーナー

1- あなたの「大好きなおかず」教えて!
 これさえあれば大満足!そんなおかずって何?
2- 気になるにらめっこ紙面での広告
3- 気に入った記事、気に入らない記事の
 タイトル1つ・その理由もお書きください。
4- ご希望のプレゼント名
(第1希望・第2希望)
 ※AとDは編集室まで受け取りに来られる方。
5- 本紙をどこで入手されましたか?
6- 氏名、年齢、住所、郵便番号、電話番号、  家族構成

プレゼントご希望の方は

ハガキまたはe-mailで、上記のアンケートを
1〜6までご記入の上、編集部・プレゼント係りまでお送りください。
〆切:9月25日 当日消印有効。        Bをご希望の方は9月15日

宛先
〒504-0855 各務原市蘇原新栄町2-25
e-mail: info@niramekko.com
※お寄せいただいた個人情報は、本紙プレゼントの発送に限り、 使用させていただきます。
※当選の発表は発送をもって代えさせていただきます。



  

A.ベビーマグちゃん  …2名様

こころ野農園様より

黒川で自然農を営む「こころ野農園」さんからのプレゼント。ピュアマグネシウムでつくる水素水で汚れと臭いを落とすと言われている洗剤を使わない洗濯用品です。マグちゃん1個で3kg以下の洗濯物が約300回ほどがご使用の目安です。
にらめっこ編集室でお受け取りください。

B. JAZZE!ご招待  …2名様

アートギャラリー是様より

落ち着いた雰囲気の会場で、ピアノとベースが奏でるジャズのシャワーに酔いしれる…そんな大人のひとときはいかが?
(会場での軽食は別途ご負担下さい)

C. CINEX 映画招待券  …ペア3組様

シネックス様より

映画館で鑑賞した作品は心に残る事が多い…そんなふうに語る人もいます。映画を見るための施設で、製作者のメッセージを真正面から受け取る、そう考えると納得できますね。招待券は柳ヶ瀬のシネックスでご利用いただけます。

D. ノリタケ Bone chinaカップ&ソーサー…2名様

にらめっこより

忙しい毎日だけど、時には飲み物をいただくひとときを。その時はお気に入りのカップでどうぞ。お一人一客のプレゼントです。柄の選択はこちらにお任せください。
にらめっこ編集室でお受け取りください。


vol.190 特集 ゲノム編集ってなんだ?

 なんだ?って言われても…ねぇ…、
なんだか難しそうだし専門用語が多すぎて…、でも、なんか本能的に「これはやばいんじゃない?」と感じる。本能が感じるなら、それはビンゴ!遺伝子を操作するってかなり抵抗を感じるしね。でも研究が進み医療分野では助かる命があるというのなら、それもあり?ただし生命倫理に関わることなら、研究者のみではなく、一般の人たちとも協議できる時間と機会が欲しいところ。5月24日、ぎふハートフルスクエアで開かれたお話会「『ゲノム編集――安全性と生命倫理』講師:河田昌東さん」に参加してきました。以下は、河田さんのお話の抜粋です。

ゲノム編集 ― 安全性と生命倫理

河田 昌東氏 名古屋大学在職中、遺伝子の基礎研究の経験から遺伝子組換え作物の安全性について、1990年代から問題点を指摘してきた。ゲノム編集もその延長上にある。

ゲノム編集とは?

 生命は遺伝子の働きによって支えられている。この遺伝子を自由に操り、人間に都合の良い農作物や家畜を造り、あるいは人間の遺伝病治療に役立つ技術として登場したゲノム編集は今世界を揺るがしています。
 ゲノム編集が広く知られることになったのが、昨年11月、シンガポールで開かれた国際学会で、中国の研究者がHIV感染の恐れがある夫婦の受精卵をゲノム編集で修理し双子の赤ちゃん(女児)を誕生させたと発表したことです。(2018年11月29日毎日新聞)
 そもそも遺伝子操作は、植物、動物で研究してきた過程があります。中国では人間の遺伝子操作は禁止なのにいきなりニュースで発表され世界に大きな衝撃を与えました。

ゲノム編集で食物革命!?臓器移植!?

 動物には筋肉を増えさせるホルモンを作る遺伝子の他に、それを抑制するミオスタチンという遺伝子が必ずあります。動物は成長と抑制とバランスをとっているんですが、その抑制遺伝子を壊すと、食べたものがみんな筋肉になるので通常より大きく育つわけです。中国では商品価値を上げるために生産されている筋肉隆々の豚は普通の豚の1.5倍くらい肉がつきます。それからアメリカで開発されたツノのない牛。ツノは畜産農家にしてみれば怪我の元になるし、牛同士ケンカするとよくないという理由で、ツノを作る遺伝子を壊し生産されています。キメラ動物の製作も始まっています。例えばラットの体内でマウスの腎臓を作る。将来的には人間の臓器を豚の体内に作る。これは臓器移植に使うのが狙いです。
 植物では国内でも既に「栄養価の高いトマト、多収穫のコメ、筋肉隆々の真鯛、芽を出しても毒性のないジャガイモ、等々」が既に開発されています。厚労省は、早ければこの夏にもゲノム編集食品などを商品化すると発表しています。
 こちらはすでに商品化されていますが、アメリカ産の高オイレン酸大豆。アメリカ農務省は遺伝子組み換えは安全審査をしていますが、これは遺伝子を壊しただけだから規制しないと言っています。しかもオーガニックと表示してもいいと。オーガニックと表示してあるのが、ゲノム編集で作ったものか、そうではないのか区別できなくなっているのが現状です。
 今、産業界は医療分野や農業分野での新たな産業革命になるかもしれないと期待しています。内閣府のHPにはゲノム編集が将来、600兆円規模の産業になるかもしれないと書かれています。去年の6月15日、統合イノベーション戦略会議(いろんな産業の活性化のために内閣府主催の会議)で安倍首相が「このゲノム編集は成長戦略のど真ん中に位置付けられる技術。だから慣習にとらわれないで各大臣は一丸となって取り組むように」とハッパをかけました。それで急に環境省も厚労省もそれまでのタガを外して、一斉に取り組むようになったのです。

ゲノム編集は目的の遺伝子を壊すのみ。遺伝子組み換えは他の生物の遺伝子を組み込む.

遺伝子組み換えとゲノム編集の違いは?

 従来の遺伝子組み換えには、例えば、除草剤をかけても枯れない大豆とか、害虫がくっついても害虫が死んでしまうので農薬はいらないトウモロコシとかがあります。そういうものは、外来遺伝子(例えば、除草剤で枯れない大豆は、土の中に除草剤に強いバクテリア)から遺伝子を取って大豆の中に押し込んだわけです。だから除草剤をかけても枯れないんですね。
 ゲノム編集というのは、前述の双子の赤ちゃんの場合は、人間の遺伝子(特定の遺伝子)を壊すわけです。そうするとHIVになりにくいということがわかっている。単に壊しただけで、外来遺伝子が入ってない。だから、遺伝子組み換えとは違うと厚労省は言っています。そういう定義で外来遺伝子が残存しないものについては安全性審査は不必要、表示も不要としました。内閣府のホームページには品種改良と同じと発表しています。

ゲノム編集がなぜ問題なのか

 今年の3月1日、文科省は「ヒトの心臓を持つ豚」の出産を認める文書を発表しました。目的は臓器移植です。しかし、登場して日が浅いこの技術にはまだまだ未解決の問題が沢山あり、実用化には大きなリスクが伴います。それは生殖細胞のゲノム編集は種の保存を脅かす危険性があること、編集した遺伝子が子孫に伝えられること、社会のニーズ次第で生命が左右されること、などです。遺伝子を操作する事は長い進化の歴史を経て作られた生態系を破壊する恐れや、社会の要請に応じてデザイナー・ベビィを作る優性思想にもつながる際どい技術でもあるのです。

生命倫理の問題は?

技術的問題が解決されても課題は残ります。それは生命倫理の問題です。特に医療分野では臓器移植のために豚の体内でヒトの心臓を作ったり、雌同士の交配で子どもを作る技術が登場しています。こうした問題は技術的リスクとは別に「そもそも、やって良いことと悪いこととの区別をどうするか」という大きな、しかし避けては 通れない問題を突きつけています。


 最近、国で大きな動きがありました。3月1日に文科省がそれまで禁止していた「ヒトの臓器をもつ動物の出産を認める」という決定をしたのです。これは、例えば豚の受精卵で心臓を作る遺伝子を破壊し、そこにヒトの多能性幹細胞を移植し子宮に戻して出産させれば、ヒトの心臓を持つ豚(即ちキメラ動物)が生まれる、という事になります。提供者の足りない人の臓器を動物で賄おうという狙いですが、こうした事が果たして生命倫理の立場から許されるのでしょうか。
 ゲノム編集は誰がどのように規制するのか、国際的な規制が必要ですし、専門家だけでなく一般市民の判断が必要と強く感じています。

■ か わ た ・ ま さ は る 1940 年、秋田県生まれ。東京教育大学理学部卒業後、名古屋大学理学部大学院分子生物学入学。卒業後助手に。2003年定年退職。専門は遺伝子の分子生物学と環境化学。遺伝子組み換え情報室代表。著書に『チェルノブイリと福島』(緑風出版)など。訳書に『遺伝子の分子生物学』(J・D・ワトソン著)第一販がある。


vol.190 遺伝子組み換え食品

私たちはいつの間にか「遺伝子組み換え食品」を食べている⁉

遺伝子組み換え(Genetic Modification)など生命操作された作物が私たちの食と農に何をもたらすか、考えてみましょう。

遺伝子組換え技術を利用した食品

 1994年に米国カルジーン社が遺伝子組換え技術を利用し、「フレーバー・セーバー」 という名の日持ちがよい(熟して柔らかくなるのを遅くした)トマトを初めて商品化しました。また、ゼネカ社のペクチンを多く含むトマトを利用したトマトピューレも英国で販売されました。
 日本では、遺伝子組換え農作物は生鮮食品として利用されていませんが、除草剤耐性大豆やナタネおよび害虫抵抗性のジャガイモ、トウモロコシ、ワタ等は、大体、次のような加工品に利用されています。

除草剤耐性大豆は・・・

  食用油、豆腐、豆乳、醤油、マーガリン、マヨネーズ、サラダ・ドレッシング、ショートニング、グリセリン、乳化剤、乳 製品、大豆タンパク質、タンパク強化剤、アミノ酸、調味料、水産練製品、ソーセージ、麺類、パン類、菓子類等

害虫抵抗性ナタネは・・・

  食用油、マーガリン、マヨネーズ、サラダ・ドレッシング、 ショートニング等

害虫抵抗性ジャガイモは・・・

  フライドポテト、ポテトチップス等

害虫抵抗性トウモロコシは・・・

   食用油、マーガリン、てんぷら粉、シリアル製品、コー ンスターチ(酒類、水産練製品)、水飴、ブドウ糖(菓子類、 佃煮、ジャム、酒類、飲料、パン類、缶詰、ソルビット)、 異性化糖(飲料、パン類、冷菓、缶詰)

害虫抵抗性ワタ・・・

  食用油

    バイオテクノロジーQ&Aより  一般財団法人バイオインダストリー協会

あなたは遺伝子組み換え食品を食べていますか?

 
いやいや、「遺伝子組み換えでない」を選んで買っているから大丈夫。そう思い込んでいたら、それは大間違いかもしれませんよ。
 あなたの買うサラダ油も、あなたの飲む清涼飲料水に含まれる「果糖ぶどう糖液糖」も、遺伝子組み換え作物からつくられている可能性が非常に高いのです。なぜなら、油や糖類には遺伝子組み換えの表示義務がないから。遺伝子組み換え食品には表示義務のあるものとないものとがあるため、ほとんどの日本人が、何も知らないままに、日々大量の遺伝子組み換え食品を消費しています。
 しかし本来、私たち消費者には、自分の食べるものに何が含まれているのかを知る権利があります。消費者基本法にも、消費者の権利として「必要な情報が提供される権利」が明記されています。
 その知る権利を、現在の表示制度は保障しているとはとてもいえません。誰にでもすぐにわかるよう、すべての遺伝子組み換え食品にその旨を表示すべきですよね。

◆日本が輸入を許可している遺伝子組み換え作物

 とうもろこし、大豆、なたね、綿実、じゃがいも、てんさい、アルファルファ、パパイヤの8種類。そのうち、食品として主に流通しているのは、とうもろこし、大豆、なたね、綿実の4種類のみです。とうもろこしは、コメの消費量の2倍近くもの量を輸入しており、その8割以上が遺伝子組み換えであると推測されます。日本は世界最大の遺伝子組み換え作物輸入国です。

◆日本の遺伝子組み換え表示制度の問題

 ◇表示義務のあるものとないものとがある
◇組み換えられたDNAとそれによって生成したタンパク質が含まれない食品には表示義務がない
 具体的には……油、ショートニング、マーガリン、マヨネーズなどの油製品。果糖ぶどう糖液糖などの糖類や水あめ、みりん風調味料などの甘味料類。醤油、醸造酢、たんぱく加水分解物などの調味料類。そのほかにも、コーンフレーク、醸造用アルコール、デキストリン(増粘剤等に使う多糖類)などには表示義務がないとされています。

◆表示義務のある食品とは?

 大豆では、豆腐、納豆、豆乳、味噌、そして油揚げなどの豆腐派生製品。とうもろこしでは、ポップコーンその他のコーンスナック菓子、コーン缶など。表示義務のある食品で「遺伝子組み換え」のものは、実際にはほぼ流通していません。

            「サルでもわかる遺伝子組み換え」より

私たちが選べば世界は変えられる

「美味しい料理の始まりは・・・・・・・・・
台所ではなく種だと母は言っていた。
そして娘たちに食べ物の背景を教えるために家庭菜園を作っていた。
最初の遺伝子組み換え食品(GM)が発売された時、自分で調べようとした上に私に本を送ってきた。
母の料理はタネから始まった。
母と娘の10年の記録

『たねと私の旅』

内容:小さい頃から食いしん坊だったオーブは、母が作る愛情たっぷりの料理で育った。母は環境活動家でもあったが、もっとも力を注いだのは家庭菜園。娘たちに“食べ物の背景”を伝えたかったのだ。
 畑から収穫される豊かな御法(みのり)が、台所でとびきりおいしい一皿になる至福のひととき。オーブは幼い頃から、畑と台所が大好きだった。
 大学に入ったオーブは、都市で一人暮らしを始める。大学では映像を勉強し、実家に戻っては、母が世話する美しい菜園のすがたを映像に収めた。
 都会での生活は、母の菜園が食品店代わりだったそれまでの生活とはガラッと変わった。オーブにとっては、“スーパーで食品を買う”という新しい体験でもあったが、一方で、「何を食べているのかわからない」という不安が常につきまとうのだった。
 奇しくもその年、最初の「GM(遺伝子組み換え)食品」が市場に出回る。多くの国が食品にGMの表示義務を設けたのに対し、カナダとアメリカは表示義務を設けなかった。除草剤を使っても枯れない大豆やナタネ、殺虫能力をもつトウモロコシ、種の壁を越える遺伝子組み換え……。
 母からは、GMについて書かれた本が度々送られてくるようになり、読み進めるうちに、企業が開発するGMのたねが急速に広がり、特許によって、農家が“たねを採る自由”を奪われていることを知る。実際に、実家に戻るたびに、周辺ではGMの大豆やトウモロコシが増える一方だった。
 何が起きているのかを知るべく、オーブはカメラを携えて外の世界へと向かっていった。

       写真は映画「たねとわたしの旅」(国際有機農業映画祭のサイトより)

色々な方のお話を聞いたり、調べたりするほど、食材の選択肢が狭くなる?いいえ、知っていることは強みです。しっかり表示を見て買えるから。「私たちが選べば世界は変えられる!」という思いを繋いでいきたいね。それから『たねと私の旅』上映会、どなた一緒にやりませんか?映画に出てくる料理も作ってみんなでシェアしたり…。興味のある人、にらめっこまでご連絡ください!(info@niramekko.com  058-383-8666)



vol.190 ここいく日記 はじめの7歩!

寸劇で伝えることで心で感じる

 子育ても一段落して、これから先自分は何を目標にしたり、やりがいを感じるのだろう・・・と思うことがありました。しかし今は「ここいく」の活動から自分を見つめ直すことができました。
私が「ここいく」のメンバーに加わったのは、我が子に正しい性の知識を伝えたいと思ったことがきっかけでした。
 もともと何かを自分から始めるということがなかった私は、補助的な裏方のお手伝いができればと思い「ここいく」に加わりました。
 しかし、授業を重ねていくうちに「ここいく」のいのちの授業は、みんなで創り上げるものでありメンバーひとり一人が自分が出来ることを見つけ、主体的に動いていく事によって各々が仕事を持っているにも関わらず、オーダーメイドのような授業が出来上がるのだということに気づきました。
 それなら私にできることは何だろう?…とここで初めて自分は何ができるか何がしたいか真剣に考えはじめました。
 そうして辿り着いたのが、恥ずかしがり屋の私がメンバーと一緒に子役に扮し寸劇をすることでした。

 寸劇では、成長期の体の変化を伝えたり、体や心の悩みは皆が持ってるもので自分だけが特別ではないこと等を伝えます。普通に言葉に伝えるだけでは伝わりにくいことも、面白おかしく劇をすることで、子どもたちは実生活に置き換えるることができ、よりイメージしやすくなります。これは「ここいく」が得意とするオリジナルメニューです。・・・とは言うものの、普通のお母さんがツインテールでミニスカートを履き舞台に立つということは、とても勇気が必要でした。
 しかし、授業を通じてリアルタイムで感じる子どもたちの笑顔には、そんな恥ずかしさも吹っ飛ばす程のパワーがありました。
 個人差があることに安心してホッと表情が和らぐ姿、照れて下を向きながらも耳ではしっかりと聞こうとする姿「あなたたちは3億分の1のラッキーボーイとラッキーガールなんだよ」というメッセージに素直に喜ぶ横顔・・・

 このような様々な反応を見ているうちに、私たちが大切だと思うことを未来ある子どもたちに少しでもたくさん伝えたい。それに小さければ小さい程、水を含むスポンジのように吸収してくれるので、できれば低年齢の子どもたちにも伝えていきたいと思うようになりました。難しい言葉や、体の複雑なメカニズムは1回聞いただけでは忘れてしまうかもしれませんんが、心が感じた気持ち(感動や安心感)や一緒に授業を受けるという一体感は薄れることはありません。
 今後1人でも多くの子どもたちに「いのちの授業」を届けることができれば嬉しいです。

担当:ここいくメンバー・多田良子でした。


vol.190  niramekko Gallery 「えき」「くまおやこ」

 なんか疲れたなぁ、と思ったときは思い切って日常から離れてみませんか?私達の暮らしは意味や役割がある脳で作られたものに囲まれています。そうすると、意味のないものに耐えられなくなるかもしれません。アートに触れるときは、意味を求めないで、心の働きを感知する力を取り戻しましょう。共感したり感動したりすることで、心の働きが活発になっていきます。たまには、美術館やギャラリーでアートな作品を鑑賞してみませんか?気持ちが落ち着いたり、リフレッシュしたり、時にはワクワクしたり…まだ自分が体験した事のない領域の喜びを体や心で感じることができるかもしれません。


vol.190 ぎむきょーるーむ 大人の手助け中毒こそが問題

石川憲彦 児童精神神経科医 

「誰のつまずき」かをよく整理

 子どもは、つまずくのがしごと。つまずくことで、起きあがることを学ぶ。学ぶのは、どう起きあがるかだけではない。つまずかない方法や、ときには同じつまずくならどんな風につまずくのがいいのか、そんなことも学ぶ。何より「順調にいっているときも、つまずいたときも自分は自分でいられる」ということをこそ学ぶ。
 つまずいたとき、大人がなすべきことはただひとつ。じっくり自分で立ちあがるのを待ってあげる。けっして手を貸してはいけない。ただただ、ひたすらじっと耐え、忍び、祈るような気持ちで待ちつづける。これが極意だ。周囲の大人の待てる時間が長ければ長いほど、子どもの人間性も、人生の味わいも、深みを増す。


 断言しておこう。手助けは、基本的に悪なのだ。
 例外はある。子どもの側に事態の解決を期待するのが困難な場合や、大人の側に待つゆとりのない非日常的な事態の場合など、悪とはわかっていても手助けが必要なときはある。ほんとうに必要な手助けは、ときには人間への信頼感を強めてくれるだろう。しかし今日、大人はあまりにもおせっかいだ。不必要な善意を「子どもには解決できないだろう」とか「手おくれになっては困る」とか理屈をつけてばらまく。多少のおせっかいなら、子どもへの愛敬、かえって微笑ましいと笑ってすませられるのだが、ことには限界がある。
 いったい、なにが・いつ・どこで、誰にとって・どのような意味で、「誰のつまずき」なのか。
 この点をよく理解しないと「いつ・どこで・誰に・なにを・どう」手助けしていいのか、ということも、手助けが「いつ・どこで・誰に・どう」問題となるのかということも、さっぱりわからなくなってしまう。

日常の行きちがいのなかで

 脳性麻痺の小学生。担任は「歩行できない。火事のとき、足手まといになっては当人が困るだろう。歩けるようにトレーニングを」と養護学校をすすめる。親は「先生に理解がない。いじめられてかわいそう」と転校を考える。当人は沈黙。しかし20年後、昔をふり返っていう。「歩けないことは苦痛ではなかった。いじめにも慣れていた。ただ、他人と別のあつかいをされること、保護されることは、いまでもいちばん苦痛だ」。

 拒食症の高校生。担任は「痩せてつらそう。家族が必要なケアをきちんとしていない」と家族療法をすすめる。親は「注意しても反抗するし、放っておくと食べないし」と娘の反抗を嘆く。そして、当人は「飢えるアフリカのテレビを見ていたら、食べるなんて贅沢できなくなった。でも同じテレビを見て泣いていた親は、番組後けろっとして食べていた。平和教育に熱心な担任には、遠い他国のことより今の自分が大事と諭された。大人になるって、そんなふうにに自分をコントロールすることか。そう思うとこわくなる自分は、最低だ」と自分を罰する。
 わかりやすくするために、少し極端な話を選んだ。しかし手助けが、つまずきそのものよりもずっと大きな問題になるという話は、日常のごくありふれたいきちがいのなかにずっと目立つ。

相場がふっとんだ時代に

 不幸なことに、今日圧倒的多数の大人は、なんでも早めに手助けしてあげるのがいいことだとひたすら信じこんでいるふしがある。この手助け中毒が進むと、子どもがつまずくこと自体が悪に見えてくる。そしてついには、世間なみでないこと(みんなが漠然とよいと思っていること)以外は、すべて悪と信じこみ、つまずきが起こる前に処理してしまおうと考えはじめる。
いまの若い人たちを見ていると、親も教員もこの中毒への耐性が弱いと思う。自分の判断基準にしたがってものを考えることを、独善的ではないかとおそれる謙虚さが強すぎて、まず周囲を見渡し、世間の判断にしたがって大過なくやりすごそうとする。
 ひと昔前までなら、中毒にも救いはあった。まだ世間には、「これくらいは放っておく」というつまずきに対する相場があった。「はしかみたいなもんだ」などと、封建的に「蛮勇」をふるうような差別的な内容ではあっても、相場は社会全体に広く共有されていた。だから世間の判断にしたがっておけば、たいていのことは丸く収まった。相場に異議を申し立てる子どもも、大人になると「まあこんなものか」とやがて納得してくれるのも相場のうちであった。
 しかしバブルと同様、相場なんてふっとんでしまった。現代は、つまずきをおそれることが、最悪のつまずきという時代だ。つまずくことへのいたずらなおそれから解放され、いま目の前にいる子どものつまずきを見定めないと、たいへんなつけを払わされる。

では、どうやって手助け中毒から離脱すればよいのか。

 手助けの弊害を明確にすること。いま自分がすすめようとしている手助けは、「何が・いつ・どこで・誰にとって・どのような意味で」最終的には「誰のつまずき」として問題となるのか。この点を、じっくり考えてみよう。この点さえ承知していれば、手助けもやむをえない。あとで手助けが失敗だと気づいても、まだカバーできる。しかしこの点が不明確なら、生命に異常が想定されないかぎり、絶対に手助けはしてはいけない。

100号「学校でつまずかない人生」で伝えたいこと

 中毒は手助けをやめれば治る。心配なのは絶対に必要なときにも身動きできない「手助け手抜き症」への悪化だ。
 もうひとつ心配なのが、「手助け忖度(差別?)症」。いつの時代にもわが子のためにほかの子の生き方を操作する一部の特権階級は存在する。
 「忖度症」と「不能症」。両者は逆方向の社会存在だが、先行きの見えない不安や不満に対して、筋ちがいの攻撃性や衝動性を示すところはなぜか共通する。それが「善意のゴリ押し」や「クレーマー」程度で済めばいいが、いじめ・ハラスメント・虐待などに発展することも多い。
 今や「手抜き症」の治療がカギになる。手抜き症の問題は、古い因習に捕らわれて手抜きを開くとか恥とか思うことだけ。脱出するには、「手抜きを責めない」「最低必要限の手助けを明確にして、それはどんな手を使ってでも実行する」のふたつで十分だ。それには「おたがいが気楽に遠慮なく依存し合える双方向性の関係」が、上手に手を抜く極意を見つけるためになによりも必要になるのだ。

いしかわのりひこ:林試の森クリニック院長。お・は編集協力人。著書に『みまもることば〜〜思春期・反抗期になってもいつまでもいつまでも』他。2,018年より『こころ学』シリーズの刊行が始まり、第1巻は『「精神障害」とはなんだろう?ー〜ー「てんかん」からそのルーツをたずねて』(ジャパンマシニスト社刊)。


vol.190 えんぴつ・カフェ 7月はゆる体操

開催します! えんぴつカフェ14:00-16:00 9月 7日(土)、11月16日(土)、 3月7日(土)

 各務原市産業文化センター2階第1会議室(予定)お茶とお菓子付きみんなでワイワイおしゃべりしながら「ゼロの昇天」の書き込みを中心に。

【報告です】5月19日(日)えんぴつカフェスペシャル第1弾「作ってみよう!薬膳料理」 各務原市総合福祉会館3階料理教室にて

 最初に、チェックシートで中医学に基づいた体質チェックと、中医学の考え方や薬膳食材の効能など高山先生のお話し。その後、4つの班ごとに調理実習をしました。

参加者からは、「薬膳は薬臭いイメージだったけど、普通のおいしい食事でした。これなら家でつくっても家族も喜ぶと思いました」「先生のお話しはわかりやすくて、薬膳って日常に結びついてるんだなと思いました」などという感想が聞かれました。

7月14日はスペシャル第2弾 ゆる体操です。みなさんの参加をお待ちしてま〜す!

 


vol.190 熱中世代 山口克己さん

伝統野菜の「桑の木豆」のあるまちで、食文化と元気を発信

 山県市 ふれあいバザール生産物直販組合長 山口克己さん

 今からさかのぼること30年余り。作っても食べきれない地元野菜を生かそうと、有志が朝市で売り始めたのがそもそもの始まりでした。10年程続けるうちに、ここで野菜を買ってお茶でも飲めたらいいね、そんな会話から「ふれあいバザール」発足へと発展。当時の美山町に申請すると補助金などの後押しも心強く、スタッフが腕によりをかけた食事を提供できる食事処もできました。もちろん食材は地元食材。以来「ふれあいバザール」は地域の食文化を発信する拠点となり、地域に根付いています。
 「桑の木豆は、岐阜県の飛騨・美濃伝統野菜に指定されている珍しいインゲン豆の一種です。美山町から山県市になりましたが、この地域の特産野菜をもっといろんな人に知ってほしいですね」と、現在の組合長を務める山口さん。岐阜県民でも知らない人が多い桑の木豆を広めようと、スタッフと一緒に日々奮闘しています。
 桑の木豆を使って商品化された、おかず味噌、そばまんじゅう、アイスクリーム、パウンドケーキなど、現在バザールで提供されていて人気を呼んでいます。
 「バザールで働く人は全員が女性。だから家族の病気や子どもの学校行事などで仕事を休む時はみんなが交代で補いあって働いています。女性が生き生きと輝ける場なんです。そして、生産者さんは自分の作った野菜が売れることでやりがいにも繋がっています。ここに野菜を持ってくるだけで、スタッフやお客さんなどいろんな人と会話ができて元気が出る、という高齢の方は多いんですよ」
 バザールでは、山菜に詳しい人、明るく接客が得意な人、漬け物や加工食品作りが得意な人、経理が得意な人…。スタッフはそれぞれの持ち味を生かし、適材適所で忙しく働きます。
 しかし、農産物には厳しいチェックも。栽培記録を提出してもらう。残留農薬があったり、規定外の農薬を使用した物は取り扱えない。そういう品質の管理も山口さんの仕事。必然的に生産者は土つくりから勉強することになります。それはバザールとの信頼関係を築いていくことに繋がっていきます。
 地域で採れた新鮮な野菜や、それらを使った料理の味とともに、個性豊かなスタッフや生産者、いろんな人たちがふれあう和やかな雰囲気は口コミで広がり、県外からも多くのお客さんが訪れます。
 「現在働く女性スタッフは50代から70代です。年輩の方は若い人と一緒に働けることを喜び、若い人は先輩から知識、経験、料理方法など多くのことを学んでいます。今後の課題は次の世代にここを引き継いでもらうこと、かな。今はとにかく忙しい日々だけど、ゆっくりできるようになったら、花を育てたいなぁ」
 その笑顔には組合長ではない、素の山口さんの顔が覗いたようでした。

桑の木豆(くわのきまめ)
岐阜県山県市(旧・美山町)で、昔から自家用に育てられてきた地方野菜。岐阜県の「飛騨・美濃伝統野菜」の認証を受けている、インゲン豆の一種。収穫時期が10月頃で、台風による倒伏の予防のために昔から桑畑が多くあった美山地域で、桑の木に絡ませて栽培されていたことからその名がついた。完熟すると、さやや豆に赤くかすり模様が入り、目に鮮やかな豆になる。このように色づくのは美山地方の豆だけ。完熟した豆は、さやごと乾燥し保存。水でもどして調理するときは、さやごと使われる珍しい豆である。

ふれあいバザール/人気の定食
岐阜県山県市船越416-13
営業時間:10:00~14:30 定休日:月曜日、第3日曜日

   


vol.190 カタコトの部屋 しょうがいをみつめる

 みなさんは「しょうがい」という言葉を聞いてどんなイメージを持ちますか?「障害」という文字を見て、どんなことを思い浮かべますか?

 私は、悲しくて残念なイメージと共に、ふんわり優しくてあったかい感じを持っています。と同時に、「障害」ということばに違和感を感じています。他に適切な言葉や造語や新語を考えますが、これだ!というものにまだ出会ったことがありません。
 私が出会ってきた障害のある人と言われる人たちの特徴は、「害」ではなく、ただただ「個性」でした。社会生活に差し障りがあると認識しているのは周りであって、本人は与えられた体や心、環境をめいっぱい活用して今を楽しく生きています。差し障りがあるという周りの意識が、生きずらさを生み出しているのではないかと感じています。
 このページでは「障害」(しょうがい)を見つめていきたいと思います。見つめていく中で、上で述べた考えが変わっていくかもしれないし、進化するかもしれないし、迷宮入りしていくかもしれないし、そんな自分を楽しみたいと思っています。と、同時にみなさんの感じたこと、見つめていることも知りたいです!21ページのプレゼント応募とともに、あなたの思うところもお待ちしています!

 納得はいっていませんが、現時点では、障害を見つめていく中で「障害」という表記が1番伝わりやすい言葉であると思います。もっと伝わりやすい言葉が見つかるまでは「障害」という言葉を使っていこうと思います。

 私が「障害者」という人に初めて出会ったのは0歳の時でした。父の兄、私のおじが聴覚障害者でした。隣町に住んでいて床屋を営んでいました。おじの側にはいつも、彼の母、わたしにとっては祖母がいて自立を支えていました。祖母とおじは、私の父を慕っていてよくうちに遊びに来ました。私が読み書きができる様になると、辞書を片手に筆談やジェスチャーを駆使して、おじと会話をするのが楽しみでした。小学校高学年くらいになると、おじが本当に1人で生活できているのか気になり、おじがスーパーへ買い物に行くのに隠れてついて行き、影からそーっと見ていました。レジの人はちょっと嫌そうな顔をしながらも(いつもの人が来たわ)という感じで対応していました。おじは親しげに話しかけますが、会話は噛み合っていないようでした。でも、たぶん、おじはそんな空気を感じておらず、会話を続けるのでした。それを見て、おじの1人暮らしは地域の方に見守られているからこそ成り立っていること。おじは耳から自然と入ってくる情報がゼロの為、"暗黙の了解"とか"何となく常識"みたいなことが全くわからないことに気づきました。
 そんな経験があったからか、小学生になると特殊学級と普通学級を行き来している友人の送り迎えの役割をしたり、今では発達障害と言われそうな友人のそばにいつもいました。新しい経験やいつもと違うことがあると逃げて走り回る彼女を追いかけ、落ち着いた頃に一緒に教室へ戻っていました。帰り道では、興味があるものに出会うといっこうに歩く気配がなく、一歩歩いては何十分も進まないなんてことはよくありました。彼女が何をしてるのか感じながら、距離をおいて、植物で遊んで時間を潰したり、そろそろかなって具合で声を掛けたりして。それでも、進んだり進まなかったり、結果が出るような出ないような、ゆったりとした時間が好きでした。
 どの経験も、愛くるしくて笑っちゃう様な、心があったかくなる記憶として刻まれています

 そんなこんなで特別支援学級の先生として働くことになりました。大学を出たばかりの22歳の私は、どの子も可愛くて可愛くて仕方ありませんでした。10名ほどの子どもたちの中でも主に担当したのは、重複障害(肢体不自由、知的障害、情緒障害)という特徴を持つ10歳前の男の子Tくんでした。

       Tくんとの日々のお話は、また次号で!ひつじ

みんながあたりまえに暮らせる社会って?

幼いうちからともに生活すること 特別扱いして考えることをしない
                小児科医 山田 真


 大人になってはじめて障害者と出会う場合、ぎこちなくなってしまうことが多いのです。「どんな言葉づかいをしたらいいのだろう」「どういう行為が差別的な行為にあたるのだろう」など、いろいろ考えてしまうと、変に他人行儀な言葉づかいになったりします。
 また「つきあっていくうちに腹の立つこと、許せないことがあっても、障害者なのだから大目に見るべきなのだろうが、それはきついな」というふうに考えると、つきあうことに躊躇することにもなりがちです。


 子どもたちはよけいなことを考えません。「こんなことを聞いたら差別になって傷つけることになるのではないか」などと考えません。大人だと、障害について口に出してはいけないのではと思って、聞きたいことも聞かずにいることも起こるでしょうが、子どもは素直に「腕は動かないのか」「どうして車いすに乗っているのか」など、自由に聞くことができます。
 また、障害児が普通学級に入った場合、教員など大人が介入しないで子どもたちに伝えておけば、子どもたちが障害児と上手につきあっていく方法を見つけていくものです。
 つきあい方などというものは、一緒に生活していくなかで自然にわかっていきます。大人がなにかいってもいうことを聞かないけれど、同級生にいわれるということを聞くというような障害児はたくさんいます。
 いろいろな価値観を身につけてしまった大人は、その価値観ゆえにうまくつきあえなかったりします。それに対し、子ども、とくに幼い子どもは、そういった価値観から自由であるため「いろいろな個性をもった人間がいっしょに生活していく方法」を見つけ出すことが得意なのです。
 子どもだと障がい児に対しても対等につきあうことができ、ケンカもするし注意をしたりもします。「障がい児だから…」と特別あつかいして考えることをしないのです。これが大事なことです。
 僕たちはどんな障害をもった子どもも幼いときから健常な子どもたちと同じ集団のなかにいるべき、けっして健常な子どもたちと分けられてはいけないと考えて運動してきましたが、その最大の理由はここまで書いてきたようなことなのです

やまだまこと  小児科医。八王子中央診療所所長。「子どもたちを放射能から守る全国小児科医ネットワーク」代表。「お・は」編集協力人。著書に『水俣から 福島へ 公害の経験を共有する』(岩波書店)ほか。

『お・は』NO.90より


vol.190 アウトドア特集

とにかく日陰を確保することが夏キャンプの基本。夏の強い日差しは体力をどんどん奪い、熱中症にかかる恐れもあります。そうならないためにもタープを張って日陰を作りましょう。経口補水液をお忘れなく!

■テントに直接日光を当てない工夫を
夏の太陽にさらされたテント内は、かなり室温が上昇します。夜になっても熱気がこもっているということも……。それを防ぐには、テントを直射日光に当てないことが大切です。

では、どんなサイト選びをすればいいのでしょう?キャンプサイトには高原、林間、水辺などいくつか種類がありますが、直射日光をさえぎってくれる林間サイトがおすすめです。
また設営の際は、テントの一部をタープ内に入れたり、日の向きを考えて影になるところに設営するといいでしょう。

■水を味方につける
日本に古くから伝わる「打ち水」が、キャンプサイトを涼しくさせるのに効果あり!打ち水をすると、水が蒸発するときに地面の熱を奪って周囲の気温を下げてくれます。サイトのまわりに打ち水をして涼しさを手に入れましょう。またテントやタープに水をかけるのも効果的です。バケツがあれば、水を張って足をつけると涼しさもアップします。

■暑さをしのぐ睡眠便利グッズを取り入れる
夏キャンプの夜、暑くてなかなか眠れなかったというのはよく聞く話。睡眠時に背中の蒸れを防ぐため、テント内ではコットやエアーベッドを利用して、背中と地面の間に空間を作るようにしましょう。触れた感じがさらっとしているゴザもおすすめです。また、小さいクーラーボックスに氷を入れてフタを開けておけば、簡易クーラー代わりにもなりますよ!

■暑さ対策をして快適夏キャンプを!
せっかくキャンプに来たのだから、暑い
時期でも楽しみたいですよね。こちらで紹介した夏キャンプの基本テクニックを使えば、暑くても快適な夏キャンプが楽しめます。せっかくの夏休み、楽しい思い出がいっぱいのキャンプライフを過ごしてください!

こんなキャンプ飯ささっと作ったらかっこいい! 外で食べるから10倍うまい

◆夏野菜のホイル焼き
【 材料 (2人分) 】
プチトマト、ズッキーニ(輪切り)
マッシュルーム(薄切り)
パプリカ、ピーマン、白ワイン
塩、粗挽き黒こしょう 適量
【調理のポイント】
夏野菜をふんだんに使ったお手軽な焼き料理。カンタンで鮮やかな一品。アルミホイルを広げて野菜をのせ、白ワイン、塩、粗挽き黒こしょうをふったら、アルミホイルの口をしっかりと閉じ、網の上で焼きます。野菜に火が通ったら完成です!

◆フランスパンのホットサンド【 材料 (4人分) 】
フランスパン 1本
粒マスタード、マヨネーズ
オリーブ、モツァレラチーズ
ピザ用チーズ、プチトマト
【調理のポイント】
チーズがとろりと溶けて食欲をそそるメニューです!フランスパンに切り込みを入れ、切った側面に粒マスタードを塗り、スライスしたスパムミート、輪切りのオリーブ、ピザ用チーズなど好きなモノを挟んだら、アルミホイルを2~3枚重ねて大きく包み、グリルの上に置いて焼いたら完成です!。残り物やサラダをはさむのもオススメでよ。

◆味噌チーズフォンデュ【 材料 (4人分) 】
レンコン、パプリカ、アスパラガス、むきえび、季節の野菜やシーフードなど適量
(ディップ)
クリームチーズ 1/2カップ
豆乳 1/4カップ 赤味噌 小さじ2
【調理のポイント】
みんなでグリルをワイワイ囲みながらの料理は、バーベキューが10倍楽しくなりますね。シェラカップにディップの材料を入れ、グリルの上で、なめらかなディップを作りましょう。一口大に切った野菜やエビを焼きながら、温めたディップにつけて食べます!

◆食後にデザート&コーヒーがあれば満足度100


vol.190 ボーダーレス社会をめざして vol.49

NPO法人オープンハウスCAN 理事長 伊藤佐代子

家族旅行?

 「一泊で温泉に行くけど、一緒に行く?」いつも即答で「行きません。」と答えるのに、今回はどうしたのか「僕も行きます。」と。あっけなく家族旅行することになりました。
 旅行好きの自閉症の息子は、、「ダーツの旅」のように、日本地図のジグソーパズルのパーツをポケットに入れ、取り出したパーツの所へ遊びに行くという事をして旅行を楽しんでいましたが、2014年9月に全国制覇し、その後、ぴたりと一泊旅行をしなくなってしまいました。今回どういう訳か行くということで、息子が楽しめる旅行にしなければと考えました。
 電車で行ける所、温泉地でありながら息子一人で寝られる場所を確保できる所、カラオケやゲームなどで遊べる宿泊施設。いろいろ探して片山津温泉で泊り、金沢に行く事にしました。何時に出発か、何時の特急に乗るのか?質問攻めにあい、きちんと分かるように文字で書き出しました。すると自分でパソコンに向かい、ハガキ大の紙に印刷をしてきました。「これでいいですか?」「これだとJRの人が分からないでしょ。岐阜と金沢の往復券と書いた方がいいんじゃない。」などアドバイスをし、切符を買うための準備をしました。その書いた紙をJRの窓口で見せ、切符を買ってくるのです。上手に言葉で話せない彼がたどりついた切符を買う方法です。
 旅行前日は、テンションマックスで、「僕は5時に起きます。」「いや、そんな早くなくていいよ。6時半くらいで。」。当日、一緒に出掛ける素振りは全くなく「僕は、岐阜駅に先に行ってます。」と一人で行ってしまいました。特急電車の中では、私たちからは離れて一人で座っていました。福井で昼食を食べようと、途中下車したのですが、「13時50分改札口に集合。自由行動。」、加賀温泉駅に下車しても同様に「14時35分集合。自由行動。」、ホテルに着いてからも、自由行動!と夕食だけ一緒に食べたという感じです。お風呂も一人で入りに行き、お父さんとは別行動。
 次の日、金沢についてからも同様に自由行動で、家に帰るのも自分の好きな時間の電車に乗っていいことにしました。すると意気揚々と金沢駅を出てどこかに行ってしまいました。「これって家族旅行なの?」と友人に言われ「そうだね。変かな。」
 自閉症の息子と一緒に行動する時は、いつもこんなものです。いかに上手に付き合うか。いつも一緒にいるばかりがいい訳ではないのです。本人が楽しく過ごせればOKです。少し後、彼は一人で岡山へ行ってきました。もちろん日帰りで。泊まりはしないのだそうです。


vol.190 半農半X vol.31

たのしみは

 20数年前のことですが、人生を生きるたのしみを歌った幕末の歌人・橘曙覧(たちばなあけみ)の歌が流行ったことがありました。「たのしみは」ではじまる歌52首「独楽吟」は読むほうも幸せになる歌ばかりです。有名な歌をいくつかご紹介しましょう。「たのしみは朝おきいでて昨日まで無かりし花の咲ける見る時」や「たのしみは妻子(めこ)むつまじくうちつどひ頭ならべて物を喰ふ時」「たのしみはまれに魚煮て児等皆がうましうましといひて喰ふ時」「たのしみは三人の児どもすくすくと大きくなれる姿みる時」「たのしみは機おりたてて新しきころもを縫て妻が着する時」・・・。世界には恵まれない人がまだまだいっぱいです。私たちにほんとうのしあわせとは何かということをそっと教えてくれているようです。

感謝と報恩と

 私たちの先祖をさかのぼれば、10代前のご先祖様だけで2の10乗の「1024人」にもなります。すごい数ですね。さらに計算してみると、20代前だけで約105万人。50代前だけだと気の遠くなるようなものすごい数のご先祖様になります。この世は縁の重なり合い。すべてつながっているのですね。地球温暖化が心配ないま、そして、令和のはじまりのときに思うのは、先人に感謝しつつ、同時代の仲間(=周囲)と力をあわせて、未来の世代のための “贈り物づくり”に励まねばということ。どんなに小さなアクションでもいいので、それを重ねて、すてきな未来を築いていきましょう。

塩見直紀(しおみなおき)半農半X研究所代表
1965年、京都府綾部市生まれ。20年前から「半農半X(エックス=天職)」コンセプトを提唱。半農半X本は翻訳されて、台湾、中国、韓国にもひろがる。著書に『半農半Xという生き方 実践編』など。

※半農半Xとは・・・半農は環境問題、半Xは天職問題(どう生きるか)を背景と する。持続可能な農のある小さな暮らしをベースに、天与の才を社会に活かす生き方、暮らし方。ex.半農半漁、半農半大工、半農半看護師、半農半カフェ、 半農半絵描き、半農半歌手、半農半鍼灸師、半農半カメラマンなどなど。